説明

現像ローラー及びそれを用いた電子写真装置

【課題】トナーに対する摩擦現像の均一性及び耐久安定性に優れた現像ローラーを提供し、また現像効率が良好で、濃度が高く鮮明でカブリの少ない均一な画像が得られる電子写真装置を提供すること。
【解決手段】通電性のシャフトと、該シャフトの外周に弾性層、一層以上の被覆層を順次設けてなる現像ローラーであって、その表面に担持された負帯電性現像剤により、静電荷像担持体上の静電潜像を現像する現像ローラーにおいて、表面層となる被覆層が、水酸基有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー、アミノ基を有する(メタ)アクリルアミドモノマー、及び(メタ)アクリル酸エステルモノマーを含む共重合モノマーを共重合して得られた正荷電制御樹脂を含有させる。また、上記の現像ローラーを静電荷像担持体の表面に対向して接触または近接した状態で有し、かつ、現像剤が負帯電性現像剤である画像形成装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真装置で用いられる現像ローラー、およびそれを用いた電子写真装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機やレーザービームプリンターのような電子写真装置における現像方法として、一成分現像剤(トナー)を、トナー規制部材によってトナー担持体上に薄層コートさせ、静電荷像担持体(例えば感光ドラム)に接触または近接させ、トナー担持体から静電荷像担持体表面に移転させて、静電荷像担持体上の静電潜像を現像する一成分現像法が知られている。このような現像法に用いられるトナー担持体としては、例えば、金属(芯金)の周囲に弾性層を設け、その上に必要に応じて表面被覆層を設けたローラー形状の現像ローラー、あるいは弾性層のない現像スリーブが用いられている。
【0003】
この一成分現像法においては、現像効率が良好で画像濃度が高く鮮明でカブリの少ない均一な画像を安定して得るためには、現像ローラーまたは現像スリーブのトナーに対する均一な摩擦帯電性付与性および耐久安定性が必要である。しかしながら、このような技術が完全には実現されていないのが現状である。
【0004】
例えば、現像ローラーを繰り返し回転動作しているうちに、トナーが劣化し、トナーの帯電能および現像効率が低下するため、画像濃度薄が発生する場合や、又高温環境下では、トナー帯電量の低下が著しく、カブリが発生する場合がある。
【0005】
最近では電子写真の更なる高画質化のために、トナーの小粒径化及び微粒子化が図られている。例えば、画像の解像度やシャープネスさを向上させる目的で、静電潜像を忠実に再現するために、粒子径約6〜7μm以下の小サイズのトナーを用いるのが趨勢である。また、ファーストコピータイムの短縮化や省電力化の目的で、トナーの定着点(熔融温度)を極限にまで下げる努力が払われている。このような状況下、トナーは現像器内のトナー規制部材、現像ローラー等による物理的なストレスに繰り返しさらされ、またこのようなストレスで併発する熱的ストレスにもさらされてトナー自体が劣化し、またそれによって現像ローラーなどの現像部材表面の汚染やトナー融着が引き起こされ、結果としてトナーに対して均一かつ安定な帯電性付与が困難になっている。
【0006】
また最近、荷電制御剤を利用する方法が提案されている。荷電制御剤として、有機溶剤に可溶な荷電制御樹脂を用いる方法が提案されており、現像スリーブに用いる方法(例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3)が報告されている。これらはいずれも主として、アミノ基含有モノマーとメタクリル酸メチルとの共重合体を荷電制御樹脂として使用している。
【特許文献1】特開2000−242033号公報
【特許文献2】特開2002−244426号公報
【特許文献3】特開2003−005507号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の文献に記載された荷電制御樹脂を現像ローラーに適用しても、トナーに対する摩擦帯電の均一性及び耐久安定性はある程度改善できると期待されるが、近年急速に高性能化が進んでいる電子写真装置に対応するため、その特性についてさらなる改善が望まれている。
【0008】
本発明の目的は、上記課題を解決し、トナーに対する摩擦現像の均一性及び耐久安定性に優れた現像ローラーを提供し、また現像効率が良好で、濃度が高く鮮明でカブリの少ない均一な画像が得られる電子写真装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実際に著者らが種々の構造を有する荷電制御樹脂を合成し、それを現像ローラーに適用してその効果を確認したところ、特定の構造を有する荷電制御樹脂において帯電制御能が顕著であることを見出した。
【0010】
本発明は、通電性のシャフトと、該シャフトの外周に弾性層、一層以上の被覆層を順次設けてなる現像ローラーであって、その表面に担持された負帯電性現像剤により、静電荷像担持体上の静電潜像を現像する現像ローラーにおいて、該現像ローラーの表面層となる被覆層が、下記式(1)で示される水酸基含有モノマー、下記式(2)で示されるアミノ基含有モノマー、及び下記式(3)で示される(メタ)アクリル酸エステルモノマーを含有する共重合モノマーを共重合して得られた正荷電性制御樹脂を含有することを特徴とする現像ローラーである。
