説明

画像入力処理装置、操作処理方法およびプログラム

【課題】撮影操作時に電源操作が誤って行われた場合に、撮影チャンスを逃すなどの不都合を回避する。
【解決手段】撮影操作部(撮影ボタン126)と、電源操作部(電源ボタン125)と、情報発生部(例えばジャイロセンサ15)と、制御部(μCOM14)とを有する。ジャイロセンサ15は、撮影準備時と非撮影準備時で異なる情報を発生する。μCOM14は、電源ボタン125が操作されたときに前記情報から撮影準備時と判断される場合は、撮影意図が有るとみなして、当該電源ボタン125の操作を、撮影ボタン126が操作されたときと同様な撮影開始の契機とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影操作部(シャッタボタン等)と電源操作部(電源オン/オフボタン等)とを有する、カメラ装置やカメラの機能を備える電子機器等の画像入力処理装置に関する。また、本発明は、シャッタ操作ミスで電源オフ操作がされた場合の操作処理方法と、そのための手順をコンピュータに実行させるためのプログラムとに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルやアナログのスチルカメラあるいはビデオカメラ、または、撮影機能付携帯機器(たとえば携帯電話機やPDAなど)の小型化が進んでいる。
たとえばデジタルスチルカメラは、小型でかつ薄型のカメラ本体を有し(特許文献1参照)、カメラ本体の限られた面積の外面に各種ボタン等の操作部を配置する必要がある。
【0003】
特許文献1の図14〜図17にカメラの概観図が示されているが、特に図17に示されるようにカメラ本体の上面は、薄型のためボタン等の配置スペースが小さい。
【0004】
図1は、当該特許文献1の図17に示されるカメラ本体の上面図である。
図解されているデジタルスチルカメラ1のカメラ本体101の上面には、電源をオン・オフさせる「電源操作部」としての電源ボタン125、撮影の開始や停止の実行指示を行う「撮影操作部」としての撮影ボタン126、および、手振れが生じたとき手振れ補正を機能させる手振れ設定ボタン127等が設けられている。これらの操作部(ここでは各種ボタン)は、片手撮影を考慮して一方の側面側(ここでは右手撮影時の右手ホールド側)に集約されている。このため、薄型のため限られたカメラ本体101の上面の、片手撮影が可能なさらに限られた配置スペースに、必要な操作部(ボタン)を配置する必要がある。図1では、カメラ本体101の上面の片側に形成されたカット面(スイッチホルダ面124)に、本体中央寄りから順に電源ボタン125、撮影ボタン126および手振れ設定ボタン127が横一列に互いに近接して配置されている。
【特許文献1】特開2006−350127号公報(図14〜図17およびその説明箇所)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば特許文献1に記載されているように、電源ボタン125等の「電源操作部」と、撮影ボタン126等の「撮影操作部」は互いに近接して配置されることが多い。本体配置スペースに違いがあるが、この操作部の配置は、デジタルスチルカメラに限らず、デジタルビデオカメラ、その他のデジタルカメラを搭載したデジタル機器、あるいは、アナログカメラ等にあっても共通することがある。
【0006】
このためユーザは、シャッタを押す、あるいは、動画撮影開始を行おうとして、「撮影操作部」を操作したつもりが誤って「電源操作部」を操作して、電源をオフする可能性がある。このとき、ユーザは大切なシャッタチャンス(あるいは動画撮影開始タイミング)を逃してしまうことがある。
また、電源操作部と撮影操作部の位置が遠くにあったとしても、不慣れなユーザが操作ミスをしてしまうことがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る第1観点の画像入力処理装置は、撮影操作部と、電源操作部と、情報発生部と、制御部とを有する。
前記情報発生部は、撮影準備時と非撮影準備時で異なる情報を発生する。情報発生部は、例えば、撮影準備のために構図を構えたときは静止状態に近いことを示す情報を前記制御部に出力するセンサであってよい。あるいは情報発生部は、例えば、撮影準備で操作されて情報を前記制御部に出力する撮影準備操作部(例えば、ズーム、ピント、撮影モードに関する設定部等)であってよい。また情報発生部は、加速度センサ、撮影準備操作部の双方を含んで構成されてよい。
前記制御部は、前記電源操作部が操作されたときに前記情報から撮影準備時と判断される場合は、撮影意図が有るとみなして、当該電源操作部の操作を、前記撮影操作部が操作されたときと同様な撮影開始の契機とする。
【0008】
本発明で、以後電源オフを行うか否かは任意である。また、電源オフを行う場合でも、どのような制御により(例えば、どのような追加の操作があった場合に)電源オフを行うかは、任意である。
ただし、本発明で好ましくは、撮像後に自動的に電源オフする。この場合、本発明に係る第1観点の画像入力処理装置は、前記制御部からの前記撮影開始の契機に応じて撮像を行う撮像部と、電源部と、をさらに有し、前記制御部は、前記撮像部により画像が撮像された後に、前記電源部を制御して電源をオフする。
あるいは、本発明では好適に、前記制御部からの前記撮影開始の契機に応じて撮像を行う撮像部と、画像を記憶する記憶部と、をさらに有し、前記制御部は、前記撮像部により撮像された画像の画質を評価し、画質が所定の基準以上であれば、前記撮像された画像を前記記憶部に保存し、画質が基準未満であれば、前記撮像された画像を廃棄する。
【0009】
本発明に係る第2観点の画像入力処理装置は、撮像部と、記憶部と、撮影操作部と、電源操作部と、制御部とを有する。
前記制御部は、前記電源操作部が操作されたときは当該電源操作部の操作を、前記撮影操作部が操作されたときと同様な撮影開始の契機として前記撮像部に撮像を指示するとともに、撮像により得られた画像の画質を評価し、画質が所定の基準以上であれば、撮影意図が有ったとみなして、前記撮像された画像を前記記憶部に保存し、画質が基準未満であれば、前記撮像された画像を廃棄する。
【0010】
