説明

現像装置、およびそれを備えた画像形成装置

【課題】磁気ローラー82上のトナー濃度の偏りと、それによって生じる画像欠陥(スクリューむら)を解決する。
【解決手段】スクリューフィーダー86のスクリュー形状に対応して、磁気ローラー82上に分布した部分的にトナー濃度の異なる現像剤は、現像剤規制ブレード84の上流側で、磁気ローラー82の周面に対向配置された規制プレート90に接触する。規制プレート90の表面には、複数の突条901が形成されている。磁気ローラー82上の現像剤は、突条901に接触することで、攪拌され、スクリュー形状に応じて磁気ローラー82上に形成された現像剤むらが解消される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンター等の画像形成装置に用いられる現像装置に関し、特に、キャリアおよびトナーを含む2成分現像剤を採用した現像装置、およびそれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンター等の画像形成装置に用いられる現像装置として、特許文献1に記載されているような現像装置が知られている。かかる現像装置は、軸心回りに回転することによりトナーを攪拌するスクリューフィーダー(攪拌部材)と、このスクリューフィーダーに平行に配され、スクリューフィーダーから送り込まれたトナーを軸心回りの回転で感光体ドラムの周面側に供給する磁気ローラーと、先端縁部が磁気ローラーの周面に対向した磁気ローラーの軸心方向に延びる層厚規制部材とが、現像ハウジングに内装されることによって構成されている。
【0003】
ここで、スクリューフィーダーを軸心回りに回転させることにより、筐体内に装填された現像剤は、攪拌されつつ上方へ向かい、スクリューフィーダーに対向配置された圧縮部材とスクリューフィーダーとの間の隙間(以下、現像剤圧縮隙間という)を通って圧縮される。該現像剤は、その後、層厚規制部材と磁気ローラーとの間を通り、所定厚みに設定された状態で磁気ローラーの周面に供給される。この現像剤圧縮隙間によって、現像剤は、層厚規制部材へ向けて圧縮状態が維持されたまま円滑に送り込まれるため、不十分な圧縮状態で層厚規制部材へ向かうような不都合が生じることがない。
【0004】
特許文献1に記載の技術は、現像ハウジング内の現像剤量が比較的少なく、磁気ローラーから分離され、落下した現像剤が、スクリューフィーダーの下方に入り込んだ後、再度上方に搬送されるような条件下においては、現像剤が現像剤圧縮隙間を通過できるため、効果を有する。しかしながら、現像ハウジング内の現像剤量が比較的多い場合、不具合が生じる。すなわち、現像剤がスクリューフィーダーの上方付近を覆う程度に現像ハウジング内に貯留されている場合、感光体ドラム側に現像剤が供給される現像部の通過後に、磁気ローラーから分離され、落下した現像剤が、スクリューフィーダーの下方に入り込むことができない。このため、スクリューフィーダーの動作に誘発されて前記落下した現像剤が再度磁気ローラーに付着してしまうことがある。前記落下した現像剤と現像ハウジング内の現像剤とではトナーとキャリアとの比率が異なるため、磁気ローラー上にトナー濃度分布が生じ、その結果としてシート上に形成される画像に濃度乱れが発生することがある。このような場合、特許文献1に記載の技術では、分離された現像剤が現像剤圧縮隙間を通過することができないため、磁気ローラー上のトナー濃度の偏りが、解消されにくい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−322707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、特に、現像装置内のスクリューフィーダー周りを搬送される現像剤量が多く、磁気ローラーから分離された現像剤が、スクリューフィーダーのスクリュー外周縁を介して、再度磁気ローラーに付着した場合に生じる、スクリュー形状に応じた磁気ローラー上のトナー濃度の偏りと、それによって生じる画像欠陥(スクリューむら)を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面に係る現像装置は、現像剤を収容する筐体と、前記筐体内に配置され、回転軸を有し、前記回転軸回りに回転することにより前記現像剤を周面で磁気的に担持する磁気ローラーと、前記筐体内に前記磁気ローラーに対向して配置され、軸心と、該軸心の周囲に配設されたスクリュー形状部とを有し、回転しながら前記現像剤を攪拌および搬送する攪拌部材と、前記磁気ローラーに対向配置され、前記攪拌部材から前記磁気ローラーに供給された前記現像剤の層厚を所定厚みに規制する層厚規制部材と、前記層厚規制部材よりも前記磁気ローラーの回転方向上流側で、前記磁気ローラーの周面に対向し、前記磁気ローラーの回転軸方向に沿って配置され、前記磁気ローラー上に担持されている現像剤に接触する複数の突起部材と、を有するものである。
【0008】
本構成によれば、層規制部材の上流側で、磁気ローラー上を搬送される現像剤層に、複数の突起部材が接触する。ここで、現像装置内の現像剤量が多い場合には、磁気ローラー上において現像剤が消費される現像部の通過後に、磁気ローラーから分離される現像剤が、攪拌部材のスクリュー形状部から押圧力を受けることで、再度磁気ローラーに付着する。この結果、磁気ローラー上では攪拌部材のスクリュー形状に応じてトナー濃度の偏りを生じ得る。上記の突起部材を配設することにより、磁気ローラー上を搬送される現像剤が当該突起部材に接触し、現像剤が磁気ローラー上で移動されることによって、軸方向に分布した上記のトナー濃度の偏りを緩和させることができる。
【0009】
