説明

現像装置および画像形成方法

【課題】現像担持体など現像器部材の長寿命化を図ることのできる現像装置および画像形成方法を提供することを目的とする。
【解決手段】除電部材5は、除電部材5の現像剤担持体2に当接する表面がトナーよりも帯電系列上、該トナーの正規の帯電極性と同極性側に片寄った材料で形成されている。この除電部材5と現像剤担持体2との間の電位差は150V以内であって、好ましくは、除電部材5は電気的にフロートまたは現像剤担持体2と同電位である。除電部材5は、PVDFまたはPFAの材料で形成されている。トナーは、当該トナーの粒度分布のうち、当該トナーの体積平均粒径をXとした場合、X×1.4〜X×1.82≦3.8%、X×1.82超≦0.36%となる粒度分布が成立するトナーを使用する。除電部材5自身の摩擦帯電能力を確保できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ等の電子写真装置において像担持体上に形成される静電潜像を現像して可視像化する現像装置および画像形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、プリンタなどの電子写真方式を採用している画像形成装置では、像担持体表面に形成された静電潜像を現像するための現像装置を備えている。
【0003】
近年、画像形成装置の小型化の要請に応じて、この現像装置においても小型化が強く要望されるようになり、そのときの現像性能を確保する技術が求められている。
【0004】
たとえば、トナーおよび磁性キャリアからなる二成分系の現像剤を、磁力を利用して像担持体と対向する現像領域へ搬送する磁気ブラシ現像方式による現像剤担持体を備え、現像後に、現像剤担持体に残留する現像剤を現像槽内へ回収するようにした現像装置が実用化されている。
【0005】
この磁気ブラシ現像方式において現像を安定させるためには、消費されるトナーを補給し、現像剤中に含まれるトナーの割合、つまりトナー濃度が一定になるように制御する必要がある。
【0006】
通常、上述した磁気ブラシ現像方式による現像装置においては、現像剤中の磁性キャリアがトナーよりも占める割合の方が多いので、現像剤を収容する現像槽が大きくなり、そのため全体に現像装置が大きくなる傾向にある。しかも、トナー濃度を制御する必要があると同時に、現像剤中のトナーの帯電量を一定にするための撹拌部材等も必要となる。そのためにはこの撹拌部材を複数設ける必要があるので、現像装置を小型化にすることができない要因になっていた。
【0007】
これに対し、近年、一成分系の現像剤、つまり磁性キャリアが存在しない一成分系の現像剤であるトナーを用いて現像を行う現像装置が提案され、実施に供されている。
【0008】
このような一成分現像剤を用いる現像装置においては、トナー濃度を制御する必要はなく、また磁性キャリアが存在しない分、現像槽の容積を大幅に小さくすることができるので、現像装置の小型化が可能になる。このような現像装置は、これに合わせてメンテナンス等の簡易性についても優れている。つまり、劣化した現像剤、特に磁性キャリアの劣化により現像剤を交換する必要がない分、その交換のためのメンテナンスが不要となる。また、トナーを補充するのみでよく、しかもトナー濃度の検出を行う必要はなく、そのための制御も必要としないので、制御も簡単になる。
【0009】
特に、一成分系のトナーを用いる現像装置では、トナーを必要時に補充するだけでよくなる。特に磁性トナーを用いない場合は、磁石ローラを用いないため、小型で鮮明に現像できる安価な現像装置を実現することができる。
【0010】
非磁性1成分トナーを用いる現像装置においては、静電潜像を担持する像担持体と現像剤(トナー)を担持する現像剤担持体とを非接触状態で対向配置させ、これらの間に交番電界を印加してトナーを往復飛翔させて現像する非接触型の現像装置と、導電性を有する弾性体から成る現像剤担持体と像担持体とを接触状態で対向配置させ、現像剤担持体に電圧を印加して現像する接触型の現像装置とに大別される。非接触型の現像装置は、主に直流電圧に交流電圧を重畳した現像バイアス電圧を用い、一方、接触型の現像装置は、直流の現像バイアス電圧を用いる。
【0011】
このような従来の一成分現像装置の構成および現像、除電、現像剤供給、帯電(薄層化)部の詳細工程について、図12および図13を参照して説明する。なお、図12および図13は、それぞれ(特許文献1)に記載されている従来の現像装置の構成を示す概略図、および従来の現像装置における現像、除電、現像剤供給および帯電の各工程を説明する図である。
【0012】
この一成分現像装置は、図12および図13に示すように、現像領域30側に開放し1成分の現像剤(トナー)7を収容するトナーホッパ34、そのトナー7を攪拌して後述する現像剤供給部材(供給ローラ)3近傍に供給するアジテータやスクリューなどの撹拌供給部材4、表面が移動し、トナー7を現像領域30に運び、静電潜像を担持する像担持体1に対して現像動作を行う現像剤担持体2、現像剤担持体2に現像剤供給領域でトナー7を供給する現像剤供給部材3、現像剤担持体2表面に当接し、供給されたトナー7を現像剤担持体2表面との間に通過させることで該表面に帯電トナー薄層とする帯電部材(層規制部材)6、現像剤担持体2の表面移動方向において現像領域30の下流側から帯電部材6に至る領域内に位置し、現像剤担持体2表面移動方向を横切る方向における現像剤担持体表面の一部又は全部に当接する除電部材105を備えている。
【0013】
また、現像剤担持体2には現像バイアス電圧供給用の電源9が、現像剤供給部材3にはその現像剤供給部材3へ電圧供給する電源11が、帯電部材6にはその帯電部材6へ電圧供給する電源10が、除電部材105にはその除電部材105へ電圧供給する電源112が、それぞれ接続されている。さらに、除電部材105と現像剤担持体2との間には、除電部材105が現像剤担持体2に対して確実に押し当てるための、バックアップスポンジ113を設けている。
【0014】
上述した除電部材105は、板状の弾性部材で形成され、たとえばPC(ポリカーボネイト)とPBT(ポリブチレンテレフタレート)との混合樹脂、ナイロン、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などのフッ素含有樹脂、シリコン含有樹脂、ポリウレタンおよびPVDF(ポリフッ化ビニリデン)のいずれか1つを基材として、カーボンブラック、導電性微粒子、TiO2(チタニア)のうちのいずれか1つまたは複数のものなどの電気抵抗値の調整剤を適宜混合した材料からなり、厚みは0.3mm±0.2mm、電気抵抗値は10-5Ω〜106Ωであり、現像剤担持体2とのニップ部は0.5mmから1mmに設定している。
【0015】
また、現像剤担持体2上のトナー層の抵抗値Rtと除電部材105の抵抗値Rdをほぼ同じに設定する。
【0016】
除電のために必要な電流Iは、帯電部材6通過後の現像剤担持体2上のトナー層の単位面積当たりのトナー質量をm/aとし、トナー7の帯電電荷量をq/mとし、現像領域30の通過後の現像剤担持体2上のトナー層の電荷変化量、すなわち像担持体1との圧接で変化したトナー電荷量をΔq/mとし、現像剤担持体2の回転速度をvtとし、除電部材105の除電有効幅をWcとしたとき、I≧−(m/a)・(q/m+Δq/m)・vt・Wcとすることが好ましい。
【0017】
また、現像剤担持体2、除電部材105、トナー層の電気抵抗値を考慮して印加電圧を決定するに際し、除電電流Iの供給を定電圧の電源112で実現するためには、V=IRの関係から、電源112から除電部材105への直流の印加電圧をVjとし、電源9から現像剤担持体2への直流の印加電圧をVbとし、除電部材105の電気抵抗値をRdとし、トナー層の電気抵抗値をRtとし、現像剤担持体2の電気抵抗値をRrとしたとき、(Vd−Vr)≧−(((m/a)・(q/m+Δq/m)・vt・Wc)・(Rd+Rt+Rr))を満たす電位差(Vd−Vr)を印加することが好ましい。
【0018】
次に、上述した従来の現像装置の動作について説明する。
【0019】
現像領域30側に開放したトナーホッパ34内には1成分のトナー7が収容される。このトナー7は、撹拌供給部材4によって撹拌されるとともに現像剤供給部材3の近傍に供給される。
【0020】
現像剤担持体2の回転方向と同じ方向に回転する現像剤供給部材3は、現像剤担持体2と接触たとえば圧接される。また、現像剤供給部材3には、接続された電源11によって所定のバイアス電圧Vsが印加される。この電圧Vsはトナー7を電気的に現像剤担持体2の方向へ移動させるように設定され、たとえば負極性トナーを用いた場合、負極側により大きい電位の電圧Vsが印加される。
【0021】
トナー7は、現像剤担持体2と現像剤供給部材3との電位差による電荷注入、および現像剤担持体2と現像剤供給部材3との接触部における摩擦帯電によって電荷が付与されることにより、効果的に現像剤担持体2に供給される。現像剤担持体2に付着したトナー7は、現像領域30の現像剤担持体回転方向上流側に設けられた帯電部材6の近傍へ搬送される。
【0022】
ここで、帯電部材6は、板状の金属材料からなり、その一方の端部の先端または先端近傍の現像剤担持体側表面が現像剤担持体2に押圧するようにして、他方の端部がトナーホッパ34の上部に固定される。また、帯電部材6には、電源10から所定のバイアス電圧Vdが印加される。
【0023】
そして、現像剤担持体2上のトナー層は所定の電荷量に帯電されるとともに所定の厚さに形成される。現像剤担持体2に付着したトナー7は現像領域30へ搬送されて像担持体1の表面の静電潜像を顕像化する。
【0024】
現像領域30を通過した現像剤担持体2に残存するトナー7は、現像領域30の現像剤担持体回転方向下流側に設けられた除電部材105の近傍へ搬送される。除電部材105は、現像剤担持体2に圧接するようにして、たとえばバックアップスポンジ103を用いてトナーホッパ34の下部に固定される。除電部材105は、電源112から所定のバイアス電圧Vjが印加される。
【0025】
このバイアス電圧Vjは後述するような直流または交流の電圧である。このような除電部材105によってトナー7の電荷が除電される。また、現像剤担持体2にはこれとの接触点で移動方向が逆となる現像剤供給部材3が圧接されており、これによってトナー7は現像剤担持体2から剥離され、トナーホッパ34内に回収されて再利用される。このような工程によって繰返し画像が形成される。
【0026】
しかしながら、(特許文献1)に記載された現像装置によれば、次の(1)〜(16)の問題点を有していた。
【0027】
(1)除電部材105の電気抵抗値が10-5Ω〜106Ωと現像剤担持体2上のトナー層の電気抵抗値(106Ω〜109Ω程度)より低抵抗であるため、除電部材105と現像剤担持体2との間で、過剰に電位差が生じて、過電流が流れたり、放電現象が発生する。このため、現像剤担持体2上のトナーを劣化させたり、除電部材105や現像剤担持体2など現像器部材を劣化させるという問題点がある。
【0028】
(2)除電部材105の電気抵抗値とトナーの電気抵抗値とを同じにするとしているが、現像剤担持体2上に電気抵抗値が106Ω〜109Ω(トナー層厚が0.4mg/cm2〜1.3mg/cm2)のトナー層が存在するときは問題は無いものの、現像後にトナー層が薄くなっている若しくは殆どない場合は、現像剤担持体2上のトナーが少ない部分または殆どない部分と除電部材105との間で、過剰に電位差が生じて、部分的に過電流が流れたり、放電現象が発生する。このため、現像剤担持体2上のトナーを劣化させたり、除電部材105や現像剤担持体2など現像器部材を劣化させるという問題点を有していた。
【0029】
(3)除電部材105と現像剤担持体2との間で過剰な電位差が無くても、僅かな電位差があるだけでも現像剤担持体2上の弱帯電トナーは除電部材105の方へ移動する力が働く。この弱帯電トナーは現像剤担持体2への保持力が弱く剥離し易いので、経時的にこの弱帯電トナーが除電部材ニップ部または除電部材ニップ部近傍に吸着または滞留堆積固着する。つまり、図13に示すように、除電部材ニップ部または除電部材ニップ部近傍で、トナー19が滞留固着する。そのため、その固着したトナー塊で現像剤担持体2を傷つけるという問題点を有していた。
【0030】
また、過剰な除電は、上述した弱帯電トナーを増加させることとなるので、除電部材105へのトナーの滞留固着を加速させることになる。
【0031】
(4)除電電流は現像剤担持体2上のトナー層電流値以上であれば、除電効果が十分に得られ、残像が発生しないとしているが、実際には除電部材105とトナーとの摩擦帯電による電荷移動があり、この点に関して、(特許文献1)では何ら考慮されていない。この電荷移動に伴い、実際の除電電流は、規定の除電電流よりも過剰な設定になる傾向(−10μA〜−100μA程度)にあるので、十分に除電効果は得られるものの、上述したように除電部材105と現像剤担持体2との間で、部分的に過電流が流れたり、放電現象が発生する。このため、現像剤担持体2上のトナーを劣化させたり、除電部材105や現像剤担持体2など現像器部材を劣化させるという問題点を有する。
【0032】
(5)除電部材105と現像剤担持体2との間に僅かな電位差があるだけでも現像剤担持体2上の弱帯電トナーは除電部材105の方へ移動する力が働き、また弱帯電トナーは現像剤担持体2への保持力が弱く剥離し易いので、経時的に、弱帯電トナーが、除電部材ニップ部または除電部材ニップ部近傍に吸着または滞留堆積固着する。そのため、その固着したトナー塊で現像剤担持体2を傷つけるという問題点を有する。
【0033】
(6)除電効果が高すぎると、逆極性トナーおよび弱帯電トナーが多量に生成されるので、現像剤担持体2上のトナー層厚のムラによる濃度ムラが発生する。また、逆極性トナーおよび弱帯電トナーが現像剤供給部材3の目の中に多量に入り込むことにより、現像剤供給部材3が硬くなり、その結果、その硬くなった現像剤供給部材3が現像剤担持体2を削ることになる。さらに、除電後、現像剤供給部材3によって過剰に現像剤担持体2上のトナーを掻き取るために、現像剤供給部材3から現像剤担持体2へトナーが供給された後においては、現像剤担持体2上のトナーはトナーホッパ34からの未帯電トナーが多く付着していることになり、しかもトナーの帯電量が低いため、現像剤担持体2自身のトナー搬送力が弱くなる。
【0034】
上述したようなことから、弱帯電トナー、逆極性トナー、未帯電トナーなどや、弱帯電トナー、逆極性トナー、未帯電トナーなどによる軟凝集物が帯電部材6に引っかかり易くなり、画像上に白スジが発生するという問題点を有する。
【0035】
(7)除電部材105と現像剤担持体2との押圧力に具体的な規定が無いので、場合によっては、除電部材105を現像剤担持体2に強く当てすぎて、現像後の現像剤担持体2上に残留するトナーの電荷を過剰に除電してしまう虞がある。
【0036】
そのため、逆極性トナーおよび弱帯電トナーが多量に生成されるので、現像剤担持体2上のトナー層厚のムラによる濃度ムラが発生する。また、逆極性トナーおよび弱帯電トナーが現像剤供給部材3の目の中に多量に入り込むことにより、現像剤供給部材3が硬くなり、その結果、その硬くなった現像剤供給部材3が現像剤担持体2を削ることになる。さらに、除電後、現像剤供給部材3によって過剰に現像剤担持体2上のトナーを掻き取るために、現像剤供給部材3から現像剤担持体2へトナーが供給された後においては、現像剤担持体2上のトナーはトナーホッパ34からの未帯電トナーが多く付着していることになり、しかもトナーの帯電量が低いため、現像剤担持体2自身のトナー搬送力が弱くなる。
【0037】
上述したようなことから、弱帯電トナー、逆極性トナー、未帯電トナーなどや、弱帯電トナー、逆極性トナー、未帯電トナーなどによる軟凝集物が帯電部材6に引っかかり易くなり、画像上に白スジが発生するという問題点を有する。
【0038】
(8)除電部材105を現像剤担持体2に強く当てすぎた場合は、除電過剰になってしまうという点に加えて、除電部材105と現像剤担持体2との押圧力が強くなることに起因して現像剤担持体2上のトナー層が除電部材105を通過することができないという問題点を有する。
【0039】
(9)除電部材105を現像剤担持体2に弱く当てた場合は、除電効果が低く、残像が出てしまうという問題点がある。この場合、(特許文献1)では、除電部材105、現像剤担持体2上のトナー層、現像剤担持体2の電気抵抗とトナー層の電荷量に見合うだけ、除電部材105と現像剤担持体2との間に電位差を持たせるとしている。しかし、除電部材105の押圧力が弱い場合は、摩擦帯電能力の高い除電部材を用いない限り、除電効果を高めるためには、除電部材105と現像剤担持体2との間に過剰な電位差を持たせなければならないため、除電部材105と現像剤担持体2との間で放電が起こり易くなり、各種部材を劣化させてしまう問題がある。
【0040】
また、除電部材105と現像剤担持体2との間の過剰な電位差は、現像剤担持体2上の弱帯電トナーが除電部材105の方へ移動する力を大きくする。また弱帯電トナーは現像剤担持体2への保持力が弱く剥離し易いので、経時的にこの弱帯電トナーが除電部材ニップ部または除電部材ニップ部近傍に吸着または滞留堆積固着する。そのため、その固着したトナー塊で現像剤担持体2を傷つけるということを加速させてしまう。このことも、上述したように除電部材105の摩擦帯電特性により、除電効果が高すぎたり、低すぎたりする問題点も有することになる。
【0041】
(10)除電効果を得るために、除電部材105に所定の電位を印加して、除電部材105と現像剤担持体2との間に電位差を設けている。しかし、この電位差は現像剤担持体2上のトナー、除電部材105および現像剤担持体2などの抵抗値と現像剤担持体2上の現像剤(トナー)の帯電量のみで決められており、除電部材105の帯電能力は何ら考慮されていない。
【0042】
この除電部材105は選択する材料によって帯電能力が違ので、例えば、帯電能力が高いにも関わらず、除電部材105、トナーおよび現像剤担持体2などの電気抵抗を高くした場合は、除電部材105と現像剤担持体2との間には過剰の電位差が発生することになり、この結果、現像剤担持体2上のトナー7を過剰に除電し過ぎてしまい、逆極性トナーおよび弱帯電トナーが多量に生成され、現像剤担持体2上のトナー層厚のムラによる濃度ムラが発生する。
【0043】
また逆極性トナーよび弱帯電トナーが現像剤供給部材3の目の中に多量に入り込むことにより、現像剤供給部材3が硬くなり、その結果、その硬くなった現像剤供給部材3が現像剤担持体2を削ることになる。
【0044】
さらに、除電後、現像剤供給部材3によって過剰に現像剤担持体2上のトナーを掻き取るために、現像剤供給部材3から現像剤担持体2へトナーが供給された後においては、現像剤担持体2上のトナーはトナーホッパ34からの未帯電トナーが多く付着していることになり、しかもトナーの帯電量が低いため、現像剤担持体2自身のトナー搬送力が弱くなる。
【0045】
上述したようなことから、弱帯電トナー、逆極性トナー、未帯電トナーなどや、弱帯電トナー、逆極性トナー、未帯電トナーなどによる軟凝集物が帯電部材6に引っかかり易くなり、画像上に白スジが発生するという問題点を有する。
【0046】
(11)現像剤担持体2と除電部材105との電位差により、現像剤担持体2上の弱帯電トナーは除電部材105の方へ移動する力が働き、また弱帯電トナーは現像剤担持体2への保持力が弱く剥離し易いので、経時的に、弱帯電トナーが、除電部材ニップ部または除電部材ニップ部近傍に吸着または滞留堆積固着する。そのため、その固着したトナー塊で現像剤担持体2を傷つけるという問題点を有する。
【0047】
(12)現像剤担持体2上に、電気抵抗値が106Ω〜109Ω(トナー層厚が0.4mg/cm2〜1.3mg/cm2)のトナー層が存在する場合は問題はないものの、現像後にトナー層が薄くなっている若しくは殆どない場合は、現像剤担持体2と除電部材105との間に所定の電位差を保つことが困難となり、現像剤担持体2のトナーが少ない部分または殆どない部分と除電部材105との間で、過剰に電位差が生じて、過電流が流れたり、放電現象が発生する。このため、現像剤担持体2上のトナーを劣化させたり、除電部材105や現像剤担持体2など現像器部材を劣化させるという問題点を有していた。
【0048】
(13)除電部材105の電気抵抗は10-5Ω〜106Ωと低抵抗であるため、現像剤担持体2およびトナーの抵抗値が高い場合は、除電部材105と現像剤担持体2との電位差は高く設定されることになり、また、現像後に現像剤担持体2上のトナーが殆ど無い場合は、現像剤担持体2と除電部材105との電位差が過剰に大きくなる場合がある。そのため、上述したように除電部材105と現像剤担持体2との間で、過電流が流れたり、放電現象が発生し、現像剤担持体2上のトナーを劣化させたり、除電部材105や現像剤担持体2など現像器部材を劣化させるという問題点を有する。
【0049】
また、除電部材105と現像剤担持体2との間の過剰な電位差は、現像剤担持体2上の弱帯電トナーが除電部材105の方へ移動する力を大きくする。また弱帯電トナーは現像剤担持体2への保持力が弱く剥離し易いので、経時的にこの弱帯電トナーが除電部材ニップ部または除電部材ニップ部近傍に吸着又は滞留堆積固着する。そのため、その固着したトナー塊で現像剤担持体2を傷つけることを加速させてしまう。
【0050】
(14)除電部材105、トナーおよび現像剤担持体2の電気抵抗が低い場合には、除電部材105と現像剤担持体2との電位差は小さくするとしているが、除電部材105の摩擦帯電能力が小さい場合は、現像剤担持体2上のトナーを殆ど除電しないという問題がある。したがって、除電部材105の摩擦帯電能力の大きさによって、過剰に除電したり、除電不足が起きるという問題点を有する。
【0051】
