説明

画像処理装置、撮像装置、および画像処理方法、並びにプログラム

【課題】複数の画像から切り出した短冊領域を連結して生成した3次元画像表示に適用する左目用合成画像と右目用合成画像の適正を評価する装置および方法を提供する。
【解決手段】合成画像のブロック単位の動きベクトルであるブロック動きベクトルから画像全体の動きを示すグローバル動きベクトルを減算して算出したブロック対応差分ベクトルを解析し、規定閾値以上の大きさを有するブロック対応差分ベクトルを持つブロック面積(S)、またはベクトル長加算値である移動量加算値(L)が予め規定した閾値以上である場合、合成画像の3次元画像としての適正がないと判定する処理を実行し、判定結果に応じた警告出力や記録制御を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、撮像装置、および画像処理方法、並びにプログラムに関する。さらに詳細には、カメラを移動させながら撮影した複数の画像を利用して3次元画像(3D画像)表示用の画像の生成処理を行う画像処理装置、撮像装置、および画像処理方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
3次元画像(3D画像またはステレオ画像とも呼ばれる)を生成するためには、異なる視点からの画像、すなわち左目用画像と右目用画像を撮影することが必要となる。これらの異なる視点からの画像を撮影する方法は大別すると2通りに区分できる。
第1の手法は、複数のカメラユニットを用いて同時に異なる視点から被写体を撮像する、いわゆる多眼式カメラを用いた手法である。
第2の手法は、単一のカメラユニットを用いて撮像装置を移動させて、異なる視点からの画像を連続的に撮像する、いわゆる単眼式カメラを用いた手法である。
【0003】
例えば、上記第1の手法に利用される多眼式カメラシステムは離間した位置にレンズを備え、異なる視点からの被写体を同時に撮影可能とした構成を持つ。しかし、このような多眼式カメラシステムは、複数のカメラユニットが必要なためカメラシステムが高価となるという問題がある。
【0004】
これに対して、上記第2の手法に利用される単眼式カメラシステムは、従来型のカメラと同様の1つのカメラユニットを備えた構成でよい。1つのカメラユニットを備えたカメラを移動させて異なる視点からの画像を連続的に撮影し、複数の撮影画像を利用して3次元画像を生成するものである。
このように、単眼式カメラシステムを利用する場合、従来型のカメラと同様の1つのカメラユニットのみでよく比較的安価なシステムとして実現できる。
【0005】
なお、単眼式カメラを移動しながら撮影した画像から被写体の距離情報を得る手法を開示した従来技術として、非特許文献1[「全方位視野の距離情報獲得」(電子情報通信学会論文誌,D−II,Vol.J74−D−II,No.4,1991)]がある。
【0006】
この非特許文献1は、カメラを回転台上の回転中心から一定距離、離間した円周上に固定して設置し、回転台を回転させながら連続的に画像を撮影して2本の垂直スリットを通して得られる2つの画像を用いて被写体の距離情報を得る手法を開示している。
【0007】
また特許文献1(特開平11−164326号公報)は、非特許文献1の構成と同様、カメラを回転台上の回転中心から一定距離おいて設置して回転させながら画像を撮影し、2本のスリットを通して得られる2つの画像を用いることで、3次元画像表示に適用する左目用のパノラマ画像と右目用のパノラマ画像を取得する構成を開示している。
【0008】
このように、複数の従来技術において、カメラを回転させてスリットを通して得られる画像を用いることで、3次元画像表示に適用する左目用の画像と右目用の画像を取得することが可能であることが開示されている。
【0009】
しかしながら、単眼式のカメラを移動させて順次、画像を撮像する場合、各画像の撮影時刻が異なるという問題がある。例えば、上述のようにカメラを回転させながら画像を撮影して2本のスリットを通して得られる2つの画像を用いて左目用画像と右目用画像を生成した場合、左目用画像と右目用画像に含まれる同一被写体の撮影時刻が異なる場合が発生する。
【0010】
従って、被写体が車や歩行者などの動く被写体、すなわち動被写体であると、動被写体に対して静止物体とは異なる誤った視差量が設定された左目用画像と右目用画像が生成されてしまう。すなわち、動被写体が含まれる場合には正しい奥行き感を持つ3次元画像(3D画像/ステレオ画像)が提供できなくなるという問題が発生する。
さらに、左目用画像と右目用画像を生成する場合、複数の異なる時間の撮影画像の一部(短冊)を切り出して連結する画像合成処理が行われるが、この際、カメラからの距離が遠い被写体と近接した被写体が混在すると画像の連結部分に不連続な部分が発生するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平11−164326号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】「全方位視野の距離情報獲得」(電子情報通信学会論文誌,D−II,Vol.J74−D−II,No.4,1991)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、例えば、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、単眼式のカメラを移動させて順次、画像を撮影し、この撮影画像を利用して3次元画像表示に適用する左目用画像と右目用画像を生成する構成において、3次元画像としての適正を判定する画像処理装置、撮像装置、および画像処理方法、並びにプログラムを提供することを目的とする。
【0014】
例えば、本発明の一実施例構成では、3次元画像としての適正を判定するために撮影画像内の動被写体の検出、あるいはカメラからの距離が遠い被写体と近接した被写体が混在すか否かを検出するために、画像から動きベクトルを解析して3次元画像としての適正を判定する画像処理装置、撮像装置、および画像処理方法、並びにプログラムを提供することを目的とする。
【0015】
さらに、本発明の一実施例構成においては、3次元画像としての適正の判定処理としての画像評価を実行し、評価情報を撮影処理を行ったユーザに提供する処理、あるいは判定結果に応じてメディアに対する記録処理の制御を行う画像処理装置、撮像装置、および画像処理方法、並びにプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の第1の側面は、
異なる位置からの撮影画像各々から切り出した短冊領域の連結処理により生成した3次元画像表示に適用する合成画像の3次元画像としての適正を評価する画像評価部を有し、
前記画像評価部は、
前記合成画像のブロック単位の動きベクトルであるブロック動きベクトルから画像全体の動きを示すグローバル動きベクトルを減算して算出したブロック対応差分ベクトルの解析により合成画像の3次元画像としての適正を評価する処理を実行し、
(1)予め規定した閾値以上の大きさを有するブロック対応差分ベクトルを持つブロックのブロック面積(S)、
(2)予め規定した閾値以上の大きさを有するブロック対応差分ベクトルのベクトル長に相当する移動量の加算値である移動量加算値(L)、
少なくとも前記ブロック面積(S)、または前記移動量加算値(L)いずれかの値と予め規定した閾値を比較して、
前記ブロック面積(S)が予め規定した面積閾値以上、または前記移動量加算値が予め規定した移動量閾値以上である場合に、合成画像の3次元画像としての適正がないと判定する処理を実行する画像処理装置にある。
【0017】
さらに、本発明の画像処理装置の一実施態様において、前記画像評価部は、前記合成画像中のブロック位置に応じた重み設定を行い、画像中央部ほど大きい重み係数を乗算して、前記ブロック面積(S)、または移動量加算値(L)の算出処理を実行し、重み係数を乗算した結果と閾値との比較処理を実行する。
【0018】
さらに、本発明の画像処理装置の一実施態様において、前記画像評価部は、前記ブロック面積(S)、または移動量加算値(L)の算出処理に際して、前記合成画像の画像サイズに基づく正規化処理を実行して各値の算出処理を実行し、算出結果と閾値との比較処理を行う。
【0019】
さらに、本発明の画像処理装置の一実施態様において、前記画像評価部は、3次元画像としての適正評価値:Aを、下記式、
A=aΣ(α1)(S)+bΣ(α2)(L)
ただし、
Sは前記ブロック面積、
Lは前記移動量加算値、
α1、α2は画像位置対応の重み係数、
a,bは、前記ブロック面積(S)と前記移動量加算値(L)のバランス調整用重み係数、
上記式に従って算出する。
【0020】
さらに、本発明の画像処理装置の一実施態様において、前記画像評価部は、前記合成画像に対応する差分ベクトルをブロック単位で示した可視化画像を生成し、該可視化画像を適用して前記ブロック面積(S)、または前記移動量加算値(L)の算出を行う。
【0021】
さらに、本発明の画像処理装置の一実施態様において、前記画像処理装置は、前記撮影画像を入力し、撮影画像間のマッチング処理により前記ブロック動きベクトルを算出する移動量検出部を有し、前記画像評価部は、前記移動量検出部の算出したブロック動きベクトルを適用して前記ブロック面積(S)、または前記移動量加算値(L)の算出を行う。
【0022】
さらに、本発明の画像処理装置の一実施態様において、前記画像処理装置は、異なる位置から撮影された複数の画像を入力し、各画像から切り出した短冊領域を連結して合成画像を生成する画像合成部を有し、前記画像合成部は、各画像に設定した左目用画像短冊の連結合成処理により3次元画像表示に適用する左目用合成画像を生成し、各画像に設定した右目用画像短冊の連結合成処理により3次元画像表示に適用する右目用合成画像を生成し、前記画像評価部は、前記画像合成部の生成した合成画像について、3次元画像としての適正評価を行う。
【0023】
さらに、本発明の画像処理装置の一実施態様において、前記画像処理装置は、さらに、前記画像評価部の合成画像評価結果が3次元画像としての適正がないとの判定である場合、警告出力を実行する制御部を有する。
【0024】
さらに、本発明の画像処理装置の一実施態様において、前記制御部は、前記画像評価部の合成画像評価結果が3次元画像としての適正がないとの判定である場合、前記合成画像の記録メディアに対する記録処理を保留し、前記警告出力に応じたユーザからの記録要求の入力を条件として記録処理を実行する。
【0025】
さらに、本発明の第2の側面は、
画像撮影に適用するレンズ部と、
撮影画像の光電変換を行う撮像素子と、
前記請求項1〜9いずれかに記載の画像処理を実行する画像処理部を備えた撮像装置にある。
【0026】
さらに、本発明の第3の側面は、
画像処理装置において実行する画像処理方法であり、
画像評価部が、異なる位置からの撮影画像各々から切り出した短冊領域の連結処理により生成した3次元画像表示に適用する合成画像の3次元画像としての適正を評価する画像評価ステップを有し、
前記画像評価ステップは、
前記合成画像のブロック単位の動きベクトルであるブロック動きベクトルから画像全体の動きを示すグローバル動きベクトルを減算して算出したブロック対応差分ベクトルの解析により合成画像の3次元画像としての適正を評価する処理を実行し、
(1)予め規定した閾値以上の大きさを有するブロック対応差分ベクトルを持つブロックのブロック面積(S)、
(2)予め規定した閾値以上の大きさを有するブロック対応差分ベクトルのベクトル長に相当する移動量の加算値である移動量加算値(L)、
少なくとも前記ブロック面積(S)、または移動量加算値(L)のいずれかの値と予め規定した閾値を比較して、
前記ブロック面積(S)が予め規定した面積閾値以上、または前記移動量加算値が予め規定した移動量閾値以上である場合に、合成画像の3次元画像としての適正がないと判定する処理を実行する画像処理方法にある。
【0027】
さらに、本発明の第4の側面は、
画像処理装置において画像処理を実行させるプログラムであり、
画像評価部に、異なる位置からの撮影画像各々から切り出した短冊領域の連結処理により生成した3次元画像表示に適用する合成画像の3次元画像としての適正を評価させる画像評価ステップを有し、
前記画像評価ステップは、
前記合成画像のブロック単位の動きベクトルであるブロック動きベクトルから画像全体の動きを示すグローバル動きベクトルを減算して算出したブロック対応差分ベクトルの解析により合成画像の3次元画像としての適正を評価する処理を実行するステップであり、
(1)予め規定した閾値以上の大きさを有するブロック対応差分ベクトルを持つブロックのブロック面積(S)、
(2)予め規定した閾値以上の大きさを有するブロック対応差分ベクトルのベクトル長に相当する移動量の加算値である移動量加算値(L)、
少なくとも前記ブロック面積(S)、または移動量加算値(L)のいずれかの値と予め規定した閾値を比較して、
前記ブロック面積(S)が予め規定した面積閾値以上、または前記移動量加算値が予め規定した移動量閾値以上である場合に、合成画像の3次元画像としての適正がないと判定する処理を実行するステップであるプログラムにある。