上記の構成において、前記複数の突起部材を支持する基材部を更に有し、前記複数の突起部材は、前記基材部から突出し、第1方向に傾斜して伸びる複数の突条であり、前記第1方向は、前記磁気ローラーと前記攪拌部材とが回転した時の、前記スクリュー形状部のスクリュー外周縁が描く軌跡を前記磁気ローラーの周面上に投影した第1傾斜形状と、
前記磁気ローラーと前記突起部材との対向位置で、前記突条の傾斜を前記磁気ローラーの周面上に投影した第2傾斜形状とが、前記磁気ローラーの周面上で交差する方向であることが望ましい。
【0010】
この構成によれば、複数の突条が、攪拌部材のスクリュー形状に応じてトナー濃度の偏りが生じた磁気ローラー上の現像剤を、前記磁気ローラーと前記攪拌部材とが回転した時の、前記攪拌部材のスクリュー外周縁が描く軌跡を前記磁気ローラーの周面上に投影した形状と交差する方向に移動させることができる。このため、スクリュー形状に応じてトナー濃度が偏在した磁気ローラー上の現像剤をかき乱し、トナー濃度の偏りをより抑制することが可能となる。
【0011】
また、上記の構成において、前記第1傾斜形状は、前記磁気ローラーの回転軸方向において、前記磁気ローラーの回転軸の一端に向けて傾斜し、前記第2傾斜形状は、前記磁気ローラーの回転軸方向において、前記磁気ローラーの回転軸の前記一端とは異なる他端に向けて傾斜することが望ましい。
【0012】
この構成によれば、攪拌部材のスクリュー形状に応じてトナー濃度の偏りが生じた磁気ローラー上の現像剤を、前記磁気ローラーと前記攪拌部材とが回転した時の、前記攪拌部材のスクリュー外周縁が描く軌跡を前記磁気ローラーの周面上に投影した形状とは、前記磁気ローラーの回転軸方向において、逆向きに移動させることができる。このため、スクリュー形状に応じてトナー濃度が偏在した磁気ローラー上の現像剤をかき乱し、トナー濃度の偏りをより抑制することが可能となる。
【0013】
更に、上記構成において、前記磁気ローラーと、前記攪拌部材とは、その対向部において、互いに逆向きに回転するものであり、前記複数の突起部材は、第1方向に傾斜して延びる複数の突条であり、前記第1方向は、前記攪拌部材の軸心方向において、前記スクリュー形状部が前記現像剤を搬送する向きと同じ向きに傾斜していることが望ましい。
【0014】
この構成によれば、前記磁気ローラーと、前記攪拌部材とが、その対向部において、逆向きに回転する場合に、攪拌部材のスクリュー形状に応じてトナー濃度の偏りが生じた磁気ローラー上の現像剤を、攪拌部材の軸心方向において攪拌部材のスクリュー形状が現像剤を搬送する向きと同じ向きに移動させることができる。このため、スクリュー形状に応じてトナー濃度が偏在した磁気ローラー上の現像剤をかき乱し、トナー濃度の偏りをより抑制することが可能となる。
【0015】
更に、上記構成において、前記複数の突起部材を支持する基材部を更に有し、前記複数の突起部材は、前記基材部上に第2方向に延びる複数の第1溝部と、前記第1溝部と交差する第3方向に延びる複数の第2溝部とによって形成されることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、攪拌部材のスクリュー形状に応じてトナー濃度の偏りが生じた磁気ローラー上の現像剤を、当該磁気ローラーの回転軸方向において、部分的に2方向に分流させることが可能となる。このため、より小さな範囲でトナー濃度の偏りを抑制することが可能となる。
【0017】
また、本発明の他の局面に係る画像形成装置は、表面に静電潜像が形成され、当該静電潜像が前記磁気ローラーから供給された現像剤によって、現像剤像に顕在化される像担持体と、上記の何れか1に記載の現像装置と、を備えたことを特徴とするものである。
【0018】
この構成によれば、現像装置内の現像剤量が多い場合に、攪拌部材のスクリュー形状に応じた磁気ローラー上のトナー濃度の偏りを抑制し、当該偏りによって生じる画像濃度のむらを低減することが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、スクリューフィーダーのスクリュー外周縁形状に応じた磁気ローラー上のトナー濃度の偏りと、それによって生じる画像欠陥(スクリューむら)を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の内部構造を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る現像装置の断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る現像装置内の構造を示した図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る突起部材の構造を示した図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る突起部材の構造を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の内部構造を示す断面図である。ここでは、画像形成装置1として、プリンター機能と複写機能を備えた複合機を例示するが、画像形成装置は、プリンター、複写機、ファクシミリ装置であってもよい。
【0022】
画像形成装置1は、略直方体形状の筐体構造を有する装置本体10と、装置本体10上に配置される自動原稿給送装置20と、装置本体10の右側面10Rの下方に取り付けられた手差しトレイ46とを備える。装置本体10の内部には、複写する原稿画像を光学的に読み取る読取ユニット25と、シートにトナー像を形成する画像形成部30と、前記トナー像をシートに定着させる定着部60と、画像形成部30へ搬送される定型シートを貯留する給紙部40と、定型シートを給紙部40又は手差しトレイ46から画像形成部30及び定着部60を経由してシート排出口10Eまで搬送する搬送経路50と、この搬送経路50の一部を構成するシート搬送路を内部に有する搬送ユニット55とが収容されている。
