説明

生物学的に活性な微生物および/または生物活性材料を含む安定な乾燥粉末組成物およびその製造方法

本発明は、保護乾燥製剤マトリクス中に生または死微生物および/または生物活性材料を埋め込むことに関し、該製剤は、生物活性微生物または生物活性材料、製剤安定化剤、および保護剤を含む。該製剤は、真空を用いてまたは真空を用いずにすべての固体成分を溶液に分散し、溶液をその凍結温度を上回る温度に冷却することによって調製される。該方法は、所望の温度および期間における製剤の第1の乾燥工程、および乾燥材料の望ましい最終水分活性を達成するための最大真空度および高温下での促進された第2の乾燥工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
[001]本出願は、2009年5月26日および2009年7月6日にそれぞれ米国特許商標庁に出願された米国仮出願第61/181,248号および第61/223,295号に対する優先権を主張し、その内容をすべての目的のために参照により本明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
[002]発明の分野
【0003】
[003]本発明は、高温および多湿条件下の微生物および/または生物活性材料の保護の分野に属する。具体的には、本発明は、生微生物および/または生物活性材料を保護乾燥製剤マトリクスに埋め込むことに関する。
【0004】
[004]関連する背景技術
【0005】
[005]生または死細菌およびウイルスなどの生物活性微生物、またはタンパク質、ビタミン、ミネラル、ホルモン、および細胞などの生物活性材料は、一般に、高温で湿度のある条件下で貯蔵されたときに不安定である。例えば、ラクトバチルス・ラムノサス(lactobacillus rhamnosus)などの市販のプロバイオティック細菌の多くは、周囲雰囲気中に室温(約25℃)で貯蔵された場合、2週間未満で1log以下の生存能力(viability)を失い得る。培養容器(例えば培養槽)から回収後にこれらの生物活性微生物を乾燥し保護する一般的な方法は、生細胞の濃縮溶液を液体窒素に入れ、次いで、後の凍結乾燥または他の場所への出荷のために、凍結ビードを−80℃の冷蔵庫で貯蔵することである。凍結乾燥は、影響を受け易い生物活性材料の主な乾燥方法となっている。噴霧乾燥(spray drying)、超臨界流体乾燥(supercritical fluid drying)、および乾燥(desiccation)などの他の方法は、一般に、生または弱毒化細菌およびウイルスなどの影響を受け易い生物活性材料に適していないが、その理由は、これらの方法で使用される高い乾燥温度によって微生物自体が大きな損傷を受けるためである。さらに、それらは、製品の安定性に対する特定の残留水分の必要性に対して材料を十分に乾燥しない可能性があり、したがって他の手段によるさらなる乾燥工程が必要となり得る。
【0006】
[006]凍結乾燥において、生物活性微生物または生物活性材料は、一般に、保護剤の溶液または懸濁液中で混合し、凍結し、次いで完全な真空下で昇華することで脱水させる。低温の凍結乾燥プロセスは、生物活性材料の分解反応を低減し、最終乾燥形態における活性損失を最小にする。しかしながら、氷点下温度に対する要件はエネルギー大量消費であり、凍結材料の体積に対する表面積の比が低いために、長期の乾燥時間(1バッチサイクルあたり数日まで)の使用が必要となる。凍結乾燥プロセスでのゆっくりとした乾燥は、影響を受け易い生物活性材料を損傷しまたは変性し得る氷結晶の形成も促す。この理由のため、細胞壁または脂質膜を有するウイルス、細菌、および細胞などの生物活性微生物または生物活性材料は、凍結乾燥プロセスに対して難題を有する。
【0007】
[007]氷結晶構造の形成を低減する1つの選択肢は、凍結保護剤を生物活性溶液に添加することである。このような保護剤は、凍結中に細胞膜および細胞内タンパク質を保護し、貯蔵中の安定性を高めるために製剤に添加される、高い可溶性の化学物質である。生細菌およびウイルスの一般的な安定化剤は、細胞材料または生物活性材料とともに高濃度のスクロース、グリセロール、またはソルビトールなどの糖を含む(Morganら、2006;Capelaら、2006)。しかしながら、そのような保護剤は細胞に十分に浸透せず、細胞内体積内で活性成分を保護しない可能性がある。したがって、乾燥損失を最小にする一方で乾燥材料の十分な貯蔵安定性を達成する最適な乾燥プロセスおよび製剤を開発するといった重要な課題が未解決である。
【0008】
[008]凍結乾燥に関連したいくつかの課題は、ある種の製剤および液体状態での真空乾燥の組み合わせを用いることによって解決されてきた。Annear(Annear 1962)は、糖およびアミノ酸の溶液中に細菌を含む製剤および沸騰および発泡形成を伴う真空乾燥プロセスを開発した。Roserら(米国特許第6,964,771号)は、液体濃縮工程に続いて、真空下で濃縮溶液(シロップ)を沸騰および発泡することを含む、泡形成による同様のコンセプトの乾燥を開示している。沸騰工程中に起こり得る酸化および変性の損傷を軽減するため、Bronshtein(米国特許第5,766,520号、米国特許第7,153,472号)は、炭水化物および界面活性剤を含む改善された保護製剤を紹介している。保護溶液の乾燥は、穏やかな真空下で濃縮を行った後に強真空を適用し、残留水の泡立たせる沸騰を生じさせて乾燥した安定な泡を形成する、段階的プロセスも伴う。沸騰工程をなくそうと試みて、BussonおよびSchroeder(米国特許第6,534,087号)は、真空オーブンを用いて、30Torrを上回る非常に穏やかな(mild)真空圧を加えることにより、沸騰のない、影響を受けにくい生物活性材料のための液状製剤における乾燥プロセスを提案している。材料を沸騰させずにあるレベルの乾燥を行った後、20℃超の熱を加えて、わずか数時間後に乾燥材料を得ている。
【0009】
[009]このタイプの乾燥プロセスは、全乾燥プロセス中で生物活性溶液が液状で維持されるが、沸騰中の液体の対流によって乾燥が速くなり、発泡表面によって与えられる表面積が増すという利点を有する。しかしながら、沸騰および発泡には、必要な溶液の噴出を起こさせるために相当量の熱を加えることが必要である。このような乾燥プロセスは、生存能力のあるウイルス、細胞、または細菌など、影響を受け易い生物学的材料の乾燥にあまりよく適合しないが、その理由は、加えた熱が酵素プロセス(例えばタンパク質分解)および化学的プロセス(例えば酸化およびフリーラジカル攻撃)を促進し、これが生物学的材料の活性または生存能力を破壊し得るためである。
【0010】
[0010]上記の乾燥プロセスはまた、大規模な工業的プロセスに拡大縮小する能力に制限される。凍結を回避するには、従来の凍結乾燥または噴霧凍結乾燥プロセスサイクルよりも低い真空レベル(>7Torr)でプロセスを行うことが必要となる。上記のプロセスの最も深刻な欠点は、容器、トレイ、またはバイアル内の泡の膨張(expansion)を制御および抑制することができないことである。制御不能な噴出およびしばしば過剰な泡形成によって、工業的スケールのプロセスを開発することが実際上は不可能である。沸騰工程の噴出および泡形成性により、材料の一部が容器壁上および乾燥チャンバー中にはねる結果となる。沸騰中の噴出を和らげるために、Bronshtein(米国特許第6,884,866号、米国特許第6,306,345号)は、特別なチャンバーおよび許容可能レベルに過熱を低減するための制御された温度/圧力の適用プロトコルを提案している。噴出および過剰な泡形成を抑えるための別のアプローチが米国特許出願第2008/0229609号に記載されており、ここでは、生物活性溶液が通気性膜で覆われた容器または袋に封入される。上記と同様、これらのプロトコルは工業的レベルで実施することが難しく、別の製剤に確実に置き換えることが難しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
[0011]液状で乾燥することができる好適な保護製剤、および乾燥した生物活性微生物、たとえば、生または死ウイルス、細菌、および細胞を特に凍結温度を上回る温度で乾燥するための工業的に拡大縮小可能な方法が必要とされている。特に、費用対効果が良く、かつ、拡大縮小可能であり、食品および農業産業などの医薬産業外での適用にも好適である乾燥プロセスが必要とされている。高温に曝すことなく十分な乾燥を行うため、保護製剤および穏やかな乾燥プロセスが必要となる。高温および多湿条件下での貯蔵においてそのような生物学的材料(biologicals)を保護することができる組成物が必要とされている。本発明は、後述のとおり、これらの課題のすべてに対する解決法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
発明の概要
[0012]本発明は、生物活性材料、例えば、ペプチド、タンパク質、ホルモン、ビタミン、ミネラル、薬剤、殺微生物剤、殺真菌薬、除草剤、殺虫剤、殺精子剤、核酸、抗体、ワクチン、および/または生物活性微生物、例えば、細菌(プロバイオティックその他)、ウイルス、および/または細胞懸濁液を、貯蔵において保存するための組成物および方法を含む。乾燥方法は、生物活性微生物または生物活性材料、製剤安定化剤、および保護剤を含む製剤の制御可能な膨張方法を提供する。製剤は、真空下でまたは真空なしで、すべての固体成分を溶液に分散することによって調製される。溶液はその凍結温度を上回る温度に冷却され、真空下で乾燥して乾燥組成物とし、これは意外にも高い安定性を示す。本方法は、所望の温度および期間での製剤の第1の乾燥工程、および乾燥材料の望ましい最終水分活性を達成するために最大真空度および高温下での促進された第2の乾燥工程を含む。
【0013】
[0013]一実施態様において、製剤は、微生物が埋め込まれた十分な量の製剤安定化剤を含む。好適な製剤安定化剤の例には、限定するものではないが、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、カルボキシ−メチル−セルロース、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸塩、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース、カラゲナン、グアールガム、アラビアゴム、キサンタンガム、イナゴマメガム、キトサンおよびキトサン誘導体、コラーゲン、ポリグリコール酸、デンプンおよび変性デンプン、シクロデキストリンおよびオリゴ糖(イヌリン、マルトデキストリン、デキストランなど);ならびにそれらの組み合わせが含まれる。
【0014】
[0014]特定の一実施態様において、好ましい製剤安定化剤はアルギン酸ナトリウムである。好ましくは、製剤は、全乾燥物の重量パーセントで、0.1〜10%、好ましくは1〜6%、より好ましくは2〜4%の製剤安定化剤を含む。さらなる実施態様において、製剤安定化剤は、1:1〜10の重量比のアルギン酸ナトリウムとオリゴ糖との混合物、より好ましくは1:1〜5のアルギン酸ナトリウム/オリゴ糖を含む。さらに別の本発明の実施態様において、製剤安定化剤は、二価金属イオンと架橋し、硬い(firm)ヒドロゲルを形成する。