【0028】
なお、本発明のプログラムは、例えば、様々なプログラム・コードを実行可能な情報処理装置やコンピュータ・システムに対して、コンピュータ可読な形式で提供する記憶媒体、通信媒体によって提供可能なプログラムである。このようなプログラムをコンピュータ可読な形式で提供することにより、情報処理装置やコンピュータ・システム上でプログラムに応じた処理が実現される。
【0029】
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施例や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。なお、本明細書においてシステムとは、複数の装置の論理的集合構成であり、各構成の装置が同一筐体内にあるものには限らない。
【発明の効果】
【0030】
本発明の一実施例の構成によれば、複数の画像から切り出した短冊領域を連結して生成した3次元画像表示に適用する左目用合成画像と右目用合成画像の適正を評価する装置および方法を提供する。合成画像のブロック単位の動きベクトルであるブロック動きベクトルから画像全体の動きを示すグローバル動きベクトルを減算して算出したブロック対応差分ベクトルを解析し、規定閾値以上の大きさを有するブロック対応差分ベクトルを持つブロック面積(S)、またはベクトル長加算値である移動量加算値(L)が予め規定した閾値以上である場合、合成画像の3次元画像としての適正がないと判定する処理を実行し、判定結果に応じた警告出力や記録制御を行う。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】パノラマ画像の生成処理について説明する図である。
【図2】3次元(3D)画像表示に適用する左目用画像(L画像)と右目用画像(R画像)の生成処理について説明する図である。
【図3】3次元(3D)画像表示に適用する左目用画像(L画像)と右目用画像(R画像)の生成原理について説明する図である。
【図4】仮想撮像面を用いた逆モデルについて説明する図である。
【図5】パノラマ画像(3Dパノラマ画像)の撮影処理のモデルについて説明する図である。
【図6】パノラマ画像(3Dパノラマ画像)の撮影処理において撮影される画像と左目用画像および右目用画像の短冊の設定例について説明する図である。
【図7】短冊領域の連結処理と、3D左目用合成画像(3DパノラマL画像)および3D右目用合成画像(3DパノラマR画像)の生成処理例について説明する図である。
【図8】動いている被写体である動被写体を含む場合の左目用画像と右目用画像の問題点について説明する図である。
【図9】左目用画像と右目用画像に含まれる被写体の視差の範囲が多きすぎる、すなわち画像の一部に「視差が大きく異なる被写体」が含まれる場合の問題点について説明する図である。
【図10】本発明の画像処理装置の一実施例である撮像装置の構成例について説明する図である。
【図11】本発明の画像処理装置の実行する画像撮影および合成処理シーケンスについて説明するフローチャートを示す図である。
【図12】画像内に動被写体が含まれない場合における動きベクトルマップの生成例と画像評価処理について説明する図である。
【図13】画像内に動被写体が含まれる場合における動きベクトルマップの生成例と画像評価処理について説明する図である。
【図14】画像内に「視差が大きく異なる被写体」が含まれる場合における動きベクトルマップの生成例と画像評価処理について説明する図である。
【図15】動被写体を含む画像に対する画像評価部211の実行する処理例について説明する図である。
【図16】動被写体を含む画像に対する画像評価部211の実行する処理例について説明する図である。
【図17】画像評価部211の実行する処理例としての画像の位置に応じた重み設定例について説明する図である。
【図18】画像評価部211の実行する処理例であり、動被写体面積(S)とどう被写体移動量(L)を適用した画像評価処理の一例について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照しながら、本発明の画像処理装置、撮像装置、および画像処理方法、並びにプログラムについて説明する。説明は以下の項目順に行う。
1.パノラマ画像の生成と3次元(3D)画像生成処理の基本構成について
2.カメラ移動により撮影した複数画像の短冊領域を利用した3D画像生成における問題点
3.本発明の画像処理装置の構成例について
4.画像撮影および画像処理シーケンスについて
5.動きベクトルに基づく3次元画像の適正判定処理の原理について
6.画像評価部における画像評価処理の詳細について
【0033】
[1.パノラマ画像の生成と3次元(3D)画像生成処理の基本構成について]
撮像装置(カメラ)を移動させながら連続的に撮影した複数の画像を用い、各画像から短冊状に切り出した領域(短冊領域)を連結して3次元(3D)画像表示に適用する左目用画像(L画像)と右目用画像(R画像)を生成することができる。本発明は、このような処理によって生成した画像が3次元画像として適正を有するか否かを判定する構成を有する。
【0034】
なお、カメラを移動させながら連続的に撮影した複数の画像を用いて2次元のパノラマ画像(2Dパノラマ画像)を生成するカメラは、すでに利用されている。まず、2次元合成画像として生成されるパノラマ画像(2Dパノラマ画像)の生成処理について図1を参照して説明する。図1には、
(1)撮影処理
(2)撮影画像
(3)2次元合成画像(2Dパノラマ画像)
これらを説明する図を示している。
【0035】
ユーザは、カメラ10をパノラマ撮影モードにして、カメラ10を手に持ち、シャッターを押して図1(1)に示すように左(A点)から右(B点)にカメラを移動させる。カメラ10はパノラマ撮影モード設定下でユーザによるシャッター押下を検出すると、連続的な画像撮影を実行する。例えば、数10〜100枚程度の画像を連続的に撮影する。
【0036】
これらの画像が図1(2)に示す画像20である。これら複数の画像20は、カメラ10を移動させながら連続撮影した画像であり、異なる視点からの画像となる。例えば100枚の異なる視点から撮影された画像20がメモリ上に順次記録される。カメラ10のデータ処理部は、図1(2)に示す複数画像20をメモリから読み出して、各画像からパノラマ画像を生成するための短冊領域を切り出して、切り出した短冊領域を連結する処理を実行して図1(3)に示す2Dパノラマ画像30を生成する。
【0037】
図1(3)に示す2Dパノラマ画像30は、2次元(2D)の画像であり、単に、撮影画像の一部を切り出して連結することで横長にした画像である。図1(3)に示す点線が画像の連結部を示している。各画像20の切り出し領域を短冊領域と呼ぶ。
【0038】
本発明の画像処理装置あるいは撮像装置は、この図1に示すと同様の画像撮影処理、すなわち、図1(1)に示すようにカメラを移動させながら連続撮影した複数の画像を利用して生成した3次元(3D)画像表示に適用する左目用画像(L画像)と右目用画像(R画像)の適正評価を実行する。
【0039】
この左目用画像(L画像)と右目用画像(R画像)を生成する処理の基本構成について図2を参照して説明する。
図2(a)には、図1(2)に示すパノラマ撮影において撮影された1枚の画像20を示している。
【0040】
3次元(3D)画像表示に適用する左目用画像(L画像)と右目用画像(R画像)は、図1を参照して説明した2Dパノラマ画像の生成処理と同様、この画像20から所定の短冊領域を切り出して連結することで生成する。
ただし、切り出し領域とする短冊領域は、左目用画像(L画像)と右目用画像(R画像)とでは異なる位置とする。
【0041】
図2(a)に示すように、左目用画像短冊(L画像短冊)51と、右目用画像短冊(R画像短冊)52は、切り出し位置が異なっている。図2には1つの画像20についてのみ示しているが、図1(2)に示すカメラを移動させて撮影した複数の画像各々について、異なる切り出し位置の左目用画像短冊(L画像短冊)と、右目用画像短冊(R画像短冊)を各々設定する。
【0042】
その後、左目用画像短冊(L画像短冊)のみを集めて連結することで、図2(b1)3D左目用パノラマ画像(3DパノラマL画像)を生成することができる。
また、右目用画像短冊(R画像短冊)のみを集めて連結することで、図2(b2)3D右目用パノラマ画像(3DパノラマR画像)を生成することができる。
【0043】
このように、カメラを移動させながら撮影した複数画像各々からの切り出し位置を異ならせて設定した短冊を連結することで、3次元(3D)画像表示に適用する左目用画像(L画像)と右目用画像(R画像)を生成することが可能となる。図3を参照してこの原理について説明する。
【0044】
図3には、カメラ10を移動させて2つの撮影地点(a),(b)において被写体80を撮影した状況を示している。(a)地点では被写体80の画像は、カメラ10の撮像素子70の左目用画像短冊(L画像短冊)51に左側から見た画像が記録される。次に、カメラ10が移動した(b)地点では被写体80の画像は、カメラ10の撮像素子70の右目用画像短冊(R画像短冊)52に右側から見た画像が記録される。
【0045】
このように、同一被写体に対する異なる視点からの画像が撮像素子70の所定領域(短冊領域)に記録される。
これらを個別に抽出、すなわち、左目用画像短冊(L画像短冊)のみを集めて連結することで、図2(b1)3D左目用パノラマ画像(3DパノラマL画像)が生成され、右目用画像短冊(R画像短冊)のみを集めて連結することで、図2(b2)3D右目用パノラマ画像(3DパノラマR画像)が生成される。
【0046】
なお、図3では、理解を容易にするためカメラ10が被写体80の左側から右側に被写体をクロスする移動の設定として示しているが、このようにカメラ10が被写体80をクロスする移動を行うことは必須ではない。カメラ10の撮像素子70の所定領域に異なる視点からの画像が記録できれば、3D画像表示に適用する左目用画像と右目用画像を生成することができる。
【0047】
次に、図4を参照して、以下の説明において適用する仮想撮像面を用いた逆モデルについて説明する。図4には、
(a)画像撮影構成
(b)順モデル
(c)逆モデル
これらの各図を示している。
【0048】
図4(a)に示す画像撮影構成は、図3を参照して説明したと同様のパノラマ画像の撮影時の処理構成を示す図である。
図4(b)は、図4(a)に示す撮影処理において実際にカメラ10内の撮像素子70に撮り込まれる画像の例を示している。
撮像素子70には、図4(b)に示すように左目用画像72、右目用画像73が上下反転して記録される。このような反転した画像を利用して説明すると混乱しやすいため、以下の説明では、図4(c)に示す逆モデルを利用して説明する。
なお、この逆モデルは撮像装置の画像の解説等においては頻繁に利用されるモデルである。
【0049】
図4(c)に示す逆モデルは、カメラの焦点に対応する光学中心102の前方に仮想撮像素子101を設定し、この仮想撮像素子101に被写体像が撮り込まれるものと想定している。図4(c)に示すように仮想撮像素子101には、カメラ前方左側の被写体A91が左側、カメラ前方右側の被写体B92が右側に撮り込まれ、上下も反転しない設定となり、実際の被写体の位置関係をそのまま反映している。すなわち、仮想撮像素子101上の画像は、実際の撮影画像と同じ画像データである。
【0050】
以下の説明では、この仮想撮像素子101を用いた逆モデルを適用して説明を行う。
ただし、図4(c)に示すように、仮想撮像素子101上では、左目用画像(L画像)111は、仮想撮像素子101上の右側に撮り込まれ、右目用画像(R画像)112は仮想撮像素子101上の左側に撮り込まる。
【0051】
[2.カメラ移動により撮影した複数画像の短冊領域を利用した3D画像生成における問題点]
次に、カメラ移動により撮影した複数画像の短冊領域を利用した3D画像生成における問題点について説明する。
【0052】
パノラマ画像(3Dパノラマ画像)の撮影処理のモデルの一例として、図5に示す撮影モデルを想定する。図5に示すように、カメラ100の光学中心102が回転中心である回転軸Pから距離R(回転半径)だけ離れた位置に設定されるようにカメラ100を置く。
仮想撮像面101は光学中心102から、焦点距離fだけ回転軸Pから外側に設定される。
このような設定で、カメラ100を回転軸P回りに右回り(AからB方向)に回転させて、連続的に複数枚の画像を撮影する。
【0053】
各撮影ポイントにおいて、左目用画像短冊111、右目用画像短冊112の各画像が仮想撮像素子101上に記録される。
記録画像は例えば図6に示すような構成となる。
図6は、カメラ100によって撮影された画像110を示している。なお、この画像110は仮想撮像面101上の画像と同じである。
画像110に対して、図6に示すように画像中心部から左にオフセットさせて短冊状に切り抜いた領域(短冊領域)を右目用画像短冊112とし、右にオフセットさせて短冊状に切り抜いた領域(短冊領域)を左目用画像短冊111とする。
【0054】
なお、図6には、参考として2次元(2D)パノラマ画像生成時に利用する2Dパノラマ画像用短冊115を示している。