以上の構成を有する第1および第2観点の画像入力処理装置によれば、電源操作部の操作があったときに、ある条件を満たせば、当該画像入力装置は、撮影操作部を操作することを契機とする通常の撮影動作と同じように動作する。
【0011】
ある条件とは、第1観点では「情報発生部」で発生した情報が「撮影準備時」を示すことである。
「情報発生部」が、例えば加速度センサの場合、撮影準備のために構図を構えたときは静止状態に近いことを示す情報が加速度センサから出力され、この情報を基に制御部によって「ほぼ静止状態」と判断されると、「撮影準備時」とみなされて、制御部によって撮影開始が指示される。また、「情報発生部」が「撮影準備操作部」の場合、撮影に先立ってズーム、ピント合わせ、撮影モード設定などの操作があれば、その操作情報が、ここで言う「情報」として制御部に送られる。制御部は、送られてきた情報を基に「撮影準備時」と判断できれば、撮影開始を指示する。さらに、「情報発生部」が「加速度センサ」と「撮影準備操作部」の双方を含む場合、双方から得られた2つの情報を総合的に判断して、「撮影準備時」であるか否かを制御部が決めてよい。
第1観点では、情報が「非撮影準備時」を示す場合は、撮影を行わない。
【0012】
これに対し、本発明の第2観点では、「電源操作部」の操作があれば、一旦撮影は行い、その撮影された画像の画質で「撮影準備時」に撮られた画像であるかどうかを判断する。つまり、撮影された画像の画質が所定の基準以上であることが、第2観点では満たすべき条件となる。
撮影された画像の画質が所定の基準以上であれば、これを保存し、基準未満であれば廃棄する。これにより記憶部のメモリ容量が無駄に消費されない。
ここで画質を評価するパラメータは任意であり、例えば、ピント(合焦の程度)、画像のぶれ具合などを例示できる。また、輝度や色から一般的に被写体とされるものが撮られているかどうかを判定可能である。例えば輝度が画面全体で高く真っ白な画面なら太陽や電球に向けた画像であり、一般的な被写体とは考え難いため「撮影意図なし」と判断する。また、画面が真っ黒の場合は手でレンズを押さえているなどの状況が考えられ、この場合も「撮影意図なし」と判断する。また、色が画面全体で均一な場合、床や壁など通常は被写体と考え難いものに向けて撮影が行われたと想定して、この場合も「撮影意図なし」と判断する。ピント(合焦の程度)、画像のぶれ具合、一般的被写体の有無などから、複数の画質パラメータを組み合わせて総合的に判断してよい。
【0013】
本発明に係る第1観点の操作処理方法は、シャッタ操作ミスで電源オフ操作がされた場合の操作処理方法であって、前記電源オフ操作がされたときに、撮影準備時と非撮影準備時で異なる情報を検出するステップと、前記電源オフ操作がされたときに前記情報から撮影準備時と判断される場合は、撮影意図が有るとみなして、当該電源オフ操作を契機として撮影を行うステップと、を含む。
本発明に係る第2観点の操作処理方法は、シャッタ操作ミスで電源オフ操作がされた場合の操作処理方法であって、前記電源オフ操作がされたときは、当該電源オフ操作をシャッタ操作と同様な撮影開始の契機として、撮像を行うステップと、前記撮像により得られた画像の画質を評価するステップと、前記画質が所定の基準以上であれば、撮影意図が有ったとみなして、前記撮像された画像を保存し、画質が基準未満であれば、前記撮像された画像を廃棄するステップと、を含む。
【0014】
本発明に係る第1観点のプログラムは、コンピュータに、電源オフ操作がされたときに、撮影準備時と非撮影準備時で異なる情報を検出するステップと、前記電源オフ操作がされたときに前記情報から撮影準備時と判断される場合は、撮影意図が有るとみなして、当該電源オフ操作を契機として撮影を行うステップと、を実行させるためのプログラムである。
本発明に係る第2観点のプログラムは、コンピュータに、電源オフ操作がされたときは、当該電源オフ操作をシャッタ操作と同様な撮影開始の契機として、撮像を行うステップと、前記撮像により得られた画像の画質を評価するステップと、前記画質が所定の基準以上であれば、撮影意図が有ったとみなして、前記撮像された画像を保存し、画質が基準未満であれば、前記撮像された画像を廃棄するステップと、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、シャッタなどの撮影操作部を操作しようとして誤って電源操作部が操作された場合でも、撮影意図を判断して、撮影意図がある場合に撮影操作を有効にすることができる。そのため、ユーザは、大切なシャッタチャンス(あるいは動画撮影開始タイミング)を逃してしまうことがないという利益を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を、デジタルスチルカメラ装置を例として図面を参照して説明する。なお、本発明はデジタルスチルカメラに限らず、デジタルまたはアナログのビデオカメラ、当該スチルカメラまたはビデオカメラの機能を搭載した携帯機器(例えば携帯電話機やPDA)に広く適用できる。
【0017】
図2は、本発明の実施形態に関わるデジタルスチルカメラ装置(以下、カメラ装置という)のブロック図である。当該カメラ装置が、本発明の「画像入力処理装置」の一態様に該当する。
図解するカメラ装置1は、光学部品2、撮像デバイス4、撮像デバイス4を駆動し制御する撮像ドライバ(DRV)5、アナログの画素信号を処理するアナログ・フロント・エンド(AFE)回路6、アナログの画素信号をデジタル信号にA/D変換し、デジタルの映像信号として各種信号処理部に出力するADコンバータ(ADC)7、信号処理回路(SPC)8、画像メモリ(M1)9、画像メモリ9のメモリ制御回路(MC1)10、画像圧縮回路(COM.)11、記録メモリ(M2)12、および、記録メモリ12のメモリ制御回路(MC2)13を有する。
【0018】
上記符号2〜13により示す各種部品や各種回路を制御するために、マイクロコンピュータ(μCOM)14が設けられている。なお、図2ではμCOM14に対し光学部品2、撮像ドライバ5、メモリ制御回路10と13が接続されているが、この他にも、例えばAFE回路6、ADコンバータ7、信号処理回路8および画像圧縮回路11等もμCOM14に接続され制御される。これらの接続は、通常バス構成で実現されている。