【0011】
【化1】

【0012】
(式(1)中、Xは水素原子またはメチル基を表し、Yは炭素数2〜6の二価の有機基を表す。)
【0013】
【化2】

【0014】
(式(2)中、Xは水素原子またはメチル基を表し、YはOまたはNHを表し、Zは炭素数1〜7の二価の有機基を表す。R1及びR2は、各々水素原子、または、酸基を除く置換基で置換されていても良い炭素数1〜20のアルキル基、あるいは、R1及びR2が化学的に結合した炭素数4〜20の環状構造、または、R1及びR2が化学的に結合した、窒素原子、酸素原子、イオウ原子の少なくとも一種を含む炭素数4〜19の環状構造、を表す。)
【0015】
【化3】

【0016】
(式(3)中、R3は炭素数4以上のアルキル基、R4は水素原子またはメチル基を表す。)
また、本発明は、静電荷像担持体と、該静電荷像担持体の表面を帯電させるための帯電装置と、該静電荷像担持体の帯電領域に静電潜像を形成するための静電潜像形成装置と、該静電荷像担持体の表面に形成された静電潜像に負帯電性現像剤を供給して該静電潜像を顕像化して画像とするための現像装置と、該画像を転写材に転写するための転写装置と、を有する電子写真装置において、前記現像装置が具備する現像ローラーが、前記の現像ローラーであることを特徴とする電子写真装置である。
【発明の効果】
【0017】
本発明のような構成とすることで、トナーに対する摩擦現像の均一性及び耐久安定性に優れた現像ローラーとなる。また、現像効率が良好で、濃度が高く鮮明でカブリの少ない均一な画像が得られる電子写真装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の現像ローラーは、通電性のシャフトと、該シャフトの外周に弾性層、一層以上の被覆層を順次設けてなるものであり、その表面層となる被覆層に正荷電制御樹脂を含有する。そして、表面に担持された負帯電性現像剤により、静電荷像担持体上の静電潜像を現像する現像ローラーとして使用可能なものである。この正荷電制御樹脂によりトナーに対する摩擦現像の均一性及び耐久安定性に優れるようになる。ここで荷電制御樹脂とは、樹脂に添加することで、摩擦により発生する荷電量を適正量に制御する機能を有する樹脂のことである。本発明では、アミノ基等を有し、樹脂に正の荷電を付与する機能を有する正荷電制御樹脂を使用する。
【0019】
本発明の現像ローラーで用いられる正荷電制御樹脂は、下記式(1)で示される水酸基含有モノマー、下記式(2)で示されるアミノ基含有モノマー、及び下記式(3)で示される(メタ)アクリル酸エステルモノマーを含有する共重合モノマーを共重合して得られた正荷電制御樹脂である。
【0020】
【化4】

【0021】
(式(1)中、Xは水素原子またはメチル基を表し、Yは炭素数2〜6の二価の有機基を表す。)
【0022】
【化5】

【0023】
(式(2)中、Xは水素原子またはメチル基を表し、YはOまたはNHを表し、Zは炭素数1〜7の二価の有機基を表す。R1及びR2は各々水素原子、または、酸基を除く置換基で置換されていても良い炭素数1〜20のアルキル基、あるいは、R1及びR2が化学的に結合した炭素数4〜20の環状構造、または、R1及びR2が化学的に結合した、窒素原子、酸素原子、イオウ原子の少なくとも一種を含む炭素数4〜19の環状構造、を表す。)
【0024】
【化6】

【0025】
(式(3)中、R3は炭素数4以上のアルキル基、R4は水素原子またはメチル基を表す。)
式(1)で示される水酸基含有モノマーとしては、2−ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート等が例示される。なお、「(メタ)アクリレート」はメタクリレートあるいはアクリレートを意味する(以下、同様)。式(1)で示される水酸基含有モノマーは、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0026】
式(1)におけるYは、炭素数2〜6のアルキレン基が好ましく、炭素数2〜4のアルキレン基がより好ましい。式(1)におけるYは、直鎖でも良く、分岐していても良く、環状構造を有していても良い。
【0027】
式(1)で示される水酸基含有モノマーの含有量は、共重合モノマーの0.5〜99.5質量%とすることが好ましい。0.5質量%以上とすることで、ベース樹脂に対する水酸基の割合が適切になり、正荷電性制御樹脂の効果が得られやすくなり、99.5質量%以下とすることで、ベース樹脂中に正荷電性制御樹脂が均一に分散しやすくなる。より好ましくは1〜90質量%である。
【0028】
