説明

画像処理装置、画像処理方法、およびプログラム

【課題】画像の正規化による妨害行為の誤検出及び検出漏れを抑制することができるようにする。
【解決手段】取得された画像は画像分割部63により分割され、更新領域選択部61により更新対象として選択されたブロックのヒストグラムがヒストグラム生成部64により生成される。ヒストグラム保存部62は生成されたヒストグラムを順次更新して保存する。正規化処理部65は、ヒストグラムを正規化するか否かを判定する。変化判定部66は、ヒストグラム生成部64により生成されたヒストグラムと、ヒストグラム保存部62に保存されている過去のヒストグラムの類似度を演算し、その演算結果に基づいて、取得された画像の変化を判定する。本発明は、例えば、監視システムに適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法、およびプログラムに関し、特に、画像の正規化による妨害行為の誤検出および検出漏れを抑制することができるようにする画像処理装置、画像処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
所定の空間への人、動物などの侵入者を発見するために、監視カメラにより対象とされる空間を撮影し、撮影画像から侵入者を検知する監視システムが知られている。かかる監視システムは、監視カメラに布を被せる、監視カメラの向きを変える、監視カメラのレンズにスプレーをかける、などの妨害行為が行われると、監視ができなくなる。
【0003】
そこで、監視カメラにより撮像された現在の画像と予め記憶されている参照画像の輝度値の差分を演算し、差分値が一定値以上である場合には、妨害行為があったと判定することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図1は、監視カメラにより撮像された画像の更新を説明する図である。図1に示されるように、フレームF1乃至フレームF6が順次得られたとき、例えば1フレームおきに得られる画像が参照画像として記憶され、順次更新される。すなわち、この例の場合、フレームF1,F3,F5が参照画像として順次更新される。
【0005】
妨害行為が存在しない場合、時間的に前の背景画像と時間的に後の背景画像とは同じであるので、輝度値の差分は小さい。これに対して、妨害行為により監視カメラの向きが変更された場合、時間的に前の背景画像と時間的に後の背景画像とは異なったものとなるので、輝度値の差分は大きくなる。
【0006】
そこで、フレームF3が得られたとき、そのときの過去の画像である参照画像としてのフレームF1との輝度値の差分が演算される。同様に、フレームF5が得られたとき、そのときの過去の画像であるフレームF3の画像との輝度値の差分が演算される。大きな差分値が得られたとき、妨害行為があったと判定することができる。
【0007】
ところで、監視カメラにより撮像された画像において、照明や天候の変化、あるいは監視カメラのAE(Automatic Exposure:自動露出)機能により、取得される画像全体の明るさ(輝度値)が変化する場合がある。この画像全体の明るさの変化による誤検出を防止するため、画像の輝度値のヒストグラムを正規化してから、画像を比較するようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−77517号公報
【特許文献2】特許3506934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、取得された画像に対して常に正規化を行うようにすると、逆に、正規化を行ったことにより、妨害行為を検出できなくなる場合がある。
【0010】
図2は、正規化を行うことにより、妨害行為の誤検出を低減させることができる例を示している。
【0011】
図2Aは、明るい服を着用している人が検出対象の空間に侵入し、撮像された画像の全体の明るさがAE機能により変化した例を示している。この例において、正規化を行わない場合、妨害行為の誤検出が発生する。即ち、明るい現在の画像を、参照画像としての背景が暗い画像と比較すると、監視システムは、背景の輝度値の変化を検出し、妨害行為と認識してしまう。従って、画像の正規化を行うことで、AE機能による背景の輝度値の変化を吸収し、妨害行為の誤検出を防ぐことができる。
【0012】
図2Bは、照明(太陽光)が変化した例を示している。この例においても、正規化を行わないと、妨害行為の誤検出が発生するが、正規化を行うことで、妨害行為の誤検出を防ぐことができる。
【0013】
図3は、正規化を行うことにより、妨害行為の検出漏れが発生する例であり、監視カメラの向きを変える、という妨害行為が行われた場合の画像の変化例を示している。
【0014】
妨害行為の前後の画像では、撮像されるシーン(景色)は似ており、空は同一の明るさであるが、建物の明るさが、妨害行為前の画像(図3左側の画像)より、妨害行為後の画像(図3右側の画像)の方が暗くなっている。
【0015】
このような例では、正規化を行わなければ、建物の明るさの変化を検出するため、妨害行為を検出することができる。一方、正規化を行った場合には、建物の明るさの違いが調整されるため、変化がないものとなり、妨害行為を検出しない可能性がある。即ち、正規化により、妨害行為の検出漏れが発生する可能性がある。
【0016】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、画像の正規化による妨害行為の誤検出及び検出漏れを抑制することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一側面の画像処理装置は、画像の画像データを取得する取得手段と、取得された前記画像をN(N>1)個のブロックに分割する分割手段と、新たな前記画像の前記画像データが取得される毎に、N個の前記ブロックのうちのM(N≧M>1)個の前記ブロックを、更新対象の前記ブロックとして順次指定する指定手段と、指定されたM個の前記ブロックの前記画像データのヒストグラムを生成するヒストグラム生成手段と、生成された前記ヒストグラムを順次更新して保存するヒストグラム保存手段と、生成されたM個の前記ブロックの前記ヒストグラムと、保存されていた対応する過去のM個の前記ブロックの前記ヒストグラムの類似度に基づいて、取得された前記画像の変化を判定する変化判定手段と、前記ヒストグラムの正規化を行うか否かを判定する正規化判定手段と、前記正規化判定手段において正規化を行うと判定された場合に、生成されたM個の前記ブロックの前記ヒストグラムか、または、保存されていた対応する過去のM個の前記ブロックの前記ヒストグラムのいずれか一方を正規化する正規化手段とを備え、前記変化判定手段は、前記正規化手段により前記ヒストグラムの正規化が行われた場合、正規化後の前記ヒストグラムを用いた類似度に基づいて、取得された前記画像の変化を判定する。
【0018】
本発明の一側面の画像処理方法は、画像の画像データを取得する取得ステップと、取得された前記画像をN(N>1)個のブロックに分割する分割ステップと、新たな前記画像の前記画像データが取得される毎に、N個の前記ブロックのうちのM(N≧M>1)個の前記ブロックを、更新対象の前記ブロックとして順次指定する指定ステップと、取得された前記画像データのヒストグラムを生成するヒストグラム生成ステップと、生成された前記ヒストグラムを順次更新して保存するヒストグラム保存ステップと、生成されたM個の前記ブロックの前記ヒストグラムと、保存されていた対応する過去のM個の前記ブロックの前記ヒストグラムの類似度に基づいて、取得された前記画像の変化を判定する変化判定ステップと、前記ヒストグラムの正規化を行うか否かを判定する正規化判定ステップと、前記正規化判定ステップの処理において正規化を行うと判定された場合に、生成されたM個の前記ブロックの前記ヒストグラムか、または、保存されていた対応する過去のM個の前記ブロックの前記ヒストグラムのいずれか一方を正規化する正規化ステップとを含み、前記変化判定ステップの処理は、前記正規化ステップの処理により前記ヒストグラムの正規化が行われた場合、正規化後の前記ヒストグラムを用いた類似度に基づいて、取得された前記画像の変化を判定する。
【0019】
