説明

物品搬送設備

【課題】閉鎖体の設置コストを抑えることができながら閉鎖体を設置しても荷受台を物品搬送体の近くに設置できる物品搬送設備を提供する。
【解決手段】走行経路に沿って走行して複数の荷受台Dの間で物品を搬送する物品搬送体1と、走行経路とその外部とを仕切る状態で設置され、且つ、物品搬送体1にて荷受台Dとの間で物品を移載するための物品出し入れ口15を備えた侵入防止体14と、物品出し入れ口15を閉鎖する閉鎖位置と物品出し入れ口15を開放する開放位置とに移動自在な閉鎖体23と、閉鎖体23を移動操作する移動操作手段24とを備え、閉鎖体23を、走行経路の長手方向に沿って移動自在に構成し、移動操作手段24を、閉鎖体23の下端部を支持して閉鎖体を閉鎖位置と開放位置とに移動操作するべく床面上に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行経路に沿って走行して複数の荷受台の間で物品を搬送する物品搬送体と、前記走行経路とその外部とを仕切る状態で設置され、且つ、前記物品搬送体にて前記荷受台との間で物品を移載するための物品出し入れ口を備えた侵入防止体と、前記物品出し入れ口を閉鎖する閉鎖位置と前記物品出し入れ口を開放する開放位置とに移動自在な閉鎖体と、前記閉鎖体を前記閉鎖位置と前記開放位置とに移動操作する移動操作手段とを備えて構成されている物品搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる物品搬送設備は、物品搬送体にて荷受台に物品を搬送し、その荷受台に搬送された物品に対して作業者や作業ロボットにてピッキング作業や移載等の作業を行うものである。また、走行経路とその外部とを仕切る状態で侵入防止体を設け、その侵入防止体に形成された物品出し入れ口にその物品出し入れ口を開放する開放状態と閉鎖する閉鎖状態とに切り換え自在な閉鎖体を設けることで、作業者が外部から走行経路に侵入することを防止し、物品搬送体が作業者に接触することを未然に防いでいる。
そして、このような物品搬送設備の従来例として、閉鎖体が上下方向に移動自在に構成され、閉鎖体を移動操作する移動操作手段が閉鎖体の上端部を吊り下げ支持しており、移動操作手段が門型の支持用枠体に支持されているものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−292308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来の物品搬送設備では、門型の支持用枠体にて移動操作手段を支持し、移動操作手段にて閉鎖体の上端部を吊り下げ支持して、移動操作体にて閉鎖体を上下方向に移動操作するものであるため、移動操作手段を支持するための門型の支持用枠体を設けなければならず、閉鎖体を設置する場合の閉鎖体の製造コストが高くなっていた。
また、門型の支持用枠体を荷受台と走行経路を走行する物品搬送体との間に設けるために、物品搬送体と荷受台との間に支持用枠体が介在することになり、その分だけ走行経路の横幅方向で荷受台は走行経路から離れた位置に設置されていた。これにより、物品搬送体にフォーク式の移載装置を設けた場合ではその移載装置のフォークリーチを長くする必要があり、耐荷重性を確保するために移載装置の剛性を高くしなければならず、この点でもコスト高となっていた。特に、門型の支持用枠体は、移動操作手段及びこれにて吊り下げ支持される閉鎖体を支持可能に強固に構成するために支持用枠体を構成する枠部材が太くなる場合があり、このように枠部材が太い支持用枠体を物品搬送体と荷受台との間に設けた場合は、走行経路の横幅方向に荷受台を走行経路から大きく離して設けなければならない。
【0005】
本発明は、上記実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、閉鎖体の設置コストを抑えることができながら閉鎖体を設置しても荷受台を物品搬送体の近くに設置できる物品搬送設備を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる物品搬送設備は、走行経路に沿って走行して複数の荷受台の間で物品を搬送する物品搬送体と、前記走行経路とその外部とを仕切る状態で設置され、且つ、前記物品搬送体にて前記荷受台との間で物品を移載するための物品出し入れ口を備えた侵入防止体と、前記物品出し入れ口を閉鎖する閉鎖位置と前記物品出し入れ口を開放する開放位置とに移動自在な閉鎖体と、前記閉鎖体を前記閉鎖位置と前記開放位置とに移動操作する移動操作手段とを備えて構成されているものであって、その第1特徴構成は、
