説明

画像処理装置、画像処理方法及び画像形成装置

【課題】画像の破壊処理が実施されたことをユーザに確実に認識させることができるとともに、画像を破壊したことをユーザに示すための画像形成時における現像剤の消費を抑制しつつ、機密文書等の漏洩を確実に防止することのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像破壊処理部は、画像に複写禁止用ドットパターンが存在するとき(♯3でYES)、画像データに対して画像破壊処理を行い(♯5)、格納処理部は画像破壊処理後の画像データを記憶部に格納する(♯6)。RGB/CMY変換処理部は、その画像データをCMYの画像データC1,M1,Y1に変換し(♯7)、UCR・黒生成処理部は、式「K1=min(C1,M1,Y1)×α」の係数αを「1」に設定し、式「C2=C1−K1,M2=M1−K1,Y2=Y1−K1」を用いて画像データK1,C2,M2,Y2を生成する(♯10)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機密文書等の重要書類の不正な複写による機密情報の漏洩や偽造を防止するための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複合機や複写機等の画像形成装置や画像読取装置に対し、画像の不正な読み取りや出力等の抑止機能が要求されている。特に企業においては機密文書の不正な読み取り等によって機密情報が外部に漏洩することは大きな問題となることから、機密文書の読み取り等を確実に防止・規制する技術が強く要望されている。
【0003】
この種の技術に関する技術文献として例えば下記特許文献1がある。下記特許文献1には、機密文書等を用紙に出力する際の背景に特殊なドットパターンを形成し、このドットパターンを複写時に検出し、検出したドットパターンを、記憶領域に記憶されている出力を禁止する複写禁止用ドットパターンと比較して、その一致の有無を検出することで、原稿画像における画像出力の禁止の要否を判断する技術が開示されている。
【0004】
一方、複合機や複写機などの装置の中に、印刷後における画像データの使用可能性を考慮して、大容量の記憶容量をもつメモリやHDD等の記憶部を搭載し、読み取った原稿の画像をその記憶部に一旦蓄積させるものがある。このような装置にあっては、原稿から特殊なドットパターンを検出できたとしても、前記記憶部に画像データが保存されると、該記憶部を不正に取り外したり持ち出したりすることに因る情報漏洩の危険性がある。そのため、この種の画像形成装置においては、前記記憶部に画像データが保存される前の段階で画像を破壊することが要求される。
【0005】
この画像の破壊に関する技術文献として、例えば下記特許文献2がある。下記特許文献2には、「破壊部202は、上記のスキャン処理S110により原稿から取得された画像に所定画像が包含されていると図2の判定部201により判定された場合、当該画像に破壊パターンを挿入して当該画像を破壊する・・・(中略)・・・破壊部202は、より詳細には、個別画像処理S220の途中の段階又は最後の段階の上記画像に破壊パターンを挿入して上記画像を破壊する([0030]〜[0032])」と記載されている。
【特許文献1】特開2004−274092号公報
【特許文献2】特開2006−173757号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、画像を破壊する機能を備えた画像形成装置にあっては、画像の破壊処理を実施したことをユーザに示すべく、破壊処理後の画像データに基づく画像形成動作を用紙に対して実施する場合がある。ここで、次のような改善すべき点があった。
【0007】
すなわち、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色の画像データに対し、画像を例えば黒色で塗りつぶすような破壊処理を行う場合、前記各色の画像データを全て画素値が0(零)の画像データに変換し、該変換後の画像データを記憶部に格納する。ここで、シアン、マゼンタ、イエロー及び黒の現像剤を用いて画像形成動作を行う画像形成装置においては、前記記憶部に格納した画像データを、シアン、マゼンタ、イエロー及び黒色の画像データに変換する必要があるが、このとき、従来通りに通常の画像処理を適用すると、それらの色においてそれぞれ成分を有した画像データがそれぞれ生成される。
【0008】
例えば画素値がそれぞれ零のR,G,Bの画像データを、シアン、マゼンタ及びイエローの画像データに変換すると、それらの画像データが示す画素値は、256階調で表した場合には「255」となる。
【0009】
その結果、黒色の現像剤のみで画像形成を行えば良いにも拘らず、シアン、マゼンタ、イエローの3つの現像剤が使用されることとなり、無駄に多くの現像剤が消費される。
【0010】
そこで、現像剤の節約のために、画像を白色で塗りつぶすような破壊処理を行うことが考えられる。しかしながら、この場合、該破壊処理後の画像データに基づく画像形成動作を、一般的に用いられる白色の用紙に対して実施した場合、白紙の状態で出力されることになるため、ユーザは、画像の破壊処理が確実に実施されたのか、それとも画像形成装置の故障に因って前記破壊処理後の画像データに基づく画像形成動作が実行されなかったのかを判断することが困難となる。
【0011】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、画像の破壊処理が実施されたことをユーザに確実に認識させることができるとともに、画像を破壊したことをユーザに示すための画像形成時における現像剤の消費を抑制しつつ、機密文書等の漏洩を確実に防止することのできる画像処理装置、画像処理方法及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の発明は、予め定められた複数の色からなる第1の表色系の原稿画像データを取得し、前記原稿画像データに予め定められた処理を施してなる画像データを、前記第1の表色系と異なる予め定められた第2の表色系の複数の色の現像剤を用いて画像を形成する画像形成部に出力する画像処理装置であって、前記原稿画像データの中に予め定められた画像形成禁止用ドットパターンが存在するか否かを検出する検出部と、前記検出部により画像形成禁止用ドットパターンが検出されると、前記原稿画像データを構成する各画素の画素データをそれぞれ予め定められた同一値に変換してなる破壊データを生成する画像破壊処理部と、前記画像破壊処理部により生成された破壊データを記憶する記憶部と、前記現像剤の各色のうち予め定められた1つの色を特定色というとき、前記記憶部に記憶された破壊データを前記特定色のみ成分を有する画像データに変換する変換処理部とを有するものである。
