現像方法およびこれを用いた画像形成装置
【課題】逆方向に傾斜する2種類の傾斜溝を有する現像ローラに用いても、溝のトナーの飛翔性を向上して画像に縦すじが発生するのを防止する。
【解決手段】現像ローラ20に交流バイアスを印加しかつ現像ローラ20と像担持体との間でトナーが往復動する。現像ローラの周速と像担持体の周速との周速差に基づいて、現像ローラの周方向の移動量とこのトナーの周方向の移動量との間にずれが生じる。したがって、現像ローラ20の山22cにあるトナーが像担持体へ移動して、再び現像ローラ20に帰って来たとき、現像ローラ20の第1および第2傾斜溝22a,22bに帰ってくるトナーT″が存在する。このトナーT″を溝22a,22b内にあるトナーT′に衝突させてこのトナーT′を溝22a,22bからたたき出すことができる。よって、このトナーT′の飛翔性が向上する。
【解決手段】現像ローラ20に交流バイアスを印加しかつ現像ローラ20と像担持体との間でトナーが往復動する。現像ローラの周速と像担持体の周速との周速差に基づいて、現像ローラの周方向の移動量とこのトナーの周方向の移動量との間にずれが生じる。したがって、現像ローラ20の山22cにあるトナーが像担持体へ移動して、再び現像ローラ20に帰って来たとき、現像ローラ20の第1および第2傾斜溝22a,22bに帰ってくるトナーT″が存在する。このトナーT″を溝22a,22b内にあるトナーT′に衝突させてこのトナーT′を溝22a,22bからたたき出すことができる。よって、このトナーT′の飛翔性が向上する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外周面に規則的な傾斜溝が形成された現像ローラで搬送するトナーにより像担持体上の静電潜像を現像する現像方法およびこれを用いた、例えばプリンタ、電子写真装置、ファクシミリ等の画像形成装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、非磁性一成分トナーにより像担持体である感光体上の静電潜像を現像する現像装置では、図10に示すように供給ローラaで供給されたトナーTを、ブラスト処理による所定の表面粗さの現像ローラb上で摩擦帯電させて感光体cの方へ搬送している(例えば、特許文献1参照)。しかし、使用中、現像ローラbの外周面が削られて、表面粗さが低減すると、現像ローラbとトナーTとの摩擦状態が初期の状態に比べて良好でなくなり、現像装置の寿命となる。そこで、現像ローラbの表面にめっき処理を施して削られ難くしているが、このめっき処理では寿命として不十分である。
【0003】
現像ローラbの寿命を長くする他の方法として、現像ローラbの表面上にそれぞれ逆方向に傾斜する規則的な2種類の傾斜溝からなる凹凸パターンを形成することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。この現像ローラbは、削れが抑制されて耐久性が優れ、現像ローラbの寿命がより効果的に長くなる。
【特許文献1】特開2001−66876号公報。
【特許文献2】特開2000−56558号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、逆傾斜の2種類の傾斜溝は互いに交差する。すると、図11(a)に示す傾斜溝の交差部(点線の○部)での現像ローラbの周方向の溝のピッチが、図11(b)に示す傾斜溝の非交差部(点線の○部)での同ピッチより2倍以上大きく異なる。また、図12に示すように現像ローラbの周方向での溝部(谷)に対する非溝部(山)の比率は、溝の交差部の方が溝の非交差部より大きい。
【0005】
一方、図13に示す山にあるトナーは感光体に現像され易いが、谷にあるトナーは感光体に現像され難い。このため、谷にあるトナーは、その帯電が大きくなるのでその鏡像力により飛翔性が低下し、により更に一層感光体に現像され難くなる。
以上のことから、図14に示すように画像に、ミクロ的にピッチの粗い濃淡むらとピッチの細かい濃淡むらとが現像ローラbの軸方向に交互に生じる。そして、ピッチの粗い濃淡むらがマクロ的には画像に縦すじのように見える。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は逆方向に傾斜する2種類の傾斜溝を有する現像ローラに用いても、溝のトナーの飛翔性を向上して画像に縦すじが発生するのを防止できる現像方法および画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の課題を解決するために、本発明は、第1および第2傾斜溝の交差部とこの交差部に現像ローラの軸方向に隣接する第1および第2傾斜溝の他の交差部との、現像ローラの軸方向の中央部での第1および第2傾斜溝における現像ローラの周方向のピッチP(μm)が、
nP ≠ |γ×(v1−v2)|/f (nは整数)
の関係を満たすように設定されている。
【0008】
現像ローラに交流バイアスを印加することで、現像ローラと像担持体との間でトナーが往復動する。また、現像ローラの周速と像担持体の周速との周速差に基づいて、現像ローラの周方向の移動量とこのトナーの周方向の移動量との間にずれが生じる。更に、このずれ量が第1および第2傾斜溝における現像ローラの周方向のピッチP(μm)の整数倍となっていない。これにより、現像ローラの山にあるトナーが像担持体へ移動した後、再び現像ローラに帰って来たとき、現像ローラの第1および第2傾斜溝に帰ってくるトナーが存在するようになる。したがって、第1および第2傾斜溝に帰ってくるトナーを第1および第2傾斜溝内にあるトナーに衝突させることができる。この衝突で、第1および第2傾斜溝内のトナーを第1および第2傾斜溝からたたき出す(弾き出す)ことができる。その結果、第1および第2傾斜溝内のトナーの飛翔性を向上することができる。
【0009】
そして、第1および第2傾斜溝内のトナーの飛翔性が向上することから、このトナーの帯電量が小さくなるので、このトナーを容易に飛翔させて像担持体へ現像させることができる。したがって、画像における縦すじの発生を抑制することができ、良好な画質の画像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明に係る画像形成装置の実施の形態の一例を模式的に示す断面図、図2はこの例の画像形成装置に用いられている各現像装置に共通の現像装置を模式的に示す断面図である。
【0011】
図1に示すように、この例の画像形成装置1はタンデム型の画像形成装置として形成され、ハウジング本体2を有している。このハウジング本体2内には、画像形成ユニット3、中間転写ユニット(以下、一次転写ユニットともいう)4、給紙ユニット5、二次転写ユニット6、定着ユニット7、および記録媒体搬送手段8がそれぞれ配設されている。画像形成ユニット3および給紙ユニット5内の消耗品はハウジング本体2に対して着脱可能に構成されており、これらは一次転写ユニット4を含めて取り外して修理あるいは交換可能とされている。
【0012】
画像形成ユニット3は、複数個の異なる色(この例では4色であるが、例えば、4色のうち、2色または3色でもよい:以下、4色として説明する)の画像形成ステーションを備えている。これらの画像形成ステーションは、イエロー用画像形成ステーション9Y、マゼンタ用画像形成ステーション9M、シアン用画像形成ステーション9C、ブラック用画像形成ステーション9Kである。イエロー用画像形成ステーション9Yはイエロー(Y)の画像を形成する。また、マゼンタ用画像形成ステーション9Mはマゼンタ(M)の画像を形成する。更に、シアン用画像形成ステーション9Cはシアン(C)の画像を形成する。更に、ブラック用画像形成ステーション9Kはブラック(K)の画像を形成する。その場合、この例では、各色Y、M、C、Kの画像形成ステーション9Y,9M,9C,9Kの配置順序は図1において斜め右下方向に向かってこれらの順に直線状に配列されている。なお、各色の画像形成ステーション9Y,9M,9C,9Kの配置順序はこれに限定されることはなく、任意に設定することができる。
【0013】
また、これらの画像形成ステーション9Y,9M,9C,9Kは、それぞれ、感光体からなる像担持体10Y,10M,10C,10Kを備えている。また、これらの像担持体10Y,10M,10C,10Kの周囲近傍に、それぞれ、帯電装置11Y,11M,11C,11Kが配設されている。これらの帯電装置11Y,11M,11C,11Kは、それぞれ各像担持体10Y,10M,10C,10Kを帯電する。更に、各像担持体10Y,10M,10C,10Kの周囲近傍にはそれらの回転方向で帯電装置より下流側に、それぞれ、像書込装置12Y,12M,12C,12Kが配設されている。これらの像書込装置12Y,12M,12C,12Kは、それぞれ各像担持体10Y,10M,10C,10Kに潜像を書き込む。更に、各像担持体10Y,10M,10C,10Kの周囲近傍にはそれらの回転方向で像書込装置より下流側に、それぞれ、現像装置13Y,13M,13C,13Kが配設されている。これらの現像装置13Y,13M,13C,13Kは、それぞれ、各像担持体10Y,10M,10C,10K上の潜像を現像する。更に、各像担持体10Y,10M,10C,10Kの周囲近傍にはそれらの回転方向で現像装置より下流側に、それぞれ、除電装置14Y,14M,14C,14Kが配設されている。これらの除電装置14Y,14M,14C,14Kは、それぞれ、各像担持体10Y,10M,10C,10Kを除電する。更に、各像担持体10Y,10M,10C,10Kの周囲近傍にはそれらの回転方向で除電装置より下流側に、それぞれ、クリーナ15Y,15M,15C,15Kが配設されている。これらのクリーナ15Y,15M,15C,15Kは、それぞれ各像担持体10Y,10M,10C,10Kをクリーニングする。
【0014】
各色の画像形成ステーション9Y,9M,9C,9Kの各像担持体、各帯電装置、各像書込装置、各現像装置、各除電装置、および各クリーナは、いずれも、各色Y,M,C,Kにかかわらず同一に構成されている。
