説明

物品搬送仕分け装置

【課題】仕分け動作がスムーズな物品搬送仕分け装置を提供する。
【解決手段】無端スラットコンベアを構成する複数の各スラットに対してスライド移動可能に係合したスライドシューと、これらのスライドシューをガイドするガイド手段23〜24とを備えた物品搬送仕分け装置であって、ガイド手段は、移動シューを搬送方向にガイドするための直進ガイド部材23と、この直進ガイド部材の分岐位置でスライドシューを分岐コンベアに向かって移動させるための分岐ガイド部材24とを有する。分岐位置には、直進ガイド部材と分岐ガイド部材との間でガイド方向を切替える回転式の切替部材26が設けられている。切替部材26は、回動動作に応じて直進ガイド部材に対して摺動し、少なくとも切替部材及び直進ガイド部材の摺動領域は、曲率が略等しい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のスライドシューをスラットに対してスライド移動させることにより、無端仕分けコンベアに供給された物品をこの無端仕分けコンベアの側方に設けられた、搬送方向に対して水平方向斜めに延びる分岐コンベアに送り出す物品搬送仕分け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物流センター、配送センター等においては、搬送コンベア上で搬送される段ボールケースや包装物などの品物を配送先別或いは保管先別に振り分けるスライドシュー式の振り分け装置が採用されている。
【0003】
この種の振り分け装置として、揺動可能な長手形状の案内部材と、この案内部材に設けられ、案内部材の長手直交方向のうち一方向および他方向にそれぞれ突出する一対のストッパ装置とを有し、案内部材を揺動させることにより、いずれか一方のストッパ装置に案内部材を当接させ、ガイド方向を変更するもの(特許文献1参照)や、直線レールと分岐レールの分岐地点にスイッチレールを揺動自在に設けて、このスイッチレールにガイドピンを当接させることにより、スライドシューを横方向にスライド移動させるもの(特許文献2、特許文献3参照)が開示されている。
【0004】
また、特許文献4には、搬送方向に延びるガイドレールと、このガイドレールの途中から搬送方向に対し水平方向斜めに延びる分岐ガイドレールと、ガイドレール及び分岐ガイドレールの分岐ポイントに設置されるガイド溝部が形成された切替部材と、ガイドレール及び分岐ガイドレールにガイドされ、スラットに対してスライド移動可能な状態で係合したスライドシューとを有する切替装置が開示されている。
【0005】
スライドシューには、ガイドレール及び分岐ガイドレールに係合可能なガイドピンが設けられており、切替部材を分岐ガイドレール側に揺動させた状態で、ガイドピンを切替部材のガイド溝部に進入させると、スライドシューは、分岐ガイドレールによってガイドされながら、スラット上を横方向にスライド移動する。
【特許文献1】特開平6−336333号公報
【特許文献2】特開平7−315538号公報
【特許文献3】特開2002−2949号公報
【特許文献4】特開平6−115680号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1乃至3では、切替部材にガイドピンを当接させることによって、ガイドピンのガイド方向を切り替えているため、切替時にガイドピンが切替部材に衝突し、切替部材やスライドシューに大きな負荷がかかるおそれがある。
【0007】
また、特許文献4では、切り替え部材とガイドレールとの間にスペースがあるため、ガイドピンが切り替え部材に進入するときに、スライドシューに何らかの外力が働いて搬送直交方向に力を受けて、そのスペースに落ち込み、切替動作が妨げられ、切替部材やスライドシューに大きな負荷がかかるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本願発明の物品搬送仕分け装置は、多数のスラットを搬送方向に並設して物品を搬送する無端スラットコンベアと、前記各スラット又は前記多数のスラットのうち適当な間隔を置いて配置される複数の各スラットの長手方向に対してスライド移動可能に係合したスライドシューと、これらのスライドシューをガイドするガイド手段とを備え、前記ガイド手段を用いて前記複数のスライドシューを、前記搬送直交方向のうちいずれか一方から他方に向けてスライド移動させて、前記物品に当接させることにより、前記物品を前記無端スラットコンベアの前記他方側に設けられた分岐コンベアに送り出