図6に示すように、2次元合成画像用の短冊である2Dパノラマ画像短冊115と左目用画像短冊111との距離、および2Dパノラマ画像短冊115と右目用画像短冊112との距離を、
「オフセット」、または「短冊オフセット」
と定義する。
さらに、左目用画像短冊111と右目用画像短冊112との距離を、
「短冊間オフセット」
と定義する。
なお、
短冊間オフセット=(短冊オフセット)×2
となる。
【0055】
短冊幅wは、2Dパノラマ画像短冊115と、左目用画像短冊111と、右目用画像短冊112ともすべて共通の幅wとなる。この短冊幅は、カメラの移動速度等によって変化する。カメラの移動速度が早い場合は短冊幅wは広くなり、遅い場合は狭くなる。
【0056】
短冊オフセットや短冊間オセットは様々な値に設定可能である。例えば短冊オフセットを大きくすれば、左目用画像と右目用画像の視差がより大きくなり、短冊オフセットを小さくすれば、左目用画像と右目用画像の視差が小さくなる。
【0057】
短冊オフセット=0とした場合は、
左目用画像短冊111=右目用画像短冊112=2Dパノラマ画像短冊115
となる。
この場合は、左目用画像短冊111を合成して得られる左目用合成画像(左目用パノラマ画像)と、右目用画像短冊112を合成して得られる右目用合成画像(右目用パノラマ画像)は全く同じ画像、すなわち、2Dパノラマ画像短冊115を合成して得られる2次元パノラマ画像と同じ画像となり、3次元画像表示には利用できなくなる。
【0058】
カメラ100内のデータ処理部は、カメラ100を移動させながら連続撮像された画像間の動きベクトルを求め、前述した短冊領域の絵柄が繋がるように位置あわせをしながら、各画像から切り出す短冊領域を順次決定し、各画像から切り出した短冊領域を連結する。
【0059】
すなわち各画像から左目用画像短冊111のみを選択して連結合成して左目用合成画像(左目用パノラマ画像)を生成し、右目用画像短冊112のみを選択して連結合成して右目用合成画像(右目用パノラマ画像)を生成する。
【0060】
図7(1)は短冊領域の連結処理例を示す図である。各画像の撮影時間間隔をΔtとして、撮影時間:T=0〜nΔtの間にn+1枚の画像を撮影したことを想定している。これらn+1枚の各画像から取り出した短冊領域を連結する。
【0061】
ただし、3D左目用合成画像(3DパノラマL画像)を生成する場合は、左目用画像短冊(L画像短冊)111のみを抽出して連結する。また、3D右目用合成画像(3DパノラマR画像)を生成する場合は、右目用画像短冊(R画像短冊)112のみを抽出して連結する。
【0062】
このように左目用画像短冊(L画像短冊)111のみを集めて連結することで、図7(2a)3D左目用合成画像(3DパノラマL画像)が生成される。
また、右目用画像短冊(R画像短冊)112のみを集めて連結することで、図7(2b)3D右目用合成画像(3DパノラマR画像)が生成される。
【0063】
図6、図7を参照して説明したように、
画像100の中心から右側にオフセットした短冊領域をつなぎ合わせて、図7(2a)3D左目用合成画像(3DパノラマL画像)が生成される。
画像100の中心から左側にオフセットした短冊領域をつなぎ合わせて、図7(2b)3D右目用合成画像(3DパノラマR画像)が生成される。
【0064】
これら2枚の画像には、先に図3を参照して説明したように、基本的に同じ被写体が写っているが、同じ被写体でも互いに異なる位置から撮像されているので、視差が生じている。これら視差を有する2つの画像を3D(ステレオ)画像を表示可能な表示装置に表示することで、撮像対象の被写体を立体的に表示することができる。
【0065】
なお、3D画像の表示方式には様々な方式がある。
例えば、偏光フィルタや、色フィルタにより左右の眼各々によって観察する画像を分離するパッシブ眼鏡方式に対応する3D画像表示方式、あるいは、液晶シャッターを左右交互に開閉して観察する画像を左右の眼交互に時間的に分離するアクティブ眼鏡方式に対応する3D画像表示方式などがある。
上述した短冊連結処理によって生成された左目用画像、右目用画像は、これらの各方式に適用可能である。
【0066】
しかし、このようにカメラ100を移動させながら連続撮像された複数の画像の各々から短冊領域を切り出して左目用画像と右目用画像を生成した場合、左目用画像と右目用画像に含まれる同一被写体の撮影時刻が異なる場合が発生する。
従って、被写体が車や歩行者などの動く被写体、すなわち動被写体であると、動被写体に対して静止物体とは異なる誤った視差量が設定された左目用画像と右目用画像が生成されてしまう。すなわち、動被写体が含まれる場合には正しい奥行き感を持つ3次元画像(3D画像/ステレオ画像)が提供できなくなるという問題が発生する。
【0067】
さらに、3次元画像用の左目用画像や右目用画像に含まれる被写体の視差の範囲が多きすぎる場合、すなわち、カメラからの距離が遠い被写体と近接した被写体が混在すると画像の連結部分に不連続な部分が発生するという問題がある。このように、画像の一部に「視差が大きく異なる被写体」が含まれる場合にも、遠景または近景の少なくとも一方の画像の連結部分に不連続部分が発生する等の問題が発生する。
以下、図8、図9を参照してこれらの問題点について説明する。
【0068】
図8には、カメラを移動させながら連続撮像した複数の画像から短冊領域を切り出して生成した(a)左目用画像と(b)右目用画像を示している。
この2つの(a)左目用画像と(b)右目用画像には様々な被写体が撮影されている。その中に動いている被写体、すなわち動被写体(歩行者)151が含まれる。
【0069】
(a)左目用画像に含まれる動被写体(歩行者)151Lと、(b)右目用画像に含まれる動被写体(歩行者)151Rは同一被写体であるが、異なる撮影時刻の画像から切り出されている。従って、(a)左目用画像と(b)右目用画像には、被写体の移動前と移動後の画像が切り出されて設定されている。従って、その他の固定された被写体であるビルや雲や太陽とは、明らかに位置関係が異なっている。
【0070】
この結果、ビルや雲や太陽については(a)左目用画像と(b)右目用画像間で、個々の距離に応じた視差が設定され、正しい奥行き感が提供されるが、歩行者151については、本来の視差とは異なる視差が設定され、正しい奥行き感が提供できなくなる。
【0071】
このように、撮影画像中に動く被写体が含まれると、動被写体の視差が、正しい3次元画像(3D画像/ステレオ画像)用の左目用画像と右目用画像に設定されるべき視差と異なる誤った視差が設定され、正しい3次元画像表示ができなくなる。
【0072】
また、例えば、撮像装置の回転軸と光学中心が完全に一致していない状態で極端に近い被写体と遠くの被写体が1つの画像に撮影された場合には、連続撮像画像の短冊領域を繋ぎ合せようとしても、近景または遠景いずれか一方の被写体が上手く繋がらない場合がある。図9を参照して、この例について説明する。
図9は、複数の連続撮影画像を連結して生成した合成画像である。この図9に示す画像には、極端に近い被写体(近距離の被写体)と遠くの被写体(遠距離の被写体)が含まれている。
【0073】
図9に示す画像は、複数の連続撮影画像の短冊領域の連結に際して、遠くの景色(遠距離の被写体)を正しく繋ぎ合わせている。しかし、近くのもの(近距離の被写体)が上手く繋がっていない。近景領域の壁に不連続な段差が発生している。
これは近くの被写体の視差と、遠くの被写体の視差が大きく異なることが原因である。このように、画像の一部に「視差が大きく異なる被写体」が含まれる場合には、遠景または近景の少なくとも一方の画像の連結部分に不連続な画像などの不具合が発生する。
【0074】
しかし、例えばカメラを持ったユーザがカメラを移動させながら複数の画像を連続撮影する場合、その撮影中に動く被写体が含まれるか否かや、視差の大きく異なる被写体が含まれるか否か等を判断することは困難である。
【0075】
[3.本発明の画像処理装置の構成例について]
次に、上述の問題点を解決し、撮影画像を解析して3次元画像表示用画像としての適正についての判定処理を行う本発明の画像処理装置の実施例について説明する。本発明の一実施例に係る画像処理装置は、撮影画像に基づいて生成される合成画像の3次元画像としての適正を判定する。例えば画像に含まれる動被写体の有無等を判別して3次元画像としての画像評価を行い評価結果に基づく処理、例えば、メディアに対する画像記録の実行制御や、ユーザに対する警告を行う。以下、本発明の一実施例に係る画像処理装置の構成例および処理例について説明する。
【0076】
図10を参照して、本発明の画像処理装置の一実施例である撮像装置200の構成例について説明する。
図10に示す撮像装置200は、先に図1を参照して説明したカメラ10に相当し、例えばユーザが手に持ち、例えばパノラマ撮影モードなどのモード設定を行って複数の画像を連続撮影することが可能な構成を持つ。
【0077】
被写体からの光はレンズ系201を経て撮像素子202に入射する.撮像素子202は例えばCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサによって構成される。
【0078】
撮像素子202に入射した被写体像は、撮像素子202によって電気信号に変換される。なお、図示しないが、撮像素子202は所定の信号処理回路を有し、信号処理回路において変換された電気信号をさらにデジタル画像データに変換して、画像信号処理部203に供給する。
【0079】
画像信号処理部203では、ガンマ補正や輪郭強調補正等の画像信号処理を行い、信号処理結果としての画像信号を表示部204に表示する。
さらに、画像信号処理部203の処理結果としての画像信号は、
合成処理に適用するための画像メモリである画像メモリ(合成処理用)205、
連続撮影された各画像間の移動量を検出するための画像メモリである画像メモリ(移動量検出用)206、
各画像間の移動量を算出する移動量算出部207、
これらの各部に提供される。
【0080】
移動量検出部207は、画像信号処理部203から供給される画像信号とともに、画像メモリ(移動量検出用)206に保存された1フレーム前の画像を取得し、現在の画像と1フレーム前の画像の移動量を検出する。例えば連続して撮影された2つの画像を構成する画素間のマッチング処理、すなわち同一被写体の撮影領域を判別するマッチング処理を実行して、各画像間での移動した画素数を算出するものである。
【0081】
なお、移動量検出部207は、画像全体の動きに対応する動きベクトル(GMV:グローバル・モーション・ベクトル)と、画像の分割領域としてのブロック単位、あるいは画素単位の移動量を示すブロック対応の動きベクトルを算出する。
【0082】
なお、ブロックの設定としては様々な設定が可能であり1画素単位やn×m画素単位のブロック毎に移動量を算出する。なお、以下の説明では、1画素もブロックの概念に含まれるものとして説明する。すなわち、ブロック対応のベクトルとは、1つの画像フレームを分割した複数画素からなる分割領域対応のベクトル、または1画素単位の画素対応のベクトルである。
【0083】
移動量検出部207は、画像全体の動きに対応する動きベクトル(GMV:グローバル・モーション・ベクトル)と、画像の分割領域あるいは画素単位の移動量を示すブロック対応の動きベクトルを移動量メモリ208に記録する。なお、画像全体の動きに対応する動きベクトル(GMV:グローバル・モーション・ベクトル)は、カメラ移動に伴って発生する画像全体の動きに対応する動きベクトルである。
【0084】
移動量検出部207は、例えば移動画素数と移動方向を有するベクトル情報を、画像単位およびブロック単位で算出したマップ、すなわち動きベクトルマップを移動量情報として生成する。移動量検出部207は、例えば画像nの移動量を算出する場合、画像nと、先行画像n−1との比較を実行する。検出された移動量は画像nに対応する移動量として移動量メモリ208に格納する。なお、移動量検出部207の検出する移動量としてのベクトル情報(動きベクトルマップ)の例については後段で詳細に説明する。
【0085】
画像メモリ(合成処理用)205は、連続撮影された画像の合成処理、すなわちパノラマ画像を生成するための画像を保存するメモリである。この画像メモリ(合成処理用)205は、パノラマ撮影モードで撮影された複数の画像すべてを保存する構成としてもよいが、例えば画像の端部を切り落とし、パノラマ画像の生成に必要となる短冊領域を確保できるような画像の中央領域のみを選択して保存しておく設定としてもよい。このような設定とすることで、必要とするメモリ容量を削減することが可能となる。
【0086】
撮影終了後、画像合成部210は、画像メモリ(合成処理用)205から画像を取り出して短冊領域を切り出して連結する画像合成処理を実行し、左目用合成画像(左目用パノラマ画像)と、右目用合成画像(右目用パノラマ画像)を生成する。
【0087】
画像合成部210は、撮影終了後に、画像メモリ(合成処理用)205から撮影中に保存された複数の画像(あるいは部分画像)とともに、移動量メモリ208に保存された各画像対応の移動量、さらにメモリ209から左目用画像短冊と右目用画像短冊の設定位置を決定するためのオフセット情報等、各種パラメータを入力する。
