説明

画像処理装置、画像形成装置及び画像処理プログラム

【課題】原稿画像から特殊パターンが検出された場合、ユーザの設定に応じて、或いは設定条件等に応じて破壊パターンを印刷するか否かを切り替え可能にすること。
【解決手段】特殊パターン判定部は、原稿読取部が読み取った原稿画像に特殊パターンが含まれているか否かを判定する。特殊パターンが含まれていると判定されたら、破壊パターン挿入部は原稿画像に破壊パターンを挿入し、印刷画像生成部が破壊パターンが挿入された画像の画像データをメモリに蓄積して記憶する。特殊パターンが含まれていないと判定されたら、印刷画像生成部は原稿画像の画像データをメモリに蓄積して記憶する。そして、ユーザによって破壊パターンを印刷しない設定とされたとき、制御部がメモリに記憶されている破壊パターンが挿入された画像データを削除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写を防止するための特殊パターンが組み込まれた原稿画像に対するコピーガード機能を実現可能な画像処理装置、画像形成装置及び画像処理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
機密書類等の複写を抑止する方法として、複写機でその機密文書の複写を行うと警告文字が浮かび上がる地紋画像を用いる方法が知られている。このような地紋画像を用いて文書を作成すると、不正複写に対する心理的な抑止効果があると共に、原本と複写物を区別することが可能となる。
【0003】
しかし、地紋画像を用いた方法は不正複写の心理的な抑止効果はあるものの、物理的に複写を防止できるものではなく、情報漏えいを完全に防ぐことはできない。そこで、特許文献1に記載されているように、原稿から読み取った画像データから特殊パターンを検出し、特殊パターンが検出されたら原稿の複写を禁止する、或いは原稿の印刷は行わずに所定の破壊パターンを印刷して原稿の情報漏えいを抑止するコピーガード機能を備えた複写機が知られている。
【0004】
また、特許文献2及び3には、原稿画像から特殊パターンが検出された場合、印刷画像の途中から破壊パターンを挿入して印刷したり、白紙画像を出力又は送信する等して正常な複写又は読み取りを防止する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2004−274092号公報
【特許文献2】特開2006−173757号公報
【特許文献3】特開2006−229709号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、原稿画像から特殊パターンが検出されてコピーが禁止され、用紙に破壊パターンが印刷されて出力されると、ユーザは意味のない用紙を得ることになる。この場合、この用紙は破棄される可能性が高く、用紙やトナーが無駄になっていた。更に原稿画像をファクシミリ機能を用いて外部のファクシミリに送信する場合、特殊パターンが組み込まれている原稿にあたるページは破壊パターンが挿入されて送信されるため、相手先のファクシミリに無駄なデータを送ることになり、更に無駄な印刷をさせてしまうことになる。また、原稿画像をネットワークを用いてパソコン等へ転送する場合、原稿画像に破壊パターンが挿入された画像が含まれていると受信側のパソコンは無駄に大きなサイズのデータを受信する必要があった。
【0006】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、原稿画像から特殊パターンが検出された場合、ユーザの設定に応じて、或いは設定条件等に応じて破壊パターンを出力又は印刷するか否かを切り替え可能にすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明の画像処理装置は、原稿から原稿画像を読み取る読取手段と、予め定められた特殊パターンを記憶する記憶手段と、前記原稿画像に前記特殊パターンが含まれているか否かを判定する判定手段と、前記原稿画像に破壊パターンを挿入して、前記原稿画像を破壊する破壊手段と、前記原稿画像を出力する出力手段と、前記破壊パターンが挿入された原稿画像を前記出力手段が出力するか否かを予め定められた設定に基づいて決定し、この決定に基づいて前記出力手段による前記原稿画像の出力を制御する制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【0008】
また、請求項7に記載の発明の画像処理プログラムは、コンピュータを、原稿から原稿画像を読み取る読取手段、前記原稿画像に特殊パターンが含まれているか否かを判定する判定手段、前記原稿画像に破壊パターンを挿入して、前記原稿画像を破壊する破壊手段、前記原稿画像を出力する出力手段、前記破壊パターンが挿入された原稿画像を前記出力手段が出力するか否かを予め定められた設定に基づいて決定し、この決定に基づいて前記出力手段による前記原稿画像の出力を制御する制御手段、として機能させることを特徴としている。