【0015】
各帯電装置11Y,11M,11C,11Kは、高電圧発生源に接続された導電性ゴムローラからなる帯電ローラを備えている。これらの帯電ローラは、それぞれ対応する各像担持体10Y,10M,10C,10Kの表面を一様に帯電させる。
【0016】
各像書込装置12Y,12M,12C,12Kには、LEDランプを像担持体10Y,10M,10C,10Kの軸方向に列状に配列したLEDラインヘッドが用いられている。LEDラインヘッドは、レーザー走査光学系よりも光路長が短くてコンパクトである。したがって、LEDラインヘッドは、像担持体10Y,10M,10C,10Kに対して近接配置が可能であり、装置本体を小型化できる。
【0017】
図2に示すように、各現像装置13Y,13M,13C,13Kは、それぞれ、現像器ハウジング16Y,16M,16C,16Kを備えている。各現像器ハウジング16Y,16M,16C,16K内には、それぞれ、各トナーTY,TM,TC,TKを貯留するトナー貯留部17Y,17M,17C,17Kが設けられている。また、各トナー貯留部17Y,17M,17C,17Kには、それぞれ、各トナーTY,TM,TC,TKを撹拌するトナー撹拌部材18Y,18M,18C,18Kが設けられている。更に、各現像器ハウジング16Y,16M,16C,16Kには、それぞれ、トナー供給ローラ19Y,19M,19C,19Kが設けられている。更に、各現像器ハウジング16Y,16M,16C,16Kには、それぞれ、現像ローラ20Y,20M,20C,20Kが設けられている。更に、各現像器ハウジング16Y,16M,16C,16Kには、それぞれ、規制ブレード21Y,21M,21C,21Kが設けられている。
【0018】
そして、各トナー供給ローラ19Y,19M,19C,19Kは、それぞれ、各トナーTY,TM,TC,TKを各トナー貯留部17Y,17M,17C,17Kから現像ローラ20Y,20M,20C,20Kに供給する。また、各現像ローラ20Y,20M,20C,20Kは、それぞれ、供給された各トナーTY,TM,TC,TKを各像担持体10Y,10M,10C,10Kに搬送する。このとき、各規制ブレード21Y,21M,21C,21Kは、それぞれ、各現像ローラ20Y,20M,20C,20K上の各トナーTY,TM,TC,TKのトナー層厚を規制する。各現像ローラ20Y,20M,20C,20Kで搬送された各トナーTY,TM,TC,TKにより、それぞれ各像担持体10Y,10M,10C,10Kの各色の静電潜像が現像される。
【0019】
各トナーTY,TM,TC,TKは、いずれも非磁性一成分トナーである。
図2に示すように、各現像ローラ20Y,20M,20C,20Kおよび各トナー供給ローラ19Y,19M,19C,19Kはそれらの回転方向αがともに同じである。この回転方向αは、像担持体10Y,10M,10C,10Kの回転方向と逆の反時計回りである。
【0020】
各現像ローラ20Y,20M,20C,20Kと各像担持体10Y,10M,10C,10Kとの間には、それぞれ、所定の現像ギャップが設定されている。したがって、各現像装置13Y,13M,13C,13Kは、いずれも、非磁性一成分トナーを用いたジャンピング現像を行う。その場合、現像を行う際には、各現像ローラ20Y,20M,20C,20Kにはそれぞれ直流電圧に交流電圧が重畳された現像バイアスが印加される。そして、これらのジャンピング現像では、いずれも、各トナーが各現像ローラと各像担持体との間を5回以上往復するようにされている。更に、各現像ローラ20Y,20M,20C,20Kの周速v1と各像担持体10Y,10M,10C,10Kの周速v2とは互いに異なる。つまり、両周速v1,v2との間には、速度差が存在する。
【0021】
ところで、この例の画像形成装置1の各現像装置13Y,13M,13C,13Kでは、各現像ローラ20Y,20M,20C,20Kの外周面には、前述の特許文献2に記載の現像ローラと同様に凹凸パターンが形成されている。
図3は、この例の現像ローラを模式的に示す図である。なお、以後の図3ないし図9を用いた説明においては、各色Y,M,C,Kについて共通であるので、各符号からY,M,C,Kの符号を削除して説明する。
【0022】
図3に示すように、この例の現像装置の現像ローラ20ではこの凹凸パターンとして、その外周面の所定位置に螺旋状の溝22が形成されている。その場合、螺旋状の溝22は、現像ローラ20の軸方向(つまり周方向)に対して互いに逆方向でかつ絶対値が同じ傾斜角で傾斜する2種類の規則的な所定数の第1および第2傾斜溝22a,22bから構成されている。これらの第1および第2傾斜溝22a,22bは現像ローラ20の周方向(つまり軸方向)に関して対称に形成されている。また、第1および第2傾斜溝22a,22bの交差部は、現像ローラ20の軸方向にも周方向にも整列している。つまり、それぞれ2本の第1および第2傾斜溝22a,22bが成す菱形の1つの交差部とこの交差部の軸方向の対角にある交差部とは軸方向に一列に整列している。また、同じく菱形の1つの交差部とこの交差部の周方向の対角にある交差部とは周方向に一列に整列している。
【0023】
第1傾斜溝22aは、現像ローラ20の回転方向αに対して図3において現像ローラ20の右端側から左端側に向かって進みかつ連続して形成された螺旋状溝である。また、第2傾斜溝22bは、軸方向に第1傾斜溝22aと同じピッチ間隔で形成されて、現像ローラ20の回転方向αに対して図3において現像ローラ20の左端側から右端側に向かって進みかつ連続して形成された、第1傾斜溝22aと同数の螺旋状溝である。第1および第2傾斜溝22a,22bで囲まれる菱形形状の領域は山22cである。
【0024】
したがって、第1および第2傾斜溝22a,22bは互い交差している。現像ローラ20の第1および第2傾斜溝22a,22b形成部は像担持体10の画像形成領域に対向するようにされている。
【0025】
なお、第2傾斜溝22bのピッチ間隔および数は、いずれも第1傾斜溝22aと必ずしも同じである必要はなく異なってもよい。また、第1および第2傾斜溝22a,22bの数は1本以上任意の数だけ設けることができる。
【0026】
更に、現像ローラ20の左端20aと第1および第2傾斜溝22a,22bの左端位置20bとの間の現像ローラ20の外周面が左側の溝非形成部20cとされるとともに、現像ローラ20の右端20bと第1および第2傾斜溝22a,22bの右端位置22eとの間の現像ローラ20の外周面が右側の溝非形成部20fとされる。
【0027】
更に、この例の現像ローラ20では、第1および第2傾斜溝22a,22bのピッチP(μm)が、
数式1 nP ≠ |γ×(v1−v2)|/f
(nは整数)
の関係を満たすように設定されている。ここで、f(Hz)は現像バイアスの交流電圧の周波数、γは現像促進時間割合であるデューティ比、v1は現像ローラ20の周速、v2は像担持体10の周速である。
【0028】
第1および第2傾斜溝22a,22bのピッチP(μm)は次のように定義される。すなわち、図4に示すようにピッチP(μm)は、第1および第2傾斜溝22a,22bの交差部22abとこの交差部と現像ローラ20の軸方向に隣接する交差部22abとの間の軸方向距離aの半分(a/2)となる中央位置で定義される。つまり、ピッチP(μm)は、この中央位置における第1および第2傾斜溝22a,22bの間の現像ローラ20周方向の長さで与えられる。この中央位置での現像ローラ20周方向領域Aは、溝22の存在比率が大きく、飛翔性の低いトナーが多い領域である。
【0029】
また、デューティ比γは次のように定義される。すなわち、図5に示すようにデューティ比γは、現像ローラ20にトナーが像担持体10に向かうバイアスが印加されている時間の割合である。つまり、現像ローラ20に印加されるバイアスの1周期をtとし、トナーが像担持体10に向かうバイアスが印加されている時間をt1とすると、
数式2 γ = t1/t
で与えられる。
【0030】
次に、第1および第2傾斜溝22a,22bのピッチP(μm)が数式1を満たすように形成されると、溝にあるトナーの飛翔性が良好になることについて説明する。
図6(a)に示すように、第1および第2傾斜溝22a,22bにあるトナーT′は前述のように飛翔性が低い。そこで、現像ローラ20と像担持体10との間を飛翔する他のトナーT″をこのトナーT′に衝突させる。他のトナーT″は、もともと山22cにある飛翔性のよいトナーである。トナーT″をトナーT′に衝突させることで、図6(b)に示すように溝22a,22bにあるトナーT′は溝22a,22bからたたき出される。そして、たたき出されたトナーT′は、現像ローラ20に印加される交流バイアスに従って、現像ローラ20と像担持体10との間を往復する。
【0031】
溝22a,22bにあるトナーT′のたたき出しを実現するためには、現像ローラ20の周速v1と像担持体10の周速v2とが異なっている必要がある。トナーの現像ローラ20周方向の移動速度は慣性の法則に従う。すなわち、トナーTが現像ローラ20から像担持体10に移動するときは、トナーTの周方向の移動は現像ローラ20の周速v1と同じ速度で移動する。また、トナーTが像担持体10から現像ローラ20に移動するときは、トナーTの周方向の移動は像担持体10の周速v2と同じ速度で移動する。
【0032】
いま、現像ローラ20の周速v1(mm/sec)と像担持体10の周速v2(mm/sec)とが同じに設定した場合を考える。図7(a)に示すように、実線で示す位置にある現像ローラ20の第1および第2溝22a,22bおよび山22cはそれぞれ周方向(図7(a)において右方)に速度v1(mm/sec)で移動する。また、像担持体10は周方向に速度v2(=v1)(mm/sec)で移動する。
【0033】
