説明

物品管理装置

専用のキーやタグを必要とせず、物品の形状、サイズなどに関係なく収納状況を正確に把握し、貴重品等の物品の保管、管理ができる物品管理装置を提供する。多列多段に設けられた複数個の挿入部に、引き出し収納可能に設けられた複数個の小箱10と、複数個の小箱10を挿入部に差し込んだ状態で、引き出し不能に拘束する複数個のロック機構30と、各ロック機構30の解錠施錠の制御を行う管理制御部70を備える。この管理制御部70は、アクセス可能な人物か否か、アクセス可能な小箱か否かの認証作業を実行し、小箱からの物品の取出し格納に関する使用履歴を記録する機能を備える。小箱10に物品を収納した状態でロック機構30で施錠すると物品を安全に保管でき、かつ解錠することにより何時でも取出せる。また、小箱を複数個同時に管理できるので、多数の物品の管理を安全かつ便利に行える。さらに、
使用履歴は保安情報として利用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、種々の物品、例えば鍵、電子カード、拳銃、宝石、有価証券、重要書類などの貴重品、あるいは、薬品類などの管理に注意を要する重要物品などを収納保管するのに好適な物品管理装置に関する。
【背景技術】
従来の物品管理には、つぎのようなものがある。
たとえば、多数の会社や店舖、事務所などが入居しているテナントビルにおいては、各テナントの鍵を預かり、警備員室に設置したキーボックスなどに保管しておくのが普通である。また、警備保障会社やビルメンテナンス会社に委託管理する場合も、キーボックスで保管されている。さらに、病院等で使用する薬品も同様の構造の薬品保管箱で管理されている。
従来技術のキーボックスや薬品保管箱での管理には、誤用や盗用を防止するため、管理すべき貴重品等に鍵またはタグを取付けるものがある(例えば、日本特許第3188605号公報)。
ところが、この従来例では管理する貴重品によっては鍵またはタグの取付けが困難であったり、鍵およびタグの紛失、破損の恐れがある。また、鍵やタグを取付けにくい薬品では、ヒューマンエラーによる誤投薬が生じやすく社会問題化している。
一方、保安上の問題を考えると、誰が何を持ち出し、また何時格納したかという使用履歴を把握できることが望ましいが、従来の管理装置では、そのような対処は不可能であった。そこで、常駐の管理人を置き、人為的に鍵などの出し入れ状況を把握するようにしていた。具体的には目視確認で鍵等の出し入れを確認していたが、貸出し後の誤った返却や紛失などの事故が生じて、充分に管理しきれず、人件費等の費用負担が増大していた。
【発明の開示】
(発明の目的)
本発明は専用のキーまたはタグを必要とせず、確実に物品の貸出し、保管、返却等の管理ができ、誤用や盗用を防止できる物品管理装置を提供することを目的とする。また本発明は、使用履歴を何時でも閲覧できるようにして保安上も有用な物品管理装置を提供することを目的とする。さらに本発明は、常駐の管理人を置かなくても、管理人がいる場合と同等以上の使い勝手に優れた物品管理装置を提供することを目的とする。また、本発明は、装置内の電気回路に異常が生じても、任意に貴重品等の物品の出し入れが可能な物品管理装置を提供することを目的とする。
(発明の構成)
上記目的を達成するため、本発明によればつぎの物品管理装置が提供される。
第1発明の物品管理装置は、挿入棚と、該挿入棚に設けられた複数個の外箱に、引き出し収納可能に設けられた複数個の小箱と、前記小箱を前記外箱に差し込んだ状態で、引き出し不能に拘束する各外箱に設けられたロック機構と、前記各小箱が、それぞれに対応する外箱に挿入されているか否かを検知する小箱開閉検知手段と、前記小箱に物品が収納されているか否かを判断する物品有無検知手段と、前記小箱内の物品の取出操作と前記小箱への物品の格納操作を人為的に入力する入力器と、前記小箱への物品の収納取出し状況と使用履歴を表示する表示器と、管理制御部とからなり、該管理制御部が、入力器の入力信号に応じて、アクセス可能な人物に対し、かつ、アクセス可能な小箱に対して、対応する小箱のロック機構を解錠したり施錠したりする貸出制御および返却制御を行い、前記物品の貸出し返却の後に、その事実を記録する履歴記録制御を実行することを特徴とする。
第2発明の物品管理装置は、第1発明において、前記複数個の各外箱が、前記挿入棚に、個別に着脱自在に取り付けられており、前記各外箱に、前記ロック機構と前記小箱開閉検知手段と前記物品有無検知手段が取り付けられていることを特徴とする。
第3発明の物品管理装置は、第1発明において、前記貸出制御が、全ての小箱が閉状態であることを確認する閉状態確認ステップと、アクセス可能な人物か否かを確認する人物認証ステップと、アクセス可能な小箱か否かを確認する小箱認証ステップと、対応する小箱のロック機構を解錠する開操作と、物品の取出し確認ステップと、物品が取出された小箱のロック機構を施錠する閉操作と、物品の貸出し事実を記録する履歴記録を行うものであることを特徴とする。
第4発明の物品管理装置は、第1発明において、前記返却制御が、全ての小箱が閉状態であることを確認する閉状態確認ステップと、アクセス可能な人物か否かを確認する人物認証ステップと、アクセス可能な小箱か否かを確認する小箱認証ステップと、対応する小箱のロック機構を解錠する開操作と、物品の返却確認ステップと、物品が返却された小箱のロック機構を施錠する閉操作と、物品の返却事実を記録する履歴記録を行うものであることを特徴とする。