【0023】
自動原稿給送装置(ADF)20は、装置本体10の上面に回動自在に取り付けられている。ADF20は、装置本体10における所定の原稿読取位置(第1コンタクトガラス241が組み付けられた位置)に向けて、複写される原稿シートを自動給送する。一方、ユーザーが手置きで原稿シートを所定の原稿読取位置(第2コンタクトガラス242の配置位置)に載置する場合は、ADF20は上方に開かれる。ADF20は、原稿シートが載置される原稿トレイ21と、自動原稿読取位置を経由して原稿シートを搬送する原稿搬送部22と、読取後の原稿シートが排出される原稿排出トレイ23とを含む。
【0024】
読取ユニット25は、装置本体10の上面のADF20から自動給送される原稿シートの読取用の第1コンタクトガラス241、又は手置きされる原稿シートの読取用の第2コンタクトガラス242を通して、原稿シートの画像を光学的に読み取る。読取ユニット25内には、光源、移動キャリッジ、反射ミラー等を含む走査機構と、撮像素子とが収容されている(図略)。走査機構は、原稿シートに光を照射し、その反射光を撮像素子に導く。撮像素子は、前記反射光をアナログ電気信号に光電変換する。前記アナログ電気信号は、A/D変換回路でデジタル電気信号に変換された後、画像形成部30に入力される。
【0025】
画像形成部30は、フルカラーのトナー画像を生成しこれをシート上に転写する処理を行うもので、タンデムに配置されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(Bk)の各トナー像を形成する4つのユニット32Y、32M、32C、32Bkを含む画像形成ユニット32と、該画像形成ユニット32の上に隣接して配置された中間転写ユニット33と、中間転写ユニット33上に配置されたトナー補給部34とを含む。
【0026】
各画像形成ユニット32Y、32M、32C、32Bkは、感光体ドラム321(像担持体)と、この感光体ドラム321の周囲に配置された、帯電器322と、露光器323と、現像装置324と、一次転写ローラー325及びクリーニング装置326とを含む。
【0027】
感光体ドラム321は、その軸回りに回転し、その周面に静電潜像及びトナー像が形成される。感光体ドラム321としては、アモルファスシリコン(a−Si)系材料を用いた感光体ドラムを用いることができる。帯電器322は、感光体ドラム321の表面を均一に帯電する。露光器323は、レーザー光源とミラーやレンズ等の光学系機器とを有し、感光体ドラム321の周面に、原稿画像の画像データに基づく光を照射して、静電潜像を形成する。
【0028】
現像装置324は、感光体ドラム321上に形成された静電潜像を現像するために、感光体ドラム321の周面にトナーを供給する。現像装置324は、2成分現像剤用のものであり、スクリューフィーダー(攪拌部材)、磁気ローラー及び現像ローラーを含む。この現像装置324の詳細については、後記で詳細に説明する。
【0029】
一次転写ローラー325は、中間転写ユニット33に備えられている中間転写ベルト331を挟んで感光体ドラム321とニップ部を形成し、感光体ドラム321上のトナー像を中間転写ベルト331上に一次転写する。クリーニング装置326は、クリーニングローラー等を有し、トナー像転写後の感光体ドラム321の周面を清掃する。
【0030】
中間転写ユニット33は、中間転写ベルト331、駆動ローラー332及び従動ローラー333を備える。中間転写ベルト331は、駆動ローラー332及び従動ローラー333に架け渡された無端ベルトであって、該中間転写ベルト331の外周面には、複数の感光体ドラム321からトナー像が、同一箇所に重ねて転写される(一次転写)。
【0031】
駆動ローラー332の周面に対向して、二次転写ローラー35が配置されている。駆動ローラー332と二次転写ローラー35とのニップ部は、中間転写ベルト331に重ね塗りされたフルカラーのトナー像をシートに転写する二次転写部35Aとなる。駆動ローラー332又は二次転写ローラー35のいずれか一方のローラーに、トナー像と逆極性の二次転写バイアス電位が印加され、他方のローラーは接地される。
【0032】
トナー補給部34は、イエロー用トナーコンテナ34Yと、マゼンタ用トナーコンテナ34Mと、シアン用トナーコンテナ34Cと、及びブラック用トナーコンテナ34Bkとを含む。これらトナーコンテナ34Y、34C、34M、34Bkは、それぞれ各色のトナーを貯留するものであり、YMCBk各色に対応する画像形成ユニット32Y、32M、32C、32Bkの現像装置324に、図略の供給経路を通して各色のトナーを供給する。各トナーコンテナ34Y、34C、34M、34Bkには、当該コンテナ内のトナーを図略のトナー排出口へ搬送する搬送スクリュー341が備えられている。この搬送スクリュー341が駆動部(不図示)にて回転駆動されることで、現像装置324内へトナーが補給される。
【0033】
給紙部40は、画像形成処理が施されるシートのうち、シートS1を収容する2段の給紙カセット40A、40Bを備える。これら給紙カセット40A、40Bは、装置本体10の前方から手前方向に引出可能である。
【0034】
給紙カセット40A(40B)は、シートS1が積層されてなるシート束を収納するシート収容部41と、前記シート束を給紙のためにリフトアップするリフト板42とを備える。給紙カセット40A(40B)の右端側の上部には、ピックアップローラー43と、給紙ローラー44とリタードローラー45とのローラー対とが配置されている。ピックアップローラー43及び給紙ローラー44の駆動により、給紙カセット40A内のシート束の最上層のシートS1が1枚ずつ繰り出され、搬送経路50の上流端へ搬入される。
【0035】