【0015】
[0015]別の実施態様において、製剤は、微生物が埋め込まれている有意な量の保護剤を含む。好適な保護剤の例は、限定するものではないが、タンパク質、例えば、ヒトおよびウシ血清アルブミン、卵アルブミン、ゼラチン、免疫グロブリン、単離大豆タンパク質、コムギタンパク質、スキムミルク粉末、カゼイン塩、乳清タンパク質、および任意のタンパク質加水分解物;単糖(例えば、ガラクトース、D−マンノース、ソルボースなど)、二糖類(例えば、ラクトース、トレハロース、スクロースなど)を含む、炭水化物;アミノ酸、例えば、リシン、グルタミン酸モノナトリウム、グリシン、アラニン、アルギニンまたはヒスチジン、および疎水性アミノ酸(トリプトファン、チロシン、ロイシン、フェニルアラニンなど);メチルアミン、例えば、ベタイン;賦形剤の塩、例えば、硫酸マグネシウム;三価以上の糖アルコールなどのポリオール(例えば、グリセリン、エリスリトール、グリセロール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、およびマンニトール);プロピレングリコール;ポリエチレングリコール;プルロニック(pluronics);界面活性剤;ならびにそれらの組み合わせを含む。
【0016】
[0016]好ましい一実施態様において、保護剤は、二糖、タンパク質、およびタンパク質加水分解物の混合物を含む。特定の実施態様において、好ましい保護剤は、トレハロース、大豆タンパク質単離物、または乳清タンパク質およびそれらの加水分解物の混合物である。好ましくは、製剤は、全乾燥物の重量パーセントで、10〜90%のトレハロース、0.1〜30%の大豆タンパク質単離物または乳清タンパク質、および0.1〜30%の大豆または乳清タンパク質加水分解物を含む。好ましくは、20〜80%のトレハロース、0.1〜20%の大豆タンパク質単離物または乳清タンパク質、および1〜20%大豆または乳清タンパク質加水分解物、より好ましくは40〜80%のトレハロース、0.1〜20%大豆タンパク質単離物または乳清タンパク質、および1〜20%大豆または乳清タンパク質加水分解物を含む。
【0017】
[0017]本発明の方法は、典型的には、生物活性微生物(例えば、生または死ワクチン、細菌、藻類、ウイルス、および/または細胞懸濁液)、または生物活性材料(例えば、ペプチド、タンパク質、ホルモン、ビタミン、ミネラル、薬剤、殺微生物剤、殺真菌薬、除草剤、殺虫剤、殺精子剤、核酸、抗体、ワクチン)の濃縮溶液または乾燥粉末、安定化剤、および保護剤を真空下でまたは真空なしで混合して均質な製剤とし、該製剤をその凍結温度を上回る温度に冷却し、真空下において20℃を上回る棚の温度で乾燥する。本発明によれば、乾燥プロセスは、20℃以上の棚の温度で第1の真空乾燥を行うこと、続いて、乾燥製剤の水分活性を0.3Aw以下に低減するのに十分な時間、最大真空度および高温下で製剤の促進された第2の乾燥を行うことを用いることができる。
【0018】
[0018]混合方法の一実施態様において、生物活性微生物または生物活性材料は、乾燥され安定化された形態であり、さらに乾燥安定化剤および保護剤と乾燥混合する。次いで、この乾燥混合物を水に添加し、適切な真空下で混合し、撹拌して、所望の密度の均質なスラリーを得る。
【0019】
[0019]混合方法の別の実施態様において、生物活性微生物または生物活性材料は、濃縮溶液またはペーストの形態である。溶液は、水への添加前にすべての他の製剤成分と混合される。
【0020】
[0020]混合方法のさらなる別の実施態様において、生物活性微生物または生物活性材料は、乾燥粉末の形態である。乾燥粉末は、水に添加する前にすべての他の製剤成分と混合される。
【0021】
[0021]混合方法の別の実施態様において、乾燥生物活性微生物または生物活性材料は製剤成分の一部と混合されて、他の製剤成分を水に添加することによって調製される予め形成したスラリーにこの混合物を添加する。
【0022】
[0022]乾燥方法の好ましい実施態様において、生物活性微生物は、真空下において、製剤安定化剤および保護剤を含む溶液中で混合される。特定の一実施態様において、生物活性微生物は、生細菌(例えばプロバイオティック細菌)を含む。好適な微生物の例には、限定するものではないが、酵母、例えば、サッカロミセス属(Saccharomyces)、デバリョウミセス属(Debaromyces)、カンジダ属(Candida)、ピチア属(Pichia)、およびトルロプシス属(Torulopsis)、カビ゛菌類(moulds)、例えば、アスペルギルス属(Aspergillus)、クモノスカビ属(Rhizopus)、ケカビ属(Mucor)、ペニシリウム属(Penicillium)、およびトルロプシス属(Torulopsis)、ならびに細菌、例えば、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)、クロストリジウム属(Clostridium)、フゾバクテリウム属(Fusobacterium)、メリソコッカス(Melissococcus)、プロピオン酸菌属(Propionibacterium)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、ラクトコッカス属(Lactococcus)、コキュリア属(Kocuriaw)、スタフィロコッカス属(Staphylococcus)、ペプトストレプトコッカス属(Peptostrepococcus)、バシラス属(Bacillus)、ペジオコッカス属(Pediococcus)、ミクロコッカス属(Micrococcus)、乳酸菌(Leuconostoc)、ウィッセラ属(Weissella)、アエロコッカス属(Aerococcus)、オエノコッカス属(Oenococcus)、およびラクトバチルス属(Lactobacillus)が含まれる。好適なプロバイオティック微生物の特定の例は以下の種によって示され、それらの種の範囲内のすべての培養生物型が含まれる:アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・オリザエ(A.oryzae)、バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)、バチルス・レンタス(B.lentus)、バチルス・リケニフォルミス(B.licheniformis)、バチルス・メセンテリクス(B.mesentericus)、バチルス・パミラス(B.pumilus)、バチルス・サブチリス(B.subtilis)、バチルス・ナットー(B.natto)、バクテロイデス・アミロフィルス(Bacteroides amylophilus)、バクテロイデス・カピロスス(Bac.capillosus)、バクテロイデス・ルミノコーラ(Bac.ruminocola)、バクテロイデス・スイス(Bac.suis)、ビフィドバクテリウム・アドレッセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム・アニマリス(B.animalis)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(B.breve)、ビフィドバクテリウム・ビフィドゥム(B.bifidum)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(B.infantis)、ビフィドバクテリウム・ラクティス(B.lactis)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(B.longum)、ビフィドバクテリウム・シュードロンガム(B.pseudolongum)、ビフィドバクテリウム・サーモフィルム(B.thermophilum)、カンジダ(Candida pintolepesii)、クロストリジウム・ブチリカム(Clostridium butyricum)、エンテロコッカス・クレモリス(Enterococcus cremoris)、エンテロコッカス・ジアセチラクチス(E.diacetylactis)、エンテロコッカス・フェシウム(E .faecium)、エンテロコッカス・インテルメジウス(E.intermedius)、エンテロコッカス・ラクティス(E.lactis)、エンテロコッカス・ムンジ(E.muntdi)、エテロコッカス・サーモフィラス(E.thermophilus)、大腸菌(Escherichia coli)、クリュイベロミセス・フラギリス(Kluyveromyces fragilis)、ラクトバチルス・アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・アリメンタリウス(L.alimentarius)、ラクトバチルス・アミロボラス(L.amylovorus)、ラクトバチルス・クリスパータス(L.crispatus)、ラクトバチルス・ブレビス(L.brevis)、ラクトバチルス・カゼイ(L.casei)、ラクトバチルス・カルバタス(L.curvatus)、ラクトバチルス セロビオサス(L.cellobiosus)、ラクトバチルス・デルブルッキィ ss. ブルガリカス(L.delbrueckii ss. bulgaricus)、ラクトバチルス・ファーシミニス(L.farciminis)、ラクトバチルス・ファーメンタム(L.fermentum)、ラクトバチルス・ガセリ(L.gasseri)、ラクトバチルス ヘルベティカス(L.helveticus)、ラクトバチルス・ラクティス(L.lactis)、ラクトバチルス プランタラム(L.plantarum)、ラクトバチルス・ジョンソニィ(L.johnsonii)、ラクトバチルス・ロイテリ(L.reuteri)、ラクトバチルス・ラムノサス(L.rhamnosus)、ラクトバチルス・サケイ(L.sakei)、ラクトバチルス・サリバリウム(L.salivarius)、リゥコノストック・メゼンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)、ペディオコッカス・セレビシエ(P.cereviseae)(ダムノサス(damnosus))、ペディオコッカス・アシジラクチシ(Pediococcus acidilactici)、ペディオコッカス・ペントサセウス(P.pentosaceus)、プロピオニバクテリウム・フロイデンライシイ(Propionibacterium freudenreichii)、プロピオニバクテリウム・シェルマニイ(Prop.shermanii)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cereviseae)、スタフィロコッカス・カルノーサス(Staphylococcus carnosus)、スタフィロコッカス・キシロサス(Staph.xylosus)、ストレプトコッカス・インファンタリアス(Streptococcus infantarius)、ストレプトコッカス・サリバリウスss.サーモフィルス(Strep.salivarius ss. thermophilus)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Strep.Thermophilus)、およびストレプトコッカス・ラクティス(Strep.lactis)。
