説明

現像ローラーの製造方法

【課題】煩雑な管理、複雑な装置を必要とせず、異物発生による塗布故障がなく導電性基体の周面に均一の膜厚で樹脂層を形成する塗布方法による現像ローラーの製造方法の提供。
【解決手段】導電性基体の周面上に、現像剤を電子写真感光体に供給する樹脂層を有する現像ローラーの製造方法において、前記樹脂層を形成する樹脂層形成用塗布液を超音波アトマイザーを使用し、前記超音波アトマイザーの噴霧口と前記導電性基体の塗布面までの距離を20mmから300mmで前記樹脂層形成用塗布液を前記導電性基体の塗布面に塗布することを特徴とする現像ローラーの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子写真方式の画像形成装置に使用する現像ローラーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、近年では高画質フルカラー化、小型化に合わせ高品質化の要求が強く求められている。電子写真方式の画像形成装置は、従来から知られているように、感光体を一様に帯電する帯電部材、感光体上に静電潜像を形成する露光部材、静電潜像をトナー像で現像する現像部材、得られたトナー像を転写体に転写する転写部材、トナー像を転写体上に定着させる定着部材、感光体上の残留トナーをクリーニングするクリーニング部材、感光体上の静電潜像を除去する除電部材等の構成部材を有している。
【0003】
それぞれの構成部材は、高品質化及び小型化に合わせに合わせ各構成部品の高品質化とローラーの長さを短くする要求がされている。
【0004】
電子写真方式の画像形成装置は、帯電したトナーを感光体上の静電潜像に接触或いは非接触で供給し、静電潜像を顕像にする現像過程を経て形成したトナー像を転写材に転写し、更に定着して最終画像を形成するものである。
【0005】
トナー像を形成するための現像方法には、キャリアーとトナーから構成される2成分現像方式と、トナーのみからなる現像剤を現像ローラーにより搬送し、現像剤規制部材との摩擦で耐電させ現像する1成分現像方式とがある。1成分現像方式はキャリアーを使用しないため現像装置が簡略化することが出来、画像形成装置を小型化することが可能となる利点がある。
【0006】
1成分現像方式に用いる現像ローラーとしては、円筒状(円柱状)の導電性基体の周面に摩擦帯電制御、輸送性制御及び画像欠陥防止のために表面に導電性微粒子を分散した樹脂層を形成したものが知られている。この樹脂層の層厚のバラツキ、欠陥等により、帯電ムラが生じトナーの搬送量にムラが発生し、現像ムラの原因となることが知られている。帯電ムラの発生を抑制する方法として樹脂層に導電性微粒子を添加する方法が知られており、この導電性微粒子により樹脂層の抵抗値や表面粗さを調整することにより、現像ローラーに担持されたトナーの帯電量及び搬送量が適切に制御され現像ゴーストなどの画像欠陥の発生が抑制される。尚、本発明で現像ゴーストとは、トナー濃度(現像剤濃度)のムラに伴い生じる画像不良を言う。
【0007】
導電性基体の塗布面に樹脂層を形成した現像ローラーの製造方法としては、樹脂層を浸漬塗布法、スプレー塗布法、リング塗布法で形成する方法が知られている。例えば、円筒状又は円柱状の導電性基体の塗布面に粗さ付与粒子を含有する塗布液を塗布して樹脂層を形成する時、塗布直後のWet膜厚と乾燥後のDry膜厚との膜厚比(Dry膜厚/Wet膜厚)が0.2から0.5になるように制御して浸漬塗布法による塗布する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、特許文献1に記載の方法の問題点として、煩雑な管理を必要とすることが挙げられる。
【0008】
円筒状又は円柱状の導電性基体の塗布面の周面にリング塗布法で樹脂層を形成する時、基体の外形振れを極小にするため、基体を6軸ロボットの6軸フランジに把持して塗布をすることで塗布ムラをなくす方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、特許文献2に記載の方法の問題点として、複雑な装置を必要とすることが挙げられる。
【0009】
円筒状又は円柱状の導電性基体の塗布面の周面にスプレー塗布法で1μm以下の膜の樹脂層を形成する時にプレー塗布回数を規定した方法が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、特許文献3に記載のスプレー塗布法は次の問題点を有していることが判った。
1)塗布液を噴霧するため気体と混合することで、塗布液の種類によっては凝集物が出来、塗布異物として塗布され塗布欠陥となる。
2)ノズルから噴霧される塗布液の霧滴濃度が、中心部が高く、周辺が低いため基体表面で膜厚のムラが生じやすく均一膜厚の塗布が難しい。
3)塗布液の飛沫の飛散が生じ、導電性基体の非塗布面へ付着し、付着物の除去に余分な工数が掛かる。
【0010】
この様な状況から、煩雑な管理、複雑な装置を必要とせず、異物発生による塗布故障がなく導電性基体の塗布面に均一の膜厚で樹脂層を塗布方法により形成する現像ローラーの製造方法の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2009−58865号公報
【特許文献2】特開2008−152127号公報
【特許文献3】特開2003−98699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、この様な状況に鑑みなされたものであり、その目的は、煩雑な管理、複雑な装置を必要とせず、異物発生による塗布故障がなく導電性基体の塗布面の周面に均一の膜厚で樹脂層を塗布方法により形成する現像ローラーの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成された。
【0014】
1.導電性基体の周面上に、現像剤を電子写真感光体に供給する樹脂層を有する現像ローラーの製造方法において、
前記樹脂層を形成する樹脂層形成用塗布液を超音波アトマイザーを使用し、
前記超音波アトマイザーの噴霧口と前記導電性基体の塗布面までの距離を20mmから300mmで前記樹脂層形成用塗布液を前記導電性基体の塗布面に塗布することを特徴とする現像ローラーの製造方法。
【0015】
2.前記樹脂層形成用塗布液の固形分濃度が3質量%から8質量%であることを特徴とする前記1に記載の現像ローラーの製造方法。
【0016】
3.前記樹脂層形成用塗布液の粘度が2mPa・sから50mPa・sであることを特徴とする前記1又は2に記載の現像ローラーの製造方法。
【0017】
4.前記樹脂層形成用塗布液を前記導電性基体の塗布面上に塗布する時、該導電性基体を600mm/minから2000mm/minの周速度で回転させながら、且つ、前記超音波アトマイザーを毎秒当たり、該超音波アトマイザーによる塗布幅の50%から90%に相当する長さを、該導電性基体の回転軸と平行する方向に移動しながら塗布することを特徴とする前記1から3の何れか1項に記載の現像ローラーの製造方法。
【0018】
5.前記樹脂層形成用塗布液を前記導電性基体の塗布面上に塗布する時、該超音波アトマイザーを固定し、該導電性基体を600mm/minから2000mm/minの周速度で回転させながら、且つ、該超音波アトマイザーの噴霧口と該導電性基体の塗布面までの距離を一定に保ちながら、該導電性基体を毎秒当たり、該超音波アトマイザーによる塗布幅の50%から90%に相当する長さを、該導電性基体の幅方向に移動しながら塗布することを特徴とする前記1から3の何れか1項に記載の現像ローラーの製造方法。
【0019】
6.前記超音波アトマイザーの塗布幅が5mmから200mmであることを特徴とする前記1から5の何れか1項に記載の現像ローラーの製造方法。
【0020】
7.前記超音波アトマイザーの前記樹脂層形成用塗布液の噴霧量が2ml/minから350ml/minであることを特徴とする前記1から6の何れか1項に記載の現像ローラーの製造方法。
【発明の効果】
【0021】
煩雑な管理、複雑な装置を必要とせず、異物発生による塗布故障がなく円筒状又は円柱状の導電性基体の周面に均一の膜厚で樹脂層を塗布方法により形成する現像ローラーの製造方法を提供することが出来た。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】電子写真方式の画像形成装置の一例を示す概略断面構成図である。
【図2】図1に示す現像ローラーの概略図である。
【図3】図1(a)に示される他の構成の現像ローラーの概略断面図である。
【図4】導電性基体の塗布面の周面に超音波アトマイザーを使用した塗布方法で樹脂層を形成し、現像ローラーを製造する製造工程の概略図である。
