説明

画像処理装置、画像処理方法および画像処理プログラム

【課題】画像処理装置の蓄積手段が蓄積している画像データに対して、簡易かつ効率的に、適切な画像処理を施して、外部装置へ配信すること。
【解決手段】本発明の画像処理システムは、画像フォーマット変換部114が、画像データ蓄積手段であるHDD105に蓄積されている画像データに対して、外部クライアント装置117で指定された画質やフォーマットなどの条件に適合するように解像度変換処理やフィルタ処理、γ補正処理、中間調処理などの画像処理を施す。その後、画像処理が施された画像データを外部のクライアント装置117へ配信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル複写機、ファクシミリ、スキャナなどの画像処理装置が蓄積している画像データを外部装置へ配信するための画像処理装置、画像処理方法および画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークにデジタル複写機や画像読み取り装置を接続し、そのデジタル複写機や画像読み取り装置のスキャナで原稿画像をスキャンして、読み取った画像データをネットワークに接続されたコンピュータなどの他の端末に配信する、いわゆるネットワークスキャナ技術が知られている(例えば、特許文献1,2を参照)。
【0003】
また、ネットワークにデジタル複写機や画像読み取り装置を接続し、そのデジタル複写機や画像読み取り装置のスキャナで原稿画像をスキャンして、読み取った画像データをプリンタ部から印刷し、用紙出力をするコピー技術も知られている。
【0004】
図30は、従来の一般的なネットワークスキャナ技術の構成を示すブロック図である。従来のネットワークスキャナ技術は、画像処理装置3000と、PC(パーソナル・コンピュータ)3003と、を用いて行う。そして画像処理装置3000は、スキャナ部3001と、画像処理部3002と、を含み構成されている。
【0005】
従来のネットワークスキャナ技術は、原稿画像をスキャナ部3001でスキャンして、読み取った画像を、例えばRGB(Red Green Blue)の色空間で表現される画像データとして画像処理部3002へ転送する。そして画像処理部3002は、受け取った画像データに所定の画像処理を施す。ここでの画像処理は、画像データの印刷出力は予定していないので、印刷出力系の印刷画像データを生成する必要はない。例えば画像処理は、PC3003へ送出する際の転送速度を速めるための画像データの圧縮などであり、かつ、PC3003で表示可能なJPEG(Joint Photographic Experts Group)など汎用的な形式への変換である。そして、画像処理部3002は、画像処理を施した画像データをLAN(ローカルエリアネットワーク)などで接続されたPC3003へ送出する。PC3003は、受け取った画像データの閲覧や編集ができる。
【0006】
図31は、従来の一般的なコピー技術の構成を示すブロック図である。従来のコピー技術は、画像処理装置3100が印刷し、用紙出力を行っている。画像処理装置3100は、スキャナ部3101と、画像処理部3102と、印刷用画像蓄積部3103と、γ補正部3104と、プリンタ部3105と、を含み構成されている。
【0007】
従来のコピー技術は、原稿画像をスキャナ部3101でスキャンして、読み取った画像を、例えばRGBで表現される画像データとして画像処理部3102へ転送する。そして画像処理部3102は、受け取った画像データに所定の画像処理を施す。この画像処理は、印刷出力を予定しているため、画像処理部3102は、印刷出力系の印刷用画像データとしてRGB系からCMYK(Cyan Magenta Yellow blacK)系への色空間の変換を行う。また、圧縮については、印刷出力を予定しているため、伸張処理がしやすく、もとの画像データを再現できる程度の圧縮処理までを許容するものであり、外部のPCなどへの送信を予定した処理は行わない。その後、画像処理部3102は、CMYK系へ変換した印刷用画像データを印刷用画像蓄積部3103へ転送し、印刷用画像蓄積部3103は印刷用画像データをγ補正部3104に転送する。γ補正部3104は、受け取った印刷用画像データにプリンタ用のγ補正を施した後、画像データをプリンタ部3105へ送出し、プリンタ部3105は、受け取った印刷用画像データを印刷し用紙出力をする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した従来のネットワークスキャナ技術においては、画像処理部3002で画像処理を施された画像データは、デジタル複写機などの機器で外部クライアント装置へ配信する際の転送速度を速めるために圧縮される。したがって、配信の対象となる外部クライアント装置が画像データを伸張できる圧縮であればよく、複数の外部クライアント装置に配信する際には、複数の外部クライアント装置がそれぞれ伸張できる圧縮をするために、スキャンしなおさなければならないという問題がある。
【0009】
一方、従来のコピー技術においては、画像処理部3102での画像処理は、各社独自の方式による画像処理である。したがって、画像データは印刷のための専用フォーマットになっているため、上記ネットワークスキャナ技術のように外部のクライアント装置への配信には適していなかった。また、仮に、外部のクライアント装置への配信ができたとしても、そもそも印刷出力のための専用フォーマットであるため、外部のクライアント装置では閲覧や編集などができないという問題があった。
【0010】
本発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、読み込んだ原稿画像から各種画像処理装置で共通に使用することが可能な汎用形式の画像データを生成し、これを外部装置へ送信することで、画像データの汎用化及び共通化を図ることができる画像処理装置、画像処理方法および画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかる画像処理装置は、クライアント装置とネットワークを介して接続できる画像処理装置であって、原稿の画像を読み取り、所定のカラー画像信号を生成する画像読み取り手段と、前記画像読み取り手段により生成されたカラー画像信号に対して所定の画像処理を施す画像処理手段と、前記画像処理手段によって画像処理を施された画像データを蓄積する蓄積手段と、前記蓄積手段によって蓄積された前記画像データのフォーマットを前記クライアント装置が扱う画像データの属性に適合するように変換する画像フォーマット変換手段と、前記画像フォーマット変換手段によってフォーマット変換された前記画像データを前記クライアント装置へ送信する送信手段と、を備えていることを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、読み取った原稿の画像データを蓄積手段に蓄積しておくことができるため、一度読み取った原稿は再度読み取り処理を行う必要はない。したがって、読み取り履歴のある原稿を外部のクライアント装置などへ送信する必要がある場合には、蓄積手段に蓄積されている画像データを送信すればよい。また、画像データを外部のクライアント装置へ送信する際には、当該クライアント装置が扱うフォーマットに変換して画像データを送信することができる。このようにすることで、効率的な画像データの外部配信が可能になる。
【0013】
また、この発明にかかる画像処理装置は、上記発明において、前記画像処理手段は、前記画像読み取り手段により生成された前記カラー画像信号に対して多値または2値データを生成するものであり、前記画像フォーマット変換手段は、前記蓄積手段によって蓄積された前記画像データを前記クライアント装置に対応する色空間の画像データに変換することを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、多値または2値の画像データに対する画像処理が可能になり、画像データをクライアント装置に適応する色空間に変換することが可能になる。
【0015】
また、この発明にかかる画像処理装置は、この発明において、前記画像フォーマット変換手段は、前記蓄積手段によって蓄積された前記画像データを前記クライアント装置が扱う画像データの属性に適合するよう前記画像データを当該画像データのフォーマットを変換するために伸張、あるいは前記クライアント装置へ配信するために圧縮することを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、前記画像フォーマット変換手段は、処理対象の画像データをクライアント装置が扱う画像データの属性に適合するように、フォーマットを変換するために伸張あるいはクライアント装置へ配信するために圧縮することができるので、クライアント装置への配信が図れる。
【0017】
また、この発明にかかる画像処理装置は、この発明において、前記画像フォーマット変換手段は、前記蓄積手段によって蓄積された前記画像データを前記クライアント装置が扱う画像データの属性に適合するよう前記画像データの解像度を変換して出力することを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、前記画像フォーマット変換手段は、クライアント装置が扱う画像データの属性に適合するよう前記画像データの解像度を変換して出力することができる。
【0019】
また、この発明にかかる画像処理装置は、この発明において、前記画像フォーマット変換手段は、前記蓄積手段によって蓄積された前記画像データを前記クライアント装置が扱う画像データの属性に適合するよう前記画像データの倍率を変換して出力することを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、前記画像フォーマット変換手段は、クライアント装置が扱う画像データの属性に適合するよう前記画像データの倍率を変換して出力することができる。
【0021】
また、この発明にかかる画像処理装置は、この発明において、前記画像フォーマット変換手段は、前記画像処理手段により生成された多値画像データに対して所定のフィルタ処理を行うことを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、画像データのMTFを強調させることができる。
【0023】
また、この発明にかかる画像処理装置は、この発明において、前記画像フォーマット変換手段は、前記画像処理手段により生成された多値画像データに対して所定の中間調処理を行うことを特徴とする。
【0024】
この発明によれば、多値の画像データに対して2値中間調処理を施して外部装置に転送することで、コンパクトでかつ汎用フォーマットの画像データを送信することができる。
【0025】
また、この発明にかかる画像処理装置は、この発明において、前記画像フォーマット変換手段は、前記画像処理手段により生成された多値画像データに対して所定の濃度γ変換処理を施すことを特徴とする。
【0026】
この発明によれば、画像データの濃度勾配などを適正に保つことができる。
【0027】
また、この発明にかかる画像処理装置は、この発明において、前記画像フォーマット変換手段は、前記画像処理手段により生成された多値画像データに対して所定の孤立点除去処理を施すことを特徴とする。
【0028】
この発明によれば、画像データに含まれる孤立点を除去することができる。
【0029】
また、この発明にかかる画像処理装置は、この発明において、前記画像フォーマット変換手段は、前記画像読み取り手段により生成された前記カラー画像信号に対して当該画像データに付帯する属性情報および前記クライアント装置が要求する属性から決定されたパラメータに基づいて所定の画像処理を実行することを特徴とする。
【0030】
この発明によれば、クライアント装置からの要求で画像処理装置の蓄積手段から画像データを読み出す際に、画像フォーマット変換手段のパラメータは前記蓄積手段に蓄積されている画像データの属性と前記クライアン装置が要求する属性とから決定されるため、前記クライアント装置は、画像処理装置の蓄積手段に蓄積されている画像データの属性をそのまま引き次いで引き取ることも可能である。
また、クライアント装置がそのままの属性で画像データを引き取る場合には、画像フォーマット変換手段で画像の属性(フォーマット)を変更する必要がなく、効率的である。
【0031】