【0009】
この発明によれば、破壊パターンを出力するか否かを予め定められた設定に基づいて決めることができる。制御手段が破壊パターンを出力しないよう出力手段を制御することによって、出力手段から出力される画像データのデータ量を破壊パターンが挿入された原稿画像の画像データ分だけ少なくすることができ、例えば画像データを外部装置に転送する際のデータ転送時間を短縮させることができる。
【0010】
ここで「特殊パターン」とは、コピーガード機能を備えた複写機又はスキャナ等において正常なコピー又はスキャンを禁止させるためのパターンである。特殊パターンは主に機密書類等に組み込まれて印刷され、情報漏えい等を防ぐ役割を持つ。また、破壊パターンとは、予め定められた所定の画像(黒ベタ画像、或いは意味を成さない抽象的な画像等)である。この他、破壊パターンは画像のないパターンであってもよい。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像処理装置であって、前記破壊パターンが挿入された原稿画像を出力するか否かの指示入力を受け付ける受付手段を更に備え、前記受付手段が前記破壊パターンが挿入された原稿画像を出力しない旨の指示入力を受け付けたとき、前記制御手段は前記破壊パターンが挿入された原稿画像を出力しない制御を前記出力手段に対して行うことを特徴としている。
【0012】
この発明によれば、破壊パターンを出力するか否かをユーザが任意に設定することができる。このため、ユーザが破壊パターンを出力しない設定とした場合は、破壊パターンが挿入された原稿画像の画像データ分だけ出力される画像データのデータ量を少なくすることができ、画像データを外部装置に転送する際のデータ転送時間を短縮させることができる。
【0013】
請求項3に記載の発明の画像形成装置は、請求項1又は2に記載の画像処理装置と、前記出力手段は前記原稿画像を記録媒体に印刷して出力するものであり、前記制御手段は、前記破壊パターンが挿入された原稿画像を前記出力手段が印刷して出力するか否かを前記予め定められた設定に基づいて決定し、この決定に基づいて前記出力手段による前記原稿画像の印刷を制御するものであることを特徴としている。
【0014】
この発明によれば、予め定められた設定に基づいて、又はユーザの設定に基づいて破壊パターンを印刷するか否かを決めることができる。破壊パターンが印刷された記録媒体は情報のない無意味な印刷物になるために破棄されることが多い。そこで所定の条件又はユーザ設定に応じて破壊パターンを印刷させないことにより、記録媒体やトナーの無駄遣いを防ぐことができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の画像形成装置であって、前記出力手段が片面印刷モードに設定されているとき、前記制御手段は前記破壊パターンが挿入された原稿画像を印刷させない制御を前記出力手段に対して行うことを特徴としている。
【0016】
この発明によれば、片面印刷モードのときは破壊パターンを印刷させないことができるため、記録媒体やトナーの無駄遣いを防ぐことができる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の画像形成装置であって、前記出力手段が両面印刷モードに設定されているとき、前記記録媒体の両面に印刷される各原稿画像のうち何れか一方のみに前記破壊パターンが挿入されている場合は、前記制御手段は前記破壊パターンが挿入された原稿画像を印刷させる制御を前記出力手段に対して行うことを特徴としている。
【0018】
この発明によれば、両面印刷モードであって片面のみに破壊パターンの印刷が行われる場合は破壊パターンの印刷が実行される。このため、以降のページで見開き2ページに渡って1つの写真等が印刷される場合でも、見開きページの構成がずれることがない。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項3〜5の何れか一項に記載の画像形成装置であって、前記出力手段が両面印刷モードに設定されているとき、前記記録媒体の両面に印刷される各原稿画像の何れにも前記破壊パターンが挿入されている場合は、前記制御手段はその破壊パターンが挿入された原稿画像を印刷させない制御を前記出力手段に対して行うことを特徴としている。
【0020】