【0023】
[0023]好ましい方法では、製剤を真空下において室温(例えば20℃〜30℃)で混合する。混合して均質にした後、次いで製剤の凍結温度を上回る温度に製剤を冷却する。典型的には、製剤を−10℃〜+10℃に冷却し、より好ましくは、製剤を−5℃〜+5℃に冷却する。好ましい実施態様において、次いで冷却した製剤を乾燥チャンバーに移し、ここで、最初の予備冷却温度を維持するレベルで初期の真空圧を制御しながら、熱を加える(20℃以上)。典型的には、望ましい真空圧は7Torr未満であるが、3Torr以上である。これらの好ましい条件下で、製剤の膨張の制御およびその後のより速い製剤の第1の乾燥が達成される。第2の乾燥を促進するために、最大の真空圧を加え、熱供給温度はさらに高くして30℃〜60℃としてもよい。最終生成物の安定性を最大にするために、製剤の水分活性をAw=O.3以下に低減するのに十分な時間、製剤を乾燥することが好ましい。本発明の好ましい実施態様において、第2の乾燥は、1Torr未満、特に好ましい実施態様において0.2Torr未満の圧力で水を除去することを含む。
【0024】
[0024]湿性製剤は、粘性なスラリーまたは0.05〜10mmの範囲のヒドロゲル粒子の形態であってもよい。乾燥した製剤は、片として直接に使用するか、または約10μm〜約1000μmの平均粒径を有する粉末に粉末化することができる。製剤は、濃縮粉末(concentrated powder)としてまたは還元された液体(例えば飲料)としてヒトを含む動物に直接に投与するか、または片または粉末形態で既存の食品または食餌品に入れることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】[0025]図1は、40℃および33%相対湿度で貯蔵したプロバイオティック細菌であるラクトバチルス・ラムノサス(L.rhamnosus)の安定性の傾向を示している。
【図2】[0026]図2は、Awが0.28である第2の乾燥工程で終了する製剤化プロセスのプロセス温度および生存能力の累積損失を示している。
【図3】[0027]図3は、貯蔵安定性に対する異なる製剤安定化剤の効果を示している。
【図4】[0028]図4は、真空下での製剤の膨張に対するアルギン酸塩の粘性の効果を示している。
【図5】[0029]図5は、細菌生存能力に対する安定化剤の異なる組み合わせの効果を示している。
【図6】[0030]図6は、真空下での膨張速度に対する製剤密度の効果を示している。
【図7】[0031]図7は、真空下での膨張に対する製剤の予備冷却温度の効果を示している。
【図8】[0032]図8は、第1の乾燥工程中の製剤温度に対する真空圧の効果を示している。
【図9】[0033]図9は、製剤の乾燥速度に対する真空圧の効果を示している。
【図10】[0034]図10は、37℃および33%相対湿度の貯蔵下での、本発明の製剤および方法を用いて乾燥したプロバイオティック細菌であるラクトバチルス・アシドフィラス(L.acidophilus)の安定性を示している。
【図11】[0035]図11は、本発明によるヒドロゲル製剤からの安定な乾燥製剤の製造方法のフローチャートを示している。
【発明を実施するための形態】
【0026】
発明の詳細な説明
[0036]定義
【0027】
[0037]本明細書において用いられる用語は、特定の実施態様のみを示す目的のために使用され、限定することを意図していないと理解すべきである。本明細書および特許請求の範囲で使用するように、単数形「a」、「an」および「the」は、その内容が別に明示されない限り、複数対象を含む。したがって、例えば、「タンパク質」とは、単数タンパク質または2以上のタンパク質の組み合わせを含み、「酵素」、「ビタミン」、「細菌」などは、単数またはいくつかの混合物などを含む。
【0028】
[0038]本発明を説明し、請求する際に、以下の定義とともに次の用語を用いる。
【0029】
[0039]「周囲」室温または条件は、所与の環境での任意の所与の時間によるものである。典型的には周囲室温は22〜25℃であり、周囲大気圧および周囲湿度は容易に測定され、時節、天候および気候条件、標高などに依って変わるであろう。
【0030】
[0040]「脱気」とは、気体の分圧が加えた圧力を上回るときに液体中の溶液から気体が放出されることをいう。これは沸騰ではなく、溶液の沸騰圧力を上回る圧力でしばしば起こり得る。例えば、瓶入りの清涼炭酸飲料水は高い分圧のCOを含む。ボトルキャップを取り除くと分圧が低くなり、飲料は激しく発泡する(それは脱気するが、沸騰しない)。
【0031】
[0041]「沸騰」とは、液体の温度がその沸騰温度を上回るときに起こる液体から気体への急速な相転移をいう。沸騰温度は、液体の蒸気圧が加えた圧力に等しいときの温度である。沸騰は、すでにその沸点にある液体に熱を加えたときに特に激しくなり得る。
【0032】
[0042]「水分活性」または「Aw」とは、乾燥製剤組成物の文脈において、水の利用可能性をいい、系における水のエネルギー状態を表す。これは、同じ温度において試料上の水蒸気圧を純水のもので割ったものとして定義される。純蒸留水は、正確に1またはAw=1.0の水分活性を有する。
【0033】
[0043]「相対湿度」または「RH」とは、貯蔵安定性の文脈において、所与の温度での空気中の水蒸気の量をいう。相対湿度は、通常、空気を飽和するために必要な湿度より低く、飽和湿度の百分率で表わされる。
【0034】
[0044]「第1の乾燥」とは、本明細書に記載されたプロセスに関して、最初の真空適用時から第2の乾燥を開始する時点までに行う乾燥をいう。典型的には、第1の乾燥の大部分は、生成物温度を熱源温度より大幅に低く維持しながら、激しい蒸発によって行う。
【0035】
[0045]「第2の乾燥」とは、本明細書に記載されたプロセスに関して、製剤の凍結温度を上回る温度および熱源温度に近い温度で行う乾燥工程をいう。典型的な製剤乾燥プロセスにおいて、第2の乾燥工程は、製剤の水分活性を0.3以下のAwに低減させる。
【0036】
[0046]「生物活性微生物」または「生物学的に活性な微生物または製剤」とは、微生物の生物学的活性が明らかに効力を有する形態の生または死微生物の調製物をいう。「乾燥粉末としての生微生物」とは、少なくとも10%W/Wが生細菌である細菌バイオマスをいう。「乾燥粉末としての死微生物」とは、少なくとも99.999%が死細菌である細菌バイオマスをいう。
【0037】
[0047]「生物活性材料」、「生物活性組成物」、「生物学的に活性な材料」、または「生物活性製剤」とは、生物活性成分の生物学的活性が明らかに効力を有する形態の調製物をいう。そのような生物活性材料は、限定するものではないが、ペプチド、タンパク質、ホルモン、ビタミン、ミネラル、薬剤、殺微生物剤、殺真菌薬、除草剤、殺虫剤、殺精子剤、核酸、抗体、およびワクチンを含む。
【0038】
[0048]「安定化剤(stabilizer)または安定化剤(stabilizing agent)」とは、湿性製剤の粘性を増加するためにまたはヒドロゲルを形成するために製剤に添加する化合物または材料をいう。好適な安定化剤の例には、限定するものではないが、多糖類、例えば、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、カルボキシ−メチル−セルロース、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸塩、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース、カラゲナン、グアールガム、アラビアゴム、キサンタンガム、イナゴマメガム、キトサンおよびキトサン誘導体、コラーゲン、ポリグリコール酸、デンプンおよび変性デンプン、シクロデキストリンおよびオリゴ糖(イヌリン、マルトデキストリン、ラフィノース、デキストランなど)およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0039】
[0049]「保護剤(protecting agent)」、「保護剤(protective agent)」、または「保護剤(protectant)」とは、一般に、乾燥プロセス中および乾燥プロセス後に生物活性材料の安定性を確保するまたは増加するためあるいは乾燥粉末生成物の長期の貯蔵安定性のために添加される化合物または材料をいう。好適な保護剤は、一般に、溶液に容易に溶解し、水と接触した際に粘度が高くならずまたは重合しない。好適な保護剤は、限定するものではないが、以下のとおりであり、タンパク質、例えば、ヒトおよびウシ血清アルブミン、乳清タンパク質、大豆タンパク質、カゼイン塩、ゼラチン、免疫グロブリン;単糖(ガラクトース、D−マンノース、ソルボースなど)、二糖類(ラクトース、トレハロース、スクロースなど)を含む炭水化物;アミノ酸、例えば、グルタミン酸モノナトリウム、リシン、グリシン、アラニン、アルギニン、またはヒスチジン、および疎水性アミノ酸(トリプトファン、チロシン、ロイシン、フェニルアラニンなど);メチルアミン、例えば、ベタイン;賦形剤の塩、例えば、硫酸マグネシウム;三価以上の糖アルコールなどのポリオール(例えば、グリセリン、エリスリトール、グリセロール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、およびマンニトール);プロピレングリコール;ポリエチレングリコール;プルロニック;界面活性剤;およびそれらの組み合わせを含む。
【0040】
[0050]「安定な」製剤または組成物は、その中の生物活性微生物または生物活性材料が貯蔵の際にその生存能力および/または生物学的活性を本質的に保持するものである。安定性は、選択した温度および湿度条件において選択された期間で測定することができる。材料をその期間実際に貯蔵状態におく前に、傾向分析を用いて期待される貯蔵寿命を評価することができる。生細菌については、例えば、安定性は、所定の温度、湿度および期間の条件下で1logのCFU/g乾燥製剤の損失にかかる時間と定義される。
【0041】
[0051]細菌に関して「生存能力」とは、細菌成長に適した栄養培地でコロニーを形成する能力(CFUまたはコロニー形成単位)をいう。ウイルスに関して生存能力とは、好適な宿主細胞に感染し、再生産し、宿主細胞ローンでプラークを形成する能力をいう。
【0042】
[0052]本発明の組成物および方法は、乾燥状態で大幅に生存期間が延長された、生(live)または死(dead)ワクチン、細菌、藻類ウイルスおよび/または細胞懸濁液、ペプチド、タンパク質、ホルモン、ビタミン、ミネラル、薬剤、殺微生物剤、殺真菌薬、除草剤、殺虫剤、殺精子剤、核酸、抗体、ワクチンなどの生物活性微生物または生物活性材料を含む乾燥製剤を生成するための費用対効果が良く、かつ、工業的に拡大縮小可能な乾燥プロセスを提供するという課題を解決する。本発明は、溶液中に生物活性微生物または生物活性材料を安定化剤および保護剤とともに含む製剤、該製剤をその凍結温度を上回る温度で冷却し、該組成物に熱を供給しながら減圧下で水分を除去することによって製剤を安定化することを提供する。