本発明の一側面のプログラムは、コンピュータに、画像の画像データを取得する取得ステップと、取得された前記画像をN(N>1)個のブロックに分割する分割ステップと、新たな前記画像の前記画像データが取得される毎に、N個の前記ブロックのうちのM(N≧M>1)個の前記ブロックを、更新対象の前記ブロックとして順次指定する指定ステップと、取得された前記画像データのヒストグラムを生成するヒストグラム生成ステップと、生成された前記ヒストグラムを順次更新して保存するヒストグラム保存ステップと、生成されたM個の前記ブロックの前記ヒストグラムと、保存されていた対応する過去のM個の前記ブロックの前記ヒストグラムの類似度に基づいて、取得された前記画像の変化を判定する変化判定ステップと、前記ヒストグラムの正規化を行うか否かを判定する正規化判定ステップと、前記正規化判定ステップの処理において正規化を行うと判定された場合に、生成されたM個の前記ブロックの前記ヒストグラムか、または、保存されていた対応する過去のM個の前記ブロックの前記ヒストグラムのいずれか一方を正規化する正規化ステップとを含み、前記変化判定ステップの処理は、前記正規化ステップの処理により前記ヒストグラムの正規化が行われた場合、正規化後の前記ヒストグラムを用いた類似度に基づいて、取得された前記画像の変化を判定する処理を実行させる。
【0020】
本発明の一側面においては、画像の画像データが取得され、取得された画像がN(N>1)個のブロックに分割され、新たな画像の画像データが取得される毎に、N個のブロックのうちのM(N≧M>1)個のブロックが、更新対象のブロックとして順次指定される。指定されたM個のブロックの画像データのヒストグラムが生成され、生成されたヒストグラムが順次更新されて保存される。そして、生成されたM個のブロックのヒストグラムと、保存されていた対応する過去のM個のブロックのヒストグラムの類似度に基づいて、取得された画像の変化が判定され、ヒストグラムの正規化を行うか否かが判定され、正規化を行うと判定された場合に、生成されたM個のブロックのヒストグラムか、または、保存されていた対応する過去のM個のブロックのヒストグラムのいずれか一方が正規化される。ヒストグラムの正規化が行われた場合には、正規化後のヒストグラムを用いた類似度に基づいて、取得された画像の変化が判定される。
【0021】
なお、プログラムは、伝送媒体を介して伝送することにより、又は、記録媒体に記録して、提供することができる。
【0022】
画像処理装置は、独立した装置であっても良いし、1つの装置を構成している内部ブロックであっても良い。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一側面によれば、画像の正規化による妨害行為の誤検出及び検出漏れを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】従来の画像の更新を説明する図である。
【図2】正規化の良い例を説明する図である。
【図3】正規化の悪い例を説明する図である。
【図4】本発明の画像処理装置の一実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図5】妨害行為検出の原理を説明する図である。
【図6】画像解析部の詳細構成例を示すブロック図である。
【図7】正規化処理部の詳細構成例を示すブロック図である。
【図8】正規化判定部の処理を説明する図である。
【図9】正規化値算出部の処理を説明する図である。
【図10】正規化部の処理を説明する図である。
【図11】正規化部の処理を説明する図である。
【図12】変化判定部の詳細構成例を示すブロック図である。
【図13】変化判定部の処理を説明する図である。
【図14】変化判定部の処理を説明する図である。
【図15】妨害行為検出処理を説明するフローチャートである。
【図16】更新するブロックの移動を説明する図である。
【図17】正規化処理の詳細を説明するフローチャートである。
【図18】更新するブロックの移動を説明する図である。
【図19】更新の間隔を説明する図である。
【図20】更新の間隔を説明する図である。
【図21】更新の間隔を説明する図である。
【図22】更新の間隔を説明する図である。
【図23】移動体の移動とブロックの移動との関係を説明する図である。
【図24】更新するブロックの移動順序を示す図である。
【図25】ブロックの形状を示す図である。
【図26】ブロックの形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[画像処理装置の構成]
図4は、本発明の画像処理装置の一実施の形態の構成を示すブロック図である。
【0026】
画像処理装置21は、取得された画像に基づいて、監視カメラ(監視装置)に対する妨害行為を検出し、妨害行為が検出されたときアラームを出力する。画像処理装置21は、取得部31と画像処理部32により構成されている。
【0027】
画像の画像データを取得する取得手段としての取得部31は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ、ビデオカメラなどの撮像部を内蔵し、撮像部が監視する対象空間などの被写体を撮影することで得られた画像データを取得し、出力する。取得部31はまた、ネットワークを介して外部から供給される画像データを取得することもできる。
【0028】
画像処理部32は、撮像信号処理部41、データ保存部42、および画像解析部43により構成される。
【0029】
撮像信号処理部41は、取得部31より得られた画像データに対して、黒レベル補正処理、ホワイトバランス処理、γ補正処理、色補正処理等の各種画像処理を施す。撮像信号処理部41は、例えばDSP(Digital Signal Processor)により構成される。データ保存部42は、撮像信号処理部41により処理された画像データを保存する。データ保存部42は、例えばRAM(Random Access Memory)により構成される。画像解析部43は、撮像信号処理部41より供給される現在の画像と、データ保存部42より供給される過去の画像である参照画像を解析することにより、妨害行為を検出する。画像解析部43は、例えばCPU(Central Processing Unit)により構成される。
【0030】
[妨害行為検出の原理]
図5を参照して、画像処理装置21が行う妨害行為検出の原理(概要)について説明する。本発明の一実施の形態においては、過去の画像PIと、現在の画像NIが変化領域検出部51に入力される。変化領域検出部51は、過去の画像PIと現在の画像NIのそれぞれを、所定の大きさのブロックに分割する。そして、ブロック毎に画素値のヒストグラムが演算される。過去の画像PIの所定の位置のブロックのヒストグラムと、現在の画像NIの対応する位置のブロックのヒストグラムの類似度が演算される。類似度が低いブロックは、変化領域VIとして検出される。
【0031】
妨害判定部52は、変化領域VIの数が多い場合、妨害行為があったと判定し、アラームを出力する。
【0032】
[画像解析部43の詳細構成]
図6は、画像解析部43の詳細構成例を示すブロック図である。
【0033】
画像解析部43は、更新領域選択部61、ヒストグラム保存部62、画像分割部63、ヒストグラム生成部64、正規化処理部65、変化判定部66、変化領域保存部67、カウンタ部68、および閾値判定部69により構成されている。
【0034】
なお、図5の変化領域検出部51は、図6のヒストグラム生成部64、正規化処理部65、および変化判定部66に対応する。また、図5の妨害判定部52は、図6のカウンタ部68および閾値判定部69に対応する。そして、図6のヒストグラム保存部62は、図4のデータ保存部42に対応する。図6に示す構成の全部または一部は、画像解析部43ではなく、図4の撮像信号処理部41またはデータ保存部42に設けることもできる。
【0035】
更新領域選択部61は、新たな画像の画像データが取得される毎に、N個のブロックのうちのM(N≧M>1)個のブロックを、更新するブロックとして順次指定する指定手段として機能する。この更新新領域選択部61は、撮像信号処理部41から供給されるデータから、取得部31により取得された画像のフレーム番号を抽出し、更新するフレーム番号を決定する。さらに更新領域選択部61は、更新するフレームの中の更新するブロックを決定する。
【0036】
取得された画像をN(N>1)個のブロックに分割する分割手段としての画像分割部63は、撮像信号処理部41から供給される画像データに基づく各フレームの画像のうち、更新領域選択部61により指定されるフレームを複数のブロックに分割する。画像分割部63はまた、分割されたブロックのうち、更新領域選択部61により指定されるブロックの画像データを、ヒストグラム生成部64に供給する。
【0037】
取得された画像データのヒストグラムを生成するヒストグラム生成手段としてのヒストグラム生成部64は、画像分割部63から供給されたブロックのヒストグラムを生成する。なお、撮像信号処理部41がヒストグラム生成機能を備える場合がある。その場合には、ヒストグラム生成部64は撮像信号処理部41内に設けることができる。
【0038】