【0088】
画像合成部210は、これらの入力情報を用いて連続して撮影された画像に左目用画像短冊と右目用画像短冊を設定し、これらを切り出して連結合成する処理を実行して左目用合成画像(例えば左目用パノラマ画像)と、右目用合成画像(例えば右目用パノラマ画像)を生成する。なお、画像合成部210は画像合成部210の生成した合成画像に含まれる各撮影画像の短冊領域情報をメモリ209に記録する。
【0089】
画像評価部211は、画像合成部210の生成した左目用合成画像と、右目用合成画像が3次元画像表示に適した画像であるか否かの評価を実行する。画像評価部211は、短冊領域情報をメモリ209から取得し、さらに、移動量検出部207の生成した移動量情報(動きベクトル情報)を移動量メモリ208から取得して、画像合成部210の生成した画像が3次元画像表示に適した画像であるか否かの評価を実行する。
【0090】
画像評価部211は、例えば画像合成部210の生成した左目用合成画像と、右目用合成画像の各画像に含まれる動く被写体の量を解析する。また、画像合成部210の生成した左目用合成画像と、右目用合成画像の各画像に含まれる被写体の視差の範囲等を解析して、画像合成部210の生成した画像が3次元画像としての適正を有するか雛かを判定する。
【0091】
先に図8を参照して説明したように、左目用画像と、右目用画像に動被写体が含まれる場合、動被写体の視差が正しく設定されず、3次元画像表示が正しく行なえない。
また、先に図9を参照して説明したように、左目用画像と右目用画像に含まれる被写体の視差の範囲が大きすぎる、すなわち、画像の一部に「視差が大きく異なる被写体」が含まれる場合には、遠景または近景の少なくとも一方の画像の連結部分に不連続な画像などの不具合が発生する。
【0092】
画像評価部211は、画像合成部210の生成した左目用合成画像と、右目用合成画像について、移動量検出部207の生成した移動量情報(動きベクトル情報)を適用して動被写体や視差範囲を解析する。さらに、予め設定済みの画像評価判定情報(例えば閾値)をメモリ209から取得して、画像の解析情報と判定情報(閾値)との比較を実行して、画像合成部210の生成した左目用合成画像と、右目用合成画像が3次元画像表示に適する画像であるか否かを判定する。
【0093】
例えば判定結果が、Yes、すなわち画像合成部210の生成した左目用合成画像と、右目用合成画像が3次元画像表示に適する画像であると判定した場合は、その画像を記録部212に記録する。
一方、判定結果が、No、すなわち画像合成部210の生成した左目用合成画像と、右目用合成画像が3次元画像表示に適さない画像であると判定した場合は、出力部204に警告メッセージの表示または警告音の出力等を実行する。
この警告に対してユーザが記録を要求した場合は、記録部212に記録される。ユーザが記録を要求しない場合は、記録処理は停止される。例えば、ユーザはその後、撮影のやり直しを行うことができる。
なお、具体的な評価処理例については後段で詳細に説明する。
【0094】
記録部(記録メディア)212に対する画像記録処理に際しては、例えば各画像についてJPEG等の圧縮処理を行った後、記録される。
また、画像評価部211の生成した画像評価結果についても画像対応の属性情報(メタデータ)としてメディアに記録する構成としてもよい。この場合、例えば動被写体の有無、動被写体の位置、あるいは画像に対する動被写体の占有率などの情報、さらに画像に含まれる視差の範囲情報などの詳細情報が記録される。さらに、これらの詳細情報に基づく評価値、例えば評価の高い順に(S,A,B,C,D)などの評価値を示すランキング情報を設定して記録する構成としてもよい。
【0095】
評価情報を画像対応の属性情報(メタデータ)として記録することで、例えば3D画像表示を実行するPC等の表示装置において、メタデータを読み取って、画像に含まれる動被写体の位置情報等を得て、その動被写体に対する画像補正処理等により3D画像としての不自然さを解消するといった処理を行うことが可能となる。
【0096】
このように、記録部(記録メディア)212は、画像合成部210において合成された合成画像、すなわち、左目用合成画像(左目用パノラマ画像)と、右目用合成画像(右目用パノラマ画像を保存し、さらに、画像評価部211の生成した画像評価情報を画像の属性情報(メタデータ)として記録する。
【0097】
記録部(記録メディア)212は、デジタル信号を記録可能な記録媒体であれば、どのような記録媒体でも良く、例えばハードディスク、光磁気ディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、MD(Mini Disk )、半導体メモリ、磁気テープといった記録媒体を用いることができる。
【0098】
なお、図10には示していないが、図10に示す構成以外に撮像装置200はユーザによる操作の可能なシャッターや、モード設定処理などの各種入力を行なうための入力操作部、さらに、撮像装置200において実行される処理の制御を行う制御部や、制御部他の各構成部での処理のプログラム、パラメータを記録した記憶部(メモリ)等を有する。
【0099】
図10に示す撮像装置200の各構成部の処理やデータ入出力は、撮像装置200内の制御部の制御に従って行われる。制御部は、撮像装置200内のメモリに予め格納されたプログラムを読み出して、プログラムに従って、撮影画像の取得、データ処理、合成画像の生成、生成した合成画像の記録処理、あるいは表示処理等、撮像装置200において実行される処理の全般的な制御を実行する。
【0100】
[4.画像撮影および画像処理シーケンスについて]
次に、図11に示すフローチャートを参照して本発明の画像処理装置の実行する処理シーケンスの一例について説明する。
図11に示すフローチャートに従った処理は、例えば図10に示す撮像装置200内の制御部の制御下で実行される。
図11に示すフローチャートの各ステップの処理について説明する。
まず、画像処理装置(例えば撮像装置200)は電源ONにより、ハードウェアの診断や初期化を行った後、ステップS101へ移行する。
【0101】
ステップS101では、各種の撮影パラメータを計算する。このステップS101では、例えば露出計により識別された明るさに関する情報を取得し、絞り値やシャッター速度等の撮影パラメータを計算する。
【0102】
次にステップS102へ移行し、制御部は、ユーザによるシャッター操作が行われたか否かを判定する。なお、ここでは、既に3D画像パノラマ撮影モードに設定されているものとする。
3D画像パノラマ撮影モードではユーザのシャッター操作により複数毎の画像を連続撮影し、撮影画像から左目用画像短冊と右目用画像短冊を切り出して3D画像表示に適用可能な左目用合成画像(パノラマ画像)と右目用合成画像(パノラマ画像)を生成して記録する処理が実行される。
【0103】
ステップS102において、制御部がユーザによるシャッター操作の検出がなされない場合は、ステップS101に戻る。
一方、ステップS102において、制御部がユーザによるシャッター操作があったことを検出するとステップS103に進む。
ステップS103では、制御部は、ステップS101において計算したパラメータに基づく制御を行い撮影処理を開始する。具体的には、例えば、図10に示すレンズ系201の絞り駆動部の調整等を実行して、画像の撮影を開始する。
【0104】
画像の撮影処理は、連続的に複数の画像を撮影する処理として行われる。図10に示す撮像素子202から連続撮影画像各々に対応する電気信号が、順次読み出されて画像信号処理部203においてガンマ補正や輪郭強調補正等の処理が実行され、処理結果が表示部204に表示されるとともに、各メモリ205,206、移動量検出部207に順次、供給される。
【0105】
次にステップS104に移行し、画像間移動量を算出する。この処理は、図10に示す移動量検出部207の処理である。
移動量検出部207は、画像信号処理部203から供給される画像信号とともに、画像メモリ(移動量検出用)206に保存された1フレーム前の画像を取得し、現在の画像と1フレーム前の画像の移動量を検出する。
【0106】
なお、ここで算出する移動量は、前述したように例えば連続して撮影された2つの画像を構成する画素間のマッチング処理、すなわち同一被写体の撮影領域を判別するマッチング処理を実行して、各画像間での移動した画素数を算出する。前述したように、移動量検出部207は、画像全体の動きに対応する動きベクトル(GMV:グローバル・モーション・ベクトル)と、画像の分割領域あるいは画素単位の移動量を示すブロック対応の動きベクトルを算出し、算出したこれらの移動量情報を移動量メモリ208に記録する。なお、画像全体の動きに対応する動きベクトル(GMV:グローバル・モーション・ベクトル)は、カメラ移動に伴って発生する画像全体の動きに対応する動きベクトルである。
【0107】
なお移動量は例えば移動画素数として算出する。画像nの移動量は、画像nと、先行画像n−1との比較により実行し、検出された移動量(画素数)を画像nに対応する移動量として移動量メモリ208に格納する。
この移動量保存処理がステップS105の保存処理に対応する。ステップS105では、ステップS104で検出した各画像の移動量を各画像のIDと関連付けて、図10に示す移動量メモリ208に保存する。
【0108】
次に、ステップS106に移行し、ステップS103において撮影され画像信号処理部203において処理された画像を図10に示す画像メモリ(合成処理用)205に格納する。なお、前述したように、画像メモリ(合成処理用)205は、パノラマ撮影モード(または3D画像パノラマ撮影モード)で撮影された例えばn+1枚の画像のすべての画像を保存する構成としてもよいが、例えば画像の端部を切り落とし、パノラマ画像(3Dパノラマ画像)の生成に必要となる短冊領域を確保できるような画像の中央領域のみを選択して保存しておく設定としてもよい。このような設定とすることで、必要とするメモリ容量を削減することが可能となる。なお、画像メモリ(合成処理用)205には、JPEG等の圧縮処理を行った後、保存する構成としてもよい。
【0109】
次にステップS107に移行し、制御部は、ユーザによるシャッターの押圧が継続しているか否を判定する。すなわち、撮影終了のタイミングを判別する。
ユーザによるシャッターの押圧が継続している場合は、撮影を継続させるべくステップS103へ戻り、被写体の撮像を繰り返す。
一方、ステップS107において、シャッターの押圧が終了していると判断すると、撮影の終了動作へ移行すべくステップS108へ進む。
【0110】
パノラマ撮影モードでの連続画像撮影が終了すると、ステップS108に進む。
ステップS108において、画像合成部210は、3D画像として成立する左目用画像と右目用画像の生成条件を満たす短冊領域のオフセット条件、すなわち許容オフセット量をメモリ209から取得する。あるいはメモリ209から許容オフセット量を算出するために必要なパラメータを取得して許容オフセット量を算出する。
【0111】
次に、ステップS109に進み、撮影画像を利用した第1画像合成処理を行う。さらに、ステップS110に進み、撮影画像を利用した第2画像合成処理を行う。
これらステップS109〜S110の画像合成処理は、3D画像表示に適用する左目用合成画像と右目用合成画像の生成処理である。合成画像は例えばパノラマ画像として生成される。
【0112】
前述したように、左目用合成画像は、左目用画像短冊のみを抽出して連結する合成処理により生成される。右目用合成画像は、右目用画像短冊のみを抽出して連結する合成処理により生成される。これらの合成処理の結果、例えば図7(2a),(2b)に示す2つのパノラマ画像が生成されることになる。
【0113】
ステップS109〜S110の画像合成処理は、ステップS102のシャッター押下判定がYesとなってからステップS107でシャッター押下終了が確認されるまでの連続画像撮影中に画像メモリ(合成処理用)205に保存された複数の画像(または部分画像)を利用して実行される。
【0114】
この合成処理に際して、画像合成部210は、複数の画像各々に関連づけられた移動量を移動量メモリ208から取得し、さらに、メモリ209から許容オフセット量を取得する。あるいはメモリ209から許容オフセット量を算出するために必要なパラメータを取得して許容オフセット量を算出する。
【0115】
画像合成部210は、移動量と許容オフセット量に基づいて各画像の切り出し領域としての短冊領域を決定する。
すなわち、左目用合成画像を構成するための左目画像用短冊と右目用合成画像を構成するための右目画像用短冊の各短冊領域を決定する。
左目用合成画像を構成するための左目画像用短冊は、画像中央から右側へ所定量オフセットした位置に設定する。
右目用合成画像を構成するための右目画像用短冊は、画像中央から左側へ所定量オフセットした位置に設定する。
【0116】
画像合成部210は、この短冊領域の設定処理に際して、左目用画像と右目用画像の生成条件を満たす既定のオフセット条件を満たすように短冊領域を決定する。すなわちステップS108においてメモリから取得またはメモリから取得したパラメータに基づいて算出したオフセット許容量を満たすように短冊のオフセットを設定して画像切り出しを実行する。
