画像信号処理装置及び画像信号処理方法、表示装置、並びにコンピューター・プログラム
【課題】フレーム・シーケンシャル方式の画像信号にコントラスト改善を行なう。
【解決手段】隣接画素差分検出部304は、入力される画面毎に、隣り合う画素の輝度レベルに一定値以上の差分がある画素数と、その輝度差分量の積算値を計測して、得られた画素数の値と輝度差分量の積算値を出力する。ダイナミック・コントラスト改善部303では、隣り合う画素の輝度レベルに一定値以上の差分がある画素数と、その輝度差分量の積算値と、白輝度領域のヒストグラム数及び黒輝度領域のヒストグラム数を使用し、白輝度側でガンマー曲線を上げる量、及び、黒輝度側でガンマー曲線を下げる量を制御する。
【解決手段】隣接画素差分検出部304は、入力される画面毎に、隣り合う画素の輝度レベルに一定値以上の差分がある画素数と、その輝度差分量の積算値を計測して、得られた画素数の値と輝度差分量の積算値を出力する。ダイナミック・コントラスト改善部303では、隣り合う画素の輝度レベルに一定値以上の差分がある画素数と、その輝度差分量の積算値と、白輝度領域のヒストグラム数及び黒輝度領域のヒストグラム数を使用し、白輝度側でガンマー曲線を上げる量、及び、黒輝度側でガンマー曲線を下げる量を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、画質補正を行なう画像信号処理装置及び画像信号処理方法、表示装置、並びにコンピューター・プログラムに係り、特に、時分割で交互に表示される左眼用画像及び右眼用画像からなる画像信号に対してコントラスト改善などの画質補正を行なう画像信号処理装置及び画像信号処理方法、表示装置、並びにコンピューター・プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
左右の眼に視差のある画像を表示することで、観察者に3次元的に見える3次元視画像を提示することができる。例えば、時分割3次元視画像表示システムは、互いに異なる複数の画像を時分割で表示する表示装置と、画像の観察者がかけるシャッター眼鏡の組み合わせからなる。表示装置は、視差のある左眼用画像及び右眼用画像を非常に短い周期で交互に、すなわちフレーム・シーケンシャル方式で画面表示する。一方、観察者が装着したシャッター眼鏡は、左眼部及び右眼部にそれぞれ液晶レンズなどで構成されるシャッター機構を備えている。シャッター眼鏡は、左眼用画像がディスプレイされる間に、シャッター眼鏡の左眼部が光を透過させ、右眼部が遮光する。また、右眼用画像がディスプレイされる間に、シャッター眼鏡の右眼部が光を透過させ、左眼部が遮光する(例えば、特許文献1〜3を参照のこと)。すなわち、表示装置による左眼用画像及び右眼用画像の時分割表示と、表示装置の表示切り換えに同期してシャッター眼鏡がシャッター機構により画像選択を行なうことで、観察するユーザーの脳内では左眼用画像と右眼用画像が融像され3次元視画像となる。
【0003】
3次元視画像の表示に用いる表示装置に、例えば液晶ディスプレイ(LCD)を用いることができる。液晶ディスプレイは、画素毎にTFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)を配置したアクティブ・マトリックス型が一般的である。TFT液晶表示ディスプレイは、画像信号を画面上部から下部に向かって走査線毎に書き込むことによって各画素を駆動し、バックライトからの照射光を各画素で遮ったり透過させたりすることによって表示を行なう。
【0004】
液晶ディスプレイの場合、一般に、液晶の放電に時間がかかり、表示の応答速度が遅いことが知られている。他方、フレーム・シーケンシャル方式で3次元画像を提示する場合、左眼用画像と右眼用画像が極めて短い周期で切り替わる。このため、3次元画像表示時には、液晶表示パネルの応答速度を補うために、オーバードライブ処理が適宜行なわれる。
【0005】
ところで、テレビジョン受像機の他、VTR(Video Tape Recorder)、デジタルカメラ、テレビジョンカメラあるいはプリンタなどの画像出力機器は、入力画像に画質補正を施す画像処理機能(例えば明暗やコントラストの改善、輪郭補正などの機能)を有している。このような画像処理機能は、主に全体に暗くコントラストが低い画像や、細部がぼやけた画像に対して効果的に適用される。
【0006】
画質補正のうち、コントラスト改善は、通常、輝度信号の入出力特性を表すガンマー曲線(コントラスト曲線)を補正することによって行なわれる。例えば、入力画像のヒストグラム分布による輝度分布を利用する方法は、入力画像の輝度分布のヒストグラム検出、ヒストグラムに基づくコントラスト曲線の計算、コントラスト曲線を用いた入力画像の補正の3つの処理で構成される。例えば、左右映像のそれぞれのヒストグラムを検出し、差が減少するように一方の映像信号を補正する3次元映像信号の処理装置について提案がなされている(例えば、特許文献4を参照のこと)。
【0007】
図8Aに示すように、入力画像の輝度分布が一様である場合、図8Bに示すように、コントラスト曲線はL101のように入力と出力が一致する直線となる。これに対し、図9Aに示すように、入力画像の輝度分布が低輝度領域(黒レベル領域)に分布している場合には、図9Bに示すように、コントラスト曲線はL101からL102のように補正される。逆に、図10Aに示すように、入力画像の輝度分布が高輝度領域(白レベル領域)に分布している場合には、図10Bに示すように、コントラスト曲線はL101からL103のように補正される。また、図11Aに示すように、入力画像の輝度分布が中間輝度領域に分布している場合には、図11Bに示すように、コントラスト曲線はL101からL104へと補正される。コントラスト曲線は、例えば入力画像の輝度分布を輝度レベル(横軸)方向に積分する演算から得ることができる。上述したようなコントラスト曲線の補正によって、輝度の頻度ヒストグラムの分布の高い輝度成分を優先したコントラスト改善を行なうことができる。なお、コントラスト曲線を補正する際に輝度レベル毎に設定される補正量の度合いは、ゲイン(利得)と呼ばれる。
【0008】
ここで、液晶ディスプレイは、表示の応答速度が遅いため、輝度レベルの振幅が大きな画像信号が発生した場所では十分に応答できず、信号の漏れ込みすなわちクロストークが生じるおそれがある。特に、フレーム・シーケンシャル方式の3次元画像を表示する際には、左右の画像信号には視差があるため、一方の信号が黒輝度又は黒に近い輝度で他方の信号が白輝度又は白に近い輝度となる場所では、大振幅の信号となり、クロストークを多く発生する。また、黒輝度又は黒に近い輝度付近や、白輝度又は白に近い輝度付近では、オーバードライブ機能が効かない領域であり、応答速度を改善することはできない。
【0009】
図12Aには、左眼用画像表示期間で白輝度又は白に近い輝度信号が入力され、続く右眼用画像表示期間で黒輝度信号が入力され、短時間で十分放電されず、白輝度又は白に近い輝度レベルが残っている様子(図中の斜線部)を示している。また、図12Bには、左眼用画像表示期間で白輝度又は白に近い輝度信号が入力されるが、短時間で十分に輝度レベルが立ち上がっていない様子を示している。このような左右の画像信号間の漏れ込みにより、クロストークが発生する。クロストークが発生し易い輝度領域と頻度は、概ね図13に示すクロストーク・マップのように表わされる。同図から、左右いずれかの画像信号の輝度がある値のとき、対となる他方の画像信号の輝度レベルとの差が特定の範囲内であればクロストークが少ないかを、読み取ることができる。図示のように、視差のある左右の画像信号LとR間で輝度レベルの振幅が大きいと、クロストーク量も大きくなる。図13に示したクロストーク・マップは、厳密には、デバイス毎に異なる。
【0010】
フレーム・シーケンシャル方式で表示する左眼用画像信号及び右眼用画像信号に対し、図11Bに示したようなコントラスト曲線L104を用いて画像信号のコントラスト改善を行なうと、白輝度側及び黒輝度側において、信号振幅が大きくなり、且つ、オーバードライブが効かない輝度領域が多くなってしまうので、クロストークが発生し易くなる。液晶表示パネルなどで3次元画像を表示する場合、クロストークの低減とコントラスト改善は相反する目標となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平9−138384号公報
【特許文献2】特開2000−36969号公報
【特許文献3】特開2003−45343号公報
【特許文献4】特開2007−151125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本明細書で開示する技術の目的は、時分割で交互に表示される左眼用画像及び右眼用画像からなる画像信号に対して好適に画質補正を行なうことができる、優れた画像信号処理装置及び画像信号処理方法、表示装置、並びにコンピューター・プログラムを提供することにある。
【0013】
本明細書で開示する技術のさらなる目的は、時分割で交互に表示される左眼用画像及び右眼用画像からなる画像信号に対して、クロストークを抑えながら、コントラストを改善することができる、優れた画像信号処理装置及び画像信号処理方法、表示装置、並びにコンピューター・プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願は、上記課題を参酌してなされたものであり、請求項1に記載の技術は、
輝度信号を含む画像信号を入力する画像入力部と、
画面毎の第1のコントラスト曲線を作成する第1のコントラスト曲線作成部と、
クロストークを発生し易い輝度信号を検出するクロストーク検出部と、
前記クロストーク検出部により検出されたクロストークを発生し易い輝度信号に対し黒輝度側並びに白輝度側へのコントラスト強調を抑制するように前記第1のコントラスト曲線を修正した第2のコントラスト曲線を作成する第2のコントラスト曲線作成部と、
前記第2のコントラスト曲線を用いて画面毎の輝度信号のコントラスト改善を行なうコントラスト改善部と、
を具備する画像信号処理装置である。
【0015】
本願の請求項2に記載の技術によれば、請求項1に記載の画像信号処理装置の画像入力部は、左右の画像信号からなる3次元画像信号を所定の伝送フォーマットで入力するように構成されている。
【0016】
本願の請求項3に記載の技術によれば、請求項1に記載の画像信号処理装置は、画像信号のうち輝度信号を入力して、1画面内の輝度信号の黒輝度から白輝度までの輝度ヒストグラムの分布を検出する輝度ヒストグラム検出部をさらに備えている。そして、第1のコントラスト曲線作成部は、輝度の頻度ヒストグラムの分布の高い輝度成分を優先したコントラスト改善を行なう第1のコントラスト曲線を作成するように構成されている。
【0017】
本願の請求項4に記載の技術によれば、請求項1に記載の画像信号処理装置の第2のコントラスト曲線作成部は、前記第1のコントラスト曲線に対し、白輝度側で輝度レベルを上げる量、及び、黒輝度側で輝度レベルを下げる量を抑制するように制御をかけて、前記第2のコントラスト曲線を作成するように構成されている。
【0018】
本願の請求項5に記載の技術によれば、請求項1に記載の画像信号処理装置は、画像信号のうち輝度信号Yを入力して、1画面内の輝度信号の黒輝度から白輝度までの輝度ヒストグラムの分布を検出する輝度ヒストグラム検出部と、画像信号のうち輝度信号を入力して、画面毎に、隣接画素の輝度レベルに一定値以上の差分がある画素数と、一定値以上の差分がある隣接画素の輝度差分量の積算値を計測する隣接画素差分検出部をさらに備えている。そして、第2のコントラスト曲線作成部は、隣接画素間で輝度レベルに一定値以上の差分がある画素数及び一定値以上の差分がある隣接画素の輝度差分量の積算値に基づいて輝度信号が大振幅となる場所を検出するとともに、白輝度領域のヒストグラム数及び黒輝度領域のヒストグラム数に基づいて黒輝度領域及び白輝度領域を検出し、前記第1のコントラスト曲線に対して、白輝度側でコントラスト曲線の輝度レベルを上げる量及び黒輝度側でコントラスト曲線の輝度レベルを下げる量を制御して、前記第2のコントラスト曲線を作成するように構成されている。
【0019】
本願の請求項6に記載の技術によれば、請求項1に記載の画像信号処理装置の第2のコントラスト曲線作成部は、前記コントラスト改善部によりコントラスト改善を行なった後の輝度信号を含む画像信号を表示する液晶表示パネルにおけるオーバードライブ特性に基づいて、黒輝度側並びに白輝度側へのコントラスト強調を抑制するように前記第1のコントラスト曲線を修正するように構成されている。
【0020】
