画像処理装置、画像処理方法、及びコンピュータプログラム
【課題】 印刷データに定義されている描画領域のサイズと用紙のサイズとが不一致の場合でも、出来るだけ容易に且つ適切に画像を出力できるようにする。
【解決手段】 印刷設定と、描画モードとを予め関連付けておき、その印刷設定で印刷することが指定された場合には、その印刷設定に関連付けられている描画モード(OFFICEモード、POD_1モード、POD_2モード)で印刷を行う。また、PDLデータにおいて指定されている用紙サイズ及び描画領域のサイズと、予め設定されている定型用紙サイズとの比較結果に基づいて決定した描画モードで印刷を行う。
【解決手段】 印刷設定と、描画モードとを予め関連付けておき、その印刷設定で印刷することが指定された場合には、その印刷設定に関連付けられている描画モード(OFFICEモード、POD_1モード、POD_2モード)で印刷を行う。また、PDLデータにおいて指定されている用紙サイズ及び描画領域のサイズと、予め設定されている定型用紙サイズとの比較結果に基づいて決定した描画モードで印刷を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法、及びコンピュータプログラムに関し、特に、PDLデータ等の印刷データを元に画像を形成するために用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像を用紙に印刷するに際し、ユーザが意図しない印刷結果になることを防止するための技術が提案されている。
特許文献1には、複数のサイズの枠に当て嵌められた同一画像の選択画面を表示し、その選択画面に表示された画像のうち、適切に枠に当て嵌められた画像がユーザによって選択されると、その画像を枠に合わせて切り出して印刷することが開示されている。また、特許文献2には、不正な用紙サイズが指定された場合に、強制的に印刷を行うか、縮小処理を行って印刷を行うかをユーザに選択させることが開示されている。更に、特許文献3には、余白が最小となる用紙が複数ある場合には、描画領域の縦横比に一番近い縦横比を有する用紙を選択して印刷を行うことが開示されている。
【0003】
ところで、このような印刷を行うための電子文書フォーマットとして、PDF(Portable Document Format)がある。PDFは、ディスプレイ上での表示や、プリンタへの印刷や、出版のための入稿データ等、幅広く使われている電子文書フォーマットの1つである。PDFでは、原稿の各ページに対し、幾つかのバウンダリボックスを定義することが可能である。バウンダリボックスの中には、用紙サイズを指示する用紙バウンダリボックス(メディアボックス)や、描画領域を指示する描画バウンダリボックス(クロップボックス)等がある。
【0004】
このようなPDFを用いて生成されたデータ(以下、PDFデータと称する)を印刷する方法には大きく分けて2種類ある。
1つ目の印刷方法は、PDFデータを元にプリンタドライバを用いることなく画像形成を行うダイレクト印刷である。このダイレクト印刷を行う場合、プリンタは、PDFデータに定義されている用紙バウンダリボックスの値(大きさ)を元に、印刷に使用すべき用紙を自動選択できることが望ましい。
2つ目の印刷方法は、ドライバ印刷である。このドライバ印刷では、まず、ホストコンピュータ側でアプリケーションを用いてPDFデータを表示する。そして、プリンタドライバを用いてPDFデータをPDL(Page Description Language)で記述されたデータ(以下、PDLデータと証する)へ変換して、プリンタに送信する。このドライバ印刷を行う場合、プリンタは、描画バウンダリボックスの値を元にPDFデータを表示したため、当該描画バウンダリボックスの値(大きさ)を元に印刷に使用すべき用紙を自動選択できることが望ましい。
【0005】
【特許文献1】特開平11−4339号公報
【特許文献2】特開2003−112466号公報
【特許文献3】特開2007−79819号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これら2つの印刷方法では、基準となるバウンダリボックスが異なる。このため、用紙バウンダリボックスと描画バウンダリボックスとが不一致であると、これら2つの印刷方法における出力結果も異なるという問題点がある。しかしながら、前述した特許文献に記載の技術では、この問題点について考慮されていない。
【0007】
このようにバウンダリボックスが不一致になる場合として、データ作成者が意図する場合と、意図しない場合とがある。
データ作成者が意図的にバウンダリボックスを不一致にしている場合としては、例えば、画面表示する際と印刷する際とで別の出力サイズ・出力範囲を指定している場合がある。例えば、POD(Print On Demand)向けの入稿データとしてPDFデータを用いる場合には、描画バウンダリボックスの外側にカラーバーやプリンタマーク等の補助的な情報を描画することがある。このような場合には、データ作成者が意図的にバウンダリボックスを不一致することで、表示の際にはカラーバー、プリンタマーク等を表示せず、印刷時にカラーバー、プリンタマークを印刷することが可能となる。
【0008】
一方、データ作成者が意図していないにもかかわらず、バウンダリボックスが不一致となる場合には、例えば、作業時のミスに由来する場合がある。例えば、もともとはPODで使用される印刷機で印刷することを目的に作成されたPDFデータを、ネットワークでの配布用に流用する場合に、描画バウンダリボックスのみを単に変更すると、バウンダリボックスが不一致となる。
以上のように、描画バウンダリボックスと用紙バウンダリボックスとが不一致である場合、同じデータに対する出力結果が、ダイレクト印刷を用いた場合とドライバ印刷とで異なるため、印刷者にとって不便が生じることは明らかである。
【0009】
特にPODを始めとする商業印刷においては、データ作成者とデータ印刷者とが異なる場合が多々ある。このような場合、用紙選択に用いるバウンダリボックスが印刷方法によって異なるために、データ作成者が意図しない用紙サイズで出力されてしまうことがあり得る。そのため、従来は、データ印刷者がデータ作成者に確認を行って必要に応じて修正を行わなければならなかった。したがって、印刷の生産能力および効率が低下してしまっていた。
【0010】
また、デバイス側の要因により用紙の端から端まで描画できず、僅かに端に描画できない個所が生じる場合がある。このような場合には、一回り大きな用紙にはみ出すように描画した後で、用紙を断裁することで対応をすることができる。このはみ出しを「塗り足し」と呼ぶ。しかしながら、描画バウンダリボックスでクリッピングをしてしまうと、この塗り足し部分が描画されなくなってしまう。
【0011】
更に付言すると、前述した特許文献1では、所望の部位を切り出すためにユーザが手作業で範囲の指定を行う必要がある。このため、用紙バウンダリボックスと描画バウンダリボックスとが不一致である場合に、この特許文献1に記載の技術を適用すると、ユーザの負担が大きくなる。したがって、特許文献1に記載の技術は、大量のデータを処理するには不適当である。また、特許文献2は、処理ができない物理用紙サイズが選択された場合に適用される技術である。したがって、処理できる物理用紙サイズが選択されているが、用紙バウンダリボックスと描画バウンダリボックスとが不一致となっている場合、この特許文献2に記載の技術を適用することは困難である。また、特許文献3は、あくまでも用紙選択を行うためのものである。したがって、例えば、データ作成者が意図していない描画コンテンツが画像データに含まれており、用紙バウンダリボックスと描画バウンダリボックスとが不一致となっている場合、その描画コンテンツも用紙選択の際の判断基準として考慮されてしまう。よって、画像データを適切に用紙に出力することができない。
【0012】
以上のように従来の技術では、描画領域を指示する情報である描画バウンダリボックスと、用紙サイズを指示する情報である用紙バウンダリボックスとが不一致の場合に、画像を適切に出力することが困難であるという問題点があった。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、印刷データに定義されている描画領域のサイズと用紙のサイズとが不一致の場合でも、出来るだけ容易に且つ適切に画像を出力できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の画像処理装置は、印刷データから、印刷に使用すべく設定された用紙のサイズに関する用紙サイズ情報と描画領域のサイズに関する描画領域サイズ情報とを取得する取得手段と、前記用紙サイズ情報に基づく用紙のサイズと、前記描画領域サイズ情報に基づく描画領域のサイズとが一致するか否かを判定する判定手段と、前記用紙サイズ情報に基づく用紙のサイズと、前記描画領域サイズ情報に基づく描画領域のサイズとが一致していない場合に、前記印刷データを印刷すべく設定された印刷設定情報に基づいて、前記印刷データに基づく画像を形成する用紙と、その画像の描画領域とを決定する決定手段と、前記決定手段により決定された用紙及び描画領域に従って、前記印刷データを用いて、用紙に画像を形成するための画像データを生成する生成手段とを有することを特徴とする。
また、本発明の他の態様では、印刷データから、印刷に使用すべく設定された用紙のサイズに関する用紙サイズ情報と描画領域のサイズに関する描画領域サイズ情報とを取得する取得手段と、前記用紙サイズ情報に基づく用紙のサイズと、前記描画領域サイズ情報に基づく描画領域のサイズとが一致するか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により前記用紙サイズ情報に基づく用紙のサイズと、前記描画領域サイズ情報に基づく描画領域のサイズとが一致していないと判定された場合、操作画面を介して入力された指示に従って、前記用紙サイズ情報に基づく用紙を印刷に使用するか、前記描画領域のサイズに基づく用紙を印刷に使用するかを決定する決定手段とを有することを特徴とする。
【0014】
本発明の画像処理方法は、印刷データから、印刷に使用すべく設定された用紙のサイズに関する用紙サイズ情報と描画領域のサイズに関する描画領域サイズ情報とを取得する取得ステップと、前記用紙サイズ情報に基づく用紙のサイズと、前記描画領域サイズ情報に基づく描画領域のサイズとが一致するか否かを判定する判定ステップと、前記用紙サイズ情報に基づく用紙のサイズと、前記描画領域サイズ情報に基づく描画領域のサイズとが一致していない場合に、前記印刷データを印刷すべく設定された印刷設定情報に基づいて、前記印刷データに基づく画像を形成する用紙と、その画像の描画領域とを決定する決定ステップと、前記決定ステップにより決定された用紙及び描画領域に従って、前記印刷データを用いて、用紙に画像を形成するための画像データを生成する生成ステップとを有することを特徴とする。
また、本発明の他の態様では、印刷データから、印刷に使用すべく設定された用紙のサイズに関する用紙サイズ情報と描画領域のサイズに関する描画領域サイズ情報とを取得する取得ステップと、前記用紙サイズ情報に基づく用紙のサイズと、前記描画領域サイズ情報に基づく描画領域のサイズとが一致するか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップにより前記用紙サイズ情報に基づく用紙のサイズと、前記描画領域サイズ情報に基づく描画領域のサイズとが一致していないと判定された場合、操作画面を介して入力された指示に従って、前記用紙サイズ情報に基づく用紙を印刷に使用するか、前記描画領域のサイズに基づく用紙を印刷に使用するかを決定する決定ステップとを有することを特徴とする。
【0015】
本発明のコンピュータプログラムは、印刷データから、印刷に使用すべく設定された用紙のサイズに関する用紙サイズ情報と描画領域のサイズに関する描画領域サイズ情報とを取得する取得ステップと、前記用紙サイズ情報に基づく用紙のサイズと、前記描画領域サイズ情報に基づく描画領域のサイズとが一致するか否かを判定する判定ステップと、前記用紙サイズ情報に基づく用紙のサイズと、前記描画領域サイズ情報に基づく描画領域のサイズとが一致していない場合に、前記印刷データを印刷すべく設定された印刷設定情報に基づいて、前記印刷データに基づく画像を形成する用紙と、その画像の描画領域とを決定する決定ステップと、前記決定ステップにより決定された用紙及び描画領域に従って、前記印刷データを用いて、用紙に画像を形成するための画像データを生成する生成ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
また、本発明の他の態様では、印刷データから、印刷に使用すべく設定された用紙のサイズに関する用紙サイズ情報と描画領域のサイズに関する描画領域サイズ情報とを取得する取得ステップと、前記用紙サイズ情報に基づく用紙のサイズと、前記描画領域サイズ情報に基づく描画領域のサイズとが一致するか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップにより前記用紙サイズ情報に基づく用紙のサイズと、前記描画領域サイズ情報に基づく描画領域のサイズとが一致していないと判定された場合、操作画面を介して入力された指示に従って、前記用紙サイズ情報に基づく用紙を印刷に使用するか、前記描画領域のサイズに基づく用紙を印刷に使用するかを決定する決定ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、印刷データに定義されている描画領域のサイズと用紙のサイズとが不一致の場合でも、印刷データに基づく画像に関わる設定、又は印刷データにおける各ページの特徴に基づいて、出来るだけ容易に且つ適切に画像を出力することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(第1の実施形態)
以下に、図面を参照しながら、本発明の第1の実施形態について説明する。
<複合機のシステム構成>
図1は、複合機4010のシステム構成の一例を示す図である。
CPU5010は、メモリ5030に記憶されているプログラムに従い、例えば、演算と、判断と、情報の入出力とを行うための装置である。
フレームバッファ5020は、メモリ5030に記憶されているプログラムを用いて形成された画像データを一時的に保持するためのメモリである。
メモリ5030は、例えばROM及びRAMを備え、プログラム等を保存する。メモリ5030内の各部(画像形成部5031〜範囲領域再設定部5039)は、メモリ5030内に保持されているプログラムを意味する。以下に、メモリ5030内の各部について説明する。
【0018】
画像形成部5031は、印刷用の言語であるPDLで記述されたPDLデータを元に、印刷するための画像データを形成するためのプログラムである。前述したように、この画像形成部5031で形成された画像データは、フレームバッファ5020に保持される。画像形成部5031には、インタプリタ5032とラスタライザ5033とが含まれる。尚、図1では、ラスタライザ5033が、ソフトウェアによって実現されるようにしているが、ハードウェアを用いてラスタライザが実現されるようにしても良い。
【0019】
画像変換部5037は、メモリ5030に記憶されているプログラムを用いて形成された画像データに対し、圧縮や色変換等の処理を行う。
給紙用紙選択部5038は、論理的な用紙サイズに対して、実際に印刷に用いる用紙(物理的な用紙)を選択するためのプログラムであり、入力されたPDLデータにて指定された用紙サイズに対して好適な用紙を選択し、給紙装置5064に通知する。
範囲領域再設定部5039は、画像形成及び印刷等を行うための諸条件やPDLデータに基づき、描画或いは印刷するのに適した範囲領域を設定する為のプログラムである。範囲領域再設定部5039は、範囲領域一致判定部5034、印刷設定基準範囲領域再設定部5035、及び印刷データ基準範囲領域再設定部5036を含む。
【0020】
範囲領域一致判定部5034は、各ページの用紙指定範囲領域と描画指定範囲領域とが一致しているか否かを判定する。ここで、用紙指定範囲領域とは、例えば、PDLデータに含まれる用紙バウンダリボックス(用紙サイズを指定する情報)により示される領域の大きさ(用紙のサイズ)を示す。また、描画指定範囲領域とは、例えば、PDLデータに含まれる描画バウンダリボックス(描画領域を指定する情報)により示される領域(描画領域)の大きさを示す。
【0021】
印刷設定基準範囲領域再設定部5035は、印刷時の設定に基づいて、範囲領域を設定するためのものである。
印刷データ基準範囲領域再設定部5036は、印刷データに基づいて範囲領域を設定するためのものである。
システムバス5040は、CPU5010と、フレームバッファ5020、インタフェイス(IF)5050、及びメモリ5030との間での情報をやりとりするための装置である。
インタフェイス5050は、複合機4010内でデータの交換を行うためのものである。
操作パネル5061、ネットワークポート(Network Port)5062、及びUSB(Universal Serial Bus)ポート(USB Port)5063は、主に外部との情報交換を行うための装置である。
操作パネル5061は、複合機4010に対する諸設定をユーザが行うためのである。操作パネル5061は、例えば、画像表示装置と操作装置とを備えて構成されている。
ネットワークポート5062は、ネットワークに接続するためのものである。複合機4010は、ネットワークポート5062を介してPDLデータ等を送受信することが可能である。また、ネットワークポート5062を用いることにより、機器の管理状況の情報を外部機器との間で交換したり、操作パネルの代わりに複合機4010の諸設定を行うためのユーザインタフェイスを提供したりすることが可能である。
【0022】
USBポート5063は、複合機4010とその他の周辺機器とを相互に接続したり、パーソナルコンピュータ等のコンピュータに対して複合機4010を周辺機器として接続したりするためのものである。近年では、大容量不揮発性メモリを利用した記憶装置としてのUSBメモリや、携帯電話との接続等にも、USBポート5063が用いられる。
【0023】
給紙装置5064、印字装置5065、及びフィニッシャ5066は、複合機4010が印刷機としての機能を果たすための装置である。
給紙装置5064は、用紙媒体を保持し、必要に応じて印字装置5065に送るためのものである。給紙装置5064は、複合機4010の下部にトレイとして装着されたり、複合機4010の横部にデッキとして装着されたりする。尚、手差しと呼ばれるフリーサイズで給紙するための装置として、複合機4010の上部に給紙装置5064が装着されていてもよい。
【0024】
印字装置5065は、フレームバッファ5020に保持された画像データを、給紙装置5064で給紙された用紙上に、着色剤等を用いて再現するための装置である。印字装置5065の実現方法としては、電子写真方式、インクジェット方式、及び感熱紙等を用いる方式等があるが、印字装置5065の実現方法は、特に限定されるものではない。
【0025】
フィニッシャ5066は、印字装置5065で印刷された用紙に対して、製本や折り等の仕上げ処理を加えるための装置である。フィニッシャ5066は、複合機4010(印刷機)に必須の構成要素ではなく、省略されている場合もある。
ハードディスク5067は、ネットワークポート5062から送られてきたデータを受信した結果や、画像形成部5031で作成された画像データ等、各種の情報を保持することが出来る。
【0026】
<画像形成システムの構成>
次に、以上のような構成を備えた複合機4010を有する画像形成システムについて説明する。
図2は、画像形成システムの構成の一例を示す図である。ここではデータの流れに注目する。