【0117】
画像合成部210は、各画像について左目用および右目用画像短冊を切り出して連結することで画像合成を行い、左目用合成画像と右目用合成画像を生成する。
なお、画像メモリ(合成処理用)205に保存された画像(または部分画像)がJPEG等で圧縮されたデータである場合は、処理速度の高速化を図るため、ステップS104で求められた画像間の移動量に基づいて、JPEG等の圧縮を解凍する画像領域を、合成画像として利用する短冊領域のみに設定する適応的な解凍処理を実行する構成としてもよい。
【0118】
ステップS109、S110の処理によって、3D画像表示に適用する左目用合成画像と右目用合成画像が生成される。
【0119】
次にステップS111に移行し、ステップS109、S110で合成され左目用合成画像と右目用合成画像の画像評価処理を実行する。
この処理は、図10に示す画像評価部211の処理である。画像評価部211は、画像合成部210の生成した左目用合成画像と、右目用合成画像が3次元画像表示に適した画像であるか否かの評価を実行する。
具体的には、画像合成部210の生成した左目用合成画像と、右目用合成画像の各画像に含まれる動く被写体の量や、各画像に含まれる被写体の視差の範囲を解析する。
【0120】
先に図8を参照して説明したように、左目用画像と、右目用画像に動被写体が含まれる場合、動被写体の視差が正しく設定されず、3次元画像表示が正しく行なえない。
また、先に図9を参照して説明したように、左目用画像と右目用画像に含まれる被写体の視差の範囲が多きすぎる場合は、遠景または近景の少なくとも一方の画像の連結部分に不連続な画像などの不具合が発生する。
【0121】
画像評価部211は、画像合成部210の生成した左目用合成画像と、右目用合成画像について動被写体や視差範囲を解析し、例えば、予め設定済みの画像評価判定情報(例えば閾値)をメモリ209から取得して、画像の解析情報と判定情報(閾値)との比較を実行して、画像合成部210の生成した左目用合成画像と、右目用合成画像が3次元画像表示に適する画像であるか否かを判定する。
【0122】
具体的には、画像評価部211は、画像合成部210の生成した合成画像のブロック単位の動きベクトルであるブロック動きベクトルから画像全体の動きを示すグローバル動きベクトルを減算して算出したブロック対応差分ベクトルの解析により合成画像の3次元画像としての適正を評価する処理を実行し、
(1)予め規定した閾値以上の大きさを有するブロック対応差分ベクトルを持つブロックのブロック面積(S)、
(2)予め規定した閾値以上の大きさを有するブロック対応差分ベクトルのベクトル長に相当する移動量の加算値である移動量加算値(L)、
少なくとも上記のブロック面積(S)、または移動量加算値(L)いずれかの値と予め規定した閾値を比較して、ブロック面積(S)が予め規定した面積閾値以上、または動量加算値が予め規定した移動量閾値以上である場合に、合成画像の3次元画像としての適正がないと判定する処理を実行する。なお、この処理の詳細については後述する。
【0123】
ステップS112において、例えば判定結果が、Yes、すなわち、
画像評価値と閾値(画像評価判定情報)との比較に基づいて、画像合成部210の生成した左目用合成画像と、右目用合成画像が3次元画像表示に適する画像であると判定した場合(ステップS112の判定がYes)は、ステップS115に進み、画像を記録部212に記録する。
【0124】
一方、ステップS112において、例えば判定結果がNo、すなわち、
画像評価値と閾値(画像評価判定情報)との比較に基づいて、画像合成部210の生成した左目用合成画像と、右目用合成画像が3次元画像表示に適さない画像であると判定(ステップS112の判定がNo)した場合は、ステップS113に進む。
【0125】
ステップS113では、図10に示す出力部204に警告メッセージの表示または警告音の出力等を実行する。
ステップS114において、この警告に対してユーザが記録を要求した場合(ステップS114の判定がYes)は、ステップS115に進み、画像合成部210の生成した左目用合成画像と、右目用合成画像を記録部212に記録する。
【0126】
ステップS114において、警告に対してユーザが記録を要求しない場合(ステップS114の判定がNo)は、記録処理は停止され、ステップS101に戻り、即座に撮影可能モードへの移行処理が実行される。例えば、ユーザはその後、撮影のやり直しを行うことができる。
【0127】
なお、ステップS113〜S114の判定処理やステップS115の記録処理の制御は、例えば画像処理装置の制御部の処理によって実行される。制御部は、画像評価部211の合成画像評価結果が3次元画像としての適正がないとの判定である場合、出力部204に対する警告出力を実行する。さらに、合成画像の記録部(記録メディア)212に対する記録処理を保留し、警告出力に応じたユーザからの記録要求の入力を条件として記録処理を実行する制御を行う。
【0128】
なお、ステップS115における記録部(記録メディア)212に対するデータ記録処理に際しては、前述したように、例えば各画像についてJPEG等の圧縮処理を行った後、記録される。
【0129】
また、画像評価部211の生成した画像評価結果についても画像対応の属性情報(メタデータ)として記録する処理が行われる。例えば動被写体の有無、動被写体の位置、あるいは画像に対する動被写体の占有率などの情報、さらに画像に含まれる視差の範囲情報などの詳細情報が記録される。さらに、これらの詳細情報に基づく評価値、例えば評価の高い順に(S,A,B,C,D)などの評価値を示すランキング情報を設定して記録する構成としてもよい。
【0130】
このような評価情報を画像対応の属性情報(メタデータ)として記録することで、例えば3D画像表示を実行するPC等の表示装置において、メタデータを読み取って、例えば画像に含まれる動被写体の位置情報を得て、その動被写体に対する画像補正処理等により3D画像としての不自然さを解消する処理を行うことが可能となる。
【0131】
[5.動きベクトルに基づく3次元画像の適正判定処理の原理について]
次に、動きベクトルに基づく3次元画像の適正判定処理の原理について説明する。
移動量検出部207は移動量情報として動きベクトルマップを生成して移動量メモリ208に記録する。画像評価部211は、この動きベクトルマップを適用して画像評価を実行する。
【0132】
図10に示す画像処理装置(撮像装置200)内の移動量検出部207は、前述したように、画像信号処理部203から供給される画像信号とともに、画像メモリ(移動量検出用)206に保存された1フレーム前の画像を取得し、現在の画像と1フレーム前の画像の移動量を検出する。移動量検出部207は、連続して撮影された2つの画像を構成する画素間のマッチング処理、すなわち同一被写体の撮影領域を判別するマッチング処理を実行して、各画像について、画像単位およびブロック単位の移動画素数と移動方向からなる動きベクトルを検出する。
【0133】
このように、移動量検出部207は、画像全体の動きに対応する動きベクトル(GMV:グローバル・モーション・ベクトル)と、画像の分割領域あるいは画素単位の移動量を示すブロック対応の動きベクトルを算出し、算出したこれらの移動量情報を移動量メモリ208に記録する。
【0134】
移動量検出部207は、例えば移動量情報として動きベクトルマップを生成する。
すなわち、画像全体の動きに対応する動きベクトル(GMV:グローバル・モーション・ベクトル)と、画像の分割領域としてのブロック単位(画素単位も含む)の移動量を示すブロック対応の動きベクトルをマップ化した動きベクトルマップを生成する。
動きベクトルマップは、
(a)画像の識別情報である画像IDと画像全体の動きに対応する動きベクトル(GMV:グローバル・モーション・ベクトル)との対応データ、
(b)画像内のプロック位置を示すブロック位置情報(例えば座標情報)と各ブロック対応の動きベクトルとの対応データ、
これらの対応データを有する情報として構成される。
【0135】
移動量検出部は、上記情報を持つ動きベクトルマップを各画像対応の移動量情報として生成し、移動量メモリ208に格納する。
画像評価部211は、この動きベクトルマップを移動量メモリから取得して画像の評価、すなわち3次元画像としての適正についての評価を実行する。
画像評価部211は、画像合成部210の生成した左目用合成画像と、右目用合成画像の各々について評価処理を実行する。
【0136】
画像評価部211は、画像合成部210の生成した左目用合成画像と、右目用合成画像の各々について、3次元画像としての適正を評価する。
なお、適正評価に際して、画像評価部211は、合成画像のブロック単位の動きベクトルであるブロック動きベクトルから画像全体の動きを示すグローバル動きベクトルを減算して算出したブロック対応差分ベクトルの解析を行う。
【0137】
画像評価部211は、具体的には、
(1)予め規定した閾値以上の大きさを有するブロック対応差分ベクトルを持つブロックのブロック面積(S)、
(2)予め規定した閾値以上の大きさを有するブロック対応差分ベクトルのベクトル長に相当する移動量の加算値である移動量加算値(L)、
少なくとも上記のブロック面積(S)、または移動量加算値(L)いずれかの値と予め規定した閾値を比較して、ブロック面積(S)が予め規定した面積閾値以上、または前記移動量加算値が予め規定した移動量閾値以上である場合に、合成画像の3次元画像としての適正がないと判定する。
【0138】
この適正判定処理の原理について、図12〜図14を参照して説明する。
(1)動きベクトルが画像内でほぼ一様となる場合
(2)動きベクトルが画像内で非一様となる場合
これらの場合について、順次説明する。
(1)動きベクトルが画像内でほぼ一様となる場合は、その画像は3次元画像の適正を有する。一方、(2)動きベクトルが画像内で非一様となる場合は、その画像は3次元画像の適正を有さない場合がある。
図12〜図14を参照して、このような適正判定処理が成立する原理について説明する。
【0139】
(1)動きベクトルが画面内で一様となる場合
図12を参照して、動きベクトルが画面内で一様となる場合の動きベクトルマップの構成例と、3次元画像としての適正について説明する。
図12には、以下の(a)〜(d)の図を示している。
(a)画像撮影処理
(b)時間:T=t0の撮影画像
(c)時間:T=t0+Δtの撮影画像
(d)動きベクトルマップの構成情報
【0140】
(a)画像撮影処理には、カメラを移動させて画像を撮影した例を示している。
すなわち、時間T=t0まず、最初の画像を撮影し、その後、カメラを矢印301に沿って移動させて、時間T=t0+Δtにおいて次の画像を撮影したことを説明する図である。
このようなカメラを移動させながらの連続撮影処理によって、図12(b),(c)の2つの画像が取得される。すなわち、
(b)時間:T=t0の撮影画像
(c)時間:T=t0+Δtの撮影画像
これらの2つの画像である。
【0141】
移動量検出部207は、例えばこの2つの画像を用いて移動量を検出する。移動量の検出処理として、2枚の画像から2画像間の動きベクトルを求める。その方法としては様々な方法があるが、画像領域を分割してブロックごとに動きベクトルを求める方法について説明する。なお画像全体の動きに対応するグローバル・モーション・ベクトル(GMV)は、例えばこれらのブロック対応の動きベクトルの平均値等から算出することができる。
【0142】
移動量検出部207は、一枚目の画像を基準に二枚目の画像で被写体がどれだけ移動したか、動きベクトルを計算する。この処理によって、例えば図12(d)のようなベクトル群が得られる。図12(d)に示す矢印は、ブロック対応の動きベクトルを示している。
【0143】
この例では、画像内に動被写体がないため、すべての動きベクトルが同じ向きと、同じ大きさを有している。これらのベクトルはカメラの動きに起因するものであり、画像全体に対応するベクトルであるグローバル・モーション・ベクトル(GMV)に等しい一様なベクトルである。
【0144】
画像合成部210は、このベクトルを適用して2つの画像の位置合わせを行い、繋ぎ合せて左目用合成画像と右目用合成画像を生成することができる。
図12に示すような設定、すなわちブロックベクトルのほぼすべてが等しくGMVに等しい場合、合成画像における動被写体に起因する視差上の問題は発生しない。すなわち動被写体に起因する誤った視差の設定された被写体が発生しない。
【0145】
図12(d)のような一様なベクトル群からなるベクトルマップが得られた場合、画像評価部211は、画像内に動被写体が存在しないと判定することができる。また、
非常に近い被写体と遠くの被写体が共存、すなわち、画像の一部に「視差が大きく異なる被写体」が含れないと判定することができる。なおこの理由については、図14を参照して後段で説明する。
なお、合成画像が3次元画像として適正であると判断した場合は、ユーザに対する警告出力等の処理を実行することなく、そのままメディアに対する記録を行うことになる。
【0146】