生成されたヒストグラムを順次更新して保存するヒストグラム保存手段としてのヒストグラム保存部62は、更新領域選択部61により更新領域として指定されるブロックのヒストグラムを更新する。すなわち、ヒストグラム生成部64から供給される現在のフレームの更新対象のブロックのヒストグラムにより、既に記憶されている過去のフレームの対応するブロックのヒストグラムが書き換えられる。
【0039】
正規化処理部65は、ブロックのヒストグラムを必要に応じて正規化する。正規化処理部65には、ヒストグラム生成部64から、現在のフレームの更新対象のブロックのヒストグラムが供給される。また、正規化処理部65には、ヒストグラム生成部64から供給されたブロックに対応する過去のヒストグラムが、ヒストグラム保存部62から供給される。正規化処理部65は、ヒストグラム生成部64から供給される現在のフレームの更新対象の各ブロックについてヒストグラムの正規化の要否を判断し、必要に応じて正規化する。なお、現在のフレームの更新対象のブロックのヒストグラムと、それに対応する過去のブロックのヒストグラムのどちらが正規化されるかは、ヒストグラムの状況に応じて判断される。
【0040】
取得された画像の変化を判定する変化判定手段としての変化判定部66は、生成された現在のヒストグラムと、保存されていた過去のヒストグラムの類似度に基づいて、変化判定処理を行う。すなわち、ヒストグラム生成部64より供給される現在のフレームの更新対象のブロックのヒストグラムと、ヒストグラム保存部62から供給される過去のフレームの対応するブロックのヒストグラムに基づいて、画像の変化が判定される。正規化処理部65より供給される更新対象のブロックの過去と現在のヒストグラムは、正規化処理部65で正規化が行われた場合には、正規化後のヒストグラムとなっている。
【0041】
変化領域保存部67は、変化判定部66による判定結果を保存する。即ち、現在のフレームの更新対象のブロックの、過去のブロックに対する変化の有無が、新たな画像の画像データが取得される毎に、順次、変化領域保存部67に保存される。
【0042】
変化があったと判定されたブロックの数をカウントするカウント手段としてのカウンタ部68には、変化判定部66から、現在のフレームの更新対象のブロックの判定結果(変化の有無)が供給される。また、変化領域保存部67からは、現在のフレームの更新対象のブロック以外のブロックの判定結果が、カウンタ部68に供給される。カウンタ部68は、変化判定部66の出力と変化領域保存部67の出力に基づいて、1つの監視中の画像中の変化があったブロックの数をカウントする。
【0043】
カウントされた値をアラーム閾値と比較し、カウントされた値がアラーム閾値より大きいときアラームを出力するアラーム閾値判定手段としての閾値判定部69は、カウンタ部68によりカウントされたブロックの数を、予め決められている所定の閾値と比較する。カウントされたブロックの数が閾値より大きいとき、妨害行為が検出されたと判断し、検出信号が出力される。この検出信号は例えばアラームとすることができる。
【0044】
[正規化処理部65の詳細構成]
図7は、正規化処理部65の詳細構成例を示すブロック図である。正規化処理部65は、正規化判定部81、正規化値算出部82、平均値保存部83、および正規化部84により構成されている。
【0045】
正規化判定部81には、ヒストグラム生成部64から、現在のフレームの更新対象のブロックのヒストグラムが供給され、ヒストグラム生成部64から供給されたブロックに対応する過去のヒストグラムが、ヒストグラム保存部62から供給される。以下では、適宜、現在のフレームの更新対象のブロックのヒストグラムを現在のヒストグラム、過去のフレームの対応するブロックのヒストグラムを過去のヒストグラムと称する。
【0046】
正規化判定部81は、現在のフレームの更新対象のブロックに対して正規化を行うか否かを判定する。正規化判定部81は、正規化を行わない(行う必要がない)と判定した場合、入力された更新対象の各ブロックの現在のヒストグラムと過去のヒストグラムを、そのまま変化判定部66に供給する。正規化判定部81は、正規化を行う(必要がある)と判定した場合、入力された更新対象の各ブロックの現在のヒストグラムと過去のヒストグラムを、正規化値算出部82に供給する。
【0047】
正規化値算出部82は、入力された更新対象の各ブロックの現在のヒストグラムと過去のヒストグラムから、正規化に用いる正規化値を算出する。算出された正規化値は、更新対象の各ブロックの現在のヒストグラムと過去のヒストグラムとともに、正規化部84に供給される。
【0048】
平均値保存部83には、現在のフレームより前に計算された、更新対象のブロック以外のブロックの、ヒストグラムの平均値の変化の方向と変化率などが保存される。また、現在のフレームに対し正規化判定部81および正規化値算出部82で計算された同様の値も、次フレーム以降の処理のため、平均値保存部83に供給され、保存(更新)される。平均値保存部83に保存される値(ヒストグラムの平均値の変化の方向と変化率)の詳細については、図8と図9を参照して後述する。
【0049】
正規化部84は、正規化値算出部82で算出された正規化値に基づいて、更新対象の各ブロックの現在のヒストグラムか、または、過去のヒストグラムのいずれか一方を正規化する。これにより、現在のヒストグラムと過去のヒストグラムとで、ブロックの明るさを補正したヒストグラムを生成することができる。正規化部84は、正規化後の現在のヒストグラムと過去のヒストグラムを変化判定部66に出力する。
【0050】
[正規化判定部81の処理]
図8を参照して、正規化判定部81の処理について説明する。
【0051】
正規化判定部81には、現在のフレームの更新対象の各ブロックについて、現在のヒストグラムと、過去のヒストグラムが供給される。図8の例では、画像が16個のブロックに分割され、斜線で示される4個のブロックが、現在のフレームでの更新対象のブロックを示している。
【0052】
正規化判定部81は、現在のフレームの更新対象の各ブロックについて、現在のヒストグラムと過去のヒストグラムそれぞれの平均値を算出し、過去から現在への平均値の変化の方向が、増加、減少、または変動なし、のいずれであるかを判定する。例えば、過去と現在のヒストグラムの平均値の差(絶対値)が、所定の範囲TH以内であれば変動なし、所定の範囲THより大であれば、その変化の方向に応じて増加または減少とすることができる。
【0053】
正規化判定部81はまた、現在のフレームの更新対象ではないブロックについて、同様に判定したときの判定結果(変化の方向)を、平均値保存部83から取得する。そして、正規化判定部81は、画面全体の変化として、増加、減少、変動なし、のいずれであるかを判定する。例えば、画面全体のブロック数に対する増加(減少)のブロック数が、予め設定した所定の比率以上であれば、画面全体として増加(減少)の変化であると判定することができる。
【0054】
図8右側の図は、プラス(+)が付されたブロックは変化の方向が増加であるブロックを示し、マイナス(−)が付されたブロックは変化の方向が減少であるブロックを示している。無印のブロックは変動なしのブロックである。図8右側のフレームは、画面全体としては、増加の変化が見られたフレームと判定される。
【0055】
画面全体として、ヒストグラムの平均値の変化の方向が、増加または減少のどちらかに一定以上偏っている場合、画面全体が明るくなった、または暗くなったことを意味する。この場合、AE機能や照明による画像全体の輝度の変化、もしくは、監視カメラが隠されるなどの妨害行為により、画面全体の輝度が変化したと考えられ、正規化を行った方がよい。一方、画面全体としてのヒストグラムの平均値の変化がない場合や、平均値の増加および減少に偏りが見られない場合には、正規化を行わない方がよい。このような場合には、画像に変化がない、画面の一部に動体が入るなどして変化した、または、監視カメラの向きを変えられるなどの妨害行為が行われたなどが考えられ、正規化することにより偶然ヒストグラムの形が一致する領域が多くなることがある。その結果、かえって妨害行為を検出できなくなる事態が考えられるので、これを防止するためである。
【0056】
以上より、正規化判定部81は、画面全体として、ヒストグラムの平均値の変化の方向が、増加または減少のどちらかに一定以上偏っている場合、正規化を行う必要があると判定する。一方、画面全体としてヒストグラムの平均値に変動がない場合や、平均値の増加および減少に偏りが見られない場合には、正規化を行う必要がないと判定する。
【0057】
[正規化値算出部82の処理]
図9を参照して、正規化値算出部82の処理について説明する。
【0058】
正規化値算出部82は、画面全体のヒストグラムの平均値の変化の方向が、増加または減少のどちらかに一定以上偏っている場合に、画面全体で、どの程度変化したのかを表す変化の比率(以下、変化率という。)を求め、それを正規化値とする。