この発明によれば、両面印刷モードであって両面共に破壊パターンの印刷が行われる場合は破壊パターンの印刷を行わない。このため、記録媒体やトナーの無駄遣いを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、破壊パターンを出力するか否かを予め定められた設定に基づいて決定することができる。制御手段が破壊パターンを出力しないよう出力手段を制御することによって、破壊パターンが挿入された原稿画像の画像データ分だけ出力手段から出力される画像データのデータ量を少なくすることができ、例えば画像データを外部装置に転送する際のデータ転送時間を短縮させることができる。
【0022】
更に、出力手段が原稿画像を印刷して出力する手段である場合、所定の条件やユーザ設定に応じて制御手段が破壊パターンを印刷しないよう出力手段を制御することによって、破壊パターンを印刷させないことが可能となり、記録媒体やトナーの無駄遣いを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明における画像処理装置、画像形成装置及び画像処理プログラムについて説明する。尚、以下の実施の形態における画像形成装置は本発明における画像処理装置を備えており、画像形成装置として複写機を例に説明する。その他に、コピー、スキャナ、ファクシミリ及びプリンタ等の機能を備えた複合機であってもよいし、画像処理装置としてスキャナ、ファクシミリ等であってもよい。
【0024】
〔第1の実施の形態〕
図1は本実施の形態における複写機1の概略構成図である。複写機1は、原稿読取部12と、画像形成部16と、制御部10と、ネットワークI/F部18と、入力操作部17を備える。原稿読取部12は、自動原稿給紙ユニット(Auto Document Feeder)21と、スキャナユニット22とを備える。自動原稿給紙ユニット21は、操作者によりセットされた原稿を1枚ずつスキャナユニット22に通紙する。スキャナユニット22は、自動原稿給紙ユニット21によって通紙される原稿上の画像を読み取り、1枚の原稿の読み取りを終える毎に、読み取った原稿画像を制御部10に送信する。
【0025】
画像形成部16は、給紙カセットに積載された用紙を搬送する搬送路により搬送される用紙に画像形成を行う感光体ドラム等を有する現像部31と、画像が形成された記録紙を加熱し、画像形成部により形成された画像を記録紙に定着させる定着部32等を備える。
【0026】
図2は、本実施の形態における複写機1の電気的構成を示す機能ブロック図である。複写機1は、制御部10、記憶部11、原稿読取部12、画像メモリ13、画像処理部14、給紙部15、画像形成部16、入力操作部17及びネットワークI/F部18を備えて構成されている。
【0027】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)等によって構成され、入力された指示信号等に応じて記憶部11に記憶されたプログラムを読み出して処理を実行し、各機能部への指示信号の出力、データ転送等を行って複写機1を統括的に制御するものである。また制御部10は、特殊パターン判定部101、破壊パターン挿入部102及び印刷画像生成部103を有する。
【0028】
特殊パターン判定部101は、原稿読取部12が読み取った原稿画像から記憶部11に記憶された特殊パターンと一致する画像パターンを検出し、特殊パターンと一致する画像パターンを検出した場合は、この原稿画像には特殊パターンが含まれていると判定する。破壊パターン挿入部102は、特殊パターン判定部101によって特殊パターンが含まれていると判定された原稿画像に破壊パターンを挿入する。または原稿画像と破壊パターンを置換してもよく、読み取った原稿画像を破壊できればよい。
【0029】
印刷画像生成部103は、原稿読取部12が読み取った原稿画像の画像データ及び破壊パターン挿入部102によって破壊パターンが挿入された画像の画像データを印刷画像データとしてメモリ103aに蓄積して記憶する。
【0030】
記憶部11は、複写機1の備える種々の機能を実現するためのプログラムやデータ等を記憶する。本実施の形態では、記憶部11は印刷プログラム112を記憶する。また記憶部11はコピー禁止を示す特殊パターンを記憶する特殊パターン記憶部111として機能する。印刷プログラム112は、印刷が行われる際に実行されるプログラムであり、読み取った原稿画像の画像データをメモリ103aに蓄積して記憶すると共に、特殊パターンが含まれていると判定された原稿画像に破壊パターンを挿入して、その破壊パターンの挿入された画像データをメモリ103aに蓄積して記憶し、予め定められた設定に応じて制御部10がメモリ103aから破壊パターンの挿入された画像データ(換言すると、破壊パターンの挿入されたページ)を削除して印刷するためのものである。
【0031】
原稿読取部12は、CCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等のイメージセンサによって原稿を読み取り、読み取った画像を画像データに変換する。
