説明

生分解性及び温度感応性ポリ有機フォスファゼンの製造方法及び用途

温度変化に応じてゾル−ゲル相転移を示し、官能基を有する生分解性及び温度感応性ポリ有機フォスファゼン、その製造方法及びその生体活性物質輸送材料としての用途に関する。本発明のポリ有機フォスファゼンは、生分解性物質であり、温度変化に応じてゾル−ゲル相転移を示す温度感応性を有しており、体内に注入する場合、体温によってゲルを形成して、薬物等の生体活性物質の放出制御が容易であり、薬物等とイオン結合、共有結合、配位結合等の化学結合が可能な官能基を有して、薬物等の担持力に優れていて薬物の持続的放出が可能であるので、薬物等の生体活性物質輸送材料として非常に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は温度変化に応じてゾル−ゲル相転移を示し、官能基を有する生分解性及び温度感応性ポリ有機フォスファゼンの製造方法及びその生体活性物質輸送材料としての用途に関するものである。
【0002】
本発明のポリ有機フォスファゼンは、フォスファゲンをベースとしたポリマーであり、生分解性物質であり、温度変化に応じてゾル−ゲル相転移を示す温度感応性を有しており、体内に注入する場合、体温によってゲルを形成して、薬物等の生体活性物質の放出制御が容易である。さらに、ポリ有機フォスファゼンは、その優れた結合特性により、薬物等とイオン結合、共有結合、配位結合等の化学結合が可能な官能基を有して、生体活性物質の持続的放出が可能である。そのため、ポリ有機フォスファゼンは薬物等の生体活性物質輸送材料として非常に有用である。
【背景技術】
【0003】
温度感応性高分子ハイドロゲル水溶液は、低い温度ではゾル相であるが、温度上昇に伴いゲル相に変化する。
【0004】
このようなゾル−ゲルの相転移は可逆的である。温度感応性高分子ハイドロゲルは、その水溶液が治療用薬物と混合容易であるという長所のため、有用な注入用薬物輸送材料として考えられている。それゆえ、温度感応性高分子ハイドロゲルは、外科的手術なしで生体内に容易に注入可能で、生体内の目的部位に注入した場合、体温で3次元構造のゲルを形成するため、薬物の放出制御または徐放を可能にする(Nature、388、860(1997)、米国特許第6、201、072号)。
【0005】
しかし、このような温度感応性高分子ハイドロゲルを注入用薬物輸送材料として使用する場合、分子量の小さい薬物や親水性の大きい薬物等は、3次元網状構造のゲルを簡単に通過して放出されるので、含まれていた親水性薬物の30%以上が注入の初期段階で放出されるという問題がある。また、体内における親水性薬物の速い拡散速度のため、短時間に薬物の放出が終了され、薬物の徐放という目的が達成できないという問題点がある(Adv Drug Deliv Rev、31、197(1998))。
【0006】
このような短所を解決すべく、薬物が直接化学結合できる官能基を有する、様々な温度感応性高分子ハイドロゲルが開発された。官能基を通じて親水性薬物が化学結合している温度感応性高分子ハイドロゲルが体内に注入された場合、薬物は高分子の分解、または高分子と薬物との間の化学結合の分解によって、徐放が達成される。
【0007】
代表的な温度感応性高分子でるN-イソプロピルアクリルアミドとアクリル酸共重合体の官能基と、親水性薬物との直接的な化学結合を試みた。しかし、親水性薬物と化学結合しているN-イソプロピルアクリルアミドとアクリル酸共重合体は、細胞毒性および生体内で分解されないという問題が依然としてあった(Macromolecules、34、8569、2001)。
【0008】
ポリエチレンオキサイド-ポリ乳酸グリコール酸-ポリエチレンオキサイド(PEO-PLGA-PEO、Regel)は、生体内で分解される代表的な温度感応性高分子ゲルである。しかしながら、PEO-PLGA-PEOは高分子構造に官能基を持たないので、親水性薬物と結合できない。
【0009】
また、官能基を介してキトサンを親水性薬物と化学結合させ、さらなる生分解性温度感応性高分子ハイドロゲルの形成が考えられる。しかし、キトサンは有機溶媒に対して難溶性であるため、親水性薬物との化学結合が難しく、またゲル化の速度が遅く、およびゲル強度が低いため、注入用薬物輸送材料としては使用するには望ましくない等の問題点がある。
【0010】
本発明の発明者らは、直鎖状ジクロロフォスファゼンをアミノ酸エステルとメトキシポリエチレングリコールで置換することによって得られるポリ有機フォスファゼンは、一定温度以下では水溶液中でゾル層であるが、一定温度以上ではゾル相からへの3次元構造のゲル相への相転移する温度感応性を示すことを報告した。これらの温度感応性ポリ有機フォスファゼンは、水溶液中で徐々に加水分解される(Macromolecules32、2188(1999)、Macromolecules32、7820(1999)、Macromolecules35、3876(2002)、韓国特許第259、367号、第315、630号、米国特許第6、319、984号)。
【0011】
しかし、前記論文又は特許に開示されたポリ有機フォスファゼンは、官能基を持たないため、親水性薬物の薬物輸送材料として応用するには限界がある。上記の問題を改善するために、温度変化に応じてゾル−ゲル相転移を示し、および生体活性物質と結合可能な官能基を有する、新規生分解性ポリ有機フォスファゼンの開発が要求される。
【0012】
【特許文献1】韓国特許第259、367号
【特許文献2】韓国特許第315、630号、
【特許文献3】米国特許第6、201、072号
【特許文献4】米国特許第6、319、984号
【非特許文献1】Nature、388、860(1997)
【非特許文献2】Adv Drug Deliv Rev、31、197(1998)
【非特許文献3】Macromolecules32、2188(1999)
【非特許文献4】Macromolecules32、7820(1999)
【非特許文献5】Macromolecules、34、8569、2001
【非特許文献6】Macromolecules35、3876(2002)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、官能基を有する生分解性及び温度感応性ポリ有機フォスファゼン及びその製造方法を提供することである。
【0014】
本発明の他の目的は、前記官能基を有する生分解性及び温度感応性ポリ有機フォスファゼンを一定濃度で含み、温度変化に応じてゾル−ゲル相転移を示すハイドロゲルを提供する。
【0015】
また他の目的は、前記官能基を有する生分解性及び温度感応性ポリ有機フォスファゼン1種以上を含む薬物輸送用組成物を提供することである。
【0016】
また他の目的は、前記官能基を有する生分解性及び温度感応性ポリ有機フォスファゼン1種以上と、薬物及び治療用細胞からなる群より選択された1種以上を含有する薬物輸送システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は官能基を有する生分解性及び温度感応性ポリ有機フォスファゼン、その製造方法及びその生体活性物質輸送材料としての用途に関するものである。
【0018】
本発明のポリ有機フォスファゼンは、生分解性、温度感応性および温度変化に応じてゾル−ゲル相転移を示す、フォスファゲンをベースとした高分子である。このため、本発明のポリ有機フォスファゼンを薬物などの生体活性物質と共に体内に注入する場合、ポリ有機フォスファゼンは体温でゲルを形成して、生体活性物質の放出制御を可能にする。さらに、ポリ有機フォスファゼンは薬物等とイオン結合、共有結合、配位結合等の化学結合が可能な官能基を有しており、その優れた結合特性により生体活性物質の徐放が可能である。したがって、ポリ有機フォスファゼンは薬物等の生体活性物質輸送材料として非常に有用である。
【0019】
本明細書に記載の「生分解性」は、生物体内に注入する場合、生体内で無害の物質に分解されて排出される、生体内に残存せず生体組織に無害である性質を意味する。
【0020】
また、「温度感応性」は、温度上昇によってゾル相の溶液がゲル相に変化するゾル−ゲル相転移を示すことを意味する。ここで、ゾル−ゲル相転移が起こる温度を「ゲル化温度」という。
【0021】
まず、本発明は、温度変化に応じてゾル−ゲル相転移を示し、官能基を有する生分解性及び温度感応性ポリ有機フォスファゼンを提供する。
【0022】
本発明のポリ有機フォスファゼンは下記の化学式1で表される。
【化1】

前記式中、pはエチレングリコールの反復単位数であって、7〜50の値を有し、
NHCH(R)COはアミノ酸エステルであって、
はH、HCH、CH、CHSH、CH(CH、CHCH(CH、CH(CH)C、CHCHSCH、CH、CHOH、CHNH、OCOC、CO、CHCO、(CHCO及びHCONHCH(CH)からなる群より選択され、 RはCH、C、C、C、CH及びCHCHCHからなる群より選択され、
NH(R)(R)(R)はアミノ酸、ペプチド、又はデプシペプチドエステルであって、
はCH(W)であり、
はCO、COCHCO、COCH(CH)CO及びCONHCH(X)COからなる群より選択され、
はH、CH及びCからなる群より選択され、
ここでWとXは、各々独立的にH、HCH、CH、CH(CH、CHCH(CH、CH(CH)C、CHCHSCH、CH、CHNH、OCOC、CO、(CHCO、CHOH、CH(CH)OH、CHOH、CHCOOH、CHCHCOOH、CHCONH、CNH、CNHC(=NH)NH、CH及びCHSHからなる群より選択され、
NH(R)(R)(R)とNH(R)(R)(R)は官能基を有する置換体を示し、
はCH(Y)であり、
はC、C、C、CH、CHCO、O、CONHCH(Z)O、CO、CO、S、CONHCH(Z)S、N、CONHCH(Z)N、CON、COCHNH(Z)CON、CONHCH(Z)CO及びCONHCH(Z)COからなる群より選択され、
はOH、SH、H、CH、C、C、C、CH CHCHCH及び保護基からなる群より選択され、
ここでYとZは、各々独立的にH、HCH、CH、CH(CH、CHCH(CH、CH(CH)C、CHCHSCH、CH、CHNH、OCOC、CO、(CHCO、CHOH、CH(CH)OH、CHOH、CHCOOH、CHCHCOOH、CHCONH、CNH、CNHC(=NH)NH、CH及びCHSHからなる群より選択され、
はOH、SH、H、NH、CH、C、C、C、CH、CHCHCH、NHCH(SH)COH、NH(CHSH、NH(CHCHNH)H、[NHCH(CNH)CO]OH、[NHCH[(CHC(=NH)(NH)]CO]OH及びプロタミンからなる群より選択され、
ここで、qはメチレンの反復単位数であって、1〜20の値を有し、
rはエチレンイミン、リシン又はアルギニンの反復単位数であって、1〜18000の値を有し、
、a、b、c、d及びeは、各置換体の含有量を示す値であって、a、a、b、dは、各々0.01〜1.9の値を有し、c及びeは、各々0〜1.9の値を有し、a+a2+b+c+d+e=2.0であり、
nはポリフォスファゼンの重合度であって、5〜100000の値を有する。
【0023】
前記Rとして使用可能なプロタミンは、分子量に制限はないが、好ましくは4000〜10000範囲の重量平均分子量を有する。
【0024】
前記化学式1の構造の詳細な説明のため、次の表1に本発明の官能基を有するポリ有機フォスファゼンの置換体を整理した。
【0025】
【表1】


【0026】
本発明のポリ有機フォスファゼンの一実施態様において、高分子が温度感応性及び生分解性を示すように、ジクロロフォスファゼン直鎖状高分子に疎水性アミノ酸エステルと分子量350〜2500範囲の親水性メトキシポリエチレングリコールが導入される。さらに、高分子の分解速度を調節できるアミノ酸、ペプチド又はデプシペプチドエステルを、高分子に部分的に導入できる。
【0027】
本発明の別の実施態様において、側鎖として水酸基、アミド基、アミノ基、チオール基又はカルボキシル基のような官能基を有する置換体を直接高分子主鎖に導入したり、置換されたアミノ酸エステル又はペプチドエステルを高分子主鎖に導入した後、保護基を除去したりする方法により、本発明のポリ有機フォスファゼンに官能基を導入することができる。前記使用可能な保護基を以下の表2のように要約したが、これらに制限されない。
【0028】
【表2】






【0029】
本発明の別の実施態様において、リシン、アルギニン、システイン、チオールアルキルアミン、又は各種分子量のポリエチレンイミン、ポリリシン、ポリアルギニン又はプロタミンを、カルボン酸を有するポリフォスファゼンと反応させてポリフォスファゼンに官能基として導入することができる。
【0030】
また、疎水性アミノ酸エステルの種類、分解速度を調節できるアミノ酸、ペプチド又はデプシペプチドエステルの種類、官能基を有する置換体の種類、メトキシポリエチレングリコールの鎖長、すべての置換体の組成、ポリ有機フォスファゼンの分子量、多分散指数、ポリ有機フォスファゼン溶液の濃度等を調節して、本発明のフォスファゼン系高分子ゾル−ゲル相転移を示す温度(ゲル化温度)、ゲル強度、及び/又は生分解速度等を調節することができる。
【0031】
例えば、疎水性アミノ酸の組成が増加するほどゲル化温度が低くなる。ポリ有機フォスファゼン溶液の濃度が高いほどゲル化温度は低くなり、ゲル強度は増加する。メトキシポリエチレングリコールの鎖長が長いほどゲル強度が増加し、ゲル化温度が高くなる。デプシペプチドエステルを含むフォスファゼン系高分子は、デプシペプチドエステルを含まないフォスファゼン系高分子より生分解速度が速い。カルボン酸基を有する置換体を含むポリ有機フォスファゼンは、カルボン酸基を有する置換体を含まないフォスファゼン系高分子より生分解速度が速い。
【0032】
また、他の態様では、本発明は前記化学式1の構造を有する温度変化に応じてゾル−ゲル相転移を示し官能基を有する生分解性ポリ有機フォスファゼンの製造方法を提供する。本発明の製造方法は下記の工程を含む。
(1)下記化学式2のフォスファゼン三量体を熱重合させて、下記化学式3のジクロロフォスファゼン直鎖状高分子を得る工程と、
【化2】

【化3】

(上記式中、nは1〜100000)
(2)前記工程(1)で生成された化学式3の化合物を、下記化学式4のアミノ酸エステル又はその塩と反応させる工程と、
[化4]
NHCH(R)CO
(3)前記工程(2)の生成物を下記化学式5のアミノ酸、ペプチド、デプシペプチドエステル又はそれらの塩と反応させる工程と、
[化5]
NH(R)(R)(R
(4)前記工程(3)の生成物を下記化学式6の官能基を有する置換体又はそれらの塩と反応させる工程と、
[化6]
NH(R)(R)(R
(5)前記工程(4)の生成物を下記化学式7のアミノメトキシポリエチレングリコール又はそれらの塩と反応させる工程。
[化7]
NH(CHCHO)CH
(前記化学式6においてRがCH又はCHCHCHである場合、本発明の製造方法は、前記工程(5)で生成された高分子を脱水素化反応(RがCHの場合)又は脱アリルエステル化反応(RがCHCHCHである場合)させることによって、Rが水素(H)官能基を有するものであるポリ有機フォスファゼンを得る工程(6)をさらに含むことができる。)
【0033】
さらに、本発明は、工程(5)又は工程(6)の生成物をリシン、アルギニン、システイン、チオールアルキルアミン、又は種々の分子量のポリエチレンイミン、ポリリシン、ポリアルギニン又はプロタミンと反応させて、RがNHCH(SH)COH、NH(CHSH、NH(CHCHNH)H、[NH(CHCH(NH)CO]OH、[NHC(=NH)(CHCH(NH)CO]OH、又はプロタミン等の種々の官能基を有するポリ有機フォスファゼンを製造する、工程(7)をさらに含むことができる。
【0034】
上記のような化学式1の官能基を有するポリ有機フォスファゼンの製造工程は、次の反応式1で表される。
(反応式1)
【化8】

