説明

独立サスペンション

独立サスペンションであって、ダンパー(18)およびエアスプリング(19)を介してか、またはスプリング・ダンパー・モジュール(17)を介して車両フレームと接続されるスプリングキャリア(16)上に体を支えており、回転軸(5)の回りを回転可能に配置されたステアリングナックル(1)を有するものであり、その際、ステアリングナックル(1)はナックルボルト(4)を介してスプリングキャリア(16)と接続されており、独立サスペンションは、少なくとも一つの上側ロアアーム(10)と少なくとも一つの下側ロアアーム(14)を備え、ロアアーム(10,14)は、ナックルボルト(4)の上端部または下単部に支承されており、ステアリングナックル(1)とロアアーム(10,14)は、ナックルボルトに対して旋回可能に支承されておりかつスプリングキャリア(16)はナックルボルト(4)と回転不能に接続されており、ナックルボルト(4)は、スプリングキャリア(16)、ステアリングナックル(1)と上側および下側ロアアーム(10,14)のための接続要素を形成する前記独立サスペンションにおいて、
ナックルボルト(4)が二部品として形成されており、一つの上側の部材(20)および一つの下側の部材(21)を備え、その際部材(20,21)のお互いの及び/又はスプリングキャリア(16)に対する回転防止及び/又は軸方向及び/又は放射方向の固定が、スプリングキャリア(16)と部材(20,21)の相互作用によって行われる前記独立サスペンションが提案される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に係る独立サスペンションに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人の特許文献1より、例えば、回転軸の周りを回転可能に配置されたステアリングナックル(Achsschenkel)であって、キャリアに体を支えているものを有する、操舵可能な車両輪のためのサスペンションが公知である。その際キャリアがスプリング・ダンパー・モジュールを介して車両フレームに接続される。
【0003】
公知のサスペンションは、回転軸に対して同軸に配置されたナックルボルトと、少なくとも一つの上側のロアアーム、および少なくとも一つの下側のロアアームを有する。その際ロアアームは、車両フレームと接続され、また少なくとも一つの接続手段を介してステアリングナックルと接続される。特許文献1に従い、キャリアは、回転軸に同軸に配置される軸受を介してステアリングナックルと接続されており、その際、接続手段は、回転軸に対して同軸に配置されており、かつその際ロアアームは接続手段と接続されている。
【0004】
さらに本出願人の特許文献2から、操舵可能な車両輪のための車両サスペンションが公知である。これは、回転軸の周りに回転可能に配置されており、ナックルボルトを介して上側のロアアーム軸受および下側のロアアーム軸受と接続されているステアリングナックルを有し、当該ロアアーム軸受を介してロアアームがステアリングナックルと接続される上側のロアアーム軸受および下側のロアアーム軸受を有し、ここで少なくとも一つのロアアームがロアアーム軸受を発するパーツを有し、このパーツにおいてロアアームはその幅がほぼ均等であるかまたは幅が狭くなる。好ましくは、このパーツは交差するか貫通するロアアームによって達成される。
【0005】
さらに、本出願人の特許文献3から、車両の操舵された車輪のためのサスペンションが公知である。公知の車両サスペンションは、車輪キャリアを有しており、この車輪キャリアが上側の連接棒(Lenker)と下側の連接棒を介して車両のシャシーと接続されている。その際、車輪キャリアはスプリングキャリアと直接接続されている。ここでスプリングキャリアは、回転可能に車輪キャリア内に支承されており、その際一方ではスプリングキャリアと接続され他方では車輪キャリアと接続されるボルトを使用することによって、コンパクトなサスペンションが実現される。
【0006】
本出願人の特許文献4の範囲では、自動車、特に特殊車両(NKW)のための独立サスペンションであって、軸ロアアーム(Achsquerlenker)と軸スイングアーム(Achslaengslenker)を有するものが記載され、この独立サスペンションにおいては、ロアアームおよびスイングアームの少なくとも主請求項のロアアームおよび操舵支持材(Lenkerstrebe)が、各領域において楕円断面を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際特許出願 第 2005/0916999 A1号明細書