【0032】
画像メモリ13は、ネットワークI/F部18を介して外部装置から送信された画像データを一時的に記憶する。画像処理部14は、メモリ103aに記憶された印刷画像データ又は画像メモリ13に記憶されている画像データに対して画像補正や拡大・縮小等の画像処理を施す。給紙部15は、給紙カセットから用紙を1枚ずつ繰り出して画像形成部16に搬送する。
【0033】
画像形成部16は、メモリ103a又は画像メモリ13から出力された画像データに基づいた画像を用紙に形成する。入力操作部17は、表示パネルや各種操作ボタンを備え、ユーザによって操作がなされると、操作信号を制御部10へ出力する。ネットワークI/F部18は、LANボード等の通信モジュールから構成され、ネットワークI/F部18と接続されたネットワーク(不図示)を介して外部装置と種々のデータの送受信を行う。
【0034】
次に、図3を用いて特殊パターンの組み込まれた原稿を含む複数の原稿を複写する場合について説明する。図3において、P11〜P15は原稿画像であり、画像P13には特殊パターンが組み込まれている。この画像P11〜P15をコピーガード機能を備えた従来の複写機で通常コピーを行うと、画像P11、12、14及び15はそのまま印刷されるが、画像P13は印刷されず、代わりに破壊パターンが印刷される。この場合、破壊パターンが印刷された用紙には元の原稿に対応した情報が何も印刷されていないことになるため不要なページとなってしまい、破棄されることが多い。従って、トナーや用紙の無駄となっていた。
【0035】
また、コピーガード機能を備えた複合機の場合、取得した画像データをファクシミリ機能を用いて相手先のファクシミリ機へ送信する際に破壊パターンも一緒に送信することになるため、破壊パターンが挿入された原稿画像の画像データ分だけ相手先に無駄な印刷をさせることになっていた。更に、取得した画像データをネットワークI/F部18を介して外部のパソコン等へ送信する際も破壊パターンも一緒に送信することになるため、転送データ量が無駄に大きくなり、外部のパソコン側でデータ取り込みに時間がかかり作業に支障をきたすケースも考えられる。
【0036】
そこで、ユーザの設定に応じて、破壊パターンの印刷可否を設定することができる複写機1を提案する。ユーザは入力操作部17を介して、原稿読取部12が特殊パターンの組み込まれた原稿を読み取った際に、画像形成部16に破壊パターンの印刷を行わせるか否かを設定することができる。破壊パターンの印刷可否の設定タイミングは、印刷前にユーザによって予め設定されるものであってもよいし、特殊パターン判定部101が原稿画像に特殊パターンが含まれていると判定する度に制御部10が入力操作部17の表示パネル等に破壊パターンの印刷を行うか否かの選択入力を促すメッセージを表示させ、その際にユーザによって入力された設定に応じて印刷可否が設定されてもよい。
【0037】
また、本発明をスキャナやファクシミリ等の画像読取装置に適用する場合は、特殊パターンが含まれていると判定された原稿画像に換えて破壊パターンを外部装置へ送信するか否かをユーザが任意に設定することができる。
【0038】
図3を用いて説明すると、まず特殊パターン判定部101が画像P11〜P15に特殊パターンが含まれているか否かを判定する。特殊パターンが含まれていない画像P11、P12、P14及び15は、特殊パターン判定部101によって特殊パターンが含まれていないと判断され、印刷画像生成部103がそのまま印刷画像データとしてメモリ103aに記憶する。このときの印刷画像データが画像データD11、D12、D14及びD15である。
【0039】
一方、画像P13は特殊パターン判定部101によって特殊パターンが含まれていると判定され、破壊パターン挿入部102が破壊パターンを挿入し(又は原稿画像と破壊パターンを置換し)、印刷画像生成部103が画像データD13を印刷画像データとしてメモリ103aに記憶する。
【0040】
例えば、複写機1の設定が破壊パターンの印刷を行わない設定になっている場合、制御部10はメモリ103aに蓄積された画像データD11〜D15のうち、画像データD13を削除する。従って、図3の下段に示すように、メモリ103aには画像データD11、D12、D14及びD15が蓄積して記憶された状態となり、画像形成部16はこれらの画像データに基づいて印刷を行う。
【0041】
図4は制御部10が本実施の形態における印刷プログラム112に従って処理を実行したときの流れを示すフローチャートである。まず、原稿読取部12が原稿画像を読み取る(ステップS11)。そして特殊パターン判定部101が原稿画像から特殊パターンを検出し、特殊パターンが含まれているか否かを判定する(ステップS12)。原稿画像に特殊パターンが含まれると判定された場合(ステップS13;YES)、破壊パターン挿入部102は原稿画像に破壊パターンを挿入し(ステップS14)、印刷画像生成部103が破壊パターンの挿入された画像の画像データを印刷画像データとしてメモリ103aに蓄積して記憶する(ステップS15)。原稿画像に特殊パターンが含まれないと判定された場合(ステップS13;NO)、印刷画像生成部103はステップS11で取得した原稿画像の画像データを印刷画像データとしてメモリ103aに蓄積して記憶する(ステップS15)。
