説明

生化学的調節と組合せた抗腫瘍剤としての白金錯体

本発明は、癌および他の過増殖性疾患を治療するための方法および組成物の使用に関する。ある態様において、方法は、少なくとも1種の白金錯体を、単独でまたはグルタチオンのモジュレーターと組合せて含有する組成物を投与することによる、癌および/または過増殖性疾患の治療について説明されている。特にこれらの方法は、シスプラチンまたはカルボプラチン耐性腫瘍細胞の治療に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本出願は、2002年9月11日に出願された、同時係属出願である米国特許仮出願第60/409,813号の優先権を請求するものである。先に言及された開示の全文は、特許権の一部放棄を伴わずに、具体的に本明細書に参照として組入れられている。米国政府は、米国国立癌研究所(NCI)研究基金第R01CA50380号に従い、本発明に権利を有するものである。
【0002】
1.発明の技術分野
本発明は、概して癌療法の分野に関する。より詳細に述べると、これは、特定の白金錯体および/またはグルタチオン(GSH)合成もしくは活性の阻害剤、例えばL-ブチオニン-スルホキシミン(BSO)を含有する組成物を使用する、製剤および癌患者の治療法に関する。
【背景技術】
【0003】
2.関連技術の説明
シスプラチンは、最も効果的かつ広範に使用される抗癌剤のひとつである。一般に、シスプラチンにより誘導されたアポトーシスは、複製および転写を遮断する、共有結合したDNA付加体の形成により媒介されると考えられている。シスプラチン(cis-ジアンミンジクロロ白金)は、化学療法剤として長年使用されている。Rosenbergらは、US 4,177,263において、シスプラチンおよびシスプラチン類似体を用い、癌を治療する方法を開示している。これらの化合物は、マウスにおいて誘導された白血病および腫瘍の治療に有効である。シスプラチンおよび類似体であるカルボプラチンは、現在最も広範に使用されている抗癌剤である。
【0004】
白金-ベースの抗腫瘍剤(例えば、シスプラチンおよびカルボプラチン)は、いくつかの癌の治療において重要な役割を果たしている。これらの治療への大きな制限のひとつは、患者の大半が再発することであり、このことは薬剤耐性腫瘍細胞のために、白金物質による引き続きの治療を失敗させている。この制限により、耐性腫瘍に対して有効である白金類似体を同定する努力がなされている。実際いくつかのこのような類似体(例えば、オキサリプラチンおよびJM216)が臨床試験段階にある。しかし、これらの類似体の有効な作用様式に関する知識はほとんどまたは全くない。低下された薬物蓄積、増加した細胞内グルタチオン、および増加したDNA付加体修復は、シスプラチン耐性の重要な機序として通常同定されているが、類似体による耐性の逆転に関する満足できる説明は提供されていない。
【0005】
シスプラチンまたはそれらの類似体を、スルホキシミン、例えばD,L-ブチオニン-S,R-スルホキシミン(BSO)または他の薬剤などと併用投与することにより、これらの薬剤に対する耐性腫瘍細胞の効力を増大または増感する試みがなされている。ヒト黒色腫細胞株(RPMI 8322)における二官能性DNA-反応性静細胞剤により誘導された細胞傷害性およびDNA架橋に対するBSOの作用が調べられている。BSO前処理は、メルファランおよびナイトロジェンマスタードの細胞傷害性を増強した。シスプラチン毒性のBSOによるわずかであるが有意な増強作用も認められる(用量変更因子(DMF)1.5)。この知見は、二官能性アルキル化剤の細胞傷害性のBSOによる増強作用は、薬剤のグルタチオンとの細胞内抱合の低下により引き起こされたDNA架橋の増加に起因するという仮説を裏付けた。
【0006】
癌の治療法で完全に満足できるものはなく、従って癌治療のための新規および改善された方法および組成物が必要である。
【発明の開示】
【0007】
発明の概要
本明細書に説明された白金錯体は、単独でまたはGSH合成または活性の阻害剤(例えば、BSO)と併用し、抗腫瘍活性およびシスプラチン耐性細胞に関する選択性の増強を示す。ある態様において、本発明の白金錯体の活性は、耐性細胞に対しての方が、感受性細胞に対してよりもはるかに大きいことがある。
【0008】
本発明のある態様において、化合物アンミン/シクロヘプチルアミン-ジクロロ-白金(II)、アンミン/ピペリジン-ジクロロ-白金(II)、アンミン/ヘキサメチレンイミン-ジクロロ-白金(II)、および/またはアンミン/ヘキサメチレンイミン-テトラクロロ-白金(IV)は、癌または過増殖状態の患者の治療のために、単独で、またはGSHの合成および/または活性の阻害剤と併用で使用される。
【0009】
様々な態様において、抗腫瘍製剤または組成物は、下記構造式で表された化合物またはそれらの塩を含んでもよい。

【0010】
この製剤または組成物は、グルタチオンの負のモジュレーターを含んでもよい。グルタチオンの負のモジュレーターは、グルタチオン合成の阻害剤であってよい。グルタチオン合成の阻害剤は、L-ブチオニン-スルホキシミン(BSO)であってよい。BSOは、BSOの1種または複数の異性体を含んでもよい。
【0011】
別の態様において、抗腫瘍製剤または組成物は、下記構造式で表された化合物またはそれらの塩を含んでもよい。

【0012】
この製剤または組成物は、グルタチオンの負のモジュレーターを含んでもよい。グルタチオンの負のモジュレーターは、グルタチオン合成の阻害剤であってよい。グルタチオン合成の阻害剤は、L-ブチオニン-スルホキシミン(BSO)であってよい。BSOは、BSOの1種または複数の異性体を含んでもよい。
【0013】
更に別の態様において、抗腫瘍製剤または組成物は、下記構造式で表された化合物またはそれらの塩を含んでもよい。

【0014】
この製剤または組成物は、グルタチオンの負のモジュレーターを含んでもよい。グルタチオンの負のモジュレーターは、グルタチオン合成の阻害剤であってよい。グルタチオン合成の阻害剤は、L-ブチオニン-スルホキシミン(BSO)であってよい。BSOは、BSOの1種または複数の異性体を含んでもよい。
【0015】
更に別の態様において、抗腫瘍製剤または組成物は、下記構造式IVで表された化合物またはそれらの塩を含んでもよい。

