説明

状態量表示装置、状態量表示方法およびプログラム

【課題】情報処理装置の状態量を表示する状態量表示装置が、情報処理装置の全体的な状況を直感的に把握可能な表示を行えるようにする。
【解決手段】状態量表示装置300において、通信部310が、サーバ装置の各々から第1の状態量と第2の状態量と第3の状態量とを取得する。そして、表示部320が、第1の状態量に応じた高さと、第2の状態量に応じた横幅と、第3の状態量に応じた奥行きとを有する立体図形を表示する。状態量表示装置300のユーザは、表示された立体図形の大きさおよび形状によって、各状態量を直感的に一括して把握することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータなど情報処理装置の状態を示す状態量を表示する状態量表示装置、状態量表示方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータなどの情報処理装置におけるCPU(Central Processing Unit、中央処理装置)使用率などの状態量を表示する方法として、状態量をパーセント表示するなど数値にて表示する方法や、棒グラフなどのグラフ形式にて表示する方法が用いられている。
図8は、8台のサーバ装置それぞれのCPU使用率、メモリ使用率、ディスクI/O使用率などの状態量を棒グラフにて表示する表示画面例を示す図である。同図では、各状態量は、100パーセント(%)を最大長とする棒グラフにて表示される。例えば、サーバ1104のディスクI/O使用率は、長さL1001を最大長とする棒グラフG1001の長さL1002によって、すなわち、最大長L1001に対する長さL1002の割合によって表示されている。
また、特許文献1には、仮想サーバのCPU、メモリ、ディスクI/O、ネットワークI/Oなどのリソースについての負荷状態を定期的に収集する物理サーバが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−33292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、情報処理装置の状態量を数値にて表示する方法やグラフ形式にて表示する方法では、情報処理装置の全体的な状況を、直感的に把握可能に表示することはできなかった。例えば、図8の状態量表示画面において、ユーザ(例えばコンピュータシステム管理者)は、サーバ1104の全体的な状況を把握するために、画面に表示される棒グラフの中からサーバ1104のCPU使用率を示す棒グラフと、メモリ使用率を示す棒グラフと、ディスクI/O使用率を示す棒グラフとを特定して、CPU使用率とメモリ使用率とディスクI/O使用率とを読み取り、読み取ったこれら3つの状態量を総合的に評価する必要がある。この情報処理装置の各状態量を読み取り、総合的に評価する処理はユーザの負担となり、また、情報処理装置の全体的な状況を把握するまでに時間を要してしまう原因となる。そして、状態量表示対象の情報処理装置の数が増加して状況を把握すべき情報処理装置の数が増加すると、このユーザの負担や所要時間が増大してしまう。
また、特許文献1には、情報処理装置の全体的な状況を、直感的に把握に表示する方法は示されていない。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決することのできる状態量表示装置、状態量表示方法およびプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は上述した課題を解決するためになされたもので、本発明の一態様による状態量表示装置は、情報処理装置の状態を示す第1の状態量と第2の状態量と第3の状態量とを取得する状態量取得部と、前記第1の状態量に応じた高さ、かつ、前記第2の状態量に応じた横幅の長さ、かつ、前記第3の状態量に応じた奥行きの長さの立体図形を表示する表示部と、を具備することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の一態様による状態量表示方法は、状態量表示装置の行う状態量表示方法であって、情報処理装置の第1の状態量と第2の状態量と第3の状態量とを取得する状態量取得ステップと、前記第1の状態量に応じた高さ、かつ、前記第2の状態量に応じた横幅の長さ、かつ、前記第3の状態量に応じた奥行きの長さの立体図形を表示する表示ステップと、を具備することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の一態様によるプログラムは、状態量表示装置としてのコンピュータに、情報処理装置の状態を示す第1の状態量と第2の状態量と第3の状態量とを取得する状態量取得ステップと、前記第1の状態量に応じた高さ、かつ、前記第2の状態量に応じた横幅の長さ、かつ、前記第3の状態量に応じた奥行きの長さの立体図形を表示する表示ステップと、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、情報処理装置の全体的な状況を直感的に把握可能な表示を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態におけるコンピュータシステムの概略構成例を示すブロック図である。
