説明

画像処理装置、画像処理方法、及びプログラム

【課題】簡易なシステム構成で高精度のスイング解析を行うことが可能な画像処理装置を提供する。
【解決手段】スイング動作を行う撮影対象を正面及び後方を含む複数の撮影方向から撮影して得られた複数グループの非同期動画像から前記各複数グループ単位の静止画像を生成し、生成された静止画像のうち一の静止画像の動作シーンと当該動作シーンに対応する他の静止画像の動作シーンとを同期させた静止画像を記憶させ、記憶された静止画像に写った前記撮影対象のスイング動作におけるヘッド位置を入力させ、入力された複数のヘッド位置のうち隣接するヘッド位置間の距離に基づいてヘッドスピードを算出させ、算出されたヘッドスピードを表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ゴルフショップやゴルフ練習場等にゴルフ打撃計測機が設置されており、計測した打撃情報から各種計測値を算出して、飛距離や飛び方向などを計測できるようになっている。この種のゴルフ打撃計測機は、プレイヤーのゴルフスイングを計測する。計測値に基づいてヘッドスピード、打ち出しボール初速、打ち出し角度、スピン方向、飛距離等の予測計算値が算出され、プレイヤーに知らされる。プレイヤーは、スイングごとに飛距離や飛び方向といったスイングに関する客観的なデータを得ることができるので、ゴルフスイングの上達に役立てることができる。
【0003】
ゴルフ打撃計測機により得られる客観的データには、どのようなスイングのときに飛距離を伸ばしたり、飛球弾道が曲がったりするかを客観的に把握することができないという課題があった。この課題に対応したものとして、例えば特許文献1には、打撃時の計測値とスイング画像とを機能的に関連させることで、効率的なスイングチェックを行えるようにする技術が開示されている。
【特許文献1】特開2003−88604号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のスイング解析方法では、解析に必要な画像データ(スイング画像)を取得するタイミングの同期を取ったり、実際にヘッドスピードを測定したりする際には、特殊な装置や複雑な画像解析処理を必要としていた。そのため、スイング解析を行うには、多大なコストがかかっていた。
【0005】
本発明は、簡易なシステム構成で高精度のスイング解析を行うことが可能な画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、画像処理装置において、スイング動作を行う撮影対象を正面及び後方を含む複数の撮影方向から撮影して得られた複数グループの非同期動画像から前記各複数グループ単位の静止画像を生成する静止画像生成手段と、前記静止画像生成手段により生成された静止画像のうち一の静止画像の動作シーンと当該動作シーンに対応する他の静止画像の動作シーンとを同期させた静止画像を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された静止画像に写った前記撮影対象のスイング動作におけるヘッド位置を入力するための操作入力手段と、前記操作入力手段により入力された複数のヘッド位置のうち隣接するヘッド位置間の距離に基づいてヘッドスピードを算出する算出手段と、前記算出手段により算出されたヘッドスピードを表示する表示手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像処理装置において、前記算出手段は、正面から撮影された静止画像内のヘッド位置の変化量と、後方から撮影された静止画像内のヘッド位置の変化量と、スイング動作の際の体の傾きと、から前記ヘッド位置間の距離を算出することを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、静止画像生成手段が、スイング動作を行う撮影対象を正面及び後方を含む複数の撮影方向から撮影して得られた複数グループの非同期動画像から前記各複数グループ単位の静止画像を生成する静止画像生成工程と、記憶手段が、前記静止画像生成手段により生成された静止画像のうち一の静止画像の動作シーンと当該動作シーンに対応する他の静止画像の動作シーンとを同期させた静止画像を記憶する記憶工程と、操作入力手段が、前記記憶手段に記憶された静止画像に写った前記撮影対象のスイング動作におけるヘッド位置を入力するための操作入力工程と、算出手段が、前記操作入力手段により入力された複数のヘッド位置のうち隣接するヘッド位置間の距離に基づいてヘッドスピードを算出する算出工程と、表示手段が、前記算出手段により算出されたヘッドスピードを表示する表示工程と、を含むことを特徴とする画像処理方法である。
【0009】
