説明

物品搬送装置

【課題】物品を移載方向の両側に移載可能な物品搬送装置において、物品の次の移載位置への搬送時間を短縮する。
【解決手段】スタッカクレーン3のクレーン制御部81は、移載装置29および走行台車22を制御する。クレーン制御部81は、荷物Wの次の荷物収納棚13での移載方向が前側か後側かを把握する移載方向把握手段81dと、荷物収納棚13で荷物Wを積み込むと、次の荷物収納棚13への停止前に、把握された移載方向に応じて、荷物Wを下ろす側への荷物Wの移動を移載装置29に開始させる寄せ動作手段81fと、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置、特に、移載方向の第1側と第1側と逆の第2側とに配置されかつ搬送方向に沿って間隔を隔てて配置された複数の移載位置の間で物品を出し入れする物品搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動倉庫は、一対のラックと、物品搬送装置の一例としてのスタッカクレーンと、入庫ステーションと、出庫ステーションとを備えている。一対のラックは、前後方向(移載方向)に所定間隔を空けるようにして設けられている。スタッカクレーンは、前後のラック間の走行通路を左右方向に走行する。入庫ステーションは、一方のラックの側方に配置されている。出庫ステーションは、他方のラックの側方に配置されている。ラックは、上下・左右に並んだ多数の荷物収納棚(移載位置の一例)を有する。スタッカクレーンは、走行台車と、走行台車に設けられたマストに昇降可能に装着された昇降台と、昇降台に設けられた移載装置とを有している。
従来の移載装置として、物品の一例である荷物を前後のラックに移載可能なものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
従来の移載装置は、荷物の両側を挟持する一対のフォークと、フォークの伸縮方向と同方向に荷物を搬送可能なコンベア装置とを有している。コンベア装置は一対のフォークの間に配置されている。一対のフォークは開閉方向に移動して荷物を挟持および挟持解除可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−138949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来の構成では、移載時に荷物が荷物収納棚に移載する距離が長くなり、荷物の搬送時間が長くなる。
【0005】
本発明の課題は、物品を移載方向の両側に移載可能な物品搬送装置において、物品の次の移載位置への搬送時間を短縮することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合わせることができる。
本発明の一見地に係る物品搬送装置は、移載方向の第1側と第1側と逆の第2側とに配置されかつ搬送方向に沿って間隔を隔てて配置された複数の移載位置の間で物品を出し入れする物品搬送装置である。物品搬送装置は、移載装置と、走行装置と、搬送制御部と、を備えている。移載装置は、第1側の移載位置および第2側の移載位置に物品を移載可能である。移載装置は、第1側の第1端部と、第2側の第2端部と、を有する物品載置領域を有する。走行装置は、移載装置が搭載され、搬送方向に沿って複数の移載位置に走行可能である。搬送制御部は移載装置および走行装置を制御する。搬送制御部は、移載方向把握手段と、所定距離移動手段と、配置動作手段と、寄せ動作手段と、を有する。移載方向把握手段は、物品の次の移載位置での移載方向が第1側か第2側かを把握する。寄せ動作手段は、移載位置で物品を積み込むと、次の移載位置への停止前に、把握された移載方向に応じて、物品を下ろす側への物品の移動を移載装置に開始させる。所定距離移動手段は、第1側の移載位置からの物品の移載と、第2側の移載位置からの物品の移載と、において、物品の移載方向の長さにかかわらず物品を所定距離だけ移動させるように移載装置を動作させる。配置動作手段は、移載方向把握手段によって把握された次の移載位置での移載方向の端部と逆側の端部を基準として物品を配置するように移載装置を動作させる。寄せ動作手段は、移載位置で物品を積み込むと、次の移載位置への停止前に、把握された移載方向に応じて、物品を下ろす側への物品の移動を移載装置に開始させる。また、寄せ動作手段は、逆側の端部から物品の移動を移載装置に開始させ、次の移載位置の移載方向の端部で物品の移動を停止させる。
【0007】
この物品搬送装置では、次の移載位置の移載方向が第1側または第2側のいずれの側にあるかを把握する。物品が移載装置に積み込まれると、走行装置が走行している間に把握された物品を下ろす側に物品を移載装置内で寄せる。ここでは、次の移載位置がいずれの側にあるかを把握し、走行装置の走行中に把握した側に物品を寄せることができる。このため、物品を移載するときには下ろす側に物品を配置することができる。したがって、物品の次の移載位置までの移載距離が短くなり、物品の次の移載位置への搬送時間を短縮できる。
また、例えば、次の移載位置が前の移載位置と異なる側にある場合、配置動作手段により次の移載位置の逆側の端部を基準に、つまり後端基準に物品が配置されるので、移載装置が所定距離の移動により物品をいずれの側に移載しても、移載位置で物品の端部を整列させることができる。しかも、逆側の端部を基準に配置された物品が物品を下ろす側に寄せられる。このように、移載装置は所定距離の移動により移載位置との間で物品を出し入れできるため、移載制御を簡素化でき、かつ物品の搬送時間を短縮できる。
移載装置は、第1端部と第2端部とに配置され、物品を第1端部または第2端部に位置決めするための物品位置決めセンサをさらに有し、配置動作手段および寄せ動作手段は、物品位置決めセンサの出力に基づいて移載装置を動作させてもよい。
この場合には、物品を第1端部および第2端部に位置決めするのに用いられる物品位置決めセンサにより配置動作において物品を移載側と逆側の後端基準に配置することができる。また、寄せ動作において物品を下ろす側に配置できる。このため、センサ検出に基づく簡単な制御で寄せ動作と配置動作とを行うことができる。
【0008】
搬送制御部は、第1側の移載位置から物品を物品載置領域に積み込むとき、所定距離移動手段で物品を所定距離移動させ、移動後に第2端部に配置された物品位置決めセンサが物品を検出していないとき移載装置を動作させ、物品位置決めセンサが検出するまで物品を再度移動させてもよい。また、第2側の移載位置から物品を物品載置領域に積み込むとき、所定距離移動手段で物品を所定距離移動させ、移動後に第1端部に配置された物品位置決めセンサが物品を検出していないとき、移載装置を動作させ、物品位置決めセンサが検出するまで物品を再度移動させてもよい。
この場合には、何らかのトラブルにより、所定距離の移動した物品を物品位置決めセンサが検出しない場合でも、物品位置決めセンサを用いることにより物品を後端基準で配置できる。このため、所定距離の移動により物品が後端基準に配置されない場合でも、逆側への配置動作と、物品を下ろす側への物品の寄せ動作とに使用される物品位置決めセンサを用いて物品を後端基準に配置できる。
移載装置は、物品載置領域を有する装置本体と、装置本体に設けられ、物品を挟持して移載位置に移載可能なクランプ部と、物品を物品載置領域で移載方向に移動可能なコンベア部と、を有し、配置手段は、物品載置領域内の第1端部または第2端部までの物品の配置動作をコンベア部で行う。配置動作手段は、クランプ部を所定距離移動させてクランプ部を後端基準に配置し、配置後にクランプ部で物品を挟持する。これにより、クランプ部の所定距離の移動によりクランプ部による掴み替えを行うことなく、配置動作を行えるので、簡単な動作で迅速に配置動作を行える。
【0009】
搬送制御部は、走行装置が次の移載位置まで走行するのと、寄せ動作手段により物品が物品を下ろす側の端部で停止するのと、のいずれが早いかを判断する停止判断手段をさらに有してもよい。寄せ動作手段は、停止判断手段が走行装置の停止が早いと判断すると、物品を下ろす側の端部での停止を取り消す。
この場合には、寄せ動作が終わっていない場合に、すでに次の走行装置が移載位置に到達しているときには、寄せ動作が終わると停止することなくそのまま次の移載位置に物品が移載される。このため、物品の搬送時間をさらに短縮できる。
停止判断手段は、走行装置が停止したときに、寄せ動作手段により物品を下ろす側の端部で物品が停止していないと、走行装置の停止が早いと判断してもよい。
この場合には、走行装置が停止した場合に、寄せ動作が終了していないときだけ走行装置の停止が早いと判断しているので、走行装置の停止と寄せ動作が同時に終了しても物品は物品を下ろす側の端部で確実に停止するとともに、寄せ動作の終了が走行装置の停止より遅い場合だけ物品が端部で停止しなくなる。