【0019】
光学部品2は、レンズ3、絞り等をレンズ筐体に収納させている部品である。光学部品2は焦点制御、および、露光量制御のための絞り制御が可能であり、露光制御のための絞り駆動部、自動フォーカスのための駆動部、それらの制御回路も光学部品2内に含まれる。これらの制御回路はμCOM14からの制御を受けて動作する。
【0020】
撮像デバイス4は、CCDセンサまたはCMOSイメージセンサである。撮像デバイス4は、光学部品2を通して入射された被写体からの光(像)Lを、自身が持つ撮像面に結像可能にカメラ装置本体内に固定されている。また、撮像デバイス4は、光センサの画素をマトリックス状に多数配置させた画素アレイを有する。また撮像デバイス4は、必要に応じて、当該画素アレイの撮像面の光入射側に、隣接した数個の光センサの集合(画素ユニット)で一定の配列となるように形成されたオンチップ・フィルタ(不図示)、さらには、オンチップ・レンズ等を有している。オンチップ・フィルタは色フィルタのほかに、IRカットフィルタの機能を備えてよい。
【0021】
撮像デバイス4がCCDセンサの場合、特に図示しないが、撮像デバイス4にタイミングジェネレータ(TG)が接続される。撮像デバイス4は、TGからのクロック信号、垂直同期信号、水平同期信号が入力可能になっている。撮像デバイス4がCCDの場合、垂直同期信号や水平同期信号と同期した転送パルスも、TGから供給される。
TGは、これらのタイミング制御のための信号を、μCOM14の制御を受けて、不図示のシステムクロック信号から発生する回路である。撮像デバイス4は、これらのタイミング制御のための信号によって、転送動作やシャッタスピード変更等の各種動作が制御される。
なお、撮像デバイス4がCMOSセンサの場合、TGの機能は撮像デバイス4内に持たせることができる。
【0022】
撮像デバイス4からの画素信号(アナログ信号)が入力されるAFE回路6は、アナログ信号に対して行うべき処理、例えば相関2重サンプリングによるリセットノイズの除去(CCDの場合)、その他のノイズ除去、増幅等を行う回路である。
【0023】
ADC7は、処理後のアナログ信号を所定ビット、例えば8、10ビット等のデジタル信号に変換する。このデジタル信号は、画素ごとに上記所定ビットの階調値を有する画素信号列が含まれる。
【0024】
信号処理回路8は、通常、Y/C分離、輝度信号処理、色信号処理、処理後の輝度信号と色信号の混合処理等を担う幾つかのブロックから構成される。信号処理回路8は、ADコンバータ7から入力されるデジタル映像信号に対し各種信号処理を行う。各種信号処理としては、Y/C分離や混合処理の他に、信号増幅、ノイズ低減(NR)処理、輝度信号と色信号の分離、輝度信号処理、色信号処理等が例示できる。
【0025】
信号処理回路8で処理後のデジタル信号をそのまま、あるいは、アナログ信号に変換した後にライン出力することもできるし、メモリ保存も可能である。図2では、メモリ保存のための構成を示している。
図2に示すカメラ装置1は、メモリ保存のための構成として、画像メモリ9、メモリ制御回路10、画像圧縮回路11、記録メモリ12、メモリ制御回路13を備える。
【0026】
本例における画像メモリ9は書き換え可能な内蔵型メモリICであり、μCOM14の指令により動作するメモリ制御回路10によって制御される。画像メモリ9は、保存の可否が決まっていない撮影直後の画像を一時的に保存するメモリであるが、信号処理回路8の処理時にフレームメモリとして用いてよい。
【0027】
一方、記録メモリ12は、例えば、ユーザ意図などによって保存すべきことが確認された画像を比較的多量に記憶するメモリであり、μCOM14の指令により動作するメモリ制御回路13により制御される。記録メモリ12は、例えば、画像メモリ9より大規模な書き換え可能な内蔵型メモリICで実現される。記録メモリ12は、メモリICに限定されず、着脱可能な携帯型メモリ(カード型メモリ、光磁気ディスクなど)あるいはハードディスク等であってよい。
【0028】
画像圧縮回路11は、画像データを記録メモリ12に記録保存する際に画像データをBMP、JPEG、TIFなどの予め定められた記録形式に圧縮処理を行う処理回路である。
【0029】
本実施形態に関わるカメラ装置1は、「撮影準備のために構図を構えたときは静止状態に近いことを示す情報を出力可能なセンサ」として、ジャイロセンサ15がμCOM14に接続されている。ジャイロセンサ15は角速度センサの一種であり、例えば回転コマ式、音叉形圧電素子を用いた振動式などがある。
同じように振動を検出するセンサとしては加速度センサがあり、「上記情報を出力可能なセンサ」として加速度センサを用いてよい。加速度サンサは、振動を検出し、その機械的振動を電気信号に変換するデバイスである。加速度センサとしては、ピエゾ抵抗効果を利用したもの、封入ガスの対流を用いたMEMS(Micro Electronics Mechanical System)技術によるものなどがある。
本実施形態などの小型の機器(カメラ装置1)に対しては、小型化が可能なMEMS技術による2軸または3軸加速度センサあるいは振動式ジャイロセンサが望ましい。図示例では、手振れ補正のために、ジャイロセンサ15が設けられており、そのジャイロセンサ15を、手振れ補正時のみならず、「撮影準備のために構図を構えたときは静止状態に近いことを示す情報を出力可能なセンサ」としても用いる。
【0030】
またμCOM14に対し、カメラ本体の外面に露出しユーザ操作が可能な各種操作部が接続されている。
各種操作部は、「撮影操作部」しての撮影ボタン126、「電源操作部」としての電源ボタン125、機能モード(静止画、動画、再生等)を選択するモード選択ツマミ115、ズーム操作を行うためのズームボタン116、各種メニューを選択するメニューボタン118、メニュー選択や項目選択のためにカーソルを移動する方向キー119、決定ボタン120を含む。
電源ボタン125および撮影ボタン126の配置は図1に示し、既に説明した。図2では電源ボタン125を「POWER」と表記し、撮影ボタン126を「SHUTTER」と表記している。