なお、画像評価部211は、移動量検出部207が生成した各撮影画像対応の動きベクトルマップ(例えば図12(d))またはその生成情報を移動量メモリ208から取得して、さらに後段(6.画像評価部における画像評価処理の詳細について)で説明する合成画像(左目用合成画像または右目用合成画像)に対応する「動被写体可視化画像」を生成して各合成画像についての3次元画像としての適正を評価する処理を実行することになる。
この処理の詳細については、後段(6.画像評価部における画像評価処理の詳細について)において説明する。
【0147】
(2)動きベクトルが画面内で非一様となる場合
次に、図13を参照して、動きベクトルが画面内で非一様となる場合の動きベクトルマップの構成例と、3次元画像としての適正について説明する。
図13には、図12と同様、以下の(a)〜(d)の図を示している。
(a)画像撮影処理
(b)時間:T=t0の撮影画像
(c)時間:T=t0+Δtの撮影画像
(d)動きベクトルマップの構成情報
【0148】
(a)画像撮影処理には、カメラを移動させて画像を撮影した例を示している。
すなわち、時間T=t0まず、最初の画像を撮影し、その後、カメラを矢印301に沿って移動させて、時間T=t0+Δtにおいて次の画像を撮影したことを説明する図である。
この例では、画像内に動被写体である歩行者302が含まれる。この
歩行者302pは、時間:T=t0の撮影画像に含まれる歩行者である。
歩行者302qは、時間:T=t0+Δtの撮影画像に含まれる歩行者である。
これらの歩行者は同一の歩行者であり時間Δtの間に移動している動被写体である。
【0149】
このようなカメラを移動させながらの連続撮影処理によって、図13(b),(c)の2つの画像が取得される。すなわち、
(b)時間:T=t0の撮影画像
(c)時間:T=t0+Δtの撮影画像
これらの2つの画像である。
【0150】
移動量検出部207は、例えばこの2つの画像を用いて移動量を検出する。移動量の検出処理として、2枚の画像から2画像間の動きベクトルを求める。
この処理によって、例えば図13(d)のようなベクトル群が得られる。図13(d)に示す矢印は、ブロック対応の動きベクトルを示している。
【0151】
この図13(d)に示すブロック対応のベクトル群は、先に説明した図12(d)のブロック対応ベクトルとは異なり、一様とはならない。
すなわち、動被写体である歩行者302の撮影されている画像部分の動きベクトルは、カメラの動きに、さらに動被写体の動きが反映されたベクトルとなる。
【0152】
図13(d)上の点線で示すベクトル群は、動被写体を含まない画像領域のブロック対応の動きベクトルであり、カメラの動きのみに起因する動きベクトルであるが、実線で示す動きベクトルは、カメラの動きに、さらに動被写体の動きが反映されたベクトルである。
このように画像内に動被写体が含まれる場合、ブロック対応の動きベクトルは一様とはならない。
【0153】
なお、図13に示す例は、撮影画像内に動被写体が含まれる場合の動きベクトルの非一様性が発生する例を説明しているが、例えば、先に図9を参照して説明した画像例、すなわち、非常に近い被写体と遠くの被写体が同時に撮像された場合、すなわち、画像の一部に「視差が大きく異なる被写体」が含まれる場合も、2つの画像間の動きベクトルの非一様性が発生する。
なぜなら、近くの被写体の視差による移動量は、遠くの被写体の視差による移動量より大きい(異なる)からである。
【0154】
この例について図14を参照して説明する。
図14には、以下の(a)〜(c)の図を示している。
(a)時間:T=t0の撮影画像
(b)時間:T=t0+Δtの撮影画像
(c)動きベクトルマップの構成情報
【0155】
(a)時間:T=t0の撮影画像と、(b)時間:T=t0+Δtの撮影画像はカメラを移動させて連続撮影した画像である。
この画像にはカメラに極めて近い近距離被写体(花)305と、遠距離被写体が含まれる。
【0156】
カメラは近距離被写体(花)305の間近に設定して撮影している。そのため、カメラを移動させると、近距離被写体(花)305の撮影画像中の位置は大きくずれることになる。この結果、(a)時間:T=t0の撮影画像と、(b)時間:T=t0+Δtの撮影画像中の近距離被写体(花)305の画像位置が大きく異なる。
【0157】
このようなカメラを移動させながらの連続撮影処理によって、図14(a),(b)の2つの画像が取得される。すなわち、
(a)時間:T=t0の撮影画像
(b)時間:T=t0+Δtの撮影画像
これらの2つの画像である。
【0158】
移動量検出部207は、例えばこの2つの画像を用いて移動量を検出する。移動量の検出処理として、2枚の画像から2画像間の動きベクトルを求める。
この処理によって、例えば図14(c)のようなベクトル群が得られる。図14(c)に示す矢印は、ブロック対応の動きベクトルを示している。
【0159】
この図14(c)に示すブロック対応のベクトル群は、先に説明した図12(d)のブロック対応ベクトルとは異なり、一様とはならない。
この撮影画像には動被写体は含まれず、すべて静止被写体であるが、近距離被写体(花)305の撮影されている画像部分のブロック対応動きベクトルは、その他の遠距離被写体部分の動きベクトルよりはるかに大きくなる。
これは、近距離被写体はカメラの動きによる画像内での動き量が大きくなるためである。
【0160】
このように画像内に非常に近い被写体と遠くの被写体が同時に撮像された場合には、動きベクトルが非一様となる。
【0161】
図13(d)または、図14(c)のような一様でないベクトル群からなるベクトルマップが得られた場合、画像評価部211は、画像内に「動被写体が存在する」、あるいは画像内に非常に近い被写体と遠くの被写体が含まれ、画像の一部に「視差が大きく異なる被写体が含まれる」と判断することができる。
なお、画像評価部211は、一様でないベクトル群からなるベクトルマップに基づいてブロック対応差分ベクトルを生成し、生成したブロック対応差分ベクトルに基づいて最終的な評価処理を行う。
【0162】
画像評価部211は、移動量検出部207が生成した各撮影画像対応の動きベクトルマップ(例えば図12(d))またはその生成情報を移動量メモリ208から取得して、合成画像(左目用合成画像または右目用合成画像)に対応する「動被写体可視化画像」を生成して各合成画像についての3次元画像としての適正を評価する処理を実行する。この処理については、後段で詳細に説明する。
【0163】
画像評価部211は、画像合成部210の生成した合成画像(左目用合成画像または右目用合成画像)が3次元画像として適正でないと判定した場合は、ユーザに対する警告出力等の処理を実行する。
【0164】
[6.画像評価部における画像評価処理の詳細について]
上述したように、画像評価部211は、例えば動きベクトルマップを取得して、画像合成部210の生成した画像が3次元画像表示に適正な画像であるか適正でない画像であるかを判定する。
【0165】
この画像の適正度判定は、上述したように動きベクトルの一様性から判定することができる。以下では、画像評価部211の実行する動きベクトルの一様性に基づく3次元画像としての適正を判定するアルゴリズムの一例ついて説明する。
【0166】
画像評価部211は、動きベクトルの一様性に基づく判定処理を行うが、この判定処理は、具体的には、3D画像の画質に強く影響を及ぼす「動被写体」または「視差が大きく異なる被写体」が画像に含まれるか否かの判処理に相当する。この判定アルゴリズムとしては、様々な方法が適用可能である。
以下、その一例として、画像全体の動きに対応するグローバル・モーション・ベクトル(GMV)と異なるブロック対応ベクトルをもつ領域の被写体を「動被写体」または「視差が大きく異なる被写体」が含まれると判断する手法について説明する。
【0167】
「動被写体」または「視差が大きく異なる被写体」が3D画像の画質に与える影響の感じ方は個人差があり、定量的に行うことは難しい。しかしながら定性的には、
(1)「動被写体」または「視差が大きく異なる被写体」が画面に占める面積、
(2)「動被写体」または「視差が大きく異なる被写体」の画面における中心からの距離、
(3)画面中での「動被写体」または「視差が大きく異なる被写体」の移動量、
これらの指標を用いて、画像が3次元画像表示に適正な画像であるか適正でない画像であるかを判定することができる。
【0168】
画像評価部211は、画像合成部210の生成した画像(左目用合成画像、右目用合成画像)と、移動量検出部207の生成した動きベクトル情報を利用して上記の各指標を算出し、算出した指標に基づいて、画像合成部210の生成した画像が3次元画像としての適正を持つか否かを判定する。なお、判定処理に際しては、例えばメモリ209に予め格納した各指標に対応する画像評価判定情報(閾値等)が利用される。
【0169】
図15を参照して、動被写体を含む画像に対する画像評価部211の実行する処理例について説明する。なお、以下では、「動被写体」に対する処理例について説明するが、「動被写体」は「視差が大きく異なる被写体」に置き換えても同様の処理が可能である。
【0170】
図15には、以下の図を示している。
(a)時間:T=t0の撮影画像
(b)時間:T=t0+Δtの撮影画像
(c)動きベクトルマップの構成情報
(d)動被写体のみの動きベクトル情報
(e)動被写体部分の差分ベクトル(GMVとの差分)
(f)動被写体領域とベクトルの可視化情報
【0171】
連続撮像された複数枚の画像(図15(a),(b))から動きベクトルマップ(図15(c))が求められる。これは先に図12他を参照して説明した手法によって、移動量検出部207の実行する処理である。
図15(c)に示す動きベクトルマップから、動被写体領域として判定されたブロックのみを選択したブロック対応動きベクトルは図15(d)のようなベクトルマップとなる。
【0172】
この図15(d)に示すブロック対応動きベクトルは、
カメラの移動に起因するグローバル・モーション・ベクトル(GMV)と、
動被写体の動きに起因する動きベクトル、
これらの加算結果としてのベクトルである。
【0173】
3次元画像の画質に影響を与える成分は、背景に対する動被写体の動きであるので、動被写体の動きベクトルから、グローバル・モーション・ベクトル(GMV)を減算する。この減算結果として得られるブロック対応差分ベクトルを「真の動きベクトル」と呼ぶ。
図15(e)に動被写体の動きベクトルからグローバル・モーション・ベクトルを減算したブロック対応差分ベクトルを示す。このブロック対応差分ベクトルとしての「真の動きベクトル」が重要となる。
【0174】
図15(e)のブロック対応差分ベクトル(「真の動きベクトル」)が設定されるブロックは、GMVと異なる動きベクトルが検出されたブロックとなる。このブロック領域を「動被写体」検出領域であると判定することができる。
【0175】
画像評価部211は、画像合成部210の生成した合成画像のブロック単位の動きベクトルであるブロック動きベクトルから画像全体の動きを示すグローバル動きベクトルを減算して算出したブロック対応差分ベクトルの解析により合成画像の3次元画像としての適正を評価する。
【0176】
図15(f)は、図15(e)のブロック対応差分ベクトルから、予め規定した閾値以上の大きさを有するブロック対応差分ベクトルを持つブロックと、そのブロック対応差分ベクトルのみを示した図である。
【0177】
図15(f)に示すブロックを「動被写体検出領域351」として、他の領域と区別して示し、「動被写体検出領域351」の「真の動きベクトル352」(=動被写体の動きベクトルからグローバル・モーション・ベクトルを減算したブロック対応差分ベクトル)を示すことで、動被写体情報を可視化した「動被写体可視化画像」を生成することができる。
【0178】
画像評価部211は、この「動被写体可視化画像」を生成し、この情報を適用して画像評価、すなわち、画像合成部210の生成した合成画像(左目用合成画像や右目用合成画像)が3次元画像としての適正を有するか否かを判定することができる。なお、この情報は、例えば出力部204に表示することも可能であり、ユーザが3次元画像としての適正を阻害する問題領域としての例えば動被写体の領域を確認することが可能となる。
【0179】
画像評価部211は、画像合成部210の生成した左目用合成画像と、右目用合成画像の各々についての3次元画像としての適正評価処理に際して、合成画像のブロック単位の動きベクトルであるブロック動きベクトルから画像全体の動きを示すグローバル動きベクトルを減算して算出したブロック対応差分ベクトル(図15(e),(f))の解析を行う。この処理に際して、例えば「動被写体可視化画像」を適用した処理を行う。
【0180】
具体的には、
(1)予め規定した閾値以上の大きさを有するブロック対応差分ベクトルを持つブロックのブロック面積(S)、
(2)予め規定した閾値以上の大きさを有するブロック対応差分ベクトルのベクトル長に相当する移動量の加算値である移動量加算値(L)、
少なくとも上記のブロック面積(S)、または移動量加算値(L)いずれかの値と予め規定した閾値を比較して、ブロック面積(S)が予め規定した面積閾値以上、または前記移動量加算値が予め規定した移動量閾値以上である場合に、合成画像の3次元画像としての適正がないと判定する。
