説明

球状体吸着装置、球状体搭載装置、球状体吸着方法、球状体搭載方法、球状体搭載済基板および電子部品搭載済基板

【課題】搭載対象体に対する微小な球状体の過剰な搭載を確実に防止する。
【解決手段】吸着面22aにおける吸気口の縁部に半田ボール300を吸着する吸着ヘッド11と、半田ボール300を収容する収容容器12と、収容容器12に収容されている半田ボール300を先端部13aで吸着して保持する吸着保持部13と、吸着保持部13を移動させる移動機構と、移動機構を制御する制御部とを備え、制御部は、移動機構を制御して、半田ボール300を保持している吸着保持部13を吸着面22aに近接させた状態で吸着面22aに沿って移動させて吸着ヘッド11に対して半田ボール300を供給する供給処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸着面に形成された吸気口の縁部に球状体を吸着する吸着ヘッドを備えた球状体吸着装置、その球状体吸着装置を備えて球状体を搭載対象体に搭載する球状体搭載装置、吸着ヘッドに球状体を吸着させる球状体吸着方法、その球状体吸着方法によって吸着した球状体を搭載対象体に搭載する球状体搭載方法、その球状体搭載装置または球状体搭載方法を用いて製造される球状体搭載済基板、およびその球状体搭載済基板に電子部品が搭載された電子部品搭載済基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の球状体搭載装置として、特開2003−100789号公報に開示された半田(はんだ)ボール搭載装置が知られている。この半田ボール搭載装置は、複数の吸着穴が吸着面に形成された整列マスク、および整列マスクを移動させる移動部を備えて、整列マスクで吸着した半田ボールをパッケージの接続端子に搭載可能に構成されている。また、この半田ボール搭載装置は、半田ボールよりも大きい複数の貫通穴が整列マスクの吸着穴と同じ配列で形成されて、整列マスクに対して相対的に移動可能な離脱プレートを備えている。この半田ボール搭載装置を用いてパッケージの接続端子に半田ボールを搭載する際には、整列マスクの吸着面に離脱プレートを接触させ、その状態の整列マスクおよび離脱プレートを、半田ボールが多めに収容されている半田ボール容器に嵌合させて半田ボールを供給する。この際に、離脱プレートの貫通穴を通って1つの半田ボールが整列マスクの吸着穴に吸着されると共に、その半田ボールと吸着穴との隙間から吸引される気流によってその半田ボール以外の余剰な半田ボールが吸着される。次いで、離脱プレートを下方に移動させて整列マスクの吸着面から離反させる。この際に、上記した余剰な半田ボールが、離脱プレートの移動に伴って整列マスクから引き離されて、半田ボール容器内に落下する。このため、この半田ボール搭載装置では、接続端子への余剰な半田ボールの搭載を防止することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−100789号公報(第3−4頁、第1−6図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記した従来の半田ボール搭載装置には、以下の問題点がある。すなわち、この半田ボール搭載装置では、半田ボールが多めに収容されている半田ボール容器に整列マスクおよび離脱プレートを嵌合させて半田ボールを供給している。また、この半田ボール搭載装置では、離脱プレートを下方に移動させて整列マスクの吸着面から離反させることで、余剰な半田ボールを整列マスクから落下させて除去している。一方、近年のパッケージの高密度化に伴い、半田ボールの微小化が進んでいる。この場合、半田ボールが微小なほど、半田ボール間の静電気や分子間力に起因する半田ボール同士が引き合う力が、半田ボールの重量に対して相対的に大きくなる。このため、図17〜図19に示すように、上記の方法で半田ボールを供給したときに、半田ボール同士が引き合う力によって余剰な半田ボールが大量に付着して、離脱プレート550を下方に移動させただけでは、余剰な半田ボールの全てを整列マスク531から除去できないことがある。したがって、上記の半田ボール搭載装置には、半田ボールが微小なときには、接続端子への余剰な半田ボールの搭載(つまり、接続端子に対する半田ボールの過剰な搭載)を防止するのが困難となるという問題点が存在する。
【0005】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、搭載対象体に対する微小な球状体の過剰な搭載を確実に防止し得る球状体吸着装置、球状体搭載装置、球状体吸着方法、球状体搭載方法、およびその球状体搭載装置または球状体搭載方法を用いて製造される球状体搭載済基板を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく請求項1記載の球状体吸着装置は、吸着面に形成された吸気口の縁部に球状体を吸着する吸着ヘッドを備えた球状体吸着装置であって、開口部を有して前記球状体を収容する収容容器と、当該収容容器に収容されている前記球状体をその先端部で吸着して保持する吸着保持部と、移動機構と、当該移動機構を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記移動機構を制御して、前記先端部に前記球状体を保持している前記吸着保持部と前記吸着ヘッドの前記吸着面とを相対的に近接させた状態で当該吸着保持部が当該吸着面に沿って相対的に移動するように当該吸着ヘッドおよび当該吸着保持部の少なくとも一方を移動させて前記吸気口から吸引している状態の前記吸着ヘッドに対して当該球状体を供給する供給処理を実行する。
【0007】
また、請求項2記載の球状体吸着装置は、請求項1記載の球状体吸着装置において、前記吸着保持部を回動させる回動機構を備え、前記吸着保持部は、前記収容容器の前記開口部側に配設されて、前記球状体を前記先端部で保持した状態で基端部を中心として前記回動機構によって回動可能に構成され、前記制御部は、前記供給処理の実行時において、前記回動機構を制御して前記球状体を保持している前記先端部が前記吸着面に対向するように前記吸着保持部を回動させる。
【0008】
