説明

用紙判別装置、画像形成装置、用紙判別装置の制御方法、および用紙判別装置の制御プログラム

【課題】用紙の信頼性の低下を抑制し得る用紙判別装置、画像形成装置、用紙判別装置の制御方法、および用紙判別装置の制御プログラムを提供する。
【解決手段】用紙判別装置は、用紙10の両面の印刷状況を判別するための制御部140と、両面のうち少なくとも一方の面が未印刷面であると判別された用紙10を、給紙装置130へ搬送するための搬送ローラ321〜323と、給紙装置130へ搬送後の用紙10の未印刷面が所定の方向を向くようにする方向修正部330と、給紙装置130への搬送方向に対して垂直な方向の位置を修正することで、給紙装置130へ搬送後の用紙10を所定の位置に整合させる位置修正部307および308とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は用紙判別装置、画像形成装置、用紙判別装置の制御方法、および用紙判別装置の制御プログラムに関し、より特定的には、プリンタ、複写機、ファクシミリなどの画像形成装置に取り付けられる用紙判別装置、画像形成装置、用紙判別装置の制御方法、および用紙判別装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真式の画像形成装置には、スキャナ機能、ファクシミリ機能、複写機能、プリンタとしての機能、データ通信機能、およびサーバ機能を備えたMFP(Multi Function Peripheral)、ファクシミリ装置、複写機、プリンタなどがある。
【0003】
画像形成装置は、主に画像形成部と用紙搬送部とを備えている。画像形成部は、像担持体上にトナー像を形成し、このトナー像を用紙に転写して圧着することにより、用紙に画像を形成する。用紙搬送部は、給紙トレイから1枚ずつ用紙を取り出し、この用紙をタイミングローラによりタイミングを取って画像形成部へ送り出す。用紙搬送部は、画像形成後に用紙を排紙トレイへ搬送する。
【0004】
用紙の有効利用を目的として、片面のみが印刷済みの用紙(記録紙)が積極的に再利用されている。片面のみが印刷済みの用紙を以下、裏紙と称することがある。裏紙をメモ用紙などとして再利用することは容易だが、事務機などで再利用することは難しい。その理由は以下の通りである。裏紙はその他の不要用紙とともに無造作に回収されて保管されるため、裏紙を再利用する場合には、乱雑に保管されている用紙を使用することが多い。保管された用紙の中には裏紙だけでなく、白紙用紙(両面とも印刷されていない用紙)や両面とも使用済みの用紙などが混在している。また裏紙の中にも、印刷面が上面である用紙と印刷面が下面である用紙とが存在している。さらに、保管された用紙は幅方向の整合がなされていない場合が多い。
【0005】
このため、裏紙を事務機などで再利用する場合には、作業者が保管された用紙の中から裏紙を手作業で選別し、選別した裏紙に対し印刷面および幅方向の整合を行ってから、裏紙を給紙装置にセットしていた。このような作業は非常に時間もかかり、作業者の負担となっていた。また、印刷面の整合が不十分な裏紙が給紙装置にセットされると、印刷面に対し再度印刷してしまう可能性があった。さらに、幅方向の整合が不十分な用紙が給紙装置にセットされると、用紙に折り目がついて紙しわやジャムといった問題が発生することがあった。
【0006】
裏紙の再利用を容易にするための技術として、従来、片面のみ印刷済みの用紙を再利用する際に、上下各面の使用状況を検知、判別し、その判別結果に基づいて未使用面の向きを揃えて排出されるようにする技術が提案されている。また、上下両面とも未使用時の場合には、白紙蓄積トレイに蓄積する技術が提案されている。これらの技術は、たとえば下記特許文献1〜6に開示されている。
【0007】
下記特許文献1には、原稿自動送り装置または反転機能付き原稿自動送り装置を装着したデジタル画像形成装置が開示されている。このデジタル画像形成装置は、転写紙が再利用可能であるかを確認するリサイクルモードを作業者が指定した場合に、再利用のために集められた転写紙の再利用転写紙面に画像が存在するかどうかを判別し、判断結果を出力する。
【0008】
下記特許文献2には、複数のシート材の両面の画像データを読み取り、この読取結果に基づいて上記シート材がその種類別に分別して排出される際に、分別されたシート材に対して該シート材の種別情報を印字するシート材分別装置が開示されている。このシート材分別装置は、未使用面が所定の向きを向いていない片面使用済みのシート材を反転させることにより、片面使用済みシート材の未使用面の向きを揃える。
【0009】
下記特許文献3には、用紙の上面に印字されているか否かを判別する上面反射型フォトセンサと、用紙の上面に印字されているか否かを判別する下面反射型フォトセンサとを備える裏紙自動判別装置が開示されている。この裏紙自動判別装置では、2つのフォトセンサの各々からの制御信号によりガイド手段の位置を変えることにより、用紙の印刷していない面が自動的に揃えられる。
【0010】
下記特許文献4には、給紙された原稿を読取位置で読み取る画像センサと、給紙された原稿一枚毎に原稿に付けられている情報を基にして、記録面として利用できる面を有するか否かの判定をする判定手段とを備える画像読取装置が開示されている。この画像読取装置は、給紙された原稿を読取位置へ搬送すると共に、記録面として利用できる面を有する判定がされた原稿について、記録面として利用できる面を一方向に揃えて排紙する搬送手段をさらに備えている。
【0011】
下記特許文献5には、第一発光素子から発光された光の用紙上面による反射光と第二発光素子から発光された光の用紙下面による反射光とから、用紙の上下各面の使用状態を判別し、その判別結果に基づいて、第一ガイド切り替え機により、上下の両面共に使用済みの用紙と少なくとも上下片方の面が未印刷状態の用紙とを別々に振り分ける、再使用可能用紙選別装置が開示されている。この再使用可能用紙選別装置では、更に、判別結果に基づいて、第二ガイド切り替え機により、少なくとも上下片方の面が未印刷状態の用紙が、用紙の下面が未印刷状態のものと、用紙の上面だけが未印刷状態のものとに振り分けられている。そして、未印刷面が上下それぞれ同じ向きに揃えられた状態で再使用可能な用紙が得られる。
【0012】
