説明

用力伝達部材案内装置、移動体装置、露光装置、フラットパネルディスプレイの製造方法、デバイス製造方法、及び用力伝達部材の案内方法

【課題】移動体に用力を伝達するためのケーブルの撓みを抑制する。
【解決手段】Xケーブルガイド装置50は、2つの中間ガイドユニット51を有しており、ケーブルCの長手方向中間部の2箇所を保持している。中間ガイドユニット51は、X軸方向に移動可能、且つケーブルCを保持する中間支持部材54がY軸方向に移動可能となっており、X粗動ステージ23XのX位置に対応して、2つの中間支持部材54それぞれが互いに反対の方向に駆動されることにより、ケーブルCの撓みが抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用力伝達部材案内装置、移動体装置、露光装置、フラットパネルディスプレイの製造方法、デバイス製造方法、及び用力伝達部材の案内方法に係り、更に詳しくは、所定方向に沿った位置を移動可能な移動体と、この移動体と異なる外部装置との間での用力の伝達に用いられる用力伝達部材を案内する用力伝達部材案内装置及び方法、前記用力伝達部材案内装置を有する移動体装置、該移動体装置を備える露光装置、及び該露光装置を用いるフラットパネルディスプレイ並びにデバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示素子、半導体素子(集積回路等)等の電子デバイス(マイクロデバイス)を製造するリソグラフィ工程では、マスク又はレチクル(以下、「マスク」と総称する)と、ガラスプレート又はウエハ(以下、「基板」と総称する)とを所定の走査方向(スキャン方向)に沿って同期移動させつつ、マスクに形成されたパターンをエネルギビームを用いて基板上に転写するステップ・アンド・スキャン方式の露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ(スキャナとも呼ばれる))などが用いられている。
【0003】
この種の露光装置は、露光対象物である基板を水平面に平行な所定の二次元平面に沿って移動させる基板ステージ装置を備えており、この基板ステージ装置には、外部から各種用力、例えば電力などを供給するためのケーブルが接続されている。ケーブルは、基板ステージ装置の移動に伴い、ケーブル案内装置により基板ステージ装置に追従するように案内される。従来、ケーブル案内装置としては、複数のリンク部材が繋がれたチェーンリンク機構を用いるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかし、特許文献1に記載のケーブル案内装置は、ケーブルが複数のリンク部材に沿って配置されているため、チェーンリンク機構の変形に伴いケーブルが変形する際、ケーブルと複数のリンク部材とが摺動し、振動が発生するおそれ及び発塵するおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/0000198号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の事情の下でなされたもので、第1の観点からすると、第1方向に沿った位置を移動可能な移動体と前記移動体と異なる外部装置との間で用力の伝達を行う用力伝達部材を案内する用力伝達部材案内装置であって、前記用力伝達部材の中間部を保持する中間保持部材と、前記移動体の前記第1方向に沿った位置の移動に伴って、前記中間保持部材を前記第1方向と、前記第1方向に交差する第2方向とに移動させる駆動系と、を備える用力伝達部材案内装置である。
【0007】
ここで、用力とは、移動体で用いられる何らかのエネルギ、物体など(一例として、電力、電気(又は光)信号、加圧気体、真空吸引力、冷媒)を意味し、移動体と外部装置との間で用力の伝達を行うとは、移動体と外部装置との間で上記用力の授受(電力の供給、電気(又は光)信号の送受信、加圧気体の供給、真空吸引、冷媒の供給及び回収など)を行うことを意味する。本明細書では、かかる意味で用力なる用語を用いるものとする。
【0008】
これによれば、用力伝達部材を保持する中間保持部材が、移動体の第1方向に沿った位置の移動に伴い、駆動系により、第1方向と第2方向とに駆動される。これにより、用力伝達部材の撓み、及び他の部材との摺動が抑制される。
【0009】
本発明は、第2の観点からすると、第1方向に沿った位置を移動可能な第1移動体と、前記第1移動体と異なる外部装置と前記第1移動体との間で用力の伝達を行う用力伝達部材を案内する本発明の用力伝達部材案内装置と、前記第1方向と交差する第3方向に沿った位置を移動可能な第2移動体と、を備え、前記第1移動体及び前記用力伝達部材案内装置は、前記第2移動体上に搭載され、前記第2移動体と共に前記第3方向に沿った位置を移動し、且つ前記第1移動体及び前記中間保持部材は、前記第2移動体上で前記第1方向に沿った位置を移動する移動体装置である。
【0010】
本発明は、第3の観点からすると、本発明の移動体装置と、前記第1移動体に保持される基板に対してエネルギビームを用いて所定のパターンを形成するパターン形成装置と、を備える露光装置である。
【0011】
本発明は、第4の観点からすると、本発明の露光装置を用いて前記基板を露光することと、露光された前記基板を現像することと、を含むフラットパネルディスプレイの製造方法である。
【0012】
本発明は、第5の観点からすると、本発明の露光装置を用いて前記基板を露光することと、露光された前記基板を現像することと、を含むデバイス製造方法である。
【0013】
本発明は、第6の観点からすると、第1方向に沿った位置を移動可能な移動体と前記移動体と異なる外部装置との間で用力の伝達を行う用力伝達部材を案内する方法であって、前記用力伝達部材の中間部を中間保持部材に保持させることと、前記移動体の前記第1方向に沿った位置の移動に伴い前記中間保持部材を前記第1方向と、前記第1方向に交差する第2方向とに移動させることと、を含む用力伝達部材の案内方法である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態の液晶露光装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】図1の液晶露光装置が有する基板ステージ装置の平面図である。
【図3】図2の基板ステージ装置を+X側から見た側面図である。
【図4】図2の基板ステージ装置が有するXケーブルガイド装置の平面図であって、基板ステージ装置が有するX粗動ステージが最も−X側に位置した状態を示す図である。
【図5】Xケーブルガイド装置の平面図であって、X粗動ステージが最も+X側に位置した状態を示す図である。
【図6】Xケーブルガイド装置が有する中間ガイドユニットの斜視図である。
【図7】第2の実施形態に係るXケーブルガイド装置の平面図であって、基板ステージ装置が有するX粗動ステージが最も−X側に位置した状態を示す図である
【図8】第2の実施形態に係る基板ステージ装置を+X側から見た側面図である。
【図9】第2の実施形態に係るXケーブルガイド装置の平面図であって、X粗動ステージが最も+X側に位置した状態を示す図である。
【図10】第2の実施形態に係るXケーブルガイド装置の斜視図である。
【図11】第1の変形例に係るXケーブルガイド装置の平面図である。
【図12】第2の変形例に係るXケーブルガイド装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
《第1の実施形態》
以下、第1の実施形態について、図1〜図6に基づいて説明する。
【0016】
図1には、第1の実施形態の液晶露光装置の構成が概略的に示されている。液晶露光装置10は、液晶表示装置(フラットパネルディスプレイ)に用いられる矩形のガラス基板P(以下、単に基板Pと称する)を露光対象物とするステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置、いわゆるスキャナである。
【0017】