【特許文献2】独国特許出願 第10 2004 014 555 A1号明細書
【特許文献3】独国特許出願 第100 30 028 A1号明細書
【特許文献4】独国特許出願 第102 52 135 A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、前述した先行技術から出発して、ナックルボルトが機能に関して最適化され、スプリングキャリアとナックルボルトの軸方向及び/又は放射方向のそれ自体およびお互いの固定が簡単な方法で実現される独立サスペンションを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、請求項1、21および22に記載の特徴によって解決される。本発明のさらなる実施形態と利益は、下位の請求項から明らかになる。
【0010】
したがって、独立サスペンションであって、ダンパーおよびエアスプリングを介してか、またはスプリング・ダンパー・モジュールを介して車両フレームと接続されるスプリングキャリア上に体を支えており、回転軸の回りを回転可能に配置されたステアリングナックルを有する独立サスペンションであり、その際、ステアリングナックルが、ナックルボルトを介してスプリングキャリアと接続されている独立サスペンションが提案される。
【0011】
ここで、独立サスペンションは、少なくとも一つの上側ロアアームと少なくとも一つの下側ロアアームを備え、ロアアームは、ナックルボルトの上端部または下単部に支承されており、ステアリングナックルとロアアームは、ナックルボルトに対して旋回可能に支承されておりかつスプリングキャリアはナックルボルトと回転不能に接続されている。
【0012】
独立サスペンションの本発明に係る第一の実施形によると、ナックルボルトは二部品として形成されており、一つの上側の部材および一つの下側の部材を備え、その際部材のお互いの及び/又はスプリングキャリアに対する回転防止及び/又は軸方向及び/又は放射方向の固定が、スプリングキャリアと部材(20,21)の相互作用によって行われる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】エアスプリング・ダンパー・モジュールを備える、本出願人の特許文献1による独立サスペンションの簡略図。
【図2】エアスプリングとダンパーを備える、本出願人の特許文献1による独立サスペンションの簡略図。
【図3】ナックルボルトの本発明による形態の斜視図。
【図4】ナックルボルトの本発明による別の形態の斜視図。
【図5】ナックルボルトの本発明による有利な形態の図。
【図6】ナックルボルトと、そのスプリングキャリアへの接続の、本発明による別の有利な形態の図。
【図7】ナックルボルトと、そのスプリングキャリアへの接続の、本発明による別の有利な形態の斜視図。
【図8】ナックルボルトと、そのスプリングキャリアへの接続の、本発明による形態の斜視図。
【図9】ナックルボルトと、そのスプリングキャリアへの接続の、別の有利な形態の斜視図。
【図10】ナックルボルトと、そのスプリングキャリアへの接続の、本発明による有利な形態の図。
【図11】ナックルボルトと、そのスプリングキャリアへの接続の、本発明による別の有利な形態の図。
【図12】ナックルボルトの斜視図
【図13】ナックルボルトと、ロアアーム軸受の接続の、本発明による別の有利な形態の斜視図。
【図14】ナックルボルトと、ロアアーム軸受の接続の、本発明による別の有利な形態の斜視図。
【図15】ナックルボルトと、ロアアーム軸受の接続の、本発明による別の有利な形態の図。
【図16】ナックルボルトの本発明による別の有利な形態の図。
【図17】ナックルボルトと、ロアアーム軸受の接続の、本発明による別の有利な形態の斜視図。
【図18】ナックルボルトの本発明による別の有利な形態の図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を、添付の図面の例によって以下に詳細に説明する。その際、同じ部材には同じ符号を付している。
【0015】
図1には、本出願人の特許文献1によるサスペンションであって、スプリング・ダンパー・モジュールを有するものが簡略的に表されている。
【0016】
ここで、ステアリングナックル1は、上側の収容部2および下側の収容部3を有しており、この中には、回転軸5に対して同軸に配置されるナックルボルト4が存在している。このようにして、ステアリングナックル1は軸5の周りを回転することができ、車両輪の操舵動作を実施する。
【0017】