【図5】図4に示す製造工程の塗布装置により導電性基体の塗布面に樹脂層形成用塗布液を超音波アトマイザーで塗布している状態を示すに示す図4のB−B′に沿った概略図である。
【図6】図4に示す製造装置で、超音波アトマイザーを使用して円筒状導電性基体の表面に樹脂層形成用塗布液を塗布する時、超音波アトマイザーと円筒状導電性基体との両方を同時に動かして塗布する場合のフロー図である。
【図7】超音波アトマイザーを使用して円筒状導電性基体の表面に樹脂層形成用塗布液を塗布する時、超音波アトマイザーを固定し、円筒状導電性基体を回転しながら移動し塗布する場合のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施する形態を図1から図7を参照しながら説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0024】
図1は、電子写真方式の画像形成装置の一例を示す概略断面構成図である。尚、本図はフルカラー画像形成装置の場合を示している。
【0025】
図中、1はフルカラー画像形成装置を示す。フルカラー画像形成装置1は、複数組の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kと、転写部としての無端ベルト状中間転写体形成ユニット7と、記録媒体Pを搬送する無端ベルト状の給紙搬送手段21及び定着手段としてのベルト式定着装置24とを有する。フルカラー画像形成装置1の本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
【0026】
各感光体1Y、1M、1C、1Kに形成される異なる色のトナー像の1つとして、イエロー色の画像を形成する画像形成ユニット10Yは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1Y、感光体1Yの周囲に配置された帯電手段2Y、露光手段3Y、現像ローラー4Y1を有する現像手段4Y、一次転写手段としての一次転写ローラー5Y、クリーニング手段6Yを有する。
【0027】
又、別の異なる色のトナー像の1つとして、マゼンタ色の画像を形成する画像形成ユニット10Mは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1M、感光体1Mの周囲に配置された帯電手段2M、露光手段3M、現像ローラー4M1を有する現像手段4M、一次転写手段としての一次転写ローラー5M、クリーニング手段6Mを有する。
【0028】
又、更に別の異なる色のトナー像の1つとして、シアン色の画像を形成する画像形成ユニット10Cは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1C、感光体1Cの周囲に配置された帯電手段2C、露光手段3C、現像ローラー4C1を有する現像手段4C、一次転写手段としての一次転写ローラー5C、クリーニング手段6Cを有する。
【0029】
又、更に他の異なる色のトナー像の1つとして、黒色画像を形成する画像形成ユニット10Kは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1K、感光体1Kの周囲に配置された帯電手段2K、露光手段3K、現像ローラー4K1を有する現像手段4K、一次転写手段としての一次転写ローラー5K、クリーニング手段6Kを有する。
【0030】
無端ベルト状中間転写体形成ユニット7は、複数のローラーにより巻回され、回動可能に支持された半導電性エンドレスベルト状の第2の像担持体として無端の中間転写ベルト70を有する。
【0031】
画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kより形成された各色の画像は、一次転写ローラー5Y、5M、5C、5Kにより、回動する無端の中間転写ベルト70上に逐次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。給紙カセット20内に収容された記録媒体として用紙等の記録媒体Pは、給紙搬送手段21により給紙され、複数の中間ローラー22A、22B、22C、22D、レジストローラー23を経て、二次転写手段としての二次転写ローラー5Aに搬送され、記録媒体P上にカラー画像が一括転写される。
【0032】
カラー画像が転写された記録媒体Pは、熱ローラー定着器270が装着された定着装置24により定着処理され、排紙ローラー25に挟持されて機外の排紙トレイ26上に載置される。
【0033】
一方、二次転写ローラー5Aにより記録媒体Pにカラー画像を転写した後、記録媒体Pを曲率分離した無端の中間転写ベルト70は、クリーニング手段6Aにより残留トナーが除去される。
【0034】
画像形成処理中、一次転写ローラー5Kは常時、感光体1Kに圧接している。他の一次転写ローラー5Y、5M、5Cはカラー画像形成時にのみ、それぞれ対応する感光体1Y、1M、1Cに圧接する。
【0035】
二次転写ローラー5Aは、ここを記録媒体Pが通過して二次転写が行われる時にのみ、無端の中間転写ベルト70に圧接する。
【0036】
又、装置本体Aから筐体8を支持レール82L、82Rを介して引き出し可能にしてある。筐体8は、画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kと、無端ベルト状中間転写体形成ユニット7とを有する。
【0037】
画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kは、垂直方向に縦列配置されている。感光体1Y、1M、1C、1Kの図示左側方には無端ベルト状中間転写体形成ユニット7が配置されている。無端ベルト状中間転写体形成ユニット7は、ローラー71、72、73、74、76を巻回して回動可能な無端の中間転写ベルト70、一次転写ローラー5Y、5M、5C、5K及びクリーニング手段6Aとを有している。
【0038】
筐体8の引き出し操作により、画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kと、無端ベルト状中間転写体形成ユニット7とは、一体となって、本体Aから引き出される。
【0039】
この様に感光体1Y、1M、1C、1Kの外周面上を帯電、露光し外周面上に潜像を形成した後、現像によりトナー像(顕像)を形成し、無端の中間転写ベルト70上で各色のトナー像を重ね合わせ、一括して記録媒体Pに転写し、ベルト式定着装置24で加圧及び加熱により固定して定着する。尚、本発明で像形成時とは潜像形成、トナー像(顕像)を記録媒体Pに転写し最終画像を形成することを含む。
【0040】
トナー像を記録媒体Pに転移させた後の感光体1Y、1M、1C、1Kは、各感光体1Y、1M、1C、1Kに配設されたクリーニング手段6Y、6M、6C、6Kで転写時に感光体に残されたトナーを清掃した後、上記の帯電、露光、現像のサイクルに入り、次の像形成が行われる。
【0041】
上記カラー画像形成装置では、中間転写体をクリーニングするクリーニング手段6Aのクリーニング部材として、弾性ブレードを用いる。又、各感光体に脂肪酸金属塩を塗布する手段(11Y、11M、11C、11K)を設けている。尚、脂肪酸金属塩としては、トナーで用いたと同じものを用いることが出来る。
【0042】
図2は図1に示す現像ローラーの概略図である。図2(a)は図1に示す現像ローラーの概略斜視図である。図2(b)は図2(a)のA−A′に沿った概略断面図である。
【0043】
図中、4Y1は現像ローラーを示す。現像ローラー4Y1は、本体4Y11と、本体4Y11の両側に取り付け部材(不図示)を介して取り付けられた保持部材4Y12とを有している。4Y11aは本体4Y11の端面を示す。本体4Y11は円筒状の導電性基体4Y1aと、円筒状の導電性基体4Y1aの周面に形成された第1樹脂層4Y1a1と、第2樹脂層4Y1a2と、第3樹脂層4Y1a3とを有している。第1樹脂層4Y1a1は接着層として機能を有しており、必要に応じて設けることが可能となっている。第2樹脂層4Y1a2は帯電付与機能を有しており必要に応じて複数の層から形成されることもある。第3樹脂層4Y1a3は第2樹脂層4Y1a2の保護層としての機能を有しており、必要に応じて設けることが可能となっている。
【0044】
保持部材4Y12の形状は現像ローラーを取り付ける側の形式により変わるため特に限定はなく、本図に示される保持部材4Y12は、径が異なる第1保持部材4Y12aと第2保持部材4Y12bとから構成されている場合を示している。本図に示される現像ローラー4Y1で、樹脂層が形成されている部分は導電性基体4Y1aの周面と両端の端面4Y11aであり、保持部材4Y12は樹脂層が形成されていない状態となっている。即ち、本図に示される現像ローラー4Y1では保持部材4Y12が非塗膜形成領域となっている。
【0045】
