説明

画像処理装置、内視鏡装置、画像処理方法及びプログラム

【課題】拡大観察におけるスコープ先端と観察対象との間の相対的な動きの許容範囲を向上する画像処理装置、内視鏡装置、画像処理方法及びプログラム等を提供すること。
【解決手段】画像処理装置は、観察対象物を複数の異なる倍率で拡大して撮像することにより得られた複数の画像を取得する画像構成処理部310と、その複数の画像の中から、各画像間の倍率が相対的に異なる第1〜第n倍率画像を選択する目標倍率画像選択部325と、その第1〜第n倍率画像の中から、基準画像と基準画像より高倍率の検出対象画像を選択し、その検出対象画像に対応する基準画像上の領域を検出して、その領域に検出対象画像を対応付ける異倍率画像間位置決定部330と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、内視鏡装置、画像処理方法及びプログラム等に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡診断では、体腔内の病変検出精度を向上させたいという要求がある。この精度向上の一般的な手法として、拡大光学系を備えた内視鏡(拡大内視鏡)を用いて、病変部と正常部の組織上の違いを顕微鏡相当の拡大率で拡大観察する手法が知られている。このような拡大内視鏡は、例えば数十倍から数百倍の拡大率を有し、ピットパターンや血管走行パターンの観察に用いられる。病変部と正常部ではこれらのパターンに違いが表れることが知られており、病変診断の1つの判定基準となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−46331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような拡大観察では、拡大率が大きいため視野が非常に狭くなってしまう。そのため、スコープと観察対象との間に相対的に小さな動きが発生しただけでも、観察対象のどの位置を観察しているかの判断が困難となるという課題がある。このように観察位置が分からなくなった場合、拡大観察を止め、拡大率の小さい通常観察に戻し、観察したい領域に位置合わせを行い、再度拡大観察を行なうという手順を繰り返す必要がある。そのため、診断時間が延び、患者に負担がかかってしまう。
【0005】
例えば、特許文献1には、スコープ先端と観察対象との間の相対的な動きに伴う画像ずれを相殺するための補正湾曲角度を計算し、その補正湾曲角度でスコープ先端を湾曲させることで、画像ずれを補正する手法が開示されている。この手法では、スコープ先端と観察対象との間の相対的な動きが小さい場合は画像ずれの補正が可能である。しかしながら、この手法では、撮像画像の視野を越えるような画像ずれが発生した場合には、撮像画像から画像ずれを算出できないため、補正湾曲角度を算出できないという課題がある。また、この手法では、倍率が高くなるほど許容されるずれ量は小さくなるため、高倍率な拡大内視鏡ほど実用性が低くなる。
【0006】
本発明の幾つかの態様によれば、拡大観察におけるスコープ先端と観察対象との間の相対的な動きの許容範囲を向上する画像処理装置、内視鏡装置、画像処理方法及びプログラム等を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、観察対象物を複数の異なる倍率で拡大して撮像することにより得られた複数の画像を取得する画像取得部と、前記複数の画像の中から、各画像間の倍率が相対的に異なる第1〜第n倍率画像(nは、n≧2の自然数)を選択する画像選択部と、前記第1〜第n倍率画像の中から、基準画像と前記基準画像より高倍率の検出対象画像を選択し、前記検出対象画像に対応する前記基準画像上の領域を検出して、前記検出対象画像を前記領域に対応付ける領域検出部と、を含む画像処理装置に関係する。
【0008】
本発明の一態様によれば、複数の画像の中から第1〜第n倍率画像が選択され、その第1〜第n倍率画像の中から基準画像と基準画像より高倍率の検出対象画像が選択され、その検出対象画像に対応する基準画像上の領域が検出されて、その領域に検出対象画像が対応付けられる。これにより、拡大観察におけるスコープ先端と観察対象との間の相対的な動きの許容範囲の向上等が可能になる。
【0009】
また、本発明の他の態様は、上記に記載の画像処理装置を含む内視鏡装置に関係する。
【0010】
また、本発明の他の態様は、観察対象物を複数の異なる倍率で拡大して撮像することにより得られた複数の画像を取得し、前記複数の画像の中から、各画像で相対的に倍率が異なる第1〜第n倍率画像(nは、n≧2の自然数)を選択し、前記第1〜第n倍率画像の中から、基準画像と前記基準画像より高倍率の検出対象画像を選択し、前記検出対象画像に対応する前記基準画像上の領域を検出して、前記検出対象画像を前記領域に対応付ける画像処理方法に関係する。
【0011】
また、本発明の他の態様は、観察対象物を複数の異なる倍率で拡大して撮像することにより得られた複数の画像を取得する画像取得部と、前記複数の画像の中から、各画像で相対的に倍率が異なる第1〜第n倍率画像(nは、n≧3の自然数)を選択する画像選択部と、前記第1〜第n倍率画像の中から、基準画像と前記基準画像より高倍率の検出対象画像を選択し、前記検出対象画像に対応する前記基準画像上の領域を検出して、前記検出対象画像を前記領域に対応付ける領域検出部として、コンピュータを機能させるプログラムに関係する。
【0012】
また、本発明の他の態様は、観察対象物を撮像することにより得られた一連の動画画像を取得する画像取得部と、前記一連の動画画像を第1の表示領域に表示する制御を行う表示制御部と、を含み、前記表示制御部は、前記第1の表示領域に表示される動画画像よりも低倍率の画像であって、前記一連の動画画像の中から選択された動画画像を、低倍率画像として第2の表示領域に表示する制御を行い、前記表示制御部は、前記第1の表示領域に表示される動画画像に対応する前記低倍率画像上の領域を表す情報であって、前記一連の動画画像の視野範囲の移動に応じて前記低倍率画像上を移動する識別情報を前記第2の表示領域に表示する制御を行う内視鏡装置に関係する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態の比較例についての説明図。
【図2】本実施形態の手法についての説明図。
【図3】本実施形態の手法についての説明図。
【図4】内視鏡装置の構成例。
【図5】回転色フィルタの詳細な構成例。
【図6】色フィルタの分光特性例。
【図7】画像処理部の詳細な構成例。
【図8】表示画像の例。
【図9】目標倍率画像群選択部の詳細な構成例。
【図10】目標倍率画像群選択部の動作についての説明図。
【図11】目標倍率画像群選択部の動作についての説明図。
【図12】目標倍率画像群選択部の動作についての説明図。
【図13】異倍率画像間位置決定部の詳細な構成例。
【図14】異倍率画像間位置決定部の動作についての説明図。
【図15】異倍率画像間位置決定部の動作についての説明図。
【図16】内視鏡装置の第2の構成例。
【図17】回転色フィルタの詳細な構成例。
【図18】白色光を透過する色フィルタの分光特性例。
【図19】特殊光を透過する色フィルタの分光特性例。
【図20】画像処理部の第2の詳細な構成例。
【図21】スコープ先端部の模式的な構成例。
【図22】撮像タイミングについての模式的な説明図。
【図23】AF制御部の詳細な構成例。
【図24】AFエリアについての説明図。
【図25】先端湾曲駆動部の詳細な構成例。
【図26】コンピュータシステムの構成を示すシステム構成図。
【図27】コンピュータシステムにおける本体部の構成を示すブロック図。
【図28】本実施形態が行う処理のフローチャート例。
【図29】目標倍率画像選択処理の詳細なフローチャート例。
【図30】領域検出処理の詳細なフローチャート例。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0015】
1.本実施形態の手法
まず図1を用いて、上述の拡大撮影での課題について説明する。図1のA1に示すように、拡大撮影時には、内視鏡のスコープを観察対象Tgに近づけて撮影するため、スコープの視野FA1は非常に狭くなる。そのため、A2に示すように、消化管の動きやスコープのブレが起きると、動きが小さくても視野が大きくずれ、視野FA2がFA1から容易に外れてしまう。この場合、FA1とFA2を撮影した重複のない画像のみから、観察対象Tgを再び視野に導入することは困難である。
【0016】
そこで、本実施形態では、低倍率撮影時の画像を取得しておき、その画像と高倍率撮影時の画像との位置関係を検出することで、観察対象Tgの再導入を可能にする。この本実施形態の手法について、図2、図3を用いて具体的に説明する。
【0017】
図2のB1に示すように、拡大撮影では、観察対象Tgから離れた位置からスコープを徐々に近づけることが一般的である。そして、B2に示すように、最大倍率となる位置までスコープを観察対象Tgに近づけていく。視野はFB1からFB2に狭まる。B3に示すように、視野FB3が観察対象Tgからずれても、FB1内であればFB3の位置を知ることが可能である。
【0018】
具体的には、図3に示すように、視野FB1を撮像した画像PB1と、視野FB2,FB3を最大倍率で撮像した画像PB2,PB3とのマッチング処理を行う。そして、そのマッチング処理の結果を用いて、現在の撮影範囲を画像PB1上に表示したり、スコープ先端を観察対象Tgの方向に自動的に曲げる制御を行う。なお、後述するように、本実施形態では低倍率画像と最大倍率画像のマッチング処理を、中間倍率画像を用いて段階的に行い、100倍等の高倍率であっても高精度なマッチングを可能にする。
【0019】
2.内視鏡装置
図4に、観察対象Tgの再導入を容易にする本実施形態の内視鏡装置の構成例を示す。この内視鏡装置は、光源部100と、撮像部200と、制御装置300(制御装置)と、表示部400と、外部I/F部500を含む。
【0020】
光源部100は、白色光源101と、それぞれ分光透過率が異なる複数のフィルタを有する回転色フィルタ102と、回転色フィルタ102を駆動させる回転駆動部103と、回転色フィルタ102からの分光特性を持った光をライトガイドファイバ201の入射端面に集光させる集光レンズ104を含む。
【0021】