図1に示される例では、ナックルボルト4はその上端部に軸受7を有しており、この軸受は例えばローラー軸受(Rollenlagerung)、すべり軸受(Gleitlagerung)、球状ジョイント(Kugelgelenk)、または分子状ジョイント(Molekulargelenk)として実施可能である。そしてこれらを介して、上側ロアアーム10の第一のアーム8および第二のアームが接続されている。更に、ナックルボルト4はその下方端部に軸受11を備えており、この軸受は軸受7のように実施されることが可能であって、これを介して下側ロアアーム14の第一のアーム12と第二のアーム13が接続されている。上側ロアアーム10および下側ロアアーム14が直接ナックルボルト4と接続されることにより、ロアアームは延長され、これによってばねの運動(Feder−Kinematik)が改善されることとなる。好ましくは、軸受7と11はリム15内に配置されている。
【0018】
上部の収容部2と下部の収容部3の間には、キャリアまたはスプリングキャリア16が配置されている。このスプリングキャリアは、スプリング・ダンパー・モジュールと接続されているので、ステアリングナックル1は、スプリングキャリアまたはキャリア16およびスプリング・ダンパー・モジュールを介して、図示されていない車両フレームに体を支えている。図1から見てとれる通り、第一のアーム12と第二のアーム13は互いに交差して配置されており、これによって可能な操舵角度が高められることができる。この際に、スプリング・ダンパー・モジュール17は、車両フレームの外側かつ上側ロアアーム10の上側に配置されている。
【0019】
図2にはサスペンションであり、その原理的構造が図1に示されるサスペンションの構造に相当するものであって、スプリング・ダンパー・モジュール17の代わりに、別体式のダンパー18と別体式のエアスプリング19が使用されるという点で異なっているものが示されている。この場合においても、エアスプリング19は車両フレームの外側かつ上側ロアアーム10の上側に配置されている。示されている例では、キャリアまたはスプリングキャリア16に対する、およびそれゆえに車両のフレームに対する車輪の接触力(Aufstandskraft)のサポートは、スラスト軸受(Axiallager)を介して行われる。
図3には、独立サスペンションの、本発明に従い実施されたナックルボルトの詳細図が、回転軸5の回りに回転可能に配置されたステアリングナックルを含めて表されている。このステアリングナックルは、ダンパーおよびエアスプリングを介してか、またはスプリング・ダンパー・モジュールを介して車両フレームと接続されるスプリングキャリア16に体を支えている。その際、ステアリングナックルはナックルボルト4を介してスプリングキャリアと接続されている。独立サスペンションは、少なくとも一つの上側ロアアーム10と少なくとも一つの下側ロアアーム14を備えており、その際ロアアームは、ナックルボルト4の上側端部または下側端部に支承されており、その際ステアリングナックルおよびロアアーム10,14はナックルボルト5に支承され、およびスプリングキャリア16はナックルボルトと回転不能に接続されている。
【0020】
図3およびあとに続く図においては、本発明のより良い理解のためステアリングナックルは図示されていない。図では、二つの横サスペンションアーム8,9を有する上側のロアアーム10の軸受が7でもって示され、二つの横サスペンションアーム12,13を備える下側ロアアーム10の軸受が11でもって示されている。
【0021】
図3に示された例においては、ナックルボルト4は、二部品で実施されており、上部部材20と下部部材21を有している。その際、軸方向の固定は、部材20,21の間においてナックルボルト4によって互いに行われ、スプリングキャリア16に対してスナップリング22を用いて行われており、その際この目的のためスプリングキャリア16内には二つのスナップリング溝23が、そして部材20,21内にはそれぞれ一つのスナップリング溝24が、スナップリング22の収容のために設けられている。
【0022】
好ましくは、ナックルボルトの部材20,21は、二部品による実施の場合、全く同じに一致して形成される。その際、構造上の状況に依存して、部材20,21のさまざまな実施形が互いに組み合わせられることができる。
【0023】
基本的に、部材20,21の軸方向および放射方向の固定は、スプリングキャリア16に対してもおよびお互いにも、プレス座(Presssitz)を介して行われる。
【0024】
図4には、ナックルボルト4の部材20,21の、軸方向におけるお互いの固定およびスプリングキャリア16に対する固定の別の実施形態が示されている。この実施形態においては、固定はピンまたはスクリューなどを介して行われ、その際、スプリングキャリア16は、ピンまたはスクリューのために対応する穴26を備えている。