【0031】
図3は、カメラ装置1のリアフェイスの概観図である。
カメラ装置1のフロント側には光学部品2のレンズが露出するが、リア側は、図3に示すような部品配置となっている。
リアフェイスに大きな占有率で液晶表示部102が設けられ、液晶表示部102の上方にスライド式スイッチのモード選択ツマミ(「MODE.SEL」と表記)115が配置されている。ズームボタン(「ZOOM」と表記)116、方向キー(「DIRE.」と表記)119および決定ボタン(「DECI.」と表記)120は、符号を付していない他のボタン類とともに、図3に示すように、液晶表示部102の右側(右手ホールド側)に配置されている。
【0032】
本実施形態に関わるカメラ装置1の特徴は、「撮影操作部(撮影ボタン126)と、電源操作部(電源ボタン125)と、撮影準備時と非撮影準備時で異なる情報を発生する情報発生部と、制御部とを有し、制御部が、電源操作部が操作されたときに、前記情報から撮影準備時と判断される場合は、撮影意図が有るとみなして、当該電源操作部の操作を、撮影操作部が操作されたときと同様な撮影開始の契機とする制御を行う」ことである。
【0033】
本実施形態で、図2のジャイロセンサ15が「情報発生部」の一態様に該当し、μCOM14が「制御部」の一態様に該当する。ジャイロセンサ15からの出力(情報)がμCOM14に入力され、μCOM14は、その情報から「撮影準備時」と「非撮影準備時」との判定を行う。例えば、ジャイロセンサ15が振動を検出したときに、その振動の大きさが、撮影準備時にカメラを構えたときの略静止状態で想定される振動の大きさ程度以下ならば、μCOM14は「撮影準備時」と判定し、ジャイロセンサ15が検出した振動が、略静止状態で想定される振動の大きさ程度より明らかに大きければ、「非撮影準備時」と判定する。なお、振動の大きさから「撮影準備時」か「非撮影準備時」が明確に判定できない場合、「迷ったら撮影」との原則の下、「撮影準備時」と判断してよい。大事なシャッタチャンスを逃すより、メモリの無駄な消費がユーザにとっては、より小さな不利益と考えられるためである。
【0034】
このような機能は、図2に示すμCOM14がカメラ装置全体を制御する際に実行するプログラム、あるいは、ユーザインターフェースを制御する際に実行する(サブ)プログラムに対し、修正を加えることでインプリメント可能である。つまり所定のプログラムに対し、ユーザが電源ボタン125をオフにした場合、その処理の前に、シャッタ押下時の処理を行い、その後電源オフ処理を実行するような処理ルーチンを追加するとよい。
当該処理ルーチンを含むプログラムが、本実施形態に関わる、「(電源)操作処理手順をコンピュータに実行させるためのプログラム」の一態様に該当する。
【0035】
以下、フロー図を用いて、さらに詳細に当該処理を説明する。
図4は、(電源)操作処理のフロー図であり、本実施形態に関わる(電源)操作処理方法の手順の一例を示すものである。
【0036】
図4のステップST1でカメラの電源オフ操作がある(具体例としては電源オンの状態で図2の電源ボタン125が押される)と、処理の次のステップST2に進む。
ステップST2では、図2のジャイロセンサ15からの出力からμCOM14が振動の大きさを検出し、当該振動の大きさから「ひどい手振れがあるか」を判定する。μCOM14は、ひどい手振れがある場合は「非撮影準備時」と判断し、手振れがない、あるいは、手振れの程度がひどくない場合は「撮影準備時」と判断する。ひどい手振れがあるため非撮影準備時と推定されると(ST2「YES」)、撮影を行うことなくステップST7の通常の電源オフ処理を実行する。
【0037】
一方、ひどい手ぶれがなく撮影準備時と判断できるときは(ST2の判断が「NO」)、次のステップST3にて撮影を行う。
より詳細には、図2を参照すると、μCOM14が撮像ドライバ(DRV)5に「撮像」の指令を与える。すると、撮像デバイス4が光学部品2を通して入射される光(像)Lを撮像し、撮像信号を出力する。撮像信号はAFE回路6にてアナログ処理がされた後、ADコンバータ7にてデジタルに変換され、信号処理回路8にて所定の処理が施されることで、1枚の画像を表すデータ信号となる。この画像(データ信号)は、μCOM14の制御を受けたメモリ制御回路10の動作によって画像メモリ9の所定のアドレスに一時的に蓄積される。
このように「撮影」という言葉は、撮像デバイス4による撮像から画像メモリ9によるデータ蓄積までの一連の動作を指す。
【0038】
次に、図4のステップST4にて、撮影した画像の画質から「正しく撮影されているか」を調べる。
より詳細には、図2を参照すると、μCOM14がメモリ制御回路10を介して画像メモリ9内を探索し、撮影した画像のデータを読み出し、当該データの画像の画質が所定の基準を満たしているかを評価する。
【0039】
画質評価は、例えば以下の5つの項目を単独で、あるいは、任意に複数組み合わせて行う。
5つの項目とは、
(1)ピントが合っているか、
(2)ぶれ画像になっていないか、
(3)ホワイトバランスが正しいか、
(4)撮影されている画像が真っ黒または真っ白でないか、
(5)ある特定の色でないか、
である。
【0040】
例えばμCOM14は、上記5つの項目のそれぞれを表す画質パラメータ(合焦値、画像ぶれ値、WB値、輝度値、色分布などの画質を表す数値等)のうち単一の、あるいは、任意の画質パラメータの組を用いて、撮像した画像の画質を評価する。
【0041】
そして、画質の点から正しく撮影されている場合は、ステップST5で画像の保存を行い、正しく撮像されていない場合はステップST6で画像を消去する。
ステップST5の画像の保存は、具体的に図2において、メモリ制御回路10を介したμCOM14の制御により画像メモリ9から正しく撮像されている画像のデータを読み出し、画像圧縮回路11で所定の規格に則したデータ圧縮を行う。そして、メモリ制御回路13を介したμCOM14の制御により、画像圧縮回路11からの圧縮後の画像データを記録メモリ12の所定のアドレスに書き込む。
一方、ステップST6の画像の消去では、メモリ制御回路10を介したμCOM14の制御により画像メモリ9から、正しく撮像されていいない画像のデータを消去する。