本願の請求項7に記載の技術によれば、請求項6に記載の画像信号処理装置の第2のコントラスト曲線作成部は、白輝度側及び黒輝度側のそれぞれにおいてオーバードライブ量を低減し始める輝度値を基準にして、白輝度側において白輝度側のクロストークが多くなる領域への上昇を抑制するとともに、黒輝度側において黒輝度側のクロストークが多くなる領域への下降を抑制するように前記第1のコントラスト曲線を修正するように構成されている。
【0021】
また、本願の請求項8に記載の技術は、
輝度信号を含む画像信号を入力する画像入力ステップと、
画面毎の第1のコントラスト曲線を作成する第1のコントラスト曲線作成ステップと、
クロストークを発生し易い輝度信号を検出するクロストーク検出ステップと、
前記クロストーク検出ステップにおいて検出されたクロストークを発生し易い輝度信号に対し黒輝度側並びに白輝度側へのコントラスト強調を抑制するように前記第1のコントラスト曲線を修正した第2のコントラスト曲線を作成する第2のコントラスト曲線作成ステップと、
前記第2のコントラスト曲線を用いて画面毎の輝度信号のコントラスト改善を行なうコントラスト改善ステップと、
を有する画像信号処理方法である。
【0022】
また、本願の請求項9に記載の技術は、
輝度信号及び色信号を含む画像信号を入力する画像入力部と、
輝度信号のコントラストを改善するコントラスト改善部と、
前記コントラスト改善部によりコントラストを改善した後の輝度信号を含む画像信号の鮮鋭度をエンハンスする鮮鋭度系エンハンス部と、
前記鮮鋭度系エンハンス部により鮮鋭度をエンハンスした後の画像信号の色空間を変換する色空間変換部と、
前記色空間変換部により色空間変換した後の画像信号を表示する表示部と、
を具備し、
前記コントラスト改善部は、画面毎の第1のコントラスト曲線を作成する第1のコントラスト曲線作成部と、クロストークを発生し易い輝度信号を検出するクロストーク検出部と、前記クロストーク検出部により検出されたクロストークを発生し易い輝度信号に対し黒輝度側並びに白輝度側へのコントラスト強調を抑制するように前記第1のコントラスト曲線を修正した第2のコントラスト曲線を作成する第2のコントラスト曲線作成部を備え、前記第2のコントラスト曲線を用いて画面毎の輝度信号のコントラスト改善を行なう、
表示装置である。
【0023】
また、本願の請求項10に記載の技術は、
輝度信号を含む画像信号を入力する画像入力部、
画面毎の第1のコントラスト曲線を作成する第1のコントラスト曲線作成部、
クロストークを発生し易い輝度信号を検出するクロストーク検出部、
前記クロストーク検出部により検出されたクロストークを発生し易い輝度信号に対し黒輝度側並びに白輝度側へのコントラスト強調を抑制するように前記第1のコントラスト曲線を修正した第2のコントラスト曲線を作成する第2のコントラスト曲線作成部、
前記第2のコントラスト曲線を用いて画面毎の輝度信号のコントラスト改善を行なうコントラスト改善部、
としてコンピューターを機能させるようにコンピューター可読形式で記述されたコンピューター・プログラムである。
【0024】
本願の請求項10に係るコンピューター・プログラムは、コンピューター上で所定の処理を実現するようにコンピューター可読形式で記述されたコンピューター・プログラムを定義したものである。換言すれば、本願の請求項10に係るコンピューター・プログラムをコンピューターにインストールすることによって、コンピューター上では協働的作用が発揮され、本願の請求項1に係る画像信号処理装置と同様の作用効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0025】
本明細書で開示する技術によれば、時分割で交互に表示される左眼用画像及び右眼用画像からなる画像信号に対して、クロストークを抑えながら、コントラストを改善することができる、優れた画像信号処理装置及び画像信号処理方法、表示装置、並びにコンピューター・プログラムを提供することができる。
【0026】
液晶表示ディスプレイなどでフレーム・シーケンシャル方式の3次元画像を表示する際、輝度信号が大振幅で且つ黒輝度付近並びに白輝度付近の領域でクロストークが発生する。本明細書で開示する技術によれば、隣接画素間で輝度レベルに一定値以上の差分がある画素数及びその輝度差分量の積算値に基づいて、輝度信号が大振幅となる場所を検出するとともに、隣接画素間で輝度レベルに一定値以上の差分がある画素数及びその輝度差分量の積算値に基づいて輝度信号が大振幅となる場所を検出するとともに、輝度ヒストグラムの分布に基づいて黒輝度領域並びに白輝度領域を検出し、これらの検出結果から、クロストークが発生し易い信号を検出して、黒輝度側と白輝度側へコントラスト強調を抑えるようにする。これにより、クロストークの発生箇所の増加を押さえることが可能となる。
【0027】
本明細書で開示する技術のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、画像表示システムの構成例を模式的に示した図である。
【図2A】図2Aは、表示装置11の左眼用画像Lの表示期間に同期したシャッター眼鏡13におけるシャッター・レンズ308、209の制御動作を示した図である。
【図2B】図2Bは、表示装置11の右眼用画像Rの表示期間に同期したシャッター眼鏡13におけるシャッター・レンズ308、209の制御動作を示した図である。
【図3】図3は、コントラスト改善回路300の構成を模式的に示した図である。
【図4】図4は、ダイナミック・コントラスト改善部303において、白輝度側でコントラスト曲線の輝度レベルを上げる量、及び、黒輝度側でコントラスト曲線の輝度レベルを下げる量をそれぞれ決定するための処理ブロックを模式的に示した図である。
【図5】図5は、オーバードライブ特性を利用して黒輝度側及び白輝度側のそれぞれの方向へのコントラスト強調を抑制する方法を説明するための図である。
【図6】図6は、3次元画像信号のフレーム・パッキング方式(プログレッシブ)の伝送フォーマットを示した図である。
【図7】図7は、3次元画像信号のフレーム・パッキング方式(インタレース)の伝送フォーマットを示した図である。
【図8A】図8Aは、コントラスト補正のアルゴリズムを説明するための図である。
【図8B】図8Bは、コントラスト補正のアルゴリズムを説明するための図である。
【図9A】図9Aは、コントラスト補正のアルゴリズムを説明するための図である。
【図9B】図9Bは、コントラスト補正のアルゴリズムを説明するための図である。
【図10A】図10Aは、コントラスト補正のアルゴリズムを説明するための図である。
【図10B】図10Bは、コントラスト補正のアルゴリズムを説明するための図である。
【図11A】図11Aは、コントラスト補正のアルゴリズムを説明するための図である。
【図11B】図11Bは、コントラスト補正のアルゴリズムを説明するための図である。
【図12A】図12Aは、左眼用画像表示期間で白輝度信号が入力され、続く右眼用画像表示期間で黒輝度信号が入力され、短時間で十分放電されず、白輝度レベルが残っている様子を示した図である。
【図12B】図12Bは、左眼用画像表示期間で白輝度信号が入力されるが、短時間で十分に輝度レベルが立ち上がっていない様子を示した図である。
【図13】図13は、クロストーク・マップの一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら本明細書で開示する技術の実施形態について詳細に説明する。
【0030】
図1には、画像表示システムの構成例を模式的に示している。画像表示システムは、3次元表示(3次元視)対応の表示装置11と、左眼部及び右眼部にそれぞれシャッター機構を備えたシャッター眼鏡13の組み合わせからなる。以下では、3次元画像表示に用いる表示装置11として、液晶ディスプレイ(LCD)を用いるものとする。但し、本明細書で開示する技術の要旨は、液晶ディスプレイに必ずしも限定されない。
【0031】
表示装置11は、フレーム・シーケンシャル方式で左眼用画像L及び右眼用画像Rを交互に表示する。一方、シャッター眼鏡13は、表示装置11側での左眼用画像L及び右眼用画像Rの切り換えタイミングと同期をとって、左右のシャッター・レンズ308、309の開閉切り換えを行なう。表示装置11とシャッター眼鏡13間の通信には、Wi−FiやIEEE802.15.4などの、電波通信によるワイヤレス・ネットワークが用いられ、表示装置11からシャッター眼鏡13へ、シャッター・レンズ308、309の開閉タイミングを制御するために必要な情報を記載したパケットが送信される。勿論、ワイヤレス・ネットワークではなく、赤外線通信やその他の通信手段を適用することもできる。
【0032】
表示装置11は、左右画像信号処理部120と、通信部124と、タイミング制御部126と、ゲート・ドライバー130と、データ・ドライバー132と、液晶表示パネル134を備えている。
【0033】
液晶表示パネル134は、液晶層及び液晶層を挟んで対向する透明電極と、カラー・フィルターなど(いずれも図示しない)から構成されている。また、液晶表示パネル134の背後には、バックライト(面光源)136が配置されている。バックライト136は、残光特性の良好なLED(Light Emitting Diode)などから構成されている。
【0034】
左右画像信号処理部120には、左眼用画像R及び右眼用画像Lをそれぞれ表示するための左右の画像信号DL、DRからなる入力信号Dinが、例えばフレーム・パッキングなどの伝送フォーマット(後述)で入力される。左右画像信号処理部120内では、画像の鮮鋭度のエンハンスやコントラスト改善などの画質補正処理が行なわれる。そして、左右画像信号処理部120は、液晶表示パネル134でフレーム・シーケンシャル方式により左眼用画像Lと右眼用画像Rを表示させるため、左右の画像信号DL、DRを交互に出力する。
【0035】
タイミング制御部126には、左右画像信号処理部120で変換された左眼用画像信号DL及び右眼用画像信号DRが入力される。タイミング制御部126は、入力された左眼用画像信号DL及び右眼用画像信号DRを液晶表示パネル134へ入力するための信号に変換するとともに、ゲート・ドライバー130及びデータ・ドライバー132からなるパネル駆動回路の動作に用いられるパルス信号を生成する。
【0036】
ゲート・ドライバー130は、順次駆動するための信号を生成する駆動回路であり、タイミング制御部126から伝送された信号に応じて、表示パネル134内の各画素に接続されたゲート・バス・ラインへ、駆動電圧を出力する。また、データ・ドライバー132は、映像信号に基づく駆動電圧を出力する駆動回路であり、タイミング制御部126から伝送された信号に基づいてデータ線へ印加する信号を生成して出力する。
【0037】
また、液晶表示パネル134の応答速度を補うための、オーバードライブが適宜行なわれる。オーバードライブは、パネル駆動回路において目標到達電圧以上の駆動電圧を液晶素子に印加して、目標電圧に速やかに到達するようにして、応答特性の改善を行なう処理である。
【0038】
通信部124は、Wi−FiやIEEE802.15.4などのワイヤレス・ネットワークにおけるアクセスポイントとして動作し、端末局として動作する1以上のシャッター眼鏡13を自分の基本サービスセット(Basic Service Set:BSS)に収容する。通信部124からは、シャッター眼鏡13側でシャッター・レンズ308、309の開閉タイミングを制御するために必要な情報を記載したパケットが送信される。
【0039】
図2Aには、表示装置11の左眼用画像Lの表示期間に同期したシャッター眼鏡13におけるシャッター・レンズ308、209の制御動作を示している。図示のように、左眼用画像Lの表示期間には、表示装置11側から無線伝送される同期パケットに従って、左眼用シャッター・レンズ308を開成状態、右眼用シャッター・レンズ309を閉成状態とし、左眼用画像Lに基づく表示光LLがユーザーの左眼にのみ到達する。
【0040】
また、図2Bには、右眼用画像Rの表示期間に同期したシャッター眼鏡13におけるシャッター・レンズ308、209の制御動作を示している。図示のように、右眼用画像Rの表示期間には、右眼用シャッター・レンズ309を開成状態、左眼用シャッター・レンズ308を閉成状態とし、右眼用画像Rに基づく表示光RRがユーザーの右眼にのみ到達する。
【0041】
表示装置11は、液晶表示パネル134に、フィールド毎に左眼用画像Lと右眼用画像Rを交互に表示する。シャッター眼鏡13側では、左右のシャッター・レンズ308、309が表示装置11のフィールド毎の画像切り換えに同期して交互に開閉動作を行なう。シャッター眼鏡13越しに表示画像を観察するユーザーの脳内では、左眼用画像Lと右眼用画像Rが融像され、表示装置11に表示される画像が3次元的に認識される。