図5に示すように、回転色フィルタ102は、例えば三原色の赤の色フィルタ601と、三原色の青の色フィルタ602と、三原色の緑の色フィルタ603と、回転モータ803とから構成されている。図6に、これら3つの色フィルタの分光特性例を示す。図6に示すように、それぞれ波長580〜700nm、400〜500nm、480〜600nmを透過する。
【0022】
回転駆動部103は、制御装置300の制御部302からの制御信号に基づいて、撮像素子209の撮像期間と同期して回転色フィルタ102を所定回転数で回転させる。例えば、色フィルタを1秒間に20回転させると、各色フィルタは60分の1秒間隔で入射白色光を横切る。そして、撮像素子209は、例えばモノクロ単板撮像素子であり、60分の1秒間隔で3原色の各色光(Rまたは、Gまたは、B)での反射光の画像データの撮像と転送を完了する。すなわち、R画像データ、G画像データ、B画像データが60分の1秒間隔で面順次で撮像される。
【0023】
撮像部200は、例えば体腔への挿入を可能にするため細長くかつ湾曲可能に形成されている。撮像部200は、光源部100で集光された光を導くためのライトガイドファイバ201と、そのライトガイドファイバ201により先端まで導かれてきた光を拡散させて観察対象に照射する照明レンズ202を含む。また、撮像部200は、観察対象から戻る反射光を集光する対物レンズ203と、可変絞り制御部204と、可変絞り部205と、焦点位置制御部206と、焦点位置調整レンズ207を含む。また、撮像部200は、集光した結像光を検出するための撮像素子209と、撮像素子209により光電変換されて得られたアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換部210を含む。撮像素子209は、例えばCCDやCMOSにより構成される。
【0024】
制御装置300は、画像処理部301と、制御部302を含む。画像処理部301は、A/D変換部210からの画像データを画像処理したり、上述のマッチング処理を行ったり、マッチング処理の結果から現在の撮像領域を表示部400に表示する制御を行ったりする。制御部302は、内視鏡装置の各構成要素を制御する。
【0025】
表示部400は、動画表示可能な表示装置であり、例えばCRTや液晶モニタにより構成される。
【0026】
外部I/F部500は、内視鏡装置に対するユーザからの入力等を行うためのインターフェースである。外部I/F部500は、例えば電源のオン/オフを行うための電源スイッチや、撮影操作を開始するためのシャッタボタンや、撮影モードやその他各種のモードを切り換えるためのモード切換ノブを含む。モード切替ノブは、例えば図10に示すズーム操作ノブ501である。このズーム操作ノブ501を拡大観察モードとなる方向に動かすことで焦点位置調整レンズが移動され、より被写体に近接した位置でピントが合う状態が得られる。外部I/F部500は、入力された情報を制御部302へ出力する。
【0027】
次に、本実施形態の2つの観察モードについて説明する。観察モードの1つは、高深度低解像度となる通常観察モード(全域観察モード)であり、もう1つは、低深度高解像度となる拡大観察モード(近接拡大観察モード)である。
【0028】
この2つの観察モードを切り替えるために、制御部302は、外部I/F部500のモード切換ボタンによるユーザからのモード切換要求に基づいて、可変絞り制御部204と焦点位置制御部206に制御信号を送信する。可変絞り制御部204は、受信した制御信号に基づいて可変絞り部205の絞り量を制御する。焦点位置制御部206は、受信した制御信号に基づいて焦点位置調整レンズ207を制御する。
【0029】
拡大観察モードを選択した場合には、絞りを開けてレンズ開口を大きくする。具体的には、許容錯乱円を撮像素子209の限界解像度が得られる大きさに設定し、レンズの焦点での錯乱円が許容錯乱円以下となるように絞りを設定する。また、焦点位置制御部206は、予め設定された所定の焦点位置となるように焦点位置調整レンズを駆動する。
【0030】
一方、通常観察モードを選択した場合には、絞りを絞ってレンズ開口を小さくする。具体的には、実用的な解像度と被写界深度が得られる錯乱円の大きさとなるように絞りを設定する。また、焦点位置制御部206は、実用的な被写界深度を得るための焦点位置となるように焦点位置調整レンズを駆動する。
【0031】
これらのモードの切り替えは、まず通常観察モードにおいて深度内限界まで被写体に近接し、その状態で拡大観察モードに切り替えることで行う。このようにして、近接拡大観察時の被写界深度が非常に狭い状態でも、ピントが合った高精細な画像を撮像できる。
【0032】
3.画像処理部
図7に、上述のマッチング処理等を行う画像処理部301の詳細な構成例を示す。画像処理部301は、画像構成処理部310、目標倍率画像群選択部320、異倍率画像間位置決定部330、表示情報生成部340、合成部350を含む。
【0033】
A/D変換部210から出力された画像データは、画像構成処理部310に入力される。画像構成処理部310には、さらに制御部302が接続されており、制御部302に予め保存されている処理パラメータが入力される。例えば、処理パラメータは、OBクランプ値や、WB係数、色補正係数、階調変換テーブル、輪郭強調レベル等である。画像構成処理部310は、それらの処理パラメータに基づいて、入力された画像データから表示部400で観察可能な動画像を生成し、目標倍率画像群選択部320と合成部350へ出力する。
【0034】
目標倍率画像群選択部320には、画像構成処理部310から出力される動画像が入力され、外部I/F部500でユーザ指定された観察モード信号が制御部302から入力される。観察モード信号は、拡大観察モードか通常観察モードかを示す情報である。また、目標倍率画像群選択部320には、撮像部200の最大倍率情報により予め設定された複数の選択すべき目標倍率情報が入力される。最大倍率情報は、光学系の設計情報に基づく最近接合焦時の像倍率である。
【0035】
目標倍率画像群選択部320は、複数の目標倍率の代表画像を選択する。より具体的には、目標倍率画像群選択部320は、拡大観察モードにおいて動作状態となる。拡大観察では、観察対象領域10と対物レンズ203との相対距離が近づくにつれて、観察対象領域10の倍率が大きくなる。例えば、目標倍率画像群選択部320は、このような動画像から光学系の最大倍率の1、1/4、1/16、1/64倍に相当する目標倍率の代表画像を選択する。そして、目標倍率画像群選択部320は、入力される動画像から目標倍率を逐次選択し、選択した画像を目標倍率画像の最新画像として上書き保存し、その保存済みの目標倍率画像とその更新情報を異倍率画像間位置決定部330に出力する。詳細については後述する。
【0036】
ここで、代表画像選択時の基準となる倍率は、例えば観察モードが拡大観察モードに切り替わった時点の撮像画像である。そして、目標倍率は、この基準画像から最大倍率までを所定整数で分割した倍率である。
【0037】
異倍率画像間位置決定部330には、目標倍率画像群選択部320から出力された複数の目標倍率の代表画像と、制御部302からの観察モード信号と目標倍率情報が入力される。異倍率画像間位置決定部330は、入力される複数倍率の代表画像間で画像間マッチング処理を行い、高倍率画像が低倍率画像の何処に位置するかを示す位置情報を算出する。そして、異倍率画像間位置決定部330は、画像間マッチング処理で使用した低倍率画像と位置情報を表示情報生成部340へ出力する。
【0038】
表示情報生成部340は、入力された低倍率画像と位置情報に基づいて、現在観察中の観察領域を矩形枠等で表した低倍率画像を生成し、生成した画像を合成部350へ出力する。
【0039】
合成部350には、表示情報生成部340からの観察領域が表された低倍率画像と、画像構成処理部310から出力される動画像と、制御部302からの観察モード信号が入力される。合成部350は、観察モード信号が拡大観察モードを示す場合には、例えば2画面表示の表示画像を生成する。合成部350は、その表示画像を表示部400に出力する。
【0040】
図8に、2画面表示の表示画像の例を示す。図8のD1に示すように、画面左側の表示領域には、現在観察している動画像を表示する。D2に示すように、画面右側の表示領域には、低倍率画像を表示する。低倍率画像は、後述する目標倍率画像のうちの例えば最低倍率の画像である。例えば、これらの表示領域は、表示枠で囲まれる。D3に示すように、現在の観察領域を表す枠線を低倍率画像上に表示する。また、D4に示すように、観察ターゲットを表す枠線を低倍率画像上に表示する。なお、通常観察モードでは、D1に示す動画像と表示枠を合成した表示画像が生成される。
【0041】
表示部400には、合成部350から出力される合成画像が入力される。入力される画像は、例えばハイビジョン信号である。表示部400は、例えば液晶モニタ等の表示装置であり、入力された合成画像を表示する。
【0042】
4.目標倍率画像群選択部
図9に、目標倍率画像群選択部320の詳細な構成例を示す。目標倍率画像群選択部320は、フレームメモリ321、画像選択部322、領域抽出部323、倍率補正部324、目標倍率画像選択部325、マッチング処理部326、参照倍率画像選択部327、フレームメモリ328、目標倍率画像選択制御部329を含む。
【0043】
フレームメモリ321は、画像構成処理部310からの動画像を保存する。画像構成処理部310から出力される動画像は、観察対象領域に撮像部200の先端を徐々に近づけながら(例えば図10のE1)撮像されたものである。そのため、フレームメモリ321には、時間と共に像倍率が高くなる傾向の動画像が保存される。
【0044】
例えば、フレームメモリ321は、数秒分の動画像を保存できる容量を有し、リングバッファとして機能する。すなわち、フレームメモリ321は、既に保存されている画像を新しい画像で逐次上書きする。フレームメモリ321に保存されている動画像は、画像選択部322により所定位置の1フレーム画像が選択され、選択された画像は、領域抽出部323と目標倍率画像選択部325へ出力される。なお、フレームメモリ321に保存する動画像は、所定間隔でフレームを間引いてもよい。この場合、より長時間の動画像の保存が可能となる。
【0045】
領域抽出部323には、画像選択部322からの1フレーム画像と、目標倍率画像選択制御部329からの目標倍率に対応する抽出領域情報が入力される。領域抽出部323は、抽出領域情報に基づいて、1フレーム画像の中央部あるいは中央部付近で最もコントラストが高い領域周辺を所定領域分抽出し、その抽出領域画像を倍率補正部324へ出力する。
【0046】