そして、山22cにあるトナーTは矢印で示すように像担持体10の方へ移動して像担持体10に付着する。像担持体10に付着したトナーTは、交流バイアスにしたがって矢印で示すように再び現像ローラ20の方へ移動して現像ローラ20に付着する。トナーTが現像ローラ20から像担持体10へ移動して再び現像ローラ20に来るまでの間、現像ローラ20は点線で示す位置に周方向に移動する。このときの現像ローラ20の周方向の移動量はd1(μm)で与えられる。一方、この間のトナーTの周方向の移動量はd2(μm)で与えられる。その場合、現像ローラ20の周速v1(mm/sec)と像担持体10の周速度v2(mm/sec)とが等しいので、現像ローラ20の周方向移動量d1とトナーTの周方向移動量d2とは等しくなる(d1=d2)。したがって、トナーTは現像ローラ20に帰ってきたとき、元の山22cの同じ位置に付着する。つまり、現像ローラ20の山22cにあったトナーTは、再び山22cに帰り、溝22a,22bには行かない。このため、現像ローラ20に帰ってきたトナーT″は、溝22a,22bにあるトナーT′をたたき出すことができない。
【0034】
そこで、現像ローラ20の周速v1(mm/sec)が像担持体10の周速v2(mm/sec)より大きく設定した場合を考える。図7(b)に示すように、実線で示す位置にある現像ローラ20の第1および第2溝22a,22bおよび山22cはそれぞれ周方向(図7(b)において右方)に速度v1(mm/sec)で移動する。また、像担持体10は周方向に速度v2(<v1)(mm/sec)で移動する。
【0035】
そして、同様に山22cにあるトナーTは矢印で示すように像担持体10の方へ移動して像担持体10に付着する。像担持体10に付着したトナーTは矢印で示すように再び現像ローラ20の方へ移動して現像ローラ20に付着する。トナーTが現像ローラ20から像担持体10へ移動して再び現像ローラ20に来るまでの間、現像ローラ20は点線で示す位置に周方向に移動する。現像ローラ20の周速v1(mm/sec)が像担持体10の周速度v2(mm/sec)より大きいので、現像ローラ20の周方向移動量d1(μm)がトナーTの周方向移動量d2(μm)より大きくなる(d2<d1)。したがって、トナーTは現像ローラ20に帰ってきたとき、最初に付着していた同じ位置に帰らなく、トナーTの帰る位置が現像ローラ20の周方向にずれる。このように、トナーTが現像ローラ20と像担持体10との間を往復動する度にトナーTの帰る位置が現像ローラ20の周方向にずれることで、溝22a,22bに帰ってくるトナーT″が存在するようになる。したがって、このトナーT″が溝22a,22bにあるトナーT′に衝突してこのトナーT′を溝22a,22bからたたき出す(弾き出す)ことができるようになる。
【0036】
トナーTが一往復して現像ローラ20へ帰ってくる間に、現像ローラ20が周方向に移動する移動量d1(μm)は、
数式3 d1 = v1/f
で与えられる。また、トナーTが一往復して現像ローラ20へ帰ってくる間に、トナーTが周方向に移動する移動量d2(μm)は、
数式4 d2 =(v1×(1−γ)+v2×γ)/f
で与えられる。
【0037】
そして、現像ローラ20の移動量d1(μm)とトナーTの移動量d2(μm)との差が、トナーTが一往復して現像ローラ20へ帰ってきたときのトナーTの位置のずれ量d(μm)である。このd(μm)は、
数式5 d = d1−d2 = (v1−v2)×γ/f
で与えられる。
【0038】
ところで、トナーTが一往復でずれ量dだけずれることで、山22cにあったトナーTのなかに、溝22a,22bに帰ってくるトナーTが存在するようになる。しかし、ずれ量d(μm)の大きさによっては、元の山22c以外の別の山22cに帰って来るようになる。例えば、図8に示すように、ある山22c′にあったトナーTが、元の山22c′の周方向に隣接する次の山22c″に帰ってきてしまう。このように、トナーTが別の山22cに帰って来て、溝22a,22bに帰ってこないと、前述の現像ローラ20の周速v1(mm/sec)と像担持体10の周速v2(mm/sec)とが等しい場合と同じ状態になる。このため、トナーT″による溝22a,22bのトナーT′のたたき出しができなくなる。
【0039】
そこで、この例の現像装置では、更に位置のずれ量d(μm)が山22cとこの山22cに周方向に隣接する山22cとの距離、あるいは溝22aとこの溝22aに周方向に隣接する溝22bとの距離の整数(n)倍とならない関係に設定している。これにより、山22cにあるトナーTが往復を繰り返すことで、溝22a,22bに帰ってくるトナーTが存在するようになる。
【0040】
したがって、前述の図4に示す溝22の存在比率が大きい領域Aにおける溝22のピッチP(μm)を、
数式6 nP ≠ |d|/f = |d1−d2| = |(v1−v2)×γ|/f
(nは整数)
の関係を満たすように設定している。すなわち、数式1の関係を満たすように設定することで、溝22にあるトナーT′を効果的にたたき出すことができるようになる。すなわち、溝22にあるトナーT′の飛翔性を向上させることができる。
【0041】
この例の現像装置によれば、互いに逆方向に傾斜しかつ現像ローラ20の周方向に関して対称に設けられる2種類の第1および第2傾斜溝22a,22bの交差部とこの交差部に現像ローラ20の軸方向に隣接する第1および第2傾斜溝22a,22bの交差部との間の軸方向中央部における第1および第2傾斜溝22a,22bのピッチP(μm)が、nP ≠ |γ×(v1−v2)|/f (nは整数)の関係を満たすように設定されている。したがって、現像ローラ20と像担持体10との間を往復動するトナーT″が溝22内にあるトナーT′に衝突させることができる。これにより、溝22内のトナーT′を溝22からたたき出すことができる。その結果、溝22内のトナーT′の飛翔性を向上することができる。
【0042】
そして、溝22内のトナーT′の飛翔性が向上することから、トナーT′の帯電量が小さくなるので、このトナーT′を像担持体10へ容易に現像させることができる。したがって、縦すじの発生を抑制することができ、良好な画質の画像を得ることができる。
【0043】
(実験例)
本発明の画像形成装置により所期の効果が得られることを確認するために、実験を行った。
本実験では、すべての例で、画像形成装置としてセイコーエプソン社製のプリンタLP−9000Cを用いた。2種類の第1および第2傾斜溝22a,22bを有する現像ローラ20を図2に示す現像装置に組み付けた。そして、この現像装置が搭載できるようにプリンタLP−9000Cを若干改造して使用した。
【0044】
実験に用いた現像ローラ20は、表1に示す3本の現像ローラを作製した。その場合、3本の現像ローラ20とも、現像ローラ20の基体を鉄製で直径φが18mmに設定した。また、図9に示すように軸方向に対称の第1および第2螺旋状溝22a,22bの溝深さが3μm、溝間隔が0.1mm、溝22形成部の軸方向幅が290mmである。そして、基体の外周面に従来と同様に所定の電着塗装を適宜行うことで、現像ローラ20を完成させた。更に、現像ローラ20に貼付した、厚み60μmのテープ状のスペーサを感光体に当接して、60μmの現像ギャップを形成した。
【0045】
【表1】
【0046】
表1に示すように、現像ローラ(1)は第1および第2傾斜溝22a,22bの溝間隔が100μm、現像ローラ20の軸方向に対する溝22a,22bの角度θが45°、およびピッチP(μm)が71μmである。また、現像ローラ(2)は溝間隔が80μm、溝22a,22bの角度θが45°、およびピッチP(μm)が57μmである。更に、現像ローラ(3)は溝間隔が60μm、溝22a,22bの角度θが22.5°、およびピッチP(μm)が60μmである。
【0047】
現像剤としてLP−9000Cの純正トナーである平均体積粒径8.5μmの非磁性一成分トナーを用いた。現像ローラ5に現像バイアス電源から−300Vの直流電圧Vdcに交流電圧を重畳させて現像を行った。交流電圧は、ピーク電圧Vppを700Vに設定し、かつ後述する周波数f(Hz)でかつ同じくデューティ比γの矩形波とした。A4に50%ハーフトーンのモノクロベタ印字を6000枚行った。
【0048】
まず、現像ローラ(1)を用いて実験を行った。この実験での交流バイアスの周波数f(Hz)、デューティ比γ、現像ローラ20の周速v1(mm/sec)、および感光体10の周速v2(mm/sec)を表2に示す。
【0049】
【表2】
【0050】
表2に示すように、実施例1ないし4、比較例1ないし3では、いずれも周波数fが1000Hzであり、比較例4では、周波数fが5000Hzである。また、実施例1および2、比較例1および3では、いずれもデューティ比γが0.5であり、実施例3および4、比較例2および4では、いずれもデューティ比γが0.4である。
【0051】
また、実施例1では、現像ローラ20の周速v1が335mm/sec、感光体10の周速v2が180mm/secである。したがって、現像ローラ20とトナーTとの相対移動距離であるずれ量dは78μmである。すなわち、実施例1では、ずれ量dがピッチPの整数(n)倍になっていない。
【0052】
更に、実施例2では、周速v1が310mm/sec、周速v2が180mm/secである。したがって、ずれ量dは65μmである。すなわち、実施例2では、ずれ量dがピッチPの整数(n)倍になっていない。
更に、比較例1では、周速v1が322mm/sec、周速v2が180mm/secである。したがって、ずれ量dは71μmである。すなわち、比較例1では、ずれ量dがピッチPの整数(n)倍、つまり1倍になっている。
【0053】
更に、実施例3では、周速v1が370mm/sec、周速v2が180mm/secである。したがって、ずれ量dは76μmである。すなわち、実施例3では、ずれ量dがピッチPの整数(n)倍になっていない。
更に、実施例4では、周速v1が344mm/sec、周速v2が180mm/secである。したがって、ずれ量dは66μmである。すなわち、実施例4では、ずれ量dがピッチPの整数(n)倍になっていない。
