説明

画像伝送方法

【課題】複数のカメラ映像を画像圧縮しネットワークヘ伝送する場合、受信側
の伝送容量の制限から全ての圧縮データを処理出来ず、受信したカメラ映像の内
容を確認することが出来ないという不具合点を解消する。
【解決手段】カメラと該カメラ映像を圧縮するエンコーダを一組とする複
数の送信装置と、圧縮データを伸張するデコーダとモニタ、操作卓を一組とする
複数の受信装置をネットワークに接続した圧縮画像伝送装置において、ネットワ
ークの伝送容量の一部を用いて複数のカメラ映像に対応するそれぞれの参照画面
データを伝送するようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数の動画像圧縮装置と動画像データ表示装置を組み合わせたシステムの改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、画像処理技術、とりわけ画像情報、音声情報の圧縮技術は、めざましい発展を遂げており、容量の小さい伝送路であっても高品質な動画像や音声の伝送が可能となった。例えば、ネットワークを介して遠隔地の被写体の様子を監視する用途において、データ伝送容量の小さい伝送路であっても動画像データ圧縮装置との組み合わせで、高品質な動画像を送信することが出来る。また、画像圧縮技術を利用することにより、従来は1つの動画像伝送しか行えないデータ伝送容量の伝送路に、複数の動画像データを伝送することが可能になった。
【0003】
例えば、ネットワークに複数の動画像データ圧縮装置を接続し、カメラで撮影した動画像に対し画像圧縮処理を行い、ネットワークに伝送するという構成で、遠隔監視などの用途に用いられている。 カメラ映像を圧縮してネットワークに伝送した複数の動画像圧縮データは、同じネットワークに接続した受信端末内の動画像データ伸張装置で動画像圧縮データを伸張し、モニタ画面に映し出す。
【0004】
この複数の動画像データ圧縮装置と受信端末をネットワークに接続した圧縮画像伝送装置の構成例を図2に示す。
送信側には、映像データを出力するカメラ、映像データを圧縮処理するエンコーダを1つの単位として、この組み合わせが複数台、ネットワークに接続されている。この例では、カメラ1−1,1−9,2−3の3台のカメラを持つ組み合わせがそれぞれネットワーク1−25に接続されている。
【0005】
カメラ1−1から出力された映像信号1−2に対し、エンコーダ2−1は画像圧縮処理を行う。 エンコーダ2−1から出力された圧縮データ1−4は、ネットワーク1−25へ出力される。
【0006】
同様に、カメラ1−9から出力された映像信号1−10をエンコーダ2−2で画像圧縮処理を行い、圧縮データ1−12としてネットワーク1−25に出力し、また、カメラ2−3から出力された映像信号2−4をエンコーダ2ー5で画像圧縮処理を行い、圧縮データ2−6としてネットワーク1−25に出力する。以上が圧縮データ送信側の構成である。
【0007】
次に、受信側には、圧縮データの伸張処理を行うデコーダと、モニタの組み合わせを1つの単位として、この組み合わせが複数台、ネットワークに接続されている。この例では、デコーダ1−27とモニタ1−31から成る組み合わせが1組接続されている。
【0008】
デコーダ1−27は、ネットワーク1−25に接続された3つの圧縮データの内の何れかを圧縮データ1−26として取り込み、画像伸張処理を行う。そして、伸張された画像データは、映像信号1−28としてモニタ1−31に出力される。
【0009】
操作卓1−32は、モニタ1−31の映像を見ながらカメラ映像を切り替えるために設置される。 この例では、送信側に3台のカメラが接続されているが、操作卓では、このうちのどのカメラからの映像をモニタ1−31に映し出すかを選択することが出来る。操作卓1−32でカメラを選択する場合、カメラ選択信号1−33を、圧縮データ選択器1−34へ出力する。圧縮データ選択器1−34は、カメラ選択信号1−33の内容から、どのカメラの映像データが操作卓1−32によって選択されたかを判断し、そのカメラに対応する圧縮データを選び出すための圧縮データ選択信号1−35をデコーダ1−27へ出力する。
【0010】
