説明

環状シルフェニレンシロキシシロキサン化合物および含ケイ素ポリマー

【課題】環状シロキサン構造を有するモノマー及び誘導される含ケイ素ポリマーの提供。
【解決手段】式(1)の化合物及びこれとビニルモノマーを重合させた含ケイ素ポリマー。(Rはアルキル基又はフェニル基を表し、R〜Rは水素、アルキル基等を表す)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は環状シルフェニレンシロキシシロキサン化合物および含ケイ素ポリマー、ならびに該含ケイ素ポリマーの製造方法、さらには該含ケイ素ポリマーを用いてなる膜成形体に関する。また、本発明のポリマーは環状構造に起因する機能の向上が期待される耐熱性ポリマー、低屈折率ポリマー、低誘電率ポリマーまたは低熱伝導率ポリマーなどの機能性ポリマーとして、及びこれを成膜して気体あるいは液体分離膜などに使用される。
【背景技術】
【0002】
シルフェニレンシロキサン誘導体は、用途に応じて熱的特性を調節するためにポリシロキサン骨格内に導入されるなどして、シリコーン類の改質剤として用いられてきた(非特許文献1)。ポリシルフェニレンシロキサンの合成については報告例が有り、熱物性が調べられている(非特許文献2,3,4)。また、環状のシルフェニレンシロキサンの合成についての報告例がある(特許文献1,非特許文献5)。環状シロキサン構造を有する含ケイ素ポリマーが最近合成され、熱物性について報告された(非特許文献6)。しかし、本発明の環状シルフェニレンシロキシシロキサン化合物や、環状シルフェニレンシロキシシロキサン構造をポリマー骨格に有する本発明の含ケイ素ポリマーは新規の化合物である。
【非特許文献1】N. OkuiらPolymer, 19巻, 411頁(1978)
【非特許文献2】Y. KawakamiらMolecular Crystals and Liquid Crystals, 415巻, 75-92頁 (2004年)
【非特許文献3】F. Guida-PietrasantaらAdvanced Polymer Science, 179巻, 1-27頁 (2005年)
【非特許文献4】H. ItoらPolymer Journal, 38巻 (2号), 109-116頁 (2006)
【特許文献1】GB 916135 (Dow Corning Corp., 1963)
【非特許文献5】J. BeckmannらOrganometallics, 24巻, 3629-3633頁 (2005年)
【非特許文献6】M. SeinoらDesigned Monomers and Polymers, 7巻 (6号), 677-685頁 (2004年)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般に、疎水的且つ分子内空隙が大きい膜材料は、低分子気体や液体の拡散性、透過性に優れ、加えて低い熱伝導率、低い屈折率、低い比誘電率等の特性を発現すると考えられている。一方、環状構造を主鎖骨格中に導入すれば、環状構造を持っていない場合に比べ主鎖切断による分子量の低下が抑制でき、熱分解温度が上昇すると考えられている。従来知られているポリシルフェニレンシロキサンは疎水的且つ耐熱性に優れた材料として期待できるが、環状のシルフェニレンシロキサンを骨格中に導入した含ケイ素ポリマーはこれまで知られていない。特許文献1および非特許文献5に示した環状シルフェニレンシロキサンは、環状構造を保持したままポリマーに誘導することはできず、また環構造の大きさも比較的小さなものであった。8員環のシクロテトラシロキサン構造を主鎖骨格中に有する含ケイ素ポリマーが知られているが、環構造に基づくさらに大きな分子内空隙を有する含ケイ素ポリマー、およびこのような含ケイ素ポリマーの合成原料となる化合物が切望されていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ヒドロシリル基を二つ有する特定の環状シルフェニレンシロキシシロキサン化合物をヒドロシリル化重合に供することによって、主鎖骨格中に特定の環状シルフェニレンシロキシシロキサン構造を導入した含ケイ素ポリマーを合成できることを見出し、さらにこの環状シルフェニレンシロキシシロキサン構造に基づく大きな分子内空隙を反映して、環状構造を有する含ケイ素ポリマーは、環状構造を持たない場合と比べて低い密度を示し、また主鎖骨格内に環状構造を導入することによって含ケイ素ポリマーの熱分解温度の高温化を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち本発明は、一般式(1)
【化7】

(式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基またはフェニル基を表し、R、R、R、R、R、R、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。)で表される環状シルフェニレンシロキシシロキサン化合物に関する。
【0005】
さらに本発明は一般式(2)
【化8】

(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、Rは前記と同じ意味を表し。Xは二価の有機基または二価の含ケイ素有機基を表す。)で表される繰り返し単位からなる、環状シルフェニレンシロキシシロキサン構造を有することを特徴とする含ケイ素ポリマーに関する。
【0006】
さらに本発明は、一般式(1)
【化9】

