説明

現像装置および画像形成装置

【課題】
樹脂製の回転軸部材を有する搬送部材を使用するときに、搬送部材と軸受との摩擦によって発生する摩擦熱によるトナーの融着を防ぐことができる現像装置、およびこの現像装置を備える画像形成装置を提供する。
【解決手段】
現像装置200に、第1搬送部材202と第2搬送部材203とを設ける。さらに、第1軸受210aに接触する第1接触部209aaと、第2軸受211aに接触する第2接触部209abと、第1接触部209aaおよび第2接触部209abに接続される放熱板部209acとを有する軸受冷却部材209aを設けるとともに、第1軸受210bに接触する第1接触部209baと、第2軸受211bに接触する第2接触部209bbと、第1接触部209baおよび第2接触部209bbに接続される放熱板部209bcとを有する軸受冷却部材209bを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フルカラー化や高画質化に対応した電子写真方式の画像形成装置には、トナーとキャリアとからなる2成分現像剤が広く使用されている。現像装置は、現像槽内で2成分現像剤を攪拌することにより、トナーとキャリアとの間に摩擦を生じさせ、これによって、トナーを帯電させる。帯電したトナーは、現像ローラの表面に供給され、静電的吸引力によって現像ローラから感光体ドラムの表面に形成された静電潜像に移動する。これにより、感光体ドラム上に静電潜像に基づいたトナー像が形成される。
【0003】
近年では、画像形成装置の高速化および小型化が要求されており、それに伴って、現像剤の帯電を迅速かつ充分に行うとともに、現像剤の搬送を迅速に行うことが必要となっている。そのための技術として、特許文献1には、現像槽内に隔壁を設け、この隔壁によって、現像槽を、隔壁の長手方向に沿って延び、隔壁を挟んで対向する第1現像剤搬送路および第2現像剤搬送路と、第1現像剤搬送路および第2現像剤搬送路を隔壁の長手方向両端側で連通させる第1連通路および第2連通路とに区分し、第1現像剤搬送路内および第2現像剤搬送路内に、現像剤を搬送する搬送部材である第1オーガスクリューおよび第2オーガスクリューを設けた、循環方式の現像装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−109741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の現像装置における、第1オーガスクリューおよび第2オーガスクリューは、円柱形状の回転軸部材の側面に螺旋羽根が設けられた部材であり、回転軸部材の軸線まわりに回転することで、螺旋羽根によって現像剤を搬送する。このようなオーガスクリューは、従来、回転軸部材が金属から形成され、螺旋羽根が樹脂から形成されていた。形状が複雑な螺旋羽根には、加工が容易な樹脂が適しており、剛性が求められる回転軸部材には、金属が適しているからである。しかしながら、金属製の回転軸部材に樹脂製の螺旋羽根を固定するための加工が複雑であるので、近年では、回転軸部材も樹脂製にすることが検討されている。
【0006】
オーガスクリューは、現像槽に設けられる軸受によって回転自在に支持されており、現像剤の搬送のためにオーガスクリューが回転すると、オーガスクリューと軸受との間には、摩擦によって摩擦熱が発生する。金属製の回転軸部材を備えるオーガスクリューを使用する場合、オーガスクリューと軸受との間に発生する摩擦熱は、回転軸部材全体に速やかに拡散され、トナーへの熱の伝導は少なく、問題が生じない。これに対して、樹脂製の回転軸部材を備えるオーガスクリューを使用する場合、オーガスクリューと軸受との間に発生する摩擦熱は、回転軸部材全体に拡散し難く、軸受近傍のトナーへ集中して熱が伝導する。その結果、軸受近傍にトナーが融着し、融着したトナーとの摩擦によって、オーガスクリューによって循環搬送されるトナーの攪拌性、搬送性が低下してしまう。また、多量のトナーが軸受近傍に融着した場合には、オーガスクリューの回転が阻害されてしまう。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためのものであり、樹脂製の回転軸部材を有する搬送部材を使用するときに、搬送部材と軸受との摩擦によって発生する摩擦熱によるトナーの融着を防ぐことができる現像装置、およびこの現像装置を備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、現像剤を収容するための内部空間を形成する複数の壁部を有する現像槽と、
樹脂製の回転軸部材および該回転軸部材に固定される螺旋羽根を有し、回転することで前記現像槽内に収容される現像剤を搬送する搬送部材と、
前記現像槽の壁部に固定され、前記搬送部材を回転自在に支持する軸受と、
一部分が前記軸受に接触し、かつ、他の一部分が前記現像槽の外の空間に露出して設けられ、前記軸受よりも熱伝導率が高い軸受冷却部材と、を備えることを特徴とする現像装置である。
【0009】
また本発明は、前記軸受冷却部材の前記他の一部分は、板状に形成されることを特徴とする。
【0010】
また本発明は、前記軸受冷却部材の前記他の一部分は、前記軸受が固定される壁部の、前記現像槽の外の空間に露出する面に、固定されることを特徴とする。
【0011】
また本発明は、前記軸受冷却部材は、主成分として、アルミニウムまたは銅を含むことを特徴とする。
【0012】
また本発明は、電子写真方式の画像形成装置において、
前記現像装置を備えることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、回転軸部材と軸受との摩擦により発生する摩擦熱は、軸受よりも熱伝導率が高い軸受冷却部材によって、現像槽の外の空間に速やかに拡散するので、軸受近傍でトナーが融着することを防止することができる。
【0014】
また本発明によれば、軸受冷却部材において、現像槽の外の空間に露出して設けられる一部分は板状に形成されるので、回転軸部材と軸受との摩擦により発生する摩擦熱を、現像槽の外の空間へ効率的に放出することができ、現像槽内に熱が滞留することを防止することができる。
【0015】