【0042】
次に、破壊パターンの印刷を行う設定になっている場合(ステップS16;YES)、制御部10はステップS18へ処理を移行する。一方、破壊パターンの印刷を行わない設定になっている場合(ステップS16;NO)、制御部10はメモリ103aに記憶された破壊パターンが挿入されている画像データを削除する(ステップS17)。
【0043】
そして引き続き読み取る原稿がある場合は(ステップS18;NO)、制御部10はステップS11へ処理を戻す。最後の原稿である場合(ステップS18;YES)、制御部10はメモリ103aに記憶された印刷画像データを画像形成部16へ転送し、画像形成部16が印刷画像データに基づいた画像を用紙に印刷する。或いは、画像処理部14がメモリ103aに記憶されている印刷画像データに対して画像補正や拡大・縮小等の画像処理を施した後、画像形成部16が画像処理後の印刷画像データに基づいた画像を用紙に印刷する(ステップS19)。そして制御部10は処理を終了する。
【0044】
このように、破壊パターンが挿入された画像データ(ページ)を印刷するか否かをユーザが任意に設定できるようにすることにより、用紙やトナーの無駄使いを防ぐことができる。更に、読み取った画像データを外部のファクシミリやパソコン等に転送する場合、破壊パターンは出力しない設定とすることによって、転送データ量を削減することができ、データ転送時間も短縮させることができる。
【0045】
尚、本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、原稿画像及び破壊パターンが挿入された画像データは全て一旦メモリ103aに記憶し、破壊パターンを印刷しない設定になっている場合は制御部10がメモリ103aから破壊パターンが挿入された画像データを削除することとした。この他に、破壊パターンを印刷しない設定になっている場合で特殊パターン判定部101が原稿画像に特殊パターンが含まれていると判定したときは、破壊パターン挿入部102はその原稿画像に破壊パターンの挿入を行わず、印刷画像生成部103はその原稿画像の画像データをメモリ103aに記憶しない構成としてもよい。こうすることにより、特殊パターンが含まれた原稿画像や破壊パターンが挿入された画像はメモリ103aに記憶されないため、画像形成部16が破壊パターンの印刷を行うこともない。
【0046】
〔第2の実施の形態〕
第1の実施の形態では、破壊パターンの印刷有無をユーザが設定できる複写機1について説明した。第2の実施の形態では、片面印刷モードである場合のみ自動的に破壊パターンを印刷しない設定とする複写機について説明する。尚、本実施の形態における複写機の構成は第1の実施の形態において説明した複写機1と同様であるため、説明を省略する。
【0047】
図5は、第1の実施の形態における複写機において破壊パターンを印刷しない設定としたときに、両面印刷された複数の原稿を複写したときに得られる複写物について説明した図である。図5において、画像P21は用紙Q11の表面、画像P22は用紙Q11の裏面に印刷された画像である。同様に、画像P23は用紙Q12の表面、画像P24は用紙Q12の裏面に印刷された画像であり、画像P25は用紙Q13、画像P26は用紙Q13の裏面に印刷された画像である。
【0048】
そして、画像P21〜P27が例えばカタログや雑誌の各ページに掲載されており、画像P22と画像P23、画像P24と画像P25、画像P26と画像P27がそれぞれ見開きページを構成しているとする。特に画像P24〜P27には見開き2ページにわたって1つの写真等が形成されるように構成されているとする。
【0049】
これらの原稿のうち、画像P23にのみ特殊パターンが組み込まれているとする。そして、破壊パターンを印刷しない設定となっている第1の実施の形態における複写機に用紙Q11〜Q13の両面を読み取らせて両面コピーを行わせると、図5の下段に示すように画像P23以外の画像がコピーされる。つまり、用紙Q21の表面には画像P21、裏面には画像P22が形成されて用紙Q11と同じ内容の複写物を得ることが出来るが、画像P23が印刷されないために、用紙Q22の表面には画像P24、裏面には画像P25が形成されてしまう。更に、用紙Q23の表面には画像P26、裏面には画像P27が形成される。このように破壊パターンを印刷しない場合、元のページ構成に対して複写物のページ構成がずれてしまい、特に見開き2ページに渡って1つの写真等を形成しているページが存在する場合に各ページがずれてしまって不都合が生じる。