式(2)で示されるアミノ基含有モノマー(YがOのもの)としては、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、p−N,N−ジメチルアミノフェニル(メタ)アクリレート、p−N,N−ジエチルアミノフェニル(メタ)アクリレート、p−N,N−ジプロピルアミノフェニル(メタ)アクリレート、p−N,N−ジブチルアミノフェニル(メタ)アクリレート、p−N−ラウリルアミノフェニル(メタ)アクリレート、p−N−ステアリルアミノフェニル(メタ)アクリレート、p−N,N−ジメチルアミノベンジル(メタ)アクリレート、p−N,N−ジエチルアミノベンジル(メタ)アクリレート、p−N,N−ジプロピルアミノベンジル(メタ)アクリレート、p−N,N−ジブチルアミノベンジル(メタ)アクリレート、p−N−ラウリルアミノベンジル(メタ)アクリレート、p−N−ステアリルアミノベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイロキシメチルモルホリン、(メタ)アクリロイロキシエチルモルホリン等が例示される。なお、「(メタ)アクリレート」は、メタクリレートあるいはアクリレートを意味する(以下、同様)。これらのモノマーは、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0029】
式(2)で示されるアミノ基含有モノマー(YがNHのもの)としては、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、p−N,N−ジメチルアミノフェニル(メタ)アクリルアミド、p−N,N−ジエチルアミノフェニル(メタ)アクリルアミド、p−N,N−ジプロピルアミノフェニル(メタ)アクリルアミド、p−N,N−ジブチルアミノフェニル(メタ)アクリルアミド、p−N−ラウリルアミノフェニル(メタ)アクリルアミド、p−N−ステアリルアミノフェニル(メタ)アクリルアミド、p−N,N−ジメチルアミノベンジル(メタ)アクリルアミド、p−N,N−ジエチルアミノベンジル(メタ)アクリルアミド、p−N,N−ジプロピルアミノベンジル(メタ)アクリルアミド、p−N,N−ジブチルアミノベンジル(メタ)アクリルアミド、p−N−ラウリルアミノベンジル(メタ)アクリルアミド、p−N−ステアリルアミノベンジル(メタ)アクリルアミド等が例示される。なお、「(メタ)アクリルアミド」はメタクリルアミドあるいはアクリルアミドを意味する(以下、同様)。これらのモノマーは、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0030】
式(2)で示されるアミノ基含有モノマーは、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。2種以上を組み合わせる場合、式(2)のYが、Oのモノマーを全て選んでも、NHのモノマーを全て選んでも、両方のモノマーをそれぞれ選んでも良い。
【0031】
式(2)におけるZは、炭素数1〜7のアルキレン基であることが好ましく、炭素数2〜4のアルキレン基であることがより好ましい。Zは、直鎖でも良く、分岐していても良く、環状構造を有していても良い。また、式(2)におけるR1およびR2は、各々水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、あるいは、R1及びR2が化学的に結合した、窒素原子、酸素原子、イオウ原子の少なくとも一種を含む炭素数4〜19の環状構造であることが好ましく、炭素数1〜4のアルキル基、あるいは、R1及びR2が化学的に結合した、酸素原子を含む炭素数4〜8の環状構造であることが好ましい。R1及びR2は、直鎖でも良く、分岐していても良く、環状構造を有していても良い。
【0032】
式(2)で示されるアミノ基含有モノマーの含有量は、共重合モノマーの0.5〜99.5質量%とすることが好ましい。0.5質量%以上とすることで、摩擦帯電量が充分なものとなりやすく、99.5質量%以下とすることで、ベース樹脂中に正荷電性制御樹脂が均一に分散しやすくなる。より好ましくは、3〜90質量%である。
【0033】
式(3)で示される(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、iso−オクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート等が例示される。なお、「(メタ)アクリレート」はメタクリレートあるいはアクリレートを意味する(以下、同様)。これらのモノマーは、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0034】
式(3)におけるR3は、炭素数4以上のアルキル基であることが好ましく、炭素数6以上のアルキル基であることがより好ましく、炭素数8以上のアルキル基であることがさらに好ましい。また、式(3)におけるR3は、炭素数20以下のアルキル基であることが好ましい。式(3)におけるR3は、直鎖でも良く、分岐していても良く、環状構造を有していても良い。
【0035】
式(3)で示される(メタ)アクリル酸エステルモノマーの含有量は、共重合モノマーの0.5〜99.5質量%とすることが好ましい。0.5質量%以上とすることで、摩擦帯電量が充分なものとなりやすく、99.5質量%以下とすることで、ベース樹脂中に正荷電性制御樹脂が均一に分散しやすくなる。より好ましくは、3〜90質量%である。
【0036】
また、式(1)で示される水酸基含有モノマー、式(2)で示されるアミノ基含有モノマー、及び式(3)で示される(メタ)アクリル酸エステルモノマーの合計は、共重合モノマーの30〜100質量%とすることが好ましい。30質量%以上とすることで摩擦帯電量が充分なものとなりやすい。より好ましくは50〜100質量%である。
