説明

現像装置

【目的】 供給ローラの寿命を延ばし、安定した現像剤を現像ローラに供給することができる現像装置を提供する。
【構成】
供給ローラ200を、シャフト210と、シャフト210上に巻き付けられ、繊維220をパイル状に形成し立毛処理した導電性を有する生地230とにより構成することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カートリッジまたはホッパー内の現像剤を現像ローラに供給する手段として供給ローラがある。従来、供給ローラの構成は、特許文献1、2に記載されているスポンジタイプ、特許文献3、4に記載されているスポンジに他のもの(材質)が層形成されたものがある。
【0003】
カートリッジまたはホッパーから現像ローラ側への現像剤の搬送は供給ローラの回転により行われる。したがって、常に、上記供給ローラは現像ローラに接触した状態で配置されている。この結果、上記供給ローラは、現像ローラとの摩擦が生じて供給ローラ自体の寿命が短くなったり、また、この摩擦により現像剤にストレスを与え、現像剤が劣化し、安定した画像品質を保持できなくなったりするという問題がある。
【0004】
さらに、スポンジの凹部に現像剤が詰まり、供給ローラの回転に対して、負荷変動、負荷トルクが大きくなり、現像剤を現像ローラに対し、安定した供給をすることが難しい。このため、特許文献5、6に記載されたようなブラシローラの構成がある。
【特許文献1】特許第3226802号公報
【特許文献2】特許第4094281号公報
【特許文献3】特開2002−236415号公報
【特許文献4】特許第3182063号公報
【特許文献5】特開2000ー235302号公報
【特許文献6】特開2002ー202659号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記に記載されたブラシローラは、静電直植毛、電着植毛、接着剤を塗布した生地に短繊維を植え付け、さらにこの生地を芯部材にスパイラル状に巻き付けた構成、すなわち、芯部材に繊維を均一に植毛する構成である。この構成は、単位面積当たりの繊維密度がばらついたり、植毛した繊維が抜け落ちたりするものである。この結果、現像ローラへの現像剤供給にムラが生じて、画像濃度が不安定になったり、ベタ黒に対する現像剤搬送が対応することができなくなったりする。したがって、紙等のメディアに対し、安定した画像の品質を保持することができない。
【0006】
また、芯部材と芯部材に植毛(接着)した繊維部位との間に現像剤が詰まりやすくなり、供給ローラ内に適正な現像剤量を含ませることができない。さらに、現像剤が詰まってくると、先に述べた特許文献1〜4に記載されたスポンジタイプの供給ローラのように、供給ローラの回転に対して、負荷変動、負荷トルクが大きくなり、供給ローラから現像ローラに、安定した現像剤を供給することができなくなる。
【0007】
そこで、上記課題を解決するために本発明は、供給ローラの寿命を延ばし、安定した現像剤を現像ローラに供給することができる現像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、現像容器内に、像担持体の表面に現像剤を供給させる現像剤担持体と、現像剤担持体に接触して、現像剤を搬送する供給ローラとを有する現像装置において、供給ローラを、シャフトと、シャフト上に巻き付けられ、繊維をパイル状に形成し立毛処理した導電性を有する生地とにより構成する。
【0009】
請求項2に記載した発明は、繊維は、カーボンをナイロン繊維に均一分散させたものであり、単糸繊度を20〜35デニール、繊維密度を10000〜20000本/in2とする。請求項3に記載した発明は、繊維の長さを、外径研磨により、生地の基端から4mm〜6mmの長さに揃える。請求項4に記載した発明は、現像剤担持体に対して、供給ローラの繊維の先端を、1mm〜2mm食い込ませるように配置させる。
【0010】
請求項5に記載した発明は、供給ローラの所定位置に、繊維の先端に接触して、供給ローラの繊維間の現像剤の量を適正にするリセット手段を設ける。また、請求項6に記載した発明は、リセット手段を、供給ローラを基点として、第3象限または第4象限に配置する。