倍率補正部324には、領域抽出部323から出力された抽出領域画像と、目標倍率画像選択制御部329からの目標倍率情報が入力される。倍率補正部324は、抽出領域画像を目標倍率情報に基づいて縮小処理し、その縮小抽出領域画像をマッチング処理部326へ出力する。
【0047】
目標倍率画像選択部325には、目標倍率画像選択制御部329からの目標倍率情報と、マッチング処理部326から出力されるマッチング判定情報が入力される。目標倍率画像選択部325は、これらの情報に基づいて、フレームメモリ321から目標倍率画像を選択し、選択した目標倍率画像をフレームメモリ328へ出力する。目標倍率画像選択部325は、目標倍率情報が最小倍率である場合には、マッチング処理部326からの情報に依らず、拡大観察モードに切り替わった時点でフレームメモリ321に格納されたフレーム画像を、最小倍率の目標倍率画像としてフレームメモリ328へ出力する。フレームメモリ328には、目標倍率画像選択部325から出力されるフレーム画像が、目標倍率毎に指定された格納領域に上書き保存される。
【0048】
参照倍率画像選択部327は、目標倍率画像選択制御部329から出力される目標倍率情報に基づいて、参照倍率画像をフレームメモリ328から読み出し、読み出した参照倍率画像をマッチング処理部326へ出力する。参照倍率画像は、マッチング処理部326において縮小抽出領域画像とマッチングを取る画像である。
【0049】
マッチング処理部326は、参照倍率画像と縮小抽出領域とのマッチング処理を行い、最も相関が高くなる位置での相関値を目標倍率画像選択部325へ出力する。例えば、マッチング処理部326は、参照倍率画像と縮小抽出領域に対して血管構造をより強調させるための強調処理を施した後に、その2つの画像間でマッチング処理を行う。マッチング処理は、例えば差分絶対値和(または差分自乗和)が利用される。マッチング処理でのテンプレート画像は縮小抽出領域画像であり、マッチング処理での探索範囲画像は参照倍率画像である。すなわち、縮小抽出領域画像は参照倍率画像よりもサイズが小さく、テンプレート画像を探索範囲画像内で移動させて差分絶対値和が算出される。そして、算出された差分絶対値和の最小値が、画像間の相関値として目標倍率画像選択部325へ出力される。
【0050】
目標倍率画像選択部325は、入力される相関値を複数フレーム期間分保存する。そして、目標倍率画像選択部325は、その複数の相関値の中で最小の相関値に対応するフレーム画像を、目標倍率画像としてフレームメモリ321から読み出し、フレームメモリ328の所定格納領域へ保存する。目標倍率画像選択部325は、目標倍率画像の選択完了を表す情報を目標倍率画像選択制御部329に出力する。
【0051】
目標倍率画像選択制御部329は、選択が完了した目標倍率画像の更新情報を保存しており、この更新情報を異倍率画像間位置決定部330へ出力する。この目標倍率画像の更新情報は、最も新しく更新された画像の倍率判定が可能な形式で保存される。例えば、選択すべき目標倍率が4つの場合には、4ビットの情報を用意し、更新された倍率に対応するビットのみ1を立てることで更新情報とする。
【0052】
目標倍率画像選択部325は、拡大観察モードにおいて、最大倍率画像まで更新したら目標倍率を最大倍率に固定し、以降は撮像画像を最大倍率の目標倍率画像として選択し続ける。この場合、マッチング処理部326からの相関値の大きさが安定して所定閾値以下の場合には、次の異倍率画像間位置決定部330での位置検出(フレーミング)が可能な状態として、上記選択を続ける。一方、相関値の大きさが所定閾値より大きい場合が連続して発生する場合は、位置検出が不可能であるとして、更新情報のビットを全て0にリセットし、その更新情報を異倍率画像間位置決定部330に出力してもよい。この場合、表示情報生成部340は、フレーミング不可である旨のアラート情報がスーパーインポーズされた低倍率画像を生成し、その画像を合成部350に出力する。
【0053】
図10〜図12を用いて、目標倍率画像群選択部の動作について詳細に説明する。なお以下では、目標倍率が最大倍率の1/64倍,1/16倍,1/4倍,1倍である場合を例に説明する。また、以下で用いる最低倍率とは、目標倍率のうちの最も低い倍率のことであり、光学系が本来有する最低倍率と同一とは限らない。
【0054】
図10のE1に示すように、拡大観察モードに切り替えてスコープを徐々に観察対象に近づけながら観察対象を拡大していく。そして、E2に示すように、その一連の撮像画像から目標倍率画像を順次選択していく。例えば、最低倍率(基準倍率)を1倍とし、最大倍率を64倍とすれば、目標倍率は、1倍,4倍,16倍,64倍となる。
【0055】
より具体的には、図11(A)に示すように、通常観察モードにおいて、被写界深度の近点KP1が観察対象に接近するまで(近点KP1’)、スコープを観察対象に近づける。このときの撮像倍率が最低倍率である。そして、図11(B)に示すように、拡大観察モードに切り替え、近点KP2が観察対象に接近するまで(近点KP2’)、スコープを観察対象に近づける。このときの撮像倍率が最大倍率である。
【0056】
そして、図12に示すように、拡大観察モードに切り替えた時のフレーム画像FP2を1倍の目標倍率画像BP1として記憶する。次に、フレーム画像FP3を1/4の画像サイズに縮小してテンプレート画像KP3を生成し、目標倍率画像BP1を参照倍率画像としてテンプレート画像KP3とのマッチング処理を行う。そして、FP4以降のフレーム画像を同様に順次縮小してマッチング処理を行い、相関性が最も高いフレーム画像FP4を4倍の目標倍率画像BP2として選択する。次に、目標倍率画像BP2を参照倍率画像としてマッチング処理を行い、16倍の目標倍率画像を選択する。このようにして、順次目標倍率画像を選択し、64倍の目標倍率画像まで選択する。64倍の目標倍率画像までそろったら、以後は64倍の目標倍率画像を撮像画像で更新する。
【0057】
5.異倍率画像間位置決定部
図13に、異倍率画像間位置決定部330の詳細な構成例を示す。異倍率画像間位置決定部330は、第1画像選択部331(第1倍率画像選択部)、第2画像選択部332(第2倍率画像選択部)、領域抽出部333、倍率補正部334、マッチング処理部335、倍率・抽出領域制御部336を含む。なお、以下では、フレームメモリ328に4つの目標倍率画像BP1〜BP4が格納されている場合を例に説明する。
【0058】
第1画像選択部331と第2画像選択部332には、倍率・抽出領域制御部336から出力される画像間マッチングを行う階層レベル情報が入力される。図14に示すように、4種類の倍率画像の場合、階層レベルは3階層である。第1階層は、現在観察している最大倍率の画像BP4と、次に倍率が大きい画像BP3との間のマッチングである。第2階層は、画像BP3と、3番目に倍率が大きい画像BP2との間のマッチングである。第3階層は、3番目に倍率が大きい画像BP2と、一番倍率が小さい画像BP1との間のマッチングである。
【0059】
以下では、上記第1階層における処理を例に各構成要素について説明する。なお、他の階層においても同様の処理が行われるため、同様の処理については適宜説明を省略する。
【0060】
第1画像選択部331は、フレームメモリ328から最も倍率が大きい現在観察している画像BP4を読み出して領域抽出部333へ出力する。第2画像選択部332は、フレームメモリ328から2番目に倍率が大きい画像BP3を読み出してマッチング処理部335へ出力する。
【0061】
領域抽出部333は、倍率・抽出領域制御部336からの抽出領域情報に基づいて、入力画像内の指定領域を抽出し、その抽出領域画像を倍率補正部334へ出力する。
【0062】
倍率補正部334は、倍率・抽出領域制御部336からの補正倍率情報に基づいて、抽出領域画像を縮小(倍率補正)した縮小抽出領域画像を生成し、その縮小抽出領域画像をマッチング処理部335へ出力する。
【0063】
マッチング処理部335は、倍率補正部334からの縮小抽出領域画像と、第2倍率画像選択部から出力される画像BP3との間のマッチング処理を行う。ここで、マッチング処理は、例えば差分絶対値和(または差分自乗和)が利用される。そして、マッチング処理でのテンプレート画像は、画像BP4に対応する縮小抽出領域画像であり、マッチング処理での探索範囲画像は、画像BP3である。すなわち、縮小抽出領域画像は画像BP3よりもサイズが小さく、テンプレート画像を探索範囲画像内で移動させて差分絶対値和が算出される。そして、算出された差分絶対値和が最小値となる位置での位置情報を、第1階層でのマッチング位置情報として倍率・抽出領域制御部336へ出力する。
【0064】
第2階層では、領域抽出部333は、倍率・抽出領域制御部336からの第1階層で算出されたマッチング位置情報に基づいて、入力画像内の指定領域を抽出し、その抽出領域画像を倍率補正部334へ出力する。第3階層においても同様に第2階層で算出されたマッチング位置情報に基づいて領域抽出が行われる。
【0065】
このようにして第1〜第3階層でマッチング位置情報が算出され、それらのマッチング位置情報が表示情報生成部340へ出力される。拡大観察モードに切り替わってからフレームメモリ328に最初に記憶された最大倍率画像BP4は、ユーザが観察したいターゲット位置の画像であると考えられる。そのターゲット位置情報として、最初に記憶された画像BP4に対して第3階層において算出されたマッチング位置情報が、表示情報生成部340の図示しないメモリに記録される。図8のD4に示すように、そのターゲット位置情報に基づいて表示情報が表示される。
【0066】
このようにして、現在拡大観察している領域の画像BP4が、倍率が小さい広視野画像BP1内の何処にあるかを検出できる。このとき、2番目に倍率が大きい画像BP3の範囲内のずれ(変位)まで許容された検出が可能である。
【0067】
次に、図15を用いて、異倍率画像間位置決定部の動作について詳細に説明する。なお、以下では、画像BP4〜BP1の倍率を64倍,16倍,4倍,1倍とする。まず、最初のマッチング処理の対象として画像BP4,BP3を選択する。次に、画像BP4を1/4の画像サイズに縮小してテンプレート画像TP4を生成する。そして、テンプレート画像TP4と画像BP3とのマッチング処理を行い、F1に示すように、テンプレート画像TP4に対応する領域を検出する。
【0068】