【0013】
請求項5に記載の発明は、予め定められた複数の色からなる第1の表色系の原稿画像データを取得し、前記原稿画像データに予め定められた処理を施してなる画像データを、前記第1の表色系と異なる予め定められた第2の表色系の複数の色の現像剤を用いて画像を形成する画像形成部に出力する画像処理装置の画像処理方法であって、検出部が、前記原稿画像データの中に予め定められた画像形成禁止用ドットパターンが存在するか否かを検出する検出ステップと、画像破壊処理部が、前記検出ステップにより画像形成禁止用ドットパターンが検出されると、前記原稿画像データを構成する各画素の画素データをそれぞれ予め定められた同一値に変換してなる破壊データを生成する画像破壊処理ステップと、記憶部が、前記画像破壊処理ステップにより生成された破壊データを記憶する記憶ステップと、変換処理部が、前記現像剤の各色のうち予め定められた1つの色を特定色というとき、前記記憶ステップで記憶された破壊データを前記特定色のみ成分を有する画像データに変換する変換処理ステップとを有するものである。
【0014】
これらの発明によれば、画像形成禁止用ドットパターンデータが検出されると、前記原稿画像データを構成する各画素の画素データをそれぞれ予め定められた同一値に変換してなる破壊データを生成し、その後に、該破壊データを記憶部に記憶するようにしたので、該記憶部が不正に取り外されたり持ち出されたりしても該記憶部に記憶されている情報が外部に漏洩するのを防止することができる。
【0015】
また、前記記憶部に記憶された破壊データを前記特定色のみ成分を有する画像データに変換するようにしたので、画像を破壊したことを示すべく前記破壊データに基づく画像形成動作を実施する場合に、前記特定色の現像剤のみが前記画像形成動作に使用され、前記特定色を除く色の現像剤は前記画像形成動作に使用されないことになる。
【0016】
これにより、特定色の現像剤のみで画像形成を行えばよいにも拘らず、前記破壊データから、前記現像剤の色のうち複数の色において成分を有する画像データが生成された場合に複数の色の現像剤が使用されるという事態が発生するのを回避することができる。
【0017】
また、前記記憶部に記憶された破壊データを前記特定色のみ成分を有する画像データに変換するようにしたので、前記特定色の現像剤によって画像が破壊される(画像が塗りつぶされる)。これにより、画像の破壊処理が実施されたことをユーザに確実に認識させることができる。
【0018】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像処理装置において、前記第1の表色系は、赤、緑、青からなる表色系であり、前記第2の表色系は、シアン、マゼンタ、イエロー、黒からなる表色系であり、前記画像破壊処理部は、前記原稿画像データを構成する各画素の赤、緑、青の画素データを全て予め定められた1つの画素値に設定してなる画像データを破壊データとして生成し、前記変換処理部は、前記破壊データをシアン、マゼンタ、イエローの各色の画像データC1,M1,Y1に変換するとともに、下記式(1)における係数αを1に設定し、前記画像データC1,M1,Y1から下記式(1)を用いて前記黒色の画像データK1を導出する黒生成処理部と、前記画像データC1,M1,Y1,K1と前記式(2)〜(4)とを用い、下色除去を施したシアン、マゼンタ、イエローの画像データC2,M2,Y2を生成し、前記画像データC2,M2,Y2,K1を、前記画像形成部に出力する画像データとして設定する下色除去処理部とを有するものである。
【0019】
K1=min(C1,M1,Y1)×α(αは0から1までの係数)・・・(1)
C2=C1−K1 ・・・(2)
M2=M1−K1 ・・・(3)
Y2=Y1−K1 ・・・(4)
min(C1,M1,Y1)は、画像データC1,M1,Y1の中で最小のもの
【0020】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の画像処理方法において、前記第1の表色系は、赤、緑、青からなる表色系であり、前記第2の表色系は、シアン、マゼンタ、イエロー、黒からなる表色系であり、前記画像破壊処理ステップは、前記原稿画像データを構成する各画素の赤、緑、青の画素データを全て予め定められた1つの画素値に設定してなる画像データを破壊データとして生成するステップであり、前記変換処理ステップは、黒生成処理部が、前記破壊データをシアン、マゼンタ、イエローの各色の画像データC1,M1,Y1に変換するとともに、下記式(1)における係数αを1に設定し、前記画像データC1,M1,Y1から下記式(1)を用いて前記黒色の画像データK1を導出する黒生成処理ステップと、下色除去処理部が、前記画像データC1,M1,Y1,K1と前記式(2)〜(4)とを用い、下色除去を施したシアン、マゼンタ、イエローの画像データC2,M2,Y2を生成し、前記画像データC2,M2,Y2,K1を、前記画像形成部に出力する画像データとして設定する下色除去処理ステップとを有するものである。
【0021】
K1=min(C1,M1,Y1)×α(αは0から1までの係数)・・・(1)
C2=C1−K1 ・・・(2)
M2=M1−K1 ・・・(3)
Y2=Y1−K1 ・・・(4)
min(C1,M1,Y1)は、画像データC1,M1,Y1の中で最小のもの
【0022】
