説明

生体情報測定装置および該方法

【課題】本発明は、より簡易な処理によって生体情報を求めることができ、消費電力を低減することができる生体情報測定装置および該方法を提供する。
【解決手段】本発明の生体情報想定装置Saは、測定対象の生体における所定の生理的現象を測定して測定データを出力するセンサ部1と、センサ部1によって測定された測定データに基づいて第1ヒストグラムを求めるヒストグラム算出部35と、ヒストグラム算出部35によって求められた第1ヒストグラムにおける所定の統計パラメータを求める統計パラメータ算出部37aとを備え、ヒストグラム算出部35によって求められた第1ヒストグラムと統計パラメータ算出部37aで算出された所定の統計パラメータとに基づいて第2ヒストグラムを求め、この第2ヒストグラムに基づいて所定の生体情報を求めるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体の生理的現象を測定することによって生体に関する生体情報を測定する生体情報測定装置に関し、特に、例えば生体の体動等によってノイズが生じた場合でも例えば血中酸素飽和度や脈拍数等を好適に測定し得る生体情報測定装置および生体情報測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生体組織の酸素濃度を監視する意義が、臨床において極めて大きいことは周知の通りである。酸素は、生命活動維持のために最も重要な物質であり、酸素の供給が絶たれると生体組織細胞は、重大な傷害を受けることから、酸素供給に関するパラメータが重要であると考えられている。このため、酸素供給が不安定になり得る場合、例えば、麻酔中、術後、呼吸不全および循環不全等の患者を治療する場合には、特に酸素が適切に供給されているか否かをモニタすることが重要である。この生体組織への酸素供給は、動脈血によって行われる。そのため、生体組織への酸素供給が適切に行われているか否かを把握するために、例えば脈拍数や血中酸素飽和度等の生体に関する生体情報がモニタされる。
【0003】
これら脈拍数や血中酸素飽和度等の生体情報を測定する装置として、従来、パルスオキシメータと称される生体情報測定装置が知られている。この生体情報測定装置は、動脈血の脈動により生ずる生体組織の透過または反射光量における変動成分を利用するもので、脈動分の減光度を異なる2波長の光で測定してその比から酸素飽和度を求める装置である。この生体情報測定装置では、例えば生体の体動等によってノイズが生じるため、このノイズを除去または低減する必要があり、ノイズを除去する装置が例えば、特許文献1ないし特許文献3に開示されている。
【0004】
この特許文献1に開示のパルスフォトメータは、異なる2つの波長の光を生体組織に照射する発光手段と、前記発光手段から発生し前記生体組織を透過または反射した各波長の光を電気信号に変換する受光手段と、前記受光部により得られる前記2つの波長の離散的時系列脈波データをそれぞれ縦軸または横軸とする2次元直交座標系に展開した、各波長の脈波データを、各脈波データの平均値を中心として所定角度に回転させる回転行列を用いて、前記離散的時系列脈波データに含まれるノイズを除去処理した波形を求める波形取得手段と、前記波形取得手段により得られた波形の周波数解析により脈波の基本周波数または脈拍数を求める波形解析手段と、前記波形解析手段の出力から血中の酸素の濃度を求める血中酸素濃度演算手段とを備えている。
【0005】
また、前記特許文献2および特許文献3に開示の装置では、赤色光を生体組織に照射することによって得られた赤色脈波信号Rch、および、赤外光を前記生体組織に照射することによって得られた赤外脈波信号IRchが、周波数ドメインへ変換され、この周波数ドメインでの複数のピーク近傍における赤色脈波信号Rchと赤外脈波信号IRchとの比が求められ、この比から信号成分およびノイズ成分が求められ、このノイズ成分を除去した後の脈波信号におけるピークを与える周波数が求められ、この周波数から脈拍数が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4352315号公報
【特許文献2】米国特許第6002952号明細書
【特許文献3】米国特許第6067462号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前記特許文献1に開示の装置では、ノイズの除去に最適な回転行列を探索するために繰り返し演算が必要であり、このため、その演算処理量が比較的多くなってしまう。また、前記特許文献2および特許文献3に記載の各装置では、周波数ドメインへ変換する処理でフーリエ変換が用いられるので、その演算処理量が比較的多くなってしまう。この結果、これら特許文献1ないし特許文献3に記載の各装置では、その演算処理量が比較的多いために、消費電力が多くなってしまう。
【0008】
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、より簡易な処理によって生体情報を求めることができ、消費電力を低減することができる生体情報測定装置および生体情報測定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。すなわち、本発明の一態様にかかる生体情報測定装置は、測定対象の生体における所定の生理的現象を測定して測定データを出力する測定部と、前記測定部によって測定された測定データに基づいて第1ヒストグラムを求めるヒストグラム算出部と、前記ヒストグラム算出部によって求められた第1ヒストグラムにおける所定の統計パラメータを求める統計パラメータ算出部と、前記ヒストグラム算出部によって求められた第1ヒストグラムと前記統計パラメータ算出部で算出された前記所定の統計パラメータとに基づいて第2ヒストグラムを求め、この第2ヒストグラムに基づいて前記所定の生体情報を求める生体情報算出部とを備えることを特徴とする。そして、本発明の一態様にかかる生体情報測定方法は、測定対象の生体における所定の生理的現象を測定して測定データを出力する測定工程と、前記測定工程によって測定された測定データに基づいて第1ヒストグラムを求めるヒストグラム算出工程と、前記ヒストグラム算出工程によって求められた第1ヒストグラムにおける所定の統計パラメータを求める統計パラメータ算出工程と、前記ヒストグラム算出工程によって求められた第1ヒストグラムと前記統計パラメータ算出工程で算出された前記所定の統計パラメータとに基づいて第2ヒストグラムを求め、この第2ヒストグラムに基づいて前記所定の生体情報を求める生体情報算出工程とを備えることを特徴とする。
【0010】
このような構成の生体情報測定装置および生体情報測定方法では、測定データの第1ヒストグラムが求められ、その第1ヒストグラムの統計パラメーラが求められ、これら第1ヒストグラムおよび統計パラメータに基づいて第2ヒストグラムが求められ、その第2ヒストグラムに基づいて所定の生体情報が求められる。このように本発明にかかる生体情報測定装置および生体情報測定方法は、より簡易な処理によって生体情報を求めることができ、その結果、消費電力を低減することができる。
【0011】
また、他の一態様では、上述の生体情報測定装置において、好ましくは、前記測定部は、所定の第1波長の第1光を前記生体の生体組織に照射し、前記生体の生体組織を透過または反射した第1光を受光して第1測定データを出力する第1センサ部と、前記第1波長と異なる所定の第2波長の第2光を前記生体の生体組織に照射し、前記生体の生体組織を透過または反射した第2光を受光して第2測定データを出力する第2センサ部とを備えるセンサ部を備え、前記ヒストグラム算出部は、前記第1測定データにおける直流成分に対する交流成分の第1比と前記第2測定データにおける直流成分に対する交流成分の第2比との第3比pのヒストグラムf(p)を前記第1ヒストグラムとして求め、前記統計パラメータ算出部は、前記所定の統計パラメータとして前記第1ヒストグラムf(p)における期待値evを求め、前記生体情報算出部は、g1(p)=f(2×ev−p)とする際に、前記第3比pが前記期待値evよりも大きい場合、または、前記g1(p)−f(p)が0より大きい場合における{g1(p)−f(p)}/∫{g1(p)−f(p)}dpを前記第2ヒストグラムとして求め、この第2ヒストグラムに基づいて前記生体の脈拍数を求める。