次に、2回目のマッチング処理の対象として画像BP3,BP2を選択する。F2に示すように、テンプレート画像TP4に対応する領域とその周辺領域を画像BP3から抽出する。抽出した画像を1/4の画像サイズに縮小してテンプレート画像TP3を生成する。そして、テンプレート画像TP3と画像BP2とのマッチング処理を行い、F3に示すように、テンプレート画像TP3に対応する領域を検出する。そして、同様の処理を各階層で繰り返し、最終的に画像BP4に対応する画像BP1上の領域を検出する。
【0069】
さて、上述のように、拡大観察では視野が狭いため、小さなぶれでも観察対象が視野から外れてしまい、低倍率に戻って再び観察対象を拡大する操作を繰り返す必要がある。このように、拡大観察におけるぶれに対する許容範囲が狭いという課題がある。
【0070】
この点、本実施形態によれば、図7に示すように、画像処理装置(画像処理部301)は、画像取得部(画像構成処理部310)と、画像選択部(目標倍率画像群選択部320)と、領域検出部(異倍率画像間位置決定部330)を含む。そして、画像取得部は、観察対象物を複数の異なる倍率で拡大して撮像することにより得られた複数の画像を取得する。画像選択部は、その複数の画像の中から、各画像間の倍率が相対的に異なる第1〜第n倍率画像(目標倍率画像)を選択する(nは、n≧2の自然数)。領域検出部は、その第1〜第n倍率画像の中から、基準画像と、その基準画像より高倍率の検出対象画像を選択し、その検出対象画像に対応する基準画像上の領域を検出して、その領域に検出対象画像を対応付ける。
【0071】
これにより、拡大観察におけるスコープ先端と観察対象とのずれの許容範囲の向上が可能になる。すなわち、本実施形態によれば、拡大率の異なる(撮像画像の視野が異なる)複数の画像間で階層的にずれ量を算出できる。そのため、高倍率観察時にその撮像画像の視野を越えるずれ量が発生しても観察対象領域とのずれ量を算出することができる。これにより、拡大観察状態を保持したまま表示画像を確認することで素早く観察対象領域を視野内に導入することが可能になる。
【0072】
ここで、上記対応付けとは、基準画像上において検出された領域の座標と、基準画像と、検出対象画像とを対応付けることであり、例えばこれらの情報を1組みのデータとして図示しないメモリに記憶することで対応付けが行われる。
【0073】
また本実施形態では、図14に示すように、第1〜第n倍率画像(BP1〜BP4)の中の第i倍率画像が第i−1倍率画像よりも高倍率である(iは、2≦i≦nの整数)。この場合に、領域検出部は、第i−1倍率画像(例えばBP1)を基準画像として選択し、第i倍率画像(BP2)を検出対象画像として選択する。そして、領域検出部は、第i倍率画像に対応する第i−1倍率画像上の領域を検出し、各階層で順次検出を繰り返し、第n倍率画像(BP4)に対応する第1倍率画像(BP1)上の領域を検出する。
【0074】
このようにすれば、階層的に検出を繰り返すことで、第1倍率画像上での観察対象領域の位置を検出できる。また、階層的に検出を繰り返すことで、第n倍率画像と第1倍率画像を直接マッチングする場合に比べて、マッチング精度を向上できる。
【0075】
また本実施形態では、図9に示すように、画像選択部は、倍率補正部324と、マッチング処理部326と、目標倍率画像選択部325を含む。そして、図12に示すように、倍率補正部324は、複数の画像の中のマッチング対象画像(例えばFP3〜FP5)を所定倍率(1/4倍)で縮小する。マッチング処理部326は、その縮小されたマッチング対象画像(KP3〜KP5)と、第1〜第n倍率画像の中の基準倍率画像(BP1)とのマッチング処理を行う。目標倍率画像選択部325は、マッチング処理において最も相関性が高い画像(FP4)を複数の画像(FP3〜FP5)の中から選択する。
【0076】
このようにすれば、撮像画像から目標倍率画像を選択できる。また、マッチング対象画像を所定倍率で縮小してマッチング処理することで、所定倍率間隔の目標倍率画像を選択できる。
【0077】
また本実施形態では、図9に示すように、画像選択部は繰り返し制御部(目標倍率画像選択制御部329)を含む。そして、繰り返し制御部は、マッチング処理と、マッチング処理において最も相関性が高い画像を選択する処理と、その選択された最も相関性が高い画像を次のマッチング処理に用いられる基準倍率画像として選択する処理とを繰り返す制御を行う。
【0078】
より具体的には、画像選択部は、記憶部(フレームメモリ328)と、基準倍率画像選択部(参照倍率画像選択部327)を含む。そして、図12に示すように、基準倍率画像選択部は、第j倍率画像(例えばBP1)が記憶部に記憶されている場合に、その第j倍率画像を基準倍率画像として選択する(jはn−1以下の自然数)。マッチング処理部326は、その第j倍率画像を用いてマッチング処理を行う。目標倍率画像選択部325は、最も相関性が高い画像を第k倍率画像(BP2)として選択する(kは2≦k≦nの整数)。記憶部は、その第k倍率画像を記憶する。そして、基準倍率画像選択部は、次のマッチング処理に用いられる基準倍率画像として、その第k倍率画像(BP2)を選択する。
【0079】
このようにすれば、マッチング処理を繰り返すことで、撮像画像から目標倍率画像を順次選択できる。また、基準倍率画像とマッチング対象画像を順次選択することで、マッチング処理を共通化できる。
【0080】
また本実施形態では、図9に示すように、画像選択部は、マッチング対象画像の中からマッチング対象領域を抽出する領域抽出部323を有する。そして、倍率補正部324は、そのマッチング対象領域を所定倍率で縮小し、マッチング処理部326は、その縮小されたマッチング対象領域と基準倍率画像とのマッチング処理を行う。
【0081】
このようにすれば、マッチング処理に適した領域を抽出してマッチング処理を行うことができる。これによりマッチング精度を向上できる。例えば、画像の中央部を抽出すれば、光学系による像歪みの影響を軽減できる。
【0082】
なお上記実施形態では、低倍率側の画像を縮小してマッチング処理を行う場合について説明したが、本実施形態では、高倍率側の画像を拡大してマッチング処理を行ってもよい。すなわち、画像処理装置は、第1〜第n倍率画像の中の基準倍率画像(例えばBP1)を所定倍率(4倍)で拡大する倍率補正部と、その拡大された基準倍率画像と、マッチング対象画像(FP3〜FP5)とのマッチング処理を行うマッチング処理部と、を含んでもよい。
【0083】
また本実施形態では、図13に示すように、領域検出部は、検出対象画像選択部(第1画像選択部331)と、基準画像選択部(第2画像選択部)と、倍率補正部334と、マッチング処理部335を含む。そして、図15に示すように、検出対象画像選択部は、第1〜第n倍率画像(BP1〜BP4)の中から検出対象画像(例えばBP4)を選択する。基準画像選択部は、第1〜第n倍率画像の中から基準画像(BP3)を選択する。倍率補正部は、検出対象画像を基準画像の倍率に縮小する(1/4倍する)。そして、マッチング処理部335は、その縮小された検出対象画像(TP4)と基準画像(BP3)とのマッチング処理を行う。
【0084】
このようにすれば、目標倍率画像の各階層において画像間の位置検出を行うことができる。また、検出対象画像を基準画像の倍率に縮小してマッチング処理することで、倍率の異なる画像間においてマッチング処理が可能になる。
【0085】
また本実施形態では、図13に示すように、領域検出部は、繰り返し制御部(倍率・抽出領域制御部336)を含む。そして、繰り返し制御部は、マッチング処理と、マッチング処理に用いられた基準画像を次のマッチング処理に用いられる検出対象画像として選択する処理と、その検出対象画像の次に低倍率の画像を第1〜第n倍率画像の中から次のマッチング処理に用いられる基準画像として選択する処理とを繰り返す。
【0086】
具体的には、図15に示すように、検出対象画像選択部は、検出対象画像として第m倍率画像(例えばBP4)を選択する。基準画像選択部は、基準画像として第m倍率画像(BP4)の次に低倍率の第p倍率画像(BP3)を選択する。マッチング処理部335は、第m倍率画像(BP4)に対応する第p倍率画像(BP3)上の領域(F1)を検出する。そして、検出対象画像選択部は、次のマッチング処理に用いられる検出対象画像として、第p倍率画像(BP3)を選択する。基準画像選択部は、次のマッチング処理に用いられる基準画像として、第p倍率画像(BP3)の次に低倍率である第q倍率画像(BP2)を選択する。
【0087】
このようにすれば、目標倍率画像の各階層の位置検出を繰り返して、第1倍率画像における現在の撮影領域を検出できる。また、基準画像と検出対象画像を順次選択することで、マッチング処理を共通化できる。
【0088】
また本実施形態では、図13に示すように、領域検出部は領域抽出部333を含む。そして、図15に示すように、領域抽出部333は、第m倍率画像(BP4)に対応する第p倍率画像(BP3)上の領域(F1)を含む周辺領域(F2)を第p倍率画像(BP3)から抽出し、次のマッチング処理に用いる検出対象画像として設定する。
【0089】
このようにすれば、テンプレート画像が小さくなりすぎてマッチング精度が低下してしまうことを抑制できる。
【0090】
また本実施形態では、図8に示すように、第1倍率画像(D2)と、第n倍率画像に対応する領域を表す識別情報(D3)を表示する制御を行う表示制御部(図7に示す合成部350)を含む。
【0091】
また本実施形態では、表示制御部は、第1倍率画像(D2)において観察のターゲットとなるターゲット領域を表す識別情報(D4)を表示する制御を行う。
【0092】
また本実施形態では、画像取得部(画像構成処理部310)は、観察対象物を撮像することにより得られた一連の動画画像を取得する。表示制御部(合成部350)は、その一連の動画画像を第1の表示領域(D1)に表示する制御を行う。そして、第2の表示領域(D2)には、第1の表示領域に表示される動画画像よりも低倍率の画像であって、一連の動画画像の中から選択された動画画像が、低倍率画像(第1倍率画像)として表示される。第2の表示領域(D2)には、第1の表示領域(D1)に表示される動画画像に対応する低倍率画像上の領域を表す情報であって、一連の動画画像の視野範囲の移動に応じて低倍率画像上を移動する識別情報(D3)が表示される。
【0093】
このようにすれば、現在の撮影領域を低倍率画像上に表示できる。これにより、撮影領域がターゲットからずれた場合であっても現在の撮影領域の位置を知ることができる。また、ターゲット領域を表示することで、ターゲットをすばやく視野に戻すことができる。
