説明

現像装置、像保持体ユニットおよび画像形成装置

【課題】現像剤の飛散やこぼれ等の障害を防止しつつ、異物詰まりによる画像欠陥の発生を抑制すること。
【解決手段】表面に現像剤を保持して回転する現像剤保持体(G1y〜G1k)と、前記現像剤保持体(G1y〜G1k)表面に層厚規制領域(Qsy〜Qsk)において対向して配置され、現像剤保持体(G1y〜G1k)表面に付着した現像剤の層厚を規制する円筒状の層厚規制部材(SK)であって、前記層厚規制領域(Qsy〜Qsk)における回転方向が前記現像剤保持体(G1y〜G1k)の回転方向と同方向に回転可能な前記層厚規制部材(SK)と、を備えた現像装置(Gy〜Gk)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置、像保持体ユニットおよび画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の複写機やプリンタ等の画像形成装置では、表面に潜像が形成される感光体に対向して現像剤保持体を配置し、現像剤保持体表面に担持された現像剤により潜像を可視像化して画像形成を行っている。
現像装置は、前記現像剤保持体表面に担持された現像剤の層厚を一定に規制するための層厚規制部材を備えており、前記層厚規制部材の現像剤保持体側端部を現像剤保持体表面に摺擦させたり、前記層厚規制部材の端部と現像剤保持体表面との距離を一定の長さに保持する等して層厚を規制している。
前記従来の画像形成装置では、現像剤の凝集体やゴミ等の異物が層厚規制部材と現像剤保持体表面との間部分に侵入して前記間部分に挟まってしまい、前記異物が挟まった部分でトナー層形成ができなくなり、画像上に白スジ等の異常画像が形成されてしまうことがあった。
前記異物を除去できる可能性のある技術として、下記の特許文献1,2が知られている。
【0003】
特許文献1(特開2001−356589)には、トナー層厚規制ブレード(72)の先端部近傍が現像ロール(71)に当接して配置された構成において、当接部に挟まった異物除去および、異物除去後のトナーの飛散防止のため、現像ロール(71)を画像形成時の周速以下で一定時間正逆回転させる技術が記載されている。
【0004】
特許文献2(特開平7−261548)には、回転中心Oから外周までの距離が連続的に増加するように外周面の曲率を変化させて形成されたカム状の層規制部材(43)を現像ローラ(42)表面に当接するように配置する技術が記載されている。また、カム状の層規制部材(43)をコイルスプリング(60)で所定の回転方向に回転するように付勢し、層規制部材(43)表面の磨耗に応じて、磨耗のない新たな面が、現像ローラ(42)に接触するように間欠的に回転させる技術も記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開平2001−356589号公報(「0006」)
【特許文献2】特開平7−261548号公報(「0045」〜「0041」、図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
(特許文献1記載の技術の問題点)
前記特許文献1記載の技術では、現像ロール(71)の正逆回転により現像剤の飛散やこぼれ等の障害が発生する恐れがあった。また、前記正逆回転をさせるために、部品点数が増えてしまうという問題もあった。
(特許文献2記載の技術の問題点)
前記特許文献2記載の技術では、層規制部材(43)表面が磨耗していない場合には、層厚規制部材(43)が回動しないため、層規制部材(43)と現像ロール(42)との当接部付近に異物が混入した場合に直ちに除去できないという問題があった。また、層規制部材(43)が現像ロール(42)に当接しているため、層規制部材(43)を回動させる場合に前記層規制部材(43)および現像ローラ(42)に負荷がかかってしまったり、異物を前記当接部を通り抜けさせて除去することが難しいという問題があった。
【0007】
本発明は、前述の事情に鑑み、次の記載内容(O01)を技術的課題とする。
