画像処理装置、画像処理方法及びプログラム
【課題】画像に飽和部分が発生し、本来の輝度レベルが得られないときにも、適切にフレア成分を検出して効果的なフレア補正をすることが可能な画像処理装置、画像処理方法及びプログラムを提供すること。
【解決手段】第一の露出条件で撮影される第一の画像と異なり、第一の露出条件より画像が飽和しない第2の露出条件で得られる第二の画像の画像信号にローパスフィルタを適用して画像信号に対応する閾値を決定する閾値決定部114と、第一の画像の画像信号と閾値に基づいて第一の画像のフレアを補正する画像補正部109とを有することを特徴とする。
【解決手段】第一の露出条件で撮影される第一の画像と異なり、第一の露出条件より画像が飽和しない第2の露出条件で得られる第二の画像の画像信号にローパスフィルタを適用して画像信号に対応する閾値を決定する閾値決定部114と、第一の画像の画像信号と閾値に基づいて第一の画像のフレアを補正する画像補正部109とを有することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ等の撮像装置を使用して、屋外等で極めて明るい光源にレンズを向けて撮影すると、レンズフレア(以下、単にフレアともいう。)と呼ばれる現象が画像に発生する。フレアが発生すると、画像に黒レベルが浮き上がり、コントラストの低下が発生する。フレアの原因は、撮像装置を構成するレンズやフィルタ等のガラス部材、撮像素子受光面、レンズ鏡筒、絞り、レンズの傷、汚れ等による光の散乱である。
【0003】
フレアの発生を防止するため、撮像装置の構成や画像処理に関する技術が提案されている。画像処理に関する技術として、例えば特許文献1は、フレアが画面全体に一様に発生しているものと仮定して、補正する方法を提案している。そして、特許文献1においては、輝度の最小値(黒レベル)を求めてその値を画面全体から減算している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−355637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、フレアの原因である上記のような光の散乱は、輝度の高い部分により強く発生するため、フレアの量は画面全体に一様ではなく輝度のレベルに依存している。そのため、従来技術では、画面の一部に過度な補正部分が発生する等、画面の部分によっては適切な補正が出来ていないという問題があった。
【0006】
これを解決する方法として、画像全体にわたる一様な処理を行うのではなく、画像の構成部分それぞれに応じた最適な補正をすることが考えられる。例えば、フレア成分をLPFで抽出することによって、画像を補正する。
【0007】
しかし、被写体のダイナミックレンジが撮像装置のダイナミックレンジを超えるような場合に、画像に飽和部分が発生し、本来の輝度レベルが得られない。そのため、飽和部分に該当する画像信号にLPFを適用しても、適切なフレア成分が抽出できないという問題があった。
【0008】
また、フレアは、撮像範囲外における輝度分布にも影響されて発生している。しかし、従来技術の方法では、撮像画面のみを参照しているため、撮像範囲外の輝度成分の影響によるフレア成分は抽出できないという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、画像に飽和部分が発生し、本来の輝度レベルが得られないときにも、適切にフレア成分を検出して効果的なフレア補正をすることが可能な、新規かつ改良された画像処理装置、画像処理方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、第一の露出条件で撮影される第一の画像と異なり、第一の露出条件より画像が飽和しない第2の露出条件で得られる第二の画像の画像信号にローパスフィルタを適用して画像信号に対応する閾値を決定する閾値決定部と、第一の画像の画像信号と閾値に基づいて第一の画像のフレアを補正する画像補正部とを有する画像処理装置が提供される。
【0011】
上記第二の画像は、第一の画像より広い画角の条件で得られる画像であってもよい。
【0012】
上記閾値決定部は、第一の画像が飽和しているか否かを判断し、飽和していると判断したとき、第二の画像の画像信号にローパスフィルタを適用して画像信号に対応する閾値を決定してもよい。
【0013】
上記閾値決定部は、第一の画像の画像信号から任意の画素を間引いた第一の間引き画像に基づいて、第一の画像が飽和しているか否かを判断してもよい。
【0014】
上記第一の露出条件と第二の露出条件において、絞り条件は同一であってもよい。
【0015】
上記閾値決定部は、第二の画像の画像信号から任意の画素を間引いた第二の間引き画像の画像信号にローパスフィルタを適用してもよい。
【0016】
上記第二の画像信号は、第一の画像信号の飽和部分の周辺の輝度分布、又は第一の画像信号による画像におけるフレア発生状況に基づいて推測して得られてもよい。
【0017】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、閾値決定部が、第一の露出条件で撮影される第一の画像と異なり、第一の露出条件より画像が飽和しない第2の露出条件で得られる第二の画像の画像信号にローパスフィルタを適用して画像信号に対応する閾値を決定するステップと、画像補正部が、第一の画像の画像信号と閾値に基づいて第一の画像のフレアを補正するステップとを有する画像処理方法が提供される。
【0018】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、閾値決定部が、第一の露出条件で撮影される第一の画像と異なり、第一の露出条件より画像が飽和しない第2の露出条件で得られる第二の画像の画像信号にローパスフィルタを適用して画像信号に対応する閾値を決定する手順、画像補正部が、第一の画像の画像信号と閾値に基づいて第一の画像のフレアを補正する手順をコンピュータに実行させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、画像に飽和部分が発生し、本来の輝度レベルが得られないときにも、適切にフレア成分を検出して効果的なフレア補正をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第一の実施形態に係るビデオカメラ100の構成を示すブロック図である。
【図2】フレア補正回路109の構成を示すブロック図である。
【図3】図3(a)は、輝度信号Yとフレア成分信号FとゲインG1の検出位置の関係を示すグラフである。図3(b)は、輝度信号Yとフレア成分信号F1の関係を示すグラフである。図3(c)は、輝度信号Y1を示すグラフである。図3(d)は、輝度信号Ycを示すグラフである。
【図4】図4(a)は、輝度信号Yとフレア成分信号FとゲインG1の検出位置の関係を示すグラフである。図4(b)は、輝度信号Yとフレア成分信号F1の関係を示すグラフである。図4(c)は、輝度信号Y1を示すグラフである。図4(d)は、輝度信号Ycを示すグラフである。
【図5】本発明の第三の実施形態に係るフレア補正回路109の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第二の実施形態に係るビデオカメラ200の構成を示すブロック図である。
【図7】コントローラ101がゲインG1、G2を決定する動作を示すフローチャートである。
【図8】フレア抽出回路114の一例を示すブロック図である。
【図9】本発明の第一の実施形態に係るフレア抽出回路114の動作を示すフローチャートである。
【図10】同実施形態に係るフレア抽出回路の第一の変更例の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0022】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.第一の実施形態
2.第二の実施形態
3.第三の実施形態
【0023】
<1.第一の実施形態>
まず、図1を参照しながら、本発明の第一の実施形態に係るビデオカメラ100について説明する。図1は、本実施形態に係るビデオカメラ100の構成を示すブロック図である。
【0024】
ビデオカメラ100は、コントローラ101と、レンズブロック103と、CCD(charge coupled device)固体撮像素子104と、サンプルホールド回路105と、AGC(Automatic Gain Control)回路106と、カメラ信号処理回路108と、フレア補正回路109と、エンコーダ110と、出力端子111と、電子ビューファインダ112と、積分回路113と、フレア抽出回路114と、フレアゲイン検出回路115などを有する。
【0025】
コントローラ101は、マイクロコンピュータを備え、システム全体の動作を制御する。このコントローラ101には、ユーザーが種々のキー操作を行うためのキー入力部102が接続される。
【0026】
レンズブロック103は、撮像レンズ等の光学系を構成する。レンズブロック103内には、絞り107が設けられている。
【0027】
CCD(charge coupled device)固体撮像素子104は、レンズブロック103を通過して受けた光を電気信号に変換する。
【0028】
サンプルホールド回路105は、撮像素子104から出力される、不要なリセット状態の信号を取り除く。
【0029】
AGC(Automatic Gain Control)回路106は、サンプルホールド回路105から出力される撮像信号の振幅を一定に保つように制御する。
【0030】
カメラ信号処理回路108は、AGC回路106で振幅が制御された撮像信号を処理して、輝度信号Y、赤色差信号R−Y、青色差信号B−Yを得る。
【0031】
フレア補正回路109は、カメラ信号処理回路108から出力される輝度信号Yのフレアを補正する。フレア補正回路109は、画像補正部の一例である。
【0032】
エンコーダ110は、フレア補正回路109でフレアが補正された輝度信号Yc、及びカメラ信号処理回路108から出力される色差信号R−Y,B−Yを使用して、例えばNTSC方式のビデオ信号SVを得る。
【0033】
出力端子111は、エンコーダ110から出力されるビデオ信号SVを出力する。
【0034】
電子ビューファインダ112は、ビデオ信号SVによる画像を表示する。
【0035】
[積分回路113]
積分回路113は、カメラ信号処理回路108から出力される輝度信号Yを積分して明るさ評価値としての積分信号SITを得る。積分回路113は、画面上の対象エリアに対応して例えば“1”となるエリア信号SARと、各画面の先頭タイミングで発生されるリセット信号SREとがコントローラ101から供給される。
【0036】