【0054】
更に、比較例2では、周速v1が357mm/sec、周速v2が180mm/secである。したがって、ずれ量dは71μmである。すなわち、比較例2では、ずれ量dがピッチPの整数(n)倍、つまり1倍になっている。
更に、比較例3では、周速v1が180mm/sec、周速v2が180mm/secであり、両周速は互いに等しい。したがって、ずれ量dは0μmである。すなわち、比較例3では、ずれ量dがピッチPの整数(n)倍、つまり0倍になっている。
更に、比較例4では、周速v1が300mm/sec、周速v2が180mm/secである。したがって、ずれ量dは96μmである。すなわち、比較例4では、ずれ量dがピッチPの整数(n)倍になっていない。
【0055】
実験の結果を表2に示す。表2から明らかなように実施例1ないし4では、いずれも、縦すじが発生しなかった。また、比較例1ないし3では、いずれも、縦すじが発生した。更に、比較例4では、ずれ量dがピッチPの整数(n)倍になっていないが、交流バイアスの周波数f(Hz)が低いため、トナーTの往復回数が少なかった。このため、移動するトナーT″による溝のトナーT′のたたき出し効果が十分でないことにより、縦すじが発生したものとみられる。
【0056】
次に、現像ローラ(2)を用いて実験を行った。この実験での交流バイアスの周波数f(Hz)、デューティ比γ、現像ローラ20の周速v1(mm/sec)、および感光体10の周速v2(mm/sec)を表3に示す。
【0057】
【表3】
【0058】
表3に示すように、実施例5ないし8、比較例5および6では、いずれも周波数fが2000Hzである。また、実施例5および6、比較例5では、いずれもデューティ比γが0.5であり、実施例7および8、比較例6では、いずれもデューティ比γが0.6である。
【0059】
また、実施例5では、周速v1が420mm/sec、周速v2が180mm/secである。したがって、ずれ量dは60μmである。すなわち、実施例5では、ずれ量dがピッチPの整数(n)倍になっていない。
【0060】
更に、実施例6では、周速v1が392mm/sec、周速v2が180mm/secである。したがって、ずれ量dは53μmである。すなわち、実施例6では、ずれ量dがピッチPの整数(n)倍になっていない。
更に、比較例5では、周速v1が406mm/sec、周速v2が180mm/secである。したがって、ずれ量dは57μmである。すなわち、比較例5では、ずれ量dがピッチPの整数(n)倍、つまり1倍になっている。
【0061】
更に、実施例7では、周速v1が380mm/sec、周速v2が180mm/secである。したがって、ずれ量dは60μmである。すなわち、実施例7では、ずれ量dがピッチPの整数(n)倍になっていない。
更に、実施例8では、周速v1が358mm/sec、周速v2が180mm/secである。したがって、ずれ量dは53μmである。すなわち、実施例8では、ずれ量dがピッチPの整数(n)倍になっていない。
【0062】
更に、比較例6では、周速v1が369mm/sec、周速v2が180mm/secである。したがって、ずれ量dは57μmである。すなわち、比較例6では、ずれ量dがピッチPの整数(n)倍、つまり1倍になっている。
実験の結果を表3に示す。表3から明らかなように実施例5ないし8では、いずれも、縦すじが発生しなかった。また、比較例5および6では、いずれも、縦すじが発生した。
【0063】
次に、現像ローラ(3)を用いて実験を行った。この実験での交流バイアスの周波数f(Hz)、デューティ比γ、現像ローラ20の周速v1(mm/sec)、および感光体10の周速v2(mm/sec)を表4に示す。
【0064】
【表4】
【0065】
表4に示すように、実施例9および10、比較例7では、いずれも周波数fが3000Hzである。また、実施例11および12、比較例8では、いずれも周波数fが1000Hzである。更に、実施例13および14、比較例9では、いずれも周波数fが1800Hzである。また、実施例9ないし14、比較例7ないし9では、すべてデューティ比γが0.6である。
【0066】
また、実施例9では、周速v1が360mm/sec、周速v2が180mm/secである。したがって、ずれ量dは36μmである。すなわち、実施例9では、ずれ量dがピッチPの整数(n)倍になっていない。
【0067】
更に、実施例10では、周速v1が330mm/sec、周速v2が180mm/secである。したがって、ずれ量dは30μmである。すなわち、実施例10では、ずれ量dがピッチPの整数(n)倍になっていない。
更に、比較例7では、周速v1が343mm/sec、周速v2が180mm/secである。したがって、ずれ量dは33μmである。すなわち、比較例7では、ずれ量dがピッチPの整数(n)倍、つまり1倍になっている。
【0068】
更に、実施例11および12、比較例8では、他の実験例と異なり、感光体10の周速v2(mm/sec)が現像ローラ20の周速v1(mm/sec)より大きい例である。すなわち、実施例11では、周速v1が180mm/sec、周速v2が240mm/secである。したがって、ずれ量dは−36μmである。すなわち、実施例11では、ずれ量dがピッチPの整数(n)倍になっていない。
更に、実施例12では、周速v1が190mm/sec、周速v2が240mm/secである。したがって、ずれ量dは−30μmである。すなわち、実施例12では、ずれ量dがピッチPの整数(n)倍になっていない。
【0069】
更に、比較例8では、周速v1が185mm/sec、周速v2が240mm/secである。したがって、ずれ量dはー33μmである。すなわち、比較例8では、ずれ量dの絶対値がピッチPの整数(n)倍、つまり1倍になっている。
【0070】
更に、実施例13では、周速v1が395mm/sec、周速v2が180mm/secである。したがって、ずれ量dは72μmである。すなわち、実施例13では、ずれ量dがピッチPの整数(n)倍になっていない。
【0071】
更に、実施例14では、周速v1が360mm/sec、周速v2が180mm/secである。したがって、ずれ量dは60μmである。すなわち、実施例14では、ずれ量dがピッチPの整数(n)倍になっていない。
更に、比較例9では、周速v1が377mm/sec、周速v2が180mm/secである。したがって、ずれ量dは66μmである。すなわち、比較例9では、ずれ量dがピッチPの整数(n)倍、つまり2倍になっている。
【0072】
実験の結果を表4に示す。表4から明らかなように実施例9ないし14では、いずれも、縦すじが発生しなかった。また、比較例7ないし9では、いずれも、縦すじが発生した。
以上の実験結果から、本発明の現像装置によれば、所期の効果を得ることができることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明に係る画像形成装置の実施の形態の一例を模式的に示す断面図である。
【図2】図1に示す例の画像形成装置に用いられている各現像装置に共通の現像装置を模式的に示す断面図である。
【図3】図1に示す例の現像装置に用いられている現像ローラを模式的に示す図である。
【図4】本発明における第1および第2傾斜溝のピッチを説明する図である。
【図5】交流バイアスのデューティ比を説明する図である。
【図6】(a)および(b)は溝のトナーのたたき出しを説明する図である。
【図7】現像ローラと像担持体との周速差によるトナーの付着位置のずれを説明する図である。
【図8】現像ローラと像担持体との周速差によるトナーの付着位置のずれの他の場合を説明する図である。
【図9】実験で用いた溝ピッチ、溝角度、および溝間隔を説明する図である。
【図10】従来の一般的な現像装置の作動を説明する図である。
【図11】現像ローラの溝の交差部と非交差部とで溝間隔が異なることを説明する図である。
【図12】現像ローラの溝の交差部と非交差部とで山の比率が異なることを説明する図である。
【図13】現像ローラの溝にあるトナーと山にあるトナーとの飛翔性が異なることを説明する図である。
【図14】トナーの飛翔性の違いにより発生する縦すじを説明する図である。
【符号の説明】
【0074】
1…画像形成装置、2…ハウジング本体、3…画像形成ユニット、4…中間転写ユニット(一次転写ユニット)、9Y,9M,9C,9K…画像形成ステーション、10,10Y,10M,10C,10K…像担持体、13Y,13M,13C,13K…現像装置、20,20Y,20M,20C,20K…現像ローラ、22…傾斜溝、22a…第1傾斜溝、22b…第2傾斜溝、22c…山
【技術分野】
【0001】
本発明は、外周面に規則的な傾斜溝が形成された現像ローラで搬送するトナーにより像担持体上の静電潜像を現像する現像方法およびこれを用いた、例えばプリンタ、電子写真装置、ファクシミリ等の画像形成装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、非磁性一成分トナーにより像担持体である感光体上の静電潜像を現像する現像装置では、図10に示すように供給ローラaで供給されたトナーTを、ブラスト処理による所定の表面粗さの現像ローラb上で摩擦帯電させて感光体cの方へ搬送している(例えば、特許文献1参照)。しかし、使用中、現像ローラbの外周面が削られて、表面粗さが低減すると、現像ローラbとトナーTとの摩擦状態が初期の状態に比べて良好でなくなり、現像装置の寿命となる。そこで、現像ローラbの表面にめっき処理を施して削られ難くしているが、このめっき処理では寿命として不十分である。
【0003】
現像ローラbの寿命を長くする他の方法として、現像ローラbの表面上にそれぞれ逆方向に傾斜する規則的な2種類の傾斜溝からなる凹凸パターンを形成することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。この現像ローラbは、削れが抑制されて耐久性が優れ、現像ローラbの寿命がより効果的に長くなる。