前述したように、複合機4010は、USBポート5063a、5063b、ネットワークポート(ネットワークカード(NIC))5062、及びハードディスク(HD)5067を有している。
【0027】
USBポート5063aは、USBケーブル4060を介して、ホストコンピュータ4020のUSBポート4021と相互に接続される。この場合、複合機4010は、ホストコンピュータ4020から、ハードディスク(HD)4022内の画像データ等のデータを、USBケーブル4060を介して受信すると、そのデータに基づく画像を印刷することが可能である。また、複合機4010は、自身の機器情報を、USBケーブル4060を介してホストコンピュータ4020に通知すること等も可能である。
【0028】
複合機4010のネットワークポート5062は、ネットワーク4050を介して、ホストコンピュータ4030のネットワークポート4031と相互に接続されている。複合機4010は、ホストコンピュータ4030から、ホストコンピュータ4030のハードディスク(HD)4032内の画像データ等のデータを、ネットワーク4050を介して受信すると、そのデータに基づく画像を印刷することが可能である。また、ホストコンピュータ4030は、ホストコンピュータ4030上で動作するウェブブラウザプログラム等を使うことにより、ネットワーク4050を経由して、複合機4010の機器情報を取得することも可能である。
【0029】
複合機4010のUSBポート5063bは、USBメモリ4040と相互に接続されている。複合機4010は、操作パネル5061の操作等に基づいて、USBメモリ4040が備える不揮発性メモリ(Mem)4041に記憶されている画像データ等のデータをコピーし、このデータに基づく画像を印刷することが可能である。
尚、複合機4010は、印刷に用いる画像データ等のデータを、メモリ5030に保持してもよいし、ハードディスク5067に保持してもよい。
【0030】
<基本的な印刷の流れ>
次に、複合機4010における基本的な印刷処理の流れについて説明する。
印刷処理を行うための工程には、例えば、印刷設定工程、データ受信工程、画像形成工程、給紙工程、印字工程、及び排紙工程が含まれている。
印刷設定工程とは、操作パネル5061の操作や、ネットワーク4050からの情報の受信等に基づいてジョブを投入する前に、画像形成等の処理条件を設定する工程である。
データ受信工程とは、他の機器から印刷に用いる情報を受け取る工程である。この情報の形式には様々なものがあるが、本実施形態では、扱うデータが、PDLの一種であるPDF形式を例に挙げて説明する。データを受信する方法には、他の機器からネットワークポート5062やUSBポート5063を介して受信する方法や、USBポート5063に接続された記録媒体から情報を読み取る方法等がある。
【0031】
画像形成工程は、図1に示した画像形成部5031によって実現される。画像形成工程は、データ受信工程で受信した情報を元に画像を形成する工程である。受信した情報が画像データそのものであることもある。また、受信した情報が、印刷するための言語であるPDLで記述されているPDLデータの場合もある。この場合、PDLデータをインタプリタ5032によって解釈するインタプリット処理と、ラスタライザ5033によって画像として描画するラスタライズ処理とによって画像形成工程が実現される。インタプリタ5032は、印刷するための言語によって複数種類搭載されている場合もある。ラスタライザ5033も同様である。
【0032】
インタプリット処理は、PDLデータに含まれる描画命令列を解釈するための処理であって、描画するための設定処理と実際の描画処理とに分かれる。更に、描画処理は、画像データへの描画処理、文字に対する描画処理、及びグラフィックに対する描画処理に分けることができる。ラスタライズ処理は、インタプリット処理で解釈した描画命令を元にフレームバッファ5020に線や画像を描画する工程である。
【0033】
給紙工程は、給紙装置5064にセットされている用紙を印字装置5065に給紙するための工程である。この際に使用される用紙は、PDLデータに含まれる用紙選択や、印刷設定に含まれる用紙選択に基づき、給紙用紙選択部5038によって選択される。
印字工程は、給紙工程で給紙された用紙に印字を行うための工程である。
排紙工程は、印字工程で印字された用紙を複合機の外に排紙する工程である。更にフィニッシャ5066によって仕上げ処理が行われる場合もある。仕上げ処理には、ステイプルやパンチング、シフト等が含まれる。
【0034】
<描画モード>
本実施形態では、PDLデータで指定されている用紙バウンダリボックス(メディアボックス)と描画バウンダリボックス(クロップボックス)に対し、実際に用いるバウンダリボックスの組み合わせとして、以下の3種類の描画モードを想定している。ここでは、これら3種類の描画モードを、OFFICEモード、POD_1モード、POD_2モードと称する。
図3は、各描画モードにおける印刷結果の一例を示す図である。図3(a)は、元のPDLデータ40を示す図である。
PDLデータ40には、描画バウンダリボックス41、及び用紙バウンダリボックス42が指定されている。また、PDLデータ40には、カラーバー43、塗り足し部分を含む描画コンテンツ44、及びトンボ45が含まれている。
尚、ここではPDFデータの概念を元に、用紙バウンダリボックスをメディアボックス、描画バウンダリボックスをクロップボックスとして説明している。しかしながら、仕上げ用紙サイズを意味するトリムボックスやコンテンツサイズを意味するアートボックスもまた、考慮に入れることが可能である。更に3つ以上のバウンダリボックスの中から好適な用紙サイズ決定、描画に用いるクリッピング範囲を選択するように拡張することも可能である。
【0035】
OFFICEモード(用紙節約モード)は、描画バウンダリボックス41を用紙の選択及び描画範囲の指定の基準となるバウンダリボックスとして用いるモードである。図3(b)は、OFFICEモードで印刷された結果を示す。図3(b)に示すように、OFFICEモードでは、描画バウンダリボックス41を用いて用紙の選択および描画範囲の指定を実行するため、余白を節約することが可能となる。
POD_1モード(全面印刷余白ありモード)は、用紙バウンダリボックス42を用紙の選択の基準となるバウンダリボックスとして用いると共に、描画バウンダリボックス41を描画範囲の指定の基準となるバウンダリボックスとして用いるモードである。図3(c)は、POD_1モードで印刷された結果を示す。図3(a)に示すように、用紙バウンダリボックス42と描画バウンダリボックス41とが不一致のPDLデータを印刷する場合、複合機は、用紙バウンダリボックス42を用いて用紙を選択する。一方、複合機は、描画バウンダリボックス41を描画サイズとして選択する。そのため、POD_1モードでは、描画バウンダリボックス41の外にカラーバー43や描画コンテンツ44の塗り足し部分、及びトンボ45等がある場合でも、それらはクリッピングされるため出力(印刷)されない。
【0036】
POD_2モード(全面印刷余白なしモード)は、用紙バウンダリボックス42を用紙の選択及び描画範囲の指定の基準となるバウンダリボックスとして用いるモードである。図3(d)は、POD_2モードで印刷された結果を示す。図3(d)に示すように、POD_2モードが選択された場合、複合機は、用紙バウンダリボックス42を用いて用紙および印刷時の描画領域を選択するため、描画バウンダリボックス41の外のオブジェクトを含め用紙の全面を描画することが可能となる。この、描画領域外のデータを印刷できる点が、POD_1モードと異なる。
【0037】
<描画モードを選択して行う印刷の流れ>
ここで、図4のフローチャートを参照しながら、入力されたPDLデータにおいて、用紙バウンダリボックス42と描画バウンダリボックス41とが不一致である場合の複合機4010における画像形成処理の一例を説明する。尚、基本的な印刷の流れは、前述した通りである。
【0038】
まず、範囲領域再設定部5039は、不一致フラグをOFFに初期化する(ステップS1001)。この不一致フラグは、印刷データの一例であるPDLデータに含まれるページの全てにおいて用紙バウンダリボックス42と描画バウンダリボックス41とが一致しているか否かを表すフラグである。これらが一致している場合には、不一致フラグはOFFとなり、一致していない場合にはONとなる。また、不一致フラグの状態は、例えばメモリ5030に記憶されている。
【0039】
次に、インタプリタ5032は、PDLデータを取得してメモリ5030に保持する(ステップS1002)。具体的に画像形成部5031は、例えば、ネットワークポート5062及びネットワーク4050を経由してホストコンピュータ4030から送られてきたPDLデータをメモリ5030に保持する。
次に、インタプリタ5032は、取得したPDLデータに含まれる用紙バウンダリボックス42の情報と描画バウンダリボックス41の情報とを、論理ページ毎に取得する(ステップS1003)。尚、PDFフォーマットの仕様に基づけば、用紙バウンダリボックス42を省略することはできない。一方、描画バウンダリボックス41は省略することができる。描画バウンダリボックス41が省略されている場合には、用紙バウンダリボックス42のみを取得する。以上のように本実施形態では、ステップS1003の処理を行うことにより取得手段が実現される。また、用紙バウンダリボックス42は、用紙のサイズに関する用紙サイズ情報と記述される場合があり、描画バウンダリボックス41は、描画領域のサイズに関する描画領域サイズ情報と記述される場合がある(図3を参照)。
【0040】
次に、インタプリタ5032は、取得した用紙バウンダリボックス42と描画バウンダリボックス41とが一致するか否かを論理ページ毎に判定する(ステップS1004)。このように本実施形態では、ステップS1004の処理を行うことにより判定手段が実現される。
この判定の結果、取得した用紙バウンダリボックス42と描画バウンダリボックス41とが不一致である場合には、ステップS1005に進む。そして、インタプリタ5032は、不一致フラグをONにする(ステップS1005)。そして、ステップS1006に進む。一方、取得した用紙バウンダリボックス42と描画バウンダリボックス41とが一致した場合には、ステップS1005を省略してステップS1006に進む。
【0041】
ステップS1006に進むと、インタプリタ5032は、取得したPDLデータの全ての論理ページについて、用紙バウンダリボックス42と描画バウンダリボックス41とが一致するか否かの判定を行ったか否かを判定する。この判定の結果、PDLデータの全ての論理ページについて判定を行っていない場合には、ステップS1003に戻り、PDLデータの全ての論理ページについて判定が行われるまで、ステップS1003〜S1006を繰り返し行う。これにより、用紙バウンダリボックス42と描画バウンダリボックス41とが全てのページにおいて一致したか否かの判定結果が不一致フラグに保持される。
【0042】
次に、範囲領域再設定部5039は、不一致フラグの状態に基づき、先に示した描画モード(OFFICEモード、POD_1モード、POD_2モード)の何れかを選択する(ステップS1007〜S1009)。
すなわち、範囲領域再設定部5039は、不一致フラグの状態がONであるか否かを判定する(ステップS1007)。この判定の結果、不一致フラグの状態がOFFである場合(S1007−No)には、用紙バウンダリボックス42と描画バウンダリボックス41とは全ページに亘って同一である。このため、どの描画モードを選択して描画を行っても、印刷結果は結果となる。そこで、ここでは、範囲領域再設定部5039は、描画モードとしてPOD_1モードを設定するとする(ステップS1008)。そして、後述するステップS1010に進む。
【0043】
一方、不一致フラグの状態がONである場合(S1007−Yes)には、印刷設定基準範囲領域再設定部5035、印刷データ基準範囲領域再設定部5036による処理を実施する。すなわち、PDLデータ、又は画像形成条件や印刷条件等の印刷設定情報に基づいて、より好適な描画モードを選択する描画モード選択処理が実施される(ステップS1009)。本実施形態では、このステップS1009の処理を行うことにより決定手段が実現される。この描画モード選択処理の詳細については後述する。
【0044】
以上のステップS1008、S1009において、範囲領域再設定部5039によって決定された描画モードに基づき、PDLデータの含まれる各ページに対して画像形成処理が行われる。
まず、インタプリタ5032は、PDLデータの全てのページについて、用紙バウンダリボックス42と描画バウンダリボックス41とを再び取得する(ステップS1010)。次に、インタプリタ5032は、ステップS1008、S1009で決定された描画モードを判別する(ステップS1011)。
【0045】
この判別の結果、描画モードがOFFICEモードである場合には、各ページの描画バウンダリボックス41が、用紙の選択及び描画範囲の指定の基準となるバウンダリボックスとなる。そのため、インタプリタ5032は、全論理ページに対して、用紙バウンダリボックス42を描画バウンダリボックス41に置き換える(ステップS1012)。そして、後述するステップS1014に進む。当然ながら、ステップS1012の処理は、描画バウンダリボックスと用紙バウンダリボックスとが異なるページについて実行されれば良い。
また、描画モードがPOD_1モードである場合には、用紙の選択及び描画範囲の指定の基準となるバウンダリボックスが指定されない。そのため、インタプリタ5032は、PDLデータで指定されたバウンダリボックスに従って処理を継続することになる。つまり、インタプリタ5032は、用紙バウンダリボックスを用いて用紙を選択し、描画バウンダリボックスを用いて描画範囲を指定する。よって、ステップS1011から後述するステップS1014に直接進む。
また、描画モードがPOD_2モードである場合には、各ページの用紙バウンダリボックス42が、用紙の選択及び描画範囲の指定の基準となるバウンダリボックスとなる。そのため、インタプリタ5032は、各論理ページに対して、描画バウンダリボックス41を用紙バウンダリボックス42に置き換える(ステップS1013)。そして、後述するステップS1014に進む。当然ながら、ステップS1013の処理は、描画バウンダリボックスと用紙バウンダリボックスとが異なるページについて実行されれば良い。
【0046】
これらのバウンダリボックスの置き換え処理によって、インタプリタ5032がインタプリットしている際に、描画モードに応じた用紙バウンダリボックス及び描画バウンダリボックスが、論理ページ毎に指定される。この指定に基づいて、インタプリタ5032はインタプリタ処理を、ラスタライザ5033はラスタライズ処理を行う(ステップS1014)。このステップS1014の処理により、論理ページ毎に画像データが生成され、生成された画像データはフレームバッファ5020に保持される。このように本実施形態では、ステップS1014の処理を行うことにより生成手段が実現される。
【0047】
次に、インタプリタ5032は、取得したPDLデータの全ての論理ページについて、描画モードに応じたインタプリタ処理及びラスタライズ処理を行ったか否かを判定する(ステップS1015)。この判定の結果、PDLデータの全ての論理ページについて処理を行っていない場合には、ステップS1010に戻り、PDLデータの全ての論理ページについて処理が行われるまで、ステップS1010〜S1015を繰り返し行う。そして、PDLデータの全ての論理ページについて処理が行われると、図4のフローチャートによる処理を終了する。
【0048】
以上の図4の処理結果を用いて、画像形成部5031は、各ページに対する画像形成処理を行う。また、この画像形成処理と平行し、給紙用紙選択部5038は、形成された画像データに関連付けられた用紙を選択する。また、給紙装置5064は、給紙用紙選択部5038によって選択された用紙を給紙し、印字装置5065は、フレームバッファ5020に保持されている画像データに基づく画像を、給紙された用紙上に形成(印刷)する。更に、フィニッシャ5066は、必要に応じて、画像が印刷された用紙に対して仕上げ処理を行う。
【0049】
<描画モード選択処理>
ここで、図4のステップS1009における描画モード選択処理の詳細を説明する。描画モード選択処理は、望ましくは、大きく分けて2つのパートから構成される。1つは、印刷設定基準範囲領域再設定部5035によって、データ印刷者が設定した印刷設定情報の内容に基づいて好適な描画モードを決定する方法である。もう1つは、印刷データ基準範囲領域再設定部5036によって、PDLデータに基づきデータ作成者が意図した出力結果を推定し、推定した結果から好適な描画モードを決定する方法である。
【0050】
[印刷設定に基づく描画モードの決定方法]
印刷設定の内容に基づいて描画モードを決定する場合の好適な一例としては、例えば複合機4010側の面付け機能を使ってN―up印刷を行う場合である。図3(a)に示したトンボ45やカラーバー43等の情報は、物理用紙に対する仕上げ処理に用いる付加情報である。複合機4010側で、このような付加情報が付加されている複数の論理ページを1物理ページに面付けしてしまうと、その付加情報の意味がなくなってしまう。
用紙サイズに合わせて画像データを縮尺するFit To Page印刷と呼ばれる印刷方法についても同様である。つまり、N−up指定、Fit To Pageが選択された場合、描画コンテンツ44の部分の内容のみが必要であり、余白部分の出力が不要であるケースが多い。
【0051】
前述した印刷設定工程において、印刷設定基準範囲領域再設定部5035は、データ印刷者が行い得る印刷設定と、その印刷設定に好適な描画モードとを予め関連付けておく。このようにすることで、データ印刷者(ユーザ)にとって予想が可能な(所望している通りの)出力結果を得ることが出来る。
【0052】
このようにする場合の望ましい一例として、まず、CPU5010が操作パネル5061の画像表示装置に、図5に示すようなグラフィックユーザインタフェイス50を表示する。データ印刷者は、操作パネル(操作画面ともいう)5061を操作して、印刷設定に対する描画モードの設定を行う。例えば図5において、領域51には、N−up印刷が指定されている場合にはOFFICEモードで描画することが設定されたことを意味する内容が表示されている。領域52には、Fit To Page印刷が指定されている場合にはPOD_1モードで描画することが設定されたことを意味する内容が表示されている。また、デバイス製本が指定された場合に用いる描画モードが未定であることが図示されている。領域51〜53に表示される内容は、プルダウンメニュー55に表示されているものの中から、データ印刷者によって選択される。
以上のようにして各印刷設定(N−up印刷、Fit To Page印刷、デバイス製本印刷)の夫々に対して描画モードが設定された後に、ボタン54が操作されると、その設定が有効になる。そして、印刷設定基準範囲領域再設定部5035は、その設定の内容を例えばメモリ5030に登録する。それ以降の画像形成処理において、複合機は、データ印刷者によって操作パネルを介して指定された印刷設定の内容に基づいて、描画モードを選択する。尚、プリンタドライバを用いないダイレクト印刷の一例として、リムーバブルメディアを複合機に装着することで当該メディア内のPDLデータを印刷する技術が挙げられる。この場合、データ印刷者は、リムーバブルメディア内のPDLデータを印刷することと共に、当該PDLデータの印刷設定情報を複合機の操作パネルを用いて設定することができる。複合機は、この時点で設定された印刷設定情報と、図5を介して登録された情報とを用いて描画モードを選択できる。