すことが可能な物品搬送仕分け装置であって、前記ガイド手段は、前記一方側に設けられ、前記スライドシューを前記搬送方向にガイドするための直進ガイド部材と、この直進ガイド部材の分岐位置で前記スライドシューを前記分岐コンベアに向かって移動させるための分岐ガイド部材とを有し、前記分岐位置には、上下方向に延びる軸を回転軸として、前記直進ガイド部材に連結される第1の位置と前記分岐ガイド部材に連結される第2の位置との間で回動可能な切替部材が設けられており、前記切替部材は、前記回動動作に応じて前記直進ガイド部材に対して摺動し、少なくとも前記切替部材の搬送方向上流側及び前記直進ガイド部材の前記摺動領域は、曲率が略等しい弧形状に形成されていることを特徴とする。
【0009】
ここで、前記切替部材に、シリンダ装置と、このシリンダ装置の直進運動を前記切替部材の回転運動に変換する変換部材とを設けて、前記切替部材を回転させるとよい。
【0010】
また、前記直進ガイド部材及び前記切替部材にそれぞれ、前記移動シューをガイドするための直進ガイド溝部及び切替ガイド溝部を形成し、前記第1及び第2の位置の間で回動する前記切替部材の回動範囲において、前記切替部材の入口を、前記直進ガイド溝部の出口をカバーする領域に形成するとよい。
【0011】
前記切替部材を、平面視円形状に形成するとよい。前記切替位置には、前記切替部材の下流側に前記直進ガイド部材及び前記分岐ガイド部材の隔壁となる尾根状の隔壁部材を設けるとともに、この隔壁部材に、押下げ力を受けて下方に沈み込む前記隔壁部材を上方へ付勢する緩衝機構を設けるとよい。
【0012】
前記緩衝機構は、前記隔壁部材よりも下流に配置された搬送直交水平方向に延びる回転軸周りに回転可能なアーム部材と、該アーム部材と前記隔壁部材とを連結する連結部材と、前記回転軸を中心として下方に回転するアーム部材に対して反対方向の回転力を付与する弾性手段とから構成するとよい。
【0013】
前記切替部材の切替動作を制御する制御手段と、前記スライドシューに設けられた検出片を検出するための第1の検出手段と、前記第1の検出手段の上流側に配置され、前記無端搬送コンベアに供給された物品を検出するための第2の検出手段とを有し、前記第1の検出手段は、前記第2の検出手段において物品が検出されると検出動作を開始し、前記制御手段は、前記第1の検出手段が所定数検出片を検出したときに、前記切替部材に切替動作を開始させるようにするとよい。
【発明の効果】
【0014】
本願発明によれば、前記切替部材は、前記回転動作に応じて前記第1のガイド部材に対して摺動し、少なくとも前記切替部材及び前記第1のガイド部材の前記摺動領域は、曲率が略等しい弧形状に形成されているため、切替動作の際に移動シューに水平方向の外力が加わったとしても、移動シューを切替部材を介して確実に第1のガイド部材又は分岐ガイド部材に送り込むことができるため、切替動作をスムーズに行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を図面に示す実施例を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0016】
本発明の物品搬送仕分け装置の一実施例について説明する。図1は、本物品搬送仕分け装置を備えた、物品仕分けシステムの概略図であり、図2は無端仕分けコンベアを構成するスラットの上面図である。図3は図2のB―B断面図であり、図4は図2のC−C断面図であり、この断面を搬送方向上流側からみた状態を図示している。図5は、切替部材の上面図である。
【0017】
図1に図示するように、本物品仕分けシステムは、無端搬送コンベア1と、この無端搬送コンベア1の終端部に連接され、無端搬送コンベア1と同様の方向に延びる無端仕分けコンベア2と、この無端仕分けコンベア2の搬送方向右側の側方から分岐し、該搬送方向に対して水平方向斜めに延びる複数の分岐コンベア3とを有している。
【0018】
無端仕分けコンベア2には、無端回動して無端搬送コンベア1から供給された物品を矢印X方向に搬送するための複数のスラット21が並設される。
【0019】
スラット21には、スラット21の長手方向に沿ってスライド移動可能な複数のスライドシュー22が係合している。また、スラット21の下方には、各スライドシュー22をガイドするためのガイド手段が設けられており、このガイド手段は、スラット21の左右両側に端部の略直下にそれぞれ設けられた、搬送方向に延びる第1及び第3のガイドレールと、搬送方向に対して斜めに設置され、第1及び第3のガイドレール23、25を接続する分岐横断ガイドレール24(分岐ガイド部材)とから構成されている。