(式中、R、R、R、R、R、R、R、RおよびRは前記と同じ意味を表す。)で表される環状シルフェニレンシロキシシロキサン化合物と、一般式(3)
【化10】

(式中、Xは二価の有機基または二価の含ケイ素有機基を表す。)で示されるジビニル誘導体とを、ヒドロシリル化触媒の存在下に重合させることを特徴とする、一般式(2)
【化11】

(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、RおよびXは前記と同じ意味を表す。)で表される繰り返し単位を含む、含ケイ素ポリマーの製造方法に関する。
【0007】
さらに本発明は、一般式(2)
【化12】

(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、RおよびXは前記と同じ意味を表す。)で表される繰り返し単位からなる、含ケイ素ポリマーを用いた膜成形体に関するものである。
【発明の効果】
【0008】
主鎖骨格中に環状シルフェニレンシロキシシロキサン構造を導入した本発明の含ケイ素ポリマーは、同様な主鎖骨格でも環状シルフェニレンシロキシシロキサン構造を有しない含ケイ素ポリマーと比較すると、明らかに耐熱性は向上しさらに密度の低下が認められた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明について詳細に説明する。一般式(1)および(2)において、Rで示される炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基を挙げることができる。原料の入手のしやすさ、合成の容易さの点から、メチル基またはフェニル基が好ましい。R、R、R、R、R、R、RおよびRで示される炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基を例示できる。R、R、R、R、R、R、RおよびRで示される炭素数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基を挙げることが出来る。R、R、R、R、R、R、RおよびRで示される置換基として、原料の入手のしやすさ、合成の容易さの点から、水素原子またはメチル基が好ましい。
【0010】
一般式(2)および(3)において、Xで表される二価の有機基としては、主鎖骨格中に環状シルフェニレンシロキシシロキサン構造を導入した効果が現れれば特に制限はないが、エチレン基、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、p,p’−ビフェニレン基、ジフェニルメタン−4,4’−ジイル基、1,2−ジフェニルエタン−4’,4”−ジイル基、2,2−ジフェニルプロパン−4’,4”−ジイル基、ジフェニルエーテル−4,4’−ジイル基、ジフェニルメチルアミン−4,4’−ジイル基、トリフェニルアミン−4,4’−ジイル基、ベンゾフェノン−4,4’−ジイル基、ジフェニルスルホン−4,4’−ジイル基、9,9−ジフェニルフルオレン−4’,4”−ジイル基、テトラフェニルメタン−4,4’−ジイル基、
または一般式(4)
【化13】

(式中、Xはエチレン基、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、p,p’−ビフェニレン基、ジフェニルメタン−4,4’−ジイル基、1,2−ジフェニルエタン−4’,4”−ジイル基、2,2−ジフェニルプロパン−4’,4”−ジイル基、ジフェニルエーテル−4,4’−ジイル基、ジフェニルメチルアミン−4,4’−ジイル基、トリフェニルアミン−4,4’−ジイル基、ベンゾフェノン−4,4’−ジイル基、ジフェニルスルホン−4,4’−ジイル基、9,9−ジフェニルフルオレン−4’,4’’−ジイル基、テトラフェニルメタン−4,4’−ジイル基を表し、Yは単結合または酸素原子を表す。)で表される基を例示できる。膜成形体を製造するという点で、Xで表される二価の有機基中に、芳香環を2つ以上含むことが好ましく、芳香環を4つ以上含むことがより好ましい。
【0011】
一般式(2)および(3)において、Xで表される二価の含ケイ素有機基としては、主鎖骨格中に環状シルフェニレンシロキシシロキサン構造を導入した効果が現れれば特に制限はないが、ジメチルシリレン基、ジイソプロピルシリレン基、フェニルメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基、ジ(p−トリル)シリレン基、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン−1,3−ジイル基、1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン−1,3−ジイル基、1,1,3,3−テトラシクロペンチルジシロキサン−1,3−ジイル基、1,3−ジフェニル−1,3−ジメチルジシロキサン−1,3−ジイル基、テトラキス(トリメチルシリル)ジシロキサン−1,3−ジイル基、1,1,4,4−テトラメチルジシルエタン−1,4−ジイル基、3,3−ジフェニル−1,1,5,5−テトラメチルトリシロキサン−1,5−ジイル基、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン−1,5−ジイル基、3−フェニル−1,1,3,5,5−ペンタメチルトリシロキサン−1,5−ジイル基、1,4−フェニレンテトラメチルジシリレン基、1,4−フェニレンテトラフェニルジシリレン基、4,4’−ビフェニレンテトラメチルジシリレン基、4,4’−ビフェニレンテトラフェニルジシリレン基、ジフェニルエーテル−4,4’−ジイル−テトラメチルジシリレン基、ジフェニルエーテル−4,4’−ジイル−テトラフェニルジシリレン基、または一般式(5)
【化14】