【0037】
本発明の現像ローラーに用いる正荷電制御樹脂を得るための共重合モノマーは、上述のようなモノマー以外に、それと共重合可能な他のモノマーを含むこともできる。共重合可能な他のモノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンの如きスチレン系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニルの如きビニルエステル系モノマー;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル系モノマー;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトンの如きビニルケトン系モノマー等が挙げられ、現像ローラーなったときに要求される物性に応じて適宜決定すれば良い。共重合可能な他のモノマーは単独で、または2種以上のモノマーを組み合わせて用いることができる。
【0038】
共重合可能な他のモノマーは、共重合モノマーの70質量%を超えない量とすることが好ましい。
【0039】
本発明の現像ローラーで用いる正荷電性制御樹脂を得るための重合方法としては、特に限定されるものではないが、塊状重合法、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法等が挙げられる。反応を容易に制御できる点から溶液重合法が好ましい。溶液重合法で使用する溶媒としては、特に限定されるものではないが、キシレン、トルエン、酢酸エチル、酢酸イソブチル、イソプロピルアルコール、メタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド等が用いらる。その際の溶媒と共重合モノマーとの比は、特に限定されるものではないが、溶媒100質量部に対して共重合モノマー30〜400質量部で行うのが好ましい。
【0040】
本発明の現像ローラーで用いる正荷電性制御樹脂を重合するために使用する重合開始剤としては、特に限定されるものではない。例えば、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、クミルパーピバレート、t−ブチルパーオキシラウレート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等が挙げられ、これらから適宜選択した1種で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0041】
重合開始剤は共重合モノマー100質量部に対し、0.05〜30質量部(より好ましくは0.1〜15質量部)とすることが好ましい。重合反応の温度としては、特に限定するものではなく、使用する溶媒、重合開始剤、共重合モノマーに応じて設定することができるが、40℃〜150℃で行うのが好ましい。
【0042】
本発明の現像ローラーで用いる正荷電性制御樹脂の重量平均分子量(Mw)は2000〜50万が好ましい。2000以上とすることで、ブリードアウトしにくくなる。50万以下とすることで、ベース樹脂中に正荷電性制御樹脂が均一に分散しやすくなる。より好ましくは、3000〜30万である。
【0043】
本発明の現像ローラーで用いる正荷電性制御樹脂のガラス転移温度(Tg)は−100〜180℃が好ましい。−100℃以上とすることで、粘着性が小さく摩擦係数も小さくできる。180℃以下とすることで、ベース樹脂中に正荷電性制御樹脂が均一に分散しやすくなる。より好ましくは、−90〜170℃である。
【0044】
本発明の現像ローラーで用いる正荷電性制御樹脂のアミノ価は5〜450mgKOH/gが好ましい。5mgKOH/g以上とすることで、帯電量が充分なものとなり、450mgKOH/g以下とすることで、ベース樹脂中に正荷電性制御樹脂が均一に分散しやすくなる。より好ましくは、50〜350mgKOH/gである。
【0045】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0046】
図1は本発明の現像ローラーの一つの実施形態の概略を示すもので、(a)は現像ローラーの軸線に沿った概略断面図、(b)は現像ローラーを軸方向からみた図である。この図に示す形態の現像ローラー114は、良導電性のシャフトとなる芯金114aの外周に弾性層114b及び1層の被覆層114cを設けたものである。
【0047】
芯金114aは、成形時や実使用時に耐えうる強度を有していれば良く、その外径は4〜10mmであることが好ましい。芯金の材料としては、例えば、鉄、アルミニウム、チタン、銅及びニッケル等の金属やこれらの金属を含むステンレス、ジュラルミン、真鍮及び青銅等の合金、更にカーボンブラックや炭素繊維をプラスチックで固めた複合材料等の剛直で導電性を示す材料が挙げられる。
【0048】
弾性層114bは、公知の材料で形成されていれば良く、例えば、天然ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、エチレンプロピレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ネオプレンゴム、イソプレンゴム、NBR等のゴム材料に、必要に応じてカーボンブラック、グラファイト、導電性粒子、導電性ゴム等を添加したものなどが使用できる。弾性層114bは導電性を有することが好ましい。また、弾性層114bの厚みは2.0〜10mmであることが好ましい。厚すぎると抵抗値が高くなり易く、薄すぎると硬度が十分低くなりにくくなる。