下記特許文献6には、給紙カセットより給紙された再利用する用紙の両面に対して用紙上の汚点をセンサが検知する、画像形成装置が開示されている。この画像形成装置は、用紙の片面にのみ汚点が検知された場合は、有効画像形成手段により汚点が検知されなかった面にのみ画像形成し、また、用紙の両面とも汚点が検知されなかった場合は、画像形成処理を行わずに裏紙トレイに用紙を蓄積し、また、用紙の両面に汚点が検知された場合は、用紙を廃棄トレイに廃棄するように、画像形成装置を通過した再利用する用紙に対する処理を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2003−209662号公報
【特許文献2】特開2005−49585号公報
【特許文献3】特開2008−174321号公報
【特許文献4】特開2007―282073号公報
【特許文献5】特開平5−139616号公報
【特許文献6】特開2003−195589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上述の従来の技術においては、裏紙として利用可能である用紙を判別し、その用紙を給紙装置へ自動でセットすることができるものの、裏紙として再利用可能と判別された用紙の各々は、用紙の幅方向(用紙搬送方向に対して垂直な方向)において整合していなかった。特に特許文献5には、用紙を搬送するためのガイドが、用紙の幅よりやや広い幅を形成していることが記載されており、この記載から用紙の幅方向において整合しないことが示唆される。また給紙装置への用紙のセットをユーザ自らが行う場合であっても、用紙は幅方向において整合していなかった。その結果裏紙を再利用した場合には、用紙搬送の際に紙しわや紙詰まりが発生し易く、用紙の信頼性が低下するという問題があった。
【0015】
本発明は、上記課題を解決するためのものであり、その目的は、用紙の信頼性の低下を抑制し得る用紙判別装置、画像形成装置、用紙判別装置の制御方法、および用紙判別装置の制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一の局面に従う用紙判別装置は、用紙の両面の印刷状況を判別するための判別手段と、判別手段によって両面のうち少なくとも一方の面が未印刷面であると判別された用紙を、保管部へ搬送するための搬送手段と、両面のうち少なくとも一方の面が未印刷面であると判別された用紙の未印刷面の方向を修正することで、保管部へ搬送後の用紙の未印刷面が所定の方向を向くようにする方向修正手段と、両面のうち少なくとも一方の面が未印刷面であると判別された用紙について、保管部への搬送方向に対して垂直な方向の位置を修正することで、保管部へ搬送後の用紙を所定の位置に整合させる位置修正手段とを備える。
【0017】
上記用紙判別装置において好ましくは、用紙の両面の画像データを検知する画像読取手段をさらに備えている。判別手段は、画像読取手段が検知した画像データに基づいて印刷状況を判別する。
【0018】
上記用紙判別装置において好ましくは、位置修正手段は保管部よりも搬送方向の上流側に配置される。
【0019】
上記用紙判別装置において好ましくは、位置修正手段は方向修正手段よりも搬送方向の下流側に配置される。
【0020】
上記用紙判別装置において好ましくは、位置修正手段は保管部内に配置される。
【0021】
上記用紙判別装置において好ましくは、位置修正手段は2つの端面押圧手段を含んでおり、2つの端面押圧手段の各々は、静止した状態の用紙の端面を押圧する。
【0022】
上記用紙判別装置において好ましくは、両面のうち少なくとも一方の面が未印刷面であると判別された用紙のうち、未印刷面の方向を修正する必要のない用紙を保管部へ搬送する経路である主経路と、主経路から分岐した経路である分岐経路とをさらに備えている。方向修正手段は、両面のうち少なくとも一方の面が未印刷面であると判別された用紙のうち、未印刷面の方向を修正する必要のある用紙を、保管部へ搬送する前に主経路から一時的に分岐経路へ搬送することにより、未印刷面の方向を修正する。
【0023】
上記用紙判別装置において好ましくは、保管部よりも搬送方向の上流側に設けられ、かつ用紙の欠損を修正するための欠損修正手段をさらに備えている。
【0024】
上記用紙判別装置において好ましくは、欠損修正手段は用紙を通過させるための隙間を含んでいる。
【0025】
上記用紙判別装置において好ましくは、欠損修正手段は、画像読取手段により用紙の欠損を検知した場合に用紙の欠損を修正する。
【0026】
本発明の他の局面に従う画像形成装置は、上記のいずれかの用紙判別装置と、保管部を含み、かつ保管部へ搬送後の用紙に対して画像を形成するための画像形成手段とを備えている。
【0027】
本発明のさらに他の局面に従う用紙判別装置の制御方法は、用紙の両面の印刷状況を判別する判別ステップと、判別ステップにおいて両面のうち少なくとも一方の面が未印刷面であると判別された用紙を、保管部へ搬送する搬送ステップと、両面のうち少なくとも一方の面が未印刷面であると判別された用紙の未印刷面の方向を修正することで、保管部へ搬送後の用紙の未印刷面が所定の方向を向くようにする方向修正ステップと、両面のうち少なくとも一方の面が未印刷面であると判別された用紙について、保管部への搬送方向に対して垂直な方向の位置を修正することで、保管部へ搬送後の用紙を所定の位置に整合させる位置修正ステップとを備える。
【0028】
本発明のさらに他の局面に従う用紙判別装置の制御プログラムは、用紙の両面の印刷状況を判別する判別ステップと、判別ステップにおいて両面のうち少なくとも一方の面が未印刷面であると判別された用紙を、保管部へ搬送する搬送ステップと、両面のうち少なくとも一方の面が未印刷面であると判別された用紙の未印刷面の方向を修正することで、保管部へ搬送後の用紙の未印刷面が所定の方向を向くようにする方向修正ステップと、両面のうち少なくとも一方の面が未印刷面であると判別された用紙について、保管部への搬送方向に対して垂直な方向の位置を修正することで、保管部へ搬送後の用紙を所定の位置に整合させる位置修正ステップとをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、用紙の信頼性の低下を抑制し得る用紙判別装置、画像形成装置、用紙判別装置の制御方法、および用紙判別装置の制御プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施の形態における画像形成装置の構成を模式的に示す断面図である。