(式中、Xはジメチルシリレン基、ジイソプロピルシリレン基、フェニルメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基、ジ(p−トリル)シリレン基、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン−1,3−ジイル基、1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン−1,3−ジイル基、1,1,3,3−テトラシクロペンチルジシロキサン−1,3−ジイル基、1,3−ジフェニル−1,3−ジメチルジシロキサン−1,3−ジイル基、テトラキス(トリメチルシリル)ジシロキサン−1,3−ジイル基、1,1,4,4−テトラメチルジシルエタン−1,4−ジイル基、3,3−ジフェニル−1,1,5,5−テトラメチルトリシロキサン−1,5−ジイル基、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン−1,5−ジイル基、3−フェニル−1,1,3,5,5−ペンタメチルトリシロキサン−1,5−ジイル基、1,4−フェニレンテトラメチルジシリレン基、1,4−フェニレンテトラフェニルジシリレン基、4,4’−ビフェニレンテトラメチルジシリレン基、4,4’−ビフェニレンテトラフェニルジシリレン基、ジフェニルエーテル−4,4’−ジイル−テトラメチルジシリレン基、ジフェニルエーテル−4,4’−ジイル−テトラフェニルジシリレン基を表す。)で表される基を例示できる。膜成形体を製造する点から、ケイ素上の置換基にフェニルを含むことが望ましい。
【0012】
次に本発明の化合物の製造方法について説明する。環状シルフェニレンシロキシシロキサン化合物(1)の製造に関しては特に制限はなく、公知の方法により製造することができるが、例えば、下記製造方法−1に示した方法により容易に製造することができる。
[製造方法−1]
【化15】

(式中、R、R、R、R、R、R、R、RおよびRは前記と同じ意味を表す。)即ち、ジシラノール誘導体と、ジクロロシラン誘導体とを通常塩基の存在下に反応させることにより、環状シルフェニレンシロキシシロキサン化合物(1)を製造することができる。反応は有機溶媒中で実施することが好ましく、反応を阻害しなければ特に制約はないが、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメチルグリコール、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、クロロホルム、ジクロロメタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、アニソール、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリジノン、ジメチルスルホキシドなどの有機溶媒を単独または2種以上混合して用いることができる。反応後の処理の容易さの点で、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒を用いるのが好ましい。反応温度に特に制限はなく、−20〜150℃の範囲から適宜選ばれた温度で実施することが好ましい。反応温度が50℃以上であれば、塩基存在下に実施しなくても化合物(1)を製造できるが、塩基を用いることにより反応を円滑に進行させることができる。塩基としては、トリエチルアミン、ピリジン、ナトリウムメトキシド、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム等を用いることができる。反応は希薄溶液中で実施することにより、化合物(1)を高収率で得ることができる。通常、ジシラノール誘導体濃度を0.5〜0.001mol/l、好ましくは0.05〜0.005mol/lの範囲になるように調整して反応を実施することにより、化合物(1)の効率的な製造が可能である。
【0013】
次に本発明の含ケイ素ポリマー(2)の製造方法について説明する。本発明の含ケイ素ポリマー(2)は下記製造方法−2に例示したヒドロシリル化重合によって製造することができる。
[製造方法−2]
【化16】

