説明

生物活性剤の生体内送出用デバイスおよびその製造方法

本発明は、生体内にて制御される体内の部位への生物活性剤の送出のための植込み可能な構造要素からなる。植込み可能な構造要素は、管腔内ステント、心臓弁、骨インプラント等、植込み可能な人工器官として構成することができ、人工器官であり、また生物活性剤の担体でもあるという2重機能を発揮する。生物活性剤の溶出の制御は複数の片持ち梁状のカバー部材によって行われ、内因的および外因的刺激によってカバー部材が開き薬剤を溶出させるまでは薬剤が溶出させない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、本発明の譲受人に譲渡され、同時係属中の2001年2月14日に出願された米国特許出願第09/783,633号、2000年11月17日に出願された米国特許出願第09/716,146号、および2000年11月17日に出願された米国特許出願第09/716,146号の一部継続出願である2002年10月17日に出願された米国特許出願第10/258,087号の一部継続出願である。
【0002】
本発明は一般に、管状通路を支持して、さらに生物活性化合物を生体内(in vivo)に送出するための植込み可能なデバイスに関する。より詳細には、本発明は、所定の生理学的イベントに反応して生物活性化合物を自動的に送出するための片持ち梁制御装置(cantilever control)を備えた植込み可能なデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
閉塞性疾患、機能障害、または外傷によって、開通している体内管腔が狭くなり、体内管腔を通る流体または物質の流れまたは通過が制限されることがある。閉塞性疾患の一例は、アテローム性プラークが徐々に蓄積されることによって血管の一部分が閉塞されるアテローム性動脈硬化であり、このプロセスは狭窄ともよばれている。血管狭窄によって血管に機能的な閉塞が生じるときには、血管を開通した状態に回復しなければならない。閉塞した体内管腔を治療するための従来の治療には、組織性プラスミノーゲン活性化因子(TPA)または血管内皮成長因子(VEGF)などの生物活性剤、および血流や随伴して発症する側枝および心筋での虚血を改善する線維芽細胞増殖因子(FGF)遺伝子の導入(例えば、非特許文献1参照)を使用した体内管腔の拡張、妨害物を除去する外科的処置、内在性または外来性の移植片組織の新しい部分による妨害部分の置換、または体内管腔を拡張するバルーンカテーテルや閉塞物質を除去するアテレクトミーカテーテルなどカテーテル取付け式のデバイスの使用がある。バルーンカテーテルによる血管の拡張は、経皮経管的血管形成術とよばれている。血管形成術中、バルーンカテーテルを収縮状態で血管の閉塞部分内に挿入し、何回も拡張および収縮させて、血管を拡張する。バルーンカテーテルの膨張により、血管壁上に形成されたプラークがひび割れし、血管を通る血流を増加させるように血管が拡張する。
【0004】
血管形成術の症例の約60%においては、血管は開通した状態を維持する。しかし再狭窄率は約40%であり、この高さは容認しがたい。血管の再狭窄および開通性の消失を避けるために、血管形成術後に多様な材料、特性、および構成の管腔内ステントが使用されてきた。
【0005】
管腔内ステントの使用によって血管形成術患者の再狭窄率を減少することは成功したが、管腔内ステントを使用していても顕著な再狭窄率は存在し続けることが明らかになった。一般に、ステント留置後再狭窄率の大部分は、ステント上に内皮が再成長しない、またはステントの管腔側面に平滑筋細胞による新生内膜の成長が起きることが原因であると考えられている。動脈管の自然な血栓形成性のない被覆である内皮への損傷は、ステントの原位置での再狭窄の一因となる重大な要因である。内皮の損失によって、血栓形成性の動脈壁タンパク質が露出し、ステンレス鋼、チタン、タンタル、ニチノール等、ステントの製造に慣習的に使用されている多くの人工器官材料の一般的に血栓形成性である性質と相俟って血小板の沈着および凝集作用のカスケードが開始され、それにより、ステントの管腔側面を部分的に覆うものから閉塞性の血栓にまでおよぶ血栓が形成される。さらにステント部位での内皮の損失は、ステムの位置における新生内膜肥厚の発生に関わっている。したがって、植え込まれたデバイスの体液または血液接触面に内皮を形成しながら、動脈壁の迅速な内皮再生をすることは、血管の開通性を維持し、低血流の血栓を防ぐために不可欠であると考えられている。血管形成を実施した場所に再狭窄および血栓形成が起きないようにするために、抗血栓薬および他の生物的活性剤を使用することができる。
【0006】
生物活性剤は、ステントを留置した場所に、ステント植込みと同時に送達することが望ましいと考えられてきた。多くのステントは、ステント植込みの解剖学的部位に生物活性剤を送達するように設計されている。このようなステントのいくつかは、生物活性剤を含浸させた生分解性ステントである。生分解性の含浸ステントの例は、米国特許(特許文献1、2および3参照)に記載されている。米国特許(特許文献4参照)には、他の既知の生物活性剤送達ステントが開示されており、ステント内に編み込まれ、またはステント上に積層されたフィラメントに生物活性剤が含浸されている。米国特許(特許文献5参照)に開示されている親水性ステントは、吸収された生物活性剤を含むことができ、これにはステントの親水性材料内に配設された生物活性剤を含むことができる。米国特許(特許文献6、7、8、9、10、11、12、13、14参照)および欧州特許出願(特許文献15参照)には、他の生物活性剤送達ステントが開示されている。米国特許(特許文献16、17、18、19、20、21、22、23、24、25参照)および国際特許出願(特許文献26参照)には、生物活性剤を管腔内に送達するための他のデバイスが開示されている。米国特許(特許文献27参照)には、方向性放出生物活性剤ステントが開示されており、このステントはらせん状部材の反管腔側面に溝を有するらせん状部材で形成されている。この溝内部に生物活性剤が管腔内送達の前に充填され、したがって生物活性剤が治療する組織に生物活性剤を直接付着する。最後に、国際特許出願(特許文献28参照)には、管状の導管にらせん状ステントが巻きつけられた薬剤送達ステントが開示されている。管状の導管は、導管の長さ全体を延びる単一の連続管腔または二重連続管腔を有する。管状の導管は、導管から薬剤を「滲出(seepage)」させる孔を有する部分または区域を含む。管状の導管の一端は流体送達カテーテルと流体連通しており、これにより薬剤などの流体が連続管腔内に導入されて、孔を通過する。
【0007】
生分解性または非生分解性のポリマー性、またはポリマー被覆ステントが使用される場合、ポリマーから薬剤が溶出すると、ポリマーは免疫性炎症反応の原因となる。したがって、ポリマーを生物活性剤の担体として使用する場合、本発明で達成することができるように、生物活性剤が溶出された後、免疫性炎症反応を抑制するためにポリマーを体組織から隔離することが望ましい。
【0008】
【特許文献1】米国特許第5,500,013号明細書
【特許文献2】米国特許第5,429,634号明細書
【特許文献3】米国特許第5,443,458号明細書
【特許文献4】米国特許第5,342,348号明細書
【特許文献5】米国特許第5,234,456号明細書
【特許文献6】米国特許第5,201,778号明細書
【特許文献7】米国特許第5,282,823号明細書
【特許文献8】米国特許第5,383,927号明細書
【特許文献9】米国特許第5,383,928号明細書
【特許文献10】米国特許第5,423,885号明細書
【特許文献11】米国特許第5,441,515号明細書