【0020】
第1のガイドレール23(直進ガイド部材)の仕分け位置Sには、スライドシュー22のガイド方向を第1のガイドレール23から分岐横断ガイドレール24に切り替えるための回転式の切替部材26が設けられており、この切替部材26を回転させることにより、スライドシュー22を、分岐ガイド横断レール24に案内することができる。
【0021】
切替部材26を介して分岐横断ガイドレール24に進入したスライドシュー22は、スラット21の無端回動動作に応じてスラット21の左端から右端に向かってスライド移動する。これにより、無端仕分けコンベア2に供給された物品の搬送方向左側に位置するスライドシュー22が物品に当接し、この物品は、搬送方向下流に搬送されながら、分岐コンベア3に向かって押し込まれる。
【0022】
次に、本物品仕分けシステムの構成を詳細に説明する。
【0023】
無端搬送コンベア1は、搬送方向上流側から順に第1の無端搬送コンベア1a、第2の無端搬送コンベア1b、第3の無端搬送コンベア1c及び第4の無端搬送コンベア1dを有して構成されており、第1〜第4の無端搬送コンベア1の搬送速度は、それぞれV〜Vに設定されている(V>V>V>V)。第2の無端搬送コンベア1bの右側の側方には、バーコードリーダ41が配置されており、バーコードリーダ41から発せられた光が第2の無端搬送コンベア1b上を搬送方向下流に向かって搬送される、物品の側面に表示されたバーコードラベルに照射されるようになっている。すなわち、物品の側面に表示されたバーコードラベルをバーコードリーダ41により読み取ることで、物品の種類などを読み取ることができ、不図示の排出制御装置で予め決められている排出先が決定されることとなる。
【0024】
無端搬送コンベア1に進入した物品は、第1の無端搬送コンベア1a→第2の無端搬送コンベア1b→第3の無端搬送コンベア1c→第4の無端搬送コンベア1dの順序で段階的に増速されながら搬送され、増速後の速度Vで無端仕分けコンベア2に進入する。 このように、無端搬送コンベア1を段階的に増速することで、物品同士の間隔が狭い状態で無端搬送コンベア1に搬送された場合、適度な間隔を開けることが可能となっている。
【0025】
次に、無端仕分けコンベア2の構成について詳細に説明する。図4に図示するように、無端仕分けコンベア2は、上端及び下端が無端仕分けコンベア2の中央側に向かって折れ曲がった搬送方向に延びる左右一対のコンベアフレーム51を有しており、この一対のコンベアフレーム51の上面には、コンベアチェーン53をガイドするための一対のチェーンガイド部52が設けられている。
【0026】
コンベアチェーン53は、不図示の駆動モータから駆動力を受けて、図1の矢印X方向に無端回動するようになっている。図1に図示するように、無端仕分けコンベア2の上流側には、光学式の一対の箱検出センサ61(第2の検出手段)がコンベアを挟んで対向配置されており、この箱検出センサ61の下流側には、光学式の検出片検出センサ62(第1の検出手段)が設けられている。
【0027】
検出片検出センサ62は、各仕分位置に配設されており、上下方向に対向する一対の発光素子及び受光素子を有しており、発光素子及び受光素子の間に後述するスライドシュー22の検出片22dが進入したときにオンされ、そこから検出片22dが退避したときにオフされる。
【0028】
図2及び図4に図示するように、コンベアチェーン53は、搬送方向において隣接する平行な二つのローラ53aを連結する内リンク53bと、搬送方向に隣接する二つの平行な内リンク53bを連結する外リンク53cを複数有して構成されており、外リンク53cの上端には、無端仕分けコンベア2の内側に向かって折れ曲がったスラット支持部531cが形成されている。そして、スラット21は、これら左右一対のスラット支持部531cに橋渡すようにして固定されている。
【0029】
上述の構成によれば、不図示の駆動モータを駆動することによって、コンベアチェーン53及びコンベアチェーン53のスラット支持部531cに固定された複数のスラット21を、図1の矢印X方向に無端回動させることができる。
【0030】
これらのスラット21には、図2に図示するように一つおきにスライドシュー22が係合しており、各スライドシュー22は、各スラット21の長手方向にスライド移動可能に係合している。
【0031】