前記閉鎖体が、前記走行経路の長手方向に沿って移動自在に構成され、前記移動操作手段が、前記閉鎖体の下端部を支持して前記閉鎖体を前記閉鎖位置と前記開放位置とに移動操作するべく床面上に設けられている点にある。
【0007】
すなわち、移動操作手段を床面上に支持し、移動操作手段にて閉鎖体の下端部を支持して、移動操作体にて閉鎖体を走行経路に沿って移動操作するものであり、移動操作手段は床面にて支持されているため、移動操作手段を支持するための部材を設ける必要がないので、製造コストを抑えることができる。また、走行経路と荷受台との間に移動操作手段を支持するための部材を設ける必要がないので、荷受台を走行経路に近づけて設けることができる。
従って、閉鎖体の設置コストを抑えることができながら閉鎖体を設置しても荷受台を物品搬送体の近くに設置できる物品搬送設備を提供することができるに至った。
【0008】
本発明にかかる物品搬送設備の第2特徴構成は、第1特徴構成において、前記移動操作手段が、前記走行経路の長手方向に沿って設けられたエアー式のロッドレスシリンダにて構成されている点にある。
【0009】
すなわち、移動操作手段をロッドレスシリンダにて構成することにより、ロッドの移動スペースを確保する必要がないため、移動操作手段をコンパクトに構成することができる。また、製造現場等、物品搬送設備が設けられる場所では一般に圧縮空気供給ラインから圧縮空気を容易に取得することができるため、この圧縮空気を用いてエアー式のロッドレスシリンダを駆動させることができる。従って、ロッドレスシリンダ専用の駆動手段を設ける必要がないため、移動操作装置の設置コストを抑えることができる。
【0010】
本発明にかかる物品搬送設備の第3特徴構成は、第1又は第2特徴構成において、前記移動操作手段が、前記走行経路の横幅方向での外方側の部分にて前記閉鎖体を支持し、且つ、前記走行経路の横幅方向での内方側の部分が前記物品搬送体の下方空間に位置するように設けられている点にある。
【0011】
すなわち、移動操作手段が、走行経路の横幅方向での荷受台が位置する外方側の部分にて閉鎖体を支持しているため、移動操作手段は、閉鎖体から荷受台が位置する側には突出しない又は大きく突出せず、閉鎖体から物品搬送体が位置する側には大きく突出する状態で設けられる。
つまり、移動操作手段が閉鎖体から荷受台が位置する側には突出しない又は大きく突出しないため、荷受台の脚部の存在により荷受台の下方空間に移動操作手段を設置することができない場合でも、荷受台を閉鎖体の近くに設けることができるので、荷受台と走行経路との間隔を狭くすることができる。また、移動操作手段は閉鎖体から物品搬送体が位置する側に大きく突出するが、走行経路の横幅方向での内方側の部分は物品搬送体の下方空間に位置するように設けられているため、物品搬送体の走行の邪魔にならないように移動操作手段を設けることができる。
【0012】
本発明にかかる物品搬送設備の第4特徴構成は、第1〜第3特徴構成のいずれか1つにおいて、前記移動操作手段が、前記閉鎖体を載置支持するように構成されている点にある。
【0013】
すなわち、移動操作手段にて閉鎖体を安定よく支持することができるとともに、閉鎖体を移動操作手段における走行経路の横幅方向に沿う方向の幅内に収めた状態で設けて移動操作手段に閉鎖体を加えた走行経路の横幅方向での大きさをコンパクトに構成することができる。
【0014】
本発明にかかる物品搬送設備の第5特徴構成は、第1〜第4特徴構成のいずれか1つにおいて、前記荷受台が、前記走行経路の長手方向に沿って間隔を隔てた状態で一対並設され、前記侵入防止体が、前記物品出し入れ口を前記一対の荷受台の夫々に対応して前記走行経路の長手方向に間隔を隔てた状態で一対備えて構成され、前記一対の物品出し入れ口のうちの前記長手方向の一方側の前記物品出し入れ口に対して設けられた閉鎖体が、前記物品出し入れ口の全体を閉じる全閉鎖位置とこの全閉鎖位置より前記長手方向の一方側の全開放位置とに移動自在な1枚の板状体にて片開き式に構成され、前記一対の物品出し入れ口のうちの前記長手方向の他方側の物品出し入れ口に対して設けられた閉鎖体が、当該物品出し入れ口における前記長手方向の一方側の部分を閉じる部分閉鎖位置とこの部分閉鎖位置より前記長手方向で一方側に位置する部分開放位置とに移動自在な一方側板状体、及び、当該物品出し入れ口における前記長手方向の他方側の部分を閉じる部分閉鎖位置とこの部分閉鎖位置より前記長手方向で他方側に位置する部分開放位置とに移動自在な他方側板状体の2枚の板状体にて両開き式に構成されている点にある。