また、請求項3記載の球状体吸着装置は、請求項1または2記載の球状体吸着装置において、前記球状体を吸引可能な吸引部を備え、前記制御部は、前記移動機構を制御して、前記吸着保持部に続いて前記吸引部が前記吸着面に沿って相対的に移動するように前記吸着ヘッドおよび当該吸引部の少なくとも一方を移動させて前記吸気口の縁部に吸着されている前記球状体を除く余剰な前記球状体を吸引させて除去する除去処理を実行する。
【0009】
また、請求項4記載の球状体吸着装置は、請求項3記載の球状体吸着装置において、前記収容容器、前記吸着保持部および前記吸引部が一体に構成されている。
【0010】
また、請求項5記載の球状体吸着装置は、請求項1から4のいずれかに記載の球状体吸着装置において、前記吸着ヘッドに対して着脱可能に構成されると共に前記吸着面にその一面が接触するように装着された状態において前記吸気口に連通しかつ前記球状粒体が通過可能な貫通孔が形成された整列用プレートを備え、前記制御部は、前記整列用プレートが前記吸着ヘッドに装着された状態において前記供給処理を行う。
【0011】
また、請求項6記載の球状体搭載装置は、請求項1から5のいずれかに記載の球状体吸着装置と、当該球状体吸着装置の前記吸着ヘッドを前記供給処理が実行される位置に搬送すると共に前記球状体を吸着している前記吸着ヘッドを搭載対象体の配置位置まで搬送する搬送装置とを備えて、前記球状体を前記搭載対象体に搭載する。
【0012】
また、請求項7記載の球状体吸着方法は、吸着面に形成された吸気口の縁部に球状体を吸着する吸着ヘッドに当該球状体を吸着させる球状体吸着方法であって、開口部を有する収容容器に収容されている前記球状体を吸着保持部の先端部で吸着させて保持させ、前記先端部に前記球状体を保持している前記吸着保持部と前記吸着ヘッドの前記吸着面とを相対的に近接させた状態で当該吸着保持部が当該吸着面に沿って相対的に移動するように当該吸着ヘッドおよび当該吸着保持部の少なくとも一方を移動させて前記吸気口から吸引している状態の前記吸着ヘッドに対して当該球状体を供給する供給処理を実行する。
【0013】
また、請求項8記載の球状体吸着方法は、請求項7記載の球状体吸着方法において、前記収容容器の前記開口部側に配設されて前記球状体を前記先端部で保持した状態で基端部を中心として回動可能な前記吸着保持部の当該先端部に当該球状体を保持させ、前記供給処理の実行時において、前記球状体を保持している前記先端部が前記吸着面に対向するように前記吸着保持部を回動させる。
【0014】
また、請求項9記載の球状体吸着方法は、請求項7または8記載の球状体吸着方法において、前記球状体を吸引可能な吸引部が前記吸着保持部に続いて前記吸着面に沿って相対的に移動するように前記吸着ヘッドおよび当該吸引部の少なくとも一方を移動させて前記吸気口の縁部に吸着されている前記球状体を除く余剰な前記球状体を吸引させて除去する除去処理を実行する。
【0015】
また、請求項10記載の球状体吸着方法は、請求項9記載の球状体吸着方法において、一体に構成された前記収容容器、前記吸着保持部および前記吸引部を用いて前記供給処理および前記除去処理を実行する。
【0016】
また、請求項11記載の球状体吸着方法は、請求項7から10のいずれかに記載の球状体吸着方法において、前記吸着ヘッドに対して着脱可能に構成されると共に前記吸着面にその一面が接触するように装着された状態において前記吸気口に連通しかつ前記球状粒体が通過可能な貫通孔が形成された整列用プレートを当該吸着ヘッドに装着させた状態において前記供給処理を行う。
【0017】
また、請求項12記載の球状体搭載方法は、請求項7から11のいずれかに記載の球状体吸着方法で前記吸着ヘッドに前記球状体を吸着させ、当該球状体を吸着している前記吸着ヘッドを搭載対象体の配置位置まで搬送して当該球状体を前記搭載対象体に搭載する。
【0018】
また、請求項13記載の球状体搭載済基板は、請求項6記載の球状体搭載装置によって前記搭載対象体としての基板に搭載された前記球状体が溶融されて当該基板に固着されている。
【0019】
また、請求項14記載の球状体搭載済基板は、請求項12記載の球状体搭載方法によって前記搭載対象体としての基板に搭載された前記球状体が溶融されて当該基板に固着されている。
【0020】
また、請求項15記載の電子部品搭載済基板は、請求項13または14記載の球状体搭載済基板に固着された前記球状体を介して接続された電子部品が当該球状体搭載済基板に搭載されている。
【発明の効果】
【0021】
請求項1記載の球状体吸着装置、請求項6記載の球状体搭載装置、請求項7記載の球状体吸着方法、および請求項12記載の球状体搭載方法では、球状体を吸着保持部の先端部で吸着させて保持させ、球状体を保持している吸着保持部と吸着ヘッドの吸着面とを相対的に近接させた状態で着保持部が吸着面に沿って相対的に移動するように吸着ヘッドおよび吸着保持部の少なくとも一方を移動させて吸着ヘッドに対して球状体を供給する供給処理を実行する。このため、この球状体吸着装置、球状体搭載装置、球状体吸着方法および球状体搭載方法によれば、適量の球状体を先端部に保持させることで、その球状体を吸着保持部の移動に伴って分散させつつ徐々に供給させることができるため、球状体の過剰な供給を確実に防止することができる結果、余剰な球状体の付着を少なく抑えることができる。したがって、この球状体吸着装置、球状体搭載装置、球状体吸着方法および球状体搭載方法によれば、搭載対象の球状体だけを吸着ヘッドによって保持させることができるため、余剰な球状体の搭載対象体への搭載、つまり搭載対象体に対する球状体の過剰な搭載を確実に防止することができる。
【0022】
また、請求項2記載の球状体吸着装置、請求項6記載の球状体搭載装置、請求項8記載の球状体吸着方法、および請求項12記載の球状体搭載方法では、収容容器の開口部側に配設されて球状体を先端部で保持した状態で基端部を中心として回動可能な吸着保持部の先端部に球状体を保持させ、供給処理の実行時において球状体を保持している先端部が吸着面に対向するように吸着保持部を回動させる。このため、この球状体吸着装置、球状体搭載装置、球状体吸着方法および球状体搭載方法によれば、吸着保持部を回動させるだけの簡易な構成でありながら、適量の球状体を吸着ヘッドに確実に供給することができる。
【0023】