液晶露光装置10は、図1に示されるように、照明系IOP、マスクMを保持するマスクステージMST、投影光学系PL、上記マスクステージMST及び投影光学系PLを支持する装置本体30、表面(図1で+Z側を向いた面)にレジスト(感応剤)が塗布された基板Pを保持する基板ステージ装置PST、及びこれらの制御系等を含んでいる。以下においては、露光時にマスクMと基板Pとが投影光学系PLに対してそれぞれ相対走査される方向をX軸方向とし、水平面内でこれに直交する方向をY軸方向、X軸及びY軸方向に直交する方向をZ軸方向とし、X軸、Y軸、及びZ軸回りの回転方向をそれぞれθx、θy、及びθz方向と称して説明を行う。また、X軸、Y軸、及びZ軸方向に関する位置をそれぞれX位置、Y位置、及びZ位置と称して説明を行う。
【0018】
照明系IOPは、例えば米国特許第6,552,775号明細書などに開示される照明系と同様に構成されている。すなわち、照明系IOPは、図示しない光源(例えば、水銀ランプ)から射出された光を、それぞれ図示しない反射鏡、ダイクロイックミラー、シャッター、波長選択フィルタ、各種レンズなどを介して、露光用照明光(照明光)ILとしてマスクMに照射する。照明光ILとしては、例えばi線(波長365nm)、g線(波長436nm)、h線(波長405nm)などの光が用いられる。
【0019】
マスクステージMSTには、回路パターンなどがそのパターン面に形成されたマスクMが、例えば真空吸着により固定されている。マスクステージMSTは、装置本体30の一部である鏡筒定盤31に固定された不図示のガイド部材上に非接触状態で搭載され、例えばリニアモータを含むマスクステージ駆動系(不図示)により走査方向(X軸方向)に所定のストロークで駆動されるとともに、Y軸方向、及びθz方向に適宜微少駆動される。
【0020】
投影光学系PLは、マスクステージMSTの図1における下方に配置されている。投影光学系PLは、例えば米国特許第6,552,775号明細書に開示された投影光学系と同様の構成を有している。すなわち、投影光学系PLは、マスクMのパターン像の投影領域が千鳥状に配置された複数の投影光学系(マルチレンズ投影光学系)を含み、Y軸方向を長手方向とする長方形状の単一のイメージフィールドを持つ投影光学系と同等に機能する。本実施形態では、複数の投影光学系それぞれとしては、例えば両側テレセントリックな等倍系で正立正像を形成するものが用いられている。
【0021】
このため、照明系IOPからの照明光ILによってマスクM上の照明領域が照明されると、マスクMを通過した照明光ILにより、投影光学系PLを介してその照明領域内のマスクMの回路パターンの投影像(部分正立像)が基板P上の照明領域に共役な照明光ILの照射領域(露光領域)に形成される。そして、マスクステージMSTと基板ステージ装置PSTとの同期駆動によって、照明領域(照明光IL)に対してマスクMを走査方向に相対移動させるとともに、露光領域(照明光IL)に対して基板Pを走査方向に相対移動させることで、基板P上の1つのショット領域の走査露光が行われ、そのショット領域にマスクMに形成されたパターンが転写される。すなわち、本実施形態では照明系IOP及び投影光学系PLによって基板P上にマスクMのパターンが生成され、照明光ILによる基板P上の感応層(レジスト層)の露光によって基板P上にそのパターンが形成される。
【0022】
装置本体30は、鏡筒定盤31、サイドコラム32、基板ステージ架台33を有している。鏡筒定盤31は、XY平面に平行に配置された板状の部材から成り、上記投影光学系PLを支持している。サイドコラム32は、図3に示されるように、Y軸方向に離間して一対設けられ、鏡筒定盤31の+Y側の端部近傍、及び−Y側の端部近傍をそれぞれ下方から支持している。ここで、図3は、図4のA−A線断面図に相当する。なお、図3では、上記照明系IOP、マスクステージMST、及び投影光学系PLの図示が省略されている。基板ステージ架台33は、Y軸方向に延びる部材から成り、図1に示されるように、X軸方向に離間して一対設けられている。図3に戻り、上記+Y側のサイドコラム32は、一対の基板ステージ架台33の+Y側の端部近傍上に、−Y側のサイドコラム32は、一対の基板ステージ架台33の−Y側の端部近傍上にそれぞれ搭載されている。
【0023】
一対の基板ステージ架台33それぞれは、その長手方向の両端部近傍が、クリーンルームの床11上に設置された防振装置34により下方から支持されている。これにより、装置本体30(投影光学系PL及びマスクステージMST)が、床11から振動的に分離される。一対の基板ステージ架台33それぞれは、図1に示されるように、中空の部材から成り、その内部における上面部、下面部間には、補剛用の複数のリブが架設されている。
【0024】
基板ステージ装置PSTは、一対のベースフレーム14、補助ベースフレーム15、Y粗動ステージ23Y、X粗動ステージ23X、微動ステージ21、Yステップ定盤40、及び重量キャンセル装置70などを備えている。
【0025】
一方のベースフレーム14は、+X側の基板ステージ架台33の+X側に、他方のベースフレーム14は、−X側の基板ステージ架台33の−X側に、補助ベースフレーム15は、一対の基板ステージ架台33の間に、それぞれ基板ステージ架台33に所定距離隔てて(非接触状態で)配置されている。一対のベースフレーム14及び補助ベースフレーム15は、それぞれY軸方向に延びるYZ平面に平行な板状部材から成り、複数のアジャスタ装置を介して高さ位置(Z位置)が調整可能に床11上に設置されている。
【0026】
Y粗動ステージ23Yは、図2に示されるように、一対のXビーム25を有している。一対のXビーム25それぞれは、X軸方向に延びるYZ断面が矩形の部材から成り、Y軸方向に所定間隔で互いに平行に配置されている。一対のXビーム25は、図1及び図2から分かるように、+X側及び−X側の端部近傍それぞれにおいて、接続部材26により互いに接続されている。また、一対のXビーム25は、長手方向の中央部において、接続部材26a(図2では不図示)により互いに接続されている。接続部材26、26aは、それぞれXY平面に平行な板状部材から成り、その上面上に一対のXビーム25が搭載されている。ここで、−X側の接続部材26の−X側の端部と一対のXビーム25の−X側の端部のX位置は、ほぼ同じであるが、一対のXビーム25の+X側の端部は、+X側の接続部材26の+X側の端部よりも+X側に突き出している。一対の接続部材26それぞれの下面には、図1に示されるように、Yキャリッジ27が固定されている。Yキャリッジ27は、XZ断面逆U字状の部材から成り、その一対の対向面間にベースフレーム14が挿入されている。Yキャリッジ27は、図3に示されるように、ひとつの接続部材26につき、Y軸方向に所定間隔(一対のXビーム25に対応する間隔)で2つ配置されている。
【0027】
図1に戻り、Y粗動ステージ23Yは、ベースフレーム14及び補助ベースフレーム15に固定された複数のYリニアガイドと、Yキャリッジ27及びXビーム25に固定された複数のYスライド部材とにより構成される複数のYリニアガイド装置28により、Y軸方向に直進案内される。また、Y粗動ステージ23Yは、ベースフレーム14に固定されたY固定子(例えば複数の磁石ユニットを含む)と、Yキャリッジ27に固定されたY可動子(例えばコイルユニットを含む)とにより構成されるYリニアモータ29により、一対のベースフレーム14及び補助ベースフレーム15上でY軸方向に所定のストロークで駆動される。
【0028】
Y可動子が有するコイルユニットを含み、Y粗動ステージ23Yに対する用力の供給は、図1に示されるように、+X側のベースフレーム14の+X側に配置されたYケーブルガイド装置12を介して行われる。Yケーブルガイド装置12は、例えば米国特許出願公開第2003/0000198号明細書に開示されるケーブルガイド装置と同様に構成されている。すなわち、Yケーブルガイド装置12では、用力供給に用いられる可撓性部材(例えばケーブル、チューブなど)が+X側から見てU字状に折り曲げて配置され、Y粗動ステージ23YのY位置に応じてその折り曲げ部の位置を変化させることにより上記ケーブルなどを案内する。Yケーブルガイド装置12は、図2に示されるように+X側の2つのYキャリッジ27(図2では不図示。図1及び図3参照)に対応して、+X側から見て左右対称に、例えば2つ配置されている。
【0029】