【0015】
すなわち、板状体を横幅方向の一方側に移動させて一方側の物品出し入れ口を開放し、一方側板状体を横幅方向の一方側に移動させ且つ他方側板状体を横幅方向の他方側に移動させて他方側の物品出し入れ口を開放する。つまり、一対の物品出し入れ口を開放する場合は、板状体を、他方側の物品出し入れ口が位置しない一方側に移動させ、他方側板状体を、一方側の物品出し入れ口が位置しない他方側に移動させるため、一方側の物品出し入れ口と他方側の物品出し入れ口との間に移動させるのは一方側板状体のみである。よって、一対の物品出し入れ口の双方を開放させたとしても板状体同士が重ならないため、一方側の物品出し入れ口を閉鎖する閉鎖体と他方側の物品出し入れ口を閉鎖する閉鎖体とを厚み方向にずらして設ける必要がなく、走行経路の横幅方向での厚みを薄くすることができる。
そして、他方側の物品出し入れ口は、一方側板状体と他方側板状体とで閉鎖しているため、一枚の板状体にて物品出し入れ口の全体を閉鎖した場合に比べて短時間で物品出し入れ口を開閉することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】物品搬送設備の平面図
【図2】物品出し入れ口とその周囲を示す平面図
【図3】侵入防止用開閉扉を示す側面図
【図4】監視領域を示す平面図
【図5】制御ブロック図
【図6】開閉制御のフローチャート
【図7】別実施形態における侵入防止用開閉扉とスタッカークレーンとを示す正面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、物品搬送設備には、直線状に設定された走行経路Sに沿って走行して物品を搬送する物品搬送体としてのスタッカークレーン1と、物品収納用の収納部2aが縦横に並設された物品収納棚2と、ピッキング作業を行う物品を載置支持するための複数の固定台3と、固定台3の物品に対してピッキング作業を行う作業装置としてのピッキング装置4と、物品搬出入用の搬出入用台車5とが設けられている。
【0018】
複数の収納部2aの夫々と固定台3と搬出入用台車5との夫々は、荷受台Dとして設けられており、荷受台Dの夫々は、スタッカークレーン1との間で物品が移載されてその移載された物品を載置支持するように構成されている。そして、スタッカークレーン1によって収納部2aと固定台3との間や収納部2aと搬出入用台車5との間で物品を搬送するようにして、スタッカークレーン1にて複数の荷受台Dの間で物品が搬送されるように構成されている。ちなみに、物品は、複数の品物を載置したパレットや品物を載置しないパレットである。
【0019】
走行経路Sの横側方に隣接して監視領域Eが複数設定されており、これら複数の監視領域Eの外部であり且つ走行経路Sの外部が非監視領域Nに設定されている。そして、複数の監視領域Eの夫々に、走行経路Sの長手方向に沿って間隔を隔てた状態で並設された一対の固定台3と一台のピッキング装置4とが設置され、非監視領域Nに物品収納棚2と搬出入用台車5が設置されている。このように、荷受台Dは、一部を監視領域Eに設置する形態で複数設置されており、監視領域E外に設置された荷受台Dが、物品収納棚2の収納部2a又は搬出入用台車5にて構成されている。
【0020】
物品収納棚2は、走行経路Sの横幅方向の両側に走行経路Sに隣接する状態で一対設けられている。そして、固定台3は、走行経路Sの横幅方向の一方側に走行経路Sと隣接する状態で設けられ、搬出入用台車5は、走行経路Sの横幅方向の他方側に走行経路Sと隣接する状態で設けられている。そして、走行経路Sの横幅方向の一方側に設けられた物品収納棚2と監視領域E及びそれに備えられた固定台3とは、走行経路Sの長手方向に沿って並ぶ状態で設けられている。また、走行経路Sの横幅方向の他方側に設けられた物品収納棚2と搬出入用台車5とも同様に、走行経路Sの長手方向に沿って並ぶ状態で設けられている。ちなみに、物品収納棚2及び固定台3は、床面F上に固設されており、搬出入用台車5は、スタッカークレーン1の走行経路Sと壁Wとの間に形成された移動経路に沿って移動自在に設けられている。
【0021】
スタッカークレーン1は、走行経路Sをその長手方向に沿って走行する走行台車8と、この走行台車8に立設された支柱9に沿って昇降移動自在な昇降台10とを備えて構成されている。昇降台10には、荷受台Dと自己との間で物品を移載する物品移載用の移載装置11とを備えて構成されている。
【0022】
