説明

産業廃棄物溶融処理設備及び産業廃棄物溶融処理方法

【課題】 アスベストを主とする高融点の産業廃棄物を安定して多量に処理でき、しかも処理量当たりの消費燃料を節減可能な産業廃棄物溶融処理設備及び産業廃棄物溶融処理方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 装入口11から装入された産業廃棄物40をサイドバーナ15によって溶融して湯溜り部13にスラグ5浴を形成し、スラグ浴5中にアスベストを主とする産業廃棄物50を投入することによって無害化処理を行う産業廃棄物溶融処理方法であり、産業廃棄物溶融処理設備はスラグ浴5の上部側の中央部天井にアスベストを主とする産業廃棄物50を投入する投入口20を設けると共に、投入口20の近傍に天井バーナ25を配設して構成され、天井バーナ25によって溶融炉内に1,500℃以上の高温部を局部的に形成することによりアスベストを主とする産業廃棄物50をスラグ浴5中に溶融させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業廃棄物溶融処理設備及び産業廃棄物溶融処理方法に関し、さらに詳しくは、アスベストを主とする産業廃棄物を無害化処理する産業廃棄物溶融処理設備及び産業廃棄物溶融処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アスベストは、クリソタイル(白石綿:MgSi(OH)−融点1521℃―)、クロシドライト(青石綿:NaFeSi22(OH)―融点1193℃―)、及びアモサイト(茶石綿:(FeMg)Si22(OH))の総称である。アスベストは、微細な繊維状の針状結晶で、人体に吸引されると呼吸器官に癌等の障害を発生させる原因となることが知られている。そのため、これまでは十分な飛散防止処理を施した上で埋め立て手処理等によって処分されていたが、強い発ガン性のために土中に埋めるのではなく溶融等の手段によって無害化する処理法が種々提案されていた。
【0003】
提案された従来のアスベストの処理方法として、例えば、特許第3085959号に開示された処理方法は、アスベストそのものを処理する方法でなく、バインダーを利用する方法であったために処理コストが嵩むこと、また、特開平7−171536号公報に開示された処理方法は、電気炉を利用するものであったため高価な電力を多量に必要となること等の問題点があった。そのため、本発明の出願人は汚泥、鉱滓、燃え殻、プリント基板、パット屑,廃触媒、金属屑、廃ショット、研削屑、ダストなどの産業廃棄物を横型炉に装入し、該炉に設けられたバーナにより溶融し、湯溜り部にスラグ浴を形成するとともに、アスベストをスラグ浴に投入して、スラグ浴中に溶解することを特徴とするアスベストの無害化処理方法を発明し提案した(特開2003−181412号公報(特許文献1))。
【0004】
【特許文献1】特開2003−181412号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1で提案したアスベストの無害化処理方法によれば、バインダーやCaF等の補助剤や電力等を使用することなく効果的にアスベストを無害化することが可能となった。
しかし、特許文献1で提案したアスベストの無害化処理方法は、溶融炉の炉短辺に設けられたサイドバーナによって産業廃棄物を加熱、溶融させた溶融物中にアスベストを主とする産業廃棄物を投入し、その保有熱でアスベストを主とする産業廃棄物を溶融させていたがサイドバーナからの距離が遠く、アスベストを多量に溶融させることが困難であった。この場合、アスベストを多量に処理しようとしてサイドバーナで炉内を高温すると炉の天井や側壁に配置された耐火物を損傷してしまう虞がある。
また、溶融物中に高融点物が析出すると溶融ゾーンが狭く小さくなるので、酸素ランスにより酸素を吹き付けることにより溶融物中のFe、Sを燃焼させ、溶解していたが、この作業は人手を要する作業であった。加えて、そのようにして得た溶融物は粘性が高く、分離した銅を巻き込むため、繰り返して処理する必要があった。
【0006】
そこで、本発明は、これらの問題点を解決し、これまでよりもアスベストを主とする産業廃棄物を多量に処理することが可能で、しかも、高融点の廃棄物も安定して処理することができる産業廃棄物溶融処理設備及び産業廃棄物溶融処理方法を提供することを目的とする。