【0094】
6.内視鏡装置の第2の構成例
本実施形態では、上述のマッチング処理の結果を用いてスコープ先端を曲げ、観察対象を自動的に視野範囲に導入してもよい。また本実施形態では、白色光だけでなく狭帯域光により撮影を行い、その狭帯域光画像を用いてマッチング処理を行ってもよい。
【0095】
図16に、このような内視鏡装置の第2の構成例を示す。この内視鏡装置は、光源部100と、撮像部200と、制御装置300と、表示部400と、外部I/F部500を含む。なお、図4等で上述の構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、以下では適宜説明を省略する。
【0096】
光源部100は、白色光と狭帯域光を出力する。この光源部100は、白色光源101と、回転色フィルタ102と、回転駆動部103と、集光レンズ104を含む。
【0097】
図17に回転色フィルタ102の詳細な構成例を示す。この回転色フィルタ102は、白色光の分光透過率を示す色フィルタ801と、特殊光としての狭帯域の分光透過率を示す色フィルタ802と、回転モータ803とから構成されている。図18に示すように、色フィルタ801は、例えば波長380nm〜650nmの光を透過する分光特性を有している。図19に示すように、色フィルタ802は、波長390nm〜445nm(B2)と、波長530nm〜550nm(G2)の光を透過する分光特性を有している。
【0098】
回転駆動部103は、制御装置300の制御部302からの制御信号に基づいて、撮像素子209の撮像期間と同期して回転色フィルタ102を所定回転数で回転させる。例えば、色フィルタを1秒間に30回転させると、各色フィルタは60分の1秒間隔で入射白色光を横切る。そして、撮像素子209は、60分の1秒間隔で白色光と特殊光(NBI)に対する反射光の画像データの撮像と転送を完了する。
【0099】
撮像部200は、ライトガイドファイバ201と、照明レンズ202と、対物レンズ203と、可変絞り制御部204と、可変絞り部205と、焦点位置制御部206と、焦点位置調整レンズ207と、撮像素子209と、A/D変換部210を含む。
【0100】
撮像素子209は、カラー撮像可能な撮像素子であり、例えばベイヤ配列の原色単板撮像素子により構成される。あるいは、撮像素子209は、補色単板撮像素子により構成されてもよい。
【0101】
制御装置300は、画像処理部301と、制御部302と、先端湾曲駆動部303を含む。制御部302は、図4等で上述の制御に加え、さらに先端湾曲駆動部303の制御と後述するAF制御部360の制御を行う。また、制御部302は、回転色フィルタ102の構成に応じた制御を行う。
【0102】
図20に、画像処理部301の第2の詳細な構成例を示す。この画像処理部301は、画像構成処理部310、目標倍率画像群選択部320、異倍率画像間位置決定部330、表示情報生成部340、合成部350、AF制御部360を含む。この画像処理部301は、図7で上述の構成要素に加え、さらにAF制御部360を含んでいる。
【0103】
AF制御部360は、撮像部200に対してオートフォーカス制御を行う。具体的には、AF制御部360は、コントラスト法等によりオートフォーカス制御を行い、焦点位置制御部206を制御して被写体像を合焦させる。
【0104】
図21に、撮像部200(スコープ)の先端部を模式的に示す。撮像部200は、表示画像の横方向(水平走査方向)に先端を湾曲させるためのワイヤ1001,1003と、表示画像の縦方向(垂直方向)に先端を湾曲させるためのワイヤ1002,1004を含む。例えば、左右方向に角度θだけ湾曲させるには、ワイヤ1001,1003を所定量Nだけ押し引きする。また、上下方向に角度θだけ湾曲させるには、ワイヤ1002と1004を所定量Nだけ押し引きする。
【0105】
図22に、白色光画像と特殊光画像の撮像タイミングについて模式的に示す。図22に示すように、光源部100の回転色フィルタ102が回転することで、白色光と特殊光(NBI)を時分割に照明する。そして、撮像素子209が白色光画像と特殊光画像を交互に撮像し、A/D変換部210がA/D変換し、画像構成処理部310が白色光画像と特殊光画像を出力する。画像構成処理部310は、特殊光画像を目標倍率画像群選択部320へ出力し、白色光画像と特殊光画像を合成部350へ出力する。そして、目標倍率画像群選択部320と異倍率画像間位置決定部330は、特殊光画像を用いてマッチング処理を行う。
【0106】
このようにすれば、白色光画像よりも血管コントラストが高い画像である特殊光画像(NBI)を用いてマッチング処理できる。これにより、マッチング精度を向上できる。
【0107】
7.AF制御部
図23に、AF制御部360の詳細な構成例を示す。AF制御部360は、領域抽出部361、コントラスト算出部362、レンズ移動量算出部363、合焦画像選択部364を含む。
【0108】
領域抽出部361は、制御部302から入力されたAFエリア情報に基づいて、入力画像である特殊光画像の指定AFエリアを抽出し、その指定AFエリアの画像をコントラスト算出部362へ出力する。
【0109】
コントラスト算出部362は、抽出されたAFエリア内の例えばG信号の最大値と最小値の差分値をコントラスト値として算出する。算出したコントラスト値は、コントラスト算出部362が有する図示しないメモリに時系列データとして複数フレーム分保存される。例えば、複数フレームは少なくとも3フレームである。そして、そのメモリに格納されている複数フレームのコントラスト値は、レンズ移動量算出部363に出力される。
【0110】
レンズ移動量算出部363は、図示しないメモリを有し、そのメモリには、焦点位置調整レンズ207の現在の調整位置が保存されている。レンズ移動量算出部363は、入力される複数フレームのコントラスト値と対応付けられた調整位置から、合焦位置となる調整位置(レンズ調整位置)を算出し、その調整位置を制御部302に出力する。制御部302は、算出された調整位置を焦点位置制御部206に出力する。焦点位置制御部206は、算出された調整位置に基づいて焦点位置調整レンズ207を移動させる。このようにして、オートフォーカスが可能となる。なお、コントラスト値とレンズ調整位置の対応付けは、例えばコントラスト値を参照してレンズ調整位置を出力するルックアップテーブルにより実現される。
【0111】
合焦画像選択部364には、コントラスト算出部からのコントラスト値が入力される。合焦画像選択部364は、コントラスト値を閾値判定し、現在処理したフレームが後述するAFエリア1100で合焦しているかを判定し、フレーム画像を目標倍率画像群選択部320に出力するか否かを選択する。合焦画像選択部364は、合焦と判定した場合には、フレーム画像を出力し、非合焦と判定した場合にはフレーム画像を出力しない。すなわち、目標倍率画像群選択部320へ入力される動画像は、画像構成処理部310からではなく、AF制御部360を経由して合焦判定された特殊光画像のみが入力される。
【0112】
次に、AF制御部の動作について説明する。AF制御部360には、画像構成処理部310から出力される特殊光画像が入力される。図24に示すように、ユーザ指定により決定されたAFエリア1100が制御部302から入力される。
【0113】
例えば、AFエリア1100の指定は、複数のAFエリアAFAの中から観察対象Tgに近いAFエリアをユーザが選択することで行われる。例えば、図10に示すズーム操作ノブ501を所定方向に動かして近接拡大観察モードを選択した場合に、表示部400にAFエリア指定画面が表示され、ユーザがAFエリアを選択する。このAFエリア指定画面の生成は合成部350が行なう。
【0114】
なお、ユーザ選択は、例えばズーム操作ノブ501を所定方向に動かして一定時間以上保持することでAFエリアの選択移動を行ない、その保持を止めることで選択決定されるようにしてもよい。あるいは、キーボードのカーソル移動キーを使用して移動と選択を行ってもよい。あるいは、表示部400がタッチパネル式の表示装置である場合、AFエリアを直接指で指定してもよい。
【0115】
8.先端湾曲駆動部
図25に、先端湾曲駆動部303の詳細な構成例を示す。この先端湾曲駆動部303は、距離情報取得部371、ずれ情報取得部372、角度算出部373、駆動情報出力部374、ワイヤ駆動部375、現在位置情報取得部376を含む。
【0116】
距離情報取得部371は、視点方向に沿ったスコープ先端から被写体までの距離情報をAF制御部360から取得する。例えば、AF制御部360は、ルックアップテーブル等を用いてレンズの調整位置から距離情報を求め、その距離情報を距離情報取得部371に出力する。
【0117】
現在位置情報取得部376は、異倍率画像間位置決定部330から現在位置情報を取得する。現在位置情報は、例えば図14に示すように、画像BP1における現在の撮影領域BP4’の位置情報である。
【0118】
ずれ情報算出部372は、現在の撮影領域から観察対象までの距離情報(ずれ情報、変位情報)を算出する。具体的には、ずれ情報算出部372には、現在位置情報とターゲット位置情報が入力される。例えば図14に示すように、ずれ情報算出部372は、領域BP4’とターゲット領域Tgとの間の画像BP1上での距離を算出し、その距離と光学的な像倍率から被写体上での距離を算出する。光学的な像倍率は、画像BP1撮影時の像倍率であり、光学系の設計情報に基づいて予め設定されている。
【0119】
角度算出部373は、距離情報とずれ情報に基づいて、スコープ先端の曲げ角度を表す角度情報を算出する。具体的には、スコープ先端から被写体までの距離と、現在の撮影領域から観察対象までの距離を用いて、現在の視点方向と観察対象に向かう視点方向との間の角度を求める。
【0120】
駆動情報出力部374は、角度情報に基づいて、スコープ先端を駆動するためのワイヤの長さの調整量を駆動情報として出力する。具体的には、駆動情報出力部374は、ターゲット位置に撮像部200の先端部を戻すために必要な横方向の湾曲角度θhと縦方向の湾曲角度θvを算出する。湾曲角度θhは、画像の水平走査方向に視点方向を移動させる角度であり、湾曲角度θvは、画像の垂直方向に視点方向を移動させる角度である。駆動情報出力部374は、湾曲角度θh,θvに基づいて、図21に示す4本のワイヤ1001、1002、1003、1004の押し引き量Nh,Nvを算出する。そして、駆動情報出力部374は、ワイヤが連結している図示しないアングルノブの回転軸を回転駆動するモータを制御して、上記押し引き量Nh,Nvでワイヤを調整する。このようにして、ユーザが観察したい観察対象領域を常に視野内にフレーミングし続けることが可能となる。