【0012】
この構成によれば、第1ヒストグラムf(p)によるpの期待値evをおよび第2ヒストグラムg1(p)に基づき前記生体の脈拍数を求める生体情報測定装置が提供される。
【0013】
また、他の一態様では、上述の生体情報測定装置において、好ましくは、前記測定部は、所定の第1波長の第1光を前記生体の生体組織に照射し、前記生体の生体組織を透過または反射した第1光を受光して第1測定データを出力する第1センサ部と、前記第1波長と異なる所定の第2波長の第2光を前記生体の生体組織に照射し、前記生体の生体組織を透過または反射した第2光を受光して第2測定データを出力する第2センサ部とを備えるセンサ部を備え、前記ヒストグラム算出部は、前記第1測定データにおける直流成分に対する交流成分の第1比と前記第2測定データにおける直流成分に対する交流成分の第2比との第3比pのヒストグラムf(p)を前記第1ヒストグラムとして求め、前記統計パラメータ算出部は、前記所定の統計パラメータとして前記第1ヒストグラムf(p)における期待値evおよび移動平均g2(p)を求め、前記生体情報算出部は、前記第3比pが前記期待値evよりも大きい場合、または、前記g2(p)−f(p)が0より大きい場合における{g2(p)−f(p)}/∫{g2(p)−f(p)}dpを前記第2ヒストグラムとして求め、この第2ヒストグラムに基づいて前記生体の脈拍数を求める。
【0014】
この構成によれば、第1ヒストグラムf(p)によるpの期待値evおよび移動平均g2(p)を所定の統計パラメータとして求め、この第1ヒストグラムf(p)の期待値evおよび移動平均g2(p)に基づき前記生体の脈拍数を求める生体情報測定装置が提供される。
【0015】
また、他の一態様では、上述の生体情報測定装置において、好ましくは、前記測定部は、所定の第1波長の第1光を前記生体の生体組織に照射し、前記生体の生体組織を透過または反射した第1光を受光して第1測定データを出力する第1センサ部と、前記第1波長と異なる所定の第2波長の第2光を前記生体の生体組織に照射し、前記生体の生体組織を透過または反射した第2光を受光して第2測定データを出力する第2センサ部とを備えるセンサ部を備え、前記ヒストグラム算出部は、前記第1測定データにおける直流成分に対する交流成分の第1比と前記第2測定データにおける直流成分に対する交流成分の第2比との第3比pのヒストグラムf(p)を前記第1ヒストグラムとして求め、前記統計パラメータ算出部は、前記第1ヒストグラムf(p)における移動平均g2(p)を求め、前記移動平均g2(p)のピークを与える第3比p_pを前記所定の統計パラメータとして求め、前記生体情報算出部は、前記第3比pが前記移動平均g2(p)のピークを与える第3比p_pよりも大きい場合、または、前記g2(p)−f(p)が0より大きい場合における{g2(p)−f(p)}/∫{g2(p)−f(p)}dpを前記第2ヒストグラムとして求め、この第2ヒストグラムに基づいて前記生体の脈拍数を求める。
【0016】
この構成によれば、第1ヒストグラムf(p)の移動平均g2(p)およびこの移動平均g2(p)のピークを与える第3比p_pを所定の統計パラメータとして求め、この第1ヒストグラムf(p)の移動平均g2(p)に基づき前記生体の脈拍数を求める生体情報測定装置が提供される。
【0017】
また、他の一態様では、これら上述の生体情報測定装置において、好ましくは、前記生体情報算出部は、前記第1ヒストグラムの標準偏差の値に応じて前記生体の脈拍数を求める算出式を変更する。
【0018】
この構成によれば、測定データに含まれるノイズの度合いに応じて前記生体の脈拍数を求める算出式を変更する生体情報測定装置が提供される。
【0019】
また、他の一態様では、これら上述の生体情報測定装置において、好ましくは、前記生体情報算出部は、前記所定の生体情報としてさらに血中酸素飽和度を求める。
【0020】
この構成によれば、脈拍数に加えてさらに血中酸素飽和度も求められる。
【発明の効果】
【0021】
本発明にかかる生体情報測定装置および生体情報測定方法は、より簡易な処理によって生体情報を求めることができ、その結果、消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1実施形態における生体情報測定装置の構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態における生体情報測定装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】第1実施形態における生体情報測定装置の動作を説明するための図である。
【図4】第2実施形態における生体情報測定装置の構成を示すブロック図である。
【図5】第2実施形態における生体情報測定装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】第2実施形態における生体情報測定装置の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明にかかる実施の一形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。
【0024】
本実施形態における生体情報測定装置は、測定対象の生体における所定の生理的現象を測定して測定データを出力する測定部と、前記測定部によって測定された測定データに基づいて第1ヒストグラムを求めるヒストグラム算出部と、前記ヒストグラム算出部によって求められた第1ヒストグラムにおける所定の統計パラメータを求める統計パラメータ算出部と、前記ヒストグラム算出部によって求められた第1ヒストグラムと前記統計パラメータ算出部で算出された前記所定の統計パラメータとに基づいて第2ヒストグラムを求め、この第2ヒストグラムに基づいて前記所定の生体情報を求める生体情報算出部とを備えるものである。あるいは、本実施形態における生体情報測定装置は、測定対象の生体における所定の生理的現象を測定して測定データを出力する測定部と、前記測定部によって測定された測定データに基づいてヒストグラムを求めるヒストグラム算出部と、前記ヒストグラム算出部によって求められたヒストグラムにおける所定の統計パラメータを求める統計パラメータ算出部と、前記統計パラメータ算出部で算出された前記所定の統計パラメータに基づいて前記ヒストグラムのクラスを複数の所定範囲に分け、これら複数の所定範囲の中の1つに対応する前記測定データに基づいて前記所定の生体情報を求める生体情報算出部とを備えるものである。以下、より具体的に本実施形態における生体情報測定装置について説明する。
【0025】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態における生体情報測定装置の構成を示すブロック図である。第1実施形態における生体情報測定装置Saは、測定対象である生体の生理的現象を測定することによって生体に関する生体情報を測定する装置である。生体情報は、例えば、脈拍数や血中酸素飽和度(血中酸素濃度)等である。このような生体情報は、動脈血の脈動により生ずる生体組織の透過光量または反射光量における変動成分を利用することによって求めることができ、その基本原理は、公知の常套手段であって、例えば、特公昭53−026437号公報等に開示されている。
【0026】
