現像装置の取扱方法
【課題】現像装置に収納された現像剤が固化して現像剤供給不良となることを防止する。
【解決手段】現像剤が投入される現像剤投入口40cおよび投入された現像剤を自重で落下排出させて現像ローラ12−2に供給する現像剤供給口40a,40bが現像剤収納室41に形成された現像装置12を用意し、現像剤投入口40cが上向きとなる第1の姿勢にして、現像剤供給口40a,40bがシール材43により封止された現像剤収納室41に現像剤を収納して現像剤投入口40cを閉鎖部材48で閉鎖し、第1の現像剤供給口40aを封止するシール材43の現像剤収納室41側の面が下向きになる第2の姿勢にして輸送を行い、第1の姿勢に戻してシール材43を除去した後、現像装置12をプリンタに装着する。
【解決手段】現像剤が投入される現像剤投入口40cおよび投入された現像剤を自重で落下排出させて現像ローラ12−2に供給する現像剤供給口40a,40bが現像剤収納室41に形成された現像装置12を用意し、現像剤投入口40cが上向きとなる第1の姿勢にして、現像剤供給口40a,40bがシール材43により封止された現像剤収納室41に現像剤を収納して現像剤投入口40cを閉鎖部材48で閉鎖し、第1の現像剤供給口40aを封止するシール材43の現像剤収納室41側の面が下向きになる第2の姿勢にして輸送を行い、第1の姿勢に戻してシール材43を除去した後、現像装置12をプリンタに装着する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置の取扱方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式によるプリンタ等の画像形成装置には、感光体ドラム(感光体の一例)に現像剤を供給して静電潜像を可視像化する現像装置が装着されている。
【0003】
現像装置は消耗品となっていることがあり、構成部品が劣化した場合などには、ユーザにより古い現像装置が装置本体から取り外され、新しい現像装置に交換される。そのため、消耗品扱いの現像装置は、画像形成装置とは別に独立して市場で流通している。
【0004】
なお、現像装置について記載した文献としては、例えば特開2008−15022号公報がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−15022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、現像装置に収納された現像剤が固化して現像剤供給不良となることのない現像装置の取扱方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明の現像装置の取扱方法は、現像剤が投入される現像剤投入口および投入された現像剤を自重で落下排出させて現像手段に供給する少なくとも一つの現像剤供給口が現像剤収納室に形成された現像装置を用意し、前記現像剤投入口が上向きとなる第1の姿勢にして、前記現像剤供給口が封止部材により封止された現像剤収納室に現像剤を収納して前記現像剤投入口を閉鎖部材で閉鎖し、前記第1の姿勢で下端となる前記現像剤供給口を封止する前記封止部材の前記現像剤収納室側の面が下向きになる第2の姿勢にして輸送を行い、前記第1の姿勢に戻して前記封止部材を除去した後、前記現像装置を画像形成装置に装着する、ことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、前記第2の姿勢は、前記現像剤収納室に収容された現像剤が前記第1の姿勢で下端となる前記現像剤供給口を封止する前記封止部材と非接触となる姿勢である、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、現像装置に収納された現像剤が固化して現像剤供給不良となることがなくなる。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、本発明を採用しない場合に比較して、現像剤がより確実に流動化される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施の形態に係る画像形成装置としてのプリンタの外観を示す斜視図である。
【図2】図1のプリンタの内部構成を示す説明図である。
【図3】図1のプリンタに装着された画像形成ユニットを示す概略図である。
【図4】図1のプリンタの外側扉および内側扉を開いた内部構造を示す図である。
【図5】図1のプリンタに装着される現像装置を示す断面図である。
【図6】図5の現像装置において第1の姿勢のときの現像剤の固化態様を示す説明図である。
【図7】図5の現像装置において第2の姿勢のときの現像剤の固化態様を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0013】
本発明についての実施の形態に係る画像形成装置としてのプリンタPR1について説明する。
【0014】
図1および図2において、プリンタPR1は、装置本体として樹脂製の筐体1内に、記録媒体としての印刷用紙の格納部、印刷用紙の搬送機構、印刷用紙に対して画像形成を行う画像形成ユニット等が収納されている。そして、パーソナルコンピュータやスキャナ等から送られてくる画像データに基づいて、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の4色のトナーを用いて印刷動作を実行する。
【0015】
プリンタPR1は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の各色のトナー像を形成する4つの画像形成ユニットSY,SM,SC,SKを備えている。これらの画像形成ユニットSY,SM,SC,SKはそれぞれ独立して着脱されるようになっている。
【0016】
図2および図3に示すように、4つの画像形成ユニットSY,SM,SC,SKは、形成する画像の色以外はすべて同様に構成されており、予め設定された速度で回転する感光体ドラム10(10Y,10M,10C,10K)(感光体の一例)と、この感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kの表面を帯電する帯電ローラ11(11Y,11M,11C,11K)と、感光体ドラム10Y,10M,10C,10K上に形成された静電潜像を対応する色のトナー(現像剤の一例)で現像する現像装置12(12Y,12M,12C,12K)と、感光体ドラム10Y,10M,10C,10K上に残留した転写残トナーをクリーニングするクリーニング装置13(13Y,13M,13C,13K)などで構成されている。さらに、図3において、後述する中間転写ベルト15にトナー像を転写した後の感光体ドラム10に残留する電荷を除去する除電装置31、および帯電ローラ11の表面をクリーニングする帯電ローラクリーナ32が配置されている。
【0017】
これらの画像形成ユニットSY,SM,SC,SKの上方には、感光体ドラム10Y,10M,10C,10K上に形成された静電潜像を現像装置12Y,12M,12C,12Kで現像するために用いられるトナー(イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)のトナー)がそれぞれ収容されたトナーカートリッジ8(8Y,8M,8C,8K)が着脱自在に装着されている。
【0018】
現像装置12Y,12M,12C,12Kは、感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kにトナーを供給する現像ローラ12−2(12Y−2,12M−2,12C−2,12K−2)(現像手段の一例)を有している。そして、トナーカートリッジ8Y,8M,8C,8Kに収容された例えば二成分の現像剤を攪拌しつつ現像ローラ12Y−2,12M−2,12C−2,12K−2へと供給し、現像ローラ12Y−2,12M−2,12C−2,12K−2に供給された現像剤の層厚を規制しながら、感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kと対向する現像領域へと搬送し、当該感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kの表面に形成された静電潜像をトナーで現像するように構成されている。
【0019】
これにより、各感光体ドラム10Y,10M,10C,10K上に形成された静電潜像は、現像装置12Y,12M,12C,12Kによって、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の各色のトナー像として現像される。
【0020】
