説明

現像装置およびそれを備えた電子写真装置

【課題】
軸受部材内部への現像剤の侵入を確実に防止でき、耐久性に優れた現像装置を提供する。
【解決手段】
軸受部材(64)と現像剤侵入防止部材(66)との互いに向い合った側面と、回転軸(63)の外周面とが断面環状形の空間(a)を構成するように、軸受部材および現像剤侵入防止部材を回転軸に設けるとともに、環状形空間に連通して環状形空間にエアーを供給する送風口(67)と、環状形空間に連通して環状形空間内のエアーを排出する排気口(68)とを備えた現像装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置およびそれを備えた電子写真装置に関するものであり、さらに詳細には、現像剤搬送部材を支持する軸受部材への現像剤の侵入防止機構を備えた現像装置の改良に係るものである。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、コピー機等、電子写真装置の現像装置には、静電潜像を保持した感光体へ粉体の現像剤を供給して感光体上に可視像を形成するために用いられる現像ローラや、該現像ローラへ現像剤を搬送するために用いられる搬送ローラまたは搬送スクリュー、さらには現像装置内に収容された現像剤を撹拌混合するために用いられる撹拌パドル等、複数の現像剤搬送部材が用いられる。
【0003】
現像剤搬送部材を回転駆動させて現像装置内に収容された現像剤を流動させると、現像剤搬送部材の回転軸を支持する軸受部材(ベアリング)に現像剤が侵入し、軸受部材内部での摩擦熱により、侵入した現像剤が融解固着し、回転軸の回転に異常が生じ、その結果、現像剤の撹拌混合や搬送量が安定せず、濃度むらのある画像が印刷されてしまったり、あるいは、侵入した現像剤の融解固着により回転軸がロックしてしまい、印刷が不可能となることもある。
【0004】
軸受部材への現像剤の侵入を防止する機構については、従来から種々提案がなされており、軸受部材および現像剤搬送部材間の回転軸上に、ゴム製のシール部材やグリスを含んだフェルト製のシール部材を介在させることが知られている。
【0005】
また、軸受部材を保持する軸受ハウジング内に侵入した現像剤を軸受ハウジングから排出できるように、軸受ハウジングに排出口を設ける構成も提案されている。
【0006】
【特許文献1】特開2000−147904号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
数時間から数十時間にも及ぶ連続印刷を行なったり、あるいは電子写真装置の印刷速度の高速化に伴い現像装置内における現像剤の高速搬送を実現するには、耐久性の点でゴム製シール部材やグリス含有フェルト製シール部材だけで現像剤の侵入を阻止することは難しくなる。
【0008】
特に、使用する現像剤がトナーとキャリアからなる二成分現像剤の場合には、現像剤侵入防止部材および軸受部材に侵入したキャリア粒子が研磨剤として作用してしまい、磨耗劣化を加速させてしまうという問題も起こる。
【0009】
また、特許文献1のように、侵入した現像剤を軸受ハウジングの排出口から落下させたり、ブラシを用いて掃き出すだけでは、軸受ハウジングから現像剤を完全には排出できず、軸受ハウジング内に残留した現像剤が融解固着する問題は依然として解消されない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、回転可能に支持されて現像剤を搬送する現像剤搬送部材と、前記現像剤搬送部材の回転軸端部を支持する軸受部材と、前記回転軸の軸上において前記軸受部材の隣に配置され、前記軸受部材への現像剤の侵入を防ぐ現像剤侵入防止部材とを備えた現像装置において、前記軸受部材と前記現像剤侵入防止部材との互いに向い合った側面と、前記回転軸の外周面とが断面環状形の空間を構成するように、前記軸受部材および前記現像剤侵入防止部材を前記回転軸に設けるとともに、前記環状形空間に連通して前記環状形空間にエアーを供給する送風口と、前記環状形空間に連通して前記環状形空間内の前記エアーを排出する排気口とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、現像剤侵入防止部材を通り抜けて環状形空間に侵入した現像剤を、環状形空間内を流れるエアーを用いて環状形空間の外に排出するので、軸受部材内部への現像剤の侵入を確実に防止でき、耐久性に優れた現像装置を提供することができる。
【0012】