導電性基体4Y1aの直径は1.0mmから30mmが好ましい。第1樹脂層4Y1a1の乾燥塗膜の厚さは、0.5μmから100μmが好ましい。第2樹脂層4Y1a2の乾燥塗膜の厚さは、0.5μmから200μmが好ましい。第2樹脂層4Y1a2は単一層であっても複数層からなる多層構成であってもよく、必要に応じて適宜選択することが可能である。第3樹脂層4Y1a3の乾燥塗膜の厚さは、0.5μmから200μmが好ましい。
【0046】
図3は図1(a)に示される他の構成の現像ローラーの概略断面図である。
【0047】
図中、4Y′11は図2(a)に示される現像ローラーの本体を示す。本体4Y′11は導電性基体4Y′1aと、導電性基体4Y′1aの周面に形成された第1樹脂層(弾性層)4Y′1bと、第1樹脂層4Y′1bの周面に形成された第2樹脂層4Y′1cと、第2樹脂層4Y′1cの周面に形成された第3樹脂層4Y′1dとを有している。第1樹脂層4Y′1bは弾性層としての機能を有している。第2樹脂層4Y′1cは帯電付与機能を有しており必要に応じて複数の層から形成されることもある。第3樹脂層4Y′1dは第2樹脂層4Y′1cの保護層としての機能を有している。尚、樹脂層4Y′1dは必要に応じて設けることが可能となっている。
【0048】
導電性基体4Y′1aは直径が1.0mmから30mmが好ましい。第1樹脂層(弾性層)4Y′1bの乾燥塗膜の厚さは、10μmから1000μmが好ましい。第2樹脂層の乾燥塗膜の厚さは、0.5μmから200μmが好ましい。第2樹脂層4Y′1cは単一層であっても複数層からなる多層構成であってもよく、必要に応じて適宜選択することが可能である。第3樹脂層4Y′1dの乾燥塗膜の厚さは、0.5μmから200μmが好ましい。
【0049】
尚、図1に示す他の現像ローラー4M1、4C1、4K1の構成は図2、図3に示す現像ローラーの構成と同じである。
【0050】
図2、図3に示される導電性基体は円筒状又は円柱状であってもよく必要に応じて選択することが可能となっている。
【0051】
本発明で樹脂層とは、図2、図3に示される第1樹脂層、第2樹脂層、第3樹脂層を含むものである。
【0052】
本発明は、図1から図3に示す現像ローラーの樹脂層の膜厚のバラツキ、欠陥をなくすことで、帯電ムラ、トナーの搬送量のムラをなくした現像ローラーの製造方法に関するものである。
【0053】
図4は、導電性基体の塗布面の周面に超音波アトマイザーを使用した塗布方法で樹脂層を形成し、現像ローラーを製造する製造工程の概略図である。図4(a)は導電性基体の塗布面の周面に超音波アトマイザーを使用した塗布方法で樹脂層を形成し、現像ローラーを製造する製造工程の概略斜視図である。図4(b)は図4(a)に示される製造工程の概略正面図である。尚、本図は導電性基体として円柱状の導電性基体を使用している場合を示している。
【0054】
図中、9は製造工程を示す。製造工程9は保持部9aと塗布部9bとを有している。保持部9aは第1保持台9a1と、第2保持台9a2と、駆動用モーター9a3とを有している。駆動用モーター9a3は第1保持台9a1上に配設されており、導電性基体10の保持部材10aと接続部材を介して駆動用モーター9a3の回転軸に接続されている。第2保持台9a2には導電性基体10の他方の保持部材10bを受ける受け部9a21が配設されており、これにより、駆動用モーター9a3の回転により導電性基体10を回転させながら保持することが可能となっている。
【0055】
塗布部9bは、塗布装置9b1と、駆動部9b2とを有している。9b11は塗布装置9b1に樹脂層形成用塗布液を供給する塗布液供給管を示す。塗布装置9b1は取り付け部材9b12によりガイドレール9b4に円筒状(円柱状)の導電性基体10の幅方向に沿って平行に移動可能に取り付けられている。尚、本図では塗布装置9b1への塗布液供給部、制御部は省略してある。
【0056】
駆動部9b2はモーター9b21とガイドレール取り付け板9b3とを有している。ガイドレール取り付け板9b3には、取り付け部材9b12を取り付け、保持部9aに保持された導電性基体10の回転軸と平行に塗布装置9b1を移動(図中の矢印方向)させるための2本のガイドレール9b4が配設されている。
【0057】
モーター9b21は、取り付け部材9b12の上に取り付けられたスライド用ネジ9b13と螺合し、取り付け部材9b12を保持部9aに保持された導電性基体10の幅よりも長く移動させる長さの雌ネジ9b22を有している。
【0058】
モーター9b21を駆動させることで、スライド用ネジ9b13の回転に伴い、取り付け部材9b12に取り付けられた塗布装置9b1が導電性基体10の回転軸と平行に幅方向に移動することが可能となっている。
【0059】
使用する導電性基体10は円柱状の導電性基体の場合を示しているが円筒状の導電性基体であってもよく、適宜選択することが可能である。
【0060】
本図は、導電性基体の保持位置を固定した状態で導電性基体を回転させ、塗布装置を導電性基体の回転軸と平行に移動させる方式の塗布装置であるが、塗布装置を固定し、導電性基体を回転させながら導電性基体の幅方向に移動させる方式も可能である。幅方向とは、保持部材10bから保持部材10aの方向を言う。塗布装置9b1としては超音波アトマイザーが使用されている。
【0061】
本発明で超音波アトマイザーとは、加圧することなしに液体を供給し、ピエゾセラミックの振動により超音波アトマイザー(ノズル)を振動させ、そこで供給された液体を振動させ、きめ細かい粒子を形成し噴霧する装置を言う。
【0062】
超音波アトマイザーとしては市販の超音波アトマイザーの使用が可能である。例えば、超音波アトマイザー(ティックコーポレーション(株)製)、超音波スプレーコーティング装置(USI社製)、超音波スプレーノズルシステム(ソノテック社製)が挙げられる。
【0063】
本図は導電性基体を横にした状態で塗布をしている場合を示しているが、導電性基体を立てた状態で塗布することも勿論可能である。
【0064】
図5は図4に示す製造工程の塗布装置により導電性基体の塗布面に樹脂層形成用塗布液を超音波アトマイザーで塗布している状態を示すに示す図4のB−B′に沿った概略図である。図5(a)は図4に示す製造工程の塗布装置により導電性基体の塗布面に樹脂層形成用塗布液を超音波アトマイザーで塗布している状態を示すに示す図4のB−B′に沿った概略断面図である。図5(b)は図5(a)のPで示す部分の拡大概略平面図である。尚、本図では取り付け部材、ガイドレール、スライド用ネジ等は省略してある。
【0065】
図中、Jは塗布装置9b1の噴霧口9b1aから導電性基体10の塗布面までの距離を示す。距離Jは、20mmから300mmである。20mm未満の場合は、噴霧口9b1aから噴霧された液滴が導電性基体10の塗布面から跳ね返ることにより、膜厚と表面粗さが不均一となるため好ましくない。300mmを超える場合は、噴霧口9b1aから噴霧された液滴が風(環境)の影響を受け、所望位置を外れ、膜厚と表面粗さとが不均一となるため好ましくない。
【0066】
Kは噴霧口9b1aから噴霧された液滴により導電性基体10の塗布面の上に形成された円形の塗布領域Lの幅を示す。幅Kは塗布領域Lの直径を示すと同時に塗布幅も示す。幅Kは、液滴同士が隣接することによる液滴の粗大化、液滴間の隙間、膜厚と表面粗さの安定化等を考慮し、5mmから200mmが好ましい。Mは円形の塗布領域Lの周辺を示す。Nは円形の塗布領域Lの中心を示す。
【0067】
塗布液供給管9b11から塗布装置9b1に供給される樹脂層形成用塗布液の固形分濃度は、ウエット膜厚、膜厚ムラ、膜厚コントロール、表面粗さ等を考慮し、3質量%から8質量%であることが好ましい。
【0068】
樹脂層形成用塗布液の粘度は、液滴形成性を考慮し、50mPa・s以下であることが好ましい。更に好ましくは、2mPa・sから50mPa・sである。
【0069】
導電性基体を回転させながら、位置を固定し、塗布装置である超音波アトマイザーを導電性基体の回転軸と平行に移動させる塗布方法の場合、導電性基体の回転速度と超音波アトマイザーの移動距離の関係を以下に示す。
【0070】
樹脂層形成用塗布液を塗布している時、導電性基体10の回転の周速度は、液滴への搬送時の風邪の影響による膜厚、表面粗さ等を考慮し、600mm/minから2000mm/minが好ましい。
【0071】
樹脂層形成用塗布液を塗布している時、導電性基体10の回転軸方向に平行に移動させる超音波アトマイザーの距離は毎秒当たり、液滴への超音波アトマイザーの移動に伴う風邪の影響による膜厚、表面粗さ等を考慮し、超音波アトマイザーによる塗布幅の50%から90%に相当する長さが好ましい。具体的には、幅Kが80mmの場合、超音波アトマイザーは40mm/secから72mm/secで移動することになる。
【0072】