次に、図2の複数の動画像データ圧縮装置と受信端末をネットワークに接続した圧縮画像伝送装置の動作を説明する。
カメラ1−1から出力された映像信号1−2は、エンコーダ2−1で画像圧縮処理が行われる。
【0011】
この画像圧縮処理は、映像信号にデジタル処理を行い、画像の冗長な情報を削除することでデータサイズを小さくする。 そのため、画像圧縮後の画像を見て、画質の劣化を感じることはほとんどない。 さらにデータサイズを小さくするために情報を削除すると、画像に目に見える劣化が生じる。 しかし、その劣化は人間の眼の特性を考慮しているため、画像の細かい表現がぼやけてしまうなど若干の劣化は感じるものの、その画像が示すものが何であるか分からなくなるような劣化にはならない。
【0012】
エンコーダ2−1で画像圧縮処理を行いデータサイズが小さくなった映像信号1−2は、圧縮データ1−4として、ネットワーク1−25へ出力される。
同様に、カメラ1−9から出力された映像データ1−10はエンコーダ2−2で圧縮データ1−12として出力され、カメラ2−3から出力された映像データ2−4はエンコーダ2−5で圧縮データ2−6として出力する。
【0013】
これにより、ネットワーク1−25に、圧縮データ1−4、圧縮データ1−12、圧縮データ2−6の3つの動画像圧縮データが入力されることになる。
ネットワーク1−25のデータ伝送容量は有限であるので、3つの圧縮データは、その合計が伝送容量を超えないデータ量となるように制御しなければならない。
【0014】
よって、画像圧縮処理を行う際には、ネットワークに接続した3台のエンコーダがそれぞれ、ネットワークの伝送容量を超えない圧縮データサイズになるよう画像圧縮処理を行う。 ここで、最も簡単な実現方法は、この例のように3台のエンコーダがネットワーク1−25に接続している場合、ネットワークの伝送容量を等分割した値である3分の1の伝送容量を1つのエンコーダが発生する圧縮データの伝送容量となるように制限することである。ネットワークの伝送容量は決まっているので、各エンコーダが発生する圧縮データの伝送容量の制限も、ネットワーク1−25に接続するエンコーダの台数から導き出すことが出来る。ネットワークの伝送容量をカメラの台数で等分割すれば、1つの圧縮データに割り振ることが出来る伝送容量の最大値となる。
【0015】
カメラ映像が劣化しないように画像圧縮処理を行うには、圧縮データのサイズは極力大きくする事が望ましい。そのため、伝送容量の制限まで全て使い切るような圧縮データサイズになるよう、画像圧縮処理を行うようにする。 以上が送信側の動作である。
【0016】
受信側では、ネットワーク1−25に接続されたデコーダ1−27で、ネットワーク1−25上に伝送された圧縮データ1−4,1−12,2−6のいずれかの圧縮データを取り込み、画像伸張処理を行う。どの圧縮データを取り込むかは、圧縮データ選択信号1−35に従う。
【0017】
デコーダ1−27は、取り込んだ圧縮データを元の映像信号に戻す伸張処理を行う。デコーダ1−27で伸張された映像信号1−28は、モニタ1−31へ出力され、カメラ映像として表示される。
【0018】
モニタ1−31の近くには操作卓1−32があり、複数のカメラ映像から見たい映像を選択することができる。 例えば、カメラ毎に重複しないように番号を割り振り、その番号に対応するボタンを押すことで、カメラ映像を選択する。もしくは、操作卓1−32に設けたレバーやボタンにより、カメラ映像が順番に切り替わるようになっていてもかまわない。 また、操作卓1−32をタッチパネルにすると、モニタ1−31に組み込む事が出来、モニタ1−31の画面上を指やペンで触れることにより操作卓1−32の役割をする。 モニタ1−31をコンピュータのモニタと兼用し、カメラ映像をコンピュータ画面と重ね合わせることで、コンピュータを操作卓1−32とする事も出来る。
【0019】
操作卓1−32でカメラ映像を選択した情報をカメラ選択信号1−33として、圧縮データ選択器1−34へ出力する。 例えば、操作卓1−32でカメラ1−1の映像を選択したとすると、カメラ1−1を示すカメラ選択信号1−33を圧縮データ選択器1−34へ出力する。
【0020】