このような生体情報測定装置Saは、例えば、図1に示すように、生体の所定の生理的現象を測定して測定データを出力するセンサ部1と、センサ部1で測定された測定データに基づいて例えば脈拍数や血中酸素飽和度等の生体情報を求める演算制御部3aと、演算制御部3aで測定した生体情報を外部から認識可能に表示する表示部5とを備えて構成される。
【0027】
センサ部1は、演算制御部3aに接続され、本実施形態では、生体の生理的現象として生体組織中の血液に関する情報を測定する装置である。より具体的には、センサ部1は、生体の生理的現象として、心拍による動脈血の脈動により生ずる生体組織の透過光量または反射光量における変動成分を測定する装置である。
【0028】
このような生体の生理的現象を測定する方法は、例えば、生体組織のヘモグロビンの吸光特性を利用する方法を挙げることができる。酸素は、ヘモグロビンによって生体の各細胞に運ばれるが、ヘモグロビンは、肺で酸素と結合して酸化ヘモグロビンとなり、生体の細胞で酸素が消費されるとヘモグロビン(還元ヘモグロビン)に戻る。血中酸素飽和度は、血中(血液中)の酸化ヘモグロビンの割合として定義される。これらヘモグロビンおよび酸化ヘモグロビンの各吸光度は、波長依存性を有しており、ヘモグロビンは、例えば赤色光(赤色波長領域の光)に対し酸化ヘモグロビンより光を多く吸収し、一方、赤外光(赤外線波長領域の光)に対して酸化ヘモグロビンより光の吸収が少ない。すなわち、ヘモグロビンは、酸化されて酸化ヘモグロビンになると赤色光の吸収が減少して赤外光の吸収が増加し、逆に還元されてヘモグロビンに戻ると赤色光の吸収が増加して赤外光の吸収が減少するという光学的特性を有している。本実施形態の生体情報測定装置Saは、このようなヘモグロビンと酸化ヘモグロビンとの赤色光と赤外光とに対する吸光特性の違いを利用することによって、例えば脈拍数や血中酸素飽和度等の生体情報を求めるものである。すなわち、赤色光の吸光度が大きいほど、還元ヘモグロビンが多く、酸素飽和度が小さくなり、逆に、赤外光の吸光度が大きいほど、酸化ヘモグロビンが多く、酸素飽和度が大きくなる。
【0029】
このような方法によるため、本実施形態のセンサ部1は、例えば、赤色光に対する生体組織における吸光特性を測定する第1センサ部11と、赤外光に対する前記生体組織における吸光特性を測定する第2センサ部12とを備えて構成され、演算制御部3aに接続される。この第1センサ部11は、例えば、波長λ1の赤色光を前記生体組織に照射する例えば発光ダイオード等のR発光素子と、前記R発光素子で照射され前記生体組織を透過または反射した赤色光を受光する例えばシリコンホトダイオード等のR受光素子とを備えて構成され、この第2センサ部12は、例えば、前記波長λ1と異なる波長λ2の赤外色光を前記生体組織に照射する例えば発光ダイオード等のIR発光素子と、前記IR発光素子で照射され前記生体組織を透過または反射した赤外光を受光する例えばシリコンホトダイオード等のIR受光素子とを備えて構成される。センサ部1は、このような透過型または反射型のセンサを用いることができる。
【0030】
センサ部1は、例えば、手指や耳朶等や、乳幼児の場合の手の甲、手首、足の甲等の、所定の生体組織にセット可能な構造を有して前記所定の生体組織にセットされ、第1および第2センサ部11、12で測定された測定データを演算制御部3aへ出力する。より具体的には、このような構成の第1センサ部11では、前記R発光素子は、前記生体組織に対し赤色光を照射し、前記R受光素子は、このR発光素子によって前記生体組織に照射された赤色光の前記生体組織を透過または反射した赤色光Rを受光し、この受光した赤色光を光電変換することによって、その受光量に応じた電気信号を前記測定データとして演算制御部3aへ出力する。同様に、第2センサ部12では、前記IR発光素子は、前記生体組織に対し赤外光を照射し、前記IR受光素子は、このIR発光素子によって前記生体組織に照射された赤外光の前記生体組織を透過または反射した赤外光を受光し、この受光した赤外光を光電変換することによって、その受光量に応じた電気信号を前記測定データとして演算制御部3aへ出力する。
【0031】
演算制御部3aは、表示部5に接続され、センサ部1で測定された測定データに基づいて生体情報を求めるとともに、生体情報測定装置Sa全体の制御を司る装置である。演算制御部3aは、例えば、センサ部1で測定された測定データを所定のサンプリング周期(例えば周波数37.5Hz等)でサンプリングすることによって測定データの時系列データをセンサ部1から取得するものである。また例えば、演算制御部3aは、所定の周期でセンサ部1を駆動、すなわち、発光および受光の各動作を行わせることによって、時系列データとして測定データをセンサ部1から取得するものである。また例えば、センサ部1が所定のサンプリング周期でサンプリングすることによって前記生体組織から時系列データとして測定データを測定し、この時系列データの測定データを演算制御部3aへ出力するものである。この測定データは、アナログデータであってもよいが、本実施形態では、ディジタルデータであり、アナログデータからディジタルデータへの変換(AD変換)は、センサ部1または演算制御部3aで行われ、また、必要に応じて、前記AD変換前の測定データを増幅する増幅部をセンサ部1または演算制御部3aにさらに備えてよい。
【0032】
より具体的には、この演算制御部3aは、センサ部1によって測定された測定データに基づいて第1ヒストグラムを求め、この求められた第1ヒストグラムにおける所定の統計パラメータを求め、これら求められた第1ヒストグラムと所定の統計パラメータとに基づいて第2ヒストグラムを求め、この第2ヒストグラムに基づいて前記所定の生体情報を求めるものである。言い換えれば、この演算制御部3aは、センサ部1によって測定された測定データに基づいてヒストグラムを求め、この求められたヒストグラムにおける所定の統計パラメータを求め、この求められた所定の統計パラメータに基づいて前記ヒストグラムのクラスを複数の所定範囲に分け、これら複数の所定範囲の中の1つに対応する前記測定データ(前記第2ヒストグラムの測定データ)に基づいて前記所定の生体情報を求めるものである。このような演算制御部3aは、例えば、マイクロプロセッサ、メモリおよびその周辺回路を備えるマイクロコンピュータによって構成される。前記メモリは、センサ部1で測定された測定データに基づいて生体情報を求めるための生体情報演算プログラムや、生体情報測定装置Sa全体を制御するための制御プログラム等の各種のプログラムや、センサ部1で測定された前記測定データや前記プログラムの実行に必要なデータ等の各種のデータを記憶する例えば書き換え可能な不揮発性の記憶素子であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)や不揮発性の記憶素子であるROM(Read Only Memory)、および、前記マイクロプロセッサのいわゆるワーキングメモリとなる例えば揮発性の記憶素子であるRAM(Random Access Memory)等を備えて構成され、前記マイクロプロセッサは、いわゆるCPU(Central Processing Unit)等であり、前記プログラムを実行することにより、機能的に、例えば、第1前処理部31と、第2前処理部32と、第1バンドパスフィルタ部(第1BPF部)33と、第2バンドパスフィルタ部(第2BPF部)34と、ヒストグラム算出部35と、比算出部36と、統計パラメータ算出部37aと、pv算出部38aと、血中酸素飽和度算出部39と、脈拍数算出部40と、信頼度算出部41とを備える。
【0033】