【0042】
つぎに、上記ステップST4で用いる5つの項目について、その評価方法の具体例とともにさらに詳細に説明する。
【0043】
上記「(1)ピントが合っているか」に関しては、撮影された静止画像に含まれている被写体部分を解析して撮影状態(ピント状態)を認識するとよい。被写体部分の検出は、例えば、被写体が人物の場合には、画像全体を解析しながら顔部分が含まれているかを認識するが、その際、顔の輪郭、目、口、鼻などの形あるいはそれらの位置関係を総合的に判断して顔部分を認識した後、例えば目の部分を特定する。そして、目の部分を解析しながらそのエッジ状態を認識し、このエッジの鋭さ度合いからピント状態(合焦度)を判定する。合焦度が、ある基準以上の場合「ピントが合っている」と判断し、未満の場合「ピントが合っていない」と判断できる。
【0044】
なお、ピント状態を認識する上記方法はあくまで一例であり、エッジの鋭さ度合いに限らず、エッジの長さなどを認識してよい。ピントがぼけた画像は認識可能な全エッジ長が極端に短くなるため、エッジの長さが「ピントが合っているか」の評価パラメータとなり得る。また、類似した画像(被写体が同じもの)が複数ある場合は、空間周波数特性のヒストグラムを作成し、高い周波数成分が多い画像ほどピントが合っているという判断もできる。さらに、赤外線によって測定された被写体までの距離あるいは画像コントラストなどを参照してよい。
このように本実施形態で、ピント状態を認識する手法は任意である。ピントがずれている画像データは保存の価値がないとして消去される。
【0045】
前述した「(2)ぶれ画像になっていないか」に関しても、様々なぶれ画像検出方法が採用できる。
例えば、図2のジャイロセンサ15など、機械的な振動検出からぶれ画像であると推定してもよいし、また、撮像により得られた画像データからぶれ画像を電気的に検出してよい。
電気的検出では、撮像により得られた画像データから手振れを検出する。例えば、複数のフレーム画像を取得(撮像して)そのベクトル(データ変位量と変化の向きの)解析により手振れを検出してよい。また、画像輝度成分の離散コサイン変換(DCT)処理により手振れ判定してよい。なお、このDCTを用いた方法の詳細は、例えば特開2006−190259号公報に詳しい。
手振れ画像データは保存の価値がないとして消去される。
【0046】
前述した「(3)ホワイトバランスが正しいか」に関して、通常、オートではホワイトバランスは正しく設定されるが、例えばマニュアルによるホワイトバランスの場合、ホワイトバランスがずれていることがある。このようなホワイトバランスがずれた画像は保存の必要がないと判断する。
【0047】
ホワイトバランスの検出手法については、例えば、色ごとの画像データの積分値を色座標に変換し、色温度推定する方法が採用できる。より詳細にホワイトバランスを求める方法としては、例えば、積分値データを(R−B)/Gと(R+B−2G)/Gを軸にとった色座標の積分値データに変換し、かつ、変換後の座標点(色差データ)を黒体放射カーブ上に所定の規則に従って移動させ、そこを光源の色温度と推定して起点とし、引き込みを行う方法がある。ここで「引き込む」とは、推定した色温度を所定の目標値に移動したときに得られる各色成分の変化量から色バランス調整量(ゲイン比)を抽出する動作をいう。このようなホワイトバランス検出は、例えば、図2の信号処理回路8内等に設けられている色ごとの積分器(OPD:Optical Detector)からの積分値をμCOM14が入力して、当該μCOM14が所定のプログラムのルーチンに従って演算処理を行うことで実行できる。
【0048】
前述した「(4)撮影されている画像が真っ黒または真っ白でないか」については、例えば、図2の信号処理回路8内で発生した輝度信号を上記積分器等で1画面(1フレーム)分積算し、その積算値が異常に低い真っ黒な画像、異常に高い真っ白な画像を検出する方法が採用できる。これにより通常被写体と考えられない太陽や光源を撮影したという状況、あるいは、レンズを手で覆っていたなどの状況で撮影された画像が検出され、そのような画像は保存の価値なしとして廃棄される。
【0049】
同様に「(5)ある特定の色でないか」については、例えば、色ごとの積分値を1画面分求め、その積分値から、特定の色(単色または混色)が画面全体に映し出されているかどうかを調べるとよい。このような特定の色で画面全体がほぼ占められている場合、通常被写体を映しているとは考えにくいため、そのような画像は保存の価値なしとして廃棄される。
【0050】
なお、上記5つの項目ごとに、画質パラメータの判定基準を設け、撮影画像の画質パラメータが、その判定基準より優れた値(または判定基準以上)を示す場合は撮影画像の保存を選択し(ST5)、判定基準以下(または判定基準未満)の場合は撮影画像の廃棄を選択してよい(ST6)。
【0051】
あるいは別の方法として、画質パラメータの判定基準を予め用意するのではなく、その時点で、例えば図2の記録メモリ12に保存されている類似画像から適応的に求めてよい。
デジタルスチルカメラでは、通常、撮影画像を保存するか廃棄するかは、ユーザがメモリ内の画像を閲覧する間に適宜判断されるため、メモリに保存されている画像の画質が、ユーザが求める画質またはユーザの撮影技能に適合した画質であり、この画質レベルをクリアしたものがユーザにとって保存の価値がある画質と判断されているものと推定できる。そして、この画質レベルは被写体によって異なると考えられる。
よって、本実施形態では、記録メモリ12内に既に記憶されている類似画像を求め、この類似画像(被写体がほぼ同じと考えられる範囲)内で評価基準を決めるとよい。具体的な決め方は、類似画像の平均的な画質を基準としてもよいし、極端に悪い画質の類似画像を除く範囲で、最低の画質レベルを基準としてもよい。後者のやり方で極端に悪い画質の類似画像を除く理由は、ユーザが求める画質レベルの分布から外れるものも誤ってメモリされている可能性があることを考慮し、これを排除するためである。
このように、類似画像の画質パラメータを評価基準とする場合に、その具体的な基準のとり方は任意である。
【0052】