画像形成ユニットSY,SM,SC,SKの下方には、帯電された感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kの表面に各色に対応した画像を露光して静電潜像を形成する露光装置14が配置されている。
【0021】
画像形成ユニットSY,SM,SC,SKとトナーカートリッジ8Y,8M,8C,8Kとの間には、感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kに形成されたトナー像が転写(一次転写の一例)されるユニット化された中間転写ベルト15が、感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kに接触するように設けられている。中間転写ベルト15は筐体1に対して着脱自在で、3つのローラ16a,16b,16c(何れか1つのローラが駆動ローラ、他のローラが従動ローラ)に掛け渡されており、これらのローラ16a,16b,16cにより、図面の矢印で示す方向に回転する。そして、感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kに形成されたトナー像が中間転写ベルト15上に重ね合わされて転写されることにより、中間転写ベルト15上にはフルカラーのトナー像が形成される。
【0022】
なお、中間転写ベルト15を挟んでローラ16cと対向する位置には、中間転写ベルト15上の残留トナーを除去するためのクリーナ22が配置されている。
【0023】
中間転写ベルト15を感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kとで挟むようにして、感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kに形成されたトナー像を中間転写ベルト15にそれぞれ転写するための一次転写ローラ16(16Y,16M,16C,16K)が配置されている。なお、一次転写ローラ16Y,16M,16C,16Kはユニット化された中間転写ベルト15に組み込まれており、中間転写ベルト15と一体となって着脱される。
【0024】
また、ローラ16aと対向する位置には、中間転写ベルト15に転写されたフルカラートナー像を記録媒体である用紙Pに転写するための二次転写ローラ17が、ローラ16aとで中間転写ベルト15を挟むニップ部Nを形成するように設けられている。
【0025】
筐体1の下部には用紙Pの収容された給紙カセット18が装着されている。そして、給紙カセット18からピックアップローラ19にて一枚ずつ取り出された用紙Pは、前述したニップ部Nを経由して定着装置20を通り、筐体1の上部に形成された排紙トレイ24へと至る用紙搬送路Rを搬送される。そして、一対のレジストローラ23でタイミングを計られて用紙Pがニップ部Nに送り込まれると、中間転写ベルト15上のフルカラートナー像が二次転写ローラ17により用紙Pに転写される。その後、転写されたトナー像が定着装置20で定着された後、排紙トレイ24上に排出される。
【0026】
なお、筐体1の側部には手差しトレイ21が設けられており、手差しトレイ21からも用紙Pが用紙搬送路Rを搬送されるようになっている。
【0027】
筐体1の内部には、制御ユニットが配設されており、この制御ユニットには、例えば、画像データに対して画像処理を施す画像処理装置が設けられている。
【0028】
この画像処理装置からは、前述の露光装置14にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の各色の画像データが順次出力され、露光装置14から画像データに応じて出射される4本のレーザビームが、それぞれの感光体ドラム10Y,10M,10C,10K上に走査露光されて静電潜像が形成される。
【0029】
図1において、筐体1の一側面(図1では正面側の面)には、手動で開閉する外側扉2が設けられている。
【0030】
図1および図4に示すように、外側扉2を開放した状態において露出される筐体1の内部には、前述したユニット化された中間転写ベルト15および4つの画像形成ユニットSY,SM,SC,SKが着脱自在に装着されている。ここで、本実施の形態では、4つの画像形成ユニットSY,SM,SC,SKの筐体1への装着部位が上下方向で順次異なっており、画像形成ユニットSYが最も高い位置に装着され、以下、画像形成ユニットSM、画像形成ユニットSC、画像形成ユニットSKと装着部位が順次低くなっている。
【0031】
これら中間転写ベルト15および画像形成ユニットSY,SM,SC,SKは、図1に示すように、中間転写ベルト15および画像形成ユニットSY,SM,SC,SKが着脱される開口部5aが形成された内部壁5に取り付けられて下部を支点にして開閉されるとともに、閉鎖時には開口部5aを閉塞する内側扉3により隠蔽されている。
【0032】
図示するように、内側扉3には、閉鎖された当該内側扉3を内部壁5にロックする位置と、内部壁5とのロックを解除する位置とに移動する解除レバー4が2箇所に設けられている。
【0033】
ここで、図5において、現像装置12は、帯電電位の差による潜像を保持することができる感光体ドラム10と対向して設けられており、ハウジング40内には、現像剤が収納される現像剤収納室41と、現像剤収納室41内の現像剤や前述したトナーカートリッジ8から送り込まれた現像剤を現像ローラ12−2に供給する現像剤供給室42とが形成されている。
【0034】
現像剤収納室41には、その下端に位置して第1の現像剤供給口40aが形成されており、当該第1の現像剤供給口40aによって現像剤収納室41と現像剤供給室42とが相互に空間的につながっている。また、現像剤収納室41の上下方向の中間には第2の現像剤供給口40bが形成されている。なお、現像剤供給口40a,40bには、現像装置12の使用開始時に除去されるフィルム状のシール材43(封止部材の一例)が熱溶着されている。
【0035】
また、現像剤供給室42および第2の現像剤供給口40bに面して、感光体ドラム10の表面に二成分現像剤を付着させる前述の現像ローラ12−2が配置されている。さらに、現像ローラ12−2と軸線を沿うようにして、層厚規制ローラ44が現像ローラ12−2の周面と近接または接触して配置されている。
【0036】
現像ローラ12−2は、現像スリーブ12−2aと、複数の磁極を持つ磁石ローラ12−2bとを備えた円筒状の部材で主要部が構成されており、磁石ローラ12−2bは周面に沿って複数の永久磁石が設けられ、位置を固定して支持されている。一方、現像スリーブ12−2aは磁石ローラ12−2bの周面の外側に配置された円筒状部材であり、軸線回りに回転するようになっている。現像スリーブ12−2aには、アルミニウム、非磁性ステンレス等からなる円筒体等が用いられ、直流に交流を重畳した交流重畳直流電圧が印加されるようになっている。
【0037】
また、現像ローラ12−2と感光体ドラム10との間隙は、トナーを飛翔させることが十分に可能な距離、例えば0.5mm前後に設定されている。なお、感光体ドラム10は、図3中にて示す矢印の方向に例えば160mm/Secで回転し、表面の全体が帯電ローラ11により−650Vに帯電される。さらに、帯電された後、露光装置14により露光された静電潜像は電位が−200Vとなる。
【0038】
層厚規制ローラ44は磁性の金属で構成されており、層厚規制ローラ44と対向する位置には、現像ローラ12−2に内蔵された複数の永久磁石のうちの一つの磁石12−2cが、層厚規制ローラ44と互いに向き合うように配置されている。そして、磁石12−2cの磁力の大きさまたは使用される現像剤の透磁率を変えることにより、現像スリーブ12−2a上の現像剤の層厚が規制される。
【0039】
なお、層厚規制ローラ44の軸は、ハウジング40の長手方向に位置する壁面に取り付けられている。また、層厚規制ローラ44の軸には層厚規制ローラ駆動ギア(図示せず)が設けられており、現像ローラ12−2の軸に固定された現像ローラ駆動ギア(図示せず)と噛み合わされ、層厚規制ローラ44と現像ローラ12−2との対向面の回転方向が同一になるように回転駆動されている。現像ローラ12−2の軸にはトラッキングローラ(図示せず)が設けられており、これを感光体ドラム11に押し当てることによって現像ローラ12−2と感光体ドラム10との間隙が一定に保持されるようになっている。
【0040】
現像ローラ12−2に現像剤を供給する現像剤供給室42内には、現像剤を撹拌しながら前述した現像ローラ12−2に供給する撹拌供給部材45,46が設けられている。撹拌供給部材45は前述した第1の現像剤供給口40aに面して配置されおり、撹拌供給部材46は現像ローラ12−2に対向して配置されている。
【0041】