請求項4に記載の発明は、コンピュータを、スイング動作を行う撮影対象を正面及び後方を含む複数の撮影方向から撮影して得られた複数グループの非同期動画像から前記各複数グループ単位の静止画像を生成する静止画像生成手段、前記静止画像生成手段により生成された静止画像のうち一の静止画像の動作シーンと当該動作シーンに対応する他の静止画像の動作シーンとを同期させた静止画像を記憶する記憶手段、前記記憶手段に記憶された静止画像に写った前記撮影対象のスイング動作におけるヘッド位置を入力するための操作入力手段、前記操作入力手段により入力された複数のヘッド位置のうち隣接するヘッド位置間の距離に基づいてヘッドスピードを算出する算出手段、前記算出手段により算出されたヘッドスピードを表示する表示手段、として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡易なシステム構成で高精度のスイング解析を行うことが可能な画像処理装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0012】
図1に、本発明の一実施形態である画像処理装置を用いたゴルフスイング解析システム1を示す。ゴルフスイング解析システム1は、3台のカメラ2,3,4と、HUB5と、画像処理装置10と、プリンタ6と、ディスクライタ7と、を備える。
【0013】
カメラ2,3,4は、ゴルフスイングを行う被写体H又はゴルフボールを載置するピンP及びその付近をそれぞれ異なる角度から撮像する。以下の説明において、ゴルフボールが飛翔する方向を前方、その反対側を後方とし、被写体Hから見てゴルフボールが載置される側を正面とする。本実施形態において、カメラ2,3,4は、1200[fps]のハイスピード動画撮影が可能なハイスピードデジタルカメラである。
カメラ2はゴルフスイングを行う被写体Hの正面側から被写体Hを撮像し、カメラ3は同被写体Hの後方から被写体Hを撮像する。カメラ4は被写体Hの正面側からピンP及びその付近を撮像する。画像編集の際に表示される撮像画像は静止画であるが、カメラ2、3、4は撮像画像を動画として出力する。
カメラ2,3,4はバッファメモリ(図示略)を有し、各カメラは撮像画像をバッファメモリに格納し、後に外部へ転送出力する。
【0014】
カメラ2,3,4は、動画撮像時の秒間撮像フレーム数(frame per second、以降fpsと記載)を300〜1200[fps]に設定することができる。本実施形態において、カメラ2、3は300[fps]、カメラ4は1200[fps]で撮像を行う。
【0015】
HUB5は、3台のカメラ2,3,4と画像処理装置10との間に介在する集線装置であり、3台のカメラ2,3,4と画像処理装置10とを接続する。
【0016】
画像処理装置10は、スイング解析を行う。スイング解析は、3台のカメラ2,3,4による撮像動画の記憶と、当該撮像動画をもとにした各種の処理を指す。スイング解析の詳細については後述する。
【0017】
プリンタ6は、画像処理装置10が行う印刷処理により、印刷媒体(例えば紙等)に対して印刷を施す機器である。プリンタ6は、例えばページプリンタ等の印刷装置により構成される。
ディスクライタ7は、画像処理装置10の制御によりデジタルデータをDVDメディアに書き込む機器である。
【0018】
次に、画像処理装置10の構成について説明する。図2は、画像処理装置10の構成を示すブロック図である。
画像処理装置10は、CPU11と、RAM12と、ROM13と、記憶装置14と、入力装置15と、表示装置16と、インターフェース17、18、19と、これらの各構成を相互接続するバス20と、を有する。
本実施形態において、画像印刷装置10は、例えば、パーソナルコンピュータ、デスクトップコンピュータ等の情報処理装置により構成される。
【0019】
CPU11は、ROM13や記憶装置14からプログラム、データ等を読み込んで実行処理すると共に、画像処理装置10の各部や画像処理装置10に接続されている各構成の動作制御を行う。CPU11が読み込んだプログラム、データ等及びCPU11の処理において一時的に生じたパラメータ等はRAM12に格納される。
例えば、CPU11は、スイング動作を行う撮影対象を正面及び後方を含む複数の撮影方向から互いに非同期で撮影して得られた複数グループの非同期動画像から各複数グループ単位の静止画像を生成する(静止画像生成手段)。また、CPU11は、後述するプロット作業によりプロットされた複数のヘッド位置のうち隣接するヘッド位置間の距離に基づいてヘッドスピードを算出する(算出手段)。
【0020】
ROM13は、例えばROMチップ等であり、プログラム、データ等を書き換え不可能に記憶する。
記憶装置14は、例えばハードディスクドライブやフラッシュメモリ等であり、プログラム、データ等を書き換え可能に記憶することができる。例えば、静止画像を動作シーンごとに同期させたものを記憶する(記憶手段)。
【0021】
入力装置15は、例えばキーボードやマウス等であり、オペレータの手動による画像処理装置10に対する入力処理を可能とする。例えば、静止画像に写った撮影対象のスイング動作におけるヘッド位置を入力することができる(操作入力手段)。