【特許文献1】特開2001−66876号公報。
【特許文献2】特開2000−56558号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、逆傾斜の2種類の傾斜溝は互いに交差する。すると、図11(a)に示す傾斜溝の交差部(点線の○部)での現像ローラbの周方向の溝のピッチが、図11(b)に示す傾斜溝の非交差部(点線の○部)での同ピッチより2倍以上大きく異なる。また、図12に示すように現像ローラbの周方向での溝部(谷)に対する非溝部(山)の比率は、溝の交差部の方が溝の非交差部より大きい。
【0005】
一方、図13に示す山にあるトナーは感光体に現像され易いが、谷にあるトナーは感光体に現像され難い。このため、谷にあるトナーは、その帯電が大きくなるのでその鏡像力により飛翔性が低下し、により更に一層感光体に現像され難くなる。
以上のことから、図14に示すように画像に、ミクロ的にピッチの粗い濃淡むらとピッチの細かい濃淡むらとが現像ローラbの軸方向に交互に生じる。そして、ピッチの粗い濃淡むらがマクロ的には画像に縦すじのように見える。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は逆方向に傾斜する2種類の傾斜溝を有する現像ローラに用いても、溝のトナーの飛翔性を向上して画像に縦すじが発生するのを防止できる現像方法および画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の課題を解決するために、本発明は、第1および第2傾斜溝の交差部とこの交差部に現像ローラの軸方向に隣接する第1および第2傾斜溝の他の交差部との、現像ローラの軸方向の中央部での第1および第2傾斜溝における現像ローラの周方向のピッチP(μm)が、
nP ≠ |γ×(v1−v2)|/f (nは整数)
の関係を満たすように設定されている。
【0008】
現像ローラに交流バイアスを印加することで、現像ローラと像担持体との間でトナーが往復動する。また、現像ローラの周速と像担持体の周速との周速差に基づいて、現像ローラの周方向の移動量とこのトナーの周方向の移動量との間にずれが生じる。更に、このずれ量が第1および第2傾斜溝における現像ローラの周方向のピッチP(μm)の整数倍となっていない。これにより、現像ローラの山にあるトナーが像担持体へ移動した後、再び現像ローラに帰って来たとき、現像ローラの第1および第2傾斜溝に帰ってくるトナーが存在するようになる。したがって、第1および第2傾斜溝に帰ってくるトナーを第1および第2傾斜溝内にあるトナーに衝突させることができる。この衝突で、第1および第2傾斜溝内のトナーを第1および第2傾斜溝からたたき出す(弾き出す)ことができる。その結果、第1および第2傾斜溝内のトナーの飛翔性を向上することができる。
【0009】
そして、第1および第2傾斜溝内のトナーの飛翔性が向上することから、このトナーの帯電量が小さくなるので、このトナーを容易に飛翔させて像担持体へ現像させることができる。したがって、画像における縦すじの発生を抑制することができ、良好な画質の画像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明に係る画像形成装置の実施の形態の一例を模式的に示す断面図、図2はこの例の画像形成装置に用いられている各現像装置に共通の現像装置を模式的に示す断面図である。
【0011】
図1に示すように、この例の画像形成装置1はタンデム型の画像形成装置として形成され、ハウジング本体2を有している。このハウジング本体2内には、画像形成ユニット3、中間転写ユニット(以下、一次転写ユニットともいう)4、給紙ユニット5、二次転写ユニット6、定着ユニット7、および記録媒体搬送手段8がそれぞれ配設されている。画像形成ユニット3および給紙ユニット5内の消耗品はハウジング本体2に対して着脱可能に構成されており、これらは一次転写ユニット4を含めて取り外して修理あるいは交換可能とされている。
【0012】
画像形成ユニット3は、複数個の異なる色(この例では4色であるが、例えば、4色のうち、2色または3色でもよい:以下、4色として説明する)の画像形成ステーションを備えている。これらの画像形成ステーションは、イエロー用画像形成ステーション9Y、マゼンタ用画像形成ステーション9M、シアン用画像形成ステーション9C、ブラック用画像形成ステーション9Kである。イエロー用画像形成ステーション9Yはイエロー(Y)の画像を形成する。また、マゼンタ用画像形成ステーション9Mはマゼンタ(M)の画像を形成する。更に、シアン用画像形成ステーション9Cはシアン(C)の画像を形成する。更に、ブラック用画像形成ステーション9Kはブラック(K)の画像を形成する。その場合、この例では、各色Y、M、C、Kの画像形成ステーション9Y,9M,9C,9Kの配置順序は図1において斜め右下方向に向かってこれらの順に直線状に配列されている。なお、各色の画像形成ステーション9Y,9M,9C,9Kの配置順序はこれに限定されることはなく、任意に設定することができる。
【0013】
また、これらの画像形成ステーション9Y,9M,9C,9Kは、それぞれ、感光体からなる像担持体10Y,10M,10C,10Kを備えている。また、これらの像担持体10Y,10M,10C,10Kの周囲近傍に、それぞれ、帯電装置11Y,11M,11C,11Kが配設されている。これらの帯電装置11Y,11M,11C,11Kは、それぞれ各像担持体10Y,10M,10C,10Kを帯電する。更に、各像担持体10Y,10M,10C,10Kの周囲近傍にはそれらの回転方向で帯電装置より下流側に、それぞれ、像書込装置12Y,12M,12C,12Kが配設されている。これらの像書込装置12Y,12M,12C,12Kは、それぞれ各像担持体10Y,10M,10C,10Kに潜像を書き込む。更に、各像担持体10Y,10M,10C,10Kの周囲近傍にはそれらの回転方向で像書込装置より下流側に、それぞれ、現像装置13Y,13M,13C,13Kが配設されている。これらの現像装置13Y,13M,13C,13Kは、それぞれ、各像担持体10Y,10M,10C,10K上の潜像を現像する。更に、各像担持体10Y,10M,10C,10Kの周囲近傍にはそれらの回転方向で現像装置より下流側に、それぞれ、除電装置14Y,14M,14C,14Kが配設されている。これらの除電装置14Y,14M,14C,14Kは、それぞれ、各像担持体10Y,10M,10C,10Kを除電する。更に、各像担持体10Y,10M,10C,10Kの周囲近傍にはそれらの回転方向で除電装置より下流側に、それぞれ、クリーナ15Y,15M,15C,15Kが配設されている。これらのクリーナ15Y,15M,15C,15Kは、それぞれ各像担持体10Y,10M,10C,10Kをクリーニングする。
【0014】
各色の画像形成ステーション9Y,9M,9C,9Kの各像担持体、各帯電装置、各像書込装置、各現像装置、各除電装置、および各クリーナは、いずれも、各色Y,M,C,Kにかかわらず同一に構成されている。
【0015】
各帯電装置11Y,11M,11C,11Kは、高電圧発生源に接続された導電性ゴムローラからなる帯電ローラを備えている。これらの帯電ローラは、それぞれ対応する各像担持体10Y,10M,10C,10Kの表面を一様に帯電させる。
【0016】
各像書込装置12Y,12M,12C,12Kには、LEDランプを像担持体10Y,10M,10C,10Kの軸方向に列状に配列したLEDラインヘッドが用いられている。LEDラインヘッドは、レーザー走査光学系よりも光路長が短くてコンパクトである。したがって、LEDラインヘッドは、像担持体10Y,10M,10C,10Kに対して近接配置が可能であり、装置本体を小型化できる。
【0017】
図2に示すように、各現像装置13Y,13M,13C,13Kは、それぞれ、現像器ハウジング16Y,16M,16C,16Kを備えている。各現像器ハウジング16Y,16M,16C,16K内には、それぞれ、各トナーTY,TM,TC,TKを貯留するトナー貯留部17Y,17M,17C,17Kが設けられている。また、各トナー貯留部17Y,17M,17C,17Kには、それぞれ、各トナーTY,TM,TC,TKを撹拌するトナー撹拌部材18Y,18M,18C,18Kが設けられている。更に、各現像器ハウジング16Y,16M,16C,16Kには、それぞれ、トナー供給ローラ19Y,19M,19C,19Kが設けられている。更に、各現像器ハウジング16Y,16M,16C,16Kには、それぞれ、現像ローラ20Y,20M,20C,20Kが設けられている。更に、各現像器ハウジング16Y,16M,16C,16Kには、それぞれ、規制ブレード21Y,21M,21C,21Kが設けられている。
【0018】
そして、各トナー供給ローラ19Y,19M,19C,19Kは、それぞれ、各トナーTY,TM,TC,TKを各トナー貯留部17Y,17M,17C,17Kから現像ローラ20Y,20M,20C,20Kに供給する。また、各現像ローラ20Y,20M,20C,20Kは、それぞれ、供給された各トナーTY,TM,TC,TKを各像担持体10Y,10M,10C,10Kに搬送する。このとき、各規制ブレード21Y,21M,21C,21Kは、それぞれ、各現像ローラ20Y,20M,20C,20K上の各トナーTY,TM,TC,TKのトナー層厚を規制する。各現像ローラ20Y,20M,20C,20Kで搬送された各トナーTY,TM,TC,TKにより、それぞれ各像担持体10Y,10M,10C,10Kの各色の静電潜像が現像される。
【0019】
各トナーTY,TM,TC,TKは、いずれも非磁性一成分トナーである。
図2に示すように、各現像ローラ20Y,20M,20C,20Kおよび各トナー供給ローラ19Y,19M,19C,19Kはそれらの回転方向αがともに同じである。この回転方向αは、像担持体10Y,10M,10C,10Kの回転方向と逆の反時計回りである。