【0025】
図5に示された例では、二部品として実施されるナックルボルト4の部材20,21のお互いの回転防止機構の可能性が示されている。ここで各部材20,21は、他の部材を向いたほうの端部にノッチ27を備えており、その際組み込まれた状態で部材20,21は、これらがノッチ27を介して互いにかみ合っているようねじられている。ノッチ27を有する部材20は、図5の右の部分に表されている。ナックルボルト4の部材20,21とスプリングキャリア16の間の軸方向の固定は、例えば図3および4にしめされた構想にもとづいて行われる。
【0026】
更に、図6には、二部品として実施されるナックルボルト4の部材20,21のお互いのおよびスプリングキャリア16に対する回転防止または放射方向の固定の別の可能性が見てとれる。ここで部材20,21およびスプリングキャリア16のお互いの回転防止または放射方向の固定は、部材の20,21の外側の歯28と、この歯と作用するスプリングキャリア16の内側の歯29を用いて行われる。
【0027】
図7に示される例では、ナックルボルト4とスプリングキャリア16の間の軸方向および放射方向の固定の実施形態が示されており、この実施形態では、固定が、ピン30、およびスクリューなどを介して行われ、これらを介してスプリングキャリア16が部材20,21と接続されている。
【0028】
図8:ナックルボルト4の部材20,21と、スプリングキャリア16の間の軸方向および放射方向の固定は、ノッチおよびスナップリング溝によっても行われ得る。ここで各部材20,21は他の部材のほうを向いた端部にノッチ27を備えており、その際組み込まれた状態で部材20,21は、これらがノッチ27を介して互いにかみ合っているようにねじられる。
【0029】
更に、図8の左側の部分に示されるように、各部材20,21は、他の部材の方を向いた端部でありノッチが設けられていない領域に、周囲溝31を備えている。その際、組み込まれた状態で、図8の右側の部分のテーマは、両部材の周囲溝が継ぎ目のない(durchgehend)スナップリング溝を生じ、このスナップリング溝内にスプリングキャリア16に設けられるウェブ32がかみ込んでいる。ここで好ましくは、組立ての目的でスプリングキャリア16が二部品で実施され、その際組み込みの後に両部材が互いに接続され、このことが例えばスクリュー(Verschraubung)を使って行われることができるので、継ぎ目のないウェブ32が生じるということが意図されている。例えば、二部品として実施されるスプリングキャリア16の各部材は、ナックルボルト4の回りの領域で半円筒状に実施されることができる。
【0030】
図9には、当該例の範囲においては、ナックルボルト4の部材20,21の間の放射方向の固定が、両部材の間にかみ込むピン33によって行われる例が示されている。図9の右側の部分は、スプリングキャリア16の周りの領域の詳細図であり、その際部材21にかみ合っているピン33は、より良い理解のためにおおよそ示されている。
【0031】
更に図10には、スプリングキャリア16における、二部品で実施されるナックルボルト4の部材20,21の軸方向および放射方向の固定の別の可能性が見てとれる。ここで固定は、部材20,21の、スプリングキャリア16のほうを向いた端部に設けられるねじ込みねじ山34によって行われ、このねじ込みねじ山は、スプリングキャリア16の内側の歯35と作用している。好ましくは各部材20,21において領域は、ねじ込みねじ山に直接、円すい台状に形成されており、これによって、必要な遊びの自由度が、対応して形成されたスプリングキャリア16との作用によって、組み立てられた状態において保証される。
【0032】
図11において示された例においては、ナックルボルト4とスプリングキャリア16の間の軸方向および放射方向の固定の実施形が示されている。軸方向および放射方向の固定は、クランプ(Klemmung)を使った、二部品として実施されるスプリングキャリア16のスクリュー接続(Verschraubung)によって行われ、その際、二部品として実施されるスプリングキャリア16の各部材はナックルボルト4の回りの領域において半円筒状に実施されることができる。
【0033】
追加的な軸方向の固定は、図11に示されるように、各部材が、他の部材の方を向いた端部にスナップリング溝36を備え、このスナップリング溝にスプリングキャリア16の各ウェブ37がかみ合い、その際スプリングキャリア16の両部材の組合せによって、継ぎ目のない二つのウェブ37が生じることによって行われる。
【0034】