また本発明によれば、軸受冷却部材において、現像槽の外の空間に露出して設けられる板状の部分は、軸受が固定される壁部の外側の面に固定されるので、この板状の部分と軸受との距離を短くすることができ、これにより、回転軸部材と軸受との摩擦により発生する摩擦熱を、現像槽の外の空間へ効率的に放出することができ、現像槽内に熱が滞留することを防止することができる。
【0016】
また本発明によれば、軸受冷却部材は、主成分としてアルミニウムまたは銅を含むので熱伝導率が高く、これにより、回転軸部材と軸受との摩擦により発生する摩擦熱を、現像槽の外の空間へ効率的に放出することができ、現像槽内に熱が滞留することを防止することができる。
【0017】
また本発明によれば、現像装置は、現像槽内でトナーの融着を防ぐことができ、これによって、現像槽内でのトナーの攪拌性、搬送性の低下を防ぐことができる。したがって、現像装置によって充分に帯電したトナーを供給することが可能になるので、高画質の画像を迅速に形成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】画像形成装置100の構成を示す模式図である。
【図2】トナーカートリッジ300の構成を示す模式図である。
【図3】図2に示す線A−Aを切断面線とするトナーカートリッジ300の断面図である。
【図4】現像装置200の構成を示す模式図である。
【図5】図4に示す線B−Bを切断面線とする現像装置200の断面図である。
【図6】図4に示す線C−Cを切断面線とする現像装置200の断面図である。
【図7】軸受冷却部材209a,209bを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
はじめに、本発明の実施形態である現像装置200を備える画像形成装置100について説明する。図1は、画像形成装置100の構成を示す模式図である。画像形成装置100は、複写機能、プリンタ機能、およびファクシミリ機能を併せ持つ複合機であり、伝達される画像情報に応じて、記録媒体上にフルカラーまたはモノクロの画像を形成する。画像形成装置100は、コピアモード(複写モード)、プリンタモード、およびファクシミリモードという3種の印刷モードを有しており、図示しない操作部からの操作入力、パーソナルコンピュータ、携帯端末装置、情報記録媒体、メモリ装置を用いた外部機器などからの印刷ジョブの受信に応じて、図示しない制御ユニット部によって、印刷モードが選択される。
【0020】
画像形成装置100は、トナー像形成部20と、転写部30と、定着部40と、記録媒体供給部50と、排出部60と、図示しない制御ユニット部とを含む。トナー像形成部20は、感光体ドラム21b,21c,21m,21yと、帯電部22b,22c,22m,22yと、露光ユニット23と、現像装置200b,200c,200m,200yと、クリーニングユニット25b,25c,25m,25yと、トナーカートリッジ300b,300c,300m,300yと、トナー供給パイプ250b,250c,250m,250yとを含む。転写部30は、中間転写ベルト31と、駆動ローラ32と、従動ローラ33と、中間転写ローラ34b,34c,34m,34yと、転写ベルトクリーニングユニット35と、転写ローラ36とを含む。
【0021】
感光体ドラム21、帯電部22、現像装置200、クリーニングユニット25、トナーカートリッジ300、トナー供給パイプ250、および中間転写ローラ34は、カラー画像情報に含まれるブラック(b)、シアン(c)、マゼンタ(m)、およびイエロー(y)の各色の画像情報に対応するために、それぞれ4つずつ設けられる。本明細書中において、各色に応じて4つずつ設けられる各部材を区別する場合は、各部材を表す数字の末尾に各色を表すアルファベットを付して参照符号とし、各部材を総称する場合は、各部材を表す数字のみを参照符号とする。
【0022】
感光体ドラム21は、図示しない駆動部によって軸線回りに回転可能に支持され、図示しない導電性基体と、この導電性基体の表面に形成される光導電層とを含む。導電性基体は種々の形状を採ることができ、たとえば、円筒状、円柱状、薄膜シート状などを挙げることができる。光導電層は、光を照射されることで導電性を示す材料によって形成される。感光体ドラム21としては、たとえば、アルミニウムで形成された円筒状部材(導電性基体)と、この円筒状部材の外周面上に形成される、アモルファスシリコン(a−Si)、セレン(Se)、または有機光半導体(OPC)からなる薄膜(光導電層)とを含むものを用いることができる。
【0023】
帯電部22、現像装置200、およびクリーニングユニット25は、感光体ドラム21の回転方向回りに、この順序で配置され、帯電部22は、現像装置200およびクリーニングユニット25よりも鉛直方向下方に配置される。
【0024】
帯電部22は、感光体ドラム21表面を所定の極性および電位に帯電させる装置である。帯電部22は、感光体ドラム21に臨む位置に、感光体ドラム21の長手方向に沿って設置される。接触帯電方式の場合、帯電部22は、感光体ドラム21表面に接するように設置される。非接触帯電方式の場合、帯電部22は、感光体ドラム21表面から離隔するように設置される。
【0025】
帯電部22は、現像装置200、クリーニングユニット25などとともに、感光体ドラム21の周囲に設置される。帯電部22は、現像装置200、クリーニングユニット25などよりも、感光体ドラム21に近い位置に設置されることが好ましい。これによって、感光体ドラム21の帯電不良の発生を確実に防止することができる。
【0026】
帯電部22としては、ブラシ型帯電装置、ローラ型帯電装置、コロナ放電装置、イオン発生装置などを使用できる。ブラシ型帯電装置およびローラ型帯電装置は、接触帯電方式の帯電装置である。ブラシ型帯電装置には、帯電ブラシを用いるもの、磁気ブラシを用いるものなどがある。コロナ放電装置およびイオン発生装置は、非接触帯電方式の帯電装置である。コロナ放電装置には、ワイヤ状の放電電極を用いるもの、鋸歯状の放電電極を用いるもの、針状の放電電極を用いるものなどがある。
【0027】