【0022】
表示装置16は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等により構成され、画像処理装置10の画面出力処理に応じた内容を表示する。例えば、CPU11(算出手段)が算出したヘッドスピードの推移をグラフ化して表示する(表示手段)。
【0023】
インターフェース17、18、19は、例えばUSB(Universal Serial Bus)等のバスインターフェースであり、画像処理装置10と外部機器との接続を可能にする。カメラ2,3,4はHUB5を介してインターフェース17に接続され、プリンタ6はインターフェース18に接続され、ディスクライタ7はインターフェース19に接続される。
【0024】
次に、スイング解析の処理内容について説明する。図3は、スイング解析の処理内容を示すフローチャートである。
【0025】
まず、撮影を行う(ステップS1)。撮影は、オペレータによる所定の入力操作により、画像入力装置10が3台のカメラ2,3,4を動作させて被写体Hを撮像する処理である。3台のカメラ2,3,4による撮像動画は、画像処理装置10に転送され、画像処理装置10は転送された撮像動画を記憶装置14に記憶する。
【0026】
次に、画像処理装置10は静止画生成を行う(ステップS2)。静止画生成は、記憶装置14に記憶された各撮像動画から静止画を生成する処理である。生成された静止画は記憶装置14に記憶される。
【0027】
次に、オペレータの入力内容に基づき画像処理装置10はスイング対象抽出を行う(ステップS3)。スイング対象抽出は、静止画に分割された画像のうち、カメラ2が撮像した画像についてゴルフスイング中を撮像した画像の範囲(スイング対象)を決定する処理である。これは、カメラ2,3,4による動画撮像時にゴルフスイング中でない撮像画像が含まれることがあるために行われる処理である。ゴルフスイング中でない撮像画像として、例えば被写体Hが姿勢を整える動作を行っている最中や、被写体Hがその他の動作(例えば煙草を吸う等)を行っている最中の撮像画像等が挙げられる。カメラ3,4が撮像した画像についてはスイング対象抽出を行わないが、後述するスイング画像同期によってスイング対象が決定される。
【0028】
次に、オペレータの入力内容に基づき画像処理装置10はスイング画像同期を行う(ステップS4)。スイング画像同期は、3方向からの静止画を同期させる処理であり、カメラ2,3,4がそれぞれ撮像した画像の静止画について、同じタイミングを撮像した静止画を対応付ける。
【0029】
次に、オペレータの入力内容に基づき画像処理装置10は移動状態プロットを行う(ステップS5〜7)。移動状態プロットは、3方向からの画像のそれぞれについて、各静止画におけるゴルフクラブのヘッドの位置を座標データとして記憶する処理である。インパクトタイミング以降の静止画のうち、ゴルフボールが写っている静止画についてはゴルフボールの位置についても座標データとして記憶する。ゴルフクラブのヘッドの位置及びゴルフボールの位置の入力はオペレータの手動入力による。移動状態プロットは、カメラ2、3、4の撮像した画像の静止画それぞれに対して個別に行われる。
【0030】
次に、画像処理装置10はスイングスピード解析を行う(ステップS8)。スイングスピード解析は、ゴルフスイング中のゴルフクラブのヘッドの移動速度の算出処理である。スイングスピード解析は、移動状態プロットによって入力されたゴルフクラブのヘッド位置に基づき行われる。
【0031】
次に、画像処理装置10はスイングフォーム印刷を行う(ステップS9)。スイングフォーム印刷は、ゴルフスイング中の画像を所定のルールに基づきピックアップして印刷する処理である。
【0032】
稼動状態プロット、スイング解析及びスイングフォーム印刷と並行して、又はこれらと別工程で、画像処理装置10は同期動画作成を行うことができる(ステップS10)。同期動画作成は、スイング画像同期が終了した静止画を再度動画に変換し、3つのカメラ2,3,4による撮像動画を一つの動画ファイルの再生によって確認可能な動画ファイルを作成する処理である。
【0033】
本発明の実施形態は、上記各処理のうち、ステップS8のスイングスピード解析に焦点を当てたものである。本実施形態において、スイングスピード解析を行うためには、スイング画像同期と移動状態プロットが行われていることが不可欠である。従って、本実施形態で用いるスイング画像に関しては、予めスイング画像同期と移動状態プロットが行われていることを前提とする。
【0034】
図4は、撮影ごとに移動するヘッド位置の軌跡について示した図である。
図4(a)は、正面から撮影したスイング動作の軌跡である。また、図4(b)は、後方から撮影したスイング動作の軌跡である。図中の丸印は、スイング動作の際のヘッド位置の軌跡を示している。