これらの発明によれば、画像を破壊したことをユーザに示すための画像形成動作を黒色の現像剤のみで実施することができる。また、従来の前記黒生成処理及び下色除去処理で用いる演算式(1)に含まれる係数αの設定だけで、零以外の画素値を有する黒色の画像データと、零の画素値を有するシアン、マゼンタ、イエローの画像データとを生成することができ、画像を破壊したことをユーザに示すための画像形成時における現像剤の消費抑制を簡単な処理で実現することができる。
【0023】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の画像処理装置において、前記第1の表色系は、赤、緑、青からなる表色系であり、前記第2の表色系は、シアン、マゼンタ、イエロー、黒からなる表色系であり、前記画像破壊処理部は、前記原稿画像データを構成する各画素の赤、緑、青の画素データを全て予め定められた1つの画素値に設定してなる画像データを破壊データとして生成し、前記変換処理部は、前記破壊データをシアン、マゼンタ、イエローの各色の画像データC1,M1,Y1に変換するとともに、下記式(5)における係数αを1に設定し、前記画像データC1,M1,Y1から下記式(5)を用い画像データT1を前記特定色の画像データとして導出する第1の処理部と、前記画像データC1,M1,Y1,T1から前記式(6)〜(8)を用い、画像データT2,T3,T4を前記特定色以外の各色の画像データとして生成し、前記画像データT1,T2,T3,T4を、前記画像形成部に出力する画像データとして設定する第2の処理部とを有するものである。
【0024】
T1=min(C1,M1,Y1)×α(αは0から1までの係数)・・・(5)
T2=C1−T1 ・・・(6)
T3=M1−T1 ・・・(7)
T4=Y1−T1 ・・・(8)
min(C1,M1,Y1)は、画像データC1,M1,Y1の中で最小のもの
【0025】
請求項7に記載の発明は、請求項5に記載の画像処理方法において、前記第1の表色系は、赤、緑、青からなる表色系であり、前記第2の表色系は、シアン、マゼンタ、イエロー、黒からなる表色系であり、前記画像破壊処理ステップは、前記原稿画像データを構成する各画素の赤、緑、青の画素データを全て予め定められた1つの画素値に設定してなる画像データを破壊データとして生成するステップであり、前記変換処理ステップは、第1の処理部が、前記破壊データをシアン、マゼンタ、イエローの各色の画像データC1,M1,Y1に変換するとともに、下記式(5)における係数αを1に設定し、前記画像データC1,M1,Y1から下記式(5)を用い画像データT1を前記特定色の画像データとして導出する第1の処理ステップと、第2の処理部が、前記画像データC1,M1,Y1,T1から前記式(6)〜(8)を用い、画像データT2,T3,T4を前記特定色以外の各色の画像データとして生成し、前記画像データT1,T2,T3,T4を、前記画像形成部に出力する画像データとして設定する第2の処理ステップとを有するものである。
【0026】
T1=min(C1,M1,Y1)×α(αは0から1までの係数)・・・(5)
T2=C1−T1 ・・・(6)
T3=M1−T1 ・・・(7)
T4=Y1−T1 ・・・(8)
min(C1,M1,Y1)は、画像データC1,M1,Y1の中で最小のもの
【0027】
これらの発明によれば、画像を破壊したことをユーザに示すための画像形成動作をシアン、マゼンタ、イエローのいずれか一色の現像剤のみで実施することができ、画像を破壊したことをユーザに示すための画像形成時における現像剤の消費を抑制することができる。
【0028】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像処理装置と、前記各色の現像剤を用いて画像を形成する画像形成部を備え、前記画像形成部は、前記画像処理装置から出力される前記画像データに基づき記録媒体への画像形成動作を行う画像形成装置である。
【0029】
この発明によれば、画像形成装置において、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発明による作用が得られる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、画像の破壊処理が実施されたことをユーザに確実に認識させることができるとともに、画像を破壊したことをユーザに示すための画像形成時における現像剤の消費を抑制しつつ、機密文書等の漏洩を確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明に係る画像処理装置及び画像形成装置の一実施形態である複写機について図面を参照しながら説明する。図1は、前記複写機の構成を示す図である。
【0032】
図1に示すように、複写機1は、本体内にマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)及びブラック(K)の各色別に画像形成部2M、2C、2Y、2Kが並設されている。
【0033】
画像形成部2M、2C、2Y及び2K(これらを纏めて画像形成部2という)は、用紙に対するカラー画像及びモノクロ画像の形成(印刷)を行うものであり、例えばアモルファスシリコンからなり、回転可能に支持されたドラム状の感光体ドラム3、この感光体ドラム3の周囲に配設された帯電部4、露光部5、現像部6及びクリーニング部7を備えている。
【0034】
帯電部4は、感光体ドラム3の表面を所定電位に均一に帯電させるものである。露光部5は、後述の記憶部40(図2参照)等から送信されてきた画像データに基づき生成されたレーザービーム(LED光)を感光体ドラム3の表面に照射し、該感光体ドラム3の表面上に静電潜像を形成するものである。現像部6は、感光体ドラム3に形成された静電潜像に対してトナー供給部61から供給されるトナーを付着させることで、トナー像として静電潜像を顕在化させるものである。クリーニング部7は、後述する中間ベルト10へのトナー画像の一次転写終了後、感光体ドラム3の表面に付着したトナーを除去するものである。
【0035】