(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、RおよびXは前記と同じ意味を表す。)
【0014】
本反応は、ヒドロシリル化触媒の存在下に実施することが必須である。触媒としてはニッケル、白金、ロジウムなどの遷移金属や遷移金属塩を用いることができ、適宜選択する。具体的には、ニッケル(0)ビスシクロペンタジエンカルボニル錯体、白金(0)担持炭素粉末、白金(0)1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体、塩化白金(II)1,5−シクロオクタジエン錯体、塩化白金(II)ビストリフェニルホスフィン錯体、塩化白金(IV)酸、塩化ロジウム(I)ビストリフェニルホスフィンカルボニル錯体、塩化ロジウム(II)ビストリシクロヘキシルホスフィン錯体、塩化ロジウム(I)トリストリフェニルホスフィン錯体等を例示することができる。収率が良い点で白金、白金塩、およびこれらを含む錯体を用いるのが好ましい。触媒の添加量は、いわゆる触媒量でよく、環状シルフェニレンシロキシシロキサン化合物に対して0.001〜10%モル当量、好ましくは0.01〜1%モル当量である。
【0015】
本反応は、無溶媒で実施することもできるが、有機溶媒を用いることで重合を円滑に進行させることができる。用いることのできる有機溶媒としてはそれぞれのモノマーおよび含ケイ素ポリマーを溶解でき、触媒活性を損なわず、反応の進行を妨げなければ特に制限はなく、例えばヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメチルグリコール、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、クロロホルム、ジクロロメタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、アニソール、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの有機溶媒を単独または2種以上混合して用いることができる。環状シルフェニレンシロキシシロキサン化合物(1)、ジビニル化合物(3)および生成物である含ケイ素ポリマー(2)を溶解でき、重合収率が良好な点で、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ベンゼン、トルエンまたはキシレンが好ましい。
【0016】
反応温度に特に制限はないが、40〜200℃、好ましくは60〜150℃の範囲から適宜選ばれた温度で実施することができる。製造された含ケイ素ポリマーは沈殿法、濾過、透析などの通常の操作でもって精製することができる。製造された含ケイ素ポリマーの数平均分子量および分子量分散度を、ゲル濾過クロマトグラフィー(GPC)法を用いて求めることができる。本発明の含ケイ素ポリマーの数平均分子量は、標準ポリスチレンを用いた換算値で、2,000〜1,000,000の範囲であればよく、5,000〜500,000の範囲であることが好ましい。分子量分散度は、同様な方法で求めた換算値で1〜20の範囲であればよく、1〜5の範囲であることがさらに好ましい。また、本発明においては、環状シルフェニレンシロキシシロキサン化合物(1)とジビニル化合物(3)をそれぞれ単独、あるいは2種類以上混合して実施してもよい。
【0017】
本発明の膜形成体は、含ケイ素ポリマー(2)を直接、圧延法、ホットメルト法など公知の成膜方法を用いて製造することができる。さらに本発明の膜形成体は、含ケイ素ポリマーの溶液から、溶媒キャスト法、スピンキャスト法、エレクトロスピンキャスト法など公知の成膜方法を用いて製造することができる。含ケイ素ポリマー溶液に用いることができる有機溶媒としては、前記製造法で例示した有機溶媒を単独または2種以上混合して用いることができる。
【0018】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例において記載のある、数平均分子量(Mn)、分子量分散度(Mw/Mn)、ガラス転移温度(Tg)、5%重量減少温度(Td5)、1000℃における残渣収率(Wr)、密度(D)は、次のようにして求めた。MnおよびMw/Mnは、テトラヒドロフラン溶液のゲル濾過クロマトグラフィー(TOSOH GPC-8020-II)を用いて、ポリスチレン換算で求めた。Tgは示差走査熱量測定(SII DSC6220, N2雰囲気下, 5℃/min)から、Td5およびWrは熱重量分析(SII TG/DTA6200, N2雰囲気下, 10℃/min)から求めた。Dは試料のTHF溶液をPFAプレート上に流延して作製したキャスト膜を真空乾燥後、1cm四方程度に切り取り、膜面積、膜厚および膜重量から算出した。
【実施例】
【0019】
実施例−1
【化17】

アルゴン雰囲気下、1,4-ビス(ヒドロキシジメチルシリル)ベンゼン0.50 g (2.2 mmol)およびトリエチルアミン0.25 ml (2.6 mmol)をテトラヒドロフラン220 mlに溶解した。反応溶液にジクロロメチルシラン0.62 ml (2.2 mmol)を加えて、24時間室温で撹拌した。反応溶液にヘキサン100mlを加えて不溶の塩を濾別した後、濾液から溶媒を留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開液:ヘキサン)で精製することにより、環状シルフェニレンシロキシシロキサン化合物(I) 0.28 gを無色液体として得た。収率:47%.
【0020】
1H-NMR,δ(CDCl3, ppm, 250 MHz): 0.19 (6H, d, Si-CH3, J=1.5 Hz), 0.34 (12H, s, Si-(CH3)2), 0.35 (12H, s, Si-(CH3)2), 4.79 (2H, q, Si-H, J=1.5 Hz),7.35 (8H, s, Ph-H).
IR,ν(cm-1 Reflect): 3051 (w, CH3), 2143 (w, Si-H), 1254 (s, Si-CH3), 1140 (s, Si-Ar), 1045 (s, Si-O-Si), 904 (s), 773 (s), 760 (s).
MS (EI, m/z): 536 (M)+, 521 (M - CH3)+, 477, 463, 447, 433.
【0021】
参考例−1
【化18】