【0016】
この製剤または組成物は、グルタチオンの負のモジュレーターを含んでもよい。グルタチオンの負のモジュレーターは、グルタチオン合成の阻害剤であってよい。グルタチオン合成の阻害剤は、L-ブチオニン-スルホキシミン(BSO)であってよい。BSOは、BSOの1種または複数の異性体を含んでもよい。
【0017】
ある種の態様において、薬学的組成物は、アンミン/シクロヘプチルアミン-ジクロロ-白金(II)、アンミン/ピペリジン-ジクロロ-白金(II)、アンミン/ヘキサメチレンイミン-ジクロロ-白金(II)、またはアンミン/ヘキサメチレンイミン-テトラクロロ-白金(IV)の1種または複数の白金錯体を含有することができる。
【0018】
本発明の薬学的製剤または組成物は、白金錯体を、概算的範囲0.1mM、0.5mM、1mM、2mM、3mM、4mM、5mM、6mM、7mM、8mM、9mM、10mM、11mM、12mM、13mM、14mM、15mMから、5mM、6mM、7mM、8mM、9mM、10mM、11mM、12mM、13mM、14mM、15mM、16mM、17mM、18mM、19mM、20mM、25mM、30mM、40mM、50mMまで含有してもよい。本発明の薬学的製剤または組成物は、グルタチオンの生物学的調節物質を含有してもよい。グルタチオンの生物学的調節物質は、グルタチオン合成の阻害剤、例えばL-ブチオニン-スルホキシミンであってよい。薬学的組成物は、L-ブチオニン-スルホキシミンを、概算的範囲1μM、2μM、3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、10μM、11μM、12μM、13μM、14μM、15μM、16μM、17μM、18μM、19μM、20μM、25μM、30μM、35μM、40μM、45μM、50μM、55μM、60μM、65μM、75μM、80μM、85μM、90μM、95μMから、100μM、150μM、200μM、250μM、300μM、400μM、500μMまたはそれ以上まで含有してもよい。本発明の薬学的組成物は、静脈内、経口、腹腔内、または白金錯体について公知の他の投与経路などにより投与されてもよい。
【0019】
本発明の更に別の態様において、細胞に、アンミン/シクロヘプチルアミン-ジクロロ-白金(II)、アンミン/ピペリジン-ジクロロ-白金(II)、アンミン/ヘキサメチレンイミン-ジクロロ-白金(II)、またはアンミン/ヘキサメチレンイミン-テトラクロロ-白金(IV)を提供、接触または投与することを含む、シスプラチン耐性細胞の増殖を阻害する方法が、企図されている。この方法は、グルタチオンの生物学的調節物質を提供することも含む。このグルタチオンの生物学的調節物質は、グルタチオン合成の阻害剤、例えば1種または複数のL-ブチオニン-スルホキシミン異性体であってよい。本発明の特定の態様において、細胞は、哺乳類のような対象内に位置する。哺乳類は、ヒトまたはマウスであってよい。
【0020】
様々な態様は、癌細胞に、アンミン/シクロヘプチルアミン-ジクロロ-白金(II)、アンミン/ピペリジン-ジクロロ-白金(II)、アンミン/ヘキサメチレンイミン-ジクロロ-白金(II)、またはアンミン/ヘキサメチレンイミン-テトラクロロ-白金(IV)を提供、接触または投与することを含む、癌細胞の治療法を含む。この方法は更に、グルタチオンの生物学的調節物質を提供することも含む。このグルタチオンの生物学的調節物質は、グルタチオン合成の阻害剤、例えば1種または複数のL-ブチオニン-スルホキシミン異性体であってよい。
【0021】
更に別の本発明の態様は、グルタチオン合成の阻害剤と併用して、アンミン/シクロヘプチルアミン-ジクロロ-白金(II)、アンミン/ピペリジン-ジクロロ-白金(II)、アンミン/ヘキサメチレンイミン-ジクロロ-白金(II)、またはアンミン/ヘキサメチレンイミン-テトラクロロ-白金(IV)からなる群より選択される白金錯体を含有する組成物を提供、接触または投与することを含む、抗-腫瘍活性を増強する方法を含む。グルタチオン合成の阻害剤は、更に1種または複数のL-ブチオニン-スルホキシミン異性体として定義される。L-ブチオニン-スルホキシミンの濃度は、概算的範囲1μM、2μM、3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、10μM、11μM、12μM、13μM、14μM、15μM、16μM、17μM、18μM、19μM、20μM、25μM、30μM、35μM、40μM、45μM、50μM、55μM、60μM、65μM、75μM、80μM、85μM、90μM、95μMから、100μM、150μM、200μM、250μM、300μM、400μM、500μMまたはそれ以上まであってよい。
【0022】
本発明の追加の態様は、アンミン/シクロヘプチルアミン-ジクロロ-白金(II)を生成する方法を含み、これは:a)20mmol K2PtCl4の水溶液を、200mmol KIと共に、室温で10分間攪拌することにより処理する工程;b)シクロヘプチルアミン2当量を滴下し、ならびに30分間攪拌し、cis-PtII(c-C7H11NH2)2I2沈殿を形成する工程;c)cis-PtII(c-C7H11NH2)2I2沈殿を濾過し、水で洗浄する工程;d)DMF/H2O混合液からcis-PtII(c-C7H11NH2)2I2沈殿を再結晶化し、水、メタノール、およびエチルエーテルで洗浄する工程;e)cis-PtII(c-C7H11NH2)2I2沈殿を真空で乾燥する工程;f)乾燥したcis-PtII(c-C7H11NH2)2I2沈殿を、60〜70%HClO4の50mL中に懸濁し、およびこの懸濁液にエタノール150mLを室温で攪拌しながら添加し、褐色の[PtII(c-C7H11NH2)I2]2沈殿を形成する工程;g)褐色の[PtII(c-C7H11NH2)I2]2沈殿を濾過し、この褐色の[PtII(c-C7H11NH2)I2]2沈殿を水で洗浄する工程;h)洗浄した褐色の[PtII(c-C7H11NH2)I2]2沈殿を真空で乾燥する工程;i)褐色の[PtII(c-C7H11NH2)I2]2沈殿5mmolを、水25mL中の1.5M NH4OH 5mLと混合し、この混合物を室温で一晩攪拌し、黄色cis-PtII(NH3)(c-C7H11NH2)I2沈殿を形成する工程;j)黄色cis-PtII(NH3)(c-C7H11NH2)I2沈殿を濾過し、および水で洗浄する工程;k)洗浄した黄色cis-PtII(NH3)(c-C7H11NH2)I2沈殿を真空で乾燥する工程;l)cis-PtII(NH3)(c-C7H11NH2)I2 4mmolを、水200mL中のAgNO3 7.4mmolと混合し、暗所で一晩攪拌し、AgI沈殿を形成する工程;m)セライトを通す濾過によりAgI沈殿を除去し、cis-PtII(NH3)(c-C7H11NH2)NO3濾液を形成する工程;n)cis-PtII(NH3)(c-C7H11NH2)NO3濾液に、濃HCl 10mLを添加し、この混合液を3時間攪拌し、黄色PtII(NH3)(C7H11N)Cl2沈殿を形成する工程;o)この混合液を、減圧下で、およそ2mLにまで蒸発させ、黄色PtII(NH3)(C7H11N)Cl2沈殿を濾過する工程;p)黄色PtII(NH3)(C7H11N)Cl2沈殿を水およびアセトンで洗浄し、洗浄した黄色PtII(NH3)(C7H11N)Cl2沈殿を真空で乾燥する工程を含む。
【0023】
別の態様は、アンミン/ピペリジン-ジクロロ-白金(II)を形成する方法を含み、これは:a)水50mL中に5.5mmol K[Pt(NH3)Cl3]を溶解する工程;b)水100mL中のKI 55mmolを添加し、褐色の溶液を形成し、20分間攪拌する工程;c)水10mL中のピペリジン55mmolを、金黄色のPt(NH3)(C5H11N)I2沈殿が形成されるまで、褐色溶液に滴下し、更に1時間攪拌する工程;d)金黄色Pt(NH3)(C5H11N)I2沈殿を濾過し、アセトンで洗浄する工程;e)洗浄した金黄色Pt(NH3)(C5H11N)I2沈殿を真空で乾燥する工程;f)水100ml中にPt(NH3)(C5H11N)I2 4.24mmolを懸濁する工程;g)水100mL中の8.48mmol AgNO3 を添加し、暗所において、室温で24時間攪拌する工程;h)AgI沈殿を濾過する工程;i)AgI濾液を蒸発させ50mLとする工程;j)攪拌しながら、1:1のHCl溶液を滴下し、明黄色Pt(NH3)(C5H11N)Cl2化合物を形成する工程;および、k)明黄色Pt(NH3)(C5H11N)Cl2化合物を濾過し、温水中で明黄色Pt(NH3)(C5H11N)Cl2化合物を再結晶化し、明黄色Pt(NH3)(C5H11N)Cl2結晶を真空下で乾燥する工程を含む。
【0024】
更に別の本発明の態様は、アンミン/ヘキサメチレンイミン-ジクロロ-白金(II)を形成する方法を含み、これは:a)水50mL中に5.5mmol K[Pt(NH3)Cl3]を溶解する工程;b)水100mL中の55mmol KIを添加し、褐色の溶液を形成し、20分間攪拌する工程;c)水10mL中のヘキサメチレンイミン55mmolを、金黄色のPt(NH3)(C6H13N)I2沈殿が形成されるまで、褐色溶液に滴下し、更に1時間攪拌する工程;d)金黄色のPt(NH3)(C6H13N)I2沈殿を濾過し、アセトンで洗浄する工程;e)洗浄した金黄色のPt(NH3)(C6H13N)I2沈殿を真空で乾燥する工程;f)水100ml中に4.24mmol Pt(NH3)(C6H13N)I2を懸濁する工程;g)水100mL中の8.48mmol AgNO3を添加し、暗所において、室温で24時間攪拌する工程;h)AgI沈殿を濾過する工程;i)AgI濾液を蒸発させ50mLとする工程;j)攪拌しながら、1:1のHCl溶液を滴下し、明黄色Pt(NH3)(C6H13N)Cl2化合物を形成する工程;および、k)明黄色Pt(NH3)(C6H13N)Cl2化合物を濾過し、温水中で明黄色Pt(NH3)(C6H13N)Cl2化合物を再結晶化し、および明黄色Pt(NH3)(C6H13N)Cl2結晶を真空下で乾燥する工程を含む。
【0025】
追加の態様は、アンミン/ヘキサメチレンイミン-テトラクロロ-白金(IV)を形成する方法を含み、これは:a)水200mL中の2.61mmol PtII(NH3)(C6H13N)Cl2懸濁液に、H2O2 10mLを添加し、15時間攪拌し、この溶液を濾過し、最小容量に濃縮する工程;b)アセトンで沈殿し、黄色(PtIV(NH3)(C6H13N)trans-(OH)2Cl2)生成物を形成する工程;c)黄色(PtIV(NH3)(C6H13N)trans-(OH)2Cl2)を、真空で乾燥する工程;d)水100mL中に、黄色の1.64mmol PtIV(NH3)(C6H13N)trans-(OH)2Cl2(0.650g;1.64mmol)を溶解する工程;e)濃HCl 20mLを添加し、室温で24時間攪拌し、澄んだ黄色溶液を形成する工程;f)澄んだ黄色溶液を濾過し、この澄んだ黄色溶液を最小容量に濃縮し、黄色結晶PtIV(NH3)(C6H13N)Cl4を形成する工程;および、g)黄色結晶PtIV(NH3)(C6H13N)Cl4を濾過し、水で洗浄し、真空下で乾燥する工程を含む。
【0026】
本明細書に明らかにされた全ての量は、概算であり、および約5〜約10%、約15〜約20%またはそれよりも多く変動してもよい。本発明の別の態様において、この量は、約1mmol、2mmol、3mmol、4mmol、5mmol、6mmol、7mmol、8mmol、9mmol、10mmol、11mmol、12mmol、13mmol、14mmol、15mmol、16mmol、17mmol、18mmol、19mmol、20mmolまたはそれよりも多いミリモル量変動してもよい。本明細書に明らかにされた量は、同じく約5mL〜約10mL、約15mL〜約20mL、約25mL〜約30mLまたはそれよりも多いミリリットル量変動してもよい。
【0027】
用語「冠詞(a, an)」の使用は、「特許請求の範囲」および/または明細書において用語「含む(comprising)」と共に使用される場合は、「1つ」を意味するが、これは、「1つまたは複数の」、「少なくとも1つの」、および「1または1よりも多い」の意味とも一致する。
【0028】
本発明の他の目的、特徴および利点は、下記の詳細な説明から明らかになると思われる。しかし、本発明の精神および範囲内の様々な変更および修飾は、この詳細な説明から当業者には明らかになるので、詳細な説明および具体例は、本発明の具体的態様を示しているが、単に例示のために提供されていることは理解されなければならない。
【0029】
例示的態様の説明
白金錯体に対する耐性は、特定の(1つまたは複数の)白金錯体の単独でまたはGSHの負のモジュレーターとの併用による、増強されたおよび/または選択的抗腫瘍活性により克服することができる。ある態様において、GSHの負のモジュレーターは、GSH合成の阻害剤であってよく、これは、BSOの1種から複数までの異性体を含むことができる、L-ブチオニン-SR-スルホキシミン(BSO)を含むが、これらに限定されるものではない。本発明の態様は、シスプラチン-感受性細胞に対する活性よりもはるかに大きいシスプラチン耐性細胞に対する増加した活性を生じる。特定の白金類似体およびGSH合成または活性の阻害剤(例えば、BSO)の組合せは、難治性の癌に対して使用することができ、および標的細胞のp53状態とは無関係である。
【0030】
シスプラチンについて、BSOと併用した場合の抗腫瘍活性の増加は、通常2倍を下回るが、特異な論文(isolated publication)は、最大4倍の増加を明らかにしている。更にシスプラチンの増加した活性は、感受性細胞および耐性細胞の両方が同等に良好に反応するので、選択的ではない。他のシスプラチン類似体は、同様の方式で挙動することが明らかにされている。本開示において言及される白金錯体は、図1および図2に、錯体番号(complex number)、化学名、化学構造により列記されている。
【0031】
本発明者らは、GSH合成の阻害剤(例えば、BSO)と併用投与された場合に、(1)抗腫瘍活性の実質的により大きい増強、および(2)シスプラチン耐性細胞に対する選択性を示す、特定の白金錯体を同定した。従って、感受性および耐性の腫瘍モデルの同系対において、特定の類似体の活性は、感受性細胞に対するよりも、耐性細胞に対しての方がはるかに大きい。
【0032】
本発明は、白金錯体、および/または抗腫瘍化合物の活性を増強するかもしくは抗腫瘍化合物に対する腫瘍細胞の感受性を増大するような生物学的反応を修飾する物質を含有する薬学的組成物を使用する、癌およびその他の過増殖性疾患の治療のための製剤および方法を含む。ある態様において、白金錯体は、1種または複数のアンミン/シクロヘプチルアミン-ジクロロ-白金(II)(錯体No.7)、アンミン/ピペリジン-ジクロロ-白金(II)(錯体No.11)、アンミン/ヘキサメチレンイミン-ジクロロ-白金(II)(錯体No.12)、およびアンミン/ヘキサメチレンイミン-テトラクロロ-白金(IV)(錯体No.17)を含み、これらは本明細書に説明された化学構造により表される。
【0033】
I.白金錯体
シスプラチンは、DNAに配位しおよびその二重らせん構造をゆがませる臨床上非常に重要な抗癌/抗腫瘍の金属-ベースの薬剤である(Rosenberg、1999;O'Dwyer et al.、1999;Reedijk、1996;Lepre and Lippard、1990;Johnson et al.、1989)。シスプラチンの抗癌作用は、これらのゆがみの、DNAポリメラーゼを終結する能力(Comess et al.、1992)およびアポトーシスを誘導する能力(Eastman、1999)に関連している。加えてこれらのゆがみは、様々な損傷したDNA-結合蛋白質を引きつけ、およびこれらの蛋白質の結合は、シスプラチンの抗腫瘍特性を媒介することが主張されている(Jamieson and Lippard、1999;Zamble and Lippard、1999)。本発明の化合物は、シスプラチンと同等またはよりすぐれた抗腫瘍活性を有し、ならびに交差耐性をほとんどまたは全く示さず、すなわち、シスプラチンに対する耐性は、本発明の化合物に対する耐性と対応していない。このような化合物は典型的には、シスプラチン耐性細胞株に対して、シスプラチンよりもより有効である。
【0034】
本発明のある種の態様は、アンミン/シクロヘプチルアミン-ジクロロ-白金(II)、錯体No.7であり、下記構造で表された化合物、およびそれらの塩を含んでもよい。