【0059】
最初に、正規化値算出部82は、各ブロックで、現在のヒストグラムと過去のヒストグラムそれぞれの平均値を算出する。現在のフレームの更新対象の各ブロックについては、供給されるヒストグラムから平均値を算出する。現在のフレームの更新対象のブロック以外のブロックの現在と過去のヒストグラムの平均値は、既に計算されて保存されている平均値保存部83から取得される。
【0060】
次に、正規化値算出部82は、画面全体のなかから有効領域を決定する。ここで、正規化判定部81において画面全体の変化の方向が増加であると判定された場合には、ブロックの変化の方向が増加であるブロックの各領域が有効領域とされる。そして、正規化値算出部82は、有効領域とされた各ブロックについて、現在のヒストグラムの平均値を、過去のヒストグラムの平均値で除算し、その結果を変化率とする。これにより、有効領域とされた各ブロックについて変化率が求まる。
【0061】
なお、画面全体の変化の方向が増加であると判定された場合、ブロックの変化の方向が増加であるブロックの各領域が有効領域とされるが、増加率が所定値以上に大きい、換言すれば極端に明るくなったブロックも有効領域から除外される。変動なしのブロック、平均値の変化の方向が減少のブロック、極端に明るくなったブロックが有効領域から除外されるのは、そのブロックに、AE機能によって明るさが変化した原因の動体が存在する可能性が高いためである。
【0062】
図9において、斜線が付されたブロックが有効領域とされたブロックを示している。
【0063】
これに対して、正規化判定部81において画面全体の変化の方向が減少であると判定された場合には、ブロックの変化の方向が減少であるブロックの各領域が有効領域とされる。そして、正規化値算出部82は、有効領域とされた各ブロックについて、過去のヒストグラムの平均値を、現在のヒストグラムの平均値で除算し、その結果を変化率とする。これにより、画面全体の変化の方向が減少であると判定された場合も、有効領域とされた各ブロックについて変化率が求まる。
【0064】
最後に、正規化値算出部82は、有効領域とされた各ブロックについて求めた変化率の平均値を算出し、その結果を正規化値に決定する。
【0065】
以上のように、有効領域を決定し、その変化率の平均値を求めることで、動体領域の影響を除外した画面全体の変化率を求め、正規化値とするので、後段の正規化部84において、正規化を精度良く行うことができる。
【0066】
[正規化部84の処理]
図10と図11を参照して、正規化部84の処理について説明する。
【0067】
正規化部84は、現在のフレームの更新対象のブロックの、現在と過去のヒストグラム間で、正規化値算出部82で算出された正規化値を用いたストレッチングを行う。正規化判定部81において画面全体の変化の方向が増加である、即ち、画面全体で明るくなったと判定された場合には、過去のヒストグラムを引き延ばし、逆に画面全体で暗くなったと判定された場合には、現在のヒストグラムを引き延ばすストレッチングが行われる。即ち、過去と現在のヒストグラムのうち、暗い側のヒストグラムがストレッチングされる。
【0068】
図10は、現在のフレームの更新対象のあるブロックの現在と過去のヒストグラムを示している。ヒストグラムの横軸は輝度、縦軸は度数(所定の範囲の輝度値を有する画素の個数)を示している。
【0069】
図10Aに示される現在のヒストグラムの平均値は5で、面積は8である。一方、図10Bに示される過去のヒストグラムの平均値は10で、面積は8である。このような現在と過去のヒストグラムの関係は、例えば、同じ被写体で照明(太陽光)が暗くなった場合などのときに起こり得る。このような現在と過去のヒストグラムに対し、正規化を行わず変化の有無を判定すれば、ヒストグラムの重なりの程度で類似度を判定する変化判定部66において、変化ありと判定される。しかし、単に照明によるヒストグラムの変化であるならば、変化ありの判定は誤判定である。
【0070】
そこで、正規化部84は、図11に示すような、正規化値算出部82で算出された正規化値を用いて現在のヒストグラムを引き延ばすストレッチングを行う。具体的には、正規化部84は、現在のヒストグラムを正規化値で横軸方向(輝度方向)に引き延ばす。
【0071】
図11の例は、正規化値が「2」である場合の例である。ストレッチング前の輝度値は「4」、「5」、及び「6」しかないので、2倍すると、「8」、「10」、及び「12」のみとなるが、それ以外輝度値の度数についても、周辺の度数から補間して求められる。
【0072】
ヒストグラムを引き延ばすと、ヒストグラムの面積が増えてしまうため、次に、正規化部84は、正規化の前後で面積が同一となるようにヒストグラムの度数を調整する。図11の例では、現在のヒストグラムのストレッチング後の面積が「16」であり、ストレッチング前の面積が「8」であるので、ストレッチング後の現在のヒストグラムの各輝度値の度数が、「8/16=1/2倍」される。これにより、正規化後の現在のヒストグラムの面積は正規化前と同一の「8」となる。
【0073】
以上のように、画面全体の変化の方向に応じて、現在または過去のヒストグラムが正規化される。そして、正規化後のヒストグラムが変化判定部66に出力される。
【0074】
[変化判定部66の詳細構成]
図12は、変化判定部66の詳細構成例を示すブロック図である。変化判定部66は、類似度演算部111と閾値判定部112により構成されている。
【0075】
類似度演算部111は、現在と過去のヒストグラムの類似度を演算する類似度演算手段として機能する。即ち、類似度演算部111は、ヒストグラム生成部64から供給される現在のフレームの更新対象のブロックのヒストグラムと、それに対応する過去のブロックのヒストグラムとの類似度を演算する。
【0076】
類似度閾値判定手段としての閾値判定部112は、演算された類似度を類似度閾値と比較し、類似度が類似度閾値より大きいとき、ブロックの画像に変化があったと判定する。閾値判定部112は、ブロックの画像の変化についての判定結果(変化の有無)を、変化領域保存部67およびカウンタ部68(図6)に出力する。
【0077】
[変化判定部66の処理]
図13と図14を参照して、変化判定部66が行う、ブロックの画像の変化の有無の判定について説明する。
【0078】
図13は、類似度演算部111に供給される現在のヒストグラムと過去のヒストグラムの例を示している。即ち、図13Aのヒストグラムh1は、現在のヒストグラムの例であり、図13Bのヒストグラムh0は、過去のヒストグラムの例である。なお、横軸は輝度値に代表される画素値を表し、縦軸は所定の範囲の画素値を有する画素の個数(度数)を表している。
【0079】
図13に示すような現在のヒストグラムh1と過去のヒストグラムh0に対して、類似度演算部111において、インタセクションを用いた次式(1)により、類似度が演算される。
D=Σmin(Ai,Bi) ・・・・・・・・(1)
【0080】
式(1)のAi,Biは、それぞれ現在のヒストグラムh1の1つの画素値と、過去のヒストグラムh0の1つの画素値を表している。従って、式(1)によれば、各画素値において、画素の数値(画素値)が小さい方の和が求められる。この比較処理は、直近の過去のN(N>1)フレームについて行われる。
【0081】
図14Aに示されるように、現在のヒストグラムh1と過去のヒストグラムh0の殆どが重なっている場合、式(1)で演算される値Dは、大きくなる。それに対して、図14Bに示されるように、現在のヒストグラムh1と過去のヒストグラムh0の重なりが少ない場合、値Dは小さくなる。即ち、式(1)の値Dは、類似度が高いとき大きくなり、類似度が低いとき小さくなる。
【0082】
[妨害行為検出処理]
次に、図15のフローチャートを参照して、画像処理装置21による妨害行為検出処理について説明する。
【0083】
初めに、ステップS1において、取得部31はカメラ画像を取得する。すなわち撮像部が所定の監視対象を撮像しており、その撮像画像の画像データが取得される。
【0084】
ステップS2において、画像分割部63は、N個のブロックに画像を分割する。この実施の形態においては、画像データに基づく各フレームの画像が8×8個のブロックに分割される。
【0085】
ステップS3において、更新領域選択部61は、更新領域(更新対象のブロック)を選択する。すなわち、8×8個のブロックのうちの所定のM(M≦N)個のブロックが、更新対象のブロックとして選択される。この更新領域の選択について、図16を参照して説明する。
【0086】