露光ユニット23は、露光ユニット23から出射される光が、帯電部22と現像装置200との間を通過して感光体ドラム21の表面に照射されるように配置される。露光ユニット23は、帯電状態にある感光体ドラム21b,21c,21m,21y表面に、各色の画像情報に対応するレーザ光をそれぞれ照射することによって、感光体ドラム21b,21c,21m,21yそれぞれの表面に、各色の画像情報に対応する静電潜像を形成する。露光ユニット23には、たとえば、レーザ照射部および複数の反射ミラーを備えるレーザスキャニングユニット(LSU)を使用できる。露光ユニット23としては、LED(Light Emitting Diode)アレイ、液晶シャッタと光源とを適宜組み合わせたユニットなどを用いてもよい。
【0028】
現像装置200は、感光体ドラム21上に形成された静電潜像をトナーによって現像することで、感光体ドラム21上にトナー像を形成する装置である。現像装置200の鉛直方向上部には、筒状部材であるトナー供給パイプ250が接続される。現像装置200の詳細については後述する。
【0029】
トナーカートリッジ300は、現像装置200よりも鉛直方向上方に配され、未使用のトナーを貯蔵する。トナーカートリッジ300の鉛直方向下部にはトナー供給パイプ250が接続される。トナーカートリッジ300は、トナー供給パイプ250を介して、現像装置200へトナーを供給する。トナーカートリッジ300の詳細については後述する。
【0030】
クリーニングユニット25は、感光体ドラム21から中間転写ベルト31にトナー像が転写された後に、感光体ドラム21の表面に残留するトナーを除去し、感光体ドラム21の表面を清浄化する部材である。クリーニングユニット25としては、たとえば、トナーを掻き取るための板状部材と、掻き取ったトナーを回収する容器状部材とが用いられる。
【0031】
トナー像形成部20によれば、帯電部22によって均一な帯電状態にある感光体ドラム21の表面に、露光ユニット23から画像情報に応じたレーザ光が照射されて静電潜像が形成される。感光体ドラム21上の静電潜像に現像装置200からトナーが供給されることでトナー像が形成される。このトナー像は後述する中間転写ベルト31に転写される。トナー像が中間転写ベルト31に転写された後に、感光体ドラム21表面に残留するトナーは、クリーニングユニット25によって除去される。
【0032】
中間転写ベルト31は、感光体ドラム21の鉛直方向上方に配置される無端ベルト状部材である。中間転写ベルト31は、駆動ローラ32と従動ローラ33とによって張架されてループ状の経路を形成し、矢符A4方向に移動する。
【0033】
駆動ローラ32は、図示しない駆動部によってその軸線回りに回転可能に設けられる。駆動ローラ32は、その回転によって、中間転写ベルト31を矢符A4方向へ移動させる。従動ローラ33は、駆動ローラ32の回転に従動して回転可能に設けられ、中間転写ベルト31が弛まないように、中間転写ベルト31に一定の張力を発生させる。
【0034】
中間転写ローラ34は、中間転写ベルト31を介して感光体ドラム21に圧接し、かつ図示しない駆動部によってその軸線回りに回転可能に設けられる。中間転写ローラ34としては、たとえば、直径8mm〜10mmの金属(たとえば、ステンレス)ローラの表面に、導電性の弾性部材が形成されたものを用いることができる。中間転写ローラ34は、転写バイアスを印加する図示しない電源が接続され、感光体ドラム21表面のトナー像を中間転写ベルト31に転写する機能を有する。
【0035】
転写ローラ36は、中間転写ベルト31を介して駆動ローラ32に圧接し、図示しない駆動部によって軸線回りに回転可能に設けられる。転写ローラ36と駆動ローラ32との圧接部(転写ニップ部)において、中間転写ベルト31に担持されて搬送されるトナー像は、後述する記録媒体供給部50から送給される記録媒体に転写される。
【0036】
転写ベルトクリーニングユニット35は、中間転写ベルト31を介して従動ローラ33に対向し、中間転写ベルト31のトナー像担持面に接触するように設けられる。転写ベルトクリーニングユニット35は、記録媒体へのトナー像の転写後に、中間転写ベルト31表面のトナーを除去し回収するために設けられる。記録媒体へのトナー像の転写後に中間転写ベルト31にトナーが付着したまま残っていると、中間転写ベルト31の移動によって、残留トナーが転写ローラ36に付着するおそれがある。転写ローラ36にトナーが付着すると、そのトナーは、次に転写する記録媒体の裏面を汚染してしまう。
【0037】
転写部30によれば、中間転写ベルト31が感光体ドラム21に接しながら移動するとき、中間転写ローラ34に、感光体ドラム21表面のトナーの帯電極性とは逆極性の転写バイアスが印加され、感光体ドラム21の表面に形成されたトナー像は、中間転写ベルト31上へ転写される。感光体ドラム21y、感光体ドラム21m、感光体ドラム21c、感光体ドラム21bでそれぞれ形成される各色のトナー画像が、中間転写ベルト31上に、この順番で順次重ねて転写されることによって、フルカラートナー像が形成される。中間転写ベルト31に転写されたトナー像は、中間転写ベルト31の移動によって転写ニップ部に搬送され、転写ニップ部において、記録媒体に転写される。トナー像が転写された記録媒体は、後述する定着部40に搬送される。
【0038】
記録媒体供給部50は、給紙ボックス51と、ピックアップローラ52a,52bと、搬送ローラ53a,53bと、レジストローラ54と、給紙トレイ55とを含む。給紙ボックス51は、画像形成装置100の鉛直方向下部に設けられ、画像形成装置100内部において記録媒体を貯留する容器状部材である。給紙トレイ55は、画像形成装置100外壁面に設けられ、画像形成装置100外部において記録媒体を貯留するトレイ状部材である。記録媒体としては、普通紙、カラーコピー用紙、オーバーヘッドプロジェクタ用シート、葉書などがある。
【0039】
ピックアップローラ52aは、給紙ボックス51に貯留される記録媒体を1枚ずつ取り出し、用紙搬送路A1に送給する部材である。搬送ローラ53aは互いに圧接するように設けられる一対のローラ状部材であり、用紙搬送路A1において記録媒体をレジストローラ54に向けて搬送する。ピックアップローラ52bは、給紙トレイ55に貯留される記録媒体を1枚ずつ取り出し、用紙搬送路A2に送給する部材である。搬送ローラ53bは互いに圧接するように設けられる一対のローラ状部材であり、用紙搬送路A2において記録媒体をレジストローラ54に向けて搬送する。
【0040】