画像形成部2M〜2Kの下方には、感光体ドラム3表面に顕在化したトナー像の中間転写(一次転写)を行うための中間転写ローラ9(一次転写ローラ)及び中間ベルト(中間転写ベルト)10が配設されている。中間ベルト10は、所定のベルト体からなり、各感光体ドラム3と対向配置された中間転写ローラ9によって感光体ドラム3に押圧された状態で駆動ローラ11〜13により周回走行するように構成されている。感光体ドラム3上に形成される各色のトナー像は、周回走行する中間ベルト10上に、それぞれタイミングを合わせて、マゼンタ、シアン、イエロー及びブラックの順に転写されて重ね合わされる。これにより中間ベルト10上にY、M、C、Kの4色からなるカラー画像が形成される。
【0036】
駆動ローラ13と対向する位置には、中間ベルト10を介して2次転写ローラ14が設けられている。2次転写ローラ14は、後述の制御部33(図2参照)からの転写バイアスによって中間ベルト10上のカラー画像を用紙へ転写するものである。
【0037】
また、複写機1は、画像形成部2Y〜2Kへ向けて給紙を行う給紙部15を備えている。給紙部15は、各サイズの用紙を収納する給紙カセット151、用紙が搬送される経路である搬送路152及び搬送路152中の用紙の搬送を行う搬送ローラ153等を備え、給紙カセット151から1枚ずつ取り出された用紙を画像形成部2Y〜2K、すなわち2次転写ローラ14の位置へ向けて搬送する。なお、給紙部15は、2次転写処理された用紙を定着部16へ搬送し、この定着処理された用紙を複写機1の本体上部に設置された用紙排出トレイ17へ排出する。
【0038】
搬送路152における2次転写ローラ14より下流側の適所には、定着部16が設けられている。定着部16は、用紙に転写されたトナー像を定着させるものである。定着部16はヒートローラ161及び圧ローラ162からなり、ヒートローラ161の熱によって用紙上のトナーを溶かし、圧ローラ162によって圧力をかけてトナーを用紙上に定着させる。
【0039】
また、複写機1は、中間ベルト10上のトナー(残留トナー)を除去(回収)する除電クリーニング18を備えている。除電クリーニング18は、図略のクリーニング電極及びクリーニングブラシ(回転ブラシ)からなり、クリーニング電極によってトナーの帯電電荷と逆極性のクリーニングバイアスをクリーニングブラシに印加し、これによる静電気力によって中間ベルト10上のトナーをクリーニングブラシに移動させることでトナー除去を行う。
【0040】
複写機本体の上部には、原稿読取部20と原稿給送部24とが設けられている。原稿読取部20は、複数の画素を有してなるCCD(Charge Coupled Device)センサ及び露光ランプ等からなるスキャナ部21と、ガラス等の透明部材により構成された原稿台22及び原稿読取スリット23とを備える。スキャナ部21は、図略の駆動部によって移動可能に構成され、原稿台22に載置された原稿を読み取るときは、原稿台22に対向する位置で原稿面に沿って移動され、原稿画像を走査しつつ取得したR(赤)、G(緑)、B(青)の画像データ(各画素データ)を制御部33(図2参照)へ出力する。また、原稿給送部24により給送された原稿を読み取るときは、原稿読取スリット23と対向する位置に移動され、原稿読取スリット23を介して原稿給送部24による原稿の搬送動作と同期して原稿の画像を取得し、その画像データを制御部33へ出力する。
【0041】
原稿給送部24は、原稿を載置するための原稿載置部25と、画像読み取り済みの原稿を排出するための原稿排出部26と、原稿載置部25に載置された原稿を1枚ずつ繰り出して原稿読取スリット23に対向する位置へ搬送し、原稿排出部26へ排出するための給紙ローラや搬送ローラ(図示せず)等からなる原稿搬送機構27とを備える。原稿搬送機構27は、さらに原稿を表裏反転させて原稿読取スリット23と対向する位置へ再搬送する用紙反転機構(図示せず)を備え、原稿の両面の画像を、原稿読取スリット23を介してスキャナ部21から読取可能にしている。
【0042】
また、原稿給送部24は、その前面側が上方に移動可能となるように本体部2に対して回動自在に設けられている。原稿給送部24の前面側を上方に移動させて原稿台22の上面を開放することにより、原稿台22の上面に読み取り原稿、例えば見開き状態にされた書籍等を操作者が載置できるようになっている。
【0043】
図2は、複写機1の電気的な構成の一例を示すブロック構成図である。図2に示すように、複写機1は、原稿読取部20、ネットワークI/F(インターフェース)部30、記憶部40、ユーザインターフェース部50、記録部60及び制御部33を備えている。なお、図1に示す構成と同一のものについては同一の番号を付し、その説明を省略する。
【0044】
ネットワークI/F部30は、LAN等のネットワークを介して接続されたPC等の情報処理装置(外部装置)との間における種々のデータの送受信を制御するものである。記憶部40は、ネットワークI/F部30を介してPC等から送信されてきた画像データを一時的に記憶するものである。
【0045】
ユーザインターフェース部50は、複写機1の例えばフロント部に設けられ、ユーザが操作画面や各種メッセージ等を視覚的に提供する表示部51と、ユーザによる各種指示入力が行われる入力操作部52とを含むものである。表示部51は、LCD(Liquid Crystal Display)やELD(Electronic Luminescent Display)等によって構成され、前記入力操作部52を構成するタッチパネルと一体的に形成されている。タッチパネルは、ユーザによるタッチ操作がなされたときにそのタッチ位置を検知し、該タッチ位置を示す検知信号を後述する制御部33へ出力する。表示部51は、紙サイズ選択、倍率選択、濃度選択等のユーザに対する操作案内画面を表示する。
【0046】
入力操作部52は、例えば、複合機1のコピー機能を動作させる際はコピー枚数を、ファクシミリ機能を動作させる際は送信先の電話番号等を入力するための数字キー群、複合機1を節電(低電力)モードにする節電ボタン、コピー動作やスキャナ動作等を開始させるスタートボタン、コピー動作やスキャナ動作等の停止、入力操作の取り消しを行うストップ/クリアボタン、表示部の表示や各種設定を初期状態又は標準動作状態にするリセットボタン、各種機能を設定するための機能選択ボタンである。
【0047】