また、請求項3記載の球状体吸着装置、請求項6記載の球状体搭載装置、請求項9記載の球状体吸着方法、および請求項12記載の球状体搭載方法では、吸着保持部に続いて吸引部が吸着面に沿って相対的に移動するように吸着ヘッドおよび吸引部の少なくとも一方を移動させて吸気口の縁部に吸着された球状体を除く余剰な球状体を除去する除去処理を実行する。このため、この球状体吸着装置、球状体搭載装置、球状体吸着方法および球状体搭載方法によれば、搭載対象の球状体と余剰な球状体とが静電気や分子間力によって互いに強く引き合っていたとしても、吸引部による吸引によって余剰な球状体の全てを搭載対象の球状体から強制的に引き離して吸着ヘッドから確実に除去することができる。したがって、この球状体吸着装置、球状体搭載装置、球状体吸着方法および球状体搭載方法によれば、搭載対象の球状体だけをより確実に吸着ヘッドによって保持させることができるため、余剰な球状体の搭載対象体への搭載、つまり搭載対象体に対する球状体の過剰な搭載を一層確実に防止することができる。
【0024】
また、請求項4記載の球状体吸着装置、請求項6記載の球状体搭載装置、請求項10記載の球状体吸着方法、および請求項12記載の球状体搭載方法では、一体に構成された収容容器、吸着保持部および吸引部を用いて供給処理および除去処理を実行する。このため、この球状体吸着装置、球状体搭載装置、球状体吸着方法および球状体搭載方法によれば、別体に構成された収容容器、吸着保持部および吸引部を用いて、これらを複数の移動機構を用いて個別に移動させる構成および方法と比較して、1つの移動機構でこれらを一度に移動させることができる結果、球状体吸着装置および球状体搭載装置を簡易に構成することができると共に処理効率を向上することができる。
【0025】
また、請求項5記載の球状体吸着装置、請求項6記載の球状体搭載装置、請求項11記載の球状体吸着方法、および請求項12記載の球状体搭載方法では、吸気口に連通しかつ球状体が通過可能な貫通孔が形成された整列用プレートを吸着ヘッドに装着させた状態において供給処理および除去処理を行う。このため、この球状体吸着装置、球状体搭載装置、球状体吸着方法および球状体搭載方法によれば、供給処理の際に吸着ヘッドの各吸気口に球状体を1つずつ確実に供給することができる。
【0026】
また、請求項13,14記載の球状体搭載済基板では、上記の球状体搭載装置または上記の球状体搭載方法によって搭載対象体としての基板に搭載された球状体が溶融されて基板に固着されている。このため、この球状体搭載済基板では、搭載対象体としての基板に対する球状体の過剰な搭載が確実に防止される結果、球状体を溶融して基板に固着させる際に、過剰に搭載された球状体が溶融に伴って互いに接続される事態が回避されている。したがって、この球状体搭載済基板によれば、電子部品を実装する際に、接続された球状体(半田)を介して電子部品の端子同士が短絡する不良の発生を確実に防止することができる。
【0027】
また、請求項15記載の電子部品搭載済基板では、上記の球状体搭載済基板に固着された球状体を介して接続された電子部品が球状体搭載済基板に搭載されている。このため、この電子部品搭載済基板では、過剰に搭載された球状体が溶融に伴って互いに接続される事態が回避されている結果、電子部品を実装する際に、接続された球状体(半田)を介して電子部品の端子同士が短絡する不良の発生が確実に防止されている。したがって、この電子部品搭載済基板によれば、この電子部品搭載済基板を用いた製品における不良の発生を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】半田ボール搭載装置1の構成を示す構成図である。
【図2】半田ボール吸着装置2の構成を示す構成図である。
【図3】半田ボール吸着装置2の構成を示す断面図である。
【図4】吸着ヘッド11の底壁22および整列用プレート17の構成を示す断面図である。
【図5】収容容器12、吸着保持部13および吸引部14で構成される本体部100の斜視図である。
【図6】収容容器12、吸着保持部13、吸引部14で構成される本体部100の分解斜視図である。
【図7】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第1の説明図である。
【図8】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第2の説明図である。
【図9】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第3の説明図である。
【図10】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第4の説明図である。
【図11】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第5の説明図である。
【図12】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第6の説明図である。
【図13】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第7の説明図である。
【図14】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第8の説明図である。
【図15】半田搭載済基板600の構成を示す断面図である。
【図16】電子部品実装済基板700の構成を示す断面図である。
【図17】従来の半田ボール搭載装置の動作を説明する第1の説明図である。
【図18】従来の半田ボール搭載装置の動作を説明する第2の説明図である。
【図19】従来の半田ボール搭載装置の動作を説明する第3の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る球状体吸着装置、球状体搭載装置、球状体吸着方法、球状体搭載方法および球状体搭載済基板の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0030】