【0035】
本発明の一部の態様は、アンミン/ピペリジン-ジクロロ-白金(II)、錯体No.11であり、下記構造で表された化合物、およびそれらの塩を含んでもよい。

【0036】
本発明の様々な態様は、アンミン/ヘキサメチレンイミン-ジクロロ-白金(III)、錯体No.12であり、下記構造で表された化合物、およびそれらの塩を含んでもよい。

【0037】
本発明の他の態様は、アンミン/ヘキサメチレンイミン-テトラクロロ-白金(IV)、錯体No.17であり、下記構造で表された化合物、およびそれらの塩を含んでもよい。

【0038】
様々な本発明の態様において、アンミン/シクロヘプチルアミン-ジクロロ-白金(II)、アンミン/ピペリジン-ジクロロ-白金(II)、アンミン/ヘキサメチレンイミン-ジクロロ-白金(II)、および/またはアンミン/ヘキサメチレンイミン-テトラクロロ-白金(IV)の白金錯体は、癌または過増殖性状態の治療が必要な患者へ投与される。これらの錯体は、単独で、または1種または複数のGSH合成もしくは活性の阻害剤と併用して投与されてもよい。ある態様において、GSH合成の1種または複数の阻害剤は、アンミン/シクロヘプチルアミン-ジクロロ-白金(II)、アンミン/ピペリジン-ジクロロ-白金(II)、アンミン/ヘキサメチレンイミン-ジクロロ-白金(II)、および/またはアンミン/ヘキサメチレンイミン-テトラクロロ-白金(IV)またはそれらの組合せと、その前、その後またはほぼ同時に投与される。様々な態様において、患者または対象は、シスプラチン、カルボプラチンまたは他の療法に対し耐性を示す、腫瘍細胞、癌細胞または過増殖性細胞を有する。一部の態様において、白金錯体は、シスプラチン、カルボプラチンまたは他の療法および物質に対して耐性のある細胞について選択的である。
【0039】
II.GSH合成または活性の阻害剤
グルタチオン(L-グルタミル-L-システイン-グリシン;GSH)は、ほぼ全ての細胞において比較的高濃度(1〜10mM)で認められる(Meister and Anderson、1983;Anderson and Meister、1983)。GSHは、多くの細胞機能を有する。これは、効果的な細胞内還元剤である。同じく触媒、代謝、輸送ならびに外来化合物、フリーラジカルおよび活性酸素化合物に対する細胞の保護においても機能する。GSHは、H2O2および有機過酸化物を破壊する反応における能動的関与者である。
【0040】
GSHは、γ-グルタミルシステインシンテターゼ(反応1)およびGSHシンテターゼ(反応2)の連続作用により、細胞内で合成される(Anderson、1997):
L-グルタミン + L-システイン + ATP ←→ L-γ-グルタミル-L-システイン + ADP + Pi (Meister and Anderson、1983)
L-γ-グルタミル-L-システイン + グリシン + ATP ←→ グルタチオン + ADP + Pi (Anderson and Meister、1983)。
【0041】
GSHの合成は、基質の利用可能性により制限され、この制限する基質は、典型的にはシステインである。γ-グルタミルシステインシンテターゼは、GSHにより、非アロステリックにフィードバック阻害される(Richman and Meister、1973)。グルタチオンは、細胞の内側および外側の両方において、恒常的に制御される。酵素システムはこれを合成し、これを利用し、およびそれを再生し、これはγ-グルタミルサイクルとして公知である。
【0042】
様々な本発明の態様において、白金錯体およびGSH合成の阻害剤の併用療法は、抗腫瘍製剤または組成物としておよび抗腫瘍的方法又治療として使用されてもよい。
【0043】
A.γ-グルタミルシステインシンテターゼの阻害剤
BSOは、γ-グルタミルシステインシンテターゼの特異的阻害剤であることがわかった(Griffith and Meister、1979、これは本明細書に参照として組入れられている。)。γ-グルタミルシステインシンテターゼは、L-グルタミン酸のMgATPとの反応を触媒し、酵素結合した中間体としてg-グルタミルリン酸を形成する(Griffith、1982、およびCampbell et al.、1991、各々本明細書に参照として組入れられている。)。
【0044】
B.グルタチオントランスフェラーゼ(GST)の阻害剤
GSHの他の化合物への抱合を阻害する物質も、本発明の1つまたは複数の白金錯体と併用することができる。様々な化合物が、GST阻害剤として分類されている。GST阻害剤は、ペプチド、ペプチド擬態、小分子などを含むが、これらに限定されるものではない。アミトリプチリン、ドキセピン、シクロヘプタジエン、およびそれらの誘導体のような三環系抗鬱薬は、様々なGST酵素の活性を阻害することがわかっている。例示的阻害剤および方法は、Tew et al.、1997;Baranczyk et al.、2001;Burg et al.、2002;Tew、1994;および、Kunze、1996の論文に説明されている。
【0045】
III.併用療法
多くの癌型の現在の治療、特に婦人科の癌の治療は、主に手術、放射線、または化学療法である。本発明は、アンミン/シクロヘプチルアミン-ジクロロ-白金(II)、アンミン/ピペリジン-ジクロロ-白金(II)、アンミン/ヘキサメチレンイミン-ジクロロ-白金(II)、およびアンミン/ヘキサメチレンイミン-テトラクロロ-白金(IV)からなる群より選択される1つまたは複数の白金錯体を投与することを含む方法を含む。この白金錯体は、グルタチオン合成または活性の阻害剤と組合せて、様々な癌、特に他の白金ベース療法による治療に対する耐性が示された癌と診断された患者へ投与することができる。加えて、これらの製剤または組成物および方法は、その他の従来の療法および開発中の療法と組合せて投与することができる。
【0046】
多くの療法において、1種よりも多い機能的治療または物質を提供することは有利であると思われる。このような「併用」療法は、例えば1つまたは複数の従来の療法に対する耐性のような、状態、疾患または他の異常な生理の複数の局面を治療する上で、特に重要であることができる。例えば、多剤耐性(MDR)癌の治療である。従って、本発明のひとつの局面は、疾患治療のための組織、器官または生物の適当な部位への、1種または複数の白金錯体を投与することを利用するが、治療を提供するかおよび/または作用を増強もしくは増感する第二の療法も提供される。
【0047】
増感または増強する治療は、数秒、数分から最大数週までの範囲に及ぶ間隔で、(1つまたは複数の)白金錯体治療に先行または後続することができる。他方の物質および白金錯体が、関心のある部位または対象に個別に投与される態様において、各送達時点の間に意味のある期間が過ぎることはなく、その結果物質および白金錯体は依然治療部位において有利な併用作用を発揮することができるということは一般に確認されると思われる。このような状況において、細胞を、両方のモダリティに、互いに約12〜24時間以内、より好ましくは互いに約6〜12時間以内で接触することが企図されており、最も好ましくはわずかに約12時間の遅延時間である。一部の状況において、治療の期間を著しく延長することが望ましいことがあるが、ここでは各々の投与の間に、数日(2日、3日、4日、5日、6日または7日)から数週間(1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間または8週間)が経過する。
【0048】
いずれかの物質の1回よりも多い投与が望ましいことも考えられる。様々な組合せを用いることができ、ここで以下に例示するように、白金錯体(アンミン/シクロヘプチルアミン-ジクロロ-白金(II)、アンミン/ピペリジン-ジクロロ-白金(II)、アンミン/ヘキサメチレンイミン-ジクロロ-白金(II)、アンミン/ヘキサメチレンイミン-テトラクロロ-白金(IV)、またはそれらの組合せ)は、「A」であり、および他方の物質は「B」である:

他方の物質は、治療的に増強および/または増感する物質、例えばGSH合成の阻害剤または他の癌療法などである。
【0049】
他の組合せが企図されている。例えば本発明の状況において、本発明の白金錯体は、化学療法的または放射線療法的介入を含む、他の抗癌物質と組合せて使用されることが企図されている。本発明の方法および製剤/組成物を使用し、細胞を死滅する、細胞増殖を阻害する、転移を阻害する、血管新生を阻害するかさもなければ腫瘍細胞の悪性型を逆行もしくは低下するために、一般に「標的」細胞は、本明細書に説明されたような白金錯体および少なくとも1種の他の物質、例えばGSH合成阻害剤と接触され;これらの製剤/組成物は、これらの目標を実現する併用有効量で提供される。このプロセスは、同時の白金錯体および(1つまたは複数の)他の物質または(1つまたは複数の)因子による治療のために標的化された(1つまたは複数の)部位の曝露に関与してもよい。これは、両方の物質を含有する単独の組成物または薬学的製剤を投与もしくは提供すること、またはひとつの組成物は(1つまたは複数の)白金錯体を含みおよび他方は増感もしくは増強する物質を含む、ふたつの個別の組成物もしくは製剤を、同時または異なる時点で投与することにより達成されてもよい。ある態様において、本発明の組成物および方法は、標準のシスプラチン療法の後または前に使用してもよい。
【0050】
別の態様において、本発明の白金錯体による併用療法における使用に適した物質は、治療的活性を伴ういずれかの化学的な化合物または治療方法である。例えば、「抗癌剤」は、抗癌活性を伴う物質を意味する。これらの化合物または方法は、他のアルキル化剤、トポイソメラーゼI阻害剤、トポイソメラーゼII阻害剤、RNA/DNA代謝拮抗薬、DNA代謝拮抗薬、抗有糸分裂薬、更には細胞に適用した場合にDNA損傷を誘導するDNA損傷薬を含む。
【0051】
アルキル化剤の例は、特にクロラムブシル、シスプラチン、シクロジソン、フルロドパン(flurodopan)、メチルCCNU、ピペラジンジオン、テロキシロンを含む。トポイソメラーゼI阻害剤は、カンプトテシンおよびカンプトテシン誘導体、更にはモルホリノドキソルビシンなどの化合物を包含している。ドキソルビシン、ピラゾロアクリジン、ミトキサントロン、およびルビダゾンは、トポイソメラーゼII阻害剤の例である。RNA/DNA代謝拮抗薬群は、L-アラノシン、5-フルオロウラシル、アミノプテリン誘導体、メトトレキセート、およびピラゾフリンを含むが;DNA代謝拮抗薬は、例えば、ara-C、グアノゾール(guanozole)、ヒドロキシウレア、チオプリンを包含している。典型的抗有糸分裂薬は、コルヒチン、リゾキシン、タキソール、および硫酸ビンブラスチンである。他の物質および因子は、γ線照射、X線照射、UV照射、マイクロ波、電子放出などのような、DNA損傷を誘導する、放射線および波動を含む。「化学療法剤」としても説明される様々な抗癌剤は、DNA損傷を引き起こすように機能し、その全ては、本発明において明らかにされた併用療法において使用されることが意図されている。使用が企図されている化学療法剤は、例えば、アドリアマイシン、ブレオマイシン、5-フルオロウラシル(5FU)、エトポシド(VP-16)、カンプトテシン、アクチノマイシン-D、ミトマイシンC、シスプラチン(CDDP)、ポドフィロトキシン、ベラパミル、更には過酸化水素を含む。本発明は更に、放射線-ベースまたは実際の化合物かに関わらず、1種または複数のDNA損傷物質の併用も包含しており、例えばX-線とシスプラチンの使用またはシスプラチンとエトポシドの使用がある。
【0052】
当業者には、「Remington's Pharmaceutical Sciences」、第15版、第33章、特に624-652頁が示されている。若干の用量変動は、治療される対象の状態に応じて必然的に生じると思われる。いずれにしても、投与の責任者は、個々の対象についての適量を決定する。更にヒト投与に関して、調製物は、米食品医薬品局(FDA)の生物製剤標準により要求される、無菌性、発熱原性、全身の安全性および純度標準に合致しなければならない。
【0053】
白金錯体療法の増感、または化学および放射線療法との組合せに加え、遺伝子療法とも組合せが有利であることも企図されている。例えば、p53、p16、p21、Rb、APC、DCC、NF-1、NF-2、BCRA2、p16、FHIT、WT-1、MEN-I、MEN-II、BRCA1、VHL、FCC、もしくはMCC、または癌遺伝子ras、myc、neu、raf、erb、src、fms、jun、trk、ret、gsp、hst、bcl、abl、または先に言及された遺伝子のいずれかのアンチセンス型が、本発明の範囲内に含まれる。
【0054】
IV.病態
本発明は、良性および悪性の組織異常増殖を含む、過増殖性疾患に関与した病態の治療に対処する。このような障害は、血液学的悪性疾患、再狭窄、癌、多剤耐性癌、原発性(primary)、乾癬、炎症性腸疾患、リウマチ様関節炎、変形性関節症、および転移性腫瘍を含む。
【0055】
特に本発明は、前立腺、肺、脳、皮膚、肝臓、乳房、リンパ系、胃、精巣、卵巣、膵臓、骨、骨髄、頭頚部、子宮頚部、食道、眼、胆嚢、腎臓、副腎、心臓、結腸、直腸および血液の癌を含む、ヒトの癌の、特に従来の化学療法に対し耐性を発生したまたは発生し得るような癌の治療に向けられている。同じく本発明の製剤/組成物または方法により治療することができる他の疾患は、腎細胞癌;ウイルス感染症、例えばC型肝炎(Garini et al.、2001)、HIV-1(Hatzakis et al.、2001);Erdheim-Chester疾患(Esmali et al.、2001)、血小板減少性紫斑病(Dikici et al.、2001)、マルブルグ出血熱(Kolokol'tsov et al.、2001)も含み得る。ある態様において、方法および製剤/組成物は、卵巣癌の対象を治療するために使用される。
【0056】
V.白金錯体の合成
A.アンミン/シクロペンチルアミン-ジクロロ-白金(II)cis-PtII(NH3)(c-C5H9NH2)Cl2(化合物No.5)の調製
K2PtCl4(8.30g;20mmol)の水溶液を、KI(33.2g;200mmol)で処理し、室温で10分間攪拌した。シクロペンチルアミン2当量を、K2PtI4溶液に滴下した。30分間攪拌した時点で、黄色沈殿(cis-PtII(c-C5H9NH2)2I2)が形成された。この黄色沈殿を濾過し、水で十分に洗浄した。この沈殿を、DMF/H2O混合液から再結晶化した。水、メタノール、およびエチルエーテルで洗浄後、再結晶化した生成物(cis-PtII(c-C5H9NH2)2I2)を真空で乾燥した。
【0057】
エタノール150mLを、60〜70%HClO4 50 mL中のcis-PtII(c-C5H9NH2)2I2 (6.19g;10mmol)懸濁液に添加した。この反応の過程において、195Pt NMR分光法により分析するために試料を採取した。室温で4日間攪拌し終わった時点で、褐色の沈殿([PtII(c-C5H9NH2)I2)2]を濾過し、水で洗浄し、真空で乾燥した。
【0058】
[PtII(c-C5H9NH2)I2]2(5.25g;5mmol)を、水25mL中の1.5M NH4OH 5mLと混合した。この混合物を室温で一晩攪拌した。再度この反応が完了したことを、195Pt NMR分光法により分析した。黄色沈殿(cis-PtII(NH3)(c-C5H9NH2)I2)を濾過し、水で洗浄し、真空で乾燥した。
【0059】
cis-PtII(NH3)(c-C5H9NH2)I2(2.20g;4mmol)を、水200mL中でAgNO3(1.25g;7.4mmol)と混合し、暗所で一晩攪拌した。セライトを通した濾過によりAgIを除去した後、濃HCl 10mLをこの濾液に添加した。この混合物を、3時間攪拌させ、その後約2mLまで減圧下で蒸発させた。黄色沈殿(cis-PtII(NH3)(c-C5H9NH2)Cl2)を濾過し、水およびアセトンで洗浄し、真空で乾燥した。
【0060】
B.アンミン/シクロヘプチルアミン-ジクロロ-白金(II)[PtII(NH3)(C7H11N)Cl2](化合物No.7)の調製
K2PtCl4(8.30g;20mmol)の水溶液を、KI(33.2g;200mmol)で処理し、室温で10分間攪拌した。シクロペンチルアミン2当量を、得られたK2PtI4溶液に滴下した。30分間攪拌した時点で、黄色沈殿(cis-PtII(c-C7H11NH2)2I2)が形成された。この黄色沈殿を濾過し、水で十分に洗浄した。この沈殿を、DMF/H2O混合液から再結晶化した。水、メタノール、およびエチルエーテルで洗浄後、生成物(cis-PtII(c-C7H11NH2)2I2)を真空で乾燥した。
【0061】
エタノール150mLを、60〜70%HClO4 50 mL中のcis-PtII(c-C7H11NH2)2I2 (10mmol)懸濁液に添加した。この反応の過程において、195Pt NMR分光法により分析するために、試料を採取した。室温で4日間攪拌し終わった時点で、褐色の沈殿([PtII(c-C7H11NH2)I2)2]を濾過し、水で洗浄し、真空で乾燥した。
【0062】
[PtII(c-C7H11NH2)I2]2(5mmol)を、水25mL中の1.5M NH4OH 5mLと混合した。この混合物を室温で一晩攪拌した。再度この反応が完了したことを、195Pt NMR分光法により分析した。黄色沈殿(cis-PtII(NH3)(c-C7H11NH2)I2)を濾過し、水で洗浄し、真空で乾燥した。
【0063】
cis-PtII(NH3)(c-C7H11NH2)I2(4mmol)を、水200mL中のAgNO3(1.25g;7.4mmol)と混合し、暗所で一晩攪拌した。セライトを通した濾過によりAgIを除去した後、濃HCl 10mLをこの濾液に添加し、この混合物を、3時間攪拌させ、その後約2mLまで減圧下で蒸発させた。黄色沈殿(PtII(NH3)(C7H11N)Cl2)を濾過し、水およびアセトンで洗浄し、真空で乾燥した。
【0064】
C.アンミン/ピペリジン-ジクロロ-白金(II)[[PtII(NH3)(C5H11N)Cl2](化合物No.11)の調製
Cosa塩K[Pt(NH3)Cl3](1.98g;5.5mmol)を、水50mLに溶解した。水100mL中のKI(9.19g;55mmol)を、Cosa塩溶液に添加した。KI溶液の添加時に、褐色の溶液が形成された。この反応混合液を、20分間攪拌した。水10mL中のピペリジン(55mmol)を、この反応混合液に、金黄色沈殿([Pt(NH3)(C5H11N)I2])が形成されるまで滴下した。この反応混合物を更に1時間攪拌し続けた。沈殿を濾過し、アセトンで洗浄し、真空で乾燥した。金黄色化合物[Pt(NH3)(C5H11N)I2]を得た。[Pt(NH3)(C5H11N)I2]を(2.39g, 4.24mmol)を、水100ml中に懸濁した。100mL中のAgNO3(1.44g;8.48mmol)を添加した。この反応混合物を、暗所、室温で24時間攪拌した。AgI沈殿を濾過し、濾液を50mLまで蒸発させた。攪拌しながら、HCl(1:1)を滴下した。明黄色化合物[Pt(NH3)(C5H11N)Cl2]を得た。これを濾過し、温水で再結晶化し、真空で乾燥した。
【0065】
D.アンミン/ヘキサメチレンイミン-ジクロロ-白金(II)cis-PtII(NH3)(C6H13N)Cl2(化合物No.12)の調製
Cosa塩K[Pt(NH3)Cl3](1.98g;5.5mmol)を、水50mLに溶解した。水100mL中のKI(9.19g;55mmol)を添加した。褐色の溶液が形成された。この反応混合液を、20分間攪拌した。水10mL中のヘキサメチレンイミン(55mmol)を、この反応混合液に、金黄色沈殿([Pt(NH3)(C6H13N)I2])が形成されるまで滴下した。この反応混合物を更に1時間攪拌し続けた。沈殿を濾過し、アセトンで洗浄し、真空で乾燥した。金黄色化合物[Pt(NH3)(C6H13N)I2]を得た。Pt(NH3)(C6H13N)I2 (4.24mmol)を、水100ml中に懸濁した。水100mL中のAgNO3(1.44g;8.48mmol)を添加した。この反応混合物を、暗所、室温で24時間攪拌した。AgI沈殿を濾過し、濾液を50mLまで蒸発させた。攪拌しながら、HCl(1:1)を滴下した。明黄色化合物[Pt(NH3)(C6H13N)Cl2]を得た。これを濾過し、温水で再結晶化し、真空で乾燥した。
【0066】
E. アンミン/ヘキサメチレンイミン-テトラクロロ-白金(IV)PtIV(NH3)(C6H13N)Cl4(化合物No.17)の調製