【0043】
[0053]乾燥プロセス中の微生物の生存能力の損失のほとんどは、凍結解凍ストレスおよび氷結晶形成、高い浸透圧および酸化ストレス、低い乾燥圧力および高温下での溶液の「沸騰」に関連した気泡キャビテーションの際の剪断力およびエネルギー放出の組み合わせが原因であり得る。本発明は、乾燥中の損失を最小にし、その後の過酷な貯蔵条件下で生物活性微生物を保護する製剤および工業的に拡大縮小可能な乾燥プロセスを提供する。
【0044】
本発明の組成物
[0054]本発明は、粘性溶液中の生物活性微生物または生物活性材料、安定化剤、および保護剤の製剤組成物を含む。本発明の製剤は、予備冷却せずに乾燥した非粘性のまたは濃縮された製剤とはその物理的構造および機能において本来的に異なることが見出された。例えば、従来技術の製剤は、効果的な乾燥を促すために最初に「泡を形成させた」。泡形成工程は、一般に沸騰が激しく、溶液が噴出する結果となったが、これは液状での真空乾燥において避けられない結果であり、バイアルまたは容器中の材料の非常に低い充填能力(loading capacity)しか達成し得ない(米国特許第6,534,087号を参照のこと。ここでは、泡形成した最終生成物の厚さは2mm未満である)。本発明の組成物および乾燥方法によって、製剤の膨張の抑制および制御が可能となり、これによって材料の乾燥面積あたりのより高い充填が可能となり、その結果、容易にスケールアップして材料を大量製造することができる。
【0045】
[0055]単細胞微生物は、特に本発明の製剤および乾燥方法によって有益を受けることが示されている。一実施態様において、本発明の生物活性微生物は、プロバイオティック細菌である。製剤は、本発明の組成物および方法にしたがって調製され、ここでは、濃縮溶液、ペースト、凍結ビード、または乾燥粉末形態の生プロバイオティック細菌を得て、該プロバイオティック細菌を真空下で安定化剤および保護剤と混合し、粘性な製剤をその凍結温度を上回る温度に冷却し、十分な真空圧を加えてその予備冷却温度を維持し、20℃以上の熱源を供給して水除去を促すことを含む。製剤の予備冷却温度の維持は、製剤から熱を逃がすことにより、および/または水蒸発に起因する潜熱を奪うことにより行うことができる。さらに乾燥プロセスを促すために、最大0.1Torrのより高い真空および最高70℃の高温で第2の乾燥工程を適用して、0.3以下のAwの水分活性である最終組成物を提供する。このような組成物は、40℃および33%RHの貯蔵条件で60日以上安定性を維持することができる(図1を参照のこと)。本発明の特定のプロセスは、すでに確立された乾燥プロセスを上回る、生存能力を維持するための細胞の予想外の能力が得られたことが示された。本発明による全乾燥プロセスを通して初期(initial)生存能力の損失は、ほんの0.3logであった(図2を参照のこと)。
【0046】
[0056]安定な乾燥粉末組成物を調製するための製剤
【0047】
[0057]本発明による乾燥粉末組成物を調製するための好ましい微生物または材料と混合する構成成分は、安定化剤および保護剤を含む。そのような構成成分は、好ましい生物活性微生物または生物活性材料と混合する場合、本発明の方法により行い、上記微生物の貯蔵および投与のための大量の安定な乾燥組成物を提供することができる。製剤安定化剤は、多糖類およびオリゴ糖の混合物を含むことができる。特に生微生物を安定化するための好ましい多糖類は、アルギン酸塩であった。その理由は、アルギン酸塩が、プロバイオティックなどの影響を受け易い生物学的材料の乾燥による損失を低減することにおいてペクチンおよびアラビアゴムなどの他の多糖類より優れていることが意外にも見出されたためである(図3)。それはまた、穏やかな温度で非毒性金属とヒドロゲルを形成する特性があるゆえに好ましいものであった。アルギン酸塩は、適した粘性を製剤に与え、特定の粘性における製剤の膨張の制御を可能にすることによって、真空下で製剤を効果的に安定化することも見出された(図4)。
【0048】
[0058]オリゴ糖とアルギン酸塩との組み合わせが、製剤の全般的な安定性をもたらすことも見出された。図5は、異なる組み合わせのアルギン酸塩およびオリゴ糖の貯蔵安定性に対する効果を示している。アルギン酸塩およびイヌリンの組み合わせは、プロバイオティック細菌に対する長期貯蔵効果について好ましい組み合わせであった。本発明の一実施態様において、製剤安定化剤の少なくとも1つは、金属イオンでと架橋することによって硬いヒドロゲルを形成することができるゴムであることが好ましい。
【0049】
[0059]本発明の保護剤は、種々のタンパク質、ペプチド、糖、糖アルコール、およびアミノ酸を含むことができる。保護剤は、凍結温度(例えば−20℃)において製剤中の生物学的に活性な材料を結晶化および/または不安定化しないものであることが好ましい。結晶形成を阻害し、長期間の貯蔵条件で乾燥生物活性材料製剤を安定化するために、2種以上異なる保護剤を含むことが有益であり得る。
【0050】
[0060]湿性製剤は、実質的な量の全固形分(水などの溶媒を差し引いた構成成分)を含むことができる。全固形分の主要部は、生物活性材料、安定化剤、および保護剤からなることができる。例えば、生物活性材料は約2〜50重量パーセントの範囲の濃度で、安定化剤は約1〜20重量パーセントの濃度で、保護剤は約20〜80重量パーセントの濃度で製剤に存在することができる。別の例において、安定化剤は約0.5〜10重量パーセントの範囲の濃度で、保護剤は約10〜40重量パーセントの濃度で製剤に存在することができる。湿性製剤は、約5%〜80%、より好ましくは約30〜60%の固形含量を有することが好ましい。本発明の製剤の粘性は、典型的には、1000センチポアズ(cP)超、より好ましくは10,000cP超〜450,000未満、最も好ましくは30,000cP超〜100,000cP未満である。
【0051】
[0061]本発明の製剤粘性は、保護剤が溶液に完全に溶解することを条件に、450,000cPの高さであることができる。実質的な量の全固形分を含む高粘性の均質なスラリーは、生物活性材料の熱および浸透感応度に依存して高温で得ることができる。例えば、全固形分の30〜60%を含む生細胞製剤は約35〜40℃の高温で混合することができ、混合はすべての保護剤が完全に溶解するまで行う。
【0052】
安定な乾燥製剤の調製方法
[0062]生物活性微生物保存用の安定な乾燥製剤の調製方法は、濃縮溶液、ペースト、凍結ビード、または乾燥粉末(安定化されたものその他)中に特定の微生物の生培養物を得ること、真空下において生物活性微生物または生物活性材料を安定化剤および保護剤と溶液中で混合することにより製剤を調製すること、製剤をその凍結温度を上回って10℃以下に冷却すること、および製剤に熱を供給しながら減圧下で水分を蒸発させることによって製剤を乾燥することを含む。
【0053】
[0063]一実施態様において、例えば、生物活性微生物または生物活性材料、製剤安定化剤、および保護剤を含む製剤を約10〜50Torrの穏やかな真空下において溶液中で混合して均質にする。図6は、真空下での膨張に対する製剤の異なる密度の効果を示している。溶液中の製剤構成成分の混合中に空気を導入すると、比較的高い真空圧でも、過剰で制御不能な泡形成が起こる。本発明による真空下での混合工程では、空気または気体を製剤溶液に導入せず、これにより過剰で制御不能な溶液の泡形成を起こさないことによって、この課題を解決する。
【0054】
[0064]次いで溶液をその凝固点を上回る温度(通常、−5℃〜+5℃)に冷却する。図7は、真空圧下での膨張に対する製剤溶液の予備冷却の効果を示している。比較的より高い真空圧下であっても沸騰を効果的になくすことができ、溶液温度をその凍結温度を上回って10℃以下に低くすると製剤の膨張がより良好に制御されることが、意外かつ予想外に見出された。図7に見ることができるように、製剤を+5℃、好ましくは−3℃に冷却するならば、過剰な泡立ちが起こることなく、3Torrの真空圧を加えることができる。
【0055】
[0065]冷却したら、製剤を十分な真空下(例えば約3Torr)で乾燥し、第1の乾燥工程中にその予備冷却温度を維持する。図8は、製剤溶液の温度に対する加えた真空圧の効果を示している。8Torrを上回る比較的高い真空圧では、製剤温度が6℃超に上昇し、棚またはチャンバー温度に向かって急速に上昇し続ける。同時に、溶液は、泡形成とさらに膨張を続ける。この実施態様では、製剤の膨張を制御しながら強真空圧(<3Torr)を加えており、上記の従来技術(例えば、米国特許第6,534,087号を参照のこと。ここでは、加える真空圧が3〜7Torr以上の圧力である。)とは区別される。このプロセスは、顕著により速い乾燥速度となり(図9を参照のこと)、製剤の高い充填能力を可能とする。この実施態様において、真空圧より非常に低い圧力下でも過剰な泡立ちおよび沸騰が起こらないが、その理由は、本発明の方法が、a)真空下において膨張が制御された特定の組成物、b)混合中に製剤に空気を導入しない方法、およびc)製剤を十分に予備冷却することを提供するためである。
【0056】
[0066]従来技術における一般的な方法は、影響を受け易い生物学的材料に損傷を与え、工業的規模拡大を困難にし得る激しい泡立ちおよび/または跳ねならびに激しい沸騰を伴う。さらに、粘性なスラリーを完全かつ効率的に脱気することは難しく、長期間を必要とし得る。これらの障害は、まず穏やかな真空下で全ての混合プロセスを行い、最初の場所で製剤に噴流気体を導入しないことにより、本発明で解決された。次いで、製剤中に残っている可能性のある任意の少量の可溶性気体を穏やかに取り除くことで、製剤が低真空下で穏やかに膨張することが可能となる。製剤をその凍結温度を上回る温度に予備冷却する追加工程は、膨張速度のさらなる制御を与え、これにより、従来技術より非常に高い乾燥面積あたりの充填能力を可能とする。第1の乾燥段階の完了後、安定化された乾燥製剤を第2の高い乾燥温度(70℃まで)および0.2Torr未満の真空圧で保持し、非常に短時間で製剤を乾燥することができる。
【0057】
[0067]本発明の別の実施態様は、生物活性微生物または生物活性材料の保存のためのヒドロゲル製剤組成物を調製する方法を提供する。例えば、乾燥粉末形態のプロバイオティック細菌、安定化剤、および保護剤を含む製剤を溶液中で混合し、金属イオンまたは二価カチオンを添加することによってヒドロゲルに架橋し、次いで上記のように低真空下および温度で乾燥する。製剤の予備冷却温度は、製剤から熱を逃がすことによりおよび/または水の蒸発による潜熱を失うことによって維持することができる。
【0058】