【0020】
各現像ローラ20Y,20M,20C,20Kと各像担持体10Y,10M,10C,10Kとの間には、それぞれ、所定の現像ギャップが設定されている。したがって、各現像装置13Y,13M,13C,13Kは、いずれも、非磁性一成分トナーを用いたジャンピング現像を行う。その場合、現像を行う際には、各現像ローラ20Y,20M,20C,20Kにはそれぞれ直流電圧に交流電圧が重畳された現像バイアスが印加される。そして、これらのジャンピング現像では、いずれも、各トナーが各現像ローラと各像担持体との間を5回以上往復するようにされている。更に、各現像ローラ20Y,20M,20C,20Kの周速v1と各像担持体10Y,10M,10C,10Kの周速v2とは互いに異なる。つまり、両周速v1,v2との間には、速度差が存在する。
【0021】
ところで、この例の画像形成装置1の各現像装置13Y,13M,13C,13Kでは、各現像ローラ20Y,20M,20C,20Kの外周面には、前述の特許文献2に記載の現像ローラと同様に凹凸パターンが形成されている。
図3は、この例の現像ローラを模式的に示す図である。なお、以後の図3ないし図9を用いた説明においては、各色Y,M,C,Kについて共通であるので、各符号からY,M,C,Kの符号を削除して説明する。
【0022】
図3に示すように、この例の現像装置の現像ローラ20ではこの凹凸パターンとして、その外周面の所定位置に螺旋状の溝22が形成されている。その場合、螺旋状の溝22は、現像ローラ20の軸方向(つまり周方向)に対して互いに逆方向でかつ絶対値が同じ傾斜角で傾斜する2種類の規則的な所定数の第1および第2傾斜溝22a,22bから構成されている。これらの第1および第2傾斜溝22a,22bは現像ローラ20の周方向(つまり軸方向)に関して対称に形成されている。また、第1および第2傾斜溝22a,22bの交差部は、現像ローラ20の軸方向にも周方向にも整列している。つまり、それぞれ2本の第1および第2傾斜溝22a,22bが成す菱形の1つの交差部とこの交差部の軸方向の対角にある交差部とは軸方向に一列に整列している。また、同じく菱形の1つの交差部とこの交差部の周方向の対角にある交差部とは周方向に一列に整列している。
【0023】
第1傾斜溝22aは、現像ローラ20の回転方向αに対して図3において現像ローラ20の右端側から左端側に向かって進みかつ連続して形成された螺旋状溝である。また、第2傾斜溝22bは、軸方向に第1傾斜溝22aと同じピッチ間隔で形成されて、現像ローラ20の回転方向αに対して図3において現像ローラ20の左端側から右端側に向かって進みかつ連続して形成された、第1傾斜溝22aと同数の螺旋状溝である。第1および第2傾斜溝22a,22bで囲まれる菱形形状の領域は山22cである。
【0024】
したがって、第1および第2傾斜溝22a,22bは互い交差している。現像ローラ20の第1および第2傾斜溝22a,22b形成部は像担持体10の画像形成領域に対向するようにされている。
【0025】
なお、第2傾斜溝22bのピッチ間隔および数は、いずれも第1傾斜溝22aと必ずしも同じである必要はなく異なってもよい。また、第1および第2傾斜溝22a,22bの数は1本以上任意の数だけ設けることができる。
【0026】
更に、現像ローラ20の左端20aと第1および第2傾斜溝22a,22bの左端位置20bとの間の現像ローラ20の外周面が左側の溝非形成部20cとされるとともに、現像ローラ20の右端20bと第1および第2傾斜溝22a,22bの右端位置22eとの間の現像ローラ20の外周面が右側の溝非形成部20fとされる。
【0027】
更に、この例の現像ローラ20では、第1および第2傾斜溝22a,22bのピッチP(μm)が、
数式1 nP ≠ |γ×(v1−v2)|/f
(nは整数)
の関係を満たすように設定されている。ここで、f(Hz)は現像バイアスの交流電圧の周波数、γは現像促進時間割合であるデューティ比、v1は現像ローラ20の周速、v2は像担持体10の周速である。
【0028】
第1および第2傾斜溝22a,22bのピッチP(μm)は次のように定義される。すなわち、図4に示すようにピッチP(μm)は、第1および第2傾斜溝22a,22bの交差部22abとこの交差部と現像ローラ20の軸方向に隣接する交差部22abとの間の軸方向距離aの半分(a/2)となる中央位置で定義される。つまり、ピッチP(μm)は、この中央位置における第1および第2傾斜溝22a,22bの間の現像ローラ20周方向の長さで与えられる。この中央位置での現像ローラ20周方向領域Aは、溝22の存在比率が大きく、飛翔性の低いトナーが多い領域である。
【0029】
また、デューティ比γは次のように定義される。すなわち、図5に示すようにデューティ比γは、現像ローラ20にトナーが像担持体10に向かうバイアスが印加されている時間の割合である。つまり、現像ローラ20に印加されるバイアスの1周期をtとし、トナーが像担持体10に向かうバイアスが印加されている時間をt1とすると、
数式2 γ = t1/t
で与えられる。
【0030】
次に、第1および第2傾斜溝22a,22bのピッチP(μm)が数式1を満たすように形成されると、溝にあるトナーの飛翔性が良好になることについて説明する。
図6(a)に示すように、第1および第2傾斜溝22a,22bにあるトナーT′は前述のように飛翔性が低い。そこで、現像ローラ20と像担持体10との間を飛翔する他のトナーT″をこのトナーT′に衝突させる。他のトナーT″は、もともと山22cにある飛翔性のよいトナーである。トナーT″をトナーT′に衝突させることで、図6(b)に示すように溝22a,22bにあるトナーT′は溝22a,22bからたたき出される。そして、たたき出されたトナーT′は、現像ローラ20に印加される交流バイアスに従って、現像ローラ20と像担持体10との間を往復する。
【0031】
溝22a,22bにあるトナーT′のたたき出しを実現するためには、現像ローラ20の周速v1と像担持体10の周速v2とが異なっている必要がある。トナーの現像ローラ20周方向の移動速度は慣性の法則に従う。すなわち、トナーTが現像ローラ20から像担持体10に移動するときは、トナーTの周方向の移動は現像ローラ20の周速v1と同じ速度で移動する。また、トナーTが像担持体10から現像ローラ20に移動するときは、トナーTの周方向の移動は像担持体10の周速v2と同じ速度で移動する。
【0032】
いま、現像ローラ20の周速v1(mm/sec)と像担持体10の周速v2(mm/sec)とが同じに設定した場合を考える。図7(a)に示すように、実線で示す位置にある現像ローラ20の第1および第2溝22a,22bおよび山22cはそれぞれ周方向(図7(a)において右方)に速度v1(mm/sec)で移動する。また、像担持体10は周方向に速度v2(=v1)(mm/sec)で移動する。
【0033】
そして、山22cにあるトナーTは矢印で示すように像担持体10の方へ移動して像担持体10に付着する。像担持体10に付着したトナーTは、交流バイアスにしたがって矢印で示すように再び現像ローラ20の方へ移動して現像ローラ20に付着する。トナーTが現像ローラ20から像担持体10へ移動して再び現像ローラ20に来るまでの間、現像ローラ20は点線で示す位置に周方向に移動する。このときの現像ローラ20の周方向の移動量はd1(μm)で与えられる。一方、この間のトナーTの周方向の移動量はd2(μm)で与えられる。その場合、現像ローラ20の周速v1(mm/sec)と像担持体10の周速度v2(mm/sec)とが等しいので、現像ローラ20の周方向移動量d1とトナーTの周方向移動量d2とは等しくなる(d1=d2)。したがって、トナーTは現像ローラ20に帰ってきたとき、元の山22cの同じ位置に付着する。つまり、現像ローラ20の山22cにあったトナーTは、再び山22cに帰り、溝22a,22bには行かない。このため、現像ローラ20に帰ってきたトナーT″は、溝22a,22bにあるトナーT′をたたき出すことができない。
【0034】
そこで、現像ローラ20の周速v1(mm/sec)が像担持体10の周速v2(mm/sec)より大きく設定した場合を考える。図7(b)に示すように、実線で示す位置にある現像ローラ20の第1および第2溝22a,22bおよび山22cはそれぞれ周方向(図7(b)において右方)に速度v1(mm/sec)で移動する。また、像担持体10は周方向に速度v2(<v1)(mm/sec)で移動する。
【0035】
そして、同様に山22cにあるトナーTは矢印で示すように像担持体10の方へ移動して像担持体10に付着する。像担持体10に付着したトナーTは矢印で示すように再び現像ローラ20の方へ移動して現像ローラ20に付着する。トナーTが現像ローラ20から像担持体10へ移動して再び現像ローラ20に来るまでの間、現像ローラ20は点線で示す位置に周方向に移動する。現像ローラ20の周速v1(mm/sec)が像担持体10の周速度v2(mm/sec)より大きいので、現像ローラ20の周方向移動量d1(μm)がトナーTの周方向移動量d2(μm)より大きくなる(d2<d1)。したがって、トナーTは現像ローラ20に帰ってきたとき、最初に付着していた同じ位置に帰らなく、トナーTの帰る位置が現像ローラ20の周方向にずれる。このように、トナーTが現像ローラ20と像担持体10との間を往復動する度にトナーTの帰る位置が現像ローラ20の周方向にずれることで、溝22a,22bに帰ってくるトナーT″が存在するようになる。したがって、このトナーT″が溝22a,22bにあるトナーT′に衝突してこのトナーT′を溝22a,22bからたたき出す(弾き出す)ことができるようになる。
【0036】
トナーTが一往復して現像ローラ20へ帰ってくる間に、現像ローラ20が周方向に移動する移動量d1(μm)は、
数式3 d1 = v1/f
で与えられる。また、トナーTが一往復して現像ローラ20へ帰ってくる間に、トナーTが周方向に移動する移動量d2(μm)は、