各スライドシュー22には、無端仕分けコンベア2に進入した物品に対して搬送方向左側から当接して、物品を分岐コンベア3が位置する方向へ押し込む当接部22aが搬送方向上流側に延びて設けられている。
【0032】
また、スライドシュー22の下部には、ピン22bが下方に突出して設けられており、ピン22bにはラジアル式のベアリング22cが取り付けられている。また、スライドシュー22の搬送方向左側の側面には、上端が搬送方向左側に折れ曲がった検出片22dが設けられている。
【0033】
図2に図示するように、この検出片22dの搬送方向の寸法S1は、検出片22dとこの検出片22dの搬送方向上流側に隣接配置される検出片22dとの間隔S2と略同じ長さに設定されている。
【0034】
無端仕分けコンベア2の下方には、コンベアフレーム51に対して固定されたステー54が設けられており、このステー54に対してスライドシュー22をガイドするためのガイドレール23〜25が固定されている。
【0035】
第1のガイドレール23は、スラット21の搬送方向左側の端部の略直下に設けられており、第3のガイドレール25は、スラット21の搬送方向右側の端部の略直下に設けられており、分岐横断ガイドレール24は、平面視分岐レール3の延長方向に、第1及び第3のガイドレール23、25を接続するように設けられている。
【0036】
図5に図示するように、第1のガイドレール23と分岐横断ガイドレール24との分岐地点には、回動式の平面視円形状の切替部材26が設けられており、この切替部材26を回動させることにより、スライドシュー22に設けられたピン22bの進路を第1のガイドレール23及び分岐横断ガイドレール24の間で切り替えることができる。
【0037】
第1のガイドレール23には、ベアリングガイド溝部23aが搬送方向に延びて形成されており、このベアリングガイド溝部23aの横寸法は、ベアリング22cの外径寸法よりも若干大きく設定されている。ベアリング22cは、スラット21の無端回動動作に応じてベアリングガイド溝部23a内を搬送方向下流に向かって移動する。
【0038】
また、第1のガイドレール23には、スライドシュー22を切替部材26へスムーズに進入させるための導入ガイドレール231が設けられており、この導入ガイドレール231には、スライドシュー22のピン22bをガイドするためのピンガイド溝部231aが形成されている。
【0039】
このピンガイド溝部231aの始端側は、搬送方向下流に向かって横寸法が漸次短くなるテーパー形状に形成されており、このテーパー部の終端からピン22bの外径よりも若干大きな一定の横寸法を有するピンガイド溝部231aが搬送方向下流に延びている。
【0040】
導入ガイドレール231の終端部には、搬送方向上流側に凹んだ弧形状の摺動部231bが形成されており、この摺動部231bは、平面視円形状の切替部材26と略同じ曲率を有する。また、切替部材26の搬送方向下流側と、第1及び分岐横断ガイドレール23、24とに同じ曲率を有する摺動部を設けるようにしてもよい。
【0041】
この切替部材26の中心には、回転軸26aが上下方向に延びて設けられており、この回転軸26aには水平方向に延びるアーム71(変換部材)が固定されている。そして、このアーム71には、ステー54に固定配置されたシリンダ72のピストンロッド72aが取り付けられており、ピストンロッド72aをシリンダハウジング72bに対して進退させることにより、切替部材26を回転軸26a周りに回転させることができる。
【0042】
切替部材26には切替溝部261が形成されており、この切替溝部261の始端側には、搬送方向下流側に向かって横寸法が徐々に短くなる第1の切替溝部261aと、第1の切替溝部261aの終端からピン22bの外径より若干大きな一定の横寸法を有する第2の切替溝部261bとから構成されている。
【0043】
第1の切替溝部261aの入口は、切替部材26を切り替えて、第2の切替溝部261bが第1のガイドレール23、もしくは分岐横断ガイドレール24に連結されるとき、ピンガイド溝部231aの入口と第1の切替溝部261aとが常に連結されているような寸法に設定されている。
【0044】
ピストンロッド72aを短縮方向に駆動すると、切替溝部261の終端側が第1のガイドレール23に連結され、これとは反対にピストンロッド72aを伸長方向に駆動すると、切替溝部261の終端側が分岐横断ガイドレール24に連結される。なお、シリンダ72の配置を変更することにより、ピストンロッド72aの短縮動作及び伸長動作に応じた連結状態が、本実施例とは反対になるようにしてもよい。