撹拌供給部材45,46は、それぞれ回転軸45a、46aを備えており、これらの回転軸45a、46aはハウジング40の周壁にそれぞれ回転自在に支持されている。また、撹拌供給部材45,46は、これらの回転軸45a、46aが現像ローラ12−2の回転軸に沿った方向に配置されている。
【0042】
回転軸45a、46aには、螺旋羽根45b、46bが螺旋状に巻き付けられて形成されている。そして、撹拌供給部材45および撹拌供給部材46がそれぞれ回転すると、螺旋羽根45b、46bによって、現像剤供給室42内に収容された現像剤が撹拌されながら軸方向へ搬送されるようになっている。
【0043】
撹拌供給部材45と撹拌供給部材46との間には仕切り壁47が設けられて現像剤供給室42が2つに仕切られている。そして、仕切り壁47の長手方向の両端部には接続口(図示せず)が形成されており、これらの接続口によって、仕切り壁47で仕切られた現像剤供給室42の2つの空間が繋がっている。また、撹拌供給部材45,46は、互いに逆方向に現像剤を搬送するように回転方向が設定されている。
【0044】
したがって、現像剤供給室42内の現像剤は、撹拌供給部材45および撹拌供給部材46の回転によって撹拌されるとともに搬送され、さらに仕切り壁47で仕切られた2つの空間を循環するようになっている。
【0045】
さて、現像剤が収納される現像剤収納室41は、上述のように現像剤供給口40a,40bが形成され、これら現像剤供給口40a,40bにはシール材43が熱溶着されている。そして、現像装置12の使用開始時にシール材43を除去することで、現像剤収納室41内の現像剤が現像剤供給口40a,40bから自重で落下排出され、第1の現像剤供給口40aからの現像剤は現像剤供給室42内の撹拌供給部材45,46により、第2の現像剤供給口40bからの現像剤は直接、現像ローラ12−2に供給される。
【0046】
さらに、現像剤収納室41には、現像剤を投入するための現像剤投入口40cが形成されている。そして、現像剤が現像剤収納室41内に投入された後には、現像剤投入口40cは閉鎖部材48で閉鎖される。
【0047】
図示するように、現像剤収納室41は、現像剤投入口40cの径が最も広く、下端に位置する第1の現像剤供給口40aの付近が下方に向けて先細った形状になっている。したがって、現像剤投入口40cの開口面積よりも、現像剤供給室42へ現像剤を供給する第1の現像剤供給口40aの落下口面積の方が狭くなっている。
【0048】
また、第1の現像剤供給口40aの一方の縁部には、内側に突出した突出部40a−1が形成されている。さらに、第2の現像剤供給口40bの両方の縁部には、内側に突出した突出部40b−1が形成されている。このように、第1の現像剤供給口40aおよび第2の現像剤供給口40bに突出部40a−1,40b−1が形成されているのは、シール材43を熱溶着するための理由からである。
【0049】
すなわち、シール材43を現像剤供給口40a,40bに当てておいて金属製の加熱板(図示せず)を押し当て、加熱および加圧(熱溶着)することで、当該シール材43がハウジング40を形成する樹脂材料と接合されて現像剤供給口40a,40bが封止される。この溶着時には、加熱板の押圧力に抗してハウジング40の姿勢を保持するために、加熱板が押し当てられる部位の裏側には台座を当てておく必要がある。このようなことから、現像剤供給口40a,40bには、台座が当てられるとともにシール材43が熱溶着される突出部40a−1,40b−1が形成されているのである。
【0050】
ここで、現像剤収納室41の下端に位置する第1の現像剤供給口40aの突出部40a−1を水平あるいは第1の現像剤供給口40aに対して上方に傾斜した形状に形成すると、突出部40a−1の裏側(つまり、現像剤収納室41側)に現像剤が溜まりやすくなる。ハウジング40と現像剤との摩擦係数よりも現像剤同士の摩擦係数の方が大きいので、一旦突出部40a−1の裏側に現像剤が溜まると、溜まった現像剤に後から落下してきた現像剤が付着し、これが繰り返されることにより現像剤の塊が形成されてしまう。そして、突出部40a−1の裏面が第1の現像剤供給口40aに対して下方に傾斜していれば、このような現像剤の塊は形成されない。
【0051】
しかしながら、加熱板が平面であることから、加熱板が押し当てられる面が平面でなければ作業性が悪化するので、第1の現像剤供給口40aを挟んで対向する一方側の突出部40a−1を第1の現像剤供給口40aに対して下方に傾斜するように形成すると、他方側の突出部は不可避的に第1の現像剤供給口40aに対して上方に傾斜することになる。つまり、現像剤の塊が形成されやすい状態になってしまう。
【0052】
そこで、本実施の形態では、図5に示すように、現像剤収納室41の現像剤投入口40cから第1の現像剤供給口40aに至る経路の途中に狭窄部41aを形成し、下方に傾斜した突出部40a−1が当該狭窄部41aの真下になるように第1の現像剤供給口40aをオフセット配置しており、現像剤の経路(断面形状)が屈曲したものになっている。また、第1の現像剤供給口40aに対して上方に傾斜した突出部(このような形状であると、現像剤の塊が形成されやすい。)を形成する代わりに、現像剤収納室41の側壁から外側に回り込んだ部位40a−2を形成して突出部40a−1とで同一平面をなすようにし、ここに台座を当てて加熱板でシール材43を熱溶着するようにしている。
【0053】
これにより、現像剤投入口40cから現像剤収納室41内に投入された現像剤は、狭窄部41aに集められて落下方向が規制された後、下方に傾斜した突出部40a−1に自重で落下・衝突して向きが斜め下方になって第1の現像剤供給口40aに到達し、当該第1の現像剤供給口40aから現像剤供給室42へ排出される。そして、現像剤が突出部40a−1に衝突し、そこから向きが強制的に斜め下方に変更されることにより、現像剤中の固化された部分が崩されて流動化される。
【0054】
次に、このように構成された現像装置12の作用について説明する。
【0055】
本実施の形態の現像装置12は、上述したように現像ローラ12−2と感光体ドラム10との間に交番電界を形成し、現像ローラ12−2の現像剤層から感光体ドラム10の静電潜像にトナーを飛翔させて現像を行うものであり、現像ローラ12−2上の現像剤層を感光体ドラム10に接触させないようにすることが望ましい。したがって、この現像装置12では、現像ローラ12−2と感光体ドラム10との間隙を0.3〜0.9mmの範囲とし、現像ローラ12−2上に形成される現像剤層の厚さを感光体ドラム10の表面に接触しない範囲で厚くしている。
【0056】
なお、感光体ドラム10と現像ローラ12−2との間隙が0.3mmより狭くなると、部材の有する寸法誤差の影響を受けるために安定して均一な濃度の画像を得ることが困難であり、逆に、感光体ドラム10と現像ローラ12−2との間隙を0.9mm以上とすると、交番電界を形成してもその効果が低下して十分な濃度が得られなかったり、画像の縁部分が濃く現れる、いわゆるエッジ効果が生じることになる。そこで、本実施の形態では以上の点を考慮し、現像ローラ12−2と感光体ドラム10との間隙を0.6mmとし、かつ現像剤層厚を350μmに設定している。
【0057】
また、本現像装置12で用いられる現像剤はトナーとキャリアとが混合された二成分現像剤である。高画質を得るためには、平均粒径が20μm以下の非磁性トナー粒子と、平均粒径が10〜60μmの磁性キャリア粒子とが混合された二成分現像剤が適していると考えられていることから、本実施の形態では、磁性キャリアの平均粒径が40μm、非磁性トナーの平均粒径が10μmとなっている。
【0058】
このような現像条件の下で、現像装置12により次のように現像が行われる。
【0059】
使用開始に当たっては、シール材43を除去して現像剤供給口40a,40bを開封する。これにより、現像剤収納室41内の現像剤が、第1の現像剤供給口40aから現像剤供給室42に落下し、第2の現像剤供給口40bから現像ローラ12−2に落下する。そして、当該現像装置12や感光体ドラム10が一体化された画像形成ユニットSY,SM,SC,SKを筐体1内の決められた場所に収納する。
【0060】
第1の現像剤供給口40aから落下した現像剤の非磁性トナーと磁性キャリアとは、現像剤供給室42内において撹拌供給部材45,46により搬送されるとともに充分に撹拌される。これにより、非磁性トナーが現像剤中に満遍なく分布されるとともに非磁性トナーと磁性キャリアとの間の摩擦により非磁性トナーに充分な電荷が付与される。
【0061】
撹拌された現像剤は現像ローラ12−2に供給される。また、第2の現像剤供給口40bから落下した現像剤は、直接現像ローラ12−2に供給される。なお、現像装置12には、第1の現像剤供給口40aのみが形成されていてもよいが、本実施の形態のように、第2の現像剤供給口40bもが形成されて現像ローラ12−2に直接供給されるようになっていれば、現像剤が現像ローラ12−2に到達するまでの時間が短縮化されて、速やかに印刷が開始される。