以上のように本実施形態では、印刷設定基準範囲領域再設定部5035が、画像に関わる設定の一例であるN−up印刷、Fit To Page印刷、デバイス製本印刷と、描画モードとを関連付けて予め登録することにより、登録手段が実現される。
【0053】
尚、データ印刷者が、デフォルトで、使用される描画モードを印刷設定に紐付けておくことも可能である。このようにする場合、例えば、CPU5010が操作パネル5061の画像表示装置に、図6に示すような、給紙に関する設定を行うグラフィックインタフェイス60を表示する。データ印刷者は、操作パネル5061の操作装置を操作して、プルダウンメニュー64に表示されているものの中から、所望の描画モードに対応するものを選択する。その結果、給紙に関する設定の際に、描画モードを選択することができる。この際、用紙選択62が自動である場合にのみ、このような描画モードの選択を有効にするのが望ましい。
【0054】
[PDLデータに基づく描画モード決定方法]
次に、印刷データ基準範囲領域再設定部5036が、PDLデータ(印刷データ)に基づきデータ作成者が意図した出力結果を推定し、推定した結果から描画モードを決定する方法の一例を説明する。端的に言えば、印刷データ基準範囲領域再設定部5036は、用紙バウンダリボックス42と描画バウンダリボックス41との不一致が、データ作成者の意図したものか否かを推定することで、描画モードを決定する。
【0055】
一般的には、印刷に用いられる用紙は利便性等を考慮して定型サイズが用いられることが多い。日本ではA4やA3等のA版と、B5やB4等のB版と、葉書や封筒等が広く使われている。更に1つの印刷物中に複数種類の定型用紙が混在することは珍しい。印刷データ基準範囲領域再設定部5036は、これらの特徴を元に処理を行う。
【0056】
ここで、図7のフローチャートを参照しながら、PDLデータに基づいて描画モードを決定する方法の一例を説明する。尚、本実施形態では、図5に示したグラフィックユーザインタフェイス50を用いて登録された印刷設定が、データ印刷者によって印刷時に指定されなかった場合に、以下のようにしてPDLデータに基づいて描画モードを決定する。
図7において、まず、印刷データ基準範囲領域再設定部5036は、用紙バウンダリカウンタと描画バウンダリカウンタとの値を、共に0で初期化を行う(ステップS2001、S2002)。図8は、用紙バウンダリカウンタ及び描画バウンダリカウンタの設定値を記憶するテーブル80の一例を示す図である。図8に示すように、用紙バウンダリカウンタ及び描画バウンダリカウンタの値は、同じ種類の定型用紙毎に設定される。
尚、図8では、複数種類の定型用紙毎に、用紙バウンダリカウンタ及び描画バウンダリカウンタの値を設定するようにしているが、必ずしもこのようにする必要はない。すなわち、1種類の定型用紙に対して、用紙バウンダリカウンタ及び描画バウンダリカウンタの値を設定するようにしてもよい。また、テーブル80は、例えばメモリ5030に格納される。
【0057】
次に、インタプリタ5032は、用紙バウンダリボックスと描画バウンダリボックスの情報を、ページ毎に取得する(ステップS2003)。
次に、印刷データ基準範囲領域再設定部5036は、ステップS2003で取得された用紙バウンダリボックスで指定されている用紙サイズが、テーブル80に登録された何れかの定型用紙サイズと一致するか否かを判定する(ステップS2004)。このように本実施形態では、ステップS2004の処理を行うことによって、第1の比較手段が実現される。
【0058】
この判定の結果、それらが一致する場合には、印刷データ基準範囲領域再設定部5036は、テーブル80における用紙バウンダリカウンタ内の該当する欄の値に1を加算する(ステップS2005)。そして、ステップS2006に進む。一方、それらが一致していない場合には、ステップS2005を省略してステップS2006に進む。このように本実施形態では、ステップS2005の処理を行うことによって用紙バウンダリボックスに定型サイズが設定されたページ数をカウントする、第1の計数手段が実現される。
【0059】
ステップS2006に進むと、印刷データ基準範囲領域再設定部5036は、ステップS2003で取得された描画バウンダリボックスで指定されている描画領域のサイズが、が、テーブル80に登録された何れかの定型用紙サイズと一致するか否かを判定する。このように本実施形態では、ステップS2006の処理を行うことによって描画バウンダリボックスに定型サイズが設定されたページ数をカウントする、第2の比較手段が実現される。
この判定の結果、それらが一致する場合には、印刷データ基準範囲領域再設定部5036は、テーブル80における描画バウンダリカウンタ内の該当する欄の値に1を加算する(ステップS2007)。そして、ステップS2008に進む。一方、それらが一致していない場合には、ステップS2007を省略してステップS2008に進む。このように本実施形態では、ステップS2007の処理を行うことによって、第2の計数手段が実現される。
【0060】
ステップS2008に進むと、印刷データ基準範囲領域再設定部5036は、取得したPLFデータの全てのページについて、バウンダリボックスで指示されているサイズと定型用紙サイズとが一致するか否かの判定を行ったか否かを判定する。この判定の結果、PLLデータの全てのページについて判定を行っていない場合には、ステップS2003に戻り、PDLデータの全てのページについて判定が行われるまで、ステップS2003〜S2008を繰り返し行う。
【0061】
尚、この際、選択されるべきではない用紙種別に対しては、バウンダリカウンタの値を増加させないようにしてもよい。例えば、8Kや16Kという定型用紙は中国で使用されているが、日本ではあまり使用されていない。そこで、日本で使用する複合機4010に関しては、これら日本ではあまり使用されていない定型用紙のサイズとバウンダリボックスで指定されているサイズとが偶発的に一致することを避けるために、選択されるべき用紙種別の制限を行っても良い。すなわち、これら日本ではあまり使用されていない定型用紙を、選択されるべきではない用紙種別とし、その用紙種別のサイズと、バウンダリボックスで指定されているサイズとが一致しても、バウンダリカウンタの値を増加させないようにしてもよい。
【0062】
次に、印刷データ基準範囲領域再設定部5036は、用紙バウンダリカウンタと描画バウンダリカウンタとの夫々の最大値をテーブル80から取得する(ステップS2009、S2010)。
次に、印刷データ基準範囲領域再設定部5036は、これら用紙バウンダリカウンタの最大値と描画バウンダリカウンタの最大値とが一致しているか否かを判定する(ステップS2011)。この判定の結果、それらが一致している場合には、描画モードを推定するのが困難である。そこで、CPU5010は、操作パネル5061の画像表示装置に、図9に示すようなグラフィックユーザインタフェイス70を表示し、データ印刷者に描画モードを選択させる(ステップS2012)。
【0063】
図9に示すグラフィックユーザインタフェイス70の領域71には、描画モードに対応する内容が表示される。領域71に表示される内容は、プルダウンメニュー72に表示されているものの中から、データ印刷者によって選択される。
図9に示すグラフィックユーザインタフェイス70においては、用紙・描画サイズの設定を行うだけではなく、試し印刷を指示することもできる。試し印刷ボタン73が押された場合には、プルダウンメニュー72に表示されているものの中から選択された描画モードに応じた印刷結果を模した画像を表示したり、夫々の描画モードに応じた印刷結果を模した画像を並べて表示したりすることができる。
【0064】
尚、図9を用いた選択処理をサポートするために、本願の複合機は図10に示す画面を表示する。図10は、夫々の描画モードに応じた印刷結果を並べて表示した画面1001の一例を示す図である。図10では、右上、左下、右下に、夫々、OFFICEモード、POD_1モード、POD_2モードに応じた印刷結果を模した画像1001a〜1001cを表示している。更に、図10では、左上に、用紙バウンダリボックスと描画バウンダリボックスとを含む元のPDLデータに基づく画像1001dを表示するようにしている。ユーザは、図10の表示結果をもとに図9にて選択すれば良い。
【0065】
図7の説明に戻り、ステップS2011において、用紙バウンダリカウンタの最大値と描画バウンダリカウンタの最大値とが一致していない場合には、ステップS2013に進む。そして、印刷データ基準範囲領域再設定部5036は、用紙バウンダリカウンタの最大値と描画バウンダリカウンタの最大値とのうち、大きい方を用紙選択及び描画範囲指定の基準となるバウンダリボックスとして用いる。すなわち、用紙バウンダリカウンタの最大値より、描画バウンダリカウンタの最大値が大きい場合、印刷データ基準範囲領域再設定部5036は、描画バウンダリボックスを基準として用紙選択と描画範囲とを指定するOFFICEモードを選択する(S2014)。一方、描画バウンダリカウンタの最大値より、用紙バウンダリカウンタの最大値が大きい場合、印刷データ基準範囲領域再設定部5036は、用紙バウンダリボックスを基準として用紙選択および描画範囲を指定するPOD_2モードを選択する(S2015)。
【0066】
[PDLデータに基づく描画モード決定方法の具体例]
次に、図7に示したようにして行われるPDLデータに基づく描画モード決定方法の具体例を説明する。
図11は、PDLデータに基づいて描画モードを決定する方法の第1の例を示す図である。具体的に図11(a)は、PDLデータの内容の一例を示す図である。図11(b)は、定型用紙サイズの一例を示す図である。図11(c)は、図8に示したテーブル80の初期値を示す図である。図11(d)は、図8に示したテーブル80の最終設定値を示す図である。
【0067】
第1の例では、図11(a)に示すような用紙バウンダリボックス及び描画バウンダリボックスを有するページで構成されるPDLデータに基づいて、描画モードを決定する。図11(a)に示すように、このPDLデータは、物理用紙データとしてA4が第1〜第4ページに対して指定され、A3が第5ページに対して指定されているデータである。また、定型用紙サイズは、図11(b)に示す通りである。
【0068】
最初に、用紙バウンダリカウンタ及び描画バウンダリカウンタの値は、図11(c)に示すように、共に0で初期化される(ステップS2001、S2002)。
次に、用紙バウンダリボックスで指示されるサイズと同じサイズの用紙種別に対応するバウンダリカウンタの値に1を加算する処理を各ページに対して行う(ステップS2004〜S2008)。その結果、テーブル80の値は、図11(d)に示すようになる。
【0069】
そして、用紙バウンダリカウンタ及び描画バウンダリカウンタの最大値を求める(ステップS2009、S2010)。図11に示す例では、用紙バウンダリカウンタの最大値の方が、描画バウンダリカウンタの最大値よりも大きいため、用紙バウンダリボックスに基づいて出力するOFFICEモードが描画モードとして選択される(ステップS2014)。
【0070】
図12は、PDLデータに基づいて描画モードを決定する方法の第2の例を示す図である。具体的に図12(a)は、PDLデータの内容の一例を示す図である。図12(b)は、図8に示したテーブル80の最終設定値を示す図である。尚、定型用紙サイズと、テーブル80の初期値は、夫々図11(b)、図11(c)に示したものと同じものであるとする。
【0071】
第2の例では、図12(a)に示すような用紙バウンダリボックス及び描画バウンダリボックスを有するページで構成されるPDLデータに基づいて、描画モードを決定する。図12(a)では、面付けが既にされたデータを元に、ユーザが描画バウンダリボックスを再設定することにより、閲覧配布用のデータが作成された場合を想定している。この図12(a)に示すPDLデータに対して、図7のステップS2001〜S2008の処理を行うことによりテーブル80に設定される各バウンダリボックスの値を示したものが、図12(b)である。
図12(b)に示す例では、描画バウンダリカウンタの最大値の方が、用紙バウンダリカウンタの最大値よりも大きいため、描画バウンダリボックスに基づいて出力をするPOD_2モードが描画モードとして選択される(ステップS2015)。
つまり、図7の処理を用いることで、データ作成者の意図を考慮した印刷が可能となる。例えば、データ作成者が、描画バウンダリボックスよりも多くの用紙バウンダリボックスに定型サイズを選択している場合、複合機は、用紙として定型サイズを用いた印刷を行いたいというデータ作成者の意図を考慮してPOD_2を選択する。このように、本願の複合機は、データ作成者が、意図して定型サイズを選択している点を用いて描画モードを選択する。
【0072】
以上のように本実施形態では、印刷設定と、描画モードとを予め関連付けておき、その印刷設定で印刷することが指定された場合には、その印刷設定に関連付けられている描画モードで印刷を行うようにした。また、PDLデータにおいて指定されている用紙のサイズ及び描画領域のサイズと、予め設定されている定型用紙サイズとの比較結果に基づいて決定した描画モードで印刷を行うようにした。したがって、PDLデータにおいて指定されている用紙のサイズと描画領域のサイズとが不一致である場合でも、データ印刷者やデータ作成者が、どのような意図を持って用紙の選択と描画範囲の選択とを行っているのかを推定することができる。よって、PDLデータに定義されている描画領域のサイズと用紙サイズとが不一致の場合でも、印刷設定及びPDLデータに基づいて、出来るだけ好適な用紙及び描画範囲の選択が可能となる。
【0073】
尚、本実施形態では、PDLデータに基づいて描画モードを決定する際に、バウンダリボックスで指定されている用紙のサイズ(描画領域のサイズ)が、テーブル80に登録された定型用紙サイズと一致するか否かを判定した(ステップS2004、S2006)。しかしながら、必ずしもこれらが完全に一致するか否かを判定する必要はない。すなわち、バウンダリボックスで指定されている用紙のサイズ(描画領域のサイズ)と、テーブル80に登録された定型用紙サイズ(基準用紙サイズともいう)との差が、同一であると見なせる値以下(閾値以下)であるか否かを判定するようにしてもよい。
【0074】
また、本実施形態では、テーブル80に登録された定型用紙サイズと一致する"用紙バウンダリカウンタの最大値及び描画バウンダリカウンタの最大値"を取得し、それらの大小関係に応じて描画モードを決定するようにした(ステップS2009〜S2015)。しかしながら、テーブル80に登録された定型用紙サイズと一致する"用紙バウンダリカウンタの数及び描画バウンダリカウンタの数"に基づいて描画モードを決定するようにしていれば、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、PDLデータの全ページに対する、定型用紙サイズと一致する用紙・描画バウンダリカウンタの数の割合を求め、求めた割合の大小関係に応じて描画モードを決定するようにしてもよい。
【0075】
更に、本実施形態では、印刷設定に基づいて描画モードを決定する際に、描画モードと関連付ける印刷設定は、図5に示したものに限定されない。すなわち、図5では、画像データの形成に関わる印刷設定の一例として、N−up印刷、Fit To Page印刷が登録され、仕上げ処理に関わる印刷設定の一例として、デバイス製本が登録されているようにした。しかしながら、登録される印刷設定はこれらに限定されるものではない。
【0076】
また、本実施形態では、印刷設定に基づいて描画モードを決定することができない場合に、PDLデータに基づいて描画モードを決定する場合を例に挙げて説明したが、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、これらのうち何れか一方のみを行うようにしてもよい。また、例えば、印刷設定に基づいて描画モードを決定することと、PDLデータに基づいて描画モードを決定することとの双方を行うようにしてもよい。このようにした場合であって、決定された各描画モードが互いに異なる場合には、予め定められた方法で決定された描画モードを優先させたり、ユーザにより選択された方法で決定された描画モードを優先させたりすることができる。
【0077】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。前述した第1の実施形態では、PDLデータを印刷に使用する場合を例に挙げて説明した。近年、PDLデータは、印刷以外にも、記憶媒体への保存や、FAX等でのデータ通信等、幅広い分野で使用されている。そこで、本実施形態では、PDLデータを印刷以外の用途で使用する場合について述べる。このように本実施形態と前述した第1の実施形態とは、PDLデータの用途が主として異なる。よって、本実施形態の説明において、前述した第1の実施形態と同一の部分については、図1〜図12に付した符号と同一の符号を付すこと等により、詳細な説明を省略する。尚、本実施形態でも、第1の実施形態と同様に、扱うデータが、PDF形式である場合を例に挙げて説明する。
【0078】
<PDLデータを記憶媒体に保存する際の基本的な流れ>
まず、PDLデータを画像データに変換した後、記憶媒体に保存する流れの一例について説明する。
記憶媒体への保存処理は、保存設定工程、データ受信工程、画像形成工程、データ圧縮工程、記録工程で構成される。データ受信工程、画像形成工程は、前述した第1の実施形態と同じであるので説明を省略する。また、保存設定工程は、第1の実施形態における印刷設定工程で、印刷に関する設定項目が省かれ、その設定項目の代わりに画像を保存する際に用いる設定項目が使用される。
【0079】
データ圧縮工程は、フレームバッファ5020に格納された画像データが画像変換部5037によって圧縮されることで、保存に要するファイル容量を削減する工程である。モノクロ画像であれば、MH/MR方式等が、圧縮形式として用いられる。また、カラー画像であればDCT方式に基づくJPEG形式が圧縮形式として用いられる。
記録工程は、画像変換部5037により圧縮された画像データを、指定された記憶媒体に保存する工程である。複合機4010のハードディスク5067に画像データを保持することにより、繰り返し印刷を行う場合の画像形成処理を省くことが出来る。このように本実施形態では、CPU5010からの指示に基づいて、記憶媒体の一例であるハードディスク5067に画像データを保持させることにより第1の記憶手段が実現される。
【0080】
<記憶された画像データの適用方法>
以上のようにしてハードディスク5067等に保存された画像データは、他の機器等で転用される可能性がある。また、保存された画像データに対して更なる変換処理が行われる可能性もある。保存された画像データがそのまま印刷される場合もあれば、デバイス側で面付けをして印刷される場合もある。よって、以上のようにして保存された画像データについては、用紙バウンダリボックスを基準となるバウンダリボックスとして用いるPOD_2モードで画像を形成し、且つ描画バウンダリボックスの情報を別に持つようにすることが望ましい。
【0081】
すなわち、CPU5010は、前述したようにして保持させた画像データの元となったPDLデータ内の描画バウンダリボックスの情報を、その画像データと対応付けてハードディスク5067等に保持させる。このように本実施形態では、CPU5010からの指示に基づいて、記憶媒体の一例であるハードディスク5067に描画バウンダリボックスの情報を保持させることにより第2の記憶手段が実現される。
【0082】
そして、前述したようにして保持させた画像データを印刷する場合、範囲領域再設定部5039は、POD_2モードを指定する。これにより、描画モードに応じた用紙バウンダリボックス及び描画バウンダリボックスが、論理ページ毎に指定される。このように本実施形態では、範囲領域再設定部5039が、POD_2モードを指定することにより、第2の決定手段が実現される。