【特許文献12】米国特許第5,443,496号明細書
【特許文献13】米国特許第5,449,382号明細書
【特許文献14】米国特許第4,464,450号明細書
【特許文献15】欧州特許出願公開第0528039号明細書
【特許文献16】米国特許第3,797,485号明細書
【特許文献17】米国特許第4,203,442号明細書
【特許文献18】米国特許第4,309,776号明細書
【特許文献19】米国特許第4,479,796号明細書
【特許文献20】米国特許第5,002,661号明細書
【特許文献21】米国特許第5,062,829号明細書
【特許文献22】米国特許第5,180,366号明細書
【特許文献23】米国特許第5,295,962号明細書
【特許文献24】米国特許第5,304,121号明細書
【特許文献25】米国特許第5,421,826号明細書
【特許文献26】国際公開第94/18906号パンフレット
【特許文献27】米国特許第6,071,305号明細書
【特許文献28】国際公開第00/18327号パンフレット
【特許文献29】2003年9月11日公開の米国特許出願公開第2003/0170287号明細書
【特許文献30】2002年4月30日発行の米国特許第6,379,383号明細書
【特許文献31】2003年3月27日公開の米国特許出願公開第2003/0059640号明細書(米国特許出願第10/211,489号明細書)
【非特許文献1】S. Yla-Herttuala, Cardiovascular gene therapy, Lancet, Jan 15, 2000
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
生理学的な管腔(physiological lumen)を支持し、重量な生理学的イベントによって規定される必要に応じて、生物活性剤を自動的に送出することができ植込み可能な医療用デバイスが必要とされている。より詳細には、生物活性剤の送出を制御することができる植込み可能な医療用デバイスが必要とされている。また、重要な生理学的イベントを検出することができて、非侵襲的な方法(noninvasive manner)で生物活性剤を送出するように手動により駆動できる植込み可能な医療用デバイスがさらに必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、概して、植込み可能な医療用デバイスを対象とし、それは、解剖学的通路内に送出可能であり、解剖学的通路(anatomical passageway)の開通性を修復および維持し、解剖学的通路内に生物活性剤を送出可能である。本発明を制限するものではないが、本発明の一般的な使用は、冠動脈および他の血管のステントデバイスであり、それは、カテーテルによるアプローチを使用して体内血管系の部位に経皮的に送達され、所望の部位に植込まれた後に、管腔内の損傷または障害部分での治癒反応を容易にしかつ促進するために、生物活性剤を放出することができる。
【0011】
より詳細には、本発明は1つまたは複数の内因的条件または外因的条件に反応して生物活性剤を送出するようになされている。例えば、薬剤送出を開始させることのできる内因的条件には、それだけに制限はされないが、デバイス上での内皮細胞以外の成長など、ある種の身体的条件、炎症反応、血管壁圧力、またはT細胞やナチュラルキラー細胞の存在を含む。薬剤送出を開始させることのできる外因的条件の非制限的な例としては、RF場、磁場、電磁場、超音波、X線、ポジトロン放出、レーザー、または光子放出の印加などがある。
【0012】
本発明によれば、構造体、好ましくは全体的に管状の部材が提供され、それは、構造体内部の少なくとも1つの内部チャンバまたはキャビティと、構造体を通り、かつ構造体の外壁面と内部チャンバの少なくとも1つとの間を連通する複数の開口と、を有する。複数の片持ち梁部材は、構造体の壁面に設けられ、または形成されて、各片持ち梁部材が複数の開口の少なくとも1つの上に重なって覆うように配置される。
【0013】
複数の片持ち梁部材は、概して、フラップ状の部材からなり、それは、好ましくは形状記憶または超塑性材料から作製されて、2元的機能、すなわち開位置または閉位置のいずれかにある。複数の片持ち梁部材のそれぞれは、温度または圧力など規定された刺激に反応するMEMS(micro-electromechanical systems;微細電子機械システム)デバイスとすることができ、特定の生化学的マーカーに結合親和性を有する反応部分を付着することによって誘導体化することができる。上述のように、片持ち梁部材のそれぞれは2元的機能を有する。第1つまり閉位置において、片持ち梁部材は、少なくとも1つの関連する開口を覆って閉塞し、その開口は、構造体の壁を通り、構造体の内部にて生物活性剤を保持する内部チャンバまたはキャビティと連通する。第2つまり開位置において、片持ち梁はたわみ、関連する1つまたは複数の開口を開き、それにより1つまたは複数の開口から生物活性剤を溶出させる。片持ち梁の第2つまり開位置は、予め定めた刺激の有無の結果として起きる。例えば、第2の位置は、組織の成長または閉塞によって生じる血流の中断または減少が第2の位置を起動するように、血流などの流体圧力に反応的にすることができる。あるいは、第2の位置は、超音波共鳴による誘導など熱誘導が第2の位置を起動させることができるように、温度に反応的にすることができる。
【0014】
片持ち梁部材がその開位置をとった後、内部チャンバまたはキャビティから、および開いた複数の開口からの生物活性剤の溶出は、多くの機構によって生じさせることができ、それは制限されないが、自然の流れ、給送またはパルスによる流れ、浸透圧を利用した拡散、毛管現象拡散、変位による流れなどを含む。
【0015】
本明細書で使用される「生物活性剤(bioactive agent)」という用語は、薬理学的に受容可能な担体および任意で抗酸化剤、安定剤、浸透強化剤等の追加成分と併用することができる、1つまたは複数の薬理学的活性化合物を含むものである。本明細書で使用される「薬理学的活性剤(pharmacologically active agent)」および「生物活性剤(bioactive agent)」という用語は、「薬剤(drug)」と同義で使用される。本発明で使用することのできる生物活性剤の例は、それだけに制限はされないが、抗ウイルス剤、抗生物質、ステロイド、フィブロネクチン、抗血栓薬、抗血小板機能薬、管腔内壁面での平滑筋細胞の成長を防ぐ薬剤、ヘパリン、ヘパリンフラグメント、アスピリン、コーマディン、組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)、ウロキナーゼ、ヒルジン、ストレプトキナーゼ、メソトレキサートなどの増殖抑制剤、シスプラチン、フルオロウラシル、アドリアマイシン、アスコルビン酸などの抗酸化剤、ベータカロチン、ビタミンE、代謝拮抗物質、トロンボキサン阻害剤、非ステロイドおよびステロイド抗炎症薬、免疫抑制剤、ベータおよびカルシウムチャネルブロッカー、DNAおよびRNAフラグメントを含む遺伝物質,完全発現遺伝子、抗体、リンフォカイン、血管内皮成長因子(VEGF)および線維芽細胞成長因子(FGF)などの成長因子、プロスタグランジン、ロイコトリエン、ラミニン、エラスチン、コラーゲン、酸化窒素(NO)、インテグリン、パクリタキセル、タキソール、ラパマイシン、米国特許(特許文献29参照)に開示されたものなどのラパマイシン誘導体、シロリムス、ラパミューン、タクロリムス、デキサメタゾン、エベロリムス、ABT−578(mTOR細胞周期調節タンパク質を阻害するラパマイシン類似体)、およびVEG−Fなどの成長因子を含む。
【0016】