一対のXビーム25それぞれの上面には、X軸方向に延びる機械的な一軸ガイド装置の要素であるXリニアガイド45が、Y軸方向に所定間隔でひとつのXビーム25につき、例えば2本、互いに平行に固定されている。また、一対のXビーム25それぞれの上面であって、一対のXリニアガイド45間の領域には、X固定子42が固定されている。X固定子42は、X軸方向に所定間隔で配列された複数の永久磁石を含む磁石ユニットを有している。
【0030】
図1に戻り、X粗動ステージ23Xは、平面視矩形の板状部材から成り、その中央部に開口部が形成されている。X粗動ステージ23Xの下面には、Xリニアガイド45にスライド可能に係合するXスライド部材46が複数固定されている。Xスライド部材46は、一本のXリニアガイド45につき、X軸方向に所定間隔で、例えば4個設けられている。X粗動ステージ23Xは、Xリニアガイド45とXスライド部材46とを含む複数のXリニアガイド装置により、X軸方向に直進案内される。また、不図示であるが、X粗動ステージ23Xの下面には、一対のXビーム25それぞれに固定されたX固定子42に所定のクリアランスを介して対向する一対のX可動子が固定されている。X可動子は、不図示のコイルユニットを含み、上述したX固定子42と共にX粗動ステージをX軸方向に所定のストロークで駆動するためのXリニアモータを構成している。
【0031】
また、X粗動ステージ23Xは、複数のXリニアガイド装置によりY粗動ステージ23Yに対するY軸方向への相対移動が制限されており、Y粗動ステージ23Yと一体的にY軸方向に移動する。すなわち、X粗動ステージ23Xは、Y粗動ステージ23Yと共に、ガントリ式の2軸ステージ装置を構成している。Y粗動ステージ23YのY位置情報、及びX粗動ステージ23XのX位置情報は、それぞれ不図示のリニアエンコーダシステムにより求められる。
【0032】
微動ステージ21は、平面視矩形の箱形部材から成り、その上面に基板ホルダPHが固定されている。基板ホルダPHは、XY平面に平行な平面視矩形の板状部材から成り、その上面に基板Pを、例えば真空吸着(又は静電吸着)により吸着保持する。なお、図2では、微動ステージ21、及び基板ホルダPHの図示が省略されている。
【0033】
微動ステージ21は、X粗動ステージ23Xに固定された固定子と、微動ステージ21に固定された可動子とから成る複数のボイスコイルモータを含む微動ステージ駆動系により、X粗動ステージ23X上で3自由度方向(X軸、Y軸、θz方向)に微少駆動される。複数のボイスコイルモータには、図4に示されるように、例えば2つのXボイスコイルモータ18x、及び2つのYボイスコイルモータ18yが含まれる。なお、図4では、基板ホルダPHの図示が省略されている。微動ステージ21は、上記複数のボイスコイルモータが発生する推力により、X粗動ステージ23Xに誘導されることにより、そのX粗動ステージ23Xと共にX軸方向、及び/又はY軸方向に所定のストロークで移動するとともに、適宜X粗動ステージ23Xに対して上記3自由度方向に微少駆動される。
【0034】
また、微動ステージ駆動系は、図1に示されるように、微動ステージ21をθx、θy、及びZ軸方向の3自由度方向に微少駆動するための複数のZボイスコイルモータ18zを有している。複数のZボイスコイルモータ18zは、例えば微動ステージ21の四隅部に対応する箇所に配置されている(図1では、4つのZボイスコイルモータ18zのうち2つのみが示され、他の2つは図示省略)。複数のボイスコイルモータを含み、微動ステージ駆動系の構成については、例えば米国特許出願公開第2010/0018950号明細書に開示されている。
【0035】
図4に示されるように、微動ステージ21のXY平面内の位置情報(θz方向の回転量情報を含む)は、Xレーザ干渉計19xと2つのYレーザ干渉計19yとを含む基板干渉計システムにより、微動ステージ21にミラーベース24を介してそれぞれ固定されたX移動鏡22x、及びY移動鏡22yを用いて求められる。また、微動ステージ21のθx、θy、及びZ軸方向それぞれの位置情報は、図1に示されるように、微動ステージ21の下面に固定された複数のZセンサ72により、後述する重量キャンセル装置70に固定されたターゲット74を用いて求められる。上記微動ステージ21の位置計測系の構成については、例えば米国特許出願公開第2010/0018950号明細書に開示されている。
【0036】
Yステップ定盤40は、X軸方向に伸びるYZ断面矩形の部材から成り、一対のXビーム25それぞれに所定距離隔てた状態で(非接触状態で)、一対のXビーム25間に挿入されている(図2参照)。Yステップ定盤40の長手方向の寸法は、微動ステージ21のX軸方向に関する移動ストロークよりも幾分長めに設定されている。Yステップ定盤40の上面は、平面度が非常に高く仕上げられている。Yステップ定盤40は、一対の基板ステージ架台33それぞれの上面に固定された複数のYリニアガイドと、Yステップ定盤40の下面に固定された複数のYスライド部材とにより構成される複数のYリニアガイド装置35により、一対の基板ステージ架台33上でY軸方向に所定のストロークで直進案内される。
【0037】
Yステップ定盤40は、図2に示されるように、長手方向の+X側、及び−X側の端部近傍それぞれにおいて、一対のフレクシャ装置41と称される装置を介して一対のXビーム25に機械的に連結されている。これにより、Yステップ定盤40とY粗動ステージ23Yとは、一体的にY軸方向に移動する。フレクシャ装置41は、例えばXY平面に平行に配置された厚さの薄い帯状の鋼板と、その鋼板の両端部に設けられた滑節装置(例えばボールジョイント、又はヒンジ装置)とを含み、上記鋼板が滑節装置を介してYステップ定盤40、及びXビーム25間に架設されている。従って、フレクシャ装置41は、Y軸方向の剛性に比べて他の5自由度方向(X,Z,θx、θy、θz方向)の剛性が低く、上記5自由度方向に関してYステップ定盤40とY粗動ステージ23Yとが振動的に分離される。なお、Yステップ定盤40のY位置は、例えばリニアモータなどのアクチュエータにより制御しても良い。この場合のリニアモータの固定子としては、一対のベースフレーム14に固定されたY固定子を用いても良い。
【0038】
重量キャンセル装置70は、図1に示されるように、Z軸方向に延設された柱状の部材から成り、X粗動ステージ23Xの開口部内に挿入され、Yステップ定盤40上に搭載されている。重量キャンセル装置70は、筐体77、空気ばね78,Zスライダ79などを有する。筐体77は、+Z側に開口する有底の筒状部材から成り、その下面に取り付けられた複数のエアベアリングにより重量キャンセル装置70がYステップ定盤40に浮上支持される。空気ばね78は、筐体77の内部に収容されている。空気ばね78には、外部から加圧気体が供給される。Zスライダ79は、Z軸方向に延びる筒状の部材から成り、筐体77内に挿入され、空気ばね78上に搭載されている。重量キャンセル装置70は、空気ばね78が発生する重力方向上向き(+Z方向)の力により、微動ステージ21、基板ホルダPHなどを含む系の重量(重量加速度による下向き(−Z方向)の力)を打ち消し、これにより微動ステージ駆動系を構成する複数のボイスコイルモータの負荷を低減する。
【0039】
Zスライダ79の+Z側の端部には、レベリング装置76と称される球面軸受け装置(あるいは、米国特許出願公開第2010/0018950号明細書に開示されるような疑似球面軸受装置)が接続されている。レベリング装置76は、微動ステージ21をXY平面に対して揺動(チルト動作)可能に支持している。Zスライダ79と筐体77とは、不図示の板ばね装置により連結されており、微動ステージ21がXY平面に沿って移動すると、重量キャンセル装置70全体が微動ステージ21と一体的にXY平面に沿って移動する。
【0040】
次に、上記複数のボイスコイルモータの固定子(コイルユニット)、基板ホルダPHが基板Pを吸着保持するための真空吸引力などのX粗動ステージ23Xで用いられる用力、上記XリニアモータのX可動子(不図示)、あるいは重量キャンセル装置70で用いられる加圧空気などの用力の伝達を外部装置(例えば電源装置、コンプレッサ、バキューム装置など)とX粗動ステージ23Xとの間で行うための複数のケーブル、チューブなどを、X粗動ステージ23XのX位置に応じて案内するXケーブルガイド装置50について説明する(図1及び図2では、Xケーブルガイド装置50は不図示)。
【0041】