記録部60は、上記画像形成部2、転写部61、定着部16及び給紙部9を備え、記憶部40に記憶されるなどした画像データに基づいて用紙に対する画像印刷を行うものである。転写部61は、上述の中間ベルト10、駆動ローラ11〜13及び2次転写ローラ14等を備えてなり、中間ベルト10を介して感光体ドラム3上のトナー像を用紙に転写するものである。
【0048】
制御部33は、各種制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、データを一時的に保管する機能や作業領域としての機能を有するRAM(Random Access Memory)、及び上記制御プログラム等をROMから読み出して実行するCPU(Central Processing Unit)などからなり、上記各機能部に対する各種制御信号の送受信を行い、複写機1全体の動作制御を司るものである。
【0049】
また、制御部33は、補正処理部331と、ドットパターン検出処理部332と、画像破壊処理部333と、格納処理部334と、RGB/CMY変換処理部335と、UCR・黒生成処理部336と、スクリーン処理部337とを有する。なお、制御部33の前記各部331〜337は、回路として設けられてもよいし、図略のHDD(Hard Disk Drive)やメモリ等の記憶装置に記憶された画像処理プログラムに従って前記CPUが前記各部331〜337として機能するようにしてもよい。
【0050】
補正処理部331は、原稿に対する光源の照明むらやCCDにおける各受光センサの感度バラツキ等に起因する画像データのバラツキを補正するシェーディング補正、CCDの各色成分のラインセンサ間隔によるずれを補正するCCDライン補正、RGB各色の波長の相違、及びスキャナ部21が有する図略の光学系の特性に起因する色ずれを補正する色収差補正、図略の光学系によるCCDへの入射光の「ぼけ」を補正してメリハリの効いた画像データに変換するMTF補正、各画素の色成分毎に階調特性を変更するガンマ補正、画素毎にRGB各色の画素値に含まれる混色成分を除去する補正を施す色補正等の各種補正処理を行うものである。
【0051】
ドットパターン検出処理部332は、原稿の画像における背景部分に複写禁止用ドットパターンが形成されている場合に、原稿読取部4の画像読取動作で得られた画像データの中から前記複写禁止用ドットパターンを検出するものである。ドットパターン検出処理部332は、前記複写禁止用ドットパターンを予め記憶しており、検出した複写禁止用ドットパターンと予め記憶している複写禁止用ドットパターンとを比較し、それらが一致するとき、前記画像形成部2による画像形成動作を禁止する禁止信号を前記画像形成部2に出力する。
【0052】
画像破壊処理部333は、前記ドットパターン検出処理部332により複写禁止用ドットパターンが検出された場合に、原稿読取部4の画像読取動作で得られた画像データに対して破壊処理を行うものである。具体的には、例えば図4(a)に示すような読取画像を図4(b)に示すように黒色で塗りつぶす画像破壊処理を行うべく、原稿読取部4の画像読取動作で得られたR(赤)、G(緑)、B(青)の画像データに対し、画素値をR=G=B=0とした画像データに変換する。
【0053】
格納処理部334は、前記ドットパターン検出処理部332により前記複写禁止用ドットパターンが検出されなかった場合には、前記補正処理部331による補正処理後の画像データを記憶部40に格納し、前記ドットパターン検出処理部332により前記複写禁止用ドットパターンが検出された場合には、画像破壊処理部333による破壊処理後の画像データ(以下、この画像データを破壊データという)を記憶部40に格納するものである。
【0054】
RGB/CMY変換処理部335は、格納処理部334に格納されたRGBを色成分とする画像データを、周知の変換式を用いて、CMYを色成分とする画像データC1,M1,Y1へ変換するものである。画素値を256階調で表すとき、画像破壊処理部333による破壊処理後の画像データに対してRGB/CMY変換処理部335による変換処理を実施した場合の前記画像データC1,M1,Y1は、C1=M1=Y1=255となる。
【0055】
UCR(Under Color Removal)・黒生成処理部336は、RGB/CMY変換処理部335により生成されたC1,M1,Y1から下記式(1)を用いて黒データK1を生成する黒生成処理を行い、また、生成した黒データK1と前記画像データC1,M1,Y1とを用いて下色除去処理を行うものである。この下色除去処理は、シアン、マゼンタ、イエローの3色の重なりからなるグレー成分を減らして黒成分で置換する処理であり、例えば前記黒データK1及び画像データC1,M1,Y1をパラメータとする下記算出式(2)〜(4)により、下色除去を施した画像データC2,M2,Y2を算出する処理である。
【0056】
K1=min(C1,M1,Y1)×α(αは0から1までの係数)・・・(1)
C2=C1−K1 ・・・(2)
M2=M1−K1 ・・・(3)
Y2=Y1−K1 ・・・(4)
【0057】
なお、画像形成装置1は、画質調整モードとして、文字の画像から構成される原稿の画像を用紙に形成するのに適した画像処理が実行される文字モードと、写真の画像から構成される原稿の画像を用紙に形成するのに適した画像処理が実行される写真モードを有しており、前記係数αは、写真モードの場合には0に近い値に設定され、文字モードの場合には1に近い値に設定される係数である。
【0058】
そして、本実施形態においては、前記ドットパターン検出処理部332により前記複写禁止用ドットパターンが検出された場合に、UCR・黒生成処理部336は前記係数αを「1」に設定する点が従来と相違する。前記係数αを「1」に設定することにより、min(C1,M1,Y1)=255となる。したがって、前記各式(1)〜(4)により、黒データK1=255と算出され、前記画像データC2,M2,Y2はC2=M2=Y2=0となる。
【0059】
このように、シアン、マゼンタ及びイエローの画像データは発生せず、黒色の画像データのみが発生するため、これらの画像データに基づいて、画像を破壊したことをユーザに示すための画像形成動作を行う際には、シアン、マゼンタ、イエローの現像剤は使用されず、黒色の現像剤のみが使用されることとなる。