図16は、更新するブロックの移動を説明する図である。この実施の形態においては、M=4とされ、8×8個のブロックが4×4個のブロックからなる4個のグループに区分される。そして、各グループから1個のブロックが選択されて、合計4個のブロックが更新対象のブロックとして選択される。具体的には、図16Aに示されるように、更新領域選択部61は、最初のフレームの8×8個のブロックのうちの、1行目の最も左側に位置するブロックb11、最も右側に位置するブロックb18、8行目の最も左側に位置するブロックb81、最も右側に位置するブロックb88の4つのブロックを更新ブロックとして選択する。
【0087】
なお、図16において、上からi番目の行に位置し、左からj番目の列に位置するブロックを、bijのように表す。後述する図19乃至図26においても同様とする。
【0088】
次の更新領域を選択するステップでは、図16Bに示されるように、更新領域選択部61は、次のフレームの8×8個のブロックのうちの、ブロックb11の1つ右側に位置するブロックb12、ブロックb18の1つ左側に位置するブロックb17、8行目のブロックb81の1つ右側に位置するブロックb82、ブロックb88の1つ左側に位置するブロックb87の4つのブロックを更新ブロックとして選択する。
【0089】
次の更新領域を選択するステップでは、図16Cに示されるように、更新領域選択部61は、次のフレームの8×8個のブロックのうちの、1行目のブロックb12の1つ右側に位置するブロックb13、ブロックb17の1つ左側に位置するブロックb16、8行目のブロックb82の1つ右側に位置するブロックb83、ブロックb87の1つ左側に位置するブロックb86の4つのブロックを更新ブロックとして選択する。
【0090】
次の更新領域を選択するステップでは、図16Dに示されるように、更新領域選択部61は、次のフレームの8×8個のブロックのうちの、1行目のブロックb13の1つ右側に位置するブロックb14、ブロックb16の1つ左側に位置するブロックb15、8行目のブロックb83の1つ右側に位置するブロックb84、ブロックb86の1つ左側に位置するブロックb85の4つのブロックを更新ブロックとして選択する。
【0091】
以上のようにして最上行と最下行におけるブロックの選択、移動が終了すると、次の更新領域を選択するステップでは、第2行目と第7行目とが選択される。そして図16Eに示されるように、更新領域選択部61は、次のフレームの8×8個のブロックのうちの、2行目の最も左側に位置するブロックb21、最も右側に位置するブロックb28、7行目の最も左側に位置するブロックb71、最も右側に位置するブロックb78の4つのブロックを更新ブロックとして選択する。
【0092】
次の更新領域を選択するステップでは、図16Fに示されるように、更新領域選択部61は、次のフレームの8×8個のブロックのうちの、2行目のブロックb21の1つ右側に位置するブロックb22、ブロックb28の1つ左側に位置するブロックb27、7行目のブロックb71の1つ右側に位置するブロックb72、ブロックb78の1つ左側に位置するブロックb77の4つのブロックを更新ブロックとして選択する。
【0093】
以下、同様の手順により、更新対象のブロックとして、1フレームにおいて4個のブロックが順次選択される。すなわち、左側半分の上側半分の領域においては、行内においては左から右方向に、そして行は上から下方向に順次選択される。右側半分の上側半分の領域においては、行内においては右から左方向に、そして行は上から下方向に順次選択される。左側半分の下側半分の領域においては、行内においては左から右方向に、そして行は下から上方向に順次選択される。右側半分の下側半分の領域においては、行内においては左から右方向に、そして行は下から上方向に順次選択される。
【0094】
図15に戻って、ステップS4において、ヒストグラム生成部64は、更新領域のヒストグラムを生成する。
【0095】
ステップS5において、ヒストグラム保存部62は、ステップS4で生成されたヒストグラムを保存する。ヒストグラム保存部62は、過去のデータをヒストグラムとして保存するので、例えば画素値などの画像データとして保存する場合に比べて、記憶容量を小さくし、低コスト化することができる。
【0096】
ステップS6において、正規化処理部65は、ヒストグラム生成部64から供給される現在のフレームの更新対象のブロックのヒストグラムに基づいて正規化の要否を判断し、必要に応じて正規化する正規化処理を実行する。
【0097】
ステップS7において、類似度演算部111は、現在のフレームの更新対象の各ブロックについて、現在のヒストグラムと、それに対応する過去のヒストグラムとの類似度を演算する。なお、ステップS6で正規化を行うと判断された場合には、正規化後のヒストグラムを用いて類似度が演算される。
【0098】
ステップS8において、閾値判定部112は、現在のフレームの更新対象の各ブロックについて、変化領域であるか否かを判定する。すなわち、ステップS7で演算された類似度Dが、予め定められた所定の閾値Thdと比較される。類似度Dが閾値Thdより小さいとき、そのブロックは変化があった領域であると判定される。直近の過去のNフレームのうち、類似度Dが閾値Thdより小さいフレームが1フレームでもあった場合、領域に変化があったと判定される。
【0099】
ステップS9において、変化領域保存部67は、現在のフレームの更新対象の各ブロックについて、判定結果を更新する。すなわち変化領域保存部67は、ブロック毎に1フレーム分の判定結果(つまり、ブロック数分の判定結果)を保存しており、ステップS8での判定結果により古い判定結果を更新する。
【0100】
ステップS10において、カウンタ部68は、全領域の変化領域数をカウントする。即ち、変化判定部66からの、現在のフレームの更新対象のブロックの判定結果(変化の有無)と、変化領域保存部67からの、現在のフレームの更新対象のブロック以外のブロックの判定結果とに基づいて、監視対象の画像のフレームを構成する64個のブロック全体で、変化領域とされるブロックの数がカウントされる。
【0101】
ステップS11において、閾値判定部69は、カウントされた変化領域数が閾値より大きいかを判定する。より具体的には、ステップS10でカウントされた変化領域とされたブロックの数が、予め定められている所定の閾値Thcと比較される。
【0102】
ステップS11で、カウントされた変化領域数が閾値より大きいと判定された場合、処理はステップS12に進み、閾値判定部69は、妨害行為があったことを示すアラームなどの信号を出力する。
【0103】
一方、ステップS11で、カウントされた変化領域数が閾値以下であると判定された場合、およびステップS12の処理の後、妨害行為検出処理は終了する。
【0104】
以上の処理は、フレーム毎に実行される。
【0105】
[正規化処理の詳細]
図17は、図15のステップS6として実行される正規化処理の詳細なフローチャートである。
【0106】
この処理では、初めに、ステップS31において、正規化判定部81は、更新対象の各ブロックについて、現在のヒストグラムと過去のヒストグラムそれぞれの平均値を算出する。
【0107】
ステップS32において、正規化判定部81は、更新対象の各ブロックについて、ヒストグラムの平均値の変化方向を判定する。即ち、正規化判定部81は、更新対象の各ブロックについて、過去から現在へのヒストグラムの平均値の変化の方向が、増加、減少、または変動なし、のいずれであるかを判定する。
【0108】
ステップS33において、正規化判定部81は、画面全体について変化方向をカウントする。具体的には、正規化判定部81は、更新対象ではないブロックについて同様に判定したときの判定結果を平均値保存部83から取得し、更新対象の各ブロックの判定結果とともに、画面全体について、増加、減少、変動なし、のそれぞれのブロック数がカウントされる。
【0109】
ステップS34において、正規化判定部81は、画面全体として、増加または減少のどちらかに一定以上の偏りがあるかを判定する。
【0110】
ステップS34で、増加および減少のいずれにも一定以上の偏りがないと判定された場合、処理はステップS35に進み、正規化判定部81は、更新対象の各ブロックの現在と過去のヒストグラムそれぞれを、そのまま変化判定部66に出力する。
【0111】
一方、ステップS34で、増加または減少のどちらかに一定以上の偏りがあると判定された場合、処理はステップS36に進み、正規化判定部81は、更新対象の各ブロックの現在と過去のヒストグラムそれぞれを正規化値算出部82に供給する。そして、正規化値算出部82は、画面全体から異常領域を除外した有効領域の各ブロックの変化率を算出する。より具体的には、更新対象の各ブロックについて、現在と過去のヒストグラムそれぞれの平均値が算出される。また、更新対象のブロック以外のブロックについては、現在と過去のヒストグラムそれぞれの平均値が平均値保存部83から取得される。そして、画面全体の変化方向に応じて有効領域が決定され、有効領域とされた各ブロックについて過去のヒストグラムの平均値と現在のヒストグラムの平均値の一方を他方で除算することにより、有効領域の各ブロックの変化率が求められる。