本発明の他の態様は、直径を変更可能な構造部材を提供することである。構造部材は、円筒、管、平面、球、曲線、または、特別なインプラント用途に所望されかつ適する他の一般的な形状をとることができる。例えば、本発明によれば管腔内ステントが提供され、それは、一般にストラット(strut)とよばれる複数の相互連結された部材、または管腔内ステントに全体的に管状の形状を形成する周方向リングから形成される。複数の相互連結部材の少なくともいくつかは、その相互連結部材の内部や上部またはそれらの連結部材に形成された少なくとも1つの内部キャビティと、内部キャビティとステント外部とを連通する少なくとも1つの開口と、を有する方法で作製される。本発明で企図される代替的な種類の植込み可能なデバイスには、それだけに制限はされないが、カバードステント、ステントグラフト、グラフト、心臓弁、静脈弁、フィルタ、閉塞デバイス、カテーテル、骨インプラント、植込み可能な避妊具、植込み可能な抗腫瘍ペレットまたはロッド、または他の植込み可能な医療用デバイスがある。
【0017】
本発明の一態様には、生物活性剤を送出するためのステントがあり、一般に複数の構造要素からなり、それらの少なくともいくつかは、生物活性剤を維持する内部キャビティと、内部キャビティと構造要素の表面のとの間を通って、内部キャビティからステント外部へ生物活性剤を連通させる開口と、を有する。本明細書に説明した以外、本発明は、特定の形状、材料、材料特性またはステント構成に依存しない。
【0018】
本発明の別の態様は、植込み可能な医療用デバイス、より詳細には片持ち梁上に組み込むことができて、内因的または外因的刺激のいずれかを監視または検出するセンサに関する。内因的刺激は、一般に、平滑筋細胞の増殖、内皮形成、プラーク形成、生化学的変化、細胞または細胞表面タンパク質の結合等の生理学的イベントである。センサは好ましくは、モノリシックな単層材料または多層膜のいずれかとして薄膜の真空蒸着によって作製され、膜の少なくとも一部分は、流体流、流体流速、温度、圧力、または体内の化学種または生化学種の有無の変化の少なくとも1つを、機械的、電気的、化学的、電気化学的または電子機械的手段を使用して感知することができる。
【0019】
具体的にセンサは、臨床的に重大な生理学的イベントを、体内の通路に表れる物理的、化学的または電気的エネルギーの差異に基づいて監視することができる。例えば、本発明のセンサを使用して、血流量、血流速度、圧力、電気エネルギー、生化学的相互作用、温度、または、ステントや他の種類の管腔内導管などの管腔内インプラントが管腔内に付着した程度および種類に対する重大な変化を感知することができる。また本発明は、感知または監視されたパラメータに反応して管腔内インプラントの機械的および/または物理的特性を調節する手段も提供する。例えば、監視された管腔内デバイスを通る血流量が生理学的基準を下回ると判断され、および/または、血圧が生理学的基準を上回ると判断された場合、ステントなどの植込み可能な医療用デバイスは、自動的または手動的制御に関わらず、選択された生物活性剤の放出を開始させることができる。
【0020】
本発明の一態様において、センサは、所定のイベントを示す刺激を検出するように、植込み可能なデバイス周辺の環境を監視することができる。好ましい態様において、センサは、複数の片持ち梁部材の上、またはそれに関連付けて作製される。特定のイベントを検出すると、信号を植込み可能なデバイスに送ることができ、次いで植込み可能なデバイスは、片持ち梁を閉位置から開位置になるように変形を開始させる。変形すると、選択された生物活性剤を局所的な環境へと放出することができる。
【0021】
本発明の別の態様において、センサは、所定の刺激を単に監視する代わりに、それを検出することもでき、センサは、片持ち梁に信号を送るか、またはエネルギーを伝達して、片持ち梁に、閉位置から開位置になるように物理的変形を引き起こす。好ましくは、片持ち梁は、センサそのものとして作用するように作製され、片持ち梁がエネルギーを一因とするイベントを検出すると、片持ち梁がエネルギーを一因とするイベントに反応して、閉位置から開位置になるよう物理的変形を起こすようになっている。
【0022】
本発明の別の実施形態によると、本発明によるセンサは、植込み可能な管腔内デバイスの少なくとも1つの部分を含み、そのデバイスは、異なる弾性、塑性、または応力−ひずみ行動の係数などに異なる機械特性を有する複数の片持ち梁部材から形成される。本発明に現在企図される最良の実施形態によると、片持ち梁部材は、好ましくは超塑性材料から作製される。形状記憶片持ち梁部材(shape-memory cantilever member)と同様に、超塑性片持ち梁部材(superelastic cantilever member)は、血液に接触するステントの管腔側面、または血管の新生内膜組織に接触するステントの反管腔側面など、植込み可能デバイスの流体接触面または組織接触面のいずれかに配置することができる。あるいは、植込み可能デバイスの流体接触面および組織接触面の両方にセンサを配置することができる。形状記憶片持ち梁センサと異なり、超塑性片持ち梁センサは、センサにかかるせん断力など力の変化に反応する。
【0023】
形状記憶片持ち梁部材センサ(shape-memory cantilever members sensor)および超塑性片持ち梁部材センサ(superelastic cantilever members sensor)では、複数の片持ち梁部材のそれぞれは、閉位置または開位置をそれぞれ示す第1および第2の位置を有する。各片持ち梁部材の第1すなわち「閉」位置は、センサが配置される管腔内デバイスの面と同一平面すなわち同じ面一にある。第2すなわち「開」位置において、起動された各片持ち梁部材は、センサが配置される管腔内デバイスの面から、それぞれ外向きに突き出る。異なる片持ち梁部材または片持ち梁部材の群は、異なる遷移温度または異なる応力−ひずみ特性のいずれかを有するように作製されるので、第2すなわち「開」位置にある個別の片持ち梁部材または片持ち梁部材の群は、管腔内デバイスが植え込まれた体内に存在する所与の熱または応力−ひずみ状態を表して、内部キャビティに収容された生物活性剤の放出を可能にする。
【0024】
本発明の1つの特別の実施形態において、本発明の管腔内デバイスは温度センサを含み、そのセンサは、管腔内デバイスの近位、遠位、または中間部分の少なくとも1つの上に配置されて、管腔内デバイスの管腔側壁面または反管腔側壁面の少なくとも1つの上に配置される。検出を容易にするために、片持ち梁部材の複数の群が設けられ、各群は複数の個別の片持ち梁部材によって形成され、群の個別の片持ち梁部材のそれぞれは同一の偏移温度を有する。複数の片持ち梁部材の群は、異なる遷移温度を有する片持ち梁部材の群の連続体を形成するように、管腔内デバイスの長手方向軸に沿って配列される。管腔内デバイスの部位の温度の変化は、放射線、超音波、磁気共鳴画像法、または片持ち梁部材および片持ち梁部材の群の位置を検出可能な画像をもたらす他の手段によって判断されるように、片持ち梁部材または片持ち梁部材の群の位置によって示される。
【0025】
本発明の別の特別の実施形態において、センサは複数の片持ち梁部材を含み、その部材は、管腔内デバイスの近位、遠位、または中間部分の少なくとも1つの上に配置されて、管腔内デバイスの管腔側壁面または反管腔側壁面の少なくとも1つの上に配置される。検出を容易にするために、片持ち梁部材の複数の群が設けられ、各群は複数の個別の片持ち梁部材によって形成され、群の個別の片持ち梁部材のそれぞれは同一の偏移温度を有する。複数の片持ち梁部材の群は、異なる応力−ひずみ遷移圧力を有する片持ち梁部材の群の連続体を形成するように、管腔内デバイスの長手方向軸に沿って配列される。管腔内デバイスの部位に加えられた血圧または血流のせん断応力などの応力またはひずみの変化は、ベースライン時の未負荷の片持ち梁部材の応力−ひずみと比較したときに、反射されたエネルギーの対応する周波数偏移をもたらす、片持ち梁部材または片持ち梁部材の群に作用する応力およびひずみによって示される。片持ち梁部材の位置および周波数の偏移は、放射線、超音波、磁気共鳴画像法、または個別の片持ち梁部材および片持ち梁部材の群の位置を検出可能な画像をもたらす他の手段によって判断することができ、または片持ち梁部材にかかる特異な応力−ひずみ負荷によって周波数偏移を測定することが可能である。