【0060】
スクリーン処理部337は、UCR・黒生成処理部336から出力される画像データに対してスクリーン処理を行うものである。スクリーン処理は、1つの画素をマトリックス状に微小な複数のブロックに分割した場合に、1つの画素の画像の濃淡を、描画するブロックの位置や数によって表現する処理であり、スクリーン処理部337は、画像データに応じて描画するブロックの位置や数を指定したスクリーンを用いて処理を行う。
【0061】
図3は、前記画像データの破壊に関連する処理を示すフローチャートである。
【0062】
図3に示すように、制御部33は、原稿読取部20に原稿に対する画像読取動作を行わせ(ステップ♯1)、補正処理部331は、該読取動作により得られた画像データに対し、前記シェーディング補正等の補正処理を行う(ステップ♯2)。次に、ドットパターン検出処理部332は、ステップ♯2の補正処理後の画像データの中に前記複写禁止用ドットパターンが存在するか否かを検出する処理を実施し(ステップ♯3)、前記複写禁止用ドットパターンが存在すると判断された場合には(ステップ♯4でYES)、画像破壊処理部333は、その画像データに対して画像破壊処理(R=G=B=0)を行う一方(ステップ♯5)、前記複写禁止用ドットパターンが存在しないと判断された場合には(ステップ♯4でNO)、画像破壊処理部333はステップ♯5の処理をスキップする。そして、格納処理部334は、ステップ♯3の前記補正処理部331による補正処理後の画像データ、又は、ステップ♯5の画像破壊処理部333による画像破壊処理後の画像データを記憶部40に格納する(ステップ♯6)。
【0063】
次に、RGB/CMY変換処理部335は、記憶部40に格納されたRGBを色成分とする画像データを、CMYを色成分とする画像データC1,M1,Y1へ変換する処理を行う(ステップ♯7)。ここで、前記複写禁止用ドットパターンが検出された場合に生成される前記画像データC1,M1,Y1はC1=M1=Y1=255となる。
【0064】
そして、UCR・黒生成処理部336は、当該画像が前記複写禁止用ドットパターンを有する場合には(ステップ♯8でYES)、前記算出式(1)の係数αを「1」に設定した上で、前記算出式(1)〜(4)を用いて黒データK1及び画像データC2,M2,Y2を算出する(K1=255,C1=M1=Y1=0;ステップ♯9)。一方、UCR・黒生成処理部336は、当該画像が前記複写禁止用ドットパターンを有していない場合には(ステップ♯8でNO)、前記係数αを通常どおりに設定して、黒データK1及び画像データC2,M2,Y2を生成する(ステップ♯10)。このステップ♯10の処理は、前述した従来通りの通常の画像処理に相当するものである。
【0065】
そして、スクリーン処理部337は、ステップ♯9又は♯10の処理後の画像データに対してスクリーン処理を実施する(ステップ♯11)。
【0066】
以上のように、画素値R,G,BがR=G=B=0の破壊データを、黒色についてのみ成分を有する画像データに変換する処理を行うので、該処理後の画像データに基づいて、画像を破壊したことをユーザに示すための画像形成動作を行う際には、シアン、マゼンタ、イエローの現像剤は使用されず、黒色の現像剤のみが使用されることとなる。その結果、シアン、マゼンタ、イエローについて、成分を有する画像データが生成されることに因り、シアン、マゼンタ、イエローの現像剤を用いて黒色で塗りつぶした画像が形成されるという場合に比して、現像剤の無駄な消費を回避することができる。
【0067】
また、前記黒生成処理及び下色除去処理で用いる演算式(1)〜(4)に含まれる係数αを「1」に設定するだけで、黒色の画像データを、零以外の画素値を有する画像データとし、シアン、マゼンタ、イエローの画像データを、零の画素値を有する画像データとすることができるため、画像を破壊したことをユーザに示すための画像形成時における現像剤の消費抑制を簡単な処理で実現することができる。
【0068】
また、黒色のみ成分を有する画像データに変換し、黒色の現像剤によって画像が破壊される(画像が塗りつぶされる)ようにしたので、画像の破壊処理が実施されたことをユーザに確実に認識させることができる。
【0069】
なお、本件は、前記実施形態に代えて、又は前記実施形態に加えて次のような変形形態も採用可能である。
【0070】
[1]前記実施形態では、画像破壊処理としてR,G,Bの各画像データに対し、画素値R,G,BがR=G=B=0となる画像データに変換する処理を行うようにしたが、この形態に限定されるものではない。すなわち、前記各式(1)〜(4)によれば、R,G,Bの各画像データを同一の値にすれば、前記実施形態と同様、黒データK1=255となるとともに、前記C,M,Yの画像データC2,M2,Y2の画素値がC2=M2=Y2=0となり、黒色の現像剤のみで塗りつぶすような画像の破壊を行うことができる。
【0071】
また、前記実施形態では、黒色の現像剤で塗りつぶすような画像の破壊を想定した形態であるが、この形態に限らず、シアン、マゼンタ、イエローのうちいずれか1色の現像剤のみで画像を塗りつぶすような画像の破壊を想定してもよい。この場合、制御部33は、次のような処理を行えばよい。なお、以下においては、前記ドットパターン検出処理部332により前記複写禁止用ドットパターンが検出された場合を前提として説明する。
【0072】
例えばシアンの現像剤で塗りつぶすような画像の破壊を想定した場合には、まず、前記実施形態と同様、画像破壊処理部333は、原稿読取部4の画像読取動作で得られたR(赤)、G(緑)、B(青)の画像データに対し、画素値をR=G=B=0とした画像データに変換し、格納処理部334は、前記画像破壊処理部333による破壊処理後の画像データ(破壊データ)を記憶部40に格納する。また、RGB/CMY変換処理部335は、格納処理部334に格納された前記破壊画像データを、前述の周知の変換式を用いて、CMYを色成分とする画像データC1,M1,Y1(前記実施形態と同様に画素値を256階調で表すものとするとき、前記画像データC1,M1,Y1は、C1=M1=Y1=255となる。)に変換する。