【0042】
左眼用画像Lと右眼用画像Rには視差がある。左眼用画像Lと右眼用画像Rをフレーム・シーケンシャル方式で表示する場合、黒輝度(又は黒に近い輝度)から白輝度(又は白に近い輝度)に変化する場所は、フレーム毎若しくはフィールド毎に黒輝度から白輝度へ、又は、白輝度から黒輝度へ変化することになり、大振幅信号に対する高速且つ正確な応答が要求される。一方、表示装置11は、液晶表示パネル134の応答速度を改善するために、オーバードライブを行なっている。ところが、黒輝度よりさらに黒側へ、並びに、白輝度よりさらに白側へは、オーバードライブできない。このため、上述したように輝度信号の振幅が大きい黒側輝度領域及び白側輝度領域では、エッジ前後の液晶表示パネル134の応答性能が十分でないために、クロストークが発生する、という問題がある。
【0043】
表示画像が2次元の場合、図8〜図11に示したような、輝度の頻度分布の高い輝度成分を優先したコントラスト曲線を用いたコントラスト改善を行なっても問題はない。これに対し、フレーム・シーケンシャル方式の3次元画像の場合、クロストークが発生し易いので、輝度の頻度分布の高い輝度成分を優先したコントラスト曲線をそのまま用いて、2次元画像と同様のコントラスト改善を行なうと、クロストークがさらに悪化する。
【0044】
そこで、本実施形態では、左右画像信号処理部120内において、上記のようなクロストークの発生する信号の特徴を検出し、黒輝度側及び白輝度側のそれぞれの方向へのコントラスト強調を抑制するようにコントラスト改善処理を行なうことで、クロストークの発生を防ぐようになっている。
【0045】
図3には、左右画像信号処理部120内に配置されるコントラスト改善回路300の構成を模式的に示している。図示の例では、フレーム・パッキング方式の伝送フォーマットで送られてくる、1920×1080画素サイズでフレームレート24Hzのプログレッシブ画像を入力とする。但し、インタレース方式の画像が入力された場合には、IP(インタレース−プログレッシブ)変換部301にてプログレッシブ画像に変換するものとする。
【0046】
ここで、図6には、3次元画像信号のフレーム・パッキング方式(プログレッシブ)の伝送フォーマットを、2次元画像信号(プログレッシブ)と併せて示しておく。左眼用画像L及び右眼用画像Rの各フレームの解像度は2次元画像と同一であり、1080pの解像度で伝送することが可能である。また、1垂直帰線期間中に左眼用画像L及び右眼用画像Rの2フレーム分の映像が含まれる。一方、図7には、3次元画像信号のフレーム・パッキング方式(インタレース)の伝送フォーマットを、2次元画像信号(インタレース)と併せて示しておく。左眼用画像L及び右眼用画像Rの各フレームの解像度は2次元画像と同一であり、1080iの解像度で伝送することが可能である。また、1垂直帰線期間中に左眼用画像L及び右眼用画像Rの4フィールド分の映像が含まれる。
【0047】
輝度ヒストグラム検出部302は、画像信号のうち輝度信号Yを入力して、画面毎に入力すると1画面内の黒輝度から白輝度までの輝度ヒストグラムの分布を検出する。ここで、輝度ヒストグラム検出部302は、左眼用画像L及び右眼用画像Rの各々について1画面内の輝度ヒストグラムの分布を検出するようにしても、あるいは、同時刻の左眼用画像L又は右眼用画像Rの一方についてのみ検出を行ない共通して使用するようにしてもよい。
【0048】
ダイナミック・コントラスト改善部303は、輝度ヒストグラム検出部302から輝度ヒストグラムの分布を入力すると、画面毎に最適なコントラスト曲線を作成する。ここでは、まず、図8〜図11に示したような、輝度の頻度ヒストグラムの分布の高い輝度成分を優先したコントラスト改善を行なうようなコントラスト曲線が作成される。
【0049】
液晶表示パネル134でフレーム・シーケンシャル方式の3次元画像を表示する場合、図13に示したクロストーク・マップからも分かるように、視差のある左右の画像信号間で輝度レベルの振幅が大きい場所では、大きなクロストークが発生する。且つ、黒輝度付近では、黒輝度側にクロストークが発生し、白輝度付近では、白輝度側にクロストークが発生する、という特徴がある。
【0050】
そこで、ダイナミック・コントラスト改善部303は、輝度ヒストグラムの分布のみに基づいて一旦作成したコントラスト曲線に対し、白輝度側で輝度レベルを上げる量、及び、黒輝度側で輝度レベルを下げる量を抑制するように制御をかけることによって、クロストークの発生を防止する。
【0051】
具体的には、隣接画素差分検出部304は、画像信号のうち輝度信号Yを入力して、画面毎に、隣り合う画素の輝度レベルに一定値以上の差分がある画素数と、その輝度差分量の積算値を計測して、得られた画素数の値と輝度差分量の積算値を、ダイナミック・コントラスト改善部303に出力する。そして、ダイナミック・コントラスト改善部303は、隣接画素間で輝度レベルに一定値以上の差分がある画素数及びその輝度差分量の積算値に基づいて、輝度信号が大振幅となる場所を検出することができる。また、ダイナミック・コントラスト改善部303は、輝度ヒストグラム検出部302から入力する白輝度領域のヒストグラム数及び黒輝度領域のヒストグラム数を使用して、黒輝度領域及び白輝度領域を検出することができる。このようにして、ダイナミック・コントラスト改善部303は、クロストークが発生し易い、輝度信号が大振幅で且つ黒輝度付近並びに白輝度付近の場所を検出すると、白輝度側でコントラスト曲線の輝度レベルを上げる量、及び、黒輝度側でコントラスト曲線の輝度レベルを下げる量を、適正な値に制御する。
【0052】
なお、隣接画素差分検出部304は、左眼用画像L及び右眼用画像Rの各々について、隣り合う画素の輝度レベルに一定値以上の差分がある画素数と、その輝度差分量の積算値を検出するようにしても、あるいは、同時刻の左眼用画像L又は右眼用画像Rの一方についてのみ検出を行ない共通して使用するようにしてもよい。
【0053】
図4には、ダイナミック・コントラスト改善部303において、白輝度側でコントラスト曲線の輝度レベルを上げる量、及び、黒輝度側でコントラスト曲線の輝度レベルを下げる量をそれぞれ決定するための処理ブロックを模式的に示している。
【0054】
隣接画素差分検出部304からは、入力される画面毎に、隣り合う画素の輝度レベルに一定値以上の差分がある画素数と、その輝度差分量の積算値が入力される(前述)。ダイナミック・コントラスト改善部303内では、第1の制御ゲイン決定部401が隣り合う画素の輝度レベルに一定値以上の差分がある画素数に基づいて抑制するコントラスト制御量(制御ゲイン)Aを決定するとともに、第2の制御ゲイン決定部402が一定値以上の差分がある画素の輝度差分量の積算値に基づいて抑制するコントラスト制御量(制御ゲイン)Bを決定すると、乗算器403でこれらコントラスト制御量AとBを乗算する。
【0055】
また、ダイナミック・コントラスト改善部303内では、輝度ヒストグラム重み付け部403が、輝度ヒストグラム検出部302から入力された白輝度領域のヒストグラム数に白輝度側の重み付け係数を掛け、これにさらに上記のコントラスト制御量の乗算値A×Bを乗算器406で掛けて、白輝度側のゲイン抑制量を得る。同様に、輝度ヒストグラム重み付け部403が、黒輝度領域のヒストグラム数に黒輝度側の重み付け係数を掛け、これにさらに上記のコントラスト制御量の乗算値A×Bを乗算器405で掛けて、黒輝度側のゲイン抑制量を得る。
【0056】
なお、上記の変形例として、液晶表示パネル134のオーバードライブ特性を利用して黒輝度側及び白輝度側のそれぞれの方向へのコントラスト強調を抑制する方法も考えられる。
【0057】
オーバードライブ自体は、液晶表示パネル134のパネル駆動回路において目標到達電圧以上の駆動電圧を液晶素子に印加して、目標電圧に速やかに到達するようにして、応答特性の改善を行なう処理である(前述)。
【0058】
オーバードライブ量は、液晶表示パネル134の駆動電圧のダイナミックレンジに制限されていて、白輝度側及び黒輝度側では必要なオーバードライブ電圧を印加することができない。図13に示したクロストーク・マップを参照すると、図中のグレーで示した領域はクロストークが多い領域である。同図中、白輝度側のグレーで示した領域に到達すると、白輝度側のクロストークが多くなるので、オーバードライブ量を低減し始める輝度値(オーバードライブ量が制限される輝度値)であり、コントラスト曲線の白輝度側の輝度特性の目安にすることができる。したがって、白輝度側では、図5下段の一点鎖線で示した、白輝度側のクロストークが多くなる領域への上昇が抑制されたコントラスト曲線を使用するようにする。例えば、オーバードライブ量が制限される輝度値の最大値を90IRE(International Radio Engeneers)とすると、90IRE以上の輝度のガンマー特性を上昇させないように、白輝度側におけるコントラスト曲線を制御する。
【0059】
また、図13中、黒輝度側のグレーで示した領域に到達すると、黒輝度側のクロストークが多くなるので、オーバードライブ量を低減し始める輝度値(オーバードライブ量が制限される輝度値)であり、コントラスト曲線の黒輝度側の輝度特性の目安にすることができる。したがって、黒輝度側では、図5下段の一点鎖線で示した、黒輝度側のクロストークが多くなる領域への下降が抑制されたコントラスト曲線を使用するようにする。例えば、オーバードライブ量が制限される輝度値の最小値を10IREとすると、10IRE以上の輝度のガンマー特性を上昇させないように、黒輝度側におけるコントラスト曲線を制御する。
【0060】
液晶表示パネル134には個体差があり、クロストークが発生する場所はパネル毎に異なる。上述したように、オーバードライブ特性が白輝度側及び黒輝度側で線形にならなくなる輝度領域を利用してコントラスト曲線を作成することで、個々の液晶表示パネル134に適応したクロストークの発生防止を実現することができる。
【0061】
再び図3を参照して、引き続いてコントラスト改善回路300の構成について説明する。
【0062】
ダイナミック・コントラスト改善部303内では、上述したいずれかの方法により黒輝度側及び白輝度側のそれぞれの方向へのコントラスト強調が抑制されたコントラスト曲線を用いて、入力された輝度信号Yに対してコントラスト改善を行なう。
【0063】
コントラスト改善処理が行なわれた輝度信号Yは、色信号UVとともに後段の鮮鋭度系エンハンス部305に入力され、輝度信号Y及び色信号UVについてそれぞれ鮮鋭度が強調される。そして、マトリックス変換部306で、画像信号がYUVからRGBへ色空間変換を行なった後、液晶表示パネル134に出力される。
【0064】
液晶表示パネルでフレーム・シーケンシャル方式の3次元画像を表示すると、輝度レベルが大振幅となる黒白輝度領域においてクロストークが発生し易く、2次元画像の表示時と同じコントラスト改善を行なうとクロストークが悪化してしまう。これに対し、本明細書で開示する技術によれば、輝度信号のヒストグラムと隣接画素差分に基づいて、コントラスト曲線の白輝度側及び黒輝度側を修正することによって、白輝度領域及び黒輝度領域におけるコントラストはやや劣化するものの、クロストークの発生を防ぐことができる。これによって、トータルでは3次元画像の画質改善を容易に実現することができる。
【0065】
コントラスト曲線の白輝度側及び黒輝度側を修正する処理は、ソフトウェアでも実行することができるので、本明細書で開示する技術を低コストで実現することができる。
【0066】
また、液晶表示パネル134の個体差によりクロストークの性能が変わることから、オーバードライブの特性を利用してコントラスト曲線を作成することで、個々の液晶表示パネル134に適応したクロストークの発生防止を実現することができる。
【0067】
要するに、本明細書で開示する技術によれば、クロストークの低減とコントラスト改善という相反する目標に対して、個々の液晶表示パネル134毎に最適化した3次元画質の向上を実現することができる。
【0068】
なお、本明細書の開示の技術は、以下のような構成をとることも可能である。
(1)輝度信号を含む画像信号を入力する画像入力部と、画面毎の第1のコントラスト曲線を作成する第1のコントラスト曲線作成部と、クロストークを発生し易い輝度信号を検出するクロストーク検出部と、前記クロストーク検出部により検出されたクロストークを発生し易い輝度信号に対し黒輝度側並びに白輝度側へのコントラスト強調を抑制するように前記第1のコントラスト曲線を修正した第2のコントラスト曲線を作成する第2のコントラスト曲線作成部と、前記第2のコントラスト曲線を用いて画面毎の輝度信号のコントラスト改善を行なうコントラスト改善部と、を具備する画像信号処理装置。