そして、搬出入用台車5にて搬送されてきた物品をスタッカークレーン1にて搬出入用台車5から収納部2aに搬送することにより物品が搬入され、収納部2aに収納されている物品をスタッカークレーン1にて搬出入用台車5に搬送することにより物品が搬出される。また、スタッカークレーン1にて収納部2aから固定台3に搬送し、その固定台3に載置支持された物品に対してピッキング装置4にてピッキング作業(デパレタイズ)が行われる。ピッキング装置4によるピッキング作業が終了した物品は、スタッカークレーン1にて固定台3から収納部2aに搬送される。ちなみに、ピッキング作業により固定台3に載置支持されたパレットから降ろされた商品は、出入庫コンベア12上の別のパレットに載せられ、この別のパレットと共に出入庫コンベア12にて搬出される。
【0023】
図1に示すように、作業者が走行経路Sの外部から走行経路Sに侵入することを防止する侵入防止体14が、走行経路Sとその外部とを仕切る状態で設置されており、この侵入防止体14は、走行経路Sの周囲における物品収納棚2が設けられていない部分に設置されている。また、棚用仕切り体13が、非監視領域Nにおいて物品収納棚2を設置した領域部分とそれ以外の領域部分とを仕切る状態で設置されており、棚用仕切り体13と侵入防止体14とは接続箇所Cにて接続されている。
【0024】
図1及び図2に示すように、侵入防止体14には、固定台3に対応する部分にスタッカークレーン1にて荷受台Dとの間で物品を移載するための物品出し入れ口15が備えられており、スタッカークレーン1にて固定台3との間で物品を移載するときは物品出し入れ口15を通して行われる。そして、物品出し入れ口15に対して、物品出し入れ口15を開放する開放状態と閉鎖する閉鎖状態とに切換自在な侵入防止用開閉扉16が設けられている。
【0025】
作業者が非監視領域Nから監視領域Eに進入することを防止する仕切り体17が、監視領域Eと非監視領域Nとを仕切るように監視領域Eを囲う状態で設置されており、この仕切り体17には、非監視領域Nから監視領域Eに作業者が進入するための作業者出入口18が備えられている。また、作業者出入口18に対して、作業者出入口18を開放する開放状態と閉鎖する閉鎖状態とに切換自在な進入用開閉扉19が設けられている。
【0026】
侵入防止体14と壁Wとの間に搬出入用台車5が移動するための台車出入り口20が形成されている。そして、台車出入り口20に対して、台車出入り口20を開放する開放状態と閉鎖する閉鎖状態とに切換自在な移動用開閉扉21が設けられている。
【0027】
次に、これら侵入防止体14、侵入防止用開閉扉16、仕切り体17及び進入用開閉扉19の夫々について説明を加える。
【0028】
〔侵入防止体〕
図1に示すように、侵入防止体14は、監視領域Eと走行経路Sとを仕切る部分に、スタッカークレーン1と固定台3との間で物品を移載するための物品出し入れ口15が備えられている。侵入防止体14における監視領域Eと走行経路Sとを仕切る部分は、走行経路Sの長手方向に沿って設置されており、物品出し入れ口15は走行経路Sの横幅方向に向けて開口している。そして、侵入防止体14の物品出し入れ口15に入り込む状態で固定台3が設けられている。ちなみに、物品出し入れ口15は、物品収納棚2の収納部2aや搬出入用台車5に対しては設けられておらず、複数の荷受台Dの一部である固定台3に対してのみ設けられている。
【0029】
侵入防止体14は、走行経路Sの周囲のうち、走行経路Sの外部から走行経路Sに作業者が侵入する虞がある箇所に部分的に設置されている。つまり、例えば、物品収納棚2や棚用仕切り体13が設置されていることや壁Wが存在することにより、作業者が走行経路Sの外部から走行経路Sに侵入する虞がない又は侵入する虞が少ない箇所には、侵入防止体14は設置されていない。
【0030】
〔侵入防止用開閉扉〕
図2及び図3に示すように、侵入防止用開閉扉16は、物品出し入れ口15を閉鎖する閉鎖位置(図4(b)参照)と物品出し入れ口15を開放する開放位置(図4(a)参照)とに走行経路Sの長手方向に沿って移動自在な閉鎖体としての扉本体23と、扉本体23を閉鎖位置と開放位置とに移動操作する移動操作手段24とを備えて、移動操作手段24にて扉本体23がスライド操作されるスライド式の扉に構成されている。この侵入防止用開閉扉16は、侵入防止体14の走行経路S側に隣接して位置しており、走行経路Sに設置されている。
【0031】