スイングスピードは、図4(a)に示された2点のヘッド位置(例えば、P,Pn+1)間の距離に基づいて算出される。ただ実際には、図4(b)に示したように、プレイヤーは傾いてスイングしているため、その傾きθ分の補正を行うことで、正確なスイングスピードを算出する。なお、スイング操作の際の体の傾きを線分で表したものをスイングプレーンLとする。
【0035】
図5は、図4に示したAの部分を拡大した図である。
図5(a)は、正面から撮影した図である。また、図5(b)は、後方から撮影した図である。
スイングスピードを算出するためには、ヘッド位置の軌跡の移動量(距離)を計算する必要がある。図5(c)に示したように、実際の移動距離は、正面から撮影した際の距離と後方から撮影した際の距離を3次元空間で合成した結果で示される。スイングスピードは、例えば、数1を演算することで算出することができる。
【数1】

実際には、表示装置16上でプロットしたヘッド位置間の距離と実際のヘッド位置間の距離は異なる。上記演算を行う際には、プロットしたヘッド位置の距離に係数を掛けて補正を行い、実際の距離に変換する。
以下、スイングスピード解析の一連の流れについて、図6〜図11を用いて詳細に説明する。
【0036】
図6、図7は、本実施形態に係る画像処理装置10内で行われるスイングスピード解析処理の一例について示したフローチャートである。このスイングスピード解析処理は、ユーザによるヘッド位置のプロット作業が完了したことを契機に、CPU11がROM13に格納されているスイングスピード解析プログラムを実行することにより実現される。
【0037】
まず、後方画像に対して設定したスイングプレーン(斜めの線分)Lの座標情報を読み出す(ステップS101)。後方画像に対して設定したスイングプレーンLとは、例えば図8に示すように、スイング動作の際の両腕とゴルフクラブとを結んだ線分のことである。スイングプレーンLはプロット時に描画される。スイングプレーンLの開始座標及び終了座標は、記憶装置14に保存されている。
【0038】
次に、ステップS101で読み出された座標情報を、三角関数を使用してスイングプレーンの傾きθに変換する(ステップS102)。
【0039】
次に、スイングスピードを解析するためには正面画像を使用するので、解析対象となる正面画像の範囲を、図9に示した基準位置情報から読み出す。読み出した基準位置情報のうち、開始画像番号(テークバック開始の0001558)をSTARSPD及びSPDに、終了画像番号(フォロースルー終了の0002023)をSTOPSPDにそれぞれ設定する(ステップS103)。
【0040】
次に、正面画像を撮影した際のフレームレート(FRfps)を読み出す(ステップS104)。本実施形態では、全ての撮影画像に対してヘッド位置のプロットが行われるわけではないため、スキップされた(間引かれた)画像は座標情報を持っていない。そこで、読み出されたフレームレートにスキップした画像数を掛けた値を計算することにより、プロットされた座標間をヘッドが移動するのにかかった時間を得ることができる。
【0041】
次に、距離補正値DDを読み出す(ステップS105)。ヘッド位置をプロットしたことにより得た座標は表示装置16上で表示されている画面の座標であり、座標間の距離は実際にスイングした距離とは異なる。距離補正値DDは、座標間の距離を実際にスイングした距離に換算するための係数である。この距離補正値DDは撮影状態(カメラ位置等)により異なるものであるため、実際に撮影を行った際に表示装置16上でプロットした座標と比較をして係数を決める。
【0042】
次に、ヘッド位置変化時間DTを初期化(DT=0)する(ステップS106)。ヘッド位置変化時間DTには、座標情報を持たない画像をスキップした個数が格納される。
【0043】
次に、解析画像番号SPDが画像範囲内であるか否かを判定する(ステップS107)。現在の解析画像番号SPDが終了画像番号STOPSPD未満であれば、画像範囲内にあると判定される。一方、現在の解析画像番号SPDが終了画像番号STOPSPD以上であれば、解析画像なしとして当該スイングスピード解析処理を終了する。
【0044】
ステップS107で解析画像番号SPDが画像範囲内であると判定されると、当該画像番号に対応付けられた座標情報があるか否かが判定される(ステップS108)。座標情報があった場合は、次のステップS109へと移行し、座標情報がなかった場合は、ステップS110へと移行する。
【0045】
ステップS108で座標情報があると判定されると、スイングスピード解析の開始座標位置として当該座標を(Xs,Ys)に設定する(ステップS109)。
【0046】
ステップS108で座標情報がないと判定されると、次の座標情報を調べるために解析画像番号SPDに1をプラスする(ステップS110)。解析画像番号SPDに1をプラスすると、ステップS107へと移行する。
【0047】