第1および第2前処理部31、32は、センサ部1から入力された測定データに対し、所定の前処理を行うものである。より具体的には、第1前処理部31は、第1センサ部11から入力された赤色光に係わる測定データに対し、前記R受光素子での暗電流を補正するためのいわゆるダーク処理を行い、そして、その直流成分RDCに対する交流成分RACの第1比(赤色光交直比)R(=RAC/RDC)を算出し、この第1比Rを第1BPF部33へ通知(出力)する。この第1比Rは、ランバート・ビア(Lambert-Beer)の法則による近似から、赤色光に対する前記生体組織の吸光度の変化分に等しいとみなされる。また、第2前処理部32は、第2センサ部12から入力された赤外光に係わる測定データに対し、前記IR受光素子での暗電流を補正するためのいわゆるダーク処理を行い、そして、その直流成分IRDCに対する交流成分IRACの第2比(赤外光交直比)IR(=IRAC/IRDC)を算出し、この第2比IRを第1BPF部33へ通知(出力)する。この第2比IRは、前記ランバート・ビアの法則による近似から、赤外光に対する前記生体組織の吸光度の変化分に等しいとみなされる。前記ダーク処理は、公知の常套手段が用いられ、例えば、前記赤色光に係わる測定データから遮光状態のR受光素子から出力される出力値(暗電流値)Rdarkを減算するとともに、前記赤外光に係わる測定データから遮光状態のIR受光素子から出力される出力値(暗電流値)IRdarkを減算することによって行われる。これら遮光状態のR受光素子およびIR受光素子から出力される各出力値Rdark、IRdarkは、予め測定される。例えば、これら遮光状態のR受光素子およびIR受光素子から出力される各出力値Rdark、IRdarkは、測定の都度、予め測定されてもよく、また例えば、予め測定して記憶しておいてもよい。
【0034】
第1および第2BPF部33、34は、センサ部1によって測定された測定データから所定のノイズ成分を除去するフィルタであり、動脈血の脈動により生ずる生体組織の透過または反射光量における変動成分として通常含まれる周波数成分以外の周波数成分を除去するものである。第1BPF部33は、例えば、赤色光に対する、動脈血の脈動により生ずる生体組織の透過光量または反射光量における変動成分として通常含まれる周波数成分を含む所定の周波数帯域を通過帯域とするフィルタであり、第1比Rをフィルタ処理(フィルタリング)し、このフィルタ処理した後の第1比Rを比算出部36、血中酸素飽和度算出部39、脈拍数算出部40および信頼度算出部41の各部へ通知する。第2BPF部34は、例えば、赤外光に対する、動脈血の脈動により生ずる生体組織の透過光量または反射光量における変動成分として通常含まれる周波数成分を含む所定の周波数帯域を通過帯域とするフィルタであり、第2比IRをフィルタ処理(フィルタリング)し、このフィルタ処理した後の第2比IRを比算出部36、血中酸素飽和度算出部39、脈拍数算出部40および信頼度算出部41の各部へ通知する。
【0035】
比算出部36は、第2比IRに対する第1比Rの第3比(2波長変動比)p(=R/IR)を算出し、この第3比pをヒストグラム算出部35へ通知するものである。
【0036】
ヒストグラム算出部35は、所定の時間範囲内においてセンサ部1によって測定された測定データから求められた第3比pの第1ヒストグラム(度数分布)f(p)を算出し、この第3比pの第1ヒストグラムf(p)を統計パラメータ算出部37aおよびpv算出部38aの各部へ通知するものである。前記所定の時間範囲は、第1ヒストグラムf(p)が統計的に有意となるような個数の測定データを取得することができる時間範囲であり、この測定データの個数は、例えば、300や400や500等である。ヒストグラム算出部35は、第3比pが取り得る数値範囲として想定される所定の範囲を所定の間隔で複数の階級(クラス)に階級分け(クラス分け)を行い、この第1ヒストグラムf(p)を作成する時点から前記所定の時間だけ前までに比算出部36から入力された複数の第3比pのそれぞれをこれらいずれかのクラスに振り分けることによって、各クラスにおける第3比pの頻度を求める。これによってヒストグラム算出部35は、第3比pの第1ヒストグラムf(p)を求める。
【0037】
統計パラメータ算出部37aは、ヒストグラム算出部35で算出された第3比pの第1ヒストグラムf(p)に対し、所定の統計パラメータを算出し、この算出した統計パラメータをpv算出部38aおよび血中酸素飽和度算出部39の各部へ通知するものである。前記所定の統計パラメータは、本実施形態では、第1ヒストグラムf(p)の期待値evおよび標準偏差σである。前記期待値evは、次式A1によって算出される。
期待値ev=∫p×f(p)dp ・・・(A1)
ただし、積分∫は、前記複数のクラスにおける最小のクラスの値aから最大のクラスの値bまでで実行される。
【0038】
そして、統計パラメータ算出部37aは、この算出した期待値evを用いて、関数g1(p)=f(2×ev−p)を求める。
【0039】
pv算出部38aは、統計パラメータ算出部37によって算出された第3比pの第1ヒストグラムf(p)における統計パラメータに基づいて、第3比pを信号成分比paとノイズ成分比pvとに分けた場合におけるノイズ成分比pvを算出し、この算出したノイズ成分比pvを血中酸素飽和度算出部39および脈拍数算出部40の各部へ通知するものである。
【0040】
ここで、生体組織の吸光度を測定する場合、その吸光度の変化分の信号成分をsとし、この信号成分に重畳されるノイズ成分をnとする場合に、第1比Rおよび第2比IRは、次の式B1および式B2が成り立つ。
IR=s+n ・・・(B1)
R=s×pa+n×pv ・・・(B2)
【0041】
この信号成分比paは、赤外光における吸光度の変化分の信号成分sと赤色光における吸光度の変化分の信号成分との比であり、この信号成分比paは、一般に、血中酸素飽和度と一対一で対応することが知られている。また、ノイズ成分比pvは、赤外光に対する信号成分sに重畳されるノイズ成分nと赤色光に対する信号成分に重畳されるノイズ成分との比である。
【0042】
pv算出部38aは、より具体的には、本実施形態では、ヒストグラム算出部35によって求められた第1ヒストグラムf(p)と統計パラメータ算出部37aで算出された所定の統計パラメータとに基づいて第2ヒストグラムh1(p)を求め、この第2ヒストグラムh1(p)を用いてノイズ成分比pvを算出する。本実施形態では、前記関数g1(p)=f(2×ev−p)と定義した場合に、p≦期待値evでは、h1(p)=0と定義され、p>期待値evでは、h1(p)={g1(p)−f(p)}/∫{g1(p)−f(p)}dpと定義され、g1(p)−f(p)≦0では、h1(p)=0と定義され、g1(p)−f(p)>0では、h1(p)={g1(p)−f(p)}/∫{g1(p)−f(p)}dpと定義される。すなわち、
h1(p)=0;p≦期待値evまたはg1(p)−f(p)≦0
h1(p)={g1(p)−f(p)}/∫{g1(p)−f(p)}dp(ただし、積分∫は、前記複数のクラスにおける最小のクラスの値aから最大のクラスの値bまでで実行される。ただし、p≦evおよびg1(p)−f(p)≦0のpの領域を除く);p>期待値evまたはg1(p)−f(p)>0 ・・・(A2)
そして、ノイズ成分比pvは、次式A3によって算出される。
ノイズ成分比pv=∫p×h1(p)dp ・・・(A3)
ただし、積分∫は、前記複数のクラスにおける最小のクラスの値aから最大のクラスの値bまでで実行される。
【0043】
血中酸素飽和度算出部39は、pv算出部38aによって算出されたノイズ成分比pvに基づいて酸素飽和度、例えば、静脈血の酸素飽和度の推定値SvOや動脈血の酸素飽和度の推定値SpOを求め、この求めた酸素飽和度SvO、SpOを表示部5へ出力するものである。
【0044】