また、上記現像装置の実現により、画質の安定した印刷を長時間維持することが可能な電子写真装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施例を図面を用いて詳細に説明する。
【0014】
はじめに本発明が適用される電子写真装置の全体構成について、連続紙に印刷を行うレーザビームプリンタを例示し、図3を参照しながら説明する。
【0015】
図3において、1はレーザビームプリンタであり、コントローラ22からの印刷動作開始信号に基づいて感光ドラム21が矢印方向に回転を始める。感光ドラム21は、レーザビームプリンタ1の印刷速度に相当する速度で回転し、印刷動作が終了するまで回転を続ける。感光ドラム21が回転を開始すると、コロナ帯電器2に高電圧が印加され、感光ドラム21表面に例えば正の電荷が均一に帯電される。
【0016】
回転多面鏡3は、レーザビームプリンタ1に電源が投入されると直ちに回転を開始し、電源が投入されている間、高精度に定速回転が維持される。半導体レーザ4から出力したレーザビームは、回転多面鏡3で反射し、fθレンズ5を通じて感光ドラム21上を走査しながら照射する。
【0017】
ドットイメージに変換された文字データや図形データがレーザビームのオン/オフ信号としてコントローラ22からレーザビームプリンタ1に送られると、感光ドラム21の表面にレーザビームが照射される部分と照射されない部分とが形成され、いわゆる静電潜像が形成される。
【0018】
静電潜像を保持した感光ドラム領域が現像装置6と対向する位置に到達すると、静電潜像には現像ローラ6a,6b,6cによって現像剤が供給され、レーザビームの照射により感光ドラム21上の電荷が消失した部分に、例えば正電荷に帯電した現像剤が付着して感光ドラム21上に可視像が形成される。なお、符号6dは搬送ローラであり、現像装置6に収容された現像剤を汲み上げて現像ローラ6bへ供給搬送するための搬送ローラである。
【0019】
用紙ホッパ11に収納された連続紙7は、用紙搬送トラクタ8によって、感光ドラム21上に形成された印刷データの可視像が転写位置に到達するタイミングと同期させて、感光ドラム21と転写器10の間に向けて搬送される。
【0020】
感光ドラム21上に形成された可視像は、用紙7の背面側にトナー像と逆極性の電荷を付与する転写器10の作用によって用紙7上に吸引される。
【0021】
このようにして、用紙ホッパ11にセットされていた用紙7は、用紙搬送トラクタ8、転写器10、用紙搬送トラクタ9およびバッファプレート24を経て定着装置12に搬送される。定着装置12に到達した用紙7は、プレヒータ13で予熱された後、ヒータランプ25を備えた加熱ローラ14と加圧ローラ15からなる一対の定着ローラによって形成されるニップ部によって加熱加圧されながら挟持搬送され、トナー像が用紙7に溶融定着される。
【0022】
加熱ローラ14と加圧ローラ15によって送り出されてきた用紙7は、用紙送出しローラ16によってスタッカテーブル19側へ送り出されるとともに、スイングフィン17の揺動動作によってミシン目に沿って交互に折り分けられ、さらに、回転するパドル18で折りたたみ状態が整えられながら、スタッカテーブル19上に積み重ねられて行く。感光ドラム21の転写位置を通過した領域は、清掃装置20で清掃され、次の印刷動作に備えられる。
【0023】
なお、図3において、23は印刷動作中のレーザビームプリンタ1の状態に基づく情報を表示したりする表示画面である。また、上述のバッファプレート24は、用紙搬送トラクタ9および定着ローラ14,15間で用紙搬送速度差が生じた場合に、用紙7に発生するたるみ、あるいは張りを吸収するためのものである。また、26は加熱ローラ14表面に接触可能に、且つ巻取り可能に設けられたウェブ部材を示しており、加熱ローラ14表面の清掃ならびに加熱ローラ14表面への離型剤の塗布を行うためのものである。
【0024】
次に、図1および図2を用いて本発明の現像装置の構成を説明する。図1は現像剤搬送部材の軸受部の軸方向断面図、図2は図1のA−A矢視断面図である。
【0025】
図1において、符号61は底板、符号62は側板であり、底板61と側板62は現像剤Dを収容する現像容器を構成し、現像剤Dを収容した現像容器の内部には、現像剤搬送部材(本例では搬送ローラ6dに適用した例に基づき説明する)が配置されている。
【0026】