圧縮データ選択器1−34は、入力された圧縮データ選択信号1−35の情報から伸張処理を行う圧縮データを選択する。 この例であれば、カメラ1−1に対応する圧縮データは圧縮データ1−4であり、カメラ1−9は圧縮データ1−12、カメラ2−3は圧縮データ2−6が対応する。
【0021】
以上の様な動作で、操作卓1−32を用い複数のカメラの中から1つのカメラに対応する圧縮データを選択し、カメラ映像をモニタ1−31に表示する。
次に、上記構成において、モニタ1−31の画面表示例を図3に示し、カメラ映像の選択方法について説明する。
【0022】
この例では、モニタ1−31はコンピュータ画面であり、カメラ映像はコンピュータ画面の一部分に重ね合わせ、映し出されている。 この場合、操作卓1−32はコンピュータの入カデバイスであり、例えば、コンピュータに接続されているキーボードやマウスである。
【0023】
図3は、モニタ1−31に表示されたモニタ表示画像3−6の例であり、この画面には、カメラ映像3−1、カメラ1−1の選択ボタン3−2、カメラ1−9の選択ボタン3−3、カメラ2−3の選択ボタン3−4、指示用ポインタ3−5が表示されている。
【0024】
カメラ映像3−1は、送信側のカメラ映像を画像圧縮しネットワーク1−25へ伝送、受信側のデコーダ1−27で伸張処理を行った映像である。この例では、送信側のカメラは3台であるので、3種類のいずれかのカメラ映像が映し出される。
【0025】
カメラ選択ボタン3−2はカメラ1−1を選択するためのものである。同様にカメラ選択ボタン3−3はカメラ1−9を、カメラ選択ボタン3−4はカメラ2−3を選択するためのものである。この選択方法は、操作卓1−32を用い、画面上を自由に動かすことが出来る指示用ポインタ3−5を選択ボタンの上に移動し、さらに、操作卓1−32より決定のための操作を行うことで選択する。例えば、操作卓1−32にマウスが接続されていれば、マウスを動かすことで、指示用ポインタ3−5を画面上で動かし、所定の選択ボタンの上で静止させて、マウスのボタンを押すことで決定とする。
【0026】
このような操作により、送信側に3台接続されているカメラのうちから1台を選択し、モニタ1−31上にカメラ映像3−1として表示する事が出来る。
なお、操作卓1−32に接続した入カデバイスがマウスの場合を例に説明したが、マウスの代わりにキーボードを用いキーボードの所定のキーを押すことで、3台のカメラ映像のいずれかを選ぶようにしてもかまわない。
【0027】
また、モニタ表示画像3−6での、カメラ映像3−1、カメラ選択ボタン3−2、カメラ選択ボタン3−3、カメラ選択ボタン3−4、指示用ポインタ3−5の表示位置や大きさは、この図と同じでなくてもかまわない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
以上のようなカメラ選択方式により、ネットワークに接続された複数のカメラ映像を切り換えるのだが、モニタ表示画像3−6は、1つのカメラ映像しか表示できないため、複数合のカメラがネットワークに接続されている場合、それぞれのカメラが現在どのような映像を撮影しているかは、実際に操作卓1−32からカメラを切り換えてみないと分からない。
【0029】
もし、3台のカメラがネットワークに接続されており、その3つのカメラ映像を同時にモニタ1−31上のモニタ表示画像3−6へ表示しようとすると、受信側のデコーダが受け取るデータ量はネットワーク1−25の伝送容量と同じでなければならず、データ伝送容量の小さい伝送路で動画像データを伝送することが出来なくなる。また、デコーダ1−27がそれだけの大きな伝送容量を使った複数の圧縮データを同時に処理することは処理速度の面から実現が困難である。送信側で複数のカメラ映像を画像圧縮しネットワークヘ伝送する場合、受信側の伝送容量の制限から全ての圧縮データを処理出来ないため、カメラ映像を操作卓で切り換えてからでないと、受信したカメラ映像の内容を確認することが出来ない。
【0030】
本発明はこれらの欠点を除去し、送信側で複数のカメラ映像を画像圧縮しネットワークヘ伝送する場合、受信側の伝送容量の制限から全ての圧縮データを処理出来ないため、カメラ映像を操作卓で切り換えてからでないと、受信したカメラ映像の内容を確認することが出来ないという不具合点を解消することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0031】