【0062】
現像ローラ12−2に供給された現像剤は、現像スリーブ12−2aに吸着されて移動し、現像スリーブ12−2aと層厚規制ローラ44との間を通過して予め設定された層厚に規制される。層厚規制ローラ44は現像ローラ駆動ギアおよび層厚規制ローラ駆動ギアを介して駆動され、現像スリーブ12−2aの回転に伴って回転する。したがって、層厚規制ローラ44の現像スリーブ12−2aに対向する面が現像スリーブ12−2aの表面の移動方向と同一方向に移動する。
【0063】
現像ローラ12−2が感光体ドラム10に対向する位置では、現像ローラ12−2と感光体ドラム10との間に交番電界が形成されているので、現像剤の非磁性トナーが現像ローラ12−2から飛翔し、感光体ドラム10上の静電潜像に付着して現像が行われることになる。
【0064】
ここで、消耗品としての現像装置12(本実施の形態では、現像装置12を含んだ画像形成ユニットSY,SM,SC,SK)は、プリンタPR1とは独立して市場で流通している。つまり、現像装置12単体として輸送され、そして保管される。
【0065】
このとき、現像剤の保管時や輸送時に、現像装置12の現像剤収納室41内に充填された現像剤が自重により押し固められてしまう。すなわち、現像剤収納室41の上下方向の中間に形成された第2の現像剤供給口40bは、現像剤の荷重が小さいので固化されない領域S1になるが、それよりも下は、上からの現像剤の重みにより現像剤が固化されやすい領域S2になる。具体的には、現像剤投入口40cから第1の現像剤供給口40aに至る経路の途中に形成された狭窄部41aや、下方に向けて先細った形状となった下端の第1の現像剤供給口40a、あるいはその近傍で段差を形成する突出部40a−1で、現像剤が特に固化しやすい。
【0066】
すると、第2の現像剤供給口40bからは、磁石ローラ12−2bの磁力もあることから、現像ローラ12−2には現像剤が供給されるが、第1の現像剤供給口40aから現像剤供給室42には現像剤がほとんど供給されないという現象が発生する。
【0067】
この現象は、現像装置12が輸送により振動された後に高温環境下で保管されることにより顕著となり、現像剤がさらに凝集する。すると、磁石ローラ12−2bの磁力により現像ローラ12−2に近接した第2の現像剤供給口40b付近の現像剤は供給されるものの、それより遠くでは磁力が弱くなるために、結果として第2の現像剤供給口40bからも現像剤が供給されにくくなる。
【0068】
そこで、本実施の形態では、現像剤投入口40cが上向きとなる図6に示す姿勢(第1の姿勢)にして、現像剤供給口40a,40bがシール材43により封止された現像剤収納室41に現像剤を収納し、現像剤投入口40cを閉鎖部材48で閉鎖したならば、図7で示すように、プリンタPR1の機内に設置される位置とは上下逆(天地逆)に反転させた姿勢(第2の姿勢)にして輸送を行うようにした。その後、使用開始時には、第1の姿勢に戻してシール材43を除去した後、当該現像装置12をプリンタPR1に装着する。
【0069】
このようにすれば、第2の姿勢(図7)から第1の姿勢(図6)に戻すことにより現像剤が現像剤収容室内を移動し、これにより現像剤の固化した部分が崩されて流動化されるので、現像剤が固化して第1の現像剤供給口40aあるいは第2の現像剤供給口40bで詰まり、現像剤の供給不良となる事態が回避される。
【0070】
とりわけ、本実施の形態のように、現像剤投入口40cの径が最も広く、第1の現像剤供給口40a付近が下方に向けて先細った形状の場合には、輸送時において第2の姿勢にすることにより、図7に示すように、第1の姿勢では振動などにより現像剤の特に固化しやすい狭窄部41aや第1の現像剤供給口40aや突出部40a−1から現像剤が退避され、また、経路中で最少幅となる狭窄部41aの上方に位置する現像剤の量が減少する。そして、荷重が集中しにくい閉鎖部材48を底面とした状態になるので、振動が加わっても現像剤が固化しにくくなる。
【0071】
また、第2の姿勢にすることにより、現像剤投入口40c付近の容積の大きな領域に現像剤を収納できるため、上下方向で現像剤が存在しない領域が長くなるので、第1の姿勢に戻して現像剤が移動するときの落下衝撃が大きくなり、現像剤の固化した部分が確実に崩される。
【0072】
さらに、現像剤収納室41を上下方向に長くしても現像剤が固化されなくなるので、現像剤収納室41のレイアウトや形状に対する自由度が増すために、現像装置12が小型化する。特に、本実施の形態のように、複数の画像形成ユニットSY,SM,SC,SKが一列になって配置されたタンデム型プリンタでは、現像装置12が小型になって画像形成ユニットSY,SM,SC,SKの配列方向に沿った方向の厚みが抑制されるので、プリンタPR1の小型化が達成される。
【0073】
なお、現像ローラ12−2に面して開口した第2の現像剤供給口40bでは、第2の現像剤供給口40bにある現像剤を磁石ローラ12−2bの磁力で引き寄せるために、現像剤がより落下しやすくなる。
【0074】
ここで、以上の説明では、第2の姿勢は、第1の姿勢を上下逆に反転させた姿勢となっており、第2の姿勢から第1の姿勢に戻したときの現像剤収納室41内における現像剤の移動量を最大にして現像剤をより確実に流動化しているが、第2の姿勢は、第1の姿勢に対して上下反転までしていなくてもよく、第1の姿勢で下端となる第1の現像剤供給口40aを封止するシール材43の現像剤収納室41側の面が下向きになる程度であればよい。
【0075】
但し、第2の姿勢から第1の姿勢に戻したときの現像剤の移動量が大きければ大きいほど、現像剤がより確実に流動化されることから、第2の姿勢は、現像剤収納室41に収容された現像剤が第1の現像剤供給口40aを封止するシール材43と非接触となる姿勢であることがよい。
【0076】
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではないと考えるべきである。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
【0077】
たとえば、以上の説明では、現像装置12を第2の姿勢にするのは、振動が加わる輸送時となっているが、保管時も第2の姿勢にしておき、使用開始直前に第1の姿勢に戻すようにしてもよい。つまり、現像装置12は、少なくとも輸送時に第2の姿勢になっていればよい。
【0078】
また、現像剤が収納される現像剤収納室41に形成された現像剤供給口は、本実施の形態では、現像剤収納室41内の現像剤を速やかに現像ローラ12−2へ供給するために、第1の現像剤供給口40aに加えて、現像ローラ12−2に面した第2の現像剤供給口40bが形成されているが、現像剤収納室41の下端の第1の現像剤供給口40aのみが形成されていてもよい。
【0079】
また、本実施の形態では、現像装置12が感光体ドラム10等と一体化されて画像形成ユニットSY,SM,SC,SKとなっており、この画像形成ユニットSY,SM,SC,SKで着脱が行われるようになっているが、現像装置12単体として着脱が行われるようになっていてもよい。
【0080】
さらに、本実施の形態の現像装置12では、現像剤としてトナーとキャリアとの混合された二成分現像剤が用いられているが、磁性トナーのみの一成分現像剤でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0081】
以上の説明では、本発明の現像装置をカラー画像で記録する画像形成装置に適用した場合が示されているが、モノクロ画像で記録する画像形成装置に適用してもよい。
【符号の説明】
【0082】
10,10Y,10M,10C,10K 感光体ドラム
12−2 現像ローラ
12−2a 現像スリーブ
12−2b 磁石ローラ
12−2c 磁石
40 ハウジング
40a 第1の現像剤供給口
40a−1 突出部
40a−2 部位
40b 第2の現像剤供給口
40b−1 突出部
40c 現像剤投入口
41 現像剤収納室
41a 狭窄部
42 現像剤供給室
43 シール材
44 層厚規制ローラ
45 撹拌供給部材
45a 回転軸
45b 螺旋羽根
46 撹拌供給部材
47 仕切り壁
48 閉鎖部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置の取扱方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式によるプリンタ等の画像形成装置には、感光体ドラム(感光体の一例)に現像剤を供給して静電潜像を可視像化する現像装置が装着されている。
【0003】