【0011】
さらに、請求項7に記載した発明は、リセット手段を、供給ローラの軸線方向に延びたブレードとし、供給ローラ内に含まれた余剰の現像剤を篩い落とす孔を規則的に設ける。
請求項8に記載した発明は、リセット手段を、現像容器に設けられた取付部材に取り付けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、供給ローラを、シャフトと、シャフト上に巻き付けられ、繊維をパイル状に形成し立毛処理した導電性を有する生地とで構成することにより、供給ローラの寿命を延ばし、安定した現像剤を現像ローラに供給することができる。また、繊維の材質、単糸繊度、繊維密度、現像剤担持体に対する食い込み量等を所定の数値に設定することにより、さらに、先に、述べた効果を高めることができる。
【0013】
さらに、供給ローラの所定位置に、繊維の先端に接触するリセット手段を設けることにより、供給ローラの繊維間に吸着・凝集・堆積する現像剤の増大を防止し、且つ現像に寄与されなかった現像剤を掻き落とし、安定した現像剤を現像ローラに供給することができる。
【0014】
特に、供給ローラを基点として、リセット手段を第3象限または第4象限に配置したり、リセット手段をブレードで構成し、供給ローラの軸線方向に向かって規則的に孔を設けたりすることにより、効率良く供給ローラ内に含まれた余剰の現像剤を篩い落とされ、安定した現像剤を現像ローラに供給することができる。さらに、リセット手段を取付部材に取り付けることにより、像担持体側への現像剤の飛散を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施形態を、図を用いて説明する。先ず、本発明の現像装置を適用した画像形成装置を説明する。図1に本発明の現像装置を適用した画像形成装置の概略図を示す。この画像形成装置は、像担持体10の周囲に、除電、帯電、露光、現像、転写、清掃のプロセスを行う電子写真方式を適用したものである。
【0016】
簡単に説明すると、像担持体10の周囲に作動順に、像担持体10上の残留電荷を除去する除電手段20と、像担持体10の表面を特定極性に帯電する帯電手段30、帯電された像担持体10の静電潜像を形成する露光手段40と、像担持体10の表面に形成された静電潜像を現像剤により現像する本発明の現像装置100と、像担持体10に現像された現像剤を図示しない給紙装置から搬送されたシートに転写する転写手段50と、転写後に像担持体10の表面に残留する現像剤を除去するためのクリーナー60とからなる。シートに転写された現像剤は、図示しない定着手段により、シートに定着される。
【0017】
次に、本発明の現像装置について説明する。図2、3に本発明の現像装置の概略図を示す。現像装置100は、現像剤を収容する現像容器110内に、現像装置100の外部から供給された現像剤を攪拌する攪拌手段120と、弾性ローラからなる現像剤担持体130と、現像剤担持体130に適宜な圧力で接触して配置され、現像剤担持体130上に一定の現像剤の薄層を形成する層厚規制手段140と、現像容器110内の現像剤を現像剤担持体130に供給する供給ローラ200と、供給ローラ200内に含まれる過剰な現像剤を適正量にするリセット手段300とを備える。
【0018】
なお、本実施の形態では接触現像方式について説明しているが、像担持体10に接触しないで現像を行う非接触現像方式にも応用することができる。以下に、各々について説明する。
【0019】
攪拌手段120は、供給ローラ200の後方に設けられ、現像剤担持体130の軸線と同方向に延びる中心軸121と、中心軸121に軸線方向の複数箇所において設けられた攪拌翼122とを有し、攪拌翼122は反時計方向に回転する。攪拌された現像剤は供給ローラ200側に搬送される。
【0020】
現像剤担持体130は、例えば、ステンレス等の導電性の剛体からなる中心軸131の周りに、弾性中間層132を形成した現像ローラ130であり、時計方向に回転する。さらに、現像剤担持体130の中心軸131は、電源133に接続されている。なお、以下の説明から、現像剤担持体130を現像ローラと呼ぶ。