【0026】
本発明のさらに別の実施形態において、本発明のセンサは、弾性、可塑性、形状記憶または超塑性変形をすることが可能な材料から微細加工された生体センサであり、上述のように形成された複数の片持ち梁部材を含む。複数の片持ち梁部材のそれぞれは、内皮細胞表面タンパク質、抗原、抗体、サイトカイン、成長因子、共因子、または内皮細胞または内皮細胞前駆体の他の生物学的または生化学的マーカーの群から選択された内皮形成の少なくとも1つの指標に対して、選択的な少なくとも1つの結合領域を有する。少なくとも1つの指標を複数の片持ち梁部材の少なくとも1つに結合することによって、片持ち梁部材にかかる応力が変化し、それにより、関連する片持ち梁部材または片持ち梁部材の群が第1すなわち「閉」位置から第2すなわち「開」位置へと超塑性変化をする。上述の本発明の実施形態と同様に、管腔内デバイスに対して第2すなわち「開」位置にあるセンサ片持ち梁部材の位置は、内皮形成の進行状態を示し、内部キャビティに収容された生物活性剤の放出を可能にする。
【0027】
同様に、複数の弾性または超塑性片持ち梁部材を使用して、アテローム性プラークの形成の事実または進行状態を感知し、適切な生物活性剤で治療することができる。第1の実施形態によると、片持ち梁部材上にアテローム性プラークが成長したことによって片持ち梁部材にかかるひずみの結果として、複数の超塑性片持ち梁部材はマルテンサイト変形をする。第2の実施形態によると、複数の超塑性片持ち梁部材は、アテローム性プラークまたはその前駆体の少なくとも1つの指標に対して、選択的な少なくとも1つの結合領域を有する。アテローム性プラークまたはアテローム性プラークの前駆体が片持ち梁部材の結合領域に結合することによって、片持ち梁部材に第1すなわち「閉」位置から第2すなわち「開」位置へと超塑性変化をさせるのに十分な大量のひずみを片持ち梁部材に加える。上述の本発明の実施形態と同様に、管腔内デバイスに対して第2すなわち「開」位置にあるセンサ片持ち梁部材の位置は、アテローム性動脈硬化の進行状態を表し、内部キャビティに収容された適切な生物活性剤の放出を可能にする。
【0028】
構造上の足場(structural scaffold)として使用されること、および経カテーテル法を使用してステントを送出する前提があることから、ステントは必ず縮小直径状態で送達され、生体内(in vivo)で拡張直径状態(enlarged diametric state)へ拡張するか、拡張が許容される。したがって、全てのステントは、ステントの他の構造的部分よりも高い応力およびひずみ状態を受ける、ある種の構造的部分を含む。したがって、管腔内送達および展開の際に比較的低い応力およびひずみを受けるステントの構造的部分に、生物活性剤を維持する内部キャビティを配置することが有利である。あるいは、生物活性剤の丸薬の送出が所望される場合には、送達および展開時に大きい変形をする部分に内部キャビティを配置することができ、それにより、変形によってかかる正の圧力のもとで生物活性剤を内部キャビティから押し出す。次いで拡散によって、大きな変形、または低い応力−ひずみの部分に存在する残りの生物活性剤を溶出させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図1および2を特に参照すると、本発明の薬剤溶出性デバイス(drug-eluting device)10は、概して本体要素12からなり、図示のためにのみ、第1壁面14および第2壁面16と、第1端面13および反対側の第2端面15と、を有する全体的に管状の構成で表されている。複数の開口20は、第1壁面14および第2の壁面16の一方または両方を通り、かつ想像線で示すチャンバ21の少なくとも1つと連通し、そのチャンバ21は、薬剤溶出性デバイス10のZ軸厚さ内に全体的に存在し、かつ第1壁面14と第2壁面16との間に形成され、複数の開口20の少なくとも1つは、チャンバ内部21と、薬剤溶出性デバイス10の第1壁面14または第2壁面16のいずれかと、の間を連通する。複数のカバー部材18は、第1壁面14と第2壁面16の一方または両方の中、または、それに関連して設けられており、複数の開口20の少なくとも1つが複数のカバー部材18の1つで覆われるように配置されている。複数の開口29および関連する複数のカバー部材18は、任意に、開口20の群23a〜23eとカバー部材18のパターンに配置することができる。複数のカバー部材18のそれぞれは概して2元的な機能を有し、それらは、関連する少なくとも1つの開口20がカバー部材18によって覆われて閉鎖される第1位置すなわち閉位置と、関連する少なくとも1つの開口20がカバー部材18によって覆われていない第2位置すなわち開位置と、を有する。第1位置と第2位置との間の移行は、好ましくは、複数の開口20の作製に使用される材料の形状記憶または超塑性の相転移のいずれかによって起きる。複数のカバー部材18の2元的な移行は、同期または非同期とすることができる。すなわち、複数のカバー部材18の全ては、共通の条件下において第1位置と第2位置との間を移行することにより同時に作用することができ、あるいは、カバー部材18の全てではない個々のカバー部材18またはカバー部材の群は、他のカバー部材18は2次元的な移行を受けることなく、共通の条件下において移行することができ、これにより非同期で作用する。
【0030】
本発明の薬剤溶出性デバイス10は、概して管状の実施形態を参照して図示され説明されるが、当業者であれば、限定はされないが球、卵形、平面、曲線または円筒状の構成を含む、代替的な形状の構成が企図されて実行可能であることを理解し認識するであろう。
【0031】
本発明の好ましい実施形態によれば、複数のカバー部材18は、形状記憶または超塑性の金属あるいは擬金属材料(pseudometal material)で作製された片持ち梁部材(cantilever-like member)を含む。片持ち梁状のカバー部材18は、第1壁面14、第2壁面16、またはそれらの両方に一体型部品として形成することができ、あるいは、第1壁面14、第2壁面16、またはそれらの両方の上に層として形成することができ、あるいは、第1壁面14、第2壁面16、またはそれらの両方と連結することのできる別個の部材とすることができる。さらに、片持ち梁状のカバー部材は、均一または不均一の様式の配列で設けることができる。片持ち梁は、開口14の一部または全部を所望の様式で覆うことができる。さらに、複数の開口20の一部は、関連する片持ち梁状カバー部材18を有しなくてもよく、または複数の開口20の全ては、関連する片持ち梁状カバー部材18を有してもよい。複数の開口20は、拡散、浸透圧、または少なくとも1つの内部チャンバ21内への細胞の内方成長によって加えられる正圧の影響によって、生物活性剤(bioactive agent)を溶出させるのに十分な寸法を有する。
【0032】