【0083】
そして、このようにして範囲領域再設定部5039により指定されたPOD_2モードに従って、インタプリタ5032はインタプリタ処理を、ラスタライザ5033はラスタライズ処理を行う。これにより画像データが形成される。このように本実施形態では、POD_2モードに従って、インタプリタ5032がインタプリタ処理を、ラスタライザ5033がラスタライズ処理を行うことにより、第2の生成手段が実現される。
以上のようにすることで、特許文献1に記載の技術のように、手動での設定を省くことができ、且つ同じ画像データを他に転用することも容易となる。
尚、画像データをコピー又は移動する場合には、その画像データをPOD_2モードに従って印刷することを示す情報と、その画像データに対応付けられて保持されている描画バウンダリボックスの情報も合わせてコピー又は移動するのが好ましい。このようにすれば、コピー先又は移動先においても、描画バウンダリボックスを用紙の選択及び描画範囲の指定の基準となるバウンダリボックスとして用いることができるからである。
【0084】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。第1の実施形態では、図7のS2011にてYesと判定された場合、図9を表示して描画モードをユーザに選択させていたが、本実施形態では、用紙バウンダリボックスと描画バウンダリボックスとが不一致なページが検出された際に図9の画面を表示する。
尚、第3の実施形態では、第1、第2の実施形態と異なる点について限定して説明し、その他の点については第1、第2の実施形態の処理を流用し、詳細な説明を省略する。
【0085】
前述した第1の実施形態では、図4のステップS1007にてYesと判定された場合、ステップS1009の処理を行っていたが、本実施形態では、図7のステップS2012の処理を実行する点が異なる。
つまり、用紙バウンダリボックスと描画バウンダリボックスとが不一致である場合、図9の画面を表示する。
その結果、データ印刷者が、所望とする描画モードを選択することで、データ印刷者の意図を反映した印刷を実現することが可能となる。尚、本実施形態では、図9の画面を表示すると説明したが、ステップS1007にてYesと判定された場合、複合機が、図10の画面を表示して、図10の画面を用いて描画モードを選択可能にしても良い。
【0086】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。前述した第1の実施形態では、データ印刷者が、印刷設定情報と描画モードとを関連付けた情報を登録することで、設定された印刷設定情報に対応する描画モードを選択していた。これに対し、本実施形態では、データ印刷者に負荷を与えることなく印刷設定情報から描画モードを決定する方法について説明する。
尚、第4の実施形態では、第1〜第3の実施形態と異なる点について限定して説明し、その他の点については第1〜第3の実施形態の処理を流用し、詳細な説明を省略する。
【0087】
図13は、本実施形態の処理を説明する図である。尚、図13の処理は、図4のステップS1001〜S1007の処理が実行され、ステップS1007にてYesと判定された場合に実行される。
CPU5010は、操作パネルを介して選択された印刷設定情報に、印刷物に対して断裁処理を適用する断裁設定およびカラー印刷の少なくとも1つが含まれるか否かを判定する(ステップS1301)。
ステップS1301にて含むと判定された場合(S1301−Yes)、印刷データ基準範囲領域再設定部5036は、描画モードとしてPOD_2を選択する(ステップS1302)。断裁設定またはカラー印刷を実行する場合、描画領域外に印刷されるカラーバー、トンボ等が印刷される必要があるため、印刷データ基準範囲領域再設定部5036は、ステップS1302で、カラーバー、トンボが印刷されるようにPOD_2を選択する。
【0088】
一方、ステップS1301にて含まないと判定された場合(S1301−No)、カラーバー、トンボ等が印刷される必要がないため、印刷データ基準範囲領域再設定部5036は、ステップS1303で、POD_1を選択する。
【0089】
また、ステップS1301における別の判定処理として、例えば次の処理が挙げられる。すなわち、操作パネルを介して選択された印刷設定情報に、断裁設定およびカラー印刷の少なくとも1つを含むかを判定すると共に、印刷対象のPDLデータの描画領域の外側に描画すべきデータがあるか否かを判定する処理が挙げられる。
ここで、断裁設定およびカラー印刷の少なくとも1つを含むと判定され、かつ、描画領域の外側に描画すべきデータがあると判定された場合、印刷データ基準範囲領域再設定部5036は、POD_2を選択する。
【0090】
本実施形態により、用紙バウンダリボックスと描画バウンダリボックスとが異なる場合であっても、データ印刷者の負荷を増大することなく、設定された印刷設定を考慮して適切な描画モードを選択することが可能となる。
【0091】
(本発明の他の実施形態)
前述した本発明の実施形態における画像処理装置を構成する各手段、並びに画像処理方法の各ステップは、コンピュータのRAMやROMなどに記憶されたプログラムが動作することによって実現できる。このプログラム及び前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は本発明に含まれる。
【0092】
また、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラム若しくは記憶媒体等としての実施形態も可能であり、具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用してもよいし、また、一つの機器からなる装置に適用してもよい。
【0093】
尚、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラム(実施形態では図4、図7に示すフローチャートに対応したプログラム)を、システムあるいは装置に直接、あるいは遠隔から供給する。そして、そのシステムあるいは装置のコンピュータが前記供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される場合を含む。
【0094】
したがって、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、前記コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
【0095】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等の形態であってもよい。
【0096】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RWなどがある。また、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などもある。
【0097】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続する。そして、前記ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、若しくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。
【0098】
また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
【0099】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせる。そして、ダウンロードした鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
【0100】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される。その他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
【0101】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。
【0102】
尚、前述した各実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の第1の実施形態を示し、複合機のシステム構成の一例を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態を示し、画像形成システムの構成の一例を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態を示し、各描画モードにおける印刷結果の一例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態を示し、用紙バウンダリボックスと描画バウンダリボックスとが不一致である場合の複合機における画像形成処理の一例を説明するフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施形態を示し、印刷設定に応じて描画モードを選択するためのグラフィックユーザインタフェイスの一例を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態を示し、給紙に関する設定を行うグラフィックインタフェイスの一例を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施形態を示し、PDLデータに基づいて描画モードを決定する方法の一例を説明するフローチャートである。
【図8】本発明の第1の実施形態を示し、用紙バウンダリカウンタ及び描画バウンダリカウンタの設定値を記憶するテーブルの一例を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施形態を示し、PDLデータに基づき描画モードを推定できない場合に、データ印刷者に描画モードを選択させるためのグラフィックユーザインタフェイスの一例を示す図である。
【図10】本発明の第1の実施形態を示し、描画モードに応じた印刷結果を並べて表示した画面の一例を示す図である。
【図11】本発明の第1の実施形態を示し、PDLデータに基づいて描画モードを決定する方法の第1の例を示す図である。
【図12】本発明の第1の実施形態を示し、PDLデータに基づいて描画モードを決定する方法の第2の例を示す図である。
【図13】本発明の第4の実施形態を示し、描画モードを決定する方法の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0104】
4010 複合機
5010 CPU
5020 フレームバッファ
5030 メモリ
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法、及びコンピュータプログラムに関し、特に、PDLデータ等の印刷データを元に画像を形成するために用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像を用紙に印刷するに際し、ユーザが意図しない印刷結果になることを防止するための技術が提案されている。
特許文献1には、複数のサイズの枠に当て嵌められた同一画像の選択画面を表示し、その選択画面に表示された画像のうち、適切に枠に当て嵌められた画像がユーザによって選択されると、その画像を枠に合わせて切り出して印刷することが開示されている。また、特許文献2には、不正な用紙サイズが指定された場合に、強制的に印刷を行うか、縮小処理を行って印刷を行うかをユーザに選択させることが開示されている。更に、特許文献3には、余白が最小となる用紙が複数ある場合には、描画領域の縦横比に一番近い縦横比を有する用紙を選択して印刷を行うことが開示されている。
【0003】
ところで、このような印刷を行うための電子文書フォーマットとして、PDF(Portable Document Format)がある。PDFは、ディスプレイ上での表示や、プリンタへの印刷や、出版のための入稿データ等、幅広く使われている電子文書フォーマットの1つである。PDFでは、原稿の各ページに対し、幾つかのバウンダリボックスを定義することが可能である。バウンダリボックスの中には、用紙サイズを指示する用紙バウンダリボックス(メディアボックス)や、描画領域を指示する描画バウンダリボックス(クロップボックス)等がある。
【0004】
このようなPDFを用いて生成されたデータ(以下、PDFデータと称する)を印刷する方法には大きく分けて2種類ある。
1つ目の印刷方法は、PDFデータを元にプリンタドライバを用いることなく画像形成を行うダイレクト印刷である。このダイレクト印刷を行う場合、プリンタは、PDFデータに定義されている用紙バウンダリボックスの値(大きさ)を元に、印刷に使用すべき用紙を自動選択できることが望ましい。
2つ目の印刷方法は、ドライバ印刷である。このドライバ印刷では、まず、ホストコンピュータ側でアプリケーションを用いてPDFデータを表示する。そして、プリンタドライバを用いてPDFデータをPDL(Page Description Language)で記述されたデータ(以下、PDLデータと証する)へ変換して、プリンタに送信する。このドライバ印刷を行う場合、プリンタは、描画バウンダリボックスの値を元にPDFデータを表示したため、当該描画バウンダリボックスの値(大きさ)を元に印刷に使用すべき用紙を自動選択できることが望ましい。
【0005】
【特許文献1】特開平11−4339号公報
【特許文献2】特開2003−112466号公報
【特許文献3】特開2007−79819号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これら2つの印刷方法では、基準となるバウンダリボックスが異なる。このため、用紙バウンダリボックスと描画バウンダリボックスとが不一致であると、これら2つの印刷方法における出力結果も異なるという問題点がある。しかしながら、前述した特許文献に記載の技術では、この問題点について考慮されていない。
【0007】
このようにバウンダリボックスが不一致になる場合として、データ作成者が意図する場合と、意図しない場合とがある。
データ作成者が意図的にバウンダリボックスを不一致にしている場合としては、例えば、画面表示する際と印刷する際とで別の出力サイズ・出力範囲を指定している場合がある。例えば、POD(Print On Demand)向けの入稿データとしてPDFデータを用いる場合には、描画バウンダリボックスの外側にカラーバーやプリンタマーク等の補助的な情報を描画することがある。このような場合には、データ作成者が意図的にバウンダリボックスを不一致することで、表示の際にはカラーバー、プリンタマーク等を表示せず、印刷時にカラーバー、プリンタマークを印刷することが可能となる。
【0008】
一方、データ作成者が意図していないにもかかわらず、バウンダリボックスが不一致となる場合には、例えば、作業時のミスに由来する場合がある。例えば、もともとはPODで使用される印刷機で印刷することを目的に作成されたPDFデータを、ネットワークでの配布用に流用する場合に、描画バウンダリボックスのみを単に変更すると、バウンダリボックスが不一致となる。
以上のように、描画バウンダリボックスと用紙バウンダリボックスとが不一致である場合、同じデータに対する出力結果が、ダイレクト印刷を用いた場合とドライバ印刷とで異なるため、印刷者にとって不便が生じることは明らかである。
【0009】
特にPODを始めとする商業印刷においては、データ作成者とデータ印刷者とが異なる場合が多々ある。このような場合、用紙選択に用いるバウンダリボックスが印刷方法によって異なるために、データ作成者が意図しない用紙サイズで出力されてしまうことがあり得る。そのため、従来は、データ印刷者がデータ作成者に確認を行って必要に応じて修正を行わなければならなかった。したがって、印刷の生産能力および効率が低下してしまっていた。
【0010】
また、デバイス側の要因により用紙の端から端まで描画できず、僅かに端に描画できない個所が生じる場合がある。このような場合には、一回り大きな用紙にはみ出すように描画した後で、用紙を断裁することで対応をすることができる。このはみ出しを「塗り足し」と呼ぶ。しかしながら、描画バウンダリボックスでクリッピングをしてしまうと、この塗り足し部分が描画されなくなってしまう。
【0011】
更に付言すると、前述した特許文献1では、所望の部位を切り出すためにユーザが手作業で範囲の指定を行う必要がある。このため、用紙バウンダリボックスと描画バウンダリボックスとが不一致である場合に、この特許文献1に記載の技術を適用すると、ユーザの負担が大きくなる。したがって、特許文献1に記載の技術は、大量のデータを処理するには不適当である。また、特許文献2は、処理ができない物理用紙サイズが選択された場合に適用される技術である。したがって、処理できる物理用紙サイズが選択されているが、用紙バウンダリボックスと描画バウンダリボックスとが不一致となっている場合、この特許文献2に記載の技術を適用することは困難である。また、特許文献3は、あくまでも用紙選択を行うためのものである。したがって、例えば、データ作成者が意図していない描画コンテンツが画像データに含まれており、用紙バウンダリボックスと描画バウンダリボックスとが不一致となっている場合、その描画コンテンツも用紙選択の際の判断基準として考慮されてしまう。よって、画像データを適切に用紙に出力することができない。
【0012】
以上のように従来の技術では、描画領域を指示する情報である描画バウンダリボックスと、用紙サイズを指示する情報である用紙バウンダリボックスとが不一致の場合に、画像を適切に出力することが困難であるという問題点があった。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、印刷データに定義されている描画領域のサイズと用紙のサイズとが不一致の場合でも、出来るだけ容易に且つ適切に画像を出力できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の画像処理装置は、印刷データから、印刷に使用すべく設定された用紙のサイズに関する用紙サイズ情報と描画領域のサイズに関する描画領域サイズ情報とを取得する取得手段と、前記用紙サイズ情報に基づく用紙のサイズと、前記描画領域サイズ情報に基づく描画領域のサイズとが一致するか否かを判定する判定手段と、前記用紙サイズ情報に基づく用紙のサイズと、前記描画領域サイズ情報に基づく描画領域のサイズとが一致していない場合に、前記印刷データを印刷すべく設定された印刷設定情報に基づいて、前記印刷データに基づく画像を形成する用紙と、その画像の描画領域とを決定する決定手段と、前記決定手段により決定された用紙及び描画領域に従って、前記印刷データを用いて、用紙に画像を形成するための画像データを生成する生成手段とを有することを特徴とする。
また、本発明の他の態様では、印刷データから、印刷に使用すべく設定された用紙のサイズに関する用紙サイズ情報と描画領域のサイズに関する描画領域サイズ情報とを取得する取得手段と、前記用紙サイズ情報に基づく用紙のサイズと、前記描画領域サイズ情報に基づく描画領域のサイズとが一致するか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により前記用紙サイズ情報に基づく用紙のサイズと、前記描画領域サイズ情報に基づく描画領域のサイズとが一致していないと判定された場合、操作画面を介して入力された指示に従って、前記用紙サイズ情報に基づく用紙を印刷に使用するか、前記描画領域のサイズに基づく用紙を印刷に使用するかを決定する決定手段とを有することを特徴とする。