H2O2 10mLを、水200mL中のPtII(NH3)(C6H13N)Cl2(1.0g;2.61mmol)の懸濁液に添加し、15時間攪拌した。この溶液を濾過し、最低容量に濃縮し、アセトンで沈殿させた。黄色生成物(PtIV(NH3)(C6H13N)trans-(OH)2Cl2)を得た。(PtIV(NH3)(C6H13N)trans-(OH)2Cl2)を、真空で乾燥した。PtIV(NH3)(C6H13N)trans-(OH)2Cl2 (0.650g;1.64mmol)を、水100mLに溶解し、濃HCl 20mLを添加した。この反応混合液を、室温で24時間攪拌し続けた。澄んだ黄色溶液が得られた。これを濾過し、最小容量に濃縮し、黄色晶質固形物(PtIV(NH3)(C6H13N)Cl4)を得た。これを濾過し、水で洗浄し、真空で乾燥した。
【0067】
VI.薬学的調製
本発明の薬学的製剤/組成物は、本明細書に説明された白金錯体を有効量含有している。様々な他の態様において、白金錯体および(1つまたは複数の)生物学的調節物質物質の組合せは、薬学的に許容できる担体に溶解または分散される。語句「薬学的または薬理学的に許容できる」は、動物、例えば適当ならばヒトなどに投与した場合に、有害な、アレルギー性または他の不利な反応を生じないような、分子実体および組成物を意味する。本発明の白金錯体をおよび/またはグルタチオン合成の阻害剤もしくは追加の活性成分との組合せを含有する薬学的組成物の調製は、本発明の開示を考慮し、当業者には公知と思われる。当業者に公知の薬学的組成物および方法の例および指針は、「Remington's Pharmaceutical Sciences」第18版、Mack Printing社、1990年に見ることができ、これは本明細書に参照として組入れられている。更に動物(例えば、ヒト)投与について、調製物は、FDAの生物製剤標準により要求される、無菌性、発熱原性、全身の安全性および純度標準に合致しなければならないことは理解されると思われる。
【0068】
本明細書において使用される「薬学的に許容できる担体」は、当業者に公知であるように、溶媒、分散媒、コーティング、界面活性剤、酸化防止剤、保存剤(例えば、抗細菌剤、抗真菌剤)、等張剤、吸収遅延剤、塩、保存剤、薬物、薬物安定化剤、ゲル、結合剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、甘味剤、矯味矯臭剤、色素、例えばそのような物質およびそれらの組合せなどを、いずれかおよび全てを含む(例えば、「Remington's Pharmaceutical Sciences」第18版、Mack Printing社、1990、1289-1329頁を参照のこと、これは本明細書に参照として組入れられている。)。従来の担体が活性成分と相溶性がない場合を除き、治療的組成物または薬学的組成物中でのその使用が企図されている。
【0069】
本発明の白金錯体または本発明の白金錯体およびグルタチオン合成の阻害剤の組合せを含有する組成物は、固形型または液体型で投与されるか、または注射のような投与経路について滅菌されることが必要であるかどうかに応じて、様々な種類の担体を含有することができる。本発明は、静脈内、皮内、動脈内、筋肉内、腹腔内、皮下、経口、注射により、注入により、点滴により、脂質組成物(例えばリポソーム)中で、または当業者に公知である他の方法もしくは前述のいずれかの組合せにより投与することができる(例えば、「Remington's Pharmaceutical Sciences」第18版、Mack Printing社、1990を参照のこと、これは本明細書に参照として組入れられている。)。本発明により企図または包含される組成物は、静脈内投与された(1つまたは複数の)製剤、または当業者に公知である他の方法もしくは前述のいずれかの組合せによる従来の薬学的製剤を含む(例えば、「Remington's Pharmaceutical Sciences」第18版、Mack Printing社、1990を参照し、これは本明細書に参照として組入れられている。)。
【0070】
対象に投与される本発明の組成物の実際の用量は、体重、状態の重症度、治療される疾患の種類、過去もしくは現在の治療的介入、患者の特発性疾患、および投与経路などの、物理的および生理的要因により決定され得る。いずれにしても、投与に責任のある医師は、組成物中の(1つまたは複数の)活性成分の濃度および個々の対象の(1つまたは複数の)適量を決定する。
【0071】
ある態様において、薬学的組成物は、例えば、少なくとも約0.1%の活性化合物を含有してもよい。別の態様において、活性化合物は、約2%〜約75質量%の単位で、または約25%〜約60%、例えば、それらにおいて導き出せる範囲を構成してもよい。別の非限定的例において、用量は、1回の投与につき、約1μg/kg/体重から、約5μg/kg/体重、約10μg/kg/体重、約50μg/kg/体重、約100μg/kg/体重、約200μg/kg/体重、約350μg/kg/体重、約500μg/kg/体重、約1mg/kg/体重、約5mg/kg/体重、約10mg/kg/体重、約50mg/kg/体重、約100mg/kg/体重、約200mg/kg/体重、約350mg/kg/体重、約500mg/kg/体重、約1000mg/kg/体重またはそれよりも多くまで、ならびにそれらにおいて導き出せる範囲を構成してもよい。ここに列記された数値から導き出せる範囲の非限定的例において、約5mg/kg/体重〜約100mg/kg/体重、約5μg/kg/体重〜約500mg/kg/体重などの範囲を、先に説明された数値を基に投与することができる。同じく用量は、それらの間の全ての用量を含む、約1mg/m2、2mg/m2、3mg/m2、4mg/m2、5mg/m2、6mg/m2、7mg/m2、8mg/m2、9mg/m2、10mg/m2、11mg/m2、12mg/m2、13mg/m2、14mg/m2、15mg/m2、16mg/m2、17mg/m2、18mg/m2、19mg/m2、20mg/m2、30mg/m2、40mg/m2、50mg/m2、60mg/m2、70mg/m2、80mg/m2、90mg/m2、100mg/m2またはそれ以上であってもよい。
【0072】
様々な態様において、薬学的製剤または組成物中の白金錯体の濃度は、概算的範囲0.1μM、0.5μM、1μM、2μM、3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、10μM、25μM、50μM、0.1mM、0.5mM、1mMから、10μM、11μM、12μM、13μM、14μM、15μM、16μM、17μM、18μM、19μM、20μM、50μM、0.1mM、1mM、2mM、3mM、4mM、5mM、6mM、7mM、8mM、9mM、または10mMであってよい。
【0073】
いずれかの場合において、製剤または組成物は、1種または複数の成分の酸化を遅延するために、様々な酸化防止剤を含有してもよい。加えて、微生物の作用を防止するために、パラベン(例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン)、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールまたはそれらの組合せを含むが、これらに限定されない、様々な抗細菌剤および抗真菌剤のような保存剤によりもたらすことができる。
【0074】
本発明の治療的組成物は、遊離塩基、中性型または塩の形で、組成物に配合されてもよい。薬学的に許容できる塩は、酸付加塩、例えば蛋白質性組成物の遊離アミノ基により形成されたもの、または例えば塩酸もしくはリン酸などの無機酸、もしくは酢酸、シュウ酸、酒石酸もしくはマレイン酸などの有機酸により形成されたものを含む。遊離カルボキシル基により形成された塩は、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウムまたは水酸化第二鉄などの無機塩基;または、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジンまたはプロカインなどの有機塩基により由来することもできる。
【0075】
ある態様において、本発明の治療的組成物は、典型的には、静脈内注射などの経路による投与のために調製される。これらの態様において、組成物は、例えば、液剤、懸濁剤、乳剤またはそれらの組合せを含むことができる。
【0076】
無菌の注射溶液は、活性化合物を必要量、適当な溶媒に、必要に応じ、先に列記した様々な他の成分と共に混和し、引き続き濾過滅菌することにより、調製される。一般に、様々な無菌活性成分の、基本の分散媒および/または他の成分を含む無菌ビヒクルへの混和により、分散剤が調製される。無菌の注射用液剤、懸濁剤または乳剤の調製のための無菌散剤の場合、好ましい調製法は、先に滅菌濾過したその液体媒体からの活性成分に加え追加の望ましい成分の散剤を生じる真空乾燥または凍結乾燥技術である。液体媒体は、必要ならば、適当に緩衝されなければならず、および液体希釈剤は、注射前に、十分な生理食塩水またはブドウ糖により最初に等張にされる。直接注射するための高濃度の組成物の調製も企図されており、ここで溶媒としてのDMSOの使用は、極めて迅速な浸透、高濃度の活性物質の小さい領域への送達を生じることが想起されている。
【0077】
この組成物は、製造および貯蔵の条件下で安定し、細菌および真菌のような微生物の混入作用に対し保存されなければならない。エンドトキシンの混入は、安全なレベル、例えば0.5ng/mg蛋白質未満で最低限に維持されなければならないことは理解されると思われる。
【0078】
VII.実施例
下記実施例は、本発明の好ましい態様を説明するために含まれる。当業者により、下記実施例において明らかにされた技術は、本発明の実践においてよく機能することが本発明者らにより発見された技術を表し、従ってその実践の好ましい様式を構成すると考えられ得ることは、理解されなければならない。しかし当業者は、本開示を考慮し、開示された具体的態様において、多くの変更を行い、ならびに本発明の精神および範囲から逸脱することなく、依然同様のまたは類似の結果を得ることができることは理解されなければならない。
【0079】
実施例1
実験手法
卵巣のA2780細胞株および2008細胞株は、シスプラチンに対して感受性があるが、対応する2780CP細胞株および2008/C13*細胞株は、シスプラチンへのin vitro曝露後の耐性について選択した。SKOV-3細胞株は、シスプラチン療法に対する耐性のある患者から確立し、シスプラチン耐性のモデルとみなした。A2780および2780CP細胞は、野生型p53機能を有したが、SKOV-3は、p53機能を欠いている。2008および2008/C131細胞に関するp53状態は、現時点では不明である。
【0080】
細胞傷害性評価の手法
全ての細胞株を、10%ウシ胎仔血清、50μg/mLペニシリン、50μg/mLストレプトマイシン、100μg/mLネオマイシンおよび0.3mg/ml L-グルタミンを補充した、RPMI 1640培地において培養した。卵巣株は、最大増殖には、2μg/mLインスリンも必要である。細胞は、5%CO2:95%空気の湿潤大気中において、37℃で、単層で増殖した。細胞傷害性は、標準MTTアッセイにより決定した。簡単に述べると、指数関数的増殖する細胞をトリプシン処理し、それらを取り除いた(dislodge)後、使用した。腫瘍細胞を適当な濃度(2,000〜30,000細胞/ml)に希釈した後、細胞浮遊液の100μLアリコートを、96ウェルマイクロタイタープレートの各ウェルに添加した。これらの細胞を、一晩付着させ、その後BSOに、最大耐性濃度(MTC)と等しいまたはそれ未満の濃度で、24時間曝露した。BSO添加の22時間後、白金錯体を添加し、およびその2時間後、これらの細胞を洗浄し、再度インキュベーションした。更に5日後、対照細胞が増殖の指数関数相にある時、MTT溶液(3mg/ml)50μlを各ウェルに添加した。3時間インキュベーションした後、培地を取り除き、100%DMSOの50μlと交換し、MTTホルマザン結晶を溶解した。プレートを、プレート振盪機上で5分間攪拌し、吸光度を570nmでマルチウェル走査分光光度計により測定した。
【0081】
細胞増殖を対照セルと比べ50%阻害する薬剤濃度(μM)として規定されるIC50値は、コンピュータプログラムを用い、データにS字曲線に合致させることにより決定した。耐性係数(resistance factor)は、耐性細胞株に対するIC50の親細胞株に対するIC50の比として算出した。用量変更因子(DMF)は、BSOを伴わないIC50のBSOを伴うIC50に対する比に由来した。
【0082】
実施例2
抗腫瘍活性の評価
本発明者らは、GSH合成の阻害剤(例えば、BSO)と併用投与した場合に、(1)抗腫瘍活性の実質的により大きい増強、および(2)シスプラチン耐性細胞に選択性を示す特定の白金錯体を同定した。このデータは、感受性および耐性腫瘍モデルの同系対において、特異的類似体の活性は、耐性細胞に対しての方が、感受性細胞に対してよりもはるかに大きいことを明らかにしている(表1)。
【0083】
(表1)BSOの非存在下または存在下におけるヒトのA2780細胞株および2780CP細胞株に対するシスプラチンおよび類似体の細胞傷害性