また、この発明にかかる画像処理方法は、クライアント装置とネットワークを介して接続できる画像処理装置であって、原稿の画像を読み取り、所定のカラー画像信号を生成する画像読み取り工程と、前記画像読み取り工程により生成されたカラー画像信号に対して所定の画像処理を施す画像処理工程と、前記画像処理工程によって画像処理を施された画像データを蓄積する蓄積工程と、前記蓄積工程によって蓄積された前記画像データのフォーマットを前記クライアント装置が扱う画像データの属性に適合するように変換する画像フォーマット変換工程と、前記画像フォーマット変換工程によってフォーマット変換された前記画像データを前記クライアント装置へ送信する送信工程と、を含むことを特徴とする。
【0032】
この発明によれば、読み取った原稿の画像データを蓄積工程に蓄積しておくことができるため、一度読み取った原稿は再度読み取り処理を行う必要はない。したがって、読み取り履歴のある原稿を外部のクライアント装置などへ送信する必要がある場合には、蓄積工程に蓄積されている画像データを送信すればよい。また、画像データを外部のクライアント装置へ送信する際には、当該クライアント装置が扱うフォーマットに変換して画像データを送信することができる。このようにすることで、効率的な画像データの外部配信が可能になる。
【0033】
また、この発明にかかる画像処理方法は、この発明において、前記画像処理工程は、前記画像読み取り工程により生成された前記カラー画像信号に対して多値または2値データを生成するものであり、前記画像フォーマット変換工程は、前記蓄積工程によって蓄積された前記画像データを前記クライアント装置に対応する色空間の画像データに変換することを特徴とする。
【0034】
この発明によれば、多値または2値の画像データに対する画像処理が可能になり、画像データをクライアント装置に適応する色空間に変換することが可能になる。
【0035】
また、この発明にかかる画像処理方法は、この発明において、前記画像フォーマット変換工程は、前記蓄積工程によって蓄積された前記画像データを前記クライアント装置が扱う画像データの属性に適合するよう前記画像データを当該画像データのフォーマットを変換するために伸張、あるいは前記クライアント装置へ配信するために圧縮することを特徴とする。
【0036】
この発明によれば、前記画像フォーマット変換工程は、処理対象の画像データをクライアント装置が扱う画像データの属性に適合するように、フォーマットを変換するために伸張あるいはクライアント装置へ配信するために圧縮することができるので、クライアント装置への配信が図れる。
【0037】
また、この発明にかかる画像処理方法は、この発明において、前記画像フォーマット変換工程は、前記蓄積工程によって蓄積された前記画像データを前記クライアント装置が扱う画像データの属性に適合するよう前記画像データの解像度を変換して出力することを特徴とする。
【0038】
この発明によれば、前記画像フォーマット変換工程は、クライアント装置が扱う画像データの属性に適合するよう前記画像データの解像度を変換して出力することができる。
【0039】
また、この発明にかかる画像処理方法は、この発明において、前記画像フォーマット変換工程は、前記蓄積工程によって蓄積された前記画像データを前記クライアント装置が扱う画像データの属性に適合するよう前記画像データの倍率を変換して出力することを特徴とする。
【0040】
この発明によれば、前記画像フォーマット変換工程は、クライアント装置が扱う画像データの属性に適合するよう前記画像データの倍率を変換して出力することができる。
【0041】
また、この発明にかかる画像処理方法は、この発明において、前記画像フォーマット変換工程は、前記画像処理工程により生成された多値画像データに対して所定のフィルタ処理を行うことを特徴とする。
【0042】
この発明によれば、画像データのMTFを強調させることができる。
【0043】
また、この発明にかかる画像処理方法は、この発明において、前記画像フォーマット変換工程は、前記画像処理工程により生成された多値画像データに対して所定の中間調処理を行うことを特徴とする。
【0044】
この発明によれば、多値の画像データに対して2値中間調処理を施して外部装置に転送することで、コンパクトでかつ汎用フォーマットの画像データを送信することができる。
【0045】
また、この発明にかかる画像処理方法は、この発明において、前記画像フォーマット変換工程は、前記画像処理工程により生成された多値画像データに対して所定の濃度γ変換処理を施すことを特徴とする。
【0046】
この発明によれば、画像データの濃度勾配などを適正に保つことができる。
【0047】
また、この発明にかかる画像処理方法は、この発明において、前記画像フォーマット変換工程は、前記画像処理工程により生成された多値画像データに対して所定の孤立点除去処理を施すことを特徴とする。
【0048】
この発明によれば、画像データに含まれる孤立点を除去することができる。
【0049】
また、この発明にかかる画像処理方法は、この発明において、前記画像フォーマット変換工程は、前記画像読み取り工程により生成された前記カラー画像信号に対して当該画像データに付帯する属性情報および前記クライアント装置が要求する属性から決定されたパラメータに基づいて所定の画像処理を実行することを特徴とする。
【0050】
この発明によれば、クライアント装置からの要求で画像処理装置の蓄積手段から画像データを読み出す際に、画像フォーマット変換手段のパラメータは前記蓄積手段に蓄積されている画像データの属性と前記クライアン装置が要求する属性とから決定されるため、前記クライアント装置は、画像処理装置の蓄積手段に蓄積されている画像データの属性をそのまま引き次いで引き取ることも可能である。また、クライアント装置がそのままの属性で画像データを引き取る場合には、画像フォーマット変換手段で画像の属性(フォーマット)を変更する必要がなく、効率的である。
【0051】
また、この発明にかかる画像処理プログラムは、この画像処理方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0052】
この発明によれば、画像処理方法をコンピュータに実行させることができる。
【発明の効果】
【0053】
本発明にかかる画像処理装置、画像処理方法および画像処理プログラムによれば、読み込んだ原稿画像から各種画像処理装置で共通に使用することが可能な汎用形式の画像データを生成し、これを外部装置へ送信することで、画像データの汎用化及び画像データの共有化を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる画像処理システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】スキャナ補正部の構成を示すブロック図である。
【図3】プリンタ補正部の構成を示すブロック図である。
【図4】画像フォーマット変換部の一構成例を示すブロック図である。
【図5】画像フォーマット変換部の一構成例を示すブロック図である。
【図6】画像フォーマット変換部によるデータフォーマットの一例を説明するための図である。
【図7】画像フォーマット変換部によるデータフォーマットの一例を説明するための図である。
【図8】画像フォーマット変換部によるデータフォーマットの一例を説明するための図である。
【図9−1】解像度変換器の説明図である。
【図9−2】解像度変換器の説明図である。
【図9−3】解像度変換器の説明図である。
【図10−1】フィルタ処理を説明するための図である。
【図10−2】フィルタ処理を説明するための図である。
【図10−3】フィルタ処理を説明するための図である。
【図11−1】γ処理を説明するための図である。
【図11−2】γ処理を説明するための図である。
【図12−1】ディザ法を説明するための図である。
【図12−2】ディザ法を説明するための図である。
【図13】誤差拡散法を説明するための図である。
【図14】外部のクライアント装置へ画像データを配信する場合の処理を説明するための図である。
【図15】画像データキャプチャ処理の手順を示すフローチャートである。
【図16】画像フォーマット変換処理の手順を示すフローチャートである。
【図17】画像フォーマット変換処理の手順を示すフローチャートである。
【図18】本発明の実施の形態2にかかる画像処理システムの全体構成を示すブロック図である。
【図19】スキャナ補正部の構成を示すブロック図である。
【図20】プリンタ補正部の構成を示すブロック図である。
【図21】画像フォーマット変換部の一構成例を示すブロック図である。
【図22−1】色空間変換処理を説明するための図である。
【図22−2】色空間変換処理を説明するための図である。
【図22−3】色空間変換処理を説明するための図である。
【図23】画像フォーマット変換処理の手順を示すフローチャートである。
【図24】画像フォーマット変換部の一構成例を示すブロック図である。
【図25】孤立点除去処理に用いるマトリクスを説明するための図である。
【図26】外部のクライアント装置へ画像データを配信する場合の処理を説明するための図である。
【図27】画像フォーマット変換処理の手順を示すフローチャートである。
【図28】本発明にかかるネットワークスキャナ技術を有した画像処理装置を示すブロック図である。
【図29】本発明にかかるキャプチャ技術を有した画像処理装置を示すブロック図である。
【図30】従来の一般的なネットワークスキャナ技術の構成を示すブロック図である。
【図31】従来の一般的なキャプチャ技術の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
ここで、以下に添付図面を参照して、本発明にかかる画像処理装置および画像処理方法の好適な実施の形態の概略について説明する。
以下の説明は、読み取った画像データを所定の画像処理を施した後に、PCやプリンタなどの各種画像処理装置で共通に使用することが可能な汎用形式に変換、あるいは圧縮処理をして送信する例を示すものである。
【0056】
(ネットワークスキャナ技術に関する機能)
図28は、本発明にかかるネットワークスキャナ技術を有した画像処理装置を示すブロック図である。
【0057】
本発明にかかる画像処理装置2800は、スキャナ部2801と、画像処理部2802と、画像蓄積部2803と、画像フォーマット変換部2804と、送信部2805と、を有している。そして画像処理装置2800には、PCa2806と、PCb2807と、が接続されている。
【0058】
原稿画像をスキャナ部2801にセットし、不図示の操作部で設定された画像データのフォーマット、解像度、階調、画像サイズなどのスキャンパラメータに基づいて、スキャンを実行する。そしてスキャナ部2801は、スキャンして読み取った画像を、例えばRGBの色空間で表現される画像データとして画像処理部2802へ出力する。
【0059】
画像処理部2802は、受け取った画像データに所定の画像処理を施す。ここでの画像処理は、保存や管理を簡便にするための圧縮処理などで、例えばJPEGなど汎用的な画像フォーマット形式へ変換するものである。また、写真あるいは文字モードの選択や、解像度の減縮や、倍率などの変換や、γ補正なども行う。続いて画像処理部2802は、JPEG形式へ変換した画像データを送信部2805へ出力し、送信部2805はJPEG形式の画像データを表示できるPCa2806へ送信する。
【0060】
加えて、画像処理部2802は、JPEG形式へ変換した画像データを画像蓄積部2803へ出力する。画像処理部2802はJPEG形式へ変換した画像データを画像蓄積部2803へ出力し、画像蓄積部2803は受け取った画像データを蓄積する。送信部2805は、JPEG形式の画像データを表示できるPCa2806あるいはPCb2807に対して画像蓄積部2803に蓄積されているJPEG形式の画像データを読み出して、送信することができる。これにより、PCa2806とPCb2807はいずれも画像処理装置2800内の画像蓄積部2803に蓄積されている画像データの共有ができる構成となっている。
【0061】
ここで、PCb2807がJPEG形式の画像データを処理可能なアプリケーションを有していない場合もあり、その場合には他の画像フォーマットを要求する場合もある。画像蓄積部2803は、蓄積したJPEG形式の画像データを画像フォーマット変換部2804へ転送し、画像フォーマット変換部2804はPCb2807が扱う画像データの属性に適応する画像フォーマット形式へ画像データを変換する。例えば画像データの属性は、PCb2807が有するアプリケーションで処理が可能な汎用的な画像フォーマット等である。また、変換例としては、JPEG形式の画像データをTIFF(Tagged File Format)形式やGIF(Graphics Interchange Format)形式の画像データに変換することが挙げられる。
