説明

現像装置

【課題】 第1の現像スリーブと第2の現像スリーブ間への現像剤の侵入により画像不良が発生する恐れがあった。
【解決手段】 静電潜像を現像するための第1および第2の現像剤担持体と、各現像剤担持体内に配置された第1および第2の磁界発生手段と、第1および第2の現像剤担持体を回転可能に支持する現像容器と、前記現像用機内部の領域であって、かつ互いに隣り合って延在する前記第1および第2の現像剤担持体間の領域への現像剤の侵入を規制する規制部材と、を備えた現像装置において、長手方向の一部に他の領域に比較して規制する力の弱い弱規制領域を設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体上に形成された潜像に現像剤を付着させて可視像化する電子写真方式や静電記録方式を用いた複写機及びレーザービームプリンタなどの画像形成装置に使用される現像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真複写機等の画像形成装置において、従来これら画像形成装置に適用される現像装置としてはパウダークラウド法、カスケード法、磁気ブラシ法等によるものが知られているが、このうち、二成分現像方式の磁気ブラシ法の場合は、磁性キャリア、トナー等を混合して含んでいる二成分現像剤を磁界発生手段に吸着し、磁極部分において現像剤をブラシ状に穂立ちさせ、感光体ドラム上の静電潜像を摺擦することにより現像し、画像形成するものである。この時、現像剤中の磁性キャリア自体はやわらかい現像電極として働くため、トナーを静電潜像の電荷密度に比例して付着させることが可能、即ち、階調画像の再生に適しているものである。又、現像装置自体としても小型に構成できるという特徴を有している。
【0003】
この二成分現像法式の磁気ブラシ現像装置としては、現像剤担持体である現像スリーブを用いた磁気ブラシ現像方法が一般化されている。感光体ドラム上の静電潜像を効率よく現像する目的を達成するために、磁性体の粉末、例えばフェライト等である磁性キャリアと、樹脂中に顔料を分散させたトナーと、を含む二成分現像剤を攪拌混合し、互いの摩擦による摩擦帯電によってトナーに電荷を保有させる一方、この現像剤をその内部に磁極を有する非磁性体で作られた中空の円筒状の現像剤担持体である現像スリーブに保持させる。現像スリーブによって、現像剤容器から感光体ドラムに対向する現像領域まで現像剤を搬送させ、この現像領域で上記磁界の作用により現像剤を穂立ちさせて感光体ドラム表面を摺擦させることにより、感光体ドラム上に形成された静電潜像を現像させる。
【0004】
この現像スリーブを用いた二成分磁気ブラシ現像方法は、白黒デジタル複写機や高画質を要求されるフルカラー複写機を中心に多くの製品で用いられている。
【0005】
これまで、感光体ドラムの回転移動速度が比較的低い場合には、つまり比較的低速な複写機の場合には、現像時間が短くても充分であり良好な現像画像が得られるので、現像スリーブが1本であっても良好であった。しかしながら、最近の複写機への高速化の要求の流れの中で、感光体ドラムの回転移動速度が速くなった場合は、現像スリーブが1本では必ずしも好適な画像形成ができるとは限らなくなった。
【0006】
その対策として、現像スリーブの周速度を大きくすることで、現像効率を上げる方法があるが、現像スリーブの周速度を大きくすると磁気ブラシを形成している現像剤に働く遠心力が大きくなり、現像剤の飛散が多くなり、複写機内部の汚染を引き起こし、装置の機能を低下させることになりかねない。
【0007】
そこで、別の対策として、現像スリーブ等の現像剤担持体を2本、又はそれ以上を使用し、それを互いに隣り合うように周面を近接させて配置し、互いの周面を伝わって連続して現像剤が搬送されるようにして、現像時間を延ばし現像能力を上げるいわゆる多段磁気ブラシ現像方法が提案されてきている。
【0008】
ここで、従来の現像スリーブを2本備えた多段磁気ブラシ現像方式の現像装置の例を図9に示す。
【0009】
現像装置104は感光体ドラム101と平行に配置された現像剤容器122を備え、その内部は感光体ドラム101に平行な隔壁123によって現像室R1と撹拌室R2に区画される。現像室R1及び撹拌室R2内には、トナー粒子と磁性キャリアが混合された現像剤120が収容されている。
【0010】
現像室R1内には搬送スクリュー124が収容されており、回転駆動により現像剤120を、現像剤容器122の感光体ドラム101に平行な長手方向に沿って搬送する。スクリュー125による現像剤搬送方向はスクリュー124によるそれとは反対方向である。
【0011】
隔壁123には手前側と奥側に開口が設けられており、スクリュー124で搬送された現像剤120がこの開口の1つからスクリェー125に受渡され、スクリュー125で搬送された現像剤120が、上記の開口の他の1つからスクリュー4に受渡される。