レジストローラ54は、互いに圧接するように設けられる一対のローラ状部材であり、搬送ローラ53a,53bから送給される記録媒体を、中間転写ベルト31に担持されるトナー像が転写ニップ部に搬送されるのに同期して、転写ニップ部に送給する。
【0041】
記録媒体供給部50によれば、中間転写ベルト31に担持されるトナー像が転写ニップ部に搬送されるのに同期して、給紙ボックス51または給紙トレイ55から記録媒体が転写ニップ部に送給され、この記録媒体にトナー像が転写される。
【0042】
定着部40は、加熱ローラ41および加圧ローラ42を備える。加熱ローラ41は、所定の定着温度となるように制御される。加圧ローラ42は、加熱ローラ41に圧接するローラである。加熱ローラ41は、加圧ローラ42とともに記録媒体を加熱しながら挟持することにより、トナー像を構成するトナーを溶融させて記録媒体上に定着させる。トナー像が定着した記録媒体は、後述する排出部60に搬送される。
【0043】
排出部60は、搬送ローラ61と、排出ローラ62と、排出トレイ63とを含む。搬送ローラ61は、定着部40よりも鉛直方向上方において、互いに圧接するように設けられる一対のローラ状部材である。搬送ローラ61は、画像が定着した記録媒体を排出ローラ62に向けて搬送する。
【0044】
排出ローラ62は、互いに圧接するように設けられる一対のローラ状部材である。排出ローラ62は、片面印刷の場合、片面の印刷が完了した記録媒体を排出トレイ63に排出する。排出ローラ62は、両面印刷の場合、片面の印刷が完了した記録媒体を、用紙搬送路A3を介してレジストローラ54へ搬送し、両面の印刷が完了した記録媒体を排出トレイ63に排出する。排出トレイ63は、画像形成装置100の鉛直方向上面に設けられ、画像が定着した記録媒体を貯留する。
【0045】
画像形成装置100は、図示しない制御ユニット部を含む。制御ユニット部は、たとえば、画像形成装置100の内部空間における鉛直方向上部に設けられ、記憶部と演算部と制御部とを含む。記憶部には、画像形成装置100の鉛直方向上面に配置される図示しない操作パネルを介した各種設定値、画像形成装置100内部の各所に配置される図示しないセンサなどからの検知結果、外部機器からの画像情報などが入力される。また、記憶部には、各種処理を実行するプログラムが書き込まれる。各種処理とは、たとえば、記録媒体判定処理、付着量制御処理、定着条件制御処理などである。
【0046】
記憶部には、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、リードオンリィメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードディスクドライブ(HDD)などが挙げられる。外部機器には、画像情報の形成または取得が可能であり、かつ画像形成装置100に電気的に接続可能な電気、電子機器を使用でき、たとえば、コンピュータ、デジタルカメラ、テレビジョン受像機器、ビデオレコーダ、DVD(Digital Versatile Disc)レコーダ、HDDVD(High-Definition Digital Versatile Disc)レコーダ、ブルーレイディスクレコーダ、ファクシミリ装置、携帯端末装置などが挙げられる。
【0047】
演算部は、記憶部に書き込まれる各種データ(画像形成命令、検知結果、画像情報など)および各種処理のプログラムを取り出し、各種判定を行う。制御部は、演算部の判定結果に応じて画像形成装置100に設けられる各装置に制御信号を送付し、動作制御を行う。
【0048】
制御部および演算部は中央処理装置(CPU、Central Processing Unit)を備えるマイクロコンピュータ、マイクロプロセッサなどによって実現される処理回路を含む。制御ユニット部は、この処理回路とともに主電源を含み、電源は制御ユニット部だけでなく、画像形成装置100に設けられる各装置にも電力を供給する。
【0049】
図2は、トナーカートリッジ300の構成を示す模式図である。図3は、図2に示す線A−Aを切断面線とするトナーカートリッジ300の断面図である。トナーカートリッジ300は、トナー供給パイプ250を介して、現像装置200へトナーを供給する装置である。トナーカートリッジ300は、トナー収容容器301と、トナー汲み上げ部材302と、トナー排出部材303と、トナー排出容器304とを含む。
【0050】
トナー収容容器301は、略半円柱状の内部空間を有する容器状部材であり、その内部空間において、トナー汲み上げ部材302を回転自在に支持し、未使用のトナーを収容する。トナー排出容器304は、トナー収容容器301の長手方向に沿って設けられる略半円柱状の内部空間を有する容器状部材であり、その内部空間において、トナー排出部材303を回転自在に支持する。トナー収容容器301の内部空間とトナー排出容器304の内部空間とは、トナー収容容器301の長手方向に沿って形成される連通口305を介して連通する。トナー排出容器304は、その鉛直方向下部に、排出口306が形成される。トナー排出容器304には、排出口306において、トナー供給パイプ250が接続される。
【0051】
トナー汲み上げ部材302は、回転軸302aと、基体302bと、摺動部302cとを含む。回転軸302aは、トナー収容容器301の長手方向に沿って延びる円柱状の部材である。基体302bは、トナー収容容器301の長手方向に沿って延びる板状の部材であり、その幅方向および厚さ方向の中央部において、回転軸302aに取り付けられる。摺動部302cは、基体302bの幅方向両端部に取り付けられる可撓性を有する部材であり、たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)から形成される。トナー汲み上げ部材302は、回転軸302aがその軸線回りに回転するのに伴って基体302bが回転運動し、これによって基体302bの幅方向両端部に設けられる摺動部302cがトナー収容容器301の内壁面を摺擦することで、トナー収容容器301内のトナーを、トナー排出容器304へ汲み上げる。
【0052】
トナー排出部材303は、トナー排出容器304内のトナーを排出口306に向けて搬送する部材である。トナー排出部材303は、トナー排出回転軸303aと、このトナー排出回転軸303aを取り巻いて設けられるトナー排出羽根303bとを含む、オーガスクリュー状部材である。