類似画像の検索方法も任意であるが、例えば特開2006−190259号公報に記載されている特徴抽出手法が採用できる。
【0053】
《第2実施形態》
図5に、第2実施形態に関わる(電源)操作処理のフロー図を示す。
図5に示す処理方法が図4に示す処理方法と異なるのは、図4のステップST3の「撮影」と、ステップST4の「画質判定」の間に、「撮影準備操作の有無判断」を行うステップST8を挿入させている点である。他のステップは第1実施形態と共通するため、ここでの説明を省略する。
【0054】
「撮影準備操作の有無判断」は、撮影の準備に入っていることが検出できるものであれば、どのような操作情報を基にして行ってもよい。具体例を挙げるならば、以下の操作が「撮影準備操作」に該当する。
すなわち、
(A)ズームボタン116(図2)の操作がされた、
(B)モード選択ツマミ115(図2)が操作され、機能モードが再生などから「静止画」、「動画」などの撮影モードに入った、
(C)方向キー119および決定ボタン120(図2)の操作により、撮影モード内のプログラム撮影モード(露出、シャッタ速度などの撮影環境に合わせた撮影条件の自動設定)の切り替えが行われた、
(D)マニュアルのフォーカスレバー(不図示)が操作された、
(E)自動撮影とマニュアル撮影の切り替えが行われた、
(F)露出、シャッタ速度などの手動による撮影条件の変更が行われた。
これらの操作(または動作)が単独で、あるいは、任意の組み合わせ(および順序)で検出された場合、撮影意図があったと推定できる。つまり、これらの操作部などからの操作情報がμCOM14(制御部)に入力されると、μCOM14は「撮影意図あり」と判断してよい。
【0055】
ただし、特に大きなボタンやレバーなどは、撮影意図がないのに誤って操作されることがある。また、これらの撮影準備操作と、電源オフ操作(ユーザはシャッタ操作を意図)とが余りに時間的にかけ離れている場合は、撮影意図の有無推定は無理がある。よって、図5のステップST1から時間的に遡って、例えば数十秒〜数秒などの所定の長さを有する期間内に、上記(A)〜(F)などに例示した所定の操作があれば、この操作を「撮影準備操作」と判断するなど時間的制約を設けてよい。
【0056】
ステップST8の判断が「YES」の場合は、撮影準備操作があったので、ステップST5に移行して必ず画像保存を行う。一方、撮影準備操作がない場合は、ステップST4で画質を判定してから、画像を保存するか廃棄するかを決める。
【0057】
この処理フローでは、画質判定の意味合いが第1実施形態と異なる。
つまり、第1実施形態では「画質の良いものを残し、悪いものを廃棄する」という単純な考えで画質判定を行う。このとき撮影意図がなく撮られた画像は画質が悪いので当然廃棄される。
これに対し、第2実施形態では、撮影意図があれば画質が良かろうと悪かろうと画像を保存し、その後のユーザによる閲覧でのマニュアル選別等に委ねる。撮影意図がない場合のみ、第1実施形態と同様に画質判定を行う。第2実施形態の画質判定は、「撮影意図がなくても高画質データは保存してユーザ閲覧による選別に委ね、撮影意図がなく且つ悪い画質の場合のみ画像データを廃棄する」ためにある。
【0058】
このようなステップST8の追加は、以下の理由に拠る。
ユーザの撮影意図の有無判断は、上記(A)〜(F)などの操作に基づく、あくまでも推定の域を出ないため、実際には撮影意図があっても撮影意図なしと判断される可能性が皆無ではない。よって、撮影意図なしと判断されても比較的きれいな画像は残しておいて最終的にはユーザの判断に委ねる方が、大事な画像を消すという重大なミスを犯さなくて済む。一方、撮影意図があれば画質が悪いものでも保存したいユーザが居るかもしれないし(シャッタチャンスが稀有な場合など)、その一方で、撮影意図がなければ非常に画質が悪いと画像として価値を失うと考えられ、このような画像をユーザは保存しない。よって、撮影意図なしと判断された場合に画質が悪い画像だけ消去すれば、ユーザに不利益を与える可能性は最小限にまで低減できる。
このような理由から本実施形態ではステップST8を設けている。
【0059】
撮影開始の契機とする情報は手振れ情報のみに限定されない。以下の第3および第4実施形態は、そのことを示すものである。
【0060】
《第3実施形態》
図6は、第3実施形態に関わる(電源)操作処理のフロー図である。
図6に示す処理方法が図4に示す処理方法と異なるのは、図4のステップST3の「撮影」を行うかどうかを判断するステップ、すなわちステップST1とST3の間のステップが、ひどい手ぶれを検出するステップST2から、撮影準備操作の有無判断を行うステップST8に変更されている点である。他のステップは第1実施形態と共通するため、ここでの説明を省略する。また、ステップST8自体の説明は第2実施形態で既に説明したので、ここでの詳しい説明を省略する。
【0061】
ステップST1で電源オフの操作がされると、例えば、当該電源オフの操作から時間的に遡って所定の期間に、撮影準備操作が行われたかをμCOM14が、入力した制御信号の履歴等から判断する。撮影準備操作の具体例は、第2実施形態で示した(A)〜(F)であるが、ここでは撮影開始を決める大事な判断なので、「撮影準備操作なし」で撮影意図がないと判断する場合に、より慎重に条件を設定してよい。つまり、撮影意図があるかどうか疑わしい場合は、この判断を「YES」として、とりあえず撮影を行うとよい。また、上記(A)〜(F)のいずれの操作も行われていない場合でも、ステップST8の判断を直ぐに「NO」とせずに、付加的な条件、例えば「前回の撮影からかなり時間が経過している」などを条件として、当該条件を満たせば処理フローをステップST7にジャンプさせるようにしてよい。
【0062】
《第4実施形態》
図7は、第4実施形態に関わる(電源)操作処理のフロー図である。
図7に示す処理方法が図4に示す処理方法と異なるのは、図4のひどい手ぶれを検出するステップST2と、撮影のステップST3との間に、撮影準備操作の有無判断を行うステップST8を追加し、撮影準備操作がなかったと判断されステップST8が「NO」となると処理フローがステップST7にジャンプする点である。他のステップは第1実施形態と共通するため、ここでの説明を省略する。また、ステップST8自体の説明は第2実施形態で既に説明したので、ここでの詳しい説明を省略する。