より具体的には、例えば、血中酸素飽和度算出部39は、予め求められ記憶されている、ノイズ成分比pvと酸素飽和度との関係を表すルックアップテーブル(校正テーブル)を用いることにより、静脈血の酸素飽和度の推定値SvOを求める。また、血中酸素飽和度算出部39は、ノイズ成分比pvに基づいて、例えば、次式B3を用いることにより、信号成分比paを算出し、予め求められ記憶されている、信号成分比paと酸素飽和度との関係を表すルックアップテーブル(校正テーブル)を用いることにより、動脈血の酸素飽和度の推定値SpOを求める。
pa={pv×ΣR(i)×IR(i)−ΣR(i)×R(i)}/{pv×ΣIR(i)×IR(i)−ΣR(i)×IR(i)} ・・・(B3)
【0045】
脈拍数算出部40は、赤色光に係わる前記第1比R、赤外光に係わる前記第2比IRおよびpv算出部38aによって算出されたノイズ成分比pvに基づいて所定の時間内における脈拍数(例えば1分間の脈拍数)を算出し、この脈拍数を表示部5へ出力するものである。
【0046】
より具体的には、脈拍数算出部40は、赤色光に係わる前記第1比R(i)、赤外光に係わる前記第2比IR(i)およびpv算出部38aによって算出されたノイズ成分比pvを用いて、脈波の信号S(i)=R(i)−pv×IR(i)を求め、この信号S(i)の周期T_periodを求め、この信号S(i)の周期T_periodで60を割り算することによって脈拍数(=60/周期T_period)を求める。
【0047】
信頼度算出部41は、所定の信頼度を算出し、この算出した信頼度を表示部5へ出力するものである。
【0048】
信頼度は、生体情報に係わる算出値がどの程度信頼することができる値であるかを表す指標(度合い)である。このような信頼度は、例えば、次の式C1ないし式C6のいずれかによって求めることができ、信頼度算出部41は、赤色光に係わる前記第1比Rおよび赤外光に係わる前記第2比IRに基づいて、血中酸素飽和度算出部39によって算出された酸素飽和度に対する所定の信頼度を算出する。このような式によって得られる信頼度zでは、その値zの絶対値が大きいほど血中酸素飽和度の信頼度が低くなる。なお、これら各式において、Σは、iについて和を求める。
z=[Σ{R(i)×IR(i)}/Σ{IR(i)}]−[Σ{R(i)}/ΣR{(i)×IR(i)}] ・・・(C1)
z=[Σ{R(i)×IR(i)}/Σ{IR(i)}−[Σ{R(i)}/Σ{IR(i)}] ・・・(C2)
z=[Σ{R(i)}/Σ{R(i)×IR(i)}]−[Σ{R(i)}/(Σ{IR(i)}] ・・・(C3)
z=[(1/N)×ΣR(i)/IR(i)]−(Σ{R(i)})/(Σ{IR(i)}) ・・・(C4)
z=(ΣR(i)×IR(i))/(Σ{IR(i)})−(1/N)×ΣR(i)/IR(i) ・・・(C5)
z=(Σ{R(i)})/(ΣR(i)×IR(i))−(1/N)×ΣR(i)/IR(i) ・・・(C6)
【0049】
表示部5は、この生体情報測定装置Saの動作状態や演算制御部3aによって求められた生体情報等を表示する装置であり、例えば、液晶表示装置(LCD)や有機EL表示装置等である。表示部5は、例えば、本実施形態では、脈拍数算出部40で算出された脈拍数を表示する脈拍数表示部51と、血中酸素飽和度算出部39で算出された酸素飽和度を表示する血中酸素飽和度表示部52と、信頼度算出部41で算出された信頼度を表示する信頼度表示部53とを備えている。
【0050】
次に、第1実施形態の生体情報測定装置Saの動作について説明する。図2は、第1実施形態における生体情報測定装置の動作を示すフローチャートである。図3は、第1実施形態における生体情報測定装置の動作を説明するための図である。図3の比較的太い実線は、第3比pのヒストグラムf(p)を示し、破線は、関数g1(p)(=f(2×ev−p))を示し、比較的細い実線は、第2ヒストグラムh1(p)を表す。
【0051】
本実施形態の生体情報測定装置Saでは、例えば、図略の電源スイッチの投入や電源スイッチの投入後に図略の測定開始スイッチの投入によって、測定対象である生体の生体情報の測定が開始され、測定データが取得され、第1ヒストグラムf(p)が作成される。
【0052】
より具体的には、まず、センサ部1の第1センサ部11によって、赤色光に係わる測定データRs(暗電流を含む)およびその暗電流Rdarkが測定され、アナログ信号からディジタル信号へ変換されるとともに、センサ部1の第2センサ部12によって、赤外光に係わる測定データIRs(暗電流を含む)およびその暗電流IRdarkが測定され、アナログ信号からディジタル信号へ変換される。続いて、演算制御部3aの第1前処理部31によって、センサ部1から入力された赤色光に係わる測定データRsに対し、ダーク処理(Rs−Rdark)が実行され、第1比Rが算出されるとともに、演算制御部3aの第2前処理部32によって、センサ部1から入力された赤外光に係わる測定データIRsに対し、ダーク処理(IRs−IRdark)が実行され、第2比IRが算出される。続いて、演算制御部3aの第1BPF部33によって、第1前処理部31から通知された第1比Rがフィルタリングされるとともに、演算制御部3aの第2BPF部34によって、第2前処理部32から通知された第2比IRがフィルタリングされる。続いて、演算制御部3aの比算出部36によって、第2比IRに対する第1比Rの第3比pが算出され、演算制御部3aのヒストグラム算出部35によって、所定の時間範囲での第3比pのヒストグラムf(p)が算出される。例えば、現在時刻tiから過去の時刻ti−(N+1)までの時間範囲の測定データについて、図3に実線で示すような第3比pのヒストグラムf(p)が求められる。
【0053】
このように第3比pの第1ヒストグラムf(p)が作成されると、図2において、まず、ステップS11では、演算制御部3aの統計パラメータ算出部37aは、所定の範囲、例えば、第1ヒストグラムf(p)のクラスにおける最小のクラスの値aから最大のクラスの値bまでの範囲で、第3比pのヒストグラムf(p)に対する期待値evおよび標準偏差σをそれぞれ算出する。
【0054】
続いて、ステップS12では、演算制御部3aは、この求めた標準偏差σが予め設定された所定値σth以下であるか否かを判断する(σ≦σthか?)。このステップS12は、第3比pの第1ヒストグラムf(p)に含まれるノイズの程度を判断するための処理であり、前記所定値σthは、閾値として、後述のノイズ除去処理を行うことなく、測定データから例えば仕様に応じた所定の精度で脈拍数を求めることができるか否かの観点から適宜に設定される。
【0055】
このステップS12の判断の結果、標準偏差σが所定値σth以下である場合(Yes)には、ステップS22の処理が実行され、一方、このステップS12の判断の結果、標準偏差σが所定値σth以下ではない場合(No)には、ステップS13の処理が実行される。
【0056】
ステップS13では、統計パラメータ算出部37aは、g1(p)(=f(2×ev−p))を求める。例えば、上述の例では、図3に実線で示す第3比pの第1ヒストグラムf(p)に対し、図3に破線で示すg1(p)が求められる。
【0057】
続いて、ステップS14では、演算制御部3aのpv算出部38aは、第3比pが期待値ev以上であるか否かを判断する(p≧evか?)。このステップS14の判断の結果、第3比pが期待値ev以上ではない場合(No、p<ev)には、pv算出部38aは、ステップS16を実行し、当該第3比pに対するh1(p)=0とし、ステップS19の処理を実行する。一方、このステップS14の判断の結果、第3比pが期待値ev以上である場合(Yes、p≧ev)には、pv算出部38aは、ステップS15を実行し、g1(p)−f(p)が0以上であるか否かを判断する(g1(p)−f(p)≧0か?)。
【0058】