【図2】同実施形態において、表示部がアプリケーションサーバ装置のリソース使用率を表示する際に表示する立体図形の例を示す図である。
【図3】同実施形態において、表示部がデータベースサーバ装置のリソース使用率を表示する際に表示する立体図形の例を示す図である。
【図4】同実施形態において、表示部がネットワークサーバ装置のリソース使用率を表示する際に表示する立体図形の例を示す図である。
【図5】同実施形態における表示部が表示するリソース使用率の全体表示画面の例を示す図である。
【図6】同実施形態における表示部が、リソース使用率をより詳細に表示した画面の例を示す図である。
【図7】同実施形態において、状態量表示装置がサーバ装置のリソース使用率を表示する処理手順を示すフローチャートである。
【図8】8台のサーバ装置それぞれのCPU使用率とメモリ使用率とディスクI/O使用率とを棒グラフにて表示する表示画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態におけるコンピュータシステム1の概略構成例を示すブロック図である。同図において、コンピュータシステム1は、アプリケーションサーバ装置110−1〜110−m(mは正整数)およびデータベースサーバ装置120−1〜120−n(nは正整数)およびネットワークサーバ装置130−1〜130−k(kは正整数)の各サーバ装置と、ネットワーク200と、状態量表示装置300とを具備し、各サーバ装置と状態量表示装置300とはネットワーク200に接続されている。また、状態量表示装置300は、通信部(状態量取得部)310と、表示部320と、操作入力部330と、制御部340とを具備する。
【0012】
なお、以下では、アプリケーションサーバ装置110−1〜110−mを纏めて「アプリケーションサーバ装置110」と称し、データベースサーバ装置120−1〜120−nを纏めて「データベースサーバ装置120」と称し、ネットワークサーバ装置130−1〜130−kを纏めて「ネットワークサーバ装置130」と称し、アプリケーションサーバ装置110とデータベースサーバ装置120とネットワークサーバ装置130とを纏めてサーバ装置100と称する。また、クライアント端末装置140−1〜140−jを纏めて「クライアント端末装置140」と称する。
【0013】
アプリケーションサーバ装置110は、アプリケーションを提供するサーバ装置であり、ネットワーク200を介して送信されるクライアント端末装置140からのサービス要求を受信すると、受信したサービス要求に応じてアプリケーションを実行し、実行結果をクライアント端末装置140に送信する。
データベースサーバ装置120は、データベースを具備するサーバ装置であり、ネットワーク200を介して送信されるクライアント端末装置140からのデータ要求を受信すると、受信したデータ要求に応じてデータベースを検索してデータを取得し、取得したデータをクライアント端末装置140に送信する。
【0014】
ネットワークサーバ装置130は、ネットワーク200と外部のネットワークとの間で通信を中継するゲートウェイサーバ装置であり、ネットワーク200を介して送信されるクライアント端末装置140からの通信信号を外部のネットワークに送信し、外部のネットワークから受信する通信信号を、宛先のクライアント端末装置140に送信する。
クライアント端末装置140は、サーバ装置100に対して各種サービスを要求してサービスの提供を受ける端末装置である。
ネットワーク200は、サーバ装置100とクライアント端末装置140と状態量表示装置300とに接続され、これらの装置間の通信を中継する。
【0015】
ここで、サーバ装置100の各々は、本発明における情報処理装置の一例であり、状態量表示装置300は、サーバ装置100の各々の状態量を表示する。但し、状態量表示装置300が状態量を表示する対象は、サーバ装置に限らず、複数の状態量を測定可能な装置であればよい。例えば、状態量表示装置300が、クライアント端末装置140の状態量を表示するなど、サーバ装置以外の情報処理装置の状態量を表示するようにしてもよい。あるいは、状態量表示装置300が、管理サーバ装置など、上記以外のサーバ装置の状態量を表示するようにしてもよい。
【0016】
状態量表示装置300は、例えばコンピュータシステム1の管理サーバ装置の一部を構成し、サーバ装置100の各々から、状態量としてCPU使用率とメモリ使用率とディスクI/O使用率とを取得して表示する。