【0062】
そして画像フォーマット変換部2804は、変換した画像データを送信部2805へ転送して、送信部2805は、画像データを表示できるPCb2807へ送信する。 ここで、PCb2807が表示できる画像フォーマット形式は、あらかじめ設定するだけでなく、PCa2806あるいはPCb2807の要求に応じて画像フォーマット変換部2804が変換する構成としてもよい。
【0063】
そしてユーザは、PCb2807が受け取った画像データを、PCb2807が有する画像データの変換形式に対応したアプリケーションを利用して閲覧や編集をしたり、保存したりできる。
【0064】
(キャプチャ技術に関する機能)
続いて、印刷出力を予定したキャプチャ技術に関する画像処理システムについて説明する。図29は、本発明にかかるキャプチャ技術を有した画像処理装置を示すブロック図である。
【0065】
本発明にかかる画像処理装置2900は、スキャナ部2901と、画像処理部2902と、印刷用画像蓄積部2903と、γ補正部2904と、プリンタ部2905と、画像フォーマット変換部2906と、送信部2907と、を有している。そして画像処理装置2900は、PC2908と接続している。
【0066】
原稿画像をスキャナ部2901にセットし、不図示の操作部で設定された解像度や階調や画像サイズなどのスキャンパラメータに基づいて、スキャンを実行する。そしてスキャナ部2901は、スキャンして読み取った画像を、例えばRGBの色空間で表現される画像データとして画像処理部2902へ出力する。
【0067】
画像処理部2902は、受け取った画像データに所定の画像処理を施す。ここでの画像処理は、印刷を目的とした画像処理であるため、解像度の減縮や倍率の変換は行わないが、印刷出力系の印刷用画像データとしてRGB系からCMYK系への色空間の変換を行う。また、写真や文字モードの選択や階調補正や圧縮処理なども行う。なお、印刷出力を予定した画像処理であるため、その圧縮処理は、伸張処理がしやすく、もとの画像データを再現できる程度のものである。その後画像処理部2902は、CMYK系へ変換した印刷用画像データを印刷用画像蓄積部2903へ蓄積し、印刷用画像蓄積部2903は印刷用画像データをγ補正部2904に転送する。γ補正部2904は、受け取った印刷用画像データにプリンタ用のγ補正を施した後、画像データをプリンタ部2905へ送出し、プリンタ部2905は、受け取った印刷用画像データを印刷し用紙出力をする。
【0068】
加えて、印刷用画像蓄積部2903は、CMYK系へ変換された印刷用画像データを画像フォーマット変換部2906へ出力する。そして、画像フォーマット変換部2906は、PC2908が扱う画像データの属性に適応する画像フォーマット形式へ画像データを変換する。例えば画像データの属性は、画像データの容量や種類などで、画像フォーマット変換部2906は、PC2908が有するアプリケーションで処理が可能な汎用的な画像フォーマット形式へ変換する。例えば汎用的な画像フォーマットは、JPEG形式やTIFF形式やGIF形式などである。また画像処理部2902での処理は、印刷を目的としたものではなく、送出のためのデータ圧縮であるため、必要に応じて、容量を小さくする圧縮であったり、カラーからモノクロへの変換であったりしてもよい。また、CMYK系の印刷用画像データをRGB系の画像データとする構成でもよい。その後画像フォーマット変換部2906は、変換した画像データを送信部2907へ転送し、送信部2907は、画像データをPC2908へ送信する。
【0069】
また、PC2908が処理できる画像形式は、あらかじめ不図示の設定部で設定する構成や、PC2908の要求に応じて画像フォーマット変換部2906が変換する構成としてもよい。
【0070】
なお、これまで説明した画像処理装置および画像処理方法の概略では、図28および図29でネットワークスキャナ技術とキャプチャ技術について機能別に説明したが、いずれの機能も有している構成としてもよい。
【0071】
以上説明した概略によれば、上述のネットワークスキャナ技術は、接続されたPCのユーザからの要求に応じて、画像データの形式を変換して送信ができるため、複数のPCでの画像データの共有が可能となる。
【0072】
また、本実施の形態によれば、上述のキャプチャ技術は、画像フォーマット変換部で、画像データをPCの能力に応じた汎用的な形式へ変換することができる。また、PCへ送信するための画像処理および送信手段を有しており、PCを用いた閲覧や編集を容易に行うことができる。
【0073】
次に、以下に添付図面を参照して、本発明にかかる画像処理装置、画像処理方法および画像処理プログラムの好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0074】
(実施の形態1)
まず、本発明の実施の形態1を説明する。図1は、本発明の実施の形態1にかかる画像処理システムの全体構成を示すブロック図である。この画像処理システムは、画像処理装置100とこの画像処理装置100とネットワークを介して接続された外部のクライアント装置117とにより構成される。画像処理装置100は、ファクシミリ(FAX)機能、プリンタ機能および入力画像(読み取り原稿画像やプリンタ或いはFAX機能により入力された画像)を配信する機能を備えた、いわゆるデジタル複合機を想定している。
【0075】
この画像処理装置100は、コピー機能に用いる要素として、原稿をカラー画像データとして読み取る読み取りユニット101、読み取りユニット101が読み取った画像データに対し所定の画像処理を施すスキャナ補正部102、スキャナ補正部102から出力される多値データを圧縮する多値データ固定長圧縮器103、圧縮後のデータを蓄積するHDD(ハード・ディスク・ドライブ)105を有する。
【0076】
FAX機能に用いる要素として、PSTNに接続してFAX信号の送受信と、受信した圧縮されたFAXデータを元のデータに戻す2値データ可変長可逆伸張器111aを備えたFAXコントローラ111を有する。
【0077】
プリンタ機能に用いる要素として、ネットワーク接続された外部のクライアント装置117との間の通信を行うためのNIC(ネットワーク・インターフェース・コントーラ)113と、NIC113を介して外部のクライアント装置117からの印刷コマンドにしたがってラスタイメージ処理(RIP)を行い、またRIP後のデータ専用の圧縮を行うプリンタコントローラ104を有する。
【0078】
画像データ配信機能に用いる要素として、上記各機能を用いる際に生成されHDD105に蓄積されたデータを、転送先の利用端末(クライアント装置117)に適合するデータ形式に変換する画像フォーマット変換部114(後記で詳述)を有する。
【0079】
また、上記各機能を用いて生成される画像データにより印刷出力(画像形成処理)を行う場合には、HDD105に蓄積されたデータを用いる。そこで、蓄積した圧縮データを元のデータに戻すために、コピー機能の場合には多値データ固定長伸張器106を、他方、FAX、プリンタの各機能の場合にはプリンタコントローラ104に2値データ可変長可逆伸張器104aを設けている。また、画像形成処理を行うための手段として、伸張後のデータに補正を施すプリンタ補正部107と、GAVD108、作像ユニット109からなるエンジン部121を有する。なお、スキャナ補正部102、プリンタ補正部107などのエンジン部121はエンジンコントローラ110によって制御される。
【0080】
また、画像処理装置100全体は、メインコントローラ116によって制御される。
【0081】
次に、上記した要素により構成される画像処理装置100の機能を動作とともに、より詳細に説明する。
【0082】
まず、コピー機能使用時の処理に関して説明する。原稿を読み取る場合、原稿台にセットされた原稿を読み取りユニット101によって読み取り、R,G,Bに色分解されたデータがスキャナ補正部102へ送られる。図2は、スキャナ補正部102の構成を示すブロック図である。スキャナ補正部102では、スキャナγ補正部201によるスキャナγ補正処理、フィルタ処理部202によるフィルタ処理、解像度変換器203による解像度変換処理がそれぞれ行われる。解像度変換後の画像データは、多値データ固定長圧縮器103によって圧縮され、1bitの画像データに変換される。
【0083】
多値データ固定長圧縮器103により圧縮された画像データは、汎用バス115を介してプリンタコントローラ104へ送られる。プリンタコントローラ104は、画像データ用の半導体メモリ112を備え、送られたデータをここに蓄積する。本実施の形態1のスキャン画像の解像度は600dpiなのでコピー時の蓄積解像度は600dpiである。
【0084】
蓄積された画像データは随時HDD105に書き込まれる。これはプリントアウト時に用紙がつまり、印字が正常に終了しなかった場合でも、再び原稿を読み直すのを避けるためであったり、電子ソートを行うためである。近年はこれだけでなく、読み取った原稿を蓄積しておき、必要なときに再出力する機能が追加されている。
【0085】
印刷出力する場合は、HDD105内の圧縮画像データは、一度半導体メモリ112に展開され、次に汎用バス115を介してエンジン部121へ送られる。エンジン部121 の多値データ固定長伸張器106により再び伸張画像データに変換される。次に、この伸張されたデータはプリンタ補正部107へ送られる。図3は、プリンタ補正部107の構成を示すブロック図である。プリンタ補正部107では、入力された画像データに対してプリンタγ補正部301でプリンタγ補正処理を行う。次に、中間調処理部302でGAVD108および作像ユニット109に合わせた中間調処理を行い、作像に用いるデータとして次段へ送り、転写紙に出力する。
【0086】
また、プリンタ機能は、NIC113を介して接続されている外部のクライアント装置117からプリント要求があった場合に動作する。プリンタコントローラ104の動作については既存の手段を適用できるので、詳述しないが、ここでは外部のクライアント装置117から受け取ったプリント要求にしたがって、半導体メモリ112内で描画データとして用いる1bitのRIP画像データが生成される。ラスタイメージ処理(RIP)された画像データは、プリンタコントローラ104の専用の圧縮器(2値データ可変長可逆圧縮伸張器104a)によって順次圧縮される。これはRIP後のデータサイズが大きいため圧縮せずに半導体メモリ112に蓄積すると、メモリ消費量が多くなるからである。ゆえに、この圧縮後の画像データはHDD105に蓄積される。なお、プリンタ動作時の解像度は,300,600,1200dpiなどである。
【0087】
また、FAX機能は、FAXコントローラ111がFAX受信をした場合に動作する。FAXコントローラ111の動作については既存の手段を適用できるので、詳述しないが、ここでは受信した圧縮されたFAX信号を2値データ可変長可逆圧縮伸張器111aにより元のデータに戻し、エンジン部121で描画データとして用いるRIP画像を生成する。 このときにRIP画像データをHDD105に蓄積するが、RIP後のデータサイズが大きいため圧縮せずに半導体メモリ112に蓄積すると非常にたくさんのメモリを消費するので、圧縮をかけ、圧縮後のデータをHDD105に蓄積する。この圧縮処理は、プリンタ機能使用時と同様に、プリンタコントローラ104に備えられている専用の2値データ可変長可逆圧縮伸張器104aによって行う。なお、FAX動作時の解像度は、200,300,400dpiなどである。
【0088】
さらに、スキャナ動作時には、プリンタコントローラ104の2値データ可変長可逆圧縮伸張器104aで圧縮された画像データ、または圧縮処理が施されていない画像データそのものがHDD105に蓄積される。また、蓄積される画像データは、中間調処理が施され2値化された画像データや多値のままの画像データの場合もある。本実施の形態1のコピーのスキャナ読み取り解像度は600dpiなので、スキャナ時の蓄積画像データの解像度は600dpiである。
【0089】
以上にように、画像処理装置100のHDD105上には様々なフォーマットで圧縮された、様々な解像度のデータが存在することになる。HDD105中の画像データの圧縮フォーマットと解像度をまとめると、次に示す表1のようになる。
【0090】
【表1】

【0091】