積分回路113は、リセット信号SREによって各画面の先頭で積分値をリセットし、エリア信号SARが“1”となる期間でカメラ信号処理回路108から出力される輝度信号Yを積分する。そして、積分回路113は、積分回路113から画面毎に出力される明るさ評価値としての積分信号SITをコントローラ101に供給する。コントローラ101は、絞り107の開口量やAGC回路106のゲインを制御することで、積分回路113で得られる積分信号SITが所定値となるように露出制御をする。
【0037】
[フレア抽出回路114]
フレア抽出回路114は、閾値決定部の一例であり、カメラ信号処理回路108から出力される輝度信号Yに基づいてフレア成分信号Fを抽出する。
【0038】
フレア成分信号Fは、フレア補正回路109及びフレアゲイン検出回路115に供給される。上述したとおり、フレアは光がレンズブロック103内で散乱することによって生じる。散乱した光の強度は距離と共に減衰するので、入射光の強度が強い部分ほどフレア成分が多くなるが、散乱によって広い範囲に渡って広がるためフレア成分の変化は非常に緩やかなものとなっている。従って、フレア抽出回路114の一例は、輝度信号Yを平滑化するLPF(ローパスフィルタ)である。
【0039】
フレアの発生原因から容易に推測されるように、フレア特性はレンズブロックの構成やレンズブロックの状態(ズーム位置、絞り位置、フォーカス位置など)によって変わる。そのため、LPFが、レンズブロックの構成やレンズブロックの状態を考慮したLPF特性に設定されることで最適なフレア補正効果が得られる。さらに、LPFの特性を変えることで画質補正効果が得られるが、それについては後述する。
【0040】
被写体のダイナミックレンジが撮像装置のダイナミックレンジを超えるような場合には、画像に飽和部分が発生し本来の輝度レベルが得られない。そのため、飽和部分に該当する信号にLPFを適用しても適切なフレア成分が抽出できない。従って、画像撮像時に画像が飽和する場合は、本来の撮像画像にLPFを適用するのではなく、本来の撮影画像とは別に撮影して得られる、飽和部分が生じない露出レベルの画像にLPFを適用する。これによって、従来技術に比べてより適切なフレア成分を抽出することが出来る。そのようなフレア抽出回路114の一例を図8に示す。図8は、フレア抽出回路114の一例を示すブロック図である。
【0041】
[フレア抽出回路114の構成]
フレア抽出回路114は、LPF141と、フレア成分保存部142と、出力選択スイッチ143を有する。
【0042】
画像撮像時に画像が飽和していない場合、出力選択スイッチ143は、LPF141側に設定され、LPF141から出力された信号が、フレア成分信号Fとしてフレア補正回路109及びフレアゲイン検出回路115に供給される。
【0043】
画像撮像時に画像が飽和している場合、出力選択スイッチ143は、フレア成分保存部142側に設定され、画像が飽和しない露出レベル(非飽和露出レベル)に設定した状態の画像信号がLPF141にまず適用される。そして、LPF141から出力された信号が、フレア成分信号Fとしてフレア成分保存部142に保存される。その後、本来撮像したい露出レベル(本来露出レベル)の画像信号のタイミングに合わせて、フレア成分信号Fがフレア成分保存部142から出力され、フレア補正回路109及びフレアゲイン検出回路115に供給される。
【0044】
[フレア抽出回路114の動作]
このときの動作フローを図9に示す。図9は、本実施形態に係るフレア抽出回路114の動作を示すフローチャートである。
【0045】
まず、撮像装置が本来撮像したい露出レベル(本来露出レベル)に設定される(ステップS121)。そして、撮像装置が本来露出レベルで撮影をして画像を取得する。
【0046】
次に、画像の飽和部分の面積の大小によって、画像が飽和画像であるか否かを判断する(ステップS122)。例えば、画像の飽和部分の面積が任意の閾値よりも小さい場合は、出力選択スイッチ143がLPF141側に設定される(ステップS133)。そして、本来露出レベルの画像信号がLPF141に適用される(ステップS134)。その後、画像信号にLPF141を適用した結果が、LPF141から出力され(ステップS135)、一連の動作が終了する。
【0047】
一方、例えば画像の飽和部分の面積が任意の閾値以上である場合は、出力選択スイッチ143がフレア成分保存部142側に設定される(ステップS123)。そして、撮像装置が、画像が飽和しない露出レベル(非飽和露出レベル)に設定される(ステップS124)。次に、撮像装置が非飽和露出レベルで撮影をして画像を取得する。その後、非飽和露出レベルの画像信号がLPF141に適用される(ステップS125)。そして、画像信号にLPF141を適用した結果が、フレア成分信号Fとしてフレア成分保存部142に保存される(ステップS126)。
【0048】
次に、撮像装置が本来撮像したい露出レベル(本来露出レベル)に設定される(ステップS127)。そして、撮像装置が本来露出レベルで撮影をして画像を取得する。それと共に本来露出レベルの画像信号のタイミングに合わせて、フレア成分保存部142からフレア成分信号Fが出力される(ステップS128)。
【0049】
なお、ステップS122における画像の飽和判別は、間引き画像を用いてもよい。すなわち、撮像素子104の読み出し時に画像データから画素を間引いたり、カメラ信号処理回路108の処理時に画像データから画素を間引いたりすることで、ステップS122の処理時間を削減することができる。
【0050】
また、フレア特性は絞り位置によって変わる可能性がある。従って、ステップS124で非飽和露出レベルに設定されるとき、本来露出レベルでの絞り位置と同じ絞り位置を用い、露出レベルの調整はシャッタースピードの調整で行うことが望ましい。これにより、フレアの状態を変えることなく、画像信号を取得できる。
【0051】
また、ステップS126で得られるフレア成分は、非飽和露出レベルで得られたものである。従って、フレア成分信号を、本来露出信号の露出レベルに合わせてレベルを調整するため、ゲイン補正してから保存するか、またはフレア成分信号をステップS128におけるフレア成分出力時にゲイン補正する必要がある。しかしながら、このゲイン補正分は、後述するフレアゲイン検出回路115を用いるのであれば、フレアゲイン検出回路115で検出するゲインによって自動的に補正される。従って、ここでの補正は省略することも可能である。
【0052】
また、ステップS126で得られるフレア成分は、LPFを適用した信号である。従って、フレア成分が、画素を間引いた状態でフレア成分保存部142に保存され、出力時に補間されて出力されることによって、フレア成分保存部142の回路規模を削減することが可能である。
【0053】
また、ステップS126で得られるフレア成分は、LPF141を適用した信号である。従って、LPF141への入力信号である画像信号は、通常の画像よりも間引いた画像にしてもよい。すなわち、撮像素子104の読み出し時に画像データから画素を間引いたり、カメラ信号処理回路108の処理時に画像データから画素を間引いたりすることで、ステップS126の処理時間やLPF141の回路規模を削減することができる。このときLPF141の特性は、上述の画像間引き処理の特性を考慮して決定される。間引き処理に用いるLPFとLPF141の両者を適用することによる画像劣化を防止するためである。
【0054】
[フレア抽出回路の第一の変更例の構成及び動作]
上述した動作フローでは、画像飽和時において、撮像装置は、非飽和露出レベルに設定されてから、改めて本来露出レベルに設定される。そのため、ユーザーがシャッターを押してから実際の撮像画像を取得するまでに遅れが生じる。それを避けるために、図10に示すような動作フローでフレア抽出回路114が動作するとしてもよい。図10は、フレア抽出回路の第一の変更例の動作を示すフローチャートである。
【0055】
ステップS121の後、ステップS122において本来露出レベルで画像飽和判別するときの画像を画像メモリに保存しておく(ステップS221)。その後、非飽和露出レベルで得られたフレア成分と先に保存した画像データを用いてフレア補正を行うようにしてもよい。なお、この場合は、ステップS125でのLPF141の出力タイミングに合わせて画像メモリから画像を読み出し、それらを用いてフレア補正を行うようにすることで、図9に示したステップS126〜ステップS127までのステップを省略できる。また、フレア成分保存部142、出力選択スイッチ143が省略可能である。
【0056】
[フレア抽出回路の第二の変更例の構成及び動作]
フレア成分は、撮像範囲外の輝度分布にも影響される。しかし、ユーザーが本来撮影したい撮像画面からは撮像範囲外の輝度成分は抽出できない。そのため、LPF141を適用する画像について、上述した飽和部分が生じない露出レベルという条件に加え、レンズブロック103を調整してより広角な画像とする。
【0057】
これによって、フレア抽出回路114は、より適切なフレア成分を抽出することが出来る。この場合には、フレア抽出回路114は、上述したステップS122で画像が飽和画像であると判断されたときは、画像を飽和しない露出レベルに設定し、かつレンズブロック103を本来撮像したい画角より広角に設定した状態の画像信号にLPF141を適用する。そして、画像信号にLPF141を適用した結果をフレア成分保存部142に保存する。その際、フレア成分保存部142に保存するデータは、本来の画角に相当する部分のみでよい。その後、本来の露出レベル及び画角に設定した状態の画像信号に合わせて、フレア成分保存部142からフレア成分信号Fを出力し、フレア補正回路109及びフレアゲイン検出回路115に供給する。
【0058】
この場合の動作フローは、図9で「非飽和露出レベルに設定、撮影(ステップS124)」及び「本来露出レベルに設定、撮影(ステップS127)」のステップを次のように変更すればよい。「非飽和露出レベルに設定、撮影(ステップS124)」のステップでは、非飽和露出レベルに設定することに加え、本来撮像したい画角よりもレンズブロック103を広角に設定する。「本来露出レベルに設定、撮影(ステップS127)」のステップでは、本来露出レベルに設定することに加え、本来撮像したい画角に設定する。
【0059】
[フレア抽出回路の第三の変更例の構成及び動作]
上記では、画像が飽和画像であると判断されたときにおいて、非飽和画像から抽出したフレア成分を適用することが有効であることを示した。更に、いわゆるHDR(High Dynamic Range)合成画像の作成においても、同様にフレア補正を適用することができる。HDR合成画像とは、露出レベルの異なる複数の画像の適正露出部分を切り出して合成することで得られるレンジ範囲の広い高ダイナミックレンジ(白とび、黒つぶれの少ない)画像である。たとえば、高露出レベルの(黒つぶれの少ない)画像と低露出レベルの(白とびの少ない)画像を合成する場合、低露出レベル画像から抽出したフレア成分を用いて高露出レベル画像及び低露出レベル画像のフレア補正を行ってから両者を合成する。これによって、適切にフレア補正がされたHDR合成画像が得られる。
【0060】
[フレア抽出回路の第四の変更例の構成及び動作]