開始座標位置(Xs,Ys)が設定されると、次の座標情報を調べるために解析画像番号SPDに1をプラスする(ステップS111)。
【0048】
次に、ヘッド位置変化時間DTに1をプラスする(ステップS112)。
【0049】
次に、ステップS111で更新された解析画像番号SPDが画像範囲内であるか否かを判定する(ステップS113)。更新された解析画像番号SPDが終了画像番号STOPSPD以下であれば、画像範囲内にあると判定される。一方、更新された解析画像番号SPDが終了画像番号STOPSPDより大きければ、ステップS121へと移行する。
【0050】
ステップS113で解析画像番号SPDが画像範囲内であると判定されると、当該画像番号に対応付けられた座標情報があるか否かが判定される(ステップS114)。座標情報があった場合は、次のステップS115へと移行し、座標情報がなかった場合は、ステップS111へと移行する。
【0051】
ステップS113で座標情報があると判定されると、スイングスピード解析の終了座標位置として当該座標を(Xe,Ye)に設定する(ステップS115)。
【0052】
次に、スイングスピードを計算する(ステップS116)。スイングスピードは、開始座標(Xs,Ys)、終了座標(Xe,Ye)、距離補正値DD、ヘッド位置変化時間DT、フレームレートFRfpsに基づいて自動的に算出される。スイングスピードは、例えば、数2を演算することで算出することができる。
【数2】

【0053】
次に、ステップS116で算出されたスイングスピードVnを保存する(ステップS117)。また、スイングスピードVn算出時点のDTの値をDnとして保存する(ステップS118)。スイングスピードVn及びヘッド位置変化時間Dnは、図10に示したようなフォーマットで記憶装置14に保存される。
【0054】
次に、ヘッド位置変化時間DTを初期化する(ステップS119)。
【0055】
次に、現在の終了座標位置(Xe,Ye)を開始座標位置(Xs,Ys)に代入する(ステップS120)。現在の終了座標位置(Xe,Ye)を開始座標位置(Xs,Ys)に代入すると、ステップS111へと移行し、全ての座標情報(プロットされたヘッド位置)に対してスイングスピードの計算が終わるまで繰り返す。
【0056】
全ての座標情報に対してスイングスピードの計算が終了すると、図10に示したように結果が保存される。ヘッド位置変化時間Dnの単位は撮影時のフレームレート(300fpsであれば1/300sec)であるため、このDnの値からスイングスピードの時間的な変化を算出することも可能である。
【0057】
ステップS113の処理で、更新された解析画像番号SPDが終了画像番号STOPSPDより大きいと判定された場合、ステップS121では、保存されているスイングスピードVn及びヘッド位置変化時間Dnの関係性を示すグラフを表示装置16上に表示する。表示されるグラフは、例えば図11に示すようなグラフである。図11には、画像が遷移する(時間が経過する)につれてスイングスピードが変化する様子が示されている。
当該グラフが表示されると、スイングスピード解析処理を終了する。
【0058】
このように、本実施形態では、正面から撮影された静止画像内のヘッド位置の変化量と、後方から撮影された静止画像内のヘッド位置の変化量と、スイング動作の際の体の傾き(スイングプレーンの傾き)と、からヘッド位置間の距離を算出することができる。
従って、予めプロットされたヘッド位置の座標情報を利用して、当該ヘッド位置間のヘッドスピードを自動的にかつ高精度で算出することができる。また、算出されたヘッドスピードの変化をグラフで表示することができるので、プレイヤーにとって有用な情報を瞬時に提供することができる。
【0059】
以上、本発明に係る実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0060】
例えば、上記実施形態では、保存されているスイングスピードVn及びヘッド位置変化時間Dnの関係性を示すグラフを表示装置16上に表示する際、グラフのみを単独で表示させるようにしているが、例えば、同期させたスイング画像と併せて表示させるようにしてもよい。
【0061】
また、本発明で扱う動画はゴルフスイングを撮影したものに限らず、動体の移動軌跡を撮像した動画ならば適用可能である。
例えば、野球のバットのスイングの移動軌跡とボールの移動軌跡を撮影したり、テニスのラケットスイングの移動軌跡とボールの移動軌跡を撮影したり、卓球のラケットスイングの移動軌跡とボールの移動軌跡を撮影したり、アイスホッケーのラケットスイングの移動軌跡とパッド(ボール)の移動軌跡を撮影したりするものに適用可能である。
【0062】
その他、画像形成装置10を構成する各装置の細部構成及び細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施形態である画像処理装置を用いたゴルフスイング解析システムについて示した図である。