【0049】
被覆層114cは、現像ローラー114の表面層となるものであり、前述の正荷電制御樹脂をベース樹脂に混合した被覆層形成材料で形成される。被覆層形成材料中に前述の正荷電制御樹脂は0.01〜50質量%含むことが好ましく、0.05〜30質量%含むことがより好ましい。
【0050】
ベース樹脂としては公知のものが使用可能であり、例えば、スチレン樹脂(スチレン又はスチレン置換体を含む単重合体又は共重合体)、アクリル樹脂((メタ)アクリル酸エステルを含む単重合体又は共重合体)、塩化ビニル樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、フエノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、ナイロン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等が挙げられる。本発明の実施上特に好ましいベース樹脂としては、耐摩耗性やトナー帯電性、トナー搬送性等が要求されるため、ウレタン樹脂、ナイロン樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂等である。ベース樹脂は1種類でも2種類以上を用いても良い。
【0051】
さらに、被覆層の樹脂として、前述の正荷電制御樹脂をポリマー骨格として有するものとすることもできる。ここでは、一例としてウレタン樹脂の場合で説明する。ウレタン樹脂とは、ウレタン結合(−NH−COO−)を有する高分子であり、イソシアネート成分(イソシアネート基(−NCO)を有する化合物)とポリオール成分(水酸基(−OH)を有する化合物)の反応によって得られるものである。そして、本発明の現像ローラーの表面層となる被覆層に使用する正荷電性制御樹脂をポリオール成分の少なくとも一部として使用することで、その正荷電制御樹脂をポリマー骨格の一部として有するウレタン樹脂とすることができる。
【0052】
ウレタン樹脂を構成するイソシアネート成分については、特に制限はなく、汎用されている、TDI(トリレンジイソシアネート)、MDI(ジフエニルメタンジイソシアネート)、粗製−MDI(ポリメリックMDI)、および変性MDIを使用することもでき、その他のイソシアネート化合物を用いても差し支えない。その他のイソシアネート化合物しては、例えば、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、トランスシクロヘキサン1,4ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水添−XDI、水添−MDI、リジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフェスフェート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロへプタントリイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられ、これらも好適に用いることができる。また、イソシアネート基をブロック剤でマスクした構造のブロック型イソシアネート化合物を用いることもできる。ブロック型イソシアネート化合物は、常温では反応せず、ブロック剤が解離する温度まで加熱すると、イソシアネート基が再生するものである。
【0053】
ウレタン樹脂を構成するポリオール成分については、前述の正荷電性制御樹脂と供にウレタン樹脂の材料としての一般的なポリオール成分を用いることが出来る。一般的なポリオール成分としては、例えば、ポリエーテルポリオール(PPG)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)、THF−アルキレンオキサイド共重合体ポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリオレフィンポリオール、エチレン−酢酸ビニル共重合体の部分鹸化物、フォスフェート系ポリオール、ハロゲン含有ポリオール、アジペート系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール、ポリカプロラクトン系ポリオール、ポリブタジエンポリオール等を好適に用いることができる。
【0054】
ウレタン化反応において、反応を促進または制御するために触媒を使用することもできる。触媒の選択と適量の使用とその時の反応温度は、極めて重要で反応性に影響を与えるので、十分検討して適切に選択することが好ましい。代表的な触媒としては、トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン、トリエチレンジアミン、ジメチルアミノエタノール、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル等が挙げられるが、特に制限されるものではない。
【0055】