(15)除電部材105の強度が明確に規定されていないので、除電部材105が強度的に弱い場合は、この除電部材105は現像剤担持体2上のトナーにより摩耗したり、引き裂かれたりすることになり、その結果、その部分にトナーが堆積、固着して、当該部分に堆積、固着したトナーで現像剤担持体2を削るという問題もある。
【0052】
この問題に対して、トナーの内部摩擦係数μt、トナーと現像剤担持体2との摩擦係数μrt、トナーと除電部材105との摩擦係数μdtがμdt<μt<μrtであるとするとしている。しかし、実際には、現像剤担持体2上のトナーが完全に除電部材105上を滑って通過するものではないので、柔らかい除電部材105であれば、トナーの外添剤によって除電部材105を摩耗したり、引き裂いたりしてしまう問題がある。
【0053】
(16)除電部材105と現像剤担持体2との間に電位差を設けるために、現像剤担持体2に加えて、除電部材105にも電位をかける必要がある。そのため、電源が余分に必要となり、現像装置の低コスト化、小型化を図ることができないという問題点を有する。
【0054】
また、上記(特許文献1)に記載された現像装置以外にも、(特許文献2)に記載された現像装置が知られている。この(特許文献2)に記載された現像装置では、除電部材105をトナーよりも帯電系列上、トナーの正規の帯電極性と同極性側に片寄った材料にし、除電部材105と現像剤担持体とに電位差を設けるようにしている。
【0055】
しかし、上述したように除電部材105のトナーとの摩擦帯電能力が何ら考慮されていない。具体的には、トナーの摩擦帯電能力を考慮した除電電流値、および除電部材105と現像剤担持体との電位差になっていないため、過剰に除電したり、除電不足になったり、除電部材105と現像剤担持体との間に過剰な電位差が発生して、除電部材105、現像剤担持体など各種部材を劣化させるという問題がある。
【0056】
さらに、現像の残像、ゴースとを解消するようにした現像装置として、(特許文献3)に記載された現像装置が知られている。この(特許文献3)に記載された現像装置では、現像剤を所定層厚形成した現像剤担持体が黒画像現像を行った後、現像剤供給部材によって現像剤を供給し、現像剤層規制部材により再び所定層厚となるよう形成した時の現像剤担持体が担持している現像剤の平均体積粒径をDbkとし、現像剤を所定層厚形成した現像剤担持体が白画像現像を行った後、前記現像剤供給部材によって現像剤を供給し、現像剤層規制部材により再び所定層厚となるよう形成した時の現像剤担持体が担持している現像剤の平均体積粒径をDwtとした場合、Dwt/Dbk>0.8を満足させるようにしている。
【0057】
しかし、実際には、上述した方法のみでは、現像を行うに当たって、粒径選択が必ず起こるので、現像剤(トナー)の粒径および帯電量分布をシャープにする必要があり、そのため分級等に大幅なトナー製造コスとを要するという問題がある。また、こうして製造したトナーでも接触式の非磁性一成分の現像方式では、トナーにストレスがかかり、経時的に、粒径および帯電量分布をシャープに維持することが極めて困難であり、耐久性に問題がある。
【特許文献1】特開平11−288170号公報
【特許文献2】特開平6−75469号公報
【特許文献3】特開2000−10404号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0058】
上述したように、(特許文献1)に記載された現像装置では、次の(1)〜(16)の問題点を有していた。
【0059】
(1)除電部材105の電気抵抗値が10-5Ω〜106Ωと現像剤担持体2上のトナー層の電気抵抗値(106Ω〜109Ω程度)より低抵抗であるため、除電部材105と現像剤担持体2との間で、過剰に電位差が生じて、過電流が流れたり、放電現象が発生する。このため、現像剤担持体2上のトナーを劣化させたり、除電部材105や現像剤担持体2など現像器部材を劣化させるという問題点がある。
【0060】
(2)除電部材105の電気抵抗値とトナーの電気抵抗値とを同じにするとしているが、現像後の現像剤担持体2上のトナーは少なくなったり、殆ど無い状態が存在するため、現像剤担持体2上に電気抵抗値が106Ω〜109Ω(トナー層厚が0.4〜1.3mg/cm2)のトナー層が薄くなっている若しくは殆どない場合は、現像剤担持体2上のトナーが少ない部分または殆どない部分と除電部材105との間で、過剰に電位差が生じて、過電流が流れたり、放電現象が発生する。このため、現像剤担持体2上のトナーを劣化させたり、除電部材105や現像剤担持体2など現像器部材を部分的に劣化させるという問題点を有する。
【0061】
(3)除電部材105と現像剤担持体2との間で過剰な電位差が無くても、僅かな電位差があるだけでも現像剤担持体2上の弱帯電トナーは除電部材105の方へ移動する力が働く。この弱帯電トナーは現像剤担持体2への保持力が弱く剥離し易いので、経時的にこの弱帯電トナーが除電部材ニップ部または除電部材ニップ部近傍に吸着または滞留堆積固着する。そのため、その固着したトナー塊で現像剤担持体2を傷つけるという問題点を有していた。また、過剰な除電は、上述した弱帯電トナーまたは逆極性トナーを増加させることとなるので、除電部材105へのトナーの滞留固着を加速させることになり、よって現像剤担持体を傷つけるという問題点を有する。
【0062】
(4)除電電流は現像剤担持体2上のトナー層電流値以上であれば、除電効果が十分に得られ、残像が発生しないとしているが、実際には除電部材105とトナーとの摩擦帯電による電荷移動があり、この点に関して、(特許文献1)では何ら考慮されていない。この電荷移動に伴い、実際の除電電流は、規定の除電電流よりも過剰な設定になる傾向(−10μA〜−100μA程度)にあるので、十分に除電効果は得られるものの、上述したように除電部材105と現像剤担持体2との間で、部分的に過電流が流れたり、放電現象が発生する。このため、現像剤担持体2上のトナーを劣化させたり、除電部材105や現像剤担持体2など現像器部材を劣化させるという問題点を有する。
【0063】
(5)除電部材105と現像剤担持体2との間に僅かな電位差があるだけでも現像剤担持体2上の弱帯電トナーは除電部材105の方へ移動する力が働く。また、弱帯電トナーは現像剤担持体2への保持力が弱く剥離し易いので、経時的に、弱帯電トナーが、除電部材ニップ部または除電部材ニップ部近傍に吸着または滞留堆積固着する。そのため、その固着したトナー塊で現像剤担持体2を傷つけるという問題点を有する。
【0064】
(6)除電効果が高すぎると、逆極性トナーおよび弱帯電トナーが多量に生成されるので、現像剤担持体2上のトナー層厚のムラによる濃度ムラが発生する。また、逆極性トナーおよび弱帯電トナーが現像剤供給部材3の目の中に多量に入り込むことにより、現像剤供給部材3が硬くなり、その結果、その硬くなった現像剤供給部材3が現像剤担持体2を削ることになる。さらに、除電後、現像剤供給部材3によって過剰に現像剤担持体2上のトナーを掻き取るために、現像剤供給部材3から現像剤担持体2へトナーが供給された後においては、現像剤担持体2上のトナーはトナーホッパ34からの未帯電トナーが多く付着していることになり、しかもトナーの帯電量が低いため、現像剤担持体2自身のトナー搬送力が弱くなる。
【0065】
上述したようなことから、弱帯電トナー、逆極性トナー、未帯電トナーなどや、弱帯電トナー、逆極性トナー、未帯電トナーなどによる軟凝集物が帯電部材6に引っかかり易くなり、画像上に白スジが発生するという問題点を有する。
【0066】
(7)除電部材105と現像剤担持体2との押圧力に具体的な規定が無いので、場合によっては、除電部材105を現像剤担持体2に強く当てすぎて、現像後の現像剤担持体2上に残留するトナーの電荷を過剰に除電してしまう虞がある。
【0067】
そのため、逆極性トナーおよび弱帯電トナーが多量に生成されるので、現像剤担持体2上のトナー層厚のムラによる濃度ムラが発生する。また、逆極性トナーおよび弱帯電トナーが現像剤供給部材3の目の中に多量に入り込むことにより、現像剤供給部材3が硬くなり、その結果、その硬くなった現像剤供給部材3が現像剤担持体2を削ることになる。さらに、除電後、現像剤供給部材3によって過剰に現像剤担持体2上のトナーを掻き取るために、現像剤供給部材3から現像剤担持体2へトナーが供給された後においては、現像剤担持体2上のトナーはトナーホッパ34からの未帯電トナーが多く付着していることになり、しかもトナーの帯電量が低いため、現像剤担持体2自身のトナー搬送力が弱くなる。
【0068】
上述したようなことから、弱帯電トナー、逆極性トナー、未帯電トナーなどや、弱帯電トナー、逆極性トナー、未帯電トナーなどによる軟凝集物が帯電部材6に引っかかり易くなり、画像上に白スジが発生するという問題点を有する。
【0069】
(8)除電部材105を現像剤担持体2に強く当てすぎた場合は、除電過剰になってしまうという点に加えて、除電部材105と現像剤担持体2との押圧力が強くなることに起因して現像剤担持体2上のトナー層が除電部材105を通過することができないという問題点を有する。
【0070】
また、除電部材105と現像剤担持体2のニップ部で摩擦による熱が発生し、この熱によって現像剤担持体2上のトナーを劣化させる。この熱によって除電部材105または現像剤担持体2のニップ部表面にトナーが融着されるので、これにより現像剤担持体2を傷つけて、スジや濃度ムラ等の画像障害を起こすという問題点も有する。
【0071】
(9)除電部材105を現像剤担持体2に弱く当てた場合は、除電効果が低く、残像が出てしまうという問題点がある。この場合、(特許文献1)では、除電部材105、現像剤担持体2上のトナー層、現像剤担持体2の電気抵抗とトナー層の電荷量に見合うだけ、除電部材105と現像剤担持体2との間に電位差を持たせるとしている。しかし、除電部材105の押圧力が弱い場合は、摩擦帯電能力の高い除電部材105を用いない限り、除電効果を高めるためには、除電部材105と現像剤担持体2との間に過剰な電位差を持たせなければならないため、除電部材105と現像剤担持体2との間で放電が起こり易くなり、各種部材を劣化させてしまう問題がある。
【0072】
また、除電部材105と現像剤担持体2との間の過剰な電位差は、現像剤担持体2上の弱帯電トナーが除電部材105の方へ移動する力を大きくする。また弱帯電トナーは現像剤担持体2への保持力が弱く剥離し易いので、経時的にこの弱帯電トナーが除電部材ニップ部または除電部材ニップ部近傍に吸着または滞留堆積固着する。そのため、その固着したトナー塊で現像剤担持体2を傷つけるということを加速させてしまう。このことも、上述したように除電部材105の摩擦帯電特性により、除電効果が高すぎたり、低すぎたりし、適当な除電効果を得ることはきわめて困難である。
【0073】
(10)除電効果を得るために、除電部材105に所定の電位を印加して、除電部材105と現像剤担持体2との間に電位差を設けているものの、この電位差は現像剤担持体2上のトナー、除電部材105および現像剤担持体2などの抵抗値と現像剤担持体2上の現像剤(トナー)の帯電量のみで決められており、除電部材105の帯電能力は何ら考慮されていない。
【0074】
この除電部材105は選択する材料によって帯電能力が違ので、例えば、帯電能力が高いにも関わらず、除電部材105、トナーおよび現像剤担持体2などの電気抵抗を高くした場合は、除電部材105と現像剤担持体2との間には過剰の電位差が発生することになり、この結果、現像剤担持体2上のトナーを過剰に除電し過ぎてしまい、逆極性トナーおよび弱帯電トナーが多量に生成され、現像剤担持体2上のトナー層厚のムラによる濃度ムラが発生する。
【0075】
また逆極性トナーよび弱帯電トナーが現像剤供給部材3の目の中に多量に入り込むことにより、現像剤供給部材3が硬くなり、その結果、その硬くなった現像剤供給部材3が現像剤担持体2を削ることになる。
【0076】
さらに、除電後、現像剤供給部材3によって過剰に現像剤担持体2上のトナーを掻き取るために、現像剤供給部材3から現像剤担持体2へトナーが供給された後においては、現像剤担持体2上のトナーはトナーホッパ34からの未帯電トナーが多く付着していることになり、しかもトナーの帯電量が低いため、現像剤担持体2自身のトナー搬送力が弱くなる。
【0077】
上述したようなことから、弱帯電トナー、逆極性トナー、未帯電トナーなどや、弱帯電トナー、逆極性トナー、未帯電トナーなどによる軟凝集物が帯電部材6に引っかかり易くなり、画像上に白スジが発生するという問題点を有する。
【0078】
(11)現像剤担持体2と除電部材105との電位差により、現像剤担持体2上の弱帯電トナーは除電部材105の方へ移動する力が働き、また弱帯電トナーは現像剤担持体2への保持力が弱く剥離し易いので、経時的に、弱帯電トナーが、除電部材ニップ部または除電部材ニップ部近傍に吸着または滞留堆積固着する。そのため、その固着したトナー塊で現像剤担持体2を傷つけるという問題点を有する。
【0079】
(12)現像剤担持体2上に、電気抵抗値が106Ω〜109Ω(トナー層厚が0.4mg/cm2〜1.3mg/cm2)のトナー層が存在する場合は問題はないものの、現像後にトナー層が薄くなっている若しくは殆どない場合は、現像剤担持体2と除電部材105との間に所定の電位差を保つことが困難となり、現像剤担持体2のトナーが少ない部分または殆どない部分と除電部材105との間で、過剰に電位差が生じて、過電流が流れたり、放電現象が発生する。このため、現像剤担持体2上のトナーを劣化させたり、除電部材105や現像剤担持体2など現像器部材を劣化させるという問題点を有する。
【0080】
(13)除電部材105の電気抵抗は10-5Ω〜106Ωと低抵抗であるため、現像剤担持体2およびトナーの抵抗値が高い場合は、除電部材105と現像剤担持体2との電位差は高く設定されることになり、また、現像後に現像剤担持体2上のトナーが殆ど無い場合は、現像剤担持体2と除電部材105との電位差が過剰に大きくなる場合がある。そのため、上述したように除電部材105と現像剤担持体2との間で、過電流が流れたり、放電現象が発生し、この結果、現像剤担持体2上のトナーを劣化させたり、除電部材105や現像剤担持体2など現像器部材を劣化させるという問題点を有する。
【0081】
また、除電部材105と現像剤担持体2との間の過剰な電位差は、現像剤担持体2上の弱帯電トナーが除電部材105の方へ移動する力を大きくする。また弱帯電トナーは現像剤担持体2への保持力が弱く剥離し易いので、経時的にこの弱帯電トナーが除電部材ニップ部または除電部材ニップ部近傍に吸着または滞留堆積固着する。そのため、その固着したトナー塊で現像剤担持体2を傷つけることを加速させてしまう。
【0082】
(14)除電部材105、トナーおよび現像剤担持体2の電気抵抗が低い場合には、除電部材105と現像剤担持体2との電位差は小さくするとしているが、除電部材105の摩擦帯電能力が小さい場合は、現像剤担持体2上のトナーを殆ど除電しないという問題がある。したがって、除電部材105の摩擦帯電能力の大きさによって、過剰に除電したり、除電不足が発生し、適当な除電効果を得ることが困難である問題点を有する。
【0083】
(15)除電部材105の強度が明確に規定されていないので、除電部材105が強度的に弱い場合は、この除電部材105は現像剤担持体2上のトナーにより摩耗したり、引き裂かれたりすることになり、その結果、その部分にトナーが堆積、固着して、当該部分に堆積、固着したトナーで現像剤担持体2を削るという問題もある。
【0084】
この問題に対して、トナーの内部摩擦係数μt、トナーと現像剤担持体2との摩擦係数μrt、トナーと除電部材105との摩擦係数μdtがμdt<μt<μrtであるとするとしている。しかし、実際には、現像剤担持体2上のトナーが完全に除電部材105上を滑って通過するものではないので、柔らかい除電部材105であれば、トナーの外添剤によって除電部材105を摩耗したり、引き裂いたりしてしまう問題がある。
【0085】
(16)除電部材105と現像剤担持体2との間に電位差を設けるために、現像剤担持体2に加えて、除電部材105にも電位をかける必要がある。そのため、電源が余分に必要となり、現像装置の低コスト化、小型化を図ることができないという問題点を有する。
【0086】
また、上述した(特許文献2)に記載された現像装置では、除電部材をトナーよりも帯電系列上、トナーの正規の帯電極性と同極性側に片寄った材料にし、除電部材と現像剤担持体とに電位差を設けるようにしているが、上述したように、除電部材のトナーとの摩擦帯電能力が何ら考慮されていない。具体的には、トナーの摩擦帯電能力を考慮した除電電流値、および除電部材と現像剤担持体との電位差になっていないため、過剰に除電したり、除電不足になったり、除電部材と現像剤担持体との間に過剰な電位差が発生して、除電部材、現像剤担持体など各種部材を劣化させるという問題点を有する。
【0087】
さらに、上述した(特許文献3)に記載された現像装置では、現像剤を所定層厚形成した現像剤担持体が黒画像現像を行った後、現像剤供給部材によって現像剤を供給し、現像剤層規制部材により再び所定層厚となるよう形成した時の現像剤担持体が担持している現像剤の平均体積粒径をDbkとし、現像剤を所定層厚形成した現像剤担持体が白画像現像を行った後、前記現像剤供給部材によって現像剤を供給し、現像剤層規制部材により再び所定層厚となるよう形成した時の現像剤担持体が担持している現像剤の平均体積粒径をDwtとした場合、Dwt/Dbk>0.8を満足させることにより、現像の残像、ゴースとを解消するようにしているが、実際には、上述した方法のみでは、現像を行うに当たって、粒径選択が必ず起こるので、現像剤(トナー)の粒径および帯電量分布をシャープにする必要があり、そのため分級等に大幅なトナー製造コスとを要するという問題がある。また、こうして製造したトナーでも接触式の非磁性一成分の現像方式では、トナーにストレスがかかり、経時的に、粒径および帯電量分布をシャープに維持することが極めて困難であり、耐久性に問題がある。
【0088】
そこで、本発明は、現像剤担持体など現像器部材の長寿命化を図ることのできる現像装置および画像形成方法を提供することを目的とする。
【0089】
また、本発明は、現像ゴースト、残像を防止することのできる現像装置および画像形成方法を提供することを目的とする。
【0090】
さらに、本発明は、過剰な除電による黒白スジ、濃度ムラなどの画像不良を防止して画質を向上させることのできる現像装置および画像形成方法を提供することを目的とする。
【0091】
さらに、本発明は、小型化、低価格化を図ることのできる現像装置および画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0092】
この課題を解決するために、本発明の現像装置は、静電潜像を担持する回転可能な像担持体と、前記像担持体に接触して配設され、1成分の現像剤を担持する回転可能な現像剤担持体と、前記現像剤担持体と前記像担持体とが接触する現像位置よりも前記現像剤担持体の回転方向の上流側に配設され、前記現像剤を帯電する帯電部材と、前記現像位置よりも前記現像剤担持体の回転方向の下流側において前記現像剤担持体に当接して配設され、前記現像位置での現像後に、前記現像剤担持体上に残留する現像剤の電荷を除電する除電部材とを有し、前記除電部材の前記現像剤担持体に当接する表面が前記現像剤よりも帯電系列上、該現像剤の正規の帯電極性と同極性側に片寄った材料で形成されており、当該除電部材と前記現像剤担持体との間の電位差が150V以内である構成としたものである。
【0093】
本発明の好ましい形態において、前記除電部材は電気的にフロートまたは前記現像剤担持体と同電位であるとともに、前記現像剤担持体と前記除電部材との間に除電電界を形成する手段が接続されていない。
【0094】
本発明のさらに好ましい形態において、前記除電部材は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂または4フッ化エチレン・パーフロロプロピルビニルエーテル系樹脂である。
【0095】
本発明のさらに好ましい形態において、前記除電部材により除電された前記現像剤担持体上の現像剤帯電量は、前記除電部材による除電の前の前記現像剤担持体上の現像剤帯電量の20%〜70%である。
【0096】
本発明のさらに好ましい形態において、前記除電部材の引張り強度は、1MPa以上である。
【0097】
本発明のさらに好ましい形態において、前記現像剤は、当該現像剤の粒度分布のうち、当該現像剤の体積平均粒径をXとした場合、X×1.4〜X×1.82≦3.8%、X×1.82超≦0.36%となる粒度分布が成立する現像剤である。
【0098】
本発明のさらに好ましい形態において、前記現像剤の粒度分布および帯電量分布を狭くする要素としてのCV=100×(標準偏差/平均値)と定義される体積粒径分布を表すCV値[%]が、25%以内である。
【0099】
本発明のさらに好ましい形態において、前記現像剤担持体と前記除電部材との押圧力は、引張り荷重30gf〜100gfの範囲内である。
【0100】
この課題を解決するために、本発明の画像形成方法は、静電潜像を担持する回転可能な像担持体に接触して配設され1成分の現像剤を担持する回転可能な現像剤担持体へ電圧を印加することにより、当該像担持体上の静電潜像に対して前記現像剤による可視像を形成する現像工程と、前記現像剤担持体と前記像担持体とが接触する現像位置よりも前記現像剤担持体の回転方向の上流側において前記現像剤担持体に当接して配設される帯電部材によって、前記現像剤を帯電する帯電工程と、前記現像位置よりも前記現像剤担持体の回転方向の下流側に配設される除電部材によって、前記現像位置での現像後に、前記現像剤担持体上に残留する現像剤の電荷を除電する除電工程とを含み、前記除電部材の前記現像剤担持体に当接する表面が前記現像剤よりも帯電系列上、該現像剤の正規の帯電極性と同極性側に片寄った材料で形成されており、当該除電部材と前記現像剤担持体との間の電位差が150V以内である構成としたものである。