本実施の形態1の画像処理システムでは、入力された画像をHDD105に一旦蓄積した後に、HDD105から蓄積したデータを取り出して用いる方式を採用している。したがって、画像データを画像処理装置100の外部へ配信する場合も、HDD105の蓄積データを配信することになる。
【0092】
ところで、先に述べたように、HDD105内に蓄積されている画像データには色々な種類があり、それらがどれも独自のフォーマットであるため、そのまま外部装置へ転送しても、利用側に適合しないフォーマットである場合が生じる。このため、配信先の利用端末に適用可能なデータ形式の画像データヘ変換することにより、利用側で不都合を生じないようにする必要がある。そこで、本実施の形態1では、HDD105に蓄積されている画像データを画像フォーマット変換部114により、装置特有の専用データフォーマットから装置特性に依存しない汎用データフォーマットに変換を行うことを原則とする。また、この画像処理システムでは、クライアント装置117が取得する画像データの種類およびフォーマットを指定する。
【0093】
以下、画像フォーマット変換部114の構成について説明する。図4は、画像フォーマット変換部114の構成の一例を示すブロック図である。図4は、クライアント装置117から、HDD105に蓄積されているプリンタ機器の固有の2値可逆圧縮方式が施されている画像データを、汎用的な2値圧縮データに変換して取得をすることが求められた場合に対応できる構成を示している。この場合は、図4に示すように、まず、伸張器401によりHDD105から取り込んだ装置固有の2値可逆圧縮データを伸張・変換し、さらにこのデータを圧縮器402で汎用的な2値可逆圧縮方式であるMH/MR/MMR方式で圧縮し、所定のTIFFフォーマットのヘッダを付加して、外部クライアント装置117へ配信する。
【0094】
図5は、画像フォーマット変換部114の他の構成例を示すブロック図である。図5は、外部クライアント装置117から、HDD105に蓄積されているコピー用の画像データを、1/2の解像度の2値画像データとして取得することが求められた場合に対応できる構成例を示している。この場合は、図5に示すように、伸張器401によりHDD105から取り込んだコピー用の圧縮画像データを伸張する。次に、伸張後の画像データを解像度変換器501により解像度変換を行う。HDD105に蓄積されているコピー用の画像データの解像度が、例えば600dpiである場合には、解像度変換器501ではその1/2である300dpiの解像度に変換される。次に、解像度変換処理が施された画像データに対して、フィルタ処理部502により所望の強度の強調フィルタ処理が施される。フィルタ処理が施された画像データに対しては、その後、順次、濃度γ部503で濃度γ変換処理、中間調処理部504で誤差拡散法などの2値化処理が行われる。そして、最後に、圧縮器402でG3圧縮方式による2値画像データの圧縮が行われる。このような画像処理が施された画像データは、NIC113を経由して、クライアント装置117へ配信される。
【0095】
クライアント装置117からはどのような画像データを取得するか、例えば、解像度、フィルタ処理の種類、γ変換の種類、中間調処理の種類、汎用圧縮方式の種類や有無、出力フォーマットなどの指定が可能である。この指定によって、HDD105に蓄積されている様々な画像データに対し、適切な画像処理が施され、クライアント装置117へ配信される。
【0096】
また、画像処理システムにおいて、画像データ以外の、付帯情報を配信することもできる。クライアント装置117側が、どのような画質の画像データを要求するかについては、XML言語などの汎用形式で通信が行われる。この通信情報の中に、全ての画像処理パラメータが記載されており、それらにしたがって画像フォーマット変換部114が処理し画像データの配信が行われる。
【0097】
また、画像フォーマット変換部114では、HDD105に蓄積されている画像データに付帯している蓄積元のアプリケーションを検出し、クライアント装置117へ配信するアプリケーション(一般的には、スキャナアプリと呼ばれている)の画像データを選択し、クライアント装置117からの要求に応じた所定の画像処理を行う。所定の画像処理とは、解像度変換、フィルタ処理、γ変換処理、中間調処理などの画像処理のことである。
【0098】
次に、画像フォーマット変換部114のより具体的な構成例について説明する。
【0099】
まず、図6の例は、画像フォーマット変換部114に入力される画像データが多値データであり、この入力多値データは多値データ圧縮方式によってデータ圧縮された汎用データフォーマットである。そして、画像フォーマット変換部114が出力する画像データは多値データであり、この出力多値データは多値圧縮方式によって圧縮された汎用データフォーマットである。すなわち、伸張器401、圧縮器402は、汎用のデータフォーマットで伸張、圧縮を行う。なお、図6において、画像処理部601は、前述の解像度変換器501、フィルタ処理部502、濃度γ部503、中間調処理部504などを含み構成されている(これらについては、後述の図7、図8においても同様)。
【0100】
この画像フォーマット変換部114では、JPEG圧縮された状態で入力された画像データを伸張器401によって伸張し、多値データに復元した後に、画像処理部601が画像処理を行う。その後、当該画像データを再び外部に出力する際に、圧縮器402によってJPEG圧縮を行い、汎用データフォーマットの状態で出力する。
【0101】
この例では、汎用の画像フォーマット変換部114のフォーマットとしてJPEGを用いているが、その他にもJPEG2000など、PCなどで一般的に使用できる汎用のデータフォーマットを用いることができる。
【0102】
このように、JPEGのような標準化されている汎用のデータフォーマットでデータの送受信を行うことで、送受信されるユニット間でのデータフォーマットを統一することができる。さらに、データ品質と、データ送受信効率の双方を維持したデータ形式変換システムが構築可能となる。
【0103】
また、画像データが2値データである場合は、MHMR/MMR方式等の汎用の標準的な画像の圧縮、伸張フォーマットを用いることができる。
【0104】
次に、図7の例では、画像フォーマット変換部114に入力する画像データが画像処理装置100の専用のデータフォーマットで圧縮されていて、出力する画像データは図6の例と同様な汎用のデータフォーマットとしている。ここでいう専用のデータフォーマットとは、画像処理装置100に特有のデータフォーマットであって、JPEG,JPEG2000など、通常のPCなどで普通に用いることができる汎用のデータフォーマットではないことである。
【0105】
そのため、伸張器401においては、専用のデータフォーマットからの伸張方式として、圧縮効率、もしくは、データ加工効率を維持した専用のブロック固定長伸張方式を用いている。圧縮器402における圧縮方式は、図6の例と同様に汎用のデータフォーマットを用いる。
【0106】
この画像フォーマット変換部114では、専用ブロック固定長圧縮された状態で入力された画像データを伸張器401によって伸張し、多値データに復元した後に、前記処理モードに基づいて画像処理部601が画像処理を行う。その後、当該画像データを再び外部に出力する際に、圧縮器402によってJPEG圧縮を行い、汎用データフォーマットの状態で出力する。
【0107】
また、図7の例においては、このように専用のデータフォーマットが専用的なブロック固定長圧縮データであるため、特に画像データによる圧縮率の変動を固定化して管理することができる。さらに、ブロック単位で取り扱うことで、画像の向きの回転、並び替え等のデータ加工が容易となる。なお、ブロック固定長符号化、復号の方式は公知であるため、詳細な説明は省略する(必要であれば、特開平11‐331844号公報を参照)。画像データが2値データの場合には、例えば、特開2002‐077627公報に開示の技術を用いることができる。
【0108】
また、JPEGの様な、標準化されている汎用のデータフォーマットで画像データの送信を行うことで、送信されるユニットでのデータフォーマットを統一でき、さらに、データ品質と、データ送受信効率の双方を維持したデータ形式変換システムが構築可能となる。
【0109】
なお、画像データが2値データである場合は、圧縮器401において、MHMR/MMR方式等の汎用の標準的な画像の庄縮、伸張フォーマットを用いることができる。
【0110】
また、図8の例では、図7の例と異なり、画像フォーマット変換部114から出力する画像データも、画像フォーマット変換部114に入力されたものと同じ画像処理装置100の専用のデータフォーマットで圧縮されている。そのため、圧縮器402においては、この専用のデータフォーマットでブロック固定長圧縮により画像データを圧縮する。
【0111】
このように、専用のデータフォーマットが専用的なブロック固定長圧縮データであることで、特に画像データによる圧縮率の変動を固定化して管理することができる。さらに、画像データをブロック単位で取り扱うことで、画像の向きの回転、並び替え等のデータ加工が容易となる。ブロック固定長符号化、復号の方式は公知であるため、詳細な説明は省略する(必要であれば、特開平11‐331844号公報を参照)。また、画像データが2値データの場合には、例えば、特開2002‐077627公報に開示の技術を用いることができる。
【0112】
次に、解像度変換器501について説明する。
【0113】
ここでは、対象となる画素データが多値データであり、主走査方向と副走査方向の双方に任意の解像度への変換が可能な方式の例を説明する。図9‐1に示すように、この解像度変換器501は、入力される多値データに対して主走査方向に解像度変換を行う主走査方向解像度変換ブロック901と、主走査方向に変換後の多値データに対して副走査方向に解像度変換する副走査方向解像度変換ブロック902とで構成されている。
【0114】
また、図9‐2に示すように、主走査方向解像度変換ブロック901では、入力多値データを指定された解像度へのデータ数の変換をするために、主走査方向に画素補間を行う。補間する画素データ値の算出方式としては、一般的な最近接画素置換法、隣接2画素加重平均法、3次関数コンボリューション法などを用いることを想定している。具体的には、各1ビットのデータをラッチできる複数のFF(フリップ・フロップ)903で画素データを記憶し、補間画素算出部904で補間するデータ値の算出を行う。
【0115】
さらに、図9‐3に示すように、主走査方向への解像度変換後のデータは、副走査方向解像度変換ブロック902で、主走査解像度変換後の1ライン分のデータを蓄積可能な1ラインメモリ905を複数ライン分もった副走査ライン蓄積メモリ906から、副走査方向の参照画素データに基づいて、補間するラインのデータ値の算出を補間画素算出部907で行う。算出方式は、主走査方向と同様に最近接画素置換法、隣接2画素加重平均法、3次関数コンボリューション法などを用いることができる。
【0116】
次に、フィルタ処理部502の処理を説明する。フィルタ処理は、画像データのMTFを変調させるものであるが、もとの画像データよりもMTF値を高めて画像のエッジを強調する場合と、MTF値を下げて画像を平滑化する場合の2種類がある。
【0117】
画像データのMTFを高める場合は、図10‐1に示すように、基画像の画像周波数を実線、フィルタ処理後の画像周波数を破線で示し、画像周波数の隆起を強調するような処理を施す。ただし、縦軸は画像濃度のダイナミックレンジとし、横軸は画像データのラスタ形式参照を示している。
【0118】
同様に、画像データのMTFを平滑化する場合は、図10‐2に示すように、画像周波数の隆起が鈍るような処理を施す。実際の処理としては、2次元の画像データのラスタ形式方向をライン方向(x方向)、他方向をy方向とし、画像データをライン単位で扱い、注目画素値を周辺の画素値を基に算出する。
【0119】
次に、図10‐3は、注目画素を中心とした周辺5×5画素を、注目画素をXn, mとて、周辺画素を記号化して表している。
【0120】
画像データのMTFを高める場合は、強調する必要がある画像周波数の微分係数を、画像データの解像度を基調としてマトリクス状に配置した係数(以下、マトリクス係数という)を算出する。そのマトリクス係数を、周辺画素記号と同形式に、An-2,m-2,An-2,m-1,・・・,An,m,An+2,m+1,An+2,m+2と記号化すると、画像データのMTFを高める場合のフィルタ処理後の注目画素値Yは、次のような演算式で表せる。
【0121】