停止判断手段は、寄せ動作手段が動作する前に走行装置の次の移載装置までの走行時間を把握する走行時間把握手段と、寄せ動作に要する寄せ動作時間を把握する寄せ動作時間把握手段と、をさらに有し、寄せ動作手段に要する寄せ時間が走行時間より長いとき、走行装置の停止が早いと判断してもよい。
この場合には、走行時間と寄せ動作時間とを比較して物品の端部での停止の要否を判断できるので、さらに制御の精度が高くなり、搬送時間をさらに短縮できる。
【0010】
移載装置は、物品載置領域の移載方向の外側に配置され、物品を検出する物品センサをさらに有し、搬送制御部は、記物品を移載位置から物品載置領域に荷積みするとき、物品センサが物品を検出した後に物品を検出しなくなると、次の移載位置へ走行装置を走行させてもよい。
この場合に、物品が物品載置領域の外側の物品センサを通過すれば走行装置が走行を開始できるので、移載装置の動作中に走行装置が次の移載位置に走行できる。このため、粗走行開始までの時間を短縮でき、さらに搬送時間を短縮できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、次の移載位置がいずれの側にあるかを把握し、走行装置の走行中に把握した側に物品を寄せることができる。このため、物品を移載するときには下ろす側に物品を寄せることができる。したがって、物品の次の移載位置への搬送時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態が採用された自動倉庫の概略平面図。
【図2】図1のII−II矢視図であり、ラックとスタッカクレーンを説明するための図。
【図3】図1のIII−III矢視図であり、ラックとスタッカクレーンを説明するための図。
【図4】移載装置の模式平面図。
【図5】コンベア部の概略側面図。
【図6】クランプ部が最も内側に配置されたときのコンベア部およびクランプ部の平面図。
【図7】クランプ部の側面図。
【図8】クランプ部が最も内側に配置されたときのコンベア部との位置関係を示す正面図。
【図9】アーム閉検出部の一部断面平面図。
【図10】クレーン制御部の機能ブロック図。
【図11】クレーン制御部の移載動作を説明するフローチャート。
【図12】配置動作を説明するフローチャート。
【図13】寄せ動作を説明するフローチャート。
【図14】搬送元と搬送先とが同じ側にある場合の移載動作を説明する模式図。
【図15】搬送元と搬送先とが異なる側にある場合の移載動作を説明する模式図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(1)自動倉庫全体
以下、本発明に係る一実施形態が採用された自動倉庫1を説明する。なお、この実施形態において、図1の上下方向が自動倉庫1の前後X方向であり、図1の左右方向が自動倉庫1の左右Y方向である。
図1において、自動倉庫1は、主に、前ラック2aおよび後ラック2bと、その間を走行するスタッカクレーン3とから構成されている。
【0014】
(2)ラック
前ラック2aおよび後ラック2bは、左右Y方向に延びるスタッカクレーン3の走行通路5を挟むよう前後に配置されている。前ラック2aおよび後ラック2bは、走行通路5側に所定間隔で左右に並ぶ多数の第1支柱7と、走行通路5と反対側に所定間隔を空けて並ぶ第2支柱9と、隣り合う第1支柱7および第2支柱9の間に設けられた多数の荷物支承部11とを有している。この実施形態では、一つの荷物支承部11は、二つの荷物収納棚13を有している。荷物収納棚13には、図1から明らかなように、スタッカクレーン3が中心基準かつ後端(走行通路5側端)基準で荷物Wを載置する。
【0015】
前ラック2aの左側の最下段には、荷物Wを入庫するための入庫ステーション17が配置されている。後ラック2bの左側の最下段には、荷物Wを出庫するための出庫ステーション19が配置されている。したがって、入庫ステーション17および出庫ステーション19においても、2個の荷物Wを入出庫可能である。
【0016】
(3)スタッカクレーン
図1、図2および図3において、走行通路5に沿って、上ガイドレール21aおよび下ガイドレール21bが設けられており、上ガイドレール21aおよび下ガイドレール21bにスタッカクレーン3が左右Y方向に移動可能に案内されている。スタッカクレーン3は、多数の荷物収納棚13と入庫ステーション17と出庫ステーション19との間で荷物Wを搬送する。
【0017】
スタッカクレーン3は、図2および図3に示すように、台車本体23および昇降台27を有する走行台車22と、走行台車22に設けられた2台の移載装置29と、を有している。台車本体23は、左右Y方向の両端部に左走行車輪23aおよび右走行車輪23bを有している。左走行車輪23aおよび右走行車輪23bは、台車本体23に軸受により回転自在に支持され、下ガイドレール21b上を走行する。台車本体23は、下ガイドレール21bを挟んで両端に一対配置された前ガイドローラ23cおよび後ガイドローラ23dにより下ガイドレール21bに案内される。右走行車輪23bは、走行用モータ87により駆動される。台車本体23の左走行車輪23aおよび右走行車輪23bの内側には、左マスト25aおよび右マスト25bが固定されている。左マスト25aおよび右マスト25bは、上下方向に延びている。昇降台27は、台車本体23に設けられた左マスト25aおよび右マスト25bに昇降自在に装着されている。2台の移載装置29は、昇降台27に左右Y方向に並べて設けられている。
【0018】
(4)移載装置
移載装置29は、スタッカクレーン3と、入庫ステーション17、出庫ステーション19および荷物収納棚13と、の間で荷物Wを移載するための装置である。移載装置29は、図4に示すように、昇降台27としても機能する装置本体31と、コンベア部32と、クランプ部33と、を備えている。なお、図4以降では、1台分の移載装置29を示しているが、昇降台27には2台の移載装置29が設けられている。
図4に示すように、装置本体31の左右Y方向の中央部分に、荷物Wを載置して前後X方向(移載方向)に沿って荷物収納棚13側へ移動させるコンベア部32が設けられている。装置本体31のコンベア部32の外側に、荷物Wを把持して荷物収納棚13側へ移動させるクランプ部33が設けられている。
【0019】
(4−1)装置本体
装置本体31は、荷物Wを載置可能な荷物載置領域31aを有している。荷物載置領域31aには、荷物Wが後端基準で載置される。ここで荷物Wの後端とは、クランプ部33が把持する側であり、移載対象の前ラック2aまたは後ラック2bから離れた端部である。したがって、前ラック2aが移載対象の場合、図4右側の端部が後端になり、後ラック2bが移載対象の場合、図4左側の端部が後端になる。荷物載置領域31aの前後X方向の両端部には、図示しないブラケットに取り付けられた投受光型の第1位置決めセンサ98aおよび第2位置決めセンサ98bが配置されている。第1位置決めセンサ98aおよび第2位置決めセンサ98bは、荷物Wの後端の検出等に用いられる。第1位置決めセンサ98aおよび第2位置決めセンサ98bの前後X方向外側には、図示しないブラケットに取り付けられた投受光型の第1荷はみセンサ97aおよび第2荷はみセンサ97bが配置されている。第1荷はみセンサ97aおよび第2荷はみセンサ97bは、荷物Wが昇降台27よりはみ出していることの検出等に用いられる。
【0020】
(4−2)コンベア部
コンベア部32は、荷物Wを載置して移動させるものである。コンベア部32は、図4、図5および図6に示すように、装置本体31の左右Y方向の中央部分には、中心に対して対称に配置された第1コンベアユニット32aと第2コンベアユニット32bと、これらを駆動するコンベア駆動部42と、を有している。第1コンベアユニット32aおよび第2コンベアユニット32bは、例えばベルトコンベアである。第1コンベアユニット32aおよび第2コンベアユニット32bは、同じ構造であるので、第1コンベアユニット32aについて以下に説明する。
【0021】
第1コンベアユニット32aは、コンベアフレーム35と、搬送ベルト37と、搬送ベルト37を駆動する駆動プーリ39と、コンベアフレーム35の両端に配置された従動プーリ41と、を備えている。コンベアフレーム35は、前後X方向に沿って配置され、装置本体31の上面に固定されている。駆動プーリ39および従動プーリ41は、コンベアフレーム35に支持されている。駆動プーリ39は、コンベア駆動部42に連結されている。コンベア駆動部42は、コンベア駆動モータ96と、コンベア駆動モータ96から動力を駆動プーリ39に伝達する駆動軸40と、を有している。搬送ベルト37は、従動プーリ41と駆動プーリ39に懸架されている。なお、コンベアの種類としては、ベルトコンベアでなくてもよく、ローラコンベアやチェーンコンベア等でもよい。
【0022】
(4−3)クランプ部