このステップS15の判断の結果、g1(p)−f(p)が0以上ではない場合(No、g1(p)−f(p)<0)には、pv算出部38aは、ステップS17を実行し、当該第3比pに対するh1(p)=0とし、ステップS19の処理を実行する。一方、このステップS15の判断の結果、g1(p)−f(p)が0以上である場合(Yes、g1(p)−f(p)≧0)には、pv算出部38aは、ステップS18を実行し、当該第3比pに対するh1(p)={g1(p)−f(p)}/∫{g1(p)−f(p)}dp(ただし、積分∫は、前記複数のクラスにおける最小のクラスの値aから最大のクラスの値bまでで実行される。ただし、p≦evおよびg1(p)−f(p)≦0のpの領域を除く)を求める。
【0059】
このようなステップS14からステップS18までの各処理が、a≦p≦bの範囲における第3比pのそれぞれについて実行され、第2ヒストグラムh1(p)が求められる。例えば、上述の例では、図3に比較的太い実線で示す第3比pの第1ヒストグラムf(p)に対し、図3に比較的細い実線で示す第2ヒストグラムh1(p)が求められる。
【0060】
そして、ステップS19では、pv算出部38aは、ノイズ成分比pv=∫p×h1(p)dp(ただし、積分∫は、前記複数のクラスにおける最小のクラスの値aから最大のクラスの値bまでで実行される。)を求める。
【0061】
続いて、ステップS20では、脈拍数算出部40は、上述の各処理によって求めたノイズ成分比pvを用いて、脈波の信号S(i)=R(i)−pv×IR(i)を求め、この信号S(i)の周期T_periodを求める。
【0062】
続いて、ステップS21では、脈拍数算出部40は、このように求めた信号S(i)の周期T_periodで60を割り算することによって脈拍数(=60/周期T_period)を求める。
【0063】
一方、ステップS22では、脈拍数算出部40は、第2比IR(i)の周期T_periodを求め、続いて、ステップS21を実行し、このように求めた第2比IR(i)の周期T_periodで60を割り算することによって脈拍数(=60/周期T_period)を求める。
【0064】
なお、σが所定値σth以下の場合、pv=[Σ{R(i)×IR(i)}/Σ{IR(i)}]+δ としてステップS20にジャンプしてもよい。ここで、δは、正の値であって、一定値でもよいし、[Σ{R(i)×IR(i)}/Σ{IR(i)}]に応じた値としてもよい。
【0065】
そして、演算制御部3aは、このような各処理によって求めた脈拍数を表示部5の脈拍数表示部51に表示する。
【0066】
なお、上述の処理において、期待値evを求める際の積分範囲とノイズ成分比pvを求める際の積分範囲とは、同一であっても異なっていてもよい。
【0067】
また、演算制御部3aの血中酸素飽和度算出部39は、ノイズ成分比pvに基づいて静脈血の酸素飽和度SvOを求めるとともに、ノイズ成分比pvに基づいて信号成分比paを求め、この求めた信号成分比paに基づいて動脈血の酸素飽和度SpOを求める。そして、演算制御部3aは、これら求めた酸素飽和度SvO、SpOを表示部5の血中酸素飽和度表示部52に表示する。
【0068】
また、演算制御部3aの信頼度算出部41は、所定の信頼度を求め、演算制御部3aは、この求めた信頼度を表示部5の信頼度表示部53に表示する。
【0069】
このように本実施形態の生体情報測定装置Saでは、測定データR、IRによる第3比pの第1ヒストグラムf(p)が求められ、その第1ヒストグラムf(p)の統計パラメーラとして期待値evが求められ、その期待値evに基づく所定範囲における測定データに基づいて所定の生体情報が求められる。このように本実施形態の生体情報測定装置Saは、より簡易な処理によって生体情報を求めることができ、その結果、消費電力を低減することができる。
【0070】
そして、本実施形態では、第3比pの第1ヒストグラムf(p)における期待値evを所定の統計パラメータとして求め、この第1ヒストグラムf(p)によるpの期待値evに基づき生体の脈拍数を求め、さらに加えて血中酸素飽和度を求める生体情報測定装置Saが提供される。
【0071】
次に、別の実施形態について説明する。
【0072】
(第2実施形態)
第1実施形態における生体情報測定装置Saは、第3比pの第1ヒストグラムf(p)における期待値evおよび関数g1(p)=f(2×ev−p)を用いて脈拍数および血中酸素飽和度を求めたが、第2実施形態における生体情報測定装置Sbは、第3比pの第1ヒストグラムf(p)における期待値evおよび第3比pに関するその移動平均g2(p)を用いて脈拍数および血中酸素飽和度を求めるものである。
【0073】
図4は、第2実施形態における生体情報測定装置の構成を示すブロック図である。図4において、このような第2実施形態の生体情報想定装置Sbは、センサ部1と、演算制御部3bと、表示部5とを備えて構成される。第2実施形態の生体情報想定装置Sbにおけるセンサ部1および表示部5は、それぞれ、第1実施形態の生体情報想定装置Saにおけるセンサ部1および表示部5と同様であるので、その説明を省略する。
【0074】
そして、第2実施形態の生体情報想定装置Sbにおける演算制御部3bは、表示部5に接続され、センサ部1で測定された測定データに基づいて生体情報を求めるとともに、生体情報測定装置Sa全体の制御を司る装置であり、機能的に、例えば、第1前処理部31と、第2前処理部32と、第1バンドパスフィルタ部(第1BPF部)33と、第2バンドパスフィルタ部(第2BPF部)34と、ヒストグラム算出部35と、比算出部36と、統計パラメータ算出部37bと、pv算出部38bと、血中酸素飽和度算出部39と、脈拍数算出部40と、信頼度算出部41とを備える。第2実施形態の生体情報想定装置Sbにおける第1前処理部31、第2前処理部32、第1BPF部33、第2BPF部34、ヒストグラム算出部35、比算出部36、血中酸素飽和度算出部39、脈拍数算出部40および信頼度算出部41は、それぞれ、第1実施形態の生体情報想定装置Saにおける第1前処理部31、第2前処理部32、第1BPF部33、第2BPF部34、ヒストグラム算出部35、比算出部36、血中酸素飽和度算出部39、脈拍数算出部40および信頼度算出部41と同様であるので、その説明を省略する。
【0075】
統計パラメータ算出部37bは、ヒストグラム算出部35で算出された第3比pの第1ヒストグラムf(p)に対し、所定の統計パラメータを算出し、この算出した統計パラメータをpv算出部38bおよび血中酸素飽和度算出部39の各部へ通知するものである。前記所定の統計パラメータは、本実施形態では、第1ヒストグラムf(p)における期待値ev、標準偏差σおよび第3比pに関する第1ヒストグラムf(p)の移動平均g2(p)である。
【0076】
pv算出部38bは、ヒストグラム算出部35によって求められた第3比pの第1ヒストグラムf(p)に基づいて、ノイズ成分比pvを算出し、この算出したノイズ成分比pvを血中酸素飽和度算出部39および脈拍数算出部40の各部へ通知するものである。
【0077】
pv算出部38bは、より具体的には、本実施形態では、ヒストグラム算出部35によって求められた第1ヒストグラムf(p)と統計パラメータ算出部37aで算出された所定の統計パラメータとに基づいて第2ヒストグラムh2(p)を求め、この第2ヒストグラムh2(p)を用いてノイズ成分比pvを算出する。本実施形態では、p≦期待値evでは、h2(p)=0と定義され、p>期待値evでは、h2(p)={g2(p)−f(p)}/∫{g2(p)−f(p)}dpと定義され、g2(p)−f(p)≦0では、h2(p)=0と定義され、g2(p)−f(p)>0では、h2(p)={g2(p)−f(p)}/∫{g2(p)−f(p)}dpと定義される。すなわち、
h2(p)=0;p≦期待値evまたはg2(p)−f(p)≦0
h2(p)={g2(p)−f(p)}/∫{g2(p)−f(p)}dp(ただし、積分∫は、前記複数のクラスにおける最小のクラスの値aから最大のクラスの値bまでで実行される。ただし、p≦evおよびg1(p)−f(p)≦0のpの領域を除く);p>期待値evまたはg2(p)−f(p)>0 ・・・(A4)