アルゴン雰囲気下、グリニャール反応用マグネシウム 5.76 g (237 mmol) および少量のヨウ素にテトラヒドロフラン140 mLを加えて撹拌した。ヨウ素の色が消失した後、クロロジメチルシラン26.3 mL (237 mmol) を加えた。反応溶液に、2,5-ジブロモ-p-キシレン 25.0 g (94.7 mmol) のテトラヒドロフラン100 mL溶液を氷冷下にゆっくり滴下して、そのままの温度で15時間撹拌した。反応混合物にエーテル100 mLを加えた後、水5 mLを加えた。析出した塩を濾別し、濾液から溶媒を留去した。得られた粗生成物をエーテル50 mLに溶解した後、水で洗浄(50 mL×3)した。有機層を硫酸ナトリウムを用いて乾燥した。乾燥剤を濾別した後、濾液から溶媒を留去した。得られた生成物を減圧蒸留(9 mmHg, 109 ℃)で精製することにより、化合物(II) 15.9 gを無色液体として得た。収率:75.6%.
【0022】
1H-NMR,δ(Acetone-D6, ppm, 250 MHz): 0.33 (12H, d, Si(CH3)2, J=3.8 Hz), 2.38 (6H, s, Ph-CH3), 4.49 (2H, sep, Si-H, J=3.8 Hz), 7.26 (2H, s, Ph-H).
IR,ν(cm-1 Reflect): 2958 (w, CH3), 2116 (m, Si-H), 1247 (m, Si-CH3), 1119 (m, Si-Ar), 870 (s), 762 (s) , 723 (m).
MS (EI, m/z): 222 (M)+, 207 (M-CH3)+, 163(M-SiH(CH3)2)+, 147, 135 .
【0023】
参考例−2
【化19】

アルゴン雰囲気下、丸底フラスコに5 wt. %パラジウム担持カーボン0.374 g (0.176 mmol)、テトラヒドロフラン70 mLおよび水5.27 mL (293 mmol)を加えた。2,5-ビス(ジメチルシリル)-p-キシレン(化合物(II)) 13.0 g (58.6 mmol) のテトラヒドロフラン100 mL溶液をゆっくり滴下した。反応溶液を室温で3時間撹拌した後、触媒を濾別して、濾液から溶媒を留去した。得られた粗生成物を再結晶精製(溶媒:ヘキサン/テトラヒドロフラン=5/1)することにより、2,5-ビス(ヒドロキシジメチルシリル)-p-キシレン(化合物(III)) 12.0 gを無色針状結晶として得た。収率:77.5%.
【0024】
1H-NMR,δ(CDCl3, ppm, 250 MHz): 0.45 (12H, s, Si(CH3)2), 2.48 (6H, s, Ph-CH3), 7.35 (2H, s, Ph-H).
IR,ν(cm-1 Reflect): 3222 (w, Si-OH), 2954 (w, CH3), 1254 (m, Si-CH3), 1117 (m, Si-Ar), 864 (m), 820 (m) , 773 (m).
MS (EI, m/z): 254 (M)+, 239 (M -CH3)+, 193, 165, 133.
【0025】
実施例−2
【化20】

アルゴン雰囲気下、2,5-ビス(ヒドロキシジメチルシリル)-p-キシレン3.00 g (11.8 mmol) およびトリエチルアミン4.11 mL (29.6 mmol) のテトラヒドロフラン1200 mL溶液に、ジクロロメチルシラン1.30 mL (11.8 mmol) を加えて、40時間室温で撹拌した。反応混合物から不溶の塩を濾別した後、濾液から溶媒を留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開液:ヘキサン)で精製することにより、上記反応式中の環状シルフェニレンシロキシシロキサン化合物(IV) 0.751 gを白色固体として得た。収率:21.4%.
【0026】
1H-NMR,δ(CDCl3, ppm, 250 MHz): 0.22 (6H, d, Si-CH3, J=1.5 Hz), 0.37 (12H, s, Si-(CH3)2), 0.38 (12H, s, Si-(CH3)2), 2.08 (12H, s, Ph-CH3), 4.81 (2H, q, Si-H, J=1.5 Hz), 7.10 (4H, s, Ph-H).
IR,ν(cm-1 Reflect): 2960 (w, CH3), 2143 (w, Si-H), 1254 (m, Si-CH3), 1122 (m, Si-Ar), 1038 (s, Si-O-Si), 904 (s), 781 (s), 760 (m).
【0027】
実施例−3
【化21】

アルゴン雰囲気下、1,4-ビス(ヒドロキシジメチルシリル)ベンゼン1.00 g (4.42 mmol)およびトリエチルアミン1.85 ml (13.3 mmol)をテトラヒドロフラン440 mlに溶解した。反応溶液にジクロロフェニルシラン0.65 ml (4.4 mmol)を加えて、87時間室温で撹拌した。反応溶液を濾過した後、濾液から溶媒を留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開液:ヘキサン)で精製することにより、環状シルフェニレンシロキシシロキサン化合物(V) 0.36 gを無色液体として得た。収率:25%.
【0028】
1H-NMR,δ(CDCl3, ppm, 250 MHz): 0.31 (12H, s, Si-(CH3)2), 0.39 (12H, s, Si-(CH3)2), 5.14 (2H, s, Si-H), 7.4-7.5 (14H, m, Ph-H), 7.6 (4H, m, Ph-H).
IR,ν(cm-1 Reflect): 2956 (w, CH3), 2150 (w, Si-H), 1254 (m, Si-CH3), 1124 (m, Si-Ar), 1049 (s, Si-O-Si), 806 (s), 773 (s), 736 (s).
GPC測定において、単分散、単一ピークを与えた。
【0029】
参考例−3
【化22】