そして、スタッカークレーン1にて固定台3との間で物品を移載するときは、移動操作手段24にて扉本体23を開放位置に移動させて侵入防止用開閉扉16を開放状態とし、スタッカークレーン1にて固定台3との間で物品を移載しないときは、移動操作手段24にて扉本体23を閉鎖位置に移動させて侵入防止用開閉扉16を閉鎖状態とするように構成されている。
【0032】
図3に示すように、扉本体23は、格子状に形成した網部分とその周囲を囲う枠部分とを備えて板状に形成されている。尚、棚用仕切り体13や侵入防止体14や仕切り体17や進入用開閉扉19も扉本体23と同様に、網部分と枠部分とを備えて構成されている。ちなみに、網部分及び枠部分は、合成樹脂材や金属材等にて構成されている。また、棚用仕切り体13、侵入防止体14、侵入防止用開閉扉16、仕切り体17及び進入用開閉扉19の夫々は、床面Fからの高さが2000mm程度の高さとなるように形成されている。
【0033】
移動操作手段24は、扉本体23の下端部を支持して扉本体23を閉鎖位置と開放位置とに走行経路Sの長手方向に沿って移動操作するべく床面F上に設けられている。そして、移動操作手段24は、扉本体23を連結支持する移動体24aを走行経路Sの長手方向に沿って案内移動させるエアー式のロッドレスシリンダにて構成されており、走行経路Sの長手方向に沿って設けられている。尚、扉本体23の上端部を走行経路Sの長手方向に沿って案内する案内体を設けてもよい。
【0034】
また、移動操作手段24は、移動体24aの上面における横幅方向中央部に扉本体23の下端部を連結して扉本体23を載置支持するように構成されている。説明を加えると、扉本体23の横幅方向の厚みは、移動操作手段24の横幅方向の厚みより薄く形成されており、移動操作手段24は、扉本体23が移動操作手段24の横幅内に収まるように扉本体23を載置支持するように構成されている。そして、移動操作手段24は、移動体24aが走行経路Sに沿って移動するに伴って、扉本体23が走行経路Sに沿って移動するように構成されている。尚、扉本体23の横幅方向や移動操作手段24の横幅方向は、走行経路Sの横幅方向と同じ方向である。
【0035】
物品出し入れ口15は、監視領域Eに設置された一対の固定台3の夫々に対応して走行経路Sの長手方向に間隔を隔てた状態で一対備えられている。ちなみに、一対の固定台3は、その夫々に載置支持された物品を1台のピッキング装置4にてピッキング作業が行えるように走行経路Sの長手方向に狭い間隔を隔てた状態で設けられているため、一対の固定台3の夫々に対応して備えられた物品出し入れ口15も走行経路Sの長手方向に狭い間隔を隔てた状態で一対備えられている。この一対の物品出し入れ口15の間隔は、物品出し入れ口15の横幅より小さな間隔となっている。
そして、これら一対の物品出し入れ口15のうちの走行経路Sの長手方向の一方側(物品収納棚2が位置する側)の物品出し入れ口15に対して設けられた侵入防止用開閉扉16の扉本体23が片開き式に構成され、走行経路の長手方向の他方側(物品収納棚2が位置する側とは反対側)の物品出し入れ口15に対して設けられた侵入防止用開閉扉16の扉本体23が両開き式に構成されている。
【0036】
片開き式の扉本体23は、物品出し入れ口15の全体を閉じる全閉鎖位置とこの全閉鎖位置より長手方向の一方側の全開放位置とに移動自在な全体板状体23aの1枚の板状体にて構成されている。また、両開き式の扉本体23は、物品出し入れ口15における走行経路Sの長手方向の一方側部分を閉じる部分閉鎖位置とこの部分閉鎖位置より走行経路Sの長手方向で一方側に位置する部分開放位置とに移動自在な一方側板状体23b、及び、物品出し入れ口15における走行経路Sの長手方向の他方側部分を閉じる部分閉鎖位置とこの部分閉鎖位置より走行経路Sの長手方向で他方側に位置する部分開放位置とに移動自在な他方側板状体23cの2枚の板状体にて構成されている。
【0037】
一対の物品出し入れ口15は、物品出し入れ口15の横幅が同じ大きさ又は略同じ大きさとなるように形成されており、一方側板状体23b及び他方側板状体23cは、その横幅が全体板状体23aの横幅の約半分の大きさに形成されている。そして、全体板状体23a、一方側板状体23b及び他方側板状体23cは、走行経路Sの長手方向に一列に並ぶ状態で設けられており、一方側板状体23bを部分閉鎖位置に移動させたときに、一方側板状体23bが全閉鎖位置に位置する全体板状体23aと走行経路の横幅方向に重ならないように、侵入防止体14における一対の物品出し入れ口15の間に位置する部分の横幅が一方側板状体23bの横幅より大きく形成されている。
【0038】
〔仕切り体〕