【0053】
トナーカートリッジ300によれば、トナー収容容器301内の未使用トナーが、トナー汲み上げ部材302によってトナー排出容器304に汲み上げられる。そして、トナー排出容器304に汲み上げられたトナーは、トナー排出部材303によって排出口306に搬送される。排出口306に搬送されたトナーは、この排出口306からトナー排出容器304外へ排出され、トナー供給パイプ250を介して、現像装置200に供給される。
【0054】
図4は、現像装置200の構成を示す模式図である。図5は、図4に示す線B−Bを切断面線とする現像装置200の断面図である。図6は、図4に示す線C−Cを切断面線とする現像装置200の断面図である。現像装置200は、感光体ドラム21の表面にトナーを供給することで、感光体ドラム21の表面に形成された静電潜像を現像する装置である。現像装置200は、現像槽201と、第1搬送部材202と、第2搬送部材203と、現像ローラ204と、現像槽カバー205と、ドクターブレード206と、隔壁207と、トナー濃度検知センサ208と、軸受冷却部材209a,209bとを含む。
【0055】
現像槽201は、側壁部201a,201bと底壁部201cとによって内部空間が形成される部材であり、その内部空間に現像剤を貯留する。側壁部201a,201bと底壁部201cとは一体成形されていてもよいし、別部材であってもよい。現像槽201は、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ハイインパクトポリスチレン、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合合成樹脂)などの樹脂材料から形成される。本発明において用いられる現像剤としては、トナーのみからなる1成分現像剤であっても、トナーとキャリアとを含む2成分現像剤であってもよい。
【0056】
現像槽201には、その鉛直方向上方に現像槽カバー205が設けられ、内部空間に、第1搬送部材202、第2搬送部材203、現像ローラ204、ドクターブレード206、および隔壁207が設けられる。また、現像槽201の鉛直方向下部(底部)には、トナー濃度検知センサ208が設けられる。現像槽201は、感光体ドラム21と現像ローラ204との間に開口部が設けられている。
【0057】
現像槽201の長手方向における長さLは、200mm〜400mm程度である。また、現像槽201の幅方向における長さLは、25mm〜80mm程度である。
【0058】
現像ローラ204は、マグネットローラを含み、現像槽201内の現像剤を表面に担持して、担持した現像剤に含まれるトナーを感光体ドラム21へ供給する。現像ローラ204には、図示しない電源が接続され、現像バイアス電圧が印加される。現像ローラ204に担持されたトナーは、感光体ドラム21近傍において、現像バイアス電圧による静電気力によって、感光体ドラム21へ移動する。
【0059】
ドクターブレード206は、現像ローラ204の軸線方向に延びる板状部材であり、その幅方向の一端が現像槽201に固定され、かつ他端が現像ローラ204の表面に対して間隙を有するように設けられる。ドクターブレード206は、現像ローラ204の表面に対して間隙を有して設けられることで、現像ローラ204に担持される現像剤の量を所定量に規制する。ドクターブレード206の材料としては、ステンレス鋼、アルミニウム、合成樹脂などを使用できる。
【0060】
隔壁207は、現像槽201の幅方向略中央部において、現像槽201の長手方向に沿って延びる長手形状の部材である。隔壁207は、現像槽201の底壁部201cと現像槽カバー205との間に設けられ、かつ、長手方向両端部が現像槽201の側壁部201a,201bから離間するように設けられる。隔壁207によって、現像槽201の内部空間は、第1搬送路Pと、第2搬送路Qと、第1連通路Rと、第2連通路Sとに区分されている。
【0061】
第2搬送路Qは、隔壁207の長手方向に沿って延びる略半円柱状の空間であって、現像ローラ204に臨む空間である。第1搬送路Pは、隔壁207の長手方向に沿って延びる略半円柱状の空間であって、隔壁207を挟んで第2搬送路Qに対向する空間である。第1連通路Rは、隔壁207の長手方向一端部207a側において、第1搬送路Pと第2搬送路Qとを連通する空間である。第2連通路Sは、隔壁207の長手方向他端部207b側において、第1搬送路Pと第2搬送路Qとを連通する空間である。
【0062】
現像槽カバー205は、現像槽201の鉛直方向上方に着脱自在に設けられ、供給口部205aを有する。現像槽カバー205には、供給口部205aにおいて、トナー供給パイプ250が接続される。供給口部205aは、現像槽201にトナーを供給するための開口が形成される開口部であり、トナーカートリッジ300に収容されているトナーは、トナー供給パイプ250およびこの開口を経て、現像槽201内に供給される。
【0063】
供給口部205aは、第1搬送路Pの鉛直方向上方において第2連通路Sの近傍に形成される。より詳細には、第1搬送路Pに臨み、かつ、隔壁207の長手方向において第2連通路Sと同じ位置に形成される。
【0064】
第1搬送部材202は、第1搬送路P内に設けられる。第1搬送部材202は、隔壁207の長手方向他端部207b側から長手方向一端部207a側へ向けて、現像槽201内の現像剤を搬送する。以下では、第1搬送部材202による現像剤の搬送方向を、搬送方向Xと称する。
【0065】
第1搬送部材202は、第1回転軸部材202aと、第1螺旋羽根202bと、第1ギア202cと、第1現像剤止板202d,202eとを含むオーガスクリュー状部材である。第1回転軸部材202aは、直径4mm〜10mmの円柱状部材であり、搬送方向X下流端において、第1ギア202cと接続される。第1回転軸部材202aは、搬送方向X下流端部が、現像槽201の側壁部201aに固定されるラジアル軸受である第1軸受210aに挿通されるとともに、搬送方向X上流端部が、現像槽201の側壁部201bに固定されるスラスト軸受である第1軸受210bに嵌合し、この2つの第1軸受210a,210bによって、軸線まわりに回転自在に支持される。
【0066】