4,4’-ビフェノール5.00 g (26.9 mmol)およびアリルブロミド7.00 ml (80.6 mmol)のアセトン50 ml溶液に、炭酸カリウム9.30 g (67.3 mmol)を加えて、15時間還流温度で撹拌した。反応混合物にヘキサン50 mlを加えて不溶の塩を濾別した後、濾液から溶媒を留去した。得られた粗生成物をエーテル50 mlに溶解した後、溶液を水で洗浄(50 ml×3)し、有機層を硫酸ナトリウムを用いて乾燥した。乾燥剤を濾別した後、濾液から溶媒を留去した。粗生成物を再結晶精製(溶媒:ヘキサン)することにより、4,4’-ジアリロキシビフェニル(化合物(VI)) 2.86 gを無色針状結晶として得た。収率:40.0%.
【0030】
1H-NMR,δ(CDCl3, ppm, 250 MHz): 4.58 (4H, dt, -CH2-, J=1.5 Hz, 5.3 Hz), 5.30 (2H, ddd, CH2=CH-, J=1.5, 3.0, 10.4 Hz), 5.44 (2H, ddd, CH2=CH-, J=1.5, 3.0, 17.3 Hz), 6.58 (2H, ddt, CH2=CH-, J=5.3, 10.4, 17.3 Hz), 6.97 (4H, d, Ph-H, J=8.8 Hz), 7.65 (4H, d, Ph-H, J=8.8 Hz).
IR,ν(cm-1, Reflect): 2917 (w, CH), 2868 (w, CH3), 1651 (w, CH2=CH), 1604 (m, ArC-C), 1496 (m, ArC-C), 1232 (s, Ar-O-C), 1009 (s), 941 (s), 820 (s).
MS (EI, m/z): 266 (M)+, 225 (M - CH2CH=CH2)+, 207, 185, 169.
【0031】
実施例−4
【化23】

アルゴン雰囲気下、丸底フラスコに4,4’-ジアリロキシビフェニル(化合物(VI))0.050 g (0.19 mmol)および 5 wt. %プラチナ担持カーボン0.004 g (5 mol %)を加えた。混合物に実施例−1に従って合成した化合物(I) 0.10 g (0.19 mmol)のトルエン0.19 ml溶液を加えて、80℃で18時間撹拌した。反応混合物から触媒をセライト濾過で除いた後、濾液を過剰量のメタノールに投入することにより、上記反応式中の含ケイ素ポリマー(VII) 0.075 gを得た。収率:50%.
【0032】
Mn = 11.1×103, Mw/Mn = 2.79, Tg= 38.8℃, Td5 = 371℃, Wr= 25.7 %.
1H-NMR,δ(CDCl3, ppm, 250 MHz): 0.13 (6H, s, Si-CH3), 0.33 (24H, s, Si(CH3)2), 0.69 (4H, m, SiCH2CH2CH2-), 1.9 (4H, br, SiCH2CH2CH2-), 3.98 (4H, t, -CH2CH2CH2O-), 6.94 (4H, d, Ph-H, J=8.3 Hz), 7.34 (8H, s, Ph-H), 7.46 (4H, d, Ph-H, J=8.3 Hz).
IR,ν(cm-1 Reflect): 2956 (w, CH2), 1608 (w, ArC-C), 1498 (m, ArC-C), 1254 (m, Si-CH3), 1138 (m, Si-Ar), 1038 (s, Si-O-Si), 820 (s), 773 (s), 737 (s).
【0033】
参考例−4
【化24】

9,9-ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン5.00 g (14.7 mmol)およびアリルブロミド3.80 ml (36.8 mmol)のアセトン50 ml溶液に、炭酸カリウム5.08 g (36.8 mmol)を加えて、15時間還流温度で撹拌した。反応混合物にヘキサン50 mlを加えて不溶の塩を濾別した後、濾液から溶媒を留去した。得られた粗生成物をエーテル50 mlに溶解した後、有機層を水で洗浄(50 ml×3)し、硫酸ナトリウムを用いて乾燥した。乾燥剤を濾別した後、濾液から溶媒を留去した。得られた粗生成物を再結晶精製(溶媒:エタノール)することにより、9,9-ビス(4-アリロキシフェニル)フルオレン(化合物(VIII))4.27 gを淡黄色固体として得た。収率:67.4%.
【0034】
1H-NMR,δ(Acetone-D6, ppm, 250 MHz): 4.47 (4H, dt, -CH2-, J=1.5, 5.3Hz), 5.25 (2H, ddd, CH2=CH-, J=1.5, 3.0, 10.5 Hz), 5.37 (2H, ddd, CH2=CH-, J=1.5, 3.0, 17.3 Hz), 6.02 (2H, ddt, CH2=CH-, J=5.3, 10.5, 17.3 Hz), 6.75 (4H, d, Ph-H, J=8.9 Hz), 7.10 (4H, d, Ph-H, J=8.9 Hz), 7.2-7.4 (6H, m, Ph-H), 7.74 (2H, d, Ph-H, J=7.5 Hz).
IR,ν(cm-1, Reflect): 2912 (w, CH2), 2862 (w, CH2), 1647 (w, CH2=CH), 1604 (w, ArC-C), 1504 (m, ArC-C), 1240 (m, Ar-O-C), 1174 (m), 1024 (m), 823 (m), 731 (m).
【0035】
実施例−5
【化25】