通信部310は、ネットワーク200に接続し、ネットワーク200を介してサーバ装置100やクライアント端末装置140との間で通信を行う。特に、通信部310は、サーバ装置100の各々から、定期的にCPU使用率の情報とメモリ使用率の情報とディスクI/O使用率の情報とを含む信号を受信することにより、これらの状態量を取得する。
【0017】
ここで、CPU使用率は、本発明における第1の状態量の一例であり、メモリ使用率は、本発明における第2の状態量の一例であり、ディスクI/O使用率は、本発明における第3の状態量の一例である。以下では、CPU使用率とメモリ使用率とディスクI/O使用率とを纏めてリソース使用率と称する。
【0018】
ただし、通信部310が取得する第1の状態量と第2の状態量と第3の状態量とは、それぞれ上述したCPU使用率とメモリ使用率とディスクI/O使用率とに限らず、いずれも定量的に表現可能な量であればよい。例えば、通信部310が、いずれかの状態量としてキャッシュヒット率を取得するなど、情報処理装置の備えるリソースの使用率以外の状態量を取得するようにしてもよい。あるいは、通信部310が、いずれかの状態量としてIRQ(Interrupt ReQuest)のチャンネル使用率を取得するなど、CPU使用率とメモリ使用率とディスクI/O使用率と以外の、リソースの使用率を取得するようにしてもよい。あるいは、通信部310が、3つのCPUを有するサーバ装置から、第1〜第3の状態量として、各CPUの使用率を取得するようにしてもよい。
【0019】
あるいは、通信部310が、第1の状態量としてアプリケーションサーバ装置110−1のCPU使用率を取得し、第2の状態量としてアプリケーションサーバ装置110−2のCPU使用率を取得し、第3の状態量としてアプリケーションサーバ装置110−3のCPU使用率を取得するなど、複数の情報処理装置から取得する状態量を第1〜第3の状態量として扱うようにしてもよい。これにより、後述するように表示部320が状態量を立体図形で表示した際に、図形の大きさおよび形状によって各情報処理装置の状態を容易に比較可能な表示を行うことができる。
【0020】
表示部320は、液晶ディスプレイ等の表示画面を具備し、制御部340の制御に応じて動画や静止画やテキストなどを表示する。特に、表示部320は、後述するように、通信部310の取得するサーバ装置100の各々のリソース使用率を立体図形表示によって表示する。
操作入力部330は、マウスやキーボード等の入力デバイスを具備し、状態量表示装置300のユーザ(以下では、単に「ユーザ」と称する)による入力操作を受け付ける。特に、操作入力部330は、表示部320の表示する立体図形の選択操作を受け付ける。
【0021】
制御部340は、状態量表示装置300の各部を制御する。特に、制御部340は、後述するように、通信部310がサーバ装置100の各々から取得するリソース使用率に基づいて、各サーバ装置のリソース使用率を表す立体図形画像を生成し、表示部320に表示させる。また、状態量表示装置300は、後述するように、操作入力部330の受け付ける操作によっていずれかのサーバ装置が選択されると、選択されたサーバ装置のリソース使用率の詳細を表示する個別表示画面を生成し、表示部320に表示させる。
【0022】
次に、図2〜図6を参照して、表示部320によるリソース使用率の表示について説明する。
図2は、表示部320がアプリケーションサーバ装置110のリソース使用率を表示する際に表示する立体図形の例を示す図である。同図において、直方体F21は、アプリケーションサーバ装置110−i(iは、1≦i≦mの整数)のリソース使用率を示す立体図形であり、立方体F22は、アプリケーションサーバ装置110−iのリソース使用率の最大値(全リソース使用率が100パーセントの場合の直方体F21)を示す立体図形である。同図のH軸が高さ方向、W軸が横幅方向、D軸が奥行き方向に設定されている。
【0023】
そして、表示部320は、立方体F22の高さH22に対する直方体F21の高さH21の比H21/H22によってアプリケーションサーバ装置110−iのCPU使用率を表示する。また、表示部320は、立方体F22の横幅W22に対する直方体F21の横幅W21の比W21/W22によってアプリケーションサーバ装置110−iのメモリ使用率を表示する。また、表示部320は、立方体F22の奥行きD22に対する直方体F21の奥行きD21の比D21/D22によってアプリケーションサーバ装置110−iのディスクI/O使用率を表示する。
さらに、後述するように、表示部320は、直方体F21の色によってもアプリケーションサーバ装置110−iのCPU使用率とメモリ使用率とディスクI/O使用率とを表示する。
【0024】
