説明

現像装置及び方法

フォトコンダクタ上にトナー粒子を吸着させる現像装置であって、非磁性トナー粒子及び硬質な磁性キャリア粒子を含む現像剤が入った容器と、それぞれ対応する回転軸回りで回転させうる非磁性ジャケットチューブ及び磁性コアを有しその一部又は全体が容器内にある第1現像ローラと、その近傍にあり対応する回転軸回りで回転させうる第2現像ローラ(群)と、ジャケットチューブ、コア及び第2現像ローラを対応する回転軸回りで回転させる駆動ユニット(群)と、フォトコンダクタ・第2現像ローラ間空間に交番電界を発生させる手段と、を備え、第1現像ローラの回転につれ運ばれてくるキャリア粒子を第2現像ローラに接触させ、そのキャリア粒子に付着しているトナー粒子を第2現像ローラへと接触吸着させる。現像装置を用い且つその上の静電潜像に従いトナー粒子を付着させることでトナー像をフォトコンダクタ上に発現させる方法であって、硬質な磁性キャリア粒子と共に現像剤に含まれている非磁性トナー粒子を摩擦帯電させ、第1現像ローラに備わる非磁性ジャケットチューブ及びその内部の磁性コアを回転させることでトナー粒子をキャリア粒子に接触、付着させて運び、第1現像ローラ近傍で回転中の第2現像ローラにキャリア粒子を接触させることでそのキャリア粒子上のトナー粒子を第2現像ローラに吸着させ、その第2現像ローラから所定距離離れた位置を通るようフォトコンダクタを駆動し、フォトコンダクタ・第2現像ローラ間空間に交番電界を発生させることでトナー雲をそこに発生させ、そのトナー粒子を潜像に従いフォトコンダクタに吸着させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトコンダクタ上にトナー粒子を吸着させる現像装置、並びにフォトコンダクタ上にトナー像を発現させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷業界では、フォトコンダクタ上にトナー粒子を吸着させる現像装置、並びにフォトコンダクタ上にトナー像を発現させる方法として、様々なものが知られている。従来型現像装置のなかには、非磁性トナー粒子及び磁性キャリア粒子を含む現像剤が入った容器を備えるものがある。
【0003】
磁気ブラシ装置と呼ばれるタイプの従来型現像装置では、軟質素材製の磁性キャリア粒子を使用する一方、磁石群付の現像ローラ及びそれを囲うジャケットチューブが容器内に配置される。個々の磁極が外方を向き且つ隣り合う磁極同士が逆極性になるよう、磁石が周方向に沿い固定配列されるのに対し、ジャケットチューブは可回転配置される。磁石群及びジャケットチューブがこうした関係であるため、ジャケットチューブを回転させると、軟質な磁性キャリア粒子に非磁性トナー粒子が付着して鎖状になり、ジャケットチューブから略放射状に延びる剛毛へと成長する。磁気ブラシなる装置名の由来である。この剛毛はストリッパ等による長さ制限を受けるが、ジャケットチューブと共に回っている最中に、逆極性配列磁石の作用で絶えず生成、成長していく。こうして現像剤中のキャリア粒子及びトナー粒子により形成された剛毛は、いずれフォトコンダクタに接触する。すると、その剛毛内のトナー粒子がフォトコンダクタに吸着する。従って、この種の装置では、磁石を対称配置する必要がない。フォトコンダクタ及びストリッパ(更には現像剤を輸送するためのローラ)の真向かいに1個、固定配置するだけでよい。反面、この種の装置で使用されるキャリア粒子は、軟質であるため大きめになってしまう。フォトコンダクタへのキャリア粒子吸着については、その本来質量や磁石磁界が作用する負荷の大きさを利用し防げるものの、トナー粒子の粒径との関係上、トナー粒子吸着可能量が少なめになることは否めない。更に、その装置構成上、キャリア粒子との接触によるフォトコンダクタの摩耗が甚だしくなる可能性がある。
【0004】