クランプ部33の構成を、図4、図6、図7および図8により説明する。クランプ部33は、側面を挟持して荷物Wを移動させる機構である。クランプ部33は、第1ベース部材51aおよび第2ベース部材51bと、第1アーム53aおよび第2アーム53bと、第1アーム53aおよび第2アーム53bを開閉させる開閉駆動部60と、第1アーム53aおよび第2アーム53bを同期して進退させる移動駆動部61と、を有している。第1ベース部材51aおよび第1アーム53aと、第2ベース部材51bおよび第2アーム53bは、鏡像関係にある構造である。なお、図8では第1ベース部材51aおよび第1アーム53aを開示している。第2ベース部材51bおよび第2アーム53bは、図8に示す第1ベース部材51aおよび第1アーム53aは鏡像の形状であるので、図による開示を省略する。
【0023】
(4−4)第1ベース部材および第2ベース部材
第1ベース部材51aおよび第2ベース部材51bは、左右Y方向に互いに接近および離反して開閉可能に装置本体31に設けられている。第1ベース部材51aおよび第2ベース部材51bは、第1コンベアユニット32aおよび第2コンベアユニット32bの左右Y方向両側に配置されている。
【0024】
第1ベース部材51aおよび第2ベース部材51bは、前後X方向に延びる概ね矩形板状の部材である。第1ベース部材51aおよび第2ベース部材51bの両端部は、装置本体31の前後X方向の両端に左右Y方向に沿って配置された一対のリニアガイド34aおよびリニアガイド34bに案内され、装置本体31に左右Y方向に移動自在に支持されている。第1ベース部材51aおよび第2ベース部材51bは、前後X方向の両端下部に左右Y方向外側(離反側)に直角に折れ曲がった第1折れ曲がり部51cおよび第2折れ曲がり部51dを各別に有している。第1折れ曲がり部51cおよび第2折れ曲がり部51dの両端部には、リニアガイド34aおよびリニアガイド34bに案内される案内部としての第1リニア軸受63aおよび第2リニア軸受63b(図7および図8参照)がボルトにより各別に固定されている。
【0025】
第1ベース部材51aおよび第2ベース部材51bの対向する内側面には、第1アーム53aおよび第2アーム53bを支持する第1中間リニアガイド65aおよび第2中間リニアガイド65bが前後X方向に沿って各別に設けられている。第1ベース部材51aおよび第2ベース部材51bの外側面には、移動駆動部61の第1移動ベルト78aおよび第2移動ベルト78bが配置されている。
【0026】
第1ベース部材51aの上部には、図7および図8に示すように、第1アーム53aが前側(図7左側の第1ラック2a側)および後側(図7右側の第2ラック2b側)の後端基準位置に配置されたことを検出する前側後端基準センサ84aと後側後端基準センサ84bとが配置されている。また、後述する第1中間アーム部54aの前後X方向の中心位置には、前側後端基準センサ84aおよび後側後端基準センサ84bにより検出される検出突起83が上方に突出して形成されている。前側後端基準センサ84aおよび後側後端基準センサ84bは、荷物Wを把持した状態で前側または後側で第1位置決めセンサ98aまたは第2位置決めセンサ98bで荷物Wが位置決めされて後端基準で移載装置29に位置決めされたときに第1アーム53aおよび第2アーム53bが配置されるように第1ベース部材51aに配置されている。
なお、前側後端基準センサ84aおよび後側後端基準センサ84bを設ける代わりに、図10に示すアーム移動量検出用のロータリエンコーダ92の出力により、第1アーム53a及び第2アーム53bが後端基準位置に配置されていることを検出してもよい。
【0027】
(4−5)第1アームおよび第2アーム
第1アーム53aおよび第2アーム53bは、第1ベース部材51aおよび第2ベース部材51bに前後X方向に進退可能に各別に設けられている。
第1アーム53aは、第1中間アーム部54aと、第1先端アーム部55aと、を有している。第2アーム53bは、第2中間アーム部54bと、第2先端アーム部55bと、を有している。また、第1アーム53aおよび第2アーム53bは、第1先端アーム部55aおよび第2先端アーム部55bを第1中間アーム部54aおよび第2中間アーム部54bの移動に連動して移動させる第1連動機構56aおよび第2連動機構56bを各別に有している。
【0028】
第1中間アーム部54aおよび第2中間アーム部54bは、概ね矩形板状の部材である。第1中間アーム部54aおよび第2中間アーム部54bは、第1ベース部材51aおよび第2ベース部材51bに進退自在に各別に支持されている。第1中間アーム部54aおよび第2中間アーム部54bの第1ベース部材51aおよび第2ベース部材51bと対向する外側面には、第1中間リニアガイド65aおよび第2中間リニアガイド65bに案内される第1中間リニア軸受67aおよび第2中間リニア軸受67bが各別に固定されている。これにより、第1中間アーム部54aおよび第2中間アーム部54bが第1ベース部材51aおよび第2ベース部材51bに前後X方向に進退自在支持される。
【0029】
第1中間アーム部54aおよび第2中間アーム部54bの対向する内側面には、第1先端アーム部55aおよび第2先端アーム部55bを前後X方向に案内する第1先端リニアガイド66aおよび第2先端リニアガイド66bが各別に固定されている。第1先端リニアガイド66aおよび第2先端リニアガイド66bの前後X方向の長さは、第1中間アーム部54aおよび第2中間アーム部54bの前後X方向の長さより長い。これは、第1先端アーム部55aおよび第2先端アーム部55bを荷物収納棚13に配置しやすくするためである。
【0030】
第1中間アーム部54aおよび第2中間アーム部54bの対角の隅部には、矩形の一対の第1開口54cおよび一対の第2開口54d(図7および図8参照)が各別に形成されている。第1開口54cおよび第2開口54dには、第1連動機構56aおよび第2連動機構56bを構成する第1連動プーリ58aおよび第2連動プーリ58bが回転自在に各別に装着されている。
【0031】
第1先端アーム部55aおよび第2先端アーム部55bは、概ね矩形板状の部材であり、第1中間アーム部54aおよび第2中間アーム部54bより僅かに長さおよび幅が短い。第1先端アーム部55aおよび第2先端アーム部55bの第1中間アーム部54aおよび第2中間アーム部54bと対向する外側面には、第1先端リニアガイド66aおよび第2先端リニアガイド66bに案内される第1先端リニア軸受68aおよび第2先端リニア軸受68bが各別に固定されている。これにより、第1先端アーム部55aおよび第2先端アーム部55bは、第1中間アーム部54aおよび第2中間アーム部54bに前後X方向に進退自在に支持される。
【0032】
(4−6)第1連動機構および第2連動機構
第1連動機構56aおよび第2連動機構56bは、第1先端アーム部55aおよび第2先端アーム部55bを第1中間アーム部54aおよび第2中間アーム部54bの前後X方向の移動に連動して2倍の速度で前後X方向に各別に移動させるものである。第1連動機構56aおよび第2連動機構56bは、前述した一対の第1連動プーリ58aおよび第2連動プーリ58bと、第1連動プーリ58aおよび第2連動プーリ58bに架け渡される一対の第1連動ベルト59aおよび一対の第2連動ベルト59bと、を各別に有している。第1連動プーリ58aおよび第2連動プーリ58bは歯付きプーリであり、第1連動ベルト59aおよび第2連動ベルト59bは、歯付きベルトである。
【0033】
図6および図7に一点鎖線で示す上方に配置された一方の第1連動ベルト59aおよび第2連動ベルト59bの第1端は、第1ベース部材51aおよび第2ベース部材51bの図6および図7の左端部に固定されている。一方の第1連動ベルト59aおよび第2連動ベルト59bの第2端は、第1先端アーム部55aおよび第2先端アーム部55bの左端部に固定されている。図6および図7に破線で示す下方に配置された他方の第1連動ベルト59aおよび第2連動ベルト59bの第1端は、第1ベース部材51aおよび第2ベース部材51bの図6および図7の右端部に固定されている。他方の第1連動ベルト59aおよび第2連動ベルト59bの第2端は、第1先端アーム部55aおよび第2先端アーム部55bの右端部に固定されている。
【0034】
このような構成により、第1中間アーム部54aおよび第2中間アーム部54bが前後X方向の前側(図6の右側)又は後側(図6の左側)に移動すると、第1先端アーム部55aおよび第2先端アーム部55bは、一方の第1連動ベルト59aおよび第2連動ベルト59b又は他方の第1連動ベルト59aおよび第2連動ベルト59bに引っ張られる。この結果、第1先端アーム部55aおよび第2先端アーム部55bは、第1中間アーム部54aおよび第2中間アーム部54bの2倍の速度で第1先端リニアガイド66aおよび第2先端リニアガイド66bに案内されて同じ方向に各別に移動する。このため、第1先端アーム部55aおよび第2先端アーム部55bは、第1中間アーム部54aおよび第2中間アーム部54bに対して進退する。
【0035】
(4−7)開閉駆動部