(2)前記画像入力部は、左右の画像信号からなる3次元画像信号を所定の伝送フォーマットで入力する、上記(1)に記載の画像信号処理装置。
(3)画像信号のうち輝度信号を入力して、1画面内の輝度信号の黒輝度から白輝度までの輝度ヒストグラムの分布を検出する輝度ヒストグラム検出部をさらに備え、前記第1のコントラスト曲線作成部は、輝度の頻度ヒストグラムの分布の高い輝度成分を優先したコントラスト改善を行なう第1のコントラスト曲線を作成する、上記(1)に記載の画像信号処理装置。
(4)前記第2のコントラスト曲線作成部は、前記第1のコントラスト曲線に対し、白輝度側で輝度レベルを上げる量、及び、黒輝度側で輝度レベルを下げる量を抑制するように制御をかけて、前記第2のコントラスト曲線を作成する、上記(1)に記載の画像信号処理装置。
(5)画像信号のうち輝度信号Yを入力して、1画面内の輝度信号の黒輝度から白輝度までの輝度ヒストグラムの分布を検出する輝度ヒストグラム検出部と、画像信号のうち輝度信号を入力して、画面毎に、隣接画素の輝度レベルに一定値以上の差分がある画素数と、一定値以上の差分がある隣接画素の輝度差分量の積算値を計測する隣接画素差分検出部と、をさらに備え、前記第2のコントラスト曲線作成部は、隣接画素間で輝度レベルに一定値以上の差分がある画素数及び一定値以上の差分がある隣接画素の輝度差分量の積算値に基づいて輝度信号が大振幅となる場所を検出するとともに、白輝度領域のヒストグラム数及び黒輝度領域のヒストグラム数に基づいて黒輝度領域及び白輝度領域を検出し、前記第1のコントラスト曲線に対して、白輝度側でコントラスト曲線の輝度レベルを上げる量及び黒輝度側でコントラスト曲線の輝度レベルを下げる量を制御して、前記第2のコントラスト曲線を作成する、上記(1)に記載の画像信号処理装置。
(6)前記第2のコントラスト曲線作成部は、前記コントラスト改善部によりコントラスト改善を行なった後の輝度信号を含む画像信号を表示する液晶表示パネルにおけるオーバードライブ特性に基づいて、黒輝度側並びに白輝度側へのコントラスト強調を抑制するように前記第1のコントラスト曲線を修正する、上記(1)に記載の画像信号処理装置。
(7)前記第2のコントラスト曲線作成部は、白輝度側及び黒輝度側のそれぞれにおいてオーバードライブ量を低減し始める輝度値を基準にして、白輝度側において白輝度側のクロストークが多くなる領域への上昇を抑制するとともに、黒輝度側において黒輝度側のクロストークが多くなる領域への下降を抑制するように前記第1のコントラスト曲線を修正する、上記(6)に記載の画像信号処理装置。
(8)輝度信号を含む画像信号を入力する画像入力ステップと、画面毎の第1のコントラスト曲線を作成する第1のコントラスト曲線作成ステップと、クロストークを発生し易い輝度信号を検出するクロストーク検出ステップと、前記クロストーク検出ステップにおいて検出されたクロストークを発生し易い輝度信号に対し黒輝度側並びに白輝度側へのコントラスト強調を抑制するように前記第1のコントラスト曲線を修正した第2のコントラスト曲線を作成する第2のコントラスト曲線作成ステップと、前記第2のコントラスト曲線を用いて画面毎の輝度信号のコントラスト改善を行なうコントラスト改善ステップと、を有する画像信号処理方法。
(9)輝度信号及び色信号を含む画像信号を入力する画像入力部と、輝度信号のコントラストを改善するコントラスト改善部と、前記コントラスト改善部によりコントラストを改善した後の輝度信号を含む画像信号の鮮鋭度をエンハンスする鮮鋭度系エンハンス部と、前記鮮鋭度系エンハンス部により鮮鋭度をエンハンスした後の画像信号の色空間を変換する色空間変換部と、前記色空間変換部により色空間変換した後の画像信号を表示する表示部と、を具備し、前記コントラスト改善部は、画面毎の第1のコントラスト曲線を作成する第1のコントラスト曲線作成部と、クロストークを発生し易い輝度信号を検出するクロストーク検出部と、前記クロストーク検出部により検出されたクロストークを発生し易い輝度信号に対し黒輝度側並びに白輝度側へのコントラスト強調を抑制するように前記第1のコントラスト曲線を修正した第2のコントラスト曲線を作成する第2のコントラスト曲線作成部を備え、前記第2のコントラスト曲線を用いて画面毎の輝度信号のコントラスト改善を行なう、表示装置。
(10)輝度信号を含む画像信号を入力する画像入力部、画面毎の第1のコントラスト曲線を作成する第1のコントラスト曲線作成部、クロストークを発生し易い輝度信号を検出するクロストーク検出部、前記クロストーク検出部により検出されたクロストークを発生し易い輝度信号に対し黒輝度側並びに白輝度側へのコントラスト強調を抑制するように前記第1のコントラスト曲線を修正した第2のコントラスト曲線を作成する第2のコントラスト曲線作成部、前記第2のコントラスト曲線を用いて画面毎の輝度信号のコントラスト改善を行なうコントラスト改善部、としてコンピューターを機能させるようにコンピューター可読形式で記述されたコンピューター・プログラム。
【産業上の利用可能性】
【0069】
以上、特定の実施形態を参照しながら、本明細書で開示する技術について詳細に説明してきた。しかしながら、本技術の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。
【0070】
本明細書で説明した実施形態におけるコントラスト改善処理は、ハードウェア、ソフトウェアのいずれにより行なうこともできる。当該処理をソフトウェアによって実現する場合には、ソフトウェアにおける処理手順をコンピューター可読形式に記述したコンピューター・プログラムを所定のコンピューターにインストールして実行すればよい。
【0071】
また、本明細書では、液晶表示パネルからなる表示装置に適用した実施形態について説明してきたが、旧来のCRT(Cathod Ray Tube)ディスプレイの他、プラズマ・ディスプレイ・パネル(PDP)、エレクトロ・ルミネッセンス(EL)パネルを用いる場合であっても、同様に本技術を適用することができる。
【0072】
要するに、例示という形態で本技術を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本技術の要旨を判断するためには、特許請求の範囲を参酌すべきである。
【符号の説明】
【0073】
11…表示装置
13…シャッター眼鏡
120…左右画像信号処理部
124…通信部
126…タイミング制御部
130…ゲート・ドライバー
132…データ・ドライバー
134…液晶表示パネル
300…コントラスト改善回路
301…IP変換部
302…輝度ヒストグラム検出部
303…ダイナミック・コントラスト改善部
304…隣接画素差分検出部
305…鮮鋭度系エンハンス部
306…マトリックス変換部
401…第1の制御ゲイン決定部
402…第2の制御ゲイン決定部
403、405、406…乗算器
404…輝度ヒストグラム重み付け部
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、画質補正を行なう画像信号処理装置及び画像信号処理方法、表示装置、並びにコンピューター・プログラムに係り、特に、時分割で交互に表示される左眼用画像及び右眼用画像からなる画像信号に対してコントラスト改善などの画質補正を行なう画像信号処理装置及び画像信号処理方法、表示装置、並びにコンピューター・プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
左右の眼に視差のある画像を表示することで、観察者に3次元的に見える3次元視画像を提示することができる。例えば、時分割3次元視画像表示システムは、互いに異なる複数の画像を時分割で表示する表示装置と、画像の観察者がかけるシャッター眼鏡の組み合わせからなる。表示装置は、視差のある左眼用画像及び右眼用画像を非常に短い周期で交互に、すなわちフレーム・シーケンシャル方式で画面表示する。一方、観察者が装着したシャッター眼鏡は、左眼部及び右眼部にそれぞれ液晶レンズなどで構成されるシャッター機構を備えている。シャッター眼鏡は、左眼用画像がディスプレイされる間に、シャッター眼鏡の左眼部が光を透過させ、右眼部が遮光する。また、右眼用画像がディスプレイされる間に、シャッター眼鏡の右眼部が光を透過させ、左眼部が遮光する(例えば、特許文献1〜3を参照のこと)。すなわち、表示装置による左眼用画像及び右眼用画像の時分割表示と、表示装置の表示切り換えに同期してシャッター眼鏡がシャッター機構により画像選択を行なうことで、観察するユーザーの脳内では左眼用画像と右眼用画像が融像され3次元視画像となる。
【0003】
3次元視画像の表示に用いる表示装置に、例えば液晶ディスプレイ(LCD)を用いることができる。液晶ディスプレイは、画素毎にTFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)を配置したアクティブ・マトリックス型が一般的である。TFT液晶表示ディスプレイは、画像信号を画面上部から下部に向かって走査線毎に書き込むことによって各画素を駆動し、バックライトからの照射光を各画素で遮ったり透過させたりすることによって表示を行なう。
【0004】
液晶ディスプレイの場合、一般に、液晶の放電に時間がかかり、表示の応答速度が遅いことが知られている。他方、フレーム・シーケンシャル方式で3次元画像を提示する場合、左眼用画像と右眼用画像が極めて短い周期で切り替わる。このため、3次元画像表示時には、液晶表示パネルの応答速度を補うために、オーバードライブ処理が適宜行なわれる。
【0005】
ところで、テレビジョン受像機の他、VTR(Video Tape Recorder)、デジタルカメラ、テレビジョンカメラあるいはプリンタなどの画像出力機器は、入力画像に画質補正を施す画像処理機能(例えば明暗やコントラストの改善、輪郭補正などの機能)を有している。このような画像処理機能は、主に全体に暗くコントラストが低い画像や、細部がぼやけた画像に対して効果的に適用される。
【0006】
画質補正のうち、コントラスト改善は、通常、輝度信号の入出力特性を表すガンマー曲線(コントラスト曲線)を補正することによって行なわれる。例えば、入力画像のヒストグラム分布による輝度分布を利用する方法は、入力画像の輝度分布のヒストグラム検出、ヒストグラムに基づくコントラスト曲線の計算、コントラスト曲線を用いた入力画像の補正の3つの処理で構成される。例えば、左右映像のそれぞれのヒストグラムを検出し、差が減少するように一方の映像信号を補正する3次元映像信号の処理装置について提案がなされている(例えば、特許文献4を参照のこと)。
【0007】
図8Aに示すように、入力画像の輝度分布が一様である場合、図8Bに示すように、コントラスト曲線はL101のように入力と出力が一致する直線となる。これに対し、図9Aに示すように、入力画像の輝度分布が低輝度領域(黒レベル領域)に分布している場合には、図9Bに示すように、コントラスト曲線はL101からL102のように補正される。逆に、図10Aに示すように、入力画像の輝度分布が高輝度領域(白レベル領域)に分布している場合には、図10Bに示すように、コントラスト曲線はL101からL103のように補正される。また、図11Aに示すように、入力画像の輝度分布が中間輝度領域に分布している場合には、図11Bに示すように、コントラスト曲線はL101からL104へと補正される。コントラスト曲線は、例えば入力画像の輝度分布を輝度レベル(横軸)方向に積分する演算から得ることができる。上述したようなコントラスト曲線の補正によって、輝度の頻度ヒストグラムの分布の高い輝度成分を優先したコントラスト改善を行なうことができる。なお、コントラスト曲線を補正する際に輝度レベル毎に設定される補正量の度合いは、ゲイン(利得)と呼ばれる。
【0008】
ここで、液晶ディスプレイは、表示の応答速度が遅いため、輝度レベルの振幅が大きな画像信号が発生した場所では十分に応答できず、信号の漏れ込みすなわちクロストークが生じるおそれがある。特に、フレーム・シーケンシャル方式の3次元画像を表示する際には、左右の画像信号には視差があるため、一方の信号が黒輝度又は黒に近い輝度で他方の信号が白輝度又は白に近い輝度となる場所では、大振幅の信号となり、クロストークを多く発生する。また、黒輝度又は黒に近い輝度付近や、白輝度又は白に近い輝度付近では、オーバードライブ機能が効かない領域であり、応答速度を改善することはできない。
【0009】