トナー粒子をフォトコンダクタに直に吸着させるのではなく、磁気ブラシ内の現像ローラ(第1現像ローラ)から別の現像ローラ(第2現像ローラ)へとひとまず吸着させるタイプの装置も知られている。第2現像ローラは、表面上の対向部位同士が同方向に動くこととなるよう、第1現像ローラに対し逆方向に回転させる。第2現像ローラは、トナー粒子がその表面に吸着するよう帯電等させておく。吸着したトナー粒子は第2現像ローラの回転につれて運ばれ、第2現像ローラ近傍に存する交番電界に曝される。この交番電界は、隣り合わせに並べた複数本のワイヤに適宜通電すること等で発生させることができる。その交番電界が作用する空間では、トナー粒子が第2現像ローラからの離隔と第2現像ローラへの接近を繰り返す結果、ある種のトナー雲が形成される。その空間にフォトコンダクタを通すと、そのフォトコンダクタ上の静電潜像へとトナー粒子が部位選択的に吸着する。このように、フォトコンダクタに対するトナー粒子の吸着が非接触形態で行われるため、この構成ではフォトコンダクタが摩耗しにくい。但し、磁気ブラシを介し第2現像ローラ、ひいてはフォトコンダクタに引き渡せるトナー粒子の量が少ない、という問題が残存する。
【0005】
非磁性トナー粒子及び硬質な磁性キャリア粒子を含む現像剤を使用するタイプの現像装置もある。硬質な磁性キャリア粒子は、磁気ブラシ型現像装置等で使用される軟質な磁性キャリア粒子より小径にすることができるため、それを使用する現像装置は、小粒現像剤(Small Particle Developer)の頭文字をとりSPD型と呼ばれている。
【0006】
この種の現像装置では、非磁性ジャケットチューブ及び磁性コアを対応する回転軸回りで相対回転させる。コアを組成する磁石は、回転対称になるよう且つ隣り合うもの同士が逆極性になるよう、周方向に沿い一列に配列しておく。ジャケットチューブ及びコアをそれぞれ回転させると、先の例と同様、磁性キャリア粒子に非磁性トナー粒子が付着して鎖状に延び、それらが生成、成長を繰り返す。ただ、上述した磁気ブラシ型現像装置に比べキャリア粒子の動きがかなり激しく、それらキャリア粒子による渦が発生する。しかも、残留磁気の影響がありキャリア粒子がジャケットチューブから剥がれにくい分、形成される鎖が、磁気ブラシ使用時のそれに比べ不均一なものになる。そして、その鎖がフォトコンダクタに接触すると、付着先のキャリア粒子と共にその鎖を形成しているトナー粒子がフォトコンダクタ上に部位選択的に吸着する。この装置ではキャリア粒子が渦を巻いているため、それに付着しているトナー粒子が大量にフォトコンダクタに接触してそこに大量に吸着する。しかも、上述の通り、硬質な磁性キャリア粒子は軟質なそれに比べ小径化できるため、フォトコンダクタへのトナー吸着可能量が更に増すこととになる。ただ、キャリア粒子の渦にフォトコンダクタを接触させるので、フォトコンダクタに多大な摩耗が生じることとなりかねない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
こうした従来技術に鑑み、本発明は、フォトコンダクタ上にトナー粒子を吸着させる現像装置、並びにフォトコンダクタ上にトナー像を発現させる方法に関し、従来技術で生じる上掲の諸問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願では、この目的を達成するため、請求項1記載の現像装置、並びに請求項9記載の方法に従い、フォトコンダクタ上にトナー像を発現させることを提案する。従属形式請求項には本発明の諸実施形態を記載してある。
【0009】
まず、本発明に係る現像装置は、フォトコンダクタ上にトナー粒子を吸着させる現像装置であって、非磁性トナー粒子及び硬質な磁性キャリア粒子を含む現像剤が入った容器と、それぞれ対応する回転軸回りで回転させうる非磁性ジャケットチューブ及び磁性コアを有しその一部又は全体が容器内にある第1現像ローラと、第1現像ローラ近傍にあり対応する回転軸回りで回転させうる1個又は複数個の第2現像ローラと、非磁性ジャケットチューブ、磁性コア及び第2現像ローラを対応する回転軸回りで回転させる1個又は複数個の駆動ユニットと、フォトコンダクタ・第2現像ローラ間空間に交番電界を発生させる交番電界発生手段と、を備え、第1現像ローラの回転につれ運ばれてくる磁性キャリア粒子を第2現像ローラに接触させ、その磁性キャリア粒子に付着している非磁性トナー粒子を(非磁性トナー粒子吸着を促進する電荷を帯びた)第2現像ローラへと接触吸着させるものである。本装置によれば、硬質な磁性キャリア粒子を用いているので、第1現像ローラから第2現像ローラへと非磁性トナー粒子を均等且つ大量に吸着させることができる。