【0101】
本発明の好ましい形態において、前記除電工程は、前記除電部材が電気的にフロートまたは前記現像剤担持体と同電位であることと、前記現像剤担持体と前記除電部材との間に除電電界を形成する手段が接続されていないことを条件に、前記現像剤担持体上に残留する現像剤の電荷を除電する。
【0102】
本発明のさらに好ましい形態において、前記除電部材は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂または4フッ化エチレン・パーフロロプロピルビニルエーテル系樹脂である。
【0103】
本発明のさらに好ましい形態において、前記除電部材により除電された前記現像剤担持体上の現像剤帯電量は、前記除電部材による除電の前の前記現像剤担持体上の現像剤帯電量の20%〜70%である。
【0104】
本発明のさらに好ましい形態において、前記除電部材の引張り強度は、1MPa以上である。
【0105】
本発明のさらに好ましい形態において、前記現像剤は、当該現像剤の粒度分布のうち、当該現像剤の体積平均粒径をXとした場合、X×1.4〜X×1.82≦3.8%、X×1.82超≦0.36%となる粒度分布が成立する現像剤である。
【0106】
本発明のさらに好ましい形態において、前記現像剤の粒度分布および帯電量分布を狭くする要素としてのCV=100×(標準偏差/平均値)と定義される体積粒径分布を表すCV値[%]が、25%以内である。
【0107】
本発明のさらに好ましい形態において、前記現像剤担持体と前記除電部材との押圧力は、引張り荷重30gf〜100gfの範囲内である。
【発明の効果】
【0108】
本発明によれば、除電部材の現像剤担持体に当接する表面が現像剤よりも帯電系列上、該現像剤の正規の帯電極性と同極性側に片寄った材料で形成されており、当該除電部材と現像剤担持体との間の電位差を150V以内にするようにしているので、除電部材自身の摩擦帯電能力を確保することができ、これにより、現像剤担持体に付着したトナーの劣化や現像剤担持体などの現像器部材の劣化の要因となる過剰な除電電流値に設定することなく、また除電部材と現像剤担持体との電位差を大きく設定することなく、現像ゴーストや残像を防止することができるという有効な効果が得られる。
【0109】
また、本発明によれば、除電部材と現像剤担持体との電位差を150V以内にするようにしているので、過剰な除電電流または除電電流自身が除電部材へ流れないので、除電部材と現像剤担持体との間で、部分的に過電流が流れたり、放電現象が発生することを防止することができ、これにより、現像剤担持体上のトナーの劣化および除電部材や現像剤担持体などの現像器部材の劣化を防止して、現像器部材の長寿命化を図ることができるという有効な効果が得られる。
【0110】
さらに、本発明によれば、除電部材と現像剤担持体との電位差を150V以内にするようにしているので、適切な除電効果が得られ、過剰な除電による黒白スジ、濃度ムラなどの画像不良を防止して画質を向上させることができるという有効な効果が得られる。
【0111】
さらに、本発明によれば、現像剤担持体と除電部材との間に除電電界を形成する手段が接続されていないので、その手段が設けられていない分、小型化、低価格化を図ることができるという作用を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0112】
本発明の請求項1に記載の発明は、静電潜像を担持する回転可能な像担持体と、像担持体に接触して配設され、1成分の現像剤を担持する回転可能な現像剤担持体と、現像剤担持体と像担持体とが接触する現像位置よりも現像剤担持体の回転方向の上流側に配設され、現像剤を帯電する帯電部材と、現像位置よりも現像剤担持体の回転方向の下流側において現像剤担持体に当接して配設され、現像位置での現像後に、現像剤担持体上に残留する現像剤の電荷を除電する除電部材とを有し、除電部材の現像剤担持体に当接する表面が現像剤よりも帯電系列上、該現像剤の正規の帯電極性と同極性側に片寄った材料で形成されており、当該除電部材と現像剤担持体との間の電位差が150V以内である現像装置であり、除電部材自身の摩擦帯電能力を確保することができるので、現像剤担持体に付着したトナーの劣化や現像器部材(例えば現像剤担持体)などの劣化の要因となる過剰な除電電流値(−5.0μA以下)に設定することなく、また、除電部材と現像剤担持体との電位差を大きく設定することなく、現像ゴーストや残像を防止することができるという作用を有する。
【0113】
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明において、除電部材は電気的にフロートまたは現像剤担持体と同電位であるとともに、現像剤担持体と除電部材との間に除電電界を形成する手段が接続されていない現像装置であり、除電部材の摩擦帯電力を考慮した現像剤担持体上のトナーの除電をすることができるので、トナー層電流値以上(−5μA以下)の過剰な除電電流値に設定することなく、また、除電部材と現像剤担持体との電位差を取ることなく、または除電部材へ除電電流を流すことなく、現像ゴーストや残像などの画像不具合を防止することができるという作用を有する。また、過剰な除電電流または除電電流自身が除電部材へ流れないので、除電部材と現像剤担持体との間で、部分的に過電流が流れたり、放電現象が発生することを防止することができ、これにより、現像剤担持体上のトナーの劣化、および除電部材や現像剤担持体など現像器部材の劣化を防止して、現像器部材の長寿命化を図ることができるという作用を有する。さらに、除電部材は電気的にフロートまたは現像剤担持体と同電位で、現像剤と除電部材との間に除電電界を形成する手段、例えば除電電界形成装置または回路素子が接続されていないため、除電部材と現像剤担持体との間の電位差が殆ど無く、現像剤担持体上の弱帯電トナーは除電部材の方へ移動する力が働かないので、現像剤担持体上の弱帯電トナー等の現像剤(トナー)が経時的に除電部材ニップ部または除電部材ニップ部近傍に吸着または滞留堆積固着するのを防止することができるという作用を有する。さらに、除電部材ニップ部または除電部材ニップ部近傍に固着したトナーによる現像剤担持体の傷つけを防止することができるので、現像剤担持体など現像器部材の長寿命化を図ることができるという作用を有する。さらに、過剰な除電を防止することができ、逆極性トナーおよび弱帯電トナーの発生を低減することができるという作用を有する。さらに、除電後においても、現像剤供給部材により現像剤担持体上トナーを過剰に掻き取らないので、現像剤担持体上のトナーの搬送力を確保できるという作用を有する。さらに、過剰な除電を防止することができ、逆極性トナーおよび弱帯電トナーの発生を低減することができるので、現像剤担持体上のトナー層厚ムラによる濃度ムラを防止することができるという作用を有する。さらに、逆極性トナーおよび弱帯電トナーが現像剤供給部材の目の中に多量に入り込むことにより現像剤供給部材が硬くなるのを防止することができるので、現像剤供給部材による現像剤担持体を削るということを防止して、当該現像剤担持体の長寿命化を図ることができるという作用を有する。さらに、除電後においても、現像剤供給部材により現像剤担持体上のトナーを過剰に掻き取らないので、現像剤供給部材から現像剤担持体へトナーが供給された後に、トナーホッパからの未帯電トナーが供給されても、ある程度の帯電量を保ったトナー層が存在し、しかも現像剤担持体自身のトナー搬送力も強いので、弱帯電トナー、逆極性トナー、未帯電トナーなどや、弱帯電トナー、逆極性トナー、未帯電トナーなどによる軟凝集物が帯電部材に引っかかるのを防止し、画像上に白スジが発生するのを防止することができるという作用を有する。さらに、除電部材を電気的にフロートにすることにより、除電部材に電圧、電位など除電電界を供給する電源やツェナーダイオードや接地抵抗などの手段が不要となり、小型化、低価格化を図ることができるという作用を有する。
【0114】
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、除電部材は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂または4フッ化エチレン・パーフロロプロピルビニルエーテル系樹脂である現像装置であり、除電部材はフッ素系樹脂の中でも特に帯電能力が高いポリフッ化ビニリデン(PVDF)または4フッ化エチレン・パーフロロプロピルビニルエーテル(PFA)系樹脂で形成するようにしたので、除電部材の帯電能力を向上させることができ、現像剤担持体に付着したトナーの劣化や現像器部材(例えば現像剤担持体)などの劣化の要因となる過剰な除電電流値(−5.0μA以下)と、除電部材と現像剤担持体との電位差を、さらに低減可能または殆ど無くすことができるとともに、現像ゴーストや残像を防止することができるという作用を有する。
【0115】
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の発明において、除電部材により除電された現像剤担持体上の現像剤帯電量は、除電部材による除電の前の現像剤担持体上の現像剤帯電量の20%〜70%である現像装置であり、除電部材の摩擦帯電による現像剤担持体上のトナーの除電とトナー層帯電量の電流との両者を考慮した除電性能とすることができるので、除電の精度の向上を図ることができるという作用を有する。また、これにより、現像ゴースト、残像等の画像の不具合防止の精度の向上を図ることができるという作用を有する。さらに、必要最低限の除電効果を得るための除電性能となるので、トナー層電流値以上(−5.0μA以下)の過剰な除電電流値の除電電流が除電部材へ流れない、または除電部材自身へ電流が流れないので、除電部材と現像剤担持体との間で、部分的に過電流が流れたり、放電現象が発生することを防止することができ、これにより、現像剤部材上のトナーの劣化、および除電部材や現像剤担持体など現像器部材の劣化を防止して、現像器部材の長寿命化を図ることができるという作用を有する。さらに、過剰な除電防止の更なる精度向上が図ることができ、逆極性トナーおよび弱帯電トナーの発生を精度良く低減できるので、現像剤担持体上のトナー層厚ムラによる濃度ムラを防止することができる。逆極性トナーおよび弱帯電トナーが現像剤供給部材の目の中に多量に入り込むことにより現像剤供給部材が硬くなるのを防止することができるので、現像剤供給部材による現像剤担持体を削るということをより一層防止して、当該現像剤担持体の長寿命化を図ることができるという作用を有する。さらに、除電後においても、現像剤供給部材により現像剤担持体上のトナーを過剰に掻き取らないので、現像剤供給部材から現像剤担持体へトナーが供給された後に、トナーホッパからの未帯電トナーが供給されても、ある程度の帯電量を保ったトナー層が存在し、しかも現像剤担持体自身のトナー搬送力も強いので、弱帯電トナー、逆極性トナー、未帯電トナーなどや、弱帯電トナー、逆極性トナー、未帯電トナーなどによる軟凝集物が帯電部材に引っかかるのを防止し、画像上に白スジが発生するのをより一層防止することができるという作用を有する。
【0116】
本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載の発明において、除電部材の引張り強度は、1MPa以上である現像装置であり、除電部材の引張り強度が1MPa未満では、現像剤担持体上のトナーの外添剤等により、除電部材ニップ部を過剰に摩耗したり、引き裂いたりする不具合が発生する虞があるのに対し、除電部材の引張り強度を1MPa以上にした場合は、現像剤担持体上のトナーの外添剤等によって、除電部材ニップ部を過剰に摩耗したり、引き裂いたりするのを防止することができるという作用を有する。また、現像剤担持体上のトナーの外添剤等によって、除電部材ニップ部を過剰に摩耗したり、引き裂いたりしないので、除電部材ニップ部にトナーが堆積、固着するのを防止することができ、よって、その部分での現像剤担持体を削るのを防止して、現像剤担持体の長寿命化を図ることができるという作用を有する。
【0117】
本発明の請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の何れか一項に記載の発明において、現像剤は、当該現像剤の粒度分布のうち、当該現像剤の体積平均粒径をXとした場合、X×1.4〜X×1.82≦3.8%、X×1.82超≦0.36%となる粒度分布が成立する現像剤である現像装置であり、現像剤の体積平均粒径をXとした場合、X×1.4〜X×1.82≦3.8%、X×1.82超≦0.36%となる粒度分布が成立する現像剤(粗粉カットトナー)を使用するようにしているため、現像の粒径選択による現像前後の粒径変動を少なくすることができるので、現像剤担持体上のトナーの比電荷変動を防止でき、現像ゴースト、残像を防止することができるという作用を有する。また、粒径選択の進行による現像器内の粗粉カットトナーの蓄積を防止することができるので、現像剤担持体上のトナー層厚のムラによる濃度ムラを防止して、画質を向上させることができるという作用を有する。さらに、逆極性トナーおよび弱帯電トナーが現像剤供給部材の目の中に多量に入り込むことにより現像剤供給部材が硬くなるのを防止することができるので、現像剤供給部材による現像剤担持体を削るということを防止して、当該現像剤担持体の長寿命化を図ることができるという作用を有する。さらに、帯電部材部や除電部材ニップ部または除電部材ニップ部近傍に、粗粉カットトナー自身または粗粉カットトナーの逆帯電トナー、未帯電トナー、軟凝集物が滞留固着することによる白スジの発生を防止することができるとともに、現像剤担持体へ傷が入ることによる黒スジの発生を防止することができるという作用を有する。
【0118】
本発明の請求項7に記載の発明は、請求項1〜6の何れか一項に記載の発明において、現像剤の粒度分布および帯電量分布を狭くする要素としてのCV=100×(標準偏差/平均値)と定義される体積粒径分布を表すCV値[%]が、25%以内である現像装置であり、現像の粒径選択による現像前後の粒径変動を少なくすることができるので、現像剤担持体上のトナーの比電荷変動を防止でき、現像ゴースト、残像を防止することができるという作用を有する。また、粒径選択の進行による現像器内の微分トナー、粗粉カットトナーおよび劣化トナーの蓄積を防止することができるので、現像剤担持体上のトナー層厚のムラによる濃度ムラを防止して、画質を向上させることができるという作用を有する。さらに、逆極性トナーおよび弱帯電トナーが現像剤供給部材の目の中に多量に入り込むことにより現像剤供給部材が硬くなるのを防止することができるので、現像剤供給部材による現像剤担持体を削るということを防止して、当該現像剤担持体の長寿命化を図ることができるという作用を有する。さらに、帯電部材部や除電部材ニップ部または除電部材ニップ部近傍に、微粉トナー自身、粗粉カットトナー自身または微粉トナー、粗粉カットトナーの逆帯電トナー、未帯電トナー、軟凝集物が滞留固着することによる白スジの発生を防止することができるとともに、現像剤担持体へ傷が入ることによる黒スジの発生を防止することができるという作用を有する。
【0119】
本発明の請求項8に記載の発明は、請求項1〜7の何れか一項に記載の発明において、現像剤担持体と除電部材との押圧力は、引張り荷重30gf〜100gfの範囲内である現像装置であり、除電部材を現像剤担持体に強く当てすぎることがないので、現像後の現像剤担持体上に残留するトナーの電荷を過剰に除電して、逆極性トナーおよび弱帯電トナーが多量に生成されることに起因する現像剤担持体2上のトナー層厚のムラによる濃度ムラが発生するのを防止することができるという作用を有する。また、除電部材を現像剤担持体に強く当てすぎることがないので、逆極性トナーおよび弱帯電トナーが現像剤供給部材3の目の中に多量に入り込むことにより現像剤供給部材3が硬くなり、その結果、その硬くなった現像剤供給部材3が現像剤担持体2を削ることを防止することができるという作用を有する。さらに、除電部材を現像剤担持体に強く当てすぎることがないので、現像剤担持体上のトナー層が除電部材を通過できず、トナー漏れを発生するのを防止することができるという作用を有する。さらに、除電部材を現像剤担持体に強く当てすぎることがないので、除電部材と現像剤担持体のニップ部で摩擦による熱が発生したことに起因する現像剤担持体上のトナーを劣化させことを防止することができるという作用を有する。さらに、除電部材と現像剤担持体のニップ部で摩擦による熱が発生したことに起因する除電部材または現像剤担持体のニップ表面にトナーが融着されることにより、現像剤担持体を傷つけて、スジや濃度ムラなどの画像障害を防止することができるという作用を有する。さらに、除電部材を現像剤担持体に弱く当てすぎることがないので、摩擦帯電能力の高い除電部材を用いることなく、除電効果を高めるために、除電部材と現像剤担持体との間に過剰に電位差を持たせる必要がないので、除電部材と現像剤担持体との間で発生する放電を防止することができ、除電の安定化を図ることができるとともに現像器部材の劣化を防止することができるという作用を有する。
【0120】
本発明の請求項9に記載の発明は、静電潜像を担持する回転可能な像担持体に接触して配設され1成分の現像剤を担持する回転可能な現像剤担持体へ電圧を印加することにより、当該像担持体上の静電潜像に対して現像剤による可視像を形成する現像工程と、現像剤担持体と像担持体とが接触する現像位置よりも現像剤担持体の回転方向の上流側において現像剤担持体に当接して配設される帯電部材によって、現像剤を帯電する帯電工程と、現像位置よりも現像剤担持体の回転方向の下流側に配設される除電部材によって、現像位置での現像後に、現像剤担持体上に残留する現像剤の電荷を除電する除電工程とを含み、除電部材の現像剤担持体に当接する表面が現像剤よりも帯電系列上、該現像剤の正規の帯電極性と同極性側に片寄った材料で形成されており、当該除電部材と現像剤担持体との間の電位差が150V以内である画像形成方法であり、除電部材自身の摩擦帯電能力を確保することができるので、現像剤担持体に付着したトナーの劣化や現像器部材(例えば現像剤担持体)などの劣化の要因となる過剰な除電電流値(−5.0μA以下)に設定することなく、また、除電部材と現像剤担持体との電位差を大きく設定することなく、現像ゴーストや残像を防止することができるという作用を有する。
【0121】
本発明の請求項10に記載の発明は、請求項9記載の発明において、除電工程は、除電部材が電気的にフロートまたは前記現像剤担持体と同電位であることと、現像剤担持体と除電部材との間に除電電界を形成する手段が接続されていないことを条件に、現像剤担持体上に残留する現像剤の電荷を除電する画像形成方法であり、除電部材の摩擦帯電力を考慮した現像剤担持体上のトナーの除電をすることができるので、トナー層電流値以上(−5μA以下)の過剰な除電電流値に設定することなく、また、除電部材と現像剤担持体との電位差を取ることなく、または除電部材へ除電電流を流すことなく、現像ゴーストや残像などの画像の不具合を防止することができるという作用を有する。また、過剰な除電電流または除電電流自身が除電部材へ流れないので、除電部材と現像剤担持体との間で、部分的に過電流が流れたり、放電現象が発生することを防止することができ、これにより、現像剤担持体上のトナーの劣化、および除電部材や現像剤担持体など現像器部材の劣化を防止して、現像器部材の長寿命化を図ることができるという作用を有する。さらに、除電部材は電気的にフロートまたは現像剤担持体と同電位で、現像剤と除電部材との間に除電電界を形成する手段、例えば除電電界形成装置または回路素子が接続されていないため、除電部材と現像剤担持体との間の電位差が殆ど無く、現像剤担持体上の弱帯電トナーは除電部材の方へ移動する力が働かないので、現像剤担持体上の弱帯電トナー等の現像剤(トナー)が経時的に除電部材ニップ部または除電部材ニップ部近傍に吸着または滞留堆積固着するのを防止することができるという作用を有する。さらに、除電部材ニップ部または除電部材ニップ部近傍に固着したトナーによる現像剤担持体の傷つけを防止することができるので、現像剤担持体など現像器部材の長寿命化を図ることができるという作用を有する。さらに、過剰な除電を防止することができ、逆極性トナーおよび弱帯電トナーの発生を低減することができるという作用を有する。さらに、除電後においても、現像剤供給部材により現像剤担持体上トナーを過剰に掻き取らないので、現像剤担持体上のトナーの搬送力を確保できるという作用を有する。さらに、過剰な除電を防止することができ、逆極性トナーおよび弱帯電トナーの発生を低減することができるので、現像剤担持体上のトナー層厚ムラによる濃度ムラを防止することができるという作用を有する。さらに、逆極性トナーおよび弱帯電トナーが現像剤供給部材の目の中に多量に入り込むことにより現像剤供給部材が硬くなるのを防止することができるので、現像剤供給部材による現像剤担持体を削るということを防止して、当該現像剤担持体の長寿命化を図ることができるという作用を有する。さらに、除電後においても、現像剤供給部材により現像剤担持体上のトナーを過剰に掻き取らないので、現像剤供給部材から現像剤担持体へトナーが供給された後に、トナーホッパからの未帯電トナーが供給されても、ある程度の帯電量を保ったトナー層が存在し、しかも現像剤担持体自身のトナー搬送力も強いので、弱帯電トナー、逆極性トナー、未帯電トナーなどや弱帯電トナー、逆極性トナー、未帯電トナーなどによる軟凝集物が帯電部材に引っかかるのを防止し、画像上に白スジが発生するのを防止することができるという作用を有する。さらに、除電部材を電気的にフロートにすることにより、除電部材に電圧、電位など除電電界を供給する電源やツェナーダイオードや接地抵抗などの手段が不要となり、小型化、低価格化を図ることができるという作用を有する。