【0021】
現像ローラ130は、現像ローラ130に形成した薄層を像担持体10に押しつけるようにして像担持体10表面に現像剤を供給し、像担持体10の表面に形成された静電潜像を反転現像して現像剤像を形成する。これと同時に、像担持体10表面に残留した現像剤を回収する。
【0022】
層厚規制手段140は、導電性または半導電性の回転可能(時計方向に回転)なローラ体からなり、供給ローラ200により現像ローラ130上に層状に供給された現像剤の層厚を規制するものである。層圧規制手段140は、現像ローラ130と同様に電源142に接続され、現像ローラ130の回転方向からみて、現像ローラ130と像担持体10との接触部の上流位置に配置されている。また、層厚規制手段の周面には、先端が当接するようにして弾性体のブレード141が配置されている。
【0023】
供給ローラ200は、先に述べたように、攪拌手段120から搬送された現像剤を現像ローラ130側に搬送するものである。また、これと同時に、像担持体10に残留した現像剤を現像ローラ130から剥ぎ取るものである。このため、供給ローラ200は、現像ローラ130の軸線と並行に延びたシャフト210と、シャフト210上に巻き付けられ、導電性を有する繊維220をパイル状に形成し立毛処理した生地230とからなる。
【0024】
繊維220は、カーボンをナイロン(具体的には6ナイロン)繊維に均一分散させた
ものであり、現像剤を現像ローラ130に搬送する過程で、現像剤に帯電付与を行う働きを持たせるために、単糸繊度を20〜35デニール(例えば、参考として、450デニール/15フィラメントとして30デニール、なお、デニールは繊維糸9000m当たりの重量(g)、フィラメントは繊維糸1本を意味する)、繊維密度を10000〜20000本/inch2、繊維220の長さを生地230の基端から4mm〜6mmとしたものを用いている。なお、繊維220の長さは、外径研磨を用いて揃えている。
【0025】
この構成により、繊維220をシャフト210上に接着して植毛した供給ローラ200のように、植毛した繊維220のように抜け落ちるようなことはなく、単位面積当たりの繊維密度がばらつくことはない。この結果、現像剤供給にムラが生じることがなく、特に、ベタ黒に対する現像剤搬送に対応することができる。また、像担持体10との接触圧が各繊維220に分散され、供給ローラ300をスポンジローラのように面接触することがなく、現像剤にストレスを与えない。
【0026】
さらに、供給ローラ200は、現像ローラ130に対し、1mm〜2mm食い込ませて、現像ローラ130の下方、すなわち現像ローラ130を基点として第3象限から第4象限の間に配置されている。
【0027】
この配置により、常に、現像剤が落ちたときに、現像容器110内に収容された状態で、現像ローラ130への攪拌手段120から搬送されたフレッシュな現像剤の供給と、像担持体10に残留した現像剤を現像ローラ130から剥ぎ取りとを、同時に行うことができる。さらに、先にあげた特許文献1〜6の図示のように、装置の奥行きスペースを確保する必要がなく、装置をコンパクトにすることができる。
【0028】
また、シャフト210には電源240と抵抗250が接続されている。抵抗250は、シャフト210と電源240との間に挿入され、この抵抗値を適正にすることにより、現像剤の電荷注入を含む帯電性(立ち上がり特性)や過帯電防止を行うことができる。このことは、供給ローラ200の抵抗値をブラシローラにしたことにより数百kΩ以下にすることができた。
【0029】
リセット手段300は、繊維220の先端に接触させて、供給ローラ200の繊維220間に、吸着・凝集・堆積する現像剤の増大を防止するものである。つまり、転写後、供給ローラ200内には、現像ローラ130に供給されなかった現像剤と像担持体10から回収された現像剤が含まれた状態となる。この状態で、供給ローラ200を回転(供給ローラ200から現像剤を現像ローラ130に供給)させ続けた場合、供給ローラ200に含まれた現像剤は、一度、帯電した現像剤が除電されないまま、繰り返し現像ローラ130に供給される。
【0030】