【0121】
上記のように本実施形態では、目標倍率画像群選択部320のマッチング処理部326は、マッチング対象画像(例えば図12に示すFP3〜FP5)及び基準倍率画像(BP1)として、特定の生体構造が強調された画像を用いてマッチング処理を行う。また、異倍率画像間位置決定部330のマッチング処理部335は、検出対象画像(図15に示すBP4)及び基準画像(BP3)として、特定の生体構造が強調された画像を用いてマッチング処理を行う。
【0122】
具体的には、特定の生体構造は、血管走行の構造(血管走行パターン)である。あるいは、特定の生体構造は、粘膜表層の構造(粘膜表層の微細な構造、ピットパターン)であってもよい。
【0123】
このようにすれば、特定の生体構造が強調された画像を用いることで、マッチング精度を向上できる。
【0124】
また本実施形態では、画像取得部(図7に示す画像構成処理部310)は、特定の波長帯域における情報を有した被写体像を含む特殊光画像を取得する図示しない特殊光画像取得部を有する。そして、特定の生体構造が強調された画像は、特殊光画像である。
【0125】
具体的には、特定の波長帯域は、白色の波長帯域(例えば380nm〜650nm)よりも狭い帯域である(NBI:Narrow Band Imaging)。例えば、特殊光画像は、生体内を写した生体内画像であり、その生体内画像に含まれる特定の波長帯域は、血液中のヘモグロビンに吸収される波長の波長帯域である。例えば、このヘモグロビンに吸収される波長は、390nm〜445nm(狭帯域光のB2成分)、または530nm〜550nm(狭帯域光のG2成分)である。
【0126】
これにより、生体の表層部及び、深部に位置する血管の構造を観察することが可能になる。また得られた信号を特定のチャンネル(G2→R、B2→G,B)に入力することで、扁平上皮癌等の通常光では視認が難しい病変などを褐色等で表示することができ、病変部の見落としを抑止することができる。なお、390nm〜445nmまたは530nm〜550nmとは、ヘモグロビンに吸収されるという特性及び、それぞれ生体の表層部または深部まで到達するという特性から得られた数字である。ただし、この場合の波長帯域はこれに限定されず、例えばヘモグロビンによる吸収と生体の表層部又は深部への到達に関する実験結果等の変動要因により、波長帯域の下限値が0〜10%程度減少し、上限値が0〜10%程度上昇することも考えられる。
【0127】
また本実施形態では、図25に示すように、内視鏡装置は、駆動情報出力部374と、ターゲット領域設定部(制御部302)と、現在位置情報取得部376を含む。そして、ターゲット領域設定部は、観察のターゲットとなるターゲット領域(Tg)を設定する。現在位置情報取得部は、第n倍率画像(BP4)に対応する第1倍率画像(BP1)上の領域(BP4’)の位置情報を現在位置情報として取得する。駆動情報出力部374は、ターゲット領域の位置情報と現在位置情報に基づいて駆動情報を出力する。
【0128】
具体的には、内視鏡装置は、第1距離情報取得部(距離情報取得部371)と、第2距離情報算出部(ズレ情報算出部372)と、角度算出部373を含む。そして、第1距離情報取得部は、撮像部から被写体までの距離を表す第1距離情報を取得する。第2距離情報算出部は、撮像領域からターゲット領域までの被写体上での距離を表す第2距離情報を算出する。角度算出部373は、第1,第2距離情報から、角度θを表す角度情報を算出する。駆動情報出力部374は、その角度情報に基づいて駆動情報を出力する。
【0129】
より具体的には、図21に示すように、撮像部200は、ワイヤ1001〜1004を有する内視鏡スコープである。この場合、駆動情報は、そのワイヤ1001〜1004の長さの調整量を表す情報である。そして、撮像部200の視野範囲は、その調整量に基づくワイヤ1001〜1004の長さの調整により移動される。
【0130】
このようにすれば、スコープの撮影領域がターゲットからずれた場合でも、スコープ先端をターゲットの方向に曲げることができる。これにより、ターゲットを自動的に視野範囲に導入できる。
【0131】
また、本実施形態では、図16に示すように、撮像部200はオートフォーカス部(焦点位置制御部206)を含む。また、撮像部200は、可変絞り部205と、観察対象物を複数の異なる倍率で拡大して撮像する場合に倍率が低いほど可変絞り部205を絞る制御を行う可変絞り制御部204と、を含む。また、可変絞り制御部204は、撮像部200の撮像倍率が所定倍率以上(拡大撮影モード)となった場合に可変絞り部205を開ける制御を行う。
【0132】
このようにすれば、AFにより自動的に合焦できるため病変診断時間を短縮できる。また、絞り制御を行うことで、通常観察モードにおいてパンフォーカスで撮影し、拡大観察モードにおいて高解像度で撮影できる。
【0133】
9.ソフトウェア
上記の本実施形態では、画像処理部301を構成する各部をハードウェアで構成することとしたが、これに限定されるものではない。例えば、撮像装置により取得された画像に対して、CPUが各部の処理を行う構成とし、CPUがプログラムを実行することによってソフトウェアとして実現することとしてもよい。あるいは、各部が行う処理の一部をソフトウェアで構成することとしてもよい。
【0134】
画像処理部301の各部が行う処理をソフトウェアとして実現する場合には、例えばワークステーションやパソコン等の公知のコンピュータシステムを画像処理装置として用いることができる。そして、画像処理部301の各部が行う処理を実現するためのプログラム(画像処理プログラム)を予め用意し、この画像処理プログラムをコンピュータシステムのCPUが実行することによって実現できる。
【0135】
図26は、本変形例におけるコンピュータシステム600の構成を示すシステム構成図であり、図27は、このコンピュータシステム600における本体部610の構成を示すブロック図である。図26に示すように、コンピュータシステム600は、本体部610と、本体部610からの指示によって表示画面621に画像等の情報を表示するためのディスプレイ620と、このコンピュータシステム600に種々の情報を入力するためのキーボード630と、ディスプレイ620の表示画面621上の任意の位置を指定するためのマウス640とを備える。
【0136】
また、このコンピュータシステム600における本体部610は、図27に示すように、CPU611と、RAM612と、ROM613と、ハードディスクドライブ(HDD)614と、CD−ROM660を受け入れるCD−ROMドライブ615と、USBメモリ670を着脱可能に接続するUSBポート616と、ディスプレイ620、キーボード630およびマウス640を接続するI/Oインターフェース617と、ローカルエリアネットワークまたは広域エリアネットワーク(LAN/WAN)N1に接続するためのLANインターフェース618を備える。
【0137】
さらに、このコンピュータシステム600には、インターネット等の公衆回線N3に接続するためのモデム650が接続されるとともに、LANインターフェース618およびローカルエリアネットワークまたは広域エリアネットワークN1を介して、他のコンピュータシステムであるパソコン(PC)681、サーバ682、プリンタ683等が接続される。
【0138】
そして、このコンピュータシステム600は、所定の記録媒体に記録された画像処理プログラム(例えば図28〜図30)を参照して、後述する処理手順を実現するための画像処理プログラムを読み出して実行することで画像処理装置を実現する。ここで、所定の記録媒体とは、CD−ROM660やUSBメモリ670の他、MOディスクやDVDディスク、フレキシブルディスク(FD)、光磁気ディスク、ICカード等を含む「可搬用の物理媒体」、コンピュータシステム600の内外に備えられるHDD614やRAM612、ROM613等の「固定用の物理媒体」、モデム650を介して接続される公衆回線N3や、他のコンピュータシステム(PC)681またはサーバ682が接続されるローカルエリアネットワークまたは広域エリアネットワークN1等のように、プログラムの送信に際して短期にプログラムを記憶する「通信媒体」等、コンピュータシステム600によって読み取り可能な画像処理プログラムを記録するあらゆる記録媒体を含む。
【0139】
すなわち、画像処理プログラムは、「可搬用の物理媒体」「固定用の物理媒体」「通信媒体」等の記録媒体にコンピュータ読み取り可能に記録されるものであり、コンピュータシステム600は、このような記録媒体から画像処理プログラムを読み出して実行することで画像処理装置を実現する。なお、画像処理プログラムは、コンピュータシステム600によって実行されることに限定されるものではなく、他のコンピュータシステム(PC)681またはサーバ682が画像処理プログラムを実行する場合や、これらが協働して画像処理プログラムを実行するような場合にも、本発明を同様に適用することができる。
【0140】
各部が行う処理の一部をソフトウェアで構成する場合の一例として、撮像装置により取得された画像に対して、画像処理部301の処理をソフトウェアで実現する場合の処理手順を、図28〜図30のフローチャートを用いて説明する。撮像装置により取得された画像は、例えば、A/D変換部210が出力する画像である。
【0141】
図28に示すように、この処理が開始されると、撮像画像を取得し(ステップS1)、目標倍率画像を選択する処理を行う(ステップS2)。次に、目標倍率画像間のマッチング処理を行って、1倍の画像における最大倍率の画像の位置を検出する処理を行う(ステップS3)。次に、観察位置を表示する制御を行い(ステップS4)、スコープ先端を駆動する制御を行う(ステップS5)。次に、拡大観察モードが終了したら処理を終了する(ステップS6、YES)。拡大観察モードが継続していれば(ステップS6、NO)、最大倍率画像を更新し(ステップS7)、ステップS3〜S6を繰り返す。
【0142】