更に、その非磁性トナー粒子を、第2現像ローラからそのそばにあるフォトコンダクタへと交番電界の作用下で非接触形態にて吸着させ、そのフォトコンダクタ上の像を非接触現像することができる。従って、本装置によれば、従来技術で発生していた諸問題のうち少なくとも幾つかを回避することができる。特に、大量の非磁性トナー粒子を第2現像ローラ上に均一に付着させるので、エッジ効果を抑えつつフォトコンダクタ上の像を均一に現像することができる。また、フォトコンダクタに非磁性トナー粒子を非接触吸着させるので、複数個のトナー層を重畳形成することができる。従って、フォトコンダクタ上に色別トナー像等を複数個重ねて形成し、それらを印刷媒体上に一度に転写することができる。
【0010】
非磁性ジャケットチューブ回転軸と磁性コア回転軸はその位置をずらし、非対称な位置関係にするのが望ましい。とりわけ、磁性コア回転軸を非磁性ジャケットチューブ回転軸・第2現像ローラ回転軸間に配置することで、硬質な磁性キャリア粒子及びそれに付着している非磁性トナー粒子を強力に撹拌、混合し、トナー粒子吸着量を増やすことができる。
【0011】
磁性キャリア粒子及び非磁性トナー粒子による渦が第1・第2現像ローラ間空間に好適に発生するよう、駆動ユニットを用い、非磁性ジャケットチューブ及び磁性コアを互いに逆方向に回転させるのが望ましい。
【0012】
本発明を実施するに当たっては、第2現像ローラを金属製、例えばアルミニウム製にしてその耐久性を高めるのが望ましい。耐久性を更に高めるには、第2現像ローラに被覆、例えばセラミクス被覆を設ければよい。
【0013】
次に、本発明に係る印刷機は、1個又は複数個のフォトコンダクタと、フォトコンダクタ上に静電潜像を発生させる静電潜像発生手段と、本発明に係る現像装置1個又は複数個と、を備え、交番電界が作用する空間におけるフォトコンダクタ・第2現像ローラ間距離を、第2現像ローラ上に発生させるべきトナー層の厚みより大きくしたものである。この印刷機でも上掲の効果を得ることができる。
【0014】
本発明を実施するに当たっては、フォトコンダクタを、単色トナー像転写に多用されるローラ状のものにしてもよいし、複数個の現像装置及び現像装置間の静電潜像発生手段を通るベルト状のものにしてもよい。後者の構成では、複数個のトナー層をフォトコンダクタ上に重畳形成して印刷媒体に転写させることができる。従って、単一のフォトコンダクタからのトナー像転写1回のみで、多色像等を印刷媒体上に発現させることができる。
【0015】
本発明の目的は次の方法でも達成することができる。即ち、現像装置を用い且つその上の静電潜像に従いトナー粒子を付着させることで、トナー像をフォトコンダクタ上に発現させる方法であって、硬質な磁性キャリア粒子と共に現像剤に含まれている非磁性トナー粒子を摩擦帯電させ、第1現像ローラに備わる非磁性ジャケットチューブ及びその内部にある磁性コアを回転させることで非磁性トナー粒子を磁性キャリア粒子に接触、付着させて運び、第1現像ローラ近傍で回転中の第2現像ローラに磁性キャリア粒子を接触させることでそれに付着している非磁性トナー粒子を第2現像ローラに吸着させ(且つ第1現像ローラ・第2現像ローラ間電位差で非磁性トナー粒子吸着を促進し)、回転中の第2現像ローラから所定距離離れた位置を通るようフォトコンダクタを駆動し、フォトコンダクタ・第2現像ローラ間空間に交番電界を発生させることで非磁性トナー粒子からなるトナー雲をその空間に発生させ、その非磁性トナー粒子を静電潜像に従いフォトコンダクタに吸着させる方法である。本方法によれば、フォトコンダクタに非磁性トナー粒子を大量に非接触吸着させることができる。
【0016】
非磁性ジャケットチューブ及び磁性コアは互いに逆方向に回転させるのが望ましい。
【0017】
本発明を実施するに当たっては、トナー像発現後のフォトコンダクタ上に更なる静電潜像を1個又は複数個発生させた後、別の現像装置を1個又は複数個用い且つ当該更なる静電潜像に従いそのフォトコンダクタ上にトナー粒子を付着させるようにしてもよい。この構成では、所望の如く且つ静電潜像に従い、複数個のトナー層をフォトコンダクタ上に重畳形成することができる。フォトコンダクタ上にトナー粒子が非接触吸着するので、複数個のトナー層を重畳形成するに当たり、下側にあるトナー層にさほど悪影響を及ぼすことがない。
【0018】