B=(Xn-2,m-2×An-2,m-2)+(Xn-2,m-1×An-2,m-1)+・・・+(Xn+2,m+2×An+2,m+2)・・・(1)D=B×C・・・(2)Y=D+Xn,m・・・(3)
【0122】
(1)式は、微分係数により求めたマトリクス係数と画像データを、行列積の演算を行ったものである。この(1)式により求められたBの値が、フィルタ処理による画像の強調成分である。また、(2)式はその強調成分を任意に増減幅する項である。(2)式により求まったフィルタ処理による強調値を、注目画素値に加算することで、最終的な注目画素値Yを算出する((3)式)。上記のような演算により、画像データの基画素を変換することで、画像データのMTFを高める操作を行う。
【0123】
画像データを平滑化する場合は、注目画素とその周辺画素を加算して画素数Eで除算することにより、注目画素とその周辺画素との平均値を求める。このような演算により、画像データの基画素を変換することで、画像データの平滑化の操作を行う。平滑化の度合いを調整する意味で、注目画素や周辺画素の重みを単純に等価として平均化せず、各画素間に隔たりを持たせるのであれば、下記(4)式のようにマトリクス係数に任意の整数を代入することで、注目画素値Yを調整することが可能である。
【0124】
Y=(Xn-2, m-2×An-2, m-2)+(Xn-2, m-1×An-2, m-1)+・・・+(Xn+2, m+2×An+2, m+2)/E・・・(4)
【0125】
以上のような処理により、フィルタ処理部502では、多値の画像データに対し、MTFの変調を可能とするフィルタ処理機能を実現できる。これにより、もとの画像が文字中心の画像であれば、MTFの強調を行うことで画像の品質が向上する。また、画像が絵柄中心であれば、若干の平滑化により滑らかさを与えることで画像の品質が向上する。このように画像の種類に応じたフィルタ係数を選択することで高品質な画像の取得が可能となる。
【0126】
次に、濃度γ部503の処理を説明する。濃度γ部503によるγ変換処理は、画像の濃度勾配や濃度特性を可変とするものである。図11‐1に示すように、実線がγ変換テーブルとすると、グラフにしたがって、基画像データ(横軸)に相当する値をγ変換後の画像データ(縦軸)の値に変換するだけである。この変換テーブルの曲線を変更して、狙いの濃度分布をもつ画像データに変更することが可能となる。例えば、図11‐1の破線で示しているようなγ変換テーブルにすれば、実線で示しているγ変換テーブルに比べ、γ変換後の画像データを濃度勾配が滑らかな画像データに変換することができる。ただし、図11‐1において、図の矢印側になるにつれ濃度が高くなる。
【0127】
γ変換テーブルの作成方法は、便宜上、図11‐2に示してある原点から45゜方向に延びるリニアなγ変換テーブル(実線)を、もとに説明する。
【0128】
濃度特性を変えずに画像の全体濃度を上下させる場合は、図11‐2に示すように、グラフの横軸方向にγ変換テーブル(破線)のように平行移動させればよく、画像の濃度勾配を変える場合は、γ変換テーブルの傾きを変更すればよい。また、濃度特性を変更する場合は、図11‐1にあるような、連続する曲線で示せるようなγ変換テーブルの湾曲具合を変更すれば、任意の濃度特性が得られる。
【0129】
これらの手段により、濃度γ部503では、多値の画像データに対し、画像データの濃度勾配および濃度特性の変更を可能とするγ変換処理機能を実現できる。このことにより、画像の種類に応じたγカープを選択することで高品質な画像の取得が可能となる。
【0130】
次に、中間調処理部504の処理を説明する。中間調処理部504は、多値画像データを2値もしくはそれに近い少値の階調数に量子化する処理であるが、その具体的方法は様々存在する。ここでは、一般的に用いられる、単純量子化法、ディザ法、誤差拡散法について説明する。ただし、量子化階調数は、便宜上2値とする。
【0131】
まず、単純量子化法は、多値の画像データのダイナミックレンジ中の任意の値を閾値として、画像データを2階調化するものである。例えば、ダイナミックレンジが0〜255の256階調である多値の画像データを0と1の値に量子化する場合、閾値が128であるとすると、画像データが100であれば量子化値は0となり、200であれば量子化値は1となる。
【0132】
ディザ法は、マトリクス状になった閾値を用いて、図12‐1のディザ閾値マトリクス1201を1閾値1画素というように、図12‐2の画像データ1202にタイル状に当てはめていき、画素毎に2階調化を行うものである。マトリクス内の閾値を、画像データのダイナミックレンジの範囲でばらつくような閾値にすれば、画像の解像度とトレードオフとなるが、2階調化された画像データでも中間濃度が再現可能となる。
【0133】
誤差拡散法は、単純量子化法と同様に、任意の閾値にて2階調化を行うが、量子化する際に発生する量子化誤差を蓄積し、処理を行っている注目画素は、ラスタ形式順ですでに量子化処理が終了し誤差が確定している周辺画素の誤差を加味して量子化を行うことにより、画像データトータルでの量子化による誤差を最小限に留めようとする中間調処理である。
【0134】
量子化する場合に発生する誤差とは、例えば、ダイナミックレンジが0〜255の256階調である多値の画像データを0と1の値に量子化する場合、画像データが100であれば量子化値は0となるが、画像データには100という中間濃度情報があったにも関わらず、最低値の0扱いとなってしまい、画像データの中間濃度情報が失われることを意味する。ゆえに、この画像データの量子化誤差は“100=100‐0”(ダイナミックレンジの最低値)となる。また、画像データが200であれば量子化値は1となるが、この場合も200という中間濃度情報があったにも関わらず、1という最高値扱いになってしまうので、この画像データの量子化誤差は“‐55=200‐255”(ダイナミックレンジの最高値)となる。
【0135】
これらの量子化誤差値を、画素毎に量子化処理終了後、画像データとは別のデータとして蓄積しておくと、図13に示すように、画像データ1301はラスタ形式で順に処理されることを考えれば、網掛してある画素1302については、すでに量子化の誤差は確定済みであり蓄積されていることになる。誤差拡散法では、誤差の確定している注目画素1303周辺の誤差値の平均を注目画素値に加算してから2階調化を行うことで、画像データトータルでの量子化誤差による中間濃度情報の欠落を、緩和することを可能としている。
【0136】
これらの方法により、中間調処理部504では、多値の画像データに対し、画像データの2値化処理を行うことができる。これによりデータ量を減少させ、かつ画像の種類に対応した中間調処理を選択することで、高品質な画像の取得が可能となる。
【0137】
また、対象画像データが2値データの場合、次の(5)式を用いて256値データへ階調数を変換する。対象となる画像データが2値データの場合、1bitの注目画素データの周辺(2次元マトリクス内)の画素を参照して空間フィルタを施す。1bitデータはその値が0の場合は0、1の場合は255として8bitへ変換し、(5)式に示すマトリクス係数との演算式に基づきフィルタ演算を行う。この演算により、2値データから多値データへの変換が可能となる。
【0138】
【数1】

【0139】
次に、画像フォーマット変換部114のパラメータ設定について説明する。HDD105に蓄積されている画像データに対して各クライアント装置117が配信要求をする際に、受け取る(キャプチャする)画像の属性の設定をクライアント装置(PC)117側から行う。画像処理装置100側は、クライアント装置117からの画像キャプチャ要求信号により指定された画像データの属性とHDD105に蓄積されている画像データの属性から画像フォーマット変換部114内の画像データパラメータ値が決定され、設定される。具体的には、解像度変換、フィルタ処理、γ変換処理、中間調処理の各パラメータ値が変更され、これらのパラメータ値に基づく画像処理が施された画像データがクライアント装置117へ配信される。
【0140】
例えば、図14に示すように、HDD105に蓄積されている画像データを非圧縮、解像度が600dpiの画像データとする。そして、クライアント装置117aは、解像度200dpiのJPEG画像、クライアント装置117bは解像度400dpiのTIFF画像、クライアント装置117cは解像度100dpiのJPEG2000画像、という画像データの属性で画像データを受け取る(キャプチャする)ことを各クライアント装置から要求したとする。画像フォーマット変換部114では、それぞれの要求を受けて各クライアント装置117(117a〜117c)の要求に応じた画像処理を施す。HDD105に蓄積されている画像データは非圧縮であるので、伸張器401はスルー動作である。
【0141】
次の解像度変換器501では、クライアント装置117(117a〜117c)の解像度の要求とHDD105に蓄積されている画像データの解像度から解像度変換パラメータ値が決定される。クライアント装置117aに対しては、600dpiから200dpiへの解像度変換が、クライアント装置117bに対しては600dpiから400dpiへの解像度変換が,クライアント装置117cに対しては600dpiから100dpiへの解像度変換が施される。
【0142】
次に、圧縮器402では、クライアント装置117aに対してはJPEGファイル形式への変換が,クライアント装置117bに対してはTIFFファイル形式への変換が、クライアント装置117cに対してはJPEG2000ファイル形式への変換処理が施される。
【0143】
ところで、HDD105には画像データと一緒に画像処理装置100の操作部(不図示)から入力された画像データ読み取り時の属性情報が蓄積されている。そこで、各クライアント装置は、画像処理装置100から画像データを受け取る(キャプチャする)際に、HDD105に蓄積されている画像データの属性をそのまま受け継ぎたい場合は、キャプチャする画像データの属性を指定しなくても画像フォーマット変換部114で画像データとともに管理しているデータ形式に関する情報の全部または一部を自動的に変換できるようにするとよい。このようにすることで、各クライアント装置117からキャプチャする画像データの属性を設定するという手間を省くことができ、操作性が向上する。
【0144】
次に、この実施の形態1にかかる画像処理システムを用いた画像データキャプチャ処理の手順を説明する。図15は、この画像データキャプチャ処理の手順を示すフローチャートである。
【0145】
まず、ユーザは、クライアント装置117からキャプチャする画像データ(HDD105に蓄積されている)を選択する(ステップS1501)。次に、クライアント装置117からキャプチャする画像データのキャプチャ条件(属性)を指定する(ステップS1502)。ここで指定されるキャプチャ条件は、例えば、画像データの解像度や、フィルタ処理、γ変換処理、中間調処理、出力フォーマットなどに関するものである。
【0146】
次に、プリンタコントローラ104は、ステップS1501において選択された画像データの属性をみて、ステップS1502において指定されたキャプチャ条件を満足するためにどのような画像処理を実行するかを決定する(ステップS1503)。
【0147】
画像フォーマット変換部114がステップS1501で選択された画像データに対して、ステップS1503で決定された画像処理を実行する(ステップS1504)。
【0148】
最後に、画像フォーマット変換部114がすべての画像処理が修了した画像データをキャプチャ要求したクライアント装置117へ配信する(ステップS1505)。
【0149】
次に、画像フォーマット変換部114における画像データの処理手順を説明する。まず、HDD105にプリンタ機器の固有の2値可逆圧縮方式が施されている画像データが蓄積されており、これを汎用的な2値圧縮データに変換してクライアント装置117へ配信する場合について示す。図16は、この場合のフォーマット変換処理の手順を示すフローチャートである。
【0150】
まず、画像フォーマット変換部114の伸張器401によりHDD105から取り込んだ装置固有の2値可逆圧縮データを伸張・変換する(ステップS1601)。次に、このデータを圧縮器402により汎用的な2値可逆圧縮方式であるMH/MR/MMR方式で圧縮し、所定のTIFFフォーマットのヘッダを付加する(ステップS1602)。
【0151】
続いて、HDD105にコピー用の画像データが蓄積されており、この画像データの解像度を変換し、2値画像データとしてクライアント装置117へ配信する場合について示す。図17は、この場合のフォーマット変換処理の手順を示すフローチャートである。