【0012】
現像剤容器2の感光体ドラム101に近接する部位には開口部が設けられ、該開口部に非磁性の材料で構成された第1の現像スリーブ126及び第2の現像スリーブ128の2本の現像剤担持体が設けられている。
【0013】
この2本の現像剤担持体のうち感光体ドラム101回転方向aで上流側で対向する、第1の現像スリーブ126は矢印bの方向(感光体ドラム101回転方向aとは逆方向)に回転し、現像スリーブ126回転方向で現像領域A1より上流に配置された、ここでは現像剤容器122開口上端にあるブレード状の現像剤規制部材(層厚規制ブレード)121にて適正な現像剤層厚に規制された後、現像剤120を第1の現像領域A1に担持搬送する。
【0014】
現像スリーブ126内にはローラ状の第1の磁界発生手段(マグローラ)127が固定配置されている。この第1のマグローラ127は、第1の現像領域A1に対向する現像磁極S1を有している。現像磁極S1が第1の現像領域A1に形成する現像磁界により現像剤の磁気ブラシが形成され、この磁気ブラシが、第1の現像領域A1で矢印a方向に回転する感光体ドラム101に接触して静電潜像をこの第1の現像領域A1で現像する。
【0015】
第1のマグローラ126は上記現像磁極S1の他にN1、N2、N3、S2極を有しており、このうちN2極とN3極は現像剤容器2内で同極で隣り合っており反撥磁界を形成し、現像剤120に対してバリアが形成されている。
【0016】
更に、上記第1の現像スリーブ126の下部で、感光体ドラム101回転方向a下流側に、第1の現像スリーブ126及び感光体ドラム101の双方に略対向した領域に、第2の現像剤担持体である第2の現像スリーブ128を矢印cに回転可能に配設している。この第2の現像スリーブ128は第1の現像スリーブ126と同様に非磁性材料で構成され、その内部には第2の磁界発生手段であるローラ状の第2のマグローラ129が非回転状態で設置されており、この第2のマグローラ129は磁極S3、N4、S4、N5、S5の5極を有している。
【0017】
現像剤120の流れは、第1の現像スリーブ126をN2→S2→N1→S1→N3と搬送された後、第1の現像スリーブ126上の現像剤は第2の現像スリーブ128へと移動し、第2の現像スリーブ128上をS3→N4→S4→S5→N5と搬送される。ここで、現像剤の受渡は略対向した異極同士(N3極とS3極)で行われる。これは、同極同士の場合は磁力線が形成されないので、安定した受渡が行えないからである。
【0018】
このうち、第2の現像スリーブ128と感光体ドラム101の対向部、つまり第2の現像領域A2にて、N4極は感光体ドラム101に接触しており、第1の現像領域A2を通過後の感光体ドラム101上の静電潜像に対し、更に2度目の現像を行う。このように、2回目の現像を行なうことにより、高い現像効率が達成される。
【0019】
上述のように、現像スリーブを2本設けた構成をとることで、例えば感光体ドラムの周速度の高速化に伴い現像時間が短くなっても、高い現像効率が可能となり、現像濃度の低下や濃度ムラを発生することなく良好に画像形成ができる。
【0020】
ところで、上記のような現像スリーブを2本設けた現像装置においては、第1のマグローラ127と第2のマグローラ129とが対向する領域において、その問の磁束密度が高くなり、磁力による現像剤拘束力が高まっている。したがって、この2本のマグローラによる磁力とさらには現像スリーブの回転に伴う推進力との相互作用によって、2本の現像スリーブ126,128間の現像容器側の空間が現像剤で満たされる状態となりやすい。
【0021】
この空間を満たす現像剤は、前回の現像終了後、第2の現像スリーブ128より攪拌室R2に収容されたものである。つまり現像剤は、通常のプロセスで層厚規制ブレード121を通過した現像剤とは異なるトナー濃度が低下した現像剤である。
【0022】
この現像剤は、現像スリーブ128の回転とマグローラ129の磁力との作用によって再び第2の現像スリーブ128へ搬送されてしまい、第2現像スリーブ128の現像剤コート量が層厚規制ブレード121で適正化された第1現像スリーブ126のコート量よりはるかに大きくなってしまう。
【0023】
このような現像剤が混入した状態では、感光体ドラム101の静電潜像の現像プロセスにおいて、耐久後の濃度低下などの不良画像の形成に至るだけでなく、第2現像スリーブ128のコート量そのものが適正値よりはるかに大きくなってしまうことで、単純に地カプリや現像容器122からの溢れが発生し、トナーを機内に飛散させるなど様々な問題を引き起こすことになる。
【0024】