【0122】
本発明の請求項11に記載の発明は、請求項10または11記載の発明において、除電部材は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂または4フッ化エチレン・パーフロロプロピルビニルエーテル系樹脂である画像形成方法であり、除電部材はフッ素系樹脂の中でも特に帯電能力が高いポリフッ化ビニリデン(PVDF)または4フッ化エチレン・パーフロロプロピルビニルエーテル(PFA)系樹脂で形成するようにしたので、除電部材の帯電能力を向上させることができ、現像剤担持体に付着したトナーの劣化や現像器部材(例えば現像剤担持体)などの劣化の要因となる過剰な除電電流値(−5.0μA以下)と、除電部材と現像剤担持体との電位差を、さらに低減可能または殆ど無くすことができるとともに、現像ゴーストや残像を防止することができるという作用を有する。
【0123】
本発明の請求項12に記載の発明は、請求項9〜11の何れか一項に記載の発明において、除電部材により除電された現像剤担持体上の現像剤帯電量は、除電部材による除電の前の現像剤担持体上の現像剤帯電量の20%〜70%である画像形成方法であり、除電部材の摩擦帯電による現像剤担持体上のトナーの除電とトナー層帯電量の電流との両者を考慮した除電性能とすることができるので、除電の精度の向上を図ることができるという作用を有する。また、これにより、現像ゴースト、残像等の画像の不具合防止の精度の向上を図ることができるという作用を有する。さらに、必要最低限の除電効果を得るための除電性能となるので、トナー層電流値以上(−5.0μA以下)の過剰な除電電流値の除電電流が除電部材へ流れない、または除電部材自身へ電流が流れないので、除電部材と現像剤担持体との間で、部分的に過電流が流れたり、放電現象が発生することを防止することができ、これにより、現像剤部材上のトナーの劣化、および除電部材や現像剤担持体など現像器部材の劣化を防止して、現像器部材の長寿命化を図ることができるという作用を有する。さらに、過剰な除電防止の更なる精度向上が図ることができ、逆極性トナーおよび弱帯電トナーの発生を精度良く低減できるので、現像剤担持体上のトナー層厚ムラによる濃度ムラを防止することができる。逆極性トナーおよび弱帯電トナーが現像剤供給部材の目の中に多量に入り込むことにより現像剤供給部材が硬くなるのを防止することができるので、現像剤供給部材による現像剤担持体を削るということをより一層防止して、当該現像剤担持体の長寿命化を図ることができるという作用を有する。さらに、除電後においても、現像剤供給部材により現像剤担持体上のトナーを過剰に掻き取らないので、現像剤供給部材から現像剤担持体へトナーが供給された後に、トナーホッパからの未帯電トナーが供給されても、ある程度の帯電量を保ったトナー層が存在し、しかも現像剤担持体自身のトナー搬送力も強いので、弱帯電トナー、逆極性トナー、未帯電トナーなどや弱帯電トナー、逆極性トナー、未帯電トナーなどによる軟凝集物が帯電部材に引っかかるのを防止し、画像上に白スジが発生するのをより一層防止することができるという作用を有する。
【0124】
本発明の請求項13に記載の発明は、請求項9〜12の何れか一項に記載の発明において、除電部材の引張り強度は、1MPa以上である画像形成方法であり、除電部材の引張り強度が1MPa未満では、現像剤担持体上のトナーの外添剤等により、除電部材ニップ部を過剰に摩耗したり、引き裂いたりする不具合が発生する虞があるのに対し、除電部材の引張り強度を1MPa以上にした場合は、現像剤担持体上のトナーの外添剤等によって、除電部材ニップ部を過剰に摩耗したり、引き裂いたりするのを防止することができるという作用を有する。また、現像剤担持体上のトナーの外添剤等によって、除電部材ニップ部を過剰に摩耗したり、引き裂いたりしないので、除電部材ニップ部にトナーが堆積、固着するのを防止することができ、その部分での現像剤担持体を削るのを防止して、現像剤担持体の長寿命化を図ることができるという作用を有する。
【0125】
本発明の請求項14に記載の発明は、請求項9〜13の何れか一項に記載の発明において、現像剤は、当該現像剤の粒度分布のうち、当該現像剤の体積平均粒径をXとした場合、X×1.4〜X×1.82≦3.8%、X×1.82超≦0.36%となる粒度分布が成立する現像剤である画像形成方法であり、現像剤の体積平均粒径をXとした場合、X×1.4〜X×1.82≦3.8%、X×1.82超≦0.36%となる粒度分布が成立する現像剤(粗粉カットトナー)を使用するようにしているため、現像の粒径選択による現像前後の粒径変動を少なくすることができるので、現像剤担持体上のトナーの比電荷変動を防止でき、現像ゴースト、残像を防止することができるという作用を有する。また、粒径選択の進行による現像器内の粗粉カットトナーの蓄積を防止することができるので、現像剤担持体上のトナー層厚のムラによる濃度ムラを防止して、画質を向上させることができるという作用を有する。さらに、逆極性トナーおよび弱帯電トナーが現像剤供給部材の目の中に多量に入り込むことにより現像剤供給部材が硬くなるのを防止することができるので、現像剤供給部材による現像剤担持体を削るということを防止して、当該現像剤担持体の長寿命化を図ることができるという作用を有する。さらに、帯電部材部や除電部材ニップ部または除電部材ニップ部近傍に、粗粉カットトナー自身または粗粉カットトナーの逆帯電トナー、未帯電トナー、軟凝集物が滞留固着することによる白スジの発生を防止することができるとともに、現像剤担持体へ傷が入ることによる黒スジの発生を防止することができるという作用を有する。
【0126】
本発明の請求項15に記載の発明は、請求項9〜14の何れか一項に記載の発明において、現像剤の粒度分布および帯電量分布を狭くする要素としてのCV=100×(標準偏差/平均値)と定義される体積粒径分布を表すCV値[%]が、25%以内である画像形成方法であり、現像の粒径選択による現像前後の粒径変動を少なくすることができるので、現像剤担持体上のトナーの比電荷変動を防止でき、現像ゴースト、残像を防止することができるという作用を有する。また、粒径選択の進行による現像器内の微分トナー、粗粉カットトナーおよび劣化トナーの蓄積を防止することができるので、現像剤担持体上のトナー層厚のムラによる濃度ムラを防止して、画質を向上させることができるという作用を有する。さらに、逆極性トナーおよび弱帯電トナーが現像剤供給部材の目の中に多量に入り込むことにより現像剤供給部材が硬くなるのを防止することができるので、現像剤供給部材による現像剤担持体を削るということを防止して、当該現像剤担持体の長寿命化を図ることができるという作用を有する。さらに、帯電部材部や除電部材ニップ部または除電部材ニップ部近傍に、微粉トナー自身、粗粉カットトナー自身または微粉トナー、粗粉カットトナーの逆帯電トナー、未帯電トナー、軟凝集物が滞留固着することによる白スジの発生を防止することができるとともに、現像剤担持体へ傷が入ることによる黒スジの発生を防止することができるという作用を有する。
【0127】
本発明の請求項16に記載の発明は、請求項9〜15の何れか一項に記載の発明において、現像剤担持体と除電部材との押圧力は、引張り荷重30gf〜100gfの範囲内である画像形成方法であり、除電部材を現像剤担持体に強く当てすぎることがないので、現像後の現像剤担持体上に残留するトナーの電荷を過剰に除電して、逆極性トナーおよび弱帯電トナーが多量に生成されることに起因する現像剤担持体2上のトナー層厚のムラによる濃度ムラを防止することができるという作用を有する。また、除電部材を現像剤担持体に強く当てすぎることがないので、逆極性トナーおよび弱帯電トナーが現像剤供給部材3の目の中に多量に入り込むことにより現像剤供給部材3が硬くなり、その結果、その硬くなった現像剤供給部材3が現像剤担持体2を削ることを防止することができるという作用を有する。さらに、除電部材を現像剤担持体に強く当てすぎることがないので、現像剤担持体上のトナー層が除電部材を通過できず、トナー漏れを発生するのを防止することができるという作用を有する。さらに、除電部材を現像剤担持体に強く当てすぎることがないので、除電部材と現像剤担持体のニップ部で摩擦による熱が発生したことに起因する現像剤担持体上のトナーを劣化させことを防止することができるという作用を有する。さらに、除電部材と現像剤担持体のニップ部で摩擦による熱が発生したことに起因する除電部材または現像剤担持体のニップ表面にトナーが融着されることにより、現像剤担持体を傷つけて、スジや濃度ムラなどの画像障害を防止することができるという作用を有する。さらに、除電部材を現像剤担持体に弱く当てすぎることがないので、摩擦帯電能力の高い除電部材を用いることなく、除電効果を高めるために、除電部材と現像剤担持体との間に過剰に電位差を持たせる必要がないので、除電部材と現像剤担持体との間で発生する放電を防止することができ、除電の安定化を図ることができるとともに現像器部材の劣化を防止することができるという作用を有する。
【0128】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しつつさらに具体的に説明する。ここで、添付図面において同一の部材には同一の符号を付しており、また、重複した説明は省略されている。なお、ここでの説明は本発明が実施される最良の形態であることから、本発明は当該形態に限定されるものではない。
【0129】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における現像装置の構成を示す概略図、図2は本発明の実施の形態1における現像装置の他の構成を示す概略図、図3は図1に示した現像装置における現像、除電、現像剤供給および帯電の各工程を説明する図、図4は図2に示した現像装置における現像、除電、現像剤供給および帯電の各工程を説明する図、図5は除電部材の摩擦帯電力、除電部材と現像剤担持体との間に対する経時的な除電部材ニップ部へのトナー固着具合、および除電効果に対する現像剤供給部材による現像剤担持体上のトナーの掻き取り効果を説明する図、図6は現像剤担持体と除電部材との間に除電電界がある場合、および粒径が大きいトナーが多くある場合の作用メカニズムを説明する図、図7は現像剤担持体と除電部材との間に除電電界がない場合、および粒径が大きいトナーが殆ど無い場合の作用メカニズムを説明する図、図8は除電後の帯電量および除電効果に対する現像剤供給部材による現像剤担持体上のトナーの掻き取り効果を説明する図、図9は除電部材と現像剤担持体との押圧力の測定方法を示す概略図、図10は現像ゴースとを評価するための画像パターンの一例を示す図、図11は図1または図2の現像装置を有する画像形成装置の構成を示す概略図である。
【0130】
最初に、画像形成装置の構成について図11を参照して説明する。
【0131】
像担持体1は、金属ドラムに感光体層が設けられ、静電潜像を担持する感光体ドラムである。感光体層はOPC層やa−SiH層、セレン層などを用いる。また、素管の傷や汚れが感光体の帯電特性に影響しないよう、アルミ素管とキャリア発生層(CGL)との間に導電性下引層を設けてもよい。OPC層の場合、下引き層上に形成される比較的薄いキャリア発生層(CGL)と、最外層に形成されるポリカーボネーとを主成分とした比較的薄いキャリア移動層(CTL)とで構成される。露光によってキャリア発生層でキャリアが発生し、該キャリアによって像担持体1に帯電した電荷が相殺されて静電潜像が形成される。なお、このCGLとCTLの混合層を単層としたものも使用しても良い。
【0132】
この像担持体1は、画像形成動作時に矢印Aの方向に一定速度で回転駆動される。また、像担持体1の周囲に対向するように各種の画像形成プロセス手段が配置されている。
【0133】
帯電装置23は、像担持体1の表面から所定の間隙を持って配置され、像担持体1を帯電する。ここでは、帯電装置23は帯電ローラ帯電装置である。なお、帯電装置23として、スコロトロン帯電装置、コロトロン帯電装置や固体帯電素子などの非接触帯電装置を用いてもよく、さらには帯電ブラシなども用いてもよい。
【0134】
光学系24は、帯電した像担持体1表面に光照射して、静電潜像を形成する。像担持体1の吸収スペクトルが高い波長を発光するものであれば、半導体レーザ光やLED(発光ダイオード)光、CRT(陰極線管)光、EL(エレクトロルミネセンス)光等を露光源として用いてもよい。
【0135】
ここで、画像形成装置が複写機であれば、コピー原稿を光照射し、原稿からの反射光を光像として照射する。また、画像形成装置がプリンタやデジタル複写機であれば、光学系は半導体レーザを画像データに応じてON−OFF駆動した光像を照射する。特にデジタル複写機においては、コピー原稿からの反射光を画像読取センサ(CCD素子等)にて読取った画像データを上記半導体レーザを含む光学系へ出力し、この光学系によって画像データに応じた光像を出力するようにする。また、プリンタにおいては、他の処理装置、例えばワードプロセッサやパーソナルコンピュータ等からの画像データに応じた光像に変換し、これを照射するようにする。
【0136】
現像装置8は、光学系24によって露光されることにより像担持体1表面に形成された静電潜像を可視像化する。現像装置8の詳細については後述する。
【0137】
転写装置25は転写手段であり、芯金に導電性ウレタンやEPDM(エチレンプロピレンゴム)、シリコンなどのスポンジ層を巻付けた転写ローラと、ナイロンやレイヨンなどの導電性繊維からなる転写ブラシと、導電性ゴム板や導電性フィルムシートの先端部が接触した転写ブレードと、転写フィルム、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)やPFA(4フッ化エチレン・パーフロロプロピルビニルエーテル)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリイミド、ポリカーボネートなどの樹脂材料に導電材を分散した導電性ベルトとを備えている。
【0138】
この実施の形態では、転写装置25は、普通紙やハガキ用紙、OHPシートなどの受像紙(記録媒体)29に直接転写する直接転写方式を採用するようにしているが、本発明はこれに限定されることなく、中間転写体(ベルト、ローラなど)に4色順次に一次転写した後、一括して受像紙29に転写する(二次以上の転写)中間転写方式や、転写フィルム方式や、スコロトロン、コロトロンなど非接触式のものを採用するようにしても良い。
【0139】
レジストローラ31は、受像紙29を所定の速度で搬送する。上流側案内手段32は受像紙29がレジストローラ31から像担持体1まで搬送されるように案内する。下流側案内手段33は、受像紙29が転写領域から定着装置28まで搬送されるように案内する。
【0140】
定着装置28は、受像紙29上に転写されたトナー像を定着する。定着装置28は、受像紙29上に転写された未定着のトナー像を永久像として定着させるものであり、トナー像と対向する面がトナーを溶融して定着させる温度に加熱された加熱手段(ヒートローラ)と、該ヒートローラに対し加圧するように配設され受像紙29をヒートローラ側へ密着させる加圧手段(加圧ローラ)とを備えている。定着装置28を通過した受像紙29は、排出ローラ(図示せず)を介して排出トレイ(図示せず)へ排出される(画像形成装置外へ排出される)。
【0141】
この実施の形態では、定着装置28は、加熱手段および加圧手段としてそれぞれがローラ形状のものを採用するようにしているが、本発明はこれに限定されることなく、フィルム状やベルト状の加熱手段および加圧手段を採用するようにしても良い。
【0142】
ところで、受像紙29は例えばトレイまたはカセットに多量に収容されており、この収容された受像紙29は、レジストローラ31によって1枚給紙されて、転写装置25が配設された像担持体1と対向する転写領域へ、像担持体1表面に形成されたトナー像の先端と一致するように送り込まれる。この転写後の受像紙29は、像担持体1より剥離され、定着装置28へ送り込まれる。
【0143】
クリーニング装置26は、転写後に、像担持体1表面に転写されずに残留する現像剤(トナー)を除去する。除電装置27は、転写後に、像担持体1表面に残る帯電電荷を除去する。除電装置27は必ず必要なものではなく省略してもよいし、代替のものを用いてもよい。
【0144】
なお、高湿下環境の場合、受像紙29が低抵抗になり、転写装置25の可撓部材から受像紙29を介して案内手段32、33に電流が漏洩してしまう。このため、受像紙29の背面に十分な電荷が供給されなくなり、転写不良が発生してしまう。この問題を解決するため、案内手段32、33は絶縁部材で構成するか、転写電圧と同極性の電圧が印加されることが好ましい。また、抵抗素子やツェナーダイオード素子など自己バイアス素子を案内手段32、33と接地との間に接続するようにしてもよい。
【0145】
次に、上述した画像形成装置の動作について図11を参照して説明する。
【0146】
画像形成装置において、画像形成動作を開始すると、像担持体1が矢印Aの方向に回転駆動され、帯電装置23によって像担持体1表面が特定の極性の電位に均一に帯電される。帯電された像担持体1表面が光学系24と対向する位置に搬送されると、光学系24によって、受信した画像信号に応じた光が像担持体1表面に照射される。これにより、光照射された領域の像担持体1表面は帯電電位が低下する。その結果、像担持体1表面に静電潜像が形成される。
【0147】
次に、像担持体1表面の静電潜像が現像装置8と対向する位置に搬送されると、所定の電圧が印加された現像剤担持体2上のトナーが、静電潜像と現像剤担持体2との電位差に応じて像担持体1上に移動する。その結果、トナーが像担持体1上の静電潜像に付着し、像担持体1上にトナー像が形成される。この動作を現像という。この現像は、本発明においては一成分現像剤(一成分トナー)による現像であって、該トナーが像担持体1表面に形成された静電潜像に例えば静電気力により選択的に吸引され、現像が行われる。
【0148】
像担持体1表面に形成されたトナー像は、転写装置25と像担持体1とが当接する転写領域に搬送される。このとき転写装置25には、トナー粒子とは逆極性の電圧が印加される。次に、レジストローラ31の回転駆動が開始され、トナー像が転写領域に搬送されるのと同期して、レジストローラ31に挟持されていた受像紙29の搬送が開始される。
【0149】
そして、上流側案内手段32に沿って搬送される受像紙29は、転写領域に突入する。この転写領域を通過する間、転写装置25から与えられ受像紙29背面に蓄積された電荷により、受像紙29と像担持体1との間に電界Eが形成される。これにより、トナーの電荷qと電界Eによるクーロン力F=qEが作用して、像担持体1上のトナーが受像紙29側に転写される。なお、正規の極性に帯電していないトナーや機械的付着力が過剰なトナーは、クーロン力Fで受像紙29側に吸引されずに、転写残留トナーとなって像担持体1表面に残留する。
【0150】
転写後、像担持体1表面には転写されなかったトナー像の一部が残留することとなり、この残留トナーが、クリーニング装置26によって像担持体1表面から除去される。さらに、像担持体1を再利用するために、除電装置27によって像担持体1表面が均一な電位、例えば約0電位に除電される。
【0151】
転写後の受像紙29は、像担持体1より剥離され、定着装置28へ搬送される。定着装置28において、受像紙29がヒートローラと加圧ローラとの間を通過することにより、受像紙29上のトナー像は溶融され、受像紙29に前記2つの間の加圧力により圧着され融着される。そして、定着装置28を通過する受像紙29は、画像形成済み受像紙29として画像形成装置の外部に設けられている排出トレイ(図示せず)に排出処理される。
【0152】
次に、一成分現像剤による現像を行う現像装置の構成について、図1〜図4を参照して説明する。
【0153】
なお、図1に示す現像装置と図2に示す現像装置とは、これらの構成については後述するが、基本的には同様の構成になっているものの、現像バイアス電圧供給用の電源9と除電部材5とが電気的に接続されているか否かという点が相違している。つまり、除電部材5が、フロートであるか、あるいは現像剤担持体2と同電位であるかが相違する。
【0154】
また、図3に示す現像装置と図4に示す現像装置とは、上記図1および図2の場合と同様に、これらの構成については後述するが、基本的には同様の構成になっているものの、現像バイアス電圧供給用の電源9と除電部材5とが電気的に接続されているか否かという点が相違している。つまり、除電部材5が、フロートであるか、あるいは現像剤担持体2と同電位であるかが相違する。
【0155】
さて、図1および図2に示すように、現像装置8は、一成分現像剤、例えば非磁性の一成分現像剤(以下、トナーという)7を収容した現像剤ホッパ(トナーホッパ)34内に回転可能に配設され、像担持体1にトナーを付着させトナー像を形成する、いわゆる現像を行う現像剤担持体2と、トナー7を現像剤担持体2側へ供給する現像剤供給部材3と、必要に応じて補給されるトナー7を現像剤供給部材3近傍へ送り込むアジテータまたはスクリューローラなどの撹拌供給部材4とを備えている。なお、攪拌供給部材4は必ずしも必要ではなく、無くても良い。
【0156】
現像装置8内に設けられている現像剤担持体2は、像担持体1と対向する側(現像領域30側)が露出して像担持体1に接触するように配設されるとともに、像担持体1と対向する現像領域30へトナー7を搬送するために現像領域30において同一方向に回転されるように配設されている。すなわち、ここでは、像担持体1は矢印Aの方向(時計方向)に回転し、一方、現像剤担持体2は矢印Bの方向(反時計方向)に回転するように配設されている。
【0157】
現像剤担持体2には、矢印Cの方向(現像剤担持体2と同一方向)に回転する現像剤供給部材3が圧接されている。