搬送ローラ6dの回転軸63の端部には、軸受部材となるベアリング64が圧入されており、搬送ローラ6dはベアリング64およびベアリング64の外周に嵌合されたハウジング65を介して側板62に取り付けられている。
【0027】
また、回転軸63の軸上において、ベアリング64の隣(内側)には、ベアリング64への現像剤Dの侵入を防ぐための現像剤侵入防止部材66が設けられており、現像剤侵入防止部材66は、回転軸63の外周面とハウジング65の内周面との間に生じる間隙をシールするように設けられている。
【0028】
ベアリング64と現像剤侵入防止部材66との間には図示のように、若干間隙を持たせてあり、ベアリング64と現像剤侵入防止部材66の互いに向い合った側面と、回転軸63の外周面とが空間aを構成するように、ベアリング64と現像剤侵入防止部材66はハウジング65に支持されている。空間aは図2に示すように回転軸63を中心に断面が環状形をしている。また、ハウジング65には空間aに連通して空間aにエアーを供給する送風口67と、空間aに連通して空間a内のエアーを排出する排気口68が設けられており、空間a内に矢印方向のエアーの流れを形成できるようにしている。
【0029】
送風口67には、図示しない送風装置が接続されており、常時または予め設定した特定の期間だけ前記送風装置を動作させることにより、空間a内への送風が行われる。
【0030】
また、排気口68は、図示のように現像容器の内部に連通させて設けた方が、現像容器外部や軸受部材周囲の汚損を防ぐという点で有利であるが、一度、空間aに侵入した現像剤を現像容器へ戻すことが好ましくない場合には、現像容器の外部に回収部(図示せず)を設け、そこへ排出するようにしてもよい。
【0031】
以上の構成において、万一、現像剤Dが現像剤侵入防止部材66を擦り抜けて、空間aに侵入した場合であっても、現像剤Dは送風口67からのエアーによって排気口68へと導かれて排出されるので、空間a内に現像剤Dが留まることがなくなる。
【0032】
また、送風されたエアーにより、ベアリング65の冷却も同時に行えるので、空間aに侵入した現像剤Dの融解を防ぐことも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】現像剤搬送部材の軸受部の軸方向断面図である。
【図2】図1のA−A矢視断面図である。
【図3】電子写真装置の全体構成図である。
【符号の説明】
【0034】
6d 搬送ローラ(現像剤搬送部材)
61 底板
62 側板
63 回転軸
64 ベアリング(軸受部材)
65 ハウジング
66 現像剤侵入防止部材
67 送風口
68 排気口
a 空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に支持されて現像剤を搬送する現像剤搬送部材と、前記現像剤搬送部材の回転軸端部を支持する軸受部材と、前記回転軸の軸上において前記軸受部材の隣に配置され、前記軸受部材への現像剤の侵入を防ぐ現像剤侵入防止部材とを備えた現像装置において、
前記軸受部材と前記現像剤侵入防止部材との互いに向い合った側面と、前記回転軸の外周面とが断面環状形の空間を構成するように、前記軸受部材および前記現像剤侵入防止部材を前記回転軸に設けるとともに、前記環状形空間に連通して前記環状形空間にエアーを供給する送風口と、前記環状形空間に連通して前記環状形空間内の前記エアーを排出する排気口とを備えたことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1記載の現像装置において、前記送風口に送風装置を接続したことを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項1記載の現像装置において、前記排気口を現像装置の内部に連通させて設けたことを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれかの項に記載の現像装置を備えたことを特徴とする電子写真装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−58023(P2007−58023A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−245653(P2005−245653)
【出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【出願人】(302057199)リコープリンティングシステムズ株式会社 (1,130)
【Fターム(参考)】