【0014】
本発明の画像処理方法は、印刷データから、印刷に使用すべく設定された用紙のサイズに関する用紙サイズ情報と描画領域のサイズに関する描画領域サイズ情報とを取得する取得ステップと、前記用紙サイズ情報に基づく用紙のサイズと、前記描画領域サイズ情報に基づく描画領域のサイズとが一致するか否かを判定する判定ステップと、前記用紙サイズ情報に基づく用紙のサイズと、前記描画領域サイズ情報に基づく描画領域のサイズとが一致していない場合に、前記印刷データを印刷すべく設定された印刷設定情報に基づいて、前記印刷データに基づく画像を形成する用紙と、その画像の描画領域とを決定する決定ステップと、前記決定ステップにより決定された用紙及び描画領域に従って、前記印刷データを用いて、用紙に画像を形成するための画像データを生成する生成ステップとを有することを特徴とする。
また、本発明の他の態様では、印刷データから、印刷に使用すべく設定された用紙のサイズに関する用紙サイズ情報と描画領域のサイズに関する描画領域サイズ情報とを取得する取得ステップと、前記用紙サイズ情報に基づく用紙のサイズと、前記描画領域サイズ情報に基づく描画領域のサイズとが一致するか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップにより前記用紙サイズ情報に基づく用紙のサイズと、前記描画領域サイズ情報に基づく描画領域のサイズとが一致していないと判定された場合、操作画面を介して入力された指示に従って、前記用紙サイズ情報に基づく用紙を印刷に使用するか、前記描画領域のサイズに基づく用紙を印刷に使用するかを決定する決定ステップとを有することを特徴とする。
【0015】
本発明のコンピュータプログラムは、印刷データから、印刷に使用すべく設定された用紙のサイズに関する用紙サイズ情報と描画領域のサイズに関する描画領域サイズ情報とを取得する取得ステップと、前記用紙サイズ情報に基づく用紙のサイズと、前記描画領域サイズ情報に基づく描画領域のサイズとが一致するか否かを判定する判定ステップと、前記用紙サイズ情報に基づく用紙のサイズと、前記描画領域サイズ情報に基づく描画領域のサイズとが一致していない場合に、前記印刷データを印刷すべく設定された印刷設定情報に基づいて、前記印刷データに基づく画像を形成する用紙と、その画像の描画領域とを決定する決定ステップと、前記決定ステップにより決定された用紙及び描画領域に従って、前記印刷データを用いて、用紙に画像を形成するための画像データを生成する生成ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
また、本発明の他の態様では、印刷データから、印刷に使用すべく設定された用紙のサイズに関する用紙サイズ情報と描画領域のサイズに関する描画領域サイズ情報とを取得する取得ステップと、前記用紙サイズ情報に基づく用紙のサイズと、前記描画領域サイズ情報に基づく描画領域のサイズとが一致するか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップにより前記用紙サイズ情報に基づく用紙のサイズと、前記描画領域サイズ情報に基づく描画領域のサイズとが一致していないと判定された場合、操作画面を介して入力された指示に従って、前記用紙サイズ情報に基づく用紙を印刷に使用するか、前記描画領域のサイズに基づく用紙を印刷に使用するかを決定する決定ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、印刷データに定義されている描画領域のサイズと用紙のサイズとが不一致の場合でも、印刷データに基づく画像に関わる設定、又は印刷データにおける各ページの特徴に基づいて、出来るだけ容易に且つ適切に画像を出力することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(第1の実施形態)
以下に、図面を参照しながら、本発明の第1の実施形態について説明する。
<複合機のシステム構成>
図1は、複合機4010のシステム構成の一例を示す図である。
CPU5010は、メモリ5030に記憶されているプログラムに従い、例えば、演算と、判断と、情報の入出力とを行うための装置である。
フレームバッファ5020は、メモリ5030に記憶されているプログラムを用いて形成された画像データを一時的に保持するためのメモリである。
メモリ5030は、例えばROM及びRAMを備え、プログラム等を保存する。メモリ5030内の各部(画像形成部5031〜範囲領域再設定部5039)は、メモリ5030内に保持されているプログラムを意味する。以下に、メモリ5030内の各部について説明する。
【0018】
画像形成部5031は、印刷用の言語であるPDLで記述されたPDLデータを元に、印刷するための画像データを形成するためのプログラムである。前述したように、この画像形成部5031で形成された画像データは、フレームバッファ5020に保持される。画像形成部5031には、インタプリタ5032とラスタライザ5033とが含まれる。尚、図1では、ラスタライザ5033が、ソフトウェアによって実現されるようにしているが、ハードウェアを用いてラスタライザが実現されるようにしても良い。
【0019】
画像変換部5037は、メモリ5030に記憶されているプログラムを用いて形成された画像データに対し、圧縮や色変換等の処理を行う。
給紙用紙選択部5038は、論理的な用紙サイズに対して、実際に印刷に用いる用紙(物理的な用紙)を選択するためのプログラムであり、入力されたPDLデータにて指定された用紙サイズに対して好適な用紙を選択し、給紙装置5064に通知する。
範囲領域再設定部5039は、画像形成及び印刷等を行うための諸条件やPDLデータに基づき、描画或いは印刷するのに適した範囲領域を設定する為のプログラムである。範囲領域再設定部5039は、範囲領域一致判定部5034、印刷設定基準範囲領域再設定部5035、及び印刷データ基準範囲領域再設定部5036を含む。
【0020】
範囲領域一致判定部5034は、各ページの用紙指定範囲領域と描画指定範囲領域とが一致しているか否かを判定する。ここで、用紙指定範囲領域とは、例えば、PDLデータに含まれる用紙バウンダリボックス(用紙サイズを指定する情報)により示される領域の大きさ(用紙のサイズ)を示す。また、描画指定範囲領域とは、例えば、PDLデータに含まれる描画バウンダリボックス(描画領域を指定する情報)により示される領域(描画領域)の大きさを示す。
【0021】
印刷設定基準範囲領域再設定部5035は、印刷時の設定に基づいて、範囲領域を設定するためのものである。
印刷データ基準範囲領域再設定部5036は、印刷データに基づいて範囲領域を設定するためのものである。
システムバス5040は、CPU5010と、フレームバッファ5020、インタフェイス(IF)5050、及びメモリ5030との間での情報をやりとりするための装置である。
インタフェイス5050は、複合機4010内でデータの交換を行うためのものである。
操作パネル5061、ネットワークポート(Network Port)5062、及びUSB(Universal Serial Bus)ポート(USB Port)5063は、主に外部との情報交換を行うための装置である。
操作パネル5061は、複合機4010に対する諸設定をユーザが行うためのである。操作パネル5061は、例えば、画像表示装置と操作装置とを備えて構成されている。
ネットワークポート5062は、ネットワークに接続するためのものである。複合機4010は、ネットワークポート5062を介してPDLデータ等を送受信することが可能である。また、ネットワークポート5062を用いることにより、機器の管理状況の情報を外部機器との間で交換したり、操作パネルの代わりに複合機4010の諸設定を行うためのユーザインタフェイスを提供したりすることが可能である。
【0022】
USBポート5063は、複合機4010とその他の周辺機器とを相互に接続したり、パーソナルコンピュータ等のコンピュータに対して複合機4010を周辺機器として接続したりするためのものである。近年では、大容量不揮発性メモリを利用した記憶装置としてのUSBメモリや、携帯電話との接続等にも、USBポート5063が用いられる。
【0023】
給紙装置5064、印字装置5065、及びフィニッシャ5066は、複合機4010が印刷機としての機能を果たすための装置である。
給紙装置5064は、用紙媒体を保持し、必要に応じて印字装置5065に送るためのものである。給紙装置5064は、複合機4010の下部にトレイとして装着されたり、複合機4010の横部にデッキとして装着されたりする。尚、手差しと呼ばれるフリーサイズで給紙するための装置として、複合機4010の上部に給紙装置5064が装着されていてもよい。
【0024】
印字装置5065は、フレームバッファ5020に保持された画像データを、給紙装置5064で給紙された用紙上に、着色剤等を用いて再現するための装置である。印字装置5065の実現方法としては、電子写真方式、インクジェット方式、及び感熱紙等を用いる方式等があるが、印字装置5065の実現方法は、特に限定されるものではない。
【0025】
フィニッシャ5066は、印字装置5065で印刷された用紙に対して、製本や折り等の仕上げ処理を加えるための装置である。フィニッシャ5066は、複合機4010(印刷機)に必須の構成要素ではなく、省略されている場合もある。
ハードディスク5067は、ネットワークポート5062から送られてきたデータを受信した結果や、画像形成部5031で作成された画像データ等、各種の情報を保持することが出来る。
【0026】
<画像形成システムの構成>
次に、以上のような構成を備えた複合機4010を有する画像形成システムについて説明する。
図2は、画像形成システムの構成の一例を示す図である。ここではデータの流れに注目する。
前述したように、複合機4010は、USBポート5063a、5063b、ネットワークポート(ネットワークカード(NIC))5062、及びハードディスク(HD)5067を有している。
【0027】
USBポート5063aは、USBケーブル4060を介して、ホストコンピュータ4020のUSBポート4021と相互に接続される。この場合、複合機4010は、ホストコンピュータ4020から、ハードディスク(HD)4022内の画像データ等のデータを、USBケーブル4060を介して受信すると、そのデータに基づく画像を印刷することが可能である。また、複合機4010は、自身の機器情報を、USBケーブル4060を介してホストコンピュータ4020に通知すること等も可能である。
【0028】
複合機4010のネットワークポート5062は、ネットワーク4050を介して、ホストコンピュータ4030のネットワークポート4031と相互に接続されている。複合機4010は、ホストコンピュータ4030から、ホストコンピュータ4030のハードディスク(HD)4032内の画像データ等のデータを、ネットワーク4050を介して受信すると、そのデータに基づく画像を印刷することが可能である。また、ホストコンピュータ4030は、ホストコンピュータ4030上で動作するウェブブラウザプログラム等を使うことにより、ネットワーク4050を経由して、複合機4010の機器情報を取得することも可能である。
【0029】
複合機4010のUSBポート5063bは、USBメモリ4040と相互に接続されている。複合機4010は、操作パネル5061の操作等に基づいて、USBメモリ4040が備える不揮発性メモリ(Mem)4041に記憶されている画像データ等のデータをコピーし、このデータに基づく画像を印刷することが可能である。
尚、複合機4010は、印刷に用いる画像データ等のデータを、メモリ5030に保持してもよいし、ハードディスク5067に保持してもよい。
【0030】
<基本的な印刷の流れ>
次に、複合機4010における基本的な印刷処理の流れについて説明する。
印刷処理を行うための工程には、例えば、印刷設定工程、データ受信工程、画像形成工程、給紙工程、印字工程、及び排紙工程が含まれている。
印刷設定工程とは、操作パネル5061の操作や、ネットワーク4050からの情報の受信等に基づいてジョブを投入する前に、画像形成等の処理条件を設定する工程である。
データ受信工程とは、他の機器から印刷に用いる情報を受け取る工程である。この情報の形式には様々なものがあるが、本実施形態では、扱うデータが、PDLの一種であるPDF形式を例に挙げて説明する。データを受信する方法には、他の機器からネットワークポート5062やUSBポート5063を介して受信する方法や、USBポート5063に接続された記録媒体から情報を読み取る方法等がある。
【0031】
画像形成工程は、図1に示した画像形成部5031によって実現される。画像形成工程は、データ受信工程で受信した情報を元に画像を形成する工程である。受信した情報が画像データそのものであることもある。また、受信した情報が、印刷するための言語であるPDLで記述されているPDLデータの場合もある。この場合、PDLデータをインタプリタ5032によって解釈するインタプリット処理と、ラスタライザ5033によって画像として描画するラスタライズ処理とによって画像形成工程が実現される。インタプリタ5032は、印刷するための言語によって複数種類搭載されている場合もある。ラスタライザ5033も同様である。
【0032】
インタプリット処理は、PDLデータに含まれる描画命令列を解釈するための処理であって、描画するための設定処理と実際の描画処理とに分かれる。更に、描画処理は、画像データへの描画処理、文字に対する描画処理、及びグラフィックに対する描画処理に分けることができる。ラスタライズ処理は、インタプリット処理で解釈した描画命令を元にフレームバッファ5020に線や画像を描画する工程である。
【0033】
給紙工程は、給紙装置5064にセットされている用紙を印字装置5065に給紙するための工程である。この際に使用される用紙は、PDLデータに含まれる用紙選択や、印刷設定に含まれる用紙選択に基づき、給紙用紙選択部5038によって選択される。
印字工程は、給紙工程で給紙された用紙に印字を行うための工程である。
排紙工程は、印字工程で印字された用紙を複合機の外に排紙する工程である。更にフィニッシャ5066によって仕上げ処理が行われる場合もある。仕上げ処理には、ステイプルやパンチング、シフト等が含まれる。
【0034】
<描画モード>
本実施形態では、PDLデータで指定されている用紙バウンダリボックス(メディアボックス)と描画バウンダリボックス(クロップボックス)に対し、実際に用いるバウンダリボックスの組み合わせとして、以下の3種類の描画モードを想定している。ここでは、これら3種類の描画モードを、OFFICEモード、POD_1モード、POD_2モードと称する。
図3は、各描画モードにおける印刷結果の一例を示す図である。図3(a)は、元のPDLデータ40を示す図である。
PDLデータ40には、描画バウンダリボックス41、及び用紙バウンダリボックス42が指定されている。また、PDLデータ40には、カラーバー43、塗り足し部分を含む描画コンテンツ44、及びトンボ45が含まれている。
尚、ここではPDFデータの概念を元に、用紙バウンダリボックスをメディアボックス、描画バウンダリボックスをクロップボックスとして説明している。しかしながら、仕上げ用紙サイズを意味するトリムボックスやコンテンツサイズを意味するアートボックスもまた、考慮に入れることが可能である。更に3つ以上のバウンダリボックスの中から好適な用紙サイズ決定、描画に用いるクリッピング範囲を選択するように拡張することも可能である。
【0035】
OFFICEモード(用紙節約モード)は、描画バウンダリボックス41を用紙の選択及び描画範囲の指定の基準となるバウンダリボックスとして用いるモードである。図3(b)は、OFFICEモードで印刷された結果を示す。図3(b)に示すように、OFFICEモードでは、描画バウンダリボックス41を用いて用紙の選択および描画範囲の指定を実行するため、余白を節約することが可能となる。
POD_1モード(全面印刷余白ありモード)は、用紙バウンダリボックス42を用紙の選択の基準となるバウンダリボックスとして用いると共に、描画バウンダリボックス41を描画範囲の指定の基準となるバウンダリボックスとして用いるモードである。図3(c)は、POD_1モードで印刷された結果を示す。図3(a)に示すように、用紙バウンダリボックス42と描画バウンダリボックス41とが不一致のPDLデータを印刷する場合、複合機は、用紙バウンダリボックス42を用いて用紙を選択する。一方、複合機は、描画バウンダリボックス41を描画サイズとして選択する。そのため、POD_1モードでは、描画バウンダリボックス41の外にカラーバー43や描画コンテンツ44の塗り足し部分、及びトンボ45等がある場合でも、それらはクリッピングされるため出力(印刷)されない。
【0036】
POD_2モード(全面印刷余白なしモード)は、用紙バウンダリボックス42を用紙の選択及び描画範囲の指定の基準となるバウンダリボックスとして用いるモードである。図3(d)は、POD_2モードで印刷された結果を示す。図3(d)に示すように、POD_2モードが選択された場合、複合機は、用紙バウンダリボックス42を用いて用紙および印刷時の描画領域を選択するため、描画バウンダリボックス41の外のオブジェクトを含め用紙の全面を描画することが可能となる。この、描画領域外のデータを印刷できる点が、POD_1モードと異なる。
【0037】
<描画モードを選択して行う印刷の流れ>
ここで、図4のフローチャートを参照しながら、入力されたPDLデータにおいて、用紙バウンダリボックス42と描画バウンダリボックス41とが不一致である場合の複合機4010における画像形成処理の一例を説明する。尚、基本的な印刷の流れは、前述した通りである。
【0038】
まず、範囲領域再設定部5039は、不一致フラグをOFFに初期化する(ステップS1001)。この不一致フラグは、印刷データの一例であるPDLデータに含まれるページの全てにおいて用紙バウンダリボックス42と描画バウンダリボックス41とが一致しているか否かを表すフラグである。これらが一致している場合には、不一致フラグはOFFとなり、一致していない場合にはONとなる。また、不一致フラグの状態は、例えばメモリ5030に記憶されている。
【0039】
次に、インタプリタ5032は、PDLデータを取得してメモリ5030に保持する(ステップS1002)。具体的に画像形成部5031は、例えば、ネットワークポート5062及びネットワーク4050を経由してホストコンピュータ4030から送られてきたPDLデータをメモリ5030に保持する。
次に、インタプリタ5032は、取得したPDLデータに含まれる用紙バウンダリボックス42の情報と描画バウンダリボックス41の情報とを、論理ページ毎に取得する(ステップS1003)。尚、PDFフォーマットの仕様に基づけば、用紙バウンダリボックス42を省略することはできない。一方、描画バウンダリボックス41は省略することができる。描画バウンダリボックス41が省略されている場合には、用紙バウンダリボックス42のみを取得する。以上のように本実施形態では、ステップS1003の処理を行うことにより取得手段が実現される。また、用紙バウンダリボックス42は、用紙のサイズに関する用紙サイズ情報と記述される場合があり、描画バウンダリボックス41は、描画領域のサイズに関する描画領域サイズ情報と記述される場合がある(図3を参照)。
【0040】
次に、インタプリタ5032は、取得した用紙バウンダリボックス42と描画バウンダリボックス41とが一致するか否かを論理ページ毎に判定する(ステップS1004)。このように本実施形態では、ステップS1004の処理を行うことにより判定手段が実現される。