また、上記では、画像が飽和画像であると判断されたときにおいて、非飽和画像から抽出したフレア成分を飽和画像に適用する方法を示した。しかし、非飽和画像では低輝度部分の階調が不足する可能性がある。そのような場合は、飽和画像の飽和部分(または飽和部分とその近傍)に非飽和画像の該当部分の露出レベルを合わせて合成した画像からフレア成分を抽出するようにすればよい。上述のように、フレア成分は画像信号にLPFを適用して抽出されるため、合成する画像は本来の画素数よりも間引いた画像にしてもよい。
【0061】
[フレア抽出回路のその他の変更例の構成及び動作]
また、上記では、非飽和画像をフレア成分の抽出に利用する方法を示した。しかし、非飽和画像にLPFを適用してフレア成分を抽出する用途では、画像データにおいて高周波成分は不要である。従って、非飽和画像の取得は簡易的な方法によって行うことが可能である。例えば、上記のように、非飽和画像の取得の際、撮像素子からの信号を簡易化する方法(撮像素子の読み出し時に間引く、カメラ信号処理時に間引く、など)を採用できる。また、(1)非飽和画像の取得のため、撮像素子よりも簡易な、輝度分布を求めるための専用センサーを設ける方法がある。更に、(2)非飽和画像の取得は、飽和画像から飽和部分を推測する方法(たとえば飽和部分の周辺の輝度分布やフレアの発生状況から飽和部分を推測する方法等)がある。
【0062】
[フレアゲイン検出回路115]
ビデオカメラ100は、更に、フレアゲイン検出回路115を有する。フレアゲイン検出回路115は、カメラ信号処理回路108から出力される輝度信号Y、及びフレア抽出回路114から出力されるフレア成分信号Fに基づいて、輝度信号Yに対するフレア成分信号Fのゲインを検出する。
【0063】
フレアゲイン検出回路115では、リセット信号FREによって各画面の先頭でフレアゲインG1が最大値にセットされる。フレアゲイン検出回路115は、エリア信号FARが“1”となる期間で輝度信号Yとフレア成分信号Fの比Y/FがフレアゲインG1より小さい場合にフレアゲインG1をそのときのY/Fの値に置き換える。エリア信号FARは、画面全体としてもよいが、画面周辺部を除いた領域としたり、画像を解析して抽出した領域としたりしてもよい。また、ユーザーによるキー入力部102の操作によって任意に設定されるようにしてもよい。こうして得られたフレアゲインG1は、コントローラ101に供給される。コントローラ101は、ゲインG1がG1の上限値G1MAXを超えているときはG1をG1MAXに置き換えた上で下式(1)
G2=1/(1−G1) ……(1)
からG2を求め、G1、G2をフレア補正回路109に供給する。
【0064】
[フレア補正回路109の構成]
図2は、上述したフレア補正回路109の構成を示している。
フレア補正回路109は、乗算器121と、減算器122と、乗算器123を有する。乗算器121は、フレア抽出回路114から供給されるフレア成分信号Fにコントローラ101から供給されるゲインG1を掛けてレベル補正されたフレア成分信号F1を得る。減算器122は、輝度信号Yからフレア成分信号F1を減算して輝度信号Y1を得る。乗算器123は、輝度信号Y1にゲインG2を掛けてフレア補正された輝度信号Ycを得る。
【0065】
ここで、ゲインG1は上記輝度信号Y1において負値が生じないようにするためのゲインである。すなわち式(2)
Y1=Y−G1×F≧0 ……(2)
が成り立つ必要があり、式(2)から式(3)
G1≦Y/F ……(3)
が得られ、すべてのY、Fにおいて式(3)が成り立つためにはG1はY/Fの最小値とすることが適当である。このことから上記フレアゲイン検出回路115が構成されている。また、Y1はYからフレア成分信号F1(=G1×F)が減算されることで平均輝度が(1−G1)倍に減少しているため、平均輝度を元の輝度信号Yに合わせるためにY1にゲインG2(=1/(1−G1))を掛けてYcを得ている。なお、元の画像がコントラストの非常に小さい画像の場合は過補正になる場合があるためG1の値には上限を設けている。
【0066】
Y/Fの最小値は輝度信号Yが最小となる時のY/Fにほぼ一致するため、フレアゲイン検出回路115はY/Fの最小値を求める代わりにYの最小値を求める。そのときのFの値と共にコントローラ101にYの最小値を供給し、コントローラ101でY/Fを計算してG1を得る構成とすることも出来る。この場合には、フレアゲイン検出回路115では除算器が不要となり回路規模を削減できる。
【0067】
図3(a)は、輝度信号Yとフレア成分信号FとゲインG1の検出位置の関係を示している。図3(b)は、輝度信号Yと、フレア成分信号FにゲインG1を掛けて得られるフレア成分信号F1の関係を示している。このF1を輝度信号Yから減算するため、F1がフレア補正量を表していると言える。図3(c)は、輝度信号Yからフレア成分信号F1を減算して得られる輝度信号Y1を示している。ここでフレア成分が除去されて黒レベルの浮きが押さえられていることがわかる。図3(d)は、輝度信号Y1にゲインG2を掛けて得られるフレア補正された輝度信号Ycを示している。このゲインはフレア成分を除去したことによる輝度低下を補正するゲインであるが、それによってコントラスト及びディテール強調効果が得られていることがわかる。
【0068】
図4は、図3の例とはLPFの特性が異なる場合の例を示している。図4(a)は、輝度信号Yとフレア成分信号FとゲインG1の検出位置の関係を示している。この例はLPFの特性が図3の場合よりも高域まで延びている場合であり、フレア成分信号Fは図3の場合よりも輝度信号Yの変化に近くなっている。図4(b)は、輝度信号Yと、フレア成分信号FにゲインG1を掛けて得られるフレア成分信号F1の関係を示している。このF1を輝度信号Yから減算するため、F1がフレア補正量を表していると言える。図4(c)は、輝度信号Yからフレア成分信号F1を減算して得られる輝度信号Y1を示している。ここでフレア成分が除去されて黒レベルの浮きが押さえられていることがわかるが、図3の場合よりも補正量が多い(輝度が下がっている)ことがわかる。図4(d)は、輝度信号Y1にゲインG2を掛けて得られるフレア補正された輝度信号Ycを示している。このゲインはフレア成分を除去したことによる輝度低下を補正するゲインであるが、それによってコントラスト及びディテール強調効果が得られていることがわかる。ここでは、図3の場合よりもディテール強調効果が大きくコントラスト強調効果が小さいことがわかる。
【0069】
このように、LPFの特性を変えることで補正効果を調節することが可能である。従って、求める画質に合わせて特性を選択したり、ユーザー設定によって特性を選択したりすることによって、多様な補正効果を得ることが可能である。
【0070】
ゲインG1として得られた値をそのまま用いるのではなく、可変することによってフレア補正効果を調節することが可能である。たとえば画像の黒レベル付近の面積が大きいときは黒が沈みすぎるのを避けるためにG1は実際に得られた値よりも小さい値を用いる。逆に画像の黒レベル付近の面積が小さいときは黒をより引き締めるためにG1は実際に得られた値よりも大きい値を用いる。また、コントラストが非常に小さい画像では過補正になることがあるためG1には上限を設ける。
【0071】
また、ゲインG2として式(1)の値をそのまま用いるのではなく、可変することによってコントラスト及びディテール強調効果を調節することが可能である。たとえば画像の白レベル付近の面積が大きいときは白とびが起きやすいので、G2は式(1)の値よりも小さい値を用いる。逆に画像の白レベル付近の面積が小さいときはコントラストをより強調するためにG2は式(1)の値よりも大きい値を用いる。また、コントラストが非常に小さい画像では過補正になることがあるため、G2には上限を設ける。
【0072】
従って、画像を解析してG1、G2を調節したり、求める画質に合わせてG1、G2を調節したり、ユーザー設定によってG1、G2を調節するようにすることによって、多様な補正効果を得るようにすることが可能である。
【0073】
<2.第二の実施形態>
次に、図6を参照して、本発明の第二の実施形態に係るビデオカメラ200について説明する。図6は、本実施形態に係るビデオカメラ200の構成を示すブロック図である。
【0074】
ビデオカメラ200は、画像を解析してG1、G2を自動で調節する。図6のビデオカメラ200は、図1のビデオカメラ100に輝度分布検出回路116を付加した構成であり、輝度分布検出回路116とコントローラ101以外の動作は、ビデオカメラ100と同様である。
【0075】
[輝度分布検出回路116]
輝度分布検出回路116は、フレア補正回路109より出力される輝度信号Ycから画像の黒付近面積SB及び白付近面積SWを検出する。輝度分布検出回路116では、リセット信号FREによって各画面の先頭で黒付近面積SB及び白付近面積SWが0にリセットされる。輝度分布検出回路116は、エリア信号FARが“1”となる期間で輝度信号Ycと閾値THB及び閾値THWを比較し、Yc<THBとなる面積SB及びYc>THWとなる面積SWを求める。ここで閾値THBは黒レベルより少し大きい値、閾値THWは白レベルより少し小さい値とすることが適当であるが、ユーザーが設定するようにしてもよい。こうして得られた黒付近面積SB及び白付近面積SWはコントローラ101に供給される。
【0076】
コントローラ101は、黒付近面積SBが閾値TSB1、TSB2(TSB1<TSB2)の間にあるときはフレアゲイン検出回路115から得られたゲインG1をそのまま用いる。SB<TSB1のときはフレアゲイン検出回路115から得られたゲインG1にゲイン補正係数AB1(>1)を掛けたものを新たにG1とする。SB>TSB2のときはフレアゲイン検出回路115から得られたゲインG1にゲイン補正係数AB2(<1)を掛けたものを新たにG1とする。ここで閾値TSB1は黒付近面積が小さいと判断する閾値でありSB<TSB1のときは黒付近面積をより大きくするためにゲインG1を大きくしている。閾値TSB2は黒付近面積が大きいと判断する閾値でありSB>TSB2のときは黒付近面積をより小さくするためにゲインG1を小さくしている。
【0077】
また、コントローラ101は白付近面積SWが閾値TSW1、TSW2(TSW1<TSW2)の間にあるときは式1で求めたゲインG2をそのまま用いる。SW<TSW1のときは式1で求めたゲインG2にゲイン補正係数AW1(>1)を掛けたものを新たにG2とする。SW>TSW2のときは式1で求めたゲインG2にゲイン補正係数AW2(<1)を掛けたものを新たにG2とする。ここで閾値TSW1は白付近面積が小さいと判断する閾値でありSW<TSW1のときは白付近面積をより大きくするためにゲインG2を大きくしている。閾値TSW2は白付近面積が大きいと判断する閾値でありSW>TSW2のときは白付近面積をより小さくするためにゲインG2を小さくしている。こうして得られたG1、G2をフレア補正回路109に供給する。
【0078】