(O01)現像剤の飛散やこぼれ等の障害を防止しつつ、異物詰まりによる画像欠陥の発生を抑制すること。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(本発明)
次に、前記課題を解決した本発明を説明するが、本発明の要素には、後述の実施の形態の具体例(実施例)の要素との対応を容易にするため、実施例の要素の符号をカッコで囲んだものを付記する。また、本発明を後述の実施例の符号と対応させて説明する理由は、本発明の理解を容易にするためであり、本発明の範囲を実施例に限定するためではない。
【0009】
(第1発明)
前記技術的課題を解決するために、第1発明の現像装置(Gy〜Gk,Gy′〜Gk′)は、
表面に現像剤を保持して回転する現像剤保持体(G1y〜G1k,G1y′〜G1k′)と、
前記現像剤保持体(G1y〜G1k,G1y′〜G1k′)表面に層厚規制領域(Qsy〜Qskにおいて対向して配置され、現像剤保持体(G1y〜G1k,G1y′〜G1k′)表面に付着した現像剤の層厚を規制する円筒状の層厚規制部材(SK,SK′)であって、前記層厚規制領域(Qsy〜Qsk)における回転方向が前記現像剤保持体(G1y〜G1k)の回転方向と同方向に回転可能な前記層厚規制部材(SK)と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
(第1発明の作用)
前記構成要件を備えた第1発明の現像装置(Gy〜Gk)では、層厚規制領域(Qsy〜Qsk)における回転方向が前記現像剤保持体(G1y〜G1k,G1y′〜G1k′)の回転方向と同方向に回転可能な円筒状の層厚規制部材(SK)は、表面に現像剤を保持して回転する現像剤保持体(G1y〜G1k,G1y′〜G1k′)表面に層厚規制領域(Qsy〜Qsk)において対向して配置され、現像剤保持体(G1y〜G1k,G1y′〜G1k′)表面に付着した現像剤の層厚を規制する。
そのため、第1発明では、層厚規制領域(Qsy〜Qsk)において異物等が層厚規制部材(SK)と現像剤保持体(G1y〜G1k,G1y′〜G1k′)とに挟まれて滞留しても、前記現像剤保持体(G1y〜G1k,G1y′〜G1k′)と層厚規制部材(SK)の回転によって、前記層厚規制領域(Qsy〜Qsk)から速やかに除去できる。
さらに第1発明では、現像ロール(G1y〜G1k,G1y′〜G1k′)と層厚規制部材(SK)が層厚規制領域(Qsy〜Qsk)で同方向に回転移動し、現像剤の飛散やこぼれ等の障害を防止することができるため、現像剤の飛散やこぼれ等の障害を防止しつつ、異物詰まりによる画像欠陥の発生を抑制することができる。
【0011】
(第1発明の形態1)
第1発明の形態1の現像装置(Gy〜Gk)は、第1発明において、
回転する前記現像剤保持体(G1y〜G1k)の端部に支持された保持体側ギア(G3)と、
前記層厚規制部材(SK)の端部に支持され且つ前記保持体側ギア(G3)から駆動が伝達される被駆動ギア(G4)と、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
(第1発明の形態1の作用)
前記構成要件を備えた第1発明の形態1の現像装置(Gy〜Gk)では、保持体側ギア(G3)は回転する前記現像剤保持体(G1y〜G1k)の端部に支持され、被駆動ギア(G4)は前記層厚規制部材(SK)の端部に支持され且つ前記保持体側ギア(G3)から駆動が伝達される。
したがって第1発明の形態1では、層厚規制領域(Qsy〜Qsk)において層厚規制領域(Qsy〜Qsk)と現像剤保持体(G1y〜G1k)とを同方向に回転させることができる。
【0013】
(第1発明の形態2)
第1発明の形態2の現像装置(Gy〜Gk)は、第1発明において、
回転する前記現像剤保持体(G1y′〜G1k′)の端部に支持されたトラッキング部(31)と、
前記層厚規制部材(SK′)の端部に支持され且つ前記トラッキング部(31)に接触する被トラッキング部(32)と、
を備えたことを特徴とする。(第1発明の形態2の作用)
第1発明の形態2の現像装置(Gy〜Gk)では、被トラッキング部(32)は、前記層厚規制部材(SK′)の端部に支持され且つ、回転する前記現像剤保持体(G1y′