【図2】分岐位置D2よりも上流側の搬送経路R3から分岐位置D2よりも下流側の搬送経路R3へ用紙10を案内する場合の、搬送切替ガイドの状態を模式的に示す図である。
【図3】分岐位置D2よりも上流側の搬送経路R3から搬送経路R4へ用紙を案内する場合の、搬送切替ガイドの状態を模式的に示す図である。
【図4】搬送経路R4から分岐位置D2よりも下流側の搬送経路R3へ用紙を案内する場合の、搬送切替ガイドの状態を模式的に示す図である。
【図5】図1の位置修正部307付近の構成を模式的に示す斜視図である。
【図6】図1の位置修正部308付近の構成を模式的に示す斜視図である。
【図7】図1の欠損修正部305付近の構成を示す斜視図である。
【図8】制御部が実行する用紙判別処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の一実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0032】
[画像形成装置の構成]
【0033】
始めに、本実施の形態における画像形成装置の構成について説明する。図1は、本発明の一実施の形態における画像形成装置の構成を模式的に示す断面図である。
【0034】
図1を参照して、本実施の形態における画像形成装置1は、たとえばMFPであり、スキャナ機能、ファクシミリ機能、複写機能、プリンタとしての機能、データ通信機能、およびサーバ機能を有している。画像形成装置1は、画像形成装置本体(画像形成手段の一例)100と、画像形成装置本体100の上部に設けられた自動原稿送り装置(ADF)200と、画像形成装置本体100の図1中左側側面に設けられたフィニッシャ300とを備えている。本実施の形態における用紙判別装置は、画像形成装置1に内蔵されており、ADF200およびフィニッシャ300によって構成されている。
【0035】
画像形成装置本体100は、転写部110と、定着部120と、給紙装置130(保管部の一例)と、制御部140と、操作パネル150と、用紙搬送部160とを含んでいる。
【0036】
給紙装置130は画像形成装置本体100における図1中下部に設けられている。搬送経路R1は、給紙装置130から図1中右方へ延在し、画像形成装置本体100の図1中右端部から上方へ延在し、画像形成装置本体100の中央部において図1中左方へ延在し、画像形成装置本体100の図1中左端部に設けられた接続口CPまで延在している。搬送経路R1は接続口CPにおいてフィニッシャ300内の搬送経路R5に接続している。
【0037】
給紙装置130内に保管された用紙10は、用紙搬送部160によって搬送経路R1に沿って搬送される。従って、搬送経路に沿った方向が用紙の搬送方向となる。用紙10は搬送経路R1に沿って搬送される間に、転写部110によってトナー像が形成され、定着部120によってトナー像が定着される。接続口CPまで搬送された用紙10は、フィニッシャ300内の搬送経路R5および搬送経路R4に沿って図1中左方向に搬送され、排紙トレイ341へ排紙される。必要に応じて、フィニッシャ300内において画像形成後の用紙10に対して後処理が施されてもよい。
【0038】
転写部110および定着部120は、搬送経路R1の付近に配置されている。転写部110は、搬送経路R1において定着部120よりも給紙装置130に近い側(以降、搬送経路R1において給紙装置130に近い側を搬送経路R1の上流側と呼ぶことがある)に配置されている。定着部120は、搬送経路R1において転写部110よりも接続口CPに近い側(以降、搬送経路R1において接続口CPに近い側を搬送経路R1の下流側と呼ぶことがある)に配置されている。
【0039】
転写部110は、感光体ドラム115と、帯電装置116と、露光装置(図示無し)と、現像装置117と、転写装置118と、クリーニング装置119とを含んでいる。感光体ドラム115は、たとえばその表面に感光層が形成されており、たとえば図1中時計回りの方向に回転駆動される。帯電装置116は、感光体ドラム115の表面を一様に帯電させる。露光装置は、画像データに基づいて、一様に帯電した感光体ドラム115上に潜像を形成する。現像装置117は、潜像が形成された感光体ドラム115上にトナーを付着させることにより、感光体ドラム115上にトナー像を形成する(現像)。転写装置118は、現像されたトナー像を用紙に転写する。その結果、搬送経路R1に沿って搬送されてきた用紙上にトナー像が形成される。クリーニング装置119は、転写後の感光体ドラム115の表面に残存するトナー粒子を除去する。
【0040】
定着部120は、加熱ローラ121と加圧ローラ122とを含んでいる。加熱ローラ121は、その内部に設けられたヒータの発熱により加熱される。定着部120は加熱ローラ121と加圧ローラ122とでトナー像が形成された用紙を挟みながら搬送し、その用紙に加熱および加圧を行う。これにより、定着部120は、用紙に付着したトナーを溶融させて用紙に定着させ、用紙に画像を形成する。
【0041】
給紙装置130は給紙トレイ131を含んでいる。給紙トレイ131には、用紙判別装置において再利用可能と判断された用紙10が給紙口SPから供給され、保管される。
【0042】
制御部140は、たとえばCPU(Central Processing Unit)と、記憶部とを含んでいる。CPUは、画像形成装置および用紙判別装置の全体の動作を一括して制御するコントローラである。記憶部は、画像形成動作および用紙判別動作の制御のための制御プログラムなどを記憶している。また、制御部140は、搬送ローラや給紙ローラなどの各種ローラを駆動するモータの回転を制御する。
【0043】
操作パネル150は、画像形成装置本体100の上部において、外部から見える位置に設けられている。操作パネル150は、タッチパネルである液晶表示部を含んでいる。操作パネル150の液晶表示部は、ユーザに対して案内画面を表示したり、操作ボタンを表示してユーザからのタッチ操作による指示を受け付けたりする。操作パネル150は、制御部140により制御されて液晶表示部の表示を行い、ユーザからの指示を受け付けた場合、その指示を制御部140へ伝達する。すなわち、ユーザは、操作パネル150から操作を行うことにより、画像形成装置1に種々の動作を実行させることができる。