この判定の結果、取得した用紙バウンダリボックス42と描画バウンダリボックス41とが不一致である場合には、ステップS1005に進む。そして、インタプリタ5032は、不一致フラグをONにする(ステップS1005)。そして、ステップS1006に進む。一方、取得した用紙バウンダリボックス42と描画バウンダリボックス41とが一致した場合には、ステップS1005を省略してステップS1006に進む。
【0041】
ステップS1006に進むと、インタプリタ5032は、取得したPDLデータの全ての論理ページについて、用紙バウンダリボックス42と描画バウンダリボックス41とが一致するか否かの判定を行ったか否かを判定する。この判定の結果、PDLデータの全ての論理ページについて判定を行っていない場合には、ステップS1003に戻り、PDLデータの全ての論理ページについて判定が行われるまで、ステップS1003〜S1006を繰り返し行う。これにより、用紙バウンダリボックス42と描画バウンダリボックス41とが全てのページにおいて一致したか否かの判定結果が不一致フラグに保持される。
【0042】
次に、範囲領域再設定部5039は、不一致フラグの状態に基づき、先に示した描画モード(OFFICEモード、POD_1モード、POD_2モード)の何れかを選択する(ステップS1007〜S1009)。
すなわち、範囲領域再設定部5039は、不一致フラグの状態がONであるか否かを判定する(ステップS1007)。この判定の結果、不一致フラグの状態がOFFである場合(S1007−No)には、用紙バウンダリボックス42と描画バウンダリボックス41とは全ページに亘って同一である。このため、どの描画モードを選択して描画を行っても、印刷結果は結果となる。そこで、ここでは、範囲領域再設定部5039は、描画モードとしてPOD_1モードを設定するとする(ステップS1008)。そして、後述するステップS1010に進む。
【0043】
一方、不一致フラグの状態がONである場合(S1007−Yes)には、印刷設定基準範囲領域再設定部5035、印刷データ基準範囲領域再設定部5036による処理を実施する。すなわち、PDLデータ、又は画像形成条件や印刷条件等の印刷設定情報に基づいて、より好適な描画モードを選択する描画モード選択処理が実施される(ステップS1009)。本実施形態では、このステップS1009の処理を行うことにより決定手段が実現される。この描画モード選択処理の詳細については後述する。
【0044】
以上のステップS1008、S1009において、範囲領域再設定部5039によって決定された描画モードに基づき、PDLデータの含まれる各ページに対して画像形成処理が行われる。
まず、インタプリタ5032は、PDLデータの全てのページについて、用紙バウンダリボックス42と描画バウンダリボックス41とを再び取得する(ステップS1010)。次に、インタプリタ5032は、ステップS1008、S1009で決定された描画モードを判別する(ステップS1011)。
【0045】
この判別の結果、描画モードがOFFICEモードである場合には、各ページの描画バウンダリボックス41が、用紙の選択及び描画範囲の指定の基準となるバウンダリボックスとなる。そのため、インタプリタ5032は、全論理ページに対して、用紙バウンダリボックス42を描画バウンダリボックス41に置き換える(ステップS1012)。そして、後述するステップS1014に進む。当然ながら、ステップS1012の処理は、描画バウンダリボックスと用紙バウンダリボックスとが異なるページについて実行されれば良い。
また、描画モードがPOD_1モードである場合には、用紙の選択及び描画範囲の指定の基準となるバウンダリボックスが指定されない。そのため、インタプリタ5032は、PDLデータで指定されたバウンダリボックスに従って処理を継続することになる。つまり、インタプリタ5032は、用紙バウンダリボックスを用いて用紙を選択し、描画バウンダリボックスを用いて描画範囲を指定する。よって、ステップS1011から後述するステップS1014に直接進む。
また、描画モードがPOD_2モードである場合には、各ページの用紙バウンダリボックス42が、用紙の選択及び描画範囲の指定の基準となるバウンダリボックスとなる。そのため、インタプリタ5032は、各論理ページに対して、描画バウンダリボックス41を用紙バウンダリボックス42に置き換える(ステップS1013)。そして、後述するステップS1014に進む。当然ながら、ステップS1013の処理は、描画バウンダリボックスと用紙バウンダリボックスとが異なるページについて実行されれば良い。
【0046】
これらのバウンダリボックスの置き換え処理によって、インタプリタ5032がインタプリットしている際に、描画モードに応じた用紙バウンダリボックス及び描画バウンダリボックスが、論理ページ毎に指定される。この指定に基づいて、インタプリタ5032はインタプリタ処理を、ラスタライザ5033はラスタライズ処理を行う(ステップS1014)。このステップS1014の処理により、論理ページ毎に画像データが生成され、生成された画像データはフレームバッファ5020に保持される。このように本実施形態では、ステップS1014の処理を行うことにより生成手段が実現される。
【0047】
次に、インタプリタ5032は、取得したPDLデータの全ての論理ページについて、描画モードに応じたインタプリタ処理及びラスタライズ処理を行ったか否かを判定する(ステップS1015)。この判定の結果、PDLデータの全ての論理ページについて処理を行っていない場合には、ステップS1010に戻り、PDLデータの全ての論理ページについて処理が行われるまで、ステップS1010〜S1015を繰り返し行う。そして、PDLデータの全ての論理ページについて処理が行われると、図4のフローチャートによる処理を終了する。
【0048】
以上の図4の処理結果を用いて、画像形成部5031は、各ページに対する画像形成処理を行う。また、この画像形成処理と平行し、給紙用紙選択部5038は、形成された画像データに関連付けられた用紙を選択する。また、給紙装置5064は、給紙用紙選択部5038によって選択された用紙を給紙し、印字装置5065は、フレームバッファ5020に保持されている画像データに基づく画像を、給紙された用紙上に形成(印刷)する。更に、フィニッシャ5066は、必要に応じて、画像が印刷された用紙に対して仕上げ処理を行う。
【0049】
<描画モード選択処理>
ここで、図4のステップS1009における描画モード選択処理の詳細を説明する。描画モード選択処理は、望ましくは、大きく分けて2つのパートから構成される。1つは、印刷設定基準範囲領域再設定部5035によって、データ印刷者が設定した印刷設定情報の内容に基づいて好適な描画モードを決定する方法である。もう1つは、印刷データ基準範囲領域再設定部5036によって、PDLデータに基づきデータ作成者が意図した出力結果を推定し、推定した結果から好適な描画モードを決定する方法である。
【0050】
[印刷設定に基づく描画モードの決定方法]
印刷設定の内容に基づいて描画モードを決定する場合の好適な一例としては、例えば複合機4010側の面付け機能を使ってN―up印刷を行う場合である。図3(a)に示したトンボ45やカラーバー43等の情報は、物理用紙に対する仕上げ処理に用いる付加情報である。複合機4010側で、このような付加情報が付加されている複数の論理ページを1物理ページに面付けしてしまうと、その付加情報の意味がなくなってしまう。
用紙サイズに合わせて画像データを縮尺するFit To Page印刷と呼ばれる印刷方法についても同様である。つまり、N−up指定、Fit To Pageが選択された場合、描画コンテンツ44の部分の内容のみが必要であり、余白部分の出力が不要であるケースが多い。
【0051】
前述した印刷設定工程において、印刷設定基準範囲領域再設定部5035は、データ印刷者が行い得る印刷設定と、その印刷設定に好適な描画モードとを予め関連付けておく。このようにすることで、データ印刷者(ユーザ)にとって予想が可能な(所望している通りの)出力結果を得ることが出来る。
【0052】
このようにする場合の望ましい一例として、まず、CPU5010が操作パネル5061の画像表示装置に、図5に示すようなグラフィックユーザインタフェイス50を表示する。データ印刷者は、操作パネル(操作画面ともいう)5061を操作して、印刷設定に対する描画モードの設定を行う。例えば図5において、領域51には、N−up印刷が指定されている場合にはOFFICEモードで描画することが設定されたことを意味する内容が表示されている。領域52には、Fit To Page印刷が指定されている場合にはPOD_1モードで描画することが設定されたことを意味する内容が表示されている。また、デバイス製本が指定された場合に用いる描画モードが未定であることが図示されている。領域51〜53に表示される内容は、プルダウンメニュー55に表示されているものの中から、データ印刷者によって選択される。
以上のようにして各印刷設定(N−up印刷、Fit To Page印刷、デバイス製本印刷)の夫々に対して描画モードが設定された後に、ボタン54が操作されると、その設定が有効になる。そして、印刷設定基準範囲領域再設定部5035は、その設定の内容を例えばメモリ5030に登録する。それ以降の画像形成処理において、複合機は、データ印刷者によって操作パネルを介して指定された印刷設定の内容に基づいて、描画モードを選択する。尚、プリンタドライバを用いないダイレクト印刷の一例として、リムーバブルメディアを複合機に装着することで当該メディア内のPDLデータを印刷する技術が挙げられる。この場合、データ印刷者は、リムーバブルメディア内のPDLデータを印刷することと共に、当該PDLデータの印刷設定情報を複合機の操作パネルを用いて設定することができる。複合機は、この時点で設定された印刷設定情報と、図5を介して登録された情報とを用いて描画モードを選択できる。
以上のように本実施形態では、印刷設定基準範囲領域再設定部5035が、画像に関わる設定の一例であるN−up印刷、Fit To Page印刷、デバイス製本印刷と、描画モードとを関連付けて予め登録することにより、登録手段が実現される。
【0053】
尚、データ印刷者が、デフォルトで、使用される描画モードを印刷設定に紐付けておくことも可能である。このようにする場合、例えば、CPU5010が操作パネル5061の画像表示装置に、図6に示すような、給紙に関する設定を行うグラフィックインタフェイス60を表示する。データ印刷者は、操作パネル5061の操作装置を操作して、プルダウンメニュー64に表示されているものの中から、所望の描画モードに対応するものを選択する。その結果、給紙に関する設定の際に、描画モードを選択することができる。この際、用紙選択62が自動である場合にのみ、このような描画モードの選択を有効にするのが望ましい。
【0054】
[PDLデータに基づく描画モード決定方法]
次に、印刷データ基準範囲領域再設定部5036が、PDLデータ(印刷データ)に基づきデータ作成者が意図した出力結果を推定し、推定した結果から描画モードを決定する方法の一例を説明する。端的に言えば、印刷データ基準範囲領域再設定部5036は、用紙バウンダリボックス42と描画バウンダリボックス41との不一致が、データ作成者の意図したものか否かを推定することで、描画モードを決定する。
【0055】
一般的には、印刷に用いられる用紙は利便性等を考慮して定型サイズが用いられることが多い。日本ではA4やA3等のA版と、B5やB4等のB版と、葉書や封筒等が広く使われている。更に1つの印刷物中に複数種類の定型用紙が混在することは珍しい。印刷データ基準範囲領域再設定部5036は、これらの特徴を元に処理を行う。
【0056】
ここで、図7のフローチャートを参照しながら、PDLデータに基づいて描画モードを決定する方法の一例を説明する。尚、本実施形態では、図5に示したグラフィックユーザインタフェイス50を用いて登録された印刷設定が、データ印刷者によって印刷時に指定されなかった場合に、以下のようにしてPDLデータに基づいて描画モードを決定する。
図7において、まず、印刷データ基準範囲領域再設定部5036は、用紙バウンダリカウンタと描画バウンダリカウンタとの値を、共に0で初期化を行う(ステップS2001、S2002)。図8は、用紙バウンダリカウンタ及び描画バウンダリカウンタの設定値を記憶するテーブル80の一例を示す図である。図8に示すように、用紙バウンダリカウンタ及び描画バウンダリカウンタの値は、同じ種類の定型用紙毎に設定される。
尚、図8では、複数種類の定型用紙毎に、用紙バウンダリカウンタ及び描画バウンダリカウンタの値を設定するようにしているが、必ずしもこのようにする必要はない。すなわち、1種類の定型用紙に対して、用紙バウンダリカウンタ及び描画バウンダリカウンタの値を設定するようにしてもよい。また、テーブル80は、例えばメモリ5030に格納される。
【0057】
次に、インタプリタ5032は、用紙バウンダリボックスと描画バウンダリボックスの情報を、ページ毎に取得する(ステップS2003)。
次に、印刷データ基準範囲領域再設定部5036は、ステップS2003で取得された用紙バウンダリボックスで指定されている用紙サイズが、テーブル80に登録された何れかの定型用紙サイズと一致するか否かを判定する(ステップS2004)。このように本実施形態では、ステップS2004の処理を行うことによって、第1の比較手段が実現される。
【0058】
この判定の結果、それらが一致する場合には、印刷データ基準範囲領域再設定部5036は、テーブル80における用紙バウンダリカウンタ内の該当する欄の値に1を加算する(ステップS2005)。そして、ステップS2006に進む。一方、それらが一致していない場合には、ステップS2005を省略してステップS2006に進む。このように本実施形態では、ステップS2005の処理を行うことによって用紙バウンダリボックスに定型サイズが設定されたページ数をカウントする、第1の計数手段が実現される。
【0059】
ステップS2006に進むと、印刷データ基準範囲領域再設定部5036は、ステップS2003で取得された描画バウンダリボックスで指定されている描画領域のサイズが、が、テーブル80に登録された何れかの定型用紙サイズと一致するか否かを判定する。このように本実施形態では、ステップS2006の処理を行うことによって描画バウンダリボックスに定型サイズが設定されたページ数をカウントする、第2の比較手段が実現される。
この判定の結果、それらが一致する場合には、印刷データ基準範囲領域再設定部5036は、テーブル80における描画バウンダリカウンタ内の該当する欄の値に1を加算する(ステップS2007)。そして、ステップS2008に進む。一方、それらが一致していない場合には、ステップS2007を省略してステップS2008に進む。このように本実施形態では、ステップS2007の処理を行うことによって、第2の計数手段が実現される。
【0060】
ステップS2008に進むと、印刷データ基準範囲領域再設定部5036は、取得したPLFデータの全てのページについて、バウンダリボックスで指示されているサイズと定型用紙サイズとが一致するか否かの判定を行ったか否かを判定する。この判定の結果、PLLデータの全てのページについて判定を行っていない場合には、ステップS2003に戻り、PDLデータの全てのページについて判定が行われるまで、ステップS2003〜S2008を繰り返し行う。
【0061】
尚、この際、選択されるべきではない用紙種別に対しては、バウンダリカウンタの値を増加させないようにしてもよい。例えば、8Kや16Kという定型用紙は中国で使用されているが、日本ではあまり使用されていない。そこで、日本で使用する複合機4010に関しては、これら日本ではあまり使用されていない定型用紙のサイズとバウンダリボックスで指定されているサイズとが偶発的に一致することを避けるために、選択されるべき用紙種別の制限を行っても良い。すなわち、これら日本ではあまり使用されていない定型用紙を、選択されるべきではない用紙種別とし、その用紙種別のサイズと、バウンダリボックスで指定されているサイズとが一致しても、バウンダリカウンタの値を増加させないようにしてもよい。
【0062】
次に、印刷データ基準範囲領域再設定部5036は、用紙バウンダリカウンタと描画バウンダリカウンタとの夫々の最大値をテーブル80から取得する(ステップS2009、S2010)。
次に、印刷データ基準範囲領域再設定部5036は、これら用紙バウンダリカウンタの最大値と描画バウンダリカウンタの最大値とが一致しているか否かを判定する(ステップS2011)。この判定の結果、それらが一致している場合には、描画モードを推定するのが困難である。そこで、CPU5010は、操作パネル5061の画像表示装置に、図9に示すようなグラフィックユーザインタフェイス70を表示し、データ印刷者に描画モードを選択させる(ステップS2012)。
【0063】
図9に示すグラフィックユーザインタフェイス70の領域71には、描画モードに対応する内容が表示される。領域71に表示される内容は、プルダウンメニュー72に表示されているものの中から、データ印刷者によって選択される。
図9に示すグラフィックユーザインタフェイス70においては、用紙・描画サイズの設定を行うだけではなく、試し印刷を指示することもできる。試し印刷ボタン73が押された場合には、プルダウンメニュー72に表示されているものの中から選択された描画モードに応じた印刷結果を模した画像を表示したり、夫々の描画モードに応じた印刷結果を模した画像を並べて表示したりすることができる。
【0064】
尚、図9を用いた選択処理をサポートするために、本願の複合機は図10に示す画面を表示する。図10は、夫々の描画モードに応じた印刷結果を並べて表示した画面1001の一例を示す図である。図10では、右上、左下、右下に、夫々、OFFICEモード、POD_1モード、POD_2モードに応じた印刷結果を模した画像1001a〜1001cを表示している。更に、図10では、左上に、用紙バウンダリボックスと描画バウンダリボックスとを含む元のPDLデータに基づく画像1001dを表示するようにしている。ユーザは、図10の表示結果をもとに図9にて選択すれば良い。
【0065】
図7の説明に戻り、ステップS2011において、用紙バウンダリカウンタの最大値と描画バウンダリカウンタの最大値とが一致していない場合には、ステップS2013に進む。そして、印刷データ基準範囲領域再設定部5036は、用紙バウンダリカウンタの最大値と描画バウンダリカウンタの最大値とのうち、大きい方を用紙選択及び描画範囲指定の基準となるバウンダリボックスとして用いる。すなわち、用紙バウンダリカウンタの最大値より、描画バウンダリカウンタの最大値が大きい場合、印刷データ基準範囲領域再設定部5036は、描画バウンダリボックスを基準として用紙選択と描画範囲とを指定するOFFICEモードを選択する(S2014)。一方、描画バウンダリカウンタの最大値より、用紙バウンダリカウンタの最大値が大きい場合、印刷データ基準範囲領域再設定部5036は、用紙バウンダリボックスを基準として用紙選択および描画範囲を指定するPOD_2モードを選択する(S2015)。
【0066】
[PDLデータに基づく描画モード決定方法の具体例]
次に、図7に示したようにして行われるPDLデータに基づく描画モード決定方法の具体例を説明する。
図11は、PDLデータに基づいて描画モードを決定する方法の第1の例を示す図である。具体的に図11(a)は、PDLデータの内容の一例を示す図である。図11(b)は、定型用紙サイズの一例を示す図である。図11(c)は、図8に示したテーブル80の初期値を示す図である。図11(d)は、図8に示したテーブル80の最終設定値を示す図である。
【0067】
第1の例では、図11(a)に示すような用紙バウンダリボックス及び描画バウンダリボックスを有するページで構成されるPDLデータに基づいて、描画モードを決定する。図11(a)に示すように、このPDLデータは、物理用紙データとしてA4が第1〜第4ページに対して指定され、A3が第5ページに対して指定されているデータである。また、定型用紙サイズは、図11(b)に示す通りである。
