説明

生体認証装置及び画像処理装置

【課題】 標準的に内蔵されている記憶部の記憶容量が比較的小さい場合であっても、他の記憶媒体との接続状態に応じて、内蔵されている記憶部の負荷を軽減するとともに照合データの登録件数を増大させ、利便性を向上させる。
【解決手段】 複数の照合データが記憶される記憶部220と、複数の照合データを記憶可能な記憶媒体300と直接的又は間接的に接続するための接続部230と、認証情報入力部210から入力された生体認証情報と照合データとを比較して生体認証を行う認証部240と、記憶部220又は記憶媒体300に記憶される照合データの最大登録件数を、接続部230における記憶媒体300との接続の有無により決定する登録件数設定部250と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体認証装置及びこれを備えた画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複合機、複写機、プリンタ装置、ファクシミリ装置等の画像処理装置に、指紋認証をはじめとした生体認証が導入されたものが提案されている。画像処理装置等に備えられる生体認証装置としては、予め照合データを登録しておき、入力された生体認証情報と照合データとを比較するものが一般的である(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、低解像度でも高解像度でも認証可能な生体認証装置が開示されている。
【0003】
この種の画像処理装置には、指紋センサ等の生体認証入力部が内蔵または外部から接続され、生体認証後に、印刷、複写、ファクシミリ操作等が許容されるようになっている。これにより、機密文書が印刷、複写等されてしまったり、ファックス機能が不正に使用されないようになっている。
【0004】
また、画像処理装置として、短縮ダイヤルやワンタッチダイヤル等の各種機能項目や当該機能項目に対する個別登録内容の最大登録件数をメモリの容量に応じて任意に設定可能とした複合機が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2004−21491号公報
【特許文献2】特開2001−326796号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献2に記載の画像処理装置に、特許文献1のような生体認証装置を備えるとなると、照合データの最大登録件数は、照合データの登録に割り当て可能な記憶領域の上限に応じて設定させることとなる。ここで、生体認証装置で使用可能な記憶部がハードディスクのように比較的大容量であればともかく、複合機等のように標準で内蔵されている記憶部がSRAM、SDRAM等のメモリであり記憶容量が比較的小さい場合には、必然的に割り当て可能な記憶領域も小さくなり、最大登録件数も比較的少なく設定せざるを得ないという問題点が生ずる。
【0006】
また、記憶部と別個に他の記憶媒体が接続された場合にも最大登録件数が維持されるため、記憶媒体に照合データを記憶可能となるにもかかわらず最大登録件数が変更できないという問題点がある。ここで、記憶媒体が接続された際に手動で最大登録件数を増やすことが考えられるが、逆に記憶媒体の接続が解除された際にも手動で変更しなければならず、利用者に煩雑な作業が強いられることとなる。また、記憶媒体の接続が解除された際に利用者が最大登録件数を変更し忘れた場合には、登録すべき照合データが失われるなど、利便性が悪いという問題点もある。
【0007】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、標準的に内蔵されている記憶部の記憶容量が比較的小さい場合であっても、他の記憶媒体との接続状態に応じて、内蔵されている記憶部の負荷を軽減するとともに照合データの登録件数を増大させ、利便性を向上させることのできる生体認証装置及びこれを備えた画像処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題を解決する本発明によれば、複数の照合データが記憶される記憶部と、複数の照合データを記憶可能な記憶媒体と直接的又は間接的に接続するための接続部と、認証情報入力部から入力された生体認証情報と前記記憶部または前記記憶媒体に記憶されている前記照合データとを比較して生体認証を行う認証部と、前記記憶部又は前記記憶媒体に記憶される前記照合データの最大登録件数を、前記接続部における前記記憶媒体との接続の有無により決定する登録件数設定部と、を備えたことを特徴とする生体認証装置が提供される。
【0009】
尚、ここでいう「直接的に接続」とは、例えばメインボード等に規格品のメモリを挿して接続する形態を含み、装置内部の回路に記憶媒体を直接接続することをいう。また、「間接的に接続」とは、例えばインターフェース部にメモリを含むネットワークオプションボードを接続する形態を含み、装置内部の回路に記憶媒体を他の要素を介して接続することをいう。