そして、ノイズ成分比pvは、次式A5によって算出される。
ノイズ成分比pv=∫p×h2(p)dp ・・・(A5)
ただし、積分∫は、前記複数のクラスにおける最小のクラスの値aから最大のクラスの値bまでで実行される。
【0078】
次に、第2実施形態の生体情報測定装置Sbの動作について説明する。図5は、第2実施形態における生体情報測定装置の動作を示すフローチャートである。図6は、第2実施形態における生体情報測定装置の動作を説明するための図である。図6の比較的太い実線は、第3比pのヒストグラムf(p)を示し、破線は、第3比pに関するヒストグラムf(p)の移動平均g2(p)を示し、比較的細い実線は、関数h2(p)を表す。
【0079】
本実施形態の生体情報測定装置Sbでは、第1実施形態の生体情報測定装置Saと同様に、例えば、図略の電源スイッチの投入や電源スイッチの投入後に図略の測定開始スイッチの投入によって、測定対象である生体の生体情報の測定が開始され、測定データが取得され、第1ヒストグラムf(p)が作成される。例えば、現在時刻tiから過去の時刻ti−(N+1)までの時間範囲の測定データについて、図6に実線で示すような第3比pの第1ヒストグラムf(p)が求められる。
【0080】
この第3比pの第1ヒストグラムf(p)が作成されると、図5において、まず、ステップS31では、演算制御部3bの統計パラメータ算出部37は、ステップS11と同様に、所定の範囲、例えば、第1ヒストグラムf(p)のクラスにおける最小のクラスの値aから最大のクラスの値bまでの範囲で、第3比pの第1ヒストグラムf(p)に対する期待値evおよび標準偏差σをそれぞれ算出する。
【0081】
続いて、ステップS32では、演算制御部3bは、ステップS12と同様に、この求めた標準偏差σが予め設定された所定値σth以下であるか否かを判断する(σ≦σthか?)。
【0082】
このステップS32の判断の結果、標準偏差σが所定値σth以下である場合(Yes)には、ステップS42の処理が実行され、一方、このステップS32の判断の結果、標準偏差σが所定値σth以下ではない場合(No)には、ステップS33の処理が実行される。
【0083】
ステップS33では、統計パラメータ算出部37bは、第3比pに関する第1ヒストグラムf(p)の移動平均g2(p)=∫f(p)dp(ただし、積分∫は、現在時点から2△Pの範囲(p−△pからp+△pまで)で実行される)を求める。例えば、上述の例では、図6に実線で示す第3比pの第1ヒストグラムf(p)に対し、図6に破線で示すg2(p)が求められる。
【0084】
続いて、ステップS34では、演算制御部3bのpv算出部38bは、第3比pが期待値ev以上であるか否かを判断する(p≧evか?)。このステップS34の判断の結果、第3比pが期待値ev以上ではない場合(No、p<ev)には、pv算出部38bは、ステップS36を実行し、当該第3比pに対するh2(p)=0とし、ステップS39の処理を実行する。一方、このステップS34の判断の結果、第3比pが期待値ev以上である場合(Yes、p≧ev)には、pv算出部38bは、ステップS35を実行し、g2(p)−f(p)が0以上であるか否かを判断する(g2(p)−f(p)≧0か?)。
【0085】
このステップS35の判断の結果、g2(p)−f(p)が0以上ではない場合(No、g2(p)−f(p)<0)には、pv算出部38bは、ステップS37を実行し、当該第3比pに対するh2(p)=0とし、ステップS39の処理を実行する。一方、このステップS35の判断の結果、g2(p)−f(p)が0以上である場合(Yes、g2(p)−f(p)≧0)には、pv算出部38bは、ステップS38を実行し、当該第3比pに対するh2(p)={g2(p)−f(p)}/∫{g2(p)−f(p)}dp(ただし、積分∫は、前記複数のクラスにおける最小のクラスの値aから最大のクラスの値bまでで実行される。ただし、p≦evおよびg1(p)−f(p)≦0のpの領域を除く)を求める。
【0086】
このようなステップS34からステップS38までの各処理が、a≦p≦bの範囲における第3比pのそれぞれについて実行され、第2ヒストグラムh2(p)が求められる。例えば、上述の例では、図6に比較的太い実線で示す第3比pの第1ヒストグラムf(p)に対し、図6に比較的細い実線で示す第2ヒストグラムh2(p)が求められる。
【0087】
そして、ステップS39では、pv算出部38bは、ノイズ成分比pv=∫p×h2(p)dp(ただし、積分∫は、前記複数のクラスにおける最小のクラスの値aから最大のクラスの値bまでで実行される。)を求める。
【0088】
続いて、ステップS40では、脈拍数算出部40は、ステップS20と同様に、上述の各処理によって求めたノイズ成分比pvを用いて、脈波の信号S(i)=R(i)−pv×IR(i)を求め、この信号S(i)の周期T_periodを求める。
【0089】
続いて、ステップS41では、脈拍数算出部40は、ステップS21と同様に、このように求めた信号S(i)の周期T_periodで60を割り算することによって脈拍数(=60/周期T_period)を求める。
【0090】
一方、ステップS42では、脈拍数算出部40は、ステップS22と同様に、第2比IR(i)の周期T_periodを求め、続いて、ステップS41を実行し、このように求めた第2比IR(i)の周期T_periodで60を割り算することによって脈拍数(=60/周期T_period)を求める。
【0091】
そして、演算制御部3bは、このような各処理によって求めた脈拍数を表示部5の脈拍数表示部51に表示する。
【0092】
なお、上述の処理において、期待値evを求める際の積分範囲とノイズ成分比pvを求める際の積分範囲とは、同一であっても異なっていてもよい。
【0093】
また、演算制御部3bの血中酸素飽和度算出部39は、ノイズ成分比pvに基づいて静脈血の酸素飽和度SvOを求めるとともに、ノイズ成分比pvに基づいて信号成分比paを求め、この求めた信号成分比paに基づいて動脈血の酸素飽和度SpOを求める。そして、演算制御部3bは、これら求めた酸素飽和度SvO、SpOを表示部5の血中酸素飽和度表示部52に表示する。
【0094】
また、演算制御部3bの信頼度算出部41は、所定の信頼度を求め、演算制御部3bは、この求めた信頼度を表示部5の信頼度表示部53に表示する。
【0095】
このように本実施形態の生体情報測定装置Sbでは、測定データR、IRによる第3比pの第1ヒストグラムf(p)が求められ、その第1ヒストグラムf(p)の統計パラメーラとして期待値evが求められ、その期待値evに基づく所定範囲における測定データに基づいて所定の生体情報が求められる。このように本実施形態の生体情報測定装置Sbは、より簡易な処理によって生体情報を求めることができ、その結果、消費電力を低減することができる。
【0096】
そして、本実施形態では、第3比pの第1ヒストグラムf(p)における期待値evおよび移動平均g2(p)を所定の統計パラメータとして求め、この第1ヒストグラムf(p)によるpの期待値evおよび移動平均g2(p)に基づき生体の脈拍数を求め、さらに加えて血中酸素飽和度を求める生体情報測定装置Sbが提供される。
【0097】