【0050】
そこで、両面コピーが行われる場合は破壊パターンを印刷する設定とし、片面コピーが行われる場合は破壊パターンを印刷しない設定となるように自動的に設定を切り替える複写機1を提案する。このようにすることにより、図6に示すように、画像P23に破壊パターンが挿入されて印刷されるため、画像P24〜P27の見開きページがずれることなく、元のページ構成と同じ状態でコピーすることができる。一方で片面コピーの場合は破壊パターンを印刷しないことによって、破壊パターンが挿入された原稿画像の画像データ分だけ用紙やトナーの無駄な使用を抑えることができる。
【0051】
図7は制御部10が本実施の形態における印刷プログラム112に従って処理を実行したときの流れを示すフローチャートである。ここで図7におけるステップS11〜S15の処理は、第1の実施の形態において図4を用いて説明した印刷プログラムの処理と同様であるため、説明を省略する。
【0052】
ステップS15の後、制御部10は両面コピーモードが設定されているか否かを判断する(ステップS21)。両面コピーモードが設定されている場合(ステップS21;YES)、制御部10はステップS23へ処理を移行する。一方、片面コピーモードが設定されている場合(ステップS21;NO)、制御部10はメモリ103aに記憶された印刷画像データから破壊パターンが挿入された画像データを削除する(ステップS22)。
【0053】
そして引き続き読み取る原稿がある場合は(ステップS23;NO)、制御部10はステップS11へ処理を戻す。最後の原稿である場合(ステップS23;YES)、制御部10はメモリ103aに記憶された印刷画像データを画像形成部16へ転送し、画像形成部16が印刷画像データに基づいた画像を用紙に形成する。或いは、画像処理部14がメモリ103aに記憶されている印刷画像データに対して画像補正や拡大・縮小等の画像処理を施した後、画像形成部16が画像処理後の印刷画像データに基づいた画像を用紙に形成する(ステップS24)。そして制御部10は処理を終了する。
【0054】
以上、説明したように、片面コピーの場合はメモリ103aから破壊パターンの挿入された画像(ページ)を削除し、両面コピーの場合は破壊パターンの挿入された画像(ページ)を印刷するように設定することにより、両面印刷された原稿に特殊パターンの組み込まれた原稿が含まれていても、見開き2ページに渡って1つの写真等が形成されているページがずれることがない。一方で片面コピーの場合は破壊パターンを印刷しないことによって、用紙やトナーの無駄な使用を抑えることができる。
【0055】
尚、本実施の形態は上記の構成に限られず種々の変形が可能である。例えば、原稿にページ番号が印刷されている場合に破壊パターンを印刷しない設定とすると特殊パターンの組み込まれた原稿のページ番号が抜けてしまう。そこで、原稿にページ番号が印刷されている場合は、破壊パターンを印刷するように設定されてもよい。具体的には、原稿画像のの余白部分に相当する領域にページ番号を示す数字が検出する検出手段を備え、この検出手段がページ番号を検出したら、制御部10は破壊パターンを印刷する設定とする。
【0056】
〔第3の実施の形態〕
第2の実施の形態では、片面コピーの場合は破壊パターンの印刷は行わず、両面コピーの場合は破壊パターンの印刷を行うように設定される複写機について説明した。第3の実施の形態では、原稿の両面に特殊パターンが組み込まれているため、両面コピーをすると用紙の表面及び裏面に破壊パターンが印刷されることになる場合は該当する破壊パターンを印刷しない設定とする複写機について説明する。尚、本実施の形態における複写機の構成は第1の実施の形態において説明した複写機1と同様であるため、説明を省略する。
【0057】
図8は、画像P31〜P36をコピーガード機能を備えた従来の複写機で両面コピーした際について説明した図である。例えば、画像P33及びP34に特殊パターンが組み込まれている場合、画像P31〜P36を両面コピーすると、図8下段に示すように用紙Q32の両面に破壊パターンが印刷される。このように用紙の両面に破壊パターンが印刷されるとその用紙は破棄される場合が多く、用紙やトナーが無駄になってしまう。
【0058】
そこで、両面コピーモードであって用紙の一方の面には原稿画像が印刷され、他方の面には破壊パターンが印刷されることになる場合はその破壊パターンを印刷する設定とし、用紙の両面に破壊パターンを印刷することになる場合は該当する破壊パターンを印刷しない設定とする複写機1を提案する。
【0059】