上記のような2本の現像スリーブ間から現像剤が連れ回る問題への対策として、第1の現像スリーブ126と第2の現像スリーブ128の間の領域への現像剤の進入を規制する規制部材を設けることが提案されている(特許文献1参照)。図13に示すように第1の現像スリーブ126と第2の128の間の領域に連れまわり防止用に規制部材130を設け、第2現像スリーブ128での現像剤の侵入を防止している。
【特許文献1】特開2004−191469号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
しかしながら、上記規制部材30を設けると以下のような新たな問題が引き起こされる場合があった。
【0026】
本来2本のマグローラの磁力や現像スリーブの回転に伴う推進力の作用で2本の現像スリーブ間に侵入しようとする現像剤を、上記規制部材は機械的に遮断しているのみである。そのため、規制部材は現像剤による圧力を非常に高い状態で受けていることとなる。その結果、規制部材近傍の現像剤は圧力により固まって、凝集隗となる問題が起こりえた。
【0027】
上記現像剤の凝集隗は、耐久の過程で規制部材から攪拌室に落下し、搬送スクリューで搬送されながら最終的には第1の現像スリーブの層厚規制ブレードに引っかかり、現像剤のコートを阻害し、所謂白スジ状の画像として影響を与えることがあった。
【0028】
そこで、本発明は上記問題に鑑みて、第1の現像スリーブと第2の現像スリーブ間への現像剤の侵入による画像不良をなくしつつ、凝集隗の発生も抑える現像装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0029】
上記目的は、以下の現像装置により達成される。
【0030】
像担持体上の静電潜像を現像するための第1および第2の現像剤担持体と、前記第1および第2の現像剤担持体に各々内包され固定配置された複数の磁極を有する第1および第2の磁界発生手段と、第1および第2の現像剤担持体を回転可能に支持する現像容器と、前記現像用機内部の領域であって、かつ互いに隣り合って延在する前記第1および第2の現像剤担持体間の領域への現像剤の侵入を規制する規制部材と、を備えた現像装置において、
長手方向の一部に他の領域に比較して規制する力の弱い弱規制領域を設けたことを特徴とする現像装置である。
【0031】
また上記目的は、以下のような現像装置によっても達成される。
【0032】
像担持体上の静電潜像を現像するための現像剤担持体と、現像剤担持体に内包され固定配置された複数の磁極を有する磁界発生手段と、前記現像剤担持体を回転可能に支持する現像容器と、前記現像用機内部の領域であって、前記現像剤担持体上を現像剤が連れ回るのを規制する規制部材と、を備えた現像装置において、
長手方向の一部に他の領域に比較して規制する力の弱い弱規制領域を設けたことを特徴とする現像装置である。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、第2の現像スリーブでの剤の連れまわりを抑制しつつ、規制部材によって凝集隗が作られるのを防止し、不良画像のない現像装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、図面に沿って、本発明の実施の形態について説明する。
【0035】
<実施の形態1>
図1に、本発明を適用することができる画像形成装置を示す。同図に示す画像形成装置は、4個の画像形成部を有する4色フルカラーの電子写真方式の画像形成装置であり、同図はその概略構成を模式的に示す縦断面図である。なお、本実施の形態は本発明の適用可能な1形態であって、これに限定されるものではない。
【0036】
同図に示す画像形成装置は、中間転写体としての中間転写ベルト7の回転方向(矢印R7方向)に沿って上流側から下流側にかけて4個の画像形成部(画像形成ステーション)が配設されている。
【0037】
各画像形成部は、それぞれ像担持体としてドラム形の電子写真感光体(以下「感光ドラム」という。)1a,1b,1c,1dを備えており、この順に、イエロー,マゼンタ,シアン,ブラックの各色のトナー像を形成する感光ドラムである。
【0038】
感光ドラム1a,1b,1c,1dは、それぞれ矢印R1方向(図1中の時計回り)に回転駆動されるようになっている。各感光ドラム1a,1b,1c,1dの周囲には、その回転方向に沿ってほぼ順に、帯電器(帯電手段)2a,2b,2c,2d、露光装置(潜像形成手段)3a,3b,3c,3d、現像器(現像手段)4a,4b,4c,4d、一次転写ローラ(一次転写手段)5a,5b,5c,5d、ドラムクリーナ(クリーニング装置)6a,6b,6c,6dが配設されている。上述の一次転写ローラ5a,5b,5c,5d及び二次転写対向ローラ8には、中間転写体としての無端状の中間転写ベルト7が掛け渡されている。中間転写ベルト7は、その裏面側から一次転写ローラ5a,5b,5c,5dによって押圧されていて、その表面を感光ドラム1a,1b,1c,1dに当接させている。中間転写ベルト7は、駆動ローラも兼ねる二次転写対向ローラ8の矢印R8方向の回転に伴って、矢印R7方向に回転するようになっている。この中間転写ベルト7の回転速度は、上述の各感光ドラム1a,1b,1c,1dの回転速度(プロセススピード)とほぼ同じに設定されている。