【0035】
前記化学式4、5、6、7及び反応式1において、R、R、R、R、R、R、R、R、R、a、a、b、c、d、e、n、及びpは、化学式1の化合物に対して定義したものと同様である。
【0036】
以下、本発明の化学式1で表される官能基を有するポリ有機フォスファゼンの製造方法をより詳細に説明するが、これらに限定されない。
【0037】
すべての製造反応過程は、水分が入らないように真空及び/又は窒素ラインを使用することが好ましい。さらに、反応に使用された各種溶媒は、従来の方法で水分を十分に除去して使用することが好ましい。
【0038】
工程(1)は、化学式2の化合物と0.1〜10重量%の塩化アルミニウム(AlCl)をガラス反応管に入れて密封した後、1分当り1回の速度で回転させて200〜250℃で4〜8時間反応させて行う。
【0039】
工程(2)は、前記工程(1)の生成物1当量を基準に前記化学式4で表されるアミノ酸エステル又はその塩0.01〜1.9当量と、4当量のトリエチルアミン存在下で反応させる方法で行う。前記化学式4の塩は塩酸塩又は硫酸塩であることが好ましい。反応溶媒としては、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、クロロホルム又はトルエンからなる群から選択されるが、これらに限定されない。反応は−60〜50℃で約8〜72時間行うことができる。
【0040】
工程(3)は、前記工程(2)の生成物を前記化学式5で表されるアミノ酸、ペプチド、デプシペプチドエステル又はその塩0〜1.9当量と4当量のトリエチルアミン存在下で反応させる方法で行う。前記化学式5化合物の塩は、シュウ酸塩、塩酸塩又はトリフルオロ酸塩であることが好ましい。このとき、反応溶媒としては、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、クロロホルム又はトルエンからなる群から選択されるが、これらに限定されない。反応は0〜50℃で1〜72時間程度行うことができる。
【0041】
工程(4)は、前記工程(3)の生成物を前記化学式6で表される官能基を有する置換体又はその塩0.01〜1.9当量と4当量のトリエチルアミン存在下で反応させる方法で行う。前記化学式6化合物の塩は、シュウ酸塩、塩酸塩、又はトリフルオロ酸塩であることが好ましい。このとき、反応溶媒でとしては、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、クロロホルム又はトルエンからなる群から選択されるが、これに限定されない。反応は25〜50℃で12〜72時間程度行うことができる。
【0042】
工程(5)では、工程(4)の生成物の残っているクロロ基を基準に2当量の化学式6で表されるアミノメトキシポリエチレングリコールと4当量のトリエチルアミン存在下で反応させて、前記工程(4)の生成物中に残っているクロロ基を全て置換する。このとき、反応溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、クロロホルム又はトルエンからなる群から選択されるが、これらに限定されない。反応は25〜50℃で24〜72時間程度行うことができる。
【0043】
化学式6において、RがCHである場合、工程(6)は、工程(5)の生成物を前記工程(5)の生成物の50〜90重量%のパラジウム/チャーコール又はパラジウムブラックと30〜80psi圧力の水素ガス存在下で脱水素化反応させて、カルボキシ基で置換することによって行う。このとき、反応溶媒としては、メチルアルコール又はエチルアルコールを使用できるが、これらに限定されない。反応は10〜35℃で1〜24時間程度行うことができる。
【0044】
また、化学式6においてRがCHCHCHである場合は、前記工程(5)の生成物を10〜20モル%のテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)と10〜20当量のモルフォリン存在下で脱アリルエステル化反応させて、カルボキシ基で置換して行う。このとき、反応溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、クロロホルム又はトルエンからなる群から選択されるが、これらに限定されない。反応は0〜25℃で1〜24時間程度行うことができる。
【0045】
工程(7)はカルボン酸を含む前記工程(5)の生成物又は工程(6)の生成物をリシン、アルギニン、システイン、チオールアルキルアミン、又は種々の分子量のポリエチレンイミン、ポリリシン、ポリアルギニン又はプロタミンと、1〜3当量のジシクロヘキシルカルボジイミドと1〜3当量のヒドロキシコハク酸イミド存在下で反応させて、種々の官能基を有するポリ有機フォスファゼンを得る。この際、反応溶媒としてはテトラヒドロフラン又はクロロホルムを使用できるが、これらに限定されない。反応は0〜25℃で1〜48時間程度行うことができる。
【0046】
前記工程(1)乃至(6)において、各工程の生成物を精製しないでそのまま次の工程の反応に使用することができる。純粋な目的生成物は、次のような精製方法により、前記工程(5)、工程(6)及び工程(7)の反応混合物から回収することができる。
【0047】
まず、前記反応混合物を遠心分離又はろ過して、沈殿物(例えば、トリエチルアンモニウムクロライド、シュウ酸のトリエチルアンモニウム塩等)を反応混合物から除去し、溶媒が少量になるまで濾液を減圧濃縮する。得られた濃縮液をテトラヒドロフランに溶解させて過量のエチルエーテル、ヘキサン又はエチルエーテルとヘキサンの混合溶媒を加えて生成物の沈澱を誘導し、これらをろ過する過程を2〜3回繰り返して未反応置換体を除去する。この過程で得られた化合物を再び少量のメチルアルコール又はエチルアルコールに溶解させ、25℃のメチルアルコール又はエチルアルコールで3〜10日間透析し、4〜25℃の蒸溜水で3〜10日間透析し、低温乾燥させて、純粋な化学式1の化合物を得る。
【0048】
また、他の特徴による本発明は、以下の化学式9のポリ有機フォスファゼン溶液を含む、温度変化に応じてゾル−ゲル相転移を示す高分子溶液(ハイドロゲル)を提供する。
【化9】

上記式中、pはエチレングリコールの反復単位数であって、7〜50の値を有し、
NHCH(R)COはアミノ酸エステルであって、
はH、HCH、CH、CHSH、CHCH(CH、CHCH(CH、CH(CH)C、CHCHSCH、CH、CHOH、CHNH、OCOC、CO、CHCO、(CHCO及びHCONHCH(CH)からなる群より選択され、
はCH、C、C、C、CH及びCHCHCHからなる群より選択され、
NH(R)(R)(R)はアミノ酸、ペプチド、又はデプシペプチドエステルであって、
はCH(W)であり、
はCO、COCHCO、COCH(CH)CO及びCONHCH(X)COからなる群より選択され、
はH、CH及びCからなる群より選択され、
ここで、WとXは各々独立的にH、HCH、CH、CHCH(CH、CHCH(CH、CH(CH)C、CHCHSCH、CH、CHNH、OCOC、CO、(CHCO、CHOH、CH(CH)OH、CHOH、CHCOOH、CHCHCOOH、CHCONH、CNH、CNHC(=NH)NH、CH及びCHSHからなる群より選択され、
NH(R)(R)(R)及びNH(R)(R)(R)は、官能基を有する置換体を示し、
はCH(Y)であり、
はC、C、C、CH、CHCO、CO、CO、CONHCH(Z)CO及びCONHCH(Z)COからなる群より選択され、
はOH、SH、H、CH、C、C、C、CH及びCHCHCHからなる群より選択され、
ここで、YとZは各々独立的にH、HCH、CH3、CHCH(CH、CHCH(CH、CH(CH)C、CHCHSCH、CH、CHNHH4、OCOC、CO、(CHCO、CHOH、CH(CH)OH、CHOH、CHCOOH、CHCHCOOH、CHCONH、CNH、CNHC(=NH)NH、CH及びCHSHからなる群より選択され、RはOH、SH、H、CH、C、C、C、CH、CHCHCH、NHCH(SH)COH、NH(CHSH、NH(CHCHNH)H、[NHCH(CNH)CO]OH、[NHCH[(CHC(=NH)(NH)]CO]OH及びプロタミンからなる群より選択され、
ここで、qはメチレンの反復単位数であって、1〜20の値を有し、
rはエチレンイミン、リシン又はアルギニンの反復単位数であって、1〜18000の値を有し、
、a、b、c、d及びeは、各置換体の含有量を示す値であって、a、a、bは、各々0.01〜1.9の値を有し、c、d及びeは、各々0〜1.9の値を有し、a+a+b+c+d+e=2.0であり、
nはポリフォスファゼンの重合度であって5〜100000の値を有する。
【0049】
前記Rとして使用可能なプロタミンは分子量に制限がなく、好ましくは4、000〜10、000範囲の分子量を有することができる。
【0050】
上記のように、本発明の化学式9のポリ有機フォスファゼンの溶液(ハイドロゲル)は、温度変化に応じて明確なゾル−ゲル相転移を示し、生分解性を有し、薬物と化学結合できる官能基を有するという特性を有する。
【0051】
本発明の温度変化に応じたゾル−ゲル相転移及び生分解性を示すハイドロゲルは、このような化学式1のポリ有機フォスファゼンが水、緩衝溶液、酸性溶液、塩基性溶液、塩溶液、生理食塩水、注射用水及びブドウ糖食塩溶液からなる群より選択された適切な溶媒に1〜50重量%の濃度、好ましくは3〜20重量%の濃度で溶解されている。
【0052】
本発明のポリ有機フォスファゼンは、約5〜70℃範囲でゾル−ゲル相転移を示す。このため、本発明のポリ有機フォスファゼンは体温範囲でゲル形態を有することができ、薬物又は細胞等の多様な生体活性物質の体内輸送物質として有用に使用することができる。
【0053】
また、本発明のハイドロゲルは、難溶性薬物の可溶性を増加させる効果も有しており、パクリタキセル(Paclitaxel)等の難溶性薬物の輸送時に特に有用である。
【0054】
他の実施態様による本発明は、生体内でゲル形態を有する生分解性高分子又は前記高分子ハイドロゲル及び下記のような所定の添加剤を含む生体活性物質輸送用組成物を提供する。本発明に使用される高分子は、体内でゲル形態を有するすべての生分解性高分子からなる群より選択された1種以上の高分子であり得る。上記のハイドロゲルは、前記高分子が緩衝溶液、酸性溶液、塩基性溶液、塩溶液、水、生理食塩水、注射用水及び葡萄糖食塩液からなる群より選択された溶媒に1〜50重量%の濃度、好ましくは3〜20重量%の濃度で溶解され得る。
【0055】
本発明の生分解性高分子は、疎水性物質と親水性物質の両方が導入されていることを特徴とする。
【0056】
本発明の高分子は、任意にアミノ酸、ペプチド及びデプシペプチドからなる群より選択された分解速度調節物質を含むか、及び/又は側鎖にヒドロキシ基、アミド基、アミノ基、チオール基又はカルボキシル基からなる群より選択された官能基を有する。
【0057】
本発明の高分子は、5〜70℃範囲でゾル−ゲル相転移を示し、分子量が4000〜400000のポリ有機フォスファゼン又はポリ有機フォスファゼンハイドロゲルであり得る。
【0058】
このような高分子又はハイドロゲルを含有する生体活性物質輸送用組成物に薬物又は治療用細胞等の生体活性物質を担持して体内注入すると、体温によって立体構造のゲル相を形成するようになり、前記生体活性物質が官能基に化学的に結合されて、前記生体活性物質の体内での初期多量放出を抑制し、放出速度を調節して、持続的且つ効果的な放出を可能とする。
【0059】
また、他の態様による本発明は、下記化学式10のポリ有機フォスファゼン又はポリ有機フォスファゼンハイドロゲルを含む薬物輸送用組成物を提供する。
【化10】

上記式中、pはエチレングリコールの反復単位数であって、7〜50の値を有し、
NHCH(R)COは、アミノ酸エステルであって、
はH、HCH、CH、CHSH、CH(CH、CHCH(CH、CH(CH)C、CHCHSCH、CH、CHOH、CHNH、OCOC、CO、CHCO、(CHCO及びHCONHCH(CH)からなる群より選択され、
はCH、C、C、C、CH及びCHCHCHからなる群より選択され、
NH(R)(R)(R)はアミノ酸、ペプチド、又はデプシペプチドエステルであって、
はCH(W)であり、
はCO、COCHCO、COCH(CH)CO及びCONHCH(X)COからなる群より選択され、
はH、CH及びCからなる群より選択され、
ここでWとXは、各々独立的にH、HCH、CH、CH(CH、CHCH(CH、CH(CH)C、CHCHSCH、CH、CHNH、OCOC、CO、(CHCO、CHOH、CH(CH)OH、CHOH、CHCOOH、CHCHCOOH、CHCONH、CNH、CNHC(=NH)NH、CH及びCHSHからなる群より選択され、
NH(R)(R)(R)とNH(R)(R)(R)は官能基を有する置換体を示し、
はCH(Y)であり、
はC、C、C、CH、CHCO、CO、CO、CONHCH(Z)CO及びCONHCH(Z)COからなる群より選択され、
はOH、SH、H、CH、C、C、C、CH及びCHCHCHからなる群より選択され、
ここでYとZは、各々独立的にH、HCH、CH、CHCH(CH、CHCH(CH、CH(CH)C、CHCHSCH、CH、CHNH、OCOC、CO、(CHCO、CHOH、CH(CH)OH、CHOH、CHCOOH、CHCHCOOH、CHCONH、CNH、CNHC(=NH)NH、CH及びCHSHからなる群より選択され、RはOH、SH、H、CH、C、C、C、CH、CHCHCH、NHCH(SH)COH、NH(CHSH、NH(CHCHNH)H、[NHCH(CNH)CO]OH、[NHCH[(CHC(=NH)(NH)]CO]OH及びプロタミンからなる群より選択され、
ここで、qはメチレンの反復単位数であって、1〜20の値を有し、
rはエチレンイミン、リシン又はアルギニンの反復単位数であって、1〜18000の値を有し、
、a、b、c、d及びeは、各置換体の含有量を示す値であって、a、a、bは、各々0.01〜1.9の値を有し、c、d及びeは、各々0〜1.9の値を有し、a+a+b+c+d+e=2.0であり、
nはポリフォスファゼンの重合度であって5〜100000の値を有する。
【0060】
前記Rとして使用可能なプロタミンは分子量に制限がなく、好ましくは4、000〜10、000範囲の分子量を有することができる。
【0061】
前記温度変化に応じてゾル−ゲル相転移を示すポリ有機フォスファゼンハイドロゲルは、前記化学式10のポリ有機フォスファゼンの1種以上が緩衝溶液、酸性溶液、塩基性溶液、塩溶液、水、生理食塩水、注射用水及びブドウ糖食塩液からなる群より選択された溶媒に1〜50重量%の濃度、好ましくは3〜20重量%の濃度で溶解されている。
【0062】
化学式10のポリ有機フォスファゼン又はポリ有機フォスファゼンハイドロゲルを含有する薬物輸送用組成物は、下記のような添加剤をさらに含んでもよい。
【0063】
また、他の態様による本発明は、上記のような温度変化に応じてゾル−ゲル相転移を示す生分解性高分子又は前記高分子ハイドロゲル、生体活性物質及び下記のような添加剤を含む生体活性物質輸送システムを提供する。本発明の生体活性物質輸送システムに含まれた高分子又は高分子ハイドロゲルは上記の通りである。
【0064】
また、他の特徴による本発明は、下記化学式11のポリ有機フォスファゼン又はポリ有機フォスファゼンハイドロゲル及び生体活性物質を含有する生体活性物質輸送システムを提供する。
【化11】