複数のケーブル、チューブなどは、図3に示されるように、Z方向(上下方向)に重ねて配置されている(図4、図5では、複数のケーブル、チューブなどは図面奥行き方向に重なっている)。以下、Xケーブルガイド装置50により案内される複数のケーブル、チューブなどをケーブルCと総称して説明する。ケーブルCは、一端部がX粗動ステージ23Xに接続され、他端部が不図示の外部装置に接続されている。
【0042】
図4に示されるように、Xケーブルガイド装置50は、複数(例えば2つ)の中間ガイドユニット51を有している。なお、理解を容易にするため、図4及び図5において、中間ガイドユニット51は、模式的に示されている(詳細な構成は図6参照)。また、図4及び図5では、図面の錯綜を避けるため、Xビーム25が図2などに比べ細く示されるとともに、基板ホルダPH、基板ステージ架台33、補助ベースフレーム15、Yケーブルガイド装置12、フレクシャ装置41などの図示が省略されている。
【0043】
例えば、2つの中間ガイドユニット51は、それぞれX粗動ステージ23Xの+X側に配置され、一方が+Y側のXビーム25上に搭載され、他方が−Y側のXビーム25上に搭載されている。一方(+Y側)の中間ガイドユニット51は、他方(−Y側)の中間ガイドユニット51に対して−X側(X粗動ステージ23X側)に配置されている。例えば、2つの中間ガイドユニット51は、+X側から基板ステージ装置PSTを見た場合(図3参照)に左右対称に配置されている点を除き、ほぼ同じ部材である。以下、特に説明する場合を除き、図6に示される+Y側の中間ガイドユニット51についてのみ説明する。なお、図6では、ケーブルC、Xビーム25、X固定子42など(それぞれ図3参照)の図示が省略されている。
【0044】
中間ガイドユニット51は、図6に示されるように、Xテーブル52、Xテーブル52上に搭載されたY駆動ユニット53、Y駆動ユニット53によりY軸方向に駆動される中間支持部材54などを有している。Xテーブル52は、XY平面に平行に配置された平面視矩形の板状部材から成る。Xテーブル52の下面には、例えばボールなどの転動体を含み、Xビーム25(図6では不図示。図3参照)の上面に固定されたXリニアガイド45に低摩擦でスライド可能に係合する複数(例えば、ひとつのXリニアガイド45につき2つ)のXスライド部材55が固定されている。Xスライド部材55は、X粗動ステージ23X(図1参照)の下面に固定されたXスライド部材46と実施的に同じものである。
【0045】
また、Xテーブル52の下面には、図3に示されるように、Xビーム25上に固定されたX固定子42に所定のクリアランスを介して対向するX可動子43が取り付けられている。X固定子42とX可動子43とは、Xテーブル52をXリニアガイド45に沿って駆動するためのXリニアモータ44を構成している。これにより、Xテーブル52がXビーム25上をX軸方向に所定のストロークで移動可能となっている。Xテーブル52のX位置情報は、例えばXビーム25に固定された不図示のXスケールとXテーブル52に固定された不図示の検出器(ヘッド)とにより構成されるXリニアエンコーダシステム(あるいは公知のスケールレスリニアセンサ)により求められる。
【0046】
図6に戻り、Y駆動ユニット53は、Xテーブル52の上面に固定されたユニットベース53aと、ユニットベース53a上に搭載されたY駆動装置53bとを含む。ユニットベース53aは、Y軸方向に延びる板状の部材から成る。ここで、ユニットベース53aは、+Y側の端部がXテーブル52の+Y側の端部から+Y側に、−Y側の端部がXテーブル52の−Y側の端部から−Y側に、それぞれ突き出しおり、その突き出し量は、図4に示されるように、−Y側の方が大きく(長く)設定されている。
【0047】
Y駆動装置53bは、Y軸方向に延びる部材から成り、そのY軸方向の寸法は、ユニットベース53aとほぼ同じである。Y駆動装置53bは、後述する中間支持部材54をY軸方向に機械的に直進案内するYリニアガイド装置の要素、及び中間支持部材54をY軸方向に所定のストロークで駆動するための送りねじ装置の要素であるモータ、送りねじなど(それぞれ不図示)を有している。
【0048】
中間支持部材54は、Yテーブル56、Yテーブル56上に支持部材57を介して固定されたケーブル保持部材58、ケーブル押さえ部材59などを有している。Yテーブル56は、平面視矩形の板状部材から成り、Y駆動装置53b上に搭載されている。Yテーブル56は、上記送りねじ装置の要素であるナット(不図示)などを有し、その送りねじ装置により、Y駆動装置53b上でY軸方向に所定のストロークで駆動される。なお、中間支持部材54を駆動する一軸アクチュエータは、これに限られず、例えばリニアモータ、ラックアンドピニオン方式の駆動装置などであっても良い。
【0049】
ケーブル保持部材58は、Z軸方向に延びる円柱状の部材の一部を切り欠いたような形状(XY断面がほぼC字状)の部材から成る。本実施形態では、+Y側の中間ガイドユニット51のケーブル保持部材58では、上記切り欠きが−Y側に形成され、−Y側の中間ガイドユニット51のケーブル保持部材58では、上記切り欠きが+Y側に形成される(それぞれ互いに内側を向いた面に切り欠きが形成されている)。ケーブルCは、図4に示されるように、ケーブル保持部材58の外周面(円弧面)に沿って巻き掛けられ、ケーブル押さえ部材59により、そのケーブル保持部材58の外周面と摺動しないように固定される。ケーブル保持部材58の径方向寸法は、その外周面に巻き掛けられるケーブルCが過度に折り曲げられることがないように設定されている。
【0050】
また、Xケーブルガイド装置50は、図4に示されるように、ステージ側中間支持部材60、及び外部装置側中間支持部材63を有している。ステージ側中間支持部材60は、X粗動ステージ23Xの上面上であって、X粗動ステージ23Xの+X側の端部近傍の中央部に固定された支持板61上に搭載されたケーブル保持部材58(上記中間ガイドユニット51のケーブル保持部材58と同じ構成の部材)を有し、そのケーブル保持部材58の外周面には、ケーブルCの長手方向の一端側の一部がケーブル保持部材58に巻き掛けられ、ケーブル押さえ部材59により固定されている。
【0051】
外部装置側中間支持部材63は、+X側の接続部材26の+X側の端部から+X側に突き出して配置された支持板64上に固定された支持板65上に搭載されたケーブル保持部材58(上記中間ガイドユニット51のケーブル保持部材58と同じ構成の部材)を有し、そのケーブル保持部材58の外周面には、ケーブルCの長手方向の他端側の一部がケーブル保持部材58に巻き掛けられ、ケーブル押さえ部材59により固定されている。
【0052】
ケーブルCは、ステージ側中間支持部材60の−Y側、+Y側の中間ガイドユニット51の+Y側、−Y側の中間ガイドユニット51の−Y側、外部装置側中間支持部材63の+Y側をそれぞれ通り、それぞれのケーブル保持部材58の外周面に固定されている。ここで、ステージ側中間支持部材60と外部装置側中間支持部材63との間に架設されるケーブルCの全体長(Xケーブルガイド装置50により案内されるケーブルCの長さ)をLとすると、ステージ側中間支持部材60と+Y側の中間ガイドユニット51との間に架設されるケーブルCの長さは、例えば約L/4、2つの中間ガイドユニット51間に架設されるケーブルCの長さは、例えば約L/2、−Y側の中間ガイドユニット51と外部装置側中間支持部材63との間に架設されるケーブルCの長さは、例えば約L/4にそれぞれ設定されている。
【0053】
以上のように構成された液晶露光装置10(図1参照)では、不図示の主制御装置の管理の下、不図示のマスクローダによって、マスクステージMST上へのマスクMのロード、及び不図示の基板ローダによって、基板ステージ装置PST上への基板Pのロードが行なわれる。その後、主制御装置により、不図示のアライメント検出系を用いてアライメント計測が実行され、アライメント計測の終了後、ステップ・アンド・スキャン方式の露光動作が行なわれる。なお、この露光動作は従来から行われているステップ・アンド・スキャン方式と同様であるので、その詳細な説明は省略するものとする。
【0054】