最初に、図1に示す半田ボール搭載装置1の構成について説明する。半田ボール搭載装置1は、本発明に係る球状体搭載装置の一例であって、同図に示すように、半田ボール吸着装置2および搬送装置3を備えて、本発明に係る球状体搭載方法に従い、本発明における球状体の一例としての微小な球状粒体である半田ボール(マイクロボール)300(図4参照)を搭載対象体としての基板400(基板400に形成された図外の端子上)に搭載(載置)可能に構成されている。この場合、半田ボール300は、直径L1(同図参照)が70μm程度の球状に構成されている。また、半田ボール300は、図15に示すように、半田ボール搭載装置1によって基板400に搭載された後に加熱溶融されて半球状(同図に示す半田301)となった状態で基板400の表面(図外の端子上)に固着されて基板400上にボールグリッドアレイ(BGA)を構成し、これによって半田搭載済基板(球状体搭載済基板)600が製造される。また、図16に示すように、このようにして製造された半田搭載済基板600には、集積回路等の電子部品701が搭載され、その電子部品701における図外の端子が半田搭載済基板600における基板400に固着された半田ボール300(半田301)を介して基板400(図外の端子)に接続され、これによって電子部品実装済基板700が製造される。
【0031】
半田ボール吸着装置2は、本発明に係る球状体吸着装置の一例であって、図2に示すように、吸着ヘッド11、収容容器12、吸着保持部13、吸引部14、駆動機構15、吸気装置16、整列用プレート17および制御部18を備えて構成されて、本発明に係る球状体吸着方法に従い、後述する供給処理および除去処理を実行して半田ボール300を吸着する。
【0032】
吸着ヘッド11は、図3に示すように、一例として、内部に空隙21が形成された箱状に構成されている。また、図4に示すように、吸着ヘッド11における底壁22には、底壁22の外面(本発明における吸着面として機能する面であって、以下「吸着面22a」ともいう)に開口すると共に空隙21と連通する吸気孔23が、底壁22の厚み方向に沿って複数(同図では、そのうちの1個のみを図示している)形成されている。なお、吸着面22aにおける吸気孔23の開口部が本発明における吸気口(以下、「吸気口23a」ともいう)に相当する。
【0033】
この場合、図4に示すように、吸気孔23(つまり、吸気口23a)の直径L2は、半田ボール300の直径L1(この例では、70μm)よりも短い40μm程度に規定されている。また、図3に示すように、吸着ヘッド11には、空隙21内の空気を排気するための排気孔24が形成されている。この吸着ヘッド11では、空隙21内の空気の排気によって空隙21内が負圧状態となり、それに伴って吸気口23aからの吸気が行われることにより、吸着ヘッド11の吸着面22aにおける吸気口23aの縁部に半田ボール300を吸着することが可能となっている(図4参照)。
【0034】
収容容器12は、図3,6に示すように、その内面が断面半円状に湾曲した容器本体31と、容器本体31の両側部に配設された2枚の側壁32a,32bとを備えて、容器本体31および側壁32a,32bによって形成される収容部12a(図3参照)内に半田ボール300を収容可能に構成されている。また、収容容器12の開口部12b(同図参照)側には、側壁32a,32bに両端部が支持されたワイパー33が配設されている。また、側壁32a,32bには、吸着保持部13を回動可能に支持するためのベアリング34(図6参照)が配設されている。この場合、収容容器12は、後述する供給処理の実行時において開口部12bが吸着ヘッド11の吸着面22aに対向するように配置される。
【0035】
吸着保持部13は、図6に示すように、全体として直方体状に形成されると共に、図3に示すように、基端部13b側から先端部13aに至る吸気経路13cが内部に形成されて、収容容器12の収容部12a内に収容されている半田ボール300をその先端部13aで吸着して保持可能に構成されている。また、吸着保持部13の先端部13aには、通気性シート43が取り付けられている。また、吸着保持部13は、基端部13b側に配設された軸41および吸気管42が収容容器12の側壁32a,32bに配設されたベアリング34によって回転可能に支持されることで、収容容器12の開口部12b側において基端部13bを中心として回動可能に配設されている。
【0036】
この場合、吸着保持部13は、図3に示すように、先端部13aが収容容器12の容器本体31の底部側に対向しているときに、収容容器12の収容部12aに収容されている半田ボール300を先端部13aで吸着して保持する。また、吸着保持部13は、後述する供給処理の実行時において、図8に示すように、半田ボール300を保持している先端部13aが吸着ヘッド11の吸着面22aに対向するように駆動機構15によって回動させられる。
【0037】
吸引部14は、図3,6に示すように、2枚の区画壁51a,51bを備えて構成されて、収容容器12における2枚の側壁32a,32bと区画壁51a,51bとによって形成される吸引経路14a(図3参照)を介して半田ボール300を吸引可能に構成されている。この場合、この半田ボール吸着装置2では、収容容器12、吸着保持部13および吸引部14が上記のように構成されることで、図5に示すように、これらが一体に構成されている(以下、一体化された収容容器12、吸着保持部13および吸引部14を全体として「本体部100」ともいう)。
【0038】
駆動機構15は、本発明における移動機構として機能し、制御部18の制御に従って本体部100(収容容器12、吸着保持部13および吸引部14)を移動させる。また、駆動機構15は、本発明における回動機構として機能し、制御部18の制御に従って吸着保持部13を回動させる。吸気装置16は、吸気ポンプおよび電磁バルブ(いずれも図示せず)を備えて構成されている。また、吸気装置16は、吸気管61(図2参照)を介して、吸着ヘッド11の排気孔24、吸着保持部13の吸気経路13cに連通する吸気管42、および吸引部14の吸引経路14aに繋がれている。この場合、吸気装置16は、制御部18の制御に従って作動して、吸着ヘッド11の空隙21内を負圧状態とすることによる吸気口23aからの吸気、吸着保持部13における吸気経路13cからの吸気、吸引部14における吸引経路14aからの吸気(吸引)を行う。
【0039】