【0044】
用紙搬送部160は、給紙ローラ161と、搬送ローラ162〜164とを含んでいる。給紙ローラ161は、給紙装置130の上部に設けられており、給紙トレイ131に保管されている用紙10を搬送経路R1へ1枚ずつ搬送する。搬送ローラ162〜164の各々は、搬送経路R1の上流側から下流側へ向かってこの順序で配置されている。搬送ローラ162〜164の各々は、搬送経路R1の付近に配置されており、回転駆動される2つのローラで挟みながら用紙を搬送する。
【0045】
自動原稿送り装置(ADF)200は、用紙上下面の印刷状況を判断し、フィニッシャ300内に用紙を搬送するものである。またADF200は、画像読取部により原稿の画像を読み取る機能も有する。ADF200は、画像読取部201および202(用紙上下面印刷検知手段)と、排紙トレイ203と、用紙セット部204と、搬送ローラ210〜214とを含んでいる。用紙セット部204は、たとえばトレイ状の形状を有している。用紙セット部204には、再利用可能であるか否かを判別する前の用紙10がセットされる。以降、用紙10において、用紙セット部204に配置された状態の用紙10における上面を上面10aと表し、用紙セット部204に配置された状態の用紙10における下面を下面10bと表す。画像読取部201および202は、用紙搬送方向に直交する方向に並んだ複数の読取画素を有するCCD(Charge Coupled Device)センサから構成される。
【0046】
搬送ローラ210〜214の各々は、用紙セット部204に配置された用紙を搬送経路R2に沿って搬送する。特に搬送ローラ213および214の各々は、搬送経路R2に沿って用紙を双方向に搬送可能であってもよい。排紙トレイ203は、ADF200から排紙された用紙を保管する。搬送経路R3は排紙トレイ203に近い端部にスイッチバック部SB1を有している。
【0047】
フィニッシャ300は、欠損修正部(用紙先端および後端耳折れ解消手段)305と、位置修正部(用紙幅方向整合手段)307および308と、搬送ローラ321〜323と、方向修正部330と、排紙トレイ341および342とを備えている。
【0048】
搬送経路R3は、搬送ローラ212と搬送ローラ213との間の分岐位置D1において搬送経路R2から分岐しており、給紙装置130まで延在している。搬送ローラ321〜323の各々は、用紙10を搬送経路R3に沿って分岐位置D1から給紙装置130へ(図1中下方向へ)搬送する。特に搬送ローラ322は、搬送経路R3に沿って用紙を双方向に搬送可能であってもよい。搬送経路R3において分岐位置D1に近い側(以降、搬送経路R3において分岐位置D1に近い側を搬送経路R3の上流側と呼ぶことがある)から給紙口SPに近い側(以降、搬送経路R3において分岐位置D1に近い側を搬送経路R3の下流側と呼ぶことがある)へ向かって、搬送ローラ321、方向修正部330の搬送切替ガイド301および302、搬送ローラ322、欠損修正部305、搬送ローラ323、および位置修正部307がこの順序で配置されている。位置修正部308は給紙装置130内に配置されている。
【0049】
搬送経路R4は、搬送ローラ321と搬送ローラ322との間の分岐位置D2において搬送経路R3から分岐している。搬送経路R5は分岐位置D2において搬送経路R3と接続されている(つまり、搬送経路R5もまた、分岐位置D2において搬送経路R3から分岐している)。搬送経路R4はその先端部(図1中左端部)にスイッチバック部SB2を有しており、方向修正部330は搬送経路R4に設けられている。方向修正部330は搬送切替ガイド301および302と、搬送ローラ331および332とを含んでいる。
【0050】
搬送ローラ331および332の各々は搬送経路R4に沿って用紙を双方向に搬送する。搬送切替ガイド301および302の各々は、分岐位置D2付近に配置されている。搬送切替ガイド301および302の各々は、搬送経路R3の上流側から搬送されてきた用紙の搬送先を、搬送経路R3と搬送経路R4との間で切り替える。また搬送切替ガイド301および302の各々は、搬送経路R4に沿ってスイッチバック部SB2へ搬送された用紙が搬送経路R3の下流側へ搬送されるように搬送路を切り替える。さらに搬送切替ガイド301および302の各々は、搬送経路R5に沿って接続口CPから搬送されてきた用紙が搬送経路R4へ搬送されるように搬送路を切り替える。搬送切替ガイド301および302の切り替えは、制御部140によって制御される。すなわち、制御部140はアクチュエータを制御することにより、それに取付けられた搬送切替ガイド301および302の姿勢を切り替える。
【0051】
排紙トレイ341および342の各々は、フィニッシャ300の図1中左側面に設けられている。特に排紙トレイ341には、搬送ローラ332によって排出された用紙が保管される。
【0052】
またフィニッシャ300は、欠損修正部305よりも搬送経路R3の上流側(欠損修正部305の直前)に設けられたセンサSE1と、位置修正部307よりも搬送経路R3の上流側(位置修正部307の直前)に設けられたセンサSE2とをさらに備えている。センサSE1およびSE2の各々は、搬送されてきた用紙10を検知して制御部140へ伝達する。
【0053】
[用紙判別方法]
【0054】
続いて、本実施の形態における用紙判別方法について説明する。
【0055】
本実施の形態における用紙判別方法は、用紙セット部204にセットされた用紙10が再利用可能か否かを判別し、再利用可能な用紙10を給紙装置130へ自動的にセットし、かつ給紙装置130内またはその直前で用紙10の幅方向の位置を整合させるものである。用紙セット部204にセットされた用紙10はたとえば複数であり、両面印刷済み用紙、片面印刷済み用紙、および白紙などを含んでいる。
【0056】
始めに、ユーザによって、用紙セット部204に複数の用紙10がセットされる。用紙セット部204にセットされる複数の用紙10の各々は、幅方向(用紙の搬送方向に対して垂直な方向)の位置の整合がなされている必要はない。
【0057】