【0063】
このようにひどい手振れがなく、かつ、撮影操作準備があったことを条件に撮影開始を行ってよい。
【0064】
《第5実施形態》
図8は、第5実施形態に関わる(電源)操作処理のフロー図である。
図8に示す処理方法が図4に示す処理方法と異なるのは、図4のひどい手ぶれを検出するステップST2と、撮影のステップST3との処理順序が入れ替わっていることである。このためステップST2でひどい手振れがある場合、既に撮影がされているため、処理が、ステップST6の画像の廃棄を経てステップST7に進む。
他のステップは第1実施形態と共通するため、ここでの説明を省略する。
【0065】
上記第5実施形態は、第1実施形態に対し、電源オフ後直ぐに撮影をとりあえず行うという変形を示すものであるが、この変形は、第2〜第4実施形態(図5〜図7)に対しても同様に可能である。
特に図示しないが、図5のステップST2とステップST3が処理手順として入れ替わり、ステップST2の判断が「YES」の場合、処理がステップST6を経てステップST7に進む。
特に図示しないが、図6のステップST3とステップST8が処理手順として入れ替わり、ステップST8の判断が「NO」の場合、処理がステップST6を経てステップST7に進む。
特に図示しないが、図7のステップST3が、ステップST2より前に処理手順として入る。この場合、ステップST2の判断が「YES」の場合、ステップST8の判断が「NO」の場合、共に処理がステップST6を経てステップST7に進む。
【0066】
なお、以上述べてきた第1〜第5実施形態では、種々の変形が可能である。
以上の説明では電源オフの操作をユーザが行えば、後はユーザが何ら操作をしなくても電源オフの処理(ステップST7)が自動的に実行されるようなシーケンスであった。このシーケンスは、撮影→電源オフの一連の処理がユーザの1操作で済むため、その点で好ましい。
ただし、ユーザは最後の撮影にしたいとは限らない場合がある。その場合、電源が1枚の撮影後に直ぐに切られると、ユーザは再び電源投入しなければならない。
【0067】
この不利益を回避するには以下のようなシーケンスとしてよい。
撮影のためにシャッタ等が切られた場合、音などでユーザに認知できるようにして、その場合、もう一度電源オフ操作(または電源ボタン125の長押し等)をしないと実際の電源オフ処理が実行されないなど、何らかの操作をユーザに求めるようにしてよい。
あるいは、ステップST5やST6の処理が終了しても、しばらく(例えば1分程度)はステップST7を実行しないようにして、その間、再び電源ボタン125や撮影ボタン126が操作されると、その操作による撮影を受け付け(短い周期であれば何回も繰り返し撮影可能とし)、最後の撮影による画像の保存または廃棄が終了してから所定時間(上記例では1分)を経て実際の電源オフを行うようにしてよい。
【0068】
また、撮影済みの画像消去について、図4〜図7のステップST6の前に画像を消して良いかをユーザに確認するステップを挿入するか、または、消去する画像は一時的なバッファにためておき、次に電源投入するときなど、所定のタイミングでユーザに本当に消去してよいかを確認してよい。これにより消去画像を復活できる。
【0069】
以上述べてきた第1〜第5実施形態に関わる画像入力処理装置は、以下の利点がある。
ユーザがシャッタを押す、あるいは、動画撮影開始を行おうとして、「撮影操作部」を操作したつもりが誤って「電源操作部」を操作した場合でも、本実施形態に関わる画像入力処理装置は、撮影意図があったかどうかを判断して、撮影意図があった場合に、撮影操作部を操作することを契機とする通常の撮影動作と同じ用に動作する。
電源操作部の操作により撮影意図を、「ひどい手振れがあるか」「撮影準備動作があったか」の一方または双方に基づいて判断し、撮影意図があった場合に撮影を行う場合(第1〜第4実施形態)と、電源操作部の操作により撮影意図を判断せずに直ぐに撮影を行い、撮影を終えてから画質により撮影意図を判断する場合(第5実施形態等)がある。
いずれの場合でも、ユーザは大切なシャッタチャンス(あるいは動画撮影開始タイミング)を逃してしまうという不利益を受けない、あるいは、ほとんど受けなくなる。
【0070】
ユーザにとっては、撮影と電源オフを一度の操作により実行可能である。これは、操作ミスではなく、ユーザの意図的な操作を許容して操作性を上げることにも貢献する。つまり、ユーザは、電源を切る前に最後の1枚を撮影したいときは撮影ボタン126ではなく、意識的に電源ボタン125を操作することで、1操作による撮影および電源オフの軽快な動作が可能となる。
一方、もう一度電源操作するなど何らかのアクションで直ぐに電源オフしない選択も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の実施形態および背景技術の説明に用いたカメラ本体の上面図である。
【図2】実施形態に関わるカメラ装置のブロック図である。
【図3】実施形態に関わるカメラ装置の背面図(リアフェイスの概観図)である。
【図4】第1実施形態に関わる操作処理方法の手順を示すフロー図である。
【図5】第2実施形態に関わる操作処理方法の手順を示すフロー図である。
【図6】第3実施形態に関わる操作処理方法の手順を示すフロー図である。
【図7】第4実施形態に関わる操作処理方法の手順を示すフロー図である。
【図8】第5実施形態に関わる操作処理方法の手順を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0072】
1…カメラ装置、2…光学部品、3…レンズ、4…撮像デバイス、5…撮像ドライバ、6…AFE回路、7…ADコンバータ、8…信号処理回路、9…画像メモリ、10…メモリ制御回路、11…画像圧縮回路、12…記録メモリ、13…メモリ制御回路、14…μCOM、15…ジャイロセンサ、101…カメラ本体、102…液晶表示部、115…モード選択ツマミ、116…ズームボタン、119…方向キー、120…決定ボタン、124…スイッチホルダ面、125…電源ボタン、126…撮影ボタン、127…手振れ設定ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影操作部と、