【0158】
現像領域30の現像剤担持体2の回転方向下流側に、現像後に現像剤担持体2上に残留しているトナーを除電および除去する除電部材5が配設されている。
【0159】
ここで、現像剤担持体2は、例えば導電性シャフト(回転軸を含む)の表面を高分子弾性体で被覆して、例えば外径がφ10mm〜40mmの構造になっている。
【0160】
導電性シャフトは、例えばステンレスなどの金属や電気抵抗値の比較的低い樹脂で形成されている。
【0161】
高分子弾性体としては、比誘電率が約10程度の樹脂材料が用いられ、ポリウレタン、EPDM(エチレンプロピレンゴム)、シリコン、二トリルブタジエンゴム、クロロプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム等を用いることができる。
【0162】
高分子弾性体の電気抵抗値の調整剤として、カーボンブラック、酸化チタン、例えば過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カルシウム、塩化ナトリウム等の無機イオン導電性物質等のイオン導電性物質、例えばポリジアルキルシロキサン、ポリシロキサン−ポリアルキレンオキシドブロック共重合体の界面活性剤を用いることができる。勿論、これらのいずれか1つまたは複数を用いることができる。
【0163】
上述した高分子弾性体の形成に発泡剤を用いる場合、シリコン系界面活性剤が最適である。特に、イオン導電性のソリッドゴム等を用いるようにすれば、トナーの融着等が生じない所定の抵抗値を維持することができ、後述する現像バイアス電圧を供給するときに有効に作用する。
【0164】
現像剤担持体2の電気抵抗値はE3Ω〜E7Ωであり、好ましくは、E5Ω〜E6Ωである。また、現像剤担持体2のISK−6301(アスカーC硬度計荷重1kgf)の硬度は60〜70であり、現像剤担持体2のJISB0601の表面粗さRzは1μm〜6μm程度である。加硫剤や充填剤の添加量によって弾性部材の硬度が調節できる。
【0165】
現像剤担持体2には図示しない駆動モータが連結されており、この駆動モータによって、現像剤担持体1が矢印Bの方向に回転駆動される。また、現像剤担持体2には、現像バイアス電源回路9から現像バイアス電圧Vbが供給されている。この現像バイアス電圧Vbは、像担持体1に形成された静電潜像にトナーを付着させ、それ以外の領域つまり非画像領域にトナーを付着させないような極性および電圧値で例えば−150V〜−400V程度の電圧に設定されている。勿論、階調性、均一性向上、バンディング防止や現像量アップ等で交流電圧(AC)も印加してよい。
【0166】
一成分の非磁性トナー(非磁性の一成分現像剤)7は、回転する現像剤担持体2表面に吸着され、像担持体1表面と対向する現像領域30へ搬送される。そして、現像剤担持体2が像担持体1表面に圧接されているため、その圧接された領域が現像領域30となって、一成分の非磁性トナー(以下、トナーという)7が像担持体1表面の静電潜像に吸引され現像されることになる。
【0167】
トナー7は、例えば平均粒径5μm〜12μm程度の一成分非磁性トナーであって、ポリエステル系トナーあるいはスチレンアクリル系トナーが用いられる。
【0168】
このトナー粒子は、二成分現像装置、一成分現像装置に関わらず、着色剤が分散された結着樹脂から構成される。
【0169】
結着樹脂の材料としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等をあげることができる。さらに、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等が用いられる。
【0170】
また、着色剤としては、カーボンブラック、ニグロシン、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー180を挙げることができる。
【0171】
本実施の形態において、トナーに、上記成分のほかに、必要に応じて帯電制御剤やワックスなどを含有させることができる。さらに必要に応じてシリカや酸化チタン、酸化亜鉛などの無機酸化物や有機微粒子等の外添剤を添加することもできる。
【0172】
この実施の形態において、トナー7は、現像剤(トナー)の粒度分布の内、該トナー平均粒径をXとした場合、X×1.4〜X×1.82≦3.8%、X×1.82超≦0.36%となる粒度分布の現像剤(粗粉カットトナー)を用いるようにしている。より好ましくはX×1.4〜X×1.82≦3.0%、X×1.82超≦0.3%となる粒度分布の現像剤(粗粉カットトナー)である。
【0173】
ところで、この「X×1.4〜X×1.82」が3.8%を超えた場合、あるいは「X×1.82超」が0.36%を超えた場合は、現像の粒径選択による現像前後の粒径変動が大きくなり、現像剤担持体1上のトナーの比電荷変動が大きくなるので、現像ゴースト、残像が発生する。かつ粒径選択の進行による現像器内の粗粉トナーが蓄積するので、現像剤担持体1上のトナー層厚のムラによる濃度ムラが発生することによる画質劣化が発生する。また、逆極性トナーおよび弱帯電トナーが現像剤供給部材3の目の中に多量に入り込むことにより、現像剤供給部材3が硬くなり、その硬くなった現像剤供給部材3が現像剤担持体2を削る。さらに、粗粉トナー自身または粗粉トナーの逆帯電トナー、未帯電トナー、軟凝集物が帯電部材部6や除電部材ニップ部または除電部材ニップ部近傍に滞留固着することにより白スジが発生するとともに、現像剤担持体2へ傷が入って黒スジが発生する。
【0174】
これに対し、「X×1.4〜X×1.82≦3.8%」、「X×1.82超≦0.36%」となる粒度分布の現像剤であれば、上述した問題点を解決することができる。
【0175】
この実施の形態において、トナーの体積粒径分布のシャープさを示す指標CV値は25%以下が好ましい。より好ましくは23%以内である。このCV値は100×(粒径の標準偏差/粒径の平均値)で表され、このCV値が大きいほど体積粒径分布がブロードであり、一方、このCV値が小さいほど体積粒径分布はシャープなものとなる。
【0176】
このCV値が25%を超えると、現像剤担持体2上のトナーの体積粒径分布変動が大きくなり、現像ゴースト、残像が発生し易くなる。また、選択現像により、帯電量が低いトナー(劣化トナーも含む)のトナーホッパ34中での蓄積が発生して、現像剤供給部材3に対する弱帯電、逆極性トナーの目詰まり、帯電部材(層規制部材)6に対する弱帯電、逆極性トナーの詰まり、除電部材5に対する弱帯電、逆極性トナーの滞留により、現像剤担持体2に傷が発生し、部材劣化の要因となる。
【0177】
しかし、本実施の形態のように、このCV値が小さいトナーを用いると、体積平均粒径に対して小さいトナーや大きいトナーの割合が少なくなるので、体積平均粒径の変動も小さくなり、現像剤担持体2上のトナーの比電荷量の変動も少なくなり、これにより現像ゴースト、残像が発生せず、部材劣化も防止することができる。
【0178】
トナーの帯電量は、−10μc/g〜−35μc/g(正帯電の場合は10μc/g〜30μc/g)が好ましい。より好ましくは−15μc/g〜−30μc/g(正帯電の場合は15μc/g〜30μc/g)である。
【0179】
ところで、トナーの帯電量が上述した範囲の上限値を超えていると、トナーの電荷量が大きすぎて現像量が極端に減少するとともに、トナー電荷に見合う転写電界が不足して転写残トナーが極端に増加し、さらに、トナー同士が反発し合って転写での飛び散りが発生する。
【0180】
一方、トナーの帯電量が上述した範囲の下限値よりも少ない場合は、トナーホッパ34中における弱帯電トナーの割合が多くなり、現像剤供給部材3に対する弱帯電トナーの目詰まりが発生する。また、現像剤担持体2上のトナーの搬送力が弱くなり、帯電部材6に対するトナーの軟凝集物や弱帯電トナー、逆極トナー、未帯電トナー等の引っかかりが多くなる等の不具合が発生する。さらに、弱帯電トナーやトナーの軟凝集物等が除電部材ニップ部に経時的に滞留固着し、その固着したトナーが現像剤担持体2を傷つけて黒スジを発生させる。さらに、現像剤転写工程で転写電界過剰により、また転写ニップ前後でのパッシェン放電や転写ニップ内での電荷注入により、トナーが逆極性に帯電し易くなり、転写残トナーが極端に増加して逆転写が発生する。
【0181】
現像剤供給部材3は、現像剤担持体2との対向部分(圧接領域)で現像剤担持体2の回転方向(矢印Bの方向)と逆方向(矢印Cの方向)に回転するように回転駆動される。現像剤供給部材3は、現像剤担持体2の場合と同様の素材で構成されており、その電気的抵抗の調整も現像剤担持体2の場合と同様の抵抗調整材料で可能である。
【0182】
また、現像剤供給部材3の弾性をさらに大きくするために、発泡された(多孔質)素材を用いている。具体的には、体積抵抗率が1046Ω・cm程度で、発泡によるセル数が約3個/mm〜4個/mmの導電性ポリウレタンフォームをステンレスや導電性樹脂などをシャフト上に形成している。現像剤供給部材3に関し、例えば直径は10mm〜40mmで、現像剤担持体2に対する周速比が概ね0.4〜2.0の間に設定される。シャフトには、電圧Vsとして例えば−150V〜−600V程度で、トナー供給力アップ等で交流電圧が印加されてもよい。
【0183】
現像剤供給部材3は、0.5mm〜1mmの接触深さで現像剤担持体2に接触される。トナー7は、現像剤供給部材3によってたとえば負に予備帯電される。
【0184】
現像剤供給部材3には、バイアス電源回路11からバイアス電圧Vsが印加されており、一般的にはトナーを現像剤担持体2側に押し出す方向、つまり現像剤供給部材3側のトナーを反発させて現像剤担持体2へ供給する方向のバイアス電圧が設定されている。例えば、負極性のトナーを用いる場合は、負極性側にさらに大きなバイアス電圧Vsを現像剤供給部材3に印加するようにする。
【0185】
現像剤担持体2および現像剤供給部材3は、それぞれ図示しない駆動モータが連結されており、これらの駆動モータによって、現像剤担持体2が矢印Bの方向に回転駆動されるとともに、現像剤供給部材3が矢印Cの方向に回転駆動されることで、現像剤供給部材3によって現像剤担持体2にトナーを供給するとともに、現像後に現像に寄与されなかった現像剤担持体2表面のトナーを剥離(除去)する。現像剤供給部材3によって供給されたトナーは、現像剤担持体2表面に付着され、像担持体1表面と対向する現像領域30へ搬送される前に、現像剤担持体2に適度に圧接された帯電部材(層規制部材)6によってトナー付着量が規制され、一定のトナー層厚に規制されている。
【0186】
帯電部材(層規制部材)6は、現像剤担持体2に適度の圧力にて圧接されている。帯電部材6は例えば板状の金属材等からなるブレード構成部材で形成されており、その先端近傍の腹(面)の部分が現像剤担持体2に圧接されている。従って、現像剤担持体2に供給されたトナー7は、帯電部材6の所定の設定圧力や設定位置によって所定の帯電電荷量と厚みに規制され、像担持体1と対向接触する現像領域30へ搬送されていく。
【0187】
帯電部材6は、一端が現像装置8側に固定され、他端の自由端側の腹の部分が現像剤担持体2表面に圧接するように設けられている。帯電部材6は、例えば板厚0.1mm〜0.2mm程度のリン青銅、あるいはステンレス(SUS)等の金属板で形成され、現像剤担持体2に対して所定圧で、その長手方向(現像剤担持体2の回転軸方向)に沿って先端の近傍の腹部分が圧接されている。これにより帯電部材6によって現像剤担持体2表面に担持されたトナー7の量が一定にされ、その後、このトナー7は像担持体1と接触する現像領域30へ搬送される。
【0188】
帯電部材6は、電源10から所定のバイアス電圧Vdが供給されている。このバイアス電圧Vdは、トナー7を現像剤担持体2側へと押し出す方向、例えば負極性トナーであればより負極性側に大きな値が設定されている。また、帯電部材6へ供給されるバイアス電圧Vdは、現像剤担持体2に供給される現像バイアス電圧Vbと同電位に、またその絶対値で大きい値に設定する場合もある。帯電部材6によって、現像剤担持体2上のトナー付着量は約0.4mg/cm2〜0.7mg/cm2に規制され、またトナー帯電量は約−15μC/g〜−30μC/gに規制される。
【0189】
像担持体1と対向する現像領域30に搬送されたトナー7は、像担持体1表面に形成された静電潜像に応じて選択的に付着され、静電潜像をトナー7の色により顕像化する。そして、現像に寄与されなかったトナー7は、現像剤担持体2の回転によりトナーホッパ34内に戻される。その戻される位置には、除電部材5が現像剤担持体2に圧接されるように設けられている。
【0190】
除電部材5は、現像領域(現像位置)30よりも現像剤担持体2の回転方向の下流側において現像剤担持体2に当接して配設され、現像領域30での現像後に、現像剤担持体2上に残留するトナー7の電荷を除電する。
【0191】
除電部材5は、現像剤担持体2との当接(圧接)に際し、適度に現像剤担持体2に圧接されるように、その一端部分が現像装置8に固定され、一方、他端部分(自由端側)の腹は、現像剤担持体2に圧接する領域を有するバネ性を利用して、現像剤担持体2に圧接している。
【0192】
なお、現像装置8において、下シール部材を兼ねる除電部材5にすれば、現像剤担持体2に対する当接圧力は、シール部材を兼ねるために、ある範囲に決められてしまうものの、シール部材と別途に除電部材5を設ける必要がないので、その分、現像装置の製作コスとを抑制することができる。
【0193】
この実施の形態では、除電部材5と現像剤担持体2との間の電位差が150V以内、つまり除電電界が150V以内としている。また、図1に示すように除電部材5は電気的にフロート、または図2に示すように除電部材5は現像剤担持体2と同電位であり、かつ現像剤担持体2と除電部材5との間に、除電電界を形成する手段、例えば除電電界形成装置または回路素子が接続されていない。
【0194】
この実施の形態においては、フロートにまたは現像剤担持体2と同電位に設定している除電部材5(図1または図2参照)によって現像剤担持体2上の残留トナーを除電することにより、除電部材5へ除電電流が流れないように、かつ現像剤担持体2と除電部材5との間に除電電界が働かないように規制している。
【0195】
また、この実施の形態において、除電部材5は、樹脂、ステンレス(SUS)等の金属など種々の導電性材料で形成されていれば良い。いずれの場合も、除電部材5は、トナー7よりも帯電系列上、該トナーの7正規の帯電極性と同極性側に片寄った材料で形成されており、且つ導電性の良い材料を分散させてあることが、より好ましい。
【0196】
例えば、トナー7よりも帯電系列上、該トナー7の正規の帯電極性と同極性側に片寄った材料としては、負帯電トナーに対しては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、四フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、4フッ化エチレン・パーフロロプロピルビニルエーテル(PFA)等のフッ素樹脂がある。また、正帯電トナーに対してはポリアミド(ナイロン)、シリコン系樹脂がある。これらの材料に抵抗調整するものとして、分散させる導電性が良好な材料として、カーボン、各種の導電性金属粒子等のほか、適当な荷電制御物質が挙げられる。なお、この分散は荷電制御物質を塗布することも含むものである。
【0197】
上述した現像装置8によれば、除電部材5の摩擦帯電力を考慮した現像剤担持体2上のトナーの除電をすることができので、過剰な除電電流値(トナー層電流値−5.0μA以下)にしなくとも、しかも除電部材5と現像剤担持体2との電位差を取ることなく、または除電部材5へ除電電流を流すことなく、現像ゴーストや残像を防止することができる。
【0198】
また、現像装置8によれば、除電部材5へ過剰な除電電流または除電電流自身が流れないので、除電部材5と現像剤担持体2の間で、部分的に過電流が流れたり、放電現象が発生することを防止することができるので、現像剤担持体2上のトナーの劣化を防止することができるとともに、除電部材5や現像剤担持体2など現像器部材の劣化を防止することができる。
【0199】
さらに、現像装置8によれば、除電部材5は電気的にフロートまたは現像剤担持体2と同電位で、現像剤担持体2と除電部材5との間に除電電界形成装置または回路素子が接続されていないため、除電部材5と現像剤担持体2との間の電位差が殆ど無く、また、現像剤担持体2上の弱帯電トナーは除電部材5の方へ移動する力が働かないので、現像剤担持体2上の弱帯電トナー等のトナーが経時的に除電部材5のニップ部または除電部材5のニップ部近傍に吸着または滞留堆積固着するのを防止することができる。このため、除電部材5のニップ部または除電部材5のニップ部近傍に固着したトナーで現像剤担持体2を傷つけるということが無くなる。
【0200】
さらに、現像装置8によれば、過剰な除電を防止することができ、逆極性トナーおよび弱帯電トナーの発生を低減できるので、現像剤担持体2上トナー層厚ムラによる濃度ムラを防止することができる。これと同時に、逆極性トナーおよび弱帯電トナーが現像剤供給部材3の目の中に多量に入り込むことにより現像剤供給部材3を硬くなるのを防止することができるので、現像剤供給部材3が現像剤担持体2を削るということを防止して、当該現像剤担持体2の長寿命化を図ることができる。
【0201】
さらに、現像装置8によれば、除電後においても、現像剤供給部材3により現像剤担持体2上のトナーを過剰に掻き取らないので、現像剤供給部材3から現像剤担持体2へトナーが供給された後に、トナーホッパ34からの未帯電トナーが供給されても、ある程度の帯電量を保ったトナー層が存在し、しかも現像剤担持体2自身のトナー搬送力も強いので、弱帯電トナー、逆極性トナー、未帯電トナーなどや、弱帯電トナー、逆極性トナー、未帯電トナーなどによる軟凝集物が帯電部材6に引っかかるのを防止し、画像上に白スジが発生するのを防止することができる。
【0202】
なお、本実施の形態において、除電部材5を、現像剤担持体2に当接する表面または除電部材5自身がトナー7よりも帯電系列上、トナー7の正規の帯電極性と同極性側に片寄った材料で形成するようにしているのは、以下の理由からである。
【0203】
すなわち、除電部材5は電気的にフロートまたは現像剤担持体2と同電位にするようにしているので、除電部材5の現像剤担持体2に当接する表面または除電部材5自身がトナー7よりも帯電系列上、トナー7の正規の帯電極性と同極性側に片寄った材料で形成されていない場合は、現像後の現像剤担持体2上のトナーの除電不足により現像によるゴースト、残像が悪化する。また、除電部材5と現像剤担持体2との間に電位差を持たせると、過剰な電位差が発生して除電電流が−5.0μAを下回る場合が発生し、現像後の現像剤担持体2上のトナーの過剰除電になり、これにより、ゴースとをよび残像は良好になるものの、現像器部材の劣化や画像上に白スジの不具合が発生する。
【0204】
上述したような問題点を解決するために、除電部材5を、現像剤担持体2に当接する表面または除電部材5自身がトナー7よりも帯電系列上、トナー7の正規の帯電極性と同極性側に片寄った材料で形成するようにしている。
【0205】
この実施の形態では、除電部材5は、フッ素系樹脂の中でも特に帯電能力が高いポリフッ化ビニリデン(PVDF)系樹脂または4フッ化エチレン・パーフロロプロピルビニルエーテル(PFA)系樹脂で形成している。
【0206】
これにより、除電部材5の帯電能力をより一層向上させることができるので、現像剤担持体2上のトナーの劣化や現像器部材等の劣化の要因となる過剰な除電電流の除電電流値(−5.0μA以下)および除電部材5と現像剤担持体2との電位差を、更に低減または殆ど無くすことができるとともに、現像ゴーストや残像を防止することができる。
【0207】
この実施の形態では、除電部材5の表面抵抗値は104Ω・cm〜109Ω・cmに設定している。これにより、除電部材5の電気抵抗値は、トナー層15(図3および図4参照)の電気抵抗値と同等以上に設定することになるので、除電部材5と現像剤担持体2との間で、過剰に電位差が生じて、部分的に過電流が流れたり(図3の例では、除電部材5がフロートなので除電部材5に電流が流れ込むことは殆ど無い)、放電現象が発生するのを防止することができる、また、現像後に現像剤担持体2上のトナー15が少なくなっている部分またはトナー15が殆どない部分に、過剰に電位差が生じて(図3の例では、除電部材5がフロートなので除電部材5と現像剤担持体2と間に電位差が生じることは殆どない)、部分的に過電流が流れたり、放電現象が発生することを防止することができる。以上のようなことから、現像剤担持体2上のトナー15の劣化、および除電部材5や現像剤担持体2など現像器部材の劣化を防止することができる。
【0208】
なお、除電部材5の表面抵抗値は、より好ましくは、105Ω・cm〜107Ω・cmである。これにより、安定した除電と放電による現像器部材の劣化の防止の精度向上を図ることができる。
【0209】
この実施の形態では、除電部材5により除電された現像剤担持体2上の現像剤帯電量Q/M(これを、第1の現像剤帯電量Q/Mとする)が、除電部材5による除電の前の現像剤担持体2上の現像剤帯電量Q/M(これを、第2の現像剤帯電量Q/Mとする)の20%〜70%になるようにしている。より好ましくは30%〜50%である。
【0210】
ここで、第2の現像剤帯電量Q/Mに対する第1の現像剤帯電量Q/Mの割合(20%〜70%、より好ましくは30%〜50%)を、帯電量条件という。
【0211】
この帯電量条件を満たす手段として、除電部材5の摩擦帯電特性、強度等の材質、抵抗値、押圧条件、トナー、ドクターブレード、現像剤担持体2、現像剤供給部材3等の帯電特性等の諸条件が挙げられる。
【0212】