【0010】
この発明によれば、接続部に記憶媒体が接続されていない状態では、登録件数設定部は最大登録件数を比較的小さな件数に設定する。そして、接続部に記憶媒体が接続された状態では、記憶部の記憶領域に加えて記憶媒体の記憶領域も利用可能となり、登録件数設定部は最大登録件数を比較的大きな件数に設定する。
これにより、標準的に内蔵されている記憶部の記憶容量が比較的小さい場合であっても、他の記憶媒体との接続状態に応じて、内蔵されている記憶部の負荷を軽減するとともに照合データの登録件数を増大させることができる。
【0011】
上記生体認証装置において、前記記憶部は揮発性メモリである構成とすることができる。
【0012】
この構成によれば、ハードディスクを標準で備えておらず、容量が比較的小さい揮発性メモリしかないような場合でも、外付けしたものに応じて多くの照合データを記憶することができるようになる。
【0013】
上記生体認証装置において、前記登録件数設定部は、前記記憶部の記憶容量に応じて前記最大登録件数を設定し、前記接続部における前記記憶媒体との接続の有無により該最大登録件数を変更する構成とすることができる。
【0014】
この構成によれば、標準で搭載されている記憶部の記憶容量に応じて予め最大登録件数が設定された後、接続部における記憶媒体の接続状態に応じて最大登録件数が変更されることとなる。
【0015】
上記生体認証装置において、前記記憶部は前記記憶媒体よりも記憶容量が小さい構成とすることができる。
【0016】
この構成によれば、標準で搭載されている記憶部の容量が比較的小さく、比較的大容量の記憶媒体をオプションで追加可能に構成されている場合に、追加される記憶媒体の記憶領域に多くの照合データを記憶させることができ、実用に際して極めて有利である。
【0017】
上記生体認証装置において、前記接続部は、複数種類の前記記憶媒体と接続可能であり、前記登録件数設定部は、前記記憶媒体の種類に応じて前記最大登録件数を決定する構成とすることができる。
【0018】
この構成によれば、記憶媒体の種類に応じて照合データに割り当てる記憶領域が設定されることとなる。例えば記憶媒体がハードディスク等のように比較的大容量のものである場合は、記憶媒体接続時の最大登録件数が比較的大きく設定され、例えば記憶媒体がSDRAM等のように比較的小容量のものである場合は、記憶媒体接続時の最大登録件数が比較的小さく設定される。これにより、記憶媒体の種類に応じてきめ細やかに最大登録件数を設定することができる。
また、例えば、複合機等のように、メインボードに接続可能な記憶媒体の仕様が1つであって、インターフェース部に接続可能なネットワークオプションボードに搭載されている記憶媒体の仕様も1つである場合など、製品において接続される記憶媒体の仕様がある程度定まっている場合には、この構成は極めて便利である。
【0019】
上記生体認証装置において、前記登録件数設定部は、前記記憶媒体の記憶容量に応じて前記最大登録件数を決定する構成とすることができる。
【0020】
この構成によれば、記憶容量の異なる記憶媒体が接続された場合に容量に応じて最大登録件数を変化させることができ、記憶容量に応じてきめ細やかに最大登録件数を設定することができる。
【0021】
上記生体認証装置において、前記生体認証情報は指紋に関する情報である構成とすることができる。
【0022】
この構成によれば、生体認証情報が指紋に関する情報であることから、認証情報入力部を他の生体認証方式よりも比較的安価に製造することができるとともに、生体認証情報及び照合データのデータ量を比較的小さくすることができ、実用に際して極めて有利である。
【0023】
以上、本発明の構成について説明したが、本発明はこれに限られず様々な態様を含む。たとえば、本発明によれば、上記生体認証装置を備え、前記認証部は、前記生体認証情報と前記照合データとが一致したと判断すると、所定の画像処理を許可することを特徴とする画像処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0024】
このように、本発明によれば、標準的に内蔵されている記憶部の記憶容量が比較的小さい場合であっても、他の記憶媒体との接続状態に応じて、内蔵されている記憶部の負荷を軽減するとともに照合データの登録件数を増大させ、利便性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0026】
図1は本発明の一実施形態を示す画像処理装置の機能ブロック図である。