MTC=BSOの最大耐性濃度
nd=決定されず
【0084】
これは、増大したレベルのGSHは、シスプラチン耐性のメカニズムを構成することがあり、およびGSHは、利用可能な抗腫瘍剤の量を低下することにより、白金錯体を失活することを示唆している。より最近になって、GSHは、プログラムされた細胞死またはアポトーシス経路の変更に関連づけられている。増加したレベルのGSHは、アポトーシスプロセスを阻害することができ、これにより、抗-腫瘍療法または治療に対する耐性を増大する。従って、本発明者らは、GSHの活性または合成を阻害するBSOまたは他の化合物によるGSH細胞内レベルの低下は、シスプラチンおよび他の白金錯体もしくは化合物の抗腫瘍活性を増大するかどうかを決定した。
【0085】
シスプラチンおよび多くの白金類似体は、BSOと併用した場合に、感受性および耐性の両モデルにおいて2倍未満まで抗腫瘍活性を増加することを示している(表2)。錯体No.7、11、12、および17(それぞれ、アンミン/シクロヘプチルアミン-ジクロロ-白金(II)、アンミン/ピペリジン-ジクロロ-白金(II)、アンミン/ヘキサメチレンイミン- ジクロロ-白金(II)、およびアンミン/ヘキサメチレンイミン-テトラクロロ-白金(IV))のような特定の類似体は、GSH-枯渇したヒト2780CP腫瘍細胞において、活性を5〜14倍増加した。これらの類似体は、これらのシスプラチン耐性細胞に対して、対応するA2780シスプラチン-感受性細胞よりも、選択的により大きい作用があることも明らかにしている。これらの類似体に関する耐性係数も、下記表3に示したように、実質的に低下される。特に錯体No.11、12および17は、各々、耐性係数0.39、0.44および0.27を示す(表3)。この増加した活性は、野生型またはヌル型p53のいずれかを保有するヒト腫瘍細胞株において認められ(表4-6)、p53状態とは無関係であることが認められた。
【0086】
(表2)ヒトのA2780細胞株および2780CP細胞株におけるBSOと併用したシスプラチンおよび類似体の用量変更因子(DMF)