【0039】
中間転写ベルト7表面における、二次転写対向ローラ8に対応する位置には、二次転写ローラ(二次転写手段)9が配設されている。二次転写ローラ9は、二次転写対向ローラ8との間に中間転写ベルト7を挟持しており、二次転写ローラ9と中間転写ベルト7との間には、二次転写ニップ(二次転写部)が形成されている。
【0040】
画像形成に供される転写材Pは、給紙カセット10に積載された状態で収納されている。この転写材Pは、給紙ローラ、搬送ローラ、レジストローラ等を有する給搬送装置(いずれも不図示)によって、上述の二次転写ニップ部に供給されるようになっている。転写材Pの搬送方向に沿っての二次転写ニップ部の下流側には、定着ローラ12とこれに加圧された加圧ローラ13とを有する定着装置11が配設されており、さらに定着装置11の下流側には、排紙トレイが配設されている。
【0041】
上述構成の画像形成装置においては、以下のようにして、転写材P上に4色フルカラーのトナー像が形成される。
【0042】
まず、感光ドラム1a,1b,1c,1dは、感光ドラム駆動モータ(不図示)によって矢印方向に所定のプロセススピードで回転駆動され、帯電器2a,2b,2c,2dによって所定の極性・電位に一様に帯電される。帯電後の感光ドラム1a,1b,1c,1dは、露光装置3a〜3dによって画像情報に基づく露光が行われ、露光部分の電荷が除去されて各色毎の静電潜像が形成される。
【0043】
これら感光ドラム1a,1b,1c,1d上の静電潜像は、現像器4a,4b,4c,4dによってイエロー,マゼンタ,シアン,ブラックの各色のトナー像として現像される。これら4色のトナー像は、一次転写ニップにおいて、一次転写ローラ5a,5b,5c,5dにより、中間転写ベルト7上に順次に一次転写される。こうして、4色のトナー像が中間転写ベルト7上で重ね合わされる。一次転写時に、中間転写ベルト7に転写されないで感光ドラム1a,1b,1c,1c上に残ったトナー(残留トナー)は、ドラムクリーナ6a,6b,6c,6dによって除去される。残留トナーが除去された感光ドラム1a,1b,1c,1dは、次の画像形成に供される。
【0044】
上述のようにして中間転写ベルト7上で重ね合わされた4色のトナー像は、転写材Pに二次転写される。給紙カセット10から給搬送装置によって搬送された転写材Pは、レジストローラによって中間転写ベルト7上のトナー像にタイミングを合わせるようにして二次転写ニップT2に供給される。供給された転写材Pには、二次転写ニップにおいて、二次転写ローラ9により、中間転写ベルト7上の4色のトナー像が一括で二次転写される。
【0045】
4色のトナー像が二次転写された転写材Pは、定着装置13に搬送され、ここで加熱・加圧されて表面にトナー像が定着される。トナー像定着後の転写材Pは、排紙トレイ上に排出される。以上で、1枚の転写材Pの片面(表面)に対する4色フルカラーの画像形成が終了する。
【0046】
ここで、図2を用いて本実施例の現像器について詳述する。なお、本実施例の画像形成装置本体に用いられる各現像器は同一の構成を備えているので、一つの現像器についてのみ説明を行う。以下の説明で、現像器4といえば、現像器4a、4b、4c、4dのどれを指してもよい。
【0047】
現像器4は現像剤容器20を備え、その内部は隔壁23によって現像室R1と撹拌室R2に区画される。一方、現像室R1および撹拌室R2内には、上記トナー粒子と磁気キャリアが混合された現像剤33が収容されている。本発明で用いる磁気キャリアはフェライトキャリアやバインダ樹脂と磁性金属酸化物及び非磁性金属酸化物からなる樹脂磁性キャリア等を用いればよい。
【0048】
現像室R1内には搬送スクリュー24が収容されており、回転駆動により現像剤を、現像スリーブ26、28の長手方向に沿って搬送する。攪拌室R2内に収容されたスクリュー25による現像剤搬送方向はスクリュー24によるそれとは反対方向である。
【0049】
隔壁23には手前側と奥側に開口が設けられており、スクリュー24で搬送された現像剤がこの開口の1つからスクリェー25に受渡され、スクリュー25で搬送された現像剤が、上記の開口の他の1つからスクリュー24に受渡される。
【0050】