この現像剤は、像担持体10と現像ローラ130との接触、現像ローラ130と供給ローラ200との接触により、ストレスを受け、現像剤が劣化する。また、現像ローラ130への現像剤の供給は、現像ローラ130に供給されなかった現像剤と像担持体10から回収された現像剤が多くなる。
【0031】
このことにより、流動性を得ることができなくなり、現像剤が供給ローラ200内に押し込まれた(目詰まり)状態となり、現像装置100外からのフレッシュな現像剤が少ししか供給されなくなる。
【0032】
この結果、現像ローラ130への新たな現像剤の供給が妨げられ、現像剤塗布量の低下が生じて濃度不良等が発生しやすくなる。この現象は、特に、ベタ黒に対する現像剤の供給の追従を保持することができなくなるという問題があった。また、この状態により、現像装置100の負荷変動や負荷トルクが大きくなり、先に述べた濃度不良や、現像装置100を構成する各部品の短寿命化や低耐久性を助長するものであった。特に、高速機や大量出力を行う場合には、このような現象が生じやすい。
【0033】
このため、再度、繰り返すが、リセット手段300は、供給ローラ200内から、現像ローラ130に供給されなかった現像剤と像担持体10から回収された現像剤とを掻き取り、供給ローラ200に、現像装置100外(例えば、トナーホッパーやトナーカートリッジ)からのフレッシュな現像剤を供給させるものである。
【0034】
図4に示すように、リセット手段300は、供給ローラ200の軸腺方向に沿って、100μm〜1mm程度の薄板を延ばしたブレードであり、バイアス的にフローと状態である。具体的には、ウレタン、ポリエステルフィルム等の薄板を用いている。
【0035】
また、再び、図2、3に戻り、リセット手段300は、供給ローラ200の繊維220の先端が離れた時、リセット手段300に接触していた繊維220が元の形状に戻ろうとする復元力がもっとも作用しやすく、且つ供給ローラ200から剥ぎ取られた現像剤が下方に落ちるような位置に配置されている。具体的には、供給ローラ200を基点にして、第3象限または第4象限に位置している。
【0036】
さらに、リセット手段300側の一端側には、長手方向に、孔310が設けられている。孔310は、現像剤を均一に下方に落とすために規則的に設けられている。なお、孔310は複数、設けたり、千鳥状に設けたりしてもよい。
【0037】
一方、リセット手段300の他端側は、現像容器110内に設けられた取付部材400に取り付けられている。取付部材400は、板部材を折り曲げたものであり、現像容器110に取り付けられる基部410と、基部410から上方に延びた側部420と、リセット手段300を取り付ける取付部430とからなる。取付部430は、先に述べたような作用ができる角度をもっている。
【0038】
さらに、側部420と取付部430とにより壁が形成される。リセット手段300を取付部430から突出させることにより第一空間500と第二空間600が形成される。
【0039】
具体的に、第一空間500は、取付部430に取り付けられたリセット手段300の突出部分と、その突出部分に接触した供給ローラ200の繊維220の先端部分と、現像ローラ130と接触している供給ローラ200の繊維220の先端部分とにより囲まれる領域であり、現像ローラ130とリセット手段300(または取付部430)との隙間は0.5〜1mmを有し、現像剤が像担持体10側に移動しないように構成されている。
【0040】
第二空間600は、取付部430に取り付けられたリセット手段300の突出部分と、その突出部分に接触した供給ローラ200の繊維220の先端部分と、取付部材400の側部420と、取付部材400と供給ローラ200を囲む現像容器110の壁とにより囲まれる領域である。
【0041】
以上の構成のもと、現像を行う際には、現像装置100外から供給された現像剤は、攪拌手段120により供給ローラ200に送られる。供給ローラ200は、矢印方向に示すように時計方向に回転し、供給ローラ200の繊維220間に入り込んで、現像ローラ130に供給される。
【0042】