被覆層形成材料には、抵抗調整材としてカーボンブラックを添加することが望ましい。このような目的に使用するカーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。被覆層形成材料中のカーボンブラックの量は、目的とする現像ローラーの特性に応じて適宜設定することができ、例えば、1〜40質量%程度含有させることができる。
【0056】
さらに、表面粗し材として、平均粒子径が3〜30μmの絶縁粒子、例えば、ウレタン粒子、ナイロン粒子、アクリル粒子、シリコーン粒子等を被覆層形成材料中に添加することが好ましい。被覆層形成材料中の表面粗し材の量は、目的とする現像ローラーの特性に応じて適宜設定することができ、例えば、2〜50質量%程度含有させることができる。
【0057】
上記のような成分を含有する被覆層形成材料は、サンドミル、ペイントシェーカー、ダイノミル、パールミル等のビーズを使用した従来公知の分散装置を使用して分散された塗料を、スプレー塗工法、ディッピング法等により弾性層表面に塗工され、被覆層となる。塗料に使用する溶媒は、例えば、メチルエチルケトン、トルエン、アルコール等を用いることができる。
【0058】
被覆層の厚みは、弾性層の柔軟性を損なうことなく、また高い耐磨耗性を実現することを考慮し、2〜100μmとすることが好ましい。より好ましくは5〜30μmである。
【0059】
上記の例は1層の被覆層を有する現像ローラーであるが、2層以上の被覆層を有する現像ローラーとすることもできる。その場合、前述の正荷電制御樹脂は、少なくとも表面層を形成する被覆層に含まれていればよい。その内側となる被覆層に前述の正荷電制御樹脂を含まない実施形態の場合、荷電制御樹脂を含まない以外は上記の構成と同様とすることができる。2層以上の被覆層は使用する材料及び組成比等について、同じ構成とすることも、異なる構成とすることも可能である。
【0060】
次に、本発明の電子写真装置を説明する。本発明の電子写真装置は、前記本発明の現像ローラー及び負帯電性現像剤を用いることを特徴とするものである。より具体的には、静電荷像担持体と、該静電荷像担持体の表面を帯電させるための帯電装置と、該静電荷像担持体の帯電領域に静電潜像を形成するための静電潜像形成装置と、該静電荷像担持体の表面に形成された静電潜像に負帯電性現像剤を供給して該静電潜像を顕像化して画像とするための現像装置と、該画像を転写材に転写するための転写装置と、を有する電子写真装置において、前記現像装置が具備する現像ローラーが、前記の現像ローラーであることを特徴とする電子写真装置である。このような本発明の電子写真装置は、現像効率が良好で、濃度が高く鮮明でカブリの少ない均一な画像が得られるものとなる。
【0061】
本発明の電子写真装置(レーザービームプリンター)の概略構成を図2に示す。図2において、レーザービームプリンターの現像装置10は、非磁性一成分現像方式を用いている。その現像剤容器12内には、現像剤11(負帯電性の非磁性トナーからなる一成分現像剤)が収納されており、静電荷像担持体としての感光ドラム1と対向した現像剤容器12の開口部内に、感光ドラム1と接触するようにして、現像ローラー24が設置されている。現像ローラー24は、上述したように、芯金24a上に、弾性層24b及び被覆層24cを形成して成っている。また、芯金25a上に弾性層25b及び被覆層25cが形成されている供給ローラー25が、現像ローラー24に現像剤11を供給可能な状態で設置されている。
【0062】
この現像ローラー24および供給ローラー25が矢印方向に回転すると、現像剤容器12内の現像剤11が現像ローラー24上に担持される。その現像剤11がブレード16により規制されて、現像ローラー24上に現像剤の薄層11aが形成され、現像剤のみが感光ドラム1と対向した現像領域13へ搬送される。一方、感光ドラム1の表面は、帯電装置が具備する帯電ローラー19によって一次帯電され、静電潜像形成装置が具備するレーザー光発信手段から発されたレーザービームLによって静電潜像が形成されている。現像ローラー24と感光ドラム1間には、定電圧電源18により現像バイアスが印加されており、感光ドラム1上の静電潜像に現像剤が供給され現像される。その後、現像された画像は、転写装置(不図示)によって紙などの転写材に転写され、定着装置(不図示)によって転写材に定着されて、画像が転写材に印刷された印刷物が得られる。
【実施例】
【0063】
次に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は実施例により限定されるものではない。実施例で使用した水酸基含有モノマー[前述の式(1)で示されるもの]A1、A2の構造式を(3)、(4)に、アミノ基含有モノマー[前述の式(2)で示されるもの]B1、B2、B3の構造式を(5)、(6)、(7)に示す。(メタ)アクリル酸エステルモノマー[前述の式(3)で示されるもの]C1、C2、C3、C4の構造式を(8)、(9)、(10)、(11)に示す。
【0064】
【化7】

【0065】
[実施例1]
(正荷電制御樹脂CCR1の製造及び物性値の評価)