開閉駆動部60は、第1ベース部材51aおよび第2ベース部材51bを左右Y方向に開閉駆動するための機構である。開閉駆動部60は、アーム開閉モータ93とアーム開閉モータ93に連結されたボールねじ軸62と、を有している。また、開閉駆動部60は、ボールねじ軸62に螺合する第1ナット部材64aおよび第2ナット部材64bと、を有している。
【0036】
図4、図6および図7に示すように、アーム開閉モータ93は、ボールねじ軸62を回転駆動する。ボールねじ軸62は、左右Y方向に沿って配置されている。ボールねじ軸62には、左右Y方向の中心位置を境に右ねじ部62aと左ねじ部62bとが形成されている。図7に示すように、第1ナット部材64aおよび第2ナット部材64bは、第1ベース部材51aおよび第2ベース部材51bの対向する内側面に各別に配置されている。ここで、第1ナット部材64aは、右ねじ部62aに螺合する右ねじの部材であり、第2ナット部材64bは、左ねじ部62bに螺合する左ねじの部材である。第1ナット部材64aおよび第2ナット部材64bは、図9に示すように内部に循環する多数のボールが螺旋状に配置された右ねじ又は左ねじのボールナット部を有するナット本体70aと、ナット本体70aに設けられた取付フランジ70bと、を有している。取付フランジ70bは、図7に示すように、概ね菱形形状である。
【0037】
図9に示すように、第1ナット部材64aおよび第2ナット部材64bには、アーム閉検出部94が設けられている。アーム閉検出部94は、第1アーム53aおよび第2アーム53bが閉方向に移動したとき荷物Wを挟持したことを検出して、閉動作を停止させるための検出部である。アーム閉検出部94は、取付フランジ70bの両端に固定された一対のガイド軸71と、一対のコイルばね72と、隙間検出センサ73と、を有している。ガイド軸71は、第1ベース部材51aおよび第2ベース部材51bを貫通して配置されている。ガイド軸71は、ナット本体70aを第1ベース部材51aまたは第2ベース部材51bと接離する方向に案内するものである。ガイド軸71は、大径の頭部71aと、小径の雄ねじ部71bと、頭部71aと雄ねじ部71bとの間に両者の間の外径を有する軸部71cとを有している。ガイド軸71は、ナット74により取付フランジ70bに固定されている。コイルばね72は、ガイド軸71の外周側に配置され、頭部71aと第1ベース部材51a又は第2ベース部材51bとの間に圧縮状態で配置されている。これにより、第1ナット部材64aおよび第2ナット部材64bは、コイルばね72により、第1ベース部材51aおよび第2ベース部材51bの内側面に向けて各別に付勢される。隙間検出センサ73は、例えば門型断面の投受光式光電センサである。隙間検出センサ73は、取付フランジ70bに固定された検出子75を検出する。隙間検出センサ73は、第1ナット部材64aまたは第2ナット部材64bが所定距離だけ第1ベース部材51aまたは第2ベース部材51bから離反したか否かを判断するために設けられている。
【0038】
アーム開閉モータ93によりボールねじ軸62が一方向に回転すると、第1ベース部材51aと第2ベース部材51bが互いに離反する開方向に移動し、他方向に回転すると接近する閉方向に移動する。そして、第1先端アーム部55aおよび第2先端アーム部55b荷物Wの両側に接触して荷物Wを挟持するまでは、図9(a)に示すように、第1ナット部材64aおよび第2ナット部材64bは、コイルばね72により付勢され、第1ベース部材51aおよび第2ベース部材51bと接触している。しかし、荷物Wを挟持すると、第1ベース部材51aおよび第2ベース部材51bは荷物Wにより閉方向への移動が阻止されるが、第1ナット部材64aおよび第2ナット部材64bは、コイルばね72の付勢力に抗してさらに閉方向に移動可能である。この結果、図9(b)に示すように、第1ベース部材51aおよび第2ベース部材51bと、第1ナット部材64aおよび第2ナット部材64bの取付フランジ70bと、の間に隙間が生じる。この隙間が所定長さ以上になると、検出子75が隙間検出センサ73の対向部分から外れて隙間検出センサ73がオンする。このタイミングで開閉駆動部60のアーム開閉モータ93を停止して閉動作を停止する。
【0039】
(4−8)移動駆動部
移動駆動部61は、図4、図6、図7および図8に示すように、アーム駆動モータ91と、スプライン軸69と、第1駆動プーリ76aおよび第2駆動プーリ76bと、一対の第1従動プーリ77aおよび一対の第2従動プーリ77bと、第1移動ベルト78aおよび第2移動ベルト78bと、を有している。
【0040】
スプライン軸69は、左右Y方向に沿って配置されており、アーム駆動モータ91により回転駆動される。第1駆動プーリ76aおよび第2駆動プーリ76bは、スプライン軸に一体回転可能かつ軸方向移動自在に係合する。第1駆動プーリ76aおよび第2駆動プーリ76bは、第1ベース部材51aおよび第2ベース部材51bの外側面に第1ベース部材51aおよび第2ベース部材51bの外側面に開閉方向(左右Y方向)の移動に連動して移動可能に配置されている。一対の第1従動プーリ77aおよび一対の第2従動プーリ77bは、第1ベース部材51aおよび第2ベース部材51bの両端に回転自在に支持されている。第1駆動プーリ76aおよび第2駆動プーリ76bの上方には、一対の第1テンションプーリ79aおよび一対の第2テンションプーリ79bが配置されている。一方(例えば図7右側)の第1テンションプーリ79aおよび一対の第2テンションプーリ79bは、第1移動ベルト78aおよび第2移動ベルト78bに張力を各別に付与する方向に移動可能である。第1駆動プーリ76aおよび第2駆動プーリ76bと、一対の第1従動プーリ77aおよび一対の第2従動プーリ77bと、は、歯付きプーリである。
【0041】
第1移動ベルト78aおよび第2移動ベルト78bは、歯付きベルトである。第1移動ベルト78aおよび第2移動ベルト78bは、第1中間アーム部54aおよび第2中間アーム部54bに各別に連結されている。第1移動ベルト78aおよび第2移動ベルト78bは、図8に示すように、第1中間リニア軸受67aおよび第2中間リニア軸受67bの固定部分に取り付けられたL字型の第1取付金具80aおよび第2取付金具80bにより、第1中間アーム部54aおよび第2中間アーム部54bに各別に連結されている。第1取付金具80aおよび第2取付金具80bは、第1ベース部材51aおよび第2ベース部材51bに前後X方向に沿って形成された第1スリット51eおよび第2スリット51fを通過して第1移動ベルト78aおよび第2移動ベルト78bに向かって延びている。この先端部に第1移動ベルト78aおよび第2移動ベルト78bが固定されている。
【0042】
アーム駆動モータ91によりスプライン軸69が回転すると、第1移動ベルト78aおよび第2移動ベルト78bが循環駆動される。これにより、第1中間アーム部54aおよび第2中間アーム部54bが前後X方向の前ラック2a側または後ラック2b側に移動し、さらに第1先端アーム部55aおよび第2先端アーム部55bが前ラック2aまたは後ラック2bの荷物収納棚13に配置される。
このような構成の移載装置29では、移動駆動部61の第1移動ベルト78aおよび第2移動ベルト78bが第1ベース部材51aおよび第2ベース部材51bの外側に配置されている。このため、図6および図8に示すように、最も小さい荷物Wを把持するために、クランプ部33を閉方向に移動させても、開閉方向(左右Y方向)の接近側に配置されたコンベア部32と第1移動ベルト78aのおよび第2移動ベルト78bとが干渉しなくなり、一対のクランプ部33を可及的にコンベア部32に接近させることができる。具体的には、図6および図8では、第1アーム53aの第1先端アーム部55aおよび第2アーム53bの第2先端アーム部55bが第1コンベアユニット32aおよび第2コンベアユニット32bの上方において左右Y方向で重なる位置まで移動可能になる。ここでは、移動駆動部61の第1移動ベルト78aおよび第2移動ベルト78bを第1ベース部材51aおよび第2ベース部材51bより外側(開閉方向の離反側)に各別に配置することにより、第1アーム53aおよび第2アーム53bをコンベア部32に可及的に接近させることができる。このため、幅が小さい荷物Wを挟持しやすくなる。
【0043】
(5)クレーン制御部
図10において、スタッカクレーン3のクレーン制御部81は、スタッカクレーン3に搭載されている。クレーン制御部81は、自動倉庫1全体を制御するコントローラ(図示せず)と通信可能である。クレーン制御部81は、CPUやメモリ等のコンピュータ・ハードウェアを含んでいるが、図10においてはコンピュータ・ハードウェアとソフトウェアの協働によって実現される機能ブロックとして表現されている。なお、制御信号の送受信は無線(電波)で行っているが、有線であってもよい。
【0044】