現像装置は消耗品となっていることがあり、構成部品が劣化した場合などには、ユーザにより古い現像装置が装置本体から取り外され、新しい現像装置に交換される。そのため、消耗品扱いの現像装置は、画像形成装置とは別に独立して市場で流通している。
【0004】
なお、現像装置について記載した文献としては、例えば特開2008−15022号公報がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−15022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、現像装置に収納された現像剤が固化して現像剤供給不良となることのない現像装置の取扱方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明の現像装置の取扱方法は、現像剤が投入される現像剤投入口および投入された現像剤を自重で落下排出させて現像手段に供給する少なくとも一つの現像剤供給口が現像剤収納室に形成された現像装置を用意し、前記現像剤投入口が上向きとなる第1の姿勢にして、前記現像剤供給口が封止部材により封止された現像剤収納室に現像剤を収納して前記現像剤投入口を閉鎖部材で閉鎖し、前記第1の姿勢で下端となる前記現像剤供給口を封止する前記封止部材の前記現像剤収納室側の面が下向きになる第2の姿勢にして輸送を行い、前記第1の姿勢に戻して前記封止部材を除去した後、前記現像装置を画像形成装置に装着する、ことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、前記第2の姿勢は、前記現像剤収納室に収容された現像剤が前記第1の姿勢で下端となる前記現像剤供給口を封止する前記封止部材と非接触となる姿勢である、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、現像装置に収納された現像剤が固化して現像剤供給不良となることがなくなる。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、本発明を採用しない場合に比較して、現像剤がより確実に流動化される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施の形態に係る画像形成装置としてのプリンタの外観を示す斜視図である。
【図2】図1のプリンタの内部構成を示す説明図である。
【図3】図1のプリンタに装着された画像形成ユニットを示す概略図である。
【図4】図1のプリンタの外側扉および内側扉を開いた内部構造を示す図である。
【図5】図1のプリンタに装着される現像装置を示す断面図である。
【図6】図5の現像装置において第1の姿勢のときの現像剤の固化態様を示す説明図である。
【図7】図5の現像装置において第2の姿勢のときの現像剤の固化態様を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0013】
本発明についての実施の形態に係る画像形成装置としてのプリンタPR1について説明する。
【0014】
図1および図2において、プリンタPR1は、装置本体として樹脂製の筐体1内に、記録媒体としての印刷用紙の格納部、印刷用紙の搬送機構、印刷用紙に対して画像形成を行う画像形成ユニット等が収納されている。そして、パーソナルコンピュータやスキャナ等から送られてくる画像データに基づいて、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の4色のトナーを用いて印刷動作を実行する。
【0015】
プリンタPR1は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の各色のトナー像を形成する4つの画像形成ユニットSY,SM,SC,SKを備えている。これらの画像形成ユニットSY,SM,SC,SKはそれぞれ独立して着脱されるようになっている。
【0016】
図2および図3に示すように、4つの画像形成ユニットSY,SM,SC,SKは、形成する画像の色以外はすべて同様に構成されており、予め設定された速度で回転する感光体ドラム10(10Y,10M,10C,10K)(感光体の一例)と、この感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kの表面を帯電する帯電ローラ11(11Y,11M,11C,11K)と、感光体ドラム10Y,10M,10C,10K上に形成された静電潜像を対応する色のトナー(現像剤の一例)で現像する現像装置12(12Y,12M,12C,12K)と、感光体ドラム10Y,10M,10C,10K上に残留した転写残トナーをクリーニングするクリーニング装置13(13Y,13M,13C,13K)などで構成されている。さらに、図3において、後述する中間転写ベルト15にトナー像を転写した後の感光体ドラム10に残留する電荷を除去する除電装置31、および帯電ローラ11の表面をクリーニングする帯電ローラクリーナ32が配置されている。
【0017】
これらの画像形成ユニットSY,SM,SC,SKの上方には、感光体ドラム10Y,10M,10C,10K上に形成された静電潜像を現像装置12Y,12M,12C,12Kで現像するために用いられるトナー(イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)のトナー)がそれぞれ収容されたトナーカートリッジ8(8Y,8M,8C,8K)が着脱自在に装着されている。
【0018】
現像装置12Y,12M,12C,12Kは、感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kにトナーを供給する現像ローラ12−2(12Y−2,12M−2,12C−2,12K−2)(現像手段の一例)を有している。そして、トナーカートリッジ8Y,8M,8C,8Kに収容された例えば二成分の現像剤を攪拌しつつ現像ローラ12Y−2,12M−2,12C−2,12K−2へと供給し、現像ローラ12Y−2,12M−2,12C−2,12K−2に供給された現像剤の層厚を規制しながら、感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kと対向する現像領域へと搬送し、当該感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kの表面に形成された静電潜像をトナーで現像するように構成されている。
【0019】
これにより、各感光体ドラム10Y,10M,10C,10K上に形成された静電潜像は、現像装置12Y,12M,12C,12Kによって、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の各色のトナー像として現像される。
【0020】
画像形成ユニットSY,SM,SC,SKの下方には、帯電された感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kの表面に各色に対応した画像を露光して静電潜像を形成する露光装置14が配置されている。
【0021】
画像形成ユニットSY,SM,SC,SKとトナーカートリッジ8Y,8M,8C,8Kとの間には、感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kに形成されたトナー像が転写(一次転写の一例)されるユニット化された中間転写ベルト15が、感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kに接触するように設けられている。中間転写ベルト15は筐体1に対して着脱自在で、3つのローラ16a,16b,16c(何れか1つのローラが駆動ローラ、他のローラが従動ローラ)に掛け渡されており、これらのローラ16a,16b,16cにより、図面の矢印で示す方向に回転する。そして、感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kに形成されたトナー像が中間転写ベルト15上に重ね合わされて転写されることにより、中間転写ベルト15上にはフルカラーのトナー像が形成される。
【0022】
なお、中間転写ベルト15を挟んでローラ16cと対向する位置には、中間転写ベルト15上の残留トナーを除去するためのクリーナ22が配置されている。
【0023】
中間転写ベルト15を感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kとで挟むようにして、感光体ドラム10Y,10M,10C,10Kに形成されたトナー像を中間転写ベルト15にそれぞれ転写するための一次転写ローラ16(16Y,16M,16C,16K)が配置されている。なお、一次転写ローラ16Y,16M,16C,16Kはユニット化された中間転写ベルト15に組み込まれており、中間転写ベルト15と一体となって着脱される。