[0068]本発明の特定の一実施態様において、例えば、製剤は、1〜2.5%のアルギン酸ナトリウム(好ましくは1.5%のアルギン酸ナトリウム)、1%〜約5%のイヌリン(好ましくは2.5%のイヌリン)、20%〜60%のトレハロース(好ましくは40%トレハロース)、および3%〜15%のカゼイン加水分解物(好ましくは8%のカゼイン加水分解物)の溶液中に、生プロバイオティック細菌のフレッシュな、凍結された、または乾燥された濃縮培養物を含む。製剤は、真空下において室温を若干上回る温度(典型的には25℃〜37℃)ですべての成分が完全に溶解するまで混合する。
【0059】
[0069]本発明のさらなる一実施態様において、すべての成分を高温で溶液に溶解し、次いでスラリーを0℃〜−5℃の温度に冷却し、すべての成分が完全に溶解するまで生微生物の乾燥粉末を混合する。生(live)生物の乾燥粉末の混合を容易にし、クランピング(clumping)を防止するために、少量のトレハロースを乾燥粉末に添加することができる(典型的には、等量の乾燥粉末およびトレハロースを含む混合物は十分である)。
【0060】
[0070]製剤スラリーを約200g/sqftの充填能力でトレイ上に広げ、トレイを凍結乾燥器の棚上に置く。棚の温度を0〜−5℃(好ましくは−2℃)に調整し、スラリーをその温度に冷却する。次いで真空圧を1〜5Torr(好ましくは3Torr)で適用し、伝導性熱伝達のために棚の温度を20℃〜45℃(好ましくは30℃)に上昇させる。第1の蒸発工程中、製剤温度をおよそ0〜−5℃の温度で維持して、試料の凍結を防止する。生成物温度が約+10℃に達したら、0.1Torrの最大真空度および40℃の棚の温度で第2の乾燥工程を開始する。全ての乾燥プロセスは約4時間で行い、この時点で生成物を回収し、水分活性はAw−0.3以下である。
【0061】
[0071]本発明の別の実施態様において、充填したトレイを冷室で−2℃に予備冷却し、次いで、放射熱伝達のため、真空オーブン乾燥器中に素早く充填した。次いで、伝導性熱伝達のため、第1および第2の乾燥工程を上記のように適用した。
【0062】
[0072]製剤の調製
【0063】
[0073]本発明の製剤は、製剤安定化剤および保護剤を含む溶液または懸濁液に製剤化されたフレッシュな、凍結された、または乾燥した生微生物を含むことができる。製剤安定化剤および/または高濃度の保護剤は、冷却および生物活性微生物との混合の前に、加熱した水溶液に撹拌しながら溶解することができる。培養ウイルスまたは細菌などの微生物は、遠心分離または濾過によって培地から濃縮分離され、次いで本発明の製剤中に直接に混合するか、または液体窒素に入れられた従来の凍結保護剤および製剤中で混合するまで−80℃で貯蔵された小さな凍結ビードとともに添加することができる。あるいは、凍結ビードは、凍結乾燥し、細粉末に粉砕化し、気密袋に包装し、本発明の製剤中に混合するまで貯蔵冷蔵することができる。本発明の一実施態様において、製剤中の水の総計は濃縮された生生物の液体で与えられ、生生物の懸濁液を室温を若干上回る温度で維持する。製剤安定化剤および保護剤の乾燥成分を一緒に混合し、次いでゆっくりと生生物の温かい懸濁液に添加する。すべての成分が十分に分散され、均一のスラリーが得られるまで、製剤懸濁液を穏やかなプラネタリーミキサー中にて真空下でゆっくりと撹拌する。
【0064】
[0074]本発明の別の実施態様において、生物活性微生物は乾燥粉末形態であり、製剤成分と予備混合し、乾燥した後、得られた乾燥混合物を室温を若干上回る温度で水に添加する。
【0065】
[0075]生物活性微生物または生物活性材料は、任意の生物活性、例えば、酵素活性、免疫応答の誘発、細胞増殖、感染、細胞成長阻害、細胞成長刺激作用、治療効果、薬理効果、抗菌効果などを提供することができる。生物活性微生物または生物活性材料は、ワクチンまたは治療剤の送達運搬体として有用な死細胞またはリポソームであることができる。本発明の生物活性微生物は、生存ウイルスおよび生存弱毒化ウイルスなどであることができる。
【0066】
[0076]製剤安定化剤は製剤に構造安定性を提供し、および/または生物活性微生物に物理的および化学的保護の利益を提供する。安定化剤は製剤に濃厚な粘性を提供し、本発明の乾燥製剤組成物に真空圧下での膨張特性に対するより良好な制御および構造的強度の増強を提供する。
【0067】
[0077]保護剤は、種々のタンパク質、タンパク質加水分解物、糖、糖アルコール、およびアミノ酸を含むことができる。例えば、スクロースまたはトレハロースなどの糖は生物活性材料を物理的に取り囲み、乾燥プロセス全体を通して分子構造の維持を促し、乾燥状態でのアモルファスマトリクスに構造的な硬さを与えることができる。保護剤は、乾燥中の水和損失の水の代わりを補い、細胞膜の損傷および酵素の変性を防止することができる。保護剤の他の機能は、有害な光、酸素、酸化剤、および湿気への暴露から生物活性材料を保護することを含むことができる。ほとんどの保護剤は、約0.1重量パーセント〜約60重量パーセントの範囲の量で溶液に容易に溶解することができる。
【0068】
[0078]製剤の予備冷却
【0069】
[0079]本発明の製剤は、乾燥プロセスの真空圧を加える前に予備冷却することで、製剤スラリーをさらなる粘性向上、低真空圧下での製剤の膨張のより良好な制御、生物活性微生物または生物活性材料の安定、および/または細胞膜を介した製剤構成成分の浸透促進などの利点を与えることができる。冷却は、当業界における適切な技術によって行うことができる。例えば、冷えた表面との接触および熱伝導や潜熱の損失などによって冷却を行うことができる。典型的には、製剤を容器中で保持するか金属トレイ上に広げ、制御された温度表面または制御温度と均衡状態を保つチャンバーと接触させる。典型的には、本発明の製剤は、その凍結温度を上回る温度(例えば−5℃〜+5℃)に予備冷却することができる。
【0070】
[0080]製剤の第1の乾燥
【0071】
[0081]生存したまたは弱毒化生物などの生物活性微生物の保存のための一般的なプロセスは、膜が損傷し、細胞構成成分が変性することになり得る凍結および真空条件の組み合わせを含む。従来技術は、より高い真空圧(例えば100Torr未満)の使用、特定の凍結保護剤の添加、粘性溶液(シロップ)を得るための濃縮工程、および/または凍結を避けるためのより高い初期温度を教示している。本発明の製剤および方法パラメータの使用によって、これらの制限を解決し、工業的生産高を大幅に改善するより高い乾燥面積あたりの充填能力を可能とする。
【0072】
[0082]本発明の製剤は蒸発によって乾燥する。濃縮または乾燥によって、製剤周囲の気体環境から溶媒(水分)を除去することができる。製剤から溶媒を蒸発することにより、低い真空圧下で製剤の第1の乾燥を促進することができる。製剤の膨張の制御は、溶媒が製剤外に急速に抜け出すことで製剤の第1の乾燥を促進する。製剤の膨張の制御は、乾燥真空を加えたときに残留している溶解ガスを穏やかに脱気すること(沸騰しない)によって達成される。沸騰し、製剤を過剰に泡立たせることは望ましくないが、その理由は、沸騰および/または製剤中の泡の形成に関連したキャビテーションおよび剪断力が封じ込めから解放され、または生物活性微生物に悪影響を与える可能性があるからである。
【0073】
[0083]第1の乾燥が進むにつれ、製剤構造は安定化する。乾燥チャンバー中で供給される熱は、溶媒の蒸発によって起こる潜熱の損失を補い、製剤温度はその凍結温度を上回り10℃以内で維持される。第1の乾燥プロセス中のいくつかの時点で溶媒の蒸発速度は遅くなり、製剤温度は乾燥チャンバー中での過剰な熱供給によって上昇し始める。この点は、本発明での第1の乾燥工程の最後を示す。溶媒が製剤から出るにつれ、液体としての流動を停止するまで溶液中の保護剤は濃縮され、粘性となる。アモルファスおよび/またはガラス状の製剤は、安定な製剤構造を保持する。
【0074】
[0084]第2の乾燥
【0075】
[0085]構造的に安定な製剤の第2の乾燥では、残留した封入または結合水分が除去され、周囲温度での長期貯蔵に安定な組成物が提供される。第2の乾燥は、数時間から数日間での高温および強真空の適用を伴う。好ましい実施態様において、第2の乾燥工程を完了するのに必要な期間は、第1の乾燥工程の倍の期間である。第2の乾燥工程の最後における製剤の水分活性は、Aw0.3未満であることが好ましい。乾燥温度は、約室温〜約70℃の範囲であることができる。多くの生物活性微生物についての典型的な第2の乾燥プロセスは、Aw0.3未満の水分活性を有する安定な乾燥製剤組成物を提供するために、約30℃〜約40℃に温度を上昇させ、約30分間〜約24時間(好ましくは約30分間〜約4時間)保持することを含んでもよい。第2の乾燥の特定の一実施態様において、乾燥温度は、生微生物など、生生物学的材料の活性をさらに保持することができる速度で第1の乾燥条件からゆっくりと上昇させる。水除去速度を増し、残留水分レベルを低減するために、第2の乾燥プロセスで強真空を加えることができる。第2の乾燥中の真空は1Torr未満であることでき、約0.2Torr未満であることが好ましい。
【0076】
[0086]乾燥本発明の方法によって、生物学的に活性な微生物または生物活性材料が得られ、これらはアモルファスガラス状マトリクス内に包まれ、これにより、アモルファスガラス状組成物内での化合物および他の分子の移動性が大幅に低くなることに起因したタンパク質のアンフォールディングおよび極めて遅い分子相互作用または交差活性を抑制する。アモルファス固体がそのガラス転移温度を下回る温度であり、かつ、残留水分が比較的低いままである(すなわちAw0.3未満である)限り、不安定な生物活性微生物は、比較的に安定を保つことができる。いくつかの生物活性微生物または生物活性材料はより結晶状態で非常により良好であり得るので、ガラス状態とすることは長期安定性のための必要条件ではないに留意すべきである。
【0077】
[0087]乾燥粉末の調製
【0078】
[0088]乾燥製剤を一体として用い、所望の形状およびサイズに切断し、または破砕し、微粉化して自由流動粉末にすることができ、これは、湿性または乾燥凝集化、造粒化、錠剤化、圧密化、ペレット化、または任意の他の種類の送達プロセスなどの簡易な下流プロセスを提供する。破砕化(crushing)、微粉砕化(milling)、粉砕(grinding)、または微粉化(pulverizing)のプロセスは、当業界で周知である。例えば、ハンマーミル、インパクトミル、ジェットミル、ピン・ミル、ウィリーミル(Wiley mill)、または同様の粉砕装置を用いることができる。好ましい粒径は、約1000μm未満であり、好ましくは500μm未満である。
【0079】
[0089]本明細書に記載された組成物および方法は、閉じこめられた生物学的に活性な微生物または生物活性材料の生物学的活性を保持する。例えば、組成物に高温(例えば、40℃)および高い湿度(例えば、33%RH)を与え、製剤の生物学的活性を測定することによって組成物の安定性について試験する。生プロバイオティック細菌の例として、これらの研究の結果は、これらの製剤中に製剤化された細菌が少なくとも60日間安定であったことを実証している(図1を参照のこと)。安定性は、1log CFU/gの力価損失(potency loss)の時間として定義される。このような製剤は、高濃度の生物学的に活性な材料を用いた場合でも安定である。したがって、これらの製剤は、室温または室温を上回る温度で長期間出荷および貯蔵することができることにおいて有益である。