本発明は上記目的を達成するため、カメラと該カメラ映像を圧縮するエンコーダを一組とする複数の送信装置と、圧縮データを伸張するデコーダとモニタ、操作卓を一組とする複数の受信装置をネットワークに接続した圧縮画像伝送装置において、ネットワークの伝送容量の一部を用いて複数のカメラ映像に対応するそれぞれの参照画面データを伝送するようにしたものである。
【0032】
また、送信側のエンコーダから高精細な画像である圧縮データと、該圧縮データより圧縮率が高くデータサイズが小さい参照画面データを同時にネットワークヘ出力するようにしたものである。
【0033】
また、受信側に、ネットワーク上を伝送される所定の圧縮データを伸張し対応する映像信号を出力するデコーダと、複数の参照画面データを伸張して対応する複数の参照映像を出力する複数のデコーダと、伸張された映像信号と伸張された複数の参照映像とを合成する映像合成器を有し、この合成映像信号をモニタに出力表示するようにしたものである。
【0034】
また、受信側に、送信側の複数のカメラ映像のいずれかを、受信側のモニタに映し出された複数の参照映像から選択指示して選ぶ手段を有するものである。
つまり、本発明は、ネットワークに接続した各エンコーダで、高圧縮の参照画面データを発生させ、これをネットワークに伝送する。参照画面データがネットワークの伝送容量に占める割合は非常に小さく、受信側では、この参照画面データを全て受信しモニタに出力することができる。これにより、全てのカメラ映像を受信側のモニタ画面で確認できるようになる。
【発明の効果】
【0035】
以上説明した本発明の構成を用いれば、受信側で参照画面を見ながらカメラ映像を切り替える事が出来る圧縮画像伝送装置が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
図1は、本発明に基づく、複数の動画像データ圧縮装置と受信端末を、ネットワークに接続した圧縮画像伝送装置の構成を示す図である。
送信側には、映像データを出力するカメラ、映像データを圧縮処理するエンコーダを1つの単位として、この組み合わせが複数台、ネットワークに接続されている。この例では、カメラ1−1、カメラ1−9の2台のカメラがあり、この2つの組み合わせがそれぞれネットワーク1−25に接続されている。
【0037】
カメラ1−1から出力された映像信号1−2に対し、エンコーダ1−3で画像圧縮処理を行う。エンコーダ1−3から出力された圧縮データ1−4をネットワーク1−25へ出力する。
【0038】
また、エンコーダ1−3は、映像信号1−2に対し、高圧縮が可能な画像圧縮処理を行い、参照画面データ1−5として出力する。ここで、参照画面データ1−5は、圧縮率が高いことが特徴である。そのため、映像信号1−2の画像サイズより小さい画像データに変換した後に圧縮処理を行う。またはフレームレートを映像信号1−2よりも少ない枚数にして圧縮処理を行うことで高圧縮を実現する。画質も圧縮データ1−4のような高精細画像ではなく、劣化した画像になってもかまわず、ある程度の画像の劣化の許容は、より高圧縮な画像圧縮処理を可能にする。
【0039】
同様に、カメラ1−9から出力された映像信号1−10をエンコーダ1−11で画像圧縮処理を行い、圧縮データ1−12としてネットワーク1−25に出力する。また、映像信号1−10に対して高圧縮が可能な画像圧縮処理を行い、参照画面データ1−13としてネットワーク1−25へ出力する。以上が圧縮データ送信側の構成である。
【0040】
次に、受信側には、伝送された圧縮データの伸張処理を行うデコーダとモニタの組み合わせを1つの単位として、この組み合わせが複数台、ネットワーク1−25に接続されている。この例では、デコーダ1−27とモニタ1−31から成る組み合わせが1組接続されている。
【0041】
デコーダ1−27は、ネットワーク1−25上の2つの圧縮データの内、いずれかを圧縮データ1−26として取り込み、画像伸張処理を行う。伸張された画像データは、映像信号1−28として映像信号合成器1−29に出力される。
【0042】