第5発明の物品管理装置は、第3または第4発明において、前記人物認証ステップと前記小箱認証ステップとの間に、前記小箱開閉検知手段の機能が正常か否かを検知し、正常でない場合は、異常事実を履歴記録すると共に、対応する小箱を管理対象から除外することを特徴とする。
第6発明の物品管理装置は、第3発明において、前記取出し確認ステップと前記閉操作との間に、小箱の閉じ忘れがあったとき警報する、小箱閉じ忘れ防止制御を実行することを特徴とする。
第7発明の物品管理装置は、第4発明において、前記返却確認と前記閉操作との間に、小箱の閉じ忘れがあったとき警報する小箱閉じ忘れ防止制御を実行することを特徴とする。
第8発明の物品管理装置は、第6発明において、前記小箱閉じ忘れ制御が、貸出制御の場合に、取出し確認された後、予め設定した待機時間が過ぎても、小箱の収納を検知しないときに、警報を出すことを特徴とする。
第9発明の物品管理装置は、第7発明において、前記小箱閉じ忘れ制御が、返却制御の場合に、返却確認された後、予め設定された待機時間内に小箱の収納を検知しないときに、警報を出すことを特徴とする。
第10発明の物品管理装置は、第3発明において、前記貸出制御の実行後、設定時間内に取出した物品の返却があったか否かを判定し、物品の返却がなかったときは未返却事実を表示することを特徴とする。
第11発明の物品管理装置は、第1発明において、前記表示器と前記管理制御部の機能を監視する監視ステップと、前記監視ステップの結果が正常の場合に、主制御メニューを実行し、正常でない場合は警報制御を実行し、前記警報制御は、警報動作と前記小箱のロック解除を含むことを特徴とする。
第12発明の物品管理装置は、第1発明において、商用電源の供給有無を判断する商用電源判断ステップと、商用電源の供給があるときに、無停電電源装置への充電を行い、商用電源の供給が切れたとき、無停電電源装置より給電し、無停電電源装置による運転中は、電源保護機能を働かせ、該電源保護機能は、電圧の低下を検知し、しきい値以下に低下した場合は、警報し、かつ全ての小箱のロック機構を解錠し、その後に該無停電電源装置の給電を停止することを特徴とする。
【発明の効果】
第1発明によれば、貸出制御と返却制御の後に使用履歴が記録されるので、常駐の管理者が居なくても物品の貸出しや返却状況を確認できる。
第2発明によれば、外箱にロック機構と小箱開閉検知手段と物品有無検知手段を取付けてモジュール化しており、この各外箱を挿入棚に着脱自在に取付けることができるので、外箱毎に保守点検や取り替えを容易に行いうる。
第3発明によれば、閉状態確認ステップを入れているので、全ての小箱が閉状態でなければ、いずれの小箱も開けることができず、物品の誤った取出しを防止することができる。
第4発明によれば、閉状態確認ステップを入れているので、全ての小箱が閉状態でなければ、いずれの小箱も開けることができず、盗難や物品の誤った返却を防止することができる。
第5発明によれば、小箱開閉検知手段が正常でないときは、異常履歴を残したうえで、その小箱を管理対象から除外できるので、残りの正常な小箱を有効に使用に供することができる。
第6発明によれば、貸出制御の際に、物品を取出したが、使用者の不注意により小箱を閉め忘れたというとき、警報が発せられるので、小箱を忘れずに閉めることができ、貸出し管理を確実に行い、物品の紛失を未然に防止することができる。
第7発明によれば、返却制御の際に、物品を返却したが、使用者の不注意により小箱を閉め忘れたというとき、警報が発せられるので、小箱を忘れずに閉めることができ、物品の紛失を未然に防止することができる。
第8発明によれば、待機時間の経過後に警報を出すので、時間のみの管理で警報を確実に出すことができ、貸出し時の物品紛失を未然に防止できる。
第9発明によれば、待機時間の経過後に警報を出すので、時間のみの管理で警報を確実に出すことができ、返却時の物品紛失を未然に防止できる。
第10発明によれば、取出した物品を待機時間内に返却しない場合に、その事実を表示できるため、持出し者に督促することができる。
第11発明によれば、管理制御部と表示器の機能を監視し、正常な場合のみ主制御メニューを実行させ、正常でない場合は警報を出して保守を促すと共に小箱のロックを解除して、物品の閉じ込みを防止することができる。
第12発明によれば、商用電源の停電があったとき直ちに無停電電源装置が働くので、物品管理装置が機能停止になることはなく、無停電電源装置による運転後も電圧低下を監視して警報するので機能停止することはない。また、電圧がしきい値より低下したときも全ての小箱を解錠するので、物品が取出し不能になることはない。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の一実施形態に係る物品管理装置の斜視図である。
図2は、挿入棚4と外箱5と小箱10の斜視図である。
図3の(A)図は物品管理装置における挿入棚4と外箱5と小箱10の部分正面図、(B)図は(A)図の左側面図である。
図4は、外箱5と小箱10の平面図である。
図5は、外箱5と小箱10の正面図である。
図6の(A)図は小箱制御ユニットを省略した状態の外箱5と小箱10の側面図、同(B)図は小箱制御ユニットを取付けた状態の外箱5と小箱10の側面図である。
図7は、小箱制御ユニットの平面図である。
図8の(A)図は小箱制御ユニットの側面図、(B)図は同背面図である。
図9は、小箱10の引出し状態の説明図である。
図10は、各ロック機構の電気回路図である。