上記式中、pはエチレングリコールの反復単位数であって、7〜50の値を有し、
NHCH(R)COはアミノ酸エステルであって、
はH、HCH、CH、CHSH、CH(CH、CHCH(CH、CH(CH)C、CHCHSCH、CH、CHOH、CHNH、OCOC、CO、CHCO、(CHCO及びHCONHCH(CH)からなる群より選択され、 RはCH、C、C、C、CH及びCHCHCHからなる群より選択され、
NH(R)(R)(R)はアミノ酸、ペプチド、又はデプシペプチドエステルであって、
はCH(W)であり、
はCO、COCHCO、COCH(CH)CO及びCONHCH(X)COからなる群より選択され、
はH、CH及びCからなる群より選択され、ここでWとXは、各々独立的にH、HCH、CH、CH(CH、CHCH(CH、CH(CH)C、CHCHSCH、CH、CHNH、OCOC、CO、(CHCO、CHOH、CH(CH)OH、CHOH、CHCOOH、CHCHCOOH、CHCONH、CNH、CNHC(=NH)NH、CH及びCHSHからなる群より選択され、
NH(R)(R)(R)とNH(R)(R)(R)は官能基を有する置換体を示し、
はCH(Y)であり、
はC、C、C、CH、CHCO、CO、CO、CONHCH(Z)CO、及びCONHCH(Z)COからなる群より選択され、
はOH、SH、H、CH、C、C、C、CH及びCHCHCHからなる群より選択され、
ここでYとZは、各々独立的にH、HCH、CH、CH(CH、CHCH(CH、CH(CH)C、CHCHSCH、CH、CHNH、OCOC、CO、(CHCO、CHOH、CH(CH)OH、CHOH、CHCOOH、CHCHCOOH、CHCONH、CNH、CNHC(=NH)NH、CH及びCHSHからなる群より選択され、RはOH、SH、H、NH、CH、C、C、C、CH、CHCHCH、NHCH(SH)COH、NH(CHSH、NH(CHCHNH)H、[NHCH(CNH)CO]OH、[NHCH[(CHC(=NH)(NH)]CO]OH及びプロタミンからなる群より選択され、
ここで、qはメチレンの反復単位数であって、1〜20の値を有し、
rはエチレンイミン、リシン又はアルギニンの反復単位数であって、1〜18000の値を有し、
、a、b、c、d及びeは、各置換体の含有量を示す値であって、a、a、bは、各々0.01〜1.9の値を有し、c、d及びeは、各々0〜1.9の値を有し、a+a2+b+c+d+e=2.0であり、
nはポリフォスファゼンの重合度であって5〜100000の値を有する。
【0065】
前記Rとして使用可能なプロタミンは、分子量に制限がなく、好ましくは4000〜10000範囲の重量平均分子量を有する。
【0066】
本発明の生体活性物質輸送システムに含まれた温度変化に応じてゾル−ゲル相転移を示すポリ有機フォスファゼンハイドロゲルは、前記化学式1のポリ有機フォスファゼン1種以上が緩衝溶液、酸性溶液、塩基性溶液、塩溶液、水、生理食塩水、注射用水及びブドウ糖食塩液からなる群より選択された溶媒に1〜50重量%の濃度、好ましくは3〜20重量%の濃度で溶解されている。
【0067】
前記化学式11のポリ有機フォスファゼン又はポリ有機フォスファゼンハイドロゲル及び生体活性物質を含む生体活性物質輸送システムは、下記のような添加剤をさらに含んでもよい。
【0068】
上記のように、本発明の高分子又は高分子ハイドロゲルを含有する生体活性物質輸送用組成物又は生体活性物質輸送システム、又は化学式11の温度感応性ポリ有機フォスファゼン又はポリ有機フォスファゼンハイドロゲルを含む生体活性物質輸送用組成物又は生体活性物質輸送システムは、種々の添加剤をさらに含むことによって高分子ハイドロゲルの薬物等の生体活性物質輸送材料としての効用性を向上させることができる。
【0069】
例えば、種々の塩を添加することによって、ポリ有機フォスファゼン水溶液のゾル−ゲル相転移を調節して、所望のゲル強度及びゲル化温度を得ることができる(Macromolecules32、7820、1999)。ポリペプチド又はタンパク質薬物を輸送する場合、適切な添加剤の導入は、ハイドロゲル内の薬物の安全性を維持し、これらの薬物と添加剤のイオン結合等の化学的結合を誘導することによって、ハイドロゲルからの薬物放出速度を制御することができる。また、治療用細胞を輸送する場合は、ハイドロゲルに導入された添加剤により、体内に輸送された後に細胞活性を増加させることができる。
【0070】
即ち、前記添加剤は、前記ポリ有機フォスファゼン又はポリ有機フォスファゼンハイドロゲルと薬物等の生体活性物質とのイオン結合等の化学的結合のための様々な相互作用を誘導することにより、生体活性物質の放出を調節し、及び/又は治療用細胞等の生体活性物質の生体内活性を増加させることができる。
【0071】
本発明の一実施態様における添加剤の含有量は、全体生体活性物質輸送用組成物又は生体活性物質輸送システム重量を基準に1×10-6〜30重量%であり、より好ましくは1×10-3〜10重量%である。添加剤の含有量が前記範囲より少ない場合は、所望の添加剤による効果を得ることができない。また、前記含有量より多い場合は、有効成分の効果及び/又は本発明の温度感応性高分子の物性に影響を与える可能性があるので好ましくない。
【0072】
このような添加剤は、ポリ−L−アルギニン、ポリ−L−リシン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン、キトサン、プロタミン等のカチオンポリマー(例えば、分子量200〜750000);ポリ(N-ビニル-2-ピロリドン)、ポリビニルアセテート(PVA)、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ヘパリン、アルギン酸塩等のアニオンポリマー;アミロライド、プロカインアミド、アセチル-β-メチルコリン、スペルミン、スペルミジン、リゾチーム、フィブロイン、アルブミン、コラーゲン、トランスフォーミング成長因子β(TGF-β)、繊維芽細胞成長因子(bFGF)、血管内皮細胞成長因子(VEGF)などの成長因子、骨形成タンパク質(BMP)、デクサメタゾン、フィブロネクチン、フィブリノーゲン、トロンビン、タンパク質、デクスラゾキサン、ロイコボリン、リシノール酸、リン脂質、小腸粘膜下組織、ビタミンE、ポリグリセロール脂肪酸エステル、ラブラフィル(Labrafil)、ラブラフィル M1944CS、クエン酸、グルタミン酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ゼラチン、イソプロピルミリスチン酸、ユードラジット(Eudragit)、ジミリストイルホスファチジルコリン、スクレログルカンなどの生体活性物質;発色団EL、エタノール、ジメチルスルホキシド等の有機溶媒、メチルパラベン等の保存料;澱粉、シクロデキストリン及びこれを含む誘導体、乳糖、グルコース、デキストラン、マンノース、スクロース、トレハロース、マルトース、フィコールなどの糖;イノシトール、マンニトール、ソルビトールなどのポリオール;スクロース−マンニトール、グルコース−マンニトールなどの糖を含むポリオール;アラニン、アルギニン、グリシンなどのアミノ酸;トレハロースPEG、スクロースPEG、スクロース−デキストランなどの高分子を含むポリオール;ソルビトール−グリシン、スクロース−グリシンなどの糖含有アミノ酸;種々の分子量のポロキサマー、TWEEN−20,TWEEN−80、トライトンX−100、硫酸ドデシルナトリウム(SDS)、BriJ などの界面活性剤;トレハロース−硫酸亜鉛、マルトース−硫酸亜鉛などの糖含有イオン;ならびに珪酸塩、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、塩化リチウム、臭化テトラn−ブチルアンモニウム(n-BuNBr)、臭化テトラn−プロピルアンモニウム(n-PrNBr)、臭化テトラエチルアンモニウム(EtNBr)、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸亜鉛、リン酸カルシウム、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、炭酸亜鉛、塩化カドニウム、塩化水銀、塩化コバルト、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化鉄(II)(FeCl)、塩化鉄(III)(FeCl)、塩化ニッケル、塩化銀、塩化金、塩化銅、テトラデシル硫酸ナトリウム、ドデシルトリメチル臭化アンモニウム、ドデシルトリメチル塩化アンモニウム及びテトラデシルトリメチル臭化からなる群より選択された1種以上の物質であることができる。
【0073】
本発明の生体活性物質輸送用組成物の輸送対象である、生体活性物質及び生体活性物質輸送システムに含まれた生体活性物質は、生体内で有益な効果を有するすべての物質を意味し、例えば、薬物又は治療用細胞である。前記薬物は、蛋白質、ポリペプチド、ペプチド、ワクチン、遺伝子、ホルモン、抗癌剤及び血管新生抑制剤からなる群より選択された1種以上であることができる。
【0074】
前記蛋白質、ポリペプチド、及びペプチドは、エリスロポエチン(EPO)、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、成長ホルモン(ヒト、豚、牛等)、成長ホルモン放出因子、神経成長因子(NGF)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、血液凝固因子、インシュリン、オキシトシン、バソプレッシン、副腎皮質刺激ホルモン、表皮成長因子、血小板由来成長因子(PDGF)、プロラクチン、ルリベリン、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、LHRH作用剤、LHRH拮抗剤、ソマトスタチン、グルカゴン、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-11(IL-11)、ガストリン、テトラガストリン、ペンタガストリン、ウロガストロン、セクレチン、カルシトニン、エンケファリン、エンドルフィン、アンジオテンシン、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)、腫瘍壊死因子(TNF)、腫瘍壊死因子関連細胞自滅死誘発リガンド(TRAIL)、ヘパリン分解酵素、骨形成タンパク質(BMP)、ヒト心房ナトリウム利尿ペプチド(hANP)、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)、レニン、ブラジキニン、バシトラシン、ポリミキシン、コリスチン、チロシジン、グラミシジン、シクロスポリン、及びこれらの合成アナログ、単クローン抗体、抗体、修飾されたまたは薬と同じ効果を示す物質、酵素及びサイトカイン類からなる群より選択された1種以上であることができる。
【0075】
前記ワクチンは、肝炎ワクチン等からなる群より選択された1種以上のワクチンであることができる。
【0076】
前記遺伝子は、短分子干渉RNA(siRNA)、デオキシリボ核酸(プラスミド DNA)及びアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド(AS-ODN)等からなる群より選択された1種以上であることができる。
【0077】
前記ホルモンは、テストステロン、エストラジオール、プロゲストロン、プロスタグランジン及びこれらの合成アナログ、及び修飾されたまたは薬と同じ効果を示す物質からなる群より選択された1種以上であることができる。
【0078】
前記抗癌剤は、パクリタキセル、ドキソルビシン、5-フルオロウラシル、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、テガフル、イリノテカン、ドセタキセル、シクロフォスファミド、ゲムシタビン(cemcitabine)、イフォスファミド、ミトマイシンC、ビンクリスチン、エトポサイド、メトトレキセート、トポテカン、タモキシフェン、ビノレルビン、カンプトテシン、ダノルビシン、クロラムブシル、ブリオスタチン-1、カリケアミシン、マイアタンシン、レバミゾール、DNA組換えインターフェロンα-2a、ミトキサントロン、ニムスチン、インターフェロンα-2a、ドキシフルリジン、フォルメスタン、酢酸ロイプロリド、酢酸メゲストロール、カルモフール、テニポシド、ブレオマイシン、カルムスチン、ヘプタプラチン、エキセメスタン、アナストロゾール、エストラムスチン、カペシタビン、酢酸ゴセレリン、多糖カリウム、酢酸メドロキシポゲステロン、エピルビシン、レトロゾール、ピラルビシン、トポテカン、アルトレタミン、クエン酸トレミフェン、BCNU、タキソテレ、アクチノマイシンD、ポリエチレングリコール接合タンパク質及びこれらの合成アナログ、及び修飾されたまたは薬と同じ効果を示す物質からなる群より選択された1種以上の物質であることができる。
【0079】
前記新生血管抑制剤は、BMS-275291(Bristol-Myers Squibb、New York、NY)、クロドロネート、6-デオキシ-6-デメチル-4-デジメチルアミノテトラサイクリン(COL-3)、ドキシサイクリン、マリマスタット、2-メトキシエストラジオール、スクアラミン、SU5164、サリドマイド、TNP-470、コンブレタスタチンA4、大豆イソフラボン、エンザスタウリン、CC 5013(Revimid;Celgene Corp、Warren、NJ)、セレコキシブ、ZD6474、臭化水素酸ハロフジノン、インターフェロン-α、ベバシズマブ、AE-941、インターロイキン-12、VEFG-trap、セツキシマブ及びこれらの合成アナログ及び修飾されたまたは薬と同じ効果を示す物質からなる群より選択された1種以上の物質であることができる。
【0080】
前記治療用細胞は、前骨芽細胞、軟骨細胞、新生血管細胞(UVEC)、骨芽細胞、体性幹細胞、シュワン細胞、希突起膠細胞、肝細胞、壁細胞(UVECと組み合わせて治療)、筋芽細胞、インシュリン分泌細胞、内皮細胞、平滑筋細胞、繊維芽細胞、β細胞、内胚葉細胞、肝幹細胞、糸球体傍細胞、骨格筋細胞、角質細胞、メラニン細胞、ランゲルハンス細胞、メルケル細胞、皮膚繊維芽細胞及び前駆脂肪細胞からなる群より選択された1種以上であることができる。
【0081】
本発明の生体活性物質輸送システムが生体活性物質として薬物を含む場合、生体活性物質前段システムに含まれている薬物の含有量は、全体の1×10-8〜50体積%、好ましくは1×10-4〜20体積%であることが好ましい。薬物の含有量が前記範囲より少ない場合は、所望の薬物の効果が得られず、前記含有量より多い場合は、温度感応性高分子の物性に影響を与えるおそれがあるので好ましくない。
【0082】
本発明で提供される生体活性物質輸送用組成物又は生体活性物質輸送システムは、含まれている高分子の温度感応性特性と官能基により、常温では液状のゾル相で存在する。このため、注射等の様々な経路での注入が容易である。生体活性物質輸送用組成物又は生体活性物質輸送システムが体内に注入された場合、体温によってゲル相に相転移するため、生体活性物質の放出調節が容易である。さらに、生体活性物質と前記高分子の官能基との間の化学的結合によって、生体活性物質の体内初期大量放出が抑制され、持続的且つ効果的な放出制御が可能である。
【0083】
本発明の生体活性物質輸送システムは、経口投与、口腔内投与、粘膜投与、鼻腔内投与、腹腔内投与、皮下注射、筋肉注射、経皮投与又は腫瘍内投与等の投与方法によって体内注入が可能であり、特に皮下注射、筋肉注射、経皮投与又は腫瘍内投与等による局部投与が好ましい。
【0084】
以下の実施例は、当業者に本発明の実施方法を明確に理解されることを可能にする。当然のことながら、本発明が好適な特定の態様との組み合わせによって記載されている場合、以下の記載は発明の範囲を意図し、および制限するものではない。本発明の他の態様は、本発明に関係する当業者にとって明らかでである。
【実施例】
【0085】
以下の実施例において、生成物に対する炭素、水素及び窒素の元素分析は、韓国科学技術研究院特性分析センターにあるPerkin-Elmer C、H、N分析器により行った。
【0086】
水素及びリン核磁気共鳴スペクトルは、各々Varian Gemini-300、重量平均分子量(Mw)はWaters1515ポンプ及び2410微分屈折計のゲル透過クロマトグラフィーにより測定した。
【0087】
実施例1:ポリ[(フェニルアラニンエチルエステル)(アミノメトキシポリエチレングリコール350)(リシンエチルエステル)フォスファゼン]、[NP(PheOEt)1.03(AMPEG350)0.84(LysOEt)0.13]の製造
ポリ(ジクロロフォスファゼン)(2.00g、17.26mmol)をテトラヒドロフラン(100ml)に溶解して、ドライアイス-アセトン浴にフェニルアラニンエチルエステル塩酸塩(4.08g、17.78mmol)とトリエチルアミン(13.98g、69.04mmol)を順次に加えた後、室温で48時間反応させた。
【0088】
前記で得られた反応溶液に、分子量350のアミノメトキシポリエチレングリコール(5.44g、15.53mmol)とトリエチルアミン(13.98g、69.04mmol)が溶解しているテトラヒドロフラン溶液(50ml)を加えて、室温で48時間反応させた。
【0089】
その後、前記反応溶液をリシンエチルエステル塩酸塩(1.03g、4.49mmol)とトリエチルアミン(13.98g、69.04mmol)が溶解しているテトラヒドロフラン溶液(50ml)が入っている容器にゆっくり滴下し、室温で2日間反応させた。
【0090】
反応溶液をろ過して、生成されたトリエチルアミン塩酸塩を除去した。反応濾液を溶媒が少し残るまで減圧濃縮した。沈殿形成のため、得られた濃縮液にテトラヒドロフラン(10ml)と過量のヘキサンを加えた。
【0091】
この工程を2〜3回繰り返した後、得られた沈殿物を再び少量のメチルアルコールに溶解した。得られた溶液を室温下、5日間メチルアルコールで透析し、5日間蒸溜水で透析した後、低温乾燥させて、最終生成物[NP(PheOEt)1.03(AMPEG350)0.84(LysOEt)0.13]5.71g(収率60%)を得た。
【0092】
組成式:C2543
元素分析値:C、55.27;H、7.83;N、7.63
理論値:C、55.45;H、7.72;N、7.71
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl、ppm):
δ0.8〜1.2(b、-NHCH(CH)COOCHCH
δ2.9〜3.2(b、-NHCH(CH)COOCHCH、-NHCH(CH(NH)CHCOOCHCH
δ3.4(s、-NH(CHCHO)CH
δ3.5〜3.9(b、-NH(CHCHO)CH、-NHC(CH)COOCHCH
δ4.0〜4.4(b、-NHCH(CH)COOCHCH
δ7.0〜7.3(b、-NHCH(CH)COOCHCH
リン核磁気共鳴スペクトル(CDCl、ppm):δ17.9
平均分子量(M):45000
【0093】
実施例2:ポリ[(イソロイシンエチルエステル)(アミノメトキシポリエチレングリコール550)(リシンエチルエステル)フォスファゼン]、[NP(IleOEt)0.86(AMPEG550)0.85(LysOEt)0.29]の製造
実施例1と同様の方法でポリ(ジクロロフォスファゼン)(2.00g、17.26mmol)、イソロイシンエチルエステル(1.51g、14.84mmol)、分子量550のアミノメトキシポリエチレングリコール(8.07g、14.67mmol)、リシンエチルエステル塩酸塩(1.92g、10.01mmol)、トリエチルアミン(15.09g、74.55mmol)、及びテトラヒドロフラン(200ml)を使用して、最終生成物[NP(IleOEt)0.86(AMPEG550)0.85(LysOEt)0.29]6.95g(収率75%)を得た。
【0094】
組成式:C306814
元素分析値:C、47.80;H、9.20;N、9.60
理論値:C、48.21;H、8.97;N、9.58
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl、ppm):
δ1.1〜1.3(b、-NHCH(CH(CH)CHCH)OCHCH
δ1.3〜1.6(b、-NHCH(CH(CHCHCH)OCHCH
δ1.6〜1.9(b、-NHCH(CH(CH)CHCH)OCHCH
δ2.9〜3.2(b、-NHCH(CH(NH)CHCOOCHCH)、
δ3.4(s、-NH(CHCHO)11CH
δ3.5〜3.9(b、-NH(CHCHO)11CH
δ4.0〜4.1(b、-NHCH(CH(CH)CHCH)OCHCH
δ4.1〜4.3(b、-NHCH(CH(CH)CHCH)OCHCH
リン核磁気共鳴スペクトル(CDCl、ppm):δ18.2
平均分子量(M):31000
【0095】
実施例3:ポリ[(フェニルアラニンエチルエステル)(エチル-2-(O-グリシル)乳酸)(アミノメトキシポリエチレングリコール550)]、[NP(IleOEt)1.10(GlyLacOEt)0.02(AMPEG550)0.88]の製造
実施例1と同様の方法でポリ(ジクロロフォスファゼン)(2.00g、17.26mmol)、フェニルアラニンエチルエステル塩酸塩(3.16g、18.99mmol)、エチル-2-(O-グリシル)乳酸アンモニウムシュウ酸塩(0.35g、0.87mmol)、分子量550のアミノメトキシポリエチレングリコール(16.71g、30.38mmol)、トリエチルアミン(12.06g、59.58mmol)、及びテトラヒドロフラン(200ml)を使用して、最終生成物[NP(IleOEt)1.10(GlyLacOEt)0.02(AMPEG550)0.88]8.90g(収率74%)を得た。
【0096】
組成式:C297014
元素分析値:C、47.01;H、9.38;N、9.59
理論値:C、46.98;H、8.97;N、8.98
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl、ppm):
δ0.8〜1.2(b、-NHCH(CH(CH)CHCH)OCH
δ1.3〜1.5(b、-NHCH(CH(CHCHCH)OCHCH、-NHCHCOOCH(CH)COOCHCH
δ1.6〜1.7(b、-NHCH(CH(CH)CHCH)OCHCH、-NHCHCOOCH(C)COOCHCH
δ2.9〜3.2(b、-NHCH(CH(NH)CHCOOCHCH
δ3.4(s、-NH(CHCHO)11
δ3.5〜3.9(b、-NH(CO)11CH
δ4.0〜4.4(b、-NHCHCOOCH(CH)COOCHCH
δ5.2〜5.4(b、-NHCHCOOCH(CH)COOCHCH
リン核磁気共鳴スペクトル(CDCl3、ppm):δ17.9
平均分子量(M):392000
【0097】
実施例4:ポリ[(イソロイシンエチルエステル)(エチル-2-(O-グリシル)グリコール酸)(アミノメトキシエチレングリコール550)(リシンエチルエステル)フォスファゼン]、[NP(IleOEt)1.10(GlyGlycOEt)0.15(AMPEG550)0.57(LysOEt)0.16]nの製造
実施例1と同様の方法でポリ(ジクロロフォスファゼン)(4.00g、34.50mmol)、イソロイシンエチルエステル塩酸塩(7.43g、37.95mmol)、エチル-2-(O-グリシル)グリコール酸アンモニウムシュウ酸塩(1.07g、5.18mmol)、分子量550のアミノメトキシポリエチレングリコール(10.81g、19.67mmol)、リシンエチルエステル塩酸塩(1.36g、5.52mmol)、トリエチルアミン(26.02g、129.39mmol)、及びテトラヒドロフラン(400ml)を使用して、最終生成物[NP(IleOEt)1.10(GlyGlycOEt)0.15(AMPEG550)0.57(LysOEt)0.16]13.51g(収率75%)を得た。
【0098】
組成式:C255711
元素分析値:C、48.12;H、9.30;N、11.26
理論値:C、49.41;H、9.63;N、10.91
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl、ppm):
δ0.8〜1.2(b、-NHCH(CH)COOCH
δ1.3〜1.6(b、-NHCH(CH(CH)CCH)OCHCH、-NHCHCOOCHCOOCH
δ1.6〜1.9(b、-NHCH(C(CH)CHCH)OCHCH
δ2.9〜3.2(b、-NHC(CH(NH)CHCOOCHCH
δ3.4(s、-NH(CHCHO)11
δ3.5〜3.9(b、-NH(CO)11CH、-NHC(CH)COOCHCH
δ4.0〜4.1(b、-NHC(CH(CH)CHCH)OCHCH、-NHCCOOCHCOOCHCH
δ4.1〜4.3(b、-NHCH(CH(CH)CHCH)OCHCH、-NHCHCOOCHCOOCCH
δ5.1〜5.3(b、-NHCHCOOCCOOCHCH
リン核磁気共鳴スペクトル(CDCl、ppm):δ18.1
平均分子量(M):91800
【0099】
実施例5:ポリ[(イソロイシンエチルエステル)(アミノメトキシポリエチレングリコール350)(グリシン)フォスファゼン]、[NP(IleOEt)1.20(AMPEG550)0.70(GlyCOOH)0.10]の製造
実施例1と同様方法でポリ(ジクロロフォスファゼン)(4.00g、34.50mmol)、イソロイシンエチルエステル(8.10g、44.40mmol)、分子量550のアミノメトキシポリエチレングリコール(13.28g、24.15mmol)、グリシンベンジルエステルトリフルオロ酸塩(1.93g、6.90mmol)、トリエチルアミン(31.16g、153.9mmol)、及びテトラヒドロフラン(400ml)を使用して[NP(IleOEt)1.20(AMPEG550)0.70(GlyOBz)0.10]nを得た。
【0100】
得られた[NP(IleOEt)1.20(AMPEG550)0.70(GlyOBz)0.10](16.87g)をメチルアルコール(200ml)に溶解させて50重量%のパラジウム/チャーコール(8.4g)を加えた。60〜70psi圧力の水素ガス存在下、常温で12時間反応させた後、反応溶液をろ過した。反応濾液を減圧濃縮して、少量のメチルアルコールに溶解させた。得られた溶液を室温下、メチルアルコールで5日間透析し、その後4℃、蒸溜水で5日間透析した。得られた生成物を低温乾燥させて最終生成物[NP(IleOEt)1.20(AMPEG550)0.70(GlyCOOH)0.10]14.00g(収率83%)を得た。
【0101】
組成式:C266312
元素分析値:C、46.95;H、9.48;N、10.74
理論値:C、46.21;H、8.95;N、10.13
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl、ppm):
δ1.1〜1.3(b、-NHCH(CH(CH)CHCH)OCHCH
δ1.3〜1.6(b、-NHCH(CH(CHCHCH)OCHCH
δ1.6〜1.9(b、-NHCH(C(CH)CHCH)OCHCH
δ3.3(s、-NH(CHCHO)11
δ3.4〜3.8(b、-NH(CO)11CH
δ3.9(s、-NHCCOOH)
δ4.0〜4.1(b、-NHC(CH(CH)CHCH)OCHCH
δ4.1〜4.3(b、-NHCH(CH(CH)CHCH)OCCH
リン核磁気共鳴スペクトル(CDCl3、ppm):δ19.0
平均分子量(M):88500
【0102】
実施例6:ポリ[(イソロイシンエチルエステル)(アミノメトキシポリエチレングリコール350)(グリシルグリシン)フォスファゼン]、[NP(IleOEt)1.23(AMPEG350)0.62(GlyGlyCOOH)0.15]の製造
実施例5と同様の方法でポリ(ジクロロフォスファゼン)(4.00g、34.50mmol)、イソロイシンエチルエステル(8.30g、42.44mmol)、分子量350のアミノメトキシポリエチレングリコール(7.49g、21.39mmol)、グリシルグリシンベンジルエステルトリフルオロ酸塩(3.48g、10.35mmol)、パラジウム/チャーコール(8g)、トリエチルアミン(32.07g、158.37mmol)、及びテトラヒドロフラン(400ml)、及びメチルアルコール(200ml)を使用して、最終生成物[NP(IleOEt)1.23(AMPEG350)0.62(GlyGlyCOOH)0.15]13.72g(収率85%)を得た。
【0103】
組成式:C2040
元素分析値:C、50.65;H、8.64;N、8.98
理論値:C、49.49;H、8.55;N、8.79
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl、ppm):
δ1.1〜1.3(b、-NHCH(CH(CH)CHCH)OCHCH
δ1.3〜1.6(b、-NHCH(CH(CHCHCH)OCHCH
δ1.6〜1.9(b、-NHCH(CH(CH)CHCH)OCHCH
δ3.2(s、-NHCHCONHCHCOOH)
δ3.3(s、-NH(CHCHO)11CH
δ3.4〜3.8(b、-NH(CHCHO)11CH
δ3.9(s、-NHCHCONHCHCOOH)
δ4.0〜4.1(b、-NHCH(CH(CH)CHCH)OCHCH
δ4.1〜4.3(b、-NHCH(CH(CH)CHCH)OCHCH
リン核磁気共鳴スペクトル(CDCl3、ppm):δ19.1
平均分子量(Mw):87400
【0104】
実施例7:ポリ[(イソロイシンエチルエステル)(アミノメトキシポリエチレングリコール550)(グリシルグリシン)フォスファゼン]、[NP(IleOEt)1.23(AMPEG550)0.48(GlyGlyCOOH)0.29]の製造
実施例5と同様の方法でポリ(ジクロロフォスファゼン)(4.00g、34.50mmol)、イソロイシンエチルエステル(8.30g、42.44mmol)、分子量550のアミノメトキシポリエチレングリコール(15.03g、27.32mmol)、グリシルグリシンベンジルエステルトリフルオロ酸塩(3.48g、10.01mmol)、パラジウム/チャーコール(10.5g)、トリエチルアミン(31.86g、157.36mmol)、及びテトラヒドロフラン(400ml)、及びメチルアルコール(200ml)を使用して、最終生成物[NP(IleOEt)1.23(AMPEG550)0.48(GlyGlyCOOH)0.29]18.69g(収率89%)を得た。
【0105】
組成式:C2244
元素分析値:C、50.54;H、8.50;N、8.03
理論値:C、50.50;H、8.23;N、7.98
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl、ppm):
δ1.1〜1.3(b、-NHCH(CH(CH)CHCH)OCHCH
δ1.3〜1.6(b、-NHCH(CH(CHCHCH)OCHCH
δ1.6〜1.9(b、-NHCH(CH(CH)CHCH)OCHCH
δ3.2(s、-NHCHCONHCHCOOH)
δ3.3(s、-NH(CHCHO)11CH
δ3.4〜3.8(b、-NH(CHCHO)11CH
δ3.9(s、-NHCHCONHCHCOOH)
δ4.0〜4.1(b、-NHCH(CH(CH)CHCH)OCHCH
δ4.1〜4.3(b、-NHCH(CH(CH)CHCH)OCHCH
リン核磁気共鳴スペクトル(CDCl、ppm):δ18.9
平均分子量(M):108100
【0106】
実施例8:ポリ[(イソロイシンエチルエステル)(アミノメトキシポリエチレングリコール550)(グリシルグリシン)フォスファゼン]、[NP(IleOEt)1.17(AMPEG550)0.63(GlyGlyCOOH)0.15]の製造
実施例5と同様の方法でポリ(ジクロロフォスファゼン)(4.00g、34.50mmol)、イソロイシンエチルエステル(6.38g、40.37mmol)、分子量550のアミノメトキシポリエチレングリコール(35.86g、65.21mmol)、グリシルグリシンベンジルエステルトリフルオロ酸塩(3.48g、10.35mmol)、パラジウム/チャーコール(12.5g)、トリエチルアミン(30.81g、152.16mmol)、及びテトラヒドロフラン(400ml)、及びメチルアルコール(200ml)を使用して、最終生成物[NP(IleOEt)1.17(AMPEG550)0.63(GlyGlyCOOH)0.15]19.08g(収率76%)を得た。
【0107】
組成式:C245010
元素分析値:C、51.25;H、8.71;N、7.21
理論値:C、50.98H、8.50N、7.92
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl、ppm):
δ1.1〜1.3(b、-NHCH(CH(CH)CHCH)OCHCH
δ1.3〜1.6(b、-NHCH(CH(CHCHCH)OCHCH
δ1.6〜1.9(b、-NHCH(CH(CH)CHCH)OCHCH
δ3.2(s、-NHCHCONHCHCOOH)
δ3.3(s、-NH(CHCHO)CH
δ3.4〜3.8(b、-NH(CHCHO)CH
δ3.9(s、-NHCHCONHCHCOOH)
δ4.0〜4.1(b、-NHCH(CH(CH)CHCH)OCHCH
δ4.1〜4.3(b、-NHCH(CH(CH)CHCH)OCHCH
リン核磁気共鳴スペクトル(CDCl、ppm):δ19.2
平均分子量(M):98300
【0108】
実施例9:ポリ[(イソロイシンエチルエステル)(アミノメトキシポリエチレングリコール550)(グリシルグリシン)フォスファゼン]、[NP(IleOEt)1.22(AMPEG550)0.66(GlyGlyCOOH)0.12]の製造
実施例5と同様の方法でポリ(ジクロロフォスファゼン)(4.00g、34.50mmol)、イソロイシンエチルエステル(6.65g、42.09mmol)、分子量550のアミノメトキシポリエチレングリコール(31.31g、56.93mmol)、グリシルグリシンベンジルエステルトリフルオロ酸塩(1.39g、4.14mmol)、パラジウム/チャーコール(8.8g)、トリエチルアミン(28.08g、138.69mmol)、及びテトラヒドロフラン(400ml)、及びメチルアルコール(200ml)を使用して、最終生成物[NP(IleOEt)1.22(AMPEG550)0.66(GlyGlyCOOH)0.12]15.82g(収率90%)を得た。
【0109】
組成式:C255210
元素分析値:C、51.54;H、8.77;N、7.10
理論値:C、51.87H、8.51N、6.89
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl、ppm):
δ1.1〜1.3(b、-NHCH(CH(CH)CHCH)OCHCH
δ1.3〜1.6(b、-NHCH(CH(CHCHCH)OCHCH
δ1.6〜1.9(b、-NHCH(CH(CH)CHCH)OCHCH
δ3.2(s、-NHCHCONHCHCOOH)
δ3.3(s、-NH(CHCHO)CH
δ3.4〜3.8(b、-NH(CHCHO)CH
δ3.9(s、-NHCHCONHCHCOOH)
δ4.0〜4.1(b、-NHCH(CH(CH)CHCH)OCHCH
δ4.1〜4.3(b、-NHCH(CH(CH)CHCH)OCHCH
リン核磁気共鳴スペクトル(CDCl、ppm):δ19.1
平均分子量(M):27200
【0110】
実施例10:ポリ[(イソロイシンエチルエステル)(アミノメトキシポリエチレングリコール550)(グリシルグリシン)フォスファゼン]、[NP(IleOEt)1.19(AMPEG550)0.52(GlyLeuCOOH)0.29]の製造
実施例5と同様の方法でポリ(ジクロロフォスファゼン)(4.00g、34.50mmol)、イソロイシンエチルエステル(8.03g、41.06mmol)、分子量550のアミノメトキシポリエチレングリコール(9.87g、17.94mmol)、グリシルロイシンベンジルエステルアンモニウムシュウ酸塩(7.85g、20.01mmol)、パラジウム/チャーコール(9.5g)、トリエチルアミン(37.09g、183.21mmol)、及びテトラヒドロフラン(400ml)、及びメチルアルコール(200ml)を使用して、最終生成物[NP(IleOEt)1.19(AMPEG550)0.52(GlyLeuCOOH)0.29]17.11g(収率90%)を得た。
【0111】
組成式:C2447
元素分析値:C、51.65;H、8.48;N、7.60
理論値:C、50.91;H、8.30;N、7.86
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl、ppm):
δ1.1〜1.3(b、-NHCH(CH(CH)CHCH)OCHCH、-NHCHCONHCH(CHCH(CH)COOH)
δ1.3〜1.6(b、-NHCH(CH(CHCHCH)OCHCH
δ1.6〜1.9(b、-NHCH(CH(CH)CHCH)OCHCH、-NHCHCONHCH(CHCH(CH)COOH)
δ3.2(s、-NHCHCONHCH(CHCH(CH)COOH)
δ3.3(s、-NH(CHCHO)11CH
δ3.4〜3.8(b、-NH(CHCHO)11CH
δ3.9(s、-NHCHCONHCH(CHCH(CH)COOH)
δ4.0〜4.1(b、-NHCH(CH(CH)CHCH)OCHCH
δ4.1〜4.3(b、-NHCH(CH(CH)CHCH)OCHCH
δ5.1〜5.3(b、-NHCHCONHCH(CHCH(CH)COOH).
リン核磁気共鳴スペクトル(CDCl、ppm):δ20.0
平均分子量(M):86500
【0112】
実施例11:ポリ[(イソロイシンエチルエステル)(アミノメトキシポリエチレングリコール550)(グリシン)フォスファゼン]、[NP(IleOEt)1.19(GlyGlycOEt)0.05(AMPEG550)0.52(GlyCOOH)0.24]の製造
実施例1と同様の方法でポリ(ジクロロフォスファゼン)(4.00g、34.50mmol)、イソロイシンエチルエステル(8.03g、42.06mmol)、エチル-2-(O-グリシル)グリコール酸アンモニウムシュウ酸塩(0.36g、1.73mmol)、分子量550のアミノメトキシポリエチレングリコール(9.87g、17.94mmol)、グリシンアリルエステルトリフルオロ酢酸塩(1.89g、16.56mmol)、トリエチルアミン(36.45g、180.00mmol)、及びテトラヒドロフラン(400ml)を使用して[NP(IleOEt)1.19(GlyGlycOEt)0.05(AMPEG550)0.52(GlyOAll)0.24]を得た。
【0113】
得られた[NP(IleOEt)1.19(GlyGlycOEt)0.05(AMPEG550)0.52(GlyOAll)0.24](18.6g)をテトラヒドロフラン(200ml)に溶解させて15モル%のテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)(1.1g)と20当量のモルフォリン(8.3g)を使用して、常温で8時間反応させた。
【0114】
反応溶液を濾過した。濾液を減圧濃縮して、少量のメチルアルコールに溶解させた。得られた溶液を室温下、メチルアルコールで5日間透析した後、4℃の蒸溜水で5日間透析した。得られた生成物を低温乾燥させて、最終生成物[NP(IleOEt)1.19(GlyGlycOEt)0.05(AMPEG550)0.52(GlyCOOH)0.24]15.81g(収率85%)を得た。
【0115】
組成式:C2345
元素分析値:C、50.63;H、8.52;N、7.79
理論値:C、49.47;H、8.49;N、7.70
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl、ppm):
δ0.8〜1.2(b、-NHCH(CH)COOCH
δ1.3〜1.6(b、-NHCH(CH(CHCHCH)OCHCH、-NHCHCOOCHCOOCHCH
δ1.6〜1.9(b、-NHCH(CH(CH)CHCH)OCHCH
δ3.2(s、-NHCHCONHCHCOOH)
δ3.3(s、-NH(CHCHO)11CH
δ3.4〜3.8(b、-NH(CHCHO)11CH
δ3.9(s、-NHCHCONHCHCOOH)
δ4.0〜4.1(b、-NHCH(CH(CH)CHCH)OCHCH、-NHCHCOOCHCOOCHCH
δ4.1〜4.3(b、-NHCH(CH(CH)CHCH)OCHCH、-NHCHCOOCHCOOCCH
δ5.1〜5.3(b、-NHCHCOOCCOOCHCH
リン核磁気共鳴スペクトル(CDCl、ppm):δ19.1
平均分子量(M):87400
【0116】
実施例12:ポリ[(イソロイシンエチルエステル)(エチル-2-(O-グリシル)乳酸)(アミノメトキシポリエチレングリコール750)(グリシルグリシン)フォスファゼン]、[NP(IleOEt)1.27(GlyLacOEt)0.15(AMPEG750)0.45(GlyGlyCOOH)0.13]の製造
実施例11と同様の方法でポリ(ジクロロフォスファゼン)(4.00g、34.50mmol)、イソロイシンエチルエステル(8.57g、43.82mmol)、エチル-2-(O-グリシル)乳酸アンモニウムシュウ酸塩(1.13g、5.18mmol)、分子量750のアミノメトキシポリエチレングリコール(11.64g、15.53mmol)、グリシルグリシンアリルエステルトリフルオロ酢酸塩(2.57g、8.97mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)(1.12g)、モルフォリン(8.45g)、トリエチルアミン(29.77g、147.00mmol)とテトラヒドロフラン(600ml)を使用して、最終生成物[NP(IleOEt)1.27(GlyLacOEt)0.15(AMPEG750)0.45(GlyGlyCOOH)0.13]19.61g(収率95%)を得た。
【0117】
組成式:C2652101
元素分析値:C、51.50;H、8.64;N、7.02
理論値:C、50.98;H、8.46;N、7.07
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl、ppm):
δ1.1〜1.3(b、-NHCH(CH(CH)CHCH)OCHCH
δ1.3〜1.6(b、-NHCH(CH(CHCHCH)OCHCH、-NHCHCOOCH(CH)COOCHCH
δ1.6〜1.9(b、-NHCH(CH(CH)CHCH)OCHCH、-NHCHCOOCH(CH)COOCHCH
δ3.2(s、-NHCHCONHCHCOOH)
δ3.3(s、-NH(CHCHO)15CH
δ3.4〜3.8(b、-NH(CHCHO)15CH
δ3.9(s、-NHCHCONHCHCOOH)
δ4.0〜4.1(b、-NHCH(CH(CH)CHCH)OCHCH
δ4.1〜4.4(b、-NHCH(CH(CH)CHCH)OCHCH、-NHCHCOOCH(CH)COOCHCH
δ5.2〜5.4(b、-NHCHCOOC(CH)COOCHCH
リン核磁気共鳴スペクトル(CDCl、ppm):δ19.3
平均分子量(M):49600
【0118】
実施例13:ポリ[(イソロイシンエチルエステル)(アミノメトキシポリエチレングリコール550)(グリシルグリシン)(グリシルグリシルポリエチレンイミン)フォスファゼン]、[NP(IleOEt)1.19(AMPEG550)0.62(GlyGlyCOOH)0.04(GlyGlyPEI800)0.15]の製造
実施例11と同様の方法でポリ(ジクロロフォスファゼン)(4.00g、34.50mmol)、イソロイシンエチルエステル(8.15g、41.06mmol)、分子量550のアミノメトキシポリエチレングリコール(11.76g、21.39mmol)、グリシルグリシンアリルエステルトリフルオロ酢酸塩(1.88g、6.65mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)(1.68g)、モルフォリン(12.68g)、トリエチルアミン(28.98g、143.13mmol)とテトラヒドロフラン(600ml)を使用して、生成物[NP(IleOEt)1.19(AMPEG550)0.62(GlyGlyCOOH)0.19]を得た。
【0119】
得られた[NP(IleOEt)1.19(AMPEG550)0.62(GlyGlyCOOH)0.19](20.05g)をテトラヒドロフラン(200ml)に溶解させて0.15当量の分子量800のポリ(エチレンイミン)(10.59g)、0.24当量のジシクロヘキシルカルボジイミド(1.36g)と0.24当量のヒドロキシスクシンイミド(0.762g)を使用して、常温で48時間反応させた。
【0120】
反応溶液を濾過した。濾液を減圧濃縮して、少量のメチルアルコールに溶解させた。得られた溶液を室温下、メチルアルコールで5日間透析し、4℃、蒸溜水で5日間透析した。得られた生成物を低温乾燥させて、最終生成物[NP(IleOEt)1.19(AMPEG550)0.62(GlyGlyCOOH)0.04(GlyGlyPEI800)0.15]17.64g(収率88%)を得た。
【0121】
組成式:C305911
元素分析値:C、51.39;H、8.42;N、9.91
理論値:C、41.89;H、8.70;N、10.64
水素核磁気共鳴スペクトル(CDCl、ppm):
δ1.1〜1.3(b、-NHCH(CH(CH)CHCH)OCHCH
δ1.3〜1.6(b、-NHCH(CH(CHCHCH)OCHCH
δ1.6〜1.9(b、-NHCH(CH(CH)CHCH)OCHCH
δ2.1〜2.6(b、-NH(CHCHNH)18H)
δ3.2(s、-NHCHCONHCHCOOH)
δ3.3(s、-NH(CHCHO)11CH
δ3.4〜3.8(b、-NH(CHCHO)11CH
δ3.9(s、-NHCHCONHCHCOOH)
δ4.0〜4.1(b、-NHCH(CH(CH)CHCH)OCHCH
δ4.1〜4.4(b、-NHCH(CH(CH)CHCH)OCHCH
リン核磁気共鳴スペクトル(CDCl、ppm):δ19.5
平均分子量(M):52700
【0122】
実施例14:温度変化に応じたポリ有機フォスファゼンのゾル−ゲル相転移の観察
本発明の実施例1〜13によるポリ有機フォスファゼンを各々4℃でリン酸緩衝食塩水(pH7.4)に溶解させて、10重量%濃度の溶液を作成した。この溶液を自動温度調節浴(bath、TC-501)が装置された粘度計(Brookfield DV-III+Rheometer)のチャンバー(chamber)に入れた。剪断速度を1秒当たり0.1〜1.7にして、1分当り0.04℃で温度を上昇させながら、これらの温度変化によるゾル−ゲル相転移を観察した。
【0123】
図1は本発明のポリ有機フォスファゼンの温度変化によるゾル−ゲル相転移の写真であり、開始ゲル温度以下では流れる溶液状態であるが、最高ゲル温度ではげる状態であることを示す。
【0124】
下記の表3は、本発明の温度感応性ポリ有機フォスファゼンの温度変化によるゲル特性の実験結果を示す。
【0125】
【表3】