図3および4は、複数の片持ち梁状カバー部材18の2元的機能を示す。図3および4に示されている実施形態において、複数の片持ち梁状のカバー部材18は壁面14と一体に形成されており、複数の片持ち梁状のカバー部材18のそれぞれは、カバー部材18の下にある関連する開口20を基底に含む。反対側の壁面16内に、それに関連して、開口20およびカバー部材18を形成することもできることは、当業者であれば理解するであろう。内部チャンバ21は、全体的にデバイス10のZ軸厚さ内、および第1壁面14と第2壁面16の中間に形成される。溶出性の生物活性剤24は、内部チャンバ21内に保持される。図3は、第1すなわち閉位置にある複数の片持ち梁状のカバー部材18を示し、複数の片持ち梁状のカバー部材18のそれぞれは、壁面14に沿って互いに同一平面関係にある。図4は、第2すなわち開位置にある複数の片持ち梁状のカバー部材18を示し、複数の片持ち梁状のカバー部材のそれぞれは、それぞれの関連する開口20を露出して、生物活性剤24が内部チャンバ21から開口20を通って溶出できるように変形する。上述したように、図3および4は複数の片持ち梁状のカバー部材18の同期機能を示すが、複数の片持ち梁状のカバー部材18は非同期で機能することもできる。
【0033】
図5は、図1の線5−5に沿って見た横断断面図であり、概ね管状の部材32からなる実施形態の薬剤溶出性の植込み可能なデバイス(drug-eluting implantable device)30を示し、その部材32は、円筒状ステントとすることができ、またはステントの個別のストラットとすることができる。管状部材32は、管状部材32の第1壁面14と第2壁面16との間に全体が形成されて生物活性剤36のリザーバとして作用する、複数の内部チャンバ34の少なくとも1つを有する。中央管腔(central lumen)31は、デバイス30を行き来する体液の流体流路を備える。あるいは、管状部材32は、ステントの個別のストラットとすることができ、中央管腔32は、デバイス30から溶出される生物活性剤36を保持するための内部チャンバ34として機能することができ、その場合、複数の内部チャンバ24は任意に排除することができる。複数の開口38は、複数の内部チャンバ34の少なくとも1つと、中央管腔31と、デバイス30の外部と、の間を連通する。複数の片持ち梁状のカバー部材42は、デバイス30の第1壁面14を形成する層40の外周に形成されている。
【0034】
図6は、図5に示した本発明の実施形態の他の形態の横断断面図である。複数の開口47がデバイス45の複数の内部チャンバ43と中央管腔31との間を連通することを除いて、図6に示す薬剤溶出性デバイス45の代替実施形態は、図5に示したものとほぼ同様である。さらに、複数の片持ち梁状部材48は、材料46の管腔層内に形成されており、生物活性剤36の内部チャンバ43からの溶出を制御するように複数の開口47を覆っている。したがって、図5においては、複数の片持ち梁状のカバー部材42の少なくともいくつかが第1の閉位置から第2の開位置へ移行するときに、生物活性剤36がデバイス30から反管腔側に溶出し、一方、図6においては、生物活性剤36がデバイス45から管腔側に溶出する。
【0035】
複数の開口20のそれぞれの位置は、薬剤溶出性の植込み可能なデバイス10が対象となる特別の指示または適用に応じて、変更することができる。複数の開口20は、デバイス10の管腔側の壁面16またはデバイス10の反管腔側の壁面14の一方、あるいは、デバイス10の管腔側の壁面16および反管腔側の壁面14の両方に開口することができる。デバイス10の外周上および長手方向軸の周りに開口20の均一配置を有する代わりに、デバイス10の近位または遠位端に向かって、より密度の高い開口20を備えることができる。あるいは、デバイス10の中間領域に沿って、より密度の高い開口20を備えることもできる。より密度の高い開口20が備えられると、どの時点においても、より密度の高い開口20によってより多くの用量の生物活性剤36を放出できることが理解されよう。
【0036】
複数の開口21の上述の配置に加えて、複数の内部チャンバ34、41は、デバイス10のZ軸厚さ内にて連続または非連続とすることができ、またデバイス10の異なる外周または長手方向領域に配置することができる。非連続の内部チャンバ34、41を設ける場合には、複数の生物活性剤を、同期または非同期に溶出させるためにデバイス10に充填することができる。
【0037】
非同期に機能する複数の片持ち梁状のカバー部材18を使用することによって、異なる生理学的条件の発生に基づいて、差動的な薬剤送達(differential drug delivery)を達成することができる。
【0038】
本体要素12は、好ましくは、生体適合性金属、例えば、チタン、バナジウム、アルミニウム、ニッケル、タンタル、ジルコニウム、クロム、銀、金、シリコン、マグネシウム、ニオブ、スカンジウム、プラチナ、コバルト、パラジウム、マンガン、モリブデンなど、および、それらの合金、例えば、ジルコニウム−チタン−タンタル合金、ニッケル−チタン合金、クロム−コバルト合金、またはステンレス鋼などから作製される。複数の片持ち梁状のカバー部材18は、好ましくは、ニッケル−チタンまたはクロム−コバルト合金などの形状記憶または超塑性材料から作製される。
【0039】
複数の片持ち梁18のそれぞれは、弾性、可塑性、形状記憶および/または超塑性の変形を受けることが可能な材料から作製することができる。ステンレス鋼、チタン、ニッケル、タンタル、金、バナジウム、ニッケル−チタン、またはそれらの合金などの材料を使用して、複数の片持ち梁の部材を作製することができる。材料の合金の比率を変えることによって、様々な電気、熱または機械的特性を片持ち梁18に与えることができる。材料組成、材料の電気、機械および熱特性を厳密に制御すると共に、組織および流体と接触する面、およびデバイスのバルク材料を厳密に制御するように、本体要素12と片持ち梁18の両方を真空で蒸着することが望ましい。例えば、ニッケル−チタン合金では、ニッケル−チタンの2元的なターゲットにおけるターゲットのチタン含有量は、片持ち梁部材18の移行温度(transition temperature)を正確に変化させるように、既知の量に変えることができる。
【0040】
本発明の一実施形態によれば、本体部材12および複数の片持ち梁18の一方または両方は、薄い金属膜で作製される。本明細書で使用される用語「薄い金属膜」または「金属の薄膜」は同義で使用され、金属または擬金属材料から作製された生体適合性材料をさす。本発明の薄い金属膜は、従来の鍛造による金属加工技術によって作製することができ、あるいは物理的蒸着または化学的蒸着などのナノ加工技術によって作製することもできる。本発明で使用されるこのような薄い金属膜は、単一または複数の層膜で構成することができ、その膜は、0μm以上約125μm未満の厚さを有する生体適合性金属または生体適合性擬金属から作製される。
【0041】
好ましくは、複数の片持ち梁18のそれぞれは、片持ち梁18のオーステナイト相を示す第1の「閉」位置と、片持ち梁18のマルテンサイト相を示す第2の「開」位置と、をもたらす2元的機能を有する。閉位置は、表面とほぼ同一平面である低位置となるように構成されている。一方、開位置は、隆起した位置、または表面から外向きに突出するように構成されている。
【0042】
したがって、植え込まれた温度センサが様々な生体温度(in vivo temperature)に接すると、片持ち梁部材の様々なセットは、その遷移温度にさらされて、「閉」位置から「開」位置に変化することが理解されるであろう。開位置になると、片持ち梁は、生物活性剤が内部キャビティから開口を通って溶出することを妨げない。
【0043】