〜G1k′)の端部に支持されたトラッキング部(31)に接触する。
したがって第1発明の形態2では、被トラッキング部(32)は、接触する前記トラッキング部(31)の回転に連れ回って回転するため、層厚規制領域(Qsy〜Qsk)において層厚規制領域(Qsy〜Qsk)と現像剤保持体(G1y′〜G1k′)とが同方向に回転することができる。
【0014】
(第2発明)
第2発明の像保持体ユニット(UY,UM,UC,UK)は、
像保持体(Py〜Pk)と、
前記像保持体(Py〜Pk)表面の潜像を可視像に現像する第1発明、第1発明の形態1および第1発明の形態2のいずれかに記載の現像装置(Gy〜Gk)と、
を備えたことを特徴とする。
(第2発明の作用)
前記構成要件を備えた第2発明の像保持体ユニット(UY,UM,UC,UK)は、像保持体(Py〜Pk)と、前記像保持体(Py〜Pk)表面の潜像を可視像に現像する第1発明、第1発明の形態1および第1発明の形態2のいずれかに記載の現像装置(Gy〜Gk)と、を有しているため、現像剤の飛散やこぼれ等の障害を防止しつつ、異物詰まりによる画像欠陥の発生を抑制することができる。
【0015】
(第3発明)
第3発明の画像形成装置(U)は、
像保持体(Py〜Pk)と、
前記像保持体(Py〜Pk)表面の潜像を可視像に現像する第1発明、第1発明の形態1および第1発明の形態2のいずれかに記載の現像装置(Gy〜Gk)と、
前記像保持体(Py〜Pk)表面の可視像を媒体(S)に転写する転写器(T1y〜T1k)と、
前記媒体(S)表面の可視像を定着する定着装置(F)と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置(U)。
(第3発明の作用)
前記構成要件を備えた第3発明の画像形成装置(U)は、像保持体(Py〜Pk)と、前記像保持体(Py〜Pk)表面の潜像を可視像に現像する第1発明、第1発明の形態1および第1発明の形態2のいずれかに記載の現像装置(Gy〜Gk)と、前記像保持体(Py〜Pk)表面の可視像を媒体(S)に転写する転写器(T1y〜T1k)と、前記媒体(S)表面の可視像を定着する定着装置(F)と、を有しているため、現像剤の飛散やこぼれ等の障害を防止しつつ、異物詰まりによる画像欠陥の発生を抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
前述の本発明は、下記の効果(E01)を奏する。
(E01)現像剤の飛散やこぼれ等の障害を防止しつつ、異物詰まりによる画像欠陥の発生を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例(以下、実施例と記載する)を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,−X,Y,−Y,Z,−Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例1】
【0018】
図1は本発明の実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
図2は本発明の実施例1の画像形成装置の開閉部が開放された状態の説明図である。
図1において、本発明の実施例1の画像形成装置の一例としてのプリンタUは、画像が記録される媒体の一例としての記録媒体Sが収容される給紙容器TR1が下部に収容されており、上面には排紙部TRhが設けられている。また、プリンタUの上部には操作部UIが設けられている。
図1、図2において、実施例1のプリンタUは、画像形成装置本体U1と、画像形成装置本体U1の右側下端部に設けられた回転中心U2aを中心として開閉可能な開閉部U2を有する。前記開閉部U2は、現像剤の補給や故障した部材の交換や紙詰まりした記録媒体Sを除去するために画像形成装置本体U1の内部を開放する開放位置(図2の実線参照)と、画像形成動作が実行される通常時に保持される閉塞位置(図1、図2の二点鎖線参照)との間を移動可能に構成されている。
【0019】