複数の用紙10が用紙セット部204にセットされた状態で裏紙再利用モードのスタートが操作パネル150からユーザによって入力されると、用紙10は搬送ローラ210によって1枚ずつ搬送経路R2に送り出される。搬送経路R2に送り出された用紙10は、搬送ローラ211〜214の各々によって搬送経路R2に沿ってスイッチバック部SB1まで搬送される。スイッチバック部SB1まで搬送される間に、用紙10はその上面10aの画像データが画像読取部201によって読み取られ、その下面10bの画像データが画像読取部202によって読み取られる。
【0058】
制御部140は、画像読取部201および202の各々で読み取った画像データに基づいて、用紙10の両面の印刷状況をたとえば以下の方法で判別する。まず、用紙10のサイズに応じて判定領域を決定し、判定領域の画像データを、画像読取部201および202を用いて読み取る。続いて制御部140は、判定領域の画像データを、所定のレベルを基準にして二値化する。次に制御部140は、二値化した画像データの黒の部分の割合を計算し、黒の部分の割合を所定の基準値と比較する。この際、ノイズの影響が考慮されてもよい。所定の基準値は、ユーザが任意に変更することができる。その結果制御部140は、計算した黒の部分の割合が所定の基準値を超えない場合、その面は未印刷面であると判別し、計算した黒の部分の割合が所定の基準値を超える場合、その面は印刷面であると判別する。また制御部140は、画像読取部201および202の各々で読み取った画像データに基づいて、折れなどの用紙10の欠損の有無を検出してもよい。
【0059】
制御部140において、上面10aおよび下面10bが印刷面である(両面とも印刷されている)と判別された場合、この用紙を再利用することはできない。この場合、用紙10は、搬送ローラ214によってスイッチバック部SB1から排紙トレイ203へ排紙される。
【0060】
制御部140において、両面のうち少なくとも一方の面が未印刷面であると判別された場合、スイッチバック部SB1まで搬送された用紙10は、搬送ローラ214および213の各々が逆回転することによりスイッチバックされ、搬送ローラ214および213の各々によって分岐位置D1を経て搬送経路R3へ搬送される。搬送経路R3へ搬送された用紙10は、制御部140による未印刷面の判定結果に基づいて、搬送経路が以下のように変更される。
【0061】
下面10bが未印刷面である(下面10b側が印刷されていない)と判別された場合、搬送経路R3に沿って用紙10が搬送される際に未印刷面は図1中左方向を向いている。この場合用紙10は、搬送ローラ321によって搬送経路R3に沿って分岐位置D2付近まで搬送される。そして未印刷面の方向を修正されることなく(反転されることなく)、搬送切替ガイド301および302の動作により、用紙10は引き続き分岐位置D2よりも下流側の搬送経路R3(主経路の一例)へ案内される。
【0062】
なお、下面10bが未印刷面である用紙には、上面10aも未印刷面である(両面白紙の)用紙と、上面10aが印刷面である(上面10a側のみが印刷されている)用紙とが含まれる。
【0063】
上面10aが未印刷面であり、下面10bが印刷面である(下面10b側のみが印刷されている)と判別された場合、搬送経路R3に沿って用紙10が搬送される際に未印刷面は図1中右方向を向いている。この場合、用紙10の未印刷面の方向が図1中左方向を向くように、方向修正部330によって用紙10が反転される。方向修正部330は、下面10b側のみが印刷されている用紙10を、分岐位置D2よりも下流側の搬送経路R3に搬送する前に一時的に搬送経路R4へ搬送することにより、未印刷面の方向を修正する。具体的には、用紙10は、搬送ローラ321によって搬送経路R3に沿って分岐位置D2付近まで搬送される。そして搬送切替ガイド301および302の動作により、用紙10は搬送経路R4(分岐経路の一例)へ案内され、搬送ローラ331および332の各々によってスイッチバック部SB2まで搬送された後、搬送が停止される。そして、搬送ローラ331および332の各々が逆回転することにより用紙10はスイッチバックされ、分岐位置D2付近へ搬送される。そして搬送切替ガイド301および302の動作により、用紙10は分岐位置D2よりも下流側の搬送経路R3へ案内される。これにより、用紙10は反転され、分岐位置D2よりも下流側の搬送経路R3に沿って搬送される際に、用紙10の未印刷面は図1中左方向を向く。
【0064】
分岐位置D2よりも下流側の搬送経路R3に沿って搬送された用紙10は、欠損修正部305によってその欠損を修正され、位置修正部307によってその幅方向の位置を修正される。その後用紙10は、給紙口SPを通じて給紙装置130へ排紙される。給紙装置130へ排紙される全ての用紙10は、未印刷面が下を向いた状態となっている。給紙装置130の給紙トレイ131内において、用紙10は位置修正部308によってその幅方向の位置を修正される。位置修正部307および308の各々は、給紙装置130へ搬送後の用紙10が所定の位置に整合するように、未印刷面であると判別された用紙10について、給紙装置130への搬送方向に対して垂直な方向の位置を修正する。
【0065】
給紙装置130に保管された用紙10は、その後画像形成装置本体100の内部に一枚ずつ搬送され、画像形成装置本体100において画像が形成され、裏紙として再利用される。
【0066】
以上の用紙判別方法により、片面印刷済み用紙(裏紙)を再利用する際に、白紙用紙、両面印刷済み用紙、裏紙でも上下印刷面が不揃いの用紙、かつ用紙幅方向の整合がなされていない用紙が混在している場合においても、自動的に上下印刷面を揃え、用紙幅方向の整合を行った上で給紙装置130に用紙を蓄積することができる。
【0067】
[搬送切替ガイドの構成および動作]
【0068】
次に、搬送切替ガイドの構成と、上述の用紙判別方法を実施する場合の搬送切替ガイドの動作について説明する。
【0069】
図2は、分岐位置D2よりも上流側の搬送経路R3から分岐位置D2よりも下流側の搬送経路R3へ用紙10を案内する場合の、搬送切替ガイドの状態を模式的に示す図である。
【0070】