コントローラ101がゲインG1、G2を決定するフローを図7に示す。図7は、コントローラ101がゲインG1、G2を決定する動作を示すフローチャートである。
【0079】
ステップS101では、フレアゲイン検出回路115からゲインG1を取得しゲインG1がG1の上限値G1MAXを超えているときはG1をG1MAXに置き換えた上で式(1)によりゲインG2を算出する。
【0080】
ステップS102では、ゲインG1、G2をフレア補正回路109に供給する。
【0081】
ステップS103では、輝度分布検出回路116から黒付近面積SB及び白付近面積SWを取得する。
【0082】
ステップS104では、黒付近面積SBと閾値TSB1、TSB2(TSB1<TSB2)を比較しSB<TSB1の場合にはステップS105を実行し、SB>TSB2の場合にはステップS106を実行する。
【0083】
ステップS105では、ゲインG1にゲイン補正係数AB1(>1)を掛けたものを新たにゲインG1とする。ただし、このときのゲインG1がG1の上限値G1MAXを超えたときはG1をG1MAXに置き換える。
【0084】
ステップS106では、ゲインG1にゲイン補正係数AB2(<1)を掛けたものを新たにゲインG1とする。
【0085】
ステップS107では、白付近面積SWと閾値TSW1、TSW2(TSW1<TSW2)を比較しSW<TSW1の場合にはステップS108を実行し、SW>TSW2の場合にはステップS109を実行する。
【0086】
ステップS108では、ゲインG2にゲイン補正係数AW1(>1)を掛けたものを新たにゲインG2とする。ただし、このときのゲインG2がG2の上限値G2MAXを超えたときはG2をG2MAXに置き換える。
【0087】
ステップS109では、ゲインG2にゲイン補正係数AW2(<1)を掛けたものを新たにゲインG2とする。
【0088】
ステップS110では、ゲインG1、G2をフレア補正回路109に供給する。
【0089】
なお、ステップS103からステップS110を繰り返し実行することでゲインG1、G2をより最適な値に収束させるようにしてもよい。
【0090】
ここでは輝度分布検出回路116において黒付近面積SB及び白付近面積SWを求めるとしたが、より詳細な分布を求めることでより最適な補正を行うことが出来る。たとえば上記閾値THBに加えて閾値THB2(>THB)を設定し黒付近面積SBに加えて黒付近面積SB2を求めると、SB<TSB1のときはSB2−SBが小さいほど黒付近の分布がより少ないと考えられる。従って、ゲイン補正係数AB1をより大きな値にするとよい。SB>TSB2のときはSB2−SBが大きいほど黒付近の分布がより多いと考えられる。従って、ゲイン補正係数AB2をより小さな値にするとよい。白付近の分布についても同様に考えゲイン補正係数AW1、AW2を最適化できる。
【0091】
<3.第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態に係るビデオカメラ300について説明する。
第一の実施形態におけるフレア補正された輝度信号Ycは式(4)で表せる。
Yc=G2×(Y−G1×F) ……(4)
式(1)を式(4)に代入した上で、
G3=G1/(1−G1) ……(5)
とすると式(6)が得られる。
Yc=Y+G3×(Y―F) ……(6)
【0092】
従って、フレア補正された輝度信号Ycは輝度信号Yとフレア成分信号Fの差分にゲインG3を掛けて元の輝度信号Yに加えることによっても得られる。これを第3の実施形態とする。
【0093】
第三の実施形態は、第一の実施形態と同様の図1の構成であるが、第一の実施形態との相違は、フレア補正回路109の構成が図2の代わりに図5に示す構成となる。図5は、フレア補正回路109の構成を示すブロック図である。コントローラ101からフレア補正回路109に供給されるのがG1、G2の代わりにG3となることである。
【0094】
コントローラ101はフレアゲイン検出回路115から供給されるG1から式(6)によりG3を求めG3をフレア補正回路109に供給する。
【0095】
図5に示すフレア補正回路109は、減算器131と、乗算器132と、加算器133を有する。減算器131は、フレア抽出回路114から供給されるフレア成分信号Fを輝度信号Yから減算する。乗算器132は、減算器131の出力信号にコントローラ101から供給されるゲインG3を掛ける。加算器133は、輝度信号Yに乗算器132の出力信号を加えてフレア補正された輝度信号Ycを得る。
【0096】
本実施形態では、第一の実施形態に比べて、乗算器の数が減るため回路規模が削減される。一方、第一の実施形態では、フレア補正量を調節するゲインG1とコントラスト、ディテール補正量を調節するゲインG2が個別に調節できたのに対して、本実施形態では、ゲインG3でそれらを一体的に調節することになり、自由度が少なくなる。なお、本実施形態においても加算器133の出力に乗算器を追加することで、第一の実施形態と同等の自由度を持たせることが可能であるが、その場合は回路規模の削減効果は得られない。
【0097】
以上、本発明の第一〜第三の実施形態によれば、被写体のダイナミックレンジがビデオカメラ(撮像装置)のダイナミックレンジを超えて、画像に飽和部分が発生しているような場合でも、従来よりも効果的なフレア補正が可能となる。また、撮像範囲外の輝度成分の影響によるフレア成分についても、適切なフレア補正が可能である。
【0098】
更に、本実施形態によれば、各画素の輝度、フレア成分に応じた補正処理が可能となり、画像の画素特性に応じて適切なフレア補正ができる。従来の画面一律の補正処理に比較して、効果的なフレア補正が可能となる。また、コントラスト、ディテール補正の効果も得られる。そして、パラメータG1,G2の更新を行う構成では、画像の特性に応じてパラメータの特性を変更できるので、コントラスト、ディテール補正の効果も個別に調節可能となる。
【0099】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0100】
ゲインG1は画像全体を見た結果として得られる値のため、G1を検出すると共に画像をメモリに保存してから、得られたG1を用いて画像全体を処理する必要がある。しかしながら、G1は時間軸で急激に変化することは少ないので前画面の値を用いてもよい。
【0101】
動画の場合は、フレア補正量の急激な変化を避けるため、ゲインG1を時間軸で平均化したり、1画面ごとの変化量に制限を設けたりして使用してもよい。
【0102】
画像の黒浮きはレンズ内の散乱だけでなく、他の要因によっても発生する。たとえば、空気中の粒子による光の散乱によっても発生する。このようなレンズ内の散乱以外の黒浮きについても本発明は有効である。さらに、画面内で黒浮きの程度が異なる場合がある。たとえば、画面内に遠景と近景が同時にある場合は遠景では空気中の粒子による散乱の影響が強くなるため、遠景と近景では黒浮きの程度が異なる。このような場合には領域を分割して、それぞれの領域ごとに補正を行うことで、より最適な補正が可能となる。
【0103】
また、上記実施形態はY信号に適用したがRGB信号に適用してもよい。また、ガンマ後の信号に適用したがガンマ前の信号に適用してもよい。
【0104】
上記実施形態は撮像時の処理としたが、撮像後の画像を読み出して適用することも可能である。
【0105】
上記実施形態はデジタルビデオカメラとしたがデジタルスチルカメラにおいても適用可能である。また撮像素子はCCDとしたが、たとえばCMOSなどの他の撮像素子でもよい。
【符号の説明】
【0106】
100、200 ビデオカメラ
101 コントローラ
102 キー入力部
103 レンズブロック
104 CCD(charge coupled device)固体撮像素子
105 サンプルホールド回路(S/H)
106 AGC(Automatic Gain Control)回路
107 絞り
108 カメラ信号処理回路
109 フレア補正回路
110 エンコーダ
111 出力端子
112 電子ビューファインダ(EVF)
113 積分回路
114 フレア抽出回路
115 フレアゲイン検出回路
116 輝度分布検出回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ等の撮像装置を使用して、屋外等で極めて明るい光源にレンズを向けて撮影すると、レンズフレア(以下、単にフレアともいう。)と呼ばれる現象が画像に発生する。フレアが発生すると、画像に黒レベルが浮き上がり、コントラストの低下が発生する。フレアの原因は、撮像装置を構成するレンズやフィルタ等のガラス部材、撮像素子受光面、レンズ鏡筒、絞り、レンズの傷、汚れ等による光の散乱である。
【0003】
フレアの発生を防止するため、撮像装置の構成や画像処理に関する技術が提案されている。画像処理に関する技術として、例えば特許文献1は、フレアが画面全体に一様に発生しているものと仮定して、補正する方法を提案している。そして、特許文献1においては、輝度の最小値(黒レベル)を求めてその値を画面全体から減算している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−355637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、フレアの原因である上記のような光の散乱は、輝度の高い部分により強く発生するため、フレアの量は画面全体に一様ではなく輝度のレベルに依存している。そのため、従来技術では、画面の一部に過度な補正部分が発生する等、画面の部分によっては適切な補正が出来ていないという問題があった。
【0006】
これを解決する方法として、画像全体にわたる一様な処理を行うのではなく、画像の構成部分それぞれに応じた最適な補正をすることが考えられる。例えば、フレア成分をLPFで抽出することによって、画像を補正する。
【0007】
しかし、被写体のダイナミックレンジが撮像装置のダイナミックレンジを超えるような場合に、画像に飽和部分が発生し、本来の輝度レベルが得られない。そのため、飽和部分に該当する画像信号にLPFを適用しても、適切なフレア成分が抽出できないという問題があった。
【0008】
また、フレアは、撮像範囲外における輝度分布にも影響されて発生している。しかし、従来技術の方法では、撮像画面のみを参照しているため、撮像範囲外の輝度成分の影響によるフレア成分は抽出できないという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、画像に飽和部分が発生し、本来の輝度レベルが得られないときにも、適切にフレア成分を検出して効果的なフレア補正をすることが可能な、新規かつ改良された画像処理装置、画像処理方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、第一の露出条件で撮影される第一の画像と異なり、第一の露出条件より画像が飽和しない第2の露出条件で得られる第二の画像の画像信号にローパスフィルタを適用して画像信号に対応する閾値を決定する閾値決定部と、第一の画像の画像信号と閾値に基づいて第一の画像のフレアを補正する画像補正部とを有する画像処理装置が提供される。