装置本体10の右側面10Rには、手差し給紙用の給紙トレイ46が設けられている。給紙トレイ46は、その下端部において装置本体10に対して開閉自在に取り付けられている。ユーザーは、手差し給紙を行う場合、図示の通り給紙トレイ46を開き、その上にシートを載置する。給紙トレイ46に載置されたシートは、ピックアップローラー461及び給紙ローラー462の駆動によって、搬送経路50へ搬入される。
【0036】
搬送経路50は、給紙部40から画像形成部30を経由して定着部60の出口までシートを搬送する主搬送路50Aと、シートに対して両面印刷を行う場合に片面印刷されたシートを画像形成部30に戻すための反転搬送路50Bと、主搬送路50Aの下流端から反転搬送路50Bの上流端へシートを向かわせるためのスイッチバック搬送路50Cと、主搬送路50Aの下流端から装置本体10の左側面10Lに設けられたシート排出口10Eまでシートを水平方向に搬送する水平搬送路50Dとを含む。この水平搬送路50Dの大半は、搬送ユニット55の内部に備えられているシート搬送路で構成されている。
【0037】
定着部60は、シートにトナー像を定着させる定着処理を施す誘導加熱方式の定着装置であって、加熱ローラー61、定着ローラー62、加圧ローラー63、定着ベルト64及び誘導加熱ユニット65を含む。定着ローラー62に対して加圧ローラー63が圧接され、定着ニップ部が形成されている。加熱ローラー61及び定着ベルト64は誘導加熱ユニット65によって誘導加熱され、その熱を前記定着ニップ部に与える。シートが定着ニップ部を通過することで、シートに転写されたトナー像が当該シートに定着される。
【0038】
<現像装置の詳細構成>
続いて、本実施形態の現像装置324について詳細に説明する。図2は、現像装置324の内部構造を概略的に示す垂直方向の断面図である。現像装置324は、該現像装置324の内部空間を画定する現像ハウジング80(筐体)を含む。現像ハウジング80は、その内部に収容される各ローラーを上方から覆う蓋部802と、該蓋部802に連接され、現像ハウジング80の下面部を形成する底部803とを含む。
【0039】
この現像ハウジング80には、非磁性体のトナーおよび磁性体のキャリアを含む現像剤を貯留するキャビティであって、現像剤を攪拌しつつ搬送することが可能とされた現像剤貯留部81が備えられている。また、現像ハウジング80の内部には、現像剤貯留部81の上方に配置された磁気ローラー82(現像剤担持体)と、磁気ローラー82の斜め上方位置で磁気ローラー82に対向配置された現像ローラー83(トナー担持体)と、磁気ローラー82に対向配置された現像剤規制ブレード84(層規制部材)と、現像剤を攪拌及び搬送するスクリューフィーダー85および86(攪拌部材)とが配設されている。
【0040】
現像剤貯留部81は、現像装置324の長手方向に延びる2つの隣り合う現像剤貯留室81aおよび現像剤貯留室81bを含む。現像剤貯留室81aおよび現像剤貯留室81bは、現像ハウジング80の底部803に一体に形成され長手方向に延びる仕切り板801によって互いに仕切られているが、長手方向における両端部において連通路804および連通路805によって互いに連通されている(図3参照)。スクリューフィーダー85および86は、現像剤貯留室81aおよび現像剤貯留室81bにそれぞれ収容され、軸回りに回転することにより現像剤を攪拌及び搬送する。スクリューフィーダー85および86は、図略の駆動機構により回転駆動されるが、軸方向において、現像剤の搬送方向が互いに逆向きとなるように設定されている。これにより現像剤は、図3に矢印D1、D2で示すように、現像剤貯留室81aおよび現像剤貯留室81b間を攪拌されつつ循環搬送される。この攪拌により、トナーとキャリアとが混合され、トナーが例えばマイナスに帯電される。
【0041】
磁気ローラー82は、現像装置324の長手方向に沿って配設されており、図2では反時計方向に回転可能である。磁気ローラー82の内部には、固定式の所謂磁石ロールが配置されている。磁石ロールは複数の磁極を有しており、本実施形態では汲上極821、規制極822及び主極823、更に搬送極824、分離極825を有する。汲上極821は現像剤貯留部81に対向し、規制極822は現像剤規制ブレード84に対向し、主極823は現像ローラー83に対向している。また、搬送極824は、規制極822と主極823との間に配設され、分離極825は、主極823に対して、磁気ローラー82の回転方向下流側に配設されている。
【0042】
磁気ローラー82は、図2の矢印F1に示すように、汲上極821の磁力によって現像剤貯留室81bから現像剤をその周面82A上に磁気的に汲み上げる(受け取る)。汲み上げられた現像剤は、磁気ローラー82の周面82A上に磁気的に現像剤層(磁気ブラシ層)として保持され、磁気ローラー82の回転に伴って現像剤規制ブレード84側に向けて搬送される。
【0043】
現像剤規制ブレード84は、磁気ローラー82の回転方向から見て現像ローラー83よりも上流側に配置され、磁気ローラー82の周面82Aに磁気的に付着した現像剤層の層厚を規制する。現像剤規制ブレード84は、磁気ローラー82の長手方向に沿って延びる磁性材料からなる板部材であり、現像ハウジング80の適所に固定された所定の支持部材841によって支持されている。支持部材841は、断面視で略台形形状を有し、磁気ローラー82の回転軸方向に延設される角柱形状からなる。支持部材841は、その長手方向の1面であって、現像剤規制ブレード84に当接するとともに、磁気ローラー82に対向する対向面843を有する。また、現像剤規制ブレード84は、磁気ローラー82の周面82Aとの間で所定の寸法の規制ギャップGを形成する規制面842(つまり現像剤規制ブレード84の先端面)を有する。
【0044】