第1軸受210a,210bは、摩擦抵抗の低い樹脂材料(たとえば、シリコンオイルが含浸または塗布された、ポリエチレン、ポリプロピレン、ハイインパクトポリスチレン、ABS樹脂などの樹脂材料)から形成される、すべり軸受である。第1軸受210aは、現像槽201の側壁部201aに形成される孔部201aaに設けられる略円筒状部材であり、その内径は、第1回転軸部材202aの直径と同一か、または僅かに大きい。第1軸受210bは、現像槽201の側壁部201bに形成される孔部201baに設けられる略有底円筒状部材であり、その内径は、第1回転軸部材202aの直径と同一か、または僅かに大きい。
【0067】
第1回転軸部材202aの側面には、この側面を螺旋状に取り巻く形状の部材である第1螺旋羽根202bが設けられる。第1螺旋羽根202bの外径Lは、12mm〜30mmである。また、第1回転軸部材202aの側面には、第1螺旋羽根202bと第1軸受210aとの間において、円盤状の第1現像剤止板202dが設けられ、第1螺旋羽根202bと第1軸受210bとの間において、円盤状の第1現像剤止板202eが設けられる。第1現像剤止板202d,202eは、第1軸受210a,210bと第1回転軸部材202aとの間に現像剤が入り込むことを防ぐ部材である。
【0068】
第1回転軸部材202a、第1螺旋羽根202b、第1ギア202c、および第1現像剤止板202d,202eは、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ハイインパクトポリスチレン、ABS樹脂などの樹脂材料から形成される。第1回転軸部材202a、第1螺旋羽根202b、第1ギア202c、および第1現像剤止板202d,202eは、同一の材料から一体成形されることが好ましい。
【0069】
このような第1搬送部材202は、画像形成装置100が備える図示しないモータなどの回転駆動源によって、第1ギア202cを介して、第1回転軸部材202aの軸線まわりに、150rpm〜400rpmで回転する。これに伴って、第1螺旋羽根202bが第1回転軸部材202aの軸線を中心として回転運動し、その結果、第1搬送路Pに貯留される現像剤は、搬送方向X下流側に搬送される。上述したように、現像槽カバー205の供給口部205aは、第1搬送路Pの鉛直方向上方において第2連通路Sの近傍に形成されるので、トナーカートリッジ300内の未使用のトナーは、まず、第1搬送路Pに供給され、その後、第1搬送部材202によって、第1搬送路Pの搬送方向X下流側に搬送されることになる。
【0070】
第2搬送部材203は、第2搬送路Q内に設けられる。第2搬送部材203は、隔壁207の長手方向一端部207a側から長手方向他端部207b側へ向けて、現像槽201内の現像剤を搬送する。以下では、第2搬送部材203による現像剤の搬送方向を、搬送方向Yと称する。
【0071】
第2搬送部材203は、第2回転軸部材203aと、第2螺旋羽根203bと、第2ギア203cと、第2現像剤止板203d,203eとを含むオーガスクリュー状部材である。第2回転軸部材203aは、直径4mm〜10mmの円柱状部材であり、搬送方向Y上流端において、第2ギア203cと接続される。第2回転軸部材203aは、搬送方向Y上流端部が、現像槽201の側壁部201aに固定されるラジアル軸受である第2軸受211aに挿通されるとともに、搬送方向Y下流端部が、現像槽201の側壁部201bに固定されるスラスト軸受である第2軸受211bに嵌合し、この2つの第2軸受211a,211bによって、軸線まわりに回転自在に支持される。
【0072】
第2軸受211a,211bは、摩擦抵抗の低い樹脂材料(たとえば、シリコンオイルが含浸または塗布された、ポリエチレン、ポリプロピレン、ハイインパクトポリスチレン、ABS樹脂などの樹脂材料)から形成される、すべり軸受である。第2軸受211aは、現像槽201の側壁部201aに形成される孔部201abに設けられる略円筒状部材であり、その内径は、第2回転軸部材203aの直径と同一か、または僅かに大きい。第2軸受211bは、現像槽201の側壁部201bに形成される孔部201bbに設けられる略有底円筒状部材であり、その内径は、第2回転軸部材203aの直径と同一か、または僅かに大きい。
【0073】
第2回転軸部材203aの側面には、この側面を螺旋状に取り巻く形状の部材である第2螺旋羽根203bが設けられる。第2螺旋羽根203bの外径Lは、12mm〜30mmである。また、第2回転軸部材203aの側面には、第2螺旋羽根203bと第2軸受211aとの間において、円盤状の第2現像剤止板203dが設けられ、第2螺旋羽根203bと第2軸受211bとの間において、円盤状の第2現像剤止板203eが設けられる。第2現像剤止板203d,203eは、第2軸受211a,211bと第2回転軸部材203aとの間に現像剤が入り込むことを防ぐ部材である。
【0074】
第2回転軸部材203a、第2螺旋羽根203b、第2ギア203c、および第2現像剤止板203d,203eは、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ハイインパクトポリスチレン、ABS樹脂などの樹脂材料から形成される。第2回転軸部材203a、第2螺旋羽根203b、第2ギア203c、および第2現像剤止板203d,203eは、同一の材料から一体成形されることが好ましい。
【0075】
このような第2搬送部材203は、画像形成装置100が備える図示しないモータなどの回転駆動源によって、第2ギア203cを介して、第2回転軸部材203aの軸線まわりに、150rpm〜400rpmで回転する。これに伴って、第2螺旋羽根203bが第2回転軸部材203aの軸線を中心として回転運動し、その結果、第2搬送路Qに貯留される現像剤は、搬送方向Y下流側に搬送される。
【0076】
図7は、軸受冷却部材209a,209bを示す図である。図7(a)は、軸受冷却部材209aを搬送方向Yに見たときの様子を表し、図7(b)は、軸受冷却部材209bを搬送方向Xに見たときの様子を表す。
【0077】
軸受冷却部材209aは、現像槽201の側壁部201aの孔部201aaに固定され、第1軸受210aに外接する円筒状の第1接触部209aaと、側壁部201aの孔部201abに固定され、第2軸受211aに外接する円筒状の第2接触部209abと、第1接触部209aaおよび第2接触部209abに接続され、現像槽201の外の空間に露出して設けられる放熱板部209acとを含む。