クレーン制御部81は、台車本体23の走行および停止の制御と、昇降台27の昇降制御と、2台の移載装置29の移載制御と、をおこなう。クレーン制御部81には、走行用モータ87と、走行量検出用のロータリエンコーダ88と、昇降用モータ89と、昇降量検出用のロータリエンコーダ90と、が接続されている。また、クレーン制御部81には、後述するアーム駆動モータ91と、アーム移動量検出用のロータリエンコーダ92と、アーム開閉モータ93と、アーム閉検出用の隙間検出センサ73と、アーム開閉移動量検出用のロータリエンコーダ95と、コンベア駆動モータ96と、第1位置決めセンサ98aと、第2位置決めセンサ98bと、第1荷はみセンサ97aと、第2荷はみセンサ97bと、が接続されている。なお、図10では、クレーン制御部81には、移載装置29の一台分のセンサ類およびモータ等が開示されているが、もう一台分のセンサ類およびモータ類もクレーン制御部81に接続されている。
【0045】
ここで、第1位置決めセンサ98aおよび第2位置決めセンサ98bは、移載装置29内で荷物Wを後端基準に位置決めするためのセンサである。後端基準とは、荷物Wを荷物収納棚13に移載するとき、移載される側と逆側の端部を後端とし、その後端を揃えて荷物Wを移載装置29に載置することをいう。これにより、荷物Wを荷物収納棚13に移載すると、荷物収納棚13の走行通路5側に荷物Wの後端を揃えることができる。したがって、前ラック2aにある荷物収納棚13に荷物Wを移載するときは、第2位置決めセンサ98bにより荷物Wの後端を位置決めする。逆に後ラック2bにある荷物収納棚13に荷物Wを移載するときは、第1位置決めセンサ98aにより荷物Wの後端を位置決めする。
第1荷はみセンサ97aおよび第2荷はみセンサ97bは、荷物Wが移載装置29からはみ出して台車本体23および昇降台27の移動ができないか否かを検出するセンサである。第1荷はみセンサ97aおよび第2荷はみセンサ97bが荷物Wのはみ出しを検出している間は、スタッカクレーン3の移動は禁止される。
【0046】
クレーン制御部81は、機能構成として、後述する位置決め手段81aと、所定距離移動手段81bと、走行規制手段81cと、移載方向把握手段81dと、配置動作手段81eと、寄せ動作手段81fと、停止判断手段81gと、を有している。なお、以降の説明では、第1アーム53aおよび第2アーム53bを単にアーム53と記す。
ここで、位置決め手段81aは、搬送先の荷物収納棚(次の移載位置の一例)に応じて荷物Wを後端基準で配置する手段である。所定距離移動手段81bは、アーム53を所定距離進出および退入させる手段である。所定距離は、ロータリエンコーダ95の検出出力により判断する。走行規制手段81cは、荷物Wが荷物載置領域31aに載置された状態で第1荷はみセンサ97aまたは第2荷はみセンサ97bが荷物Wを検出したとき、台車本体23および昇降台27の動作を禁止する手段である。また、走行規制手段81cは、第1荷はみセンサ97aまたは第2荷はみセンサ97bが荷物Wを検出してから荷物Wを検出しなくなると台車本体23および昇降台27の動作を許可する手段である。移載方向把握手段81dは、搬送指令に含まれる搬送先の荷物収納棚13に基づき、搬送先の移載方向が搬送元と同じ側か異なる側かを把握する手段である。配置動作手段81eは、搬送先に到着する前に搬送先に応じた後端基準位置にアーム53および荷物Wを配置する手段である。寄せ動作手段81fは、搬送元の荷物収納棚13からスタッカクレーン3が移動する間に、搬送元の荷物収納棚13から荷物Wを引き込む途中で走行台車22の走行を開始し、走行中に後端基準で荷物Wを位置決めしてクランプし、搬送先の荷物収納棚13に近い位置に荷物Wおよびアーム53を寄せる動作を行う手段である。停止判断手段81gは、寄せ動作を行う際に、スタッカクレーン3が搬送先に着いて停止するのと、寄せ動作手段81fがアーム53および荷物Wを寄せ動作を終了して停止するのとのいずれが早かったかを判断する手段である。
【0047】
(6)スタッカクレーンの動作
以下、図11、図12および図13のフローチャートと図14および図15の動作模式図を用いて、スタッカクレーン3の移載動作を説明する。フローチャートはクレーン制御部81による制御動作を示しているが、説明の簡略化のために各種モータの動作の説明を省略している。
【0048】
図11を用いて、スタッカクレーン3が荷物Wを搬送元に迎えに行って積み込んで次の搬送先に荷下ろしするまでの移載動作について説明する。
【0049】
ステップS1では、搬送元の荷物Wがある荷物収納棚(移載位置の一例)13の搬送元情報および荷物Wの搬送先の荷物収納棚13の搬送先情報を含む搬送指令を待つ。搬送指令を受け取るとステップS2に移行する。ステップS2では、台車本体23および昇降台27の搬送元の荷物収納棚13への移動を開始する。ステップS3では、搬送元の荷物収納棚13の後端基準位置が、現在アーム53が位置している後端基準位置と逆側にあるかを判断する。搬送先の荷物収納棚13の後端基準位置が、現在アーム53が位置している後端基準位置と逆側にある場合は、ステップS4に移行してアーム後端基準動作を実行し、ステップS5に移行する。アーム後端基準動作では、搬送指令の搬送元の情報により搬送元の荷物収納棚13の後端基準位置用の前側後端基準センサ84aまたは後側後端基準センサ84bがアーム53を検出するまでアーム53を移動させる。これにより、搬送元の荷物収納棚13で荷物Wを後端基準で把持できるようになる。この動作は搬送元の後端基準位置と同じ側にアーム53がすでに配置されている場合は不要であるので、ステップS5に移行する。
【0050】
図14では、搬送元の荷物収納棚13が前ラック2a側で搬送先の荷物収納棚13が同じ前ラック2a側である場合を示している。また、図15では、搬送元の荷物収納棚13が前ラック2a側で搬送先の荷物収納棚13が異なる後ラック2b側である場合を示している。
【0051】
したがって、図14および図15の例では、前側後端基準センサ84aがアーム53を検出している場合は、ステップS4で、アーム53を後側後端基準センサ84bが検出するまで移動させる。これにより、図14(a)に示すように、アーム53が後ラック2bに近い前ラック2a用の後端基準位置に配置される。ステップS5では、移載装置29の搬送元の荷物収納棚13への到着を待つ。搬送元の荷物収納棚13に到達するとステップS6に移行する。ステップS6では、図14(b)および図15(a)に示すようにアーム53を開状態で搬送元の荷物収納棚13に所定距離進出させる。このときコンベア部32は駆動していない。ステップS7では、開状態のアーム53を閉状態にして荷物Wを挟持する。このとき、隙間検出センサ73によりアーム53が荷物Wを挟持したことを確認すると、閉動作を終了する。荷物Wを挟持すると、ステップS8に移行する。
【0052】
ステップS8では、アーム53の退入を開始する。このとき、アーム53は、進出時と同じ所定距離だけ退入する。ステップS9では、アーム53の退入開始後に直ちにコンベア部32を移載装置29に引き込む方向に正転させる。ここで、コンベア部32の正転は、搬送先の荷物収納棚13に接近する方向の回転であり、逆転は離反する方向の回転である。
【0053】
ステップS10では、搬入側の第1荷はみセンサ97aまたは第2荷はみセンサ97bが荷物Wを検出した後にその第1荷はみセンサ97aまたは第2荷はみセンサ97bが荷物Wを検出しなくなったか、つまり、搬入側の荷はみセンサを荷物Wが通過したか否かを判断する。図14および図15の例では、第1荷はみセンサ97aを荷物Wが通過したか否かを判断する。第1荷はみセンサ97aまたは第2荷はみセンサ97bを荷物Wが通過していないと判断すると、ステップS10に戻る。したがって、第1荷はみセンサ97aまたは第2荷はみセンサ97bが荷物Wを検出している(オンしている)と、スタッカクレーン3の移動は禁止される。なお、移動途中に第1荷はみセンサ97aまたは第2荷はみセンサ97bが荷物Wを検出すると、スタッカクレーン3は緊急停止する。
【0054】
第1荷はみセンサ97aまたは第2荷はみセンサ97bを荷物Wが通過したと判断すると、ステップS10からステップS11に移行する。ステップS11では、搬入側の第1荷はみセンサ97a又は第2荷はみセンサ97bが荷物Wを検出しなくなった後、搬入側の第1位置決めセンサ98a又は第2位置決めセンサ98bも荷物Wを検出しなくなったか否かを判断する。図14および図15の例では、第1位置決めセンサ98aが荷物Wを検出しなくなったか否かを判断する。荷物Wを検出するまでステップS11に戻り、荷物Wを検出しなくなる、ステップS12に移行する。
ステップS12では、台車本体23および昇降台27の搬送先の荷物収納棚13への移動を開始する。これにより、荷物Wが後端基準に配置されるのを待つことなくスタッカクレーン3を搬送先の荷物収納棚に移動させることができ、搬送時間を短縮することができる。
【0055】