【図2】画像処理装置10の構成を示すブロック図である。
【図3】スイング解析の処理内容を示すフローチャートである。
【図4】撮影ごとに移動するヘッド位置の軌跡について示した図である。
【図5】図4に示したAの部分を拡大した図である。
【図6】本実施形態に係る画像処理装置10内で行われるスイングスピード解析処理の一例について示したフローチャートである。
【図7】本実施形態に係る画像処理装置10内で行われるスイングスピード解析処理の一例について示したフローチャートである。
【図8】プロット時に描画されたスイングプレーンの一例について示した図である。
【図9】スイング画像を同期させるために設定された基準位置情報の一例について示した図である。
【図10】算出されたスイングスピード及びヘッド位置変化時間を保存するときのフォーマットの一例について示した図である。
【図11】スイングスピードVn及びヘッド位置変化時間Dnの関係性を示すグラフの一例について示した図である。
【符号の説明】
【0064】
1 ゴルフスイング解析システム
2,3,4 カメラ
5 HUB
6 プリンタ
7 ディスクライタ
10 画像処理装置
11 CPU
12 RAM
13 ROM
14 記憶装置
15 入力装置
16 表示装置
17,18,19 インターフェース
20 バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイング動作を行う撮影対象を正面及び後方を含む複数の撮影方向から撮影して得られた複数グループの非同期動画像から前記各複数グループ単位の静止画像を生成する静止画像生成手段と、
前記静止画像生成手段により生成された静止画像のうち一の静止画像の動作シーンと当該動作シーンに対応する他の静止画像の動作シーンとを同期させた静止画像を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された静止画像に写った前記撮影対象のスイング動作におけるヘッド位置を入力するための操作入力手段と、
前記操作入力手段により入力された複数のヘッド位置のうち隣接するヘッド位置間の距離に基づいてヘッドスピードを算出する算出手段と、
前記算出手段により算出されたヘッドスピードを表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記算出手段は、
正面から撮影された静止画像内のヘッド位置の変化量と、後方から撮影された静止画像内のヘッド位置の変化量と、スイング動作の際の体の傾きと、から前記ヘッド位置間の距離を算出することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
静止画像生成手段が、スイング動作を行う撮影対象を正面及び後方を含む複数の撮影方向から撮影して得られた複数グループの非同期動画像から前記各複数グループ単位の静止画像を生成する静止画像生成工程と、
記憶手段が、前記静止画像生成手段により生成された静止画像のうち一の静止画像の動作シーンと当該動作シーンに対応する他の静止画像の動作シーンとを同期させた静止画像を記憶する記憶工程と、
操作入力手段が、前記記憶手段に記憶された静止画像に写った前記撮影対象のスイング動作におけるヘッド位置を入力するための操作入力工程と、
算出手段が、前記操作入力手段により入力された複数のヘッド位置のうち隣接するヘッド位置間の距離に基づいてヘッドスピードを算出する算出工程と、
表示手段が、前記算出手段により算出されたヘッドスピードを表示する表示工程と、
を含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項4】
コンピュータを、
スイング動作を行う撮影対象を正面及び後方を含む複数の撮影方向から撮影して得られた複数グループの非同期動画像から前記各複数グループ単位の静止画像を生成する静止画像生成手段、
前記静止画像生成手段により生成された静止画像のうち一の静止画像の動作シーンと当該動作シーンに対応する他の静止画像の動作シーンとを同期させた静止画像を記憶する記憶手段、
前記記憶手段に記憶された静止画像に写った前記撮影対象のスイング動作におけるヘッド位置を入力するための操作入力手段、
前記操作入力手段により入力された複数のヘッド位置のうち隣接するヘッド位置間の距離に基づいてヘッドスピードを算出する算出手段、
前記算出手段により算出されたヘッドスピードを表示する表示手段、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2010−127639(P2010−127639A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−299684(P2008−299684)
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】