【0073】
ここで、本実施形態においては、図5に示すように、制御部33は演算部338が備えられており、該演算部338は、前記画像データC1,M1,Y1から下記式(5)〜(8)を用いて画像データT1,T2,T3,T4を算出する処理を行う。
【0074】
T1=min(C1,M1,Y1)×α(αは0から1までの係数)・・・(5)
T2=C1−T1 ・・・(6)
T3=M1−T1 ・・・(7)
T4=Y1−T1 ・・・(8)
【0075】
そして、演算部38は、前記係数αを「1」に設定する。前記係数αを「1」に設定することにより、min(C1,M1,Y1)=255となる。したがって、前記各式(5)〜(8)により、画像データT1=255と算出され、前記画像データT2,T3,T4はT2=T3=T4=0となる。
【0076】
演算部338は、前記画像データT1をシアンについての新たな画像データC2として算出するとともに、前記画像データT2,T3,T4を、マゼンタ、イエロー及び黒についての新たな画像データM2,Y2,K1として算出する。すなわち、C2=T1,M2=T2,Y2=T3,K1=T4である。
【0077】
このような処理により、マゼンタ、イエロー及び黒の画像データは発生せず、シアンの画像データのみが発生するため、これらの画像データに基づいて、画像を破壊したことをユーザに示すための画像形成動作を画像形成部2が行う際には、マゼンタ、イエロー及び黒の現像剤は使用されず、シアンの現像剤のみが使用されることとなる。
【0078】
また、マゼンタの現像剤で塗りつぶすような画像の破壊を想定した場合、前記画像データT1,T2,T3,T4を作成するまでの処理は、シアンの現像剤で塗りつぶすような画像の破壊を行う場合と同様であり、演算部338は、前記画像データT1をマゼンタについての新たな画像データM2として算出するとともに、前記画像データT2,T3,T4を、シアン、イエロー及び黒についての新たな画像データC2,Y2,K1として算出する。すなわち、M2=T1,C2=T2,Y2=T3,K1=T4である。
【0079】
このような処理により、シアン、イエロー及び黒の画像データは発生せず、マゼンタの画像データのみが発生するため、これらの画像データに基づいて、画像を破壊したことをユーザに示すための画像形成動作を画像形成部2が行う際には、シアン、イエロー及び黒の現像剤は使用されず、マゼンタの現像剤のみが使用されることとなる。
【0080】
また、イエローの現像剤で塗りつぶすような画像の破壊を想定した場合、前記画像データT1,T2,T3,T4を作成するまでの処理は、シアンやマゼンタの現像剤で塗りつぶすような画像の破壊を行う場合と同様であり、演算部338は、前記画像データT1をイエローについての新たな画像データY2として算出するとともに、前記画像データT2,T3,T4を、シアン、マゼンタ及び黒についての新たな画像データY2,C2,M2,K1として算出する。すなわち、Y2=T1,C2=T2,M2=T3,K1=T4である。
【0081】
このような処理により、シアン、イエロー及び黒の画像データは発生せず、マゼンタの画像データのみが発生するため、これらの画像データに基づいて、画像を破壊したことをユーザに示すための画像形成動作を行う際には、シアン、イエロー及び黒の現像剤は使用されず、マゼンタの現像剤のみが使用されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明に係る画像処理装置を搭載した複写機の一例の構成を示す図である。
【図2】複写機1の電気的な構成の一例を示すブロック構成図である。
【図3】前記画像データの破壊に関連する処理を示すフローチャートである。
【図4】(a)は画像破壊処理を行う前に原稿の画像を示す図、(b)は、(a)に示す画像の画像データに対して画像破壊処理を実施した場合の画像を示す図である。
【図5】複写機1の電気的な構成の変形例を示すブロック構成図である。
【符号の説明】
【0083】
2 画像形成部
33 制御部
331 補正処理部
332 ドットパターン検出処理部
333 画像破壊処理部
334 格納処理部
335 RGB/CMY変換処理部
336 UCR・黒生成処理部
337 スクリーン処理部
338 演算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた複数の色からなる第1の表色系の原稿画像データを取得し、前記原稿画像データに予め定められた処理を施してなる画像データを、前記第1の表色系と異なる予め定められた第2の表色系の複数の色の現像剤を用いて画像を形成する画像形成部に出力する画像処理装置であって、
前記原稿画像データの中に予め定められた画像形成禁止用ドットパターンが存在するか否かを検出する検出部と、
前記検出部により画像形成禁止用ドットパターンが検出されると、前記原稿画像データを構成する各画素の画素データをそれぞれ予め定められた同一値に変換してなる破壊データを生成する画像破壊処理部と、
前記画像破壊処理部により生成された破壊データを記憶する記憶部と、
前記現像剤の各色のうち予め定められた1つの色を特定色というとき、前記記憶部に記憶された破壊データを前記特定色のみ成分を有する画像データに変換する変換処理部と
を有する画像処理装置。
【請求項2】
前記第1の表色系は、赤、緑、青からなる表色系であり、
前記第2の表色系は、シアン、マゼンタ、イエロー、黒からなる表色系であり、
前記画像破壊処理部は、前記原稿画像データを構成する各画素の赤、緑、青の画素データを全て予め定められた1つの画素値に設定してなる画像データを破壊データとして生成し、
前記変換処理部は、
前記破壊データをシアン、マゼンタ、イエローの各色の画像データC1,M1,Y1に変換するとともに、下記式(1)における係数αを1に設定し、前記画像データC1,M1,Y1から下記式(1)を用いて前記黒色の画像データK1を導出する黒生成処理部と、
前記画像データC1,M1,Y1,K1と前記式(2)〜(4)とを用い、下色除去を施したシアン、マゼンタ、イエローの画像データC2,M2,Y2を生成し、前記画像データC2,M2,Y2,K1を、前記画像形成部に出力する画像データとして設定する下色除去処理部と