ここで、本実施形態では、現像剤規制ブレード84よりも、磁気ローラー82の回転方向上流側の位置に、磁気ローラー82の回転周面に所定の距離をもって、対向配置される規制プレート90が配設されている。規制プレート90は、樹脂材料からなる板状部材から構成され、支持部材841の対向面843に接着固定されるとともに、その上端縁が、現像剤規制ブレード84に当接している。規制プレート90は、磁気ローラー82の回転軸方向の全長に亘る長さを有している。また、規制プレート90において、磁気ローラー82との対向面には、現像剤規制ブレード84側に向かって、所定の角度で傾斜して伸びる突条901(突起部材)が複数配設されている(図4)。複数の突条901は、磁気ローラー82の回転軸方向に沿って、互いに隣接して配置されており、隣接する突条と突条との間には、所定幅の溝部902が形成されている。
【0045】
汲上極821によって磁気ローラー82の周面82A上に付着した現像剤層は、規制プレート90に接触しながら、現像剤規制ブレード84に向かって搬送される。なお、規制プレート90内での現像剤の挙動については、後記で詳述する。
【0046】
磁性材料から形成された現像剤規制ブレード84は、磁気ローラー82の規制極822によって磁化される。これにより、現像剤規制ブレード84の規制面842と規制極822との間には、すなわち規制ギャップGには、磁路が形成される。磁気ローラー82の回転に伴って、規制プレート90と磁気ローラー82の間から、規制ギャップG内に現像剤が搬送されると、現像剤層の層厚は規制ギャップGにおいて規制される。これにより、周面82A上には所定厚さの均一な現像剤層が形成される。
【0047】
現像ローラー83は、現像装置324の長手方向に沿って、且つ、磁気ローラー82に対して平行に延びるように配設されており、図2では反時計方向に回転可能である。現像ローラー83は、磁気ローラー82の周面82A上に保持された現像剤層に接触した状態で回転しつつ、前記現像剤層からトナーを受け取ってトナー層を担持する周面83Aを有する。現像ローラー83の内部には、磁気ローラー82の主極823に対向する位置に、対向主極831が配設されている。トナーは、主極823と対向主極831との間で、磁界が形成されるとともに、周面82Aと周面83Aとの間(現像部)に所定の電圧が設定されることによって、周面82A上の前記現像剤層から周面83Aに移動する。現像動作が行なわれる現像時には、周面83A上のトナーが感光体ドラム321の周面に供給される。現像ローラー83との対向部を通過した磁気ローラー82上の現像剤は、分離極825によって、周面82Aから剥離され、下方のスクリューフィーダー86が収容される現像剤貯留室81bまで落下し、再び攪拌される。
【0048】
なお、現像ローラー83および磁気ローラー82は、駆動源(不図示)によって回転駆動される。現像ローラー83の周面83Aと磁気ローラー82の周面82Aとの間には、所定の寸法の隙間Sが形成されている。隙間Sは例えば約130μmに設定されている。現像ローラー83は、現像ハウジング80に形成された開口を通して感光体ドラム321に臨むように配置され、周面83Aと感光体ドラム321の周面との間にも所定の寸法の隙間が形成されている。
【0049】
<トナー濃度分布を生じる原因について>
次に、図2および図3を用いて、本実施形態にかかる規制プレート90を備えない場合に生じる現像装置内の現象について説明する。図3は、磁気ローラー82の長手方向に亘る現像装置324の内部構造を、上方から示した図である。同図は、図2において、現像ハウジング80の蓋部802を取り外し、磁気ローラー82と、スクリューフィーダー85との間から、スクリューフィーダー86を臨む様子を表している。なお、図3において、現像ローラー83は図示を省略されている。
【0050】
現像ハウジング80の内部において、略水平に隣接されたスクリューフィーダー85および86は、それぞれ磁気ローラー82の回転軸方向において、逆方向に現像剤を搬送する(図3の矢印D2、D1)。更に、これらスクリューフィーダー85および86の軸方向端部における現像剤搬送路は、現像ハウジング80の底部803に設けられた連通路804および805によって連通され、全体として時計回りの現像剤の循環路が形成されている。
【0051】
スクリューフィーダー86の上方には、磁気ローラー82が対向して配設されている(第1対向部)。磁気ローラー82は、図2および図3でR1方向に回転し、スクリューフィーダー86は、第1対向部で、磁気ローラー82と逆方向(R2方向)に回転している。磁気ローラー82の周面82Aにスクリューフィーダー86から現像剤の一部が供給され(図2の矢印F1)、残りの現像剤が軸方向に攪拌、搬送される(図3の矢印D1)。また、現像ローラー83へのトナーの移動後、磁気ローラー82の分離極825(図2)によってその周面82Aから剥離された現像剤が再度、スクリューフィーダー86の搬送路に流入する(図2の矢印F2)。
【0052】
ここで、感光体ドラム321に形成される静電潜像に応じて、主極823において、現像ローラー83側にトナーの一部が消費されているため、上記の磁気ローラー82から分離され、スクリューフィーダー86に再度流入する現像剤は、二成分現像剤を構成するキャリアに対するトナーの比率(T/C)が低下している。したがって、これら磁気ローラー82から分離された現像剤と、スクリューフィーダー86内を矢印D1方向に攪拌、搬送されてきた現像剤とでは、キャリアとトナーの比率(T/C)が、相違する。
【0053】
ただし、現像装置324内の現像剤量が少ない場合であれば、図2の矢印F2に示すように、分離された現像剤が、スクリューフィーダー86の下方へ落下する。その後、当該現像剤は、現像ハウジング80の底部803側に沈むように搬送された後、周囲の現像剤と十分攪拌された上で、磁気ローラー82に再供給される。このため、キャリアとトナーの比率の部分的な不均一性は、問題となりにくい。