整列用プレート17は、吸着ヘッド11に対して着脱可能に構成されると共に、図4に示すように、吸着ヘッド11の吸着面22aに上面17aが接触するように装着された状態において吸着ヘッド11の吸気口23aに連通する貫通孔71が形成されている。この場合、同図に示すように、整列用プレート17の厚みL3は、吸気口23aの縁部に吸着された半田ボール300が下面17bから突出しない80μm程度に規定されている。また、貫通孔71の直径L4は、半田ボール300が通過可能な90μm程度に規定されている。また、整列用プレート17は、本体部100の配置位置の上方の位置(本発明における供給処理および除去処理が実行される位置)に配置されている。
【0040】
制御部18は、駆動機構15、吸気装置16および搬送装置3を制御する。この場合、制御部18は、駆動機構15を制御して、半田ボール300を保持した吸着保持部13の先端部13aを整列用プレート17(整列用プレート17が装着された吸着ヘッド11の吸着面22a)に近接させた状態で、吸着保持部13および吸引部14(つまり、本体部100)を整列用プレート17(吸着面22a)に沿って移動させることにより、吸着ヘッド11に対して半田ボール300を供給する供給処理、および吸着面22aにおける吸気口23aの縁部に吸着された半田ボール300(以下、この半田ボール300を「搭載対象の半田ボール300」ともいう)を除く半田ボール300(以下、この半田ボール300を「余剰な半田ボール300」ともいう)を除去する除去処理を実行する。
【0041】
搬送装置3は、半田ボール吸着装置2における制御部18の制御に従い、整列用プレート17の配置位置(本体部100の配置位置の上方の位置であって、本発明における供給処理および除去処理が実行される位置)と基板400の配置位置との間で吸着ヘッド11を搬送する。
【0042】
次に、半田ボール搭載装置1を用いて、本発明に係る球状体吸着方法に従って半田ボール吸着装置2に半田ボール300を吸着させ、その半田ボール300を基板400に搭載する工程、およびその際の半田ボール搭載装置1の動作について、図面を参照して説明する。なお、初期状態では、半田ボール吸着装置2における吸着保持部13の先端部13aが、収容容器12における容器本体31の底部側に対向している(先端部13aが下向きとなっている)ものとする。
【0043】
この半田ボール搭載装置1では、開始操作がされたときに、制御部18が、搬送装置3を制御して、図3に示すように、整列用プレート17の配置位置に吸着ヘッド11を搬送させる。この際に、図4に示すように、吸着ヘッド11の吸着面22aと整列用プレート17の上面17aとが接触する。次いで、制御部18は、吸気装置16を作動させる。この際に、吸着ヘッド11の空隙21内が負圧状態となって吸気口23aからの吸気が開始される。また、吸着保持部13における吸気経路13cからの吸気、および吸引部14における吸引経路14aからの吸気が開始される。
【0044】
続いて、吸着保持部13における吸気経路13cからの吸気に伴い、収容容器12の収容部12aに収容されている半田ボール300が吸着保持部13の先端部13aに吸着されて保持される。次いで、制御部18は、駆動機構15を制御して、吸着保持部13の基端部13bに取り付けられている吸気管42を回転させることにより、図7に示すように、基端部13bを中心として吸着保持部13を回動させる。この際に、先端部13aに保持されている半田ボール300が吸着保持部13の回動に伴い、収容容器12の開口部12b側に移動させられる。また、開口部12b側に移動させられた半田ボール300の一部が、開口部12b側に配設されているワイパー33によって払い落とされる。このため、吸着ヘッド11に供給される半田ボール300の量(数)が適正な量に制限される。
【0045】
続いて、制御部18は、図8に示すように、吸着保持部13の先端部13aが吸着ヘッド11の吸着面22aに対向した時点(吸着保持部13が180°回動した時点)で、駆動機構15を制御して、吸気管42の回転を停止させる。次いで、制御部18は、供給処理を実行する。この供給処理では、制御部18は、駆動機構15を制御して、図9に示すように、吸着ヘッド11の吸着面22a(整列用プレート17)に向けて(同図における上方に向けて)本体部100を移動させて、先端部13aを整列用プレート17(吸着面22a)の一端側(同図における左側)に近接させる。この際に、整列用プレート17に近接させられた先端部13aに保持されている半田ボール300のうちの整列用プレート17側(上部)に位置している半田ボール300が、吸着ヘッド11の吸気口23aからの吸気に伴う吸引力によって吸着保持部13の吸引力に抗して吸着ヘッド11に引き寄せられて、吸着ヘッド11に供給される。また、供給された半田ボール300の一部が、吸気口23aに引き寄せられて、整列用プレート17の各貫通孔71を通って吸着ヘッド11の吸着面22aにおける吸気口23aの縁部に吸着される。
【0046】
続いて、制御部18は、駆動機構15を制御して、図10に示すように、先端部13aを整列用プレート17に近接させた状態で、本体部100を整列用プレート17(吸着面22a)に沿って整列用プレート17の他端側(同図における右側)に向けて(同図に矢印で示す方向に)移動させる。この際に、上記したように、先端部13aに保持されている半田ボール300のうちの整列用プレート17側に位置している半田ボール300が、吸着ヘッド11の吸引力によって吸着保持部13の吸引力に抗して吸着ヘッド11に引き寄せられて、吸着ヘッド11に供給され、その一部が整列用プレート17の各貫通孔71を通って吸着ヘッド11の吸着面22aにおける吸気口23aの縁部に吸着される。このようにして、吸着保持部13の先端部13aに保持されている半田ボール300が、吸着保持部13の移動に伴って徐々に(分散されつつ)吸着ヘッド11に供給されると共に、供給された半田ボール300の一部が吸着ヘッド11の吸着面22aにおける各吸気口23aの縁部に1つずつ吸着される。
【0047】