図3は、表示部320がデータベースサーバ装置120のリソース使用率を表示する際に表示する立体図形の例を示す図である。同図において、楕円柱F31は、データベースサーバ装置120−i(iは、1≦i≦nの整数)のリソース使用率を示す立体図形であり、円柱F32は、アプリケーションサーバ装置110−iのリソース使用率の最大値(全リソース使用率が100パーセントの場合の楕円柱F31)を示す立体図形である。図2と同様、同図のH軸が高さ方向、W軸が横幅方向、D軸が奥行き方向に設定されている。
【0025】
そして、表示部320は、円柱F32の高さH32に対する楕円柱F31の高さH31の比H31/H32によってデータベースサーバ装置120−iのCPU使用率を表示する。また、表示部320は、円柱F32の横幅W32に対する楕円柱F31の横幅W31の比W31/W32によってデータベースサーバ装置120−iのメモリ使用率を表示する。また、表示部320は、円柱F32の奥行きD32に対する楕円柱F31の奥行きD31の比D31/D32によってデータベースサーバ装置120−iのディスクI/O使用率を表示する。
さらに、後述するように、表示部320は、楕円柱F31の色によってもデータベースサーバ装置120−iのCPU使用率とメモリ使用率とディスクI/O使用率とを表示する。
【0026】
図4は、表示部320がネットワークサーバ装置130のリソース使用率を表示する際に表示する立体図形の例を示す図である。同図において、四角錐F41は、ネットワークサーバ装置130−i(iは、1≦i≦kの整数)のリソース使用率を示す立体図形であり、四角錐F42は、ネットワークサーバ装置130−iのリソース使用率の最大値(全リソース使用率が100パーセントの場合の四角錐F41)を示す立体図形である。図2と同様、同図のH軸が高さ方向、W軸が横幅方向、D軸が奥行き方向に設定されている。
【0027】
そして、表示部320は、四角錐F42の高さH42に対する四角錐F41の高さH41の比H41/H42によってネットワークサーバ装置130−iのCPU使用率を表示する。また、表示部320は、四角錐F42の横幅W42に対する四角錐F41の横幅W41の比W41/W42によってネットワークサーバ装置130−iのメモリ使用率を表示する。また、表示部320は、四角錐F42の奥行きD42に対する四角錐F41の奥行きD41の比D41/D42によってネットワークサーバ装置130−iのディスクI/O使用率を表示する。
さらに、後述するように、表示部320は、四角錐F41の色によってもネットワークサーバ装置130−iのCPU使用率とメモリ使用率とディスクI/O使用率とを表示する。
【0028】
図5は、表示部320が表示するリソース使用率の全体表示画面の例を示す図である。図2〜図4で説明したように、表示部320は、アプリケーションサーバ装置110−1〜110−5のCPU使用率とメモリ使用率とディスクI/O使用率とを直方体にて表示し、データベースサーバ装置120−1〜120−3のCPU使用率とメモリ使用率とディスクI/O使用率とを楕円柱にて表示し、ネットワークサーバ装置130−1〜130−2のCPU使用率とメモリ使用率とディスクI/O使用率とを四角錐にて表示している。
【0029】
また、表示部320は、サーバ装置100の各々のリソース使用率に応じた色で立体図形を表示する。
具体的には、表示部320は、CPU使用率に応じた赤の強さと、メモリ使用率に応じた緑の強さと、ディスクI/O使用率に応じた青の強さとで色を合成し、合成した色の立体図形を表示する。色の合成は、例えば、表示部320が、その具備する液晶ディスプレイに立体図形を表示する際に、赤、緑、青の各画素について、それぞれの色の強さに応じた割合(単位面積当たりの画素数)の画素を点灯させることによって行われる。
【0030】
例えば、CPU使用率、メモリ使用率、ディスクI/O使用率共に小さい場合、表示部320は、小さい立体図形を黒っぽい色で表示する。また、CPU使用率が大きく、メモリ使用率とディスクI/O使用率とが小さい場合、表示部320は、高さが高く横幅と奥行きの短い立体図形を赤っぽい色で表示する。また、CPU使用率が小さく、メモリ使用率とディスクI/O使用率とが大きい場合、表示部320は、高さが低く横幅と奥行きの長い立体図形をシアン(明るい青)っぽい色で表示する。また、CPU使用率、メモリ使用率、ディスクI/O使用率共に大きい場合、表示部320は、大きい(最大値の立体図形に近い大きさおよび形状の)立体図形を白っぽい色で表示する。
【0031】
このように、表示部320は、サーバ装置100の各々のCPU使用率とメモリ使用率とディスクI/O使用率とを立体図形にて一括表示することにより、情報処理装置の全体的な状況を直感的に把握可能な表示を行うことができる。すなわち、状態量表示装置300のユーザ(以下では、単に「ユーザ」と称する)は、立体図形の大きさおよび形状によって、CPU使用率とメモリ使用率とディスクI/O使用率とを把握することができる。