図12Aには、左眼用画像表示期間で白輝度又は白に近い輝度信号が入力され、続く右眼用画像表示期間で黒輝度信号が入力され、短時間で十分放電されず、白輝度又は白に近い輝度レベルが残っている様子(図中の斜線部)を示している。また、図12Bには、左眼用画像表示期間で白輝度又は白に近い輝度信号が入力されるが、短時間で十分に輝度レベルが立ち上がっていない様子を示している。このような左右の画像信号間の漏れ込みにより、クロストークが発生する。クロストークが発生し易い輝度領域と頻度は、概ね図13に示すクロストーク・マップのように表わされる。同図から、左右いずれかの画像信号の輝度がある値のとき、対となる他方の画像信号の輝度レベルとの差が特定の範囲内であればクロストークが少ないかを、読み取ることができる。図示のように、視差のある左右の画像信号LとR間で輝度レベルの振幅が大きいと、クロストーク量も大きくなる。図13に示したクロストーク・マップは、厳密には、デバイス毎に異なる。
【0010】
フレーム・シーケンシャル方式で表示する左眼用画像信号及び右眼用画像信号に対し、図11Bに示したようなコントラスト曲線L104を用いて画像信号のコントラスト改善を行なうと、白輝度側及び黒輝度側において、信号振幅が大きくなり、且つ、オーバードライブが効かない輝度領域が多くなってしまうので、クロストークが発生し易くなる。液晶表示パネルなどで3次元画像を表示する場合、クロストークの低減とコントラスト改善は相反する目標となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平9−138384号公報
【特許文献2】特開2000−36969号公報
【特許文献3】特開2003−45343号公報
【特許文献4】特開2007−151125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本明細書で開示する技術の目的は、時分割で交互に表示される左眼用画像及び右眼用画像からなる画像信号に対して好適に画質補正を行なうことができる、優れた画像信号処理装置及び画像信号処理方法、表示装置、並びにコンピューター・プログラムを提供することにある。
【0013】
本明細書で開示する技術のさらなる目的は、時分割で交互に表示される左眼用画像及び右眼用画像からなる画像信号に対して、クロストークを抑えながら、コントラストを改善することができる、優れた画像信号処理装置及び画像信号処理方法、表示装置、並びにコンピューター・プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願は、上記課題を参酌してなされたものであり、請求項1に記載の技術は、
輝度信号を含む画像信号を入力する画像入力部と、
画面毎の第1のコントラスト曲線を作成する第1のコントラスト曲線作成部と、
クロストークを発生し易い輝度信号を検出するクロストーク検出部と、
前記クロストーク検出部により検出されたクロストークを発生し易い輝度信号に対し黒輝度側並びに白輝度側へのコントラスト強調を抑制するように前記第1のコントラスト曲線を修正した第2のコントラスト曲線を作成する第2のコントラスト曲線作成部と、
前記第2のコントラスト曲線を用いて画面毎の輝度信号のコントラスト改善を行なうコントラスト改善部と、
を具備する画像信号処理装置である。
【0015】
本願の請求項2に記載の技術によれば、請求項1に記載の画像信号処理装置の画像入力部は、左右の画像信号からなる3次元画像信号を所定の伝送フォーマットで入力するように構成されている。
【0016】
本願の請求項3に記載の技術によれば、請求項1に記載の画像信号処理装置は、画像信号のうち輝度信号を入力して、1画面内の輝度信号の黒輝度から白輝度までの輝度ヒストグラムの分布を検出する輝度ヒストグラム検出部をさらに備えている。そして、第1のコントラスト曲線作成部は、輝度の頻度ヒストグラムの分布の高い輝度成分を優先したコントラスト改善を行なう第1のコントラスト曲線を作成するように構成されている。
【0017】
本願の請求項4に記載の技術によれば、請求項1に記載の画像信号処理装置の第2のコントラスト曲線作成部は、前記第1のコントラスト曲線に対し、白輝度側で輝度レベルを上げる量、及び、黒輝度側で輝度レベルを下げる量を抑制するように制御をかけて、前記第2のコントラスト曲線を作成するように構成されている。
【0018】
本願の請求項5に記載の技術によれば、請求項1に記載の画像信号処理装置は、画像信号のうち輝度信号Yを入力して、1画面内の輝度信号の黒輝度から白輝度までの輝度ヒストグラムの分布を検出する輝度ヒストグラム検出部と、画像信号のうち輝度信号を入力して、画面毎に、隣接画素の輝度レベルに一定値以上の差分がある画素数と、一定値以上の差分がある隣接画素の輝度差分量の積算値を計測する隣接画素差分検出部をさらに備えている。そして、第2のコントラスト曲線作成部は、隣接画素間で輝度レベルに一定値以上の差分がある画素数及び一定値以上の差分がある隣接画素の輝度差分量の積算値に基づいて輝度信号が大振幅となる場所を検出するとともに、白輝度領域のヒストグラム数及び黒輝度領域のヒストグラム数に基づいて黒輝度領域及び白輝度領域を検出し、前記第1のコントラスト曲線に対して、白輝度側でコントラスト曲線の輝度レベルを上げる量及び黒輝度側でコントラスト曲線の輝度レベルを下げる量を制御して、前記第2のコントラスト曲線を作成するように構成されている。
【0019】
本願の請求項6に記載の技術によれば、請求項1に記載の画像信号処理装置の第2のコントラスト曲線作成部は、前記コントラスト改善部によりコントラスト改善を行なった後の輝度信号を含む画像信号を表示する液晶表示パネルにおけるオーバードライブ特性に基づいて、黒輝度側並びに白輝度側へのコントラスト強調を抑制するように前記第1のコントラスト曲線を修正するように構成されている。
【0020】
本願の請求項7に記載の技術によれば、請求項6に記載の画像信号処理装置の第2のコントラスト曲線作成部は、白輝度側及び黒輝度側のそれぞれにおいてオーバードライブ量を低減し始める輝度値を基準にして、白輝度側において白輝度側のクロストークが多くなる領域への上昇を抑制するとともに、黒輝度側において黒輝度側のクロストークが多くなる領域への下降を抑制するように前記第1のコントラスト曲線を修正するように構成されている。
【0021】
また、本願の請求項8に記載の技術は、
輝度信号を含む画像信号を入力する画像入力ステップと、
画面毎の第1のコントラスト曲線を作成する第1のコントラスト曲線作成ステップと、
クロストークを発生し易い輝度信号を検出するクロストーク検出ステップと、
前記クロストーク検出ステップにおいて検出されたクロストークを発生し易い輝度信号に対し黒輝度側並びに白輝度側へのコントラスト強調を抑制するように前記第1のコントラスト曲線を修正した第2のコントラスト曲線を作成する第2のコントラスト曲線作成ステップと、
前記第2のコントラスト曲線を用いて画面毎の輝度信号のコントラスト改善を行なうコントラスト改善ステップと、
を有する画像信号処理方法である。
【0022】
また、本願の請求項9に記載の技術は、
輝度信号及び色信号を含む画像信号を入力する画像入力部と、
輝度信号のコントラストを改善するコントラスト改善部と、
前記コントラスト改善部によりコントラストを改善した後の輝度信号を含む画像信号の鮮鋭度をエンハンスする鮮鋭度系エンハンス部と、
前記鮮鋭度系エンハンス部により鮮鋭度をエンハンスした後の画像信号の色空間を変換する色空間変換部と、
前記色空間変換部により色空間変換した後の画像信号を表示する表示部と、
を具備し、
前記コントラスト改善部は、画面毎の第1のコントラスト曲線を作成する第1のコントラスト曲線作成部と、クロストークを発生し易い輝度信号を検出するクロストーク検出部と、前記クロストーク検出部により検出されたクロストークを発生し易い輝度信号に対し黒輝度側並びに白輝度側へのコントラスト強調を抑制するように前記第1のコントラスト曲線を修正した第2のコントラスト曲線を作成する第2のコントラスト曲線作成部を備え、前記第2のコントラスト曲線を用いて画面毎の輝度信号のコントラスト改善を行なう、
表示装置である。
【0023】
また、本願の請求項10に記載の技術は、
輝度信号を含む画像信号を入力する画像入力部、
画面毎の第1のコントラスト曲線を作成する第1のコントラスト曲線作成部、
クロストークを発生し易い輝度信号を検出するクロストーク検出部、
前記クロストーク検出部により検出されたクロストークを発生し易い輝度信号に対し黒輝度側並びに白輝度側へのコントラスト強調を抑制するように前記第1のコントラスト曲線を修正した第2のコントラスト曲線を作成する第2のコントラスト曲線作成部、
前記第2のコントラスト曲線を用いて画面毎の輝度信号のコントラスト改善を行なうコントラスト改善部、
としてコンピューターを機能させるようにコンピューター可読形式で記述されたコンピューター・プログラムである。
【0024】
本願の請求項10に係るコンピューター・プログラムは、コンピューター上で所定の処理を実現するようにコンピューター可読形式で記述されたコンピューター・プログラムを定義したものである。換言すれば、本願の請求項10に係るコンピューター・プログラムをコンピューターにインストールすることによって、コンピューター上では協働的作用が発揮され、本願の請求項1に係る画像信号処理装置と同様の作用効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0025】
本明細書で開示する技術によれば、時分割で交互に表示される左眼用画像及び右眼用画像からなる画像信号に対して、クロストークを抑えながら、コントラストを改善することができる、優れた画像信号処理装置及び画像信号処理方法、表示装置、並びにコンピューター・プログラムを提供することができる。
【0026】
液晶表示ディスプレイなどでフレーム・シーケンシャル方式の3次元画像を表示する際、輝度信号が大振幅で且つ黒輝度付近並びに白輝度付近の領域でクロストークが発生する。本明細書で開示する技術によれば、隣接画素間で輝度レベルに一定値以上の差分がある画素数及びその輝度差分量の積算値に基づいて、輝度信号が大振幅となる場所を検出するとともに、隣接画素間で輝度レベルに一定値以上の差分がある画素数及びその輝度差分量の積算値に基づいて輝度信号が大振幅となる場所を検出するとともに、輝度ヒストグラムの分布に基づいて黒輝度領域並びに白輝度領域を検出し、これらの検出結果から、クロストークが発生し易い信号を検出して、黒輝度側と白輝度側へコントラスト強調を抑えるようにする。これにより、クロストークの発生箇所の増加を押さえることが可能となる。
【0027】
本明細書で開示する技術のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、画像表示システムの構成例を模式的に示した図である。
【図2A】図2Aは、表示装置11の左眼用画像Lの表示期間に同期したシャッター眼鏡13におけるシャッター・レンズ308、209の制御動作を示した図である。
【図2B】図2Bは、表示装置11の右眼用画像Rの表示期間に同期したシャッター眼鏡13におけるシャッター・レンズ308、209の制御動作を示した図である。
【図3】図3は、コントラスト改善回路300の構成を模式的に示した図である。
【図4】図4は、ダイナミック・コントラスト改善部303において、白輝度側でコントラスト曲線の輝度レベルを上げる量、及び、黒輝度側でコントラスト曲線の輝度レベルを下げる量をそれぞれ決定するための処理ブロックを模式的に示した図である。
【図5】図5は、オーバードライブ特性を利用して黒輝度側及び白輝度側のそれぞれの方向へのコントラスト強調を抑制する方法を説明するための図である。
【図6】図6は、3次元画像信号のフレーム・パッキング方式(プログレッシブ)の伝送フォーマットを示した図である。
【図7】図7は、3次元画像信号のフレーム・パッキング方式(インタレース)の伝送フォーマットを示した図である。
【図8A】図8Aは、コントラスト補正のアルゴリズムを説明するための図である。
【図8B】図8Bは、コントラスト補正のアルゴリズムを説明するための図である。
【図9A】図9Aは、コントラスト補正のアルゴリズムを説明するための図である。
【図9B】図9Bは、コントラスト補正のアルゴリズムを説明するための図である。
【図10A】図10Aは、コントラスト補正のアルゴリズムを説明するための図である。
【図10B】図10Bは、コントラスト補正のアルゴリズムを説明するための図である。
【図11A】図11Aは、コントラスト補正のアルゴリズムを説明するための図である。
【図11B】図11Bは、コントラスト補正のアルゴリズムを説明するための図である。
【図12A】図12Aは、左眼用画像表示期間で白輝度信号が入力され、続く右眼用画像表示期間で黒輝度信号が入力され、短時間で十分放電されず、白輝度レベルが残っている様子を示した図である。