【0045】
このように、切替部材26を回動させることにより、スライドシュー22のガイド方向を第1のガイドレール23と分岐横断ガイドレール24との間で切り替えることができる。
【0046】
上述の構成によれば、切替部材26と略同じ曲率を有する摺動部231bを、切替部材26に対して接触配置しているため、切替動作の際に、切替部材26及び導入ガイドレール231の間に生じる水平方向の隙間をほぼ無くすことができる。これにより、切替部材26による切替動作を行うときに、水平方向の外力が加わったとしても、スライドシュー22のピン22bをピンガイド溝部231aから切替溝部261に対してガタなく進入させることができるため、切り替え動作をスムーズに行うことができる。
【0047】
さらに、第1の切替溝部261aの入口は、切替部材26を切り替えて、第2の切替溝部261bが第1のガイドレール23、若しくは分岐横断ガイドレール24に連結されるとき、ピンガイド溝部231aの入口と第1の切替溝部261aとが常に連結されているような寸法に設定されているため、スライドシュー22のピン22bを導入ガイドレール231から切替部材26へ確実に進入させることが出来る。これにより、スムーズな切替動作を確実に得ることができる。
【0048】
また、ピストンロッド72aを短縮方向の下死点と伸長方向の下死点との間で進退させることにより、第1のガイドレール23及び分岐横断ガイドレール24の切替動作を行うことができるため、切替部材26を切替動作させる際の位置決め制御が不要となり、コストを削減できる。
【0049】
仕分け位置Sには、切替部材26の下流側に緩衝機構28が配置されている。この緩衝機構28は、第1のガイドレール23及び分岐横断ガイドレール24の隔壁となる尾根状の隔壁部材28aを有しており、この隔壁部材28aは、スラット21の下方に設けられたステー54を貫通して下方に延びる支持部材28bによって支持されている。
【0050】
この支持部材28bの下部には、搬送方向下流側に延びるアーム28cが固定されており、このアーム28cは、その下流側の端部に設けられた、搬送直交水平方向に延びるアーム回転軸28dに対して、回転可能に支持されている。
【0051】
アーム28cの上面には、ステー54に固定された緩衝バネ28e(弾性手段)が取り付けられている。また、アーム28cが下方に回動し、緩衝バネ28eによって元の位置に戻る際に生じる反動を吸収するための反動吸収機構28fがステー54に取り付けられている。
【0052】
上述の緩衝機構28によれば、例えば、切替部材26の切替ミス等の誤動作により一つのスライドシュー22が緩衝機構28に進入した場合に、この誤って進入したスライドシュー22を分岐横断ガイドレール24もしくは第1のガイドレール23に戻すことができる。
【0053】
すなわち、切替部材26の切り替えミス等による誤動作により、スライドシュー22のピン22bが第1のガイドレール23及び分岐横断ガイドレール24のいずれにも進入せずに緩衝装置28の隔壁部材28aに当接した場合、スライドシュー22のピン22bは緩衝装置28の緩衝バネ28eのバネ力に抗して隔壁部材28aを押し下げながら搬送方向下流に向かって移動する。
【0054】
隔壁部材28aは尾根状に形成されていることから、スライドシュー22のピン22bは、尾根を降りながら、第1のガイドレール23、もしくは分岐横断ガイドレール24のいずれかに進入することとなる。これにより、切替部材26の誤動作が発生してもスライドシュー22を破損させたり、装置を停止させ仕分け作業の効率を落とすことがない。
【0055】
分岐横断ガイドレール24に進入したスライドシュー22は、スラット21が搬送方向下流に無端回動するのに応じて、スラット21の搬送方向左側の端部から搬送方向右側の端部に向かってスライド移動を開始し、該右側の端部に達したときに第3のガイドレール25に進入する。
【0056】
このように、第1のガイドレール23によってガイドされるスライドシュー22が、切替部材26を介して、順次分岐横断ガイドレール24に進入すると、図1に図示するように、スラット21上の物品は、物品の搬送方向左側に配置される複数のスライドシュー22によって、分岐コンベア3が位置する方向に押し込まれ、無端仕分けコンベア2から分岐コンベア3に送り出される。
【0057】
なお、本実施例では、切替部材26を分岐横断ガイドレール24に連結した場合、複数のスライドシュー22が、搬送方向に対して水平方向斜め(矢印Y方向)に並設されるが(図1参照)、分岐横断ガイドレール24の形状を平面視曲線状に形成し、複数のスライドシュー22が曲線状に並設されるようにしてもよい。