【0068】
最初に、用紙バウンダリカウンタ及び描画バウンダリカウンタの値は、図11(c)に示すように、共に0で初期化される(ステップS2001、S2002)。
次に、用紙バウンダリボックスで指示されるサイズと同じサイズの用紙種別に対応するバウンダリカウンタの値に1を加算する処理を各ページに対して行う(ステップS2004〜S2008)。その結果、テーブル80の値は、図11(d)に示すようになる。
【0069】
そして、用紙バウンダリカウンタ及び描画バウンダリカウンタの最大値を求める(ステップS2009、S2010)。図11に示す例では、用紙バウンダリカウンタの最大値の方が、描画バウンダリカウンタの最大値よりも大きいため、用紙バウンダリボックスに基づいて出力するOFFICEモードが描画モードとして選択される(ステップS2014)。
【0070】
図12は、PDLデータに基づいて描画モードを決定する方法の第2の例を示す図である。具体的に図12(a)は、PDLデータの内容の一例を示す図である。図12(b)は、図8に示したテーブル80の最終設定値を示す図である。尚、定型用紙サイズと、テーブル80の初期値は、夫々図11(b)、図11(c)に示したものと同じものであるとする。
【0071】
第2の例では、図12(a)に示すような用紙バウンダリボックス及び描画バウンダリボックスを有するページで構成されるPDLデータに基づいて、描画モードを決定する。図12(a)では、面付けが既にされたデータを元に、ユーザが描画バウンダリボックスを再設定することにより、閲覧配布用のデータが作成された場合を想定している。この図12(a)に示すPDLデータに対して、図7のステップS2001〜S2008の処理を行うことによりテーブル80に設定される各バウンダリボックスの値を示したものが、図12(b)である。
図12(b)に示す例では、描画バウンダリカウンタの最大値の方が、用紙バウンダリカウンタの最大値よりも大きいため、描画バウンダリボックスに基づいて出力をするPOD_2モードが描画モードとして選択される(ステップS2015)。
つまり、図7の処理を用いることで、データ作成者の意図を考慮した印刷が可能となる。例えば、データ作成者が、描画バウンダリボックスよりも多くの用紙バウンダリボックスに定型サイズを選択している場合、複合機は、用紙として定型サイズを用いた印刷を行いたいというデータ作成者の意図を考慮してPOD_2を選択する。このように、本願の複合機は、データ作成者が、意図して定型サイズを選択している点を用いて描画モードを選択する。
【0072】
以上のように本実施形態では、印刷設定と、描画モードとを予め関連付けておき、その印刷設定で印刷することが指定された場合には、その印刷設定に関連付けられている描画モードで印刷を行うようにした。また、PDLデータにおいて指定されている用紙のサイズ及び描画領域のサイズと、予め設定されている定型用紙サイズとの比較結果に基づいて決定した描画モードで印刷を行うようにした。したがって、PDLデータにおいて指定されている用紙のサイズと描画領域のサイズとが不一致である場合でも、データ印刷者やデータ作成者が、どのような意図を持って用紙の選択と描画範囲の選択とを行っているのかを推定することができる。よって、PDLデータに定義されている描画領域のサイズと用紙サイズとが不一致の場合でも、印刷設定及びPDLデータに基づいて、出来るだけ好適な用紙及び描画範囲の選択が可能となる。
【0073】
尚、本実施形態では、PDLデータに基づいて描画モードを決定する際に、バウンダリボックスで指定されている用紙のサイズ(描画領域のサイズ)が、テーブル80に登録された定型用紙サイズと一致するか否かを判定した(ステップS2004、S2006)。しかしながら、必ずしもこれらが完全に一致するか否かを判定する必要はない。すなわち、バウンダリボックスで指定されている用紙のサイズ(描画領域のサイズ)と、テーブル80に登録された定型用紙サイズ(基準用紙サイズともいう)との差が、同一であると見なせる値以下(閾値以下)であるか否かを判定するようにしてもよい。
【0074】
また、本実施形態では、テーブル80に登録された定型用紙サイズと一致する"用紙バウンダリカウンタの最大値及び描画バウンダリカウンタの最大値"を取得し、それらの大小関係に応じて描画モードを決定するようにした(ステップS2009〜S2015)。しかしながら、テーブル80に登録された定型用紙サイズと一致する"用紙バウンダリカウンタの数及び描画バウンダリカウンタの数"に基づいて描画モードを決定するようにしていれば、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、PDLデータの全ページに対する、定型用紙サイズと一致する用紙・描画バウンダリカウンタの数の割合を求め、求めた割合の大小関係に応じて描画モードを決定するようにしてもよい。
【0075】
更に、本実施形態では、印刷設定に基づいて描画モードを決定する際に、描画モードと関連付ける印刷設定は、図5に示したものに限定されない。すなわち、図5では、画像データの形成に関わる印刷設定の一例として、N−up印刷、Fit To Page印刷が登録され、仕上げ処理に関わる印刷設定の一例として、デバイス製本が登録されているようにした。しかしながら、登録される印刷設定はこれらに限定されるものではない。
【0076】
また、本実施形態では、印刷設定に基づいて描画モードを決定することができない場合に、PDLデータに基づいて描画モードを決定する場合を例に挙げて説明したが、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、これらのうち何れか一方のみを行うようにしてもよい。また、例えば、印刷設定に基づいて描画モードを決定することと、PDLデータに基づいて描画モードを決定することとの双方を行うようにしてもよい。このようにした場合であって、決定された各描画モードが互いに異なる場合には、予め定められた方法で決定された描画モードを優先させたり、ユーザにより選択された方法で決定された描画モードを優先させたりすることができる。
【0077】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。前述した第1の実施形態では、PDLデータを印刷に使用する場合を例に挙げて説明した。近年、PDLデータは、印刷以外にも、記憶媒体への保存や、FAX等でのデータ通信等、幅広い分野で使用されている。そこで、本実施形態では、PDLデータを印刷以外の用途で使用する場合について述べる。このように本実施形態と前述した第1の実施形態とは、PDLデータの用途が主として異なる。よって、本実施形態の説明において、前述した第1の実施形態と同一の部分については、図1〜図12に付した符号と同一の符号を付すこと等により、詳細な説明を省略する。尚、本実施形態でも、第1の実施形態と同様に、扱うデータが、PDF形式である場合を例に挙げて説明する。
【0078】
<PDLデータを記憶媒体に保存する際の基本的な流れ>
まず、PDLデータを画像データに変換した後、記憶媒体に保存する流れの一例について説明する。
記憶媒体への保存処理は、保存設定工程、データ受信工程、画像形成工程、データ圧縮工程、記録工程で構成される。データ受信工程、画像形成工程は、前述した第1の実施形態と同じであるので説明を省略する。また、保存設定工程は、第1の実施形態における印刷設定工程で、印刷に関する設定項目が省かれ、その設定項目の代わりに画像を保存する際に用いる設定項目が使用される。
【0079】
データ圧縮工程は、フレームバッファ5020に格納された画像データが画像変換部5037によって圧縮されることで、保存に要するファイル容量を削減する工程である。モノクロ画像であれば、MH/MR方式等が、圧縮形式として用いられる。また、カラー画像であればDCT方式に基づくJPEG形式が圧縮形式として用いられる。
記録工程は、画像変換部5037により圧縮された画像データを、指定された記憶媒体に保存する工程である。複合機4010のハードディスク5067に画像データを保持することにより、繰り返し印刷を行う場合の画像形成処理を省くことが出来る。このように本実施形態では、CPU5010からの指示に基づいて、記憶媒体の一例であるハードディスク5067に画像データを保持させることにより第1の記憶手段が実現される。
【0080】
<記憶された画像データの適用方法>
以上のようにしてハードディスク5067等に保存された画像データは、他の機器等で転用される可能性がある。また、保存された画像データに対して更なる変換処理が行われる可能性もある。保存された画像データがそのまま印刷される場合もあれば、デバイス側で面付けをして印刷される場合もある。よって、以上のようにして保存された画像データについては、用紙バウンダリボックスを基準となるバウンダリボックスとして用いるPOD_2モードで画像を形成し、且つ描画バウンダリボックスの情報を別に持つようにすることが望ましい。
【0081】
すなわち、CPU5010は、前述したようにして保持させた画像データの元となったPDLデータ内の描画バウンダリボックスの情報を、その画像データと対応付けてハードディスク5067等に保持させる。このように本実施形態では、CPU5010からの指示に基づいて、記憶媒体の一例であるハードディスク5067に描画バウンダリボックスの情報を保持させることにより第2の記憶手段が実現される。
【0082】
そして、前述したようにして保持させた画像データを印刷する場合、範囲領域再設定部5039は、POD_2モードを指定する。これにより、描画モードに応じた用紙バウンダリボックス及び描画バウンダリボックスが、論理ページ毎に指定される。このように本実施形態では、範囲領域再設定部5039が、POD_2モードを指定することにより、第2の決定手段が実現される。
【0083】
そして、このようにして範囲領域再設定部5039により指定されたPOD_2モードに従って、インタプリタ5032はインタプリタ処理を、ラスタライザ5033はラスタライズ処理を行う。これにより画像データが形成される。このように本実施形態では、POD_2モードに従って、インタプリタ5032がインタプリタ処理を、ラスタライザ5033がラスタライズ処理を行うことにより、第2の生成手段が実現される。
以上のようにすることで、特許文献1に記載の技術のように、手動での設定を省くことができ、且つ同じ画像データを他に転用することも容易となる。
尚、画像データをコピー又は移動する場合には、その画像データをPOD_2モードに従って印刷することを示す情報と、その画像データに対応付けられて保持されている描画バウンダリボックスの情報も合わせてコピー又は移動するのが好ましい。このようにすれば、コピー先又は移動先においても、描画バウンダリボックスを用紙の選択及び描画範囲の指定の基準となるバウンダリボックスとして用いることができるからである。
【0084】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。第1の実施形態では、図7のS2011にてYesと判定された場合、図9を表示して描画モードをユーザに選択させていたが、本実施形態では、用紙バウンダリボックスと描画バウンダリボックスとが不一致なページが検出された際に図9の画面を表示する。
尚、第3の実施形態では、第1、第2の実施形態と異なる点について限定して説明し、その他の点については第1、第2の実施形態の処理を流用し、詳細な説明を省略する。
【0085】
前述した第1の実施形態では、図4のステップS1007にてYesと判定された場合、ステップS1009の処理を行っていたが、本実施形態では、図7のステップS2012の処理を実行する点が異なる。
つまり、用紙バウンダリボックスと描画バウンダリボックスとが不一致である場合、図9の画面を表示する。
その結果、データ印刷者が、所望とする描画モードを選択することで、データ印刷者の意図を反映した印刷を実現することが可能となる。尚、本実施形態では、図9の画面を表示すると説明したが、ステップS1007にてYesと判定された場合、複合機が、図10の画面を表示して、図10の画面を用いて描画モードを選択可能にしても良い。
【0086】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。前述した第1の実施形態では、データ印刷者が、印刷設定情報と描画モードとを関連付けた情報を登録することで、設定された印刷設定情報に対応する描画モードを選択していた。これに対し、本実施形態では、データ印刷者に負荷を与えることなく印刷設定情報から描画モードを決定する方法について説明する。
尚、第4の実施形態では、第1〜第3の実施形態と異なる点について限定して説明し、その他の点については第1〜第3の実施形態の処理を流用し、詳細な説明を省略する。
【0087】
図13は、本実施形態の処理を説明する図である。尚、図13の処理は、図4のステップS1001〜S1007の処理が実行され、ステップS1007にてYesと判定された場合に実行される。
CPU5010は、操作パネルを介して選択された印刷設定情報に、印刷物に対して断裁処理を適用する断裁設定およびカラー印刷の少なくとも1つが含まれるか否かを判定する(ステップS1301)。
ステップS1301にて含むと判定された場合(S1301−Yes)、印刷データ基準範囲領域再設定部5036は、描画モードとしてPOD_2を選択する(ステップS1302)。断裁設定またはカラー印刷を実行する場合、描画領域外に印刷されるカラーバー、トンボ等が印刷される必要があるため、印刷データ基準範囲領域再設定部5036は、ステップS1302で、カラーバー、トンボが印刷されるようにPOD_2を選択する。
【0088】
一方、ステップS1301にて含まないと判定された場合(S1301−No)、カラーバー、トンボ等が印刷される必要がないため、印刷データ基準範囲領域再設定部5036は、ステップS1303で、POD_1を選択する。
【0089】
また、ステップS1301における別の判定処理として、例えば次の処理が挙げられる。すなわち、操作パネルを介して選択された印刷設定情報に、断裁設定およびカラー印刷の少なくとも1つを含むかを判定すると共に、印刷対象のPDLデータの描画領域の外側に描画すべきデータがあるか否かを判定する処理が挙げられる。
ここで、断裁設定およびカラー印刷の少なくとも1つを含むと判定され、かつ、描画領域の外側に描画すべきデータがあると判定された場合、印刷データ基準範囲領域再設定部5036は、POD_2を選択する。
【0090】
本実施形態により、用紙バウンダリボックスと描画バウンダリボックスとが異なる場合であっても、データ印刷者の負荷を増大することなく、設定された印刷設定を考慮して適切な描画モードを選択することが可能となる。
【0091】
(本発明の他の実施形態)
前述した本発明の実施形態における画像処理装置を構成する各手段、並びに画像処理方法の各ステップは、コンピュータのRAMやROMなどに記憶されたプログラムが動作することによって実現できる。このプログラム及び前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は本発明に含まれる。
【0092】
また、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラム若しくは記憶媒体等としての実施形態も可能であり、具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用してもよいし、また、一つの機器からなる装置に適用してもよい。
【0093】
尚、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラム(実施形態では図4、図7に示すフローチャートに対応したプログラム)を、システムあるいは装置に直接、あるいは遠隔から供給する。そして、そのシステムあるいは装置のコンピュータが前記供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される場合を含む。
【0094】
したがって、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、前記コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
【0095】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等の形態であってもよい。
【0096】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RWなどがある。また、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などもある。
【0097】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続する。そして、前記ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、若しくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。
【0098】
また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
【0099】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせる。そして、ダウンロードした鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
【0100】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される。その他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
【0101】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。
【0102】
尚、前述した各実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の第1の実施形態を示し、複合機のシステム構成の一例を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態を示し、画像形成システムの構成の一例を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態を示し、各描画モードにおける印刷結果の一例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態を示し、用紙バウンダリボックスと描画バウンダリボックスとが不一致である場合の複合機における画像形成処理の一例を説明するフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施形態を示し、印刷設定に応じて描画モードを選択するためのグラフィックユーザインタフェイスの一例を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態を示し、給紙に関する設定を行うグラフィックインタフェイスの一例を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施形態を示し、PDLデータに基づいて描画モードを決定する方法の一例を説明するフローチャートである。