図1に示すように、画像処理装置100は、原稿の画像を読み取って読取画像データを出力する読取部110と、入力された画像データに基づいて画像の印刷を行う印刷部120と、公衆回線網を通じて他のファクシミリ装置とファクシミリ通信を行うファクシミリ通信部130と、LAN等のネットワークを通じてパーソナルコンピュータ等の外部端末と通信を行うネットワーク通信部140と、予め登録されている照合データと入力された生体認証情報とを比較して生体認証を行う生体認証装置200と、を有する複合機である。また、画像処理装置100は、内部機器を動作させるための主電源スイッチを含む操作入力部150と、液晶等により内部機器の作動状態を表示する表示部160と、を有している。
【0027】
すなわち、画像処理装置100は、ネットワーク通信部140により、外部のPCから受信した印刷データに基づいて印刷を実行するPCプリント機能、及び/又は、読取部110が出力した読取画像データを外部のPCに転送(送信)するPCスキャン機能が可能となる。そして、例えば、印刷部120は、読取部110が出力した読取画像データに基づいて印刷を実行したり、或いは、ネットワーク通信部140が受信した印刷データに基づいて印刷を実行したりする。そして、印刷、コピーなどに際して機密文書を取り扱う場合や、ファクシミリ機能等の不正利用を防止するために、生体認証装置200は、照合データと生体認証情報とが同一人物のものか否かを判別する。
【0028】
図1に示すように、生体認証装置200は、生体認証情報が入力される認証情報入力部210と、複数の照合データが記憶される記憶部220と、複数の照合データを記憶可能な記憶媒体300と直接的又は間接的に接続するための接続部230と、生体認証情報と照合データとを比較して生体認証を行う認証部240と、を備えている。認証部240は、入力された生体認証情報と照合データとが一致したと判断すると、所定の画像処理を許可する。本実施形態においては、記憶部220は、揮発性メモリであり、記憶媒体300よりも記憶容量が小さい。さらに、生体認証装置200は、記憶部220又は記憶媒体300に記憶される照合データの最大登録件数を、接続部230における記憶媒体300との接続の有無により決定する登録件数設定部250を備えている。具体的には、登録件数設定部250は、記憶部220の記憶容量に応じて最大登録件数を設定し、接続部230における記憶媒体300との接続の有無により該最大登録件数を変更する。また、登録件数設定部250は、記憶媒体300の記憶容量に応じて前記最大登録件数を決定する。
【0029】
この生体認証装置200の各構成要素は、画像処理装置100に内蔵されているCPU、メモリ、各構成要素を実現するプログラム、このプログラムを格納する記憶ユニット、ネット接続用インターフェースを中心にハードウェアとソフトウェアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置にはいろいろな変形例があることは、当業者には理解されるところである。図1には、ハードウェア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。
【0030】
また、具合的には、本実施形態において、生体認証装置200は図2に示すハードウェア構成を有する。図2は生体認証装置のハードウェア構成の一例を示す概略構成ブロック図である。図2に示すように、生体認証装置200は、CPU410と、ROM420と、SRAM430と、SDRAM440と、インターフェース部450と、指紋センサ460と、が電気的に接続されて構成されている。
【0031】
CPU410は、ROM420に記憶されたソフトウェアを実行することで、バスに接続された各構成部を総括的に制御する。すなわち、CPU410は、所定の処理シーケンスに従って、各プログラムをROM420から読み出して実行することにより、生体認証装置200の各部を制御する。
【0032】
また、揮発性メモリとしてのSRAM430には、CPU410が各プログラムを実行する上で一時的に必要とされるプログラム、データが格納される。また、比較的少数ながら照合データも記憶可能となっている。
一方、揮発性メモリとしてのSDRAM440には、主として照合データが記憶される。ここで、SDRAM440は、画像処理装置100に標準的に内蔵されているメモリである。
尚、SRAM430及びSDRAM440は、主電源がオフ状態となってもバックアップされており、揮発性メモリでありながら格納された情報が保持されるよう構成されている。本実施形態においては、SRAM430とSDRAM440とで、合計約10指分、すなわち約10件分の照合データが記憶可能となっている。
【0033】
指紋センサ460は、指紋の隆線を読み取るセンサであり、登録される照合データの読み取りと、生体認証を行う際に入力する情報の読み取りを行う。具体的に、指紋センサ460は、略四角形状のセンサ部分に載置された指紋の隆線を、例えば反射光により読み取ることで画像化する。ここで、指紋センサ460の方式は、反射光を用いた光学式以外のもの、例えば、静電容量式、電界式、感熱式、感圧式のいずれであってもよい。また、画像の読み取り方式は、1回の押印で指紋全体の画像を得るエリア・センサ方式であっても、移動する指の画像を連続的に取得して複数の画像を連結して指紋全体の画像を得るライン・センサ方式であってもよい。