現像剤容器20の感光体ドラム1に近接する部位には開口部が設けられ、該開口部にアルミニウムや非磁性ステンレス鋼等の材質であり、その表面に適度な凹凸を有する第1の現像剤担持体26および第2の現像剤担持体28の2本の現像スリーブ設けられている。
【0051】
第1の現像剤担持体である上流現像スリーブ26は矢印bの方向(感光体回転方向とは逆方向)に回転し、現像容器開口上端にある層厚規制ブレード21にて適正な現像剤層厚に規制された後、該現像剤を第1の現像領域A1に担持搬送する。上流現像スリーブ26内にはローラ状の第1のマグローラ27が固定配置されている。この第1のマグローラ27は、第1の現像領域A1に対向する現像磁極S1を有している。現像磁極S1が、第1の現像領域A1に形成する現像磁界により現像剤の磁気ブラシが形成され、この磁気ブラシが第1の現像領域A1で矢印a方向に回転する感光体ドラム1に接触して静電潜像をこの第1の現像領域A1で現像する。その際、磁気ブラシに付着しているトナーと、現像スリーブ表面に付着しているトナーも、該静電潜像の画像領域に転移して現像する。本実施例では、第1のマグローラ27は上記現像磁極S1の他にN1,N2,N3,S2極を有しており、このうちN1極とN3極は同極で隣り合っており反撥磁界が形成されるため、現像剤に対してバリアが形成されている。
【0052】
上記上流現像スリーブ26の下部の上流現像スリーブ26および感光体ドラム1の双方に略対向した領域に第2の現像剤担持手段である下流現像スリーブ28を矢印C方向(上流現像スリーブとは同一方向)に回転可能に配設している。この下流現像スリーブ28は上流現像スリーブ26と同様に非磁性材料で構成され、その内部には磁界発生手段であるローラ状の第2のマグローラ29が非回転状態で設置されており、この第2のマグローラ29は磁極S3、N4、S4、N5、S5の5極を有している。このうち、N4極上の磁気ブラシは第2の現像領域A2で感光体ドラム1に接触しており、第1の現像領域A1を通過後の感光体に対し、更に2度目の現像を行う。またS3極とS5極は同極でありS3極とS4極の間には反発磁界が形成され、現像剤に対してバリアが形成されている。このうちS3極は上流現像スリーブ26に内包された第1のマグローラ27のN3極に、両スリーブが最も接近している位置の近傍で対向している。以下、現像剤の流れを第1の現像スリーブ26と第2の現像スリーブ28付近の拡大図(図3)を用いて説明する。第1の現像スリーブ26のN3極とN2極間には反発磁界が形成されおり、また、第2の現像スリーブ28のS3極とS5極間にも反発磁界が形成されているため、第1の現像スリーブ26上を搬送され現像領域を通過してきた現像剤はN3極へ至り、反発磁界によって両スリーブの最近接位置を通過することができず、矢印dのようにN3極からS3極方向へのびる磁力線に従って下流現像スリーブ28側へ移動し、下流現像スリーブ28上を攪拌室内の搬送スクリュー5まで搬送される。本実施例のように上流現像スリーブ26の下に下流現像スリーブ28を設けることで、現像剤の流れは上流現像スリーブ26をN2→S2→N1→S1→N3と搬送された後、上流現像スリーブ26上の現像剤は両スリーブの反発磁界によりブロックされ、下流現像スリーブ28へと移動し、下流現像スリーブ28上をS3→N4→S4→N5→S5と搬送され、S5極で反発磁界にブロックされ攪拌室R2へと現像剤が剥ぎ落とされる。
【0053】
なお、受渡極であるN3とS3は完全に対向している必要はない。完全に対向している状態から45°のズレの範囲内で略対向していれば、現像剤の受渡はスムーズに行うことが可能である。
【0054】
ここで、本発明に関係する現像容器20内の第1の現像スリーブ26と第2の現像スリーブ28の間の領域について説明する。
【0055】
本実施例の現像装置においては、第1の現像スリーブ26と第2の現像スリーブ28の間の領域に、規制部材30が配置されている。本実施例のおいては、規制部剤30は第1の現像スリーブ26、第2の現像スリーブ28双方に空隙を持ちながら対向するように、現像室R1と攪拌室R2との間の隔壁23から連続して伸びるように配置している。
【0056】
規制部剤30を用いた場合の現像剤の流れを、図3を用いて説明すると、先述のように、第1の現像スリーブ26から第2の現像スリーブ28へと移動し、第1の現像スリーブ28上をS3→N4→S4→N5→S5と搬送され、S5極で攪拌室R2へと剥ぎ落とされた現像剤は、第2の現像スリーブ28の回転に伴う推進力によって、また第1の現像スリーブ26と第2の現像スリーブ28間の現像剤受渡部の磁極N3、S3による磁力によって第1の現像スリーブ26と第2の現像スリーブ28の間の領域に移動しようとする。この領域に現像剤が移動すると2本の現像スリーブ26、28間に現像剤が侵入しようとし、第2の現像スリーブ28の現像剤コート量が多くなり、種々の画像不良が懸念されるのは従来の技術の項で述べた通りである。