【実施例】
【0080】
[0090]以下の例は例示するために提供するが、本発明を限定するものではない。
【0081】
[0091]実施例1
【0082】
[0092]乾燥された予備混合製剤の調製
【0083】
[0093]いくつかの製剤予備混合物を表1に従って調製した。トレハロースは、Cargill(メネソタ州ミネアポリス)から得た。大豆タンパク質単離物は、Fearn Naturalfoods(ウィスコンシン州メクォン)から得た。乳清タンパク質濃縮物は、Agri−Mark Inc.(バーモント州ミドルベリ)から得た。カゼイン加水分解物は、Marcor(ニュージャージー州カールスタッド)から得て、アルギン酸ナトリウムはISP Corp.(ニュージャージー州ウェイン)から得た。すべての成分を一緒に併せ、均一に混合する(表1)。
【0084】
[0094]
表1.製剤予備混合組成物(重量パーセント)
【表1】

【0085】
[0095]実施例2
【0086】
[0096]プロバイオティック細菌を含む安定な乾燥粉末:
【0087】
[0097]ラクトバチルス・アシドフィラス(Lactobacillus Acidophilus)(実験室発酵回収物からの凍結濃縮物100g)を37℃で解凍した。タンパク質加水分解物の予備混合物(10Og、表1)を、ジャケット付きデュアルプラネタリーミキサー(DPM、lqt、Ross Engineering,Inc.ジョージア州サバナ)中でプロバイオティック細菌の解凍スラリーにゆっくりと添加した。混合は、穏やかな真空下(25Torr)にて40RPMおよび37℃で10分間行った。均質なスラリーを200g/sqftの充填能力で一様にトレイ上に広げ、トレイを凍結乾燥器(Model 25SRC、Virtis、ニューヨーク州ガージナー)の棚上に置いた。棚の温度は、スラリーを冷却する一方で凍結させないために、スラリーの凍結温度を上回って−5℃で設定した。製剤温度が約−1℃に達したときに、真空圧(3Torr)を加えた。真空が約7Torrに達したときに、スラリーは徐々に脱気し始めた。真空が3Torrに達したとき、棚の温度を50℃に上昇させた。第1の乾燥工程の最初の50分間、製剤温度を約−1℃〜約+5℃で維持した。製剤温度が+10℃に上昇したとき、第2の乾燥工程を開始した。0.1Torrの最大真空度を加えたが、棚の温度は50℃を維持し続けた。第2の乾燥工程をさらに100分間継続し、その時点で、乾燥プロセスを終了させ、乾燥製剤を凍結乾燥器から除いた。この時点での乾燥製剤の水分活性は、Hygropalm Awl機器(Rotonic Instrument Corp.、ニューヨークハンチントン)によって測定したところ、Aw=0.23であった。
【0088】
[0098]製剤調製および乾燥プロセス中の生存能力の損失を図9に示した。製剤調製中の生存能力の損失は0.26logであり、乾燥プロセス中の生存能力の損失は0.34logであり、全累積損失は0.6logであった。
【0089】
[0099]図10は、37℃および33%RHの促進された貯蔵条件下での乾燥製剤の貯蔵安定性を示している。これらの貯蔵条件で4週間後、本発明の製剤中で安定化されたプロバイオティック細菌の生存能力の損失は、ほんの0.8logであった。
【0090】
[00100]実施例3
【0091】
[00101]ヒドロゲル製剤の調製:
【0092】
[00102]濃縮したプロバイオティックスラリーを例2に従って調製したが、表1の乳清タンパク質予備混合物を用いた。このスラリーに、二塩基リン酸カルシウム0.5g、続いてグルコノラクトン0.5gを添加した。スラリーを室温で次の2時間にわたって硬化し、固体ヒドロゲルを形成した。市販のスライサー/粉砕機を用いて、硬いゲルをスライスして薄くて長い糸にした。薄い糸を200g/sqftの充填能力でトレイ上に充填し、例2に記載したように、乾燥のために凍結乾燥器に置いた。0.1Torrの最大真空度を確立してから4時間後、乾燥生成物を凍結乾燥器から取り出した。製剤の水分活性(Aw)は、0.05であった(HygroPalm Awl,Rotonic ニューヨーク州ハンチントン)によって測定した。標準のハンマーミル装置を用いて乾燥製剤をさらに砕いて細粉末とし、50〜250マイクロスクリーンを通して篩にかけた。図11は、本発明に従ってヒドロゲル製剤から安定な乾燥製剤を製造する方法のフローチャートを表す。
【0093】
[00103]実施例4
【0094】
[00104]プロバイオティックペットフードの調製:
【0095】
[00105]市販のペレット化されたイヌ用ペットフードを対流オーブンで乾燥して0.1の水分活性とし、次いで、例3に記載のように調製した安定なプロバイオティック乾燥製剤でコーティングする。乾燥ペレットを約5%の油脂ベースの水分バリア(40%ニワトリ油脂、40%カカオ脂、および20%蜜蝋の混合物)で噴霧し、ドラムタンブラ−中で乾燥粉末製剤(通常、ペットフード全体の0.1〜0.5%であり、これは10CFU/gの投与量を提供する)と混合し、最後に油脂ベースの水分バリアの追加コーティングで噴霧する。コーティングの合計量は(ペットフードの)約15%である。コーティング時間は約30分である。
【0096】
[00106]実施例5
【0097】
[00107]いくつかのプロバイオティック微生物を含む魚用食餌(fish food)の調製:
【0098】
[00108]本発明によるペレット化された魚用食餌をいくつかのプロバイオティックの混合物を用いて調製した。ラクトバチルス・ラムノサス(L.rhamnosus)、ラクトバチルス・アシドフィラス(L.acidophilus)、およびビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)の混合物を含む安定な乾燥プロバイオティック製剤を例2で記載したように調製した。市販のサケ用の出発食餌(Zeigler Bros.、ペンシルベニア州ガードナー)を対流オーブン中でまず乾燥して0.1の水分活性とし、次いでドラムタンブラー中でプロバイオティック製剤でコーティングした。最初に、ペレット(100g)を約5重量%の油脂ベースの水分バリア(40%魚油、40%カカオ脂、および20%蜜蝋の混合物)で噴霧し、次いで安定な乾燥プロバイオティック製剤1gと混合して(10cfu/gの食餌の用量とするため)、最後に油脂ベースの水分バリアの追加コーディングで噴霧した。コーティングの合計量は、魚用食餌の約10%であった。
【0099】
[00109]実施例6
【0100】
[00110]本発明の乾燥製剤を含む幼児製剤(infant formula):
【0101】
[00111]Lactobacillus GG(Valio Corp、フィンランド)を含む安定な乾燥製剤を例2に従って調製し、続いて篩にかけて2つの粒径群(50μm超〜150μm未満)とする。幼児製剤は、Nutramigen(MeadJohnson;イリノイ州エバンズビル)99gを小さいサイズ粒子(50μm未満)0.1gと混合することによって調製する。最終の生成物は、幼児製剤100gあたり約10cfuのLactobacillus GGを含有する。
【0102】
[00112]実施例7
【0103】
[00113]酵素を含む安定な乾燥粉末:
【0104】
[00114]40重量パーセントのサビナーゼ(Savinase)(Novozymes、デンマーク)を含むヒドロゲル製剤を、水溶液100g中、穏やかな真空下で、タンパク質加水分解物の製剤予備混合物(表1)60gおよびサビナーゼ40gを混合することによって調製する。湿性製剤を真空オーブン中で50℃の乾燥温度で乾燥する。乾燥した製剤の充填および貯蔵安定性の決定のため、乾燥試料を微量遠心機チューブ中で正確に重量測定する(<100mg)。ジメチルスルホキシド(DMSO)200μlを添加する。製剤をボルテックスによってDMSO緩衝液に溶解する。この試料に0.05N NaOH、0.5%SDS、および0.075Mクエン酸(三ナトリウム塩)を含む溶液0.8mlを添加する。チューブを45℃で10分間超音波処理し、続いて5,000rpmで10分間簡単に遠心分離する。透明なDMSO/NaOH/SDS/クエン酸塩の溶液のアリコートをマイクロプレートのウエルに入れ、Bradfordアッセイ法を用いてタンパク質含量を分析する。安定な酵素製剤の貯蔵安定性は、本発明の製剤がない乾燥酵素より顕著に高い。
【0105】
[00115]実施例8
【0106】
[00116]ビタミンAを含む安定な乾燥粉末:
【0107】
[00117]50重量パーセント(BASF Corp.、ニュージャージー州フローラムパーク)のビタミンAを含むヒドロゲル製剤を、25Torr真空下で水溶液100g中の大豆タンパク質製剤予備混合物(表1)50gおよびビタミンA粉末5Ogと混合することによって調製する。湿性製剤を−5℃に予備冷却し、次いで200g/sqftの充填能力でトレイ上に広げ、真空オーブン中において3Torrの初期真空圧および70℃の温度で乾燥し、続いて製剤温度が5℃に達したときに70℃での0.2Torrの最大の真空工程で乾燥する。
【0108】
[00118]実施例9
【0109】
[00119]侵襲性種の餌の調製:
【0110】
[00120]本発明による特に標的とする侵襲性種のペレット化された餌を殺虫剤を含有させて調製する。表1の乳清タンパク質予備混合物を水200gmに添加する。この溶液に、ロテノン90gmおよび二塩基リン酸カルシウム0.5gm、続いてグルコノラクトン0.5gmを添加する。スラリーを室温で2時間にわたって硬化する。スライサー/粉砕機により硬いゲルをスライスして、薄くて長い糸とする。薄い糸をトレイ上で充填し、真空オーブン乾燥器に置く。0.10の水分活性達成後に乾燥を止める。乾燥製剤を粉砕して、標的とする特定種のための餌のサイズ特定に適したサイズ分布とする。
【0111】
[00121]実施例10
【0112】
[00122]水溶性製剤における保護殺虫剤の調製:
【0113】
[00123]貯蔵中に製剤中の他の成分による分解を受け得る殺虫剤の可溶性の粒状保護製剤を本発明の方法によって調製する。表1の大豆タンパク質予備混合物を水200gに添加する。この溶液に影響を受け易い製剤化された殺虫剤の乾燥製剤80gを添加する。スラリーを真空オーブン乾燥器に移し、乾燥して0.1の水分活性とする。乾燥製剤を粉砕して所望のサイズとし、包装する。
【0114】
[00124]実施例11
【0115】
[00125]水溶性製剤中の保護された殺虫剤の調製:
【0116】
[00126]貯蔵中に製剤中の他の成分によって分解を受け得る殺虫剤の保護された不溶性の粒状製剤を本発明の製剤および方法に従って調製する。表1の大豆タンパク質予備混合物を水200gに添加する。この溶液に影響を受け易い殺虫剤の乾燥製剤90g、および二塩基リン酸カルシウム0.5g、続いてグルコノラクトン0.55gを添加する。スラリーを室温で2時間にわたって硬化し、次いでスライサー/粉砕機によりスライスして薄くて長い糸とする。薄い糸をトレイ上で充填し、真空オーブン乾燥器に置いて0.10の水分活性とする。乾燥製剤をさらに粉砕して所望のサイズ分布とし、包装する。