【0054】
一方、現像装置324の使用条件において、現像装置324内の現像剤量が多い場合(たとえば、400g)には、この磁気ローラー82から分離された現像剤(分離現像剤)が、スクリューフィーダー86のスクリュー外周縁861(螺旋形状の外周部)の回転力によって、スクリューフィーダー86の下方に入り込むことができない。むしろ当該現像剤は、上方に押し戻され、磁気ローラー82側に再付着しやすい(図2の矢印F3)。なお、このような現象は、現像装置の使用に応じて、トナーのみならずキャリアも補給する、いわゆるトリクル現像方式において、現像剤貯留部81内の現像剤量の変動が大きく、顕著となる。
【0055】
上記の磁気ローラー82への分離現像剤の再付着現象には、スクリューフィーダー86の形状が寄与する。スクリューフィーダー86のスクリュー外周縁861の形状(螺旋形状)に対応して、分離現像剤の再付着の顕著な部分が磁気ローラー82上に周期的に分布することとなる。前記周期的な分布は、スクリューフィーダー86が回転したときにスクリュー外周縁861が描く軌跡を対向面(磁気ローラー82の周面)に投影したラインに近似する。この結果、磁気ローラー82上にトナー濃度の不均一分布が生じる。
【0056】
図3において、磁気ローラー82の周面上に示した点線部Pは、磁気ローラー82の裏側(スクリューフィーダー86に対向する側)での分離現像剤の再付着の分布を表しており、その周期、および分布形状は、対向するスクリューフィーダー86のスクリュー外周縁861(螺旋形状)の形状に対応している。すなわち、磁気ローラー82の周面82Aにおいて、スクリュー外周縁861が対向する位置では、分離現像剤の再付着が顕著であるため、T/C(トナー濃度)が低い現像剤が付着している。一方、スクリューフィーダー86の軸部862に対応する位置では、その半径方向への搬送力が小さいため、分離現像剤は、磁気ローラー82上に再付着しにくい。したがって、磁気ローラー82の周面82Aには、スクリューフィーダー86の下方に入り込み、十分に攪拌された、T/Cの高い現像剤が付着している(図2のF1)。
【0057】
このように、再付着現像剤の分布は、磁気ローラー82とスクリューフィーダー86とが互いに回転した時に、スクリューフィーダー86上のスクリュー外周縁861が描く軌跡を磁気ローラー82の周面上に投影した形状に対応している。なお、図3において実線部P’は、この再付着現像剤が、磁気ローラー82の回転に伴い、磁気ローラー82の周面82Aの上側に搬送された際の分布を示している。
【0058】
また、T/C(トナー濃度)の異なる現像剤は、流動性も異なることがある。従って、上記の磁気ローラー82上に分布した再付着現像剤と、スクリューフィーダー86の下方から供給された、周辺の現像剤とでは、磁気ローラー82の周面82Aに付着する現像剤量のむらを差が生じることがある(周面82A上での現像剤層の高低差)。
【0059】
このような磁気ローラー82上でのT/C(トナー濃度)の偏りや現像剤量のむらは、磁気ローラー82からトナーが移動される現像ローラー83上および、感光体ドラム321上での現像剤像でも残存するため、結果的に画像欠陥につながってしまう。
【0060】
<規制プレートについて>
ここで、本実施形態では、この分離現像剤の再付着(再付着現像剤)の問題を解決するために、規制プレート90が磁気ローラー82の下方であって、その外周面に対向する位置に配設されている。なお、図3では、後述の傾斜関係を説明するために、規制プレート90の位置を上方にずらして表示している。実際の位置関係では、規制プレート90は、図2に示すとおり、現像剤規制ブレード84の下方であって、磁気ローラー82の回転方向上流側に位置するものである。
【0061】
図4(a)は、本実施形態にかかる規制プレート90の拡大図であり、磁気ローラー82の周面82Aに対向する面を表している。規制プレート90は、所定の厚みをもった板状の樹脂部材からなり、磁気ローラー82に対向する面には、図4(b)(図4(a)のA−A’断面図)に示すように、基材部903から、凸形状をもって突出する突条901(突起部材)と、突条901の間に配設される凹(溝)形状を有する溝部902とが配設されている。この突条901は、磁気ローラー82の回転軸と垂直なライン((図4(a)のA−A’線に垂直なライン)に対して、その上端が規制プレート90の右端に向かう方向(第1方向)に所定の角度で傾斜して配設されている。
【0062】
規制プレート90は、磁気ローラー82の周面82Aに対向し、複数の隣接配置された突条901が、磁気ローラー82上の現像剤層に接触するように、配設されている。規制プレート90の突条901に接触した現像剤は、溝部902に進入し、案内壁901aに案内され、図4(a)の矢印に示すように、右側に傾斜した方向に搬送される。ここで、図3に示すように、突条901が傾斜する向きは、磁気ローラー82の周面上で再付着現像剤が分布する傾き(点線部P)とは逆向きとなるように設定されている。すなわち、磁気ローラー82とスクリューフィーダー86とが互いに回転した時に、スクリューフィーダー86上のスクリュー外周縁861が描く軌跡を磁気ローラー82の周面上に投影した形状の傾き(第1傾斜形状)と、突条901の傾斜を磁気ローラー82の周面上に投影した形状の傾き(第2傾斜形状)とが、交差する。より詳しくは、磁気ローラー82とスクリューフィーダー86とが互いに回転した時に、スクリューフィーダー86上のスクリュー外周縁861を磁気ローラー82の周面上に投影した形状は、磁気ローラー86の回転軸方向において、磁気ローラーの回転軸の一端828の向きに傾斜している。一方、突条901の傾斜を磁気ローラー82の周面上に投影した形状は、磁気ローラーの回転軸の他端829に向かって傾斜している。