また、従来の処理方法に比べて処理量当たりの消費燃料を節減可能な産業廃棄物溶融処理設備及び産業廃棄物溶融処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために請求項1に記載の本発明は、溶融炉の上部に設けられた装入口から装入された汚泥、鉱滓、燃え殻、プリント基板、パット屑,廃触媒、金属屑、廃ショット、研削屑、ダスト等の廃棄物を溶融炉の側壁に配置されたサイドバーナによって溶融して湯溜り部にスラグ浴を形成し、このスラグ浴中にアスベストを主とする産業廃棄物を投入することによって無害化処理を行う産業廃棄物溶融処理設備において、スラグ浴の上部側に位置する溶融炉の中央部天井にアスベストを主とする産業廃棄物を投入する投入口を設けると共に、投入口の近傍に天井バーナを配設して構成され、天井バーナによって溶融炉内に1,500℃以上の高温部を局部的に形成することによりアスベストを主とする産業廃棄物をスラグ浴中に溶融させるようにしたことを特徴とする。
【0008】
上記課題を解決するために請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の産業廃棄物溶融処理設備において、天井バーナは、酸素バーナであることを特徴とする。
【0009】
上記課題を解決するために請求項3に記載の本発明は、請求項1又は2に記載の産業廃棄物溶融処理設備において、天井バーナは、一又は二以上設けられていることを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決するために請求項4に記載の本発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の産業廃棄物溶融処理設備において、天井バーナは、焔の放射方向を変えることが可能に構成されていることを特徴とする。
【0011】
上記課題を解決するために請求項5に記載の本発明は、溶融炉の上部に設けられた装入口から装入された汚泥、鉱滓、燃え殻、プリント基板、パット屑,廃触媒、金属屑、廃ショット、研削屑、ダスト等の廃棄物を溶融炉の側壁に配置されたサイドバーナによって溶融して湯溜り部にスラグ浴を形成させ、このスラグ浴中にアスベストを主とする産業廃棄物を投入して溶融することによって無害化処理を行う産業廃棄物溶融処理方法において、スラグ浴の上部側に位置する溶融炉の中央部天井に設けた投入口からアスベストを主とする産業廃棄物を投入すると共に、投入口の近傍に配設された天井バーナによって溶融炉内に1,500℃以上の高温部を局部的に形成させてアスベストを主とする産業廃棄物をスラグ浴中に溶融させることを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決するために請求項6に記載の本発明は、請求項5に記載の産業廃棄物溶融処理方法において、スラグは、アスベストを主とする産業廃棄物の融点よりも低いことを特徴とする。
【0013】
上記課題を解決するために請求項6に記載の本発明は、請求項5又は6に記載の業廃棄物溶融処理方法において、スラグは、銅精錬スラグであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る産業廃棄物溶融処理設備及び産業廃棄物溶融処理方法によれば、従来よりもアスベストを主とする産業廃棄物を多量に処理することが可能で、しかも、高融点の廃棄物であって安定して処理することができるという効果がある。また、アスベストを含む高融点の溶融物を低融点のスラグ等に溶融させるために産出物の性状が安定した製品とすることができるという効果がある。
また、従来の処理方法に比べて処理用当たりの消費燃料を節減することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る産業廃棄物溶融処理設備及び産業廃棄物溶融処理方法について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、はじめに本発明の第一の態様である産業廃棄物溶融処理設備について説明し、その後に第二の態様である産業廃棄物溶融処理方法について説明する。図1は本発明に係る産業廃棄物溶融処理設備の一実施形態を示す側面断面図、図2はその平面図、図3はその正面断面図である。
【0016】