超音波アトマイザーを固定し、導電性基体を回転させながら、超音波アトマイザーの噴霧口と導電性基体の塗布面までの距離を一定に保ち、導電性基体を導電性基体の幅方向に移動させる塗布方法の場合、導電性基体の回転速度と超音波アトマイザーの移動距離の関係を以下に示す。
【0073】
樹脂層形成用塗布液を塗布している時、導電性基体10の回転する周速度は、液滴への搬送時の風邪の影響による膜厚、表面粗さ等を考慮し、600mm/minから2000mm/minが好ましい。
【0074】
導電性基体10の移動する距離は毎秒当たり、液滴への導電性基体10の移動に伴う風邪の影響による膜厚、表面粗さ等を考慮し、超音波アトマイザーによる塗布幅の50%から90%に相当する長さが好ましい。具体的には、幅Kが80mmの場合、導電性基体10は40mm/secから72mm/secで移動することになる。
【0075】
樹脂層形成用塗布液の導電性基体10の表面への塗布回数は、必要に応じて適宜設定することが好ましい。尚、塗布回数とは、超音波アトマイザーが導電性基体10の端辺の塗布開始点で塗布を開始し、対向する導電性基体10の端辺にまで移動し導電性基体10の設定された塗布面の全周に塗布した時を塗布1回とした回数を言う。
【0076】
樹脂層形成用塗布液を塗布する時、超音波アトマイザーからの噴霧量は、液滴形成、液垂れ、導電性基体10の塗布面からの液滴の跳ね返り等を考慮し、350ml/min以下であることが好ましい。更に好ましくは2ml/minから350ml/minである。
【0077】
次に、図4に示す製造装置で、超音波アトマイザーを使用して導電性基体の塗布面に樹脂層形成用塗布液の塗布するフローを図6に示す。
【0078】
次に、図4に示す製造装置で、超音波アトマイザーを使用して導電性基体の塗布面に樹脂層形成用塗布液の塗布するフローを図6に示す。
【0079】
図6は図4に示す製造装置で、超音波アトマイザーを使用して導電性基体の塗布面に樹脂層形成用塗布液を塗布する時、超音波アトマイザーと導電性基体との両方を同時に動かして塗布する場合のフロー図である。
【0080】
ステップ1は、塗布開始点に超音波アトマイザーを設定し、樹脂層形成用塗布液を塗布する塗布開始の状態を示す。この時、円形の噴霧領域Lの辺Mは導電性基体10の端辺の予め設定された位置になる様に、又、超音波アトマイザーの噴霧から導電性基体10の塗布面までの距離は、20mmから300mmに設定される。尚、塗布開始点は噴霧領域Lの中心Nを言う。
【0081】
ステップ2は、樹脂層形成用塗布液の塗布が開始された後、数分の状態を示す。塗布は導電性基体10の位置は固定し、回転している状態で、超音波アトマイザーが同時に導電性基体10の回転軸と平行方向に移動(噴霧領域Lが移動する)(図中の矢印a方向)しながら行われる。円筒状(円柱状)の導電性基体10は、周速度600mm/minから2000mm/minで回転することが好ましい。超音波アトマイザーは、導電性基体10の回転軸方向と平行する方向に、毎秒当たり、超音波アトマイザーによる塗布幅(図5に示す塗布領域Lの幅K)の50%から90%に相当する長さを移動することが好ましい。本図は超音波アトマイザーを超音波アトマイザーによる塗布幅(図5に示す塗布領域Lの幅K)の50%に相当する長さを移動しながら塗布を行っている状態を示す。
【0082】
ステップ3は、超音波アトマイザーが移動(図中の矢印a方向)し、噴霧領域Lの周辺Mが導電性基体10の塗布を開始した導電性基体10の端辺と対向する導電性基体10の端辺に設定された位置に到達した状態を示す。
【0083】
ステップ4は、ステップ3の状態から導電性基体10が1回転して導電性基体10の周面の全面に樹脂層形成用塗布液が塗布された状態を示す。
【0084】
本発明では、ステップ4に示す状態を塗布1回と言う。以後、必要に応じて、塗布開始した導電性基体10の端辺に向けて超音波アトマイザーを移動(図中の矢印b方向)し、ステップ2からステップ4の操作を繰り返すことで設定した厚さの樹脂層を形成することが可能である。
【0085】
図7は超音波アトマイザーを使用して導電性基体の表面に樹脂層形成用塗布液を塗布する時、超音波アトマイザーを固定し、導電性基体を回転しながら移動し塗布する場合のフロー図である。尚、本図は超音波アトマイザーは省略してある。
【0086】
ステップ1は、塗布開始点に超音波アトマイザーを設定し、樹脂層形成用塗布液を塗布する塗布開始の状態を示す。この時、円形の噴霧領域Lの辺Mは導電性基体10の端辺の予め設定された位置になる様に、又、超音波アトマイザーの噴霧から円筒状(円柱状)の導電性基体10の塗布面までの距離は、20mmから300mmに設定される。尚、塗布開始点は噴霧領域Lの中心Nを言う。
【0087】
ステップ2は、樹脂層形成用塗布液の塗布が開始された後、数分の状態を示す。塗布は超音波アトマイザーの位置は固定した状態で、導電性基体10は回転している状態で超音波アトマイザーの噴霧口と導電性基体の塗布面との距離を保ちながら円筒状(円柱状)の導電性基体10の幅方向(図中の矢印c方向)に移動しながら行われる。
【0088】
円筒状(円柱状)の導電性基体10は、周速度600mm/minから2000mm/minで回転することが好ましい。導電性基体10の移動は、毎秒当たり、超音波アトマイザーによる塗布幅(図5に示す塗布領域Lの幅K)の50%から90%に相当する長さを移動することが好ましい。本図は導電性基体を超音波アトマイザーによる塗布幅(図5に示す塗布領域Lの幅K)の50%に相当する長さを移動しながら塗布を行っている状態を示す。
【0089】
ステップ3は、導電性基体10が移動(図中の矢印c方向)し、噴霧領域Lの周辺Mが円筒状(円柱状)の導電性基体10の塗布を開始した端辺と対向する端辺に設定された位置に到達した状態を示す。
【0090】
ステップ4は、ステップ3の状態から円筒状(円柱状)の導電性基体10が回転して円筒状(円柱状)の導電性基体10の周面の全面に樹脂層形成用塗布液が塗布された状態を示す。
【0091】
本発明では、ステップ4に示す状態を塗布1回と言う。以後、必要に応じて、塗布開始した円筒状(円柱状)の導電性基体10の端辺に向けて円筒状(円柱状)の導電性基体10を移動(図中の矢印d方向)し、ステップ2からステップ4の操作を繰り返すことで設定した厚さの樹脂層を形成することが可能である。
【0092】
超音波アトマイザーを使用して円筒状(円柱状)の導電性基体の塗布面の周面に、超音波アトマイザーの噴霧口と円筒状(円柱状)の導電性基体の表面までの距離を20mmから300mmで樹脂層形成用塗布液を塗布し樹脂層を形成することで次の効果が得られた。
1)塗布する際に塗布液の凝集物の発生がなくなり、異物発生による塗布故障がなくなり、トナーの搬送量にムラがなくなり、安定した画像を得ることが可能となった。
2)膜厚のムラがなく、均一の樹脂層が得られ帯電量にムラがなくなり、トナーの搬送量が一定になり、安定した画像を得ることが可能となった。
3)煩雑な管理、複雑な装置を必要とせず、管理に掛ける工数の削減が可能となり生産効率の向上が可能となった。
【0093】
次に、本発明の現像ローラーを構成している材料に付き説明する。
【0094】
(導電性基体)
現像ローラー用基体である円筒状又は円柱状基体は、現像ローラーの表面に蓄積される電荷をリークさせる部材も兼ねるため、導電性の金属で構成されることが好ましい。代表的なものとして、直径1.0〜30mmのステンレス鋼(例えばSUS304)、鉄、アルミニウム、ニッケル、アルミニウム合金、ニッケル合金等の導電性金属があり、又金属の粉体物やカーボンブラック等の導電性材料を樹脂中に充填させた導電性樹脂で構成されるものでもよい。
【0095】
(弾性層(図3の第1樹脂層に該当する))
弾性層としては一般的にシリコーンゴムが使用されており、例えば、オルガノポリシロキサンに無機充填剤や、過酸化ベンゾイルなどの硬化剤を添加してよく混練、成形後加熱して加硫し硬化させたものが挙げられる。例えば、ジメチルポリシロキサンとメチルビニルシロキサンからなるメチルビニルポリシロキサンを有機過酸化物により架橋させて得ることが出来る。架橋の度合いによりその弾性率は異なるが、JIS A 硬度が10〜60°程度の弾性体であることが好ましい。
【0096】
又、この弾性層は抵抗を調整し、低抵抗化したものが使用される。低抵抗化するためには、カーボンブラック、グラファイト、酸化亜鉛、酸化錫、酸化チタンなどの低抵抗成分を含有させることが好ましい。この場合、これらの材料の抵抗としては1×10−4〜1×10Ω・cmの体積固有抵抗を有する材料を使用することが好ましい。特に好ましいものとして、グラファイト、ケッチェンブラック、アセチレンブラックなどを挙げることが出来る。又、添加量は特に限定されるものではないが、弾性層を構成するシリコーンゴム100質量部に対して10質量部から100質量部が好ましい。