図11は、管理制御部のブロック図である。
図12は、本発明の他の実施形態に係る物品管理装置の正面図である。
図13は、本発明で用いる遠隔監視装置の説明図である。
図14は、物品貸出制御のフローチャートである。
図15は、物品返却制御のフローチャートである。
図16は、履歴記録制御のフローチャートである。
図17は、小箱閉じ忘れ防止制御のフローチャートである。
図18は、返却督促制御のフローチャートである。
図19は、機能チェック制御のフローチャートである。
図20は、停電対応制御のフローチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
(全体構成)
図1は本発明の一実施形態に係る物品管理装置1を示している。この物品管理装置1は、小箱収納区画2と制御区画3から構成されている。小箱収納区画2は後述する挿入棚4によって、多数の小箱10を多段多列に収納できるようにしたものである。図示の例では、1列目〜7列目の7列、A段〜Y段の25段のものであるが、これより多くても少なくてもよい。なお、符号1aで示す部位には列数を示す数字が表示されているが、この数字「1」〜「7」は裏面に設けた光源により点灯表示できるようになっている、また、符号1bで示す部位には段数を示すアルファベットが表示されているが、このアルファベット「A」〜「Y」も裏面に設けられた光源により点灯表示できるようになっている。なお、この表示方法は必須ではなく、前記制御区画3内に設けた適宜の表示器に表示させるようにしてもよい。また、両方の表示を兼用してもよい。
上記構成の物品管理装置1は、7列×25段で175個の小箱10を収納することができる。なお、7列Y段の小箱10は引き出した状態を示し、残りの小箱10は全て格納した状態を示している。
前記制御区画3の表面には、タッチパネル等の入力器77や各種の状態を表示する表示器78が設けられ、内部には物品管理装置の種々の機能を実行する管理制御部70が設けられている。
図2および図3に基づき、小箱収納区画2内の構造を説明する。
(挿入棚)
図2において、4aは前方の棚板、4bは後方の棚板であり、この2本の棚板で1段の挿入棚4が構成されている。そして、この挿入棚4は多段に設けられている。
各段の挿入棚4には、列数分の外箱5が取付けられるようになっている。各外箱5の前端部下面には差込み片5aが取付けられ、後端部下面には取付板5bが取付けられている。そして、挿入棚4の後方から外箱5を差込み、差込み片5aを前方の棚板4aに差込み、取付板5bを後方の棚板4bにビス等で取付けるようになっている。よって、ビス等を取り外せば、外箱5を挿入棚4から後方に引き抜くことも可能であり、交換や保守点検が容易に行えるようになっている。
この外箱5の後端部には、後述するロック機構30や小箱開閉検知スイッチ41、物品有無検知スイッチ42をモジュール化して搭載した取付板8が取付けられるようになっている。
そして、図2および図3(B)に示すように、この外箱5に前方から小箱10が挿入・引出し自在に挿入されるようになっている。
なお、図3(A)中、符号10を付した部分は、小箱10を挿入した状態を示しており、符号10が付していない部分は、小箱10が取出された状態を示している。
(外箱と小箱)
つぎに、図2および図4〜図6に基づき外箱5と小箱10の構成を説明する。
外箱5は、概ね上面が開放された略直方体状の箱であり、底板6と左右の側壁7とで構成されている。なお、各側壁7の上端縁7aは内側へ向うよう直角に折り曲げられている。この上端縁7aは後述する小箱10の挿入を案内する案内片でもある。
小箱10は上面が開放された略直方体状の箱であり、長方形の底板11と、前壁12、左右の側壁14とで構成されている。底板11の後端部は、後方に向かうほど立ち上がるように斜めに傾斜する傾斜部11bとなっている。左右の側壁14の一方には、後述するロック機構30のロッド32が突入される係合孔34が形成されている。また、他方の側壁14の後端部には、後述する小箱検知スイッチ41の押し片13が形成されている。
前壁12の中央部には人の指を引掛ける半円弧状の引掛け溝12aが形成されている。
この小箱10は合成樹脂で作成することが好ましく、その場合は、後述する電気部品からの漏洩電流が内部に届かなくなるので、小箱10内の物品の磁気消滅等の不具合を防止できる。
(小箱制御ユニット)
そして、各外箱5の後端部上面は、取付板8を介して、ロック機構30、小箱開閉検知スイッチ41、物品有無検知スイッチ42等の小箱制御ユニットが取付けられるようになっている。
図7および図8は、モジュール化された小箱制御ユニットを示している。つまり、8は取付板であり、外箱5の取付板5bと共に後方の棚板4bにビス等で着脱自在に取付けるようになっている。そして、この取付板8に、ソレノイド31、小箱開閉検知スイッチ41、接続コネクタ8eが取付けられている。また、取付板8の下面には第2取付板8bを介して物品有無検知スイッチ42が取付けられている。
さらに、図6に示すように、取付板8の上面には、前記板バネ15の連結部15cの取付台8dが取付けられている。
上記のように、取付板8によって、各種制御部品が一体的に取付けられているので、保守点検時には、取付板8ごと交換することで、容易に保守作業を行うことができる。
以下に各小箱制御ユニットを説明する。
(小箱開閉検知手段)