図示された産業廃棄物溶融処理設備1は、横型炉の一つである反射炉を基にして形成されている。反射炉は、マット、金属のいずれを生成する際にも用いられ、金属の乾式精錬にも用いられる。反射炉の内側は主として、マグネサイト、クロム・マグネサイト等の塩基性の耐熱性レンガ10で構築されている。産業廃棄物溶融処理設備1の炉短辺の一端にはバーナ15が横一列に3つ配置されている。バーナ15は、例えば、重油や廃油、天然ガス等の燃料を燃焼することによって炉内に向かって長い焔16を吹き出すようになっている。産業廃棄物溶融処理設備1の上部側の両側部には長手方向に沿って産業廃棄物40を炉内に装入するための装入口11、11が並んで設けられている。装入口11から装入された産業廃棄物40はこの焔16によって直接或いは天井や内壁に反射した熱により溶融される。
【0017】
装入される産業廃棄物40は、汚泥、鉱滓、燃え殻、プリント基板、パット屑、廃触媒、金属屑、廃ショット、研削屑、ダスト等である。ここで、「汚泥」は「脱水汚泥」、「めっき汚泥」、「研磨汚泥」、「下水汚泥」等であり、「脱水汚泥は」Ca、Feを主成分とする。「めっき汚泥」はCu、Fe、S、Caを主成分とする。また、「燃え殻」は焼却残渣等である。「「プリント基板」はCuとプラスチックから構成される。「鉱滓」はAl粉等であり、「パット屑」はブレーキパッド等である。「廃ショット」はショットブラスト用投射粒等の廃材である。「ダスト」は煤塵である。被処理物が有価金属を含有する場合は硫化鉄を添加してマットを生成し、有価金属をマット中に捕捉することができる。尚、上記汚泥等以外にもスラグとして再利用可能な産業廃棄物を処理することもできる。
【0018】
産業廃棄物溶融処理設備1の炉底部は、産業廃棄物40が装入される位置の炉床部よりもバーナ15とは反対側の炉底部が低く形成された湯溜り部13となっており、その間は傾斜面とされている。これによりバーナ15の焔によって溶融された産業廃棄物40は溶融状態のまま炉底部を流れ、湯溜り部13に溜まるようになっている。湯溜り部13に溜まった溶融状態の産業廃棄物40は有価金属を含む比重の高いマット浴3とその上層に形成されるスラグ浴5とに分離される。
【0019】
一方、スラグ浴が形成される湯溜り部13の上部側に位置する炉の中央部の天井にはアスベストを主とする産業廃棄物50を投入する投入口20が設けられている。そして、投入口20の近傍には天井バーナ25が配設されている。この天井バーナ25は、酸素バーナであり、酸素バーナは燃料を燃焼させるための支燃性ガスが酸素なので空気のように燃焼に寄与しない窒素を含まないことから高温燃焼が可能となる。そして、この天井バーナ25に重油や廃油、天然ガス等の燃料を供給して燃焼することによって溶融炉内に1,500℃以上の高温部を局部的に形成させる。これにより、投入口20から投入されたアスベストを主とする産業廃棄物50は、直接又は炉内壁を反射した熱によってスラグ浴中に溶融されることとなる。また、天井バーナ25は、炉の天井から下側に位置するスラグ浴に向かって焔を放射して局所的に高温部を形成させているので炉の側壁や天井部に熱負荷を与えることがなく設備の寿命を長く保持することも可能となる。さらに、天井バーナ25は図示しない放射口を揺動可能に形成されており、焔の放射方向が変更可能とされている。一方、アスベストを含む産業廃棄物50には結合剤を含有した難溶融性のアスベスト、例えば、スレート、アスベストパッキン等(非飛散性石綿廃棄物)、高融点のものもあるが、湯溜り部13の上部側に投入口20を設けると共に、その近傍に天井バーナ25を配置することによってそのような難溶融性のアスベストも効果的に溶融することができ、湯溜り部13をより大きく維持することが可能となる。また、天井バーナ25は、1基に限らず複数配置することもできる。例えば、図4に示すように、投入口20を挟んで左右の両側に所定の間隔を隔てて2基の天井バーナ25を配置することができる。尚、2基に限らずそれ以上配置することも可能である。
【0020】
ここで、スラグ浴は、アルミナ含有率の低い銅精錬スラグ、例えば、溶鉱炉スラグや自溶炉スラグを用いることもできる。溶鉱炉スラグ及び自溶炉スラグの組成は、概略として、SiO:30〜35%、FeO:25〜30%、Fe:5〜10%、Al:4〜8%、CaO:10〜15%であり、その溶融温度は1,075〜1,125℃となっている。この点、アスベストを主とする産業廃棄物50よりも低融点ではあるが、アスベストの主成分は塩基性のMgOで、ここに酸性のSiO等が接触すると、低融点の化合物が生成される。これにより1500℃を超える融点を持つ高融点のアスベストを主とする産業廃棄物50であってもそれよりも低融点のスラグに溶かし込むことが可能となり、熔融物を全体として低融点の組成とすることができる。この溶融物は低融点であるため銅との分離性がよく、水砕し、スラグとして製品化することもできる。