【0097】
(樹脂層(図2の第1樹脂層、第2樹脂層及び図3の第2樹脂層が該当する))
樹脂層を構成する樹脂としては架橋性の樹脂が好ましい。架橋性の樹脂とは、熱や触媒、空気、湿気、電子線等により自己架橋する樹脂、或いは架橋剤や他の架橋性の樹脂との反応により架橋する樹脂を言う。例えば、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエーテル樹脂、アミノ樹脂、尿素樹脂、及びこれらの樹脂の混合物等が挙げられる。又、樹脂−シリカハイブリッド体等が挙げられる。樹脂層中には、必要に応じて、導電剤、非導電性フィラー、粗さ粒子(無機粒子、有機粒子)、架橋剤、触媒、分散促進剤など、各種の添加剤を主成分の樹脂材料に適宜配合することが出来る。
【0098】
導電剤としては、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウム、銅、錫、ステンレス鋼などの各種導電性金属又は合金、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化チタン、酸化錫−酸化アンチモン固溶体、酸化錫−酸化インジウム固溶体などの各種導電性金属酸化物、これらの導電性材料で被覆された絶縁性物質などの微粉末を用いることが出来る。これらの内、カーボンブラックは、比較的容易に入手出来、又、主成分の樹脂材料の種類によらず、良好な帯電性が得られるため、好適に利用出来る。又導電性を付与する手段として、導電剤に代えて、或いは、導電剤とともに、導電性高分子化合物を添加する手法も利用出来る。例えば、導電性高分子化合物としては、ホストポリマーとして、ポリアセチレン、ポリ(p−フェニレン)、ポリピロール、ポリチオフェニン、ポリ(p−フェニレンオキシド)、ポリ(p−フェニレンスルフィド)、ポリ(p−フェレンビニレン)、ポリ(2,6−ジメチルフェニレンオキサイド)、ポリ(ビスフェノールaカーボネート)、ポリビニルカルバゾール、ポリジアセチレン、ポリ(n−メチル−4−ビニルピリジン)、ポリアニリン、ポリキノリン、ポリ(フェニレンエーテルスルフォン)などを使用し、これらにドーパントして、AsF、I、Br、SO、Na、K、ClO、FeCl、F、Cl、Br、I、Kr等の各イオン、Li、TCNQ(7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン)等をドープしたものが、従来から用いられている。
【0099】
非導電性フィラーとしては、珪藻土、石英粉末、乾式シリカ、湿式シリカ、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミノケイ酸、炭酸カルシウム等を挙げることが出来る。
【0100】
粗さ粒子としての無機粒子としては、上記導電剤、非導電性フィラーに使用した各種無機粒子の使用が可能である。粗さ粒子としての有機粒子としては次の樹脂粒子の使用が可能である。例えば、SBR、BR、NBR、CR、EVA、EP、ACR、EPDM、シリコーンゴム等からなるゴム粒子、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド系等の熱可塑性エラストマー粒子、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ナフタレン樹脂、フラン樹脂、キシレン樹脂、ジビニルベンゼン重合体、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリアクリロニトリル樹脂等からなる樹脂粒子等を挙げることが出来る。
【0101】
架橋剤としては、ポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物、ポリアルデヒド化合物、ポリアミン化合物、ポリエポキシ化合物などが挙げられる。又、触媒としては、過酸化物などのラジカル触媒、塩基触媒、酸触媒などが挙げられる。
【0102】
(樹脂層(図2の第3樹脂層、図3の第3樹脂層が該当する))
表面側に用いられる樹脂としては、樹脂層に使用した樹脂を使用することが可能であり、これらの中でJIS A 硬度が60°から90°、100%モジュラスが5×10Paから30×10Paのものが好ましい。
【0103】
(塗布液調製用の溶媒)
塗布液の調製に用いられる溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素系溶媒、酢酸エチルなどのエステル系溶媒、イソプロピルエーテルなどのエーテル系溶媒、水及びこれらの混合物などが挙げられる。必要に応じ、レベリング剤として高沸点溶媒やシリコーン化合物などを混合してもよい。
【実施例】
【0104】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0105】
実施例1
現像ローラーとして図2に示す第1樹脂層、第2樹脂層、第3樹脂層の構成を有する現像ローラーを以下に示す方法で作製した。
【0106】
(円柱状の導電性基体の準備)
図2に示される現像ローラー用の基体として、両端に直径9mmの第1保持部材と直径7mmの第2保持部材とから構成された保持部材が設けられた、直径16mm、肉厚1.5mm、長さ240mmのステンレス鋼(SUS304)製の円柱状の導電性基体を準備した。
【0107】
(樹脂層形成用塗布液の調製)
下記に示す第1樹脂層形成用塗布液、第2樹脂層形成用塗布液、第3樹脂層形成用塗布液を調製した。
【0108】
(第1樹脂層形成用塗布液の調製)
プライマーNo.4(信越化学工業) 100質量部
(第2樹脂層形成用塗布液の調製)
ポリウレタン樹脂 50質量部
カーボンブラック(ファーネスブラック) 15質量部
架橋アクリル樹脂(粗さ粒子) 10質量部
MEK 1000質量部
総固形分濃度は7.0質量%とした。
【0109】
粘度30mPa・s(CBC(株)製ラボ用高精度粘度計VM−200T3を用いて23℃で測定した。)
(第3樹脂層形成用塗布液の調製)
熱可塑性ポリウレタン樹脂 50質量部
カーボンブラック(ファーネスブラック) 15質量部
THF 1000質量部
総固形分濃度は6.1質量%とした。
【0110】
粘度15mPa・s(CBC(株)製ラボ用高精度粘度計VM−200T3を用いて23℃で測定した。)
(現像ローラーの作製)
第1樹脂層形成用塗布液の塗布
準備した円柱状の導電性基体の周面に図4に示す製造工程で塗布装置として超音波アトマイザー使用し、超音波アトマイザーの噴出口と円筒状の導電性基体の塗布面(表面)との距離100mm、塗布幅を83mmとして以下に示す条件で調製した第1樹脂層形成用塗布液を塗布した後、140℃で60分間乾燥し厚さ1μmの第1樹脂層を形成した円筒状の導電性基体を作製しNo.aとした。超音波アトマイザーはティックコーポレーション(株)製を使用した。
【0111】
同じ第1樹脂層形成用塗布液を浸漬塗布方式で引上げ速度3mm/secで、準備した円柱状の導電性基体の周面に塗布した後、同じ条件で乾燥し厚さ1μmの第1樹脂層を形成した円柱状の導電性基体を作製しNo.bとした。尚、他の超音波アトマイザーの塗布条件を以下に示す。
【0112】
吐出ノズル直径:2mm
超音波周波数:100kHz
平均液滴径:200μm
噴霧量:100ml/sec
円柱状の導電性基体の回転する時の周速度:600mm/min
超音波アトマイザーの移動の距離:毎秒当たり塗布幅の50%
塗布回数:5回
第2樹脂層形成用塗布液の塗布
準備した第1樹脂層を形成した円柱状の導電性基体No.aの第1樹脂層の上に図4に示す製造工程で塗布装置に超音波アトマイザーを使用し、超音波アトマイザーの噴出口と円柱状の導電性基体の塗布面(表面)との距離を100mm、塗布幅を83mmとして以下に示す条件で調製した第2樹脂層形成用塗布液を塗布した後、140℃で60分間乾燥し厚さ10μmの第2樹脂層を形成した円柱状の導電性基体を作製しNo.1−aとした。超音波アトマイザーはティックコーポレーション(株)製を使用した。
【0113】
同じ第2樹脂層形成用塗布液を浸漬塗布方式で引上げ速度3mm/secで、準備した第1樹脂層を形成した円柱状の導電性基体No.bの周面に塗布した後、同じ条件で乾燥し厚さ10μmの第2樹脂層を形成した円柱状の導電性基体を作製しNo.1−bとした。他の超音波アトマイザーの塗布条件を以下に示す。
【0114】
吐出ノズル直径:2mm
超音波周波数:100kHz
平均液滴径:200μm
噴霧量:100ml/sec
円柱状の導電性基体の回転する時の周速度:600mm/min
超音波アトマイザーの移動の距離:毎秒当たり塗布幅の50%
塗布回数:5回
第3樹脂層形成用塗布液の塗布