現像ローラ130に供給された現像剤は、層厚規制手段により所望の層厚に規制され、像担持体10に押しつけるようにして像担持体10表面に供給される。この後、現像剤は、像担持体10の表面に形成された静電潜像を反転現像して現像剤像が形成される。
【0043】
現像と同時に、像担持体10上に残留した現像剤が回収され、現像ローラ130には、現像に供給されなかった現像剤と、像担持体10上から回収された現像剤とが不均一に存在する。さらに、現像ローラ130が時計方向に回転し続けると、図5(a)に示すように、徐々に供給ローラ200の繊維220に接触する。
【0044】
現像ローラ130の接触を始めると、現像ローラ130の回転力により、供給ローラ200の各繊維220の先端は現像ローラ130の回転方向側に撓み始め、現像ローラ130に接触する繊維220の面が増えてくる。この間、供給ローラ200の各繊維220は、自らの弾性力で現像ローラ130に接触し続ける。
【0045】
現像ローラ130および供給ローラ200とも回転し続け、徐々に、現像ローラ130と供給ローラ200の繊維220との接触が解除される。この結果、供給ローラ200に過度な負荷(トルクや現像ローラ130との接触圧)を与えることなく、現像ローラ130から回収された現像剤の掻き取りと、現像ローラ130へのフレッシュな現像剤を行うことができる。
【0046】
この解除の時に、繊維220の反発力、つまり、もとの姿勢に戻ろうとする復元力と、回転による遠心力とによって、第一空間500側に弾き飛ばされる。この結果、繊維220間内への現像剤の侵入を阻止することができる。ここでいう繊維220間内への現像剤の侵入とは、繊維220の基端部側の侵入をさす。なお、このとき、取付部材400により壁が形成され、弾き飛ばされた現像が像担持体10側に飛散することを防止することができる。
【0047】
さらに、現像ローラ130および供給ローラ200とも回転し続けると、図5(b)に示すように、供給ローラ200の繊維220の先端がリセット手段300の先端に接触し、回転方向に向かって、供給ローラ200の繊維220が撓む。さらに、リセット手段300と接触が解除されたときに、供給ローラ200の繊維220の復元力により、再度、繊維220の先端表面に残った残留現像剤がリセット手段300の上面側に弾き出される。
【0048】
この結果、供給ローラ200を一回転する毎に、供給ローラ200表面近傍の現像剤を常時クラウド化され、供給ローラ200の繊維220間に吸着・凝集・堆積する現像剤の増大を防止することができる。また、現像剤の形態が一定に維持され、さらに適度な流動性が維持され、現像装置の負荷トルクの変動を大幅に軽減することができる。特に、ベタ黒に対する現像剤供給の追従性が改善できた。
【0049】
また、リセット手段300上面に弾き飛ばされた現像剤は、リセット手段300の上面に付着する。リセット手段300は、現像容器110内側に傾き傾斜面となっている。この上面に付着した現像剤は、傾斜面に沿って、リセット手段300の先端側に向かって現像容器110内に移動する。なお、現像ローラ130との接触で弾き飛ばされた現像剤も同様に移動する。これら弾き飛ばされた現像剤は、勢いよく像担持体10側に飛散しようとするが、第一空間500内で滞留し、現像装置100外に流出することが防止されている。
【0050】
これら、空間内に滞留した現像剤は、自重によりリセット手段300の上面に付着するか、再度、供給ローラ200の繊維220間に付着する。繊維220間に付着した現像剤は、再度、リセット手段300により弾き飛ばされ、最後には、リセット手段300の上面に付着する。リセット手段300の上面に付着した現像剤は傾斜面に沿って現像容器110側に移動する。
【0051】
リセット手段300の傾斜面に沿って現像容器110内へ移動する現像剤は、孔310を介して下方に篩い落とされる。供給ローラ200の繊維220の先端により、篩い落とされた現像剤は、現像容器110内に回収される。回収された現像剤は、攪拌手段120でフレッシュな現像剤と攪拌されて、再度、供給ローラ200を介して、現像ローラ130に供給される。
【0052】