【0011】
上記第二の画像は、第一の画像より広い画角の条件で得られる画像であってもよい。
【0012】
上記閾値決定部は、第一の画像が飽和しているか否かを判断し、飽和していると判断したとき、第二の画像の画像信号にローパスフィルタを適用して画像信号に対応する閾値を決定してもよい。
【0013】
上記閾値決定部は、第一の画像の画像信号から任意の画素を間引いた第一の間引き画像に基づいて、第一の画像が飽和しているか否かを判断してもよい。
【0014】
上記第一の露出条件と第二の露出条件において、絞り条件は同一であってもよい。
【0015】
上記閾値決定部は、第二の画像の画像信号から任意の画素を間引いた第二の間引き画像の画像信号にローパスフィルタを適用してもよい。
【0016】
上記第二の画像信号は、第一の画像信号の飽和部分の周辺の輝度分布、又は第一の画像信号による画像におけるフレア発生状況に基づいて推測して得られてもよい。
【0017】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、閾値決定部が、第一の露出条件で撮影される第一の画像と異なり、第一の露出条件より画像が飽和しない第2の露出条件で得られる第二の画像の画像信号にローパスフィルタを適用して画像信号に対応する閾値を決定するステップと、画像補正部が、第一の画像の画像信号と閾値に基づいて第一の画像のフレアを補正するステップとを有する画像処理方法が提供される。
【0018】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、閾値決定部が、第一の露出条件で撮影される第一の画像と異なり、第一の露出条件より画像が飽和しない第2の露出条件で得られる第二の画像の画像信号にローパスフィルタを適用して画像信号に対応する閾値を決定する手順、画像補正部が、第一の画像の画像信号と閾値に基づいて第一の画像のフレアを補正する手順をコンピュータに実行させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、画像に飽和部分が発生し、本来の輝度レベルが得られないときにも、適切にフレア成分を検出して効果的なフレア補正をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第一の実施形態に係るビデオカメラ100の構成を示すブロック図である。
【図2】フレア補正回路109の構成を示すブロック図である。
【図3】図3(a)は、輝度信号Yとフレア成分信号FとゲインG1の検出位置の関係を示すグラフである。図3(b)は、輝度信号Yとフレア成分信号F1の関係を示すグラフである。図3(c)は、輝度信号Y1を示すグラフである。図3(d)は、輝度信号Ycを示すグラフである。
【図4】図4(a)は、輝度信号Yとフレア成分信号FとゲインG1の検出位置の関係を示すグラフである。図4(b)は、輝度信号Yとフレア成分信号F1の関係を示すグラフである。図4(c)は、輝度信号Y1を示すグラフである。図4(d)は、輝度信号Ycを示すグラフである。
【図5】本発明の第三の実施形態に係るフレア補正回路109の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第二の実施形態に係るビデオカメラ200の構成を示すブロック図である。
【図7】コントローラ101がゲインG1、G2を決定する動作を示すフローチャートである。
【図8】フレア抽出回路114の一例を示すブロック図である。
【図9】本発明の第一の実施形態に係るフレア抽出回路114の動作を示すフローチャートである。
【図10】同実施形態に係るフレア抽出回路の第一の変更例の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0022】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.第一の実施形態
2.第二の実施形態
3.第三の実施形態
【0023】
<1.第一の実施形態>
まず、図1を参照しながら、本発明の第一の実施形態に係るビデオカメラ100について説明する。図1は、本実施形態に係るビデオカメラ100の構成を示すブロック図である。
【0024】
ビデオカメラ100は、コントローラ101と、レンズブロック103と、CCD(charge coupled device)固体撮像素子104と、サンプルホールド回路105と、AGC(Automatic Gain Control)回路106と、カメラ信号処理回路108と、フレア補正回路109と、エンコーダ110と、出力端子111と、電子ビューファインダ112と、積分回路113と、フレア抽出回路114と、フレアゲイン検出回路115などを有する。
【0025】
コントローラ101は、マイクロコンピュータを備え、システム全体の動作を制御する。このコントローラ101には、ユーザーが種々のキー操作を行うためのキー入力部102が接続される。
【0026】
レンズブロック103は、撮像レンズ等の光学系を構成する。レンズブロック103内には、絞り107が設けられている。
【0027】
CCD(charge coupled device)固体撮像素子104は、レンズブロック103を通過して受けた光を電気信号に変換する。
【0028】
サンプルホールド回路105は、撮像素子104から出力される、不要なリセット状態の信号を取り除く。
【0029】
AGC(Automatic Gain Control)回路106は、サンプルホールド回路105から出力される撮像信号の振幅を一定に保つように制御する。
【0030】
カメラ信号処理回路108は、AGC回路106で振幅が制御された撮像信号を処理して、輝度信号Y、赤色差信号R−Y、青色差信号B−Yを得る。
【0031】
フレア補正回路109は、カメラ信号処理回路108から出力される輝度信号Yのフレアを補正する。フレア補正回路109は、画像補正部の一例である。
【0032】
エンコーダ110は、フレア補正回路109でフレアが補正された輝度信号Yc、及びカメラ信号処理回路108から出力される色差信号R−Y,B−Yを使用して、例えばNTSC方式のビデオ信号SVを得る。
【0033】
出力端子111は、エンコーダ110から出力されるビデオ信号SVを出力する。
【0034】
電子ビューファインダ112は、ビデオ信号SVによる画像を表示する。
【0035】
[積分回路113]
積分回路113は、カメラ信号処理回路108から出力される輝度信号Yを積分して明るさ評価値としての積分信号SITを得る。積分回路113は、画面上の対象エリアに対応して例えば“1”となるエリア信号SARと、各画面の先頭タイミングで発生されるリセット信号SREとがコントローラ101から供給される。
【0036】
積分回路113は、リセット信号SREによって各画面の先頭で積分値をリセットし、エリア信号SARが“1”となる期間でカメラ信号処理回路108から出力される輝度信号Yを積分する。そして、積分回路113は、積分回路113から画面毎に出力される明るさ評価値としての積分信号SITをコントローラ101に供給する。コントローラ101は、絞り107の開口量やAGC回路106のゲインを制御することで、積分回路113で得られる積分信号SITが所定値となるように露出制御をする。
【0037】
[フレア抽出回路114]
フレア抽出回路114は、閾値決定部の一例であり、カメラ信号処理回路108から出力される輝度信号Yに基づいてフレア成分信号Fを抽出する。
【0038】
フレア成分信号Fは、フレア補正回路109及びフレアゲイン検出回路115に供給される。上述したとおり、フレアは光がレンズブロック103内で散乱することによって生じる。散乱した光の強度は距離と共に減衰するので、入射光の強度が強い部分ほどフレア成分が多くなるが、散乱によって広い範囲に渡って広がるためフレア成分の変化は非常に緩やかなものとなっている。従って、フレア抽出回路114の一例は、輝度信号Yを平滑化するLPF(ローパスフィルタ)である。
【0039】
フレアの発生原因から容易に推測されるように、フレア特性はレンズブロックの構成やレンズブロックの状態(ズーム位置、絞り位置、フォーカス位置など)によって変わる。そのため、LPFが、レンズブロックの構成やレンズブロックの状態を考慮したLPF特性に設定されることで最適なフレア補正効果が得られる。さらに、LPFの特性を変えることで画質補正効果が得られるが、それについては後述する。
【0040】
被写体のダイナミックレンジが撮像装置のダイナミックレンジを超えるような場合には、画像に飽和部分が発生し本来の輝度レベルが得られない。そのため、飽和部分に該当する信号にLPFを適用しても適切なフレア成分が抽出できない。従って、画像撮像時に画像が飽和する場合は、本来の撮像画像にLPFを適用するのではなく、本来の撮影画像とは別に撮影して得られる、飽和部分が生じない露出レベルの画像にLPFを適用する。これによって、従来技術に比べてより適切なフレア成分を抽出することが出来る。そのようなフレア抽出回路114の一例を図8に示す。図8は、フレア抽出回路114の一例を示すブロック図である。
【0041】
[フレア抽出回路114の構成]
フレア抽出回路114は、LPF141と、フレア成分保存部142と、出力選択スイッチ143を有する。
【0042】
画像撮像時に画像が飽和していない場合、出力選択スイッチ143は、LPF141側に設定され、LPF141から出力された信号が、フレア成分信号Fとしてフレア補正回路109及びフレアゲイン検出回路115に供給される。
【0043】
画像撮像時に画像が飽和している場合、出力選択スイッチ143は、フレア成分保存部142側に設定され、画像が飽和しない露出レベル(非飽和露出レベル)に設定した状態の画像信号がLPF141にまず適用される。そして、LPF141から出力された信号が、フレア成分信号Fとしてフレア成分保存部142に保存される。その後、本来撮像したい露出レベル(本来露出レベル)の画像信号のタイミングに合わせて、フレア成分信号Fがフレア成分保存部142から出力され、フレア補正回路109及びフレアゲイン検出回路115に供給される。
【0044】
[フレア抽出回路114の動作]
このときの動作フローを図9に示す。図9は、本実施形態に係るフレア抽出回路114の動作を示すフローチャートである。
【0045】
まず、撮像装置が本来撮像したい露出レベル(本来露出レベル)に設定される(ステップS121)。そして、撮像装置が本来露出レベルで撮影をして画像を取得する。
【0046】
次に、画像の飽和部分の面積の大小によって、画像が飽和画像であるか否かを判断する(ステップS122)。例えば、画像の飽和部分の面積が任意の閾値よりも小さい場合は、出力選択スイッチ143がLPF141側に設定される(ステップS133)。そして、本来露出レベルの画像信号がLPF141に適用される(ステップS134)。その後、画像信号にLPF141を適用した結果が、LPF141から出力され(ステップS135)、一連の動作が終了する。