数式4 d2 =(v1×(1−γ)+v2×γ)/f
で与えられる。
【0037】
そして、現像ローラ20の移動量d1(μm)とトナーTの移動量d2(μm)との差が、トナーTが一往復して現像ローラ20へ帰ってきたときのトナーTの位置のずれ量d(μm)である。このd(μm)は、
数式5 d = d1−d2 = (v1−v2)×γ/f
で与えられる。
【0038】
ところで、トナーTが一往復でずれ量dだけずれることで、山22cにあったトナーTのなかに、溝22a,22bに帰ってくるトナーTが存在するようになる。しかし、ずれ量d(μm)の大きさによっては、元の山22c以外の別の山22cに帰って来るようになる。例えば、図8に示すように、ある山22c′にあったトナーTが、元の山22c′の周方向に隣接する次の山22c″に帰ってきてしまう。このように、トナーTが別の山22cに帰って来て、溝22a,22bに帰ってこないと、前述の現像ローラ20の周速v1(mm/sec)と像担持体10の周速v2(mm/sec)とが等しい場合と同じ状態になる。このため、トナーT″による溝22a,22bのトナーT′のたたき出しができなくなる。
【0039】
そこで、この例の現像装置では、更に位置のずれ量d(μm)が山22cとこの山22cに周方向に隣接する山22cとの距離、あるいは溝22aとこの溝22aに周方向に隣接する溝22bとの距離の整数(n)倍とならない関係に設定している。これにより、山22cにあるトナーTが往復を繰り返すことで、溝22a,22bに帰ってくるトナーTが存在するようになる。
【0040】
したがって、前述の図4に示す溝22の存在比率が大きい領域Aにおける溝22のピッチP(μm)を、
数式6 nP ≠ |d|/f = |d1−d2| = |(v1−v2)×γ|/f
(nは整数)
の関係を満たすように設定している。すなわち、数式1の関係を満たすように設定することで、溝22にあるトナーT′を効果的にたたき出すことができるようになる。すなわち、溝22にあるトナーT′の飛翔性を向上させることができる。
【0041】
この例の現像装置によれば、互いに逆方向に傾斜しかつ現像ローラ20の周方向に関して対称に設けられる2種類の第1および第2傾斜溝22a,22bの交差部とこの交差部に現像ローラ20の軸方向に隣接する第1および第2傾斜溝22a,22bの交差部との間の軸方向中央部における第1および第2傾斜溝22a,22bのピッチP(μm)が、nP ≠ |γ×(v1−v2)|/f (nは整数)の関係を満たすように設定されている。したがって、現像ローラ20と像担持体10との間を往復動するトナーT″が溝22内にあるトナーT′に衝突させることができる。これにより、溝22内のトナーT′を溝22からたたき出すことができる。その結果、溝22内のトナーT′の飛翔性を向上することができる。
【0042】
そして、溝22内のトナーT′の飛翔性が向上することから、トナーT′の帯電量が小さくなるので、このトナーT′を像担持体10へ容易に現像させることができる。したがって、縦すじの発生を抑制することができ、良好な画質の画像を得ることができる。
【0043】
(実験例)
本発明の画像形成装置により所期の効果が得られることを確認するために、実験を行った。
本実験では、すべての例で、画像形成装置としてセイコーエプソン社製のプリンタLP−9000Cを用いた。2種類の第1および第2傾斜溝22a,22bを有する現像ローラ20を図2に示す現像装置に組み付けた。そして、この現像装置が搭載できるようにプリンタLP−9000Cを若干改造して使用した。
【0044】
実験に用いた現像ローラ20は、表1に示す3本の現像ローラを作製した。その場合、3本の現像ローラ20とも、現像ローラ20の基体を鉄製で直径φが18mmに設定した。また、図9に示すように軸方向に対称の第1および第2螺旋状溝22a,22bの溝深さが3μm、溝間隔が0.1mm、溝22形成部の軸方向幅が290mmである。そして、基体の外周面に従来と同様に所定の電着塗装を適宜行うことで、現像ローラ20を完成させた。更に、現像ローラ20に貼付した、厚み60μmのテープ状のスペーサを感光体に当接して、60μmの現像ギャップを形成した。
【0045】
【表1】
【0046】
表1に示すように、現像ローラ(1)は第1および第2傾斜溝22a,22bの溝間隔が100μm、現像ローラ20の軸方向に対する溝22a,22bの角度θが45°、およびピッチP(μm)が71μmである。また、現像ローラ(2)は溝間隔が80μm、溝22a,22bの角度θが45°、およびピッチP(μm)が57μmである。更に、現像ローラ(3)は溝間隔が60μm、溝22a,22bの角度θが22.5°、およびピッチP(μm)が60μmである。
【0047】
現像剤としてLP−9000Cの純正トナーである平均体積粒径8.5μmの非磁性一成分トナーを用いた。現像ローラ5に現像バイアス電源から−300Vの直流電圧Vdcに交流電圧を重畳させて現像を行った。交流電圧は、ピーク電圧Vppを700Vに設定し、かつ後述する周波数f(Hz)でかつ同じくデューティ比γの矩形波とした。A4に50%ハーフトーンのモノクロベタ印字を6000枚行った。
【0048】
まず、現像ローラ(1)を用いて実験を行った。この実験での交流バイアスの周波数f(Hz)、デューティ比γ、現像ローラ20の周速v1(mm/sec)、および感光体10の周速v2(mm/sec)を表2に示す。
【0049】
【表2】
【0050】
表2に示すように、実施例1ないし4、比較例1ないし3では、いずれも周波数fが1000Hzであり、比較例4では、周波数fが5000Hzである。また、実施例1および2、比較例1および3では、いずれもデューティ比γが0.5であり、実施例3および4、比較例2および4では、いずれもデューティ比γが0.4である。
【0051】
また、実施例1では、現像ローラ20の周速v1が335mm/sec、感光体10の周速v2が180mm/secである。したがって、現像ローラ20とトナーTとの相対移動距離であるずれ量dは78μmである。すなわち、実施例1では、ずれ量dがピッチPの整数(n)倍になっていない。
【0052】
更に、実施例2では、周速v1が310mm/sec、周速v2が180mm/secである。したがって、ずれ量dは65μmである。すなわち、実施例2では、ずれ量dがピッチPの整数(n)倍になっていない。
更に、比較例1では、周速v1が322mm/sec、周速v2が180mm/secである。したがって、ずれ量dは71μmである。すなわち、比較例1では、ずれ量dがピッチPの整数(n)倍、つまり1倍になっている。
【0053】
更に、実施例3では、周速v1が370mm/sec、周速v2が180mm/secである。したがって、ずれ量dは76μmである。すなわち、実施例3では、ずれ量dがピッチPの整数(n)倍になっていない。
更に、実施例4では、周速v1が344mm/sec、周速v2が180mm/secである。したがって、ずれ量dは66μmである。すなわち、実施例4では、ずれ量dがピッチPの整数(n)倍になっていない。
【0054】
更に、比較例2では、周速v1が357mm/sec、周速v2が180mm/secである。したがって、ずれ量dは71μmである。すなわち、比較例2では、ずれ量dがピッチPの整数(n)倍、つまり1倍になっている。
更に、比較例3では、周速v1が180mm/sec、周速v2が180mm/secであり、両周速は互いに等しい。したがって、ずれ量dは0μmである。すなわち、比較例3では、ずれ量dがピッチPの整数(n)倍、つまり0倍になっている。
更に、比較例4では、周速v1が300mm/sec、周速v2が180mm/secである。したがって、ずれ量dは96μmである。すなわち、比較例4では、ずれ量dがピッチPの整数(n)倍になっていない。
【0055】
実験の結果を表2に示す。表2から明らかなように実施例1ないし4では、いずれも、縦すじが発生しなかった。また、比較例1ないし3では、いずれも、縦すじが発生した。更に、比較例4では、ずれ量dがピッチPの整数(n)倍になっていないが、交流バイアスの周波数f(Hz)が低いため、トナーTの往復回数が少なかった。このため、移動するトナーT″による溝のトナーT′のたたき出し効果が十分でないことにより、縦すじが発生したものとみられる。
【0056】
次に、現像ローラ(2)を用いて実験を行った。この実験での交流バイアスの周波数f(Hz)、デューティ比γ、現像ローラ20の周速v1(mm/sec)、および感光体10の周速v2(mm/sec)を表3に示す。
【0057】
【表3】
【0058】
表3に示すように、実施例5ないし8、比較例5および6では、いずれも周波数fが2000Hzである。また、実施例5および6、比較例5では、いずれもデューティ比γが0.5であり、実施例7および8、比較例6では、いずれもデューティ比γが0.6である。
【0059】
また、実施例5では、周速v1が420mm/sec、周速v2が180mm/secである。したがって、ずれ量dは60μmである。すなわち、実施例5では、ずれ量dがピッチPの整数(n)倍になっていない。
【0060】
更に、実施例6では、周速v1が392mm/sec、周速v2が180mm/secである。したがって、ずれ量dは53μmである。すなわち、実施例6では、ずれ量dがピッチPの整数(n)倍になっていない。
更に、比較例5では、周速v1が406mm/sec、周速v2が180mm/secである。したがって、ずれ量dは57μmである。すなわち、比較例5では、ずれ量dがピッチPの整数(n)倍、つまり1倍になっている。
【0061】
更に、実施例7では、周速v1が380mm/sec、周速v2が180mm/secである。したがって、ずれ量dは60μmである。すなわち、実施例7では、ずれ量dがピッチPの整数(n)倍になっていない。
更に、実施例8では、周速v1が358mm/sec、周速v2が180mm/secである。したがって、ずれ量dは53μmである。すなわち、実施例8では、ずれ量dがピッチPの整数(n)倍になっていない。