次に、上記露光動作時、アライメント計測時、基板交換時などにおける基板ステージ装置PST、及びXケーブルガイド装置50の動作について説明する。基板ステージ装置PST、及びXケーブルガイド装置50は、それぞれ不図示の主制御装置により制御される。
【0055】
例えば、上記露光動作時に、基板P(図1参照)をY軸方向(クロススキャン方向)に所定のストロークで移動させる際、主制御装置は、複数のYリニアモータ29(図1参照)を制御してY粗動ステージ23YをY軸方向に駆動する。また、基板ステージ装置PSTでは、Y粗動ステージ23Yと一体的にX粗動ステージ23XがY軸方向に移動する。主制御装置は、微動ステージ21がX粗動ステージ23Xと同期(同方向に同速度で移動)するように、複数のYボイスコイルモータ18y(図4参照)を用いて微動ステージ21にY軸方向の推力を作用させる。また、重量キャンセル装置70は、微動ステージ21と一体的にY軸方向に移動する。この際、Y粗動ステージ23YとYステップ定盤40とが一体的にY軸方向に移動するので、重量キャンセル装置70がYステップ定盤40上から脱落することがない。
【0056】
また、Y粗動ステージ23YがY軸方向に移動する際、Y粗動ステージ23Yに用力を供給するためのケーブル(不図示)は、Yケーブルガイド装置12(図1参照)に案内される。また、Y粗動ステージ23YがY軸方向に移動すると、一対のXビーム25上に搭載された、例えば2つの中間ガイドユニット51、外部装置側中間支持部材63、及びX粗動ステージ23X上に搭載されたステージ側中間支持部材60それぞれ、すなわちXケーブルガイド装置50全体が、ケーブルCと共にY粗動ステージ23Yと一体的にY軸方向に移動する。
【0057】
これに対し、例えば上記露光動作時に、基板P(図1参照)をX軸方向(スキャン方向)に移動させる際、主制御装置は、複数のXリニアモータを制御してX粗動ステージ23XをX軸方向に駆動する。この際、主制御装置は、微動ステージ21がX粗動ステージ23Xと同期(同方向に同速度で移動)するように、複数のXボイスコイルモータ18x(図4参照)を用いて微動ステージ21にX軸方向の推力を作用させる。また、重量キャンセル装置70は、微動ステージ21と一体的にX軸方向に移動する。この際、重量キャンセル装置70は、Yステップ定盤40上を移動する。
【0058】
次に、一例として、X粗動ステージ23Xが−X側のストロークエンドから+X側のストロークエンドに移動する際のXケーブルガイド装置50の動作を説明する。図4において、X粗動ステージ23Xは、−X側のストロークエンドに位置している。また、この状態でのステージ側中間支持部材60と外部装置側中間支持部材63との間の距離を距離Dとすると、+Y側の中間ガイドユニット51は、ステージ側中間支持部材60から+X側に距離D/4程度の位置、−Y側の中間ガイドユニット51は、外部装置側中間支持部材63から−X側に距離D/4程度の位置にそれぞれ位置決め制御されている。
【0059】
そして、+Y側の中間ガイドユニット51の中間支持部材54は、その移動可能範囲の最も−Y側(内側)のストロークエンドに、−Y側の中間ガイドユニット51の中間支持部材54は、その移動可能範囲の最も+Y側(内側)のストロークエンドにそれぞれ位置決め制御されている。この状態では、+Y側の中間ガイドユニット51とステージ側中間支持部材60との間のケーブルCは、最もX軸に対する角度が小さくなる。また、2つの中間ガイドユニット51間のケーブルCも、最もX軸に対する角度が小さくなる。さらに、−Y側の中間ガイドユニット51と外部装置側中間支持部材63との間のケーブルCも同様に最もX軸に対する角度が小さくなる。この際、ステージ側中間支持部材60と+Y側の中間ガイドユニット51との間、2つの中間ガイドユニット51間、−Y側の中間ガイドユニット51と外部装置側中間支持部材63との間それぞれにおいて、ケーブルCに自重による撓みが生じず、かつ過度に張力が作用しないようにケーブル保持部材58のY軸方向に関する可動範囲が設定されている。
【0060】
次に、図4で示される−X側のストロークエンドから、図5で示される+X側のストロークエンドへX粗動ステージ23Xが移動すると、主制御装置は、ケーブルCに撓みが生じないように、例えば2つの中間ガイドユニット51それぞれのXテーブル52のX位置、及び2つの中間ガイドユニット51それぞれの中間支持部材54のY位置を制御する。具体的に説明すると、X粗動ステージ23Xが+X方向に移動するのに従って、主制御装置は、2つの中間ガイドユニット51それぞれのXテーブル52をX粗動ステージ23Xよりも遅い速度(少ない移動量)で+X方向に駆動(ただし、−Y側のXテーブル52を+Y側のXテーブル52よりも遅く駆動)する。この際、主制御装置は、X軸方向に関してステージ側中間支持部材60と+Y側の中間ガイドユニット51との間の距離、例えば2つの中間ガイドユニット51間の距離、−Y側の中間ガイドユニット51と外部装置側中間支持部材63との間の距離の比が、例えば1:2:1程度となるように制御する。
【0061】
また、主制御装置は、+Y側の中間ガイドユニット51の中間支持部材54を+Y側に、−Y側の中間ガイドユニット51の中間支持部材54を−Y側に(2つの中間ガイドユニット51それぞれの中間支持部材54が互いに離間するように)それぞれ駆動する。図4に示される状態から図5に示される状態に移行する際のケーブルCの形状を、仮に平面視でのケーブルCの形状を正弦波の波形に例えると、ケーブルCは、波長が短く、かつ振幅が大きくなるように変形し、これにより、ケーブルCが折り畳まれる。この際、主制御装置は、常にケーブルCの撓みが抑制されるように(ケーブルCが張った状態となるように)予め中間ガイドユニット51のX位置に対応して入力されたデータ(あるいはプログラム)に基づいて中間支持部材54のY位置を制御する。
【0062】
X粗動ステージ23Xが+X軸方向に移動し、図5で示される+X側のストロークエンドに位置すると、ステージ側中間支持部材60、2つの中間支持部材54、及び外部装置側中間支持部材63は、それぞれX軸方向に関して最も接近した状態となる。また、+Y側の中間支持部材54は、その+Y側のストロークエンドに位置し、−Y側の中間支持部材54は、その−Y側のストロークエンドに位置する。なお、X粗動ステージ23Xが+X側のストロークエンド(図5参照)から−X側のストロークエンド(図4参照)に移動する際は、上述の場合とは逆の制御が行われるため、説明を省略する。
【0063】
以上説明したように、本実施形態の液晶露光装置10では、X粗動ステージ23XのX位置に関わらず、Xケーブルガイド装置50によりケーブルCの自重に起因する撓みが抑制されるので、ケーブルCと他の部材(例えばYステップ定盤40など)との接触(摺動)を防止できる。ケーブルCは、複数のケーブル保持部材58間において、空中に架設されるので、X粗動ステージ23X、中間ガイドユニット51(Xテーブル52,及び中間支持部材54)が移動しても、ケーブルCと他の部材(例えばXビーム25など)とが摺動し発塵するおそれがない。また、Xケーブルガイド装置50は、ケーブルCの長手方向中間部を保持するのみなので、軽量で慣性質量が小さくなり高速移動が可能となる。また、ケーブルCの中間部分(屈曲部分)のみを直接的に制御するので、部品点数を少なくすることができるので、コストを安くすることができる。
【0064】
また、例えば2つの中間ガイドユニット51は、Y粗動ステージ23Y上(すなわちX粗動ステージ23Xの移動領域内)に配置されているので、Xケーブルガイド装置50の設置に伴いフットプリントが大きくなることがない。また、仮にX粗動ステージ23Xに対してYケーブルガイド装置12と同じような構成(ケーブルをUターンさせるタイプ)のケーブルガイド装置を用いる場合には、+Y側のXビーム25の+Y側(外側)、−Y側のXビーム25の−Y側(外側)にそれぞれケーブルガイド装置が配置される。この場合、ケーブルガイド装置とサイドコラム32とが接触しないように、本第1の実施形態に比べて一対のサイドコラム32を離して配置する必要がある。これに対し本第1の実施形態では、一対のサイドコラム32の間隔を(X粗動ステージの可動範囲に応じた)最小限にすることができるので、装置本体30の剛性の低下を抑制できる。
【0065】