プリンタUは、プリンタUの各種制御を行う制御部Cと、制御部Cにより作動を制御される画像処理部GS、像書込装置駆動回路DL、および電源装置E等を有している。電源装置Eは、後述の帯電器の一例としての帯電ローラCRy〜CRk、現像剤保持体の一例としての現像ローラG1y〜G1kおよび転写器の一例としての転写ローラT1y〜T1k等に電圧を印加する。
【0020】
前記画像処理部GSは、外部の画像情報送信装置等から入力された印刷情報を、K(黒),Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン)の4色の画像に対応した潜像形成用の画像情報に変換して、所定のタイミングで像書込装置駆動回路DLに出力する。像書込装置駆動回路DLは、入力された各色の画像情報に応じて駆動信号を潜像書込装置ROSに出力する。前記潜像書込装置ROSは、駆動信号に応じて、各色の画像書き込み用の画像書込光の一例としてのレーザビームLy、Lm,Lc,Lkを出射する。
【0021】
図1において、前記潜像書込装置ROSの右方(+Y方向)にはY(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(黒)の各色の可視像の一例としてのトナー像を形成する可視像形成装置UY,UM,UC,UKが配置されている。
図3は本発明の実施例1の着脱体の一例である可視像形成装置の説明図である。
図3において、K(黒)の可視像形成装置UKは回転する像保持体の一例としての感光体Pkを有する。前記感光体Pkの周囲には、帯電器の一例としての帯電ロールCRk、感光体表面の静電潜像を可視像に現像する現像装置Gk、感光体Pk表面を除電する除電部材Jk、感光体Pk表面に残留した現像剤を除去する像保持体清掃器の一例としての感光体クリーナCLk等が配置されている。
【0022】
前記感光体Pkは、帯電ロールCRkと対向する帯電領域Q1kで帯電ロールCRkにより表面を一様に帯電された後、潜像形成領域Q2kでレーザビームLkにより潜像が書き込まれる。書き込まれた静電潜像は現像装置Gkと対向する現像領域Qgkにおいて静電潜像が可視像化される。
実施例1の黒色の可視像形成装置UKは、感光体Pk、帯電器CRk、現像装置Gk、除電部材Jk、感光体クリーナCLk、現像剤補給容器(11+16+18)等が一体的に構成された着脱体、いわゆるプロセスカートリッジUKにより構成されており、図2に示すように、開閉部U2を開放位置に移動した状態で画像形成装置本体U1に対して着脱可能に構成されている。
他の色の可視像形成装置UY,UM,UCも、黒色の可視像形成装置UKと同様に、画像形成装置本体U1に対して着脱可能な着脱体、いわゆる、プロセスカートリッジ(像保持体ユニット)UY,UM,UCにより構成されている。
【0023】
図1、図2において、前記感光体Py〜Pkの右方には、開閉部U2に支持された記録媒体搬送装置の一例としてのベルトモジュールBMが配置されている。前記ベルトモジュールBMは、記録媒体保持搬送部材の一例としての媒体搬送ベルトBと、媒体搬送ベルトBを支持する駆動部材の一例としてのベルト駆動ロールRd、従動部材の一例としての従動ロールRjを含む保持搬送部材支持系の一例としてのベルト支持ロール(Rd+Rj)と、各感光体Py〜Pkに対向して配置された転写器の一例としての転写ロールT1y,T1m,T1c,T1kと、画像濃度検出部材の一例としての画像濃度センサSN1と、保持搬送部材清掃器の一例としてのベルトクリーナCLbと、前記従動ロールRjに対向して配置されて記録媒体Sを媒体搬送ベルトBに吸着させる記録媒体吸着部材の一例としての媒体吸着ロールRkとを有する。前記媒体搬送ベルトBは、前記ベルト支持ロール(Rd+Rj)により回転可能に支持されている。なお、前記画像濃度センサSN1は、所定の時期に、制御部Cの図示しない画像濃度調整手段により形成される濃度検出用の画像、いわゆるパッチ画像の濃度を検出するためのものであり、画像濃度調整手段は、前記画像濃度検出部材で検出された画像濃度に基づいて、帯電器CRy〜CRkや現像装置Gy〜Gk、転写ロールT1y〜T1kへ印加する電圧の調整、潜像書込光Ly〜Lkの強度の調整を行うことにより、画像濃度の調整や補正、いわゆる、プロセスコントロールを行う。