図2を参照して、下面10bが未印刷面である用紙10を案内する場合、搬送切替ガイド301は搬送経路R3に沿った方向を向く。これにより用紙10は、未印刷面が図2中左側を向いたままの状態で、分岐位置D2よりも上流側の搬送経路R3から分岐位置D2よりも下流側の搬送経路R3へ案内される。
【0071】
図3は、分岐位置D2よりも上流側の搬送経路R3から搬送経路R4へ用紙を案内する場合の、搬送切替ガイドの状態を模式的に示す図である。
【0072】
図3を参照して、上面10aが未印刷面であり、下面10bが印刷面である用紙10を案内する場合、搬送切替ガイド301は矢印M1で示すように動き、搬送経路R4の方向を向く。これにより用紙10は、分岐位置D2よりも上流側の搬送経路R3から搬送経路R4へ案内される。
【0073】
図4は、搬送経路R4から分岐位置D2よりも下流側の搬送経路R3へ用紙を案内する場合の、搬送切替ガイドの状態を模式的に示す図である。
【0074】
図4を参照して、スイッチバック部SB2においてスイッチバックされた用紙10を案内する場合、搬送切替ガイド302は矢印M2で示すように動き、搬送経路R3の下流側の方向を向く。これにより用紙10は、搬送経路R4から分岐位置D2よりも下流側の搬送経路R3へ案内される。
【0075】
[位置修正部および欠損修正部の構成および動作]
【0076】
続いて、位置修正部および欠損修正部の各々の構成および動作について説明する。
【0077】
図5は、図1の位置修正部307付近の構成を模式的に示す斜視図である。位置修正部307は給紙装置130よりも上流側に設けられている。位置修正部307は搬送切替ガイド301および302の各々よりも下流側に設けられることが好ましい。
【0078】
図5を参照して、位置修正部307は、搬送経路R3に用紙を案内するための案内部307aと、案内部307aに設けられた2つの押圧部307bおよび307cとを含んでいる。案内部307aは図5中下方に延在し、その後湾曲して図5中右方に延在した形状を有している。案内部307aにおける右方に延在した部分は、搬送ローラ323の2つのローラに挟まれている。押圧部307bおよび307cの各々は、案内部307aの図5中右端部において、幅方向(用紙の搬送経路R3に対して垂直な方向)の両端部から図5中上方へ延在している。押圧部307bおよび307cの各々は、幅方向に移動可能であってもよいし、案内部307aに固定されていてもよい(幅方向に移動できなくてもよい)。
【0079】
たとえば、位置修正部307よりも搬送経路R3における上流側に配置されたセンサSE2によって用紙10が検出されると、給紙装置130直前での用紙の幅方向の整合が行われる。すなわち、搬送ローラ323は用紙10の搬送を一旦停止し、押圧部307bと押圧部307cとの間で用紙を静止した状態にする。押圧部307bおよび307cの各々は、静止した状態の用紙10の幅方向の端面(幅方向を法線とする端面)を、図5中P1で示す方向に押圧する。これにより、位置修正部307を通過する用紙は、幅方向の位置が修正(整合)される。その後搬送ローラ323は用紙10の搬送を再開する。
【0080】
図6は、図1の位置修正部308付近の構成を模式的に示す斜視図である。
【0081】
図6を参照して、位置修正部308は、給紙トレイ131に設けられた2つの押圧部308aおよび308bを含んでいる。押圧部308aおよび308bの各々は、平面状の給紙トレイ131の幅方向(用紙の搬送経路R3に対して垂直な方向)の両端部から図6中上方へ延在している。押圧部308aおよび308bの各々は、幅方向に移動可能であってもよいし、給紙トレイ131に固定されていてもよい(幅方向に移動できなくてもよい)。
【0082】
用紙10が給紙トレイ131に給紙されると、給紙装置130内での用紙の幅方向の整合が行われる。すなわち、押圧部308aおよび308bの各々は、静止した状態の用紙10の幅方向の端面(幅方向を法線とする端面)を、図6中P2で示す方向に押圧する。これにより、給紙トレイ131に排紙された用紙は、幅方向の位置が修正される。給紙トレイ131内に既に用紙が保管されている場合には、給紙トレイ131に給紙された用紙10は、給紙トレイ131内に既に保管されている用紙の位置とその位置が整合するように、その上に重ねられる。
【0083】
図7は、図1の欠損修正部305付近の構成を示す斜視図である。
【0084】
図7を参照して、欠損修正部305は、押圧部305aおよび305bを含んでいる。押圧部305aおよび305bの各々は、たとえば平板状の形状を有しており、搬送経路R3を挟んで互いに対向するように配置されている。押圧部305aおよび305bの各々は、幅方向(搬送経路R3に対して垂直な方向)に移動可能であり、それによって押圧部305aと押圧部305bとで構成される隙間Gの大きさを調節可能であってもよい。一方、隙間Gの大きさは一定であってもよい。
【0085】
たとえば、欠損修正部305よりも搬送経路R3における上流側に配置されたセンサSE1によって用紙10が検出されると、用紙先端および後端での耳折れが解消される。すなわち、搬送ローラ322は用紙10の搬送を一旦停止し、押圧部305aと押圧部305bとの隙間Gで用紙を静止した状態にする。続いて欠損修正部305は、隙間Gを狭めるように押圧部305aおよび305bの各々を移動させる。そして、隙間Gを狭めた状態で搬送ローラ323が逆回転することにより、押圧部305aと押圧部305bとで挟み込んだ状態の用紙10は逆方向(図7中上方向)に搬送され、欠損修正部305から取り出される。用紙10が隙間Gを通過する際に、用紙10の先端部11の耳折れが解消される。欠損修正部305から用紙10が取り出されると、搬送ローラ323は再び正回転し、用紙を図7中下方向に搬送する。押圧部305aと押圧部305bとの隙間Gを用紙10が通過する際に、用紙10の後端部12の耳折れが解消される。従って、以上の動作により用紙10の先端部11または後端部12での耳折れなどによる用紙欠損が解消される。
【0086】
なお、欠損修正部305による用紙欠損の修正は、制御部140が画像読取部201および202の各々で読み取った画像データに基づいて、用紙10の欠損を検知した場合にのみ行われてもよいし、全ての用紙に対して行われてもよい。
【0087】
[用紙判別処理のフローチャート]
【0088】
図8は、制御部が実行する用紙判別処理のフローチャートである。