図4において、41は小箱開閉検知スイッチで、外箱5に取付板8を介して設置されている。その設置位置は、挿入部内に小箱10を挿入した状態で、小箱10の側壁14の後端部が接点を押してONとなる位置である。したがって、小箱10を引き出すと小箱開閉検知スイッチ41がOFFとなって、小箱10を引き出したことが分かるようになっている。
(物品有無検知手段)
図4〜図6において、15は板バネである。この板バネ15は、蓋部15aと傾斜部15bと連結部15cとからなる。蓋部15aは小箱10内に入る大きさの長方形部分である。傾斜部15bは、小箱11の傾斜部11bとほぼ同じ角度と長さの部材で、小箱11の傾斜部11bに重なることができる。そして、蓋部15aと連結部15cを接続している。傾斜部15bの途中からと連結部15cは幅細の部材で撓みやすくなっており、連結部15cの後端は、ビス16で外箱5の後端部の取付台8dにビス等で固定されている。
一方、外箱5の底板6には、小箱10の傾斜部11bの下面になる部分に、物品有無検知スイッチ42が傾斜して配置されている。この傾斜角度は板バネ15を定置した場合の傾斜部15bの傾斜角とほぼ同じである。したがって、小箱10内に何も収納しておらず、つまり空のとき、傾斜部15bが物品有無検知スイッチ42を押してONとなり、それ以外の状態(例えば、小箱10内に物品を収納していたり、小箱10を引き出した状態)ではOFFとなるようになっている。このようにして、小箱10内での物品の有無を検知することができる。
つぎに、物品有無検知手段の他の例を説明する。
前記物品有無検知手段は、物品の真偽判定する機能をもたせたものでもよい。あるいは、本実施形態では物品有無検知手段とは別に物品真偽判定手段を設けてもよい。ここにいう物品真偽判定手段とは、小箱10に格納された物品が本来格納されるべき物品であるか否かを判断するための手段であり、この判定によって、偽物と交換される事故を有効に防止することができる。以下のような構成例が例示できる。
例えば、小箱10の底板11の上面にシート状の歪ゲージ等の重量センサを置くと、重量センサで小箱10内に入れた物品の重量を検出することにより、物品が真正か偽物かを判定することができる。
また、小箱10の上方にカメラ68を設けておくと、カメラで撮影された画像をコンピュータで画像処理することによって、物品が真正か偽物かを判定することができる。
(ロック機構)
ロック機構30の一例を、図4に基づき説明する。
31はソレノイドで、外箱5に取付板8を介して設置されている。その設置位置は、小箱10を収納した状態の後方である。32はロッドで、スプリング33により伸長状態に付勢されている。この伸長状態で、ロッド32は小箱10の一方の側壁14の後端に形成された係合孔34に突入している。この状態では、小箱10はロック状態であり、引き出すことは不可能となっている。ソレノイド31に通電してロッド32を引き込め係合孔34との係合を外すと、小箱10は引き出し可能なアンロック状態となる。
つぎに、ロック機構30の他の例を説明する。
ロック機構30は、アンロック時に小箱10を少し引き出し方向に押し出す付勢機能を備えてもよい。この付勢機能としては、例えば、スプリング等を用いるとよく、スプリングによって、アンロック時に小箱10を少し引き出し方向に押し出すと、視覚的にアンロックされたことが分かる。このため、アンロックされた小箱10を表示するための表示灯(例えば、1aと1bなど)に頼らずとも、アンロックを確認できるので、前記表示灯を用いなくともよい。もちろん、表示灯を用いたほうが二重確認できるので、用いた方が利便性が高くなる。なお、スプリング等の外、どのような付勢手段を用いてもよい。
図10はロック機構30の電気回路図である。
本実施形態では、全ての小箱10が閉まっている状態からでないと、いずれの小箱10も引き出しができないように、ロック解除ができない構造としている。そのため、全ての外箱5にある多数の小箱開閉検知スイッチ41を直列に接続し、これに対し、各ロック機構30のソレノイド31を並列に接続した回路構成をとっている。上記回路構成であると、全ての小箱開閉検知スイッチ41がONしていないと、いずれのソレノイド31も作動することができないので、全閉状態からのみ小箱引出しを可能にできる。
ところが、前記小箱開閉検知スイッチ41が故障によりONしなくなると、全ての小箱10の開閉ができなくなるので、このような事態を回避するため、各小箱開閉検知スイッチ41にバイパス回路を介して開閉スイッチ43を取付けている。このため、故障した小箱開閉検知スイッチ41に対応する開閉スイッチ43を閉じると、正常な小箱開閉検知スイッチ41に対応する全ての小箱の開閉を可能にすることができる。
(小箱10の開閉と物品有無の検知動作)
図9は小箱10の引き出し格納状態を示している。上から1段目は物品が空の状態で小箱10を収納している状態、2段目は少し引き出した状態、3段目は完全に引き出して物品を収納した状態、4段目は物品を収納して小箱10を格納した状態である。
1段目に示す小箱10を格納している状態では、物品有無検知スイッチ42は傾斜部15bで押されてONしており、図6に示す小箱開閉検知スイッチ41も小箱10の後壁13で押されてONしている。2段目に示すように、小箱10を引き出すとき傾斜部15bは物品有無検知スイッチ42から離れる。この時、小箱10の傾斜部15bと後端部15cによって板バネ15は押し上げられるが、傾斜部15bと連結部15cが撓むので、無理なく板バネ15が押し上げられる。また、小箱開閉検知スイッチ41と物品有無検知スイッチ42はOFFとなる。3段目は、小箱10を完全に引き出した状態であり、この状態で、小箱10内に物品Mを入れたり、取出したりすることができる。そして、4段目に示すように、物品Mを収納した状態で小箱10を格納すると、板バネ15が物品Mの上面を押えた状態となる。したがって、板バネ15の傾斜部15bは物品有無検知スイッチ42から離れており、物品有無検知スイッチ42はOFFとなっている。