【0126】
表3において、最高ゲル温度は、高分子水溶液の粘度が最高点に達する温度を意味し、最高ゲル強度は、高分子水溶液の粘度が最高点に達したときの粘度を意味する。
【0127】
このような本発明のポリフォスファゼン高分子の温度変化による粘度変化を図2に示した。
【0128】
前記表3及び図2に示すように、ポリ有機フォスファゼンで置換されている疎水性アミノ酸エステルの種類、分解速度を調節できるアミノ酸、ペプチド、デプシペプチドエステルの種類、官能基を有するアミノ酸又はペプチド置換体の種類、メトキシポリエチレングリコールの鎖の長さ及びすべての置換体の組成調節により、広い範囲の最高ゲル温度及び最高ゲル強度を示すポリ有機フォスファゼンを確認することができる。
【0129】
実施例15:ポリ有機フォスファゼンの時間による加水分解の程度の観察
本発明の実施例によるポリ有機フォスファゼンをリン酸緩衝食塩水(pH7.4)に溶解させ10重量%濃度の溶液を作成し、37℃の水槽に入れた。時間経過に伴う加水分解の程度をゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を利用して測定した分子量の減少程度で評価したポリ有機フォスファゼンの時間による加水分解の実験結果をの以下の表4に示した。
【0130】
一定期間分解が行われた溶液の成分分析を行った結果、リン酸塩、アンモニア、エチルアルコール等が検出された。このことから、本発明の官能基を有するポリ有機フォスファゼンは人体に無害のリン酸塩、アンモニア、エチルアルコール等に分解されるものと推定される。
【0131】
【表4】