デコーダ1−38は、ネットワーク1−25に出力された参照画面データ1−5を、参照画面データ1−37として取り込み、画像伸張処理を行った後、参照映像1−39として映像信号合成器1−29へ出力する。
【0043】
デコーダ1−41は、ネットワーク1−25に出力された参照画面データ1−13を参照画面データ1−10として取り込み、画像伸張処理を行った後、参照映像1−42として映像信号合成器1−29へ出力する。
【0044】
映像信号合成器1−29は、入力された、映像信号1−28、参照映像1−39、参照映像1−42を合成し、1枚の画像データである合成映像信号1−30にしてモニタ1−31へ出力する。
【0045】
操作卓1−32は、モニタ1−31の映像を見ながら送信側に指示を送るために設置される。この操作卓1−32の構成は従来と同様である。操作卓1−32でカメラを選択した場合の情報は、カメラ選択信号1−33として、圧縮データ選択器1−34へ出力する。
【0046】
圧縮データ選択器1−34は、カメラ選択信号1−33の内容から、どのカメラの映像データが操作卓1−32により選択されたかを判断する。その結果より、選択したカメラに対応する圧縮データを選び出し、圧縮データ選択信号1−35としてデコーダ1−27へ出力する。
【0047】
次に、図1の本発明に基づく、複数の動画像データ圧縮装置と受信端末をネットワークに接続した圧縮画像伝送装置の動作を説明する。
カメラ1−1が出力した映像信号1−2は、エンコーダ1−3で画像圧縮処理され、圧縮データ1−4として、ネットワーク1−25へ出力する。同時に、映像信号1−2に対し高圧縮が可能な圧縮処理を行い、参照画面データ1−5としてネットワーク1−25へ出力する。圧縮データ1−4と参照画面データ1−5は同じ映像が元であるが、その圧縮データサイズは大きく異なり、圧縮データ1−4に対する参照画面データ1−5の比は10分の1から100分の1である。
【0048】
同様に、カメラ1−9から出力された映像データ1−10は、エンコーダ1−11で圧縮データ1−12と参照画面データ1−13として出力する。
これによりネットワーク1−25に、圧縮データ1−4、圧縮データ1−12、参照画面データ1−5、参照画面データ1−13の4つの動画像圧縮データが入力されることになる。ネットワーク1−25のデータ伝送容量は有限であり、4つの圧縮データの合計が伝送容量を超えないデータ量となるように制御しなければならないのは従来と同様である。
【0049】
ここで、例えば、圧縮データ1−4と圧縮データ1−12の圧縮データサイズは、従来のネットワーク1−25の伝送容量を、3分の1に等分割した際の圧縮データサイズと同じ値に制限する。圧縮データ1−4と圧縮データ1−12がそれぞれ3分の1を占め、残りの3分の1の伝送容量を用いて、参照画面データ1−5と参照画面データ1−13を伝送する。前述したように、圧縮データに比べ、参照画面データのサイズは10分の1から100分の1と小さいために、例えば100分の1のサイズ比だとすると、100の参照画面データを合わせる事で1つの圧縮データのサイズと等しくなる。これは、全ての参照画面データを1つにまとめた場合、100の参照画面データを同時に伝送できるということである。この伝送容量の分割についての詳しい説明は後述する。以上が送信側の動作である。
【0050】
受信側では、ネットワーク1−25に接続されたデコーダ1−27で、ネットワーク1−25上に伝送された圧縮データ1−4か圧縮データ1−12のいずれかの圧縮データを取り込み、画像伸張処理を行う。どの圧縮データを取り込むかは、圧縮データ選択信号1−35に従う。画像伸張処理は、圧縮データを元の映像信号に戻す伸張処理を行う。
【0051】
デコーダ1−27で伸張した映像信号1−28は、映像信号合成器1−29へ出力する。
デコーダ1−38は、参照画面データ1−5をネットワークを介して参照画面データ1−37として取り込み、画像伸張処理を行い、参照映像信号1−39として映像信号合成器1−29へ出力する。
【0052】
同様にデコーダ1−41は、参照画面データ1−13をネットワーク1−25を介して参照画面データ1−40として取り込み、画像伸張処理を行い、参照映像信号1−42として映像信号合成器1−29へ出力する。
【0053】