【0117】
[00127]実施例12
【0118】
[00128]乾燥したラクトバチルス・ラムノサスGG(Lactobacillus Rhamnosus GG)10グラムを例1のタンパク質加水分解物予備混合物(表1)100gと混合する。この乾燥混合物をジャケット付きデュアルプラネタリーミキサー中で35℃で脱イオン水100gmにゆっくりと添加し、40rpmで10分間混合する。均質なスラリーを100gm/sqftの充填能力で一様にトレイ上に広げ、トレイを凍結乾燥器(Model 25SRC、Virtis、ニューヨーク州ガージナー)の棚上に置く。棚の温度を5℃に設定し、スラリーを冷却する。真空を加えて3Torrに減圧し、その時点で棚の温度を30℃に上昇させる。2時間後、圧力をさらに150milliTorrに低減し、棚の温度を30℃で保持する。乾燥をさらに3時間継続し、その時点で生成物温度は棚の温度の2℃以内に上昇する。次いで乾燥生成物を凍結乾燥器から取り除き、この時点での乾燥製剤の水分活性をHygropalm Awl機器によって測定する。製剤調製および乾燥プロセス中の生存能力の損失を測定し記録する。乾燥製剤の貯蔵安定性試験を32℃および20%RHの促進された貯蔵条件下で行う。
【0119】
[00129]30℃での試験の結果、および40℃で同じく繰り返した結果を以下に示す。
【表2】

【0120】
[00130]実施例13
【0121】
[00131]乾燥したラクトバチルス・ラムノサスGG(Lactobacillus Rhamnosus GG)20グラムを例1の乳清タンパク質予備混合物100gと混合する。この乾燥混合物をジャケット付きデュアルプラネタリーミキサー中、35℃で脱イオン水100gmにゆっくりと添加し、40rpmで10分間で混合する。均質なスラリーを100gm/sqftの充填能力で一様にトレイ上に広げ、トレイを凍結乾燥器(Model 25SRC、Virtis、ニューヨーク州ガージナー)の棚上に置く。棚の温度を5℃に設定し、スラリーを冷却する。真空を加えて3Torrに減圧し、この時点で棚の温度を30℃に上昇させる。2時間後、圧力をさらに150milliTorrに低減し、棚の温度を30℃で維持しておく。乾燥をさらに3時間継続し、その時点で生成物温度は棚の温度の2℃以内に上昇する。次いで乾燥生成物を凍結乾燥器から取り除き、この時点での乾燥製剤の水分活性をHygropalm Awl機器によって測定する。製剤調製および乾燥プロセス中の生存能力の損失を測定し記録する。
【0122】
[00132]乾燥製剤の貯蔵安定性試験を32℃および20%RHの促進された貯蔵条件下で行う。
【0123】
[00133]30℃での試験の結果、および同様に繰り返すが40℃で行った結果を以下に示す。
【表3】

【0124】
[00134]実施例14
【0125】
[00135]乾燥したラクトバチルス・アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus)10グラムをトレハロース10gmと混合し、簡易に取りのけておく一方、トレハロース65.3gm、アルギン酸ナトリウム3gm、イヌリン5gm、および乳清加水分解物16.7gmを乾燥粉末として混合し、ジャケット付きデュアルプラネタリーミキサー中、35℃で脱イオン水100gmにゆっくりと添加し、40rpmで5分間混合する。このスラリーにラクトバチルス・アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus)およびトレハロース乾燥予備混合物を添加し、混合を35℃でさらに5分間継続する。均質なスラリーを100gm/sqftの充填能力で一様にトレイ上に広げ、トレイを凍結乾燥器(Model 25SRC、Virtis、ニューヨーク州ガージナー)の棚上に置く。棚の温度を5℃に設定し、スラリーを冷却する。真空を加えて3Torrに減圧し、その時点で棚の温度を30℃に上昇させる。2時間後、圧力をさらに150milliTorrに低減し、棚の温度を30℃に保持する。乾燥をさらに3時間継続し、その時点で生成物の温度は棚の温度の2℃以内に上昇する。乾燥生成物を凍結乾燥器から取り除き、この時点での乾燥製剤の水分活性をHygropalm Awl機器を用いて測定する。製剤調製および乾燥プロセス中の生存能力の損失を測定し記録する。乾燥製剤の貯蔵安定性試験を32℃および20%RHの促進された貯蔵条件下で行う。乾燥器を30℃で維持する試験結果を乾燥器を50℃で維持するものと比較して以下の表に示す。
【表4】

【0126】
[00136]実施例15
【0127】
[00137]乾燥したラクトバチルス・アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus)10グラムをトレハロース10gmsと混合し、簡易に取りのけておく一方、トレハロース65.3gm、アルギン酸ナトリウム3gm、イヌリン5gm、および乳清加水分解物16.7gmを乾燥粉末として混合し、ジャケット付きデュアルプラネタリーミキサー中、50℃で脱イオン水100gmにゆっくりと添加し、40rpmで5分間混合する。スラリーを4℃に冷却する。この冷却したスラリーにラクトバチルス・アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus)およびトレハロース予備混合物を添加し、混合を4℃でさらに5分間継続する。均質なスラリーを100gm/sqftの充填能力で一様にトレイ上に広げ、トレイを凍結乾燥器(Model 25SRC、Virtis、ニューヨーク州ガージナー)の棚上に置く。棚の温度を5℃に設定し、冷却スラリーの温度を維持する。真空を加えて3Torrに減圧し、その時点で棚の温度を30℃に上昇させる。2時間後、圧力をさらに150milliTorrに低減し、棚の温度を30℃で保持する。乾燥をさらに3時間継続し、その時点で生成物温度は棚の温度の2℃以内に上昇する。乾燥生成物を凍結乾燥器から取除く。この時点での乾燥製剤の水分活性は、Hygropalm Awl機器によって測定すると、Aw=O.23である。製剤調製および乾燥プロセス中の生存能力の損失は、合計で0.6logである。
【0128】
[00138]実施例16
【0129】
[00139]大豆予備混合物100グラムをジャケット付きデュアルプラネタリーミキサー中、35℃で脱イオン水100gmにゆっくりと添加し、40rpmで10分間混合する。乾燥したBifidobacterium lactis Bb−12 10グラムを20rpmで混合しながらゆっくりと添加し、スラリーをさらに5分間混合する。均質なスラリーを100gm/sqftの充填能力で一様にトレイ上に広げ、トレイを凍結乾燥器(Model 25SRC、Virtis、ニューヨーク州ガージナー)の棚上に置く。棚の温度を5℃に設定し、スラリーを冷却する。真空を加えて3Torrに減圧し、この時点で棚の温度を30℃に上昇させる。2時間後、圧力をさらに低減して150milliTorrとし、棚の温度をさらに30℃に保持する。乾燥をさらに3時間継続し、その時点で生成物温度は棚の温度の2℃以内に上昇する。乾燥生成物を凍結乾燥器から取り除き、この時点での乾燥製剤の水分活性は、Hygropalm Awl機器によって測定すると、Aw=O.26である。製剤調製および乾燥プロセス中の生存能力の損失は、合計で0.7logである。
【0130】
[00140]32℃および20%RHの促進された貯蔵条件下での乾燥製剤の貯蔵安定性試験は、本発明の製剤中の安定化されたプロバイオティック細菌の生存能力の損失が4週後にほんの0.7logであることを示している。
【0131】
[00141]実施例17
【0132】
[00142]Rossミキサー中で混合を行うことを除いて、実施例1と同じパラメータを25インチの真空下で用い、1.2gm/ccのスラリー密度とする。この時点での乾燥製剤の水分活性は、Hygropalm Awl機器によって測定するとAw=O.26である。製剤調製および乾燥プロセス中の生存能力の損失は、合計で0.5logである。
【0133】
[00143]32℃および20%RHの促進された貯蔵条件下での乾燥製剤の貯蔵安定性試験により、本発明の製剤中の安定化されたプロバイオティック細菌の生存能力の損失は4週後にほんの0.7logであることが示される。
【0134】
[00144]実施例18
【0135】
[00145]LGG細菌のフレッシュな液体濃縮物(10%の固体および残りは水を含む)100グラムをジャケット付きデュアルプラネタリーミキサーに添加し、35℃に温める。これに乳清予備混合物100g(表1)をゆっくりと添加する。得られたスラリーを40rpmで10分間混合する。均質なスラリーを100gm/sqftの充填能力で一様にトレイ上に広げ、トレイを凍結乾燥器(Model 25SRC、Virtis、ニューヨーク州ガージナー)の棚上に置く。棚の温度を5℃に設定し、スラリーを冷却する。真空を加えて3Torrに減圧し、その時点で棚の温度を30℃に上昇させる。2時間後、圧力をさらに150milliTorrに低減し、棚の温度を30℃で保持する。乾燥をさらに3時間継続し、この時点で生成物温度は棚の温度の2℃以内に上昇する。乾燥生成物を凍結乾燥器から取除く。この時点での乾燥製剤の水分活性は、Hygropalm Awl機器によって測定するとAw=O.25である。製剤、調製および乾燥プロセス中の生存能力の損失は、全体で0.5logである。32℃および20%RHの促進された貯蔵条件下での乾燥製剤の貯蔵安定性試験は、本発明の製剤中の安定化されたプロバイオティック細菌の生存能力の損失が4週後にほんの4logであることを示している。
【0136】
[00146]実施例19
【0137】
[00147]ラクトバチルス・ラムノサスGG(Lactobacillus Rhamnosus GG)(LGG)100グラムの解凍していない凍結濃縮物およびタンパク質加水分解物予備混合物100gを、ジャケット付きデュアルプラネタリーミキサー(DPM、lpt、Ross Engineering,Inc.、ジョージア州サバナ)に添加した。このプロセスは、凍結濃縮物を最初に解凍することによっても行ってもよい。混合を40RPM、37℃で10分間行った。均質なスラリーを粘性について測定し(Brookfield粘度計、モデル#LVDVEl15、Brookfield Engineering Laboratories,Inc.)、次いで100g/sqftの充填能力で一様にトレイ上に広げた。高粘性範囲についての粘性パラメータは、40OmL Pyrex(登録商標)ビーカー中の試料300g、33〜37℃、スピンドル#64、1.0 RPM速度(ガードレッグ(guard-leg)なしで操作する)とした。次いで、トレイを−4℃冷蔵庫に充填し、30分間冷却した。冷却後、凍結乾燥器(Model 25SRC、Virtis、ニューヨーク州ガージナー)を用いて乾燥を始め、全体にわたって棚の温度を30℃に設定し、少なくとも2.5時間2800mTorrの圧力を用いた。少なくとも2.5時間後、圧力を少なくとも別の2.5時間100mTorrに下げた。この実験を2つの異なるLGG発酵バッチを用いて繰り返し、3%DMVで一方のバッチを洗浄し、脱イオン水で還元した後、加水分解物予備混合物を添加した。