【0063】
このため、磁気ローラー82上に周期的に分布した再付着現像剤は、突条901に接触することで、周囲の現像剤と攪拌されるとともに、分布していた領域(図3の点線部P)から離れる方向(点線部Pと交差する方向)に、移動されることとなる。したがって、磁気ローラー82上に異なるトナー濃度を持って偏在していた現像剤が、混ざりあい、トナー濃度の均一化が果たされる。
【0064】
また、この突条901による現像剤の移動によって、磁気ローラー82の周面82A上に、現像剤量のむら(高低差)があった場合でも、そのむらが緩和されることとなる。
【0065】
なお、本実施形態では、隣接する突条901同士の間隔は、磁気ローラー82上に投影されるスクリューフィーダー86のスクリュー外周縁816の間隔よりも小さく設定されている。この場合、磁気ローラー82上の1箇所のスクリュー外周縁に相当する現像剤領域(図3の点線部P)に、複数の突条901が順次接触するため、より細かい領域での現像剤の移動と、偏在するトナー濃度の均一化が実現される。
【0066】
ここで、本実施形態では、磁気ローラー82とスクリューフィーダー86とが、その対向部において逆方向に回転しており、磁気ローラー82の回転軸方向において、当該突条901が傾斜する向きは、スクリューフィーダー86の軸心方向において、現像剤が搬送される向きD1と同じになっている。すなわち、このいずれもが、磁気ローラー82の回転軸の他端829側に向くように設定されている。
【0067】
以上のように、本実施形態にかかる規制プレート90によれば、現像装置324内の現像剤量が多い場合(たとえば、400g)に、磁気ローラー82の主極823を通過した現像剤が、磁気ローラー82から分離された後、スクリューフィーダー86の回転力によって、磁気ローラー82に再付着することによって生じた再付着現像剤の周期的な分布(トナー濃度分布)を低減することが可能となる。更に、この再付着現像剤の周期的な分布によってもたらされる画像欠陥を効果的に抑制することが可能となる。
【0068】
以上、本発明の実施形態に係る現像装置について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を採用することができる。
(1)上記実施形態では、規制プレート90について樹脂材料からなる板状部材を用いて説明したが、規制プレート90はこれに限られるものではなく、金属材料から構成されることも可能である。この場合、磁気ローラー82に内包される磁極との間で、磁界が形成されないために、規制プレート90には非磁性金属材料が選択されることが好ましい。
(2)また、上記実施形態では、突起部材の実施形態として、傾斜する突条901を有する規制プレート90について説明したが、この形状に限られるものではなく、突起部材は、磁気ローラー82上の再付着現像剤を効果的に攪拌し、その周期的な分布を乱す効果を有するものであればよい。
【0069】
たとえば、図5は本発明の第2の実施形態に係る規制プレート91を示す図である。規制プレート91では、突起形状を形成するために、基材部913には、その上端側が右方向(第2方向)に傾斜した第1の溝911(第1溝部)と、その上端側が左方向に傾斜(第3方向)した第2の溝912(第2溝部)とが、互いに交差する方向に複数形成されている。ここで、第1の溝911と、第2の溝912とが互いに交差することで、これらの溝に流入する現像剤は、分流と衝突を繰り返しながら、攪拌されるため、前述のトナー濃度の偏りが効果的に解消される。なお、第1の溝911と第2の溝912との溝間隔は、磁気ローラー82上に投影されるスクリューフィーダー86のスクリュー外周縁816の間隔(ピッチ)よりも小さく設定されることが好ましい。この場合、より細かい領域で、現像剤の移動が実現され、磁気ローラー82上の現像剤量のむら(高低差)の均一化を促進することも可能となる。なお、その他の構成および配置関係は、第1の実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【実施例】
【0070】
次に、上記の実施形態に係る規制プレート90および91によって、磁気ローラー82上での再付着現像剤の分布が緩和され、プリント画質におけるスクリューむらが効果的に改善した実施例について説明する。
【0071】
なお、実施例及び比較例においては以下の諸元及び条件で画出しを行った。
<装置条件>
・画像形成装置:京セラミタ製 TASKalfa 5550ci
・感光ドラム:直径φ30mm、周速300mm/sec、表面電位(暗電位)300V、明電位10V
・現像ローラの回転スリーブ:材質アルミニウム、直径φ20mm、周速450mm/sec
・磁気ローラの回転スリーブ:材質アルミニウム、直径φ20mm、周速675mm/sec
・トナー平均粒径:6.8μm
・キャリア平均粒径:35μm
・トナー/キャリア重量比率:11%
・磁気ローラー82と現像ローラー83との表面同士の最近接設定距離:350μm
・現像ローラー83と感光体ドラム321との表面同士の最近接設定距離:150μm
・現像ローラー印加電圧:Vdc2=300V、Vpp=1.6kV、周波数f=2.7kHz、Duty比=50%
・磁気ローラー印加電圧:Vdc1=400V、現像ローラー印加電圧Vppと同じ周期で逆の位相のVpp=2.8kV、周波数f=2.7kHz、Duty比=70%
【0072】
<規制プレート>
実施例1:第1の実施形態に係る規制プレート90を備える。
溝部902の幅:1mm
溝部902の深さ:1.5mm
溝部902の間隔:3mm
(溝部902の幅および間隔は、いずれも溝部902の傾斜方向に直行する直線上で測定した。)
実施例2:第2の実施形態に係る規制プレート91を備える。