前記小箱開閉検知スイッチ41と物品有無検知スイッチ42のON−OFFによって判断できる事項は、つぎのとおりである。

以上のとおり、小箱開閉検知スイッチ41がONのときは、つまり小箱10内に物品が格納されているか否かを物品有無検知スイッチ42のON−OFFによって判断できることとなる。なお、小箱開閉検知スイッチ41がOFFのとき、つまり小箱10が少しでも引き出された状態では、物品有無検知スイッチ42にONの状態は発生しない。
(管理制御部)
つぎに、本発明の物品管理装置における管理制御部70を説明する。
図11に示すように、本発明における管理制御部70は、コンピュータ等の情報処理装置で構成されている。
判定部71はCPU等で構成され、入力信号に基づき必要な判断、演算を行い、出力信号を出す。
データ部72は、アクセス可能な人物か否かを判断するための人物認証データや、アクセス可能な小箱か否かを判断するための小箱特定データが格納されている。人物認証データとしては、社員番号や暗証番号などを例示でき、小箱特定データとしては、人物特定データとリンクさせた小箱固有の番号が例示できる。
制御プログラム格納部73には、本発明の物品管理制御を行うための、貸出制御プログラム100、返却制御プログラム200、履歴記録制御プログラム300、小箱閉じ忘れ防止制御プログラム400、返却督促制御プログラム500、機能チェック制御プログラム600、停電対応制御プログラム700などが格納されている。
上記の貸出制御と返却制御は、アクセス可能な小箱10を1個とする場合も、予め設定した2以上とする場合も、実行可能にプログラムされている。
メモリー部74は、小箱10への物品の出し入れや真偽等の使用履歴を書き込む記録部である。
75は後述する遠隔監視装置用のインタフェース部である。
77はテンキーなどの入力器で、人物認証データの入力や小箱10の特定データ等の入力に用いられる。
41,42は既述の小箱開閉検知スイッチと物品有無検知スイッチで、小箱10の開閉状態の検知信号と、小箱10内に物品が存在するか否かを判断する検知信号が送られる。
30は、小箱10の挿入状態で引出し不能に拘束しておく既述のロック機構で、判定部71からの制御信号(ロック信号、アンロック信号)により、ロック動作とアンロック動作が行われる。
表示器78には、物品管理装置1の表面に設けられた既述の小箱10の列数を示す「数字」1aや段数を示す「アルファベット」1b、その他の制御盤上の各種表示が含まれる。
(他の実施形態)
図12は、図1の物品管理装置1に小箱収納部のみを設けた物品管理装置1Aを連設したものである。管理制御部70がコンピュータで構成されていれば、一般に制御能力は充分であるので、物理的に物品管理装置1Aを連設していくだけで、物品管理個数を任意に増やすことができる。
図13は、遠隔監視装置の構成例である。図11に示すように、管理制御部70のインタフェース部75には遠隔監視装置81が接続されている。接続手段は電話回線その他の適宜の手段が用いられる。この遠隔監視装置81を用いると、図13に示すように遠隔地に設置した多数の物品管理装置1の使用履歴を閲覧することができる。図13の例ではテナントビルA,B,C…に1台ないし数台の物品管理装置1が設置され、情報センタービルZあるいは情報センターの役割を果すテナントビルに遠隔監視装置81が設置されている。この遠隔監視装置81と他のテナントビルの物品管理装置1との間は電話回線などの通信網で接続されている。遠隔監視装置81は、接続されている物品管理装置1のインタフェース部75を介してメモリー部74にアクセスできるので、そこに記録されている使用履歴を閲覧することができる。
この実施形態によれば、遠隔地にある多数の物品管理装置1を集中管理することができる。
(制御内容)
つぎに、前記管理制御部70で実行される各種制御内容を説明する。
(物品の貸出制御)
図14に示すように、貸出制御プログラム100がスタートすることによって、物品の貸出しが可能となる。
101:小箱10の全てが閉じられているか(収納されているか)否かが、常に確認され、その状況が表示器78にも表示されている。全ての小箱10のうち1個でも閉じられていないときは、図10の電気回路によって、いずれの小箱10のロック機構30も解除されることはない。
102:使用者は、まず、テンキー77などの入力手段で、人物認証データである社員コードや暗証番号を入力する。
103:データ部72に格納している認証データと比較して、アクセス可能な人物か否かを認証ステップで判定する。この判定がNOの場合は、次のステップへ進めないので、小箱10の引き出しは不能となる。判定がOKの場合は、次のステップへ進むことが可能となる。
104:小箱の開閉検知スイッチ41が正常か否かを確認する。この確認は、公知の機能確認プログラムを実行すればよい。もし、いずれかの開閉検知スイッチ41に不具合があれば、その開閉検知スイッチ41に対応する開閉スイッチ43(図10参照)をONし、管理対象から除外する。