図1に示すように、仕切り体17は、非監視領域Nと監視領域Eとを仕切るように監視領域Eの周囲に部分的に設置されている。つまり、監視領域Eの周囲における走行経路Sと隣接する箇所には仕切り体17が設置されておらず、平面視で矩形状の監視領域Eに対してコ字状の仕切り体17が設置されている。そして、物品出し入れ口15から離れた箇所から監視領域Eに進入するように、仕切り体17における走行経路Sから離れる側の端部に作業者出入口18が形成されている。
【0039】
〔進入用開閉扉〕
進入用開閉扉19は、作業者の操作にて作業者出入口18を閉鎖する閉鎖位置(図4(a)参照)と作業者出入口18を開放する開放位置(図4(b)参照)とに揺動操作可能に構成されており、作業者にて揺動操作される揺動式の扉に構成されている。
【0040】
そして、進入用開閉扉19に対して、進入用開閉扉19の開閉状態を検出する扉状態検出手段25(図5参照)が設けられている。この扉状態検出手段25は、進入用開閉扉19が開放姿勢から閉鎖姿勢に切り換えられることでオン操作されるリミットスイッチ等の接触式センサにて構成されており、進入用開閉扉19が閉鎖姿勢から開き操作されたこと、並びに、進入用開閉扉19が閉鎖姿勢に閉じ操作されたことを検出するように構成されている。そして、この扉開閉状態検出手段25は、進入用開閉扉19が閉鎖姿勢から開き操作されたことにより、固定台3の設置箇所よりも物品出し入れ口15から離れた箇所(進入用開閉扉19が設置された箇所)において作業者の存在を検出して、非監視領域Nから監視領域Eへの作業者の進入を検出する進入検出手段Kとして機能する。
【0041】
人為操作式の侵入防止用開閉扉開き操作具26は、非監視領域Nに位置した作業者にて操作自在で非監視領域Nに設けられており、監視領域Eに位置する作業者は操作できない。従って、監視領域Eに位置する作業者は、作業者出入口18から非監視領域Nに移動して監視領域Eから退出しない限り侵入防止用開閉扉開き操作具26を操作できないようになっている。
【0042】
物品搬送設備には、スタッカークレーン1の作動や移動操作手段24の作動を制御する制御手段Hが設けられている。次に、この制御手段Hについて説明する。ちなみに、図6は、侵入防止用開閉扉16の開閉制御のフローチャートである。
【0043】
〔制御手段〕
図6に示すように、制御手段Hは、固定台3に載置された物品に対してピッキング装置4がピッキング作業を行う間は侵入防止用開閉扉16を閉鎖状態とし、固定台3に載置された物品に対してピッキング装置4がピッキング作業を行わない間は侵入防止用開閉扉16を開放状態とするように、侵入防止用開閉扉16の開閉作動を制御するように構成されている。
つまり、固定台3に載置された物品に対してピッキング装置4にてピッキング作業を行う場合は、その固定台3に対して設けられている侵入防止用開閉扉16(具体的には、例えば、図1における左側の監視領域Eの左側に設置された固定台3であれば、左側の監視領域Eの左側の物品出し入れ口15を閉鎖する侵入防止用開閉扉16)を閉鎖状態として、ピッキング作業中に物品や品物が走行経路Sに落下することを侵入防止用開閉扉16で防止し、固定台3に載置された物品に対してピッキング装置4にてピッキング作業を行わない場合は、その固定台3に対して設けられている侵入防止用開閉扉16を開放状態として、スタッカークレーン1による物品収納棚2と固定台3との間での物品の搬送を可能とするようになっている。
ちなみに、このピッキング作業に基づく侵入防止用開閉扉16の開放状態から閉鎖状態への切り換えは、対応して設けられた固定台3に対するピッキング作業が開始するに伴って行われ、侵入防止用開閉扉16の閉鎖状態から開放状態への切り換えは、対応して設けられた固定台3に対するピッキング作業が終了するに伴って行われる。
【0044】
また、制御手段Hは、進入検出手段Kにて非監視領域Nから監視領域Eに作業者が進入したことが検出される(扉状態検出手段25にて進入用開閉扉19が閉鎖状態から開放状態側に揺動操作されたことが検出される)に伴って、侵入防止用開閉扉16を閉鎖状態とし、扉状態検出手段25にて進入用開閉扉19の閉鎖状態が検出されている状態において侵入防止用開閉扉開き操作具26が操作されるに伴って侵入防止用開閉扉16を開放状態にするように、侵入防止用開閉扉16の作動を制御するように構成されている。