【0112】
ステップS37において、正規化値算出部82は、有効領域とされた各ブロックについて求めた変化率の平均値を算出し、その結果を正規化値に決定する。
【0113】
ステップS38において、正規化部84は、ステップS37で算出された正規化値を用いて、現在または過去のヒストグラムを引き延ばすストレッチングを行う。
【0114】
ステップS39において、正規化部84は、引き延ばしたヒストグラムに対し、正規化の前後で面積が同一となるように調整する。即ち、ストレッチング前後の面積倍率の逆数を、引き延ばしたヒストグラムの各輝度値の度数に乗算することで、正規化の前後で面積が同一となるように調整される。
【0115】
ステップS40において、正規化部84は、正規化後のヒストグラムを変化判定部66に出力する。即ち、正規化部84は、正規化された現在または過去のヒストグラムと残りの一方を、変化判定部66に出力する。
【0116】
ステップS40の処理後、または、ステップS35の処理後、正規化処理は終了し、図15の妨害行為検出処理に戻る。
【0117】
以上のように、正規化処理によれば、正規化を行うか否かを判断し、必要に応じてヒストグラムの正規化が行われる。具体的には、画面全体の変化の方向に増加または減少の一定以上の偏りがある場合に、ヒストグラムの正規化が行われる。これにより、AE機能や照明変化などに起因する、妨害行為の誤検出を抑制することができる。また、一律に全てのヒストグラムを正規化した場合に生じる妨害行為の検出漏れを抑制することができる。さらに、ヒストグラムを正規化する際には、正規化値として、変化の方向が画面全体の変化の方向と異なる領域を除外した変化率を算出することで、精度良く正規化を行うことができる。
【0118】
[ブロックの移動]
図18は、更新するブロックの移動を説明する図である。同図に示されるように、この実施の形態の場合、更新されるブロックは、各フレーム毎に、横方向であって、左方向と右方向という異なる2つの方向に移動する。その結果、横方向の変化を敏感に検出することができる。その具体例が図19と図20に示されている。
【0119】
図19は、妨害行為による撮像部の速い移動があった場合の更新の間隔を説明する図である。いま取得部31の撮像部が妨害行為により、向きを速い速度で左方向に変えられたとする。この場合の画像の変化は次のようになる。すなわち、図19の左側のフレームF51のブロックb11乃至b88には何も写っていない。フレームF51から時間α後のフレームF52は、図19の中央に示されている。このフレームでは、ブロックb14,b15,b24,b25,b34,b35,b43〜b46,b53〜b56,b63〜b66,b72〜b77,b84,b85に1本の樹木の一部が写る。さらに時間α後のフレームF53においては、図19の右側に示されるように、ブロックb11〜b88のいずれにも樹木は写っていない。
【0120】
ブロック間の更新間隔は短い。例えばフレームF51でブロックb13が更新された後、次のフレームF52では右隣のブロックb14が更新される。同様に、図16Cと図16Dに示されているように、フレームF51では、ブロックb16,b83,b86が更新された後、フレームF52では、ブロックb15,b84,b85が更新される。フレームF52においてブロックb14, b15,b84,b85が更新されるとき、直近のNフレームの画像にフレームF51も含まれるので、これらの更新対象のブロックが変化領域として検出される。従って、ブロックの画像の変化から、妨害行為による撮像部の速い移動を検出することができる。
【0121】
図20は、遅い移動があった場合の更新の間隔を説明する図である。いま取得部31の撮像部が妨害行為により、向きを遅い速度で左方向に変えられたとする。この場合の時間β毎のフレームF61乃至F63が示されている。フレームF61では、ブロックb13,b14,b23,b24,b33,b34,b42〜b45,b52〜b55,b62〜b65,b71〜b76,b72〜b77,b83,b84に樹木の一部が写る。フレームF62では、ブロックb14,b15,b24,b25,b34,b35,b43〜b46,b53〜b56,b63〜b66,b72〜b77,b84,b85に樹木の一部が写る。フレームF63では、ブロックb15,b16,b25,b26,b35,b36,b44〜b47,b54〜b57,b64〜b67,b73〜b78,b85,b86に樹木の一部が写る。
【0122】
同じブロックの更新間隔は長い。64個のブロックを4個ずつ更新する場合、同じブロックは16(=64/4)フレーム毎に更新されることになる。例えばフレームF61で更新されたブロックb13は16フレーム後のフレームF63で更新される。同様に、図16Cに示されるように、ブロックb16,b83,b86が更新される。フレームF63においてブロックb13,b16,b83,b86が更新されるとき、直近のNフレームの画像にフレームF61も含まれれば、これらの更新対象のブロックが変化領域として検出される。従って、ブロックの画像の変化から、妨害行為による撮像部の遅い移動を検出することができる。
【0123】
このように、速い移動を検出するには、ブロックを更新する間隔を短くし、遅い移動を検出するには同じブロックが更新される間隔を長くする必要がある。そしてヒストグラム保存部62に保存するフレーム数Nは、同じ位置のブロックが更新されたフレームから、直前にブロックが更新されたフレームまでの数に設定される。
【0124】
[フレームの画像全体を更新する場合における画像の変化の検出]
参考のために、本実施の形態のようにブロック単位で更新するのではなく、1フレームの画像全体を更新する場合について説明すると次のようになる。
【0125】
図21と図22は、1フレームの画像全体を更新する場合における画像の更新の間隔を説明する図である。図21は図19に対応し、図22は図20に対応する。
【0126】
図21は、取得部31の撮像部が妨害行為により、向きを速い速度で左方向に変えられた場合の画像の変化を表している。図21の左側のフレームF81には何も写っていない。フレームF81から時間α後のフレームF82には、図21の中央に示されているように、1本の樹木が写っている。さらに時間α後のフレームF83においては、図21の右側に示されるように、樹木は写っていない。
【0127】
図22は、取得部31の撮像部が妨害行為により、向きを遅い速度で左方向に変えられた場合の画像の変化を表している。図22の左側のフレームF91には画面の中央よりやや左側に1本の樹木が写っている。フレームF91から時間α後のフレームF92には、図22の中央に示されているように、樹木が画面のほぼ中央に写っている。さらに時間α後のフレームF93においては、図22の右側に示されるように、樹木は画面の中央よりやや右側に写っている。
【0128】
図21に示されるように、取得部31の撮像部が妨害行為により、向きが速い速度で左方向に変えられた場合、フレームF82を更新するとき、フレームF82をフレームF81と比較することで、またフレームF83を更新するとき、フレームF83をフレームF82と比較することで、妨害行為を検出することができる。しかし、更新間隔を長くして、例えば、フレームF83を更新するとき、フレームF83をフレームF81と比較すると、画像の変化を検出することができない。
【0129】
これに対して、図22に示されるように、妨害行為の速度が遅い場合、フレームF92を更新するとき、フレームF92をフレームF91と比較しても、画像の変化が検出できない。同様に、フレームF93を更新するとき、フレームF93をフレームF92と比較しても、画像の変化が検出できない。フレームF93をフレームF91と比較しても、画像の変化が検出できない。つまり、画面内の樹木の位置がさらに右側に移動し、画面から少なくとも樹木の一部が外れるまで移動しないと、画像の変化を検出することができない。すなわち、遅い妨害行為を検出するには更新間隔を長くしなければならない。
【0130】
このように、フレーム全体を更新する場合、速い妨害行為を検出するには更新間隔を短くする必要があり、逆に遅い妨害行為を検出するには更新間隔を長くする必要があり、両方を検出することが困難である。この点、図19と図20に示されるように、本実施の形態は、ブロックを単位として更新するので、速い妨害行為と遅い妨害行為の両方を検出することが可能である。
【0131】
[ブロックの移動順序]