例えば除電部材5の摩擦帯電特性は、上記帯電量条件を満足させるために摩擦帯電力が高いPVDFやPFA、あるいは、これらよりも少し摩擦帯電力が弱いPTFEを用いる。但し、除電部材5をフロートまたは現像剤担持体2と同電位にする場合は、摩擦帯電力が高いPVDFやPFAを用いる方が有利である。また、除電部材5の表面抵抗を、上記帯電量条件を満足させるために調整してもよい。さらに、現像剤担持体2に対する除電部材5の押圧を強くしたり、弱くしたりしてもよい。さらに、現像剤担持体2、現像剤供給部材3、トナー7の帯電特性を、上記帯電量条件を満足させるために調整しても良い。
【0213】
上述した現像装置8によれば、除電部材5の摩擦帯電による現像剤担持体2上のトナーの除電とトナー層帯電量の電流の両者を考慮した除電性能とすることができ、除電の精度向上を図ることができる。これにより、現像ゴースト、残像等の画像不具合の防止の精度向上を図ることができるとともに、必要最低限の除電効果を得るための除電性能を確保することができる。
【0214】
このようなことから、除電部材5へトナー層電流値以上(−5.0μA以下)の過剰な除電電流値の除電電流が除電部材5へ流れない、または除電部材5自身へ電流が流れないので(除電部材5がフロートまたは現像剤担持体2と同電位なので除電部材5に電流が流れ込むことは殆どない)、除電部材5と現像剤担持体2の間で部分的に過電流が流れたり放電現象が発生する(除電部材5がフロートまたは現像剤担持体2と同電位なので除電部材5と現像剤担持体2間に電位差が生じて放電が起こることは殆どない)ことを防止して、現像剤担持体2上のトナーの劣化、除電部材5や現像剤担持体2など現像器部材の劣化を防止することができる。
【0215】
また、現像装置8によれば、過剰な除電防止の更なる精度向上を図ることができ、逆極性トナーおよび弱帯電トナーの発生を精度良く低減することができるので、現像剤担持体2上のトナー層厚ムラによる濃度ムラを防止することができるとともに、逆極性トナーおよび弱帯電トナーが現像剤供給部材3の目の中に多量に入り込むことにより現像剤供給部材3が硬くなるのを防止することができるので、現像剤供給部材3が現像剤担持体2を削るということをより一層防止することができる。
【0216】
さらに、現像装置8によれば、除電後においても、現像剤供給部材3により現像剤担持体2上のトナーを過剰に掻き取らないので、現像剤供給部材3から現像剤担持体2へトナーが供給された後に、トナーホッパ34からの未帯電トナーが供給されても、ある程度の帯電量を保ったトナー層が存在し、しかも現像剤担持体2自身のトナー搬送力も強いので、弱帯電トナー、逆極性トナー、未帯電トナーなどや、弱帯電トナー、逆極性トナー、未帯電トナーなどによる軟凝集物が帯電部材6に引っかかるのを防止し、画像上に白スジが発生するのをより一層防止することができる。
【0217】
ところで、除電部材5の現像剤担持体2とは反対側に弾性部材(バックアップスポンジ)13が設けてある(図1および図2参照)。弾性部材13は、除電部材5とトナーホッパ34の下部との間にこれらに接するように挿入される。
【0218】
これにより、弾性部材13によって除電部材5を現像剤担持体2に十分に接触させることができるので、現像後の現像剤担持体2上のトナー層15の電荷を確実に除電することができ、かつトナーが除電部材5と現像剤担持体2との間から漏れるのを防止することができる。
【0219】
また、除電部材5とトナーホッパ34の下部との間にトナーが入り込みすぎて、除電部材5の現像剤担持体2への接触圧力が過剰になるのを防止することができる。
【0220】
弾性部材13は、その弾性度を最適化することによってトナーのこぼれや飛散を防ぎ、溜まることなくトナー15をトナーホッパ34に回収することができる。
【0221】
弾性部材13は発泡誘電体と発泡剤とを含む発泡体から構成することが好ましい。これにより弾性部材13と現像剤担持体2との接触面積を確実に確保できるので、除電効率が向上するとともに、接触時の負荷の低減を図ることができる。
【0222】
特に、上記発泡誘電体は、EPDM、ウレタン、ナイロン、シリコン、PET、PTFE、PVDF、天然ゴム、ニトリルブタジエンゴム、クロロプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴムおよびポリノルボルネンゴム、のうちのいずれか1つであることが好ましい。
【0223】
また、除電部材5は例えば現像剤担持体2へ0.2mm〜0.7mm食い込むようにして、現像剤担持体2と除電部材5とのニップ部が0.5mm〜3mm程度になるように設定されている。
【0224】
この実施の形態においては、除電部材5とトナーホッパ34下部との間の弾性部材13の弾性度を調節して、除電部材5と現像剤担持体2との接触ニップ幅が2mm以下、および現像剤(トナー)15の内部摩擦係数μt、現像剤と現像剤担持体との摩擦係数μrt、現像剤15と除電部材5との摩擦係数μjtが、μjt<μt<μrtとしている。
【0225】
上述したように、現像剤担持体2上のトナー15が除電部材5表面に接触する時間を短くし、現像剤担持体2とトナー15との摩擦抵抗およびトナー同士の摩擦抵抗よりも、除電部材5とトナー15の摩擦抵抗を小さくしたことにより、除電部材5のニップ部にトナーが滞まることがなく、現像剤担持体に残留するトナーを回収することができ、かつ除電部材5のニップ部の発熱も少なくなるので、除電部材5へのトナー固着を防止することができる。
【0226】
この実施の形態においては、除電部材5は、その引張り強度が1MPa以上になるように設定している。これにより、現像剤担持体2上のトナー7(トナー15)の外添剤等によって、除電部材5のニップ部を過剰に摩耗したり、引き裂いたりしないので、除電部材5のニップ部にトナーが堆積、固着するのを防止することができ、よって、その部分での現像剤担持体2を削るのを防止して、現像剤担持体2の長寿命化を図ることができる。
【0227】
次に、現像装置8の動作について、図1〜図4を参照して説明する。
【0228】
なお、図3および図4において、16は供給された現像剤(トナー)、15は帯電された現像剤(トナー)、14は除電された現像剤(トナー)である。
【0229】
トナーホッパ34内に収容されたトナー7は、攪拌供給部材4によって現像剤供給部材3の近傍に供給される。
【0230】
次に、現像剤担持体2と同じ回転方向に回転している現像剤供給部材3と現像剤担持体2には、それぞれトナー7が現像剤供給部材3から現像剤担持体2へ移動するような電圧が印加されている。そして、現像剤供給部材3によってトナー7は現像剤担持体2へ供給され、次に予備帯電され、さらに付着される。
【0231】
現像剤担持体2に付着したトナー16は、現像剤担持体2が回転することにより帯電部材6の近傍へ搬送される。帯電部材6には上述したような電圧が印加されているので、トナー16は、所定のトナー層厚と電荷量に帯電される。このようにして帯電したトナー15は、現像領域30へ搬送されて像担持体1の表面の静電潜像を顕像化(現像)する。
【0232】
現像後、現像領域30を通過した現像剤担持体2に残存するトナー15は、現像領域30の現像剤担持体2回転方向下流側に設けられた除電部材5の近傍へ搬送される。除電部材5によって現像剤担持体2上のトナー15を除電する。
【0233】
また、図3および図4に示すように、現像剤担持体2には該担持体2との接触点で移動方向が逆となる現像剤供給部材3が圧接されているため、トナー7は現像剤担持体2から剥離(掻き取られ)され、トナーホッパ34内に回収されて再利用される。このような工程によって繰返し画像が形成される。
【0234】
次に、除電部材5の摩擦帯電力、除電部材5と現像剤担持体2との間の電界(除電電界)に対する経時での除電部材ニップ部へのトナー固着具合、そして除電効果に対する現像剤供給部材3による現像剤担持体2上の現像剤(トナー)の掻き取り効果について、図5を参照して説明する。
【0235】
図5は、除電部材5の摩擦帯電力を「大」「中」「小」の何れか1つの場合に設定し、かつ除電部材5と現像剤担持体2との間の電界(除電電界)を「大」「中」「小」「電界なし」の何れか1つの場合に設定したとき、除電効果、除電部材ニップ部のトナー固着具合、および除電部材通過後の現像剤(トナー)の掻き取り効果を説明する図を示している。
【0236】
この図5において、除電部材の摩擦帯電力が登録されている項目510に対応して、その大きさを表す「大」「中」「小」が示されている。
【0237】
また、除電部材と現像剤担持体との間の電界(除電電界)が登録されている項目520に対応して、その大きさを表す「大」「中」「小」「電界なし」が示されている。
【0238】
さらに、除電効果が登録されている項目530に対応して、その大きさを表す「大」「中」「小」が示されている。
【0239】
さらに、除電部材ニップ部のトナー固着具合が登録されている項目540に対応して、3つの内容が示されている。
【0240】
さらに、除電部材通過後の現像剤の掻き取り効果が登録されている項目550に対応して、その度合いを表す「大」「中1」「中2」「小」が示されている。
【0241】
ところで、除電部材5の摩擦帯電力の大きさと、除電部材5と現像剤担持体2との間の電界(除電電界)の大きさ(電位差の大きさ)とを変化させた場合には、上述した除電効果、除電部材ニップ部のトナー固着具合、および除電部材通過後の現像剤(トナー)の掻き取り効果がそれぞれ変化するので、次に、これらについて説明する。
【0242】
(1)除電部材5の摩擦帯電力が「大」(項目510参照)で、除電部材5と現像剤担持体2との間の電界(除電電界)が「大」または「中」(項目520参照)の場合について説明する。
【0243】
具体的には、例えば負帯電トナーを用いる場合、除電部材5がPVDFやPFAで形成されていたときは、摩擦帯電力は「大」となる。
【0244】
この摩擦帯電力が「大」で、除電部材5と現像剤担持体2との間の除電電界が「大」または「中」の場合、具体的には、除電部材5により除電された現像剤担持体2上の現像剤帯電量Q/Mが、除電部材5による除電前の現像剤担持体2上の現像剤帯電量Q/Mの20%未満の場合(このとき除電電界が「大」となる)は、除電効果が「大」となる(項目530参照)。
【0245】
このような前提条件の下においては、現像剤担持体2上の弱帯電トナーは除電部材5の方へ移動する力が働き、また弱帯電トナーは現像剤担持体2への保持力が弱く剥離し易いので、経時で弱帯電トナーが除電部材5のニップ部または除電部材5のニップ部近傍に吸着または滞留堆積固着し、その固着したトナー塊で現像剤担持体2を傷つけてしまう。
【0246】
また、除電部材5と現像剤担持体2との間で、過剰に電位差が生じて、部分的に過電流が流れたり、放電現象が発生し、現像剤担持体2上のトナーを劣化させたり、除電部材5や現像剤担持体2など現像器部材を劣化させる場合が多くなる。
【0247】
さらに、摩擦帯電力が大きく除電電界が大きい場合、実際の必要除電電流よりも過剰な設定になる傾向(−10μA〜−100μA程度)にあるため、十分に除電効果が得られて、除電部材通過後の現像剤掻き取り効果が大きく(項目550参照)または中程度で、残像は出ない。
【0248】
しかし、次の(a)〜(d)のような問題点が発生する。
【0249】
(a)除電部材5と現像剤担持体2の間で、部分的に過電流が流れたり、放電現象が発生し、現像剤担持体2上のトナーを劣化させるとともに、除電部材5や現像剤担持体2など現像器部材を劣化させる。
【0250】
(b)逆極性トナーおよび弱帯電トナーが多量に生成され、これにより現像剤担持体2上のトナー層厚のムラによる濃度ムラを発生させる。
【0251】
(c)逆極性トナーおよび弱帯電トナーが現像剤供給部材3の目の中に多量に入り込み、現像剤供給部材3を硬くし、その硬くなった現像剤供給部材3が現像剤担持体2を削る。つまり現像剤担持体2の寿命が短いものとなる。
【0252】
(d)除電後、現像剤供給部材3により現像剤担持体2上のトナーを過剰に掻き取るために、現像剤供給部材3からトナーを現像剤担持体2に供給された後は、トナーホッパ34からの未帯電トナーが多く、このためトナーの帯電量が低いため、現像剤担持体2自身のトナー搬送力が弱くなる。これにより、弱帯電トナー、逆極性トナー、未帯電トナー等や、弱帯電トナー、逆極性トナー、未帯電トナー等による軟凝集物が帯電部材5に引っかかり易く、画像上に白スジが発生する。
【0253】
(2)除電部材5の摩擦帯電力が「大」(項目510参照)で、除電部材5と現像剤担持体2との間の電界(除電電界)が「小」(項目520参照)の場合について説明する。
【0254】
この場合、除電効果、除電部材ニップ部のトナー固着具合、および除電部材通過後の現像剤の掻き取り効果は、除電電界が「大」や「中」の場合(項目520)の不具合と比較して、それらの不具合が少し低減できるのみで(項目530、項目540、項目550参照)、完全には解決することはできない。
【0255】
(3)除電部材5の摩擦帯電力が「大」(項目510参照)で、除電部材5と現像剤担持体2との間の電界が「電界なし」(項目520参照)の場合について説明する。
【0256】
この実施の形態においては、除電部材5は摩擦帯電力が「大」で、除電電界が「電界なし」にするのがより好ましい。
【0257】
具体的には、除電部材5により除電された現像剤担持体2上の現像剤帯電量Q/Mが、除電部材5による除電前の現像剤担持体2上の現像剤帯電量Q/Mの20%〜70%のときである。このとき、除電部材5の摩擦帯電による現像剤担持体2上のトナーの除電と、トナー層帯電量の電流の両者を考慮した除電性能とすることができ、除電の精度向上を図ることができる。
【0258】
この場合、除電効果は「中」(項目530参照)、除電部材通過後の現像剤掻き取り効果は「中2」(項目550)となる。
【0259】
すなわち、次の(a)〜(f)のような利点を有する。
【0260】
(a)除電部材通過後の現像剤掻き取り効果を精度良く中程度とすることができ、現像ゴースト、残像等の画像不具合の防止の精度向上を図ることができる(項目550の「中2」参照)。
【0261】
(b)必要最低限の除電効果を得るための除電性能を確保することができるので、除電部材へトナー層電流値以上(−5.0μA以下)の過剰な除電電流値の電流が流れない、または除電部材自身へ電流が流れないので、除電部材と現像剤担持体の間で、部分的に過電流が流れたり、放電現象が発生することを防止することができ、これにより、現像剤担持体2上のトナーの劣化、除電部材5や現像剤担持体2など現像器部材の劣化を防止することができる。
【0262】
(c)過剰な除電防止の更なる精度向上を図ることができ、逆極および弱帯電トナーの発生を精度良く低減することができるので、現像剤担持体2上のトナー層厚ムラによる濃度ムラの発生を防止することができる(項目550の「中2」参照)。
【0263】
(d)逆極性トナーおよび弱帯電トナーが現像剤供給部材3の目の中に多量に入り込むことにより現像剤供給部材3が硬くなるのを防止することができるので、その現像剤供給部材3が現像剤担持体2を削るということをより一層防止することができる(項目520の「電界なし」に対応する項目540参照)。
【0264】
(e)除電後においても、現像剤供給部材により現像剤担持体上トナーを過剰に掻き取らないので、現像剤供給部材3から現像剤担持体2へトナーが供給された後に、トナーホッパ34からの未帯電トナーが供給されても、ある程度の帯電量を保ったトナー層が存在し、しかも現像剤担持体2自身のトナー搬送力も強いので、弱帯電トナー、逆極性トナー、未帯電トナーなどや、弱帯電トナー、逆極性トナー、未帯電トナーなどによる軟凝集物が帯電部材6に引っかかるのを防止し、画像上の白スジが発生するのをより一層防止することができる(項目520の「電界なし」に対応する項目540参照)。
【0265】
(f)除電部材5は電気的にフロートまたは現像剤担持体2と同電位であるため、除電部材5と現像剤担持体2との間の電位差が殆ど無く、そのため現像剤担持体2上の弱帯電トナーは除電部材5の方へ移動する力が働かないので、現像剤担持体2上の弱帯電トナー等の現像剤(トナー)が経時で除電部材ニップ部または除電部材ニップ部近傍に吸着または滞留堆積固着するのを防止することができ、また、除電部材ニップ部または除電部材ニップ部近傍に固着したトナーで現像剤担持体2を傷つけることが無くなる(項目520の「電界なし」に対応する項目540参照)。
【0266】
(4)除電部材5の摩擦帯電力が「中」または「小」(項目510参照)で、除電部材5と現像剤担持体2との間の電界が「電界なし」(項目520参照)の場合について説明する。
【0267】
具体的には、除電部材5により除電された現像剤担持体2上の現像剤帯電量Q/Mが、除電部材5による除電前の現像剤担持体2上の現像剤帯電量Q/Mの70%を超える場合で、除電部材5は電気的にフロートまたは現像剤担持体2と同電位のときである。
【0268】
このような前提条件の下では、除電部材5と現像剤担持体2との間の電位差(除電電界)が殆ど無く(項目520の「電界なし」参照)、現像剤担持体2上の弱帯電トナーは除電部材5の方へ移動する力が働かないので(項目530の「小」参照)、現像剤担持体2上の弱帯電トナー等の現像剤(トナー)が経時で除電部材ニップ部または除電部材ニップ部近傍に吸着または滞留堆積固着するのを防止することができるものの(項目520の「電界なし」に対応する項目540参照)、除電後の現像剤担持体2上のトナーの現像剤供給部材3での掻き取りが殆どないので、現像剤担持体2上のトナーが殆ど入れ替わらず、現像剤担持体2上のトナーの粒径変動が多く、現像ゴーストが発生してしまう(項目550の「小」参照)。
【0269】
(5)除電部材5の摩擦帯電力が「中」または「小」を用いて、除電部材5と現像剤担持体2との間の電界が「中」または「大」にして、かつ除電効果を「中」に、具体的には、除電部材5により除電された現像剤担持体2上の現像剤帯電量Q/Mを、除電部材5による除電前の現像剤担持体2上の現像剤帯電量Q/Mの20%〜70%にすることも考えられる。
【0270】
この場合は、次の(a)〜(d)の利点がある。
【0271】
(a)除電部材通過後の現像剤掻き取り効果は精度良く中程度となり、ゴーストや残像を防止することができるとともに、過剰な除電防止のより一層の精度向上を図ることができる。
【0272】
(b)逆極性トナーおよび弱帯電トナーの発生を精度良く低減することができるので、現像剤担持体上のトナー層厚ムラによる濃度ムラの発生を防止することができる。
【0273】
(c)逆極性トナーおよび弱帯電トナーが現像剤供給部材の目の中に多量に入り込むことにより現像剤供給部材を硬くし、その現像剤供給部材が現像剤担持体を削るのを防止することができる。
【0274】
(d)除電後においても、現像剤供給部材により現像剤担持体上のトナーを過剰に掻き取らないので、現像剤供給部材から現像剤担持体へトナーが供給された後に、トナーホッパからの未帯電トナーが供給されても、ある程度の帯電量を保ったトナー層が存在し、現像剤担持体自身のトナー搬送力も強いので、弱帯電トナー、逆極性トナー、未帯電トナー等や、弱帯電トナー、逆極性トナー、未帯電トナー等による軟凝集物が帯電部材に引っかかるのを防止し、画像上の白スジの発生をより一層防止することができる。
【0275】
しかしながら、上述したような利点があるものの、次の欠点もある。つまり、除電部材5はフロートまたは現像剤担持体2と同電位では無いので、現像剤担持体2上の弱帯電トナーは除電部材5の方へ移動する力が働き、また弱帯電トナーは現像剤担持体2への保持力が弱く剥離し易いので、経時的に、弱帯電トナーが除電部材ニップ部または除電部材ニップ部近傍に吸着または滞留堆積固着し、その固着したトナー塊で現像剤担持体を傷つけてしまう。また、除電部材5と現像剤担持体2との間で、過剰に電位差が生じて、部分的に過電流が流れたり、放電現象が発生し、これにより現像剤担持体2上のトナーを劣化させたり、除電部材5や現像剤担持体2など現像器部材を劣化させる。
【0276】
上述したように、除電部材5の摩擦帯電力が「中」または「小」を用いて、除電部材5と現像剤担持体2との間の電界が「中」または「大」にして、かつ除電効果を「中」にした場合には、除電部材5と現像剤担持体2とに除電電界が働くことで、上述したような不具合が発生する場合が多いので、図5においてはあえて図示していない。
【0277】
次に、現像装置8において、除電部材5を電気的にフロートまたは現像剤担持体2と同電位で除電電界が働かないようにした場合の作用メカニズムと効果について、図6および図7を参照して説明する。
【0278】
なお、図6は、図13に示した従来の現像装置の如く除電部材105と現像剤担持体2との間に除電電界が働く場合の作用メカニズムを説明する図であり、図7は、本実施の形態の如く除電部材5と現像剤担持体2との間に除電電界が働かない場合の作用メカニズムを説明する図である。
【0279】
最初に、除電部材105と現像剤担持体2間に除電電界が働く場合について、図6を参照して説明する。この場合は、図13に示した従来の現像装置の場合の作用メカニズムに対応する。
【0280】
除電部材105により除電された現像剤担持体2上の現像剤帯電量Q/Mが、除電部材105による除電前の現像剤担持体2上の現像剤帯電量Q/Mの20%%未満になるような過剰な除電の場合、帯電部材6においては、図6(a)に示すように、現像剤担持体2上のトナーの帯電量が小さくなり、この結果、帯電部材6の反力に対する「電気力(鏡像力)×摩擦係数」によるトナー搬送力が小さくなる。このトナー搬送力が小さくなると、トナーが帯電部材6と現像剤担持体2との間を通過しにくくなり、白スジ(縦白スジ)が発生しやすくなる。なお、上記トナー搬送力は、トナー帯電量に比例して大きくなるものである。
【0281】