攪拌機、冷却器、温度計および窒素導入管を付した4つ口セパラブルフラスコに、水酸基含有モノマーとして2−ヒドロキシエチルメタクリレート(A1)を、アミノ基含有モノマーとしてN,N−ジメチルアミノエチルアクリレート(B1)を、(メタ)アクリル酸エステルモノマーとして2−エチルヘキシルメタクリレート(C2)を表1記載の仕込量で仕込み、さらに溶媒としてMEK80gおよび重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−メチルブチロ二トリル)を4.0g仕込み、攪拌しながら、窒素導入下還流状態で8時間溶液重合することで、正荷電制御樹脂CCR1の溶液を得た。その後、CCR1の溶液の一部を真空乾燥して、CCR1のアミノ価、重量平均分子量(Mw)、Tgを、それぞれ全自動滴定装置(京都電子工業(株)製AT−510(商品名))、GPC測定(装置:東ソー(株)製HLC−8120GPC(商品名)、カラム:昭和電工(株)製KF−805L(商品名)×2本)、DSC測定(セイコーインスツルメンツ(株)製DSC6200(商品名))により測定した。結果を表2に示す。
【0066】
(現像ローラー1の製造)
外径8mmの芯金(SUM製)を内径16mmの円筒状金型内に同心となるように設置し、液状導電性シリコーンゴム(東レダウシリコーン社製、AskerC硬度35度、体積固有抵抗10×109Ωcm)を注型後、130℃のオーブンに入れ20分加熱成型し、脱型後、200℃のオーブンで4時間2次加硫を行い、厚み4mmの弾性層を芯金の周囲に形成した。
【0067】
次いで、ウレタン塗料(商品名:ニッポランN5033、日本ポリウレタン社製)を固形分濃度10質量%となるようにメチルエチルケトンで希釈し、ウレタン塗料の固形分100質量部に対して、正荷電制御樹脂CCR1を10質量部、抵抗調整材としてカーボンブラック(商品名:#7360SB、東海カーボン製)を50質量部、表面粗し材として平均粒子径14μmのウレタン粒子(商品名:アートパールC400、根上工業製)を6質量部添加した。各成分が十分に分散したものに、硬化剤(変性TDI、商品名:コロネートL、日本ポリウレタン社製)をウレタン塗料の固形分100質量部に対して10質量部添加し、攪拌して得られた塗料を先に成型した弾性層上にディッピングにより乾燥膜厚20μmとなるように塗布し、80℃のオーブンで15分乾燥後、140℃のオーブンで4時間硬化することで被覆層を形成し、現像ローラー1を得た。
【0068】
(現像ローラー1の評価)
上記で得られた現像ローラー1を、評価用レーザービームプリンターに取付け、32.5℃×80%RH(HH)の環境下で所定の画像(文字パターン画像)を15000枚、連続的に印刷した後、現像ローラー上に付着しているトナーの帯電量、画像濃度、カブリを評価した。結果を表3に示す。
【0069】
[実施例2]
(正荷電制御樹脂CCR2の製造)
水酸基含有モノマーとして2−ヒドロキシエチルアクリレート(A2)を、アミノ基含有モノマーとしてN,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(B2)を、(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしてn−ステアリルメタクリレート(C3)を用い、各モノマーの仕込量を表1記載のように変更した以外は実施例1と同様にして、正荷電制御樹脂CCR2を得た。得られたCCR2のアミノ価、Mw、Tgをそれぞれ実施例1と同様にして測定した。結果を表2に示す。
【0070】
(現像ローラー2の製造)
CCR1の代わりにCCR2を用いた以外は、実施例1の現像ローラー1の製造方法と同様にして、現像ローラー2を製造した。
【0071】
(現像ローラー2の評価)
実施例1と同様の方法で評価した。結果を表3に示す。
【0072】
[実施例3]
(正荷電制御樹脂CCR3の製造)
水酸基含有モノマーとして2−ヒドロキシエチルアクリレート(A2)を、アミノ基含有モノマーとしてアクリロイロキシエチルモルホリン(B3)を、(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしてn−ラウリルアクリレート(C4)を用い、モノマーの仕込量を表1記載のように変更した以外は実施例1と同様にして、正荷電制御樹脂CCR3を得た。得られたCCR3のアミノ価、Mw、Tgをそれぞれ実施例1と同様にして測定した。結果を表2に示す。
【0073】
(現像ローラー3の製造)
CCR1の代わりにCCR3を用い、その使用量をウレタン塗料の固形分100質量部に対して3質量部に変更した以外は、実施例1の現像ローラー1の製造方法と同様にして、現像ローラー3を製造した。
【0074】
(現像ローラー3の評価)
実施例1と同様の方法で評価した。結果を表3に示す。
【0075】
[実施例4]
(正荷電制御樹脂CCR4の製造)
水酸基含有モノマーとして2−ヒドロキシエチルメタクリレート(A1)を、アミノ基含有モノマーとしてN,N−ジメチルアミノエチルアクリレート(B1)を、(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしてn−ブチルアクリレート(C1)を用い、モノマーの仕込量を表1記載のように変更した以外は実施例1と同様にして、正荷電制御樹脂CCR4を得た。得られたCCR4のアミノ価、Mw、Tgをそれぞれ実施例1と同様にして測定した。結果を表2に示す。
【0076】
(現像ローラー4の製造)