【0034】
本実施形態においては、照合データと生体認証情報の照合にはマニューシャ方式が用いられる。マニューシャ方式とは、各特徴点(分岐点、端点、三角州等)の位置と隆線の方向を指紋の特徴として利用する照合方式である。この方式は各特徴点の位置と方向という情報を用いるため、照合指紋の回転ずれに対して角度の補正が容易であることから、他の方式に比べ回転ずれに強いという利点がある。
【0035】
図3は、SDRAMを増設した状態を示す生体認証装置の概略構成ブロック図である。
図3に示すように、生体認証装置200には、標準で装備されているSDRAM440とは別個にSDRAM470を増設可能となっている。このSDRAM470にも、主として照合データが記憶され、主電源がオフ状態となってもバックアップされるよう構成されている。本実施形態においては、SDRAM470には、約100指分、すなわち約100件分の照合データが記憶可能となっている。
【0036】
図4は、ネットワークオプションボードを接続した状態を示す生体認証装置の概略構成ブロック図である。
さらに、図4に示すように、生体認証装置200のインターフェース部450には、ネットワークオプションボード500を接続可能となっている。図4に示すように、ネットワークオプションボード500には、生体認証装置200に装備されているものとは別個に、CPU510、ROM520、SRAM530及びSDRAM540が備えられる。さらに、ネットワークオプションボード500には、例えば、コンパクトフラッシュ(登録商標)、SDカード等の不揮発性メモリのカードメモリ550が接続可能となっている。本実施形態においては、ネットワークオプションボード500のSDARM540及びカードメモリ550にも照合データを記憶可能となっている。また、SDRAM540は、主電源がオフ状態となってもバックアップされるよう構成されている。本実施形態においては、SDRAM540には、約1000指分の照合データが記憶可能となっている。
【0037】
以上のように構成された生体認証装置200の動作について、図5に示すフローチャートを参照して説明する。
図5に示すように、主電源スイッチがオン状態となると(ステップS10)、標準で搭載されている記憶部220の記憶容量に応じて最大登録件数が設定される(ステップS15)。具体的には、標準装備されているSRAM430及びSDRAM440に応じて最大登録件数を約10件とする。この後、図1に示す記憶媒体300が接続されているか否かを判別する(ステップS20)。すなわち、標準装備されているSDRAM440の他に、図3に示すSDRAM470がメインボードに増設されているか、図4に示すネットワークオプションボード500が接続されているか、さらには図6に示すようにSDRAM470及びネットワークオプションボード500の両方が接続されているか否かを判別する。ここで、図6は、SDRAMを増設するとともにネットワークオプションボードを接続した状態を示す生体認証装置の概略構成ブロック図である。
【0038】
ステップS20にて記憶媒体300が接続されていると判別されると、続いて、接続された記憶媒体300の容量に応じて最大登録件数を決定する(ステップS30)。ここで、増設用のSDRAM470とネットワークオプションボード500のSDRAM540とが同時に接続されている場合など、複数の記憶媒体300が接続されている場合は、接続された全ての記憶媒体300の総容量に応じて最大登録件数が決定される。
【0039】
具体的には、SDRAM470が増設されている場合は最大登録件数を約100件とし、カードメモリ550がない状態のネットワークオプションボード500が接続されている場合は最大登録件数を約1000件とし、これら両方が接続されている場合は最大登録件数を約1100件とする。これにより、標準的に搭載されているSRAM430及びSDRAM440の分だけ照合データの記憶領域として使用しないので、全体として照合データにして10件分の空き領域が確保され、仮に最大登録件数の照合データが記憶されたとしても、ファクシミリ機能、コピー機能等に多くのメモリ領域を充てることができる。尚、カードメモリ550を有する状態のネットワークオプションボード500が接続されている場合には、カードメモリ550の容量を検出し、これに応じた最大登録件数とする。
【0040】
また、ステップS20にて記憶媒体300が接続されていないと判別されると、記憶部220の容量に応じて最大登録件数を決定する(ステップS40)。具体的には、標準装備されているSRAM430及びSDRAM440に応じて最大登録件数を約10件とする。ステップS30及びステップS40の後、決定された最大登録件数により生体認証装置200に設定されている最大登録件数を更新する(ステップS50)。この後、主電源スイッチがオフ状態であるか否かを判別し(ステップS60)、オフ状態であれば処理を終了する。ステップS60にて主電源スイッチがオフ状態でないと判別するとステップS20へ進んで、引き続き記憶媒体300の容量に応じた最大登録件数の設定処理を行う。