また、ケーブルCを折り畳む際、あるいは延ばす際にケーブルC(Z軸方向に重ねられた複数のケーブル、チューブ)がXY平面に平行な面内で動作する構成なので、Xケーブルガイド装置50の高さが高くならず、Xケーブルガイド装置50の上方の空間(Y粗動ステージ23Yと鏡筒定盤31との間の空間)が狭い場合であっても好適にケーブルCを案内することができる。
【0066】
《第2の実施形態》
次に第2の実施形態について、図7〜図10を用いて説明する。第2の実施形態に係る基板ステージ装置は、上記第1の実施形態の基板ステージ装置PST(図2など参照)と比べ、Xケーブルガイド装置の構成を除き同じ構成を有しているため、以下、Xケーブルガイド装置についてのみ説明する。なお、本第2の実施形態(及び後述する変形例)において、上記第1の実施形態と同様の構成、機能を有する要素については、上記第1の実施形態と同じ符号を付してその説明を省略する。
【0067】
本第2の実施形態に係る基板ステージ装置PSTaでは、図7に示されるように、複数、例えば2系統のケーブルCが配置されている。基板ステージ装置PSTaは、上記2系統のケーブルCに対応して、例えば2つのXケーブルガイド装置50aを有している。例えば2つのXケーブルガイド装置50aは、一方が+Y側のXビーム25上に搭載され、他方が−Y側のXビーム25上に搭載されている。
【0068】
例えば2つのXケーブルガイド装置50aそれぞれは、複数、例えば2つの中間ガイドユニット51a、ステージ側中間支持部材60、外部装置側中間支持部材63、及び中間ガイドユニット51aをX軸方向に機械的に誘導するXリンク装置90を備えている。このため、例えば2つのXケーブルガイド装置50aそれぞれのステージ側中間支持部材60は、X粗動ステージ23Xの上面であって、+X側の端部近傍にY軸方向に所定間隔(一対のXビーム25に対応する間隔)で配置されている。また、例えば2つのXケーブルガイド装置50aそれぞれの外部装置側中間支持部材63は、Xビーム25の+X側の端部近傍上に固定されている。なお、図7及び図9では、図面の錯綜を防止するため、−Y側のXケーブルガイド装置50aの、例えば2つの中間ガイドユニット51a(Xテーブル52aを除く)、及びケーブルCの図示が省略されている。例えば2つのXケーブルガイド装置50aは、実質的に同じものなので、以下、一方(+Y側)のXケーブルガイド装置50aについてのみ説明する。
【0069】
上記第1の実施形態(図4参照)において、例えば2つの中間ガイドユニット51は、一方が+Y側のXビーム25上に搭載され、他方が−Y側のXビーム25上に搭載されているのに対し、本第2の実施形態では、+Y側のXケーブルガイド装置50aが有する例えば2つの中間ガイドユニット51aは、共に+Y側のXビーム25上に搭載されている。例えば、2つの中間ガイドユニット51aは、+X側から基板ステージ装置PSTaを見た場合(図8参照)に左右対称に配置されている点を除き、ほぼ同じ部材である。また、本第2の実施形態に係る中間ガイドユニット51aの構成は、Xテーブル52aを除き、上記第1の実施形態に係る中間ガイドユニット51(図6参照)と実質的に同じであるため、以下相違点についてのみ説明する。
【0070】
Xテーブル52aは、図10に示されるように、Y軸方向に伸びる板状部材から成るベース52aとベース52aの上面であって長手方向両端近傍それぞれに取り付けられたスペーサ52aとを含む。Y駆動ユニット53は、例えば2つのスペーサ52a上に搭載されている。これにより、Y駆動ユニット53の下面とベース52aの上面との間には隙間(空間)が形成されている。なお、スペーサ52aはベース52aと一体的に形成されても良いし、別部品であっても良い。また、上記第1の実施形態と異なり、Xテーブル52aの下面にはX可動子が取り付けられていない(図8参照。なお、図面の錯綜を避けるため、図8ではXリンク装置90、及びX粗動ステージ23Xの下面に取り付けられたX可動子の図示が省略されている)。また、本第2の実施形態のY駆動ユニット53は、Xビーム25からの突き出し量が上記第1の実施形態とは幾分異なっているが、その機能が同じであるため便宜上同じ符号を用いて説明する。
【0071】
Xリンク装置90は、図10に示されるように、いわゆるパンタグラフ型のリンク機構を構成する複数(例えば10本)のリンク(以下、第1〜第10リンク91〜9110と称する)を有している。上記第1〜第10リンク91〜9110は、それぞれ棒状の部材から成り、第1、第2、第9、第10リンク91、91、91、9110は、その他のリンク(第3〜第8リンク91〜91)に比べて、その長さが短く(例えば1/2程度に)設定されている。
【0072】
第1リンク91の一端はステージ側中間支持部材の支持板61に、第2リンク91の一端は第1リンク91の他端に、第3リンク91の一端は第2リンク91の他端に、第4リンク91の一端は第3リンク91の他端に、第5リンク91の一端は第4リンク91の他端に、第5リンク91の他端は外部装置側中間支持部材63の支持板65に、それぞれピン状の軸部材92を介してθz方向に回転可能に接続されている。また、第6リンク91の一端はステージ側中間支持部材の支持板61に、第7リンク91の一端は第6リンク91の他端に、第8リンク91の一端は第7リンク91の他端に、第9リンク91の一端は第8リンク91の他端に、第10リンク9110の一端は第9リンク91の他端に、第10リンク9110の他端は外部装置側中間支持部材63の支持板65に、それぞれピン状の軸部材92を介してθz方向に回転可能に接続されている。
【0073】
また、第2リンク91と第7リンク91、第3リンク91と第8リンク91、及び第4リンク91と第9リンク91は、それぞれ長手方向中間部において交差して(平面視でX字状に)配置されており、その交差部において、ピン状の軸部材92を介してθz方向に回転可能に接続されている(第2リンク91と第7リンク91とを接続する軸部材92、及び第4リンク91と第9リンク91とを接続する軸部材92は、それぞれ図10では不図示。図7参照)。さらに、第2リンク91と第7リンク91とは、その交差部が−X側の中間ガイドユニット51aのXテーブル52aのY駆動ユニット53の下面とベース52aの上面と間の隙間(空間)内に挿入されている。そして、第2リンク91と第7リンク91とを接続する軸部材92(図10では不図示)は、Xテーブル52aに固定されている。同様に、第4リンク91と第9リンク91とは、その交差部が+X側の中間ガイドユニット51aのXテーブル52aに軸部材92(図10では不図示)を介して軸支されている。なお、第2の実施形態において、Y粗動ステージ23Yの一対のXビーム25は、上記Xケーブルガイド装置50aを搭載するためにその長手方向寸法が上記第1の実施形態に比べて幾分長く設定されている(但し、X固定子42は、上記第1の実施形態に比べて短い)。
【0074】
以上の構成により、Xリンク装置90は、X粗動ステージ23XがX軸方向(+X方向、又は−X方向)に移動すると、これに連動して、図8及び図9に示されるように、第1〜第10リンク91〜9110それぞれ軸部材92周りに回転し、その全体長が変化する。また、Xリンク装置90の全体長の変化に伴い、例えば2つの中間ガイドユニット51aがX軸方向に機械的に誘導される。この際、X軸方向に関してステージ側中間支持部材60と−X側の中間ガイドユニット51aとの間の距離、例えば2つの中間ガイドユニット51a間の距離、+X側の中間ガイドユニット51aと外部装置側中間支持部材63との間の距離の比は、上記第1〜第10リンク91〜9110の長さにより常に、例えば1:2:1程度となる。不図示の主制御装置は、例えば2つの中間ガイドユニット51aのX軸方向への移動に伴い、上記第1の実施形態と同様に、ケーブルCがその自重に起因して撓まないように、例えば2つの中間ガイドユニット51aそれぞれのケーブル保持部材58をY軸方向に適宜駆動する。また、第2リンク91、第4リンク91、第7リンク91、及び第9リンク91それぞれは、その長手方向中央部よりも一端側及び他端側の領域が平面視でV字状に曲がって形成されており、Xリンク装置90の全体長が最も短くなった状態(図9参照)で、スペーサ52aと当接しないようになっている。
【0075】