105:つぎに、引き出したい小箱10の特定データ、例えば数字とアルファベットを組合せた各小箱の固有のデータを入力する。
106:アクセスした人物と引き出し可能な小箱10とは、入力された小箱特定データとデータ部72の格納データの対応関係が不一致であると、つぎのステップへ進まず小箱10の引き出しが行えなくなる。
107:対応関係が一致すると、判定部71からの制御信号に基づいて、ロック機構30が自動的にアンロックされるか、あるいは改めて開操作(例えば、開ボタンを押す等)することにより、ロック機構30がアンロックされる。
108:アンロックされた後は、アクセスした者が手でつまんで小箱10を引き出すことができ(このとき、その小箱10の開が小箱開閉検知スイッチ41で検知される)、小箱10に格納していた鍵や貴重品などの物品を取出すことができる。
109:物品の取出しは、板バネ15の閉じ角度で検知でき、物品有無検知スイッチ42がOFFになるので物品有無検知信号が出される。このようにして、アクセスできる人物のみがアクセス可能な1または2以上の小箱を引き出すことができるので、盗難や誤用を防止することができる。
110:そして、空になった小箱10を外箱5内へ押し戻すと、小箱開閉検知スイッチ41がONとなり、ロック機構30が起動して、小箱10がロックされる。
111:以上の物品取出しに係る諸データは、メモリー部74に使用履歴として記録される。具体的には、人物データ、小箱データ、物品有無データ、時間データである。これらのデータを使用履歴として残すので、過去の使用履歴を本装置の表示器78あるいは後述する遠隔管理装置で随時閲覧することができるので、保安情報として利用することも可能となる。
なお、小箱10を閉じ忘れた場合は、閉じ忘れ防止制御プログラム(400)が作動するが、その詳細は後述する。
(物品の返却制御)
図15に示すように、返却制御プログラム200がスタートすることによって、物品の返却が可能となる。
201:小箱10の全てが閉じられているか(収納されているか)否かが、常に確認され、その状況が表示器78にも表示されている。全ての小箱10のうち1個でも閉じられていないときは、図10の電気回路によって、いずれの小箱10のロック機構30も解除されることはない。
202:使用者は、まず、テンキー77などの入力手段で、人物認証データである社員コードや暗証番号を入力する。
203:データ部72に格納している認証データと比較して、アクセス可能な人物か否かを認証ステップで判定する。この判定がNOの場合は、次のステップへ進めないので、小箱10の引き出しは不能となる。判定がOKの場合は、次のステップへ進むことが可能となる。
204:小箱の開閉検知スイッチ41が正常か否かを確認する。この確認は、公知の機能確認プログラムを実行すればよい。もし、いずれかの開閉検知スイッチ41に不具合があれば、その開閉検知スイッチ41に対応する開閉スイッチ43(図10参照)をONし、管理対象から除外する。
205:つぎに、引き出したい小箱10の特定データを入力する。
206:アクセスした人物と引き出し可能な小箱10との対応関係が不一致であると、つぎのステップへ進まず小箱10の引き出しが行えず、対応関係が一致すると、判定部71からの制御信号に基づいて、ロック機構30が自動的にアンロックされるか、あるいは改めて開操作(例えば、開ボタンを押す等)することにより、ロック機構30がアンロックされる。
207:アンロックされた後は、アクセスした者が手でつまんで小箱10を引き出すことができ(このとき、その小箱10の開が小箱開閉検知スイッチ41で検知される)。
208:使用者は、小箱10に取出していた鍵や貴重品などの物品を再び格納することができる。
209:物品の再格納は、物品有無検知スイッチ42で検知することができる。
210:そして、閉じられた小箱は自動的にロック機構30を起動させてロックされる。このようにして、アクセスできる人物のみがアクセス可能な小箱に物品を再格納できるので、犯罪や誤用を防止することができる。
211:以上の物品返却に係る諸データは、メモリー部74に使用履歴として記録される。具体的には、人物データ、小箱データ、物品有無データ、時間データである。これらのデータを、物品の返却事実と物品の真偽を使用履歴として残し、過去の使用履歴を本装置の表示器78あるいは後述する遠隔管理装置で随時閲覧することができるので、保安情報として利用することができる。
なお、小箱10を閉じ忘れた場合は、閉じ忘れ防止制御プログラム(400)が作動するが、その詳細は後述する。
また、小箱10へ再格納された物が真正でないと物品真偽検知手段により判断されるときは、ロック機構30が起動しないようにすれば、小箱10がロックされないことにより管理者に偽物が保管されたことを知らせることができ、あるいは警報を発することにより、より直接的に偽者であることを知らせることができる。
(使用履歴記録制御)
貸出制御における小箱10の閉操作後、そして返却制御における小箱10の閉操作後には、使用履歴の記録制御が行われる(111,211)。その詳細を、図16に基づき説明する。
▲1▼小箱の特定データである位置データ(列数や段数)やアクセス番号を読み込み(301)、その結果を表示器78に表示し(302)、かつ使用に伴う履歴データの追加・変更・削除をデータ部72に記録する(303)。
▲2▼人物認証データである個人番号や暗証番号を読み込み(304)、その結果を表示器78に表示し(305)、かつ使用に伴う認証データの追加・変更・削除をデータ部72に記録する(306)。