【0047】
一方、例えば画像の飽和部分の面積が任意の閾値以上である場合は、出力選択スイッチ143がフレア成分保存部142側に設定される(ステップS123)。そして、撮像装置が、画像が飽和しない露出レベル(非飽和露出レベル)に設定される(ステップS124)。次に、撮像装置が非飽和露出レベルで撮影をして画像を取得する。その後、非飽和露出レベルの画像信号がLPF141に適用される(ステップS125)。そして、画像信号にLPF141を適用した結果が、フレア成分信号Fとしてフレア成分保存部142に保存される(ステップS126)。
【0048】
次に、撮像装置が本来撮像したい露出レベル(本来露出レベル)に設定される(ステップS127)。そして、撮像装置が本来露出レベルで撮影をして画像を取得する。それと共に本来露出レベルの画像信号のタイミングに合わせて、フレア成分保存部142からフレア成分信号Fが出力される(ステップS128)。
【0049】
なお、ステップS122における画像の飽和判別は、間引き画像を用いてもよい。すなわち、撮像素子104の読み出し時に画像データから画素を間引いたり、カメラ信号処理回路108の処理時に画像データから画素を間引いたりすることで、ステップS122の処理時間を削減することができる。
【0050】
また、フレア特性は絞り位置によって変わる可能性がある。従って、ステップS124で非飽和露出レベルに設定されるとき、本来露出レベルでの絞り位置と同じ絞り位置を用い、露出レベルの調整はシャッタースピードの調整で行うことが望ましい。これにより、フレアの状態を変えることなく、画像信号を取得できる。
【0051】
また、ステップS126で得られるフレア成分は、非飽和露出レベルで得られたものである。従って、フレア成分信号を、本来露出信号の露出レベルに合わせてレベルを調整するため、ゲイン補正してから保存するか、またはフレア成分信号をステップS128におけるフレア成分出力時にゲイン補正する必要がある。しかしながら、このゲイン補正分は、後述するフレアゲイン検出回路115を用いるのであれば、フレアゲイン検出回路115で検出するゲインによって自動的に補正される。従って、ここでの補正は省略することも可能である。
【0052】
また、ステップS126で得られるフレア成分は、LPFを適用した信号である。従って、フレア成分が、画素を間引いた状態でフレア成分保存部142に保存され、出力時に補間されて出力されることによって、フレア成分保存部142の回路規模を削減することが可能である。
【0053】
また、ステップS126で得られるフレア成分は、LPF141を適用した信号である。従って、LPF141への入力信号である画像信号は、通常の画像よりも間引いた画像にしてもよい。すなわち、撮像素子104の読み出し時に画像データから画素を間引いたり、カメラ信号処理回路108の処理時に画像データから画素を間引いたりすることで、ステップS126の処理時間やLPF141の回路規模を削減することができる。このときLPF141の特性は、上述の画像間引き処理の特性を考慮して決定される。間引き処理に用いるLPFとLPF141の両者を適用することによる画像劣化を防止するためである。
【0054】
[フレア抽出回路の第一の変更例の構成及び動作]
上述した動作フローでは、画像飽和時において、撮像装置は、非飽和露出レベルに設定されてから、改めて本来露出レベルに設定される。そのため、ユーザーがシャッターを押してから実際の撮像画像を取得するまでに遅れが生じる。それを避けるために、図10に示すような動作フローでフレア抽出回路114が動作するとしてもよい。図10は、フレア抽出回路の第一の変更例の動作を示すフローチャートである。
【0055】
ステップS121の後、ステップS122において本来露出レベルで画像飽和判別するときの画像を画像メモリに保存しておく(ステップS221)。その後、非飽和露出レベルで得られたフレア成分と先に保存した画像データを用いてフレア補正を行うようにしてもよい。なお、この場合は、ステップS125でのLPF141の出力タイミングに合わせて画像メモリから画像を読み出し、それらを用いてフレア補正を行うようにすることで、図9に示したステップS126〜ステップS127までのステップを省略できる。また、フレア成分保存部142、出力選択スイッチ143が省略可能である。
【0056】
[フレア抽出回路の第二の変更例の構成及び動作]
フレア成分は、撮像範囲外の輝度分布にも影響される。しかし、ユーザーが本来撮影したい撮像画面からは撮像範囲外の輝度成分は抽出できない。そのため、LPF141を適用する画像について、上述した飽和部分が生じない露出レベルという条件に加え、レンズブロック103を調整してより広角な画像とする。
【0057】
これによって、フレア抽出回路114は、より適切なフレア成分を抽出することが出来る。この場合には、フレア抽出回路114は、上述したステップS122で画像が飽和画像であると判断されたときは、画像を飽和しない露出レベルに設定し、かつレンズブロック103を本来撮像したい画角より広角に設定した状態の画像信号にLPF141を適用する。そして、画像信号にLPF141を適用した結果をフレア成分保存部142に保存する。その際、フレア成分保存部142に保存するデータは、本来の画角に相当する部分のみでよい。その後、本来の露出レベル及び画角に設定した状態の画像信号に合わせて、フレア成分保存部142からフレア成分信号Fを出力し、フレア補正回路109及びフレアゲイン検出回路115に供給する。
【0058】
この場合の動作フローは、図9で「非飽和露出レベルに設定、撮影(ステップS124)」及び「本来露出レベルに設定、撮影(ステップS127)」のステップを次のように変更すればよい。「非飽和露出レベルに設定、撮影(ステップS124)」のステップでは、非飽和露出レベルに設定することに加え、本来撮像したい画角よりもレンズブロック103を広角に設定する。「本来露出レベルに設定、撮影(ステップS127)」のステップでは、本来露出レベルに設定することに加え、本来撮像したい画角に設定する。
【0059】
[フレア抽出回路の第三の変更例の構成及び動作]
上記では、画像が飽和画像であると判断されたときにおいて、非飽和画像から抽出したフレア成分を適用することが有効であることを示した。更に、いわゆるHDR(High Dynamic Range)合成画像の作成においても、同様にフレア補正を適用することができる。HDR合成画像とは、露出レベルの異なる複数の画像の適正露出部分を切り出して合成することで得られるレンジ範囲の広い高ダイナミックレンジ(白とび、黒つぶれの少ない)画像である。たとえば、高露出レベルの(黒つぶれの少ない)画像と低露出レベルの(白とびの少ない)画像を合成する場合、低露出レベル画像から抽出したフレア成分を用いて高露出レベル画像及び低露出レベル画像のフレア補正を行ってから両者を合成する。これによって、適切にフレア補正がされたHDR合成画像が得られる。
【0060】
[フレア抽出回路の第四の変更例の構成及び動作]
また、上記では、画像が飽和画像であると判断されたときにおいて、非飽和画像から抽出したフレア成分を飽和画像に適用する方法を示した。しかし、非飽和画像では低輝度部分の階調が不足する可能性がある。そのような場合は、飽和画像の飽和部分(または飽和部分とその近傍)に非飽和画像の該当部分の露出レベルを合わせて合成した画像からフレア成分を抽出するようにすればよい。上述のように、フレア成分は画像信号にLPFを適用して抽出されるため、合成する画像は本来の画素数よりも間引いた画像にしてもよい。
【0061】
[フレア抽出回路のその他の変更例の構成及び動作]
また、上記では、非飽和画像をフレア成分の抽出に利用する方法を示した。しかし、非飽和画像にLPFを適用してフレア成分を抽出する用途では、画像データにおいて高周波成分は不要である。従って、非飽和画像の取得は簡易的な方法によって行うことが可能である。例えば、上記のように、非飽和画像の取得の際、撮像素子からの信号を簡易化する方法(撮像素子の読み出し時に間引く、カメラ信号処理時に間引く、など)を採用できる。また、(1)非飽和画像の取得のため、撮像素子よりも簡易な、輝度分布を求めるための専用センサーを設ける方法がある。更に、(2)非飽和画像の取得は、飽和画像から飽和部分を推測する方法(たとえば飽和部分の周辺の輝度分布やフレアの発生状況から飽和部分を推測する方法等)がある。
【0062】
[フレアゲイン検出回路115]
ビデオカメラ100は、更に、フレアゲイン検出回路115を有する。フレアゲイン検出回路115は、カメラ信号処理回路108から出力される輝度信号Y、及びフレア抽出回路114から出力されるフレア成分信号Fに基づいて、輝度信号Yに対するフレア成分信号Fのゲインを検出する。
【0063】
フレアゲイン検出回路115では、リセット信号FREによって各画面の先頭でフレアゲインG1が最大値にセットされる。フレアゲイン検出回路115は、エリア信号FARが“1”となる期間で輝度信号Yとフレア成分信号Fの比Y/FがフレアゲインG1より小さい場合にフレアゲインG1をそのときのY/Fの値に置き換える。エリア信号FARは、画面全体としてもよいが、画面周辺部を除いた領域としたり、画像を解析して抽出した領域としたりしてもよい。また、ユーザーによるキー入力部102の操作によって任意に設定されるようにしてもよい。こうして得られたフレアゲインG1は、コントローラ101に供給される。コントローラ101は、ゲインG1がG1の上限値G1MAXを超えているときはG1をG1MAXに置き換えた上で下式(1)
G2=1/(1−G1) ……(1)
からG2を求め、G1、G2をフレア補正回路109に供給する。
【0064】
[フレア補正回路109の構成]
図2は、上述したフレア補正回路109の構成を示している。
フレア補正回路109は、乗算器121と、減算器122と、乗算器123を有する。乗算器121は、フレア抽出回路114から供給されるフレア成分信号Fにコントローラ101から供給されるゲインG1を掛けてレベル補正されたフレア成分信号F1を得る。減算器122は、輝度信号Yからフレア成分信号F1を減算して輝度信号Y1を得る。乗算器123は、輝度信号Y1にゲインG2を掛けてフレア補正された輝度信号Ycを得る。
【0065】
ここで、ゲインG1は上記輝度信号Y1において負値が生じないようにするためのゲインである。すなわち式(2)
Y1=Y−G1×F≧0 ……(2)
が成り立つ必要があり、式(2)から式(3)
G1≦Y/F ……(3)
が得られ、すべてのY、Fにおいて式(3)が成り立つためにはG1はY/Fの最小値とすることが適当である。このことから上記フレアゲイン検出回路115が構成されている。また、Y1はYからフレア成分信号F1(=G1×F)が減算されることで平均輝度が(1−G1)倍に減少しているため、平均輝度を元の輝度信号Yに合わせるためにY1にゲインG2(=1/(1−G1))を掛けてYcを得ている。なお、元の画像がコントラストの非常に小さい画像の場合は過補正になる場合があるためG1の値には上限を設けている。