【0152】
まず、画像フォーマット変換部114の伸張器401によりHDD105から取り込んだコピー用の圧縮画像データを伸張し専用フォーマットに変換する(ステップS1701)。次に、伸張後の画像データを解像度変換器501により解像度変換を行う(ステップS1702)。次に、解像度変換処理が施された画像データに対して、フィルタ処理部502により所望の強度の強調フィルタ処理を施す(ステップS1703)。フィルタ処理が施された画像データに対しては、その後、順次、濃度γ部503で濃度γ変換処理(ステップS1704)、中間調処理部504で誤差拡散法などの2値化処理(ステップS1 705)を施す。そして、最後に、圧縮器402でG3圧縮方式による2値画像データの圧縮が行われる(ステップS1706)。
【0153】
以上説明したような処理を行うことで、画像処理装置100が蓄積している画像データに対して、簡易な処理で、効率的に、適切な画像処理を施して、外部のクライアント装置117が望むフォーマットの画像データを配信することができる。
【0154】
また、画像データの解像度の変換や倍率の変換、配信に適した圧縮率での圧縮など、外部のクライアント装置117への配信に適した画像処理を実行することにより、外部のクライアント装置117へ配信を行うことができ、外部のクライアント装置117で画像データの閲覧や編集を容易に行えるようになる。
【0155】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2を説明する。実施の形態2は、カラーの原稿画像を取り込み、装置内部でこれを一旦モノクロ画像データに変換した後、再度カラー画像データに変換して配信する場合の例を示すものである。図18は、本発明の実施の形態2にかかる画像処理システムの全体構成を示すブロック図である。この画像処理システムも、実施の形態1と同様、画像処理装置1800とこの画像処理装置1800とネットワークを介して接続された外部のクライアント装置117とにより構成される。画像処理装置1800は、ファクシミリ(FAX)機能、プリンタ機能および入力画像(読み取り原稿画像やプリンタ或いはFAX機能により入力された画像)を配信する機能を備えた、いわゆるデジタル複合機を想定している。
【0156】
この画像処理装置1800は、コピー機能に用いる要素として、原稿をカラー画像データとして読み取る読み取りユニット1801、読み取りユニット1801が読み取った画像データに対し所定の画像処理を施すスキャナ補正部1802、スキャナ補正部1802から出力されるカラー・モノクロ多値データを圧縮するカラー・モノクロ多値データ固定長圧縮器1803、圧縮後のデータを蓄積するHDD(ハード・ディスク・ドライブ)1805を有する。
【0157】
FAX機能に用いる要素として、PSTNに接続してFAX信号の送受信と、受信した圧縮されたFAXデータを元のデータに戻す2値データ可変長可逆伸張器1811aを備えたFAXコントローラ1811を有する。
【0158】
プリンタ機能に用いる要素として、ネットワーク接続された外部のクライアント装置117との間の通信を行うためのNIC1813と、NIC1813を介してクライアント装置117からの印刷コマンドにしたがってラスタイメージ処理(RIP)を行い、またRIP後のデータ専用の圧縮を行うプリンタコントローラ1804を有する。
【0159】
画像データ配信機能に用いる要素として、上記各機能を用いる際に生成されHDD1805に蓄積されたデータを、転送先の利用端末(クライアント装置117)に適合するデータ形式に変換する画像フォーマット変換部1814(後記で詳述)を有する。
【0160】
また、上記各機能を用いて生成される画像データにより印刷出力(画像形成処理)を行う場合には、HDD1805に蓄積されたデータを用いる。このために、蓄積した圧縮データを元のデータに戻すために、コピー機能の場合にはカラー・モノクロ多値データ固定長伸張器1806を、他方、FAX、プリンタの各機能の場合にはプリンタコントローラ1804に2値データ可変長可逆伸張器1804aと、カラー可変長可逆圧縮データ伸張器1804bを設けている。また、画像形成処理を行うための手段として、伸張後のデータに補正を施すプリンタ補正部1807と、GAVD1808、作像ユニット1809からなるエンジン部1821を有する。なお、スキャナ補正部1802、プリンタ補正部1807などのエンジン部1821はエンジンコントローラ1810によって制御される。
【0161】
また、画像処理装置1800全体は、メインコントローラ1816によって制御される。
【0162】
次に、上記した要素により構成される画像処理装置1800の機能を動作とともに、より詳細に説明する。
【0163】
まず、コピー機能使用時の処理に関して説明する。原稿を読み取る場合、原稿台にセットされた原稿を読み取りユニット1801によって読み取り、R,G,Bに色分解された画像データがスキャナ補正部1802へ送られる。図19は、スキャナ補正部1802の構成を示すブロック図である。スキャナ補正部1802では、スキャナγ補正部1901によるスキャナγ補正処理、フィルタ処理部1902によるフィルタ処理が施される。
フィルタ処理が施されたRGB画像データは、次に色補正部1903による色補正処理でCMYK画像データに変換される。そして、このCMYK画像データは、変倍部1904によって変倍処理が施される。変倍後のCMYK各色8bitの色データは、カラー・モノクロ多値データ固定長圧縮器1803によって圧縮され、各色2bitの画像データに変換される。
【0164】
カラー・モノクロ多値データ固定長圧縮器1803により圧縮されたCMYK画像データは、汎用バス1815を介してプリンタコントローラ1804へ送られる。プリンタコントローラ1804は、各色毎に独立した半導体メモリ1812を持ち、送られたデータをここに蓄積する。本実施の形態2のスキャン画像の解像度は600dpiなのでコピー時の蓄積解像度は600dpiである。
【0165】
蓄積された画像データは、実施の形態1の場合と同様、随時HDD1805に書き込まれる。これはプリントアウト時に用紙がつまり、印字が正常に終了しなかった場合でも、再び原稿を読み直すのを避けるためであったり、電子ソートを行うためである。近年はこれだけでなく、読み取った原稿を蓄積しておき、必要なときに再出力する機能が追加されている。
【0166】
いずれにしても、HDD1805からの蓄積データにより印刷出力を行うので、印刷出力する場合は、HDD1805内のCMYKの圧縮データは、一度半導体メモリ1812に展開され、次に汎用バス1815を介してエンジン部1821へ送られる。エンジン部1821のカラー・モノクロ多値データ固定長伸張器1806により再びCMYK8bitの画像データに変換される。次に、この伸張されたデータはプリンタ補正部1807へ送られる。図20は、プリンタ補正部1807の構成を示すブロック図である。図20に示すように、プリンタ補正部1807ではCMYKの各色に対してプリンタγ補正部2001でプリンタγ補正処理を行う。次にGAVD1808および作像ユニット1809に合わせた中間調処理を中間調処理部2002で行い、作像に用いるデータとして次段に送り、転写紙に出力する。
【0167】
また、プリンタ機能は、NIC1813を介して接続されているクライアント装置117からプリント要求があった場合に動作する。プリンタコントローラ1804の動作については既存の手段を適用できるので、詳述しないが、ここではクライアント装置117から受け取ったプリント要求にしたがって、半導体メモリ1812内で描画データとして用いる1bitのRIP画像データが生成される。ラスタイメージ処理(RIP)された画像データは、プリンタコントローラ1804の専用の圧縮器によって順次圧縮される。これはRIP後のデータサイズが大きいため圧縮せずに半導体メモリ1812に蓄積すると,メモリ消費量が多くなるからである。ゆえに、この圧縮後の画像データはHDD1805に蓄積される。なお、プリンタ動作時の解像度は、300,600,1200dpiなどである。
【0168】
また、FAX機能は、FAXコントローラ1811がFAX受信をした場合に動作する。FAXコントローラ1811の動作については既存の手段を適用できるので、詳述しないが、ここでは受信した圧縮されたFAX信号をモノクロ2値データ可変長可逆圧縮伸張器1811aにより元のデータに戻し、エンジン部1821で描画データとして用いるRIP画像を生成する。
このときにRIP画像データをHDD1805に蓄積するが、RIP後のデータサイズが大きいため圧縮せずに半導体メモリ1812に蓄積すると非常にたくさんのメモリを消費するので、圧縮をかけ、圧縮後のデータをHDD1805に蓄積する。この圧縮処理は、プリンタ機能使用時と同様に、プリンタコントローラ1804に備えられている専用の圧縮器によって行う。なお、FAX動作時の解像度は、200,300,400dpiなどである。
【0169】
さらに、スキャナ動作時には、プリンタコントローラ1804の専用圧縮器で圧縮された画像データ、または圧縮処理が施されていない画像データそのものがHDD1805に蓄積される。また、蓄積される画像データは、中間調処理が施され2値化された画像データや多値のままの画像データの場合もある。本実施の形態2のコピーのスキャナ読み取り解像度は600dpiなので、スキャナ時の蓄積画像データの解像度は600dpiである。
【0170】
以上にように、本実施の形態2においても、実施の形態1の場合と同様に、画像処理装置1800のHDD1805上には様々なフォーマットで圧縮された、様々な解像度のデータが存在することになる。そこで、本実施の形態2においても、HDD1805に蓄積されている画像データを画像フォーマット変換部1814により、装置特有の専用データフォーマットから装置特性に依存しない汎用データフォーマットに変換を行うことを原則とする。なお、ここでもクライアント装置117が取得する画像データの種類およびフォーマットを指定する。
【0171】
次に、画像フォーマット変換部1814の構成について説明する。画像フォーマット変換部1814では、クライアント装置117がどのような画質やフォーマットのデータの取得を希望するかによって、実行する画像処理(解像度、フィルタ処理の種類、γ変換の種類、中間調処理の種類、汎用圧縮方式の種類や有無、出力フォーマットなど)が決定される。以下では、実施の形態1のシステムにおける画像フォーマット変換部114との相違点についてのみ説明する。
【0172】
まず、クライアント装置117から、HDD1805に蓄積されているプリンタ機器の固有の2値可逆圧縮方式が施されている画像データを、汎用的な2値圧縮データに変換して取得をすることが求められた場合には、図4に示した構成を採用するため、ここでの説明は省略する。
【0173】
次に、クライアント装置117から、HDD1805に蓄積されているコピー用の画像データを、1/2の解像度の2値画像データとして取得することが求められた場合に対応できる構成例を示す。この場合は、図21に示すように、伸張器401によりHDD1805から取り込んだコピー用の圧縮画像データを伸張する。次に、伸張後の画像データを解像度変換器501により解像度変換を行う。HDD1805に蓄積されているコピー用の画像データ画像の解像度が、例えば600dpiである場合には、解像度変換器501ではその1/2である300dpiの解像度に変換される。次に、解像度変換処理が施された画像データを、色空間変換器2101で装置特性に依存しない色空間データに変換する。この変換後の画像データに対して、フィルタ処理部502により所望の強度の強調フィルタ処理が施される。フィルタ処理が施された画像データに対しては、その後、順次、濃度γ部503で濃度γ変換処理、中間調処理部504で誤差拡散法などの2値化処理が行われる。そして、最後に、圧縮器402でG3圧縮方式による2値画像データの圧縮が行われる。このような画像処理が施された画像データは、NIC1813を経由して、クライアント装置117へ配信される。なお、伸張器401、解像度変換器501、フィルタ処理部502、濃度γ部503、中間調処理部504および圧縮器402の構成は、図4に示したものと同様である。
【0174】
次に、色空間変換器2101による色空間変換機能について説明する。以下では、色空間変換の一例としてテーブル補間法によって色空間変換を行う例について説明する。
【0175】
かかる処理では、所定のルックアップテーブル(LUT)を用いる。ここでは、xyz方向の各軸を8分割し(図22‐1参照)、入力色空間を上位と下位にわけて上位でLUTを参照し、下位で3次元補間を行って精密な出力を得る。