▲3▼動作開始あるいは動作終了の時刻あるいは後述する警報があったときの警報時刻を入力し(307)、記録する(308)。
(小箱閉じ忘れ防止制御)
図17において、(A)図は貸出制御時の閉じ忘れ防止制御を示し、(B)図は返却制御時の閉じ忘れ防止制御を示している。
(A)図において、小箱10を開操作する(401)と、小箱開閉検知スイッチ41がONするので、そのON信号によってタイマーが起動する(402)。小箱10から物品を取出し(403)、確認ステップ(404A)を実行する。確認後に、タイムアウトか否かの判定を行う(405)。待機時間の長さは自由に設定できるが、閉じ忘れ防止の趣旨からは余り長いのは好ましくなく、本実施形態では、1分程度である。
待機時間を過ぎれば、警報が鳴動し(406)、その後警報がリセットされる(407)。この警報により使用者が気付いて小箱10を閉操作すれば(408)、警報の事実と閉操作の事実が履歴に記録される。
そして、閉操作が行われないと、タイムアウトチェック(405)からアラームリセット(407)までのステップが繰返される。また、何回かこのステップを繰返しても小箱10を閉めなければ、その事実が履歴に記録される(409)。この記録は防犯情報として利用できる。
(B)図に示す返却制御時の閉じ忘れ防止制御も、ステップ(404B)が返却確認に変わっているだけで、実質同様のステップで行われる。
(返却督促制御)
貸出制御の実行により、使用者は鍵等の物品を持出すことができるが、持出したまま、いつまでも返却しないこともある。こうした事態に対処するため、図18に示す返却督促制御500が実行される。
まず、貸出時間が経過したか否かを判定する貸出時間経過確認を実行する(501)。ここでいう貸出時間とは、使用者が貸出しを許可された時間であり、任意に設定できる。また設定時間は、一律に決めていてもよく(但し、長短の調整は可能)、使用者が貸出しを受ける際に決定しておいてもよい。後者の場合、貸出制御100における閉操作より前のステップで貸出し時間を設定するステップを入れておけばよい。
貸出時間が経過した場合も、鍵等の物品の返却がない場合は、未返却の事実が表示器78上に表示される(502)。また、管理者に対し適宜の方法で通知あるいは警告を行うとよい。
以後は、管理者により人手による事後処置がとられる。その事後処置の一例は、つぎのとおりである。管理者により未返却を確認すると(503)、持出者に連絡し(504)、持出者に物品の所在を確認させる(505)。物品があれば返却させ(506)、無ければ、紛失か盗難の可能性があるので(507)、防犯組織に通報する(508)。
(機能チェック制御)
物品管理装置1内の諸機能が正常に働いているかどうかをチェックするため、図19に示す機能チェック制御600が行われる。
まず、電源が供給されている状態でなければならないので、商用電源の停電に備えて、無停電電源装置を起動させておく(601)。そして、機能チェックステップを実行する(602)。機能チェックは、管理制御部70と表示器78の機能を自動的に行うプログラムにより実行すればよく、その手段は公知の方法を用いればよい。
機能チェックの結果が正常であれば、表示器78に、物品の収納状況や使用履歴を表示させる制御(603)や本来の使用目的である貸出制御(100)等のプログラム(604)を実行させればよい。
機能チェックの結果が異常であれば、警報を発し(605)、異常を履歴として記録し、さらに必要に応じ管理者へ通報あるいは遠方の遠隔監視装置81へ送信する(606)。
また、同時に、全ての小箱10のロック機構30を一括解除する(607)か、小箱10を順次にロック解除して(608)、小箱10の引出しを可能とする(609)。
このようにすることで、物品が閉じ込められたまま取出すことができなくなる事態を防止している。
(停電対応制御)
物品管理装置1は、通常は、商用電源で作動するが、商用電源が停電した場合に備え、図20に示す電源バックアップ機能をもたせている。
まず、商用電源が供給されているか否かを常時判断し(701)、供給されているときは、商用電源による運転状態であることを表示器78に表示すると共に、無停電電源装置に充電する(702)。
商用電源が停電したときは、自動的に切換スイッチが入り(703)、無停電電源装置による給電を開始する(704)と共に、無停電電源装置による運転状態であることを表示器78に表示する。
以後は、この無停電電源装置により物品管理装置を運転し、商用電源の給電が復活するまで続ける。商用電源の供給が再開されると、自動的に切換スイッチが切れて、無停電電源装置は待機状態となる。
上記の無停電電源装置によるバックアップ運転では、無停電電源装置を保護する保護制御800が実行されている。
この保護制御は、図20に示すように、まず無停電電源装置の供給電圧が低下したか否かを判断する(801)。供給電圧が低下した場合は、警報を表示器78に表示したり、遠方の遠隔監視装置81に通報する(806)。また同時に、小箱10を強制解錠するか否かを判定する(802)。判定基準は、無停電電源装置の閾値であり、閾値以下に低下したときは、全小箱10を一斉解錠する(803)。また、閾値以上のときは、タイマーで設定した時間が経過したか否かを判定し(804)、経過したときは、無停電電源装置の給電を停止する(805)。
このように制御することにより、物品を閉じ込めて取出し不能になる事態を防止し、また無停電電源装置のバッテリー上りを防止することができる。