【0024】
媒体搬送ベルトBの下方に配置された給紙容器TR1の記録媒体Sは、給紙部材Rpにより取り出され、記録媒体搬送路SHに搬送される。
記録媒体搬送路SHの記録媒体Sは、記録媒体搬送部材の一例としての媒体搬送ロールRaにより搬送され、給紙時期調整部材の一例としてのレジロールRrに送られる。レジロールRrは、所定のタイミングで、従動ロールRjと媒体吸着ロールRkとの対向領域である記録媒体吸着位置Q6に前記記録媒体Sを搬送する。前記記録媒体吸着位置Q6に搬送された記録媒体Sは、前記媒体搬送ベルトBに静電吸着される。
手差し給紙部TR0から給紙される場合、手差し給紙部材Rp1により給紙された記録媒体Sは、媒体搬送ロールRaにより前記レジロールRrに搬送され、媒体搬送ベルトBに搬送される。
【0025】
前記媒体搬送ベルトBに吸着された記録媒体Sは、前記感光体Py〜Pkと接触する前記転写領域Q3y,Q3m,Q3c,Q3kを順次通過する。
前記転写領域Q3y,Q3m,Q3c,Q3kにおいて媒体搬送ベルトBの裏面側に配置された転写ロールT1y,T1m,T1c,T1kには、制御部Cにより制御される電源回路Eから所定のタイミングでトナーの帯電極性と逆極性の転写電圧が印加される。
多色画像の場合、前記各感光体Py〜Pk上のトナー像は前記転写ロールT1y,T1m,T1c,T1kにより媒体搬送ベルトB上の記録媒体Sに重ねて転写される。また、単色画像、いわゆる、モノクロ画像の場合、感光体Pk上にK(黒)のトナー像のみが形成され、このK(黒)のトナー像のみが転写器T1kにより記録媒体Sに転写される。
トナー像転写後の感光体Py〜Pkは、除電領域Qjy〜Qjkで除電部材Jy〜Jkにより除電された後、清掃領域Q4y〜Q4kにおいて感光体クリーナCLy〜CLkにより表面に残留したトナーが回収されて清掃され、再び帯電ロールCRy〜CRkにより帯電される。
【0026】
前記トナー像が転写された記録媒体Sは、定着装置Fの加熱定着部材の一例としての加熱ロールFhと、加圧定着部材の一例としての加圧ロールFpとが圧接して形成する定着領域Q5で定着される。画像が定着された記録媒体Sは、案内部材の一例としてのガイドコロRgkにより案内されて、媒体排出部材の一例としての排出ローラRhから媒体排出部TRhに排出される。
記録媒体Sが離隔した後の前記媒体搬送ベルトBは、前記ベルトクリーナCLbにより清掃される。
両面印刷が行われる場合には、排紙ローラRhが逆回転駆動して、切替部材GT1により媒体反転路SH2に記録媒体Sが搬送され、表裏が反転した状態でレジロールRrに再送される。
なお、実施例1の定着装置F、排紙ロールRhの下側の駆動ロール、切替部材GT1、媒体反転路SH2の下側のガイド面は、一体化された交換可能な定着装置、いわゆる、定着ユニットU3により構成されている。また、排紙ロールRhの上側の従動部材は、開閉部U2に支持されている。
【0027】
(可視像形成装置の説明)
図4は図3のIV−IV線断面図である。
以下、可視像形成装置UY〜UKの詳細な説明をするが、各色の可視像形成装置UY〜UKは同様に構成されているため、黒色の可視像形成装置UKについてのみ説明し、その他の可視像形成装置UY,UM,UCについては説明を省略する。
図3,図4において、可視像形成装置UKは、感光体Pkや現像装置Gkを有する現像部Uk1と、帯電ロールCRkや感光体クリーナCLk、除電ロールJkを有する清掃帯電部Uk2と、が組付けられて構成されており、現像部Uk1と清掃帯電部Uk2との間にはレーザビームLkが通過する書込光通過路Uk3が形成されている。
前記現像部Ukは、現像剤が収容される現像剤収容容器1を有する。前記現像剤収容容器1は、下側の現像容器本体1aと、現像容器本体1aの上面を閉塞する蓋部材1bと、前記現像容器本体1aの左右方向中央部を仕切って後述する現像剤搬送室を形成するための中央仕切部材1cとを有する。
【0028】