複数の片持ち梁状のカバー部材18はセンサとして機能し、それは、圧力、温度、細胞またはタンパク質の結合、所与の生化学マーカー(biochemical marker)の有無等の物理的状態の変化を感知して、それに反応するように作製することができる。あるいは、複数の片持ち梁状のカバー部材18は、特定の外部刺激にだけ反応するように作製することもできる。このように、磁場、RFエネルギー、超音波、熱等の外因的な刺激を加えて、複数の片持ち梁状のカバー部材18の少なくともいくつかを作動させて、生物活性剤を溶出させることができる。
【0044】
図1に示すように、概ね要素23として示す片持ち梁状のカバー部材18の規則的な配列は、センサ群を形成することができ、例えば、第1の配列23aを形成する片持ち梁状のカバー部材18は、マルテンサイト応力/ひずみ転移係数(martensitic stress/strain transition coefficient)σを有するように作製され、第2の配列23bを形成する片持ち梁状のカバー部材18は転移係数σ+1を有するように作製され、第3の配列23aを形成する片持ち梁状のカバー部材18は転移係数σ+2を有するように作製される等、様々なカバー部材18またはカバー部材18の群は、生体(in vivo)で片持ち梁状のカバー部材18に掛かる所与の応力またはひずみに基づいて、その位置を変化させるようになっている。
【0045】
あるいは、複数のカバー部材18のそれぞれは、2元的機能だけを有するのではなく、材料の係数および各片持ち梁の慣性モーメントに応じた反応曲線を有することができる。この反応曲線によって、カバー部材18が閉位置から開位置に徐々に移行するときに、開口のインピーダンスの程度を変化させることができ、それにより、開口を通る溶出プロファイルを変化させることができる。カバー部材18のそれぞれは、カバー部材18のX−Y軸に沿ってZ軸厚さが様々となるように構成することができる。Z軸厚さが多様なカバー部材18を構成することにより、様々なカバー部材18または様々なカバー部材18の群は、カバー部材18の形状の変化に付随する様々な材料係数および様々な慣性モーメントによって、様々な応力−ひずみ反応を示す。このカバー部材18の代替構造では、カバー部材18にかかる応力−ひずみの所与量のために、カバー部材18がたわみ、外部エネルギー源から加えられる戻り共振周波数(returned resonance frequency)を変化させる。たわみの程度は、カバー部材18に作用する応力およびひずみと相関する。もちろん、カバー部材のこの代替構造は、引き続き2元的な「閉」および「開」の機能をもたらし、「閉」および「開」位置は、単にカバー部材18の延びた位置を表すことを理解されたい。
【0046】
したがって、植え込まれたセンサは、例えば、生理学的血圧、流体せん断応力、内皮形成(endothelialization)、アテローム性プラークの成長(arterioschlerotic plaque development)などの変化に関連する様々な応力およびひずみに遭遇すると、片持ち梁部材の様々な組が移行状態にさらされ、「閉」位置から「開」位置へと変化することを理解されたい。
【0047】
上述の本発明の好ましい実施形態のそれぞれは、多くの方法によって作製することができる。本発明によれば、毛細管などの鍛造金属部品を植込み可能なデバイスに形成すること、または真空蒸着法によって植込み可能なデバイスを形成することは、本発明の植込み可能な構造要素の好ましい作成方法であることが企図される。植込み可能なデバイスを複数の個別の管状要素から作製する場合、例えば、外径が60〜400μm、壁厚が10〜350μmの既存の微小管部材を使用して、頭蓋内または冠動脈の適用に適した極細寸法のデバイスを作製することができる。微小管部材は、編組みまたは湾曲、および微小管同士をスポット溶接によって互いに結合することなどによって、円筒形の管腔内デバイスへと形成することができる。微小管部材の端部がカニューレに自己挿入するように形成されている場合、カニューレに自己挿入する端部は、管腔内デバイス(endoluminal device)の長手方向に沿うどの位置においても、その管腔内デバイスの反管腔側面(abluminal surface)に露出することができる。個別の管状要素のそれぞれの壁を通る複数の開口は、壁を通って内部キャビティまたは個別の管状部材の管腔内へと通じる開口を微細穿孔することによって、形成することができる。複数の開口は、レーザー切断、エッチング、またはEDM法によって形成することができ、管状部材の形成前または形成後のいずれかにおいいて、植込み可能デバイスの3次元構造へと形成することができる。
【0048】
植込み可能デバイスを既存でない構成要素から形成する場合、スパッタリング、反応性イオンエッチング、化学蒸着、プラズマ蒸着等の真空蒸着法を使用して植込み可能な構造体を形成できることは、微細電子加工技術において知られており、本発明の譲受人に譲渡された米国特許(特許文献30参照)、および本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願(特許文献31参照)により詳細に説明されており、その両方は、物理蒸着加工を使用する植込み可能材料の製造法の教示として参照することによって援用される。
【0049】
内部チャンバ、複数の開口、およびカバー部材は、蒸着中にそれぞれ形成することができる。これらの要素を真空蒸着によって形成するために、その真空蒸着法は、内部チャンバおよび開口の領域を形成するように構造材料の基層の上に犠牲材料(sacrificial material)の必要なパターンを修正することができ、その後、犠牲材料および基層の上に構造材料の第2の層を蒸着する。次いで、犠牲材料をエッチングなどによって除去し、蒸着されたバルク材料内に内部キャビティおよび複数の開口を残す。カバー材料の層を蒸着し、そして、カバー材料に片持ち梁状のカバー部材を形成するレーザーエッチングなどによって、カバー材料の層にカバー部材を形成することにより、複数のカバー部材を形成することができる。
【0050】
本発明による独創的な薬剤溶出性医療用デバイスを作製するための例示的な方法60は、図9Aから9Gに順次示されている。図9Aに示すように基板62が用意され、その基板62の上に、第1の生体適合性材料層64、次に犠牲材料層66が蒸着される。図9Bにおいて、次のステップでは犠牲材料層66のパターニングを伴って、犠牲材料層66のパターニングされた部分68を残す。パターニングされた部分68は、以下に示すように、独創的なデバイスの内部チャンバ21を形成する。次いで図9Cに示すように、パターニングされた部分68および第1の生体適合性材料層64の上に、第2の生体適合性材料層70が蒸着される。図9Dに示すように、複数の開口72が第2の生体適合性材料層70に形成されて、犠牲材料層66のパターニングされた部分68と連通する。次いで図9Eに示すように、パターニングされた部分68に残っている犠牲材料は、第2の生体適合性材料層70および第1の生体適合性材料層64によって全体が区画された内部チャンバ72が残るように、開口72を通して除去される。次いで図9Fに示すように、第2の生体適合性材料層70と、そこの複数の開口72を覆うように、第3の生体適合性材料層76が設けられる。この第3の生体適合性材料層76には、図9Gに示すように、複数の片持ち梁部材78に予め形成することができ、その片持ち梁部材は、隣接する片持ち梁部材78の間の分離間隙80、および、間隙80と、片持ち梁部材78によって覆われる開口72と、の間に形成された接着領域82を有する。第3の生体適合性材料層は、材料の別々の層として備えてもよく、または接着領域82にて第2の生体適合性材料層70にそれぞれが連結する複数の個別の片持ち梁部材78から成るものであってもよく、このことは当業者であれば容易に認識するであろう。第3の生体適合性材料76は、第2の生体適合性材料層70の上に直接蒸着することができ、次いで複数の個別の片持ち梁部材78がレーザー切断または選択的エッチングなどによって形成される。ただし、犠牲中間層マスクを除去した後に複数の片持ち梁部材78が自由にたわんで複数の開口72を開くように、第2の生体適合性材料層70および複数の開口72を覆うが接着領域82のみは露出させる犠牲中間層マスクを介在させることが重要である。