【図12B】図12Bは、左眼用画像表示期間で白輝度信号が入力されるが、短時間で十分に輝度レベルが立ち上がっていない様子を示した図である。
【図13】図13は、クロストーク・マップの一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら本明細書で開示する技術の実施形態について詳細に説明する。
【0030】
図1には、画像表示システムの構成例を模式的に示している。画像表示システムは、3次元表示(3次元視)対応の表示装置11と、左眼部及び右眼部にそれぞれシャッター機構を備えたシャッター眼鏡13の組み合わせからなる。以下では、3次元画像表示に用いる表示装置11として、液晶ディスプレイ(LCD)を用いるものとする。但し、本明細書で開示する技術の要旨は、液晶ディスプレイに必ずしも限定されない。
【0031】
表示装置11は、フレーム・シーケンシャル方式で左眼用画像L及び右眼用画像Rを交互に表示する。一方、シャッター眼鏡13は、表示装置11側での左眼用画像L及び右眼用画像Rの切り換えタイミングと同期をとって、左右のシャッター・レンズ308、309の開閉切り換えを行なう。表示装置11とシャッター眼鏡13間の通信には、Wi−FiやIEEE802.15.4などの、電波通信によるワイヤレス・ネットワークが用いられ、表示装置11からシャッター眼鏡13へ、シャッター・レンズ308、309の開閉タイミングを制御するために必要な情報を記載したパケットが送信される。勿論、ワイヤレス・ネットワークではなく、赤外線通信やその他の通信手段を適用することもできる。
【0032】
表示装置11は、左右画像信号処理部120と、通信部124と、タイミング制御部126と、ゲート・ドライバー130と、データ・ドライバー132と、液晶表示パネル134を備えている。
【0033】
液晶表示パネル134は、液晶層及び液晶層を挟んで対向する透明電極と、カラー・フィルターなど(いずれも図示しない)から構成されている。また、液晶表示パネル134の背後には、バックライト(面光源)136が配置されている。バックライト136は、残光特性の良好なLED(Light Emitting Diode)などから構成されている。
【0034】
左右画像信号処理部120には、左眼用画像R及び右眼用画像Lをそれぞれ表示するための左右の画像信号DL、DRからなる入力信号Dinが、例えばフレーム・パッキングなどの伝送フォーマット(後述)で入力される。左右画像信号処理部120内では、画像の鮮鋭度のエンハンスやコントラスト改善などの画質補正処理が行なわれる。そして、左右画像信号処理部120は、液晶表示パネル134でフレーム・シーケンシャル方式により左眼用画像Lと右眼用画像Rを表示させるため、左右の画像信号DL、DRを交互に出力する。
【0035】
タイミング制御部126には、左右画像信号処理部120で変換された左眼用画像信号DL及び右眼用画像信号DRが入力される。タイミング制御部126は、入力された左眼用画像信号DL及び右眼用画像信号DRを液晶表示パネル134へ入力するための信号に変換するとともに、ゲート・ドライバー130及びデータ・ドライバー132からなるパネル駆動回路の動作に用いられるパルス信号を生成する。
【0036】
ゲート・ドライバー130は、順次駆動するための信号を生成する駆動回路であり、タイミング制御部126から伝送された信号に応じて、表示パネル134内の各画素に接続されたゲート・バス・ラインへ、駆動電圧を出力する。また、データ・ドライバー132は、映像信号に基づく駆動電圧を出力する駆動回路であり、タイミング制御部126から伝送された信号に基づいてデータ線へ印加する信号を生成して出力する。
【0037】
また、液晶表示パネル134の応答速度を補うための、オーバードライブが適宜行なわれる。オーバードライブは、パネル駆動回路において目標到達電圧以上の駆動電圧を液晶素子に印加して、目標電圧に速やかに到達するようにして、応答特性の改善を行なう処理である。
【0038】
通信部124は、Wi−FiやIEEE802.15.4などのワイヤレス・ネットワークにおけるアクセスポイントとして動作し、端末局として動作する1以上のシャッター眼鏡13を自分の基本サービスセット(Basic Service Set:BSS)に収容する。通信部124からは、シャッター眼鏡13側でシャッター・レンズ308、309の開閉タイミングを制御するために必要な情報を記載したパケットが送信される。
【0039】
図2Aには、表示装置11の左眼用画像Lの表示期間に同期したシャッター眼鏡13におけるシャッター・レンズ308、209の制御動作を示している。図示のように、左眼用画像Lの表示期間には、表示装置11側から無線伝送される同期パケットに従って、左眼用シャッター・レンズ308を開成状態、右眼用シャッター・レンズ309を閉成状態とし、左眼用画像Lに基づく表示光LLがユーザーの左眼にのみ到達する。
【0040】
また、図2Bには、右眼用画像Rの表示期間に同期したシャッター眼鏡13におけるシャッター・レンズ308、209の制御動作を示している。図示のように、右眼用画像Rの表示期間には、右眼用シャッター・レンズ309を開成状態、左眼用シャッター・レンズ308を閉成状態とし、右眼用画像Rに基づく表示光RRがユーザーの右眼にのみ到達する。
【0041】
表示装置11は、液晶表示パネル134に、フィールド毎に左眼用画像Lと右眼用画像Rを交互に表示する。シャッター眼鏡13側では、左右のシャッター・レンズ308、309が表示装置11のフィールド毎の画像切り換えに同期して交互に開閉動作を行なう。シャッター眼鏡13越しに表示画像を観察するユーザーの脳内では、左眼用画像Lと右眼用画像Rが融像され、表示装置11に表示される画像が3次元的に認識される。
【0042】
左眼用画像Lと右眼用画像Rには視差がある。左眼用画像Lと右眼用画像Rをフレーム・シーケンシャル方式で表示する場合、黒輝度(又は黒に近い輝度)から白輝度(又は白に近い輝度)に変化する場所は、フレーム毎若しくはフィールド毎に黒輝度から白輝度へ、又は、白輝度から黒輝度へ変化することになり、大振幅信号に対する高速且つ正確な応答が要求される。一方、表示装置11は、液晶表示パネル134の応答速度を改善するために、オーバードライブを行なっている。ところが、黒輝度よりさらに黒側へ、並びに、白輝度よりさらに白側へは、オーバードライブできない。このため、上述したように輝度信号の振幅が大きい黒側輝度領域及び白側輝度領域では、エッジ前後の液晶表示パネル134の応答性能が十分でないために、クロストークが発生する、という問題がある。
【0043】
表示画像が2次元の場合、図8〜図11に示したような、輝度の頻度分布の高い輝度成分を優先したコントラスト曲線を用いたコントラスト改善を行なっても問題はない。これに対し、フレーム・シーケンシャル方式の3次元画像の場合、クロストークが発生し易いので、輝度の頻度分布の高い輝度成分を優先したコントラスト曲線をそのまま用いて、2次元画像と同様のコントラスト改善を行なうと、クロストークがさらに悪化する。
【0044】
そこで、本実施形態では、左右画像信号処理部120内において、上記のようなクロストークの発生する信号の特徴を検出し、黒輝度側及び白輝度側のそれぞれの方向へのコントラスト強調を抑制するようにコントラスト改善処理を行なうことで、クロストークの発生を防ぐようになっている。
【0045】
図3には、左右画像信号処理部120内に配置されるコントラスト改善回路300の構成を模式的に示している。図示の例では、フレーム・パッキング方式の伝送フォーマットで送られてくる、1920×1080画素サイズでフレームレート24Hzのプログレッシブ画像を入力とする。但し、インタレース方式の画像が入力された場合には、IP(インタレース−プログレッシブ)変換部301にてプログレッシブ画像に変換するものとする。
【0046】
ここで、図6には、3次元画像信号のフレーム・パッキング方式(プログレッシブ)の伝送フォーマットを、2次元画像信号(プログレッシブ)と併せて示しておく。左眼用画像L及び右眼用画像Rの各フレームの解像度は2次元画像と同一であり、1080pの解像度で伝送することが可能である。また、1垂直帰線期間中に左眼用画像L及び右眼用画像Rの2フレーム分の映像が含まれる。一方、図7には、3次元画像信号のフレーム・パッキング方式(インタレース)の伝送フォーマットを、2次元画像信号(インタレース)と併せて示しておく。左眼用画像L及び右眼用画像Rの各フレームの解像度は2次元画像と同一であり、1080iの解像度で伝送することが可能である。また、1垂直帰線期間中に左眼用画像L及び右眼用画像Rの4フィールド分の映像が含まれる。
【0047】
輝度ヒストグラム検出部302は、画像信号のうち輝度信号Yを入力して、画面毎に入力すると1画面内の黒輝度から白輝度までの輝度ヒストグラムの分布を検出する。ここで、輝度ヒストグラム検出部302は、左眼用画像L及び右眼用画像Rの各々について1画面内の輝度ヒストグラムの分布を検出するようにしても、あるいは、同時刻の左眼用画像L又は右眼用画像Rの一方についてのみ検出を行ない共通して使用するようにしてもよい。
【0048】
ダイナミック・コントラスト改善部303は、輝度ヒストグラム検出部302から輝度ヒストグラムの分布を入力すると、画面毎に最適なコントラスト曲線を作成する。ここでは、まず、図8〜図11に示したような、輝度の頻度ヒストグラムの分布の高い輝度成分を優先したコントラスト改善を行なうようなコントラスト曲線が作成される。
【0049】
液晶表示パネル134でフレーム・シーケンシャル方式の3次元画像を表示する場合、図13に示したクロストーク・マップからも分かるように、視差のある左右の画像信号間で輝度レベルの振幅が大きい場所では、大きなクロストークが発生する。且つ、黒輝度付近では、黒輝度側にクロストークが発生し、白輝度付近では、白輝度側にクロストークが発生する、という特徴がある。
【0050】
そこで、ダイナミック・コントラスト改善部303は、輝度ヒストグラムの分布のみに基づいて一旦作成したコントラスト曲線に対し、白輝度側で輝度レベルを上げる量、及び、黒輝度側で輝度レベルを下げる量を抑制するように制御をかけることによって、クロストークの発生を防止する。
【0051】
具体的には、隣接画素差分検出部304は、画像信号のうち輝度信号Yを入力して、画面毎に、隣り合う画素の輝度レベルに一定値以上の差分がある画素数と、その輝度差分量の積算値を計測して、得られた画素数の値と輝度差分量の積算値を、ダイナミック・コントラスト改善部303に出力する。そして、ダイナミック・コントラスト改善部303は、隣接画素間で輝度レベルに一定値以上の差分がある画素数及びその輝度差分量の積算値に基づいて、輝度信号が大振幅となる場所を検出することができる。また、ダイナミック・コントラスト改善部303は、輝度ヒストグラム検出部302から入力する白輝度領域のヒストグラム数及び黒輝度領域のヒストグラム数を使用して、黒輝度領域及び白輝度領域を検出することができる。このようにして、ダイナミック・コントラスト改善部303は、クロストークが発生し易い、輝度信号が大振幅で且つ黒輝度付近並びに白輝度付近の場所を検出すると、白輝度側でコントラスト曲線の輝度レベルを上げる量、及び、黒輝度側でコントラスト曲線の輝度レベルを下げる量を、適正な値に制御する。
【0052】
なお、隣接画素差分検出部304は、左眼用画像L及び右眼用画像Rの各々について、隣り合う画素の輝度レベルに一定値以上の差分がある画素数と、その輝度差分量の積算値を検出するようにしても、あるいは、同時刻の左眼用画像L又は右眼用画像Rの一方についてのみ検出を行ない共通して使用するようにしてもよい。
【0053】
図4には、ダイナミック・コントラスト改善部303において、白輝度側でコントラスト曲線の輝度レベルを上げる量、及び、黒輝度側でコントラスト曲線の輝度レベルを下げる量をそれぞれ決定するための処理ブロックを模式的に示している。
【0054】
隣接画素差分検出部304からは、入力される画面毎に、隣り合う画素の輝度レベルに一定値以上の差分がある画素数と、その輝度差分量の積算値が入力される(前述)。ダイナミック・コントラスト改善部303内では、第1の制御ゲイン決定部401が隣り合う画素の輝度レベルに一定値以上の差分がある画素数に基づいて抑制するコントラスト制御量(制御ゲイン)Aを決定するとともに、第2の制御ゲイン決定部402が一定値以上の差分がある画素の輝度差分量の積算値に基づいて抑制するコントラスト制御量(制御ゲイン)Bを決定すると、乗算器403でこれらコントラスト制御量AとBを乗算する。
【0055】