以上説明した本第2の実施形態に係るXケーブルガイド装置50aによれば、ケーブルCの長手方向中間部分を保持する中間支持部材54を含む中間ガイドユニット51aが、X粗動ステージ23XのX位置に応じてXリンク装置90によりX軸方向に機械的に誘導されるので、例えば中間ガイドユニット51aを駆動するための専用のアクチュエータ(例えばリニアモータなど)を設ける場合に比べ、制御も不要となるので装置構成を簡単にできる。
【0076】
なお、Xケーブルガイド装置を含み、液晶露光装置の構成は、上記第1及び第2の実施形態に記載されたものに限らず、適宜変更が可能である。例えば、上記第1の実施形態では、一方の中間ガイドユニット51が一方のXビーム25に、他方の中間ガイドユニット51が他方のXビーム25にそれぞれ搭載されているが、中間ガイドユニット51の配置はこれに限られず、例えば図11に示される第1の変形例に係る基板ステージ装置PSTbのXケーブルガイド装置50bのように、例えば2つの中間ガイドユニット51bそれぞれが一対のXビーム25間に架設されていても良い。この場合、例えば2つの中間ガイドユニット51bそれぞれは、Y駆動装置53bが上記第1の実施形態よりも長く形成され、一対のXテーブル52により両端部近傍が下方から支持される。本第1の変形例によれば、中間ガイドユニット51bの撓みが抑制されるとともに、例えば2つのXリニアモータにより駆動されることから、動作が安定する。
【0077】
また、図12に示される第2の変形例に係る基板ステージ装置PSTcのXケーブルガイド装置50cのように、中間ガイドユニット51cに中間支持部材54をY軸方向に駆動するための送りねじ装置を構成する送りねじを手動にて回転させるためのハンドル53cを設けても良い。これにより中間支持部材54が手動操作可能となり、例えば基板ステージ装置PSTcのメンテナンスのために電源供給が停止された状態であっても、中間支持部材54を移動させることができる。なお、上記第1及び第2の変形例では、中間ガイドユニット51b、51cがそれぞれ上記第1の実施形態と同様にXリニアモータにより駆動されるが、これに限らず、上記第2の実施形態と同様にXリンク装置90(図7参照)を介してX粗動ステージ23Xに誘導されても良い。
【0078】
また、上記第1及び第2の実施形態(及びその変形例)において、Xケーブルガイド装置50(50a〜50c)は、中間ガイドユニット51(51a〜51c)を、例えば2つ有していたが、中間ガイドユニット51の数は、これに限られず、例えば1つ、又は3つ以上であっても良い。中間ガイドユニット51が例えば3つ以上の場合であっても、互いに隣接する中間ガイドユニット51の中間支持部材54をX粗動ステージ23XのX位置に応じて適宜互いに反対方向に駆動することにより、ケーブルCの撓みを抑制できる。
【0079】
また、上記第1及び第2の実施形態(及びその変形例)に係るXケーブルガイド装置50(50a〜50c)は、いわゆるガントリ式のXYステージ装置のXステージに用いられたが、XYステージ装置のYステージ(上記第1及び第2の実施形態のY粗動ステージ23Yを含む)、あるいは一軸ステージ装置(例えばマスクステージMST)などに用いられても良い。この場合、ステージ装置の構成によっては、X軸(又はY軸)方向に移動するステージに対してケーブルCの長手方向中間部分をZ軸方向に移動させても良い。また、Xケーブルガイド装置50(50a〜50c)は、Y粗動ステージ23Y上に搭載され、X粗動ステージ23Xを案内するためのXリニアガイド45によりX軸方向に案内されたが、これに限られず、例えばY粗動ステージ23Yとは独立した専用のガイド部材上に搭載されても良い。また、中間ガイドユニット51を駆動するリニアモータの固定子も専用のものを用いても良い。
【0080】
また、上記第1及び第2の実施形態(及びその変形例)に係るXケーブルガイド装置50(50a〜50c)は、X粗動ステージ23Xの+X側に配置されたが、これに限られず、例えばX粗動ステージ23Xの−X側に配置しても良いし、+X側及び−X側それぞれに配置されても良い。上記第1の実施形態において、例えば2つの中間ガイドユニット51を上記第2の実施形態のようなリンク機構を用いてX軸方向に案内しても良いし、上記第2の実施形態において、例えば4つの中間ガイドユニット51をXリニアモータにより駆動しても良い。また、ケーブルCを保持するケーブル保持部材58の形状は、巻き掛けられるケーブルCが過度に折り曲げられることななければ円柱形状以外の形状でも良い。
【0081】
また、中間支持部材54のY位置の位置決め制御は、ケーブルCの撓みを抑制できれば厳密に行う必要はない(多少の撓みは許容される)ので、中間支持部材54の位置を連続的に変化させなくても(例えば、移動が段階的となるようにオンオフ制御を行っても)良い。また、中間支持部材54のY位置制御は、例えばリニアモータあるいは回転モータを用いた位置決め制御に限られず、ケーブルが撓まないように一定の張力を与える力制御でも良く、この場合には、例えばエアシリンダなどを用いても良い。
【0082】
また、照明光は、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)などの紫外光や、F2レーザ光(波長157nm)などの真空紫外光であっても良い。また、照明光としては、例えばDFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。また、固体レーザ(波長:355nm、266nm)などを使用しても良い。
【0083】
また、上記実施形態では、投影光学系PLが、複数本の光学系を備えたマルチレンズ方式の投影光学系である場合について説明したが、投影光学系の数はこれに限らず、1つ以上あれば良い。また、マルチレンズ方式の投影光学系に限らず、例えばオフナー型の大型ミラーを用いた投影光学系などであっても良い。また、上記実施形態では投影光学系PLとして、投影倍率が等倍系のものを用いる場合について説明したが、これに限らず、投影光学系は拡大系及び縮小系のいずれでも良い。
【0084】
また、上記実施形態では、露光装置が、スキャニング・ステッパである場合について説明したが、これに限らず、ステッパなどの静止型露光装置に上記各実施形態を適用しても良い。また、ショット領域とショット領域とを合成するステップ・アンド・スティッチ方式の投影露光装置にも上記各実施形態は適用することができる。また、上記各実施形態は、投影光学系を用いない、プロキシミティ方式の露光装置にも適用することができる。
【0085】
また、露光装置の用途としては、角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを転写する液晶用の露光装置に限定されることなく、例えば半導体製造用の露光装置、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン及びDNAチップなどを製造するための露光装置にも広く適用できる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるマスク又はレチクルを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも上記各実施形態を適用できる。なお、露光対象となる物体はガラスプレートに限られるものでなく、例えばウエハ、セラミック基板、あるいはマスクブランクスなど、他の物体でも良い。
【0086】
なお、上記各実施形態に係る基板搬送システムは、露光装置に限らず、例えばインクジェット式の機能性液体付与装置を備えた素子製造装置、あるいは露光装置により露光処理が行われた露光対象物(例えば基板など)の検査を行う検査装置などにも適用することができる。また、露光装置としては、サイズ(外径、対角線の長さ、一辺の少なくとも1つを含む)が500mm以上の基板、例えば液晶表示素子などのフラットパネルディスプレイ用の大型基板を露光する露光装置に対して適用することが特に有効である。
【0087】