【0024】
また、ローラ16aと対向する位置には、中間転写ベルト15に転写されたフルカラートナー像を記録媒体である用紙Pに転写するための二次転写ローラ17が、ローラ16aとで中間転写ベルト15を挟むニップ部Nを形成するように設けられている。
【0025】
筐体1の下部には用紙Pの収容された給紙カセット18が装着されている。そして、給紙カセット18からピックアップローラ19にて一枚ずつ取り出された用紙Pは、前述したニップ部Nを経由して定着装置20を通り、筐体1の上部に形成された排紙トレイ24へと至る用紙搬送路Rを搬送される。そして、一対のレジストローラ23でタイミングを計られて用紙Pがニップ部Nに送り込まれると、中間転写ベルト15上のフルカラートナー像が二次転写ローラ17により用紙Pに転写される。その後、転写されたトナー像が定着装置20で定着された後、排紙トレイ24上に排出される。
【0026】
なお、筐体1の側部には手差しトレイ21が設けられており、手差しトレイ21からも用紙Pが用紙搬送路Rを搬送されるようになっている。
【0027】
筐体1の内部には、制御ユニットが配設されており、この制御ユニットには、例えば、画像データに対して画像処理を施す画像処理装置が設けられている。
【0028】
この画像処理装置からは、前述の露光装置14にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の各色の画像データが順次出力され、露光装置14から画像データに応じて出射される4本のレーザビームが、それぞれの感光体ドラム10Y,10M,10C,10K上に走査露光されて静電潜像が形成される。
【0029】
図1において、筐体1の一側面(図1では正面側の面)には、手動で開閉する外側扉2が設けられている。
【0030】
図1および図4に示すように、外側扉2を開放した状態において露出される筐体1の内部には、前述したユニット化された中間転写ベルト15および4つの画像形成ユニットSY,SM,SC,SKが着脱自在に装着されている。ここで、本実施の形態では、4つの画像形成ユニットSY,SM,SC,SKの筐体1への装着部位が上下方向で順次異なっており、画像形成ユニットSYが最も高い位置に装着され、以下、画像形成ユニットSM、画像形成ユニットSC、画像形成ユニットSKと装着部位が順次低くなっている。
【0031】
これら中間転写ベルト15および画像形成ユニットSY,SM,SC,SKは、図1に示すように、中間転写ベルト15および画像形成ユニットSY,SM,SC,SKが着脱される開口部5aが形成された内部壁5に取り付けられて下部を支点にして開閉されるとともに、閉鎖時には開口部5aを閉塞する内側扉3により隠蔽されている。
【0032】
図示するように、内側扉3には、閉鎖された当該内側扉3を内部壁5にロックする位置と、内部壁5とのロックを解除する位置とに移動する解除レバー4が2箇所に設けられている。
【0033】
ここで、図5において、現像装置12は、帯電電位の差による潜像を保持することができる感光体ドラム10と対向して設けられており、ハウジング40内には、現像剤が収納される現像剤収納室41と、現像剤収納室41内の現像剤や前述したトナーカートリッジ8から送り込まれた現像剤を現像ローラ12−2に供給する現像剤供給室42とが形成されている。
【0034】
現像剤収納室41には、その下端に位置して第1の現像剤供給口40aが形成されており、当該第1の現像剤供給口40aによって現像剤収納室41と現像剤供給室42とが相互に空間的につながっている。また、現像剤収納室41の上下方向の中間には第2の現像剤供給口40bが形成されている。なお、現像剤供給口40a,40bには、現像装置12の使用開始時に除去されるフィルム状のシール材43(封止部材の一例)が熱溶着されている。
【0035】
また、現像剤供給室42および第2の現像剤供給口40bに面して、感光体ドラム10の表面に二成分現像剤を付着させる前述の現像ローラ12−2が配置されている。さらに、現像ローラ12−2と軸線を沿うようにして、層厚規制ローラ44が現像ローラ12−2の周面と近接または接触して配置されている。
【0036】
現像ローラ12−2は、現像スリーブ12−2aと、複数の磁極を持つ磁石ローラ12−2bとを備えた円筒状の部材で主要部が構成されており、磁石ローラ12−2bは周面に沿って複数の永久磁石が設けられ、位置を固定して支持されている。一方、現像スリーブ12−2aは磁石ローラ12−2bの周面の外側に配置された円筒状部材であり、軸線回りに回転するようになっている。現像スリーブ12−2aには、アルミニウム、非磁性ステンレス等からなる円筒体等が用いられ、直流に交流を重畳した交流重畳直流電圧が印加されるようになっている。
【0037】
また、現像ローラ12−2と感光体ドラム10との間隙は、トナーを飛翔させることが十分に可能な距離、例えば0.5mm前後に設定されている。なお、感光体ドラム10は、図3中にて示す矢印の方向に例えば160mm/Secで回転し、表面の全体が帯電ローラ11により−650Vに帯電される。さらに、帯電された後、露光装置14により露光された静電潜像は電位が−200Vとなる。
【0038】
層厚規制ローラ44は磁性の金属で構成されており、層厚規制ローラ44と対向する位置には、現像ローラ12−2に内蔵された複数の永久磁石のうちの一つの磁石12−2cが、層厚規制ローラ44と互いに向き合うように配置されている。そして、磁石12−2cの磁力の大きさまたは使用される現像剤の透磁率を変えることにより、現像スリーブ12−2a上の現像剤の層厚が規制される。
【0039】
なお、層厚規制ローラ44の軸は、ハウジング40の長手方向に位置する壁面に取り付けられている。また、層厚規制ローラ44の軸には層厚規制ローラ駆動ギア(図示せず)が設けられており、現像ローラ12−2の軸に固定された現像ローラ駆動ギア(図示せず)と噛み合わされ、層厚規制ローラ44と現像ローラ12−2との対向面の回転方向が同一になるように回転駆動されている。現像ローラ12−2の軸にはトラッキングローラ(図示せず)が設けられており、これを感光体ドラム11に押し当てることによって現像ローラ12−2と感光体ドラム10との間隙が一定に保持されるようになっている。
【0040】
現像ローラ12−2に現像剤を供給する現像剤供給室42内には、現像剤を撹拌しながら前述した現像ローラ12−2に供給する撹拌供給部材45,46が設けられている。撹拌供給部材45は前述した第1の現像剤供給口40aに面して配置されおり、撹拌供給部材46は現像ローラ12−2に対向して配置されている。
【0041】
撹拌供給部材45,46は、それぞれ回転軸45a、46aを備えており、これらの回転軸45a、46aはハウジング40の周壁にそれぞれ回転自在に支持されている。また、撹拌供給部材45,46は、これらの回転軸45a、46aが現像ローラ12−2の回転軸に沿った方向に配置されている。
【0042】
回転軸45a、46aには、螺旋羽根45b、46bが螺旋状に巻き付けられて形成されている。そして、撹拌供給部材45および撹拌供給部材46がそれぞれ回転すると、螺旋羽根45b、46bによって、現像剤供給室42内に収容された現像剤が撹拌されながら軸方向へ搬送されるようになっている。
【0043】
撹拌供給部材45と撹拌供給部材46との間には仕切り壁47が設けられて現像剤供給室42が2つに仕切られている。そして、仕切り壁47の長手方向の両端部には接続口(図示せず)が形成されており、これらの接続口によって、仕切り壁47で仕切られた現像剤供給室42の2つの空間が繋がっている。また、撹拌供給部材45,46は、互いに逆方向に現像剤を搬送するように回転方向が設定されている。
【0044】
したがって、現像剤供給室42内の現像剤は、撹拌供給部材45および撹拌供給部材46の回転によって撹拌されるとともに搬送され、さらに仕切り壁47で仕切られた2つの空間を循環するようになっている。
【0045】
さて、現像剤が収納される現像剤収納室41は、上述のように現像剤供給口40a,40bが形成され、これら現像剤供給口40a,40bにはシール材43が熱溶着されている。そして、現像装置12の使用開始時にシール材43を除去することで、現像剤収納室41内の現像剤が現像剤供給口40a,40bから自重で落下排出され、第1の現像剤供給口40aからの現像剤は現像剤供給室42内の撹拌供給部材45,46により、第2の現像剤供給口40bからの現像剤は直接、現像ローラ12−2に供給される。
【0046】
さらに、現像剤収納室41には、現像剤を投入するための現像剤投入口40cが形成されている。そして、現像剤が現像剤収納室41内に投入された後には、現像剤投入口40cは閉鎖部材48で閉鎖される。
【0047】