【0041】
このように、本実施形態の生体認証装置200によれば、標準で搭載されている記憶部220の記憶容量に応じて予め最大登録件数が設定された後、接続部230における記憶媒体300の接続状態に応じて最大登録件数が変更されることとなる。このとき、接続部230に記憶媒体300が接続されていない状態では、登録件数設定部250は最大登録件数を比較的小さな件数に設定する。そして、接続部230に記憶媒体300が接続された状態では、記憶部220の記憶領域に加えて記憶媒体300の記憶領域も利用可能となり、登録件数設定部は最大登録件数を比較的大きな件数に設定する。
これにより、標準的に内蔵されている記憶部220の記憶容量が比較的小さい場合であっても、他の記憶媒体300との接続状態に応じて、内蔵されている記憶部220の負荷を軽減するとともに照合データの登録件数を増大させ、利便性を向上させることができる。特に、比較的大容量の記憶媒体300をオプションで追加可能に構成されている場合に、追加される記憶媒体300の記憶領域に多くの照合データを記憶させることができ、実用に際して極めて有利である。
【0042】
また、本実施形態の生体認証装置200によれば、ハードディスクを標準で備えておらず、容量が比較的小さい揮発性メモリしかなくとも、外付けしたものに応じて多くの照合データを記憶することができるようになる。また、記憶容量の異なる記憶媒体300が接続された場合に容量に応じて最大登録件数を変化させることができ、記憶容量に応じてきめ細やかに最大登録件数を設定することができる。
【0043】
また、本実施形態の生体認証装置200によれば、生体認証情報が指紋に関する情報であることから、認証情報入力部210を他の生体認証方式よりも比較的安価に製造することができるとともに、生体認証情報及び照合データのデータ量を比較的小さくすることができ、実用に際して極めて有利である。
【0044】
尚、前記実施形態においては、画像処理装置100として複合機を例示したが、画像処理装置は複写機、ファクシミリ装置、プリンタ装置等であってもよいことは勿論である。また、生体認証装置200が画像処理装置100に備えられて所定の画像処理を許可する用途で生体認証が行われるものを示したが、生体認証装置200は他の装置に備えられたり他の用途で用いられるものであってもよく、例えば、商品購入時の本人確認や、所定場所への入場における生体認証に用いられるものであってもよい。
【0045】
また、前記実施形態においては、主電源スイッチがオフ状態となると処理を終了するものを示したが、例えば図7のフローチャートに示すように、接続されている記憶媒体300に不揮発性メモリが存在する場合には、揮発性メモリに記憶されている照合データを不揮発性メモリへ転送するようにしてもよい(ステップS70)。これにより、不測の事態によりSRAM430、SDRAM440及びSDRAM470への電力供給が停止した場合や、これらがメインボードから外れてしまった場合にも、揮発性メモリに登録された照合データを保存しておくことが可能となる。
【0046】
また、前記実施形態においては、記憶媒体300の記憶容量に応じて最大登録件数が決定されるものを示したが、記憶媒体300の種類に応じて最大登録件数を決定するようにしてもよい。例えば、前記実施形態の画像処理装置100において、メインボードに接続可能なSDRAM470の仕様が1つであってインターフェース部450に接続可能なネットワークオプションボード500の仕様も1つである場合など、製品において記憶媒体300の仕様がある程度定まっている場合には、この構成は極めて便利である。
【0047】
また、前記実施形態においては、画像処理のためのメモリ領域が確保されるように最大登録件数を決定する態様を例示したが、画像処理にメモリ領域がさほど必要ない場合などは、全てのメモリ領域を対象として最大登録件数を決定するようにしてもよい。
また、増設用のSDRAM470とネットワークオプションボード500が接続されているときには、これらの記憶容量の総容量から最大登録件数を約1100件とするものを示したが、ネットワークオプションボード500が接続されている場合にはSDRAM470の有無にかかわらず一律で最大登録件数が約1000件となるよう設定してもよい。
さらに、照合データの登録以外に最低限必要な最小メモリ領域を利用者が設定できるよう構成しておき、全メモリ領域から最小メモリ領域を差し引いた領域を対象として最大登録件数を決定するようにしてもよい。
【0048】