映像信号合成器1−29は、映像信号1−28、参照映像信号1−39、参照映像信号1−42の3つの映像が入力される。それそれの映像信号は、モニタ1−31の画面レイアウトに合わせた位置に表示されるよう重ね合わせ処理が行われ、1枚の画像である合成映像信号1−30としてモニタ1−31へ出力される。この画面レイアウトに関しても後述する。
【0054】
モニタ1−31は、合成映像信号1−30を、カメラ映像として表示する。このモニタ1−31の画面上には、全ての参照映像が表示されており、この映像により全てのカメラが何を撮影しているかを把握することが出来る。
【0055】
モニタ1−31の近くには操作卓1−32があり、画面に表示された複数の参照映像を基に、1つのカメラ映像を選択する。操作卓1−32でカメラ映像を選択した情報は、カメラ選択信号1−33として、圧縮データ選択器1−34ヘ出力する。
【0056】
圧縮データ選択器1−34は、入力された圧縮データ選択信号1−35の情報から伸張処理を行う圧縮データを選択する。この例であれば、カメラ1−1に対応する圧縮データは圧縮データ1−4であり、カメラ1−9は圧縮データ1−12が対応する。
【0057】
以上のような動作で、操作卓1−32を用いて、参照映像を見ながら、複数のカメラの中から1つのカメラに対応する圧縮データを選択し、所望のカメラ映像をモニタ1−31に表示する。
【0058】
次に上記構成において、本発明に基づく、モニタ1−31の画面表示例を図4に示し、カメラ映像の選択方法について説明する。
この例では、モニタ1−31はコンピュータ画面であり、カメラ映像はコンピュータ画面の一部分に重ね合わせ、映し出されている。この場合、操作卓1−32はコンピュータの入カデバイスであり、例えばコンピュータに接続されているキーボードやマウスである。
【0059】
図4は、モニタ1−31に表示されたモニタ表示画像4−5の例であり、この画面には、カメラ映像4−1、参照画面4−2,4−3、指示用ポインタ4−4が表示されている。
【0060】
カメラ映像4−1は、送信側のカメラ映像を画像圧縮しネットワーク1−25へ伝送、受信側のデコーダ1−27で伸張処理を行った映像が映し出される。この例では送信側のカメラは2台であるので、2種類のいずれかのカメラ映像が映し出される。
【0061】
参照画面4−2は、カメラ1−1が撮影している映像を表示し、かつ選択するためのものである。同様に参照画面4−3はカメラ1−9が撮影している映像を表示し、かつ選択するためのものである。選択方法は、操作卓1−32を用い、画面上を自由に動かすことが出来る指示用ポインタ4−4を参照画面の上に移動し、さらに操作卓1−32より決定のための操作を行うことで選択する。例えば操作卓1−32にマウスが接続されていれば、マウスを動かすことで指示用ポインタ4−4をモニタ表示画像4−5の上で動かし、所定の参照画面の上で静止させ、マウスのボタンを押すことで決定とする。
【0062】
このような操作により、参照画面を基にして現在カメラが撮影している映像を見ながら、2台接続されているカメラのうちから1台を選択し、モニタ1−31上にカメラ映像4−1として表示する事が出来る。
【0063】
なお、このモニタ表示画像4−5での、カメラ映像4−1、参照画面4−2、参照画面4−3、指示用ポインタ4−4の表示位置や大きさは、この図と同じでなくてもかまわず、様々なレイアウトが考えられる。
【0064】
次に、ネットワークの伝送容量の分割方法について、図5と図6を例に用いて説明する。
従来の複数の動画像データ圧縮装置と受信端末をネットワークに接続した圧縮画像伝送装置において、送信側にカメラが5台接続されていたと仮定する。
【0065】
ネットワークの伝送容量を越えないように5台のカメラ映像を伝送するには、例えばネットワークの伝送容量を5分の1に等分割して、各カメラに接続されたエンコーダに割り振れば良い。各エンコーダより出力された5つの圧縮データに、圧縮データ5−1から圧縮データ5−5までの番号を順番に与えると、図5のようにネットワークの伝送容量が5個に等分割される。
【0066】
これに対し、本発明に基づく伝送容量の分割方法を図6に示す。