本発明を実施するに当たっては、現像装置間でフォトコンダクタ上に形成された静電潜像に従いフォトコンダクタ上にトナー粒子が吸着することとなるよう、フォトコンダクタたるフォトコンダクタベルトをトナー像転写用の現像装置複数個に通すようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】電子写真式印刷機を示す模式的側面図である。
【図2】図1に示す印刷機内の印刷ユニットを示す模式的側面図である。
【図3】別の電子写真式印刷機内の印刷区画を示す模式的側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ本発明に関しより詳細に説明する。
【0021】
以下の説明中、位置や方向に関する記載は専ら図面上の表記に基づくものであり、要旨限定的に解釈されるべきではない。本発明の好適な実施形態に関するものと解されたい。
【0022】
図1に多色印刷機1の側面を模式的に示す。これは、フィーダ3、整列ユニット4、複数個の印刷ユニット5、輸送ユニット7、熔着ユニット9、帰還路12、それに付随する反転ユニット13、並びに出口トレイ15を備えている。この種の印刷機1については様々な変形例が知られており、ここではそのあらましを示すに留めてある。
【0023】
フィーダ3は、シート状の印刷媒体を山積状態で保持し、それを1枚ずつ整列ユニット4へと送り出す。図示例では多色印刷機1の一端に配置されているが、フィーダ3をそれ以外の場所に配置することや、他の部材を経て整列ユニット4へとシートを送るように構成することもできる。
【0024】
整列ユニット4は、送られてきたシートを然るべく整列させて輸送ユニット7へと引き渡す。輸送ユニット7はそのシートを印刷ユニット5へと輸送する。その構成としては、巡回輸送ベルト17を輸送/案内ローラ19に架け案内する図示の構成が知られている。
【0025】
印刷ユニット5は図2に詳示される構成であり、それぞれ、輸送ユニット7によって運ばれてきたシートに対し色別像印刷を施す。図示例では多色印刷機1内に印刷ユニット5が5個あり、例えばブラック、シアン、マゼンタ、イエロー及びカスタム(例えば透明)の各色ドライインクがそこで使用されている。個々の印刷ユニット5内では、成像ドラム20、加圧ローラ22、清掃ユニット24、帯電ユニット26、露出ユニット28及び現像ユニット30が、通例通りドラム20の回りに配置されている。
【0026】
成像ドラム20上には本件技術分野で既知の光導電面があり、輸送ユニット7内の輸送ベルト17と接触している。また、このドラム20は回転させうるように支持されており、専用の駆動ユニットで、或いはベルト17との摩擦等を通じ、矢印Aの方向に回転駆動することができる。図示しないが、本件技術分野で既知の中間ドラムをドラム20・ベルト17間に設けることもできる。
【0027】
加圧ローラ22は、成像ドラム20との間に加圧間隙が生じるようそのドラム20に対向配置されている。輸送ユニット7内の輸送ベルト17や印刷媒体のシートは、その間隙内を通過する。ローラ22に張力を作用させ、ドラム20から個別のシートへのトナー像転写の好適化を図ることもできる。
【0028】
清掃ユニット24は、成像ドラム進行方向Aに沿い加圧ローラ22・帯電ユニット26間に配置されている。これは、既知の通り成像ドラム表面の清掃に使用されている。
【0029】
帯電ユニット26は、成像ドラム進行方向Aに沿い清掃ユニット24・露出ユニット28間に位置するよう印刷ユニット5内に配置されており、例えばコロナ帯電装置として構成されている。このユニット26は成像ドラム20の表面を均一に帯電させる。露出ユニット28は、ドラム20の進行方向Aに沿い帯電ユニット26・現像ユニット30間に配置されている。このユニット28は、本件技術分野で既知の通りドラム20の表面を局所的に放電させる。これら、帯電ユニット26及び露出ユニット28の協働でドラム20の表面に静電潜像が発生する。
【0030】