準備した第2樹脂層までを形成した円筒状の導電性基体No.1−aの第2樹脂層の上に図4に示す製造工程で塗布装置として超音波アトマイザー使用し、表1に示す様に超音波アトマイザーの噴出口と円筒状の導電性基体の塗布面(表面)との距離を変えて以下に示す条件で調製した第3樹脂層形成用塗布液を塗布した後、140℃で60分間乾燥し厚さ5μmの第3樹脂層を形成し、現像ローラーを作製し試料No.101から106とした。超音波アトマイザーはティックコーポレーション(株)製を使用した。
【0115】
同じ第3樹脂層形成用塗布液を浸漬塗布方式で引上げ速度3mm/secで、準備した円筒状の導電性基体1−gの周面に塗布した後、同じ条件で乾燥し厚さ5μmの第3樹脂層を形成した現像ローラーを作製し比較試料No.107とした。尚、他の超音波アトマイザーの塗布条件を以下に示す。
【0116】
吐出ノズル直径:2mm
超音波周波数:100kHz
平均液滴径:200μm
噴霧量:100ml/sec
円筒状の導電性基体の回転する時の周速度:600mm/min
超音波アトマイザーの移動の距離:毎秒当たり塗布幅の50%
塗布回数:5回
【0117】
【表1】

【0118】
評価
作製した試料No.101から107に付き、樹脂層厚均一性、細線再現性、カブリ、画像濃度を以下に示す試験方法で試験し、以下に示す評価ランクで評価した結果を表2に示す。
【0119】
樹脂層厚均一性
現像ローラーの樹脂層を長さ方向20点、周面で8点測定し、以下に示す式より計算でバラツキを求め樹脂層厚均一性とした。尚、樹脂層の厚さは、(株)フィッシャー・インストルメンツ(型式MMS)で測定した。
【0120】
樹脂層厚のバラツキ(%)=((最大樹脂層厚−最小樹脂層厚)/平均樹脂層厚)×100
樹脂層厚均一性の評価ランク
◎:樹脂層厚のバラツキが3%未満
○:樹脂層厚のバラツキが3%以上、5%未満
△:樹脂層厚のバラツキが5%以上、7%未満
×:樹脂層厚のバラツキが7%以上、10%未満
××:樹脂層厚のバラツキが10%以上
細線再現性の評価方法
評価装置として、市販のカラーレーザープリンタ「Magicolor 2300DL2300DL(コニカミノルタビジネステクノロジーズ(株)製)」を用い、作製した現像ローラーNo.201〜207を現像装置に装填して、常温低湿環境(20℃、10%RH)にて画素率20%(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色5%のフルカラーモード)でA4サイズにて3000枚の連続プリントを行い、初期と3000枚プリント後に画素率が10%のオリジナル画像(細線画像、人物顔写真、ベタ白画像、ベタ黒画像がそれぞれ1/4等分にあるA4サイズのオリジナル画像)をプリントして10倍のルーペを用いて細線部を拡大し、カスレの有無を目視で評価することにより、解像度の評価を行った。
【0121】
細線再現性の評価ランク
◎:殆どカスレなし
○:エッジに僅かにカスレあり(ルーペを用いない場合、カスレは認識出来ない)
△:1/4未満のカスレ
×:1/4以上のカスレ
カブリ
細線再現性の評価に使用したオリジナル画像のベタ白画像部をマクベス反射濃度計「RD−918」で測定し、転写紙の反射濃度を0として相対反射濃度でカブリを評価した。
【0122】
カブリの評価ランク
◎:カブリ濃度が0.00以上、0.003未満
○:カブリ濃度が0.003以上、0.005未満
△:カブリ濃度が0.05以上、0.01未満
×:カブリ濃度が0.01以上
(画像濃度)
ベタ黒画像部の濃度を反射濃度計「RD−918」を用いて12点測定し、その平均反射濃度で評価した。紙の反射濃度を「0」とする相対反射濃度にて評価した。
【0123】
◎:ベタ黒画像部の濃度1.30以上
○:ベタ黒画像部の濃度1.20以上、1.30未満
△:ベタ黒画像部の濃度1.10以上、1.20未満
×:ベタ黒画像部の濃度1.10未満
【0124】
【表2】

【0125】
導電性基体の周面上に、現像剤を電子写真感光体に供給する樹脂層を有する現像ローラーを製造する時、樹脂層を形成する樹脂層形成用塗布液を超音波アトマイザーを使用し、超音波アトマイザーの噴霧口と導電性基体の塗布面までの距離を20mmから300mmで樹脂層形成用塗布液を導電性基体の塗布面に塗布することで製造した試料No.102から105は樹脂層厚均一性、細線再現性、カブリ、画像濃度何れも優れた結果を示した。
【0126】
超音波アトマイザーの噴霧口と導電性基体の塗布面までの距離を10mm、350mmと本発明の範囲から外した条件で第1樹脂層から第3樹脂層の何れかを形成して作製した試料No.101、106は本発明の試料に対して樹脂層厚均一性、細線再現性、カブリ、画像濃度何れも劣る結果を示した。又、従来の付ける浸漬塗布方法で作製した試料No.107は樹脂層厚均一性、細線再現性、カブリ、画像濃度何れも一番劣る結果を示した。本発明の有効性が確認された。
【0127】
実施例2
現像ローラーとして図2に示す第1樹脂層、第2樹脂層、第3樹脂層の構成を有する現像ローラーを以下に示す方法で作製した。
【0128】
(円柱状の導電性基体の準備)
実施例1と同じ円柱状の導電性基体を準備した。
【0129】
(樹脂層の形成)
(第1樹脂層形成用塗布液の調製)
実施例1で準備した第1樹脂層形成用塗布液と同じ第1樹脂層形成用塗布液を調製する時、固形分濃度を5%とした他は同じ方法で第1樹脂層形成用塗布液を調製した。尚、固形分濃度は、1−プロパノールとメチルイソブチルケトンの添加量を変化させることで行った。又、粘度は増粘剤の添加量で一定となる様に調整することで行った。
【0130】
(第2樹脂層形成用塗布液の調製)
実施例1で準備した第2樹脂層形成用塗布液と同じ第2樹脂層形成用塗布液を調製する時、固形分濃度を5%とした他は同じ方法で第2樹脂層形成用塗布液を調製した。尚、固形分濃度は、1−プロパノールとメチルイソブチルケトンの添加量を変化させることで行った。又、粘度は増粘剤の添加量で一定となる様に調整することで行った。
【0131】
(第3樹脂層形成用塗布液の調製)
実施例1で準備した第3樹脂層形成用塗布液と同じ第3樹脂層形成用塗布液を調製する時、表3に示す様に固形分濃度を変化した他は同じ方法で第3樹脂層形成用塗布液を調製しNo.aからeとした。尚、固形分濃度は、1−プロパノールとメチルイソブチルケトンの添加量を変化させることで行った。又、粘度は増粘剤の添加量で一定となる様に調整することで行った。
【0132】
【表3】

【0133】
(第1樹脂層形成用塗布液の塗布)
準備した第1樹脂層形成用塗布液を、実施例1の試料No.104を作製した時と同じ塗布条件で準備した円柱状の導電性基体の周面に塗布し、厚さ1μmの第1樹脂層を形成した円柱状の導電性基体を作製した。
【0134】
(第2樹脂層形成用塗布液の塗布)
準備した第2樹脂層形成用塗布液を実施例1の試料No.104を作製した時と同じ塗布条件で準備した第1樹脂層を形成した円柱状の導電性基体の第1樹脂層の上に厚さ10μmの第2樹脂層を形成した円柱状の導電性基体を作製した。
【0135】
(第3樹脂層形成用塗布液の塗布)
準備した第3樹脂層形成用塗布液No.aからeを実施例1の試料No.104を作製した時と同じ塗布条件で準備した第2樹脂層を形成した円柱状の導電性基体の第2樹脂層の上に厚さ5μmの第3樹脂層を形成し、現像ローラーを作製し試料No.201から205とした。
【0136】
評価
作製した試料No.201から205に付き、樹脂層厚均一性、細線再現性、カブリ、画像濃度を実施例1と同じ方法で試験し、同じ評価ランクで評価した結果を表4に示す。
【0137】
【表4】

【0138】
超音波アトマイザーを使用し、噴出口と感光体の表面までの距離を本発明の50mmとして樹脂層形成用塗布液を感光層の表面に塗布する際、樹脂層形成用塗布液の固形分濃度が3質量%から8質量%であれば何れも膜厚安定性、表面粗さ安定性、耐久性で優れた性能を示すことが確認された。本発明の有効性が確認された。本発明の有効性が確認された。
【0139】
実施例3
現像ローラーとして図2に示す第1樹脂層、第2樹脂層、第3樹脂層の構成を有する現像ローラーを以下に示す方法で作製した。
【0140】
(円柱状の導電性基体の準備)
実施例1と同じ円柱状の導電性基体を準備した。
【0141】
(樹脂層の形成)
(第1樹脂層形成用塗布液の調製)
実施例1で準備した第1樹脂層形成用塗布液と同じ第1樹脂層形成用塗布液を調製する時、粘度を10mPa・sと変化した他は同じ方法で第1樹脂層形成用塗布液を調製した。尚、粘度は、増粘剤の添加量を変化させることで行った。粘度は、ビスコテック(株)製回転式粘度計で測定した値を示す。
【0142】
(第2樹脂層形成用塗布液の調製)
実施例1で準備した第2樹脂層形成用塗布液と同じ第2樹脂層形成用塗布液を調製する時、粘度を15mPa・sと変化した他は同じ方法で第2樹脂層形成用塗布液を調製した。尚、粘度は、増粘剤の添加量を変化させることで行った。粘度は、ビスコテック(株)製回転式粘度計で測定した値を示す。