まず、送信側のカメラを1台減らし4台とする。ネットワークの伝送容量の分割は、従来例の図5と同じ5分の1に等分割する。するとカメラが4台であることより、1つの圧縮データと等しい伝送容量が使われないことになる。この空いた伝送容量に送信側から出力した全ての参照画面データを割り当てる。
【0067】
1台のエンコーダからは、1つの圧縮データと1つの参照画面データが出力されるので、カメラが4台あれば、参照画面データは4つあることになる。
また、前述したように、圧縮データに対する参照画面データの比は10分の1から100分の1と小さいので、例えば10分の1の比率だとして、4つ全ての参照画面データを合わせても1つの圧縮データのサイズよリ小さくなる。よって、全ての参照画面データを合わせて、空いた伝送容量の部分に割り当てても、全ての伝送データ容量の合計が、ネットワークの伝送容量を超えることは無い。
【0068】
送信側のカメラの台数が増えた場合も同様であり、送信側に99台のカメラが接続されていれば、圧縮データに対する参照画面データの比を100分の1になるようにすれば、参照画面データを全て合わせても、ネットワークの伝送容量を超えることはない。
【0069】
この関係を一般的に表すと、送信側のカメラの台数をN台とすると、1台のエンコーダに割り当てられる圧縮データの伝送容量は、ネットワークの伝送容量を(N+1)分の1に分割した値であり、圧縮データに対する参照画面データの比は、(N+1)分の1である。この伝送容量の制限が成り立つとき、ネットワークの伝送容量を全て使用することになる。実際には、この制限を変更してネットワークの伝送容量に空きが出来るようにし、余裕をもたせた設定にする場合もある。
【0070】
以上のように、送信側のエンコーダ圧縮データと参照画面データを同時に出力し、またネットワークの伝送容量の一部を参照画面データの伝送に割り当てることにより、受信側で参照画面を見ながらカメラを選択することが出来るようになる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の参照画面を伴う圧縮画像伝送装置の一実施例の構成を示すブロック図。
【図2】従来の圧縮画像伝送装置の構成を示すブロック図。
【図3】従来のモニタ画面表示例を示す模式図。
【図4】本発明の参照画面を伴うモニタ画面表示例を示す模式図。
【図5】従来のネットワークの伝送容量の分割方法を示す図。
【図6】本発明の参照画面を伴うネットワークの伝送容量の分割方法を示す図。
【符号の説明】
【0072】
1−1,1−9:カメラ、1−3,1−11:エンコーダ、1−25:ネットワーク、1−27,1−38,1−41:デコーダ、1−29:映像信号合成器、1−31:モニタ、1−32:操作卓、1−34:圧縮データ選択器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して複数の画像伝送装置から圧縮画像データと参照画面データとを伝送する画像伝送システムにおける画像伝送方法であって、
前記複数の画像伝送装置をN台とし、前記ネットワークの伝送容量をQとした場合に、前記圧縮画像データの各々の伝送には、Q/(N+1)の伝送容量が割り振られ、N個の前記参照画面データの伝送には、Q/(N+1)の伝送容量が割り振られることを特徴とする画像伝送方法。
【請求項2】
ネットワークを介して複数の画像伝送装置から圧縮画像データと参照画面データのうち少なくとも参照画像データを伝送する画像伝送システムにおける画像伝送方法であって、
前記複数の画像伝送装置をN台とした場合に、N個の前記参照画面データの伝送に必要な伝送容量を確保することを特徴とする画像伝送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−166476(P2006−166476A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−377644(P2005−377644)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【分割の表示】特願2001−292666(P2001−292666)の分割
【原出願日】平成13年9月25日(2001.9.25)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】