また、前記実施形態においては、生体認証情報を指紋に関する情報としたものを例示したが、例えば、虹彩、顔、掌形、声紋、網膜、静脈等のような他の生体に関する情報としてもよいことは勿論である。また、画像処理装置100が指紋センサ460を有するものを示したが、指紋センサ460を外部からUSBケーブル等により接続したものであってもよい。さらに、照合データと生体認証情報の照合にマニューシャ方式を用いたものを示したが、パターン・マッチング方式、周波数解析方式等を用いてもよい。
【0049】
さらにまた、記憶媒体300は、ハードディスク、ネットワーク上のファイルサーバ等であってもよいし、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施形態を示す画像処理装置の機能ブロック図である。
【図2】生体認証装置のハードウェア構成の一例を示す概略構成ブロック図である。
【図3】SDRAMを増設した状態を示す生体認証装置の概略構成ブロック図である。
【図4】ネットワークオプションボードを接続した状態を示す生体認証装置の概略構成ブロック図である。
【図5】生体認証装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】SDRAMを増設するとともにネットワークオプションボードを接続した状態を示す生体認証装置の概略構成ブロック図である。
【図7】変形例を示すものであって、生体認証装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0051】
100 画像処理装置
110 読取部
120 印刷部
130 ファクシミリ通信部
140 ネットワーク通信部
150 操作入力部
160 表示部
200 生体認証装置
210 認証情報入力部
220 記憶部
230 接続部
240 認証部
250 登録件数設定部
300 記憶媒体
410 CPU
420 ROM
430 SRAM
440 SDRAM
450 インターフェース部
460 指紋センサ
470 SDRAM
500 ネットワークオプションボード
510 CPU
520 ROM
530 SRAM
540 SDRAM
550 カードメモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の照合データが記憶される記憶部と、
複数の照合データを記憶可能な記憶媒体と直接的又は間接的に接続するための接続部と、
認証情報入力部から入力された生体認証情報と前記記憶部または前記記憶媒体に記憶されている前記照合データとを比較して生体認証を行う認証部と、
前記記憶部又は前記記憶媒体に記憶される前記照合データの最大登録件数を、前記接続部における前記記憶媒体との接続の有無により決定する登録件数設定部と、を備えたことを特徴とする生体認証装置。
【請求項2】
前記記憶部は揮発性メモリであることを特徴とする請求項1に記載の生体認証装置。
【請求項3】
前記登録件数設定部は、前記記憶部の記憶容量に応じて前記最大登録件数を設定し、前記接続部における前記記憶媒体との接続の有無により該最大登録件数を変更することを特徴とする請求項1または2に記載の生体認証装置。
【請求項4】
前記記憶部は前記記憶媒体よりも記憶容量が小さいことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の生体認証装置。
【請求項5】
前記接続部は、複数種類の前記記憶媒体と接続可能であり、
前記登録件数設定部は、前記記憶媒体の種類に応じて前記最大登録件数を決定することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の生体認証装置。
【請求項6】
前記登録件数設定部は、前記記憶媒体の記憶容量に応じて前記最大登録件数を決定することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の生体認証装置。
【請求項7】
前記生体認証情報は指紋に関する情報であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の生体認証装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項の生体認証装置を備え、
前記認証部は、前記生体認証情報と前記照合データとが一致したと判断すると、所定の画像処理を許可することを特徴とする画像処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2007−18169(P2007−18169A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−197697(P2005−197697)
【出願日】平成17年7月6日(2005.7.6)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】