【0181】
前述したように、3次元画像表示用の左目用画像と右目用画像は画像合成部210において、連続撮像画像の中心から左右にオフセットした短冊領域をつなぎ合わせて生成する。
【0182】
図16を参照して「動被写体可視化画像」の生成処理例について説明する。
図16に示すように、「動被写体可視化画像360」は、3次元画像表示用の左目用合成画像と右目用合成画像の生成処理と同様、各合成画像の生成処理に使用した短冊の連結処理によって生成することができる。
図16の上段に示す画像(f1)〜(fn)は、画像合成部210が左目用合成画像または右目用合成画像の合成画像生成処理に用いた撮影画像を示しておいる。
左目用合成画像または右目用合成画像は、これらの各撮影画像(f1)〜(fn)の短冊領域を切り出して連結して生成されている。
【0183】
「動被写体可視化画像360」は、画像合成部210が生成した左目用合成画像または右目用合成画像の合成画像の生成に適用した短冊領域を利用して生成される。
なお、撮影画像(f1)〜(fn)は、図15(f)に示す画像に対応する。すなわち、
(f)動被写体領域とベクトルの可視化情報
である。すなわち、先に図15(f)を参照して説明したように、「動被写体検出領域351」の「真の動きベクトル352」(=動被写体の動きベクトルからグローバル・モーション・ベクトルを減算したブロック対応差分ベクトル)を持つ画像である。
【0184】
画像評価部211は、画像合成部210の生成した合成画像に含まれる各撮影画像の短冊領域情報をメモリ209から取得し、画像合成部210の生成した合成画像に対応する短冊領域単位で、図15(f)に示す[(f)動被写体領域とベクトルの可視化情報]を生成して、これらを連結して、図16に示す「動被写体可視化画像360」を生成する。
【0185】
この図16に示す「動被写体可視化画像360」は、画像合成部210の生成した合成画像(左目用合成画像または右目用合成画像)に対応する動被写体可視化画像である。
画像評価部211は、この可視化可情報である動被写体可視化画像を適用して画像評価を実行する。なお、図16に示す動被写体可視化画像は、3D画像生成に使用した短冊領域内の動被写体検出情報のみを使用した例であるが、短冊領域に限定せず画像全体の動被写体検出情報を使用して、重ね合わせて1枚の動被写体可視化画像を生成してもよい。
【0186】
以下、画像評価部211において実行する動被写体可視化画像360を適用した画像評価処理の具体例について説明する。
前述したように、画像評価部211は、画像合成部210の生成した画像の評価を以下の指標を算出して実行する。
(1)「動被写体」または「視差が大きく異なる被写体」が画面に占める面積、
(2)「動被写体」または「視差が大きく異なる被写体」の画面における中心からの距離、
(3)画面中での「動被写体」または「視差が大きく異なる被写体」の移動量、
これらの指標を用いて、画像が3次元画像表示に適正な画像であるか適正でない画像であるかを判定する。
以下、図16に示す動被写体可視化画像360を適用してこれらの指標値を算出する処理例について説明する。
【0187】
(1)「動被写体」または「視差が大きく異なる被写体」が画面に占める割合を求める処理例
画像評価部211は、画像合成部210の生成した画像と、移動量検出部207の生成した動きベクトル情報を利用して図16に示す動被写体可視化画像360を生成し、この画像を適用して、「動被写体」または「視差が大きく異なる被写体」の面積を求める。
以下の説明では、「動被写体」に対する処理例として説明するが、「視差が大きく異なる被写体」についても同様の処理が適用可能である。
【0188】
この処理に際しては、合成処理後の画像サイズに基づく正規化処理を行う。すなわち、正規化により、画像全体に対する動被写体領域の面積の割合を算出する。
画像評価部211は、動被写体領域の面積(S)、すなわち、
「予め規定した閾値以上の大きさを有するブロック対応差分ベクトルを持つブロックのブロック面積(S)」を以下の式に従って算出する。
【0189】
【数1】

・・・(式1)
【0190】
上記式(式1)によって算出される値(S)を動被写体面積と呼ぶ。
なお、上記式において、
wは合成後の画像横サイズ、
hは画像縦サイズ、
pは動被写体検出領域の画素、
である。
つまり、上記式(式1)は、図16に示す動被写体可視化画像360中の「動被写体検出領域351」の面積を求める式に相当する。
【0191】
なお、合成後画像サイズで正規化をする理由は、動被写体面積と動被写体が画質劣化に与える影響において、画像サイズ依存性をなくすためである。最終画像サイズが大きい場合は、最終画像サイズが小さい場合にくらべて、動被写体による画質劣化はあまり大きくないはずであり、これを反映させるために、動被写体領域面積を画像サイズで正規化する。
【0192】
なお、この上記式(式1)によって算出される動被写体面積については、画像評価値として算出する場合は、画像の位置に応じた重みを付けて、評価値を算出する構成としてもよい。この重み設定例については、以下の(2)において説明する。
【0193】
(2)「動被写体」または「視差が大きく異なる被写体」の画面における中心からの距離に対する処理例
次に、画像評価部211の実行する画像評価において、「動被写体」または「視差が大きく異なる被写体」の画面における中心からの距離に応じて重みを設定する処理例について説明する。
以下の説明では、「動被写体」に対する処理例として説明するが、「視差が大きく異なる被写体」についても同様の処理が適用可能である。
【0194】
画像評価部211は、画像合成部210の生成した画像と、移動量検出部207の生成した動きベクトル情報を利用して図16に示す動被写体可視化画像360を生成し、この画像を適用して、「動被写体」の画面における中心からの距離に対する処理を行う。
【0195】
人が画像を見る際に、中央付近を主に見るという性質を利用して、画像の位置に応じた重みを付けて、動被写体として検出されたブロックの面積に重み係数を乗算してから、動被写体面積を合計してもよい。重み係数(α=0〜1)の分布の一例を図17に示す。図17に示す例は、合成画像に設定する重み係数を濃淡情報として示した図である。合成画像中の中央付近の重み係数を高くし、画面端に行くにつれて重み係数を減少させる設定とする。重み係数は、例えばα=1〜0の範囲で設定する。
【0196】
例えば、前述の式(式1)によって算出される動被写体面積(S)について画像評価値として算出する場合は、画像の位置に応じた重みを付けて評価値を算出することができる。動被写体の検出位置に応じて、重み係数:α=1〜0を乗算して、
ΣαS
上記式に従って、画像に対応する動被写体面積に基づく画像評価値を算出することができる。
【0197】
(3)画面中での「動被写体」または「視差が大きく異なる被写体」の移動量を算出する処理例、
次に、画像評価部211の実行する画像評価において、画面中での「動被写体」または「視差が大きく異なる被写体」の移動量を算出する処理例について説明する。
以下の説明では、「動被写体」に対する処理例として説明するが、「視差が大きく異なる被写体」についても同様の処理が適用可能である。
【0198】
画像評価部211は、図16に示す動被写体可視化画像360において、表示されている真の動きベクトルの長さをすべて足し合わせたベクトル加算値(L)、
すなわち、「予め規定した閾値以上の大きさを有するブロック対応差分ベクトルのベクトル長に相当する移動量の加算値である移動量加算値(L)」を以下の式(式2)に従って算出する。なお、この算出処理に際しても合成画像の画像サイズに基づく正規化を行う。
【0199】
【数2】

・・・・(式2)
【0200】
上記式(式2)によって算出される動被写体の真のベクトルのベクトル加算値(L)を動被写体移動量と呼ぶ。
なお、上記式において、
wは合成後の画像横サイズ、
hは画像縦サイズ、
vは動被写体可視化画像中にある真のベクトル、
である。
【0201】
なお、合成後画像サイズで正規化をする理由は、先に説明した式(式1)の場合と同様、動被写体面積と動被写体が画質劣化に与える影響において、画像サイズ依存性をなくすためである。最終画像サイズが大きい場合は、最終画像サイズが小さい場合にくらべて、動被写体による画質劣化はあまり大きくないはずであり、これを反映させるために、動被写体領域面積を画像サイズで正規化する。
【0202】
なお、この上記式(式2)によって算出される動被写体移動量、すなわち、
「予め規定した閾値以上の大きさを有するブロック対応差分ベクトルのベクトル長に相当する移動量の加算値である移動量加算値(L)」
についても、画像評価値として算出する場合は、先に図17を参照して説明したように画像の位置に応じた重みを付けて、動被写体として検出されたベクトルの長さに重みを乗算して、動被写体移動量に基づく評価値を算出する構成としてもよい。
【0203】
例えば、前述の式(式2)によって算出される動被写体の移動量(L)について画像評価値として算出する場合は、画像の位置に応じた重みを付けて評価値を算出することができる。動被写体の検出位置に応じて、重み係数:α=1〜0を乗算して、
ΣαL
上記式に従って、画像に対応する動被写体の移動量(L)、すなわち、
「予め規定した閾値以上の大きさを有するブロック対応差分ベクトルのベクトル長に相当する移動量の加算値である移動量加算値(L)」
に基づく画像評価値を算出することができる。
【0204】
画像評価部211は、このように様々な指標に従った画像評価値を算出し、これらの評価値を利用して、各合成画像の3次元画像としての適正を判定する。
原理的に、動被写体面積と動被写体移動量はどちらも、値が大きければ3次元画像としての画質が悪く、値が小さければ3次元画像の画質が良いという傾向がある。
【0205】
画像評価部211は、画像合成部210から提供される画像単位で、上述した動被写体面積(S)、または動被写体移動量(L)の少なくともいずれかの指標値を算出して、これらの値から3次元画像としての適正を判定する。
【0206】
画像評価部211は、例えば動被写体面積(S)、または動被写体移動量(L)の少なくともいずれかの指標値と、予めメモリ209に記録済みの画像評価判定情報としての閾値を比較して最終的な画像の適正判定を行う。
なお、評価処理は、適正あり、なしの2段階評価に限らず、複数の閾値を設けてこの数段階評価を行う構成としてもよい。その評価結果を撮像直後に出力部204に出力してユーザ(撮影者)に知らせる等の処理を行う。
【0207】
この画像評価情報提供処理により、ユーザは、画像を3次元画像表示ディスプレイで見なくても3次元画像としての画質を把握することができる。
また、低い評価のときは、撮像画像を記録せず、撮影をやり直すといった処理を行うといった判断を行うことが可能となる。
【0208】
なお、動被写体面積(S)や、動被写体移動量(L)、すなわち、
(1)予め規定した閾値以上の大きさを有するブロック対応差分ベクトルを持つブロックのブロック面積(S)、
(2)予め規定した閾値以上の大きさを有するブロック対応差分ベクトルのベクトル長に相当する移動量の加算値である移動量加算値(L)、
これらの2つの指標値中、3次元画像の適正評価に際しては、一方のみの指標を利用してもよいが、両者を合わせて最終的な指標値としてもよい。さらに、前述したように重み情報[α]を適用して画像に対応する最終的な3次元画像適正評価値を算出してもよい。
【0209】
例えば、画像評価部211は、3次元画像適正評価値[A]を以下のように算出する。
A=aΣ(α1)(S)+bΣ(α2)(L)
・・・(式3)
上記式(式3)において、
S:動被写体面積
L:動被写体移動量
α1:重み係数(画像位置対応重み係数)
α2:重み係数(画像位置対応重み係数)
a,b:重み係数(動被写体面積(S)と、動被写体移動量(L)のバランス調整用重み係数)
である。
なお、α1,α2,a,b等のパラメータは予めメモリ209に格納しておく。
【0210】
画像評価部211は、上記式(式3)によって算出した3次元画像適正評価値[A]と、メモリ209に予め格納した画像評価判定情報(閾値Th)と比較する。
例えば、この比較処理において、
A≧Th
上記判定式が成立した場合は、その画像は3次元画像としての適正がないと判定する。
上記判定式が成立しない場合は、その画像は3次元画像としての適正があると判定する。
上記判定式による判定処理は、例えば図11のステップS112の判定処理に対応した処理として画像評価部211において実行される。
【0211】
また、例えば、動被写体面積(S)の値をx座標、動被写体移動量(L)の値をy座標として、xy平面に画像評価データ(x,y)=(S,L)としてプロットして、3次元画像としての適正を判断することも可能である。
【0212】
例えば図18に示すようにx軸に垂直な直線とy軸に垂直な直線で囲まれた領域381に入っている画像を3次元画像として適正がある。すなわち画質が高いとみなす。
図18は、
横軸(x軸)が、動被写体面積(S)、すなわち、