また、ダイナミック・コントラスト改善部303内では、輝度ヒストグラム重み付け部403が、輝度ヒストグラム検出部302から入力された白輝度領域のヒストグラム数に白輝度側の重み付け係数を掛け、これにさらに上記のコントラスト制御量の乗算値A×Bを乗算器406で掛けて、白輝度側のゲイン抑制量を得る。同様に、輝度ヒストグラム重み付け部403が、黒輝度領域のヒストグラム数に黒輝度側の重み付け係数を掛け、これにさらに上記のコントラスト制御量の乗算値A×Bを乗算器405で掛けて、黒輝度側のゲイン抑制量を得る。
【0056】
なお、上記の変形例として、液晶表示パネル134のオーバードライブ特性を利用して黒輝度側及び白輝度側のそれぞれの方向へのコントラスト強調を抑制する方法も考えられる。
【0057】
オーバードライブ自体は、液晶表示パネル134のパネル駆動回路において目標到達電圧以上の駆動電圧を液晶素子に印加して、目標電圧に速やかに到達するようにして、応答特性の改善を行なう処理である(前述)。
【0058】
オーバードライブ量は、液晶表示パネル134の駆動電圧のダイナミックレンジに制限されていて、白輝度側及び黒輝度側では必要なオーバードライブ電圧を印加することができない。図13に示したクロストーク・マップを参照すると、図中のグレーで示した領域はクロストークが多い領域である。同図中、白輝度側のグレーで示した領域に到達すると、白輝度側のクロストークが多くなるので、オーバードライブ量を低減し始める輝度値(オーバードライブ量が制限される輝度値)であり、コントラスト曲線の白輝度側の輝度特性の目安にすることができる。したがって、白輝度側では、図5下段の一点鎖線で示した、白輝度側のクロストークが多くなる領域への上昇が抑制されたコントラスト曲線を使用するようにする。例えば、オーバードライブ量が制限される輝度値の最大値を90IRE(International Radio Engeneers)とすると、90IRE以上の輝度のガンマー特性を上昇させないように、白輝度側におけるコントラスト曲線を制御する。
【0059】
また、図13中、黒輝度側のグレーで示した領域に到達すると、黒輝度側のクロストークが多くなるので、オーバードライブ量を低減し始める輝度値(オーバードライブ量が制限される輝度値)であり、コントラスト曲線の黒輝度側の輝度特性の目安にすることができる。したがって、黒輝度側では、図5下段の一点鎖線で示した、黒輝度側のクロストークが多くなる領域への下降が抑制されたコントラスト曲線を使用するようにする。例えば、オーバードライブ量が制限される輝度値の最小値を10IREとすると、10IRE以上の輝度のガンマー特性を上昇させないように、黒輝度側におけるコントラスト曲線を制御する。
【0060】
液晶表示パネル134には個体差があり、クロストークが発生する場所はパネル毎に異なる。上述したように、オーバードライブ特性が白輝度側及び黒輝度側で線形にならなくなる輝度領域を利用してコントラスト曲線を作成することで、個々の液晶表示パネル134に適応したクロストークの発生防止を実現することができる。
【0061】
再び図3を参照して、引き続いてコントラスト改善回路300の構成について説明する。
【0062】
ダイナミック・コントラスト改善部303内では、上述したいずれかの方法により黒輝度側及び白輝度側のそれぞれの方向へのコントラスト強調が抑制されたコントラスト曲線を用いて、入力された輝度信号Yに対してコントラスト改善を行なう。
【0063】
コントラスト改善処理が行なわれた輝度信号Yは、色信号UVとともに後段の鮮鋭度系エンハンス部305に入力され、輝度信号Y及び色信号UVについてそれぞれ鮮鋭度が強調される。そして、マトリックス変換部306で、画像信号がYUVからRGBへ色空間変換を行なった後、液晶表示パネル134に出力される。
【0064】
液晶表示パネルでフレーム・シーケンシャル方式の3次元画像を表示すると、輝度レベルが大振幅となる黒白輝度領域においてクロストークが発生し易く、2次元画像の表示時と同じコントラスト改善を行なうとクロストークが悪化してしまう。これに対し、本明細書で開示する技術によれば、輝度信号のヒストグラムと隣接画素差分に基づいて、コントラスト曲線の白輝度側及び黒輝度側を修正することによって、白輝度領域及び黒輝度領域におけるコントラストはやや劣化するものの、クロストークの発生を防ぐことができる。これによって、トータルでは3次元画像の画質改善を容易に実現することができる。
【0065】
コントラスト曲線の白輝度側及び黒輝度側を修正する処理は、ソフトウェアでも実行することができるので、本明細書で開示する技術を低コストで実現することができる。
【0066】
また、液晶表示パネル134の個体差によりクロストークの性能が変わることから、オーバードライブの特性を利用してコントラスト曲線を作成することで、個々の液晶表示パネル134に適応したクロストークの発生防止を実現することができる。
【0067】
要するに、本明細書で開示する技術によれば、クロストークの低減とコントラスト改善という相反する目標に対して、個々の液晶表示パネル134毎に最適化した3次元画質の向上を実現することができる。
【0068】
なお、本明細書の開示の技術は、以下のような構成をとることも可能である。
(1)輝度信号を含む画像信号を入力する画像入力部と、画面毎の第1のコントラスト曲線を作成する第1のコントラスト曲線作成部と、クロストークを発生し易い輝度信号を検出するクロストーク検出部と、前記クロストーク検出部により検出されたクロストークを発生し易い輝度信号に対し黒輝度側並びに白輝度側へのコントラスト強調を抑制するように前記第1のコントラスト曲線を修正した第2のコントラスト曲線を作成する第2のコントラスト曲線作成部と、前記第2のコントラスト曲線を用いて画面毎の輝度信号のコントラスト改善を行なうコントラスト改善部と、を具備する画像信号処理装置。
(2)前記画像入力部は、左右の画像信号からなる3次元画像信号を所定の伝送フォーマットで入力する、上記(1)に記載の画像信号処理装置。
(3)画像信号のうち輝度信号を入力して、1画面内の輝度信号の黒輝度から白輝度までの輝度ヒストグラムの分布を検出する輝度ヒストグラム検出部をさらに備え、前記第1のコントラスト曲線作成部は、輝度の頻度ヒストグラムの分布の高い輝度成分を優先したコントラスト改善を行なう第1のコントラスト曲線を作成する、上記(1)に記載の画像信号処理装置。
(4)前記第2のコントラスト曲線作成部は、前記第1のコントラスト曲線に対し、白輝度側で輝度レベルを上げる量、及び、黒輝度側で輝度レベルを下げる量を抑制するように制御をかけて、前記第2のコントラスト曲線を作成する、上記(1)に記載の画像信号処理装置。
(5)画像信号のうち輝度信号Yを入力して、1画面内の輝度信号の黒輝度から白輝度までの輝度ヒストグラムの分布を検出する輝度ヒストグラム検出部と、画像信号のうち輝度信号を入力して、画面毎に、隣接画素の輝度レベルに一定値以上の差分がある画素数と、一定値以上の差分がある隣接画素の輝度差分量の積算値を計測する隣接画素差分検出部と、をさらに備え、前記第2のコントラスト曲線作成部は、隣接画素間で輝度レベルに一定値以上の差分がある画素数及び一定値以上の差分がある隣接画素の輝度差分量の積算値に基づいて輝度信号が大振幅となる場所を検出するとともに、白輝度領域のヒストグラム数及び黒輝度領域のヒストグラム数に基づいて黒輝度領域及び白輝度領域を検出し、前記第1のコントラスト曲線に対して、白輝度側でコントラスト曲線の輝度レベルを上げる量及び黒輝度側でコントラスト曲線の輝度レベルを下げる量を制御して、前記第2のコントラスト曲線を作成する、上記(1)に記載の画像信号処理装置。
(6)前記第2のコントラスト曲線作成部は、前記コントラスト改善部によりコントラスト改善を行なった後の輝度信号を含む画像信号を表示する液晶表示パネルにおけるオーバードライブ特性に基づいて、黒輝度側並びに白輝度側へのコントラスト強調を抑制するように前記第1のコントラスト曲線を修正する、上記(1)に記載の画像信号処理装置。
(7)前記第2のコントラスト曲線作成部は、白輝度側及び黒輝度側のそれぞれにおいてオーバードライブ量を低減し始める輝度値を基準にして、白輝度側において白輝度側のクロストークが多くなる領域への上昇を抑制するとともに、黒輝度側において黒輝度側のクロストークが多くなる領域への下降を抑制するように前記第1のコントラスト曲線を修正する、上記(6)に記載の画像信号処理装置。
(8)輝度信号を含む画像信号を入力する画像入力ステップと、画面毎の第1のコントラスト曲線を作成する第1のコントラスト曲線作成ステップと、クロストークを発生し易い輝度信号を検出するクロストーク検出ステップと、前記クロストーク検出ステップにおいて検出されたクロストークを発生し易い輝度信号に対し黒輝度側並びに白輝度側へのコントラスト強調を抑制するように前記第1のコントラスト曲線を修正した第2のコントラスト曲線を作成する第2のコントラスト曲線作成ステップと、前記第2のコントラスト曲線を用いて画面毎の輝度信号のコントラスト改善を行なうコントラスト改善ステップと、を有する画像信号処理方法。
(9)輝度信号及び色信号を含む画像信号を入力する画像入力部と、輝度信号のコントラストを改善するコントラスト改善部と、前記コントラスト改善部によりコントラストを改善した後の輝度信号を含む画像信号の鮮鋭度をエンハンスする鮮鋭度系エンハンス部と、前記鮮鋭度系エンハンス部により鮮鋭度をエンハンスした後の画像信号の色空間を変換する色空間変換部と、前記色空間変換部により色空間変換した後の画像信号を表示する表示部と、を具備し、前記コントラスト改善部は、画面毎の第1のコントラスト曲線を作成する第1のコントラスト曲線作成部と、クロストークを発生し易い輝度信号を検出するクロストーク検出部と、前記クロストーク検出部により検出されたクロストークを発生し易い輝度信号に対し黒輝度側並びに白輝度側へのコントラスト強調を抑制するように前記第1のコントラスト曲線を修正した第2のコントラスト曲線を作成する第2のコントラスト曲線作成部を備え、前記第2のコントラスト曲線を用いて画面毎の輝度信号のコントラスト改善を行なう、表示装置。
(10)輝度信号を含む画像信号を入力する画像入力部、画面毎の第1のコントラスト曲線を作成する第1のコントラスト曲線作成部、クロストークを発生し易い輝度信号を検出するクロストーク検出部、前記クロストーク検出部により検出されたクロストークを発生し易い輝度信号に対し黒輝度側並びに白輝度側へのコントラスト強調を抑制するように前記第1のコントラスト曲線を修正した第2のコントラスト曲線を作成する第2のコントラスト曲線作成部、前記第2のコントラスト曲線を用いて画面毎の輝度信号のコントラスト改善を行なうコントラスト改善部、としてコンピューターを機能させるようにコンピューター可読形式で記述されたコンピューター・プログラム。
【産業上の利用可能性】
【0069】
以上、特定の実施形態を参照しながら、本明細書で開示する技術について詳細に説明してきた。しかしながら、本技術の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。
【0070】
本明細書で説明した実施形態におけるコントラスト改善処理は、ハードウェア、ソフトウェアのいずれにより行なうこともできる。当該処理をソフトウェアによって実現する場合には、ソフトウェアにおける処理手順をコンピューター可読形式に記述したコンピューター・プログラムを所定のコンピューターにインストールして実行すればよい。
【0071】
また、本明細書では、液晶表示パネルからなる表示装置に適用した実施形態について説明してきたが、旧来のCRT(Cathod Ray Tube)ディスプレイの他、プラズマ・ディスプレイ・パネル(PDP)、エレクトロ・ルミネッセンス(EL)パネルを用いる場合であっても、同様に本技術を適用することができる。
【0072】
要するに、例示という形態で本技術を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本技術の要旨を判断するためには、特許請求の範囲を参酌すべきである。
【符号の説明】
【0073】
11…表示装置
13…シャッター眼鏡
120…左右画像信号処理部
124…通信部
126…タイミング制御部
130…ゲート・ドライバー
132…データ・ドライバー
134…液晶表示パネル
300…コントラスト改善回路
301…IP変換部
302…輝度ヒストグラム検出部
303…ダイナミック・コントラスト改善部
304…隣接画素差分検出部
305…鮮鋭度系エンハンス部
306…マトリックス変換部
401…第1の制御ゲイン決定部
402…第2の制御ゲイン決定部
403、405、406…乗算器