また、除電部材105のニップ部においては、図6(b)に示すように、除電電界が小さくても、負帯電トナー(負帯電トナーの場合)は、除電電界によるクーロン力(現像剤担持体2から除電部材5へ移動する力)が大きくなり、特に弱帯電トナー(帯電量の少ないトナー)は、現像剤担持体2上のトナーに働く電気力(鏡像力)に対して当該クーロン力が勝り、除電部材5へ引き付けられ滞留しやすい傾向にある。そして固着したトナーが成長して、現像剤担持体2を傷つけ、この結果、縦黒スジが発生する。
【0282】
次に、除電部材5と現像剤担持体2との間に除電電界が働かない場合、つまり除電部材をフロートにした場合について、図7を参照して説明する。
【0283】
この場合は、帯電部材6を通過した後のトナーの帯電量が多く、また除電部材5を通過した後のトナーの帯電量が多い場合である。
【0284】
さて、帯電部材6においては、図7(a)に示すように、現像剤担持体上のトナーの帯電量が多いので、帯電部材6の反力に対する「電気力(鏡像力)×摩擦係数」によるトナー搬送力が大きくなり、トナーが帯電部材6と現像剤担持体2との間を通過しやすくなり、白スジ(縦白スジ)が発生しにくくなる。
【0285】
また、除電部材5においては、図7(b)に示すように、現像剤担持体2から除電部材5へ働くクーロン力が無いので(除電電界が無いので)、弱帯電トナー等のトナーが除電部材5のニップ部に滞留し固着しにくくなる。このように固着したトナーは殆どないので、現像剤担持体2を傷つけることはなく、このため縦黒スジは発生しにくくなる。
【0286】
次に、現像装置8において、現像剤の粒度分布のうち、当該現像剤の体積平均粒径をXとした場合、「X×1.4〜X×1.82≦3.8%、X×1.82超≦0.36%」となる粒度分布が成立する現像剤の粗粉をカットにした場合の作用メカニズムと効果について、図6および図7を参照して説明する。
【0287】
最初に、上述した範囲を超える現像剤つまり現像剤に粒径が大きい粗粉が多くある場合について、図6を参照して説明する。この場合は、図13に示した従来の現像装置の如く粒径が大きいトナーが多くある場合(粗粉トナーが多くある場合)の作用メカニズムに対応する。
【0288】
帯電部材6においては、図6(a)に示すように、粒径が大きいトナーは、電気力(鏡像力)が小さくなるので(鏡像力は粒径の2乗に反比例して大きくなる)、帯電部材6の反力に対する「電気力(鏡像力)×摩擦係数」によるトナー搬送力が小さくなり、この結果、トナーが帯電部材6と現像剤担持体2との間を通過しにくくなり、白スジ(縦白スジ)が発生しやすくなる。なお、帯電部材6からの反力はトナー粒子径が大きくなるほど大きくなる。
【0289】
また除電部材5のニップ部においては、図6(b)に示すように、現像剤担持体2上の粒径の大きいトナーは鏡像力が小さくなるので、除電電界が小さくても、負帯電トナー(負帯電トナーの場合)は除電電界によるクーロン力(現像剤担持体2から除電部材5へ移動する力)が大きくなり、特に弱帯電トナーは、現像剤担持体2上トナーに働く電気力(鏡像力)に対して当該クーロン力が勝り、除電部材5へ引き付けられ滞留しやすい傾向にある。そして固着したトナーが成長して、現像剤担持体2を傷つけ、この結果、縦黒スジが発生する。
【0290】
次に、上述した範囲内の現像剤つまり現像剤に粒径が大きいトナーが殆どない場合(粗粉カットトナーの場合)の作用メカニズムについて、図7を参照して説明する。この場合は、現像剤担持体2上のトナーの搬送力が高くなる場合である。
【0291】
さて、粒径が小さいと(粗粉カットトナーを用いると)、帯電部材6においては、図7(a)に示すように、帯電部材6の反力に対する「電気力(鏡像力)×摩擦係数」によるトナー搬送力が大きくなり、トナーが帯電部材6と現像剤担持体2との間を通過しやすくなり、白スジ(縦白スジ)が発生しにくくなる。
【0292】
また、除電部材5においては、図7(b)に示すように、現像剤担持体2上の粒径の小さいトナーは鏡像力が大きくなり、この結果、現像剤担持体2から除電部材5へ働く除電電界が発生しても、当該トナーが除電部材5に付着(または滞留固着)することが大幅に低減される。また、除電部材5がフロートの場合は、より一層、鏡像力による搬送力が高まるため、粗粉を分級生産しカットしたトナー(粒径が小さいトナー)の効果が維持される。したがって、弱帯電トナー等のトナーが除電部材5のニップ部に滞留することは殆どないので、現像剤担持体2を傷つけることは殆ど無く、このため縦黒スジは発生しにくくなる。
【0293】
次に、除電後の現像剤担持体2上のトナーの現像剤供給部材3による掻き取りについて、図8を参照して説明する。
【0294】
図8において、項目610〜項目650には、それぞれ除電後の帯電量、除電効果、現像剤担持体表面(現像剤供給部材とのニップ部)、現像剤供給部材表面(現像剤担持体とのニップ部)、および除電部材通過後の現像剤掻き取り効果が登録されている。また、除電後の帯電量が登録される項目610に対応して、「除電前の20%未満」、「除電前の20%〜70%」、「除電前の70%を越える」のそれぞれの項目611〜項目613が示されている。さらに、項目620に対応して除電効果として「大」「中」「小」が示され、また項目650に対応して現像剤掻き取り効果として「大」「中」「小」が示されている。
【0295】
ここでは、除電部材5により除電された現像剤担持体2上の現像剤帯電量Q/Mが、除電部材5による除電の前の現像剤担持体2上の現像剤帯電量Q/Mの20%〜70%の範囲では(項目612参照)、除電効果を「中」とする(項目612に対応する項目620参照)。この場合、除電後の現像剤担持体2上のトナーの現像剤供給部材3での掻き取りが完全なものではなく一部トナー(例えば掻き取り前の30〜70%程度)を残すものである。
【0296】
そのため、ある程度、現像剤担持体2上のトナー7が入れ替わるので、現像剤担持体2上のトナーの粒径変動もあまり無く、現像剤担持体2上のトナーの帯電ムラもなく、現像ゴーストの発生を低減することができる(項目650の「中」参照)。
【0297】
また、現像剤供給部材3から現像剤担持体2へのトナー7の移動がスムーズに行われ、現像剤供給部材3へのトナーの移動を低減できるので、現像剤供給部材3に対するトナーの目詰まりが発生することなく、このため現像剤供給部材3が硬くなることに起因する現像剤担持体2の削れを防止することができる。
【0298】
さらに、現像剤担持体2上のトナーの帯電量も極端に低下しないので、帯電ムラによる濃度ムラの発生も低減することができ、ある程度の現像剤担持体2上のトナーの搬送力も確保することができるので、トナーホッパ34内のトナーの軟凝集物が帯電部材6近傍に滞留することはない。
【0299】
次、除電効果が「大」(項目611に対応する項目620参照)、つまり除電部材5により除電された現像剤担持体2上の現像剤帯電量Q/Mが、除電部材5による除電の前の現像剤担持体2上の現像剤帯電量Q/Mの20%未満(項目611参照)の場合においては、除電後の現像剤担持体2上のトナーの現像剤供給部材3での掻き取りが完全なものである(例えば掻き取り前の70%以上)。
【0300】
これは、現像剤担持体2上のトナーの帯電量が除電により小さくなるので、現像剤担持体2とトナー7との付着力が弱いため、現像剤供給部材3により掻き取り易くなることに起因する。これにより、現像剤担持体2上のトナー7が殆ど入れ替わるので、現像剤担持体2上のトナーの粒径変動が減少して、現像ゴーストの発生を低減することができる(項目650の「大」参照)。
【0301】
また、現像剤供給部材3から現像剤担持体2へのトナー7の移動がスムーズに行われ、現像剤供給部材3へのトナーの移動を低減することができるので、現像剤供給部材3に対するトナーの目詰まりが発生することなく、当該現像剤供給部材が硬くなることに起因する現像剤担持体2の削れを防止することができる。
【0302】
しかしながら、除電後に現像剤担持体2上のトナーの帯電量も極端に低下するため、現像剤担持体2上のトナーの帯電ムラによる濃度ムラが発生し、しかも現像剤担持体2上のトナーの搬送力も確保できなくなり、トナーホッパ34内のトナーなどの軟凝集物が帯電部材6近傍に滞留することとなり、この結果、画像に白スジが発生する(項目650の「大」参照)。
【0303】
また、除電後に現像剤担持体2上のトナーが現像剤供給部材3により殆ど掻き取られるため、印字濃度(印刷濃度)が高いものを現像すると、現像剤供給部材3から現像剤担持体2へのトナーの供給不足が発生し、このためトナー追従不良によるはけ目が発生してしまう(項目650の「大」参照)。
【0304】
次に、除電効果が「小」(項目613に対応する項目620参照)、つまり除電部材5により除電された現像剤担持体2上の現像剤帯電量Q/Mが、除電部材5による除電の前の現像剤担持体2上現像剤帯電量Q/Mの70%を超える(項目613参照)場合は、除電後の現像剤担持体2上のトナーの現像剤供給部材3での掻き取りが殆どない(例えば掻き取り前の30%以下)。
【0305】
これは、現像剤担持体2上のトナーの帯電量があまり除電されずに多くなっているので、現像剤担持体2とトナー7との付着力が大きくなり、この結果、現像剤供給部材3によってトナー7を掻き取りにくいことに起因する。これにより、殆ど現像剤担持体2上トナー7が殆ど入れ替わらないので、現像剤担持体2上トナーの粒径変動が多く、現像ゴーストが発生してしまう(項目650の「小」参照)。
【0306】
また、現像剤供給部材3から現像剤担持体2へのトナー7の移動がスムーズに行われないので、現像剤供給部材3へのトナーの移動が多くなり、現像剤供給部材3に対するトナーの目詰まりが発生して、当該現像剤供給部材3が硬くなることに起因する現像剤担持体2の削れが発生してしまう。
【0307】
しかし、現像剤担持体2上のトナーの帯電量は低下されずに維持されるので、現像剤担持体2上のトナーの帯電ムラによる濃度ムラ発生も無く、現像剤担持体上トナーの搬送力も確保できるので、トナーホッパ34内のトナーなど軟凝集物が帯電部材6近傍に滞留することはない。
【0308】
次に、この実施の形態では、現像剤担持体2と除電部材5との押圧力は、引張り荷重30gf〜100gfの範囲内としている。
【0309】
この場合、除電部材5を現像剤担持体2に強く当てすぎることがないので、現像後の現像剤担持体2上に残留するトナーの電荷を過剰に除電して、逆極性トナーおよび弱帯電トナーが多量に生成されることに起因する現像剤担持体2上のトナー層厚のムラによる濃度ムラが発生するのを防止することができる。すなわち、逆極性トナーおよび弱帯電トナーが殆ど生成されないので、現像剤担持体2上のトナー層厚のムラによる濃度ムラは発生しない。
【0310】
また、現像剤担持体2上のトナー層が除電部材5(除電部材5と現像剤担持体2との間)を通過できず、トナー漏れを発生させることを防止することができる。
【0311】
さらに、除電部材5のニップ部上流側に弱帯電トナーに限らないトナーが滞留固着されることで、現像剤担持体2を傷つけることを防止することができる。すなわち、前記トナーが除電部材5のニップ部上流側に滞留固着されないので、現像剤担持体2を傷つけることなく、当該現像剤担持体2の劣化を防止することができる。
【0312】
さらに、除電部材5を現像剤担持体2に弱く当てすぎることがないので、摩擦帯電能力の高い除電部材5を用いることなく、除電効果を高めるために、除電部材5と現像剤担持体2との間に過剰にまたは少しの電位差を持たせる必要がないので、除電部材5と現像剤担持体2との間で発生する放電を防止することができ、しかも、除電部材5のニップ部にトナーが滞留固着しないので(弱帯電トナーが現像剤担持体2から除電部材5へ移動する電界が働くため)、各種部材(現像器部材)の劣化を防止することができる。これにより、除電の安定化を図ることができるとともに現像器部材の劣化を防止することができる。
【0313】
なお、現像剤担持体2と除電部材5との押圧力Pつまり引張り荷重は、図9に示すように、幅10mmで、厚さ0.1mmのPETシーとを、現像剤担持体2にトナーが存在しない状態で現像剤担持体2と除電部材5との間に挟み、当該PETシーとの引抜き荷重を測定したものである。
【0314】
次に、現像装置の除電について具体的に説明する。
【0315】
(実施例1)
ここでは、以下の仕様の除電部材5、現像剤担持体2および現像剤供給部材3を有する現像装置8を図11に示した画像形成装置に取りつけ、現像ゴースト、ベタ均一性とLifeによる白スジ発生具合と現像器部材の劣化具合(現像剤担持体の摩耗、削れによる画像上の黒スジ発生具合)を評価した。
【0316】
除電部材5、現像剤担持体2および現像剤供給部材3の仕様は以下のようにした。
【0317】
すなわち、除電部材5は、材質は次の(1)〜(4)のものを準備した。つまり、(1)ステンレス(SUS)、(2)ポリテトラフルオロエチレン(PTFE:テフロン(登録商標))系樹脂にカーボンを分散させたシート、(3)4フッ化エチレン・パーフロロプロピルビニルエーテル(PFA)系樹脂にカーボンを分散させたシート、(4)ポリフッ化ビニリデン(PVDF)系樹脂にカーボンを分散させたシート。また、これら4種類の材質の除電部材5のそれぞれについて、表面抵抗値=E3Ω・cm、E5Ω・cm(10V・15秒印加時)(樹脂シートの場合)、厚み=110μm〜150μm、ニップ幅=1.5mm〜2.5mm、現像剤担持体2への食い込み量=約0.5mm〜0.7mmとした。このような除電部材5を、図2および図3に示すように下シール部材を兼ねさせ、現像剤担持体2に電気的に接触させた。
【0318】
現像剤担持体2は、材質=導電性シリコンゴム、外径=φ16mm、体積抵抗=E3Ω・cm〜E5Ω・cm、硬度=約60°(JIS A)とした。
【0319】
現像剤供給部材3は、材質=導電性ウレタンフォーム、外径=φ13.2mm、体積抵抗=E4Ω・cm〜E6Ω・cm、硬度=アスカーF 約70°、セル数=3.1個/mm以上とした。
【0320】
なお、像担持体(感光体)1は、アルミ素管にCGL、CTLを順次積層した、膜厚=約20μm、外径=φ24mmのOPCドラムを使用した。
【0321】
トナーは、体積50%径=約9.0μm、見かけ密度=0.35g/cm3〜0.40g/cm3の非磁性トナーを使用した。
【0322】
現像剤担持体2上のトナーの帯電量は約−17μC/g〜−28μC/gであり、トナー層厚は0.43mg/cm2〜0.53mg/cm2程度とした。
【0323】
像担持体1の表面の電位は約−550V−600Vとした。
【0324】
転写装置は、ポリカーボネートの中間転写ベルとを使用し、転写部には中間転写ベルトの裏側に転写ローラを使用した。
【0325】
像担持体(感光体)1を約100mm/sの速度で回転させ、現像剤担持体2は、像担持体1に対しウィズ回転で1.33倍の周速比で回転させ、現像剤供給部材3は、現像剤担持体2に対し、食い込み量約0.6mm、アゲインスト回転で、周速比0.52で回転させた。
【0326】
上述した前提条件の下、上述した仕様の除電部材5、現像剤担持体2および現像剤供給部材3を有する現像装置8を図11に示した画像形成装置に取りつけ、また、除電部材5に印加する直流電圧または現像剤担持体2と除電部材5の間にツェナーダイオードを挿入し、さらに、現像剤担持体2と除電部材5との間の除電電界を150V(例えば、現像バイアス=−250V、除電部材5への供給バイアス=−100V)に固定して、上記(1)〜(4)の各材料(4種類の材料)の除電部材5に替えて、次の項目について評価した。
【0327】
印字後(印刷後)に、現像ゴースト、ベタ追従性を目視で観察し、Life(1job3枚(1ジョブ3枚)、800枚/日、計約14000枚印字)における現像剤担持体2の摩耗、削れによる画像上の黒スジ発生の有無、およびLifeにおけるトナー特性変化(帯電量低下、大粒径トナー増加)による画像上の白スジ発生の有無を観察した。
【0328】
なお、現像ゴーストは、図10に示すような画像先頭部分の現像剤担持体2の周分程度に相当する部分にベタパッチ(20mm×20mm)パターンを数個配置(現像剤担持体2の周期に重ならないように配置)し、現像剤担持体3の周目程度以降に相当する画像後半部分は均一なハーフトーンを配置した画像、フルベタで確認をした。ベタ追従性についてはフルベタ、白スジおよび黒スジの発生具合はハーフトーンで確認をした。さらに、上記画像に加えて自然画でも確認を行った。その結果、次の(表1)に示す。
【0329】
【表1】

【0330】
なお、(表1)において、除電部材の項目中の( )内に記述されているE3、E5は表面抵抗値(単位:Ω・cm)を示す。また、PTFEはポリテトラフルオロエチレンを示し、PFAは4フッ化エチレン・パーフロロプロピルビニルエーテルを示し、PVDFはポリフッ化ビニリデンを示す。
【0331】
また、現像ゴーストの項目において、記号「×」は、現像ゴーストチェックパターン、フルベタおよび自然画のいずれもゴーストが目視ではっきり確認できるレベルを示し、記号「△」は、現像ゴーストチェックパターンおよびフルベタでゴーストが目視で確認できるものの、自然画ではゴーストが目立たないレベルを示し、記号「○」は、現像ゴーストチェックパターン、フルベタおよび自然画のいずれのパターンでもゴーストが目立たないレベルを示す。
【0332】
白スジ、黒スジについては、記号「×」はLife試験半分以下(7000枚以下)でハーフトーンに白スジおよび黒スジが確実に確認できるレベルを示し、記号「△」はLife試験5割〜8割(7000枚〜11000枚)でハーフトーンに白スジおよび黒スジが確実に確認できるレベルを示し、記号「○」はLife試験終了してもハーフトーンでも白スジ、黒スジおよび自然画の何れにもいても目立たないレベルを示す。
【0333】
なお、上述した結果は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーの何れにおいても同様な結果が得られた。
【0334】
上記(表1)中の除電前帯電量は、除電部材5の摩擦帯電力、抵抗値、除電部材5と現像剤担持体2との間の電位差(除電電界)、除電部材5の現像剤担持体2への押圧力等に左右されるものである。また、帯電系列上、摩擦帯電能力が高い方が、除電能力が高くなり、除電前帯電量は小さくなる傾向にあるので、現像ゴースト防止に効果的である。
【0335】
したがって、除電部材5の現像剤担持体2に当接する表面がトナーよりも帯電系列上、該トナーの正規の帯電極性と同極性側に片寄った材料を選択する場合に、現像ゴースト防止マージンを拡大することが判明した。
【0336】
また、この実験では現像剤担持体2と除電部材5との電位差を150Vとしたため、除電部材5と現像剤担持体2との間での放電による現像器部の材劣化や現像剤担持体上の弱帯電トナーが除電部材へ移動することにより、除電部材5にトナーが固着して現像剤担持体2が劣化する。この不具合を防止するためには、現像剤担持体2と除電部材5との電位差を小さくする、または0にする必要があり、また除電部材5の材料としては、特に現像ゴースト防止マージンが広いPFAとPVDFが有利と考えられる。
【0337】
ベタ追従性については、除電効果が高すぎると、現像装置8中のトナーに逆極性または帯電量が低いトナーが多くなり、現像剤供給部材3の供給能力が小さくなるために、ベタ追従性が悪化することが確認された。逆に除電効果が小さすぎても、除電後の現像剤担持体2上のトナーが多く残っているので、現像剤供給部材3から現像剤担持体2への現像剤供給がスムーズに行われず、これにより現像剤供給部材3の供給能力が小さくなるために、ベタ追従性が悪化することが確認された。
【0338】
また、白スジは、除電効果が高すぎた場合と同じ現象がLifeによりトナー帯電量の低下で発生したと考えられる。したがって、Lifeによるトナー帯電量の低下を見こしてマージン設計が必要であることを示す。
【0339】
(実施例2)
次に、除電部材5に、PTFE(表面抵抗値=E5Ω・cm)、PVDF I(PVDFで表面抵抗値=E5Ω・cm)を使用し、トナーはマゼンタトナーを使用して、さらに、除電部材5と現像剤担持体2との電位差を変化させて(電位差0Vは、除電部材5を電気的にフロート)、上述した2種類の除電部材を使用して、上述した実施例1の場合と同様の実験を行った。その結果を(表2)に示す。
【0340】
【表2】

【0341】
なお、(表2)において、除電部材の項目中における除電部材名に併記されている( )内は、除電部材5の摩擦帯電能力(大>中の関係)を示し、除電電界の項目における値は、除電部材5の電位から現像剤担持体2の電位を引いた値(現像剤担持体と除電部材との電位差)を示し、除電量中の除電後の項目における値に併記されている( )内は、除電前の帯電量に対する除電後の帯電量の割合を示し、現像剤担持体劣化具合の黒スジ発生具合の項目における記号に併記されている( )内は、除電部材ニップ部へのトナーの固着具合を示す。
【0342】
なお、上述した結果は、ブラック、イエロー、シアンのいずれにおいても同様の結果が得られた。
【0343】
電位差が150Vでは除電効果が高すぎるため、トナー搬送力が低下して、Life途中で白スジが発生した。また、現像剤担持体2と除電部材5との間で放電が発生して現像剤担持体2が劣化し、黒スジが発生した。さらに、現像剤供給部材3による現像剤担持体2上のトナーの掻き取り効果も低減するので、現像剤供給部材3に対するトナーの目詰まりによる現像剤担持体2の摩耗も確認された。
【0344】
これに対し、除電部材5と現像剤担持体2との電位差を小さくする、または0にする(除電部材5を電気的にフロートまたは現像剤担持体2と同電位にする)ことは、除電効果を低下させることを意味。すなわち、電位差を小さくする程、除電前および除電後の現像剤担持体2上のトナーの帯電量が増加するので、現像剤担持体2上のトナーの鏡像力が増加し、これによりトナー搬送力が増加することで、白スジの発生を防止することができるということが確認された。