前記現像剤収容容器1には、感光体Pkに対向する現像剤保持体の一例としての現像ロールG1kが支持される現像剤保持体収容室2と、現像剤保持体収容室2の左側に隣接し現像剤が収容される第1撹拌搬送室3と、第1撹拌搬送室3の左側に隣接する第2撹拌搬送室4とを有する。また、前記現像剤保持体収容室2には、現像ロールG1kに対向して配置され、現像ロールG1k表面に担持された現像剤の厚みである層厚を規制する攪拌搬送室3の左側に隣接する第2撹拌搬送室4とを有する。また、前記現像剤保持体収容室2には、現像ロールG1kに対向して配置され、現像ロールG1k表面に担持された現像剤の厚みである層厚を規制するステンレス等の磁性体により円筒状に形成された層厚規制部材SKが配置されている。前記現像ロールG1kと層厚規制部材SKとが対向した隙間部分には層厚規制領域Qskが形成されている。
【0029】
図5は、実施例1の要部拡大説明図である。
図3,図5において、実施例1の現像ロールG1kの軸G1k1の後側端部には、現像ロール駆動ギア(保持体側ギア)G3が装着されている。現像ロール駆動ギアG3は、図示しない現像ロール駆動モータM1から駆動が伝達された駆動軸5の先端部に取り付けられたモータ駆動伝達ギアG2と噛合って駆動力が伝達される。前記現像ロール駆動ギアG3には、前記層厚規制部材SKの端部に装着された層厚規制部材駆動ギア(被駆動ギア)G4が噛合っている。
したがって、前記図示しない現像ロール駆動モータM1の回転駆動は、前記モータ駆動伝達ギアG2を介して前記現像ロール駆動ギアG3および層厚規制部材駆動ギアG4に伝達される。このため、実施例1では、前記現像ロールG1kと層厚規制部材SKの層厚規制領域Qskにおける表面が同方向に回転移動するように構成されている。
【0030】
図3、図4において、現像剤収容室の一例としての前記第1撹拌搬送室3と第2撹拌搬送室4との間は、仕切壁6により仕切られており、第1撹拌搬送室3と第2撹拌搬送室4は前後両端部で現像剤が移動可能に構成されている。
実施例1の現像剤収容容器1には、前記現像剤として、トナーとキャリアとを含む2成分現像剤が収容されている。また、前記現像剤保持体収容室2、第1撹拌搬送室3および第2撹拌搬送室4により現像剤収容室(2〜4)が構成されている。
なお、図4において、第1撹拌搬送室3の後端部、すなわち、現像剤搬送方向上流端部には、トナーとキャリアとの混合割合、いわゆる、トナー濃度を検出するために、現像剤濃度検出部材の一例としてのトナー濃度センサSN2が配置されている。
【0031】
前記第1撹拌搬送室3および第2撹拌搬送室4には、現像剤を撹拌しながら互いに逆方向に搬送する現像剤搬送部材の一例としての撹拌搬送部材7,8が配置されている。実施例1の撹拌搬送部材7,8は、回転軸7a,8aと、前記回転軸7a,8aに固定支持された螺旋状の搬送羽根7b,8bとを有する撹拌搬送部材、いわゆるオーガにより構成されている。
なお、実施例1の撹拌搬送部材7,8は、回転軸が直径4mm、搬送羽根7b,8bの外形の直径である螺旋径は8mm、搬送羽根7b,8bの螺旋が一回転する間に軸方向に進む距離であるピッチが15mm、回転数が408.39rpmに設定されている。なお、これらの値は、設計に応じて任意に変更可能である。
【0032】
前記第2撹拌搬送室4の左側には、円筒状の現像剤搬送室11が形成されている。前記現像剤搬送室11の前端部には第2撹拌室4に接続する現像剤補給口11aが形成されており、後端部には現像剤流入口11bが形成されている。前記現像剤搬送室11には、現像剤搬送室11内の現像剤を現像剤補給口11a側に搬送する現像剤補給部材12が配置されている。
なお、実施例1の現像剤補給部材12は、回転軸12aが直径4mm、搬送羽根12bの外形の直径である螺旋径は8mm、搬送羽根12bの螺旋が一回転する間に軸方向に進む距離であるピッチが8mm、回転数が100rpmに設定されている。なお、これらの値は、設計に応じて任意に変更可能である。
【0033】
図3において、前記蓋部材1bには、第2撹拌搬送室4の上方に配置される初期現像剤収容室9が形成されている。図4の破線で示すように、前記初期現像剤収容室9の下端部には前後方向に延びる開口9aが形成されている。