つまり、作業者がピッキング装置4のメンテナンス作業等のために非監視領域Nから監視領域Eに進入した場合は、その作業者が進入した監視領域Eに対して設けられている侵入防止用開閉扉16(具体的には、例えば、図1における左側の監視領域Eであれば、左側の監視領域Eの一対の物品出し入れ口15を閉鎖する一対の侵入防止用開閉扉16)を閉鎖状態として、作業者が物品出し入れ口15を通って走行経路Sに侵入することを防止し、ピッキング装置4のメンテナンス作業等を終えた作業者が監視領域Eから非監視領域Nに退出した場合は、進入用開閉扉19を閉鎖状態とし且つ進入防止用開閉扉開き操作具26を操作し、その作業者が退出した監視領域Eに対して設けられている侵入防止用開閉扉16を開放状態として、スタッカークレーン1による物品収納棚2と固定台3との間での物品の搬送を可能とするようになっている。
【0045】
また、制御手段Hは、上位コントローラからの搬出入指令に基づいて、搬出入用台車5と収納部2aとの間で物品を搬送する搬出入用搬送制御を実行するべく、スタッカークレーン1の作動を制御するように構成されている。
また、上位コントローラからのピッキング指令に基づいて、収納棚2bと侵入防止用開閉扉16が開放状態の固定台3との間で物品を搬送するピッキング用搬送制御を実行するべく、スタッカークレーン1の作動を制御するように構成されている。つまり、ピッキング用搬送制御では、複数の固定台3のうち、載置された物品に対してピッキング装置4にてピッキング作業が行われている固定台3に対するスタッカークレーン1による物品の移載を禁止し且つピッキング対象の当該固定台3以外の固定台3に対するスタッカークレーン1による物品の移載を許容するように、スタッカークレーン1の作動を制御するように構成されている。
【0046】
要するに、監視領域Eに作業者が進入している、又は、固定台3に載置された物品に対してピッキング装置4にてピッキング作業を行っている場合は、侵入防止用開閉扉16を閉鎖状態とし、監視領域Eに作業者が進入しておらず且つ固定台3に載置された物品に対してピッキング装置4にてピッキング作業を行っていない場合は、侵入防止用開閉扉16を開放状態とするように構成されている。そして、固定台3の設置箇所よりも物品出し入れ口15から離れて設けられた進入用開閉扉19が閉鎖状態から開放状態側への操作されることにより、非監視領域Nから監視領域Eへの作業者の進入を検出するものであるから、監視領域Eに進入した作業者が物品出し入れ口15に移動するまでに侵入防止用開閉扉16を閉鎖状態に切り換えることができ、作業者が走行経路Sに侵入することを適確に防止することができる。
【0047】
〔別実施形態〕
(1) 上記実施形態では、移動操作手段24を、扉本体23が移動操作手段24の横幅内に収まるように閉鎖体23を載置支持するように構成したが、図7に示すように、移動操作手段24を、移動体24aにおける走行経路の横幅方向での外方側の部分にて閉鎖体23を支持して、閉鎖体23を横幅方向の外方側に突出する片持ち状態で支持するように構成してもよい。このように移動操作手段24にて閉鎖体23を支持することにより、荷受台Dを閉鎖体23により近づけた状態で設置することができる。
また、上述したように移動操作手段24にて閉鎖体23を支持することにより、閉鎖体23に対して移動操作手段24の物品搬送体1が位置する側に大きく突出するが、移動操作手段24における走行経路Sの横幅方向での内方側の部分を物品搬送体1(移載装置11)の下方空間に位置するように設けることにより、移動操作手段24を物品搬送体1に干渉しないように設けることができる。
【0048】
(2) 上記実施形態では、移動操作手段24を、エアー式のロッドレスシリンダにて構成したが、移動操作手段24を、油圧式のロッドレスシリンダ等の他の方式のロッドレスシリンダや複動式シリンダにて構成してもよく、また、電動モータにて回転駆動されるピニオンとラックとで構成してもよい。
【0049】
(3) 上記実施形態では、侵入防止体14を、1つの監視領域Eに対して一対の物品出し入れ口15を備えて構成し、一方側の物品出し入れ口15に対して設けられた閉鎖体23を片開き式に構成し、他方側の物品出し入れ口15に対して設けられた閉鎖体23を両開き式に構成したが、一対の物品出し入れ口15に対して設けられた閉鎖体23の両方を、片開き式又は両開き式に構成してもよい。
また、侵入防止体14を、1つの監視領域Eに対して1つ又は3つ以上の物品出し入れ口15を備えて構成してもよい。
また、上記実施形態では、1つの荷受台Dに対して1つの物品出し入れ口15を備えたが、2つ又は3つ以上の荷受台Dに対して1つの物品出し入れ口15を備えてもよい。
【0050】