【産業上の利用可能性】
本発明によれば、キーや貴重品その他の物品を安全に保管・管理ができ、また専用のキーやタグを必要としないので、扱いが便利である。このため、安全・防犯と利便性を兼ね備えた物品管理装置を提供できる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入棚と、
該挿入棚に設けられた複数個の外箱に、引き出し収納可能に設けられた複数個の小箱と、
前記小箱を前記外箱に差し込んだ状態で、引き出し不能に拘束する各外箱に設けられたロック機構と、
前記各小箱が、それぞれに対応する外箱に挿入されているか否かを検知する小箱開閉検知手段と、
前記小箱に物品が収納されているか否かを判断する物品有無検知手段と、
前記小箱内の物品の取出操作と前記小箱への物品の格納操作を人為的に入力する入力器と、
前記小箱への物品の収納取出し状況と使用履歴を表示する表示器と、
管理制御部とからなり、
該管理制御部が、
入力器の入力信号に応じて、アクセス可能な人物に対し、かつ、アクセス可能な小箱に対して、対応する小箱のロック機構を解錠したり施錠したりする貸出制御および返却制御を行い、
前記物品の貸出し返却の後に、その事実を記録する履歴記録制御を実行する
ことを特徴とする物品管理装置。
【請求項2】
前記複数個の各外箱が、前記挿入棚に、個別に着脱自在に取り付けられており、
前記各外箱に、前記ロック機構と前記小箱開閉検知手段と前記物品有無検知手段が取り付けられている
ことを特徴とする請求項1記載の物品管理装置。
【請求項3】
前記貸出制御が、
全ての小箱が閉状態であることを確認する閉状態確認ステップと、
アクセス可能な人物か否かを確認する人物認証ステップと、
アクセス可能な小箱か否かを確認する小箱認証ステップと、
対応する小箱のロック機構を解錠する開操作と、
物品の取出し確認ステップと、
物品が取出された小箱のロック機構を施錠する閉操作と、
物品の貸出し事実を記録する履歴記録を行うものである
ことを特徴とする請求項1記載の物品管理装置。
【請求項4】
前記返却制御が、
全ての小箱が閉状態であることを確認する閉状態確認ステップと、
アクセス可能な人物か否かを確認する人物認証ステップと、
アクセス可能な小箱か否かを確認する小箱認証ステップと、
対応する小箱のロック機構を解錠する開操作と、
物品の返却確認ステップと、
物品が返却された小箱のロック機構を施錠する閉操作と、
物品の返却事実を記録する履歴記録を行うものである
ことを特徴とする請求項1記載の物品管理装置。
【請求項5】
前記人物認証ステップと前記小箱認証ステップとの間に、
前記小箱開閉検知手段の機能が正常か否かを検知し、
正常でない場合は、異常事実を履歴記録すると共に、対応する小箱を管理対象から除外する
ことを特徴とする請求項3または4記載の物品管理装置。
【請求項6】
前記取出し確認ステップと前記閉操作との間に、小箱の閉じ忘れがあったとき警報する、小箱閉じ忘れ防止制御を実行する
ことを特徴とする請求項3記載の物品管理装置。
【請求項7】
前記返却確認と前記閉操作との間に、小箱の閉じ忘れがあったとき警報する小箱閉じ忘れ防止制御を実行する
ことを特徴とする請求項4記載の物品管理装置。
【請求項8】
前記小箱閉じ忘れ制御が、
貸出制御の場合に、取出し確認された後、予め設定した待機時間が過ぎても、小箱の収納を検知しないときに、警報を出す
ことを特徴とする請求項6記載の物品管理装置。
【請求項9】
前記小箱閉じ忘れ制御が、
返却制御の場合に、返却確認された後、予め設定された待機時間内に小箱の収納を検知しないときに、警報を出す
ことを特徴とする請求項7記載の物品管理装置。
【請求項10】
前記貸出制御の実行後、設定時間内に取出した物品の返却があったか否かを判定し、物品の返却がなかったときは未返却事実を表示する
ことを特徴とする請求項3記載の物品管理装置。
【請求項11】
前記表示器と前記管理制御部の機能を監視する監視ステップと、
前記監視ステップの結果が正常の場合に、主制御メニューを実行し、正常でない場合は警報制御を実行し、
前記警報制御は、警報動作と前記小箱のロック解除を含む
ことを特徴とする請求項1記載の物品管理装置。
【請求項12】
商用電源の供給有無を判断する商用電源判断ステップと、
商用電源の供給があるときに、無停電電源装置への充電を行い、
商用電源の供給が切れたとき、無停電電源装置より給電し、
無停電電源装置による運転中は、電源保護機能を働かせ、
該電源保護機能は、電圧の低下を検知し、しきい値以下に低下した場合は、警報し、かつ全ての小箱のロック機構を解錠し、その後に該無停電電源装置の給電を停止する
ことを特徴とする請求項1記載の物品管理装置。

【国際公開番号】WO2005/093193
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【発行日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515305(P2006−515305)
【国際出願番号】PCT/JP2004/004360
【国際出願日】平成16年3月26日(2004.3.26)
【特許番号】特許第3934672号(P3934672)
【特許公報発行日】平成19年6月20日(2007.6.20)
【出願人】(396005014)宝田電産株式会社 (8)
【出願人】(592223603)石田エンジニアリング株式会社 (1)
【Fターム(参考)】