【0032】
また、表示部320は、サーバ装置のリソース使用率に応じた色で立体図形を表示することにより、情報処理装置の全体的な状況を直感的に把握可能な表示を行うことができる。すなわち、ユーザは、立体図形の大きさおよび形状に加え、立体図形の色によってもCPU使用率とメモリ使用率とディスクI/O使用率とを把握することができる。
【0033】
また、表示部320は、サーバ装置の種類毎に異なる種類の立体図形を表示するので、ユーザは、各サーバ装置のリソース使用率と共にサーバの種類を直感的に把握することができる。
ここで、サーバの種類によって、特定の状態量の重要度や、状態量の値に応じた対策が異なる場合が考えられる。例えば、ディスクI/O使用率がボトルネックとなるように設計されているデータベースサーバ装置では、CPU使用率が90パーセントとなっていても、この90パーセントでCPU使用率が頭打ちとなることが予想され、特に対策を講じる必要がない場合があり得る。一方で、アプリケーションサーバ装置のCPU使用率が90パーセントとなっているときは、クライアント端末装置からのサービス提供要求がさらに集中するとCPU使用率がボトルネックとなることが予想され、サーバ装置の入れ替えなど予防策を講じておくことが好ましい場合があり得る。
表示部320が、サーバ装置の種類毎に異なる種類の立体図形を表示することにより、ユーザによるサーバ装置の種類の把握を比較的容易にすることができ、また、ユーザの誤認識のおそれを低減させることができる。これにより、ユーザは、サーバの種類に応じた対策を講じ易くなる。
【0034】
また、表示部320は、サーバ装置の種類毎に異なる種類の立体図形を表示するので、サーバ装置の種類毎に異なる種類の状態量を表示するようにしても、ユーザの誤認識のおそれを低減させることができる。
例えば、四角錐で表示されるネットワークサーバ装置130に対しては、表示部320が、四角錐の奥行きおよび青色の強さにて、ディスクI/O使用率に代えてネットワークI/O使用率を表示するようにしてもよい。この場合でも、ユーザは、四角錐が表示されていることから、表示対象がネットワークサーバ装置であり、ネットワークI/O使用率が表示されていることを把握できる。これにより、ユーザの誤認識のおそれを低減させることができる。
【0035】
なお、表示部320が、サーバ装置の種類に代えて、あるいはサーバ装置の種類に加えて、サーバ装置のユーザ毎に異なる種類の立体図形を表示するようにしてもよい。
例えば、図5の立体表示に対応するサーバ装置のうち、サーバ装置110−1と110−2と110−3と130−1とがユーザAの管理するサーバ装置であり、サーバ装置110−4と110−5と130−2とがユーザBの管理するサーバ装置である場合に、表示部320が、サーバ装置110−1と110−2と110−3とのリソース使用率を、図5のようにそれぞれ直方体で表示し、サーバ装置130−1のリソース使用率を図5のように四角錐で表示し、一方、サーバ装置110−4と110−5とのリソース使用率をそれぞれ三角柱で表示し、サーバ装置130−2のリソース使用率を三角錐で表示するようにしてもよい。
このように、表示部320が、サーバ装置のユーザ毎に異なる種類の立体図形を表示することで、サーバ装置のユーザは、自らの管理するサーバ装置を比較的容易に把握することができ、誤認識のおそれを低減させることができる。
なお、以下では、図5に示す画面のように、複数のサーバ装置について、それぞれのリソース使用率を示す立体図形を表示する画面を「全体表示画面」と称する。
【0036】
次に、図6は、表示部320が、リソース使用率をより詳細に表示した画面の例を示す図である。同図において、マークM61は、サーバ装置110−4が選択されたことを示す。また、立体図形F61は、サーバ装置110−4のリソース使用率を示す立体図形を拡大表示した図形であり、立体図形F62は、サーバ装置110−4のリソース使用率の最大値を示す立体図形を拡大表示した図形である。また、グラフG61は、サーバ装置110−4のリソース使用率を示す棒グラフである。
【0037】
操作入力部330が、ユーザによるサーバ装置の選択操作を受け付けると、制御部340は、図6に示すような、選択されたサーバ装置のリソース使用率をより詳細に表示する画面を生成して表示部320に表示させ、表示部320は、制御部340の制御に従って当該画面を表示する。ここで、サーバ装置の選択操作は、例えば、操作入力部330の備えるマウスを用いて、ユーザが、表示部320の表示するサーバ装置の立体図形を左クリックすることによって行われる。