つまり、図9に示すように、画像P41〜P47が両面印刷されている原稿において、用紙Q42の表面に印刷されている画像P43及び用紙Q42の裏面に印刷されているP44に特殊パターンが組み込まれている場合、これらの画像を両面コピーすると、両面に破壊パターンが印刷された用紙が出力される。
【0060】
そこで、上述したように、両面コピーを行う場合であって、用紙の両面に破壊パターンを印刷することになる場合は該当する破壊パターンを印刷しないことにより、図9下段に示すように、画像P43及びP44に対応する破壊パターンが印刷されるべきページを抜くことができる。このため、用紙やトナーの無駄遣いを防ぐことができる。更に、用紙の片面に破壊パターンが印刷されるは破壊パターンの印刷を行うため、後続のページに見開き2ページに渡って1つの写真等を形成するページが存在した場合でも、ページ構成がずれることがない。
【0061】
図10は制御部10が本実施の形態における印刷プログラム112に従って処理を実行したときの流れを示すフローチャートである。まず制御部10は変数i(iは1以上の整数)に1を代入する(ステップS31)。ここで変数iは制御部10が有するワークメモリ(不図示)に設定される変数である。
【0062】
次に、原稿読取部12が原稿画像を読み取る(ステップS32)。そして特殊パターン判定部101が原稿画像から特殊パターンを検出し、特殊パターンが含まれているか否かを判定する(ステップS33)。原稿画像に特殊パターンが含まれると判定された場合(ステップS34;YES)破壊パターン挿入部102は原稿画像に破壊パターンを挿入し(ステップS35)、印刷画像生成部103が破壊パターンの挿入された画像の画像データを印刷画像データとしてメモリ103aに蓄積して記憶する(ステップS36)。原稿画像に特殊パターンが含まれないと判定された場合(ステップS34;NO)、印刷画像生成部103はステップS11で取得した原稿画像の画像データを印刷画像データとしてメモリ103aに蓄積して記憶する(ステップS36)。尚、ステップS36では、印刷画像生成部103は印刷画像データにこのときの変数iの数値を付してメモリ103aに記憶する。
【0063】
続いて、制御部10は両面コピーモードが設定されているか否かを判断する(ステップS37)。両面コピーモードが設定されており(ステップS37;YES)、変数iが奇数であるとき(ステップS38;NO)、制御部10はステップS41へ処理を移行する。一方、両面コピーモードが設定されており(ステップS37;YES)、変数iが偶数であるとき(ステップS38;YES)、制御部10はメモリ103aに記憶されている印刷画像データのうち、番号i−1と番号iの印刷画像データの何れにも破壊パターンが挿入されているか否かを判別する(ステップS39)。
【0064】
何れも破壊パターンが挿入されていない、又は何れか一方のみに破壊パターンが挿入されている場合(ステップS39;NO)、制御部10はステップS41へ処理を移行する。何れも破壊パターンが挿入されている場合(ステップS39;YES)、制御部10はメモリ103aに記憶された印刷画像データから番号i−1と番号iの印刷画像データを削除する(ステップS40)。
【0065】
また、片面コピーモードが設定されている場合(ステップS37;NO)、制御部10はメモリ103aに記憶された印刷画像データから破壊パターンの挿入された画像データを削除する(ステップS40)。
【0066】
そして引き続き読み取る原稿がある場合は(ステップS41;NO)、制御部10は変数iに1を加算して(ステップS42)ステップS32へ処理を戻す。最後の原稿である場合(ステップS41;YES)、制御部10はメモリ103aに記憶された印刷画像データを画像形成部16へ転送し、画像形成部16が印刷画像データに基づいた画像を用紙に形成する。或いは、画像処理部14がメモリ103aに記憶されている印刷画像データに対して画像補正や拡大・縮小等の画像処理を施した後、画像形成部16が画像処理後の印刷画像データに基づいた画像を用紙に形成する(ステップS43)。そして制御部10は処理を終了する。
【0067】
以上、説明したように、両面コピーを行う場合であって、用紙の両面に破壊パターンを印刷することになる場合は該当する破壊パターンの挿入された画像(ページ)を印刷しないことにより、用紙やトナーの無駄遣いを防ぐことができる。更に、用紙の片面のみに破壊パターンが印刷される場合はそのまま破壊パターンを印刷するため、後続のページに見開き2ページに渡って1つの写真等を形成するページが存在した場合でも、ページ構成がずれることがない。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】複写機の概略構成を示した図。
【図2】複写機の電気的構成を示したブロック図。
【図3】特殊パターンの組み込まれた原稿を含む原稿を複写する際について説明した図。