DMFは、BSO非存在時(対照)のIC50のBSO存在時のIC50に対する比として決定した。
MTC=BSOの最大耐性濃度
nd=決定されず
【0087】
(表3)BSOの非存在下または存在下でのヒトの2780CP細胞株におけるシスプラチンおよび類似体の耐性係数

耐性係数は、BSO存在下または非存在下の2780CP細胞におけるIC50(対照)のBSO非存在のA2780細胞におけるIC50に対する比として決定した。
MTC=BSOの最大耐性濃度
nd=決定されず
【0088】
(表4)BSO非存在下または存在下のヒト腫瘍細胞株に対するシスプラチンおよび類似体の細胞傷害性

白金錯体の細胞傷害性を、BSO非存在下(対照)または存在下で決定した[最大耐性濃度(MTC)以下の濃度が使用されたSKOV-3を除き、全細胞株についてMTC]
nd=決定されず
【0089】
(表5)BSO非存在下または存在下でのヒト腫瘍細胞株におけるシスプラチンおよび類似体の用量変更因子(DMF)

DMFを、BSO非存在下(対照)のIC50のBSO存在下でIC50に対する比として決定した[最大耐性濃度(MTC)以下の濃度が使用されたSKOV-3を除き、全細胞株について使用したBSOのMTC]
nd=決定されず
【0090】
(表6)BSO非存在下または存在下でのヒト腫瘍細胞株におけるシスプラチンおよび類似体の耐性係数(RF)

耐性係数を、(1)BSO存在下または非存在下の2780CP細胞のIC50の、BSO非存在下のA2780細胞のIC50に対する対する比、または(2)BSO存在下または非存在下の2008/C13*およびSKOV-3細胞株のIC50の、BSO非存在下の2008細胞のIC50に対する対する比のいずれかとして決定した。
MTC=BSOの最大耐性濃度
nd=決定されず
【0091】
本明細書において開示されおよび請求された全ての組成物および/または方法は、本開示を考慮し、過度の実験を行うことなく、実行および達成することができる。本発明の組成物および方法は、好ましい態様に関して説明されているが、本発明の概念、精神および範囲から逸脱することなく、変更を、本明細書に説明された組成物および/または方法ならびに方法の工程もしくは工程の順番に施すことができることは当業者には明らかと思われる。より詳細に述べると、化学的および生理学的の両方に関連するある種の物質は、本明細書に説明された物質と交換することができ、他方で同じまたは類似の結果が実現される。このような当業者に明らかである類似の置換および修飾は全て、添付された特許請求の範囲に定義された本発明の精神、範囲および概念の範囲内であると考えられている。
【0092】
参考文献
添付の参照は、本明細書に説明されたものを補充する、手法またはその他の詳細を例示的に提供する程度に、これらは本明細書に参照として組入れられている。

【図面の簡単な説明】
【0093】
添付の図面は、本明細書の一部を形成し、本発明のある局面を更に明らかにするために含まれる。本発明は、本明細書に示された具体的態様の詳細な説明と組合せて、1個または複数のこれらの図面を参照することにより、より良く理解することができる。
【図1】例示的白金錯体の化学的同一性の一覧である。
【図2】本出願において説明されたおよび図1に提供された化学物質を表す構造の概略である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記構造式により表される化合物またはそれらの塩を含有する、抗腫瘍製剤:


【請求項2】
グルタチオンの負のモジュレーターを更に含有する、請求項1記載の製剤。
【請求項3】
グルタチオンの負のモジュレーターが、グルタチオン合成の阻害剤である、請求項2記載の製剤。
【請求項4】
グルタチオン合成の阻害剤が、L-ブチオニン-スルホキシミンである、請求項3記載の製剤。
【請求項5】
下記構造式により表される化合物またはそれらの塩を含有する、抗腫瘍製剤:


【請求項6】
グルタチオンの負のモジュレーターを更に含有する、請求項5記載の製剤。
【請求項7】
グルタチオンの負のモジュレーターが、グルタチオン合成の阻害剤である、請求項6記載の製剤。
【請求項8】
グルタチオン合成の阻害剤が、L-ブチオニン-スルホキシミンである、請求項7記載の製剤。
【請求項9】
下記構造式により表される化合物またはそれらの塩を含有する、抗腫瘍製剤:


【請求項10】
グルタチオンの負のモジュレーターを更に含有する、請求項9記載の製剤。
【請求項11】
グルタチオンの負のモジュレーターが、グルタチオン合成の阻害剤である、請求項10記載の製剤。
【請求項12】
グルタチオン合成の阻害剤が、L-ブチオニン-スルホキシミンである、請求項11記載の製剤。
【請求項13】
下記構造式により表される化合物またはそれらの塩を含有する、抗腫瘍製剤:


【請求項14】
グルタチオンの負のモジュレーターを更に含有する、請求項13記載の製剤。
【請求項15】
グルタチオンの負のモジュレーターが、グルタチオン合成の阻害剤である、請求項14記載の製剤。
【請求項16】
グルタチオン合成の阻害剤が、L-ブチオニン-スルホキシミンである、請求項15記載の製剤。
【請求項17】
アンミン/シクロヘプチルアミン-ジクロロ-白金(II)、アンミン/ピペリジン-ジクロロ-白金(II)、アンミン/ヘキサメチレンイミン-ジクロロ-白金(II)、およびアンミン/ヘキサメチレンイミン-テトラクロロ-白金(IV)からなる群より選択される白金錯体を含有する、薬学的製剤。
【請求項18】
選択された白金錯体の濃度が、0.1mM〜20mMの概算的範囲である、請求項17記載の薬学的製剤。
【請求項19】
選択された白金錯体の濃度が、1mM〜10mMの概算的範囲である、請求項17記載の薬学的製剤。
【請求項20】
選択された白金錯体の濃度が、1mM〜5mMの概算的範囲である、請求項17記載の薬学的製剤。
【請求項21】
グルタチオンの生物学的調節物質を更に含有する、請求項17記載の薬学的製剤。
【請求項22】
グルタチオンの生物学的調節物質が、グルタチオン合成の阻害剤である、請求項21記載の薬学的製剤。
【請求項23】
グルタチオン合成の阻害剤が、L-ブチオニン-スルホキシミンである、請求項22記載の薬学的製剤。
【請求項24】
L-ブチオニン-スルホキシミンの濃度が、1μM〜300μMの概算的範囲である、請求項17記載の薬学的製剤。
【請求項25】
L-ブチオニン-スルホキシミンの濃度が、10μM〜200μMの概算的範囲である、請求項17記載の薬学的製剤。
【請求項26】
L-ブチオニン-スルホキシミンの濃度が、20μM〜100μMの概算的範囲である、請求項17記載の薬学的製剤。
【請求項27】
静脈内薬学的製剤として更に定義される、請求項17記載の薬学的製剤。
【請求項28】
細胞に、アンミン/シクロヘプチルアミン-ジクロロ-白金(II)、アンミン/ピペリジン-ジクロロ-白金(II)、アンミン/ヘキサメチレンイミン-ジクロロ-白金(II)、またはアンミン/ヘキサメチレンイミン-テトラクロロ-白金(IV)を提供することを含む、シスプラチン耐性細胞の増殖を阻害する方法。
【請求項29】
シスプラチン耐性細胞は、対象内に位置している、請求項28記載の方法。
【請求項30】
対象が哺乳類である、請求項29記載の方法。
【請求項31】
哺乳類が、ヒトまたはマウスである、請求項30記載の方法。
【請求項32】
グルタチオンの生物学的調節物質を提供することを更に含む、請求項28記載の方法。
【請求項33】
グルタチオンの生物学的調節物質は、グルタチオン合成の阻害剤である、請求項32記載の方法。
【請求項34】
グルタチオン合成の阻害剤は、L-ブチオニン-スルホキシミンである、請求項33記載の方法。
【請求項35】
細胞へ、アンミン/シクロヘプチルアミン-ジクロロ-白金(II)、アンミン/ピペリジン-ジクロロ-白金(II)、アンミン/ヘキサメチレンイミン-ジクロロ-白金(II)、またはアンミン/ヘキサメチレンイミン-テトラクロロ-白金(IV)を提供することを含む、癌細胞を治療する方法。
【請求項36】
癌細胞は、対象内に位置している、請求項35記載の方法。
【請求項37】
対象が哺乳類である、請求項35記載の方法。
【請求項38】
哺乳類が、ヒトまたはマウスである、請求項37記載の方法。
【請求項39】
グルタチオンの生物学的調節物質を提供することを更に含む、請求項35記載の方法。
【請求項40】
グルタチオン合成の阻害剤と組合せて、アンミン/シクロヘプチルアミン-ジクロロ-白金(II)、アンミン/ピペリジン-ジクロロ-白金(II)、アンミン/ヘキサメチレンイミン-ジクロロ-白金(II)、およびアンミン/ヘキサメチレンイミン-テトラクロロ-白金(IV)からなる群より選択される白金錯体を含有する製剤を提供することを含む、細胞の抗腫瘍活性を増強する方法。
【請求項41】
グルタチオン合成の阻害剤が、L-ブチオニン-スルホキシミンとして更に定義される、請求項40記載の方法。
【請求項42】
L-ブチオニン-スルホキシミンの濃度が、1μM〜300μMの概算的範囲である、請求項41記載の方法。
【請求項43】
L-ブチオニン-スルホキシミンの濃度が、10μM〜200μMの概算的範囲である、請求項41記載の方法。
【請求項44】
L-ブチオニン-スルホキシミンの濃度が、20μM〜100μMの概算的範囲である、請求項41記載の方法。
【請求項45】
アンミン/シクロヘプチルアミン-ジクロロ-白金(II)を生成する方法であって、
a)20mmol K2PtCl4水溶液を、200mmol KIと共に、室温で10分間攪拌することにより処理する工程;
b)シクロヘプチルアミン2当量を滴下し、30分間攪拌し、cis-PtII(c-C7H11NH2)2I2沈殿を形成する工程;
c)cis-PtII(c-C7H11NH2)2I2沈殿を濾過し、水で洗浄する工程;
d)DMF/H2O混合液からcis-PtII(c-C7H11NH2)2I2沈殿を再結晶化し、水、メタノール、およびエチルエーテルで洗浄する工程;
e)cis-PtII(c-C7H11NH2)2I2沈殿を真空で乾燥する工程;
f)乾燥したcis-PtII(c-C7H11NH2)2I2沈殿を、60〜70%HClO4の50mL中に懸濁し、およびこの懸濁液にエタノール150mLを室温で攪拌しながら添加し、褐色の[PtII(c-C7H11NH2)I2]2沈殿を形成する工程;
g)褐色の[PtII(c-C7H11NH2)I2]2沈殿を濾過し、この褐色の[PtII(c-C7H11NH2)I2]2沈殿を水で洗浄する工程;
h)洗浄した褐色の[PtII(c-C7H11NH2)I2]2沈殿を真空で乾燥する工程;
i)褐色の[PtII(c-C7H11NH2)I2]2沈殿を、水25mL中の1.5M NH4OH 5mLと混合し、この混合物を室温で一晩攪拌し、黄色cis-PtII(NH3)(c-C7H11NH2)I2沈殿を形成する工程;
j)黄色cis-PtII(NH3)(c-C7H11NH2)I2沈殿を濾過し、および水で洗浄する工程;
k)洗浄した黄色cis-PtII(NH3)(c-C7H11NH2)I2沈殿を真空で乾燥する工程;
l)cis-PtII(NH3)(c-C7H11NH2)I2 4mmolを、水200mL中の7.4mmol AgNO3と混合し、暗所で一晩攪拌し、AgI沈殿を形成する工程;
m)セライトを通す濾過によりAgI沈殿を除去し、cis-PtII(NH3)(c-C7H11NH2)NO3濾液を形成する工程;
n)cis-PtII(NH3)(c-C7H11NH2)NO3濾液に、濃HCl 10mLを添加し、この混合液を3時間攪拌し、黄色PtII(NH3)(C7H11N)Cl2沈殿を形成する工程;
o)この混合液を、減圧下で、およそ2mLにまで蒸発させ、黄色PtII(NH3)(C7H11N)Cl2沈殿を濾過する工程;
p)黄色PtII(NH3)(C7H11N)Cl2沈殿を水およびアセトンで洗浄し、洗浄した黄色PtII(NH3)(C7H11N)Cl2沈殿を真空で乾燥する工程を含む、方法。
【請求項46】
アンミン/ピペリジン-ジクロロ-白金(II)を形成する方法であって、
a)水50mL中に5.5mmol K[Pt(NH3)Cl3]を溶解する工程;
b)水100mL中の55mmol KIを添加し、褐色の溶液を形成し、20分間攪拌する工程;
c)水10mL中の55mmolピペリジンを、金黄色のPt(NH3)(C5H11N)I2沈殿が形成されるまで、褐色溶液に滴下し、更に1時間攪拌する工程;
d)金黄色のPt(NH3)(C5H11N)I2沈殿を濾過し、アセトンで洗浄する工程;
e)洗浄した金黄色Pt(NH3)(C5H11N)I2沈殿を真空で乾燥する工程;
f)水100ml中に4.24mmol Pt(NH3)(C5H11N)I2を懸濁する工程;
g)水100mL中の8.48mmol AgNO3を添加し、暗所において、室温で24時間攪拌する工程;
h)AgI沈殿を濾過する工程;
i)AgI濾液を蒸発させ50mLとする工程;
j)攪拌しながら、1:1のHCl溶液を滴下し、明黄色Pt(NH3)(C5H11N)Cl2化合物を形成する工程;および
k)明黄色Pt(NH3)(C5H11N)Cl2化合物を濾過し、温水中で明黄色Pt(NH3)(C5H11N)Cl2化合物を再結晶化し、および明黄色Pt(NH3)(C5H11N)Cl2結晶を真空下で乾燥する工程を含む、方法。
【請求項47】
アンミン/ヘキサメチレンイミン-ジクロロ-白金(II)を形成する方法であって、
a)水50mL中に5.5mmol K[Pt(NH3)Cl3]を溶解する工程;
b)水100mL中のKI 55mmolを添加し、褐色の溶液を形成し、20分間攪拌する工程;
c)水10mL中のヘキサメチレンイミン55mmolを、金黄色のPt(NH3)(C6H13N)I2沈殿が形成されるまで、褐色溶液に滴下し、1時間攪拌する工程;
d)金黄色のPt(NH3)(C6H13N)I2沈殿を濾過し、アセトンで洗浄する工程;
e)洗浄した金黄色のPt(NH3)(C6H13N)I2沈殿を真空で乾燥する工程;
f)水100ml中に4.24mmol Pt(NH3)(C6H13N)I2を懸濁する工程;
g)水100mL中のAgNO3 8.48mmolを添加し、暗所において、室温で24時間攪拌する工程;
h)AgI沈殿を濾過する工程;
i)AgI濾液を蒸発させ50mLとする工程;
j)攪拌しながら、1:1のHCl溶液を滴下し、明黄色Pt(NH3)(C6H13N)Cl2化合物を形成する工程;および
k)明黄色Pt(NH3)(C6H13N)Cl2化合物を濾過し、温水中で明黄色Pt(NH3)(C6H13N)Cl2化合物を再結晶化し、および明黄色Pt(NH3)(C6H13N)Cl2結晶を真空下で乾燥する工程を含む、方法。
【請求項48】
アンミン/ヘキサメチレンイミン-テトラクロロ-白金(IV)を形成する方法であって、
a)水200mL中の2.61mmol PtII(NH3)(C6H13N)Cl2懸濁液に、H2O2 10mLを添加し、15時間攪拌し、この溶液を濾過し、最小容量に濃縮する工程;
b)アセトンで沈殿し、黄色(PtIV(NH3)(C6H13N)trans-(OH)2Cl2)生成物を形成する工程;
c)黄色(PtIV(NH3)(C6H13N)trans-(OH)2Cl2)を、真空で乾燥する工程;
d)水100mL中に、黄色の1.64mmolのPtIV(NH3)(C6H13N)trans-(OH)2Cl2(0.650g;1.64mmol)を溶解する工程;
e)濃HCl 20mLを添加し、24時間室温で攪拌し、澄んだ黄色溶液を形成する工程;
f)澄んだ黄色溶液を濾過し、この澄んだ黄色溶液を最小容量に濃縮し、黄色結晶質PtIV(NH3)(C6H13N)Cl4を形成する工程;および
g)黄色結晶質PtIV(NH3)(C6H13N)Cl4を濾過し、水で洗浄し、真空下で乾燥する工程を含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−504691(P2006−504691A)
【公表日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−536113(P2004−536113)
【出願日】平成15年9月5日(2003.9.5)
【国際出願番号】PCT/US2003/027860
【国際公開番号】WO2004/024062
【国際公開日】平成16年3月25日(2004.3.25)
【出願人】(505090687)ボード オブ リージェンツ ザ ユニバーシティー オブ テキサス システム (3)
【Fターム(参考)】