図29に、目標倍率画像選択処理の詳細なフローチャートを示す。この処理が開始されると、撮像画像から1倍の目標倍率画像を取得する(ステップS20)。次に、目標倍率画像から第1画像を選択する(ステップS21)。第1画像は、マッチング処理の基準となる参照倍率画像である。次に、撮像画像から第2画像を選択し(ステップS22)、領域抽出を行い(ステップS23)、抽出した領域の画像サイズを倍率補正してテンプレート画像を生成する(ステップS24)。次に、参照倍率画像とテンプレート画像をマッチング処理する(ステップS25)。相関値が最小値でない場合には(ステップS26、NO)、ステップS22〜S25を繰り返す。相関値が最小値となった場合には(ステップS26、YES)、その第2画像を目標倍率画像として選択する(ステップS27)。最大倍率の目標倍率画像まで選択が完了していなければ(ステップS28、NO)、ステップS21〜S27を繰り返す。最大倍率の目標倍率画像まで選択が完了したら、処理を終了する(ステップS28、YES)。
【0143】
図30に、領域検出処理の詳細なフローチャートを示す。この処理が開始されると、目標倍率画像から基準画像を選択し(ステップS40)、目標倍率画像から検出対象画像を選択する(ステップS41)。次に、検出対象画像から領域抽出を行い(ステップS42)、抽出した領域の画像サイズを倍率補正してテンプレート画像を生成する(ステップS43)。次に、基準画像とテンプレート画像をマッチング処理する(ステップS44)。最大倍率の目標倍率画像までマッチング処理が完了していなければ(ステップS45、NO)、ステップS40〜S44を繰り返す。最大倍率の目標倍率画像までマッチング処理が完了したら、処理を終了する(ステップ45、YES)。
【0144】
また本実施形態は、本実施形態の各部(画像構成処理部、目標倍率画像群選択部、異倍率画像間位置決定部、表示情報生成部、合成部、AF制御部等)を実現するプログラムコードが記録されたコンピュータプログラムプロダクトにも適用できる。
【0145】
コンピュータプログラムプロダクトは、例えば、プログラムコードが記録された情報記憶媒体(DVD等の光ディスク媒体、ハードディスク媒体、メモリ媒体等)、プログラムコードが記録されたコンピュータ、プログラムコードが記録されたインターネットシステム(例えば、サーバとクライアント端末を含むシステム)など、プログラムコードが組み込まれた情報記憶媒体、装置、機器或いはシステム等である。この場合に、本実施形態の各構成要素や各処理プロセスは各モジュールにより実装され、これらの実装されたモジュールにより構成されるプログラムコードは、コンピュータプログラムプロダクトに記録される。
【0146】
以上、本発明を適用した実施形態およびその変形例について説明したが、本発明は、各実施形態やその変形例そのままに限定されるものではなく、実施段階では、発明の要旨を逸脱しない範囲内で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記した各実施形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明を形成することができる。例えば、各実施形態や変形例に記載した全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態や変形例で説明した構成要素を適宜組み合わせてもよい。このように、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能である。
【0147】
また、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語(撮像部、特殊光、変位等)と共に記載された用語(スコープ、狭帯域光、ずれ等)は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。
【符号の説明】
【0148】
10 観察対象領域、100 光源部、101 白色光源、102 回転色フィルタ、
103 回転駆動部、104 集光レンズ、200 撮像部、
201 ライトガイドファイバ、202 照明レンズ、203 対物レンズ、
204 可変絞り制御部、205 可変絞り部、206 焦点位置制御部、
207 焦点位置調整レンズ、209 撮像素子、210 A/D変換部、
300 制御装置、301 画像処理部、302 制御部、
303 先端湾曲駆動部、310 画像構成処理部、320 目標倍率画像群選択部、
321 フレームメモリ、322 画像選択部、323 領域抽出部、
324 倍率補正部、325 目標倍率画像選択部、326 マッチング処理部、
327 参照倍率画像選択部、328 フレームメモリ、
329 目標倍率画像選択制御部、330 異倍率画像間位置決定部、
331 第1画像選択部、332 第2画像選択部、333 領域抽出部、
334 倍率補正部、335 マッチング処理部、336 倍率・抽出領域制御部、
340 表示情報生成部、350 合成部、360 AF制御部、
361 領域抽出部、362 コントラスト算出部、363 レンズ移動量算出部、
364 合焦画像選択部、371 距離情報取得部、372 ズレ情報算出部、
373 角度算出部、374 駆動情報出力部、375 ワイヤ駆動部、
376 現在位置情報取得部、400 表示部、500 外部I/F部、
501 ズーム操作ノブ、600 コンピュータシステム、
601〜603 色フィルタ、610 本体部、611 CPU、612 RAM、
613 ROM、614 HDD、615 CD−ROMドライブ、
616 USBポート、617 I/Oインターフェース、
618 LANインターフェース、620 ディスプレイ、621 表示画面、
630 キーボード、640 マウス、650 モデム、660 CD−ROM、
670 USBメモリ、681 PC、682 サーバ、683 プリンタ、
801,802 色フィルタ、803 回転モータ、1001〜1004 ワイヤ、
AFA AFエリア、FP2 フレーム画像、KP3 テンプレート画像、
BP1〜BP4 目標倍率画像、TP4 テンプレート画像、Tg 観察対象、
θ 角度、N1 広域エリアネットワーク、N3 公衆回線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察対象物を複数の異なる倍率で拡大して撮像することにより得られた複数の画像を取得する画像取得部と、
前記複数の画像の中から、各画像間の倍率が相対的に異なる第1〜第n倍率画像(nは、n≧2の自然数)を選択する画像選択部と、
前記第1〜第n倍率画像の中から、基準画像と前記基準画像より高倍率の検出対象画像を選択し、前記検出対象画像に対応する前記基準画像上の領域を検出して、前記検出対象画像を前記領域に対応付ける領域検出部と、
を含むことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1〜第n倍率画像の中の第i倍率画像が、前記第1〜第n倍率画像の中の第i−1倍率画像よりも高倍率の画像である場合に、
前記領域検出部は、
前記第i−1倍率画像を前記基準画像として選択し、前記第i倍率画像を前記検出対象画像として選択し、前記第i倍率画像に対応する前記第i−1倍率画像上の領域を順次検出していくことで、前記第n倍率画像に対応する前記第1倍率画像上の領域を検出することを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記画像選択部は、
前記複数の画像の中のマッチング対象画像を所定倍率で縮小する倍率補正部と、
前記縮小されたマッチング対象画像と、前記第1〜第n倍率画像の中の基準倍率画像とのマッチング処理を行うマッチング処理部と、
前記マッチング処理において最も相関性が高い画像を前記複数の画像の中から選択する目標倍率画像選択部と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記画像選択部は、
前記マッチング処理と、前記マッチング処理において最も相関性が高い画像を選択する処理と、前記選択された最も相関性が高い画像を次のマッチング処理に用いられる基準倍率画像として選択する処理とを繰り返す制御を行う繰り返し制御部を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項3において、
前記画像選択部は、
前記第1〜第n倍率画像を記憶する記憶部と、
前記基準倍率画像を選択する基準倍率画像選択部と、
を有し、
前記基準倍率画像選択部は、
前記記憶部に、前記第1〜第n倍率画像の中の第j倍率画像が記憶されている場合に、前記第j倍率画像を前記基準倍率画像として選択し、
前記マッチング処理部は、
前記第j倍率画像を用いて前記マッチング処理を行い、
前記目標倍率画像選択部は、
前記最も相関性が高い画像を、前記第1〜第n倍率画像の中の第k倍率画像として選択し、
前記記憶部は、
前記第k倍率画像を記憶することを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記基準倍率画像選択部は、
次のマッチング処理に用いられる前記基準倍率画像として、前記第k倍率画像を選択することを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
請求項3において、
前記画像選択部は、
前記マッチング対象画像の中からマッチング対象領域を抽出する領域抽出部を有し、
前記倍率補正部は、
前記マッチング対象領域を前記所定倍率で縮小し、
前記マッチング処理部は、
前記縮小されたマッチング対象領域と、前記基準倍率画像とのマッチング処理を行うことを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
請求項3において、
前記マッチング処理部は、
前記マッチング対象画像及び前記基準倍率画像として、特定の生体構造が強調された画像を用いて前記マッチング処理を行うことを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記特定の生体構造は、
血管走行の構造であることを特徴とする画像処理装置。
【請求項10】
請求項8において、
前記特定の生体構造は、
粘膜表層の構造であることを特徴とする画像処理装置。
【請求項11】
請求項8において、
前記画像取得部は、
特定の波長帯域における情報を有した被写体像を含む特殊光画像を取得する特殊光画像取得部を有し、
前記特定の生体構造が強調された画像は、
前記特殊光画像であることを特徴とする画像処理装置
【請求項12】
請求項11において、
前記特定の波長帯域は、
白色の波長帯域よりも狭い帯域であることを特徴とする画像処理装置。
【請求項13】
請求項12において、
前記特殊光画像は生体内を写した生体内画像であり、