【0143】
(第3樹脂層形成用塗布液の調製)
実施例1で準備した第3樹脂層形成用塗布液と同じ第3樹脂層形成用塗布液を調製する時、表5に示す様に粘度を変化した他は同じ方法で第3樹脂層形成用塗布液を調製しNo.3−aから3−fとした。尚、固形分濃度は、1−プロパノールとメチルイソブチルケトンの添加量を変化させることで行った。又、粘度は増粘剤の添加量で一定となる様に調整することで行った。
【0144】
【表5】

【0145】
(第1樹脂層形成用塗布液の塗布)
準備した第1樹脂層形成用塗布液を、実施例1の試料No.104を作製した時と同じ塗布条件で準備した円柱状の導電性基体の周面に塗布し、厚さ1μmの第1樹脂層を形成した円柱状の導電性基体を作製した。
【0146】
(第2樹脂層形成用塗布液の塗布)
準備した第2樹脂層形成用塗布液を実施例1の試料No.104を作製した時と同じ塗布条件で準備した第1樹脂層を形成した円柱状の導電性基体の第1樹脂層の上に塗布し、厚さ10μmの第2樹脂層を形成した円柱状の導電性基体を作製した。
【0147】
(第3樹脂層形成用塗布液の塗布)
準備した第3樹脂層形成用塗布液No.3−aから3−fを実施例1の試料No.104を作製した時と同じ塗布条件で表6に示す様に、準備した第2樹脂層を形成した円柱状の導電性基体の第2樹脂層の上に塗布し、厚さ5μmの第3樹脂層を形成し、現像ローラーを作製し試料No.301から306とした。
【0148】
評価
作製した試料No.301から306に付き、樹脂層厚均一性、細線再現性、カブリ、画像濃度を実施例1と同じ方法で試験し、同じ評価ランクで評価した結果を表6に示す。
【0149】
【表6】

【0150】
超音波アトマイザーを使用し、噴出口と感光体の表面までの距離を本発明の50mmとして樹脂層形成用塗布液を塗布する際、樹脂層形成用塗布液の粘度が2mPa・sから50mPa・sであれば何れも膜厚安定性、表面粗さ安定性、耐久性で優れた性能を示すことが確認された。本発明の有効性が確認された。本発明の有効性が確認された。
【0151】
実施例4
現像ローラーとして図2に示す第1樹脂層、第2樹脂層、第3樹脂層の構成を有する現像ローラーを以下に示す方法で作製した。
【0152】
(円柱状の導電性基体の準備)
実施例1と同じ円柱状の導電性基体を準備した。
【0153】
(樹脂層の形成)
(第1樹脂層形成用塗布液の調製)
実施例1で準備した第1樹脂層形成用塗布液と同じ第1樹脂層形成用塗布液を調製した。
【0154】
(第2樹脂層形成用塗布液の調製)
実施例1で準備した第2樹脂層形成用塗布液と同じ第2樹脂層形成用塗布液を調製した。
【0155】
(第3樹脂層形成用塗布液の調製)
実施例1で準備した第3樹脂層形成用塗布液と同じ第3樹脂層形成用塗布液を調製した。
【0156】
(第1樹脂層形成用塗布液の塗布)
準備した第1樹脂層形成用塗布液を、準備した円柱状の導電性基体の周面に塗布する時、円柱状の導電性基体の回転速度(周速度)を1000mm/min、超音波アトマイザーを円筒状の導電性基体の回転軸と平行する方向に移動する距離を超音波アトマイザーによる塗布幅の50%の長さとし、図6に示すフローに従って5回塗布を行い、第1樹脂層を形成した円柱状の導電性基体を作製した。その他の超音波アトマイザーの条件は実施例1の試料No.104と同じ条件で行った。
【0157】
(第2樹脂層形成用塗布液の塗布)
準備した第2樹脂層形成用塗布液を、準備した第1樹脂層を形成した円柱状の導電性基体の第1樹脂層の上に塗布する時、円柱状の導電性基体の回転速度を1000mm/min、超音波アトマイザーを第1樹脂層を形成した円筒状の導電性基体の回転軸と平行する方向に移動する距離を超音波アトマイザーによる塗布幅の50%の長さとし、図6に示すフローに従って5回塗布を行い、第2樹脂層迄を形成した円柱状の導電性基体を作製した。その他の超音波アトマイザーの条件は実施例1の試料No.104と同じ条件で行った。
【0158】
(第3樹脂層形成用塗布液の塗布)
準備した第3樹脂層形成用塗布液を、準備した第2樹脂層を形成した円柱状の導電性基体の第2樹脂層の上に塗布する時、表7に示す様に円柱状の導電性基体の回転速度(周速度)と、超音波アトマイザーを第2樹脂層を形成した円筒状の導電性基体の回転軸と平行する方向に移動する距離を変化しながら図6に示すフローに従って5回塗布を行い、第3樹脂層を形成し現像ローラーを作製し試料No.401から412とした。その他の超音波アトマイザーの条件は実施例1の試料No.104と同じ条件で行った。
【0159】
【表7】

【0160】
評価
作製した試料No.401から412に付き、樹脂層厚均一性、細線再現性、カブリ、画像濃度を実施例1と同じ方法で試験し、実施例1と同じ評価ランクで評価した結果を表8に示す。
【0161】
【表8】

【0162】
樹脂層形成用塗布液を円柱状の導電性基体の塗布面に塗布する時、導電性基体を周速度600mm/minから2000mm/minで回転させながら、且つ前記超音波アトマイザーを毎秒当たり、該超音波アトマイザーによる塗布幅の50%から90%に相当する長さを、円筒状の導電性基体の回転軸方向に平行に移動しながら塗布することを繰り返し行い塗布する方法で塗布した試料No.402から405、408から411は、何れも樹脂層厚均一性、細線再現性、カブリ濃度で優れた性能を示すことが確認された。本発明の有効性が確認された。
【0163】
実施例5
現像ローラーとして図2に示す第1樹脂層、第2樹脂層、第3樹脂層の構成を有する現像ローラーを以下に示す方法で作製した。
【0164】
(円柱状の導電性基体の準備)
実施例1と同じ円柱状の導電性基体を準備した。
【0165】
(樹脂層の形成)
(第1樹脂層形成用塗布液の調製)
実施例1で準備した第1樹脂層形成用塗布液と同じ第1樹脂層形成用塗布液を調製した。
【0166】
(第2樹脂層形成用塗布液の調製)
実施例1で準備した第2樹脂層形成用塗布液と同じ第2樹脂層形成用塗布液を調製した。
【0167】
(第3樹脂層形成用塗布液の調製)
実施例1で準備した第3樹脂層形成用塗布液と同じ第3樹脂層形成用塗布液を調製した。
【0168】
(第1樹脂層形成用塗布液の塗布)
準備した第1樹脂層形成用塗布液を、準備した円柱状の導電性基体の周面に塗布する時、超音波アトマイザーの位置を固定し、円柱状の導電性基体の回転速度(周速度)1000mm/minと、円筒状の導電性基体の回転軸方向に移動する距離を超音波アトマイザーによる塗布幅の50%とし、図7に示すフローに従って5回塗布を行い厚さ1μmの第1樹脂層を形成した円柱状の導電性基体を作製した。その他の超音波アトマイザーの条件は実施例1の試料No.104と同じ条件で行った。
【0169】
(第2樹脂層形成用塗布液の塗布)
準備した第2樹脂層形成用塗布液を、準備した第1樹脂層を形成した円柱状の導電性基体の第1樹脂層の上に塗布する時、超音波アトマイザーの位置を固定し、円柱状の導電性基体の回転速度(周速度)1000mm/minと、円筒状の導電性基体の回転軸方向に移動する距離を超音波アトマイザーによる塗布幅の50%とし、図7に示すフローに従って5回塗布を行い、厚さ10μmの第2樹脂層迄を形成した円柱状の導電性基体を作製した。その他の超音波アトマイザーの条件は実施例1の試料No.104と同じ条件で行った。
【0170】
(第3樹脂層形成用塗布液の塗布)
準備した第3樹脂層形成用塗布液を、準備した第2樹脂層を形成した円柱状の導電性基体の第2樹脂層の上に塗布する時、超音波アトマイザーの位置を固定し、表9に示す様に円柱状の導電性基体の回転速度(周速度)と、円柱状の導電性基体の回転軸方向に移動する距離(超音波アトマイザーによる塗布幅に対する%)を変化しながら図7に示すフローに従って5回塗布を行い、厚さ5μmの第3樹脂層を形成し現像ローラーを作製し試料No.501から512とした。その他の超音波アトマイザーの条件は実施例1の試料No.104と同じ条件で行った。
【0171】
【表9】

【0172】
評価
作製した試料No.501から512に付き、樹脂層厚均一性、細線再現性、カブリ、画像濃度を実施例1と同じ方法で試験し、実施例1と同じ評価ランクで評価した結果を表10に示す。
【0173】
【表10】

【0174】
樹脂層形成用塗布液を円柱状の導電性基体の塗布面に塗布する時、超音波アトマイザーを固定し、導電性基体を周速度600mm/minから2000mm/minで回転させながら、且つ円柱状の導電性基体を毎秒当たり、超音波アトマイザーによる塗布幅の50%から90%に相当する長さを、円筒状の導電性基体の回転軸方向に移動しながら塗布することを繰り返し行い塗布する方法で塗布した試料No.502から505、508から511は何れも樹脂層厚均一性、細線再現性、カブリ濃度で優れた性能を示すことが確認された。本発明の有効性が確認された。