【0058】
また、上述の実施例では、切替部材26を平面視円形状に構成したが、切替部材26のうち、摺動部231bに対して摺動する領域が摺動部と略同じ曲率を有する弧形状に構成されていればよい。
【0059】
また、スライドシュー22を多数のスラット21に対して一つおきに係合させたが、全てのスラット21に係合させてもよいし、複数おきに係合させてもよい。
【0060】
次に、図6を参照して、切替部材26による切り替え動作のタイミングを制御する制御手順について説明する。ここで、図6は、切り替え部材の切り替え動作のタイミングを制御する制御手順を図示したフローチャートである。なお、以下のフローチャートは、不図示の排出制御装置によって実行される。
【0061】
無端搬送コンベア1上に供給された物品が、第2の無端搬送コンベア1bの側方に配置されたバーコードリーダ61の横を通過すると、箱の側面に表示されたバーコードが読み取られる(ステップS101)。そして、読み取られたバーコード情報から、不図示の排出制御装置によって箱の種類が特定され、それに応じた排出先が決定される(排出先と物品との関係については、予め決められている)。このとき、決定された排出先の検出片検出センサ62と箱検出センサ61との間隔に応じて、排出先の検出片検出センサ62によるカウント数も算出される(ステップS102)。
【0062】
そして、無端搬送コンベア1から無端仕分けコンベア2に箱が乗り移り、箱検出センサ61の横に到達すると、箱検出センサ61のセンサ出力がオンされる(ステップS103)。箱検出センサ61のセンサ出力がオンされると、排出制御装置は、対象となる検出先の検出片検出センサ62による検出片22dの検出(カウント)を開始する(ステップS104)。検出片22dの検出(カウント)は検出片検出センサ62がオンからオフになったときに1カウントとする。つまり、検出片22dが検出片検出センサ62を通過することでカウントを行う。
【0063】
さらに箱が搬送され、箱検出センサ61の横を物品が通過してセンサ出力がオフになると(ステップS105)、排出制御装置は、検出片検出センサ62の出力信号に基づき、箱の長さを算出し、それに応じたスライドシュー22の数を決定する(ステップS106)。
【0064】
排出先にある検出片検出センサ62は、検出片22dが通過したこと示す信号を排出制御装置に出力する。
排出制御装置は、対応した数(ステップS102で決定した)の検出片22dが通過した後(ステップS107)に切替部材26を作動させ、仕分け動作を開始する(ステップS108)。
【0065】
排出先にある検出片検出センサ62は、検出片22dが通過したことを示す信号を排出制御装置に出力する。
【0066】
排出制御装置は、対応した数(ステップS106で決定した)の検出片22dが通過した後(ステップS109)、切替部材26を作動させて仕分け動作を完了する(ステップS110)。
【0067】
本実施例では、検出片検出センサ62によって検出片22dを検出することで、切替部材26による切替動作を行っている。したがって、無端仕分けコンベア2のコンベアチェーン53が経時変化等により伸びた場合において仕分け対象となるスライドシュー22の検出片22dを検出することにより仕分けタイミングのずれを防止できる。また、コンベアチェーン53の動きがスムーズに行われない場合においても同様に、仕分けタイミングのずれを防止できる。
【0068】
さらに、検出センサ62と切替部材26との間隔を、検出片22dのピッチにあわせて設定することにより、切替部材26にスライドシュー22が進入した状態で、回動するのを防止することができる。また、検出片の長さを前後の検出片の間隔と略等しい長さに設定することによって、検出片検出センサ62から出力される信号のオン、オフの間隔が常に略一定となり、実行された制御の安定性を増すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】物品搬送システムの断面図
【図2】スラットの上面図
【図3】図2のB−B断面図
【図4】図2のC―C断面図
【図5】切替部材の上面図
【図6】切替部材による切替動作のタイミングを制御する制御手順を示したフローチャート
【符号の説明】
【0070】
1 無端搬送コンベア
2 無端仕分けコンベア
3 分岐コンベア
22 スライドシュー
23 第1のガイドレール