現像ユニット30は、成像ドラム20の進行方向Aに沿い露出ユニット28・加圧ローラ22間に配置されている。このユニット30は、本件技術分野で既知の通り、その上の静電潜像に従いドラム20上にトナー粒子を吸着させる。このユニット30のハウジング33内には通例通り現像剤収容空間があり、硬質な磁性キャリア粒子及び非磁性トナー粒子を含む現像剤をそこに収容することができる。ハウジング33内には複数個の撹拌ローラ35、輸送ローラ37、第1現像ローラ39、ストリッパ40及び第2現像ローラ41が配置されている。後に詳示する通り、第2現像ローラ41はハウジング33から部分的に張り出しドラム20に対向している。第2現像ローラ41・ドラム20間空間には交番電界発生手段42例えば複数本のワイヤがあり、それらは図示しない制御ユニットの許で作動させることができる。
【0031】
撹拌ローラ35は、矢印方向に回転させうるよう現像剤収容空間内に配置されている。このローラ35は、既知の要領に従い非磁性トナー粒子をしっかりと混ぜ合わせて摩擦により帯電させる。この種のローラ35は本件技術分野で既知であるので、本願では詳示を省くことにする。
【0032】
輸送ローラ37も同じ現像剤収容空間内に配置されている。このローラ37は、既知の要領に従い、矢印方向への回転で第1現像ローラ39の近傍まで現像剤を輸送する。それを可能にするため、このローラ37の外周部には、現像剤の受取や輸送に役立つ凹凸等が設けられている。
【0033】
第1現像ローラ39は非磁性ジャケットチューブ44を有している。このチューブ44は、回転軸45回りで回転させうるように支持されている。その回転駆動には図示しない駆動ユニットが使用される。回転方向は矢印Bの方向である。そのチューブ44の内側にはローラ状の磁性コア47があり、その上には磁石49が複数個配列されている。この磁石49は、隣り合うもの同士が逆極性になるよう周方向に沿い並んでいる。コア47は回転軸50回りで回転させうるように支持されている。その回転駆動には図示しない駆動ユニットが使用される。回転方向は矢印Cの方向である。図2中で矢印B,Cが互いに逆向きであることから明らかな通り、コア47及びチューブ44は互いに逆の方向に回転する。更に、コア47の回転軸50は、図2の如くチューブ44の回転軸45とは別の位置を占めている。具体的には、回転軸50の位置が第2現像ローラ41寄りにずれている。
【0034】
ストリッパ40は第1現像ローラの近傍にあり、ジャケットチューブと共に移動する現像剤層の厚みを既知の要領に従い制限している。ストリッパ40の位置は、ジャケットチューブから削がれた現像剤が輸送ローラ又は撹拌ローラの方向に落ちるような位置である。ストリッパ40には、現像剤収容空間を第2現像ローラ側から隔てる分離壁の機能もある。
【0035】
第2現像ローラ41は、第1現像ローラ39との間に小間隙が生じるよう第1現像ローラ39に面し配置されている。
【0036】
第2現像ローラ41は回転軸52回りで回転させうるように支持されている。その回転駆動には図示しない駆動ユニットが使用される。回転方向は矢印Dの方向である。矢印B,Dが互いに逆向きであるので、第2現像ローラ41及び非磁性ジャケットチューブ44は互いに逆の方向に回転する。第2現像ローラ41は金属製、例えばアルミニウム製であり、その上にセラミクス被覆を設けることもできる。図示しないが、現像ローラ39・41間に電位差を発生させる手段を設けることで、摩擦帯電しているトナー粒子の吸着を促進することができる。
【0037】
第2現像ローラ41は、上述の通り、現像ユニット30のハウジング33から部分的に張り出すように配置されている。より具体的には、成像ドラム20の表面に面するように配置されている。そのドラム20とこのローラ41の間にある空間には、上述の通り交番電界発生手段42が設けられている。交番電界発生手段42としては、図示の如くワイヤを複数本並べればよい。それらを図示しない制御ユニットで制御することで、交番電界を発生させることができる。
【0038】
印刷ユニット5はいずれも同じ仕組みであるが、装填されるトナー粒子は互いに異なる色であることが多い。それらのユニット5が印刷媒体上に発現させた色別像は、続いて熔着ユニット9にて熔着されることになる。
【0039】
熔着ユニット9はそのトナー像を印刷媒体に熔着させる。その手段としては、例えば、高温の加圧ローラを使用する。或いは、光、マイクロ波等の電磁輻射を発する非接触加熱装置等を使用してもよい。
【0040】