【表5】

【0138】
[00148]中程度の粘性範囲についての粘性パラメータは、40OmL Pyrex(登録商標)ビーカー中の試料300g、33〜37℃、スピンドル#64、5.0 RPM速度(ガードレッグ(guard-leg)なしで操作する)とした。
【表6】

【0139】
[00149]実施例20
【0140】
[00150]ラクトバチルス・ラムノサスGG(Lactobacillus Rhamnosus GG)(LGG)100グラムの凍結濃縮物を37℃で解凍し、ジャケット付きデュアルプラネタリーミキサー(DPM、lpt、RossEngineering,Inc.、ジョージア州サバナ)に添加した。これに、タンパク質加水分解物予備混合物100gを添加した。解凍してない凍結濃縮物を用いてもよい。混合を40RPMおよび37℃で10分間行い、次いでスラリーを100g/sqftの充填能力で一様にトレイ上に広げた。次いでトレイを−4℃冷蔵庫に充填し、30分間冷却した。冷却後、凍結乾燥器(Model 25SRC、Virtis、ニューヨーク州ガージナー)を用いて乾燥を始め、全体にわたって棚の温度を30℃に設定し、圧力を少なくとも2.5時間2800mTorrとした。少なくとも2.5時間後、圧力を少なくとも別の2.5時間100mTorrに下げた。この同じプロセスを乾燥(粉末化)LGG材料10gに適用し、これをタンパク質加水分解物100gに混合した。次いで、この乾燥混合物をジャケット付きデュアルプラネタリーミキサー中の脱イオン水90gにゆっくりと添加した。
【表7】

【0141】
[00151]実施例21
【0142】
[00152]酵素を含む安定な乾燥粉末:
【0143】
[00153]乾燥粉末形態のタンパク質分解酵素(Novozymes、デンマーク)40グラムを大豆予備混合物60g(表1)と混合する。この乾燥混合物をジャケット付きデュアルプラネタリーミキサー中で35℃で脱イオン水100gにゆっくりと添加し、40rpmで10分間混合する。均質なスラリーを100gm/sqftの充填能力で一様にトレイ上に広げ、トレイを凍結乾燥器(Model 25SRC、Virtis、ニューヨーク州ガージナー)の棚上に置く。棚の温度を5℃に設定し、スラリーを冷却する。真空を加えて3Torrに減圧し、その時点で棚の温度を60℃に上昇させる。1時間後、圧力をさらに150milliTorrを低減し、棚の温度を60℃で保持する。乾燥をさらに1時間継続し、この時点で生成物温度は棚の温度の2℃以内に上昇する。乾燥生成物を凍結乾燥器から取除く。乾燥製剤の充填および貯蔵安定性の決定のために、乾燥試料を微量遠心機チューブにおいて正確に重量測定し(<100mg)、ジメチルスルホキシド(DMSO)200μgを添加する。製剤をボルテックスによってDMSO緩衝液に溶解する。この試料に0.05N NaOH、0.5% SDSおよび0.075M クエン酸(三ナトリウム塩)を含む溶液0.8mlを添加する。チューブを45℃で10分間超音波処理し、続いて5,000rpmで10分間簡単な遠心分離を行う。透明なDMSO/NaOH/SDS/クエン酸塩溶液のアリコートをマイクロプレートのウエルに入れ、Bradfordアッセイ法を用いてタンパク質含量を分析する。安定な酵素製剤の貯蔵安定性は、本発明の製剤がない乾燥酵素のものより顕著に高い。
【0144】
[00154]参照文献
【0145】
[00155]本明細書で引用する参照文献の内容は、すべての目的のために参照により援用する。
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)フレッシュな粉末、凍結粉末、または乾燥粉末としての生物活性微生物または生物活性材料、(ii)少なくとも2種の安定化剤、および(iii)少なくとも2種の保護剤を含む組成物であって、前記生物活性微生物または生物活性材料の液状乾燥および安定化に好適である、組成物。
【請求項2】
全固形分が、約30重量パーセント〜約70重量パーセントの範囲である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記生物活性微生物または生物活性材料が、細胞、細菌、ウイルス、培養物、プロバイオティック、酵母、藻類、タンパク質、組換えタンパク質、酵素、ペプチド、ホルモン、ワクチン、薬剤、ビタミン、ミネラル、殺微生物剤、殺真菌薬、除草剤、殺虫剤、または殺精子剤から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記安定化剤が、多糖類および/またはオリゴ糖である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記多糖類は、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、カルボキシ−メチル−セルロース、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸塩、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース、カラゲナン、グアールガム、アラビアゴム、キサンタンガム、イナゴマメガム、キトサンおよびキトサン誘導体、コラーゲン、ポリグリコール酸、デンプンおよび変性デンプン、シクロデキストリン、ならびにそれらの組み合わせから選択される、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記オリゴ糖が、イヌリン、マルトデキストリン、デキストラン、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
前記安定化剤が、約1重量パーセント〜約20重量パーセントの範囲の量で存在する、請求項4に記載の組成物。
【請求項8】
前記保護剤が、溶液に容易に溶解し、水と接触したときに粘度が高くならずまたは重合しない、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記保護剤が、タンパク質、例えば、ヒトおよびウシ血清アルブミン、卵アルブミン、ゼラチン、免疫グロブリン、単離大豆タンパク質、コムギタンパク質、スキムミルク粉末、カゼイン塩、乳清タンパク質、エンドウ豆タンパク質、および任意のタンパク質加水分解物;単糖(ガラクトース、D−マンノース、ソルボースなど)、二糖類(ラクトース、トレハロース、スクロースなど)、シクロデキストリンを含む炭水化物;アミノ酸、例えば、リシン、グルタミン酸モノナトリウム、グリシン、アラニン、アルギニン、またはヒスチジン、および疎水性アミノ酸(トリプトファン、チロシン、ロイシン、フェニルアラニンなど);メチルアミン、例えば、ベタイン;賦形剤の塩、例えば、硫酸マグネシウム;三価以上の糖アルコールなどのポリオール、例えば、グリセリン、エリスリトール、グリセロール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、およびマンニトール;プロピレングリコール;ポリエチレングリコール;プルロニック;界面活性剤;ならびにそれらの組み合わせである、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記保護剤が、約1重量パーセント〜約80重量パーセントの範囲の量で存在する、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記保護剤の総量が、20〜70重量パーセントである、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
請求項1に記載の安定な乾燥粉末組成物を調製する方法であって、
(i)真空下において、フレッシュな粉末、凍結粉末、または乾燥粉末の形態の生物活性微生物または生物活性材料、乾燥安定化剤、および乾燥保護剤を水性溶媒中で合わせ、
(ii)前記工程(i)の混合物をその凍結温度を上回る温度に冷却し、
(iii)真空下でその凍結温度を上回る温度で蒸発することにより、前記冷却した混合物の第1の乾燥を行い、
(iv)前記混合物の水分活性を−0.3以下のAwに低減するのに十分な期間、20℃以上の温度で前記混合物の第2の乾燥を行うこと
を含む、方法。
【請求項13】
前記混合物を、乾燥前にその凍結温度を上回る温度に冷却する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記混合物の乾燥が、蒸発によって行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の乾燥工程中の混合物の温度が、その凍結温度を上回る、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記混合物の温度がその最初の乾燥温度を少なくとも10℃上回って上昇したときに、前記第2の乾燥工程を開始する、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の乾燥工程中の残留溶媒の蒸発速度が、前記温度および/または真空圧を上昇させることによって増す、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記製剤の水分活性を−0.3以下のAwに低減するのに十分な時間、前記混合物を乾燥する、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記乾燥した混合物を切断し、破砕し、微粉砕化し、またはそれぞれ微粉化して自由流動粉末とする、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記乾燥した混合物の粒径が、約1000μm未満である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記還元された液体として、または細粉末として、および食品または食餌品として前記組成物を哺乳動物に投与することをさらに含む、請求項12に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2012−527898(P2012−527898A)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513183(P2012−513183)
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【国際出願番号】PCT/US2010/036098
【国際公開番号】WO2010/138522
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(504102530)アドバンスド バイオニュートリション コーポレーション (8)
【Fターム(参考)】