前記生体内画像に含まれる前記特定の波長帯域は、血液中のヘモグロビンに吸収される波長の波長帯域であることを特徴とする画像処理装置。
【請求項14】
請求項13において、
前記特定の波長帯域は、390nm〜445nm、または530nm〜550nmであることを特徴とする画像処理装置。
【請求項15】
請求項1において、
前記画像選択部は、
前記第1〜第n倍率画像の中の基準倍率画像を所定倍率で拡大する倍率補正部と、
前記拡大された基準倍率画像と、前記複数の画像の中のマッチング対象画像とのマッチング処理を行うマッチング処理部と、
前記マッチング処理において最も相関性が高い画像を前記複数の画像の中から選択する目標倍率画像選択部と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項16】
請求項1において、
前記領域検出部は、
前記第1〜第n倍率画像の中から前記検出対象画像を選択する検出対象画像選択部と、
前記第1〜第n倍率画像の中から前記基準画像を選択する基準画像選択部と、
前記検出対象画像を前記基準画像の倍率に縮小する倍率補正部と、
前記縮小された検出対象画像と、前記基準画像とのマッチング処理を行うマッチング処理部と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項17】
請求項16において、
前記領域検出部は、
前記マッチング処理と、前記マッチング処理に用いられた前記基準画像を次のマッチング処理に用いられる検出対象画像として選択する処理と、前記次のマッチング処理に用いられる検出対象画像の次に低倍率の画像を前記第1〜第n倍率画像の中から次のマッチング処理に用いられる基準画像として選択する処理とを繰り返す制御を行う繰り返し制御部を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項18】
請求項16において、
前記検出対象画像選択部は、
前記検出対象画像として、前記第1〜第n倍率画像の中の第m倍率画像を選択し、
前記基準画像選択部は、
前記基準画像として、前記第1〜第n倍率画像の中から前記第m倍率画像の次に低倍率の第p倍率画像を選択し、
前記マッチング処理部は、
前記第m倍率画像に対応する前記第p倍率画像上の領域を検出することを特徴とする画像処理装置。
【請求項19】
請求項18において、
前記検出対象画像選択部は、
次のマッチング処理に用いられる検出対象画像として、前記第p倍率画像を選択し、
前記基準画像選択部は、
前記次のマッチング処理に用いられる基準画像として、前記第1〜第n倍率画像の中から、前記第p倍率画像の次に低倍率である第q倍率画像を選択することを特徴とする画像処理装置。
【請求項20】
請求項18において、
前記領域検出部は、
前記第m倍率画像に対応する前記第p倍率画像上の領域を含む周辺領域を前記第p倍率画像から抽出し、次のマッチング処理に用いる検出対象画像として設定する領域抽出部を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項21】
請求項16において、
前記マッチング処理部は、
前記検出対象画像及び前記基準画像として、特定の生体構造が強調された画像を用いて前記マッチング処理を行うことを特徴とする画像処理装置。
【請求項22】
請求項21において、
前記特定の生体構造は、
血管走行の構造であることを特徴とする画像処理装置。
【請求項23】
請求項21において、
前記特定の生体構造は、
粘膜表層の構造であることを特徴とする画像処理装置。
【請求項24】
請求項21において、
前記画像取得部は、
特定の波長帯域における情報を有した被写体像を含む特殊光画像を取得する特殊光画像取得部を有し、
前記特定の生体構造が強調された画像は、
前記特殊光画像であることを特徴とする画像処理装置
【請求項25】
請求項24において、
前記特定の波長帯域は、
白色の波長帯域よりも狭い帯域であることを特徴とする画像処理装置。
【請求項26】
請求項25において、
前記特殊光画像は生体内を写した生体内画像であり、
前記生体内画像に含まれる前記特定の波長帯域は、血液中のヘモグロビンに吸収される波長の波長帯域であることを特徴とする画像処理装置。
【請求項27】
請求項26において、
前記特定の波長帯域は、390nm〜445nm、または530nm〜550nmであることを特徴とする画像処理装置。
【請求項28】
請求項1に記載の画像処理装置を含むことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項29】
請求項28において、
表示制御部を含み、
前記第1〜第n倍率画像の中の第i倍率画像が、前記第1〜第n倍率画像の中の第i−1倍率画像よりも高倍率の画像である場合に、
前記領域検出部は、
前記第i倍率画像に対応する前記第i−1倍率画像上の領域を順次検出して、前記第n倍率画像に対応する前記第1倍率画像上の領域を検出し、
前記表示制御部は、
前記第1倍率画像と、前記第n倍率画像に対応する領域を表す識別情報を表示する制御を行うことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項30】
請求項29において、
前記表示制御部は、
前記第1倍率画像において観察のターゲットとなるターゲット領域を表す識別情報を表示する制御を行うことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項31】
請求項28において、
駆動情報出力部と、
ターゲット領域設定部と、
現在位置情報取得部と、
を含み、
前記第1〜第n倍率画像の中の第i倍率画像が、前記第1〜第n倍率画像の中の第i−1倍率画像よりも高倍率の画像である場合に、
前記領域検出部は、
前記第i倍率画像に対応する前記第i−1倍率画像上の領域を順次検出していくことで、前記第n倍率画像に対応する前記第1倍率画像上の領域を検出し、
前記ターゲット領域設定部は、
前記第1倍率画像において観察のターゲットとなるターゲット領域を設定し、
前記現在位置情報取得部は、
前記第n倍率画像に対応する前記第1倍率画像上の領域の位置情報を現在位置情報として取得し、
前記駆動情報出力部は、
前記ターゲット領域の位置情報と前記現在位置情報に基づいて、前記ターゲット領域を撮像部の視野範囲に入れる駆動を行うための駆動情報を出力することを特徴とする内視鏡装置。
【請求項32】
請求項31において、
前記撮像部から前記観察対象物までの距離を表す第1距離情報を取得する第1距離情報取得部と、
前記ターゲット領域の位置情報と、前記現在位置情報と、前記第1倍率画像の倍率から、前記撮像部の撮像領域から前記ターゲット領域までの距離を表す第2距離情報を算出する第2距離情報算出部と、
前記第1距離情報と前記第2距離情報から、前記撮像部の視野方向と前記ターゲット領域へ向かう方向との間の角度を表す角度情報を算出する角度算出部と、
を含み、
前記駆動情報出力部は、
前記角度情報に基づいて前記駆動情報として出力することを特徴とする内視鏡装置。
【請求項33】
請求項31において、
前記撮像部は、
前記視野範囲を移動させるワイヤを有する内視鏡スコープであり、
前記駆動情報は、
前記ワイヤの長さの調整量を表す情報であり、
前記視野範囲は、
前記調整量に基づく前記ワイヤの長さの調整により移動されることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項34】
請求項28において、
オートフォーカス部を有する撮像部を含むことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項35】
請求項28において、
可変絞り部を有する撮像部と、
前記観察対象物を複数の異なる倍率で拡大して撮像する場合に、倍率が低いほど前記可変絞り部を絞る制御を行う可変絞り制御部と、
を含むことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項36】
請求項28において、
可変絞り部を有する撮像部と、
前記撮像部の撮像倍率が所定倍率以上となった場合に、前記可変絞り部を開ける制御を行う可変絞り制御部と、
を含むことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項37】
観察対象物を複数の異なる倍率で拡大して撮像することにより得られた複数の画像を取得し、
前記複数の画像の中から、各画像で相対的に倍率が異なる第1〜第n倍率画像(nは、n≧2の自然数)を選択し、
前記第1〜第n倍率画像の中から、基準画像と前記基準画像より高倍率の検出対象画像を選択し、
前記検出対象画像に対応する前記基準画像上の領域を検出して、前記検出対象画像を前記領域に対応付けることを特徴とする画像処理方法。
【請求項38】
観察対象物を複数の異なる倍率で拡大して撮像することにより得られた複数の画像を取得する画像取得部と、
前記複数の画像の中から、各画像で相対的に倍率が異なる第1〜第n倍率画像(nは、n≧3の自然数)を選択する画像選択部と、
前記第1〜第n倍率画像の中から、基準画像と前記基準画像より高倍率の検出対象画像を選択し、前記検出対象画像に対応する前記基準画像上の領域を検出して、前記検出対象画像を前記領域に対応付ける領域検出部として、
コンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項39】
観察対象物を撮像することにより得られた一連の動画画像を取得する画像取得部と、
前記一連の動画画像を第1の表示領域に表示する制御を行う表示制御部と、
を含み、
前記表示制御部は、
前記第1の表示領域に表示される動画画像よりも低倍率の画像であって、前記一連の動画画像の中から選択された動画画像を、低倍率画像として第2の表示領域に表示する制御を行い、
前記表示制御部は、
前記第1の表示領域に表示される動画画像に対応する前記低倍率画像上の領域を表す情報であって、前記一連の動画画像の視野範囲の移動に応じて前記低倍率画像上を移動する識別情報を前記第2の表示領域に表示する制御を行うことを特徴とする内視鏡装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−55412(P2012−55412A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−199772(P2010−199772)
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】