【0176】
3次元補間法には多数種類があるが、ここでは線形補間の中でも最も簡単な四面体補開法を例にあげる。四面体補間法は、図22‐1に示すように、入力色空間を複数の単位立方体に分割して、さらに単位立方体の対称軸を共有する6個の四面体に分割する(図22‐2)。これにより入力色信号は、入力色信号の上位座標により選択された単位四面体(図22‐3)の分割境界点(格子点)のパラメータ(以下格子点パラメータという)をLUTより参照する。次に下位座標により選択された単位四面体の格子点パラメータから線形演算することで出力値を得ることができる。
【0177】
実際の処理手順は以下の通りである。
【0178】
1.入力色信号X(x,y,z)を内包する単位立方体を選択する。
【0179】
2.選択された単位立方体内での座標Pの下位座標(□x,□y,□z)を求める。
【0180】
3.下位座標の大小比較により単位四面体を選択して単位四面体毎に線形補間を行い、座標Pでの出力値Poutを求める。
各単位四面体の線形補間の演算式は下式で表される(なお、ここで“□”の記号は、単位立方体の一辺の長さを示す)。
【0181】
(□x<□y<□z)Pout=P2+(P5‐P7)×□x/□+(P7‐P8)×□y/□+(P8‐P2)×□z/□(□y≦□x<□z)Pout=P2+(P6‐P8)×□x/□+(P5‐P6)×□y/□+(P8‐P2)×□z/□(□y<□z≦□x)Pout=P2+(P4‐P2)×□x/□+(P5‐P6)×□y/□+(P6‐P4)×□z/□(□z≦□y≦□x)Pout=P2+(P4‐P2)×□x/□+(P3‐P4)×□y/□+(P5‐P3)×□z/□(□z≦□x<□y)Pout=P2+(P3‐P1)×□x/□+(P1‐P2)×□y/□+(P5‐P3)×□z/□(□x<□z≦□y)Pout=P2+(P5‐P7)×□x/□+(P1‐P1)×□y/□+(P7‐P1)×□z/□
【0182】
画像フォーマット変換部1814のパラメータ設定については、実施の形態1(図14参照)の場合と同様であるため、説明は省略する。
【0183】
また、この実施の形態2にかかる画像処理システムを用いた画像データキャプチャ処理の手順は、実施に形態1の場合と同様である。ここでは、実施の形態1とは異なる、HDD1805にコピー用の画像データが蓄積されており、この画像データの解像度を変換し、2値画像データとしてクライアント装置117へ配信する場合について示す。図23は、この場合のフォーマット変換処理の手順を示すフローチャートである。
【0184】
まず、画像フォーマット変換部1814の伸張器401によりHDD1805から取り込んだコピー用の圧縮画像データを伸張し専用フォーマットに変換する(ステップS2301)。次に、伸張後の画像データを解像度変換器501により解像度変換を行う(ステップS2302)。次に、解像度変換処理が施された画像データに対して、色空間変換器2101により色空間変換処理を施す(ステップS2303)。色空間変換処理が施された画像データに対して、フィルタ処理部502により所望の強度の強調フィルタ処理を施す(ステップS2304)。フィルタ処理が施された画像データに対しては、その後、順次、濃度γ部503で濃度γ変換処理(ステップS2305)、中間調処理部504で誤差拡散法などの2値化処理(ステップS2306)を施す。そして、最後に、圧縮器402でG3圧縮方式による2値画像データの圧縮が行われる(ステップS2307)。
【0185】
以上説明したような処理を行うことで、画像処理装置1800が蓄積している画像データに対して、簡易な処理で、効率的に、適切な画像処理を施して、外部のクライアント装置117が望むフォーマットの画像データを配信することができる。
【0186】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3を説明する。実施の形態3は、カラーの原稿画像を取り込み、これをモノクロ画像データに変換して配信する場合の例を示すものである。実施の形態3にかかる画像処理システムの全体構成は、図18に示した実施の形態2のものと同様である。以下では、実施の形態2との相違点のみを説明する。
【0187】
まず、本実施の形態3の特徴である画像フォーマット変換部2400の構成について説明する。図24は、この画像フォーマット変換部2400の構成を示すブロック図である。
【0188】
HDD1805に蓄積されている画像データは、所定の色空間の画像、ここではRGBの版ごとに固定長の多値圧縮の方式でデータ圧縮が行われている画像であるものとする。伸張器401は、この圧縮符号である画像データの伸張を行う。解像度変換器501は、所定の変倍率により画像データの解像度変換を行う。RGB→Gray変換器2401は、RGB画像データをモノクロ画像データに変換する。孤立点除去部2402は、モノクロ多値画像データに対して孤立点の検出アルゴリズムにより孤立点の検出を行う。フィルタ処理部502は、画像データの強調や平滑の処理を行う。濃度γ部503は、画像の濃度の調整を行う。中間調処理部504は、所定の方式によって画像データの2値化を行う。圧縮器402は、MHMR/MMR方式等の汎用のデータ圧縮方式でデータ圧縮を行う。なお、伸張器401、解像度変換器501、フィルタ処理部502、濃度γ部503、中間調処理部504および圧縮器402の構成は、前述したものと同様である。
【0189】
画像フォーマット変換部2400をこのような構成とすることにより、カラー複写の画像データをモノクロの2値画像データに変換してクライアント装置117などに取り込みたいという場合にも対応できる。すなわち、カラーの画像データはクライアント装置117側に取り込んだときに容量が大きく負荷が大きいので、モノクロの2値画像に変換して取り込みたいという場合がある。この実施の形態3の例では、このような要求に答えることが可能になる。
【0190】
次に、図24に示した画像フォーマット変換部2400の特長である孤立点除去部2402が実行する処理について説明する。原画像にノイズが含まれていると、見苦しい画像となってしまう場合がある。このような場合、孤立点除去部2402の処理により孤立点の除去が適応的に行われる。孤立点除去のアルゴリズムには様々な方式を用いることができるが、図25に示すようなマトリクスを用いた方法をここでは説明する。
【0191】
孤立点除去部2402では、図25に示すような5×5ブロックで孤立点の判定が行われる。この例で注目画素はd22である。注目画素以外の画素が全て所定の閾値TH1より小さければ、注目画素を白画素(画素値0)に置き換える。
【0192】
このような処理を行うことにより、取り込んだ画像データ中のごみ画像を除去することができる。
【0193】
HDD1805に格納されている画像データが自然画像を読み取ったものである場合には孤立点除去は効果的である。一方、自然画像ではなく、プリンタRIPデータのように電子的に作られたものである場合には行う必要はない。
【0194】
そこで、クライアント装置117側に配信する画像の種類によって、適宜、孤立点除去の動作パラメータを切り替えるようにすれば、高品質な画像を得ることができる。
【0195】
次に、画像フォーマット変換部2400のパラメータ設定について説明する。HDD1805に蓄積されている画像データに対して各クライアント装置117が配信要求をする際に、受け取る(キャプチャする)画像の属性の設定をクライアント装置(PC)117側から行う。画像処理装置1800側は、クライアント装置117からの画像キャプチャ要求信号により指定された画像データの属性とHDD1805に蓄積されている画像データの属性から画像フォーマット変換部2400内の画像データパラメータ値が決定され、設定される。具体的には、解像度変換、フィルタ処理、γ変換処理、中間調処理の各パラメータ値が変更され、これらのパレメータ値に基づく画像処理が施された画像データがクライアント装置117へ配信される。
【0196】
例えば、図26に示すように、HDD1805に蓄積されている画像データを非圧縮、解像度が600dpiの画像データとする。そして、クライアント装置117aは、解像度200dpi、色空間がグレースケールのJPEG画像、クライアント装置117bは解像度400dpi、色空間がモノクロ2値のTIFF画像、クライアント装置117cは解像度100dpi、色空間がグレースケールのJPEG2000画像、という画像データの属性で画像データを受け取る(キャプチャする)ことを各クライアント装置117から要求したとする。画像フォーマット変換部2400では、それぞれの要求を受けて各クライアント装置117の要求に応じた画像処理を施す。HDD1805に蓄積されている画像データは非圧縮であるので、伸張器401はスルー動作である。
【0197】
次の解像度変換器501では、クライアント装置の解像度の要求とHDD105に蓄積されている画像データの解像度から解像度変換パラメータ値が決定される。クライアント装置117aに対しては、600dpiから200dpiへの解像度変換が、クライアント装置117bに対しては600dpiから400dpiへの解像度変換が、クライアント装置117cに対しては600dpiから100dpiへの解像度変換が施される。
【0198】
次に、クライアント装置117a,117cはグレースケール多値の画像データを要求しているので、クライアント装置117a,117cへ配信する画像データに対しては、中間調処理部504での処理は行われない。一方、クライアント装置117bはモノクロ2値の画像データを要求しているので、クライアント装置117bへ配信する画像データに対しては、中間調処理部504で2値化処理が行われる。
【0199】
次に、圧縮器402では、クライアント装置117aに対してはJPEGファイル形式への変換が,クライアント装置117bに対してはTIFFファイル形式への変換が、クライアント装置117cに対してはJPEG2000ファイル形式への変換処理が施される。
【0200】
ところで、HDD1805には画像データと一緒に画像処理装置1800の操作部(不図示)から入力された画像データ読み取り時の属性情報が蓄積されている。そこで、各クライアント装置117は、画像処理装置1800から画像データを受け取る(キャプチャする)際に、HDD1805に蓄積されている画像データの属性をそのまま受け継ぎたい場合は、キャプチャする画像データの属性を指定しなくても画像フォーマット変換部2400で画像データとともに管理しているデータ形式に関する情報の全部または一部を自動的に変換できるようにするとよい。このようにすることで、各クライアント装置からキャプチャする画像データの属性を設定するという手間を省くことができ、操作性が向上する。
【0201】
この実施の形態3にかかる画像処理システムを用いた画像データキャプチャ処理の手順も実施に形態1,2の場合と同様である。ここでは、実施の形態1,2とは異なる、RGB→Gray変換処理、孤立点除去処理を含む場合のフォーマット変換処理について示す。図27は、この場合のフォーマット変換処理の手順を示すフローチャートである。
【0202】
まず、画像フォーマット変換部2400の伸張器401によりHDD1805から取り込んだコピー用の圧縮画像データを伸張し、専用フォーマットに変換する(ステップS2701)。次に、伸張後の画像データを解像度変換器501により解像度変換を行う(ステップS2702)。次に、解像度変換処理が施された画像データに対して、RGB→Gray変換処理部2401によりRGB→Gray変換処理を行う(ステップS2703)。RGB→Gray変換処理が施された画像データに対して、孤立点除去処理部2402により孤立点除去処理を行う(ステップS2704)。孤立点除去処理が施された画像データに対して、フィルタ処理部502により所望の強度の強調フィルタ処理を施す(ステップS2705)。フィルタ処理が施された画像データに対しては、その後、順次、濃度γ部503で濃度γ変換処理(ステップS2706)、中間調処理部504で誤差拡散法などの2値化処理(ステップS2707)を施す。そして、最後に、圧縮器402でG3圧縮方式による2値画像データの圧縮が行われる(ステップS2708)。
【0203】
以上説明したような処理を行うことで、画像処理装置1800が蓄積している画像データに対して、簡易な処理で、効率的に、適切な画像処理を施して、外部のクライアント装置117が望むフォーマットの画像データを配信することができる。
【0204】