【0051】
いずれの製造方法を使用するかに拘わらず、生物活性剤を植込み可能デバイスの内部キャビティ内に充填しなければならない。生物活性剤の充填は、デバイス全体に渡って、または植込み可能デバイスの領域内のいずれかに、液体または半液体状態の生物活性剤を複数の開口を通して内部キャビティ内へ流すことによって達成できる。流体充填は、熱間等方圧加圧(HIP;hot isostatic pressing)において使用されるように、正の圧力、温度変化、または、その両方を加えることによって容易にすることができる。HIPにおいて、加圧媒体は一般にガスであり、その工程は特定の時間内に高い温度で実施される。HIPは一般に材料の密度を上げるため、鋳造不良および空隙を直すため、または類似または非類似材料を結合するために使用されるが、植込み可能デバイス外部から植込み可能デバイスの内部キャビティ内へ流体または半流体を送り込むために使用することもできる。あるいは、拡散による充填(diffusion-mediated loading)、浸透圧充填(osmotic loading)、または真空充填(vacuum loading)を使用して、生物活性剤を内部キャビティ内へ充填することもできる。
【0052】
以上、本発明を好ましい実施形態を参照して説明したが、構造材料、生物活性剤、作製方法、デバイス構成、またはデバイス適応および使用の変形は、本発明から逸脱せずに行うことができ、添付の特許請求の範囲によってのみ範囲が制限されることは、当業者であれば理解し認識するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明による複数の片持ち梁部材を有する植込み可能な部材の斜視図である。
【図2】図1の部分2から見た部分平面図である。
【図3】第1すなわち閉位置にある複数の片持ち梁部材を示す、図2の線3−3に沿って見た断面図である。
【図4】第2すなわち開位置にある複数の片持ち梁部材を示す、図3と同様の断面図である。
【図5】図1の線5−5に沿って見た断面図である。
【図6】本発明の代替実施形態の断面図である。
【図7】本発明の好ましい実施形態による薬剤溶出性ステントの部分断面図である。
【図8】本発明の好ましい実施形態による薬剤溶出性ステントの断面の顕微鏡写真である。
【図9A】本発明による進歩的な薬剤溶出性の植込み可能医療用デバイスの作製方法を示す断面図である。
【図9B】本発明による進歩的な薬剤溶出性の植込み可能医療用デバイスの作製方法を示す断面図である。
【図9C】本発明による進歩的な薬剤溶出性の植込み可能医療用デバイスの作製方法を示す断面図である。
【図9D】本発明による進歩的な薬剤溶出性の植込み可能医療用デバイスの作製方法を示す断面図である。
【図9E】本発明による進歩的な薬剤溶出性の植込み可能医療用デバイスの作製方法を示す断面図である。
【図9F】本発明による進歩的な薬剤溶出性の植込み可能医療用デバイスの作製方法を示す断面図である。
【図9G】本発明による進歩的な薬剤溶出性の植込み可能医療用デバイスの作製方法を示す断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Z軸厚さを形成する複数の壁面を有する第1の部材と、
前記第1の部材のZ軸厚さ内に全体が囲まれた少なくとも1つの内部チャンバと、
前記内部チャンバと、前記複数の壁面の少なくとも1つと、を連通し、かつ前記第1の部材のZ軸厚さの一部を通る複数の開口の少なくとも1つと、
前記少なくとも1つの内部チャンバ内の生物活性剤と、
前記複数の壁面の少なくとも1つの上に配設された複数の第2の部材と、
を含み、
前記複数の第2の部材の少なくとも1つは、前記複数の開口の少なくとも1つと関連付けられ、
前記複数の第2の部材の少なくとも1つは、関連付けられた開口を覆って閉塞する第1の位置と、前記関連付けられた開口を開く第2の位置と、を有し、
前記複数の第2の部材は、規定された刺激を受けることによって、前記第1の位置と前記第2の位置との間を移行可能である
ことを特徴とする植込み可能な薬剤溶出性医療用デバイス。
【請求項2】
前記複数の第2の部材は、自然状態において前記第1の位置にあり、刺激を受けると前記第2の位置へ移行することを特徴とする請求項1に記載の植込み可能な薬剤溶出性医療用デバイス。
【請求項3】
前記刺激は、前記医療用デバイスに経皮的に加えられる外因的刺激であることを特徴とする請求項1に記載の植込み可能な薬剤溶出性医療用デバイス。
【請求項4】
前記刺激は、内因的物理的、電気的、または化学的刺激からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の植込み可能な薬剤溶出性医療用デバイス。
【請求項5】
前記第1の部材は、ステント、カバードステント、および血管グラフトの群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の植込み可能な薬剤溶出性医療用デバイス。
【請求項6】
前記第1の部材は、複数の相互連結された個別の構造要素を有するステントをさらに含み、
前記複数の相互連結された個別の構造要素の少なくともいくつかは、前記少なくとも1つの内部チャンバを有し、
前記複数の開口の少なくとも1つ、前記少なくとも1つの生物活性剤、および複数のカバー部材の少なくとも1つは、前記複数の開口の少なくとも1つと動作可能に関連付けられることを特徴とする請求項1に記載の植込み可能な薬剤溶出性医療用デバイス。
【請求項7】
前記第1の部材および前記複数の第2の部材のそれぞれは、チタン、バナジウム、アルミニウム、ニッケル、タンタル、ジルコニウム、クロム、銀、金、シリコン、マグネシウム、ニオブ、スカンジウム、プラチナ、コバルト、パラジウム、マンガン、モリブデン、およびそれらの合金、ジルコニウム−チタン−タンタル合金、ニッケル−チタン合金、ニッケル−チタン−タンタル合金、クロム−コバルト合金、およびステンレス鋼からなる群から選択された材料をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の植込み可能な構造体。
【請求項8】
前記生物活性剤は、抗生物質、抗ウイルス剤、新生物形成剤、ステロイド、フィブロネクチン、抗血栓薬、抗血小板機能薬、血管内壁面での平滑筋細胞の成長を防ぐ薬剤、ヘパリン、ヘパリンフラグメント、アスピリン、コーマディン、組織プラスミノーゲン活性化因子、ウロキナーゼ、ヒルジン、ストレプトキナーゼ、増殖抑制剤、抗酸化剤、代謝拮抗物質、トロンボキサン阻害剤、非ステロイドおよびステロイド抗炎症薬、免疫抑制剤、ベータおよびカルシウムチャネルブロッカー、DNAおよびRNAフラグメントを含む遺伝物質,完全発現遺伝子、抗体、リンフォカイン、成長因子、血管内皮成長因子、線維芽細胞成長因子、プロスタグランジン、ロイコトリエン、ラミニン、エラスチン、コラーゲン、酸化窒素、インテグリン、パクリタキセル、タキソール、ラパマイシン、ラパマイシン誘導体および類似体、シロリムス、ラパミューン、タクロリムス、デキサメタゾン、エベロリムス、ABT−578および成長因子からなる群から選択された薬理学的活性剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の植込み可能な構造体。
【請求項9】
長手方向に通りかつ両端にて開口する中央管腔を有する全体的に管状の部材と、