熔着ユニット9に後続する帰還路12は、通例通り、整列ユニット4に戻るシート輸送路となっている。その上には反転ユニット13がある。このユニット13は、通例通り、帰還路12を辿り運ばれるシートを表裏反転させる。シートを熔着ユニット9から後続の帰還路12へと送るのではなく、何らかの転向器を用い出口トレイ15へと案内することも可能である。
【0041】
以下、図1及び図2を参照し、印刷媒体例えば紙シートに印刷を施すプロセスについてより詳細に説明する。
【0042】
紙シートは、まず、フィーダ3から整列ユニット4へと送られ、射突等を通じ然るべく整列される。次に、そのシートは、輸送ユニット7内の輸送ベルト17によって輸送される。ベルト17は、静電吸着等の手段で紙シートを保持しつつ、一群の印刷ユニット5を巡るようにそのシートを輸送する。その印刷ユニット5内では、既知の要領に従い成像ドラム20が回転し、帯電ユニット26による均一帯電が施される。露出ユニット28は、ドラム20の表面に局所放電を引き起こして静電潜像を発生させる。現像ユニット30は、ドラム20の回転で運ばれてきた静電潜像に従いドラム20上にトナー粒子を吸着させる。これについては後により詳細に説明する。
【0043】
こうして生成されたトナー像は、成像ドラム20の回転で更に運ばれ、ドラム20・加圧ローラ22間空間にて紙シートへと転写される。印刷ユニットが複数個あるので、紙シート上に対する色別像複数個の転写で多色像を発現させることもできる。その紙シートは、付着しているトナー層と共に熔着ユニット9内に送られ、そこでトナー像が熔着される。そして、その紙シートは出口トレイ15に送られる。紙シートの両面に印刷を施したい場合は、そのシートを帰還路12経由で整列ユニット4に輸送すればよい。その輸送の途上で反転ユニット13によりその表裏が反転されるので、紙シートの裏面に印刷を施すことができる。
【0044】
以下、現像ユニット30近傍での対成像ドラムトナー像転写についてより詳細に説明する。まず、その現像ユニット30内では、硬質な磁性キャリア粒子及び非磁性トナー粒子を含む現像剤を撹拌ローラ35により混ぜ合わせて摩擦帯電させる。摩擦帯電を経た現像剤は、輸送ローラ37により第1現像ローラ39の近傍まで輸送される。キャリア粒子及びそれに付着しているトナー粒子は、磁性コア47の働きで非磁性ジャケットチューブ44に吸着する。チューブ44が矢印Bの方向に回転するにつれ、キャリア粒子はチューブ44・第2現像ローラ41間間隙に移動していく。
【0045】
磁性コア47と非磁性ジャケットチューブ44が互いに逆方向に回転しているので、硬質な磁性キャリア粒子及びそれに付着している非磁性トナー粒子は、チューブ44の表面上で再三に亘り渦を巻き、鎖の形成及びその縮壊を繰り返す。キャリア粒子は残留磁気を帯びているので、基本的に脱落・降下することはない。現像ローラ39・41間間隙では、磁性キャリア粒子及びそれに付着しているトナー粒子の渦が第2現像ローラ41に接触するに至る。その過程で、トナー粒子は、現像ローラ・41間電位差による個別付勢を受け第2現像ローラ41に吸着する。他方のキャリア粒子は、コア47の働きでチューブ44に吸着したままとなる。その結果、第2現像ローラ41上に均一なトナー層が形成される。磁気ブラシ装置で使用される軟質な磁性キャリア粒子に比べ粒径が小さい硬質な磁性キャリア粒子が使用されているので、その層には比較的大量のトナー粒子が含まれる。更に、キャリア粒子が渦を巻いていることも、第2現像ローラ41へのトナー像転写を良好化するのに役立っている。
【0046】
この均一なトナー層は、第2現像ローラ41の回転につれ第2現像ローラ41・成像ドラム20間空間に運ばれていく。この空間では、交番電界発生手段42によって生成される交番電界の作用で、トナー粒子がローラ41からの離隔とドラム20への接近を繰り返す。これにより、トナー粒子からなる一種のトナー雲がローラ41・ドラム20間空間に発生する。ドラム20のうち電荷を帯びている部位、例えば静電潜像形成部位は、静電潜像近傍を漂う雲内のトナー粒子を電荷の作用で吸い寄せる。その結果、ドラム20上に相応のトナー像が発現することとなる。
【0047】