この結果、篩い落とされた現像剤が舞い上がったとしても、取付部430から突き出したリセット手段300の先端部分が蓋の役割をして、舞い上がった現像剤が第二空間600内を滞留し、最後には、常に、現像容器110側に落ちる。これにより、現像剤による装置内の汚れを防止することができる。
【0053】
なお、先に述べた噴霧状の現像剤が孔310を通過したとしても、供給ローラ200と現像ローラ130と取付部材400とに形成された空間内で滞留し、再度、孔310に向かって移動し、最後にはリセット手段300の孔310を介して、現像容器110側に落ちる。
【実施例1】
【0054】
供給ローラ200の外径d(mm)、中心軸131の外径d(mm)、繊維220の材質を6ナイロン、太さまたは単位繊度d(デニール/フィラメント)、繊維密度fd(本/inch)、長さl(mm)、現像ローラ130との食込量B(mm)とし、また、現像ローラに印加するバイアスVdev(V)を基準とし、層圧規制手段140に印加するバイアスVBL(V)をVdev+100V、供給ローラ200に印加するバイアスVSUP(V)をVdev+300Vとし、さらに、供給ローラ200の電源と供給ローラ200間に直列抵抗(MΩ)を挿入した装置で実験を行った。この結果、表1のようになった。
【0055】
ここで、太さまたは単位繊度dのデニールは繊維糸9000m当たりの重量を意味し、フィラメントは繊維糸1本を意味する。また、現像ローラに印加するバイアスVdev(V)を−225Vとした。
【0056】
【表1】

【0057】
表1から、単糸繊度を20〜35デニールの範囲とすることが望ましい。特に、単糸繊度を30デニール(直径58μm)とするのが好ましい。これは以下の理由からである。単糸繊度が太くなりすぎると弾性力が大きくなる。これに伴って、現像ローラ130上の現像剤を掻き取る力が現像剤供給力を上回る。この結果、現像ローラ130上に形成された現像剤の薄層に繊維跡が残ってしまうからである。
【0058】
繊維密度は、繊維密度を10000〜20000本/inch2の範囲とすることが望ましい。特に、繊維密度を15000本/inchとするのが好ましい。繊維密度が密になりすぎると、各繊維220が絡まって繊維220の反発力の低下が起こり、繊維220間に入り込んだ現像剤を弾き出すことができなくなる。これにより、各繊維220間内部に現像剤が蓄積されてブラシ潰れが生じて、現像ローラ130上に現像剤の固着が起きる。
【0059】
この結果、供給ローラ200の繊維220間に吸着・凝集・堆積する現像剤が増大し、初期には好適な画像が得られたとしても、耐久安定性に欠け、画像濃度の減少や地肌汚れが発生しやすくなり、酷い場合には過負荷になって回転しなくなってしまう。
【0060】
一方、繊維密度が疎になりすぎると、繊維220がない箇所が増え、各繊維220が現像剤に与える電荷が不足する。これにより、現像剤の帯電量が減少し、且つ繊維220による現像剤に与える帯電が不足する。この結果、帯電されない逆帯電の現像剤が形成され、画像濃度が薄くなるおそれがある。
【0061】
繊維220の長さを生地230の基端から4mm〜6mmの長さの範囲とすることが望ましい。繊維220の長さが長すぎると、繊維220へのストレスが大きくなり、繊維220の折れ等のダメージつながる。
【0062】
また、現像ローラ130への機械的ストレスが強くなり過ぎて、現像ローラ130の表面に微細な傷を与えたり、攪拌手段120からの現像剤の供給力や現像ローラ130への搬送性が衰えてしまい、画像濃度が薄くなったりすることが生じやすくなる。
【0063】
一方、繊維220の長さが短すぎると、逆に繊維220が撓みにくくなり、先に述べた現像剤の供給力および搬送力、現像ローラ130との摩擦力等は、非常に強くなり、現像剤の供給過多および搬送量過多となる。これにより、繊維220間に現像剤が詰まり、正常な現像剤層を形成することができなくなってしまうおそれがある。
【0064】
供給ローラ200の繊維220の先端を、現像ローラ130に対し、1mm〜2mm食い込ませることが望ましい。繊維220の先端と現像ローラ130とが離れていると、現像ローラ130と接触がなく、現像ローラ130への現像剤の供給量が少なくなるために白抜けが発生するものと考えられるからである。特に、単糸繊度、繊維220の長さを設定要件に含めた繊維220の腰(ヤング率)が大きいほど、現像から戻ってきた現像ローラ130上の現像剤の剥ぎ取り効果が得られやすい。