【図4】第1の実施の形態における印刷処理の流れを示すフローチャート。
【図5】両面印刷された原稿を複写したときに得られる複写物について説明した図。
【図6】両面印刷された原稿を複写したときに得られる複写物について説明した図。
【図7】第2の実施の形態における印刷処理の流れを示すフローチャート。
【図8】原稿を両面コピーしたときに得られる複写物について説明した図。
【図9】両面印刷された原稿を複写したときに得られる複写物について説明した図。
【図10】第3の実施の形態における印刷処理の流れを示すフローチャート。
【符号の説明】
【0069】
1 複写機
10 制御部(制御手段)
101 特殊パターン判定部(判定手段)
102 破壊パターン挿入部(破壊手段)
103 印刷画像生成部
103a メモリ
11 記憶部
111 特殊パターン記憶部(記憶手段)
112 印刷プログラム
12 原稿読取部(読取手段)
13 画像メモリ
14 画像処理部
15 給紙部
16 画像形成部(出力手段)
17 入力操作部(受付手段)
18 ネットワークI/F部(出力手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿から原稿画像を読み取る読取手段と、
予め定められた特殊パターンを記憶する記憶手段と、
前記原稿画像に前記特殊パターンが含まれているか否かを判定する判定手段と、
前記原稿画像に破壊パターンを挿入して、前記原稿画像を破壊する破壊手段と、
前記原稿画像を出力する出力手段と、
前記破壊パターンが挿入された原稿画像を前記出力手段が出力するか否かを予め定められた設定に基づいて決定し、この決定に基づいて前記出力手段による前記原稿画像の出力を制御する制御手段と、
を備えた画像処理装置。
【請求項2】
前記破壊パターンが挿入された原稿画像を出力するか否かの指示入力を受け付ける受付手段を更に備え、
前記受付手段が前記破壊パターンが挿入された原稿画像を出力しない旨の指示入力を受け付けたとき、前記制御手段は前記破壊パターンが挿入された原稿画像を出力しない制御を前記出力手段に対して行うことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像処理装置を備え、
前記出力手段は前記原稿画像を記録媒体に印刷して出力するものであり、
前記制御手段は、前記破壊パターンが挿入された原稿画像を前記出力手段が印刷して出力するか否かを前記予め定められた設定に基づいて決定し、この決定に基づいて前記出力手段による前記原稿画像の印刷を制御するものであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記出力手段が片面印刷モードに設定されているとき、前記制御手段は前記破壊パターンが挿入された原稿画像を印刷させない制御を前記出力手段に対して行うことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記出力手段が両面印刷モードに設定されているとき、前記記録媒体の両面に印刷される各原稿画像のうち何れか一方のみに前記破壊パターンが挿入されている場合は、前記制御手段は前記破壊パターンが挿入された原稿画像を印刷させる制御を前記出力手段に対して行うことを特徴とする請求項3又は4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記出力手段が両面印刷モードに設定されているとき、前記記録媒体の両面に印刷される各原稿画像の何れにも前記破壊パターンが挿入されている場合は、前記制御手段は前記破壊パターンが挿入された原稿画像を印刷させない制御を前記出力手段に対して行うことを特徴とする請求項3〜5の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
コンピュータを、
原稿から原稿画像を読み取る読取手段、
前記原稿画像に特殊パターンが含まれているか否かを判定する判定手段、
前記原稿画像に破壊パターンを挿入して、前記原稿画像を破壊する破壊手段、
前記原稿画像を出力する出力手段、
前記破壊パターンが挿入された原稿画像を前記出力手段が出力するか否かを予め定められた設定に基づいて決定し、この決定に基づいて前記出力手段による前記原稿画像の出力を制御する制御手段、
として機能させるための画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−267898(P2009−267898A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−116692(P2008−116692)
【出願日】平成20年4月28日(2008.4.28)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】