図3に、別の電子写真式印刷機内の印刷区画についてその側面を模式的に示す。この印刷機のうち、フィーダ、整列ユニット、輸送ユニット、熔着ユニット、帰還路、反転ユニット及び出口トレイ15に関しては図1に示したものと大差がないので、ここでは詳示を省略する。ただ、印刷ユニット5の構成は異なっている。印刷ユニット5が1個しか使用されていないので、図1に示した構成に比べ、この例では輸送ユニットがかなりコンパクトになっている。
【0048】
印刷ユニット5は、フォトコンダクタユニット60、加圧ローラ62、清掃ユニット64、複数個の帯電ユニット66、複数個の露出ユニット68及び複数個の現像ユニット70を備えている。
【0049】
フォトコンダクタユニット60は、フォトコンダクタベルト72並びにそれを案内する輸送/案内ローラ74、76及び78を備えている。ベルト72の回転方向は矢印Eの方向である。図示しない駆動ユニットを用い、ローラ74、76及び78のうちいずれかを駆動することで、ベルト72を巡回させることができる。無論、ベルト72を摩擦接触で駆動する相応の輸送素子を輸送ユニット内に設け、それによって印刷媒体を巡回的に輸送する構成にすることもできる。
【0050】
加圧ローラ62は、そのフォトコンダクタベルト72を輸送乃至案内するローラ78の近傍にあり、そのローラ78との間に印刷間隙が生じるようローラ78方向に押圧されている。紙シート等の印刷媒体80は、図3に模式的に示すように、ベルト72と共に矢印Fの方向に移動し、ローラ62・78間印刷間隙へと運び込まれていく。
【0051】
清掃ユニット64は、輸送/案内ローラ78・74間でフォトコンダクタベルト72に接触しそれを清掃する。そのベルト72は、輸送/案内ローラ74・76間で一種のトナー像転写帯を形成する。そのため、図3に示す例では、帯電ユニット66、露出ユニット68及び現像ユニット70を隣り合わせに並べたユニットが、都合5個隣り合わせに設けられている。
【0052】
帯電ユニット66例えばコロナ帯電装置は、フォトコンダクタベルト72を均一に帯電させる。露出ユニット68は、この例でも、ベルト72に局所放電を引き起こすことで静電潜像を発生させる。現像ユニット70は、いずれも、先の例で示した現像ユニット30と同種のものであり、やはり、静電潜像に従いベルト72上にトナー像を転写させうるよう構成されている。
【0053】
この現像ユニット70では、フォトコンダクタベルト72に対するトナー像転写が非接触形態で行われる。従って、トナー像が転写されたベルト72に対し、更に均一帯電、局所放電及びトナー転写を施し、また別のトナー像を発現させることができる。即ち、図3に示す構成では、帯電ユニット66、露出ユニット68及び現像ユニット70からなるユニットの個数を限度として、幾つかのトナー像を発現させることができる。従って、幾つかのトナー層、例えばその色が互いに異なる幾つかのトナー層をベルト72上に形成し、それによって多色トナー像を発現させることができる。そのトナー像を、加圧ローラ62・輸送/案内ローラ78間印刷間隙にて印刷媒体80上に転写することで、印刷媒体80に対するトナー像転写の回数を1回に抑えることができる。
【0054】
以上、本発明に関しその好適な実施形態を2個参照して詳細に説明したが、本発明はその他の形態で実施することもできる。例えば、本発明の現像装置を上述のものとは別の形態で実現することや、他の種類のフォトコンダクタを使用することもできる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトコンダクタ上にトナー粒子を吸着させる現像装置であって、
非磁性トナー粒子及び硬質な磁性キャリア粒子を含む現像剤が入った容器と、
それぞれ対応する回転軸回りで回転させうる非磁性ジャケットチューブ及び磁性コアを有しその一部又は全体が容器内にある第1現像ローラと、
第1現像ローラ近傍にあり対応する回転軸回りで回転させうる1個又は複数個の第2現像ローラと、
非磁性ジャケットチューブ、磁性コア及び第2現像ローラを対応する回転軸回りで回転させる1個又は複数個の駆動ユニットと、
フォトコンダクタ・第2現像ローラ間空間に交番電界を発生させる交番電界発生手段と、
を備え、第1現像ローラの回転につれ運ばれてくる磁性キャリア粒子を第2現像ローラに接触させ、その磁性キャリア粒子に付着している非磁性トナー粒子を第2現像ローラへと接触吸着させる現像装置。
【請求項2】