【0089】
図8を参照して、裏紙再利用モードをスタートする指示をユーザから受け付けると(S1でYES)、制御部140は、ADF200の用紙セット部204に置かれた用紙10のうち最も上にある一枚をADF200内へ搬送する(S3)。次に制御部140は、画像読取部201を用いて取得された画像データに基づいて、用紙10の上面10aが印刷されているか否か(用紙面の印刷状況)を判別する(S5)。用紙10の上面10aが印刷されていると判別された場合(S5でYES)、制御部140は、画像読取部202を用いて取得された画像データに基づいて、用紙10の下面10bが印刷されているか否かを判別する(S7)。用紙10の下面10bが印刷されていると判別された場合(S7でYES)、用紙10は両面とも印刷されており、再利用できない状態(両面印刷時の状態)にある。この場合制御部140は、用紙10を排紙トレイ203(機外)へ排紙する(S9)。その後制御部140は、ADF200の用紙セット部204に次の用紙が置かれているか否かを判別する(S11)。次の用紙が置かれていると判別された場合(S11でYES)、制御部140はステップS3に戻る。次の用紙が置かれていないと判別された場合(S11でNO)、処理が終了する。
【0090】
ステップS7において、用紙10の下面10bが印刷されていないと判別された場合(S7でNO)、用紙10は上面10aのみが印刷されており、印刷面の反転の必要が無い状態(裏面印刷時の状態)にある。この場合制御部140は、用紙10を位置修正部307(用紙の幅方向整合部)へ搬送し(S21)、位置修正部307において用紙10の幅方向の位置を修正(整合)する(S23)。続いて制御部140は、給紙装置130へ用紙10を搬送し、給紙装置130の給紙トレイ131へ用紙10をセットする(S25)。給紙トレイ131へ用紙10がセットされる際、位置修正部308によって用紙10の幅方向の位置が修正される。その後制御部140は、ステップS11の処理に進む。
【0091】
ステップS5において、用紙10の上面10aが印刷されていないと判別された場合(S5でNO)、制御部140は、画像読取部202を用いて取得された画像データに基づいて、用紙10の下面10bが印刷されているか否かを判別する(S31)。用紙10の下面10bが印刷されていると判別された場合(S31でYES)、用紙10は下面10bのみが印刷されており、印刷面の反転の必要がある状態(表面印刷時の状態)にある。この場合制御部140は、用紙10を方向修正部330へ一時的に搬送し(S33)、その後用紙10を分岐位置D2よりも下流側の搬送経路R3に搬送することで、用紙10を反転させる(S35)。続いて制御部140は、ステップS21の処理に進む。
【0092】
ステップS31において、用紙10の下面10bが印刷されていないと判別された場合(S31でNO)、用紙10は両面とも印刷されていない状態にある。この場合制御部140は、ステップS21の処理に進む。
【0093】
[実施の形態における効果]
【0094】
本実施の形態によれば、両面印刷済み用紙、上下印刷面が不揃いな片面印刷済み用紙、および白紙などを含み、かつ幅方向の整合がなされていない用紙が、画像形成装置1にセットされた場合であっても、用紙の上下面の印刷状況を検知し、その検知結果に基づいて上下印刷面を自動で揃え、給紙装置直前または給紙装置内で幅方向の整合を行うことができる。このため、作業者自身が用紙の整合を行う必要がなく、ユーザまたは作業者の裏紙利用時の作業の手間を省くことができる。また、用紙搬送不良を低減し、給紙装置への蓄積を安定して行うことができる。その結果、用紙の信頼性の低下を抑制することができる。
【0095】
また、供給装置よりも上流側であって方向修正部330よりも下流側に位置修正部307を配置することにより、未印刷面の方向が修正された後の用紙に対して幅方向の位置を修正することができる。
【0096】
また、用紙の欠損を修正するための欠損修正部を設けることで、万が一用紙に欠損がある場合にその欠損を修正することができる。
【0097】
[その他]
【0098】
上述の実施の形態においては、画像形成装置がMFPである場合について示したが、本発明の画像形成装置は、MFPの他、たとえばファクシミリ装置、複写機、またはプリンタ、またはタンデム式のMFPなどであってもよい。
【0099】
上述の実施の形態においては、用紙判別装置が画像形成装置に内蔵されている場合について示したが、用紙判別装置は画像形成装置から独立して使用可能であってもよい。この場合、用紙判別装置に内蔵された制御部によって用紙判別装置の動作が制御されてもよく、判別後の用紙は用紙判別装置が備える保管部に排紙されてもよい。
【0100】
上述の実施の形態においては、画像読取部で読み取った画像データに基づいて用紙の両面の印刷状況を判別する場合について示したが、用紙の両面の印刷状況の判別方法は任意である。たとえば、用紙の両面の各々に光(たとえば赤外線)を照射し、その光の反射率に基づいて印刷状況が判断されてもよい。
【0101】
上述の実施の形態においては、欠損修正部が搬送切替ガイドよりも下流側に配置されている場合について示したが、欠損修正部は搬送切替ガイドよりも上流側に配置されてもよく、欠損修正部の配置の有無は任意である。
【0102】
上述の実施の形態においては、位置修正部307および位置修正部308の両方が設置される場合について示したが、位置修正部307および位置修正部308のうちいずれか一方のみが設置されてもよい。
【0103】
位置修正部および欠損修正部の構成および動作は一例であり、これ以外の構成および動作が採用されてもよい。たとえば、位置修正部307による修正の際に用紙の搬送が停止されなくてもよい。
【0104】
上述の実施の形態においては、給紙装置において未印刷面が下向きの状態で用紙が保管されるように用紙が搬送される場合について示したが、給紙装置において未印刷面が上向きの状態で用紙が保管されるように用紙が搬送されてもよい。
【0105】
上述の実施の形態における処理は、ソフトウエアにより行なっても、ハードウエア回路を用いて行なってもよい。
【0106】