【0021】
次に、本発明に係る産業廃棄物溶融処理方法について上記した産業廃棄物溶融処理設備1の作用と共に説明する。図5は本発明に係る産業廃棄物溶融処理方法の一実施形態のフローチャートである。
初めに、産業廃棄物溶融処理設備1の上部に設けられた装入口11から汚泥、鉱滓、燃え殻、プリント基板、パット屑,廃触媒、金属屑、廃ショット、研削屑、ダスト等の廃棄物40を装入する。そして、炉の側壁に配置されたサイドバーナ15によって溶融して湯溜り部13にスラグ浴5を形成する(ステップS1)。形成されたスラグ浴5中に投入口20からアスベストを主とする産業廃棄物50を投入する(ステップS2)。このとき投入口20の近傍に配設された天井バーナ25によって溶融炉内に1,500℃以上の高温部を局部的に形成させてアスベストを主とする産業廃棄物50をスラグ浴5中に溶融させる(ステップS3)。スラグ浴5中に投入されたアスベストを主とする産業廃棄物50は溶融されて無害化される。
【実施例1】
【0022】
本発明に係る産業廃棄物溶融処理設備及び産業廃棄物溶融処理方法について実施前の処理実績と実施後の処理実績を対比した結果を以下に示す。尚、本実施例は1基の天井バーナを用いて行なった。
[アスベスト処理量]
実施前:1t/日
実施後:4t/日
[重油使用量]
実施前:サイドバーナ;750〜900リットル/h
:天井バーナ ;なし
実施後:サイドバーナ;750〜850リットル/h
:天井バーナ ;50リットル/h×1基
[酸素使用量](95%酸素)
実施前:サイドバーナ;700〜800Nm/h
:天井バーナ ;なし
実施後:サイドバーナ;700〜800Nm/h
:天井バーナ ;100Nm/h
[酸素ランスによる溶解]
実施前:1回/日
実施後:0〜2回/週
[側壁、天井レンガの損傷]
実施前:300mm/年
実施後:150mm/年
[アスベスト投入サイクル]
実施前:50kg/2時間(バッチ)
実施後:100〜200kg/2時間(バッチ、連続)
[スラグ温度]
実施前:1,300〜1,350℃
実施後:1,300〜1,350℃
【0023】
上記のように、本発明の実施後は実施前よりもアスベストを含む産業廃棄物を大量に処理できるようになった。また、実施後は同じ重油の使用量でも1日当たりの処理量が実施前の4倍になった。また、酸素ランスによる溶解作業は実施前には1日1回の作業が必要であったものが少なくとも1週間に1回程度となり作業者の負担が大幅に軽減された。さらに耐熱性レンガの損傷の程度も実施後は実施前よりも半分程度に軽減された。
【実施例2】
【0024】
次に、実施前の処理実績と天井バーナを2基用いた場合の実施後の処理実績を対比したものを以下に示す。
[アスベスト処理量]
実施前:1t/日
実施後:7〜8t/日
[重油使用量]
実施前:サイドバーナ;750〜900リットル/h
:天井バーナ ;なし
実施後:サイドバーナ;750〜850リットル/h
:天井バーナ ;50リットル/h×2基
[酸素使用量](95%酸素)
実施前:サイドバーナ;700〜800Nm/h
:天井バーナ ;なし
実施後:サイドバーナ;700〜800Nm/h
:天井バーナ ;100〜200Nm/h
(50〜100)Nm/h(1基当たり)
[酸素ランスによる溶解]
実施前:1回/日
実施後:0〜1回/週
[側壁、天井レンガの損傷]
実施前:300mm/年
実施後:150mm/年
[アスベスト投入サイクル]
実施前:50kg/2時間(バッチ)
実施後:300〜600kg/2時間(バッチ、連続)
[スラグ温度]
実施前:1,300〜1,350℃
実施後:1,350〜1,400℃
【0025】
上記のように、天井バーナを2基使用した場合には、1基の場合と比べて1日当たりの処理量はほぼ同じ重油の使用量でありながらその約2倍となり、実施前に対しては約8倍となった。スラグ温度も天井バーナが1基の場合よりも高温になり、実施前に比べてアスベストを含む産業廃棄物をさらに大量に処理ですることができた。また、酸素ランスによる溶解作業は1週間以上行なわなくても操業に影響がなく、数週間に1回程度行なえばよく、天井バーナが1基の場合よりもさらに作業者の負担が軽減された。また、耐熱性レンガの損傷の程度も実施後は実施前よりも半分程度に軽減された。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る産業廃棄物溶融処理設備の一実施形態を示す側面断面図である。