請求項1記載の現像装置であって、非磁性ジャケットチューブ回転軸と磁性コア回転軸が別々の位置にあることを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の現像装置であって、磁性コア回転軸が非磁性ジャケットチューブ回転軸・第2現像ローラ回転軸間にあることを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項1、2又は3記載の現像装置であって、駆動ユニットが、非磁性ジャケットチューブ及び磁性コアを互いに逆方向に回転させることを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項記載の現像装置であって、第2現像ローラが金属製、例えばアルミニウム製であることを特徴とする現像装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項記載の現像装置であって、第2現像ローラが被覆、例えばセラミクス被覆を有することを特徴とする現像装置。
【請求項7】
1個又は複数個のフォトコンダクタと、フォトコンダクタ上に静電潜像を発生させる静電潜像発生手段と、請求項1乃至6のいずれか一項記載の現像装置1個又は複数個と、を備え、交番電界が作用する空間におけるフォトコンダクタ・第2現像ローラ間距離が、第2現像ローラ上に発生させるべきトナー層の厚みより大きい印刷機。
【請求項8】
請求項7記載の印刷機であって、フォトコンダクタがローラ状であることを特徴とする印刷機。
【請求項9】
請求項7記載の印刷機であって、フォトコンダクタが、複数個の現像装置及び現像装置間の静電潜像発生手段を通るフォトコンダクタベルトであることを特徴とする印刷機。
【請求項10】
現像装置を用い且つその上の静電潜像に従いトナー粒子を付着させることで、トナー像をフォトコンダクタ上に発現させる方法であって、
硬質な磁性キャリア粒子と共に現像剤に含まれている非磁性トナー粒子を摩擦帯電させるステップと、
第1現像ローラに備わる非磁性ジャケットチューブ及びその内部にある磁性コアを回転させることで非磁性トナー粒子を磁性キャリア粒子に接触、付着させて運ぶステップと、
第1現像ローラ近傍で回転中の第2現像ローラに磁性キャリア粒子を接触させることで、その磁性キャリア粒子に付着している非磁性トナー粒子を第2現像ローラに吸着させるステップと、
回転中の第2現像ローラから所定距離離れた位置を通るようフォトコンダクタを駆動するステップと、
フォトコンダクタ・第2現像ローラ間空間に交番電界を発生させることで非磁性トナー粒子からなるトナー雲をその空間に発生させるステップと、
その非磁性トナー粒子を静電潜像に従いフォトコンダクタに吸着させるステップと、
を有する方法。
【請求項11】
請求項10記載の方法であって、非磁性ジャケットチューブ及び磁性コアを互いに逆方向に回転させることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項10又は11記載の方法であって、トナー像発現後のフォトコンダクタ上に更なる静電潜像を1個又は複数個発生させた後、別の現像装置を1個又は複数個用い且つ当該更なる静電潜像に従いそのフォトコンダクタ上にトナー粒子を付着させることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項10、11又は12記載の方法であって、現像装置間でフォトコンダクタ上に形成された静電潜像に従いフォトコンダクタ上にトナー粒子が吸着することとなるよう、フォトコンダクタたるフォトコンダクタベルトをトナー転写用の現像装置複数個に通すことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−533773(P2012−533773A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520992(P2012−520992)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際出願番号】PCT/EP2010/059783
【国際公開番号】WO2011/009732
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】