ここで、半田ボール300は、上記したように微小なため、静電気や分子間力による半田ボール300同士が互いに引き合う力が半田ボールの重量に対して相対的に大きくなっている。このため、吸気口23aの縁部に吸着された搭載対象の半田ボール300に、他の余剰な半田ボール300が付着する。この場合、この半田ボール吸着装置2では、上記したように、整列用プレート17の厚みL3が半田ボール300の直径L1よりもやや厚い80μm程度に規定され、貫通孔71の直径L4が、半田ボール300の直径L1よりもやや大きい90μm程度に規定されている。このため、搭載対象の半田ボール300だけが貫通孔71内に収容され、余剰な半田ボール300は、その一部分(体積的な一部分)またはその全体が貫通孔71の下面17bよりも外側(下側)に突出した状態で付着している。また、この半田ボール吸着装置2では、上記したように、先端部13aに保持されている半田ボール300が分散されつつ供給されるため、半田ボール300の過剰な供給が防止されて、余剰な半田ボール300の付着が少なく抑えられている。
【0048】
次いで、制御部18は、除去処理を実行する。この除去処理では、制御部18は、駆動機構15を制御して、図11に示すように、本体部100を整列用プレート17に沿って(同図に矢印で示す方向に)さらに移動させる。この際に、同図に示すように、吸着保持部13に続いて吸引部14が移動させられて、吸引部14における吸引経路14aからの吸気によって余剰な半田ボール300が吸引される。このため、搭載対象の半田ボール300と余剰な半田ボール300とが互いに強く引き合っていたとしても、余剰な半田ボール300の全てが搭載対象の半田ボール300から強制的に引き離されて吸着ヘッド11または整列用プレート17から確実に除去される。
【0049】
続いて、制御部18は、搬送装置3を制御して、図12に示すように、吸着ヘッド11が整列用プレート17から離反するように、吸着ヘッド11を同図に示す矢印の向きに移動させる。次いで、制御部18は、搬送装置3を制御して、吸着ヘッド11を基板400の配置位置に搬送させ、続いて、図13に示すように、吸着ヘッド11によって吸着されている半田ボール300が基板400の表面に接触するように吸着ヘッド11を基板400に向けて(同図に示す矢印の向きに)移動させる。次いで、制御部18は、吸気装置16を制御して、吸着ヘッド11における吸気口23aからの吸気を停止させる。この際に、図14に示すように、吸着ヘッド11による吸着が解除されて、半田ボール300が基板400の表面に塗布された半田フラックス上に載置される。続いて、制御部18は、搬送装置3を制御して、同図に示すように、吸着ヘッド11を上方に向けて(同図に示す矢印の向きに)移動させた後に、初期位置に搬送させる。以上により、基板400への半田ボール300の搭載が完了する。この場合、この半田ボール吸着装置2では、上記した供給処理を実行することで半田ボール300の過剰な供給が防止されると共に、上記した除去処理を実行することで余剰な半田ボール300が確実に除去されている。このため、この半田ボール搭載装置1では、余剰な半田ボール300の基板400への搭載(つまり、基板400に対する半田ボール300の過剰な搭載)が確実に防止される。
【0050】
続いて、制御部18は、駆動機構15、吸気装置16および搬送装置3に対する制御を繰り返すことにより、他の基板400に対する半田ボール300の搭載が連続して行われる。一方、半田ボール300の搭載が完了した基板400は、図外の取り出し装置によって取り出されて、図外の搭載状態検査装置に搬送され、搭載状態検査装置によって半田ボール300が過不足なく搭載されているか否かの搭載状態検査が行われる。この場合、搭載状態検査において不良と判別された基板400は、不良品のストック場所に搬送される。また、搭載状態検査において良好と判別された基板400は、図外のリフロー処理装置に搬送され、リフロー処理装置によってリフロー処理(溶融処理)が行われることにより、図15に示すように、基板400に搭載された各半田ボール300が溶融されて半球状(同図に示す半田301)となった状態で、基板400の表面(図外の端子上)に固着する。また、固着された半田301によって基板400上にボールグリッドアレイ(BGA)が構成される。以上により、同図に示すように、半田搭載済基板(球状体搭載済基板)600が製造される。次いで、半田搭載済基板600は、図外の電子部品搭載装置に搬送され、続いて、電子部品搭載装置によって半田搭載済基板600に電子部品701が搭載される。次いで、例えばリフロー処理により、半田搭載済基板600における基板400に固着された半田ボール300(半田301)が溶融されることで、搭載された電子部品701における図外の端子が、溶融された半田ボール300(半田301)を介して基板400(図外の端子)に接続される。これにより、図16に示すように、電子部品実装済基板700が製造される。
【0051】
このように、この半田ボール吸着装置2、半田ボール搭載装置1、球状体吸着方法および球状体搭載方法では、半田ボール300を吸着保持部13の先端部13aで吸着させて保持させ、先端部13aを吸着面22aに近接させた状態で吸着保持部13を吸着面22aに沿って移動させて吸着ヘッド11に対して半田ボール300を供給する供給処理を実行する。このため、この半田ボール吸着装置2、半田ボール搭載装置1、球状体吸着方法および球状体搭載方法によれば、適量の半田ボール300を先端部13aに保持させることで、その半田ボール300を吸着保持部13の移動に伴って分散させつつ徐々に供給させることができるため、半田ボール300の過剰な供給を確実に防止することができる結果、余剰な半田ボール300の付着を少なく抑えることができる。
【0052】
また、この半田ボール吸着装置2、半田ボール搭載装置1、球状体吸着方法および球状体搭載方法では、収容容器12の開口部12b側に配設された吸着保持部13の先端部13aを収容容器12における容器本体31の底部側に対向させて半田ボール300を先端部13aで吸着して保持させ、供給処理の実行時において先端部13aが吸着ヘッド11の吸着面22aに対向するように吸着保持部13を回動させる。このため、この半田ボール吸着装置2、半田ボール搭載装置1および球状体吸着方法によれば、吸着保持部13を回動させるだけの簡易な構成でありながら、適量の半田ボール300を吸着ヘッド11に確実に供給することができる。
【0053】