図23は、移動体の移動とブロックの移動との関係を説明する図である。同図に示されるように、更新するブロックの移動方向が、常に画面の右から左方向であるとする。この場合、画面内で移動体Gがブロックの移動方向と同じ方向に、すなわち右から左方向に移動すると、ブロックb35で検出された移動体G1が、ブロックb33でも移動体G2として検出される。その結果、妨害行為に基づく画像の変化があったものとして誤検出が発生する。そこで更新する少なくとも2つのブロックの画像上の位置の変化の方向が、例えば図18に示されるように、右方向と左方向など、異なる方向になるように指定することが好ましい。さらにランダムに変化させることもできる。
【0132】
図24は、更新するブロックの移動順序を示す図である。この実施の形態においても、図16および図18の実施の形態と同様に、8×8個のブロックが4×4個のブロックからなる4個のグループに区分される。そして、各グループから1個のブロックが選択されて、合計4個のブロックが更新対象のブロックとして選択される。すなわち、左上、右上、左下、および右下の4個の4×4個のブロックのグループに区分され、各グループから1個のブロックが更新対象のブロックとして選択され、1回に4個のブロックが更新対象のブロックとされる。ただし、各グループにおいて1つのブロックを選択する規則が、図16および図18の実施の形態の場合と異なっている。
【0133】
図24の実施の形態においては、各グループにおいては、4×4個のブロックのうち所定のものが、次のような規則に従って順番に更新対象として選択される。この規則を、図24の左上のグループのブロックに基づいて説明する。他のグループにおいても同じ規則で更新対象のブロックが選択される。
【0134】
まず、4×4個のブロックが、次の規則に基づいて、4つのサブグループに区分される。
規則1 各サブグループは、4×4個のブロックのうちの角のブロックを1個有する。
規則2 同一のサブグループでは、各ブロックのx,y座標が重ならない。
規則3 各サブグループのブロックのうち、1つのペアだけが斜め方向に隣接する。
【0135】
図24においてサブグループは、模様を付して表されている。同じ模様が付されたブロックが同じサブグループに属するブロックである。図24の例では、番号1乃至4が付されたブロックが第1のサブグループを構成し、番号5乃至8が付されたブロックが第2のサブグループを構成する。さらに、番号9乃至12が付されたブロックが第3のサブグループを構成し、番号13乃至16が付されたブロックが第4のサブグループを構成する。
【0136】
図24の例では、上記規則1に基づき、第1乃至第4のサブグループは、それぞれ番号1,5,9,13の角のブロックを有している。規則2に基づき、4×4個のブロックの各行には、異なるサブグループのブロックが1個ずつ配置される。また各列にも、異なるサブグループのブロックが1個ずつ配置される。規則3に基づき、第1のサブグループにおいては番号2,4のブロック、第2のサブグループにおいては番号6,8のブロック、第3のサブグループにおいては番号10,12のブロック、第4のサブグループにおいては番号14,16のブロックが、それぞれ斜め方向に隣接する。これにより同一のサブグループのブロックの最小の距離を長くすることができる。すなわち、同一のサブグループのブロックをできるだけ離間させることができる。
【0137】
規則4 各サブグループの最も小さい番号のブロックは、4×4個の対角線上に位置する。
【0138】
図24の例では、第1のサブグループ乃至第4のサブグループの最も小さい番号のブロック1,5,9,13が、対角線上に位置している。
【0139】
同一のサブグループ内のブロックの更新の順番は、次の規則に従う。
規則5 4×4個の角のブロックに最も小さい番号が割り当てられる。
規則6 規則5で決定された番号のブロックからx座標が最も遠い位置のブロックに次の番号が割り当てられる。
規則7 残った2個のブロックのうち、規則6で決定された番号のブロックからx座標が最も遠い位置のブロックにさらに次の番号が割り当てられる。
規則8 最後に残ったブロックに次の番号が割り当てられる。
【0140】
図24の例において、規則5に基づいて、第1のサブグループでは、番号1乃至4のうち、最も小さい番号1が角に位置するブロックに割り当てられている。同様に、第2のサブグループでは、番号5乃至8のうち、最も小さい番号5が角に位置するブロックに割り当てられている。第3のサブグループでは、番号9乃至12のうち、最も小さい番号9が角に位置するブロックに割り当てられている。第4のサブグループでは、番号13乃至16のうち、最も小さい番号13が角に位置するブロックに割り当てられている。
【0141】
図24の例において、規則6に基づいて、第1のサブグループでは、番号1のブロックからx座標が最も遠い位置のブロックに次の番号2が割り当てられている。同様に、第2のサブグループでは、番号5のブロックからx座標が最も遠い位置のブロックに次の番号6が割り当てられている。第3のサブグループでは、番号9のブロックからx座標が最も遠い位置のブロックに次の番号10が割り当てられている。第4のサブグループでは、番号13のブロックからx座標が最も遠い位置のブロックに次の番号14が割り当てられている。
【0142】
図24の例において、規則7に基づいて、第1のサブグループでは、残った2個のブロックのうち、規則6で決定された番号2のブロックからx座標が最も遠い位置のブロックにさらに次の番号3が割り当てられている。第2のサブグループでは、残った2個のブロックのうち、規則6で決定された番号6のブロックからx座標が最も遠い位置のブロックにさらに次の番号7が割り当てられている。第3のサブグループでは、残った2個のブロックのうち、規則6で決定された番号10のブロックからx座標が最も遠い位置のブロックにさらに次の番号11が割り当てられている。第4のサブグループでは、残った2個のブロックのうち、規則6で決定された番号14のブロックからx座標が最も遠い位置のブロックにさらに次の番号15が割り当てられている。
【0143】
図24の例において、規則8に基づいて、第1のサブグループでは、最後に残ったブロックに次の番号4が割り当てられている。第2のサブグループでは、最後に残ったブロックに次の番号8が割り当てられている。第3のサブグループでは、最後に残ったブロックに次の番号12が割り当てられている。第4のサブグループでは、最後に残ったブロックに次の番号16が割り当てられている。
【0144】
以上のようにして、図24の左上のグループの各ブロックに付した番号1乃至16が、規則に基づいて決定され、各ブロックはこの番号の順番に更新対象とされる。4個のサブグループの所定のものが順番に選択され、選択された1つのサブグループで、4個のブロックのうち所定のものが順番に選択されている。これにより誤検出の発生が抑制される。また、この規則では、各ブロックのx座標、すなわち横方向の座標ができるだけ離れているブロックが先に選択されるように順番が決定される。従って、特に横方向に移動する移動体による誤検出を抑制することができる。
【0145】
規則6,7で、各ブロックのy座標、すなわち縦方向の座標ができるだけ離れているブロックが先に選択されるように順番を決定すれば、縦方向に移動する移動体による誤検出を抑制することができる。
【0146】
[ブロックの形状]
図16に示す実施の形態においては、ブロックを横長の形状として、その長手方向、すなわち横方向に移動させるようにした。ブロックの形状を、移動方向と垂直な方向に長い形状にすることができる。換言すれば、ブロックをその長手方向と垂直な方向に移動させることができる。
【0147】
図25は、ブロックの形状を示す図である。図25においては、画面が上半分と下半分に区分され、それぞれが8個のブロックb11乃至b18,b21乃至b28に分割されている。その結果、各ブロックは縦長の形状とされている。そして更新時のブロックの移動方向は、長手方向と垂直な方向、すなわち横方向とされている。例えば撮像部が横方向にしか移動できないなどの理由で、妨害行為が横方向に限られる場合、横方向の移動のみが検出できればよい。そこで、図25に示されるように、変化の方向に対して平行な辺より垂直な辺が長くなる形状のブロックとすることができる。
【0148】
図26は、ブロックの形状を示す図である。図26においては、画面が左半分と右半分に区分され、それぞれが8個のブロックb11乃至b81,b12乃至b82に分割されている。その結果、各ブロックは横長の形状とされている。そして更新時のブロックの移動方向は、長手方向と垂直な方向、すなわち縦方向とされている。例えば撮像部が縦方向にしか移動できないなどの理由で、妨害行為が縦方向に限られる場合、縦方向の移動のみが検出できればよい。そこで、図26に示されるように、変化の方向に対して平行な辺より垂直な辺が長くなる形状のブロックとすることができる。
【0149】
[本発明のプログラムへの適用]