【0175】
実施例6
現像ローラーとして図2に示す第1樹脂層、第2樹脂層、第3樹脂層の構成を有する現像ローラーを以下に示す方法で作製した。
【0176】
(円柱状の導電性基体の準備)
実施例1と同じ円柱状の導電性基体を準備した。
【0177】
(樹脂層の形成)
(第1樹脂層形成用塗布液の調製)
実施例1で準備した第1樹脂層形成用塗布液と同じ第1樹脂層形成用塗布液を調製した。
【0178】
(第2樹脂層形成用塗布液の調製)
実施例1で準備した第2樹脂層形成用塗布液と同じ第2樹脂層形成用塗布液を調製した。
【0179】
(第3樹脂層形成用塗布液の調製)
実施例1で準備した第3樹脂層形成用塗布液と同じ第3樹脂層形成用塗布液を調製した。
【0180】
(第1樹脂層形成用塗布液の塗布)
準備した第1樹脂層形成用塗布液を準備した円筒状の導電性基体の周面に塗布する際、塗布幅を100mmとして塗布した以外は、実施例1の試料No.104を作製した時と同じ塗布条件で塗布し、厚さ1μmの第1樹脂層を形成した円柱状の導電性基体を作製した。尚、超音波アトマイザーの塗布幅は超音波アトマイザーの噴出口と感光体の表面までの距離を変えることで行った。
【0181】
(第2樹脂層形成用塗布液の塗布)
準備した第2樹脂層形成用塗布液を準備した第1樹脂層を形成した円柱状導電性基体の第1樹脂層の上に塗布する際、塗布幅を100mmとした以外は、実施例1の試料No.104を作製した時と同じ塗布条件で塗布し、厚さ10μmの第2樹脂層を形成した円柱状の導電性基体を作製した。尚、超音波アトマイザーの塗布幅は超音波アトマイザーの噴出口と感光体の表面までの距離を変えることで行った。
【0182】
(第3樹脂層形成用塗布液の塗布)
準備した第3樹脂層形成用塗布液を準備した第2樹脂層を形成した円筒状の導電性基体の第2樹脂層の上に塗布する際、表11に示す様に塗布幅を変えて塗布した以外は、実施例1の試料No.104を作製した時と同じ塗布条件で塗布し、厚さ5μmの現像ローラーを作製し試料No.601から606とした。尚、超音波アトマイザーの塗布幅は超音波アトマイザーの噴出口と感光体の表面までの距離を変えることで行った。
【0183】
評価
作製した試料No.601から606に付き、樹脂層厚均一性、細線再現性、カブリ、画像濃度を実施例1と同じ方法で試験し、実施例1と同じ評価ランクで評価した結果を表11に示す。
【0184】
【表11】

【0185】
超音波アトマイザーを使用し、樹脂層形成用塗布液を円柱状の導電性基体の塗布面に塗布する際、超音波アトマイザーの塗布幅が5mmから200mmであれば何れも膜厚安定性、表面粗さ安定性、耐久性で優れた性能を示すことが確認された。本発明の有効性が確認された。
【0186】
実施例7
現像ローラーとして図2に示す第1樹脂層、第2樹脂層、第3樹脂層の構成を有する現像ローラーを以下に示す方法で作製した。
【0187】
(円柱状の導電性基体の準備)
実施例1と同じ円柱状の導電性基体を準備した。
【0188】
(樹脂層の形成)
(第1樹脂層形成用塗布液の調製)
実施例1で準備した第1樹脂層形成用塗布液と同じ第1樹脂層形成用塗布液を調製した。
【0189】
(第2樹脂層形成用塗布液の調製)
実施例1で準備した第2樹脂層形成用塗布液と同じ第2樹脂層形成用塗布液を調製した。
【0190】
(第3樹脂層形成用塗布液の調製)
実施例1で準備した第3樹脂層形成用塗布液と同じ第3樹脂層形成用塗布液を調製した。
【0191】
(第1樹脂層形成用塗布液の塗布)
準備した第1樹脂層形成用塗布液を準備した円筒状の導電性基体の表面に塗布する際、噴霧量を5ml/minとした以外は、実施例1の試料No.104を作製した時と同じ塗布条件で塗布し、厚さ1μmの第1樹脂層を形成した円柱状の導電性基体を作製した。
【0192】
(第2樹脂層形成用塗布液の塗布)
準備した第2樹脂層形成用塗布液を準備した第1樹脂層を形成した円柱状の導電性基体の第1樹脂層の上に塗布する際、噴霧量を10ml/minとした以外は、実施例1の試料No.104を作製した時と同じ塗布条件で塗布し、厚さ10μmの第2樹脂層を形成した円柱状の導電性基体を作製した。
【0193】
(第3樹脂層形成用塗布液の塗布)
準備した第3樹脂層形成用塗布液を準備した第2樹脂層を形成した円柱状の導電性基体の第2樹脂層の上に塗布する際、表12に示す様に噴霧量を変えて厚さ5μmの第3樹脂層を形成し現像ローラーを作製し試料No.701から707とした。尚、その他の条件は、実施例1の試料No.104を作製した時と同じ塗布条件で塗布した。
【0194】
評価
作製した試料No.701から707に付き、樹脂層厚均一性、細線再現性、カブリ、画像濃度を実施例1と同じ方法で試験し、実施例1と同じ評価ランクで評価した結果を表12に示す。
【0195】
【表12】

【0196】
超音波アトマイザーを使用し、噴出口と円柱状の導電性基体の塗布面までの距離を本発明の50mmとして樹脂層形成用塗布液を塗布する際、超音波アトマイザーの噴霧量を2ml/minから350ml/minであれば何れも膜厚安定性、表面粗さ安定性、耐久性で優れた性能を示すことが確認された。本発明の有効性が確認された。
【符号の説明】
【0197】
1フルカラー画像形成装置
10Y、10M、10C、10K 画像形成ユニット
1Y、1M、1C、1K 感光体
4Y1、4M1、4C1、4K1 現像ローラー
4Y1a、4Y′1a、10 導電性基体
4Y1a1、4Y′1b 第1樹脂層
4Y1a2、4Y′1c 第2樹脂層
4Y1a3、4Y′1d 第3樹脂層
7 無端ベルト状中間転写体形成ユニット
70 中間転写ベルト
9 製造工程
9a 保持部
9b 塗布部
9b1 塗布装置
9b11 塗布液供給管
9b2 駆動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性基体の周面上に、現像剤を電子写真感光体に供給する樹脂層を有する現像ローラーの製造方法において、
前記樹脂層を形成する樹脂層形成用塗布液を超音波アトマイザーを使用し、
前記超音波アトマイザーの噴霧口と前記導電性基体の塗布面までの距離を20mmから300mmで前記樹脂層形成用塗布液を前記導電性基体の塗布面に塗布することを特徴とする現像ローラーの製造方法。
【請求項2】
前記樹脂層形成用塗布液の固形分濃度が3質量%から8質量%であることを特徴とする請求項1に記載の現像ローラーの製造方法。
【請求項3】
前記樹脂層形成用塗布液の粘度が2mPa・sから50mPa・sであることを特徴とする請求項1又は2に記載の現像ローラーの製造方法。
【請求項4】
前記樹脂層形成用塗布液を前記導電性基体の塗布面上に塗布する時、該導電性基体を600mm/minから2000mm/minの周速度で回転させながら、且つ、前記超音波アトマイザーを毎秒当たり、該超音波アトマイザーによる塗布幅の50%から90%に相当する長さを、該導電性基体の回転軸と平行する方向に移動しながら塗布することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の現像ローラーの製造方法。
【請求項5】
前記樹脂層形成用塗布液を前記導電性基体の塗布面上に塗布する時、該超音波アトマイザーを固定し、該導電性基体を600mm/minから2000mm/minの周速度で回転させながら、且つ、該超音波アトマイザーの噴霧口と該導電性基体の塗布面までの距離を一定に保ちながら、該導電性基体を毎秒当たり、該超音波アトマイザーによる塗布幅の50%から90%に相当する長さを、該導電性基体の幅方向に移動しながら塗布することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の現像ローラーの製造方法。
【請求項6】
前記超音波アトマイザーの塗布幅が5mmから200mmであることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の現像ローラーの製造方法。
【請求項7】
前記超音波アトマイザーの前記樹脂層形成用塗布液の噴霧量が2ml/minから350ml/minであることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の現像ローラーの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−118024(P2011−118024A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−273303(P2009−273303)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】