図示するように、現像剤収納室41は、現像剤投入口40cの径が最も広く、下端に位置する第1の現像剤供給口40aの付近が下方に向けて先細った形状になっている。したがって、現像剤投入口40cの開口面積よりも、現像剤供給室42へ現像剤を供給する第1の現像剤供給口40aの落下口面積の方が狭くなっている。
【0048】
また、第1の現像剤供給口40aの一方の縁部には、内側に突出した突出部40a−1が形成されている。さらに、第2の現像剤供給口40bの両方の縁部には、内側に突出した突出部40b−1が形成されている。このように、第1の現像剤供給口40aおよび第2の現像剤供給口40bに突出部40a−1,40b−1が形成されているのは、シール材43を熱溶着するための理由からである。
【0049】
すなわち、シール材43を現像剤供給口40a,40bに当てておいて金属製の加熱板(図示せず)を押し当て、加熱および加圧(熱溶着)することで、当該シール材43がハウジング40を形成する樹脂材料と接合されて現像剤供給口40a,40bが封止される。この溶着時には、加熱板の押圧力に抗してハウジング40の姿勢を保持するために、加熱板が押し当てられる部位の裏側には台座を当てておく必要がある。このようなことから、現像剤供給口40a,40bには、台座が当てられるとともにシール材43が熱溶着される突出部40a−1,40b−1が形成されているのである。
【0050】
ここで、現像剤収納室41の下端に位置する第1の現像剤供給口40aの突出部40a−1を水平あるいは第1の現像剤供給口40aに対して上方に傾斜した形状に形成すると、突出部40a−1の裏側(つまり、現像剤収納室41側)に現像剤が溜まりやすくなる。ハウジング40と現像剤との摩擦係数よりも現像剤同士の摩擦係数の方が大きいので、一旦突出部40a−1の裏側に現像剤が溜まると、溜まった現像剤に後から落下してきた現像剤が付着し、これが繰り返されることにより現像剤の塊が形成されてしまう。そして、突出部40a−1の裏面が第1の現像剤供給口40aに対して下方に傾斜していれば、このような現像剤の塊は形成されない。
【0051】
しかしながら、加熱板が平面であることから、加熱板が押し当てられる面が平面でなければ作業性が悪化するので、第1の現像剤供給口40aを挟んで対向する一方側の突出部40a−1を第1の現像剤供給口40aに対して下方に傾斜するように形成すると、他方側の突出部は不可避的に第1の現像剤供給口40aに対して上方に傾斜することになる。つまり、現像剤の塊が形成されやすい状態になってしまう。
【0052】
そこで、本実施の形態では、図5に示すように、現像剤収納室41の現像剤投入口40cから第1の現像剤供給口40aに至る経路の途中に狭窄部41aを形成し、下方に傾斜した突出部40a−1が当該狭窄部41aの真下になるように第1の現像剤供給口40aをオフセット配置しており、現像剤の経路(断面形状)が屈曲したものになっている。また、第1の現像剤供給口40aに対して上方に傾斜した突出部(このような形状であると、現像剤の塊が形成されやすい。)を形成する代わりに、現像剤収納室41の側壁から外側に回り込んだ部位40a−2を形成して突出部40a−1とで同一平面をなすようにし、ここに台座を当てて加熱板でシール材43を熱溶着するようにしている。
【0053】
これにより、現像剤投入口40cから現像剤収納室41内に投入された現像剤は、狭窄部41aに集められて落下方向が規制された後、下方に傾斜した突出部40a−1に自重で落下・衝突して向きが斜め下方になって第1の現像剤供給口40aに到達し、当該第1の現像剤供給口40aから現像剤供給室42へ排出される。そして、現像剤が突出部40a−1に衝突し、そこから向きが強制的に斜め下方に変更されることにより、現像剤中の固化された部分が崩されて流動化される。
【0054】
次に、このように構成された現像装置12の作用について説明する。
【0055】
本実施の形態の現像装置12は、上述したように現像ローラ12−2と感光体ドラム10との間に交番電界を形成し、現像ローラ12−2の現像剤層から感光体ドラム10の静電潜像にトナーを飛翔させて現像を行うものであり、現像ローラ12−2上の現像剤層を感光体ドラム10に接触させないようにすることが望ましい。したがって、この現像装置12では、現像ローラ12−2と感光体ドラム10との間隙を0.3〜0.9mmの範囲とし、現像ローラ12−2上に形成される現像剤層の厚さを感光体ドラム10の表面に接触しない範囲で厚くしている。
【0056】
なお、感光体ドラム10と現像ローラ12−2との間隙が0.3mmより狭くなると、部材の有する寸法誤差の影響を受けるために安定して均一な濃度の画像を得ることが困難であり、逆に、感光体ドラム10と現像ローラ12−2との間隙を0.9mm以上とすると、交番電界を形成してもその効果が低下して十分な濃度が得られなかったり、画像の縁部分が濃く現れる、いわゆるエッジ効果が生じることになる。そこで、本実施の形態では以上の点を考慮し、現像ローラ12−2と感光体ドラム10との間隙を0.6mmとし、かつ現像剤層厚を350μmに設定している。
【0057】
また、本現像装置12で用いられる現像剤はトナーとキャリアとが混合された二成分現像剤である。高画質を得るためには、平均粒径が20μm以下の非磁性トナー粒子と、平均粒径が10〜60μmの磁性キャリア粒子とが混合された二成分現像剤が適していると考えられていることから、本実施の形態では、磁性キャリアの平均粒径が40μm、非磁性トナーの平均粒径が10μmとなっている。
【0058】
このような現像条件の下で、現像装置12により次のように現像が行われる。
【0059】
使用開始に当たっては、シール材43を除去して現像剤供給口40a,40bを開封する。これにより、現像剤収納室41内の現像剤が、第1の現像剤供給口40aから現像剤供給室42に落下し、第2の現像剤供給口40bから現像ローラ12−2に落下する。そして、当該現像装置12や感光体ドラム10が一体化された画像形成ユニットSY,SM,SC,SKを筐体1内の決められた場所に収納する。
【0060】
第1の現像剤供給口40aから落下した現像剤の非磁性トナーと磁性キャリアとは、現像剤供給室42内において撹拌供給部材45,46により搬送されるとともに充分に撹拌される。これにより、非磁性トナーが現像剤中に満遍なく分布されるとともに非磁性トナーと磁性キャリアとの間の摩擦により非磁性トナーに充分な電荷が付与される。
【0061】
撹拌された現像剤は現像ローラ12−2に供給される。また、第2の現像剤供給口40bから落下した現像剤は、直接現像ローラ12−2に供給される。なお、現像装置12には、第1の現像剤供給口40aのみが形成されていてもよいが、本実施の形態のように、第2の現像剤供給口40bもが形成されて現像ローラ12−2に直接供給されるようになっていれば、現像剤が現像ローラ12−2に到達するまでの時間が短縮化されて、速やかに印刷が開始される。
【0062】
現像ローラ12−2に供給された現像剤は、現像スリーブ12−2aに吸着されて移動し、現像スリーブ12−2aと層厚規制ローラ44との間を通過して予め設定された層厚に規制される。層厚規制ローラ44は現像ローラ駆動ギアおよび層厚規制ローラ駆動ギアを介して駆動され、現像スリーブ12−2aの回転に伴って回転する。したがって、層厚規制ローラ44の現像スリーブ12−2aに対向する面が現像スリーブ12−2aの表面の移動方向と同一方向に移動する。
【0063】
現像ローラ12−2が感光体ドラム10に対向する位置では、現像ローラ12−2と感光体ドラム10との間に交番電界が形成されているので、現像剤の非磁性トナーが現像ローラ12−2から飛翔し、感光体ドラム10上の静電潜像に付着して現像が行われることになる。
【0064】
ここで、消耗品としての現像装置12(本実施の形態では、現像装置12を含んだ画像形成ユニットSY,SM,SC,SK)は、プリンタPR1とは独立して市場で流通している。つまり、現像装置12単体として輸送され、そして保管される。
【0065】
このとき、現像剤の保管時や輸送時に、現像装置12の現像剤収納室41内に充填された現像剤が自重により押し固められてしまう。すなわち、現像剤収納室41の上下方向の中間に形成された第2の現像剤供給口40bは、現像剤の荷重が小さいので固化されない領域S1になるが、それよりも下は、上からの現像剤の重みにより現像剤が固化されやすい領域S2になる。具体的には、現像剤投入口40cから第1の現像剤供給口40aに至る経路の途中に形成された狭窄部41aや、下方に向けて先細った形状となった下端の第1の現像剤供給口40a、あるいはその近傍で段差を形成する突出部40a−1で、現像剤が特に固化しやすい。
【0066】