【0062】
更に、比較例6では、周速v1が369mm/sec、周速v2が180mm/secである。したがって、ずれ量dは57μmである。すなわち、比較例6では、ずれ量dがピッチPの整数(n)倍、つまり1倍になっている。
実験の結果を表3に示す。表3から明らかなように実施例5ないし8では、いずれも、縦すじが発生しなかった。また、比較例5および6では、いずれも、縦すじが発生した。
【0063】
次に、現像ローラ(3)を用いて実験を行った。この実験での交流バイアスの周波数f(Hz)、デューティ比γ、現像ローラ20の周速v1(mm/sec)、および感光体10の周速v2(mm/sec)を表4に示す。
【0064】
【表4】
【0065】
表4に示すように、実施例9および10、比較例7では、いずれも周波数fが3000Hzである。また、実施例11および12、比較例8では、いずれも周波数fが1000Hzである。更に、実施例13および14、比較例9では、いずれも周波数fが1800Hzである。また、実施例9ないし14、比較例7ないし9では、すべてデューティ比γが0.6である。
【0066】
また、実施例9では、周速v1が360mm/sec、周速v2が180mm/secである。したがって、ずれ量dは36μmである。すなわち、実施例9では、ずれ量dがピッチPの整数(n)倍になっていない。
【0067】
更に、実施例10では、周速v1が330mm/sec、周速v2が180mm/secである。したがって、ずれ量dは30μmである。すなわち、実施例10では、ずれ量dがピッチPの整数(n)倍になっていない。
更に、比較例7では、周速v1が343mm/sec、周速v2が180mm/secである。したがって、ずれ量dは33μmである。すなわち、比較例7では、ずれ量dがピッチPの整数(n)倍、つまり1倍になっている。
【0068】
更に、実施例11および12、比較例8では、他の実験例と異なり、感光体10の周速v2(mm/sec)が現像ローラ20の周速v1(mm/sec)より大きい例である。すなわち、実施例11では、周速v1が180mm/sec、周速v2が240mm/secである。したがって、ずれ量dは−36μmである。すなわち、実施例11では、ずれ量dがピッチPの整数(n)倍になっていない。
更に、実施例12では、周速v1が190mm/sec、周速v2が240mm/secである。したがって、ずれ量dは−30μmである。すなわち、実施例12では、ずれ量dがピッチPの整数(n)倍になっていない。
【0069】
更に、比較例8では、周速v1が185mm/sec、周速v2が240mm/secである。したがって、ずれ量dはー33μmである。すなわち、比較例8では、ずれ量dの絶対値がピッチPの整数(n)倍、つまり1倍になっている。
【0070】
更に、実施例13では、周速v1が395mm/sec、周速v2が180mm/secである。したがって、ずれ量dは72μmである。すなわち、実施例13では、ずれ量dがピッチPの整数(n)倍になっていない。
【0071】
更に、実施例14では、周速v1が360mm/sec、周速v2が180mm/secである。したがって、ずれ量dは60μmである。すなわち、実施例14では、ずれ量dがピッチPの整数(n)倍になっていない。
更に、比較例9では、周速v1が377mm/sec、周速v2が180mm/secである。したがって、ずれ量dは66μmである。すなわち、比較例9では、ずれ量dがピッチPの整数(n)倍、つまり2倍になっている。
【0072】
実験の結果を表4に示す。表4から明らかなように実施例9ないし14では、いずれも、縦すじが発生しなかった。また、比較例7ないし9では、いずれも、縦すじが発生した。
以上の実験結果から、本発明の現像装置によれば、所期の効果を得ることができることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明に係る画像形成装置の実施の形態の一例を模式的に示す断面図である。
【図2】図1に示す例の画像形成装置に用いられている各現像装置に共通の現像装置を模式的に示す断面図である。
【図3】図1に示す例の現像装置に用いられている現像ローラを模式的に示す図である。
【図4】本発明における第1および第2傾斜溝のピッチを説明する図である。
【図5】交流バイアスのデューティ比を説明する図である。
【図6】(a)および(b)は溝のトナーのたたき出しを説明する図である。
【図7】現像ローラと像担持体との周速差によるトナーの付着位置のずれを説明する図である。
【図8】現像ローラと像担持体との周速差によるトナーの付着位置のずれの他の場合を説明する図である。
【図9】実験で用いた溝ピッチ、溝角度、および溝間隔を説明する図である。
【図10】従来の一般的な現像装置の作動を説明する図である。
【図11】現像ローラの溝の交差部と非交差部とで溝間隔が異なることを説明する図である。
【図12】現像ローラの溝の交差部と非交差部とで山の比率が異なることを説明する図である。
【図13】現像ローラの溝にあるトナーと山にあるトナーとの飛翔性が異なることを説明する図である。
【図14】トナーの飛翔性の違いにより発生する縦すじを説明する図である。
【符号の説明】
【0074】
1…画像形成装置、2…ハウジング本体、3…画像形成ユニット、4…中間転写ユニット(一次転写ユニット)、9Y,9M,9C,9K…画像形成ステーション、10,10Y,10M,10C,10K…像担持体、13Y,13M,13C,13K…現像装置、20,20Y,20M,20C,20K…現像ローラ、22…傾斜溝、22a…第1傾斜溝、22b…第2傾斜溝、22c…山
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に対して互いに逆方向に傾斜しかつ現像ローラの周方向に関して対称に形成されている2種類の所定数の第1および第2傾斜溝を有する現像ローラに少なくとも交流バイアスを印加すること、
前記現像ローラの前記第1および第2傾斜溝間の山にある非磁性一成分トナーを、前記交流バイアスの印加により前記現像ローラと前記像担持体との間で往復動させること、
前記山にある非磁性一成分トナーの往復動によりこのトナーを前記第1および第2傾斜溝内にあるトナーに衝突させること、
このトナーの衝突により、前記第1および第2傾斜溝内にあるトナーを飛翔させて前記像担持体に現像させること、
を特徴とする現像方法。
【請求項2】
静電潜像およびトナー像が形成される像担持体と、
この像担持体に所定の現像ギャップをおいて配設されて非磁性一成分トナーを前記像担持体に搬送する現像ローラを備え、前記現像ローラに少なくとも周波数f(Hz)でかつデューティ比γの交流バイアスを印加することで前記像担持体に対して非接触ジャンピング現像を行う現像装置とを少なくとも備え、
前記現像ローラは、軸方向に対して互いに逆方向に傾斜しかつ現像ローラの周方向に関して対称に形成されている2種類の所定数の第1および第2傾斜溝を有しており、
前記現像ローラの周速v1(mm/sec)と前記像担持体の周速v2(mm/sec)とが互いに異なるように設定されており、
前記第1および第2傾斜溝の交差部とこの交差部に前記現像ローラの軸方向に隣接する前記第1および第2傾斜溝の他の交差部との、前記現像ローラの軸方向の中央部での前記第1および第2傾斜溝における前記現像ローラの周方向のピッチP(μm)が、
nP ≠ |γ×(v1−v2)|/f (nは整数)
の関係を満たすように設定されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
軸方向に対して互いに逆方向に傾斜しかつ現像ローラの周方向に関して対称に形成されている2種類の所定数の第1および第2傾斜溝を有する現像ローラに少なくとも交流バイアスを印加すること、
前記現像ローラの前記第1および第2傾斜溝間の山にある非磁性一成分トナーを、前記交流バイアスの印加により前記現像ローラと前記像担持体との間で往復動させること、
前記山にある非磁性一成分トナーの往復動によりこのトナーを前記第1および第2傾斜溝内にあるトナーに衝突させること、
このトナーの衝突により、前記第1および第2傾斜溝内にあるトナーを飛翔させて前記像担持体に現像させること、
を特徴とする現像方法。
【請求項2】
静電潜像およびトナー像が形成される像担持体と、
この像担持体に所定の現像ギャップをおいて配設されて非磁性一成分トナーを前記像担持体に搬送する現像ローラを備え、前記現像ローラに少なくとも周波数f(Hz)でかつデューティ比γの交流バイアスを印加することで前記像担持体に対して非接触ジャンピング現像を行う現像装置とを少なくとも備え、
前記現像ローラは、軸方向に対して互いに逆方向に傾斜しかつ現像ローラの周方向に関して対称に形成されている2種類の所定数の第1および第2傾斜溝を有しており、
前記現像ローラの周速v1(mm/sec)と前記像担持体の周速v2(mm/sec)とが互いに異なるように設定されており、
前記第1および第2傾斜溝の交差部とこの交差部に前記現像ローラの軸方向に隣接する前記第1および第2傾斜溝の他の交差部との、前記現像ローラの軸方向の中央部での前記第1および第2傾斜溝における前記現像ローラの周方向のピッチP(μm)が、
nP ≠ |γ×(v1−v2)|/f (nは整数)
の関係を満たすように設定されていることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−83554(P2008−83554A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−265304(P2006−265304)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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