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行させることもできるし、ソフトウエアにより実行させることができる。
【0150】
一連の処理をソフトウエアにより実行させる場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、ネットワークや記録媒体からインストールされる。
【0151】
このようなプログラムを含む記録媒体は、装置本体とは別に、ユーザにプログラムを提供するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク(フロッピディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory),DVDを含む)、光磁気ディスク(MD(Mini-Disk)を含む)、もしくは半導体メモリなどよりなる記録媒体により構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される、プログラムが記録されているフラッシュROMや、ハードディスクなどで構成される。
【0152】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0153】
また、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0154】
21 画像処理装置, 31 取得部, 32 画像処理部, 41 撮像信号処理部, 42 データ保存部, 43 画像解析部, 61 更新領域選択部, 62 ヒストグラム保存部, 63 画像分割部, 64 ヒストグラム生成部, 65 正規化処理部, 66 変化判定部, 67 変化領域保存部, 68 カウンタ部, 69 閾値判定部, 81 正規化判定部, 82 正規化値算出部, 83 平均値保存部, 84 正規化部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像の画像データを取得する取得手段と、
取得された前記画像をN(N>1)個のブロックに分割する分割手段と、
新たな前記画像の前記画像データが取得される毎に、N個の前記ブロックのうちのM(N≧M>1)個の前記ブロックを、更新対象の前記ブロックとして順次指定する指定手段と、
指定されたM個の前記ブロックの前記画像データのヒストグラムを生成するヒストグラム生成手段と、
生成された前記ヒストグラムを順次更新して保存するヒストグラム保存手段と、
生成されたM個の前記ブロックの前記ヒストグラムと、保存されていた対応する過去のM個の前記ブロックの前記ヒストグラムの類似度に基づいて、取得された前記画像の変化を判定する変化判定手段と、
前記ヒストグラムの正規化を行うか否かを判定する正規化判定手段と、
前記正規化判定手段において正規化を行うと判定された場合に、生成されたM個の前記ブロックの前記ヒストグラムか、または、保存されていた対応する過去のM個の前記ブロックの前記ヒストグラムのいずれか一方を正規化する正規化手段と
を備え、
前記変化判定手段は、前記正規化手段により前記ヒストグラムの正規化が行われた場合、正規化後の前記ヒストグラムを用いた類似度に基づいて、取得された前記画像の変化を判定する
画像処理装置。
【請求項2】
前記正規化判定手段において正規化を行うと判定された場合に、ヒストグラムの正規化に用いる正規化値を算出する正規化値算出手段をさらに備え、
前記正規化手段は、前記正規化値算出手段により算出された前記正規化値に基づいて、生成されたM個の前記ブロックの前記ヒストグラムか、または、保存されていた対応する過去のM個の前記ブロックの前記ヒストグラムのいずれか一方を正規化する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記正規化判定手段は、生成されたM個の各前記ブロックの前記ヒストグラムを、保存されていた対応する過去のM個の各前記ブロックの前記ヒストグラムと比較して、ヒストグラムの平均値の変化の方向が、増加、減少、または変動なしのいずれであるかを判定し、画面全体のヒストグラムの平均値の変化の方向が、増加または減少のどちらかに一定以上偏っている場合、正規化を行うと判定する
請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記正規化値算出手段は、前記画面全体のヒストグラムの平均値の変化の方向に対応する領域を有効領域に決定し、その有効領域とされた各ブロックの前記ヒストグラムの平均値の変化の比率の平均値を、前記正規化値として算出する
請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
生成されたM個の各前記ブロックの前記ヒストグラムを、保存されていた対応する過去のM個の前記ブロックの前記ヒストグラムと比較したときの、M個の各前記ブロックの前記ヒストグラムの平均値の変化の方向と変化の比率を保存する平均値保存手段をさらに備える
請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記正規化手段は、生成されたM個の前記ブロックの前記ヒストグラムか、または、保存されていた対応する過去のM個の前記ブロックの前記ヒストグラムのいずれか一方を、前記正規化値算出手段により算出された前記正規化値に基づいて輝度方向にストレッチングした後、正規化の前後で面積が同一となるようにヒストグラムの度数を調整することにより、正規化する
請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項7】
画像の画像データを取得する取得ステップと、
取得された前記画像をN(N>1)個のブロックに分割する分割ステップと、
新たな前記画像の前記画像データが取得される毎に、N個の前記ブロックのうちのM(N≧M>1)個の前記ブロックを、更新対象の前記ブロックとして順次指定する指定ステップと、
取得された前記画像データのヒストグラムを生成するヒストグラム生成ステップと、
生成された前記ヒストグラムを順次更新して保存するヒストグラム保存ステップと、
生成されたM個の前記ブロックの前記ヒストグラムと、保存されていた対応する過去のM個の前記ブロックの前記ヒストグラムの類似度に基づいて、取得された前記画像の変化を判定する変化判定ステップと、
前記ヒストグラムの正規化を行うか否かを判定する正規化判定ステップと、
前記正規化判定ステップの処理において正規化を行うと判定された場合に、生成されたM個の前記ブロックの前記ヒストグラムか、または、保存されていた対応する過去のM個の前記ブロックの前記ヒストグラムのいずれか一方を正規化する正規化ステップと
を含み、
前記変化判定ステップの処理は、前記正規化ステップの処理により前記ヒストグラムの正規化が行われた場合、正規化後の前記ヒストグラムを用いた類似度に基づいて、取得された前記画像の変化を判定する
画像処理方法。
【請求項8】
コンピュータに、
画像の画像データを取得する取得ステップと、
取得された前記画像をN(N>1)個のブロックに分割する分割ステップと、
新たな前記画像の前記画像データが取得される毎に、N個の前記ブロックのうちのM(N≧M>1)個の前記ブロックを、更新対象の前記ブロックとして順次指定する指定ステップと、
取得された前記画像データのヒストグラムを生成するヒストグラム生成ステップと、
生成された前記ヒストグラムを順次更新して保存するヒストグラム保存ステップと、
生成されたM個の前記ブロックの前記ヒストグラムと、保存されていた対応する過去のM個の前記ブロックの前記ヒストグラムの類似度に基づいて、取得された前記画像の変化を判定する変化判定ステップと、
前記ヒストグラムの正規化を行うか否かを判定する正規化判定ステップと、
前記正規化判定ステップの処理において正規化を行うと判定された場合に、生成されたM個の前記ブロックの前記ヒストグラムか、または、保存されていた対応する過去のM個の前記ブロックの前記ヒストグラムのいずれか一方を正規化する正規化ステップと
を含み、
前記変化判定ステップの処理は、前記正規化ステップの処理により前記ヒストグラムの正規化が行われた場合、正規化後の前記ヒストグラムを用いた類似度に基づいて、取得された前記画像の変化を判定する
処理を実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2012−128621(P2012−128621A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−278897(P2010−278897)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】