ナックルボルト4が二部品として実施される図3から11に示される実施例においては、上側および下側ロアアーム10,14のロアアーム軸受7,11が、ローラー軸受として形成されており、その際ナックルボルト4の部材20,21の、スプリングキャリアと反対をむいた端部は、ロアアーム軸受7,11のための各ハウジングまたはジョイントヘッドを備えており、これは好ましくは各部材20,21と一体に形成されている。軸受ハウジングは図10では符号38および39で表されている。
【0035】
ナックルボルト4の一部材としての実施形においては、ロアアーム軸受7,11は球状ジョイントまたは分子状ジョイントとして実施可能である。その際、上側および下側のロアアーム10,14のロアアーム軸受7,11の実施形は、ローラー軸受としても可能であり、これは図12から見てとれる。
【0036】
この際には、ナックルボルト4は一部材として実施され、その際ロアアーム軸受7,11のためのジョイントヘッド40,41は、別体の部材として実施され、そして例えばねじ込みねじ山42を使ってナックルボルト4とナックルボルト4において接続可能である。その際、ジョイントヘッドの方を向いたナックルボルト4の端部は、好ましくは円すい台状に形成され、広範におよぶ遊びの自由度を可能とする。本発明に従い、ジョイントヘッド40,41のみが別体の部材として実施可能である。
【0037】
図11:示された実施形において、スプリングキャリア16のナックルボルト4での軸方向固定および回転防止は、クランプをつかって二部品として実施されるスプリングキャリア16をねじ込むことによって行われる。その際、追加的な軸方向の固定は、ナックルボルト4がスナップリング溝を有しており、このスナップリング溝にスプリングキャリア16のウェブがかみ込み、その際スプリングキャリアの両方の部材が組み合わせられることによって継ぎ目のないウェブを生じることによって行われ得る。
【0038】
図13には、ナックルボルト4が一部材として形成される実施例が示される。その際ロアアーム軸受7,11は、球状ジョイントまたは分子状ジョイント43として実施され、これらがナックルボルト4の各端部にねじ留めされる。
【0039】
図14に示される実施例では、ナックルボルト4は一部材として形成されており、その際ナックルボルト4の端部には、各球状ジョイントヘッドまたは分子状ジョイントヘッド44が統合されている。その際、ジョイントの組立ては、ロアアームの組立てと共に行われる。図14には、上側のジョイントヘッド40が組み立てられた状態で示されており、その際ナックルボルト4の他方の端部には、ロアアーム組立て前の、統合された球状ジョイントヘッドまたは分子状ジョイントヘッド44が示されている。
【0040】
本発明に従いおよび図15と関連して、ナックルボルト4は二部品として実施可能であり、その際、ナックルボルト4の部材20または21の、ロアアーム10,11のほうを向いた端部には、球状ジョイントヘッドまたは分子状ジョイントヘッド44が統合されている。示された例では、上側のジョイントヘッド40が組み込まれた状態で示されている。ここでは、部材20,21のお互いに対するまたはスプリングキャリア16に対する軸方向及び/又は放射方向の固定及び/又は回転防止は、上述したコンセプトにしたがい行われる。
【0041】
更に、図15に示される実施形の有利な改良形の範囲内では、これは図16の主題であるが、ナット46を伴う通しボルト45が設けられており、この通しボルトを通じてナックルボルト4の両部材20,21が互いに接続されることができる。スクリューナット46を有する実施形の代替として、第一の部材20によって案内された、ねじ山(Gewinde)47内のスクリュー45が、ナックルボルト4の第二の部材にねじ込まれていることがあり、これは図17に示されている。追加的な軸方向及び/又は放射方向の固定は、例えば、二部品として実施されるスプリングキャリアのねじ込みによってクランプを用いて図られることがある。
【0042】
更に、二部品として実施されるナックルボルト4の場合のために、両部材20,21の軸方向のお互いの固定およびスプリングキャリア16に対する固定は、スプリングキャリア16内に配置される、部材20,21の端部が、円すい台形状に形成され、そしてスプリングキャリア内に形状結合的(formschluessig)に収容されており、その際両部材20,21がナットを有する通しボルト45を使って互いにねじで取付けられているよう、行われる。代替として第一の部材によって案内される、ねじ山内のスクリュー45が、ナックルボルト4の第二の部材21内にねじ込まれていることがある。
【0043】