【0057】
実際には、先に述べたように、本実施例に係る現像装置においては第1の現像スリーブ26と第2の現像スリーブ28の間の領域に、規制部材30が配置されているため、この領域に侵入しようとする現像剤を規制部材30が遮断し、2本の現像スリーブ26、28の間に現像剤が侵入するのを回避している。
【0058】
規制部材30の存在によって2本の現像スリーブ26、28の間の領域に現像剤が侵入するのが回避できる一方で、規制部材30が存在するために規制部材30の付近には現像剤が滞留するとともに、滞留した現像剤には大きな圧力がかかることとなる。その結果、現像剤が凝集し塊となり、新たな画像不良を引き起こす可能性がある。この問題を解決することが本発明の目的である。
【0059】
本発明は以下の構成にすることで上記問題を回避している。
【0060】
凝集隗の発生する原因としては、規制部材30によって規制された現像剤が、逃げ場が無くその場に留まろうとするのに対し、現像スリーブの回転に伴って後から後から現像剤が供給されるため、規制部材30の配置された領域において現像剤が圧縮され、大きな圧がかかることによる。大きな圧を受けた現像剤は凝集隗となって、画像不良を引き起こしかねない。
【0061】
そこで、本発明は規制部剤30の近傍に溜まった現像剤が逃げることのできる領域を設け、現像剤が規制部材30近傍に留まらないようにしたことが特徴である。
【0062】
具体的な構成を図4を用いて説明する。図4は本実施例の現像装置を斜め上より見た斜視図である。なお、規制部材30を説明するために、第1の現像スリーブ26、第2の現像スリーブ28は点線で表記した。
【0063】
本実施例の形態に係る現像装置の特徴は、規制部材30がスラスト全域に設けられておらず、スラスト方向の一部に規制部材30がない領域が存在することである。この規制部剤30がない領域においては現像剤が留まるということがないため、他の領域で規制部材30によって規制された現像剤もうまくこの規制部材30のない領域に逃げ込むことによって、現像剤が留まりにくくなる。その結果、凝集隗の発生が抑えられ、凝集隗に起因する画像不良の発生することもなくなる。
【0064】
なお、本実施例においては、規制部剤30をスラスト方向中央部に配置し、両端部の領域に規制部材のない領域を設けた。これは、以下の理由による。
【0065】
規制部剤30のない領域をスラスト方向の一部に設けることで、上で述べたように凝集隗の発生を抑えることができる。しかしながら、規制部剤30のない領域においては、2本の現像スリーブ26、28間に現像剤が侵入し、第2の現像スリーブ28のコート量が多くなり、画像不良の起こる可能性が生じる。そのため、規制部材のない領域を画像領域とすることは、本来あまり望ましいことではない。しかしながら、現像剤のコート領域と画像の保証領域の幅は実際にはイコールではなく、現像剤のコート領域のほうが画像の保証領域よりも広く設定されている場合がほとんどである。これは、画像の保証領域の性質から、多少の組み付け時の誤差や部品精度などからくる振れにも耐えうるようにコート領域を大きくしておく必要があるという理由もあるし、また、画像保証領域外側の定型サイズ外の領域に、位置などの確認用の基準印(トンボマークなど)やナンバリングのような情報等を印字する領域が設けられている場合もあるからである。
【0066】
このような画像保証領域外においては、精細な画像が要求されることは少なく、とりあえず画がでれば十分機能を満足する。そのため、多少の画像不良が許される場合が多い。
【0067】
そこで本実施例においては、スラスト方向で両端に設けられた画像保証領域外の領域において、規制部材30を設けない部分を設けている。したがって、現像剤の規制がうまく行われず第2の現像スリーブのコート量が多少多くなっても、画像保証領域外のために、最終画像に大きな影響を与えることはない。
【0068】
なお、規制部材30の近傍に溜まった現像剤を逃がす場所は現像スリーブ中のマグローラの存在する領域でなければならない。なぜなら、マグローラの存在しない場所に逃がすと、逃げた現像剤がマグローラにうまく保持されないために、機外に現像剤が溢れ出しかねない。そこで、マグローラの存在する領域に規制部剤のない領域を設けなければならない。そのため、規制部剤は現像スリーブ中のマグローラのスラスト長より短くする必要がある。この際、第1のマグローラ、第2のマグローラ、双方よりもさらに短くするほうが好ましく、また、マグローラの両端より内側に配置することが好ましい。この構成をとることで、規制部材近傍より逃がした現像剤が溢れ出すことはなくなる。
【0069】