ステップS16では、アーム53を所定距離に退入させる。具体的には、前側後端基準センサ84aまたは後側後端基準センサ84bがオンするのを待つ。図14(c)および図15(b)では、アーム53が所定距離退入したことを、図14及び図15に示す後側後端基準センサ84bの出力により確認する。
【0056】
アーム53が後端基準に配置されたと判断すると、ステップS17に移行し、アーム53およびコンベア部32を停止し、ステップS18に移行する。このとき、通常は、荷物Wの後端が第1位置決めセンサ98aまたは第2位置決めセンサ98bにより検出される。しかし、何らかのトラブルにより、第1位置決めセンサ98aまたは第2位置決めセンサ98bが荷物Wの後端を検出しなかった場合は、アーム53を開いてコンベア部32を動作させる。そして、第1位置決めセンサ98aまたは第2位置決めセンサ98bが荷物Wの後端を検出するまで荷物Wを再度移動させ、荷物Wを後端基準に配置すればよい。ステップS18では、搬送先の荷物収納棚13が搬入元の荷物収納棚13と同じ側にあるか否かを判断する。図15に示したように同じ側にない場合、ステップS19に移行し、図12に示す配置動作を行い、ステップS20に移行する。搬送先の荷物収納棚13が搬入元の荷物収納棚13と同じ側にある場合は、ステップS18からステップS20に移行する。
【0057】
図12に示す配置動作は、搬送中に搬送先に応じた後端基準位置にアーム53および荷物Wを配置して、後端基準でアーム53が荷物Wを把持できるようにするための動作である。
具体的には、図12のステップS31では、アーム53を開く。ステップS32では、アーム53の進出を開始する。ステップS33では、コンベア部32の逆転を開始し、荷物Wを搬送先の後端基準位置に移動させる。逆転は、前述したように搬送先の荷物収納棚13から離反する方向のコンベア部32の搬送方向である。ステップS34では、逆転側の第1位置決めセンサ98aまたは第2位置決めセンサ98bによって荷物Wが検出されて荷物Wが後端基準に配置されるのを待つ。図15では、第1位置決めセンサ98aに荷物Wが検出されるのを待つ。第1位置決めセンサ98aまたは第2位置決めセンサ98bが荷物Wを検出するとステップS35に移行し、コンベア部32を停止する。これにより荷物Wが後端基準に配置される。ステップS36では、アーム53が搬送先と逆側の後端基準位置に配置されるのを待つ。具体的には、搬送先から離反した前側後端基準センサ84aまたは後側後端基準センサ84bがアーム53を検出するのを待つ。これにより、アーム53が所定距離退入する。図15では、前側後端基準センサ84aがオンするのを待つ。
【0058】
前側後端基準センサ84aまたは後側後端基準センサ84bがアーム53を検出してオンすると、ステップS37に移行してアーム53を停止させる。これにより、図15(c)に示すように、アーム53が搬送先から離れた後端基準位置に配置されるとともに、荷物Wが搬送先に対して後端基準に配置される。ステップS38では、アーム53を閉じて荷物Wを把持してメインルーチンに戻る。
【0059】
ステップS18では、荷物Wおよびアーム53を搬送先の荷物収納棚13に近い位置に寄せる図13に示す寄せ動作を行う。
具体的には、図13のステップS41で荷物Wを把持した状態でアーム53の進出を開始する。ステップS42では、アーム53の進出開始と同時にコンベア部32の正転駆動を開始してアーム53と同期して搬送先の荷物収納棚13に接近する方向に荷物Wを移動させる。ステップS43では、スタッカクレーン3が搬送先に到着して停止したか否かを判断する。搬送先で停止していない判断するとステップS44に移行する。ステップS44では、搬送先に接近した側の第1位置決めセンサ98aまたは第2位置決めセンサ98bが荷物Wを検出したか否かを判断する。荷物Wを搬送先に接近した第1位置決めセンサ98aまたは第2位置決めセンサ98bが検出するとステップS45に移行し、アーム53およびコンベア部32を停止させる。この状態を図14(d)および図15(d)に示す。
【0060】
ステップS45でアーム53及びコンベア部32を停止させるとステップS46に移行し、スタッカクレーン3の搬送先での停止を待つ。一方、荷物Wが搬送先に接近した側の第1位置決めセンサ98aまたは第2位置決めセンサ98bが荷物Wを検出しないと、ステップS43に戻る。ステップS46でスタッカクレーン3が搬送先で停止したと判断すると、ステップS47に移行し、コンベア部32の正転を再開するとともに、アーム53を所定距離のうちの残りの距離を進出させる。メインルーチンに戻る。
一方、ステップS43でスタッカクレーン3が搬送先に到着して停止したと判断すると、ステップS43からステップS50に移行する。ステップS50では、ステップS44と同様に搬送先に接近した側の第1位置決めセンサ98aまたは第2位置決めセンサ98bが荷物Wを検出したか否かを判断する。荷物Wを検出するとステップS50からステップS45に移行する。この場合は、スタッカクレーン3の到着と荷物の寄せ動作終了とが同時であるので、アーム53及びコンベア部32は一旦停止させる。しかし、次のステップS46での判断が「YES」となるため、直ちにステップS47に移行する。
【0061】
また、ステップS50で荷物Wを検出していない場合はステップS51に移行する。この場合は、荷物Wが荷物を下ろす側の端部に到着する前にスタッカクレーン3が搬送先に到着して停止している。このため、ステップS51では、ステップS45のようにアーム53およびコンベア部32を停止させることなく、停止をキャンセルしてアーム53をそのまま所定距離進出させるとともにコンベア部32を正転駆動し続ける。
【0062】
すなわち、この寄せ動作では、スタッカクレーン3による搬送終了が早いか寄せ動作による搬送先に接近した位置への到達が早いかを判断する。そして、搬送終了が早い場合は、移載装置の搬送先に接近した位置でアーム53およびコンベア部32を止めることなく寄せ動作に続けて荷物Wを搬送先の荷物収納棚13に移載している。また、搬送終了が寄せ動作より遅い場合には、コンベア部32およびアーム53を一旦止める。そして、搬送が終了すると、アーム53を所定距離の残りの距離だけ進出させ、コンベア部32の正転を開始する。
【0063】
寄せ動作が終了すると、ステップS21に移行する。ステップS21では、アーム53が所定距離進出して荷物Wが搬送先の荷物収納棚13に載置されるのを待つ。図14(e)および図15(e)に示すように、荷物Wが荷物収納棚13に載置されると、ステップS22に移行する。ステップS22ではコンベア部32を停止させる。ステップS23では、アーム53を開く。ステップS24では、アーム53を所定距離退入させて移載動作を終了する。これにより、アーム53は搬送先の後端基準位置に配置され、スタッカクレーン3は、次の搬送指令による動作を行う。
【0064】
(7)特徴
(A)物品搬送装置としてのスタッカクレーン3は、移載方向の第1側である前側と前側と逆の第2側である後側とに配置されかつ搬送方向に沿って間隔を隔てて配置された前ラック2aおよび後ラック2bの複数の荷物収納棚13の間で物品としての荷物Wを出し入れする装置である。スタッカクレーン3は、移載装置29と、走行装置である走行台車22と、クレーン制御部81と、を備えている。移載装置29は、前側の第1端部と、後側の第2端部と、を有する荷物載置領域31aを有する。移載装置29は、前側の荷物収納棚13および後側の荷物収納棚13に荷物Wを移載可能である。走行台車22は、移載装置29が搭載され、搬送方向に沿って複数の荷物収納棚13に走行可能である。クレーン制御部81は移載装置29および走行台車22を制御する。クレーン制御部81は、移載方向把握手段81dと、所定距離移動手段81bと、配置動作手段81eと、寄せ動作手段81fと、を有する。移載方向把握手段81dは、荷物Wの次の荷物収納棚13での移載方向が前側か後側かを把握する。所定距離移動手段81bは、前側の移載位置からの物品の移載と、後側の移載位置からの荷物Wの移載と、において、荷物Wの移載方向の長さにかかわらず荷物Wを所定距離だけ移動させるように移載装置29を動作させる。配置動作手段81eは、移載方向把握手段81dによって把握された次の移載位置での移載方向の端部と逆側の端部を基準として荷物Wを配置するように移載装置29を動作させる。寄せ動作手段81fは、荷物収納棚13で荷物Wを積み込むと、次の荷物収納棚13への停止前に、把握された移載方向に応じて、荷物Wを下ろす側への荷物Wの移動を移載装置29に開始させる。また、寄せ動作手段81fは、逆側の端部から荷物Wの移動を移載装置29に開始させ、次の移載位置の移載方向の端部で荷物Wの移動を停止させる。
このスタッカクレーン3では、次の荷物収納棚13の移載方向が前側または後側のいずれの側にあるかを把握する。荷物Wが移載装置29に積み込まれると、走行台車22が走行している間に把握された荷物Wを下ろす側に荷物Wを移載装置29内で寄せる。ここでは、次の荷物収納棚13がいずれの側にあるかを把握し、走行台車22の走行中に把握した側に荷物Wを寄せることができる。このため、荷物Wを移載するときには下ろす側に荷物Wを配置することができる。したがって、荷物収納棚13までの移載距離が短くなり、荷物Wの次の荷物収納棚13への搬送時間を短縮できる。