液晶表示素子(あるいは半導体素子)などの電子デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいたマスク(あるいはレチクル)を製作するステップ、ガラス基板(あるいはウエハ)を製作するステップ、上述した各実施形態の露光装置、及びその露光方法によりマスク(レチクル)のパターンをガラス基板に転写するリソグラフィステップ、露光されたガラス基板を現像する現像ステップ、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去るエッチングステップ、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除くレジスト除去ステップ、デバイス組み立てステップ、検査ステップ等を経て製造される。この場合、リソグラフィステップで、上記実施形態の露光装置を用いて前述の露光方法が実行され、ガラス基板上にデバイスパターンが形成されるので、高集積度のデバイスを生産性良く製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
以上説明したように、本発明の用力伝達部材案内装置及び方法は、所定の一軸方向に移動する移動体と外部装置との間での用力の伝達に用いられる用力伝達部材を案内するのに適している。また、本発明の移動体装置は、移動体を移動させるのに適している。また、本発明の露光装置は、物体に所定のパターンを形成するのに適している。また、本発明のデバイス製造方法は、マイクロデバイスの製造に適している。また、本発明のフラットパネルディスプレイの製造方法は、フラットパネルディスプレイの製造に適している。
【符号の説明】
【0089】
10…液晶露光装置、23X…X粗動ステージ、23Y…Y粗動ステージ、25…Xビーム、40…Yステップ定盤、50…Xケーブルガイド装置、51…中間ガイドユニット、54…中間支持部材、58…ケーブル保持部材、70…重量キャンセル装置、90…Xリンク装置、C…ケーブル、P…基板、PST…基板ステージ装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に沿った位置を移動可能な移動体と前記移動体と異なる外部装置との間で用力の伝達を行う用力伝達部材を案内する用力伝達部材案内装置であって、
前記用力伝達部材の中間部を保持する中間保持部材と、
前記移動体の前記第1方向に沿った位置の移動に伴って、前記中間保持部材を前記第1方向と、前記第1方向に交差する第2方向とに移動させる駆動系と、を備える用力伝達部材案内装置。
【請求項2】
前記中間保持部材は、前記第1方向に沿った位置が移動可能な第1移動部材と、前記第1移動部材に設けられ、前記用力伝達部材の中間部を保持し、前記第2方向に移動可能な第2移動部材とを含み、
前記駆動系は、前記第1移動部材と前記第2移動部材とを駆動する請求項1に記載の用力伝達部材案内装置。
【請求項3】
前記第2移動部材を手動操作可能な操作部材を更に備える請求項2に記載の用力伝達部材案内装置。
【請求項4】
前記中間保持部材は、前記第1方向に関して前記移動体の一側に設けられた第1中間保持部材及び第2中間保持部材を含み、
前記駆動系は、前記第1中間保持部材と前記第2中間保持部材との前記第1方向に沿った間隔を、前記第1方向に関して、前記移動体が前記一側に移動するのに伴い狭くし、前記移動体が他側に移動するのに伴い広くする請求項1〜3のいずれか一項に記載の用力伝達部材案内装置。
【請求項5】
前記駆動系は、前記第2方向に関して、前記第1中間保持部材と前記第2中間保持部材とを互いに反対方向に移動させる請求項4に記載の用力伝達部材案内装置。
【請求項6】
前記駆動系は、前記第1中間保持部材と前記第2中間保持部材との間の前記用力伝達部材の長さに基づいて、前記中間保持部材の位置を制御する請求項4又は5に記載の用力伝達部材案内装置。
【請求項7】
前記駆動系は、前記第1及び第2中間保持部材それぞれの前記第1方向に沿った位置を、複数の駆動装置により独立に制御する請求項4〜6のいずれか一項に記載の用力伝達部材案内装置。
【請求項8】
前記駆動装置は、固定子と前記中間保持部材が有する第1可動子とを含む第1リニアモータであり、
前記移動体は、前記固定子と該移動体が有する第2可動子とを含む第2リニアモータにより前記第1方向に駆動される請求項7に記載の用力伝達部材案内装置。
【請求項9】
前記駆動系は、前記移動体と前記中間保持部材を機械的に連結し、且つ前記移動体の前記第1方向への移動に伴って動作し、該動作により前記中間保持部材を前記第1軸方向に案内する機械的案内装置を含む請求項1〜8のいずれか一項に記載の用力伝達部材案内装置。
【請求項10】
前記機械的案内装置は、リンク機構を含む請求項9に記載の用力伝達部材案内装置。
【請求項11】
前記中間保持部材は、前記第2方向への移動時に前記用力伝達部材を押圧する押圧面に曲面を有し、該曲面に沿って前記用力伝達部材が巻き掛けられる請求項1〜10のいずれか一項に記載の用力伝達部材案内装置。
【請求項12】
前記用力伝達部材は、前記中間保持部材に固定される請求項1〜11のいずれか一項に記載の用力伝達部材案内装置。
【請求項13】
第1方向に沿った位置を移動可能な第1移動体と、
前記第1移動体と異なる外部装置と前記第1移動体との間で用力の伝達を行う用力伝達部材を案内する請求項1〜12のいずれか一項に記載の用力伝達部材案内装置と、
前記第1方向と交差する第3方向に沿った位置を移動可能な第2移動体と、を備え、
前記第1移動体及び前記用力伝達部材案内装置は、前記第2移動体上に搭載され、前記第2移動体と共に前記第3方向に沿った位置を移動し、且つ前記第1移動体及び前記中間保持部材は、前記第2移動体上で前記第1方向に沿った位置を移動する移動体装置。
【請求項14】
前記移動体及び前記中間保持部材は、前記第2移動体が有し、前記第2移動体に対する前記第3方向への相対移動を機械的に規制するガイド部材により、前記第1方向に案内される請求項13に記載の移動体装置。
【請求項15】
前記用力伝達部材案内装置を複数有する請求項13又は14に記載の移動体装置。
【請求項16】
請求項13〜15のいずれか一項に記載の移動体装置と、
前記第1移動体に保持される基板に対してエネルギビームを用いて所定のパターンを形成するパターン形成装置と、を備える露光装置。
【請求項17】
前記基板は、フラットパネルディスプレイ装置に用いられる基板である請求項16に記載の露光装置。
【請求項18】
前記基板は、少なくとも一辺の長さ、又は対角長が500mm以上である請求項17に記載の露光装置。
【請求項19】
請求項17又は18に記載の露光装置を用いて前記基板を露光することと、
露光された前記基板を現像することと、を含むフラットパネルディスプレイの製造方法。
【請求項20】
請求項16〜18のいずれか一項に記載の露光装置を用いて前記基板を露光することと、
露光された前記基板を現像することと、を含むデバイス製造方法。
【請求項21】
第1方向に沿った位置を移動可能な移動体と前記移動体と異なる外部装置との間で用力の伝達を行う用力伝達部材を案内する方法であって、
前記用力伝達部材の中間部を中間保持部材に保持させることと、
前記移動体の前記第1方向に沿った位置の移動に伴い前記中間保持部材を前記第1方向と、前記第1方向に交差する第2方向とに移動させることと、を含む用力伝達部材の案内方法。
【請求項22】
前記中間保持部材は、前記第1方向に関して前記移動体の一側に設けられた第1中間保持部材及び第2中間保持部材を含み、
前記移動させることでは、前記第1中間保持部材と前記第2中間保持部材との前記第1方向に沿った間隔を、前記第1方向に関して、前記移動体が前記一側に移動するのに伴い狭くし、前記移動体が他側に移動するのに伴い広くする請求項21に記載の用力伝達部材の案内方法。
【請求項23】
前記移動させることでは、前記第1中間保持部材と前記第2中間保持部材との間の前記用力伝達部材の長さに基づいて、前記中間保持部材の位置を制御する請求項22に記載の用力伝達部材の案内方法。
【請求項24】
前記移動させることでは、前記第2方向に関して、前記第1中間保持部材と前記第2中間保持部材とを互いに反対方向に移動させる請求項22又は23に記載の用力伝達部材の案内方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−234108(P2012−234108A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104039(P2011−104039)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】