を有する請求項1に記載の画像処理装置。
K1=min(C1,M1,Y1)×α(αは0から1までの係数)・・・(1)
C2=C1−K1 ・・・(2)
M2=M1−K1 ・・・(3)
Y2=Y1−K1 ・・・(4)
min(C1,M1,Y1)は、画像データC1,M1,Y1の中で最小のもの
【請求項3】
前記第1の表色系は、赤、緑、青からなる表色系であり、
前記第2の表色系は、シアン、マゼンタ、イエロー、黒からなる表色系であり、
前記画像破壊処理部は、前記原稿画像データを構成する各画素の赤、緑、青の画素データを全て予め定められた1つの画素値に設定してなる画像データを破壊データとして生成し、
前記変換処理部は、
前記破壊データをシアン、マゼンタ、イエローの各色の画像データC1,M1,Y1に変換するとともに、下記式(5)における係数αを1に設定し、前記画像データC1,M1,Y1から下記式(5)を用い画像データT1を前記特定色の画像データとして導出する第1の処理部と、
前記画像データC1,M1,Y1,T1から前記式(6)〜(8)を用い、画像データT2,T3,T4を前記特定色以外の各色の画像データとして生成し、前記画像データT1,T2,T3,T4を、前記画像形成部に出力する画像データとして設定する第2の処理部と
を有する請求項1に記載の画像処理装置。
T1=min(C1,M1,Y1)×α(αは0から1までの係数)・・・(5)
T2=C1−T1 ・・・(6)
T3=M1−T1 ・・・(7)
T4=Y1−T1 ・・・(8)
min(C1,M1,Y1)は、画像データC1,M1,Y1の中で最小のもの
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像処理装置と、
前記各色の現像剤を用いて画像を形成する画像形成部を備え、
前記画像形成部は、前記画像処理装置から出力される前記画像データに基づき記録媒体への画像形成動作を行う画像形成装置。
【請求項5】
予め定められた複数の色からなる第1の表色系の原稿画像データを取得し、前記原稿画像データに予め定められた処理を施してなる画像データを、前記第1の表色系と異なる予め定められた第2の表色系の複数の色の現像剤を用いて画像を形成する画像形成部に出力する画像処理装置の画像処理方法であって、
検出部が、前記原稿画像データの中に予め定められた画像形成禁止用ドットパターンが存在するか否かを検出する検出ステップと、
画像破壊処理部が、前記検出ステップにより画像形成禁止用ドットパターンが検出されると、前記原稿画像データを構成する各画素の画素データをそれぞれ予め定められた同一値に変換してなる破壊データを生成する画像破壊処理ステップと、
記憶部が、前記画像破壊処理ステップにより生成された破壊データを記憶する記憶ステップと、
変換処理部が、前記現像剤の各色のうち予め定められた1つの色を特定色というとき、前記記憶ステップで記憶された破壊データを前記特定色のみ成分を有する画像データに変換する変換処理ステップと
を有する画像処理方法。
【請求項6】
前記第1の表色系は、赤、緑、青からなる表色系であり、
前記第2の表色系は、シアン、マゼンタ、イエロー、黒からなる表色系であり、
前記画像破壊処理ステップは、前記原稿画像データを構成する各画素の赤、緑、青の画素データを全て予め定められた1つの画素値に設定してなる画像データを破壊データとして生成するステップであり、
前記変換処理ステップは、
黒生成処理部が、前記破壊データをシアン、マゼンタ、イエローの各色の画像データC1,M1,Y1に変換するとともに、下記式(1)における係数αを1に設定し、前記画像データC1,M1,Y1から下記式(1)を用いて前記黒色の画像データK1を導出する黒生成処理ステップと、
下色除去処理部が、前記画像データC1,M1,Y1,K1と前記式(2)〜(4)とを用い、下色除去を施したシアン、マゼンタ、イエローの画像データC2,M2,Y2を生成し、前記画像データC2,M2,Y2,K1を、前記画像形成部に出力する画像データとして設定する下色除去処理ステップと
を有する請求項5に記載の画像処理方法。
K1=min(C1,M1,Y1)×α(αは0から1までの係数)・・・(1)
C2=C1−K1 ・・・(2)
M2=M1−K1 ・・・(3)
Y2=Y1−K1 ・・・(4)
min(C1,M1,Y1)は、画像データC1,M1,Y1の中で最小のもの
【請求項7】
前記第1の表色系は、赤、緑、青からなる表色系であり、
前記第2の表色系は、シアン、マゼンタ、イエロー、黒からなる表色系であり、
前記画像破壊処理ステップは、前記原稿画像データを構成する各画素の赤、緑、青の画素データを全て予め定められた1つの画素値に設定してなる画像データを破壊データとして生成するステップであり、
前記変換処理ステップは、
第1の処理部が、前記破壊データをシアン、マゼンタ、イエローの各色の画像データC1,M1,Y1に変換するとともに、下記式(5)における係数αを1に設定し、前記画像データC1,M1,Y1から下記式(5)を用い画像データT1を前記特定色の画像データとして導出する第1の処理ステップと、
第2の処理部が、前記画像データC1,M1,Y1,T1から前記式(6)〜(8)を用い、画像データT2,T3,T4を前記特定色以外の各色の画像データとして生成し、前記画像データT1,T2,T3,T4を、前記画像形成部に出力する画像データとして設定する第2の処理ステップと
を有する請求項5に記載の画像処理方法。
T1=min(C1,M1,Y1)×α(αは0から1までの係数)・・・(5)
T2=C1−T1 ・・・(6)
T3=M1−T1 ・・・(7)
T4=Y1−T1 ・・・(8)
min(C1,M1,Y1)は、画像データC1,M1,Y1の中で最小のもの

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−130529(P2010−130529A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−305072(P2008−305072)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】