【0132】
本発明のポリ有機フォスファゼンの時間による加水分解の程度を図3に示した。
【0133】
前記表4及び図3に示すように、実施例2によるカルボキシル基を有さないポリ有機フォスファゼンの場合、最初の5日間約5%の分子量減少を示し、30日間30%の分子量減少を示した。実施例6によるカルボキシル基を有するポリ有機フォスファゼンの場合は、最初の5日間23%の分子量減少を示し、30日間46%の分子量減少を示した。このことから、カルボキシル基を有するポリ有機フォスファゼンがより速い加水分解速度を示すことが分かった。
【0134】
加水分解の開始点がアミノ酸エステルである場合、水溶液でエステルが分解されて、カルボキシル基が形成され、形成されたカルボキシル基が主鎖又は隣接分子のリン原子を攻撃してポリ有機フォスファゼンの主鎖が切断される。このため、官能基としてカルボキシル基を有するポリ有機フォスファゼンは、エステルの分解過程を経る必要がないので、相対的に速い加水分解速度を示すものと推測される。
【0135】
これによって、高分子の分解速度を加速化すると知られているデプシペプチドとカルボキシル基を同時に有する本発明の実施例12によるポリ有機フォスファゼンの場合、最初の5日間約36%の分子量減少を示し、その以降も着実に減少傾向を示し、30日間約67%まで分子量が減少し、最も速い加水分解速度を示した。
【0136】
実施例16:互いに異なる性質を有するポリ有機フォスファゼンが種々の比率で混合されているポリ有機フォスファゼン混合物の温度変化によるゾル−ゲル相転移の観察
本発明の実施例7及び実施例8のポリ有機フォスファゼンは、互いに異なる性質を有するポリ有機フォスファゼンである。実施例7の高分子は、27℃の低いゲル温度と1058Pa sの高いゲル強度を有し、実施例8の高分子は、51℃の高いゲル温度と65Pa・sの低いゲル強度有する。このような互いに相反するゲル化性質を有する2種類の高分子を種々の比率で混合して温度変化によるゾル−ゲル相転移を観察した。
【0137】
下記の表5は、種々の比率で混合された実施例7及び実施例8の混合物の温度変化によるゲル特性の実験結果である。
【0138】
【表5】

【0139】
前記表5から分かるように、低い最高ゲル強度と高い最高ゲル温度を有する実施例8の比率が低くなるほど、混合物の最高ゲル強度は高まり、最高ゲル温度は低くなる。このような結果により、互いに異なる性質を有するポリ有機フォスファゼンの混合比率の調節を通じて、所望の最高ゲル温度及び最高ゲル強度のポリ有機フォスファゼン混合物が提供できることが分かった。
【0140】
実施例17:キトサンが添加されているポリ有機フォスファゼンの温度変化によるゾル−ゲル相転移の観察
本発明において、ポリ有機フォスファゼンを利用して、注入型薬物輸送材料として使用する場合は、必要に応じての様々な添加剤が含まれることができる。
【0141】
薬物とのイオン結合のためにキトサンが添加されているポリ有機フォスファゼン混合物の温度変化によるゲル特性の実験結果をの以下の表6に示した。
【0142】
【表6】

【0143】
前記表6から分かるように、キトサンの混合比率によって最高ゲル温度と最高ゲル強度が変化することが分かった。このような結果に基づいて添加剤の種類、添加剤の混合比率の調節を行うことにより、注入用薬物輸送材料として使用するための最高ゲル温度及び最高ゲル強度のポリ有機フォスファゼン混合物を提供できることが示された。
【0144】
実施例18:ポリ有機フォスファゼン溶液におけるパクリタキセルの溶解度
代表的な疎水性薬物のパクリタキセルは、水にほとんど溶解されないことが知られている。25℃で1mlの水に0.004mgのパクリタキセルが溶解される。しかし、パクリタキセルのような疎水性薬物の溶解度は、本発明のポリ有機フォスファゼン溶液においては大幅に増加ことが観察された。
【0145】
実施例3のポリ有機フォスファゼンをそれぞれ7重量%及び10重量%濃度になるように、リン酸緩衝食塩水(pH7.4)に溶解した。過量のパクリタキセルを加えて、チャンバー中で4℃、3日間溶解させた。溶解されないパクリタキセルを除去した後、HPLCに溶解されているパクリタキセルの量を測定した。
【0146】
このようなポリ有機フォスファゼン溶液におけるパクリタキセルの溶解度を試験した結果を以下の表7に示した。
【0147】
【表7】