以上説明したように、この画像処理装置、画像処理方法および画像処理プログラムによれば、画像処理装置が蓄積している画像データを、簡易な処理で、効率的に、適切な画像処理を施して、外部装置へ配信することができる。
【0205】
なお、本実施の形態で説明した画像処理方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD‐ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0206】
以上のように、本発明にかかる画像処理装置、画像処理方法および画像処理プログラムは、原稿画像を読み込んで画像データを生成する画像処理に有用であり、特に、装置内部で一旦処理した画像データを外部機器において用いる場合に適している。
【符号の説明】
【0207】
100,1800 画像処理装置
101,1801 読み取りユニット
102,1802 スキャナ補正部
103 多値データ固定長圧縮器
104,1804 プリンタコントローラ
105,1805 HDD
106 多値データ固定長伸張器
107,1807 プリンタ補正部
108,1808 GAVD
109,1809 作像ユニット
110,1810 エンジンコントローラ
111,1811 FAXコントローラ
112,1812 半導体メモリ
113,1813 NIC
114,1814,2400 画像フォーマット変換部
115,1815 汎用バス
116,1816 メインコントローラ
117,117a,117b,117c クライアント装置
201,1901 スキャナγ補正部
202,502,1902 フィルタ処理部
203,501 解像度変換器
301,2001 プリンタγ補正部
302,504,2002 中間調処理部
401 伸張部
402 圧縮部
503 濃度γ部
601 画像処理部
901 主走査方向解像度変換ブロック
902 副走査方向解像度変換ブロック
903 フリップフロップ
904 補間画素算出部
905 ラインメモリ
906 副走査ライン蓄積メモリ
907 補間画素算出部
1201 ディザ閾値マトリクス
1302 画素
1303 注目画素
1803 カラー・モノクロ多値データ固定長圧縮器
1806 カラー・モノクロ多値データ固定長伸張器
1903 色補正部
1904 変倍部
2101 色空間変換器
2401 RGB→Gray変換器
2402 孤立点除去部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0208】
【特許文献1】特開2000−333206号公報
【特許文献2】特開2001−150744号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライアント装置とネットワークを介して接続可能な画像処理装置であって、原稿の画像を読み取り、所定の画像信号を生成する画像読み取り手段と、前記画像読み取り手段により生成された画像信号に対して所定の画像処理を施す画像処理手段と、前記画像処理手段によって画像処理を施された画像データを蓄積する蓄積手段と、前記蓄積手段によって蓄積された前記画像データのフォーマットを前記クライアント装置が扱う画像データの属性に適合するように変換する画像フォーマット変換手段と、前記画像フォーマット変換手段によってフォーマット変換された前記画像データを前記クライアント装置へ送信する送信手段と、を備えていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記画像処理手段は、前記画像読み取り手段により生成された前記画像信号に対して多値または2値データを生成することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像フォーマット変換手段は、前記蓄積手段によって蓄積された前記画像データを前記クライアント装置に対応する色空間の画像データに変換することを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記画像フォーマット変換手段は、前記蓄積手段によって蓄積された前記画像データを前記クライアント装置が扱う画像データの属性に適合するよう前記画像データを当該画像データのフォーマットを変換するために伸張、あるいは前記クライアント装置へ配信するために圧縮することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記画像フォーマット変換手段は、前記蓄積手段によって蓄積された前記画像データを前記クライアント装置が扱う画像データの属性に適合するよう前記画像データの解像度を変換して出力することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記画像フォーマット変換手段は、前記蓄積手段によって蓄積された前記画像データを前記クライアント装置が扱う画像データの属性に適合するよう前記画像データの倍率を変換して出力することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記画像フォーマット変換手段は、前記画像処理手段により生成された多値画像データに対して所定のフィルタ処理を行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記画像フォーマット変換手段は、前記画像処理手段により生成された多値画像データに対して所定の中間調処理を行うことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記画像フォーマット変換手段は、前記画像処理手段により生成された多値画像データに対して所定の濃度γ変換処理を施すことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記画像フォーマット変換手段は、前記画像処理手段により生成された多値画像データに対して所定の孤立点除去処理を施すことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記画像フォーマット変換手段は、前記画像読み取り手段により生成された前記画像信号に対して当該画像データに付帯する属性情報および前記クライアント装置が要求する属性から決定されたパラメータに基づいて所定の画像処理を実行することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載の画像処理装置。
【請求項12】
クライアント装置とネットワークを介して接続可能な画像処理装置によって画像処理を行う画像処理方法であって、原稿の画像を読み取り、所定の画像信号を生成する画像読み取り工程と、前記画像読み取り工程により生成された画像信号に対して所定の画像処理を施す画像処理工程と、前記画像処理工程によって画像処理を施された画像データを蓄積する蓄積工程と、前記蓄積工程によって蓄積された前記画像データのフォーマットを前記クライアント装置が扱う画像データの属性に適合するように変換する画像フォーマット変換工程と、前記画像フォーマット変換工程によってフォーマット変換された前記画像データを前記クライアント装置へ送信する送信工程と、を含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項13】
前記画像処理工程は、前記画像読み取り工程により生成された前記画像信号に対して多値または2値データを生成することを特徴とする請求項12に記載の画像処理方法。
【請求項14】
前記画像フォーマット変換工程は、前記蓄積工程によって蓄積された前記画像データを前記クライアント装置に対応する色空間の画像データに変換することを特徴とする請求項12または13に記載の画像処理方法。
【請求項15】
前記画像フォーマット変換工程は、前記蓄積工程によって蓄積された前記画像データを前記クライアント装置が扱う画像データの属性に適合するよう前記画像データを当該画像データのフォーマットを変換するために伸張、あるいは前記クライアント装置へ配信するために圧縮することを特徴とする請求項12〜14のいずれか一つに記載の画像処理方法。
【請求項16】
前記画像フォーマット変換工程は、前記蓄積工程によって蓄積された前記画像データを前記クライアント装置が扱う画像データの属性に適合するよう前記画像データの解像度を変換して出力することを特徴とする請求項12〜15のいずれか一つに記載の画像処理方法。
【請求項17】
前記画像フォーマット変換工程は、前記蓄積工程によって蓄積された前記画像データを前記クライアント装置が扱う画像データの属性に適合するよう前記画像データの倍率を変換して出力することを特徴とする請求項12〜16のいずれか一つに記載の画像処理方法。
【請求項18】
前記画像フォーマット変換工程は、前記画像処理工程により生成された多値画像データに対して所定のフィルタ処理を行うことを特徴とする請求項12〜17のいずれか一つに記載の画像処理方法。
【請求項19】
前記画像フォーマット変換工程は、前記画像処理工程により生成された多値画像データに対して所定の中間調処理を行うことを特徴とする請求項12〜18のいずれか一つに記載の画像処理方法。
【請求項20】
前記画像フォーマット変換工程は、前記画像処理工程により生成された多値画像データに対して所定の濃度γ変換処理を施すことを特徴とする請求項12〜19のいずれか一つに記載の画像処理方法。
【請求項21】
前記画像フォーマット変換工程は、前記画像処理工程により生成された多値画像データに対して所定の孤立点除去処理を施すことを特徴とする請求項12〜20のいずれか一つに記載の画像処理方法。
【請求項22】
前記画像フォーマット変換工程は、前記画像読み取り工程により生成された前記画像信号に対して当該画像データに付帯する属性情報および前記クライアント装置が要求する属性から決定されたパラメータに基づいて所定の画像処理を実行することを特徴とする請求項12〜21のいずれか一つに記載の画像処理方法。
【請求項23】
請求項12〜22のいずれか一つに記載の画像処理方法をコンピュータに実行させることを特徴とする画像処理プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9−1】
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【図9−2】
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【図9−3】
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【図10−1】
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【図10−2】
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【図10−3】
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【図11−1】
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【図11−2】
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【図12−1】
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【図12−2】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22−1】
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【図22−2】
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【図22−3】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2010−172001(P2010−172001A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−85935(P2010−85935)
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【分割の表示】特願2005−82343(P2005−82343)の分割
【原出願日】平成17年3月22日(2005.3.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】