【0034】
前記現像剤搬送室11の左側には、第1現像剤補給室16が形成されており、第2現像剤補給室16の上方には、前後方向端部に形成された現像剤落下路17を介して接続された第2現像剤補給室18が配置されている。前記第1現像剤補給室16には、第2現像剤補給室16の現像剤を現像剤流入口11bに搬送する第1現像剤搬送部材(現像剤補給部材)21および第2現像剤搬送部材(現像剤補給部材)22が配置されている。
前記第1現像剤搬送部材21は、回転軸部21aと、前記回転軸部21aに支持されたPET(ポリエチレンテレフタレート)等の可撓性のある樹脂薄膜により構成された搬送薄膜部21bとを有する。搬送薄膜部21bには、軸方向に対して傾斜した切込21cが形成されており、搬送薄膜部21bの現像剤流入口11bに対向する位置には強度を高めて現像剤流入口11bへ現像剤を流入しやすくするための補助薄膜23が貼り付けられている。したがって、第1現像剤搬送部材21の回転時に、切込21cが形成された搬送薄膜部21bにより、後側の現像剤流入口11b側に現像剤が搬送され、補助薄膜23の部分で現像剤が現像剤搬送室11に搬送される。
【0035】
前記第2現像剤搬送部材22は前記第1現像剤搬送部材21側に現像剤を搬送する。前記第2現像剤補給室18内に配置された第3現像剤搬送部材(現像剤補給部材)24、第4現像剤搬送部材(現像剤補給部材)26は、第2現像剤補給室18内の現像剤を現像剤落下路17側に搬送する。
前記現像剤搬送室11、第1現像剤補給室16および第2現像剤補給室18により実施例1の現像剤補給容器(11+16+18)が構成されている。
前記第2現像剤補給室18の右側には、前記感光体クリーナCLkが配置されており、感光体クリーナCLkは感光体Pk表面に接触する板状の現像剤清掃部材、いわゆる、クリーニングブレード31と、クリーニングブレード31により掻き取られた現像剤を回収現像剤収容室32に搬送する回収現像剤搬送部材33とを有する。
【0036】
(実施例1の作用)
前記構成を備えた実施例1の画像形成装置では、画像形成動作等で現像ロール駆動モータM1が駆動すると、現像ロール駆動ギアG3および層厚規制部材駆動ギアG4を介して、前記現像ロールG1y〜G1kと層厚規制部材SKが層厚規制領域Qsy〜Qskで同方向に回転移動する。
そのため、実施例1では、層厚規制領域Qsy〜Qskにおいて異物等が層厚規制部材SKと現像ロールG1y〜G1kとに挟まれて滞留しても、前記現像ロールG1y〜G1kと層厚規制部材SKの回転により、前記異物等が層厚規制領域Qsy〜Qskを通り抜けて、前記層厚規制領域Qsy〜Qskから速やかに除去できる。
さらに、現像ロールG1y〜G1kと層厚規制部材SKが層厚規制領域Qsy〜Qskで同方向に回転移動するため、正逆回転により発生する現像剤の飛散やこぼれ等の障害を防止することができる。
したがって、実施例1の画像形成装置では、現像剤の飛散やこぼれ等の障害を防止しつつ、異物詰まりによる画像欠陥の発生を抑制することができる。
【0037】
(実施例2)
図6は本発明の実施例2の画像形成装置の要部拡大説明図であり、前記実施例1の図5に対応する図である。次に、本発明の実施例2の説明を行うが、この実施例2の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例2は、下記の点で前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成されている。
また実施例2において、各色の現像ロールG1y′〜G1k´は同様に構成されているため、黒色の可視像形成装置G1k′についてのみ説明し、その他の現像ロールG1y′,G1m,G1c′については説明を省略する。
【0038】
図6において、実施例2の現像ロールG1k′では、現像ロールの軸G1k1′の現像ロールG1k′と現像ロール駆動ギアG3との間部分にトラッキングロール(トラッキング部)31が装着されている。前記トラッキングロール31の外周面31aには、層厚規制部材SK′の端部の外面を被覆するように接着されているキャップ部材(被トラッキング部)32の外側面32aが当接している。