【0066】
Y/Fの最小値は輝度信号Yが最小となる時のY/Fにほぼ一致するため、フレアゲイン検出回路115はY/Fの最小値を求める代わりにYの最小値を求める。そのときのFの値と共にコントローラ101にYの最小値を供給し、コントローラ101でY/Fを計算してG1を得る構成とすることも出来る。この場合には、フレアゲイン検出回路115では除算器が不要となり回路規模を削減できる。
【0067】
図3(a)は、輝度信号Yとフレア成分信号FとゲインG1の検出位置の関係を示している。図3(b)は、輝度信号Yと、フレア成分信号FにゲインG1を掛けて得られるフレア成分信号F1の関係を示している。このF1を輝度信号Yから減算するため、F1がフレア補正量を表していると言える。図3(c)は、輝度信号Yからフレア成分信号F1を減算して得られる輝度信号Y1を示している。ここでフレア成分が除去されて黒レベルの浮きが押さえられていることがわかる。図3(d)は、輝度信号Y1にゲインG2を掛けて得られるフレア補正された輝度信号Ycを示している。このゲインはフレア成分を除去したことによる輝度低下を補正するゲインであるが、それによってコントラスト及びディテール強調効果が得られていることがわかる。
【0068】
図4は、図3の例とはLPFの特性が異なる場合の例を示している。図4(a)は、輝度信号Yとフレア成分信号FとゲインG1の検出位置の関係を示している。この例はLPFの特性が図3の場合よりも高域まで延びている場合であり、フレア成分信号Fは図3の場合よりも輝度信号Yの変化に近くなっている。図4(b)は、輝度信号Yと、フレア成分信号FにゲインG1を掛けて得られるフレア成分信号F1の関係を示している。このF1を輝度信号Yから減算するため、F1がフレア補正量を表していると言える。図4(c)は、輝度信号Yからフレア成分信号F1を減算して得られる輝度信号Y1を示している。ここでフレア成分が除去されて黒レベルの浮きが押さえられていることがわかるが、図3の場合よりも補正量が多い(輝度が下がっている)ことがわかる。図4(d)は、輝度信号Y1にゲインG2を掛けて得られるフレア補正された輝度信号Ycを示している。このゲインはフレア成分を除去したことによる輝度低下を補正するゲインであるが、それによってコントラスト及びディテール強調効果が得られていることがわかる。ここでは、図3の場合よりもディテール強調効果が大きくコントラスト強調効果が小さいことがわかる。
【0069】
このように、LPFの特性を変えることで補正効果を調節することが可能である。従って、求める画質に合わせて特性を選択したり、ユーザー設定によって特性を選択したりすることによって、多様な補正効果を得ることが可能である。
【0070】
ゲインG1として得られた値をそのまま用いるのではなく、可変することによってフレア補正効果を調節することが可能である。たとえば画像の黒レベル付近の面積が大きいときは黒が沈みすぎるのを避けるためにG1は実際に得られた値よりも小さい値を用いる。逆に画像の黒レベル付近の面積が小さいときは黒をより引き締めるためにG1は実際に得られた値よりも大きい値を用いる。また、コントラストが非常に小さい画像では過補正になることがあるためG1には上限を設ける。
【0071】
また、ゲインG2として式(1)の値をそのまま用いるのではなく、可変することによってコントラスト及びディテール強調効果を調節することが可能である。たとえば画像の白レベル付近の面積が大きいときは白とびが起きやすいので、G2は式(1)の値よりも小さい値を用いる。逆に画像の白レベル付近の面積が小さいときはコントラストをより強調するためにG2は式(1)の値よりも大きい値を用いる。また、コントラストが非常に小さい画像では過補正になることがあるため、G2には上限を設ける。
【0072】
従って、画像を解析してG1、G2を調節したり、求める画質に合わせてG1、G2を調節したり、ユーザー設定によってG1、G2を調節するようにすることによって、多様な補正効果を得るようにすることが可能である。
【0073】
<2.第二の実施形態>
次に、図6を参照して、本発明の第二の実施形態に係るビデオカメラ200について説明する。図6は、本実施形態に係るビデオカメラ200の構成を示すブロック図である。
【0074】
ビデオカメラ200は、画像を解析してG1、G2を自動で調節する。図6のビデオカメラ200は、図1のビデオカメラ100に輝度分布検出回路116を付加した構成であり、輝度分布検出回路116とコントローラ101以外の動作は、ビデオカメラ100と同様である。
【0075】
[輝度分布検出回路116]
輝度分布検出回路116は、フレア補正回路109より出力される輝度信号Ycから画像の黒付近面積SB及び白付近面積SWを検出する。輝度分布検出回路116では、リセット信号FREによって各画面の先頭で黒付近面積SB及び白付近面積SWが0にリセットされる。輝度分布検出回路116は、エリア信号FARが“1”となる期間で輝度信号Ycと閾値THB及び閾値THWを比較し、Yc<THBとなる面積SB及びYc>THWとなる面積SWを求める。ここで閾値THBは黒レベルより少し大きい値、閾値THWは白レベルより少し小さい値とすることが適当であるが、ユーザーが設定するようにしてもよい。こうして得られた黒付近面積SB及び白付近面積SWはコントローラ101に供給される。
【0076】
コントローラ101は、黒付近面積SBが閾値TSB1、TSB2(TSB1<TSB2)の間にあるときはフレアゲイン検出回路115から得られたゲインG1をそのまま用いる。SB<TSB1のときはフレアゲイン検出回路115から得られたゲインG1にゲイン補正係数AB1(>1)を掛けたものを新たにG1とする。SB>TSB2のときはフレアゲイン検出回路115から得られたゲインG1にゲイン補正係数AB2(<1)を掛けたものを新たにG1とする。ここで閾値TSB1は黒付近面積が小さいと判断する閾値でありSB<TSB1のときは黒付近面積をより大きくするためにゲインG1を大きくしている。閾値TSB2は黒付近面積が大きいと判断する閾値でありSB>TSB2のときは黒付近面積をより小さくするためにゲインG1を小さくしている。
【0077】
また、コントローラ101は白付近面積SWが閾値TSW1、TSW2(TSW1<TSW2)の間にあるときは式1で求めたゲインG2をそのまま用いる。SW<TSW1のときは式1で求めたゲインG2にゲイン補正係数AW1(>1)を掛けたものを新たにG2とする。SW>TSW2のときは式1で求めたゲインG2にゲイン補正係数AW2(<1)を掛けたものを新たにG2とする。ここで閾値TSW1は白付近面積が小さいと判断する閾値でありSW<TSW1のときは白付近面積をより大きくするためにゲインG2を大きくしている。閾値TSW2は白付近面積が大きいと判断する閾値でありSW>TSW2のときは白付近面積をより小さくするためにゲインG2を小さくしている。こうして得られたG1、G2をフレア補正回路109に供給する。
【0078】
コントローラ101がゲインG1、G2を決定するフローを図7に示す。図7は、コントローラ101がゲインG1、G2を決定する動作を示すフローチャートである。
【0079】
ステップS101では、フレアゲイン検出回路115からゲインG1を取得しゲインG1がG1の上限値G1MAXを超えているときはG1をG1MAXに置き換えた上で式(1)によりゲインG2を算出する。
【0080】
ステップS102では、ゲインG1、G2をフレア補正回路109に供給する。
【0081】
ステップS103では、輝度分布検出回路116から黒付近面積SB及び白付近面積SWを取得する。
【0082】
ステップS104では、黒付近面積SBと閾値TSB1、TSB2(TSB1<TSB2)を比較しSB<TSB1の場合にはステップS105を実行し、SB>TSB2の場合にはステップS106を実行する。
【0083】
ステップS105では、ゲインG1にゲイン補正係数AB1(>1)を掛けたものを新たにゲインG1とする。ただし、このときのゲインG1がG1の上限値G1MAXを超えたときはG1をG1MAXに置き換える。
【0084】
ステップS106では、ゲインG1にゲイン補正係数AB2(<1)を掛けたものを新たにゲインG1とする。
【0085】
ステップS107では、白付近面積SWと閾値TSW1、TSW2(TSW1<TSW2)を比較しSW<TSW1の場合にはステップS108を実行し、SW>TSW2の場合にはステップS109を実行する。
【0086】
ステップS108では、ゲインG2にゲイン補正係数AW1(>1)を掛けたものを新たにゲインG2とする。ただし、このときのゲインG2がG2の上限値G2MAXを超えたときはG2をG2MAXに置き換える。
【0087】
ステップS109では、ゲインG2にゲイン補正係数AW2(<1)を掛けたものを新たにゲインG2とする。
【0088】
ステップS110では、ゲインG1、G2をフレア補正回路109に供給する。
【0089】
なお、ステップS103からステップS110を繰り返し実行することでゲインG1、G2をより最適な値に収束させるようにしてもよい。
【0090】
ここでは輝度分布検出回路116において黒付近面積SB及び白付近面積SWを求めるとしたが、より詳細な分布を求めることでより最適な補正を行うことが出来る。たとえば上記閾値THBに加えて閾値THB2(>THB)を設定し黒付近面積SBに加えて黒付近面積SB2を求めると、SB<TSB1のときはSB2−SBが小さいほど黒付近の分布がより少ないと考えられる。従って、ゲイン補正係数AB1をより大きな値にするとよい。SB>TSB2のときはSB2−SBが大きいほど黒付近の分布がより多いと考えられる。従って、ゲイン補正係数AB2をより小さな値にするとよい。白付近の分布についても同様に考えゲイン補正係数AW1、AW2を最適化できる。
【0091】
<3.第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態に係るビデオカメラ300について説明する。
第一の実施形態におけるフレア補正された輝度信号Ycは式(4)で表せる。
Yc=G2×(Y−G1×F) ……(4)
式(1)を式(4)に代入した上で、
G3=G1/(1−G1) ……(5)
とすると式(6)が得られる。
Yc=Y+G3×(Y―F) ……(6)
【0092】
従って、フレア補正された輝度信号Ycは輝度信号Yとフレア成分信号Fの差分にゲインG3を掛けて元の輝度信号Yに加えることによっても得られる。これを第3の実施形態とする。
【0093】
第三の実施形態は、第一の実施形態と同様の図1の構成であるが、第一の実施形態との相違は、フレア補正回路109の構成が図2の代わりに図5に示す構成となる。図5は、フレア補正回路109の構成を示すブロック図である。コントローラ101からフレア補正回路109に供給されるのがG1、G2の代わりにG3となることである。
【0094】