【図8】本発明の第1の実施形態を示し、用紙バウンダリカウンタ及び描画バウンダリカウンタの設定値を記憶するテーブルの一例を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施形態を示し、PDLデータに基づき描画モードを推定できない場合に、データ印刷者に描画モードを選択させるためのグラフィックユーザインタフェイスの一例を示す図である。
【図10】本発明の第1の実施形態を示し、描画モードに応じた印刷結果を並べて表示した画面の一例を示す図である。
【図11】本発明の第1の実施形態を示し、PDLデータに基づいて描画モードを決定する方法の第1の例を示す図である。
【図12】本発明の第1の実施形態を示し、PDLデータに基づいて描画モードを決定する方法の第2の例を示す図である。
【図13】本発明の第4の実施形態を示し、描画モードを決定する方法の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0104】
4010 複合機
5010 CPU
5020 フレームバッファ
5030 メモリ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷データから、印刷に使用すべく設定された用紙のサイズに関する用紙サイズ情報と描画領域のサイズに関する描画領域サイズ情報とを取得する取得手段と、
前記用紙サイズ情報に基づく用紙のサイズと、前記描画領域サイズ情報に基づく描画領域のサイズとが一致するか否かを判定する判定手段と、
前記用紙サイズ情報に基づく用紙のサイズと、前記描画領域サイズ情報に基づく描画領域のサイズとが一致していない場合に、前記印刷データを印刷すべく設定された印刷設定情報に基づいて、前記印刷データに基づく画像を形成する用紙と、その画像の描画領域とを決定する決定手段と、
前記決定手段により決定された用紙及び描画領域に従って、前記印刷データを用いて、用紙に画像を形成するための画像データを生成する生成手段とを有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記決定手段は、前記印刷設定情報に基づいて、前記画像を形成する用紙と当該画像の描画領域とを決定できない場合、印刷データの各ページに設定された描画領域サイズ情報および用紙サイズ情報を用いて、前記印刷データに基づく画像を形成する用紙と、当該画像の描画領域とを決定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記印刷設定情報と、画像を形成する用紙及びその画像の描画領域とを対応付けて登録する登録手段を更に有し、
前記決定手段は、前記登録手段によって前記印刷データを印刷すべく設定された印刷設定情報と対応づけて登録された画像を形成する用紙および当該画像の描画領域を、前記印刷データに基づく画像を形成する用紙と、当該画像の描画領域として決定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記決定手段は、前記用紙サイズ情報に基づく用紙のサイズと、基準の用紙サイズとを、ページ毎に比較する第1の比較手段と、
前記印刷データにおいて、前記基準の用紙サイズとの差が閾値以下である前記用紙サイズが設定されたページ数を計数する第1の計数手段と、
前記描画領域サイズ情報に基づく描画領域のサイズと、前記基準の用紙サイズとを、ページ毎に比較する第2の比較手段と、
前記印刷データにおいて、前記基準の用紙サイズとの差が前記閾値以下である前記描画領域サイズが設定されたページ数を計数する第2の計数手段とを更に有し、
前記決定手段は、前記第1の計数手段及び前記第2の計数手段により計数されたページ数に基づいて、前記印刷データに基づく画像を形成する用紙と、その画像の描画領域とを決定することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記生成手段により生成された画像データを記憶媒体に記憶する第1の記憶手段と、
前記第1の記憶手段により記憶された画像データに対応する前記描画領域サイズ情報を記憶する第2の記憶手段と、を有することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記第1の記憶手段により記憶された画像データに基づく画像を形成する用紙と、その画像の描画領域とを、その画像データに対応する前記描画領域サイズ情報に基づいて決定する第2の決定手段と、
前記第2の決定手段により決定された用紙及び描画領域に基づいて、前記第1の記憶手段により記憶された画像データに基づく画像を生成する第2の生成手段と、を有することを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記決定手段は、設定された印刷設定情報に印刷物に対する断裁処理およびカラー印刷の少なくとも1つが含まれていた場合、前記印刷データに設定された用紙サイズ情報を用いて、前記印刷データに基づく画像を形成する用紙と、その画像の描画領域とを決定することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記決定手段は、前記用紙サイズ情報に基づく用紙のサイズに合わせて、前記印刷データに基づく画像を形成する用紙と、その画像の描画領域とを決定することと、
前記描画領域サイズ情報に基づく描画領域のサイズに合わせて、前記印刷データに基づく画像を形成する用紙と、その画像の描画領域とを決定することと、
前記用紙サイズ情報に基づく用紙のサイズに合わせて、前記印刷データに基づく画像を形成する用紙すると共に、前記描画領域サイズ情報に基づく描画領域のサイズに合わせて、前記印刷データに基づく画像の描画領域を決定することと、
の少なくとも何れか2つの中から1つを選択することを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
印刷データから、印刷に使用すべく設定された用紙のサイズに関する用紙サイズ情報と描画領域のサイズに関する描画領域サイズ情報とを取得する取得手段と、
前記用紙サイズ情報に基づく用紙のサイズと、前記描画領域サイズ情報に基づく描画領域のサイズとが一致するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記用紙サイズ情報に基づく用紙のサイズと、前記描画領域サイズ情報に基づく描画領域のサイズとが一致していないと判定された場合、操作画面を介して入力された指示に従って、前記用紙サイズ情報に基づく用紙を印刷に使用するか、前記描画領域のサイズに基づく用紙を印刷に使用するかを決定する決定手段とを有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項10】
印刷データから、印刷に使用すべく設定された用紙のサイズに関する用紙サイズ情報と描画領域のサイズに関する描画領域サイズ情報とを取得する取得ステップと、
前記用紙サイズ情報に基づく用紙のサイズと、前記描画領域サイズ情報に基づく描画領域のサイズとが一致するか否かを判定する判定ステップと、
前記用紙サイズ情報に基づく用紙のサイズと、前記描画領域サイズ情報に基づく描画領域のサイズとが一致していない場合に、前記印刷データを印刷すべく設定された印刷設定情報に基づいて、前記印刷データに基づく画像を形成する用紙と、その画像の描画領域とを決定する決定ステップと、
前記決定ステップにより決定された用紙及び描画領域に従って、前記印刷データを用いて、用紙に画像を形成するための画像データを生成する生成ステップとを有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項11】
印刷データから、印刷に使用すべく設定された用紙のサイズに関する用紙サイズ情報と描画領域のサイズに関する描画領域サイズ情報とを取得する取得ステップと、
前記用紙サイズ情報に基づく用紙のサイズと、前記描画領域サイズ情報に基づく描画領域のサイズとが一致するか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにより前記用紙サイズ情報に基づく用紙のサイズと、前記描画領域サイズ情報に基づく描画領域のサイズとが一致していないと判定された場合、操作画面を介して入力された指示に従って、前記用紙サイズ情報に基づく用紙を印刷に使用するか、前記描画領域のサイズに基づく用紙を印刷に使用するかを決定する決定ステップとを有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項12】
印刷データから、印刷に使用すべく設定された用紙のサイズに関する用紙サイズ情報と描画領域のサイズに関する描画領域サイズ情報とを取得する取得ステップと、
前記用紙サイズ情報に基づく用紙のサイズと、前記描画領域サイズ情報に基づく描画領域のサイズとが一致するか否かを判定する判定ステップと、
前記用紙サイズ情報に基づく用紙のサイズと、前記描画領域サイズ情報に基づく描画領域のサイズとが一致していない場合に、前記印刷データを印刷すべく設定された印刷設定情報に基づいて、前記印刷データに基づく画像を形成する用紙と、その画像の描画領域とを決定する決定ステップと、
前記決定ステップにより決定された用紙及び描画領域に従って、前記印刷データを用いて、用紙に画像を形成するための画像データを生成する生成ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項13】
印刷データから、印刷に使用すべく設定された用紙のサイズに関する用紙サイズ情報と描画領域のサイズに関する描画領域サイズ情報とを取得する取得ステップと、
前記用紙サイズ情報に基づく用紙のサイズと、前記描画領域サイズ情報に基づく描画領域のサイズとが一致するか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにより前記用紙サイズ情報に基づく用紙のサイズと、前記描画領域サイズ情報に基づく描画領域のサイズとが一致していないと判定された場合、操作画面を介して入力された指示に従って、前記用紙サイズ情報に基づく用紙を印刷に使用するか、前記描画領域のサイズに基づく用紙を印刷に使用するかを決定する決定ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項1】
印刷データから、印刷に使用すべく設定された用紙のサイズに関する用紙サイズ情報と描画領域のサイズに関する描画領域サイズ情報とを取得する取得手段と、
前記用紙サイズ情報に基づく用紙のサイズと、前記描画領域サイズ情報に基づく描画領域のサイズとが一致するか否かを判定する判定手段と、
前記用紙サイズ情報に基づく用紙のサイズと、前記描画領域サイズ情報に基づく描画領域のサイズとが一致していない場合に、前記印刷データを印刷すべく設定された印刷設定情報に基づいて、前記印刷データに基づく画像を形成する用紙と、その画像の描画領域とを決定する決定手段と、
前記決定手段により決定された用紙及び描画領域に従って、前記印刷データを用いて、用紙に画像を形成するための画像データを生成する生成手段とを有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記決定手段は、前記印刷設定情報に基づいて、前記画像を形成する用紙と当該画像の描画領域とを決定できない場合、印刷データの各ページに設定された描画領域サイズ情報および用紙サイズ情報を用いて、前記印刷データに基づく画像を形成する用紙と、当該画像の描画領域とを決定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記印刷設定情報と、画像を形成する用紙及びその画像の描画領域とを対応付けて登録する登録手段を更に有し、
前記決定手段は、前記登録手段によって前記印刷データを印刷すべく設定された印刷設定情報と対応づけて登録された画像を形成する用紙および当該画像の描画領域を、前記印刷データに基づく画像を形成する用紙と、当該画像の描画領域として決定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記決定手段は、前記用紙サイズ情報に基づく用紙のサイズと、基準の用紙サイズとを、ページ毎に比較する第1の比較手段と、
前記印刷データにおいて、前記基準の用紙サイズとの差が閾値以下である前記用紙サイズが設定されたページ数を計数する第1の計数手段と、
前記描画領域サイズ情報に基づく描画領域のサイズと、前記基準の用紙サイズとを、ページ毎に比較する第2の比較手段と、
前記印刷データにおいて、前記基準の用紙サイズとの差が前記閾値以下である前記描画領域サイズが設定されたページ数を計数する第2の計数手段とを更に有し、
前記決定手段は、前記第1の計数手段及び前記第2の計数手段により計数されたページ数に基づいて、前記印刷データに基づく画像を形成する用紙と、その画像の描画領域とを決定することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記生成手段により生成された画像データを記憶媒体に記憶する第1の記憶手段と、
前記第1の記憶手段により記憶された画像データに対応する前記描画領域サイズ情報を記憶する第2の記憶手段と、を有することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記第1の記憶手段により記憶された画像データに基づく画像を形成する用紙と、その画像の描画領域とを、その画像データに対応する前記描画領域サイズ情報に基づいて決定する第2の決定手段と、
前記第2の決定手段により決定された用紙及び描画領域に基づいて、前記第1の記憶手段により記憶された画像データに基づく画像を生成する第2の生成手段と、を有することを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記決定手段は、設定された印刷設定情報に印刷物に対する断裁処理およびカラー印刷の少なくとも1つが含まれていた場合、前記印刷データに設定された用紙サイズ情報を用いて、前記印刷データに基づく画像を形成する用紙と、その画像の描画領域とを決定することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記決定手段は、前記用紙サイズ情報に基づく用紙のサイズに合わせて、前記印刷データに基づく画像を形成する用紙と、その画像の描画領域とを決定することと、
前記描画領域サイズ情報に基づく描画領域のサイズに合わせて、前記印刷データに基づく画像を形成する用紙と、その画像の描画領域とを決定することと、
前記用紙サイズ情報に基づく用紙のサイズに合わせて、前記印刷データに基づく画像を形成する用紙すると共に、前記描画領域サイズ情報に基づく描画領域のサイズに合わせて、前記印刷データに基づく画像の描画領域を決定することと、
の少なくとも何れか2つの中から1つを選択することを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
印刷データから、印刷に使用すべく設定された用紙のサイズに関する用紙サイズ情報と描画領域のサイズに関する描画領域サイズ情報とを取得する取得手段と、
前記用紙サイズ情報に基づく用紙のサイズと、前記描画領域サイズ情報に基づく描画領域のサイズとが一致するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記用紙サイズ情報に基づく用紙のサイズと、前記描画領域サイズ情報に基づく描画領域のサイズとが一致していないと判定された場合、操作画面を介して入力された指示に従って、前記用紙サイズ情報に基づく用紙を印刷に使用するか、前記描画領域のサイズに基づく用紙を印刷に使用するかを決定する決定手段とを有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項10】
印刷データから、印刷に使用すべく設定された用紙のサイズに関する用紙サイズ情報と描画領域のサイズに関する描画領域サイズ情報とを取得する取得ステップと、
前記用紙サイズ情報に基づく用紙のサイズと、前記描画領域サイズ情報に基づく描画領域のサイズとが一致するか否かを判定する判定ステップと、
前記用紙サイズ情報に基づく用紙のサイズと、前記描画領域サイズ情報に基づく描画領域のサイズとが一致していない場合に、前記印刷データを印刷すべく設定された印刷設定情報に基づいて、前記印刷データに基づく画像を形成する用紙と、その画像の描画領域とを決定する決定ステップと、
前記決定ステップにより決定された用紙及び描画領域に従って、前記印刷データを用いて、用紙に画像を形成するための画像データを生成する生成ステップとを有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項11】
印刷データから、印刷に使用すべく設定された用紙のサイズに関する用紙サイズ情報と描画領域のサイズに関する描画領域サイズ情報とを取得する取得ステップと、
前記用紙サイズ情報に基づく用紙のサイズと、前記描画領域サイズ情報に基づく描画領域のサイズとが一致するか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにより前記用紙サイズ情報に基づく用紙のサイズと、前記描画領域サイズ情報に基づく描画領域のサイズとが一致していないと判定された場合、操作画面を介して入力された指示に従って、前記用紙サイズ情報に基づく用紙を印刷に使用するか、前記描画領域のサイズに基づく用紙を印刷に使用するかを決定する決定ステップとを有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項12】
印刷データから、印刷に使用すべく設定された用紙のサイズに関する用紙サイズ情報と描画領域のサイズに関する描画領域サイズ情報とを取得する取得ステップと、
前記用紙サイズ情報に基づく用紙のサイズと、前記描画領域サイズ情報に基づく描画領域のサイズとが一致するか否かを判定する判定ステップと、
前記用紙サイズ情報に基づく用紙のサイズと、前記描画領域サイズ情報に基づく描画領域のサイズとが一致していない場合に、前記印刷データを印刷すべく設定された印刷設定情報に基づいて、前記印刷データに基づく画像を形成する用紙と、その画像の描画領域とを決定する決定ステップと、
前記決定ステップにより決定された用紙及び描画領域に従って、前記印刷データを用いて、用紙に画像を形成するための画像データを生成する生成ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項13】
印刷データから、印刷に使用すべく設定された用紙のサイズに関する用紙サイズ情報と描画領域のサイズに関する描画領域サイズ情報とを取得する取得ステップと、
前記用紙サイズ情報に基づく用紙のサイズと、前記描画領域サイズ情報に基づく描画領域のサイズとが一致するか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにより前記用紙サイズ情報に基づく用紙のサイズと、前記描画領域サイズ情報に基づく描画領域のサイズとが一致していないと判定された場合、操作画面を介して入力された指示に従って、前記用紙サイズ情報に基づく用紙を印刷に使用するか、前記描画領域のサイズに基づく用紙を印刷に使用するかを決定する決定ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−42836(P2009−42836A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−204561(P2007−204561)
【出願日】平成19年8月6日(2007.8.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月6日(2007.8.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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