【図2】図1の産業廃棄物溶融処理設備の平面図である。
【図3】図1の産業廃棄物溶融処理設備の正面断面図である。
【図4】天井バーナを2基設けた産業廃棄物溶融処理設備の正面断面図である。
【図5】本発明に係る産業廃棄物溶融処理方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0027】
1 産業廃棄物溶融処理設備
3 スラグ浴
5 マット浴
10 耐熱性レンガ
11 装入口
15 サイドバーナ
16 焔
20 投入口
25 天井バーナ
26 焔
40 産業廃棄物
50 アスベストを主とする産業廃棄物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融炉の上部に設けられた装入口から装入された汚泥、鉱滓、燃え殻、プリント基板、パット屑,廃触媒、金属屑、廃ショット、研削屑、ダスト等の廃棄物を当該溶融炉の側壁に配置されたサイドバーナによって溶融して湯溜り部にスラグ浴を形成し、このスラグ浴中にアスベストを主とする産業廃棄物を投入することによって無害化処理を行う産業廃棄物溶融処理設備において、
前記スラグ浴の上部側に位置する前記溶融炉の中央部天井にアスベストを主とする前記産業廃棄物を投入する投入口を設けると共に、当該投入口の近傍に天井バーナを配設して構成され、前記天井バーナによって前記溶融炉内に1,500℃以上の高温部を局部的に形成することによりアスベストを主とする産業廃棄物を前記スラグ浴中に溶融させるようにしたことを特徴とする産業廃棄物溶融処理設備。
【請求項2】
請求項1に記載の産業廃棄物溶融処理設備において、
前記天井バーナは、酸素バーナであることを特徴とする産業廃棄物溶融処理設備。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の産業廃棄物溶融処理設備において、
前記天井バーナは、一又は二以上設けられていることを特徴とする産業廃棄物溶融処理設備。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の産業廃棄物溶融処理設備において、
前記天井バーナは、焔の放射方向を変えることが可能に構成されていることを特徴とする産業廃棄物溶融処理設備。
【請求項5】
溶融炉の上部に設けられた装入口から装入された汚泥、鉱滓、燃え殻、プリント基板、パット屑,廃触媒、金属屑、廃ショット、研削屑、ダスト等の廃棄物を当該溶融炉の側壁に配置されたサイドバーナによって溶融して湯溜り部にスラグ浴を形成させ、このスラグ浴中にアスベストを主とする産業廃棄物を投入して溶融することによって無害化処理を行う産業廃棄物溶融処理方法において、
前記スラグ浴の上部側に位置する前記溶融炉の中央部天井に設けた投入口からアスベストを主とする産業廃棄物を投入すると共に、当該投入口の近傍に配設された天井バーナによって前記溶融炉内に1,500℃以上の高温部を局部的に形成させてアスベストを主とする産業廃棄物を前記スラグ浴中に溶融させることを特徴とする産業廃棄物溶融処理方法。
【請求項6】
請求項5に記載の産業廃棄物溶融処理方法において、
前記スラグは、前記アスベストを主とする産業廃棄物の融点よりも低いことを特徴とする産業廃棄物溶融処理方法。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の業廃棄物溶融処理方法において、
前記スラグは、銅精錬スラグであることを特徴とする産業廃棄物溶融処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−301546(P2007−301546A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−235176(P2006−235176)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(591007860)日鉱金属株式会社 (545)
【Fターム(参考)】