また、例えば、搬送先の荷物収納棚13が搬送元の荷物収納棚13と異なる側にある場合、配置動作手段81eにより次の荷物収納棚13の逆側の端部を基準に、つまり後端基準に荷物Wが配置されるので、移載装置29が所定距離の移動により荷物Wをいずれの側に移載しても、荷物収納棚13で荷物Wの端部を整列させることができる。しかも、逆側の端部を基準に配置された荷物Wが荷物Wを下ろす側に寄せられる。このように、移載装置29は所定距離の移動により荷物Wを荷物収納棚13との間で出し入れできるため、移載制御を簡素化でき、かつ荷物Wの搬送時間を短縮できる。
【0065】
(B)移載装置29は、第1端部と第2端部とに配置され、荷物Wを第1端部または第2端部に位置決めするための第1位置決めセンサ98aおよび第2位置決めセンサ98bをさらに有し、配置動作手段81eおよび寄せ動作手段81fは、第1位置決めセンサ98aおよび第2位置決めセンサ98bの出力に基づいて移載装置29を動作させる。
この場合には、荷物Wを第1端部および第2端部に位置決めするのに用いられる第1位置決めセンサ98aおよび第2位置決めセンサ98bにより配置動作において荷物Wを移載側と逆側の後端基準に配置することができる。また、寄せ動作において荷物Wを、荷物Wを下ろす側に配置できる。このため、センサ検出に基づく簡単な制御で寄せ動作と配置動作とを行うことができる。
【0066】
(C)クレーン制御部81は、前側(または後側)の荷物収納棚13から荷物Wを荷物載置領域31aに積み込むとき、所定距離移動手段81bで荷物Wを所定距離移動させ、移動後に第2端部(または第2端部)に配置され第2位置決めセンサ98b(または第1位置決めセンサ98a)が荷物Wを検出していないとき移載装置29を動作させ、第2位置決めセンサ98b(または第1位置決めセンサ98a)が検出するまで荷物Wを再度移動させる。
この場合には、何らかのトラブルにより、所定距離の移動した荷物Wを第1位置決めセンサ98aまたは第2位置決めセンサ98bが検出しない場合でも、第1位置決めセンサ98aまたは第2位置決めセンサ98bを用いることにより荷物Wを後端基準で配置できる。このため、所定距離の移動により荷物Wが後端基準に配置されない場合でも、逆側への配置動作と、荷物Wを下ろす側への荷物Wの寄せ動作とに使用される第1位置決めセンサ98aまたは第2位置決めセンサ98bを用いて荷物Wを後端基準に配置できる。
【0067】
(D)移載装置29は、荷物載置領域31aを有する装置本体31と、装置本体31に設けられ、荷物Wを挟持して移載位置に移載可能なクランプ部33と、荷物Wを荷物載置領域31aで移載方向に移動可能なコンベア部32と、を有し、配置動作手段81eは、荷物載置領域31a内の第1端部または第2端部までの荷物Wの配置動作をコンベア部32で行う。配置動作手段81eは、クランプ部33を所定距離移動させてクランプ部33を後端基準に配置し、配置後にクランプ部33で物品を挟持する。これにより、クランプ部33の所定距離の移動によりクランプ部33による掴み替えを行うことなく、配置動作を行えるので、簡単な動作で迅速に配置動作を行える。
【0068】
(E)クレーン制御部81は、走行台車22が次の荷物収納棚13まで走行するのと、寄せ動作手段81fにより荷物Wが荷物Wを下ろす側の端部で停止するのと、のいずれが早いかを判断する停止判断手段81gをさらに有している。寄せ動作手段81fは、停止判断手段81gが走行台車22の停止が早いと判断すると、荷物Wを下ろす側の端部での停止を取り消す。
この場合には、寄せ動作が終わっていない場合に、すでに次の走行台車22が荷物収納棚13に到達しているときには、寄せ動作が終わると停止することなくそのまま次の荷物収納棚13に荷物Wが移載される。このため、荷物Wの搬送時間をさらに短縮できる。
【0069】
(F)停止判断手段81gは、走行台車22が停止したときに、寄せ動作手段81fにより荷物Wを下ろす側の端部で荷物Wが停止していないと、走行台車22の停止が早いと判断してもよい。
この場合には、走行台車22が停止した場合に、寄せ動作が終了していないときだけ走行台車22の停止が早いと判断しているので、走行台車22の停止と寄せ動作が同時に終了しても荷物Wは荷物Wを下ろす側の端部で確実に停止するとともに、寄せ動作の終了が走行台車22の停止より遅い場合だけ荷物Wが端部で停止しなくなる。
【0070】
(G)停止判断手段81gは、寄せ動作手段81fが動作する前に走行台車22の次の荷物収納棚13までの走行時間を把握する走行時間把握手段と、寄せ動作に要する寄せ動作時間を把握する寄せ動作時間把握手段と、をさらに有し、寄せ動作手段81fに要する寄せ時間が走行時間より長いとき、走行台車22の停止が早いと判断している。
この場合には、走行時間と寄せ動作時間とを比較して荷物Wの端部での停止の要否を判断できるので、さらに制御の精度が高くなり、搬送時間をさらに短縮できる。
【0071】
(H)移載装置29は、荷物載置領域31aの移載方向の外側に配置され、荷物Wを検出する物品センサとしての第1荷はみセンサ97aおよび第2荷はみセンサ97bをさらに有し、クレーン制御部81は、荷物Wを荷物収納棚13から荷物載置領域31aに荷積みするとき、第1荷はみセンサ97aまたは第2荷はみセンサ97bが荷物Wを検出した後に荷物Wを検出しなくなると、次の荷物収納棚13へ走行台車22を走行させてもよい。
この場合に、荷物Wが荷物載置領域31aの外側の第1荷はみセンサ97aまたは第2荷はみセンサ97bを通過すれば走行台車22が走行を開始できるので、移載装置29の動作中に走行台車22が次の荷物収納棚13に走行できる。このため、走行台車22の走行開始までの時間を短縮でき、さらに搬送時間を短縮できる。
【0072】
(8)他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態および変形例は必要に応じて任意に組合せ可能である。
【0073】
(a)前記実施形態では、スタッカクレーン3の次の移載位置である搬送先への到着と寄せ動作による搬送先側の端部(荷物を下ろす側の端部)への荷物Wの到着のいずれが早いかにより、荷物Wを搬送先側の端部で停止させるか否かを判断した。しかし、本発明はこれに限定されない。例えば、スタッカクレーン3が搬送元から搬送先に走行する走行時間を把握するとともに、移載装置29内での寄せ動作に要する寄せ動作時間を比較し、走行時間が短いとスタッカクレーン3が先に到着すると判断してもよい。この場合、搬送先が搬送元と逆側の場合に行われる配置動作に要する時間も寄せ動作に必要で時間として加味するのが好ましい。
【0074】
(b)前記実施形態では、制御を簡素化するために、後端基準に配置された荷物Wをアーム53が所定距離進出および退入して荷物を移載している、しかし、本発明はこれに限定されず、荷物の移載方向の長さを把握できれば、寄せ動作は搬送元と搬送先とが同じ側にあるときだけ行えばよい。荷物の長さの把握する方法としては、予め搬送指令に荷物の長さを含ませ、搬送指令により荷物の長さを把握してもよい。また、搬送元側にある荷物センサとしての第1荷はみセンサ97aまたは第2荷はみセンサ97bの通過時間を計測して荷物の長さを把握してよい。異なる側に移載する場合、搬送元で後端基準に配置された荷物Wは搬送先では前端基準に配置されている。このため、荷物の長さがわかれば、そのままにして、アーム53だけを搬送先の後端基準となる位置関係に荷物に対して移動させて荷物Wを把持すればよい。この場合の移載距離は、寄せ動作でスタッカクレーン3が搬送先に到着するまで停止した荷物Wを移載する残り距離と同じである。
【0075】
(c)前記実施形態では、物品搬送装置として二次元的に前後に荷物収納棚13を配置したスタッカクレーン3を例に本発明を説明した。しかし、本発明はこれに限定されず、搬送経路の両側の移載位置に物品を搬送して移載するすべての物品搬送装置に本発明を適用できる。例えば、移載位置が一次元的に配置された物品搬送装置にも本発明を適用できる。
【0076】
(d)前記実施形態では、荷積み動作および配置動作等のクランプ部33の動作の際に前側後端基準センサ84aおよび後側後端基準センサ84bを用いてアーム53を搬送先に対して後端基準に配置したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ロータリエンコーダ92の出力によりアーム53を後端基準に配置してもよい。
【0077】
(e)前記実施形態では、第1移動装置としてのコンベア部32としてベルトコンベアを開示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、コンベア部は、駆動ローラコンベアやフリーローラコンベアでもよい。