各構造上の形態(Ausbildung)、特に本発明に係る独立サスペンションのコンポーネントのそれ自体およびお互いの空間的各配置が、技術的に意味のある限りは、抜かされるのは当然であり、当該形態が図中または明細書の記載中で詳細に現されていないとしても、請求項内で記載されているような独立サスペンションの機能に影響を与えることなく、本請求項の保護範囲のもとにある。
【符号の説明】
【0044】
1 ステアリングナックル
2 収容部
3 収容部
4 ナックルボルト
5 回転軸
6 車両輪
7 軸受
8 横サスペンションアーム
9 横サスペンションアーム
10 ロアアーム
11 軸受
12 横サスペンションアーム
13 横サスペンションアーム
14 ロアアーム
15 リム
16 キャリア、スプリングキャリア
17 スプリング・ダンパー・モジュール
18 ダンパー
19 エアスプリング
20 ナックルボルトの上部部材
21 ナックルボルトの下部部材
22 スナップリング
23 スナップリング溝
24 スナップリング溝
25 スナップリング溝穴
26 穴
27 ノッチ
28 外側の歯
29 内側の歯
30 ピン
31 周囲溝
32 ウェブ(Steg)
33 ピン
34 ねじ込みねじ山(Einschraubgewinde)
35 内側のねじ山(Innengewinde)
36 スナップリング溝
37 ピン
38 軸受ハウジング
39 軸受ハウジング
40 ジョイントヘッド
41 ジョイントヘッド
42 ねじ込みねじ山
43 球状ジョイント または 分子状ジョイント
44 球状ジョイントヘッド または 分子状ジョイントヘッド
45 通しボルト
46 ナット
47 ねじ山(Gewinde)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
独立サスペンションであって、ダンパー(18)およびエアスプリング(19)を介してか、またはスプリング・ダンパー・モジュール(17)を介して車両フレームと接続されるスプリングキャリア(16)上に体を支えており、回転軸(5)の回りを回転可能に配置されたステアリングナックル(1)を有する独立サスペンションであり、その際、ステアリングナックル(1)はナックルボルト(4)を介してスプリングキャリア(16)と接続されており、この独立サスペンションは、少なくとも一つの上側ロアアーム(10)と少なくとも一つの下側ロアアーム(14)を備え、ロアアーム(10,14)は、ナックルボルト(4)の上端部または下端部に支承されており、ステアリングナックル(1)とロアアーム(10,14)は、ナックルボルトに対して旋回可能に支承されておりかつスプリングキャリア(16)はナックルボルト(4)と回転不能に接続されており、ナックルボルト(4)は、スプリングキャリア(16)、ステアリングナックル(1)と上側および下側ロアアーム(10,14)のための接続要素を形成する前記独立サスペンションにおいて、
ナックルボルト(4)が二部品として形成されており、一つの上側の部材(20)および一つの下側の部材(21)を備え、その際部材(20,21)のお互いの及び/又はスプリングキャリア(16)に対する回転防止及び/又は軸方向及び/又は放射方向の固定が、スプリングキャリア(16)と部材(20,21)の相互作用によってか、またはプレス嵌めによって行われることを特徴とする前記独立サスペンション。
【請求項2】
ナックルボルト(4)の部材(20,21)のお互いのおよびスプリングキャリア(16)に対する軸方向の固定が、スナップリング(22)を用いて行われ、その際スナップリング(22)の収容のために、スプリングキャリア(16)内に二つのスナップリング溝(23)が設けられ、および部材(20,21)内にそれぞれスナップリング溝(24)が設けられることを特徴とする請求項1に記載の独立サスペンション。
【請求項3】
ナックルボルト(4)の部材(20,21)のお互いのおよびスプリングキャリア(16)に対する軸方向の固定が、ピンまたはスクリューを介して行われ、その際部材(20,21)がそれぞれスナップリング溝(25)を有し、スプリングキャリア(16)が、ピンまたはスクリューのための対応する穴(26)を有することを特徴とする請求項1に記載の独立サスペンション。
【請求項4】
ナックルボルト(4)の部材(20,21)のお互いの回転防止が、各部材(20,21)が、他の部材のほうを向いたその端部にノッチ(27)を有し、その際組み込まれた状態で部材(20,21)が、ノッチ(27)を介して互いにかみ合っているようねじられることを特徴とする請求項1に記載の独立サスペンション。
【請求項5】