電源操作部と、
撮影準備時と非撮影準備時で異なる情報を発生する情報発生部と、
前記電源操作部が操作されたときに前記情報から撮影準備時と判断される場合は、撮影意図が有るとみなして、当該電源操作部の操作を、前記撮影操作部が操作されたときと同様な撮影開始の契機とする制御部と、
を有する画像入力処理装置。
【請求項2】
前記制御部からの前記撮影開始の契機に応じて撮像を行う撮像部と、
電源部と、をさらに有し、
前記制御部は、前記撮像部により画像が撮像された後に、前記電源部を制御して電源をオフする
請求項1に記載の画像入力処理装置。
【請求項3】
前記制御部からの前記撮影開始の契機に応じて撮像を行う撮像部と、
画像を記憶する記憶部と、をさらに有し、
前記制御部は、前記撮像部により撮像された画像の画質を評価し、画質が所定の基準以上であれば、前記撮像された画像を前記記憶部に保存し、画質が基準未満であれば、前記撮像された画像を廃棄する
請求項1に記載の画像入力処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記撮像された画像と類似する画像を前記記憶部内で検索し、類似画像が検出された場合、検出された類似画像の画質パラメータを前記撮像された画像の画質の評価基準とし、類似画像が検出されない場合は、予め決められた画質パラメータを前記撮像された画像の画質の評価基準とする
請求項3に記載の画像入力処理装置。
【請求項5】
前記情報発生部は、撮影準備のために構図を構えたときは静止状態に近いことを示す情報を前記制御部に出力するセンサ、撮影準備で操作されて情報を前記制御部に出力する撮影準備操作部の少なくとも一方を含んで構成され、
前記制御部は、前記センサからの情報、あるいは、前記撮影準備操作部からの情報に基づいて、または、前記センサからの情報と前記撮影準備操作部からの情報に基づいて、前記撮影準備時または前記非撮影準備時を判断する
請求項1に記載の画像入力処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記撮影準備操作部からの情報を用いる場合、前記電源操作部が操作されたときより所定時間だけ前までの期間内にあった前記撮影準備操作部の操作に基づいて、前記撮影準備時と前記非撮影準備時の何れであるかを判断する
請求項5に記載の画像入力処理装置。
【請求項7】
撮像部と、
記憶部と、
撮影操作部と、
電源操作部と、
前記電源操作部が操作されたときは当該電源操作部の操作を、前記撮影操作部が操作されたときと同様な撮影開始の契機として前記撮像部に撮像を指示するとともに、撮像により得られた画像の画質を評価し、画質が所定の基準以上であれば、撮影意図が有ったとみなして、前記撮像された画像を前記記憶部に保存し、画質が基準未満であれば、前記撮像された画像を廃棄する制御部と、
を有する画像入力処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記撮像された画像と類似する画像を前記記憶部内で検索し、類似画像が検出された場合、検出された類似画像の画質パラメータを前記撮像された画像の画質の評価基準とし、類似画像が検出されない場合は、予め決められた画質パラメータを前記撮像された画像の画質の評価基準とする
請求項7に記載の画像入力処理装置。
【請求項9】
シャッタ操作ミスで電源オフ操作がされた場合の操作処理方法であって、
前記電源オフ操作がされたときに、撮影準備時と非撮影準備時で異なる情報を検出するステップと、
前記電源オフ操作がされたときに前記情報から撮影準備時と判断される場合は、撮影意図が有るとみなして、当該電源オフ操作を契機として撮影を行うステップと、
を含む操作処理方法。
【請求項10】
撮像準備時と判断された場合は、前記撮影により画像が得られた後に電源オフを実行し、非撮像準備時と判断された場合は、撮像を行うことなく電源オフを実行するステップを、
さらに含む請求項9に記載の操作処理方法。
【請求項11】
シャッタ操作ミスで電源オフ操作がされた場合の操作処理方法であって、
前記電源オフ操作がされたときは、当該電源オフ操作をシャッタ操作と同様な撮影開始の契機として、撮像を行うステップと、
前記撮像により得られた画像の画質を評価するステップと、
前記画質が所定の基準以上であれば、撮影意図が有ったとみなして、前記撮像された画像を保存し、画質が基準未満であれば、前記撮像された画像を廃棄するステップと、
を含む操作処理方法。
【請求項12】
コンピュータに、
電源オフ操作がされたときに、撮影準備時と非撮影準備時で異なる情報を検出するステップと、
前記電源オフ操作がされたときに前記情報から撮影準備時と判断される場合は、撮影意図が有るとみなして、当該電源オフ操作を契機として撮影を行うステップと、
を実行させるためのプログラム。
【請求項13】
撮像準備時と判断された場合は、前記撮影により画像が得られた後に電源オフを実行し、非撮像準備時と判断された場合は、撮像を行うことなく電源オフを実行するステップを、
前記コンピュータに実行させる手順としてさらに含む
請求項12に記載のプログラム。
【請求項14】
コンピュータに、
電源オフ操作がされたときは、当該電源オフ操作をシャッタ操作と同様な撮影開始の契機として、撮像を行うステップと、
前記撮像により得られた画像の画質を評価するステップと、
前記画質が所定の基準以上であれば、撮影意図が有ったとみなして、前記撮像された画像を保存し、画質が基準未満であれば、前記撮像された画像を廃棄するステップと、
を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−311821(P2008−311821A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−156096(P2007−156096)
【出願日】平成19年6月13日(2007.6.13)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】