(4) 上記実施形態では、閉鎖体23を、扉本体にて構成して板状に形成したが、1本又は走行経路Sの長手方向に並ぶ複数本の棒状体にて構成して、この1本又は複数本の棒状体を移動操作手段にて物品出し入れ口15に位置する閉鎖位置と物品出し入れ口15の横側方に退避する開放位置とに移動操作するように構成してもよい。
【0051】
(5) 物品保管設備に移動操作手段24及び閉鎖体23を門型の支持用枠体に支持する形態のものが設置されている場合は、床面上に設置した移動操作手段24にて閉鎖体23を支持する本願発明の形態のものに変更して、荷受台Dを物品搬送体1に近づけるようにしてもよく、また、物品保管設備に閉鎖体23及び移動操作手段24が設けられていない場合は、本願発明の閉鎖体23及び移動操作手段24を後付けで設置して、作業者が走行経路に侵入することを防止するようにしてもよい。このように閉鎖体23及び移動操作手段24を後付けする場合、移動操作手段24及び閉鎖体23を支持するための部材を設ける必要がないので、荷受台Dと物品搬送体1との走行経路Sの横幅方向での間隔が狭い場合でも設置し易い。
【符号の説明】
【0052】
1 物品搬送体
14 侵入防止体
15 物品出し入れ口
23 閉鎖体
23a 板状体
23b 一方側板状体
23c 他方側板状体
24 移動操作手段
D 荷受台
S 走行経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行経路に沿って走行して複数の荷受台の間で物品を搬送する物品搬送体と、
前記走行経路とその外部とを仕切る状態で設置され、且つ、前記物品搬送体にて前記荷受台との間で物品を移載するための物品出し入れ口を備えた侵入防止体と、
前記物品出し入れ口を閉鎖する閉鎖位置と前記物品出し入れ口を開放する開放位置とに移動自在な閉鎖体と、
前記閉鎖体を前記閉鎖位置と前記開放位置とに移動操作する移動操作手段とを備えて構成されている物品搬送設備であって、
前記閉鎖体が、前記走行経路の長手方向に沿って移動自在に構成され、
前記移動操作手段が、前記閉鎖体の下端部を支持して前記閉鎖体を前記閉鎖位置と前記開放位置とに移動操作するべく床面上に設けられている物品搬送設備。
【請求項2】
前記移動操作手段が、前記走行経路の長手方向に沿って設けられたエアー式のロッドレスシリンダにて構成されている請求項1記載の物品搬送設備。
【請求項3】
前記移動操作手段が、前記走行経路の横幅方向での外方側の部分にて前記閉鎖体を支持し、且つ、前記走行経路の横幅方向での内方側の部分が前記物品搬送体の下方空間に位置するように設けられている請求項1又は2記載の物品搬送設備。
【請求項4】
前記移動操作手段が、前記閉鎖体を載置支持するように構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の物品搬送設備。
【請求項5】
前記荷受台が、前記走行経路の長手方向に沿って間隔を隔てた状態で一対並設され、
前記侵入防止体が、前記物品出し入れ口を前記一対の荷受台の夫々に対応して前記走行経路の長手方向に間隔を隔てた状態で一対備えて構成され、
前記一対の物品出し入れ口のうちの前記長手方向の一方側の前記物品出し入れ口に対して設けられた閉鎖体が、前記物品出し入れ口の全体を閉じる全閉鎖位置とこの全閉鎖位置より前記長手方向の一方側の全開放位置とに移動自在な1枚の板状体にて片開き式に構成され、
前記一対の物品出し入れ口のうちの前記長手方向の他方側の物品出し入れ口に対して設けられた閉鎖体が、当該物品出し入れ口における前記長手方向の一方側の部分を閉じる部分閉鎖位置とこの部分閉鎖位置より前記長手方向で一方側に位置する部分開放位置とに移動自在な一方側板状体、及び、当該物品出し入れ口における前記長手方向の他方側の部分を閉じる部分閉鎖位置とこの部分閉鎖位置より前記長手方向で他方側に位置する部分開放位置とに移動自在な他方側板状体の2枚の板状体にて両開き式に構成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の物品搬送設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−42437(P2011−42437A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−190408(P2009−190408)
【出願日】平成21年8月19日(2009.8.19)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】