なお、上述の第2実施形態では、統計パラメータ算出部37bは、前記所定の統計パラメータとして第3比pの第1ヒストグラムf(p)における期待値evおよびその移動平均g2(p)を求め、pv算出部38bは、第3比pが期待値evよりも大きい場合、または、g2(p)−f(p)が0より大きい場合における{g2(p)−f(p)}/∫{g2(p)−f(p)}dpを前記第2ヒストグラムh2(p)として求め、この第2ヒストグラムh2(p)に基づいてノイズ成分比pvを求め、脈拍数算出部40は、このノイズ成分比pvに基づいて生体の脈拍数を求めたが、統計パラメータ算出部37bは、第3比pの第1ヒストグラムf(p)における移動平均g2(p)を求め、前記移動平均g2(p)のピークを与える第3比p_pを前記所定の統計パラメータとして求め、pv算出部38bは、第3比pが移動平均g2(p)のピークを与える第3比p_pよりも大きい場合、または、g2(p)−f(p)が0より大きい場合における{g2(p)−f(p)}/∫{g2(p)−f(p)}dpを前記第2ヒストグラムh2(p)として求め、この第2ヒストグラムh2(p)に基づいてノイズ成分比pvを求め、脈拍数算出部40は、このノイズ成分比pvに基づいて生体の脈拍数を求めてもよい。
【0098】
このような構成によっても生体情報測定装置Sは、より簡易な処理によって生体情報を求めることができ、その結果、消費電力を低減することができる。そして、この構成では、第3比pの第1ヒストグラムf(p)における移動平均g2(p)およびこの移動平均g2(p)のピークを与える第3比p_pを所定の統計パラメータとして求め、この第1ヒストグラムf(p)の移動平均g2(p)に基づき生体の脈拍数を求め、さらに加えて血中酸素飽和度を求める生体情報測定装置Sbが提供される。
【0099】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
【符号の説明】
【0100】
Sa、Sb 生体情報測定装置
1 センサ部
3a、3b 演算制御部
5 表示部
11 第1センサ部
12 第2センサ部
35 ヒストグラム算出部
36 比算出部
37a、37b 統計パラメータ算出部
38a、38b pv算出部
39 血中酸素飽和度算出部
40 脈拍数算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象の生体における所定の生理的現象を測定して測定データを出力する測定部と、
前記測定部によって測定された測定データに基づいて第1ヒストグラムを求めるヒストグラム算出部と、
前記ヒストグラム算出部によって求められた第1ヒストグラムにおける所定の統計パラメータを求める統計パラメータ算出部と、
前記ヒストグラム算出部によって求められた第1ヒストグラムと前記統計パラメータ算出部で算出された前記所定の統計パラメータとに基づいて第2ヒストグラムを求め、この第2ヒストグラムに基づいて前記所定の生体情報を求める生体情報算出部とを備えること
を特徴とする生体情報測定装置。
【請求項2】
前記測定部は、所定の第1波長の第1光を前記生体の生体組織に照射し、前記生体の生体組織を透過または反射した第1光を受光して第1測定データを出力する第1センサ部と、前記第1波長と異なる所定の第2波長の第2光を前記生体の生体組織に照射し、前記生体の生体組織を透過または反射した第2光を受光して第2測定データを出力する第2センサ部とを備えるセンサ部を備え、
前記ヒストグラム算出部は、前記第1測定データにおける直流成分に対する交流成分の第1比と前記第2測定データにおける直流成分に対する交流成分の第2比との第3比pのヒストグラムf(p)を前記第1ヒストグラムとして求め、
前記統計パラメータ算出部は、前記所定の統計パラメータとして前記第1ヒストグラムf(p)における期待値evを求め、
前記生体情報算出部は、g1(p)=f(2×ev−p)とする際に、前記第3比pが前記期待値evよりも大きい場合、または、前記g1(p)−f(p)が0より大きい場合における{g1(p)−f(p)}/∫{g1(p)−f(p)}dpを前記第2ヒストグラムとして求め、この第2ヒストグラムに基づいて前記生体の脈拍数を求めること
を特徴とする請求項1に記載の生体情報測定装置。
【請求項3】
前記測定部は、所定の第1波長の第1光を前記生体の生体組織に照射し、前記生体の生体組織を透過または反射した第1光を受光して第1測定データを出力する第1センサ部と、前記第1波長と異なる所定の第2波長の第2光を前記生体の生体組織に照射し、前記生体の生体組織を透過または反射した第2光を受光して第2測定データを出力する第2センサ部とを備えるセンサ部を備え、
前記ヒストグラム算出部は、前記第1測定データにおける直流成分に対する交流成分の第1比と前記第2測定データにおける直流成分に対する交流成分の第2比との第3比pのヒストグラムf(p)を前記第1ヒストグラムとして求め、
前記統計パラメータ算出部は、前記所定の統計パラメータとして前記第1ヒストグラムf(p)における期待値evおよび移動平均g2(p)を求め、
前記生体情報算出部は、前記第3比pが前記期待値evよりも大きい場合、または、前記g2(p)−f(p)が0より大きい場合における{g2(p)−f(p)}/∫{g2(p)−f(p)}dpを前記第2ヒストグラムとして求め、この第2ヒストグラムに基づいて前記生体の脈拍数を求めること
を特徴とする請求項1に記載の生体情報測定装置。
【請求項4】
前記測定部は、所定の第1波長の第1光を前記生体の生体組織に照射し、前記生体の生体組織を透過または反射した第1光を受光して第1測定データを出力する第1センサ部と、前記第1波長と異なる所定の第2波長の第2光を前記生体の生体組織に照射し、前記生体の生体組織を透過または反射した第2光を受光して第2測定データを出力する第2センサ部とを備えるセンサ部を備え、
前記ヒストグラム算出部は、前記第1測定データにおける直流成分に対する交流成分の第1比と前記第2測定データにおける直流成分に対する交流成分の第2比との第3比pのヒストグラムf(p)を前記第1ヒストグラムとして求め、
前記統計パラメータ算出部は、前記第1ヒストグラムf(p)における移動平均g2(p)を求め、前記移動平均g2(p)のピークを与える第3比p_pを前記所定の統計パラメータとして求め、
前記生体情報算出部は、前記第3比pが前記移動平均g2(p)のピークを与える第3比p_pよりも大きい場合、または、前記g2(p)−f(p)が0より大きい場合における{g2(p)−f(p)}/∫{g2(p)−f(p)}dpを前記第2ヒストグラムとして求め、この第2ヒストグラムに基づいて前記生体の脈拍数を求めること
を特徴とする請求項1に記載の生体情報測定装置。
【請求項5】
前記生体情報算出部は、前記第1ヒストグラムの標準偏差の値に応じて前記生体の脈拍数を求める算出式を変更すること
を特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれか1項に記載の生体情報測定装置。
【請求項6】
前記生体情報算出部は、前記所定の生体情報としてさらに血中酸素飽和度を求めること
を特徴とする請求項2ないし請求項5のいずれか1項に記載の生体情報測定装置。
【請求項7】
測定対象の生体における所定の生理的現象を測定して測定データを出力する測定工程と、
前記測定工程によって測定された測定データに基づいて第1ヒストグラムを求めるヒストグラム算出工程と、
前記ヒストグラム算出工程によって求められた第1ヒストグラムにおける所定の統計パラメータを求める統計パラメータ算出工程と、
前記ヒストグラム算出工程によって求められた第1ヒストグラムと前記統計パラメータ算出工程で算出された前記所定の統計パラメータとに基づいて第2ヒストグラムを求め、この第2ヒストグラムに基づいて前記所定の生体情報を求める生体情報算出工程とを備えること
を特徴とする生体情報測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−206286(P2011−206286A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−77211(P2010−77211)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(303050160)コニカミノルタセンシング株式会社 (175)
【Fターム(参考)】