なお、以下では、図6に示す、選択されたサーバ装置のリソース使用率をより詳細に表示する画面(より具体的には、選択されたサーバ装置のリソース使用率を示す立体図形(図6の例では立体図形F61)と、当該サーバ装置のリソース使用率の最大値を示す立体図形(図6の例では立体図形F62)と、当該サーバ装置のリソース使用率を示すグラフ(図6の例ではグラフG61)とを含む画面)を、「個別表示画面」と称する。
【0038】
このように、表示部320が、選択されたサーバ装置のリソース使用率をより詳細に表示することにより、ユーザは、リソース使用率をより正確に把握することができる。
なお、選択されたサーバ装置のリソース使用率をより詳細に表示する画面は、図6に示す個別表示画面に限らない。例えば、表示部320が、グラフG61に加えて、あるいはグラフG61に代えてリソース使用率のパーセント表示を行うなど、リソース使用率を数値で表示するようにしてもよい。リソース使用率を数値で表示することにより、ユーザは、リソース使用率をさらに正確に把握し得る。
また、表示部320が、立体図形F62に、例えば5パーセント毎のメモリを加えて表示するようにしてもよい。これによっても、ユーザは、リソース使用率をさらに正確に把握し得る。
【0039】
なお、3つのリソース使用率全てのグラフまたは数値を表示する領域が無い場合は、表示部320が、いずれか1つまたは2つのリソース使用率のグラフまたは数値を表示するようにしてもよい。
これによって、リソース使用率をより詳細に表示するために使用可能な領域が狭い場合にも、表示部320は、より詳細な情報を表示することができ、ユーザは、リソース使用率をより正確に把握することができる。
【0040】
次に図7を参照して、状態量表示装置300の動作について説明する。
図7は、状態量表示装置300がサーバ装置のリソース使用率を表示する処理手順を示すフローチャートである。状態量表示装置300は、起動すると同図の処理を開始する。
まず、通信部310が、サーバ装置100の各々から、CPU使用率の情報とメモリ使用率の情報とディスクI/O使用率の情報とを含む信号を受信することにより、これらのリソース使用率を取得する(ステップS101)。そして、通信部310は、取得した信号を制御部340に出力する。
【0041】
次に、通信部310から信号の出力を受けた制御部340は、当該信号からCPU使用率の情報とメモリ使用率の情報とディスクI/O使用率の情報とを読み出す。そして、制御部340は、信号から読み出した、サーバ装置100の各々のCPU使用率とメモリ使用率とディスクI/O使用率とに従って、図5で説明したリソース使用率の全体表示画面の画像データを生成して表示部320に出力する。そして、表示部320は、制御部340から出力される画像データに従って、リソース使用率の全体表示画面を表示する(ステップS102)。
【0042】
次に、制御部340は、操作入力部330がサーバ装置100のいずれかの選択操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS103)。ここで、図6で説明したように、サーバ装置の選択操作は、例えば、操作入力部330の備えるマウスを用いて、ユーザが、表示部320の表示するサーバ装置の立体図形を左クリックすることによって行われる。また、例えば、操作入力部330は、受け付けた操作入力を示す情報をバッファに一時保存し、制御部340は、このバッファに保存された情報の中に、サーバ装置の選択操作を示す情報があるか否かに基づいて、サーバ装置100のいずれかの選択操作を受け付けたか否かを判定する。
【0043】
選択操作を受け付けたと判定した場合(ステップS103:YES)、制御部340は、選択されたサーバ装置のリソース使用率に基づいて、図6で説明したリソース使用率の個別表示画面の画像データを生成し、表示部320に出力する。そして、表示部320は、制御部340から出力される画像データに従って、リソース使用率の個別表示画面を表示する(ステップS104)。
その後、ステップS101に戻り、同図の処理を繰り返す。
また、ステップS103において、選択操作を受け付けなかったと判定した場合(ステップS103:NO)も、ステップS101に戻り、同図の処理を繰り返す。
【0044】
以上のように、表示部320は、サーバ装置100の各々について、複数種類の状態量を立体図形にて一括表示することにより、情報処理装置の全体的な状況を直感的に把握可能な表示を行うことができる。すなわち、状態量表示装置300のユーザ(以下では、単に「ユーザ」と称する)は、立体図形の大きさおよび形状によって、各状態量を直感的に一括して把握することができる。
【0045】
また、表示部320は、サーバ装置の状態量に応じた色で立体図形を表示することにより、情報処理装置の全体的な状況を直感的に把握可能な表示を行うことができる。すなわち、ユーザは、立体図形の大きさおよび形状に加え、立体図形の色によっても各状態量を直感的に一括して把握することができる。
【0046】