【0148】
前記表7に示すように、ポリ有機フォスファゼンが含まれていないリン酸緩衝食塩水に比べて、ポリ有機フォスファゼン溶液では13、000〜30、000倍増加された溶解度を示した。また、ポリ有機フォスファゼンの濃度が高いほど溶解度が増加することも分かった。
【0149】
実施例19:ポリ有機フォスファゼンハイドロゲルにおける生体外でのパクリタキセルの放出挙動観察
実施例3のポリ有機フォスファゼンを7重量%濃度になるように、リン酸緩衝食塩水溶解させた。得られた溶液にパクリタキセルを0.1体積%で溶解させた。0.5mlのパクリタキセルが含まれているポリ有機フォスファゼン溶液をミリセル(millicell)に入れて37℃でハイドロゲルを製造した。
【0150】
パクリタキセルが含まれているポリ有機フォスファゼンハイドロゲルを100mlの放出溶液に入れた。前記放出溶液として0.1体積%のSDSが含まれているリン酸緩衝食塩水(pH7.4)を使用した。
【0151】
前記パクリタキセル含有のポリ有機フォスファゼンハイドロゲルが含まれている放出溶液を37℃水槽に入れて50rpmで回転した。指定時間に5mlの放出溶液を採取してHPLCに放出されたパクリタキセル量を測定した。5mlの放出溶液を採取した後は新たな放出溶液を充填させた。
【0152】
時間によるポリ有機フォスファゼンハイドロゲルにおけるパクリタキセルの放出挙動を図4に示した。図4に示されるように、パクリタキセルが含まれているポリ有機フォスファゼンハイドロゲルではパクリタキセル放出の調節が優れており、50日まで放出されることが分かった。
【0153】
実施例20:ポリ有機フォスファゼンハイドロゲルにおける生体外でのドキソルビシンの放出挙動観察
実施例4のポリ有機フォスファゼンを10重量%濃度で水に溶解させた溶液に、ドキソルビシンを0.1体積%で溶解させた。0.5mlのドキソルビシンが含まれているポリ有機フォスファゼン溶液をミリセルに入れて37℃でハイドロゲルを製造した。
【0154】
ドキソルビシンが含まれているポリ有機フォスファゼンハイドロゲルを、放出溶液として使用する10mlのリン酸緩衝食塩水(pH7.4)に加えた。前記ドキソルビシンが含まれているポリ有機フォスファゼンハイドロゲル溶液を含む放出溶液を37℃水槽に入れて50rpmで回転した。その後、ミリセルを新たな放出溶液に移した。ドキソルビシンが放出された溶液を、UV-VIS 分光法(励起波長:495nm)を利用して、放出したドキソルビシン量を測定した。
【0155】
前記測定されたポリ有機フォスファゼンハイドロゲルにおけるドキソルビシンの放出挙動を図4に示した。図4に示されるように、ドキソルビシンが含まれているポリ有機フォスファゼンハイドロゲルでは、ドキソルビシン放出の調節が優れており、60日まで放出されることが分かった。
【0156】
実施例21:ポリ有機フォスファゼンハイドロゲルにおける生体外でのエリスロポエチン(EPO)の放出挙動観察
実施例3のポリ有機フォスファゼンを12重量%濃度でリン酸緩衝食塩水(pH7.4)に溶解させた。得られた溶液にヒトエリスロポエチン(BioSourceTM、Invitrogen、US)を0.06体積%で溶解させた。0.3mlのエリスロポイエチンが含まれているポリ有機フォスファゼン溶液を、ミリセルに入れて37℃でハイドロゲルを製造した。
【0157】
前記エリスロポエチンが含まれているポリ有機フォスファゼンハイドロゲルを、放出溶液として使用する10mlのリン酸緩衝食塩水(pH7.4)に加えた。前記放出溶液を37℃の水槽に入れて50rpmで回転した。指定時間に0.5mlの放出溶液を採取してエリスロポエチン免疫測定法及びQuantikineを利用して、放出されたエリスロポエチン量を測定した。0.5mlの放出溶液を採取した後は新たな放出溶液を充填した。
【0158】
このように測定されたポリ有機フォスファゼンハイドロゲルにおけるエリスロポエチンの放出挙動を図5に示した。図5に示されるように、本実施例のエリスロポエチンが含まれているポリ有機フォスファゼンハイドロゲルではエリスロポエチンの放出の調節が優れており、30日まで放出されることが分かった。
【0159】
実施例22:ポリ有機フォスファゼンハイドロゲルにおける生体外でのヒト成長ホルモン(hGH)の放出挙動観察
実施例3のポリ有機フォスファゼンを10重量%濃度でリン酸緩衝食塩水(pH7.4)に溶解した。得られた溶液にヒト成長ホルモン(BioSourceTM、Invitrogen、US)を0.5重量%で溶解させた。0.3mlのヒト成長ホルモンが含まれているポリ有機フォスファゼン溶液をミリセルに入れて37℃でハイドロゲルを製造した。
【0160】
このようにして得られたヒト成長ホルモンが含まれているポリ有機フォスファゼンハイドロゲルを、放出溶液として使用する10mlのリン酸緩衝食塩水(pH7.4)加えた。得られたヒト成長ホルモンが含まれているポリ有機フォスファゼンハイドロゲルを含む放出溶液を37℃水槽に入れて、50rpmで回転した。指定時間に0.5mlの放出溶液を採取して、ヒト成長ホルモン免疫測定法及びquantikineを利用して放出されたヒト成長ホルモン量を測定した。0.5mlの放出溶液を採取した後は新たな放出溶液を充填した。
【0161】
このように測定されたポリ有機フォスファゼンハイドロゲルにおけるヒト成長ホルモンの放出挙動を図6に示した。図6に示されるように、ヒト成長ホルモンが含まれているポリ有機フォスファゼンハイドロゲルではヒト成長ホルモンの放出の調節が優れており、30日まで放出されることが分かった。
【0162】
実施例23:添加剤とタンパク質薬物間のイオン結合形成の観察
本発明において、薬物とイオン結合をして薬物輸送物から薬物が制御放出および徐放されるように誘導する添加剤として、ポリ-L-アルギニン、ポリ-L-リシン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン、キトサン、プロタミン、アミロリド、プロカインアミド、アセチル-β-メチルコリン、スペルミン、スペルミジン、リゾチーム等の陽イオン高分子、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ヘパリン、アルギン酸塩等の陰イオン高分子等から、1またはそれ以上選択される。
【0163】
本実施例は、薬物と添加物とのイオン結合を確認するために、ゲル電気泳動を行った。分子量76600のポリアルギニン、分子量125000のポリエチレンイミン、及び分子量5100のプロタミンをそれぞれ添加剤として使用した。各々0.01%アルブミン溶液(Bovin Serum Albumin;BSA、Wako chemical)に種々の濃度(0.02、0.1、1及び2mg/ml)で加えて混合した。20分間放置した後、ポリアクリルアミドゲルに添加して電気泳動を行った。
【0164】
前記で得られた添加剤とタンパク質薬物との間のイオン結合を示す電気泳動結果を図7に示した。図7に示されるように、添加剤と蛋白質薬物の混合物において、ポリアルギニン、ポリエチレンイミン、及びプロタミンの濃度が高くなるほどゲル上でうまく展開されなかった。これは前記添加剤の濃度が高くなるほど添加剤と蛋白質薬物のイオン結合が大きくなって結合が強いことを示す。
【0165】
実施例24:ポリ-L-アルギニンが添加されているポリ有機フォスファゼンハイドロゲルにおける生体外でのゼラチンの放出挙動の観察
実施例3のポリ有機フォスファゼンを10重量%の濃度でリン酸緩衝食塩水(pH7.4)に溶解させた。得られた溶液に分子量76600のポリアルギニン(Aldrich)を0.1体積%及び1体積%濃度でそれぞれ溶解させた。その後、各溶液にゼラチン(Aldrich)を0.1体積%に溶解させた。0.5mlのゼラチンが含まれているポリ-L-アルギニン/ポリ有機フォスファゼン溶液をミリセルに入れて37℃でハイドロゲルを製造した。ゼラチンが含まれているポリ-L-アルギニン/ポリ有機フォスファゼンハイドロゲルを、放出溶液として使用する10mlのリン酸緩衝食塩水(pH7.4)に加えた。前記放出溶液を37℃水槽に入れて50rpmで回転させた。その後、ミリセルを新たな放出溶液に移した。ゼラチンが放出した溶液をbicinchoninic acid方法(BCA assay)を利用して、放出されたゼラチン量を測定した。
【0166】
前記のように測定されたポリ-L-アルギニンが種々の比率で添加されているポリ有機フォスファゼンハイドロゲルにおけるゼラチン放出挙動を図8に示した。図8に示されるように、ポリ-L-アルギニンが添加されないポリフォスファゼン系ハイドロゲルでは、ゼラチンが7日間ゆっくり放出された。さらに、ポリ-L-アルギニンが添加されているポリフォスファゼン系ハイドロゲルでは、ポリ-L-アルギニンとゼラチンのイオン結合により35日以上ゆっくり放出されることが観察された。また、ポリ-L-アルギニンが多く添加されるほど、ポリ-L-アルギニンとゼラチンとのより多くのイオン結合によって、ポリ有機フォスファゼンハイドロゲル中のゼラチンがさらに徐放されることが観察された。
【0167】
実施例25:キトサンが添加されられているポリ有機フォスファゼンハイドロゲルにおける生体外へのアルブミンの放出挙動の観察
実施例17のキトサンが種々の比率で添加されているポリ有機フォスファゼンを10重量%濃度で水に溶解させた。得られた溶液にFITC-アルブミン(Aldrich)を0.1体積%に溶解させた。0.5mlのFITC-アルブミンが含まれているキトサン/ポリ有機フォスファゼン溶液をミリセルに入れて37℃でハイドロゲルを製造した。得られたFITC-アルブミンが含まれているキトサン/ポリ有機フォスファゼンハイドロゲルを、放出溶液として使用する10mlのリン酸緩衝食塩水(pH7.4)に加えた。放出溶液を37℃水槽に入れて50rpmで回転した。その後、ミリセルを新たな放出溶液に移した。FITC-アルブミンが放出された溶液をUV-VIS 分光法(励起光:495nm)を利用して、放出されたFITC-アルブミン量を測定した。
【0168】
前記のように測定されたキトサンが種々の比率で添加されているポリ有機フォスファゼンハイドロゲルにおけるFITC-アルブミン放出挙動を図9に示した。図9に示されるように、キトサンが添加されないポリフォスファゼン系ハイドロゲルでは、FITC-アルブミンが40日間徐々に放出された。さらに、キトサンが添加されているポリポスプジェンゲハイドロゲルではキトサンとFITC-アルブミンのイオン結合により90日以上徐々に放出された。また、キトサンが多く添加されるほどキトサンとFITC-アルブミンとのイオン結合が多くなり、ポリ有機フォスファゼンハイドロゲルにおけるFITC-アルブミンがさらに徐放されることが観察された。
【0169】
実施例26:パクリタキセルが含まれているポリ有機フォスファゼンハイドロゲルの生体内での坑癌活性観察
実施例19と同様の方法で製造されたパクリタキセルを含むポリ有機フォスファゼンハイドロゲルの生体内坑癌性を、以下の方法で測定した。
【0170】
生体内動物実験では、実験動物であるヌードマウス(オリエンタルバイオ、Balb/C、5週の雌、20g)を使用した。胃癌細胞のSNU-601(1×10cell、0、2ml、韓国細胞株銀行)をマウスの背中に注射した。10重量%の前記実施例3のポリ有機フォスファゼン溶液にパクリタキセルが各々0.4体積%と0.6体積%含まれている高分子溶液を用意した。0.2mlのこの溶液を癌細胞に注入し、癌細胞の大きさの変化を測定した。
【0171】
0.4体積%のパクリタキセルを含むポリ有機フォスファゼン溶液を投与した場合には、投与量がマウスの重量1kg当り40mgであるときの効果を測定し、0.6体積%のパクリタキセルを含むポリ有機フォスファゼン溶液を投与した場合は、投与量がマウスの重量1kg当り60mgであるときの効果を測定した。また、対照群としてパクリタキセルをマウスの重量1kg当り60mgを投与したマウスの癌細胞の大きさの変化と、抗癌剤を投与しないで生理食塩水のみを投与したマウスの癌細胞の大きさの変化を測定した。パクリタキセルを含むポリ有機フォスファゼン溶液を注入したマウスの数は各10匹ずつ試験した。
【0172】
上記のように測定された対照群とそれぞれ異なる濃度で薬物が含まれられているポリ有機フォスファゼン溶液を注入したマウスの癌細胞の大きさの変化を図10に示した。
【0173】
図10に示されるように、癌細胞に生理食塩水のみを投与した対照群は、投与後22日目に83%の増加、投与後34日目には134%の癌細胞の増加を示した。しかし、0.4体積%パクリタキセルを含むポリ有機フォスファゼンハイドロゲルでは、投与後22日目に34%の減少、投与後34日目には20%の減少を維持した。0.6体積%パクリタキセルを含むポリ有機フォスファゼンハイドロゲルでは、投与後22日目には75%の減少、投与後34日目には70%の減少を維持した。
【0174】
なお、60mg/kgの濃度でパクリタキセルのみを注入した対照群は、10日後にパクリタキセルの毒性によって8匹のマウスが死んだ。しかし、同一の濃度で0.6体積%パクリタキセルを含むポリ有機フォスファゼンハイドロゲルを注入した場合には一匹も死ななかった。また、0.4体積%のパクリタキセルを含むポリ有機フォスファゼンハイドロゲルを注入した場合にも一匹も死ななかった。
【0175】
実施例27:治療用細胞と添加剤が含まれているポリ有機フォスファゼンハイドロゲルの生体内での実験
実施例3のポリ有機フォスファゼンを10重量%の濃度で細胞培養液(DMEM、Invitrogen)に溶解させた。得られた溶液200μlに、ウサギ軟骨細胞(10cell)(サムタコ、2週white rabbitからの初代細胞を確立して使用)と、添加剤として0.5重量%の形質転換成長因子β(TGF-β)0.01μlを添加した。軟骨細胞(10cell)とTGF-βが添加されているポリ有機フォスファゼン溶液200μlをヌードマウス(オリエンタルバイオ、Balb/C、5週の雌、20g)の皮下に注入した。4週後および7週後に、注入したポリ有機フォスファゼンハイドロゲルにおける細胞活性を観察した。
【0176】
ヌードマウスに注入したハイドロゲルにおける細胞活性増加をハイドロゲルの体積変化及び組織免疫染色(コラーゲン2)により測定した。結果を図11に示した。図11に示されるように、生体内で治療用細胞を含んでいるハイドロゲル内の細胞が時間経過に伴って増加し、ハイドロゲルの体積が増加し、組織免疫染色の結果も時間経過に伴って細胞の数が増加していることが分かった。このように、本発明のハイドロゲル内で細胞活性が増加することが確認できた。
【0177】
上記のように、本発明によれば、薬物と直接的な化学結合又はイオン結合が可能な様々な官能基を有し、温度変化に応じてゾル−ゲル相転移を示し、体内で生分解性を有するポリ有機フォスファゼンが提供される。本発明の官能基を有するポリ有機フォスファゼンは、薬物との直接的な化学結合やイオン結合が可能で、長時間薬物放出が可能な薬物輸送材料として使用できる。さらに、本発明の官能基を有するポリ有機フォスファゼンは様々な高分子および生体活性物質との直接的な結合が可能で、組織工学関連の種々の産業分野に応用が期待される。
【0178】
また、本発明の薬物輸送体としての生分解性温度感応性ポリ有機フォスファゼンハイドロゲルは、薬物の溶解度を増加させるだけでなく、生体外薬物放出試験で、30日以上の薬物放出挙動が観察された。また、放出速度の調節のために添加剤を含むポリ有機フォスファゼンハイドロゲルを準備して、添加剤を含まないポリ有機フォスファゼンハイドロゲルと比較した結果、薬物と添加剤のイオン結合により薬物がさらに徐放されることが分かった。
【0179】
生体内薬物活性試験では、薬物を含むポリ有機フォスファゼンハイドロゲルを体内に注入した後対照群と比較した場合、癌細胞の成長が著しく抑制されることが観察された。また、治療用細胞と添加剤が含まれているポリ有機フォスファゼンハイドロゲルの生体内活性においても効果的に細胞を体内に輸送し、輸送された細胞の正常的な細胞増殖が観察された。
【0180】
このような結果から、本発明の薬物又は細胞を含んでいる生分解性温度感応性ポリ有機フォスファゼンハイドロゲルは、簡単に体内に投与できると同時に、生体外及び生体内で薬物が徐々に放出され、輸送された細胞の活性が優れていて良好な治療効果を得ることができる。
【0181】
本発明による官能基を有する温度感応性及び生分解性ポリ有機フォスファゼンは、薬物との直接的な化学結合やイオン結合が可能で、長時間薬物放出が可能な薬物輸送材料として使用できると同時に、高分子と様々な生体活性物質との直接的な結合が可能で、組織工学関連の種々の産業分野に応用が期待される。
【図面の簡単な説明】
【0182】
【図1】本発明の官能基を有する温度感応性ポリ有機フォスファゼンのゾル−ゲル相転移を示す写真である。
【図2】本発明の官能基を有する温度感応性ポリ有機フォスファゼンの温度変化による粘度変化を示す。
【図3】本発明の官能基を有する温度感応性ポリ有機フォスファゼンの時間経過に伴う加水分解の程度を示す。
【図4】本発明のポリ有機フォスファゼンハイドロゲルからの時間経過に伴う抗癌剤の放出挙動を示す。
【図5】本発明のポリ有機フォスファゼンハイドロゲルからの時間経過に伴うエリスロポイエチンの放出挙動を示す。
【図6】本発明のポリ有機フォスファゼンハイドロゲルからの時間経過に伴うヒト成長ホルモンの放出挙動を示す。
【図7】本発明で使用された添加剤と蛋白質薬物のイオン結合を示す。
【図8】本発明のポリアルギニンを含むポリ有機フォスファゼンハイドロゲルからの時間経過に伴うゼラチンの放出挙動を示す。
【図9】本発明のキトサンを含むポリ有機フォスファゼンハイドロゲルからの時間経過に伴うFITC-アルブミンの放出挙動を示す。
【図10】本発明のパクリタキセルを含むポリ有機フォスファゼンハイドロゲルの生体内坑癌活性を示す。
【図11】本発明の治療用細胞を含むポリ有機フォスファゼンハイドロゲルの生体内活性を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1の構造を有するポリ有機フォスファゼン。
【化1】