すると、第2の現像剤供給口40bからは、磁石ローラ12−2bの磁力もあることから、現像ローラ12−2には現像剤が供給されるが、第1の現像剤供給口40aから現像剤供給室42には現像剤がほとんど供給されないという現象が発生する。
【0067】
この現象は、現像装置12が輸送により振動された後に高温環境下で保管されることにより顕著となり、現像剤がさらに凝集する。すると、磁石ローラ12−2bの磁力により現像ローラ12−2に近接した第2の現像剤供給口40b付近の現像剤は供給されるものの、それより遠くでは磁力が弱くなるために、結果として第2の現像剤供給口40bからも現像剤が供給されにくくなる。
【0068】
そこで、本実施の形態では、現像剤投入口40cが上向きとなる図6に示す姿勢(第1の姿勢)にして、現像剤供給口40a,40bがシール材43により封止された現像剤収納室41に現像剤を収納し、現像剤投入口40cを閉鎖部材48で閉鎖したならば、図7で示すように、プリンタPR1の機内に設置される位置とは上下逆(天地逆)に反転させた姿勢(第2の姿勢)にして輸送を行うようにした。その後、使用開始時には、第1の姿勢に戻してシール材43を除去した後、当該現像装置12をプリンタPR1に装着する。
【0069】
このようにすれば、第2の姿勢(図7)から第1の姿勢(図6)に戻すことにより現像剤が現像剤収容室内を移動し、これにより現像剤の固化した部分が崩されて流動化されるので、現像剤が固化して第1の現像剤供給口40aあるいは第2の現像剤供給口40bで詰まり、現像剤の供給不良となる事態が回避される。
【0070】
とりわけ、本実施の形態のように、現像剤投入口40cの径が最も広く、第1の現像剤供給口40a付近が下方に向けて先細った形状の場合には、輸送時において第2の姿勢にすることにより、図7に示すように、第1の姿勢では振動などにより現像剤の特に固化しやすい狭窄部41aや第1の現像剤供給口40aや突出部40a−1から現像剤が退避され、また、経路中で最少幅となる狭窄部41aの上方に位置する現像剤の量が減少する。そして、荷重が集中しにくい閉鎖部材48を底面とした状態になるので、振動が加わっても現像剤が固化しにくくなる。
【0071】
また、第2の姿勢にすることにより、現像剤投入口40c付近の容積の大きな領域に現像剤を収納できるため、上下方向で現像剤が存在しない領域が長くなるので、第1の姿勢に戻して現像剤が移動するときの落下衝撃が大きくなり、現像剤の固化した部分が確実に崩される。
【0072】
さらに、現像剤収納室41を上下方向に長くしても現像剤が固化されなくなるので、現像剤収納室41のレイアウトや形状に対する自由度が増すために、現像装置12が小型化する。特に、本実施の形態のように、複数の画像形成ユニットSY,SM,SC,SKが一列になって配置されたタンデム型プリンタでは、現像装置12が小型になって画像形成ユニットSY,SM,SC,SKの配列方向に沿った方向の厚みが抑制されるので、プリンタPR1の小型化が達成される。
【0073】
なお、現像ローラ12−2に面して開口した第2の現像剤供給口40bでは、第2の現像剤供給口40bにある現像剤を磁石ローラ12−2bの磁力で引き寄せるために、現像剤がより落下しやすくなる。
【0074】
ここで、以上の説明では、第2の姿勢は、第1の姿勢を上下逆に反転させた姿勢となっており、第2の姿勢から第1の姿勢に戻したときの現像剤収納室41内における現像剤の移動量を最大にして現像剤をより確実に流動化しているが、第2の姿勢は、第1の姿勢に対して上下反転までしていなくてもよく、第1の姿勢で下端となる第1の現像剤供給口40aを封止するシール材43の現像剤収納室41側の面が下向きになる程度であればよい。
【0075】
但し、第2の姿勢から第1の姿勢に戻したときの現像剤の移動量が大きければ大きいほど、現像剤がより確実に流動化されることから、第2の姿勢は、現像剤収納室41に収容された現像剤が第1の現像剤供給口40aを封止するシール材43と非接触となる姿勢であることがよい。
【0076】
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではないと考えるべきである。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
【0077】
たとえば、以上の説明では、現像装置12を第2の姿勢にするのは、振動が加わる輸送時となっているが、保管時も第2の姿勢にしておき、使用開始直前に第1の姿勢に戻すようにしてもよい。つまり、現像装置12は、少なくとも輸送時に第2の姿勢になっていればよい。
【0078】
また、現像剤が収納される現像剤収納室41に形成された現像剤供給口は、本実施の形態では、現像剤収納室41内の現像剤を速やかに現像ローラ12−2へ供給するために、第1の現像剤供給口40aに加えて、現像ローラ12−2に面した第2の現像剤供給口40bが形成されているが、現像剤収納室41の下端の第1の現像剤供給口40aのみが形成されていてもよい。
【0079】
また、本実施の形態では、現像装置12が感光体ドラム10等と一体化されて画像形成ユニットSY,SM,SC,SKとなっており、この画像形成ユニットSY,SM,SC,SKで着脱が行われるようになっているが、現像装置12単体として着脱が行われるようになっていてもよい。
【0080】
さらに、本実施の形態の現像装置12では、現像剤としてトナーとキャリアとの混合された二成分現像剤が用いられているが、磁性トナーのみの一成分現像剤でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0081】
以上の説明では、本発明の現像装置をカラー画像で記録する画像形成装置に適用した場合が示されているが、モノクロ画像で記録する画像形成装置に適用してもよい。
【符号の説明】
【0082】
10,10Y,10M,10C,10K 感光体ドラム
12−2 現像ローラ
12−2a 現像スリーブ
12−2b 磁石ローラ
12−2c 磁石
40 ハウジング
40a 第1の現像剤供給口
40a−1 突出部
40a−2 部位
40b 第2の現像剤供給口
40b−1 突出部
40c 現像剤投入口
41 現像剤収納室
41a 狭窄部
42 現像剤供給室
43 シール材
44 層厚規制ローラ
45 撹拌供給部材
45a 回転軸
45b 螺旋羽根
46 撹拌供給部材
47 仕切り壁
48 閉鎖部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤が投入される現像剤投入口および投入された現像剤を自重で落下排出させて現像手段に供給する少なくとも一つの現像剤供給口が現像剤収納室に形成された現像装置を用意し、
前記現像剤投入口が上向きとなる第1の姿勢にして、前記現像剤供給口が封止部材により封止された現像剤収納室に現像剤を収納して前記現像剤投入口を閉鎖部材で閉鎖し、
前記第1の姿勢で下端となる前記現像剤供給口を封止する前記封止部材の前記現像剤収納室側の面が下向きになる第2の姿勢にして輸送を行い、
前記第1の姿勢に戻して前記封止部材を除去した後、前記現像装置を画像形成装置に装着する、
ことを特徴とする現像装置の取扱方法。
【請求項2】
前記第2の姿勢は、前記現像剤収納室に収容された現像剤が前記第1の姿勢で下端となる前記現像剤供給口を封止する前記封止部材と非接触となる姿勢である、
ことを特徴とする請求項1記載の現像装置の取扱方法。
【請求項1】
現像剤が投入される現像剤投入口および投入された現像剤を自重で落下排出させて現像手段に供給する少なくとも一つの現像剤供給口が現像剤収納室に形成された現像装置を用意し、
前記現像剤投入口が上向きとなる第1の姿勢にして、前記現像剤供給口が封止部材により封止された現像剤収納室に現像剤を収納して前記現像剤投入口を閉鎖部材で閉鎖し、
前記第1の姿勢で下端となる前記現像剤供給口を封止する前記封止部材の前記現像剤収納室側の面が下向きになる第2の姿勢にして輸送を行い、
前記第1の姿勢に戻して前記封止部材を除去した後、前記現像装置を画像形成装置に装着する、
ことを特徴とする現像装置の取扱方法。
【請求項2】
前記第2の姿勢は、前記現像剤収納室に収容された現像剤が前記第1の姿勢で下端となる前記現像剤供給口を封止する前記封止部材と非接触となる姿勢である、
ことを特徴とする請求項1記載の現像装置の取扱方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2011−107544(P2011−107544A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−264430(P2009−264430)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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