ナックルボルト(4)の部材(20,21)のお互いのおよびスプリングキャリア(16)に対する回転防止が、部材(20,21)の外側の歯(28)およびこれら歯と相互作用するスプリングキャリア(16)の内側の歯(29)を使って行われることを特徴とする請求項1に記載の独立サスペンション。
【請求項6】
ナックルボルト(4)の部材(20,21)のお互いのおよびスプリングキャリア(16)に対する軸方向の固定が、これらを介してスプリングキャリア(16)が部材(20,21)と接続されるピンまたはスクリューを介して行われることを特徴とする請求項1に記載の独立サスペンション。
【請求項7】
ナックルボルト(4)の部材(20,21)とスプリングキャリア(16)の間の軸方向および放射方向の固定が、ノッチおよびスナップリング溝を用いて行われ、その際、各部材(20,21)が、他の部材の方を向いた端部にノッチ(27)を有し、組み込まれた状態で、部材(20,21)が、ノッチ(27)を介して互いにかみ合っているようねじられており、各部材(20,21)が、ノッチが設けられていない領域にあって、他の部材の方を向いた端部に周囲溝(31)を有し、組み込まれた状態で両部材(20,21)の周囲溝(31)が、継ぎ目のないスナップリング溝を生じ、このスナップリング溝にスプリングキャリア(16)に設けられたウェブ(32)がかみ込んでいることを特徴とする請求項1に記載の独立サスペンション。
【請求項8】
スプリングキャリア(16)が、二部品として実施され、組立ての後に両部材が互いに接続され、継ぎ目のないウェブ(32)が生じることを特徴とする請求項7に記載の独立サスペンション。
【請求項9】
ナックルボルト(4)の部材(20,21)のお互いの軸方向の固定が、両部材にかみ込むピン(33)を使って行われることを特徴とする請求項1に記載の独立サスペンション。
【請求項10】
ナックルボルト(4)の部材(20,21)のお互いのおよびスプリングキャリア(16)に対する軸方向および放射方向の固定が、各部材(20,21)のスプリングキャリア(16)の方を向いた端部に設けられるねじ込みねじ山(34)を用いて行われ、このねじ込みねじ山がスプリングキャリア(16)の内側の歯(35)と相互作用することを特徴とする請求項1に記載の独立サスペンション。
【請求項11】
各部材(20,21)において、領域がねじ込みねじ山(36)に直接円すい台形状に形成されており、これによって、対応して形成されたスプリングキャリア(16)と相互作用することによって組み立てられた状態での必要な遊びの自由度が保証されることを特徴とする請求項10に記載の独立サスペンション。
【請求項12】
ナックルボルト(4)の部材(20,21)のお互いのおよびスプリングキャリア(16)に対する軸方向および放射方向の固定が、クランプを用いて、二部品として形成されるスプリングキャリア(16)のねじ込みによって行われることを特徴とする請求項1に記載の独立サスペンション。
【請求項13】
二部品として形成されるスプリングキャリア(16)の各部材が、ナックルボルト(4)の回りの領域で半円筒上に形成されていることを特徴とする請求項12に記載の独立サスペンション。
【請求項14】
ナックルボルト(4)の部材(20,21)のお互いのおよびスプリングキャリア(16)に対する軸方向の追加的な固定が、各部材(20,21)が他の部材の方を向いたその端部にリング溝(36)を有し、このリング溝にそれぞれスプリングキャリア(16)のウェブ(37)がかみ込み、その際スプリングキャリア(16)の両部材を組み合わせることにより二つの継ぎ目のないウェブ(37)が生じることを特徴とする請求項12または13に記載の独立サスペンション。
【請求項15】
上側および下側のロアアーム(10,14)のロアアーム軸受(7,11)が、ローラー軸受として形成されており、その際ナックルボルト(4)の部材(20,21)の、スプリングキャリア(16)と反対を向いた側の端部がそれぞれ、ロアアーム軸受(7,11)のためのハウジング(38,39)またはジョイントヘッドを有することを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載の独立サスペンション。
【請求項16】
ハウジング(38,39)と各部材(20,21)が一部品として形成されていることを特徴とする請求項15に記載の独立サスペンション。
【請求項17】
ナックルボルト(4)の部材(20,21)の、各ロアアーム(10,14)の方を向いた端部に球状ジョイントヘッドまたは分子状ジョイントヘッド(44)が統合されていることを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載の独立サスペンション。
【請求項18】