(前記式中、pは7〜50の値を有し、
は、H、HCH、CH、CHSH、CH(CH、CHCH(CH、CH(CH)C、CHCHSCH、CH、CHOH、CHNH、OCOC、CO、CHCO、(CHCO及びHCONHCH(CH)からなる群より選択され、
はCH、C、C、C、CH及びCHCHCHからなる群より選択され、
はCH(W)であり、
はCO、COCHCO、COCH(CH)CO及びCONHCH(X)COからなる群より選択され、
はH、CH及びCからなる群より選択され、
ここでWとXは、各々独立的にH、HCH、CH、CH(CH、CHCH(CH、CH(CH)C、CHCHSCH、CH、CHNH、OCOC、CO、(CHCO、CHOH、CH(CH)OH、CHOH、CHCOOH、CHCHCOOH、CHCONH、CNH、CNHC(=NH)NH、CH及びCHSHからなる群より選択され、
はCH(Y)であり、
はC、C、C、CH、CHCO、O、CONHCH(Z)O、CO、CO、S、CONHCH(Z)S、N、CONHCH(Z)N、CON、COCHNH(Z)CON、CONHCH(Z)CO及びCONHCH(Z)COからなる群より選択され、
はOH、SH、H、CH、C、C、C、CH CHCHCH及び本発明の詳細な説明の表2に記載の保護基からなる群より選択され、ここでYとZは、各々独立的にH、HCH、CH、CH(CH、CHCH(CH、CH(CH)C、CHCHSCH、CH、CHNH、OCOC、CO、(CHCO、CHOH、CH(CH)OH、CHOH、CHCOOH、CHCHCOOH、CHCONH、CNH、CNHC(=NH)NH、CH及びCHSHからなる群より選択され、
はOH、SH、H、NH、CH、C、C、C、CH、CHCHCH、NHCH(SH)COH、NH(CHSH、NH(CHCHNH)H、[NHCH(CNH)CO]OH、[NHCH[(CHC(=NH)(NH)]CO]OH及びプロタミンからなる群より選択され、
qは1〜20の値を有し、
rは1〜18000の値を有し、
、a、b、c、d及びeは、各置換体の含有量を示す値であって、a、a、b、dは、各々0.01〜1.9の値を有し、c及びeは、各々0〜1.9の値を有し、a+a2+b+c+d+e=2.0であり、
nは5〜100000の値を有する。)
【請求項2】
ポリ[(フェニルアラニンエチルエステル)(アミノメトキシポリエチレングリコール350)(リシンエチルエステル)フォスファゼン]、ポリ[(イソロイシンエチルエステル)(アミノメトキシポリエチレングリコール550)(リシンエチルエステル)フォスファゼン]、ポリ[(フェニルアラニンエチルエステル)(エチル-2-(O-グリシル)乳酸)(アミノメトキシポリエチレングリコール550)]、ポリ[(イソロイシンエチルエステル)(エチル-2-(O-グリシル)グリコール酸)(アミノメトキシエチレングリコール550)(リシンエチルエステル)フォスファゼン]、ポリ[(イソロイシンエチルエステル)(アミノメトキシポリエチレングリコール350)(グリシン)フォスファゼン]、ポリ[(イソロイシンエチルエステル)(アミノメトキシポリエチレングリコール350)(グリシルグリシン)フォスファゼン]、ポリ[(イソロイシンエチルエステル)(アミノメトキシポリエチレングリコール550)(グリシルグリシン)フォスファゼン]、ポリ[(イソロイシンエチルエステル)(アミノメトキシポリエチレングリコール550)(グリシルグリシン)フォスファゼン]、ポリ[(イソロイシンエチルエステル)(アミノメトキシポリエチレングリコール550)(グリシルグリシン)フォスファゼン]、ポリ[(イソロイシンエチルエステル)(アミノメトキシポリエチレングリコール550)(グリシルグリシン)フォスファゼン]、ポリ[(イソロイシンエチルエステル)(アミノメトキシポリエチレングリコール550)(グリシン)フォスファゼン]、ポリ[(イソロイシンエチルエステル)(エチル-2-(O-グリシル)乳酸)(アミノメトキシポリエチレングリコール750)(グリシルグリシン)フォスファゼン]、及びポリ[(イソロイシンエチルエステル)(アミノメトキシポリエチレングリコール550)(グリシルグリシン)(グリシルグリシルポリエチレンイミン)フォスファゼン]からなる群より選択される、請求項1に記載のポリ有機フォスファゼン。
【請求項3】
(1)下記化学式2のフォスファゼン三量体を熱重合させて、下記化学式3のジクロロフォスファゼン線状高分子を得る工程と、
【化2】

【化3】

(上記式中、nは1〜100000)
(2)前記工程(1)で生成された化学式3の化合物を、下記化学式4のアミノ酸エステル又はその塩0.01〜1.9当量と反応させる工程と、
[化4]
NHCH(R)CO
(3)前記工程(2)の生成物を下記化学式5のアミノ酸、ペプチド、デプシペプチドエステル又はそれらの塩0〜1.9当量と反応させる工程と、
[化5]
NH(R)(R)(R
(4)前記工程(3)の生成物を下記化学式6の官能基を有する置換体又はそれらの塩0.01〜1.9当量と反応させる工程と、
[化6]
NH(R)(R)(R
(5)前記工程(4)の生成物を下記化学式7のアミノメトキシポリエチレングリコール又はそれらの塩0.01〜1.19当量と反応させる工程と、
[化7]
NH(CHCHO)CH
を含む、請求項1に記載のポリ有機フォスファゼンの製造方法。
(上記の式中、
pは7〜50の値を有し、
は、H、HCH、CH、CHSH、CH(CH、CHCH(CH、CH(CH)C、CHCHSCH、CH、CHOH、CHNH、OCOC、CO、CHCO、(CHCO及びHCONHCH(CH)からなる群より選択され、
はCH、C、C、C、CH及びCHCHCHからなる群より選択され、
はCH(W)であり、
はCO、COCHCO、COCH(CH)CO及びCONHCH(X)COからなる群より選択され、
はH、CH及びCからなる群より選択され、
ここでWとXは、各々独立的にH、HCH、CH、CH(CH、CHCH(CH、CH(CH)C、CHCHSCH、CH、CHNH、OCOC、CO、(CHCO、CHOH、CH(CH)OH、CHOH、CHCOOH、CHCHCOOH、CHCONH、CNH、CNHC(=NH)NH、CH及びCHSHからなる群より選択され、
はCH(Y)であり、
はC、C、C、CH、CHCO、CO、CO、CONHCH(Z)CO及びCONHCH(Z)COからなる群より選択され、
はOH、SH、H、CH、C、C、C、CH及びCHCHCH、及び本発明の詳細な説明の表2に記載の保護基からなる群より選択され、
ここで、YとZは各々独立的にH、HCH、CH、CHCH(CH、CHCH(CH、CH(CH)C、CHCHSCH、CH、CHNHH4、OCOC、CO、(CHCO、CHOH、CH(CH)OH、CHOH、CHCOOH、CHCHCOOH、CHCONH、CNH、CNHC(=NH)NH、CH及びCHSHからなる群より選択され、
qは1〜20の値を有し、
rは1〜18000の値を有し、
、a、b、c、d及びeは、各置換体の含有量を示す値であって、a、a、b、dは、各々0.01〜1.9の値を有し、c及びeは、各々0〜1.9の値を有し、a+a2+b+c+d+e=2.0であり、
nは5〜100000の値を有する。)
【請求項4】
前記工程(5)の生成物のうち、RがCH又はCHCHCHである場合、前記工程(5)の生成物を脱水素化反応又は脱アリルエステル化反応する工程(6)をさらに含む、請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記工程(5)の生成物又は前記工程(6)の生成物をリシン、アルギニン、システイン、チオールアルキルアミン、ポリエチレンイミン、ポリリシン、ポリアルギニン及びプロタミンからなる群より選択された物質と反応させる工程(7)をさらに含む、請求項3又は請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記工程(1)は、化学式2で表される前記フォスファゼン三量体を0.1〜10重量%の塩化アルミニウム(AlCl)と熱重合させることを特徴とする、請求項3に記載の製造方法。
【請求項7】
前記工程(2)の前記化学式4の前記アミノ酸エステル化合物の前記塩は、塩酸塩又は硫酸塩であることを特徴とする、請求項3に記載の製造方法。
【請求項8】
前記工程(3)の前記化学式5の前記塩は、シュウ酸塩、トリフルオロ酸塩、硫酸塩及び塩酸塩からなる群より選択されることを特徴とする、請求項3に記載の製造方法。
【請求項9】
前記工程(4)の前記化学式6の置換体の前記塩は、シュウ酸塩、トリフルオロ酸塩、硫酸塩及び塩酸塩からなる群より選択されることを特徴とする、請求項3に記載の製造方法。
【請求項10】
工程(5)の反応後、前記ポリフォスファゼン分子がアミン結合を通じてメトキシポリエチレングリコールに置換されていることを特徴とする、請求項3に記載の製造方法。
【請求項11】
化学式6のRがCHであって、脱水素化反応が、工程(5)の生成物をエチルアルコール又はメチルアルコールに溶解させ、パラジウム/チャーコール及びパラジウムブラックを50〜90重量%加えて、30〜80psiの水素ガス存在下、10〜35℃で1〜24時間反応させた後、化学式6のRがHの側鎖を生成してカルボキシル基を有するポリ有機フォスファゼンを生成する反応であることを特徴とする、請求項4に記載の製造方法。
【請求項12】
化学式6のRがCHCHCHであって、脱アリルエステル化反応は、工程(5)の生成物をテトラヒドロフランに溶解させて10〜20モル%のテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)と10〜20当量のモルフォリン存在下、0〜25℃で1〜24時間反応させた後、化学式6のRがHの側鎖を生成してカルボキシル基を有するポリ有機フォスファゼンを生成する反応であることを特徴とする、請求項4に記載の製造方法。
【請求項13】
工程(5)又は工程(6)の生成物のうち、カルボン酸を有するポリ有機フォスファゼンをリシン、アルギニン、システイン、チオールアルキルアミン、ポリエチレンイミン、ポリリシン、ポリアルギニン及びプロタミンからなる群より選択されたものと、1〜3当量のジシクロヘキシルカルボジイミド及び1〜3当量のヒドロキシコハク酸イミド存在下、0〜25℃で1〜48時間反応させた後、官能基を有するポリ有機フォスファゼンを生成する反応であることを特徴とする、請求項5に記載の製造方法。
【請求項14】
前記工程(5)、工程(6)又は工程(7)の反応が完了した後、さらに
反応混合物にエチルエーテル、ヘキサン又はエチルエーテルとヘキサンの混合溶媒を加えて沈澱を生成し、
前記沈殿をろ過し、
得られた化合物をメチルアルコール又はエチルアルコールに溶解させ、
前期得られた化合物をメチルアルコール又はエチルアルコールで25℃、3〜10日間透析し、
前期得られた化合物を蒸溜水で4〜25℃、3〜10日間透析し、
前期得られた化合物を乾燥させ、
純粋なポリ有機フォスファゼンを回収する、
工程をさらに含むことを特徴とする、請求項3〜請求項5のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項15】
下記化学式8の構造を有するポリ有機フォスファゼンの1種以上が溶媒に溶解されている形態の、温度変化に応じてゾル−ゲル相転移を示すポリ有機フォスファゼンハイドロゲル。
【化8】