ここまでのスラスト位置関係を図5を用いてまとめると、規制部剤30のスラスト長は現像スリーブ26、28中のマグロローラのスラスト幅より短くすることで、現像剤の溢れを抑えることができる。また、規制部材30のスラスト長を画像保証領域より長くしておけば、規制部材がない部分で現像剤の規制がうまく行われない場合でも、最終画像に大きな影響を与えることはない。
【0070】
(実施例2)
本実施の形態は、上述の実施の形態1とほぼ同じ構成である。以下では、図6を用いて実施の形態1と異なる点を主に説明する。
【0071】
実施例1においては、現像剤の逃げる領域として規制部材30のない領域をスラスト方向の両端部に設けた。規制部材30のない構成は規制部材30近傍の現像剤を逃がすにはもっとも良い構成であるが、一方で、その部分で第2の現像スリーブ28の現像剤のコート量が多くなってしまうという懸念が存在する。
【0072】
実施例1の項でも述べたように、第2の現像スリーブ28の現像剤のコート量が多くなっても、両端部の特に画像保証領域外であればあまり問題になることはない。しかし、コート量があまりに多くなってしまうと、いくら端部であっても画像上問題が生じる場合がありうる。この場合、ある程度現像剤の侵入を規制しつつ、ある程度現像剤の逃げるような構成が望ましい。このような構成は、第2の現像スリーブ28と規制部材30との間のギャップをうまく変えることで対応可能である。
【0073】
発明者らの検討によれば、第2の現像スリーブ28と規制部材30との間のギャップが狭いほど規制部剤の規制が強くなり、広いほど規制部剤の規制が弱まり現像剤が侵入しやすくなることがわかった。そこで、ギャップを管理することで、先に述べたようなある程度現像剤の侵入を規制しつつ、ある程度現像剤の逃げるような構成は実現可能であることがわかった。
【0074】
そこで、本実施例においては、実施例1のように規制部剤のまったくない領域を設けるのではなく、第2の現像スリーブ28と規制部材30とのギャップを他の領域より広げた部分を設ける構成とした。
【0075】
本実施例においては、具体的には、第2の現像スリーブ28と規制部材30とのギャップを中央の規制の強い部分では1.0mmとし、両端の規制の弱い部分では5.0mmとなるようにした。このような構成とすることで、中央部分では第2の現像スリーブ28への現像剤の侵入を防ぎつつ、両端部分では画像に影響の出ない範囲で現像剤を逃がしてやることで、凝集隗の発生を抑えることが可能となる。
【0076】
(実施例3)
本実施の形態は、上述の実施の形態1、2とほぼ同じ構成である。以下では、図7を用いて実施の形態1、2と異なる点を主に説明する。
【0077】
これまで、実施例1、実施例2共に規制を強めた部分においては、基本的には規制部材30と第2の現像スリーブ28との距離は一定としていたが、この距離を一定にすると、規制部材30により規制された現像剤はスラスト方向にやや動きにくいという懸念がある。
【0078】
本実施例は上記懸念点に鑑みて、以下の構成としている。
【0079】
本実施例の特徴は、規制部材30と第2の現像スリーブ28との距離が中央から両端部に向けて徐々に広くなる構成としたことである。具体的には、第2の現像スリーブ28と規制部材30とのギャップを中央では1.0mmとし、両端では5.0mmとなるようにして、徐々に広がる傾きを持つ構成とした。このような構成とすることで、規制部材30によって規制された現像剤は、規制部剤30の傾きにしたがって中央部から両端部に向けて徐々に移動する。そのため、傾きをつけていない場合に比較して、規制部材の裏から現像剤を逃がす効果が高まるというメリットが生まれる。
【0080】
(実施例4)
これまでの実施例では現像装置4として現像スリーブが2本ある場合について述べていた。しかしながら、本発明は現像スリーブが2本ある場合だけでなく、1本の場合にも適用が可能である。
【0081】
図8には本発明が適用可能な現像スリーブを1本備えた現像装置の断面図を載せた。先に実施例1で述べた現像装置と比較して、現像スリーブが1本少ない他はほぼ同じ構成なので、詳細な説明は省略する。
【0082】
この現像スリーブを1本備えた現像装置4においても、規制部材30が現像スリーブに空隙を持って対向するように配置されている。この規制部剤30は、2本現像スリーブを備えた現像装置においては、2本の現像スリーブの間に現像剤が侵入するのを規制していたが、本実施例のような1本の現像スリーブを備えた現像装置においては、現像スリーブ26上の現像を終了した現像剤が、そのまま現像スリーブ26上をつれ回るようにして再び現像スリーブ上にコートされるのを規制するために配置されている。
【0083】
現像終了後の現像剤が連れ回ると、現像性がその部分のみ低下する懸念が生じるため、このような規制部材30を配置する必要性が生じるが、一方で、凝集隗の発生の問題が起こりうるのは現像スリーブを2本備えた現像装置と同じである。