また、この半田ボール吸着装置2、半田ボール搭載装置1、球状体吸着方法および球状体搭載方法では、半田ボール300を吸引する吸引部14を吸着保持部13に続いて移動させて吸気口23aの縁部に吸着された半田ボール300を除く余剰な半田ボール300を除去する除去処理を実行する。このため、この半田ボール吸着装置2、半田ボール搭載装置1、球状体吸着方法および球状体搭載方法によれば、搭載対象の半田ボール300と余剰な半田ボール300とが静電気や分子間力によって互いに強く引き合っていたとしても、吸引部14による吸引によって余剰な半田ボール300の全てを搭載対象の半田ボール300から強制的に引き離して吸着ヘッド11(または整列用プレート17)から確実に除去することができる。したがって、この半田ボール吸着装置2、半田ボール搭載装置1、球状体吸着方法および球状体搭載方法によれば、搭載対象の半田ボール300だけを吸着ヘッド11によって保持させることができるため、余剰な半田ボール300の基板400への搭載、つまり基板400に対する半田ボール300の過剰な搭載を確実に防止することができる。
【0054】
また、この半田ボール吸着装置2、半田ボール搭載装置1、球状体吸着方法および球状体搭載方法では、収容容器12、吸着保持部13および吸引部14を一体に構成した本体部100を用いて供給処理および除去処理を実行する。このため、この半田ボール吸着装置2、半田ボール搭載装置1、球状体吸着方法および球状体搭載方法によれば、別体に構成された収容容器12、吸着保持部13および吸引部14を用いて、これらを複数の駆動機構を用いて個別に移動させる構成および方法と比較して、1つの駆動機構15でこれらを一度に移動させることができる結果、半田ボール吸着装置2および半田ボール搭載装置1を簡易に構成することができると共に処理効率を向上することができる。
【0055】
また、この半田ボール吸着装置2、半田ボール搭載装置1、球状体吸着方法および球状体搭載方法では、吸気口23aに連通しかつ半田ボール300が通過可能な貫通孔71が形成された整列用プレート17を吸着ヘッド11に装着させた状態において供給処理および除去処理を行う。このため、この半田ボール吸着装置2、半田ボール搭載装置1、球状体吸着方法および球状体搭載方法によれば、供給処理の際に吸着ヘッド11の各吸気口23aに半田ボール300を1つずつ確実に供給することができる。
【0056】
また、この半田搭載済基板600では、上記の半田ボール搭載装置1(球状体搭載方法)によって基板400に搭載された半田ボール300が溶融されて基板400に固着されている。このため、この半田搭載済基板600では、基板400に対する半田ボール300の過剰な搭載が確実に防止される結果、半田ボール300を溶融して基板400に固着させる際に、過剰に搭載された半田ボール300が溶融に伴って互いに接続される事態が回避されている。したがって、この半田搭載済基板600によれば、電子部品を実装する際に、接続された半田ボール300(半田301)を介して電子部品の端子同士が短絡する不良の発生を確実に防止することができる。
【0057】
また、この電子部品実装済基板700では、上記の半田搭載済基板600における基板400に固着された半田ボール300(半田301)を介して接続された電子部品701半田搭載済基板600に搭載されている。このため、この電子部品実装済基板700では、過剰に搭載された半田ボール300が溶融に伴って互いに接続される事態が回避されている結果、電子部品701を実装する際に、接続された半田ボール300(半田301)を介して電子部品701の端子同士が短絡する不良の発生が確実に防止されている。したがって、この電子部品実装済基板700によれば、この電子部品実装済基板700を用いた製品における不良の発生を確実に防止することができる。
【0058】
なお、本発明は、上記の構成および方法に限定されない。例えば、収容容器12、吸着保持部13および吸引部14を一体に構成した本体部100を用いる構成および方法について上記したが、別体にした収容容器12、吸着保持部13および吸引部14を用いて、これらを個別に駆動する構成および方法を採用することもできる。また、収容容器12および吸着保持部13を一体に構成すると共に、吸引部14を別体に構成し、一体に構成した収容容器12および吸着保持部13と、別体に構成した吸引部14とを個別に駆動する構成および方法を採用することもできる。また、静止状態の吸着ヘッド11に対して本体部100を移動させて供給処理および吸引処理を実行する構成および方法について上記したが、静止状態の本体部100に対して吸着ヘッド11(または、吸着ヘッド11および整列用プレート17の双方)を移動させて供給処理および吸引処理を実行する構成および方法を採用することもできる。また、吸着ヘッド11および本体部100の双方を移動させて供給処理および吸引処理を実行する構成および方法を採用することもできる。さらに、収容容器12、吸着保持部13および吸引部14を別体にしたときには、収容容器12および吸着保持部13の一方または双方(つまり、両者の1つ以上)を移動させて吸着保持部13に半田ボール300を保持させた後に、吸着ヘッド11および吸着保持部13の一方または双方(つまり、両者の1つ以上)を移動させて供給処理を行い、吸着ヘッド11および吸引部14の一方または双方(つまり、両者の1つ以上)を移動させて吸引処理を行う構成および方法を採用することができる。また、収容容器12および吸着保持部13を一体に構成すると共に(以下、両者による構成体を「一体構成体」という)、吸引部14を別体に構成したときには、吸着ヘッド11および一体構成体の一方または双方(つまり、両者の1つ以上)を移動させて供給処理を行い、吸着ヘッド11および吸引部14の一方または双方(つまり、両者の1つ以上)を移動させて吸引処理を行う構成および方法を採用することができる。
【0059】
また、整列用プレート17を用いる構成および方法について上記したが、整列用プレート17を用いない構成および方法を採用することもできる。また、基板400の表面に塗布した半田フラックス上に半田ボール300を載置する構成に代えて、吸着ヘッド11によって吸着された半田ボール300の先端部をトレイに収容した半田フラックスに浸してその先端部に半田フラックスを付着させた後に、半田フラックスが塗布されていない基板400の上にその半田ボール300を載置する構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0060】
1 半田ボール搭載装置
2 半田ボール吸着装置
3 搬送装置
11 吸着ヘッド
12 収容容器
12b 開口部
13 吸着保持部
13a 先端部
13b 基端部