アルゴン雰囲気下、丸底フラスコに参考例−4に従って合成した9,9-ビス(4-ジアリロキシフェニル)フルオレン(化合物(VIII))0.80 g (1.9 mmol)および5 wt. %プラチナ担持カーボン0.04 g (5 mol%)を加えた。混合物に実施例−1に従って合成した化合物(I) 1.0 g (1.9 mmol)のトルエン(3.74 ml)溶解を加えて、80℃で18時間撹拌した。反応混合物から触媒をセライト濾過で除いた後、濾液を過剰量のメタノールに投入することにより、上記反応式中の含ケイ素ポリマー(IX) 1.1 gを白色固体として得た。収率:60%.
【0036】
Mn = 21.5×103, Mw/Mn = 1.67, Tg= 84.0℃, Td5 = 437℃, Wr= 36.8 %, D(密度)= 0.74 g/cm3.
1H-NMR,δ(CDCl3, ppm, 250 MHz): 0.08 (6H, s, Si-CH3), 0.28 (24H, s, Si(CH3)2), 0.63 (4H, m, -SiCH2CH2CH2-), 1.72 (4H, br, -CH2CH2CH2-), 3.85 (4H, t, -CH2CH2CH2O-), 6.72 (4H, d, Ph-H, J=8.8 Hz), 7.10 (4H, d, Ph-H, J=8.8 Hz), 7.30 (8H, s, Ph-H), 7.2-7.4 (6H, m, Ph-H), 7.70 (2H, d, Ph-H, J=7.0 Hz).
IR,ν(cm-1 Reflect): 2956 (w, CH2), 1606 (w, ArC-C), 1506 (w, ArC-C), 1252 (m, Si-CH3), 1140 (m, Si-Ar), 1047 (m, Si-O-Si), 822 (m), 777 (m), 744 (m).
【0037】
比較例1
【化26】

アルゴン雰囲気下、丸底フラスコに参考例−4に従って合成した9,9-ビス(4-ジアリロキシフェニル)フルオレン(化合物(VIII))1.50 g (3.48 mmol)および5 wt. %プラチナ担持カーボン0.068 g (0.017 mmol)を加えた。混合物に1,4-ビス(ジメチルシリル)ベンゼン0.676 g (3.48 mmol)のトルエン(3.48 ml)溶液を加えて、80℃で18時間撹拌した。反応混合物から触媒をセライト濾過で除いた後、濾液を過剰量のメタノールに投入することにより、上記反応式中のポリマー(X)を1.65 gの白色固体として得た。収率:75.9%.
【0038】
Mn = 10.0×103, Mw/Mn = 1.77, Tg= 103℃, Td5 = 425℃, Wr= 15.7 %, D(密度)= 0.85 g/cm3.
1H-NMR,δ(CDCl3, ppm, 250 MHz): 0.26 (12H, s, Si(CH3)2), 0.80 (4H, m, SiCH2CH2CH2-), 1.73 (4H, m, SiCH2CH2CH2-), 3.79 (4H, t, CH2CH2CH2O-, J= 6.8 Hz), 6.68 (4H, d, Ph-H, J=8.8 Hz), 7.06 (4H, d, Ph-H, J=8.8 Hz), 7.2-7.4 (6H, m, Ph-H), 7.46 (4H, s, Ph-H), 7.72 (2H, d, Ph-H, J=7.5 Hz).
IR,ν(cm-1 Reflect): 2950 (w, CH3), 1606 (w, ArC-C), 1506 (w, ArC-C), 1246 (m, Si-CH3), 1134 (w, Si-Ar), 821 (m), 744 (m).
【0039】
比較例2
【化27】