(1)予め規定した閾値以上の大きさを有するブロック対応差分ベクトルを持つブロックのブロック面積(S)、
縦軸(y軸)が、動被写体移動量(L)、すなわち、
(2)予め規定した閾値以上の大きさを有するブロック対応差分ベクトルのベクトル長に相当する移動量の加算値である移動量加算値(L)、
これらの各軸を設定したグラフであり、グラフ上のプロットは、各画像の評価データ(x,y)=(S,L)のプロットである。
【0213】
領域381以外に画像評価データ(x,y)=(S,L)が設定される画像は、3次元画像として適正がない。すなわち画質が低いとみなすといった判定処理を実行してもよい。なお、図18には、領域381を矩形としているが、この領域は矩形ではなく楕円でも多項式でも良い。
【0214】
さらに、ほかの方法として、画像評価データ(x,y)=(S,L)を入力としてある評価関数f(x,y)を定義し、この関数の出力を3D画像の画質判断に使用しても良い。前述の3次元画像適正評価値[A]の算出式(式3)、すなわち、
A=aΣ(α1)(S)+bΣ(α2)(L)
・・・(式3)
上記式も1つの評価関数f(x,y)の適用例に相当する。
なお、評価関数の係数は、メモリ209に記録された固定値を適用してもよいが、例えば学習処理によって算出し、順次更新する設定としてもよい。学習処理は例えばオフラインで随時実行し、その結果として得られる係数を画像処理装置に順次、提供して更新して利用するといった処理が可能である。
【0215】
画像評価部211は、このようにして画像合成部210の生成した画像、すなわち3次元画像表示に適用するための左目用画像と、右目用画像が3次元画像としての適正をもつか否かの評価を実行する。この評価結果が3次元画像としての適正がないとの評価結果である場合は、例えば記録メディアへの記録処理を保留してユーザに対する警告を実行する。ユーザによる記録処理の要求があった場合は記録を行い、記録要求がなされない場合は記録処理を中止する処理などを行う。
【0216】
また前述したように評価情報は、画像評価部211から記録部212に提供され、記録部212がメディアに記録する画像の属性情報(メタデータ)として画像に併せて記録する。この記録情報を利用することで、例えばPCなど3次元画像の表示処理を行う情報処理装置や画像処理装置において、適切な画像補正を迅速に行うことが可能となる。
【0217】
以上、特定の実施例を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が実施例の修正や代用を成し得ることは自明である。すなわち、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、限定的に解釈されるべきではない。本発明の要旨を判断するためには、特許請求の範囲の欄を参酌すべきである。
【0218】
また、明細書中において説明した一連の処理はハードウェア、またはソフトウェア、あるいは両者の複合構成によって実行することが可能である。ソフトウェアによる処理を実行する場合は、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれたコンピュータ内のメモリにインストールして実行させるか、あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させることが可能である。例えば、プログラムは記録媒体に予め記録しておくことができる。記録媒体からコンピュータにインストールする他、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介してプログラムを受信し、内蔵するハードディスク等の記録媒体にインストールすることができる。
【0219】
なお、明細書に記載された各種の処理は、記載に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されてもよい。また、本明細書においてシステムとは、複数の装置の論理的集合構成であり、各構成の装置が同一筐体内にあるものには限らない。
【産業上の利用可能性】
【0220】
以上、説明したように、本発明の一実施例の構成によれば、複数の画像から切り出した短冊領域を連結して生成した3次元画像表示に適用する左目用合成画像と右目用合成画像の適正を評価する装置および方法を提供する。合成画像のブロック単位の動きベクトルであるブロック動きベクトルから画像全体の動きを示すグローバル動きベクトルを減算して算出したブロック対応差分ベクトルを解析し、規定閾値以上の大きさを有するブロック対応差分ベクトルを持つブロック面積(S)、またはベクトル長加算値である移動量加算値(L)が予め規定した閾値以上である場合、合成画像の3次元画像としての適正がないと判定する処理を実行し、判定結果に応じた警告出力や記録制御を行う。
【符号の説明】
【0221】
10 カメラ
20 画像
21 2Dパノラマ画像用短冊
30 2Dパノラマ画像
51 左目用画像短冊
52 右目用画像短冊
70 撮像素子
72 左目用画像
73 右目用画像
100 カメラ
101 仮想撮像面
102 光学中心
110 画像
111 左目用画像短冊
112 右目用画像短冊
115 2Dパノラマ画像用短冊
200 撮像装置
201 レンズ系
202 撮像素子
203 画像信号処理部
204 表示部
205 画像メモリ(合成処理用)
206 画像メモリ(移動量検出用)
207 移動量検出部
208 移動量メモリ
209 メモリ
210 画像合成部
211 画像評価部
212 記録部
360 動被写体可視化画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる位置からの撮影画像各々から切り出した短冊領域の連結処理により生成した3次元画像表示に適用する合成画像の3次元画像としての適正を評価する画像評価部を有し、
前記画像評価部は、
前記合成画像のブロック単位の動きベクトルであるブロック動きベクトルから画像全体の動きを示すグローバル動きベクトルを減算して算出したブロック対応差分ベクトルの解析により合成画像の3次元画像としての適正を評価する処理を実行し、
(1)予め規定した閾値以上の大きさを有するブロック対応差分ベクトルを持つブロックのブロック面積(S)、
(2)予め規定した閾値以上の大きさを有するブロック対応差分ベクトルのベクトル長に相当する移動量の加算値である移動量加算値(L)、
少なくとも前記ブロック面積(S)、または前記移動量加算値(L)いずれかの値と予め規定した閾値を比較して、
前記ブロック面積(S)が予め規定した面積閾値以上、または前記移動量加算値が予め規定した移動量閾値以上である場合に、合成画像の3次元画像としての適正がないと判定する処理を実行する画像処理装置。
【請求項2】
前記画像評価部は、
前記合成画像中のブロック位置に応じた重み設定を行い、画像中央部ほど大きい重み係数を乗算して、前記ブロック面積(S)、または移動量加算値(L)の算出処理を実行し、重み係数を乗算した結果と閾値との比較処理を実行する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像評価部は、
前記ブロック面積(S)、または移動量加算値(L)の算出処理に際して、前記合成画像の画像サイズに基づく正規化処理を実行して各値の算出処理を実行し、算出結果と閾値との比較処理を行う請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記画像評価部は、
3次元画像としての適正評価値:Aを、下記式、
A=aΣ(α1)(S)+bΣ(α2)(L)
ただし、
Sは前記ブロック面積、
Lは前記移動量加算値、
α1、α2は画像位置対応の重み係数、
a,bは、前記ブロック面積(S)と前記移動量加算値(L)のバランス調整用重み係数、
上記式に従って算出する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記画像評価部は、
前記合成画像に対応する差分ベクトルをブロック単位で示した可視化画像を生成し、該可視化画像を適用して前記ブロック面積(S)、または前記移動量加算値(L)の算出を行う請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記画像処理装置は、
前記撮影画像を入力し、撮影画像間のマッチング処理により前記ブロック動きベクトルを算出する移動量検出部を有し、
前記画像評価部は、前記移動量検出部の算出したブロック動きベクトルを適用して前記ブロック面積(S)、または前記移動量加算値(L)の算出を行う請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記画像処理装置は、
異なる位置から撮影された複数の画像を入力し、各画像から切り出した短冊領域を連結して合成画像を生成する画像合成部を有し、
前記画像合成部は、
各画像に設定した左目用画像短冊の連結合成処理により3次元画像表示に適用する左目用合成画像を生成し、
各画像に設定した右目用画像短冊の連結合成処理により3次元画像表示に適用する右目用合成画像を生成し、
前記画像評価部は、前記画像合成部の生成した合成画像について、3次元画像としての適正評価を行う請求項1〜6いずれかに記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記画像処理装置は、さらに、
前記画像評価部の合成画像評価結果が3次元画像としての適正がないとの判定である場合、警告出力を実行する制御部を有する請求項1〜7いずれかに記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記画像評価部の合成画像評価結果が3次元画像としての適正がないとの判定である場合、前記合成画像の記録メディアに対する記録処理を保留し、前記警告出力に応じたユーザからの記録要求の入力を条件として記録処理を実行する請求項8に記載の画像処理装置。
【請求項10】
画像撮影に適用するレンズ部と、
撮影画像の光電変換を行う撮像素子と、
前記請求項1〜9いずれかに記載の画像処理を実行する画像処理部を備えた撮像装置。
【請求項11】
画像処理装置において実行する画像処理方法であり、
画像評価部が、異なる位置からの撮影画像各々から切り出した短冊領域の連結処理により生成した3次元画像表示に適用する合成画像の3次元画像としての適正を評価する画像評価ステップを有し、
前記画像評価ステップは、
前記合成画像のブロック単位の動きベクトルであるブロック動きベクトルから画像全体の動きを示すグローバル動きベクトルを減算して算出したブロック対応差分ベクトルの解析により合成画像の3次元画像としての適正を評価する処理を実行し、
(1)予め規定した閾値以上の大きさを有するブロック対応差分ベクトルを持つブロックのブロック面積(S)、
(2)予め規定した閾値以上の大きさを有するブロック対応差分ベクトルのベクトル長に相当する移動量の加算値である移動量加算値(L)、
少なくとも前記ブロック面積(S)、または移動量加算値(L)のいずれかの値と予め規定した閾値を比較して、
前記ブロック面積(S)が予め規定した面積閾値以上、または前記移動量加算値が予め規定した移動量閾値以上である場合に、合成画像の3次元画像としての適正がないと判定する処理を実行する画像処理方法。
【請求項12】
画像処理装置において画像処理を実行させるプログラムであり、
画像評価部に、異なる位置からの撮影画像各々から切り出した短冊領域の連結処理により生成した3次元画像表示に適用する合成画像の3次元画像としての適正を評価させる画像評価ステップを有し、
前記画像評価ステップは、
前記合成画像のブロック単位の動きベクトルであるブロック動きベクトルから画像全体の動きを示すグローバル動きベクトルを減算して算出したブロック対応差分ベクトルの解析により合成画像の3次元画像としての適正を評価する処理を実行するステップであり、
(1)予め規定した閾値以上の大きさを有するブロック対応差分ベクトルを持つブロックのブロック面積(S)、
(2)予め規定した閾値以上の大きさを有するブロック対応差分ベクトルのベクトル長に相当する移動量の加算値である移動量加算値(L)、
少なくとも前記ブロック面積(S)、または移動量加算値(L)のいずれかの値と予め規定した閾値を比較して、
前記ブロック面積(S)が予め規定した面積閾値以上、または前記移動量加算値が予め規定した移動量閾値以上である場合に、合成画像の3次元画像としての適正がないと判定する処理を実行するステップであるプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図7】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図14】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2011−166264(P2011−166264A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−24016(P2010−24016)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】