また、上述の実施の形態における処理を実行するプログラムを提供することもできるし、そのプログラムをCD−ROM、フレキシブルディスク、ハードディスク、ROM、RAM、メモリカードなどの記録媒体に記録してユーザに提供することにしてもよい。プログラムは、CPUなどのコンピュータにより実行される。また、プログラムはインターネットなどの通信回線を介して、装置にダウンロードするようにしてもよい。
【0107】
上述の実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0108】
1 画像形成装置
10 用紙
10a 用紙上面
10b 用紙下面
11 用紙先端部
12 用紙後端部
100 画像形成装置本体
110 転写部
115 感光体ドラム
116 帯電装置
117 現像装置
118 転写装置
119 クリーニング装置
120 定着部
121 加熱ローラ
122 加圧ローラ
130 給紙装置
131 給紙トレイ
140 制御部
150 操作パネル
160 用紙搬送部
161 給紙ローラ
162〜164,210〜214,321〜323,331,332 搬送ローラ
200 自動原稿送り装置
201,202 画像読取部
203,341,342 排紙トレイ
204 用紙セット部
300 フィニッシャ
301,302 搬送切替ガイド
305 欠損修正部
305a,305b,307b,307c,308a,308b 押圧部
307,308 位置修正部
307a 案内部
330 方向修正部
CP 接続口
D1,D2 分岐位置
G 隙間
R1〜R5 搬送経路
SB1,SB2 スイッチバック部
SE1,SE2 センサ
SP 給紙口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙の両面の印刷状況を判別するための判別手段と、
前記判別手段によって両面のうち少なくとも一方の面が未印刷面であると判別された用紙を、保管部へ搬送するための搬送手段と、
前記両面のうち少なくとも一方の面が未印刷面であると判別された用紙の未印刷面の方向を修正することで、前記保管部へ搬送後の用紙の未印刷面が所定の方向を向くようにする方向修正手段と、
前記両面のうち少なくとも一方の面が未印刷面であると判別された用紙について、前記保管部への搬送方向に対して垂直な方向の位置を修正することで、前記保管部へ搬送後の用紙を所定の位置に整合させる位置修正手段とを備えた、用紙判別装置。
【請求項2】
用紙の両面の画像データを検知する画像読取手段をさらに備え、
前記判別手段は、前記画像読取手段が検知した画像データに基づいて印刷状況を判別する、請求項1に記載の用紙判別装置。
【請求項3】
前記位置修正手段は前記保管部よりも前記搬送方向の上流側に配置される、請求項1または2に記載の用紙判別装置。
【請求項4】
前記位置修正手段は前記方向修正手段よりも前記搬送方向の下流側に配置される、請求項1〜3のいずれかに記載の用紙判別装置。
【請求項5】
前記位置修正手段は前記保管部内に配置される、請求項1〜4のいずれかに記載の用紙判別装置。
【請求項6】
前記位置修正手段は2つの端面押圧手段を含み、前記2つの端面押圧手段の各々は、静止した状態の用紙の端面を押圧する、請求項1〜5のいずれかに記載の用紙判別装置。
【請求項7】
前記両面のうち少なくとも一方の面が未印刷面であると判別された用紙のうち、未印刷面の方向を修正する必要のない用紙を前記保管部へ搬送する経路である主経路と、
前記主経路から分岐した経路である分岐経路とをさらに備え、
前記方向修正手段は、前記両面のうち少なくとも一方の面が未印刷面であると判別された用紙のうち、未印刷面の方向を修正する必要のある用紙を、前記保管部へ搬送する前に前記主経路から一時的に前記分岐経路へ搬送することにより、未印刷面の方向を修正する、請求項1〜6のいずれかに記載の用紙判別装置。
【請求項8】
前記保管部よりも前記搬送方向の上流側に設けられ、かつ用紙の欠損を修正するための欠損修正手段をさらに備えた、請求項1〜7のいずれかに記載の用紙判別装置。
【請求項9】
前記欠損修正手段は用紙を通過させるための隙間を含む、請求項8に記載の用紙判別装置。
【請求項10】
前記欠損修正手段は、画像読取手段により用紙の欠損を検知した場合に用紙の欠損を修正する、請求項8または9に記載の用紙判別装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の用紙判別装置と、
前記保管部を含み、かつ前記保管部へ搬送後の用紙に対して画像を形成するための画像形成手段とを備えた、画像形成装置。
【請求項12】
用紙の両面の印刷状況を判別する判別ステップと、
前記判別ステップにおいて両面のうち少なくとも一方の面が未印刷面であると判別された用紙を、保管部へ搬送する搬送ステップと、
前記両面のうち少なくとも一方の面が未印刷面であると判別された用紙の未印刷面の方向を修正することで、前記保管部へ搬送後の用紙の未印刷面が所定の方向を向くようにする方向修正ステップと、
前記両面のうち少なくとも一方の面が未印刷面であると判別された用紙について、前記保管部への搬送方向に対して垂直な方向の位置を修正することで、前記保管部へ搬送後の用紙を所定の位置に整合させる位置修正ステップとを備えた、用紙判別装置の制御方法。
【請求項13】
用紙の両面の印刷状況を判別する判別ステップと、
前記判別ステップにおいて両面のうち少なくとも一方の面が未印刷面であると判別された用紙を、保管部へ搬送する搬送ステップと、
前記両面のうち少なくとも一方の面が未印刷面であると判別された用紙の未印刷面の方向を修正することで、前記保管部へ搬送後の用紙の未印刷面が所定の方向を向くようにする方向修正ステップと、
前記両面のうち少なくとも一方の面が未印刷面であると判別された用紙について、前記保管部への搬送方向に対して垂直な方向の位置を修正することで、前記保管部へ搬送後の用紙を所定の位置に整合させる位置修正ステップとをコンピュータに実行させる、用紙判別装置の制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−203340(P2011−203340A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−68397(P2010−68397)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】