通しボルト(45)がナットを設けられており、このナットを介してナックルボルト(4)の両部材(20,21)が互いに接続されていることを特徴とする請求項17に記載の独立サスペンション。
【請求項19】
スクリュー(45)が設けられており、このスクリューが部材(20)か(21)一つを通り案内されており、ナックルボルト(4)の他の部材(21)または(20)内にねじ込まれていることを特徴とする請求項17に記載の独立サスペンション。
【請求項20】
両部材(20,21)のお互いのおよびスプリングキャリア(16)に対する軸方向の固定が、部材(20,21)の、スプリングキャリア(16)内に配置される端部が、円すい台形状に形成されており、スプリングキャリア(16)内に形状結合的に収容されており、その際、両部材(20,21)が、ナットを有する通しボルト(45)を用いて互いに接続されていることを特徴とする請求項17に記載の独立サスペンション。
【請求項21】
独立サスペンションであって、ダンパー(18)およびエアスプリング(19)を介してか、またはスプリング・ダンパー・モジュール(17)を介して車両フレームと接続されるスプリングキャリア(16)上に体を支えており、回転軸(5)の回りを回転可能に配置されたステアリングナックル(1)を有する独立サスペンションであり、その際、ステアリングナックル(1)はナックルボルト(4)を介してスプリングキャリア(16)と接続されており、独立サスペンションは、少なくとも一つの上側ロアアーム(10)と少なくとも一つの下側ロアアーム(14)を備え、ロアアーム(10,14)は、ナックルボルト(4)の上端部または下端部に支承されており、ステアリングナックル(1)とロアアーム(10,14)は、ナックルボルトに対して旋回可能に支承されておりかつスプリングキャリア(16)はナックルボルト(4)と回転不能に接続されており、ナックルボルト(4)は、スプリングキャリア(16)、ステアリングナックル(1)と上側および下側ロアアーム(10,14)のための接続要素を形成する前記独立サスペンションにおいて、
ナックルボルト(4)が一部品として形成されており、ロアアーム軸受け(7,11)が球状ジョイントまたは分子状ジョイント(43)として形成され、これらが、ナックルボルト(4)の各端部にねじ留めされていることを特徴とする前記独立サスペンション。
【請求項22】
独立サスペンションであって、ダンパー(18)およびエアスプリング(19)を介してか、またはスプリング・ダンパー・モジュール(17)を介して車両フレームと接続されるスプリングキャリア(16)上に体を支えており、回転軸(5)の回りを回転可能に配置されたステアリングナックル(1)を有する独立サスペンションであり、その際、ステアリングナックル(1)はナックルボルト(4)を介してスプリングキャリア(16)と接続されており、独立サスペンションは、少なくとも一つの上側ロアアーム(10)と少なくとも一つの下側ロアアーム(14)を備え、ロアアーム(10,14)は、ナックルボルト(4)の上端部または下端部に支承されており、ステアリングナックル(1)とロアアーム(10,14)は、ナックルボルトに対して旋回可能に支承されておりかつスプリングキャリア(16)はナックルボルト(4)と回転不能に接続されており、ナックルボルト(4)は、スプリングキャリア(16)、ステアリングナックル(1)と上側および下側ロアアーム(10,14)のための接続要素を形成する前記独立サスペンションにおいて、
ナックルボルト(4)が一部品として形成され、ナックルボルト(4)の端部にそれぞれ、球状ジョイントヘッドまたは分子状ジョイントヘッド(44)が統合されており、その際ジョイント組立てがロアアーム組立てとともに行われることを特徴と前記独立サスペンション。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公表番号】特表2011−502874(P2011−502874A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−533529(P2010−533529)
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【国際出願番号】PCT/EP2008/064251
【国際公開番号】WO2009/062824
【国際公開日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(504111347)ツェットエフ フリードリヒスハーフェン アクチエンゲゼルシャフト (75)
【氏名又は名称原語表記】ZF Friedrichshafen Aktiengesellschaft
【Fターム(参考)】