404…輝度ヒストグラム重み付け部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
輝度信号を含む画像信号を入力する画像入力部と、
画面毎の第1のコントラスト曲線を作成する第1のコントラスト曲線作成部と、
クロストークを発生し易い輝度信号を検出するクロストーク検出部と、
前記クロストーク検出部により検出されたクロストークを発生し易い輝度信号に対し黒輝度側並びに白輝度側へのコントラスト強調を抑制するように前記第1のコントラスト曲線を修正した第2のコントラスト曲線を作成する第2のコントラスト曲線作成部と、
前記第2のコントラスト曲線を用いて画面毎の輝度信号のコントラスト改善を行なうコントラスト改善部と、
を具備する画像信号処理装置。
【請求項2】
前記画像入力部は、左右の画像信号からなる3次元画像信号を所定の伝送フォーマットで入力する、
請求項1に記載の画像信号処理装置。
【請求項3】
画像信号のうち輝度信号を入力して、1画面内の輝度信号の黒輝度から白輝度までの輝度ヒストグラムの分布を検出する輝度ヒストグラム検出部をさらに備え、
前記第1のコントラスト曲線作成部は、輝度の頻度ヒストグラムの分布の高い輝度成分を優先したコントラスト改善を行なう第1のコントラスト曲線を作成する、
請求項1に記載の画像信号処理装置。
【請求項4】
前記第2のコントラスト曲線作成部は、前記第1のコントラスト曲線に対し、白輝度側で輝度レベルを上げる量、及び、黒輝度側で輝度レベルを下げる量を抑制するように制御をかけて、前記第2のコントラスト曲線を作成する、
請求項1に記載の画像信号処理装置。
【請求項5】
画像信号のうち輝度信号Yを入力して、1画面内の輝度信号の黒輝度から白輝度までの輝度ヒストグラムの分布を検出する輝度ヒストグラム検出部と、
画像信号のうち輝度信号を入力して、画面毎に、隣接画素の輝度レベルに一定値以上の差分がある画素数と、一定値以上の差分がある隣接画素の輝度差分量の積算値を計測する隣接画素差分検出部と、
をさらに備え、
前記第2のコントラスト曲線作成部は、隣接画素間で輝度レベルに一定値以上の差分がある画素数及び一定値以上の差分がある隣接画素の輝度差分量の積算値に基づいて輝度信号が大振幅となる場所を検出するとともに、白輝度領域のヒストグラム数及び黒輝度領域のヒストグラム数に基づいて黒輝度領域及び白輝度領域を検出し、前記第1のコントラスト曲線に対して、白輝度側でコントラスト曲線の輝度レベルを上げる量及び黒輝度側でコントラスト曲線の輝度レベルを下げる量を制御して、前記第2のコントラスト曲線を作成する、
請求項1に記載の画像信号処理装置。
【請求項6】
前記第2のコントラスト曲線作成部は、前記コントラスト改善部によりコントラスト改善を行なった後の輝度信号を含む画像信号を表示する液晶表示パネルにおけるオーバードライブ特性に基づいて、黒輝度側並びに白輝度側へのコントラスト強調を抑制するように前記第1のコントラスト曲線を修正する、
請求項1に記載の画像信号処理装置。
【請求項7】
前記第2のコントラスト曲線作成部は、白輝度側及び黒輝度側のそれぞれにおいてオーバードライブ量を低減し始める輝度値を基準にして、白輝度側において白輝度側のクロストークが多くなる領域への上昇を抑制するとともに、黒輝度側において黒輝度側のクロストークが多くなる領域への下降を抑制するように前記第1のコントラスト曲線を修正する、
請求項6に記載の画像信号処理装置。
【請求項8】
輝度信号を含む画像信号を入力する画像入力ステップと、
画面毎の第1のコントラスト曲線を作成する第1のコントラスト曲線作成ステップと、
クロストークを発生し易い輝度信号を検出するクロストーク検出ステップと、
前記クロストーク検出ステップにおいて検出されたクロストークを発生し易い輝度信号に対し黒輝度側並びに白輝度側へのコントラスト強調を抑制するように前記第1のコントラスト曲線を修正した第2のコントラスト曲線を作成する第2のコントラスト曲線作成ステップと、
前記第2のコントラスト曲線を用いて画面毎の輝度信号のコントラスト改善を行なうコントラスト改善ステップと、
を有する画像信号処理方法。
【請求項9】
輝度信号及び色信号を含む画像信号を入力する画像入力部と、
輝度信号のコントラストを改善するコントラスト改善部と、
前記コントラスト改善部によりコントラストを改善した後の輝度信号を含む画像信号の鮮鋭度をエンハンスする鮮鋭度系エンハンス部と、
前記鮮鋭度系エンハンス部により鮮鋭度をエンハンスした後の画像信号の色空間を変換する色空間変換部と、
前記色空間変換部により色空間変換した後の画像信号を表示する表示部と、
を具備し、
前記コントラスト改善部は、画面毎の第1のコントラスト曲線を作成する第1のコントラスト曲線作成部と、クロストークを発生し易い輝度信号を検出するクロストーク検出部と、前記クロストーク検出部により検出されたクロストークを発生し易い輝度信号に対し黒輝度側並びに白輝度側へのコントラスト強調を抑制するように前記第1のコントラスト曲線を修正した第2のコントラスト曲線を作成する第2のコントラスト曲線作成部を備え、前記第2のコントラスト曲線を用いて画面毎の輝度信号のコントラスト改善を行なう、
表示装置。
【請求項10】
輝度信号を含む画像信号を入力する画像入力部、
画面毎の第1のコントラスト曲線を作成する第1のコントラスト曲線作成部、
クロストークを発生し易い輝度信号を検出するクロストーク検出部、
前記クロストーク検出部により検出されたクロストークを発生し易い輝度信号に対し黒輝度側並びに白輝度側へのコントラスト強調を抑制するように前記第1のコントラスト曲線を修正した第2のコントラスト曲線を作成する第2のコントラスト曲線作成部、
前記第2のコントラスト曲線を用いて画面毎の輝度信号のコントラスト改善を行なうコントラスト改善部、
としてコンピューターを機能させるようにコンピューター可読形式で記述されたコンピューター・プログラム。
【請求項1】
輝度信号を含む画像信号を入力する画像入力部と、
画面毎の第1のコントラスト曲線を作成する第1のコントラスト曲線作成部と、
クロストークを発生し易い輝度信号を検出するクロストーク検出部と、
前記クロストーク検出部により検出されたクロストークを発生し易い輝度信号に対し黒輝度側並びに白輝度側へのコントラスト強調を抑制するように前記第1のコントラスト曲線を修正した第2のコントラスト曲線を作成する第2のコントラスト曲線作成部と、
前記第2のコントラスト曲線を用いて画面毎の輝度信号のコントラスト改善を行なうコントラスト改善部と、
を具備する画像信号処理装置。
【請求項2】
前記画像入力部は、左右の画像信号からなる3次元画像信号を所定の伝送フォーマットで入力する、
請求項1に記載の画像信号処理装置。
【請求項3】
画像信号のうち輝度信号を入力して、1画面内の輝度信号の黒輝度から白輝度までの輝度ヒストグラムの分布を検出する輝度ヒストグラム検出部をさらに備え、
前記第1のコントラスト曲線作成部は、輝度の頻度ヒストグラムの分布の高い輝度成分を優先したコントラスト改善を行なう第1のコントラスト曲線を作成する、
請求項1に記載の画像信号処理装置。
【請求項4】
前記第2のコントラスト曲線作成部は、前記第1のコントラスト曲線に対し、白輝度側で輝度レベルを上げる量、及び、黒輝度側で輝度レベルを下げる量を抑制するように制御をかけて、前記第2のコントラスト曲線を作成する、
請求項1に記載の画像信号処理装置。
【請求項5】
画像信号のうち輝度信号Yを入力して、1画面内の輝度信号の黒輝度から白輝度までの輝度ヒストグラムの分布を検出する輝度ヒストグラム検出部と、
画像信号のうち輝度信号を入力して、画面毎に、隣接画素の輝度レベルに一定値以上の差分がある画素数と、一定値以上の差分がある隣接画素の輝度差分量の積算値を計測する隣接画素差分検出部と、
をさらに備え、
前記第2のコントラスト曲線作成部は、隣接画素間で輝度レベルに一定値以上の差分がある画素数及び一定値以上の差分がある隣接画素の輝度差分量の積算値に基づいて輝度信号が大振幅となる場所を検出するとともに、白輝度領域のヒストグラム数及び黒輝度領域のヒストグラム数に基づいて黒輝度領域及び白輝度領域を検出し、前記第1のコントラスト曲線に対して、白輝度側でコントラスト曲線の輝度レベルを上げる量及び黒輝度側でコントラスト曲線の輝度レベルを下げる量を制御して、前記第2のコントラスト曲線を作成する、
請求項1に記載の画像信号処理装置。
【請求項6】
前記第2のコントラスト曲線作成部は、前記コントラスト改善部によりコントラスト改善を行なった後の輝度信号を含む画像信号を表示する液晶表示パネルにおけるオーバードライブ特性に基づいて、黒輝度側並びに白輝度側へのコントラスト強調を抑制するように前記第1のコントラスト曲線を修正する、
請求項1に記載の画像信号処理装置。
【請求項7】
前記第2のコントラスト曲線作成部は、白輝度側及び黒輝度側のそれぞれにおいてオーバードライブ量を低減し始める輝度値を基準にして、白輝度側において白輝度側のクロストークが多くなる領域への上昇を抑制するとともに、黒輝度側において黒輝度側のクロストークが多くなる領域への下降を抑制するように前記第1のコントラスト曲線を修正する、
請求項6に記載の画像信号処理装置。
【請求項8】
輝度信号を含む画像信号を入力する画像入力ステップと、
画面毎の第1のコントラスト曲線を作成する第1のコントラスト曲線作成ステップと、
クロストークを発生し易い輝度信号を検出するクロストーク検出ステップと、
前記クロストーク検出ステップにおいて検出されたクロストークを発生し易い輝度信号に対し黒輝度側並びに白輝度側へのコントラスト強調を抑制するように前記第1のコントラスト曲線を修正した第2のコントラスト曲線を作成する第2のコントラスト曲線作成ステップと、
前記第2のコントラスト曲線を用いて画面毎の輝度信号のコントラスト改善を行なうコントラスト改善ステップと、
を有する画像信号処理方法。
【請求項9】
輝度信号及び色信号を含む画像信号を入力する画像入力部と、
輝度信号のコントラストを改善するコントラスト改善部と、
前記コントラスト改善部によりコントラストを改善した後の輝度信号を含む画像信号の鮮鋭度をエンハンスする鮮鋭度系エンハンス部と、
前記鮮鋭度系エンハンス部により鮮鋭度をエンハンスした後の画像信号の色空間を変換する色空間変換部と、
前記色空間変換部により色空間変換した後の画像信号を表示する表示部と、
を具備し、
前記コントラスト改善部は、画面毎の第1のコントラスト曲線を作成する第1のコントラスト曲線作成部と、クロストークを発生し易い輝度信号を検出するクロストーク検出部と、前記クロストーク検出部により検出されたクロストークを発生し易い輝度信号に対し黒輝度側並びに白輝度側へのコントラスト強調を抑制するように前記第1のコントラスト曲線を修正した第2のコントラスト曲線を作成する第2のコントラスト曲線作成部を備え、前記第2のコントラスト曲線を用いて画面毎の輝度信号のコントラスト改善を行なう、
表示装置。
【請求項10】
輝度信号を含む画像信号を入力する画像入力部、
画面毎の第1のコントラスト曲線を作成する第1のコントラスト曲線作成部、
クロストークを発生し易い輝度信号を検出するクロストーク検出部、
前記クロストーク検出部により検出されたクロストークを発生し易い輝度信号に対し黒輝度側並びに白輝度側へのコントラスト強調を抑制するように前記第1のコントラスト曲線を修正した第2のコントラスト曲線を作成する第2のコントラスト曲線作成部、
前記第2のコントラスト曲線を用いて画面毎の輝度信号のコントラスト改善を行なうコントラスト改善部、
としてコンピューターを機能させるようにコンピューター可読形式で記述されたコンピューター・プログラム。
【図1】
【図3】
【図4】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図2A】
【図2B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図13】
【図3】
【図4】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図2A】
【図2B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図13】
【公開番号】特開2013−9030(P2013−9030A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138383(P2011−138383)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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