【0345】
また、電位差を小さくすることは、現像剤担持体2と除電部材5との間での放電の発生、および過剰な除電電流が流れるのを大幅に低減させることができ、現像剤担持体2の劣化を防止することができる。
【0346】
さらに、電位差を0Vにすると、現像剤担持体2から除電部材5へ移動する除電電界が無くなるので、現像剤担持体2上の弱帯電トナーが除電部材5のニップ部に滞留固着するのが大幅に低減されて、除電部材5のニップ部へのトナーの固着に起因する現像剤担持体2の劣化が大幅に低減することが確認された。
【0347】
上述したことは、図6および図7を参照して説明したようなメカニズムが検証されることを意味する。
【0348】
ところで、除電部材5がPVDFで電位差150Vでは除電効果が高いため、現像剤供給部材3から現像剤担持体2へのトナー供給力が若干低下していたものが、電位差を小さくして除電効果を小さくした場合にはトナー追従性が良好になることが確認された。
【0349】
また、除電部材5がPVDFの場合、電位差を0Vにしても現像ゴーストが良好であるのは、PVDFの摩擦帯電力による除電能力が高いためと考えられる。
【0350】
一方、PTFEの場合、摩擦帯電力がやや小さいので、現像剤担持体2と除電部材5との電位差を0Vにすると、帯電量が増加することにより白スジが低減されるものの、現像ゴーストがやや悪化し、また現像剤供給部材3による現像剤担持体2上のトナーの掻き取り効果が低減するので、濃度ムラ等の不具合も発生した。
【0351】
これらのことを鑑みると、現像剤担持体2と除電部材5との電位差が0V〜150Vでは、除電前の帯電量は−17μc/g〜−30μc/gの範囲にあり、また除電後の帯電量が除電前の帯電量の20%〜70%を満足したものであれば(より好ましくは30%〜50%)、過剰な除電や過小な除電による現像ゴースト、トナー追従性不良、白スジおよび黒スジの発生を同時に防止することができるとともに、現像剤供給部材3の供給力低下により現像剤供給部材3に対するトナーの目詰まりによる現像剤担持体2の摩耗を防止することができ、よって、過剰な除電電流に起因する放電の劣化による現像剤担持体2の摩耗を防止することができるということが判明した。
【0352】
なお、除電電界が0Vの場合、除電部材5へのトナーの固着を低減することができ、しかも現像ゴースとを悪化させない除電部材5としては摩擦帯電能力の高いPVDFが有利であることが確認された。
【0353】
さらに、上述した結果より、摩擦帯電能力が高い程、除電部材5と現像剤担持体2との電位差を小さくしても現像ゴースとを防止することができるので、除電部材5と現像剤担持体2との間での放電を防止することができ、黒スジ発生を低減することができるということが判明した。
【0354】
したがって、上述したとから、図5に示した除電部材5の摩擦帯電力、除電部材5と現像剤担持体2との間の電界に対する経時での除電部材ニップ部へのトナー固着具合、そして除電効果に対する現像剤供給部材3による現像剤担持体2上の現像剤(トナー)の掻き取り効果について、この図5を参照して説明した内容が全て検証することができた。
【0355】
また、除電部材として、PVDFと同じように摩擦帯電力が高いPFA(実施例1で検証済み)を使用した場合であっても、PVDFを使用した場合と同様の効果が期待できるものと考えられる。
【0356】
次に、除電前の帯電量に対する除電後の帯電量の割合を除電効果の大小で3つに分けて、現像剤担持体2、除電部材5のニップ表面を観察し、除電後の現像剤担持体2上のトナーの掻き取り効果、現像剤担持体2の現像剤搬送力、おおび現像剤供給部材3から現像剤担持体2への現像剤供給力を調査した。その結果を(表3)に示す。
【0357】
【表3】

【0358】
(表3)中、除電後現像剤掻き取り効果については、図8に示したように、現像剤担持体2および現像剤供給部材3のニップ部上のトナーの残り具合で判定し、殆どトナーが残ってない状態を掻き取り効果「大」、殆どトナーが残っている状態を掻き取り効果「小」、その間を掻き取り効果「中」とした。
【0359】
現像剤搬送力に関しては、除電後帯電量が大きい程、現像剤担持体2上のトナーが現像剤供給部材3による掻き取りも少なく、ある程度の帯電量を持ったトナーが残っているので、現像剤搬送力は高くなる傾向を示した。逆に除電後帯電量が低い程、現像剤搬送力は小さくなる傾向を示し、帯電部材6へのトナーの付着等による白スジが発生する傾向を示した。
【0360】
現像剤供給力に関しては、掻き取り効果が「中」、すなわち除電効果が「中」のとき一番良好であることが確認できた。
【0361】
掻き取り効果が「大」の場合、除電後の現像剤帯電量が低すぎて、現像剤供給部材3へ現像剤が入り込み、現像剤供給部材が硬くなることが確認された。
【0362】
これに対し、掻き取り効果が「小」の場合、除電後の現像剤担持体2上のトナーが多く残っているので、現像剤供給部材3から現像剤担持体2への現像剤供給がスムーズに行われないことが確認できた。したがって、これも現像剤供給部材3にトナー7が目詰まり、現像剤供給部材が硬くなることが確認された。そして、現像剤供給部材3が硬くなると、現像剤担持体2を摩耗、削り、黒スジに発展することが確認された。
【0363】
Life後の現像剤担持体2、除電部材5、現像剤供給部材3、現像装置8中のトナー7を観察すると、除電効果が大きくなる程、除電部材5上に放電痕やトナー固着、現像剤供給部材3のトナー目詰まり、現像剤担持体2の摩耗や傷、トナー劣化が多く見られた。また、黒スジに関しては、除電効果が小さすぎても発生し易い。これは、除電後の現像剤担持体2上のトナー7の帯電量が高く、現像剤供給部材3による掻き取り効果が少ないので、現像剤供給部材3から現像剤担持体2へのトナー供給がスムーズに行われず、現像剤供給部材3へのトナー目詰まりが起き易くなったためと考えられる。
【0364】
以上の結果から、除電後帯電量を特定の設定範囲(除電前の20%〜70%)に設定することで、現像ゴースト、トナー追従不良、白スジ発生の防止と現像器部材劣化による黒スジ発生を防止することができるということが判明した。
【0365】
(実施例3)
次に、除電部材5はPVDF I(PVDFで表面抵抗値=E5Ω・cm)を使用し、トナーは、平均粒径(X)約9μm、粒径12.7μm〜16μmが5.5%、16μm以上が0.36%のトナーA、平均粒径(X)約8.8μm、粒径12.7μm〜16μmが2.5%、16μm以上が0.2%のトナーB(粗粉カットトナー)を使用して、除電部材5と現像剤担持体2との電位差を68V,0Vに変化させて、実施例1の場合と同様の実験を行った。その結果を(表4)に示す。なお、トナーはブラックトナーを用いた。
【0366】
【表4】

【0367】
なお、(表4)において、除電部材と現像剤担持体との電位差は、除電部材5の電位から現像剤担持体2の電位を引いた値(除電電界)を示す。また、0Vは除電部材5を電気的にフロートにした。さらに、シアン、マゼンタ、イエローの何れのトナーにおいても、ブラックトナーの場合と同様な結果((表4)に示した結果)であった。
【0368】
現像剤(トナー)の粗粉をカットすることは、現像の粒径選択による現像の前後の粒径変動を少なくすることができるので、現像剤担持体2上のトナーの比電荷変動を防止することができ、現像ゴースト、残像を防止することができる。
【0369】
また、粒径選択の進行による現像装置8内の粗粉カットトナーの蓄積を防止することができるので、現像剤担持体2上のトナー層厚のムラによる濃度ムラの発生を防止することができ、よって画質の劣化を防止することができる。
【0370】
逆極性トナーおよび弱帯電トナーが現像剤供給部材3の目の中に多量に入り込むことにより、現像剤供給部材3を硬くし、その現像剤供給部材3が現像剤担持体2を削るのを防止することができる。
【0371】
粗粉トナー自身または粗粉トナーの逆帯電トナー、未帯電トナー、軟凝集物が帯電部材6や除電部材ニップ部または除電部材ニップ部近傍に滞留固着して白スジが発生するのを防止することができるとともに、現像剤担持体2へ傷が入って黒スジが発生するのを防止することができるということが判明した。以上のことから、図6および図7を参照して説明したメカニズムが検証され確認された。
【0372】
また、除電部材5と現像剤担持体2との電位差を0Vにすることは、除電効果を低下させることを意味する。すなわち前記電位差を小さくする程、除電後の帯電量が増加するので、トナー搬送力が増加することになり、粗粉を分級生産しカットしたトナー効果をより一層精度良く白スジの発生を防止することが確認された。そして、現像剤担持体2から除電部材5へ弱帯電トナーが移動する電界もないので、除電部材5のニップ部へのトナーの滞留固着が更になくなり、現像剤担持体2の劣化を更に精度良く防止することができるということが判明した。
【0373】
(実施例4)
次に、除電部材5はPVDF I(PVDFで表面抵抗値=E5Ω・cm)を使用して
、除電部材5と現像剤担持体2との電位差を0V(除電電界)に固定して、除電部材抵抗による現像ゴースト、トナー追従性、白スジおよび黒スジの発生具合について評価した。
【0374】
上記実施例1〜3で使用した除電部材5の表面抵抗は主に105Ω・cmであったが、除電電界が0Vの場合、若干現像ゴーストが悪くなったものの、表面抵抗が104Ω・cm以下の場合、現像ゴーストはやや良好となった。
【0375】
除電電界が68V以上のときは、除電効果が高すぎて除電後の現像剤担持体2上のトナーの掻き取りが過剰となり、トナー搬送力と供給力が低下し、寿命により白スジおよびトナー追従不良が発生した。また、現像剤担持体2から除電部材5へ弱帯電トナーが移動するために除電部材にトナーが固着し、現像剤担持体2を劣化させた。しかし、除電部材5を電気的にフロートにすると、前述した問題点は殆どなくなることが判明した。
【0376】
したがって、除電電界が0Vの場合、現像ゴースとを改善するには、摩擦帯電力の高い材料で抵抗値を下げるということは有効な手段であることが判明した。
【0377】
これに対し、除電部材5の表面抵抗が約109Ω・cm以上の場合は、放電による除電部材5の劣化については減少するものの、除電効果が低下しすぎて現像ゴーストが目立つことが確認された。
【0378】
(実施例5)
次に、除電部材5がPTEF(テフロン(登録商標))で形成された場合の強度による黒スジの発生具合について評価した。この場合、除電部材5と現像剤担持体2との電位差は150Vに固定した。
【0379】
除電部材5の強度が小さい場合には(引張り強度が1MPa未満)、Lifeでの摩耗で除電部材5の材料の剥離や劣化が発生し易く、その部分にトナーが固着して、現像剤担持体2を削る現象が確認された。
【0380】
これに対し、除電部材5の強度が大きい場合は(引張り強度が1MPa以上)、Lifeでの摩耗で除電部材5の材料の剥離や劣化の発生が少なく、その部分にトナーが固着することに起因する現像剤担持体2を削る現象を低減できることが確認された。特に、PVDFは強度が大きく、摩耗が少なく最適であり、除電部材5の劣化を大幅に低減できることが判明した。
【0381】
(実施例6)
次に、現像剤担持体2と除電部材5との押圧力による現像ゴースト、トナー追従性、白スジ発生および黒スジ発生具合について評価した。この場合、現像剤担持体2と除電部材との電位差は68Vに固定した。その結果を(表5)に示す。
【0382】
【表5】

【0383】
なお、(表5)において、現像剤担持体と除電部材との押圧力は、幅10mmで、厚さ0.1mmのPETシーとを現像剤担持体2にトナーが存在しない状態で、現像剤担持体2と除電部材5との間に挟み、当該PETシーとの引抜き荷重を測定した(図9参照)。
【0384】
(表5)に示す結果より、押圧力が30gf以下の場合には、除電効果が低下し、現像ゴーストが発生し、押圧力が小さいため、現像装置8中へトナーを引き込む力も低下し、除電部材5にトナーが滞留する場合が発生し、そのトナーにより現像剤担持体2を削り、黒スジが発生する場合がある。また、除電効果が小さすぎて、上述した理由によりトナー追従性は低下し、白スジの発生は低減する。
【0385】
これに対し、押圧力が100gf以上の場合は、除電効果が高すぎて、上述したようにトナー追従性が低下し、白スジおよび黒スジが発生する。また、押圧力が高すぎる場合は、現像剤担持体2上のトナーが除電部材5で掻き取られて、現像装置8外にトナー漏れが発生したり、除電部材5のニップ部にトナーが固着して現像剤担持体2を劣化させることが確認された。
【0386】
また、現像剤担持体2と除電部材5との間で熱が発生し、除電部材5のニップ部にトナーが融着した現象が多く見られた。その融着したトナーで現像剤担持体2を削る可能性が高いと考えられ、黒スジの発生も多く見られた。
【0387】
したがって、現像剤担持体2と除電部材5との押圧力を最適化することにより(当該押圧力は30gf〜100gfの範囲とする)、現像ゴースト、トナー追従性、白スジの発生および黒スジの発生を低減できることが判明した。
【産業上の利用可能性】
【0388】
本発明は、現像ゴースト、トナー追従不良、濃度ムラを防止するとともに、白スジ発生、現像器部材の劣化による黒スジ発生を防止する効果を有し、電子写真方式の現像器、特に接触現像方式の非磁性1成分現像用現像装置などの用途として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0389】
【図1】本発明の実施の形態1における現像装置の構成を示す概略図
【図2】本発明の実施の形態1における現像装置の他の構成を示す概略図
【図3】図1に示した現像装置における現像、除電、現像剤供給および帯電の各工程を説明する図
【図4】図2に示した現像装置における現像、除電、現像剤供給および帯電の各工程を説明する図
【図5】除電部材の摩擦帯電力、除電部材と現像剤担持体との間に対する経時的な除電部材ニップ部へのトナー固着具合、および除電効果に対する現像剤供給部材による現像剤担持体上のトナーの掻き取り効果を説明する図
【図6】現像剤担持体と除電部材との間に除電電界がある場合、および粒径が大きいトナーが多くある場合の作用メカニズムを説明する図
【図7】現像剤担持体と除電部材との間に除電電界がない場合、および粒径が大きいトナーが殆ど無い場合の作用メカニズムを説明する図
【図8】除電後の帯電量および除電効果に対する現像剤供給部材による現像剤担持体上のトナーの掻き取り効果を説明する図
【図9】除電部材と現像剤担持体との押圧力の測定方法を示す概略図
【図10】現像ゴースとを評価するための画像パターンの一例を示す図
【図11】図1または図2の現像装置を有する画像形成装置の構成を示す概略図
【図12】従来の現像装置の構成を示す概略図
【図13】従来の現像装置における現像、除電、現像剤供給および帯電の各工程を説明する図
【符号の説明】
【0390】
1 像担持体
2 現像剤担持体
3 現像剤供給部材
4 撹拌供給部材
5 除電部材
6 帯電部材(層規制部材)
7 現像剤(トナー)
8 現像装置
9 現像バイアス電圧供給用の電源
10 帯電部材電圧供給用の電源
11 現像剤供給部材への電圧供給用の電源
12 除電部材への電圧供給用の電源
13 弾性部材(バックアップスポンジ)
14 除電された現像剤(トナー)
15 帯電された現像剤(トナー)
16 供給された現像剤(トナー)
17 除電部材または帯電部材近傍で滞留固着した現像剤(トナー)
23 帯電装置
24 光学系
25 転写装置
26 クリーニング装置
27 除電装置
28 定着装置
29 受像紙
30 現像領域
31 レジストローラ
32,33 案内手段
34 トナーホッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像を担持する回転可能な像担持体と、
前記像担持体に接触して配設され、1成分の現像剤を担持する回転可能な現像剤担持体と、
前記現像剤担持体と前記像担持体とが接触する現像位置よりも前記現像剤担持体の回転方向の上流側に配設され、前記現像剤を帯電する帯電部材と、
前記現像位置よりも前記現像剤担持体の回転方向の下流側において前記現像剤担持体に当接して配設され、前記現像位置での現像後に、前記現像剤担持体上に残留する現像剤の電荷を除電する除電部材と、
を有し、
前記除電部材の前記現像剤担持体に当接する表面が前記現像剤よりも帯電系列上、該現像剤の正規の帯電極性と同極性側に片寄った材料で形成されており、当該除電部材と前記現像剤担持体との間の電位差が150V以内であることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記除電部材は電気的にフロートまたは前記現像剤担持体と同電位であるとともに、前記現像剤担持体と前記除電部材との間に除電電界を形成する手段が接続されていないことを特徴とする請求項1記載の現像装置。
【請求項3】
前記除電部材は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂または4フッ化エチレン・パーフロロプロピルビニルエーテル系樹脂であることを特徴とする請求項1または2記載の現像装置。
【請求項4】
前記除電部材により除電された前記現像剤担持体上の現像剤帯電量は、前記除電部材による除電の前の前記現像剤担持体上の現像剤帯電量の20%〜70%であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の現像装置。
【請求項5】
前記除電部材の引張り強度は、1MPa以上であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の現像装置。
【請求項6】
前記現像剤は、
当該現像剤の粒度分布のうち、当該現像剤の体積平均粒径をXとした場合、
X×1.4〜X×1.82≦3.8%、X×1.82超≦0.36%
となる粒度分布が成立する現像剤であることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の現像装置。
【請求項7】
前記現像剤の粒度分布および帯電量分布を狭くする要素としてのCV=100×(標準偏差/平均値)と定義される体積粒径分布を表すCV値[%]が、25%以内であることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の現像装置。
【請求項8】
前記現像剤担持体と前記除電部材との押圧力は、引張り荷重30gf〜100gfの範囲内であることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の現像装置。
【請求項9】
静電潜像を担持する回転可能な像担持体に接触して配設され1成分の現像剤を担持する回転可能な現像剤担持体へ電圧を印加することにより、当該像担持体上の静電潜像に対して前記現像剤による可視像を形成する現像工程と、
前記現像剤担持体と前記像担持体とが接触する現像位置よりも前記現像剤担持体の回転方向の上流側において前記現像剤担持体に当接して配設される帯電部材によって、前記現像剤を帯電する帯電工程と、
前記現像位置よりも前記現像剤担持体の回転方向の下流側に配設される除電部材によって、前記現像位置での現像後に、前記現像剤担持体上に残留する現像剤の電荷を除電する除電工程と、
を含み、
前記除電部材の前記現像剤担持体に当接する表面が前記現像剤よりも帯電系列上、該現像剤の正規の帯電極性と同極性側に片寄った材料で形成されており、当該除電部材と前記現像剤担持体との間の電位差が150V以内であることを特徴とする画像形成方法。
【請求項10】
前記除電工程は、前記除電部材が電気的にフロートまたは前記現像剤担持体と同電位であることと、前記現像剤担持体と前記除電部材との間に除電電界を形成する手段が接続されていないことを条件に、前記現像剤担持体上に残留する現像剤の電荷を除電することを特徴とする請求項9記載の画像形成方法。
【請求項11】
前記除電部材は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂または4フッ化エチレン・パーフロロプロピルビニルエーテル系樹脂であることを特徴とする請求項9または10記載の画像形成方法。
【請求項12】
前記除電部材により除電された前記現像剤担持体上の現像剤帯電量は、前記除電部材による除電の前の前記現像剤担持体上の現像剤帯電量の20%〜70%であることを特徴とする請求項9〜11の何れか一項に記載の画像形成方法。
【請求項13】
前記除電部材の引張り強度は、1MPa以上であることを特徴とする請求項9〜12の何れか一項に記載の画像形成方法。
【請求項14】
前記現像剤は、
当該現像剤の粒度分布のうち、当該現像剤の体積平均粒径をXとした場合、
X×1.4〜X×1.82≦3.8%、X×1.82超≦0.36%
となる粒度分布が成立する現像剤であることを特徴とする請求項9〜13の何れか一項に記載の画像形成方法。
【請求項15】
前記現像剤の粒度分布および帯電量分布を狭くする要素としてのCV=100×(標準偏差/平均値)と定義される体積粒径分布を表すCV値[%]が、25%以内であることを特徴とする請求項9〜14の何れか一項に記載の画像形成方法。
【請求項16】
前記現像剤担持体と前記除電部材との押圧力は、引張り荷重30gf〜100gfの範囲内であることを特徴とする請求項9〜15の何れか一項に記載の画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−221024(P2006−221024A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−35618(P2005−35618)
【出願日】平成17年2月14日(2005.2.14)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】