【0078】
放熱板部209acは、側壁部201aの、現像槽201の外の空間に露出する面に固定される板状部材であり、厚さは、10μm〜3mmである。放熱板部209acには、第1回転軸部材202aが挿通される円柱状の第1孔209dと、第2回転軸部材203aが挿通される円柱状の第2孔209eとが形成される。第1孔209dの軸線と第1接触部209aaの軸線とは一致し、第2孔209eの軸線と第2接触部209abの軸線とは一致する。第1孔209dの直径は、放熱板部209acと第1回転軸部材202aとが接触しないように、第1回転軸部材202aの直径よりも大きく設定される。同様に、第2孔209eの直径は、放熱板部209acと第2回転軸部材203aとが接触しないように、第2回転軸部材203aの直径よりも大きく設定される。
【0079】
第1接触部209aa、第2接触部209ab、および放熱板部209acは、第1軸受210aおよび第2軸受211aよりも熱伝導率の高い材料から形成される。本実施形態の第1軸受210aおよび第2軸受211aは、上述したように、ポリエチレン、ポリプロピレン、ハイインパクトポリスチレン、ABS樹脂などの樹脂材料から形成されるので、本実施形態の第1接触部209aa、第2接触部209ab、および放熱板部209acは、これらの樹脂材料よりも熱伝導率が高い材料から形成される。たとえば、これらの樹脂材料中に、アルミニウムや銅などの熱伝導率の高い金属粉を分散させた材料から形成してもよいし、アルミニウムや銅などの金属単体から形成してもよいし、これらの金属を含む合金から形成してもよい。熱伝導率を高めるために、好ましくは、これらの金属を主成分とする材料から形成される。ここで、主成分とは、材料中の質量比が最も大きい成分を意味する。
【0080】
放熱板部209acには、放熱板部209acと同一の材料から形成される放熱フィンを設けてもよいし、放熱板部209acを強制的に冷却するためのファンを設けてもよい。
【0081】
軸受冷却部材209bは、現像槽201の側壁部201bの孔部201baに固定され、第1軸受210bに外接する円筒状の第1接触部209baと、側壁部201bの孔部201bbに固定され、第2軸受211bに外接する円筒状の第2接触部209bbと、第1接触部209baおよび第2接触部209bbに接続され、現像槽201の外の空間に露出して設けられる放熱板部209bcとを含む。放熱板部209acは、側壁部201aの、現像槽201の外の空間に露出する面に固定される板状部材であり、厚さは、10μm〜3mmである。
【0082】
第1接触部209ba、第2接触部209bb、および放熱板部209bcは、第1軸受210bおよび第2軸受211bよりも熱伝導率の高い材料から形成される。本実施形態の第1軸受210bおよび第2軸受211bは、上述したように、ポリエチレン、ポリプロピレン、ハイインパクトポリスチレン、ABS樹脂などの樹脂材料から形成されるので、本実施形態の第1接触部209ba、第2接触部209bb、および放熱板部209bcは、これらの樹脂材料よりも熱伝導率が高い材料から形成される。たとえば、これらの樹脂材料中に、アルミニウムや銅などの熱伝導率の高い金属粉を分散させた材料から形成してもよいし、アルミニウムや銅などの金属単体から形成してもよいし、これらの金属を含む合金から形成してもよい。熱伝導率を高めるために、好ましくは、これらの金属を主成分とする材料から形成される。
【0083】
放熱板部209bcには、放熱板部209bcと同一の材料から形成される放熱フィンを設けてもよいし、放熱板部209bcを強制的に冷却するためのファンを設けてもよい。
【0084】
トナー濃度検知センサ208は、現像槽201の底部において、第2搬送部材203の鉛直方向下方に装着され、センサ面が第2搬送路Qに露出するように設けられる。トナー濃度検知センサ208は、図示しないトナー濃度制御部に電気的に接続される。
【0085】
トナー濃度制御部は、トナー濃度検知センサ208が検知するトナー濃度検知結果に応じて、トナー排出部材303を回転させ、現像槽201内にトナーを供給する制御を行う。より具体的には、トナー濃度制御部は、トナー濃度検知センサ208によるトナー濃度検知結果が所定の設定値よりも低いか否か判断し、低いと判断した場合に、トナー排出部材303を回転させる駆動部に制御信号を送り、トナー排出部材303を所定の期間回転させる。
【0086】
トナー濃度検知センサ208には、図示しない電源が接続される。電源は、トナー濃度検知センサ208を駆動させるための駆動電圧、およびトナー濃度検知結果をトナー濃度制御部に出力するための制御電圧を、トナー濃度検知センサ208に印加する。電源によるトナー濃度検知センサ208への電圧の印加は、図示しない制御部によって制御される。
【0087】
トナー濃度検知センサ208としては、一般的なトナー濃度検知センサを使用でき、たとえば、透過光検知センサ、反射光検知センサ、透磁率検知センサなどを使用できる。これらのトナー濃度検知センサの中でも、透磁率検知センサを使用することが好ましい。透磁率検知センサとしては、たとえば、TS−L(商品名、TDK株式会社製)、TS−A(商品名、TDK株式会社製)、TS−K(商品名、TDK株式会社製)などが挙げられる。
【0088】
以上のように構成される現像装置200によれば、現像槽201内において、現像剤は、第1搬送路P、第1連通路R、第2搬送路Q、第2連通路S、という順序で循環搬送される。循環搬送される現像剤のうちの一部は、第2搬送路Qにおいて、現像ローラ204の表面に担持され、担持された現像剤中のトナーは、感光体ドラム21へと移動して順次消費される。所定量のトナーが消費されたことをトナー濃度検知センサ208が検知すると、未使用のトナーがトナーカートリッジ300から第1搬送路P内へ供給される。供給されたトナーは、第1搬送路P内で搬送されながら、既に貯留されていた現像剤中に拡散する。
【0089】