アルゴン雰囲気下、1,4-ビス(ヒドロキシジメチルシリル)ベンゼン2.00 g (2.21 mmol) およびトリエチルアミン2.85 mL (35.4 mmol)のテトラヒドロフラン60 mL溶液に、クロロジメチルシラン3.91 mL (35.4 mmol) を加えて、室温で2時間撹拌した。反応混合物にヘキサン100 mLを加えて不溶の塩を濾別した後、濾液から溶媒を留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開液:ヘキサン)で精製することにより、1,4-ビス(ジメチルシロキシジメチルシリル)ベンゼン(化合物(XI)) 0.600 gを白色固体として得た。収率:28.2%.
【0040】
1H-NMR,δ(CDCl3, ppm, 250 MHz): 0.18 (12H, d, SiH(CH3)2, J=2.8 Hz), 0.34 (12H, s, Ph-Si(CH3)2-), 4.76 (2H, sep, Si-H, J=2.8 Hz), 7.54 (4H, s, Ph-H).
IR,ν(cm-1 Reflect): 2954 (w, CH3), 2121 (m, Si-H), 1254 (s, Si-CH3), 1138 (s, Si-Ar), 1047 (s, Si-O-Si), 903 (s), 802 (m), 775 (s).
MS (EI, m/z): 342 (M)+, 327 (M - CH3)+, 283(M - SiH(CH3)2)+, 253, 237.
【0041】
アルゴン雰囲気下、丸底フラスコに参考例−4に従って合成した9,9-ビス(4-アリロキシフェニル)フルオレン(化合物(VIII))0.689 g (1.60 mmol) および5 wt. %プラチナ担持カーボン0.031 g (0.0080 mmol)を加えた。混合物に1,4-ビス(ジメチルシロキシジメチルシリル)ベンゼン(化合物(XI))0.548 g (1.60 mmol)のトルエン3.20 ml溶液を加えて、80℃で18時間撹拌した。反応混合物から触媒をセライト濾過で除いた後、濾液を過剰量のメタノールに投入することにより、ポリマー(XII)0.606 gを白色固体として得た。収率:53.7%.
【0042】
Mn = 10.5×103, Mw/Mn = 1.50, Tg= 29.3℃, Td5= 423℃, Wr= 11.1 %, D(密度)= 0.76 g/cm3.
1H-NMR,δ(CDCl3, ppm, 250 MHz): 0.06 (12H, s, Si(CH3)2), 0.28 (12H, s, Si(CH3)2), 0.60 (4H, m, SiCH2CH2CH2-), 1.74 (4H, m, SiCH2CH2CH2-), 3.80 (4H, t, CH2CH2CH2O-), 6.70 (4H, d, Ph-H), 7.08 (4H, d, Ph-H), 7.3-7.4 (6H, m, Ph-H), 7.50 (4H, s, Ph-H), 7.73 (2H, d, Ph-H).
IR,ν(cm-1 Reflect): 2954 (w, CH3), 1606 (w, ArC-C), 1506 (w, ArC-C), 1250 (m, Si-CH3), 1137 (w, Si-Ar), 1041 (m, Si-O-Si), 822 (m), 775 (m), 729 (m).
【0043】
本発明の含ケイ素ポリマー(ポリマー(IX))と、比較例1および比較例2で示したポリマー(X)およびポリマー(XII)の5%重量減少温度(Td5)、1000℃における残渣収率(Wr)およびキャスト膜の密度(D)を表−1にまとめた。
【表1】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】

(式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基またはフェニル基を表し、R、R、R、R、R、R、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。)で表される環状シルフェニレンシロキシシロキサン化合物。
【請求項2】
一般式(2)
【化2】

(式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基またはフェニル基を表し、R、R、R、R、R、R、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。Xは二価の有機基または二価の含ケイ素有機基を表す。)で表される繰り返し単位からなる、環状シルフェニレンシロキシシロキサン構造を有することを特徴とする含ケイ素ポリマー。
【請求項3】
一般式(1)
【化3】

(式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基またはフェニル基を表し、R、R、R、R、R、R、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。)で表される環状シルフェニレンシロキシシロキサン化合物と、一般式(3)
【化4】

(式中、Xは二価の有機基または二価の含ケイ素有機基を表す。)で示されるジビニル誘導体とを、ヒドロシリル化触媒の存在下に重合させることを特徴とする、一般式(2)
【化5】

(式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基またはフェニル基を表し、R、R、R、R、R、R、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。Xは二価の有機基または二価の含ケイ素有機基を表す。)で表される繰り返し単位からなる、含ケイ素ポリマーの製造方法。
【請求項4】
一般式(2)
【化6】

(式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基またはフェニル基を表し、R、R、R、R、R、R、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。Xは二価の有機基または二価の含ケイ素有機基を表す。)で表される繰り返し単位からなる、含ケイ素ポリマーを用いた膜成形体。


【公開番号】特開2008−56581(P2008−56581A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−232945(P2006−232945)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【出願人】(000173762)財団法人相模中央化学研究所 (151)
【Fターム(参考)】