また、表示部320が、選択されたサーバ装置の状態量をより詳細に表示することにより、ユーザは、サーバ装置の状態量をより正確に把握することができる。これにより、ユーザは、サーバ装置100の各々に対する対策の要否をより適切に判断し、必要に応じてより適切な対策を講じることができる。
【0047】
また、表示部320は、サーバ装置の種類毎に異なる種類の立体図形を表示するので、ユーザは、各サーバ装置の状態量と共にサーバの種類を直感的に把握することができ、サーバの種類に応じた対策を講じ易くなる。
さらには、表示部320は、サーバ装置の種類毎に異なる種類の立体図形を表示することにより、サーバ装置の種類毎に異なる種類の状態量を表示するようにしても、ユーザの誤認識のおそれを低減させることができる。
【0048】
また、表示部320が、サーバ装置のユーザ毎に異なる種類の立体図形を表示することで、サーバ装置のユーザは、自らの管理するサーバ装置を比較的容易に把握することができ、誤認識のおそれを低減させることができる。
【0049】
なお、状態量表示装置300の全部または一部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0050】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0051】
1 コンピュータシステム
110−1〜110−m アプリケーションサーバ装置
120−1〜120−n データベースサーバ装置
130−1〜130−k ネットワークサーバ装置
200 ネットワーク
300 状態量表示装置
310 通信部
320 表示部
330 操作入力部
340 制御部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置の状態を示す第1の状態量と第2の状態量と第3の状態量とを取得する状態量取得部と、
前記第1の状態量に応じた高さ、かつ、前記第2の状態量に応じた横幅の長さ、かつ、前記第3の状態量に応じた奥行きの長さの立体図形を表示する表示部と、
を具備することを特徴とする状態量表示装置。
【請求項2】
前記表示部は、前記立体図形を、前記第1の状態量と前記第2の状態量と前記第3の状態量とのうち、いずれか1つである第4の状態量に応じた赤の強さ、および、前記第1の状態量と前記第2の状態量と前記第3の状態量とのうち、前記第4の状態量以外のいずれかである第5の状態量に応じた緑の強さ、および、前記第1の状態量と前記第2の状態量と前記第3の状態量とのうち、前記第4の状態量および前記第5の状態量以外である第6の状態量に応じた青の強さに基づく色にて表示する、ことを特徴とする請求項1に記載の状態量表示装置。
【請求項3】
操作入力部を具備し、
前記表示部は、前記操作入力部が情報処理装置の選択操作を受け付けると、選択された情報処理装置の前記第1の状態量と前記第2の状態量と前記第3の状態量とのうち少なくとも1つを数値またはグラフにて表示することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の状態量表示装置。
【請求項4】
前記表示部は、複数のサーバ装置の各々に対して、サーバ装置の種類毎に異なる種類の前記立体図形を表示することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の状態量表示装置。
【請求項5】
前記表示部は、複数のサーバ装置の各々に対して、該サーバ装置のユーザ毎に異なる種類の立体図形にて前記立体図形を表示することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の状態量表示装置。
【請求項6】
状態量表示装置の行う状態量表示方法であって、
情報処理装置の状態を示す第1の状態量と第2の状態量と第3の状態量とを取得する状態量取得ステップと、
前記第1の状態量に応じた高さ、かつ、前記第2の状態量に応じた横幅の長さ、かつ、前記第3の状態量に応じた奥行きの長さの立体図形を表示する表示ステップと、
を具備することを特徴とする状態量表示方法。
【請求項7】
状態量表示装置としてのコンピュータに、
情報処理装置の状態を示す第1の状態量と第2の状態量と第3の状態量とを取得する状態量取得ステップと、
前記第1の状態量に応じた高さ、かつ、前記第2の状態量に応じた横幅の長さ、かつ、前記第3の状態量に応じた奥行きの長さの立体図形を表示する表示ステップと、
を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−133693(P2012−133693A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−286895(P2010−286895)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】