【0084】
凝集隗への対策としては、2本の現像スリーブを備えた現像装置の場合と同様に、長手方向の一部に規制の弱い領域を設ければよい。
【0085】
その際、これまでの現像スリーブを2本備えた構成では、第2の現像スリーブと規制部材30とのギャップが重要であったが、現像スリーブを1本備えた現像装置においては、言うまでも無く1本のみ存在する現像スリーブ26と規制部材30とのギャップが重要である。
【0086】
詳しく述べること避けるが、上記に記載した点に注意すれば、実施例1〜3で規制部剤30に対して述べた構成はすべて、本実施例の現像スリーブを1本備えた現像装置も適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本実施例の画像形成装置の断面図である。
【図2】本実施例の現像装置の断面図である。
【図3】現像スリーブ近傍断面図である。
【図4】現像装置の斜視図である。
【図5】長手方向の寸法を表した図である。
【図6】現像装置の斜視図である。
【図7】現像装置の斜視図である。
【図8】現像装置の断面図である。
【図9】従来の現像装置の断面図である。
【符号の説明】
【0088】
1 感光ドラム(像担持体)
4 現像装置
26、28 現像スリーブ
27、29 マグネットローラ
30 規制部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体上の静電潜像を現像するための第1および第2の現像剤担持体と、前記第1および第2の現像剤担持体に各々内包され固定配置された複数の磁極を有する第1および第2の磁界発生手段と、第1および第2の現像剤担持体を回転可能に支持する現像容器と、前記現像容器内部の領域であって、かつ互いに隣り合って延在する前記第1および第2の現像剤担持体間の領域への現像剤の侵入を規制する規制部材と、を備えた現像装置において、
長手方向の一部に他の領域に比較して規制する力の弱い弱規制領域を設けたことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
像担持体上の静電潜像を現像するための現像剤担持体と、現像剤担持体に内包され固定配置された複数の磁極を有する磁界発生手段と、前記現像剤担持体を回転可能に支持する現像容器と、前記現像用機内部の領域であって、前記現像剤担持体上を現像剤が連れ回るのを規制する規制部材と、を備えた現像装置において、
長手方向の一部に他の領域に比較して規制する力の弱い弱規制領域を設けたことを特徴とする現像装置。
【請求項3】
上記弱規制領域において、上記規制部材と上記現像剤担持体との間の空隙が他の領域に比べ広いことを特徴とする請求項1または2に記載の現像装置。
【請求項4】
上記弱規制領域において、上記規制部材がないことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の現像装置。
【請求項5】
上記規制部材と上記現像剤担持体との間の空隙が弱規制領域に向かって徐々に広がるようにしたことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の現像装置。
【請求項6】
上記弱規制領域は長手方向両端部に設けられたことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の現像装置。
【請求項7】
上記規制部剤は前記磁界発生手段比べ長手方向の長さが短く、かつ、前記磁界発生手段の両端位置より内側に配置されたことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の現像装置。
【請求項8】
上記弱規制領域において、定型サイズ外の付加情報を現像することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の現像装置。
【請求項9】
前記付加情報は、位置確認用マーク、ナンバリング情報、ジョブ情報のいずれかを含むことを特徴とする請求項8に記載の現像装置。
【請求項10】
上記弱規制領域は画像領域外に設けられたことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載された現像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−151103(P2009−151103A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−328938(P2007−328938)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】