(上記式中、pは7〜50の値を有し、
はH、HCH、CH、CHSH、CHCH(CH、CHCH(CH、CH(CH)C、CHCHSCH、CH、CHOH、CHNH、OCOC、CO、CHCO、(CHCO及びHCONHCH(CH)からなる群より選択され、
はCH、C、C、C、CH及びCHCHCHからなる群より選択され、
はCH(W)であり、
はCO、COCHCO、COCH(CH)CO及びCONHCH(X)COからなる群より選択され、
はH、CH及びCからなる群より選択され、
ここで、WとXは各々独立的にH、HCH、CH、CHCH(CH、CHCH(CH、CH(CH)C、CHCHSCH、CH、CHNH、OCOC、CO、(CHCO、CHOH、CH(CH)OH、CHOH、CHCOOH、CHCHCOOH、CHCONH、CNH、CNHC(=NH)NH、CH及びCHSHからなる群より選択され、
はCH(Y)であり、
はC、C、C、CH、CHCO、CO、CO、CONHCH(Z)CO及びCONHCH(Z)COからなる群より選択され、
はOH、SH、H、CH、C、C、C、CH及びCHCHCH、及び本発明の詳細な説明の表2に記載の保護基からなる群より選択され、
ここで、YとZは各々独立的にH、HCH、CH、CHCH(CH、CHCH(CH、CH(CH)C、CHCHSCH、CH、CHNHH4、OCOC、CO、(CHCO、CHOH、CH(CH)OH、CHOH、CHCOOH、CHCHCOOH、CHCONH、CNH、CNHC(=NH)NH、CH及びCHSHからなる群より選択され、
はOH、SH、H、CH、C、C、C、CH、CHCHCH、NHCH(SH)COH、NH(CHSH、NH(CHCHNH)H、[NHCH(CNH)CO]OH、[NHCH[(CHC(=NH)(NH)]CO]OH及びプロタミンからなる群より選択され、
qは1〜20の値を有し、
rは1〜18000の値を有し、
、a、b、c、d及びeは、各置換体の含有量を示す値であって、a、a、bは、各々0.01〜1.9の値を有し、c、d及びeは、各々0〜1.9の値を有し、a+a+b+c+d+e=2.0であり、
nはポリフォスファゼンの重合度であって5〜100000の値を有する。)
【請求項16】
前記溶媒は緩衝溶液、酸性溶液、塩基性溶液、塩溶液、水、生理食塩水、注射用水及びブドウ糖食塩液からなる群より選択された1種以上であり、ポリ有機フォスファゼンの濃度が1〜50重量%である、請求項15に記載のハイドロゲル。
【請求項17】
生体内でゲル形態を有する生分解性高分子又は前記高分子ハイドロゲル及び1種以上の添加剤を含有する生体活性物質輸送用組成物であって、
前記生分解性高分子は、生体内でゲル形態を有する生分解性高分子であり、
前記高分子ハイドロゲルは、前記高分子が緩衝溶液、酸性溶液、塩基性溶液、塩溶液、水、生理食塩水、注射用水及び葡萄糖食塩液からなる群より選択された溶媒に1〜50重量%の濃度で溶解され、生体内でゲルが形成され生分解性を有する、
生体活性物質輸送用組成物。
【請求項18】
前記生体活性物質は、薬物及び治療用細胞からなる群より選択された1種以上のものである、請求項17に記載の生体活性物質輸送用組成物。
【請求項19】
前記薬物は、蛋白質、ポリペプチド、ペプチド、ワクチン、遺伝子、ホルモン、抗癌剤及び新生血管抑制剤からなる群より選択される、請求項18に記載の生体活性物質輸送用組成物。
【請求項20】
前記1種以上の添加剤の含有量は、全体組成物重量を基準に1×10-6〜30重量%である、請求項17に記載の生体活性物質輸送用組成物。
【請求項21】
前記添加剤は、200〜750000の分子量を有するカチオンポリマー、ポリ(N-ビニル-2-ピロリドン)、ポリビニルアセテート(PVA)、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ヘパリン、アルギン酸塩、アミロライド、プロカインアミド、アセチル-ベータ-メチルコリン、スペルミン、スペルミジン、リゾチーム、フィブロイン、アルブミン、コラーゲン、成長因子、骨形成蛋白質(BMPs)、デクサメタゾン、フィブロネクチン、フィブリノーゲン、トロンビン、蛋白質、発色団EL、デクスラゾキサン、ロイコボリン、リシノール酸、リン脂質、小腸粘膜下組織、ビタミンE、ポリグリセロール脂肪酸、ラブラフィル(Labrafil)、ラブラフィル M1944CS、クエン酸、グルタミン酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ゼラチン、イソプロピルミリスチン酸、ユードラジット(Eudragit)、テゴベタイン(tego betain)、ジミリストイルホスファチジルコリン、スクレログルカン、エタノール、ジメチルスルホキシド、保存料、糖、ポリオール、糖を含むポリオール、アミノ酸、ポリマー含有ポリオール、糖含有アミノ酸、界面活性剤、糖含有イオン、珪酸塩、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、塩化リチウム、臭化テトラn−ブチルアンモニウム(n-BuNBr)、臭化テトラn−プロピルアンモニウム(n-PrNBr)、臭化テトラエチルアンモニウム(EtNBr)、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸亜鉛、リン酸カルシウム、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、炭酸亜鉛、塩化カドニウム、塩化水銀、塩化コバルト、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化鉛、塩化アルミニウム、塩化鉄(II)(FeCl)、塩化鉄(III)(FeCl)、塩化ニッケル、塩化銀、塩化金、塩化銅、テトラデシル硫酸ナトリウム、ドデシルトリメチル臭化アンモニウム、ドデシルトリメチル塩化アンモニウム及びテトラデシルトリメチル臭化アンモニウムからなる群より選択された1種以上の物質である、請求項20に記載の生体活性物質輸送用組成物。
【請求項22】
請求項1又は2に記載のポリ有機フォスファゼン及び請求項15または16に記載のポリ有機フォスファゼンハイドロゲルからなる群より選択された1種以上を含む、生体活性物質輸送用組成物。
【請求項23】
前記生体活性物質は、蛋白質、ポリペプチド、ペプチド、ワクチン、遺伝子、ホルモン、抗癌剤及び新生血管抑制剤からなる薬物の群より選択される、請求項22に記載の生体活性物質輸送用組成物。
【請求項24】
1種以上の添加剤を1×10-6〜30重量%さらに含む、請求項22に記載の生体活性物質輸送用組成物。
【請求項25】
前記添加剤は、200〜750000の分子量を有するカチオンポリマー、ポリ(N-ビニル-2-ピロリドン)、ポリビニルアセテート(PVA)、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ヘパリン、アルギン酸塩、アミロライド、プロカインアミド、アセチル-ベータ-メチルコリン、スペルミン、スペルミジン、リゾチーム、フィブロイン、アルブミン、コラーゲン、成長因子、骨形成蛋白質(BMPs)、デクサメタゾン、フィブロネクチン、フィブリノーゲン、トロンビン、蛋白質、発色団EL、デクスラゾキサン、ロイコボリン、リシノール酸、リン脂質、小腸粘膜下組織、ビタミンE、ポリグリセロール脂肪酸、ラブラフィル(Labrafil)、ラブラフィル M1944CS、クエン酸、グルタミン酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ゼラチン、イソプロピルミリスチン酸、ユードラジット(Eudragit)、テゴベタイン(tego betain)、ジミリストイルホスファチジルコリン、スクレログルカン、エタノール、ジメチルスルホキシド、保存料、糖、ポリオール、糖を含むポリオール、アミノ酸、ポリマー含有ポリオール、糖含有アミノ酸、界面活性剤、糖含有イオン、珪酸塩、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、塩化リチウム、臭化テトラn−ブチルアンモニウム(n-BuNBr)、臭化テトラn−プロピルアンモニウム(n-PrNBr)、臭化テトラn−エチルアンモニウム(EtNBr)、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸亜鉛、リン酸カルシウム、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、炭酸亜鉛、塩化カドニウム、塩化水銀、塩化コバルト、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化鉛、塩化アルミニウム、塩化鉄(II)(FeCl)、塩化鉄(III)(FeCl)、塩化ニッケル、塩化銀、塩化金、塩化銅、テトラデシル硫酸ナトリウム、ドデシルトリメチル臭化アンモニウム、ドデシルトリメチル塩化アンモニウム及びテトラデシルトリメチル臭化アンモニウムからなる群より選択された1種以上の物質である、請求項24に記載の生体活性物質輸送用組成物。
【請求項26】
生体内でゲル形態を有する生分解性高分子又は前記高分子ハイドロゲル、生体活性物質及び1種以上の添加剤を含む生体活性物質輸送システムであって、
前記生分解性高分子は、体温でゲルを形成し、
前記高分子ハイドロゲルは、体温でゲルが形成し、生分解性を有し、および前記高分子は緩衝溶液、酸性溶液、塩基性溶液、塩溶液、水、生理食塩水、注射用水及びブドウ糖食塩液からなる群より選択された溶媒に1〜50重量%の濃度で溶解される、
生体活性物質輸送システム。
【請求項27】
前記生体活性物質は、薬物及び治療用細胞からなる群より選択された1種以上のものである、請求項26に記載の生体活性物質輸送システム。
【請求項28】
前記薬物は、蛋白質、ポリペプチド、ペプチド、ワクチン、遺伝子、ホルモン、抗癌剤及び新生血管抑制剤からなる群より選択され、前記薬物の含有量が1×10-8〜50体積%である、請求項27に記載の生体活性物質輸送システム。
【請求項29】
前記蛋白質、ポリペプチド、及びペプチドは、エリスロポエチン(EPO)、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、成長ホルモン(ヒト、豚、牛等)、成長ホルモン放出因子、神経成長因子(NGF)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、血液凝固因子、インシュリン、オキシトシン、バソプレシン、副腎皮質刺激ホルモン、表皮成長因子、血小板由来成長因子(PDGF)、プロラクチン、ルリベリン、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、LHRH作用剤、LHRH拮抗剤、ソマトスタチン、グルカゴン、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-11(IL-11)、ガストリン、テトラガストリン、ペンタガストリン、ウロガストロン、セクレチン、カルシトニン、エンケファリン、エンドルフィン、アンジオテンシン、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)、腫瘍壊死因子(TNF)、腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘発リガンド(TRAIL)、ヘパリン分解酵素、骨形成タンパク質(BMP)、ヒト心房ナトリウム利尿ペプチド(hANP)、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)、レニン、ブラジキニン、バシトラシン、ポリミキシン、コリスチン、チロシジン、グラミシジン、シクロスポリン及びこれらの合成アナログ、単クローン抗体、抗体、修飾されたまたは薬と同じ効果を示す物質、酵素及びサイトカイン類からなる群より選択された1種以上であり、
前記ワクチンは、肝炎ワクチン等からなる群より選択された1種以上であり、
前記遺伝子は、低分子干渉RNA(siRNA)、デオキシリボ核酸(プラスミド DNA)及びアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド(AS-ODN)等からなる群より選択された1種以上であり、
前記ホルモンは、テストステロン、エストラジオール、プロゲストロン、プロスタグランジン及びこれらの合成アナログ、及び修飾されたまたは薬と同じ効果を示す物質からなる群より選択された1種以上であり、
前記抗癌剤は、パクリタキセル、ドキソルビシン、5-フルオロウラシル、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、テガフル、イリノテカン、ドセタキセル、シクロフォスファミド、ゲムシタビン(cemcitabine)、イフォスファミド(ifosfamide)、ミトマイシンC、ビンクリスチン、エトポサイド、メトトレキサート、トポテカン、タモキシフェン、ビノレルビン、カンプトテシン、ダウノルビシン(danuorubicin)、クロラムブシル、ブリオスタチン-1、カリケアミシン、マイアタンシン、レバミゾール、DNA組換えインターフェロンα-2a、ミトキサントロン、ニムスチン、インターフェロンα-2a、ドキシフルリジン、フォルメスタン、酢酸ロイプロリド、酢酸メゲストロール、カルモフール、テニポシド、ブレオマイシン、カルムスチン、ヘプタプラチン、エキセメスタン、アナストロゾール、エストラムスチン、カペシタビン、ゴセレリンアセテート、多糖カリウム、酢酸メドロキシポゲステロン、エピルビシン、レトロゾール、ピラルビシン、トポテカン、アルトレタミン、クエン酸トレミフェン、BCNU、タキソテール、アクチノマイシンD、ポリエチレングリコール接合タンパク質及びこれらの合成アナログ、及び修飾または薬と同じ効果を示す物質からなる群より選択された1種以上の物質であり、
前記新生血管抑制剤は、BMS-275291、クロドロネート、6-デオキシ-6-デメチル-4-デジメチルアミノテトラサイクリン、ドキシサイクリン、マリマスタット、2-メトキシエストラジオール、スクアラミン、SU5164、サリドマイド、TNP-470、コンブレタスタチンA4、大豆イソフラボン、エンザスタウリン、CC 5013、セレコキシブ、ZD6474、臭化水素酸ハロフジノン、インターフェロン-α、ベバシズマブ、AE-941、インターロイキン-12、血管内皮成長因子トラップ(VEFG-trap)、セツキシマブ及びこれらの合成アナログ及び修飾されたまたは薬と同じ効果を示す物質からなる群より選択された1種以上の物質である、請求項28に記載の生体活性物質輸送システム。
【請求項30】
前記治療用細胞は、前骨芽細胞、軟骨細胞、新生血管細胞(UVEC)、骨芽細胞、体性幹細胞、シュワン細胞、希突起膠細胞、肝細胞、壁細胞(UVECと組み合わせて使用)、筋芽細胞、インシュリン分泌細胞、内皮細胞、平滑筋細胞、繊維芽細胞、β細胞、内胚葉細胞、肝幹細胞、糸球体傍細胞、骨格筋細胞、角質細胞、メラニン細胞、ランゲルハンス細胞、メルケル細胞及び皮膚繊維芽細胞及び前駆脂肪細胞からなる群より選択された1種以上である、請求項27に記載の生体活性物質輸送システム。
【請求項31】
前記1種以上の添加剤の含有量は、全体重量を基準に1×10-6〜30重量%である、請求項26に記載の生体活性物質輸送システム。
【請求項32】
前記添加剤は、200〜750000の分子量を有するカチオンポリマー、ポリ(N-ビニル-2-ピロリドン)、ポリビニルアセテート(PVA)、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ヘパリン、アルギン酸塩、アミロライド、プロカインアミド、アセチル-ベータ-メチルコリン、スペルミン、スペルミジン、リゾチーム、フィブロイン、アルブミン、コラーゲン、成長因子、骨形成蛋白質(BMPs)、デクサメタゾン、フィブロネクチン、フィブリノーゲン、トロンビン、蛋白質、発色団EL、デクスラゾキサン、ロイコボリン、リシノール酸、リン脂質、小腸粘膜下組織、ビタミンE、ポリグリセロール脂肪酸、ラブラフィル(Labrafil)、ラブラフィル M1944CS、クエン酸、グルタミン酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ゼラチン、イソプロピルミリスチン酸、ユードラジット(Eudragit)、テゴベタイン(tego betain)、ジミリストイルホスファチジルコリン、スクレログルカン、エタノール、ジメチルスルホキシド、保存料、糖、ポリオール、糖を含むポリオール、アミノ酸、ポリマー含有ポリオール、糖含有アミノ酸、界面活性剤、糖含有イオン、珪酸塩、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、塩化リチウム、臭化テトラn−ブチルアンモニウム(n-BuNBr)、臭化テトラn−プロピルアンモニウム(n-PrNBr)、臭化テトラエチルアンモニウム(EtNBr)、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸亜鉛、リン酸カルシウム、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、炭酸亜鉛、塩化カドニウム、塩化水銀、塩化コバルト、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化鉛、塩化アルミニウム、塩化鉄(II)(FeCl)、塩化鉄(III)(FeCl)、塩化ニッケル、塩化銀、塩化金、塩化銅、テトラデシル硫酸ナトリウム、ドデシルトリメチル臭化アンモニウム、ドデシルトリメチル塩化アンモニウム及びテトラデシルトリメチル臭化アンモニウムからなる群より選択された1種以上の物質である、請求項31に記載の生体活性物質輸送用組成物。
【請求項33】
経口投与、口腔内投与、粘膜投与、鼻腔内投与、腹腔内投与、皮下注射、筋肉注射、経皮投与及び腫瘍内投与からなる群より選択される投与方法により体内投与される、請求項26に記載の生体活性物質輸送システム。
【請求項34】
請求項1又は2に記載の前記ポリ有機フォスファゼン及び請求項15又は16に記載の前記ポリ有機フォスファゼンハイドロゲルからなる群より選択された1種以上の物質と生体活性物質を含む、生体活性物質輸送システム。
【請求項35】
前記生体活性物質は、薬物及び治療用細胞からなる群より選択された1種以上である、請求項34に記載の生体活性物質輸送システム。
【請求項36】
前記薬物は、蛋白質、ポリペプチド、ペプチド、ワクチン、遺伝子、ホルモン、抗癌剤及び新生血管抑制剤からなる群より選択され、前記薬物の含有量が1×10-8〜50体積%である、請求項35に記載の生体活性物質輸送システム。
【請求項37】
前記蛋白質、ポリペプチド、及びペプチドは、エリスロポエチン(EPO)、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、成長ホルモン(ヒト、豚、牛等)、成長ホルモン放出因子、神経成長因子(NGF)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、血液凝固因子、インシュリン、オキシトシン、バソプレシン、副腎皮質刺激ホルモン、表皮成長因子、血小板由来成長因子(PDGF)、プロラクチン、ルリベリン、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、LHRH作用剤、LHRH拮抗剤、成長抑制ホルモン(ソマトスタチン)、グルカゴン、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-11(IL-11)、ガストリン、テトラガストリン、ペンタガストリン、ウロガストロン(、セクレチン、カルシトニン、エンケファリン、エンドルフィン、アンジオテンシン、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)、腫瘍壊死因子(TNF)、腫瘍壊死因子関連細胞自滅死誘発リガンド(TRAIL)、ヘパリン分解酵素、骨形成タンパク質(BMP)、心房性ナトリウム利尿ペプチド(hANP)、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)、レニン、ブラジキニン、バシトラシン、ポリミキシン、コリスチン、チロシジン、グラミシジン、シクロスポリン、及びこれらの合成アナログ、単クローン抗体、抗体、修飾されたまたは薬と同じ効果を示す物質、酵素及びサイトカイン類からなる群より選択された1種以上であり、
前記ワクチンは、肝炎ワクチン等からなる群より選択された1種以上であり、
前記遺伝子は、短分子干渉RNA(siRNA)、デオキシリボ核酸(プラスミド DNA)及びアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド(AS-ODN)等からなる群より選択された1種以上であり、
前記ホルモンは、テストステロン、エストラジオール、プロゲストロン、プロスタグランジン及びこれらの合成アナログ、及び修飾されたまたは薬と同じ効果を示す物質からなる群より選択された1種以上であり、
前記抗癌剤は、パクリタキセル、ドキソルビシン、5-フルオロウラシル、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、テガフル、イリノテカン、ドセタキセル、シクロフォスファミド、ゲムシタビン(cemcitabine)、イフォスファミド、ミトマイシンC、ビンクリスチン、エトポサイド、メトトレキセート、トポテカン、タモキシフェン、ビノレルビン、カンプトテシン、ダノルビシン、クロラムブシル、ブリオスタチン-1、カリケアミシン、マイアタンシン、レバミゾール、DNA組換えインターフェロンα-2a、ミトキサントロン、ニムスチン、インターフェロンα-2a、ドキシフルリジン、フォルメスタン、酢酸ロイプロリド、酢酸メゲストロール、カルモフール、テニポシド、ブレオマイシン、カルムスチン、ヘプタプラチン、エキセメスタン、アナストロゾール、エストラムスチン、カペシタビン、酢酸ゴセレリン、ポリサッカリドカリウム、酢酸メドロキシポゲステロン、エピルビシン、レトロゾール、ピラルビシン、トポテカン、アルトレタミン、クエン酸トレミフェン、BCNU、タキソテレ、アクチノマイシンD、ポリエチレングリコール接合蛋白質及びこれらの合成アナログ、及び修飾されたまたは薬と同じ効果を示す物質からなる群より選択された1種以上の物質であり、
前記新生血管抑制剤は、BMS-275291、クロドロネート、6-デオキシ-6-デメチル-4-デジメチルアミノテトラサイクリン、ドキシサイクリン、マリマスタット、2-メトキシエストラジオール、スクアラミン、SU5164、サリドマイド、TNP-470、コンブレタスタチンA4、大豆イソフラボン、エンザスタウリン、CC 5013、セレコキシブ、ZD6474、臭化水素酸ハロフジノン、インターフェロン-α、ベバシズマブ、AE-941、インターロイキン-12、血管内皮成長因子トラップ(VEFG-trap)、セツキシマブ及びこれらの合成アナログ及び修飾されたまたは薬と同じ効果を示す物質からなる群より選択された1種以上の物質である、請求項36に記載の生体活性物質輸送システム。
【請求項38】
前記治療用細胞は、前骨芽細胞、軟骨細胞、新生血管細胞(UVEC)、骨芽細胞、体性幹細胞、シュワン細胞、希突起膠細胞、肝細胞、壁細胞(UVECと組み合わせて使用)、筋芽細胞、インシュリン分泌細胞、内皮細胞、平滑筋細胞、繊維芽細胞、β細胞、内胚葉細胞、肝幹細胞、糸球体傍細胞、骨格筋細胞、角質細胞、メラニン細胞、ランゲルハンス細胞、メルケル細胞及び皮膚繊維芽細胞及び前駆脂肪細胞からなる群より選択された1種以上である、請求項35に記載の生体活性物質輸送システム。
【請求項39】
1種以上の添加剤を1×10-6〜30重量%さらに含有する請求項34に記載の生体活性物質輸送システム。
【請求項40】
前記添加剤は、200〜750000の分子量を有するカチオンポリマー、ポリ(N-ビニル-2-ピロリドン)、ポリビニルアセテート(PVA)、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ヘパリン、アルギン酸塩、アミロライド、プロカインアミド、アセチル-ベータ-メチルコリン、スペルミン、スペルミジン、リゾチーム、フィブロイン、アルブミン、コラーゲン、成長因子、骨形成蛋白質(BMPs)、デクサメタゾン、フィブロネクチン、フィブリノーゲン、トロンビン、蛋白質、発色団EL、デクスラゾキサン、ロイコボリン、リシノール酸、リン脂質、小腸粘膜下組織、ビタミンE、ポリグリセロール脂肪酸、ラブラフィル(Labrafil)、ラブラフィル M1944CS、クエン酸、グルタミン酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ゼラチン、イソプロピルミリスチン酸、ユードラジット(Eudragit)、テゴベタイン(tego betain)、ジミリストイルホスファチジルコリン、スクレログルカン、エタノール、ジメチルスルホキシド、保存料、糖、ポリオール、糖を含むポリオール、アミノ酸、ポリマー含有ポリオール、糖含有アミノ酸、界面活性剤、糖含有イオン、珪酸塩、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、塩化リチウム、臭化テトラn−ブチルアンモニウム(n-BuNBr)、臭化テトラn−プロピルアンモニウム(n-PrNBr)、臭化テトラエチルアンモニウム(EtNBr)、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸亜鉛、リン酸カルシウム、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、炭酸亜鉛、塩化カドニウム、塩化水銀、塩化コバルト、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化鉛、塩化アルミニウム、塩化鉄(II)(FeCl)、塩化鉄(III)(FeCl)、塩化ニッケル、塩化銀、塩化金、塩化銅、テトラデシル硫酸ナトリウム、ドデシルトリメチル臭化アンモニウム、ドデシルトリメチル塩化アンモニウム及びテトラデシルトリメチル臭化アンモニウムからなる群より選択された1種以上の物質である、請求項39に記載の生体活性物質輸送システム。
【請求項41】
経口投与、口腔内投与、粘膜投与、鼻腔内投与、腹腔内投与、皮下注射、筋肉注射、経皮投与及び腫瘍内投与からなる群より選択される投与方法により体内投与される、請求項34に記載の生体活性物質輸送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2009−531471(P2009−531471A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−551170(P2008−551170)
【出願日】平成18年11月3日(2006.11.3)
【国際出願番号】PCT/KR2006/004573
【国際公開番号】WO2007/083875
【国際公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(591074116)韓国科学技術研究院 (17)
【氏名又は名称原語表記】KOREA INSTITUTE OF SCIENCE AND TECNOLOGY
【住所又は居所原語表記】39−1 Hawolgok−dong,Seongbuk−gu,Seoul 136−791KOREA
【Fターム(参考)】