24 分岐横断ガイドレール
25 第2のガイドレール
26 切替部材
28 緩衝機構
31 スラット
51 コンベアフレーム
52 チェーンガイド部
53 コンベアチェーン
61 箱検出センサ
62 検出片検出センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のスラットを搬送方向に並設して物品を搬送する無端スラットコンベアと、前記各スラット又は前記多数のスラットのうち適当な間隔を置いて配置される複数の各スラットの長手方向に対してスライド移動可能に係合したスライドシューと、これらのスライドシューをガイドするガイド手段とを備え、前記ガイド手段を用いて前記複数のスライドシューを、前記搬送直交方向のうちいずれか一方から他方に向けてスライド移動させて、前記物品に当接させることにより、前記物品を前記無端スラットコンベアの前記他方側に設けられた分岐コンベアに送り出すことが可能な物品搬送仕分け装置であって、
前記ガイド手段は、前記一方側に設けられ、前記スライドシューを前記搬送方向にガイドするための直進ガイド部材と、この直進ガイド部材の分岐位置で前記スライドシューを前記分岐コンベアに向かって移動させるための分岐ガイド部材とを有し、
前記分岐位置には、上下方向に延びる軸を回転軸とし、前記直進ガイド部材に連結される第1の位置と前記分岐ガイド部材に連結される第2の位置との間で回動可能な切替部材が設けられており、
前記切替部材は、前記回動動作に応じて前記直進ガイド部材に対して摺動し、少なくとも前記切替部材の搬送方向上流側及び前記直進ガイド部材の前記摺動領域は、曲率が略等しい弧形状に形成されていることを特徴とする物品搬送仕分け装置。
【請求項2】
前記切替部材は、シリンダ装置と、このシリンダ装置の直進運動を前記切替部材の回転運動に変換する変換部材とを有することを特徴とする請求項1に記載の物品搬送仕分け装置。
【請求項3】
前記直進ガイド部材及び前記切替部材にはそれぞれ、前記移動シューをガイドするための直進ガイド溝部及び切替ガイド溝部が形成されており、
前記直進ガイド溝部の出口は、前記直進ガイド部材の前記摺動領域内に形成されており、
前記第1及び第2の位置の間で回動する前記切替部材の回動範囲内において、前記切替ガイド溝部の入口は、前記直進ガイド溝部の出口をカバーする領域に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の物品搬送仕分け装置。
【請求項4】
前記切替部材は、平面視円形状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一つに記載の物品搬送仕分装置。
【請求項5】
前記切替位置には、前記切替部材の下流側に前記直進ガイド部材及び前記分岐ガイド部材の隔壁となる尾根状の隔壁部材が設けられており、この隔壁部材には、押下げ力を受けて下方に沈み込む前記隔壁部材を上方へ付勢する緩衝機構が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4に記載の物品搬送仕分装置。
【請求項6】
前記緩衝機構は、前記隔壁部材よりも下流に配置された搬送直交水平方向に延びる回転軸周りに回転可能なアーム部材と、該アーム部材と前記隔壁部材とを連結する連結部材と、前記回転軸を中心として下方に回転するアーム部材に対して反対方向の回転力を付与する弾性手段とを有することを特徴とする請求項5に記載の物品搬送仕分け装置。
【請求項7】
前記切替部材の切替動作を制御する制御手段と、
前記スライドシューに設けられた検出片を検出するための第1の検出手段と、
前記第1の検出手段の上流側に配置され、前記無端搬送コンベアに供給された物品を検出するための第2の検出手段とを有し、
前記第1の検出手段は、前記第2の検出手段において物品が検出されると検出動作を開始し、
前記制御手段は、前記第1の検出手段が所定数検出片を検出したときに、前記切替部材の切替動作を開始させることを特徴とする請求項1乃至6に記載の物品搬送仕分け装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−119093(P2007−119093A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−309759(P2005−309759)
【出願日】平成17年10月25日(2005.10.25)
【出願人】(000137328)株式会社マキ製作所 (48)
【Fターム(参考)】