【0039】
(実施例2の作用)
前記構成を備えた実施例2の画像形成装置では、画像形成動作等で現像ロールG1y′〜G1k′が回転すると、前記トラッキングロール31とキャップ部材32が摺擦する。そのため、前記層厚規制部材SK′は、現像ロールG1y′〜G1k′の回転時には、前記摺擦する力により、前記現像ロールG1y′〜G1k′の回転方向と同方向に回転する。
したがって、実施例2は、前記実施例1と同様の作用効果を奏する。
【0040】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、画像形成装置としてのプリンタを例示したが、これに限定されず、FAXや複写機あるいはこれらすべてまたは複数の機能を備えた複合機とすることも可能である。また、多色現像の画像形成装置に限定されず、単色、いわゆる、モノクロの画像形成装置により構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は本発明の実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
【図2】図2は本発明の実施例1の画像形成装置の開閉部が開放された状態の説明図である。
【図3】図3は本発明の実施例1の着脱体の一例である可視像形成装置の説明図である。
【図4】図4は図3のIV−IV線断面図である。
【図5】図5は、実施例1の要部拡大説明図である。
【図6】図6は本発明の実施例2の画像形成装置の要部拡大説明図であり、前記実施例1の図5に対応する図である。
【符号の説明】
【0042】
31…トラッキング部、
32…被トラッキング部、
F…定着装置、
Gy〜Gk…現像装置、
G1y〜G1k…現像剤保持体、
G3…保持体側ギア、
G4…被駆動ギア、
Py〜Pk…像保持体、
Qsy〜Qsk…層厚規制領域、
S…媒体、
SK…層厚規制部材、
T1y〜T1k…転写器、
U…画像形成装置、
UY,UM,UC,UK…像保持体ユニット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に現像剤を保持して回転する現像剤保持体と、
前記現像剤保持体表面に層厚規制領域において対向して配置され、現像剤保持体表面に付着した現像剤の層厚を規制する円筒状の層厚規制部材であって、前記層厚規制領域における回転方向が前記現像剤保持体の回転方向と同方向に回転可能な前記層厚規制部材と、
を備えたことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
回転する前記現像剤保持体の端部に支持された保持体側ギアと、
前記層厚規制部材の端部に支持され且つ前記保持体側ギアから駆動が伝達される被駆動ギアと、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
回転する前記現像剤保持体の端部に支持されたトラッキング部と、
前記層厚規制部材の端部に支持され且つ前記トラッキング部に接触する被トラッキング部と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項4】
像保持体と、
前記像保持体表面の潜像を可視像に現像する請求項1ないし3のいずれかに記載の現像装置と、
を備えたことを特徴とする像保持体ユニット。
【請求項5】
像保持体と、
前記像保持体表面の潜像を可視像に現像する請求項1ないし3のいずれかに記載の現像装置と、
前記像保持体表面の可視像を媒体に転写する転写器と、
前記媒体表面の可視像を定着する定着装置と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−287019(P2008−287019A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−132060(P2007−132060)
【出願日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】