コントローラ101はフレアゲイン検出回路115から供給されるG1から式(6)によりG3を求めG3をフレア補正回路109に供給する。
【0095】
図5に示すフレア補正回路109は、減算器131と、乗算器132と、加算器133を有する。減算器131は、フレア抽出回路114から供給されるフレア成分信号Fを輝度信号Yから減算する。乗算器132は、減算器131の出力信号にコントローラ101から供給されるゲインG3を掛ける。加算器133は、輝度信号Yに乗算器132の出力信号を加えてフレア補正された輝度信号Ycを得る。
【0096】
本実施形態では、第一の実施形態に比べて、乗算器の数が減るため回路規模が削減される。一方、第一の実施形態では、フレア補正量を調節するゲインG1とコントラスト、ディテール補正量を調節するゲインG2が個別に調節できたのに対して、本実施形態では、ゲインG3でそれらを一体的に調節することになり、自由度が少なくなる。なお、本実施形態においても加算器133の出力に乗算器を追加することで、第一の実施形態と同等の自由度を持たせることが可能であるが、その場合は回路規模の削減効果は得られない。
【0097】
以上、本発明の第一〜第三の実施形態によれば、被写体のダイナミックレンジがビデオカメラ(撮像装置)のダイナミックレンジを超えて、画像に飽和部分が発生しているような場合でも、従来よりも効果的なフレア補正が可能となる。また、撮像範囲外の輝度成分の影響によるフレア成分についても、適切なフレア補正が可能である。
【0098】
更に、本実施形態によれば、各画素の輝度、フレア成分に応じた補正処理が可能となり、画像の画素特性に応じて適切なフレア補正ができる。従来の画面一律の補正処理に比較して、効果的なフレア補正が可能となる。また、コントラスト、ディテール補正の効果も得られる。そして、パラメータG1,G2の更新を行う構成では、画像の特性に応じてパラメータの特性を変更できるので、コントラスト、ディテール補正の効果も個別に調節可能となる。
【0099】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0100】
ゲインG1は画像全体を見た結果として得られる値のため、G1を検出すると共に画像をメモリに保存してから、得られたG1を用いて画像全体を処理する必要がある。しかしながら、G1は時間軸で急激に変化することは少ないので前画面の値を用いてもよい。
【0101】
動画の場合は、フレア補正量の急激な変化を避けるため、ゲインG1を時間軸で平均化したり、1画面ごとの変化量に制限を設けたりして使用してもよい。
【0102】
画像の黒浮きはレンズ内の散乱だけでなく、他の要因によっても発生する。たとえば、空気中の粒子による光の散乱によっても発生する。このようなレンズ内の散乱以外の黒浮きについても本発明は有効である。さらに、画面内で黒浮きの程度が異なる場合がある。たとえば、画面内に遠景と近景が同時にある場合は遠景では空気中の粒子による散乱の影響が強くなるため、遠景と近景では黒浮きの程度が異なる。このような場合には領域を分割して、それぞれの領域ごとに補正を行うことで、より最適な補正が可能となる。
【0103】
また、上記実施形態はY信号に適用したがRGB信号に適用してもよい。また、ガンマ後の信号に適用したがガンマ前の信号に適用してもよい。
【0104】
上記実施形態は撮像時の処理としたが、撮像後の画像を読み出して適用することも可能である。
【0105】
上記実施形態はデジタルビデオカメラとしたがデジタルスチルカメラにおいても適用可能である。また撮像素子はCCDとしたが、たとえばCMOSなどの他の撮像素子でもよい。
【符号の説明】
【0106】
100、200 ビデオカメラ
101 コントローラ
102 キー入力部
103 レンズブロック
104 CCD(charge coupled device)固体撮像素子
105 サンプルホールド回路(S/H)
106 AGC(Automatic Gain Control)回路
107 絞り
108 カメラ信号処理回路
109 フレア補正回路
110 エンコーダ
111 出力端子
112 電子ビューファインダ(EVF)
113 積分回路
114 フレア抽出回路
115 フレアゲイン検出回路
116 輝度分布検出回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の露出条件で撮影される第一の画像と異なり、前記第一の露出条件より画像が飽和しない第2の露出条件で得られる第二の画像の画像信号にローパスフィルタを適用して前記画像信号に対応する閾値を決定する閾値決定部と、
前記第一の画像の画像信号と前記閾値に基づいて前記第一の画像のフレアを補正する画像補正部と
を有する、画像処理装置。
【請求項2】
前記第二の画像は、前記第一の画像より広い画角の条件で得られる画像である、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記閾値決定部は、前記第一の画像が飽和しているか否かを判断し、飽和していると判断したとき、前記第二の画像の画像信号にローパスフィルタを適用して前記画像信号に対応する閾値を決定する、請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記閾値決定部は、前記第一の画像の画像信号から任意の画素を間引いた第一の間引き画像に基づいて、前記第一の画像が飽和しているか否かを判断する、請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第一の露出条件と前記第二の露出条件において、絞り条件は同一である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記閾値決定部は、前記第二の画像の画像信号から任意の画素を間引いた第二の間引き画像の画像信号にローパスフィルタを適用する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記第二の画像信号は、前記第一の画像信号の飽和部分の周辺の輝度分布、又は前記第一の画像信号による画像におけるフレア発生状況に基づいて推測して得られる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
閾値決定部が、第一の露出条件で撮影される第一の画像と異なり、前記第一の露出条件より画像が飽和しない第2の露出条件で得られる第二の画像の画像信号にローパスフィルタを適用して前記画像信号に対応する閾値を決定するステップと、
画像補正部が、前記第一の画像の画像信号と前記閾値に基づいて前記第一の画像のフレアを補正するステップと
を有する、画像処理方法。
【請求項9】
閾値決定部が、第一の露出条件で撮影される第一の画像と異なり、前記第一の露出条件より画像が飽和しない第2の露出条件で得られる第二の画像の画像信号にローパスフィルタを適用して前記画像信号に対応する閾値を決定する手順、
画像補正部が、前記第一の画像の画像信号と前記閾値に基づいて前記第一の画像のフレアを補正する手順
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項1】
第一の露出条件で撮影される第一の画像と異なり、前記第一の露出条件より画像が飽和しない第2の露出条件で得られる第二の画像の画像信号にローパスフィルタを適用して前記画像信号に対応する閾値を決定する閾値決定部と、
前記第一の画像の画像信号と前記閾値に基づいて前記第一の画像のフレアを補正する画像補正部と
を有する、画像処理装置。
【請求項2】
前記第二の画像は、前記第一の画像より広い画角の条件で得られる画像である、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記閾値決定部は、前記第一の画像が飽和しているか否かを判断し、飽和していると判断したとき、前記第二の画像の画像信号にローパスフィルタを適用して前記画像信号に対応する閾値を決定する、請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記閾値決定部は、前記第一の画像の画像信号から任意の画素を間引いた第一の間引き画像に基づいて、前記第一の画像が飽和しているか否かを判断する、請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第一の露出条件と前記第二の露出条件において、絞り条件は同一である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記閾値決定部は、前記第二の画像の画像信号から任意の画素を間引いた第二の間引き画像の画像信号にローパスフィルタを適用する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記第二の画像信号は、前記第一の画像信号の飽和部分の周辺の輝度分布、又は前記第一の画像信号による画像におけるフレア発生状況に基づいて推測して得られる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
閾値決定部が、第一の露出条件で撮影される第一の画像と異なり、前記第一の露出条件より画像が飽和しない第2の露出条件で得られる第二の画像の画像信号にローパスフィルタを適用して前記画像信号に対応する閾値を決定するステップと、
画像補正部が、前記第一の画像の画像信号と前記閾値に基づいて前記第一の画像のフレアを補正するステップと
を有する、画像処理方法。
【請求項9】
閾値決定部が、第一の露出条件で撮影される第一の画像と異なり、前記第一の露出条件より画像が飽和しない第2の露出条件で得られる第二の画像の画像信号にローパスフィルタを適用して前記画像信号に対応する閾値を決定する手順、
画像補正部が、前記第一の画像の画像信号と前記閾値に基づいて前記第一の画像のフレアを補正する手順
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
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【図4】
【図5】
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【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2010−279002(P2010−279002A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−132543(P2009−132543)
【出願日】平成21年6月1日(2009.6.1)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月1日(2009.6.1)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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