【0078】
(f)前記実施形態では、第2移動装置としての第1アーム53aおよび第2アーム53bに、第1中間アーム部54aおよび第2中間アーム部54bと第1先端アーム部55aおよび第2先端アーム部55bとを開示した。しかし、第2移動装置の形態は、前記実施形態に限定されず、第1中間アーム部54aおよび第2中間アーム部54bで荷物Wを把持するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明に係る物品搬送装置は、例えば、自動倉庫のスタッカクレーン等に広く適用可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 自動倉庫
2a 前ラック
2b 後ラック
3 スタッカクレーン
5 走行通路
7 第1支柱
9 第2支柱
11 荷物支承部
13 荷物収納棚
17 入庫ステーション
19 出庫ステーション
21a 上ガイドレール
21b 下ガイドレール
22 走行台車
23 台車本体
23a 左走行車輪
23b 右走行車輪
23c 前ガイドローラ
23d 後ガイドローラ
25a 左マスト
25b 右マスト
27 昇降台
29 移載装置
31 装置本体
31a 荷物載置領域
32 コンベア部
32a 第1コンベアユニット
32b 第2コンベアユニット
33 クランプ部
34a リニアガイド
34b リニアガイド
35 コンベアフレーム
37 搬送ベルト
39 駆動プーリ
40 駆動軸
41 従動プーリ
42 コンベア駆動部
51a 第1ベース部材
51b 第2ベース部材
51c 第1折れ曲がり部
51d 第2折れ曲がり部
51e 第1スリット
51f 第2スリット
53 アーム
53a 第1アーム
53b 第2アーム
54a 第1中間アーム部
54b 第2中間アーム部
54c 第1開口
54d 第2開口
55a 第1先端アーム部
55b 第2先端アーム部
56a 第1連動機構
56b 第2連動機構
58a 第1連動プーリ
58b 第2連動プーリ
59a 第1連動ベルト
59b 第2連動ベルト
60 開閉駆動部
61 移動駆動部
62 ボールねじ軸
62a 右ねじ部
62b 左ねじ部
63a 第1リニア軸受
63b 第2リニア軸受
64a 第1ナット部材
64b 第2ナット部材
65a 第1中間リニアガイド
65b 第2中間リニアガイド
66a 第1先端リニアガイド
66b 第2先端リニアガイド
67a 第1中間リニア軸受
67b 第2中間リニア軸受
68a 第1先端リニア軸受
68b 第2先端リニア軸受
69 スプライン軸
70a ナット本体
70b 取付フランジ
71 ガイド軸
72 コイルばね
73 隙間検出センサ
74 ナット
75 検出子
76a 第1駆動プーリ
76b 第2駆動プーリ
77a 第1従動プーリ
77b 第2従動プーリ
78a 第1移動ベルト
78b 第2移動ベルト
79a 第1テンションプーリ
79b 第2テンションプーリ
80a 第1取付金具
80b 第2取付金具
81 クレーン制御部
81a 位置決め手段
81b 所定距離移動手段
81c 走行規制手段
81d 移載方向把握手段
81e 配置動作手段
81f 寄せ動作手段
81g 停止判断手段
83 検出突起
84a 前側後端基準センサ
84b 後側後端基準センサ
87 走行用モータ
88 ロータリエンコーダ
89 昇降用モータ
90 ロータリエンコーダ
91 アーム駆動モータ
92 ロータリエンコーダ
93 アーム開閉モータ
94 アーム閉検出部
95 ロータリエンコーダ
96 コンベア駆動モータ
97a 第1荷はみセンサ
97b 第2荷はみセンサ
98a 第1位置決めセンサ
98b 第2位置決めセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移載方向の第1側と前記第1側と逆の第2側とに配置されかつ搬送方向に沿って間隔を隔てて配置された複数の移載位置の間で物品を出し入れする物品搬送装置であって、
前記第1側の前記移載位置および前記第2側の前記移載位置に前記物品を移載可能であり、前記第1側の第1端部と、前記第2側の第2端部と、を有する物品載置領域を有する移載装置と、
前記移載装置が搭載され、前記搬送方向に沿って前記複数の移載位置に走行可能な走行装置と、
前記移載装置および前記走行装置を制御する搬送制御部と、を備え、
前記搬送制御部は、
前記物品の次の移載位置での前記移載方向が前記第1側か前記第2側かを把握する移載方向把握手段と、
前記第1側の前記移載位置からの前記物品の移載と、前記第2側の前記移載位置からの前記物品の移載と、において、前記物品の前記移載方向の長さにかかわらず前記物品を所定距離だけ移動させるように前記移載装置を動作させる所定距離移動手段と、
前記移載方向把握手段によって把握された前記次の移載位置での移載方向の端部と逆側の端部を基準として前記物品を配置するように前記移載装置を動作させる配置動作手段と、
前記移載位置で前記物品を積み込むと、前記次の移載位置への停止前に、把握された前記移載方向に応じて、前記物品を下ろす側への前記物品の移動を前記移載装置に開始させる寄せ動作手段と、を有し、
前記寄せ動作手段は、前記逆側の端部から前記物品の移動を前記移載装置に開始させ、前記次の移載位置の移載方向の端部で前記物品の移動を停止させる、物品搬送装置。
【請求項2】
前記移載装置は、前記第1端部と前記第2端部とに配置され、前記物品を前記第1端部または前記第2端部に位置決めするための物品位置決めセンサをさらに有し、
前記配置動作手段および前記寄せ動作手段は、前記物品位置決めセンサの出力に基づいて前記移載装置を動作させる、請求項1に記載の物品搬送装置。
【請求項3】
前記搬送制御部は、前記第1側の前記移載位置から前記物品を前記物品載置領域に積み込むとき、前記所定距離移動手段で前記物品を所定距離移動させ、移動後に前記第2端部に配置された物品位置決めセンサが前記物品を検出していないとき、前記移載装置を動作させ、前記物品位置決めセンサか検出するまで前記物品を再度移動させ、
前記第2側の移載位置から前記物品を前記物品載置領域に積み込むとき、前記所定距離移動手段で前記物品を所定距離移動させ、移動後に前記第1端部に配置された物品位置決めセンサが前記物品を検出していないとき、前記移載装置を動作させ、前記物品位置決めセンサが検出するまで前記物品を再度移動させる、請求項2に記載の物品搬送装置。
【請求項4】
前記移載装置は、
前記物品載置領域を有する装置本体と、
前記装置本体に設けられ、前記物品を挟持して前記移載位置に移載可能なクランプ部と、
前記物品を前記物品載置領域で前記移載方向に移動可能なコンベア部と、を有し、
前記配置動作手段は、
前記物品載置領域内の前記第1端部または前記第2端部までの前記物品の配置動作を前記コンベア部で行い、
前記クランプ部を所定距離移動させて前記クランプ部を後端基準に配置し、配置後に前記クランプ部で前記物品を挟持する、請求項1から3のいずれか1項に記載の物品搬送装置。
【請求項5】
前記搬送制御部は、前記走行装置が前記次の移載位置に走行するのと、前記寄せ動作手段により前記物品が前記物品を下ろす側の端部に停止するのと、のいずれが早いかを判断する停止判断手段をさらに有し、
前記寄せ動作手段は、前記停止判断手段が前記走行装置の停止が早いと判断すると、前記物品を下ろし側の端部での停止を取り消す、請求項1から4のいずれか1項に記載の物品搬送装置。
【請求項6】
前記停止判断手段は、前記走行装置が停止したときに、前記寄せ動作手段により前記物品を下ろす側の端部で前記物品が停止していないと、前記走行装置の停止が早いと判断する、請求項5に記載の項に記載の物品搬送装置。
【請求項7】
前記停止判断手段は、前記寄せ動作手段が動作する前に前記走行装置の前記次の移載装置までの走行時間を把握する走行時間把握手段と、前記寄せ動作手段に要する寄せ動作時間を把握する寄せ動作時間把握手段と、をさらに有し、前記寄せ動作時間が、前記走行時間より長いとき、前記走行装置の停止が早いと判断する、請求項5に記載の物品搬送装置。
【請求項8】
前記移載装置は、前記物品載置領域の前記移載方向の外側に配置され、前記物品を検出する物品センサをさらに有し、
前記搬送制御部は、前記物品を前記移載位置から前記物品載置領域に荷積みするとき、前記物品センサが前記物品を検出した後に前記物品を検出しなくなると、前記次の移載位置へ前記走行装置を走行させる、請求項1から7のいずれか1項に記載の物品搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−71929(P2012−71929A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−217238(P2010−217238)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】