14 吸引部
15 駆動機構
17 整列用プレート
17a 上面
18 制御部
22a 吸着面
23a 吸気口
71 貫通孔
100 本体部
300 半田ボール
301 半田
400 基板
600 半田搭載済基板
700 電子部品実装済基板
701 電子部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸着面に形成された吸気口の縁部に球状体を吸着する吸着ヘッドを備えた球状体吸着装置であって、
開口部を有して前記球状体を収容する収容容器と、当該収容容器に収容されている前記球状体をその先端部で吸着して保持する吸着保持部と、移動機構と、当該移動機構を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記移動機構を制御して、前記先端部に前記球状体を保持している前記吸着保持部と前記吸着ヘッドの前記吸着面とを相対的に近接させた状態で当該吸着保持部が当該吸着面に沿って相対的に移動するように当該吸着ヘッドおよび当該吸着保持部の少なくとも一方を移動させて前記吸気口から吸引している状態の前記吸着ヘッドに対して当該球状体を供給する供給処理を実行する球状体吸着装置。
【請求項2】
前記吸着保持部を回動させる回動機構を備え、
前記吸着保持部は、前記収容容器の前記開口部側に配設されて、前記球状体を前記先端部で保持した状態で基端部を中心として前記回動機構によって回動可能に構成され、
前記制御部は、前記供給処理の実行時において、前記回動機構を制御して前記球状体を保持している前記先端部が前記吸着面に対向するように前記吸着保持部を回動させる請求項1記載の球状体吸着装置。
【請求項3】
前記球状体を吸引可能な吸引部を備え、
前記制御部は、前記移動機構を制御して、前記吸着保持部に続いて前記吸引部が前記吸着面に沿って相対的に移動するように前記吸着ヘッドおよび当該吸引部の少なくとも一方を移動させて前記吸気口の縁部に吸着されている前記球状体を除く余剰な前記球状体を吸引させて除去する除去処理を実行する請求項1または2記載の球状体吸着装置。
【請求項4】
前記収容容器、前記吸着保持部および前記吸引部が一体に構成されている請求項3記載の球状体吸着装置。
【請求項5】
前記吸着ヘッドに対して着脱可能に構成されると共に前記吸着面にその一面が接触するように装着された状態において前記吸気口に連通しかつ前記球状粒体が通過可能な貫通孔が形成された整列用プレートを備え、
前記制御部は、前記整列用プレートが前記吸着ヘッドに装着された状態において前記供給処理を行う請求項1から4のいずれかに記載の球状体吸着装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の球状体吸着装置と、当該球状体吸着装置の前記吸着ヘッドを前記供給処理が実行される位置に搬送すると共に前記球状体を吸着している前記吸着ヘッドを搭載対象体の配置位置まで搬送する搬送装置とを備えて、前記球状体を前記搭載対象体に搭載する球状体搭載装置。
【請求項7】
吸着面に形成された吸気口の縁部に球状体を吸着する吸着ヘッドに当該球状体を吸着させる球状体吸着方法であって、
開口部を有する収容容器に収容されている前記球状体を吸着保持部の先端部で吸着させて保持させ、前記先端部に前記球状体を保持している前記吸着保持部と前記吸着ヘッドの前記吸着面とを相対的に近接させた状態で当該吸着保持部が当該吸着面に沿って相対的に移動するように当該吸着ヘッドおよび当該吸着保持部の少なくとも一方を移動させて前記吸気口から吸引している状態の前記吸着ヘッドに対して当該球状体を供給する供給処理を実行する球状体吸着方法。
【請求項8】
前記収容容器の前記開口部側に配設されて前記球状体を前記先端部で保持した状態で基端部を中心として回動可能な前記吸着保持部の当該先端部に当該球状体を保持させ、前記供給処理の実行時において、前記球状体を保持している前記先端部が前記吸着面に対向するように前記吸着保持部を回動させる請求項7記載の球状体吸着方法。
【請求項9】
前記球状体を吸引可能な吸引部が前記吸着保持部に続いて前記吸着面に沿って相対的に移動するように前記吸着ヘッドおよび当該吸引部の少なくとも一方を移動させて前記吸気口の縁部に吸着されている前記球状体を除く余剰な前記球状体を吸引させて除去する除去処理を実行する請求項7または8記載の球状体吸着方法。
【請求項10】
一体に構成された前記収容容器、前記吸着保持部および前記吸引部を用いて前記供給処理および前記除去処理を実行する請求項9記載の球状体吸着方法。
【請求項11】
前記吸着ヘッドに対して着脱可能に構成されると共に前記吸着面にその一面が接触するように装着された状態において前記吸気口に連通しかつ前記球状粒体が通過可能な貫通孔が形成された整列用プレートを当該吸着ヘッドに装着させた状態において前記供給処理を行う請求項7から10のいずれかに記載の球状体吸着方法。
【請求項12】
請求項7から11のいずれかに記載の球状体吸着方法で前記吸着ヘッドに前記球状体を吸着させ、当該球状体を吸着している前記吸着ヘッドを搭載対象体の配置位置まで搬送して当該球状体を前記搭載対象体に搭載する球状体搭載方法。
【請求項13】
請求項6記載の球状体搭載装置によって前記搭載対象体としての基板に搭載された前記球状体を溶融して当該基板に固着させた球状体搭載済基板。
【請求項14】
請求項12記載の球状体搭載方法によって前記搭載対象体としての基板に搭載された前記球状体を溶融して当該基板に固着させた球状体搭載済基板。
【請求項15】
請求項13または14記載の球状体搭載済基板に固着された前記球状体を介して接続された電子部品が当該球状体搭載済基板に搭載されている電子部品搭載済基板。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公開番号】特開2010−212659(P2010−212659A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−284786(P2009−284786)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(000227180)日置電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】