【0065】
このように、数値を限定することにより、供給ローラ200および現像ローラ130の耐久性・寿命が大幅に改善されるとともに、現像剤の電荷注入を含む帯電性(立ち上がり特性)や過帯電を防止することができる。また、現像剤のダメージが劇的に軽減され、画像濃度の安定性およびベタ黒の追従性を改善することができた。
【0066】
なお、リセット手段300は100μm〜1mm程度の薄板としているが、これに限定することはなく、例えば、図3に示しように、丸棒であってもよい。この構成でのリセット手段300は、現像容器110内にある現像剤から露出していると、供給ローラ200表面近傍の現像剤を掻き落とした後の現像剤の補給が不足し、残留している現像剤の検知が難しくなるため、現像容器110内の残留現像剤の中に埋没しているのが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の現像装置に適用した画像形成装置の概略図。
【図2】本発明の現像装置の概略図。
【図3】リセット手段の他の実施例を設けた現像装置の概略図。
【図4】リセット手段の詳細を示す図。
【図5】矢視Aの拡大図(a)は供給ローラと現像ローラの接触部位の拡大図、(b)は供給ローラとリセット手段の接触部位の拡大図。
【符号の説明】
【0068】
10 像担持体
110 現像容器
130 現像剤担持体(現像ローラ)
200 供給ローラ
210 シャフト
220 繊維
230 生地
300 リセット手段
310 孔
400 取付部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像容器内に、像担持体の表面に現像剤を供給させる現像剤担持体と、現像剤担持体に接触して、現像剤を搬送する供給ローラとを有する現像装置において、
前記供給ローラは、シャフトと、シャフト上に巻き付けられ、繊維をパイル状に形成し立毛処理した導電性を有する生地とを具備することを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記繊維は、カーボンをナイロン繊維に均一に分散させたものとし、単糸繊度を20〜35デニール、繊維密度を10000〜20000本/inch2であることを特徴とする請求項1記載の現像装置。
【請求項3】
前記繊維の長さは、外径研磨により、前記生地の基端から4mm〜6mmの長さに揃えたことを特徴とする請求項1また2記載の現像装置。
【請求項4】
前記供給ローラは、繊維の先端を、現像剤担持体に対し、1mm〜2mm食い込ませるように配置されることを特徴する請求項1乃至3いずれか記載の現像装置。
【請求項5】
前記供給ローラの所定位置には、前記繊維の先端に接触して、前記供給ローラの繊維間の現像剤の量を適正にするリセット手段が設けられていることを特徴とする請求項1または4記載の現像装置。
【請求項6】
前記リセット手段は、前記供給ローラを基点として、第3象限または第4象限に配置されていることを特徴とする請求項5記載の現像装置。
【請求項7】
前記リセット手段は、前記供給ローラの軸線方向に延びたブレードであり、前記供給ローラ内に含まれた余剰の現像剤を篩い落とす孔が規則的に設けられていることを特徴とする請求項5または6記載の現像装置。
【請求項8】
前記リセット手段は、前記現像容器に設けられた取付部材に取り付けられていることを特徴とする請求項5乃至7いずれか記載の現像装置。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−113294(P2010−113294A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−287926(P2008−287926)
【出願日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【出願人】(000165136)桂川電機株式会社 (66)
【Fターム(参考)】