このように、現像剤を循環させる際、第1搬送部材202は回転しており、第1回転軸部材202aと第1軸受210aとの間、および、第1回転軸部材202aと第1軸受210bとの間には、それぞれ摩擦が生じ、摩擦熱が発生する。同様に、第2回転軸部材203aと第2軸受211aとの間、および、第2回転軸部材203aと第2軸受211bとの間には、それぞれ摩擦が生じ、摩擦熱が発生する。第1軸受210aおよび第2軸受211aにおいて発生した摩擦熱は、第1軸受210aおよび第2軸受211aよりも熱伝導率が高い第1接触部209aaおよび第2接触部209abにそれぞれ移動し、第1接触部209aaおよび第2接触部209abに移動した熱は、現像槽201の外の空間に露出して設けられる放熱板部209acに移動する。そして、放熱板部209acは、現像槽201の外の空間へ放熱する。
【0090】
すなわち、本実施形態の軸受冷却部材209aは、第1軸受210aおよび第2軸受211aにおいて発生した摩擦熱の、現像槽201の外の空間への移動経路として機能し、外の空間へ、摩擦熱を速やかに拡散することができる。これによって、第1軸受210aおよび第2軸受211a近傍でトナーが融着することを防止することができる。同様に、本実施形態の軸受冷却部材209bは、第1軸受210bおよび第2軸受211bにおいて発生した摩擦熱の、現像槽201の外の空間への移動経路として機能し、外の空間へ、摩擦熱を速やかに拡散することができ、これによって、第1軸受210bおよび第2軸受211b近傍でトナーが融着することを防止することができる。
【0091】
また本実施形態では、現像槽201の外の空間に露出して設けられる放熱板部209ac,209bcは板状に形成されるので、発生した摩擦熱を、現像槽201の外の空間へ効率的に放出することができ、現像槽201内に熱が滞留することを防止することができる。
【0092】
また本実施形態では、現像槽201の外の空間に露出して設けられる放熱板部209acは、第1軸受210aおよび第2軸受211aが固定される側壁部201aの外側の面に固定されるので、第1軸受210aおよび第2軸受211aにおいて発生した摩擦熱の移動経路を最短にすることができ、これにより、摩擦熱を、現像槽201の外の空間へ効率的に放出することができ、その結果、現像槽201内に熱が滞留することを防止することができる。同様に、現像槽201の外の空間に露出して設けられる放熱板部209bcは、第1軸受210bおよび第2軸受211bが固定される側壁部201bの外側の面に固定されるので、第1軸受210bおよび第2軸受211bにおいて発生した摩擦熱の移動経路を最短にすることができ、これにより、摩擦熱を、現像槽201の外の空間へ効率的に放出することができ、その結果、現像槽201内に熱が滞留することを防止することができる。
【0093】
また本実施形態では、軸受冷却部材209a,209bの材料は、主成分としてアルミニウムまたは銅を含むので熱伝導率が高く、これにより、発生した摩擦熱を、現像槽201の外の空間へ効率的に放出することができ、現像槽201内に熱が滞留することを防止することができる。
【0094】
このように、現像装置200は、現像槽201内でトナーの融着を防ぐことができるので、現像槽201内でのトナーの攪拌性、搬送性の低下を防ぐことができる。したがって、現像装置200を備える画像形成装置100は、現像装置200によって充分に帯電したトナーを感光体ドラム21へ供給することが可能になるので、高画質の画像を迅速に形成することが可能になる。
【符号の説明】
【0095】
20 トナー像形成部
30 転写部
40 定着部
50 記録媒体供給部
60 排出部
100 画像形成装置
200,200b,200c,200m,200y 現像装置
201 現像槽
201a,201b 側壁部
201c 底壁部
202 第1搬送部材
202a 第1回転軸部材
202b 第1螺旋羽根
202c 第1ギア
202d,202e 第1現像剤止板
203 第2搬送部材
203a 第2回転軸部材
203b 第2螺旋羽根
203c 第2ギア
203d,203e 第2現像剤止板
204 現像ローラ
205 現像槽カバー
205a 供給口部
206 ドクターブレード
207 隔壁
208 トナー濃度検知センサ
209a,209b 軸受冷却部材
209aa,209ba 第1接触部
209ab,209bb 第2接触部
209ac,209bc 放熱板部
210a,210b 第1軸受
211a,211b 第2軸受
250,250b,250c,250m,250y トナー供給パイプ
300,300b,300c,300m,300y トナーカートリッジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を収容するための内部空間を形成する複数の壁部を有する現像槽と、
樹脂製の回転軸部材および該回転軸部材に固定される螺旋羽根を有し、回転することで前記現像槽内に収容される現像剤を搬送する搬送部材と、
前記現像槽の壁部に固定され、前記搬送部材を回転自在に支持する軸受と、
一部分が前記軸受に接触し、かつ、他の一部分が前記現像槽の外の空間に露出して設けられ、前記軸受よりも熱伝導率が高い軸受冷却部材と、を備えることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記軸受冷却部材の前記他の一部分は、板状に形成されることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記軸受冷却部材の前記他の一部分は、前記軸受が固定される壁部の、前記現像槽の外の空間に露出する面に、固定されることを特徴とする請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記軸受冷却部材は、主成分として、アルミニウムまたは銅を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の現像装置。
【請求項5】
電子写真方式の画像形成装置において、
請求項1〜4のいずれか1つに記載の現像装置を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−57829(P2013−57829A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196514(P2011−196514)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】