第1の溝911および第2の溝912の幅:1mm
第1の溝911および第2の溝912の深さ:1.5mm
第1の溝911および第2の溝912のそれぞれの間隔:3mm
(上記溝の幅および間隔は、いずれも溝の傾斜方向に直行する直線上で測定した。)
比較例1:規制プレートを有さない場合。
比較例2:規制プレートを有さない場合。ただし、特開2007−322707号公報記載の圧縮部材を有する。
【0073】
表1は、スクリューむらの評価結果であって、A3プリント全面に、高濃度画像を作像した際に、スクリューフィーダー86のスクリュー形状で現れるむら(スクリューむら)について目視で評価したものである。○はスクリューむらが現れていない結果を示し、△は磁気ローラー82上の現像剤量が少ないときに、規制プレート90の溝部で若干現像剤が偏ってしまうために、磁気ローラー82の軸方向端部で部分的に生じるむらを意味し、×はスクリューむらが顕著に現れている結果を表すものである。いずれも、現像装置324内の現像剤量を変化させて、スクリューむらが現れるか否かを評価した。
【0074】
【表1】

【0075】
表1に示されるように、実施例1、2では、現像装置324内の現像剤量が多い状態(375〜400g)でもスクリューむらが発生せず、現像剤量に関して広い範囲での使用が可能となっている。このように、比較例1、2と比較して、規制プレート90または規制プレート91を配置させることで、現像装置324内の現像剤量が多い状態(375〜400g)においても、スクリューむらの発生が効果的に防止されていることが確認された。
【符号の説明】
【0076】
1 画像形成装置
10 装置本体
30 画像形成部
32 画像形成ユニット
33 中間転写ユニット
321 感光体ユニット
324 現像装置
80 現像ハウジング(筐体)
802 蓋部
803 底部
81 現像剤貯留部
82 磁気ローラー
821 汲上極
822 規制極
823 主極
824 搬送極
825 分離極
83 現像ローラー
831 対向主極
84 現像剤規制ブレード(層規制部材)
85 スクリューフィーダー(攪拌部材)
86 スクリューフィーダー(攪拌部材)
90 規制プレート
901 突条(突起部材)
902 溝部
903 基材部
91 規制プレート
911 第1の溝(第1溝部)
912 第2の溝(第2溝部)
913 基材部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を収容する筐体と、
前記筐体内に配置され、回転軸を有し、前記回転軸回りに回転することにより前記現像剤を周面で磁気的に担持する磁気ローラーと、
前記筐体内に前記磁気ローラーに対向して配置され、軸心と、該軸心の周囲に配設されたスクリュー形状部とを有し、回転しながら前記現像剤を攪拌および搬送する攪拌部材と、
前記磁気ローラーに対向配置され、前記攪拌部材から前記磁気ローラーに供給された前記現像剤の層厚を所定厚みに規制する層厚規制部材と、
前記層厚規制部材よりも前記磁気ローラーの回転方向上流側で、前記磁気ローラーの周面に対向し、前記磁気ローラーの回転軸方向に沿って配置され、前記磁気ローラー上に担持されている現像剤に接触する複数の突起部材と、
を有することを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記複数の突起部材を支持する基材部を更に有し、
前記複数の突起部材は、前記基材部から突出し、第1方向に傾斜して伸びる複数の突条であり、
前記第1方向は、前記磁気ローラーと前記攪拌部材とが回転した時の、前記スクリュー形状部のスクリュー外周縁が描く軌跡を前記磁気ローラーの周面上に投影した第1傾斜形状と、
前記磁気ローラーと前記突起部材との対向位置で、前記突条の傾斜を前記磁気ローラーの周面上に投影した第2傾斜形状とが、
前記磁気ローラーの周面上で交差する方向であることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記第1傾斜形状は、前記磁気ローラーの回転軸方向において、前記磁気ローラーの回転軸の一端に向けて傾斜し、
前記第2傾斜形状は、前記磁気ローラーの回転軸方向において、前記磁気ローラーの回転軸の前記一端とは異なる他端に向けて傾斜することを特徴とする請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記磁気ローラーと、前記攪拌部材とは、その対向部において、互いに逆向きに回転するものであり、
前記複数の突起部材は、第1方向に傾斜して延びる複数の突条であり、
前記第1方向は、前記攪拌部材の軸心方向において、前記スクリュー形状部が前記現像剤を搬送する向きと同じ向きに傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項5】
前記複数の突起部材を支持する基材部を更に有し、前記複数の突起部材は、前記基材部上に第2方向に延びる複数の第1溝部と、前記第1溝部と交差する第3方向に延びる複数の第2溝部とによって形成されることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項6】
表面に静電潜像が形成され、当該静電潜像が前記磁気ローラーから供給された現像剤によって、現像剤像に顕在化される像担持体と、
請求項1乃至5の何れか1項に記載の現像装置と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−64781(P2013−64781A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202075(P2011−202075)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】