説明

生体個人データ送信方法

【課題】生体個人データを収集蓄積するシステムにおいて、利用者が認識しない間に第三者がデータを閲覧し監視しているという利用者の不安を解消し、生体個人データというプライベートな内容を利用者のみが管理することができるシステムを構築する。
【解決手段】サーバに蓄積し分析した生体情報は利用者が使用する特定の携帯端末のみが受け取れるデータ配信システムを構築し、利用者が必要と認識した際に希望する任意の電子メールアドレスに対し分析データをサーバから送信することを指示できるシステムとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェアラブルセンサを用いて計測しサーバに蓄積分析した生体情報を配信する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ウェアラブル生体センサや生体検査装置の普及に伴い、通信手段を利用し、医療機関や医療情報提供事業者が所有するサーバに生体情報を蓄積し、日常生活の中で利用者に負担をかけずに容易に行える健康管理・健康支援を行おうという試みがなされている。健康管理や医療に役立てるための生体情報管理システムである。(例えば、特許文献1「生体情報 計測装置および健康管理システム」、特許文献2「個人状況記憶装置とこの装置を用いた個人状況記憶システム」、特許文献3「生体情報 管理システム及び同システムの生体検査装置」参照)。
【0003】
【特許文献1】特許第3569247号公報
【特許文献2】特許第3548084号公報
【特許文献3】特許第3562626号公報
【0004】
これらシステムの多くは、患者側計測端末からセンタ側サーバに生体情報を送信することにより、センタ側にいる専門家が患者に対して診察・助言・指導などを行うシステムで、介護を必要とする高齢者を対象とする在宅医療や在宅ケア支援が目的である。緊急通報や経過観察目的の場合でなので、利用者の意思に関係なく、センタ側専門家のもとに様々な生体情報が届き、利用者は常時監視されているという感覚を否めない。
【0005】
自動的に自身の日々の生体情報が蓄積され、長期間での経過を把握できることは便利だが、しかし、健康を維持するため自身の健康情報を蓄積する目的において、自動的に自身の生体情報が医療機関やセンタ側専門家に届き、他者が常時このデータを閲覧可能であることは利用者にとっては不本意である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、生体個人データを収集蓄積するシステムにおいて、サーバに蓄積分析した生体情報を利用者の認識しない間に第三者が閲覧可能な点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、サーバに蓄積分析した生体情報を、利用者が希望した際には、任意の電子メールアドレスに対して送信できることを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の生体個人データ送信方法は、利用者が認識しない間に第三者がデータを閲覧し監視しているという利用者の不安を解消し、生体個人データというプライベートな内容を利用者のみが管理することができるという利点がある。
【0009】
また、必要なときに希望するアドレスに生体個人データを送信する構造は、専門家のアドバイスを速やかに受けられ、携帯電話から送信指示を行える構造は、外出先などで急に医療機関の受診が必要となった際にもデータ送信を可能とする。
【0010】
生体個人データ蓄積システムは、ある1点の計測データにより判断するというより、経過観察中の長期間データの推移から診断を下す利用法が多い。たとえば基礎体温情報は3ヶ月間など長期間の計測データを検討しホルモンバランスの推測を行い、次回月経日の予測や前回排卵日の推測を行うが、従来技術のグラフ表示機能付婦人体温計や携帯電話の画面表示は小さくて見難く、正確な医師の診断に支障をきたす可能性もある。医師によっては、わかりやすい手書きの基礎体温グラフの作成を勧めるが、送信された生体個人データを専用のアプリケーションで展開し印刷することで、手書き以上のわかりやすいグラフを簡便に作成することを可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
サーバに蓄積分析した生体情報へのアクセスは利用者の使用する携帯端末のみに限定し、利用者が希望した際には利用者自身のパソコンのメールアドレス、または医療機関や専門家のメールアドレスに対して送信できること実現した。
【実施例1】
【0012】
図1は、装着式のセンサが計測した生体情報をサーバに蓄積し、分析結果を把握するためのシステムの実施例である。ウェアラブルセンサ1が計測した生体情報は、携帯電話2により携帯電話インターネットを介しデータサーバ3に蓄積される。利用者の蓄積/分析データの配信を受けたり閲覧である機器は利用者の携帯電話2のみが可能な構造である。
【0013】
利用者がより鮮明な画面でのデータ表示を希望したり、蓄積/分析データについて医療機関や専門家等のアドバイスを希望する場合は、図1の携帯電話2からデータサーバ3に対して送信先パソコン4の電子メールアドレスを指定し、データ送信依頼を行う。データサーバ3は指定された電子メールアドレスへ生体個人データファイルを送信する。送信先パソコン4は専用アプリケーションでデータファイルを展開しグラフ表示など目的の作業を行う。
【実施例2】
【0014】
図2は本発明を利用し、就寝中にウェアラブルセンサが計測した体温情報をサーバに蓄積し、長期間の就寝中体温変動をもとに女性のホルモンバランスの変動を把握するための実施例の利用者動作を示したフローチャートである。ウェアラブルセンサ端末は、計測後、送信先サーバアドレスと計測データをQRコードとしてディスプレイに表示する。利用者はカメラ付携帯電話により撮影し、表示されたデータをサーバに送信する。また、利用者携帯電話に分析結果のメールが配信された後は、詳細情報についてWEB閲覧したり、データを保存し携帯アプリケーションで展開しグラフ表示等の詳細情報を確認することができるが、必要があれば蓄積・分析データを他メールアドレスに送信する指示を行える。
【0015】
図3は実施例2において、利用者が携帯電話画面において計測データをグラフ表示した場合と、指定したアドレスに送信されたデータファイルをパソコンの専用アプリケーションにおいて展開した画面の一例である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】ウェアラブルセンサ計測の生体情報蓄積分析システムの実施方法を示した説明図である。(実施例1)
【図2】女性基礎体温データ収集蓄積システムの実施方法を示したフローチャート図である。(実施例2)
【図3】携帯電話とパソコンによる基礎体温データグラフ表示画面(実施例2)
【符号の説明】
【0017】
1 ウェアラブルセンサ
2 携帯電話
3 データサーバ
4 パソコン
5 携帯電話ディスプレイ
6 パソコンディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯通信網を通じ生体個人データを収集蓄積するシステムにおいて、データサーバ接続の際には携帯端末ID認証を行い、その蓄積/分析データは利用者が使用する携帯端末のみが受け取れるデータ配信手段を備え、該蓄積/分析データは、利用者が必要と認識した際に希望する任意の電子メールアドレスに対しサーバから送信することを指示できることを特徴とする生体個人データ送信方法。
【請求項2】
生体個人データ送信先アドレスの指定は、サーバに接続した利用者携帯端末より指定できることを特徴とする請求項1に記載の生体個人データ送信方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2007−380(P2007−380A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−184227(P2005−184227)
【出願日】平成17年6月24日(2005.6.24)
【出願人】(302017399)株式会社エイネット (2)
【Fターム(参考)】