管腔側面、反管腔側面、およびそれらの間に形成される壁厚と、
前記管状部材の少なくともいくつかの部分の前記壁厚内に全体が形成される少なくとも1つの内部チャンバと、
前記少なくとも1つの内部チャンバと、前記管腔側面および反管腔側面の少なくとも1つと、の間を連通する複数の開口と、
前記少なくとも1つの内部チャンバ内に配設された少なくとも1つの生物活性剤と、
前記複数の開口と動作可能に関連付けられて、前記複数の開口の少なくとも1つを閉塞する閉位置と、前記少なくとも1つの開口を通して前記少なくとも1つの内部チャンバから前記少なくとも1つの生物活性剤を溶出させる開位置と、を有する複数のカバー部材と、
を含むことを特徴とする管腔内ステント。
【請求項10】
前記管状部材および前記複数のカバー部材は、チタン、バナジウム、アルミニウム、ニッケル、タンタル、ジルコニウム、クロム、銀、金、シリコン、マグネシウム、ニオブ、スカンジウム、プラチナ、コバルト、パラジウム、マンガン、モリブデン、およびそれらの合金、ジルコニウムーチタンータンタル合金、ニッケル−チタン合金、クロム−コバルト合金、およびステンレス鋼からなる群から選択された材料をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の植込み可能な構造体。
【請求項11】
前記管状部材の少なくとも1つおよび前記複数のカバー部材は、少なくとも1つの生体適合性の薄い金属膜から作製されることを特徴とする請求項10に記載の植込み可能な薬剤溶出性医療用デバイス。
【請求項12】
前記少なくとも1つの生物活性剤は、抗生物質、抗ウイルス剤、新生物形成剤、ステロイド、フィブロネクチン、抗血栓薬、抗血小板機能薬、血管内壁面での平滑筋細胞の成長を防ぐ薬剤、ヘパリン、ヘパリンフラグメント、アスピリン、コーマディン、組織プラスミノーゲン活性化因子、ウロキナーゼ、ヒルジン、ストレプトキナーゼ、増殖抑制剤、抗酸化剤、代謝拮抗物質、トロンボキサン阻害剤、非ステロイドおよびステロイド抗炎症薬、免疫抑制剤、ベータおよびカルシウムチャネルブロッカー、DNAおよびRNAフラグメントを含む遺伝物質,完全発現遺伝子、抗体、リンフォカイン、成長因子、血管内皮成長因子、線維芽細胞成長因子、プロスタグランジン、ロイコトリエン、ラミニン、エラスチン、コラーゲン、酸化窒素、インテグリン、パクリタキセル、タキソール、ラパマイシン、ラパマイシン誘導体および類似体、シロリムス、ラパミューン、タクロリムス、デキサメタゾン、エベロリムス、ABT−578および成長因子からなる群から選択された薬理学的活性剤をさらに含むこと特徴とする請求項9に記載の植込み可能な構造体。
【請求項13】
前記管状部材は、
前記管状部材の壁を形成する複数の相互連結された構造要素と、
前記複数の構造要素の少なくともいくつかと関連付けられた複数の非連続の内部チャンバと、
前記複数の非連続の各内部キャビティと、ステント外部と、の間を連通する複数の開口と、
前記複数の非連続の内部チャンバ内に配設された少なくとも1つの生物活性剤と、
前記複数の開口と関連付けられた複数の片持ち梁状のカバー部材の少なくとも1つと、
をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の管腔内ステント。
【請求項14】
a)基板の上に第1の生体適合性材料層を真空蒸着するステップと、
b)前記第1の生体適合性材料層の上に犠牲材料層を真空蒸着するステップと、
c)前記犠牲材料層の一部を除去して、前記犠牲材料層の領域を画成する内部チャンバを形成するステップと、
d)前記犠牲材料層および前記第1の生体適合性材料層の領域を画成する前記内部チャンバの上に、第2の生体適合性材料層を真空蒸着するステップと、
e)前記第2の生体適合性材料層を通り、かつ前記犠牲層の領域を画成する前記内部チャンバと連通する複数の開口の少なくとも1つを形成するステップと、
f)前記犠牲層の領域を画成する前記内部チャンバを除去することにより、全体が前記第1の生体適合性材料層と前記第2の生体適合性材料層との間に存在する複数の内部チャンバの少なくとも1つを形成するステップと、
g)複数の開口の少なくとも1つを覆う複数のカバー部材の少なくとも1つを配設するステップと、を含み、前記複数のカバー部材の少なくとも1つは、前記複数の開口の少なくとも1つを覆う第1の位置と、前記複数の開口の少なくとも1つを開く第2の位置と、を有する
ことを特徴とする薬剤溶出性医療用デバイスの製造方法。
【請求項15】
前記真空蒸着するステップは、物理的蒸着および化学的蒸着の少なくとも1つをさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ステップ(g)がステップ(a)の前に実施され、前記第1の生体適合性材料層を前記複数のカバー部材の上に真空蒸着するステップをさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項17】
少なくとも1つの生物活性剤を複数の内部チャンバの少なくとも1つに充填するステップをさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つの生物活性剤を、薬理学的に活性な抗生物質、抗ウイルス剤、新生物形成剤、ステロイド、フィブロネクチン、抗血栓薬、抗血小板機能薬、血管内壁面での平滑筋細胞の成長を防ぐ薬剤、ヘパリン、ヘパリンフラグメント、アスピリン、コーマディン、組織プラスミノーゲン活性化因子、ウロキナーゼ、ヒルジン、ストレプトキナーゼ、増殖抑制剤、抗酸化剤、代謝拮抗物質、トロンボキサン阻害剤、非ステロイドおよびステロイド抗炎症薬、免疫抑制剤、ベータおよびカルシウムチャネルブロッカー、DNAおよびRNAフラグメントを含む遺伝物質,完全発現遺伝子、抗体、リンフォカイン、成長因子、血管内皮成長因子、線維芽細胞成長因子、プロスタグランジン、ロイコトリエン、ラミニン、エラスチン、コラーゲン、酸化窒素、インテグリン、パクリタキセル、タキソール、ラパマイシン、ラパマイシン誘導体および類似体、シロリムス、ラパミューン、タクロリムス、デキサメタゾン、エベロリムス、ABT−578および成長因子からなる群から選択するステップをさらに含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の生体適合性材料層の少なくとも1つ、前記第2の生体適合性材料層、および前記複数のカバー部材の少なくとも1つは、薄い金属膜をさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図9E】
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【図9F】
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【図9G】
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【公表番号】特表2008−512211(P2008−512211A)
【公表日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−531397(P2007−531397)
【出願日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【国際出願番号】PCT/US2005/032268
【国際公開番号】WO2006/029364
【国際公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(504006054)アドヴァンスド バイオ プロスセティック サーフェシーズ リミテッド (11)
【Fターム(参考)】