CCR1の代わりにCCR4を用い、その使用量をウレタン塗料の固形分100質量部に対して3質量部に変更した以外は、実施例1の現像ローラー1の製造方法と同様にして、現像ローラー4を製造した。
【0077】
(現像ローラー4の評価)
実施例1と同様の方法で評価した。結果を表3に示す。
【0078】
[比較例1]
(現像ローラー5の製造)
CCR1を用いない以外は、実施例1の現像ローラー1の製造方法と同様にして、被覆層に正荷電制御樹脂を含有しない現像ローラー5を製造した。
【0079】
(現像ローラー5の評価)
実施例1と同様の方法で評価した。結果を表3に示す。
【0080】
【表1】

【0081】
【表2】

【0082】
1)現像剤担持体上トナー帯電量(Q/M)
現像剤担持体上に担持されたトナーを、金属円筒管と円筒フィルターにより吸引捕集し、その際金属円筒管を通じてコンデンサーに蓄えられた電荷量Q、捕集されたトナー質量Mから、単位質量当たりの電荷量Q/M(μC/g)を計算し、トナー帯電量(Q/M)とした。
【0083】
2)カラー画像テスト:
ベタ白画像の反射率を測定し、さらに未使用の転写紙の反射率を測定し、ベタ白画像の反射率の最悪値から未使用転写紙の反射率の最高値を引いたものをカブリ濃度とした。反射率はTC−6DS(商品名、東京電色製)で測定した。
(カブリの評価)
A : 非常に良好 (1.0%未満)
B : 良好 (1.0%以上2.0%未満)
C : 悪い (2.0%以上)
黒ベタ画像を出力し、マクベス濃度計RD−918(商品名、サカタインクス(株))を用いて画像濃度を測定した。
(画像濃度の評価)
A : 非常に良好 (1.4以上)
B : 良好 (1.2以上1.4未満)
C : 悪い (1.2未満)
【0084】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の現像ローラーの基本構成を示す図であり、(a)は現像ローラーの軸線に沿った概略断面図、(b)は現像ローラーを軸方向からみた図である。
【図2】本発明の現像ローラーを備えたレーザービームプリンターを示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0086】
1:感光ドラム
10:現像装置
11:現像剤
11a:現像剤の薄層
12:現像剤容器
13:現像領域
16:ブレード
18:定電圧電源
19:帯電ローラー
24:現像ローラー
24a:芯金
24b:弾性層
24c:被覆層
25:供給ローラー
25a:芯金
25b:弾性層
25c:被覆層
114:現像ローラー
114a:芯金
114b:弾性層
114c:被覆層
L:レーザービーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通電性のシャフトと、該シャフトの外周に弾性層、一層以上の被覆層を順次設けてなる現像ローラーであって、その表面に担持された負帯電性現像剤により、静電荷像担持体上の静電潜像を現像する現像ローラーにおいて、該現像ローラーの表面層となる被覆層が、下記式(1)で示される水酸基含有モノマー、下記式(2)で示されるアミノ基含有モノマー、及び下記式(3)で示される(メタ)アクリル酸エステルモノマーを含有する共重合モノマーを共重合して得られた正荷電性制御樹脂を含有することを特徴とする現像ローラー。
【化1】

(式(1)中、Xは水素原子またはメチル基を表し、Yは炭素数2〜6の二価の有機基を表す。)
【化2】

(式(2)中、Xは水素原子またはメチル基を表し、YはOまたはNHを表し、Zは炭素数1〜7の二価の有機基を表す。R1及びR2は、各々水素原子、または、酸基を除く置換基で置換されていても良い炭素数1〜20のアルキル基、あるいは、R1及びR2が化学的に結合した炭素数4〜20の環状構造、または、R1及びR2が化学的に結合した、窒素原子、酸素原子、イオウ原子の少なくとも一種を含む炭素数4〜19の環状構造、を表す。)
【化3】

(式(3)中、R3は炭素数4以上のアルキル基、R4は水素原子またはメチル基を表す。)
【請求項2】
前記表面層となる被覆層がウレタン樹脂で形成されており、該ウレタン樹脂の原料であるポリオール成分として前記正荷電制御樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の現像ローラー。
【請求項3】
静電荷像担持体と、該静電荷像担持体の表面を帯電させるための帯電装置と、該静電荷像担持体の帯電領域に静電潜像を形成するための静電潜像形成装置と、該静電荷像担持体の表面に形成された静電潜像に負帯電性現像剤を供給して該静電潜像を顕像化して画像とするための現像装置と、該画像を転写材に転写するための転写装置と、を有する電子写真装置において、前記現像装置が具備する現像ローラーが、請求項1または2に記載の現像ローラーであることを特徴とする電子写真装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−58429(P2006−58429A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−238182(P2004−238182)
【出願日】平成16年8月18日(2004.8.18)
【出願人】(393002634)キヤノン化成株式会社 (640)
【Fターム(参考)】