説明

画像処理装置および画像処理プログラム

【課題】スキュー補正の際に生じるジャギーを低減することを目的とする。
【解決手段】画像または文字を読み取るスキャナ2から画像データを取得して、処理する画像処理装置1であって、スキャナ2から取得した画像データの傾きを検出する傾き検出部111と、傾き検出部111によって、読み取った画像データの傾きが検出されると、スキャナ2の解像度を高める解像度変更部112と、解像度を高められたスキャナ2から取得した画像データに対し、スキュー補正を行うスキュー補正部113と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置および画像処理プログラムの技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
帳票や、文書などをスキャナなどの画像読取装置で読み取ることによって、画像データを取得する技術が多数存在する。
文書などをスキャナで読み取る際、原稿が傾くことにより画像データが傾いた状態となる「スキュー」が生じる場合がある。このようなスキューを補正する方法として、例えば、特許文献1に記載されている技術がある。
【特許文献1】特開平1−66782号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、傾いた状態で読み込まれた文字や、罫線には、ジャギーと呼ばれる階段状のノイズが生じる。
一般的なスキュー補正方法では、このジャギーが生じている状態で補正を行ってしまうため、正しい傾きに補正された文字や、罫線にジャギーが保持された状態となってしまうという問題がある。
前記問題に鑑みて、本発明は、スキュー補正の際に生じるジャギーの発生を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記した課題を解決するため、本発明は、画像または文字が記載されている媒体より前記画像または文字を読み取る画像読取装置から画像データを取得して、処理する画像処理装置または画像処理プログラムであって、前記画像読取装置から取得した画像データの傾きを検出し、前記取得した画像データの傾きが検出されると、前記画像読取装置の解像度を高め、前記解像度を高められた前記画像読取装置から取得した画像データに対し、スキュー補正を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、スキュー補正の際に生じるジャギーの発生を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下に、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る画像処理システムの構成例を示す図である。
画像処理システム3は、画像または文字が印刷された媒体から画像または文字を画像データとして読み取るスキャナ2(画像読取装置)と、このスキャナ2に接続され、スキャナ2から送られた画像データを処理する画像処理装置1とを有してなる。
ここで、媒体は、罫線に沿って文字が複数行にわたって印刷(記載)されている帳票でもよい。
【0007】
図2は、本実施形態に係る画像処理システムの詳細な構成例を示す図である。
スキャナ2は、媒体から画像データのスキャンを行うスキャン処理部21と、スキャンを行う際の解像度を設定する解像度設定部22とを有してなる。
【0008】
画像処理装置1は、情報を処理する処理部11と、処理部11から送られた指示に従ってスキャナ2の制御を行ったり、スキャナ2から送られた画像データを処理部11へ送ったりするスキャナ制御部12と、情報を記憶する記憶部13とを有してなる。
処理部11は、傾き検出部111、解像度変更部112、スキュー補正部113および解像度変換部114を有してなる。
傾き検出部111は、スキャナ2から送られた画像データを基に、画像データの傾きの有無を検出し、判定する機能を有する。なお、前記した媒体が帳票である場合、傾き検出部111は、罫線の傾きを検出する。解像度変更部112は、スキャナ制御部12を介して、スキャナ2の解像度設定部22に設定されている解像度を変更する機能を有する。スキュー補正部113は、画像データの傾き(スキュー)を補正する機能を有する。解像度変換部114は、画像データの解像度を解像度変更部112による変更前の解像度の画像データへ変換する機能を有する。
【0009】
図2を参照しつつ、図3に沿って本実施形態に係るスキュー補正方法の説明を行う。
図3は、本実施形態に係るスキュー補正方法の流れを示すフローチャートである。
まず、画像処理プログラムが起動すると、画像処理装置1の処理部11は、スキャナ2に画像のプレスキャン処理を行わせるようスキャナ制御部12に指示し、指示を受けたスキャナ制御部12は、スキャナ2にプレスキャン処理を行うよう指示する。
そして、スキャナ2のスキャン処理部21が、媒体に印刷されている画像または文字のプレスキャン処理を行い(S101)、プレスキャンして得られた画像データ(プレスキャン画像データ)を画像処理装置1へ送る。プレスキャン画像データを受信した画像処理装置1は、スキャナ制御部12を介して、画像処理装置1の処理部11へ入力される。
ここで、媒体が罫線に沿って文字が複数行にわたって印刷されている帳票である場合、プレスキャン処理は、この複数行の文字のうち、一部の行をスキャンする処理としてもよい。
次に、傾き検出部111が、プレスキャン画像データの傾きが検出されたか否かを判定する(S102)。傾き検出の具体的な方法は、特許文献1に記載されているため、ここでは省略する。なお、傾きを検出する処理は、媒体に印刷されている罫線や、文字(または、文字列)の外接矩形の傾きを検出する処理としてもよい。
ステップS102の結果、傾きが検出されない場合(S102→No)、画像処理装置1の処理部11は、スキャナ2に画像のスキャン処理を行わせるようスキャナ制御部12に指示し、指示を受けたスキャナ制御部12は、スキャナ2にスキャン処理を行うよう指示する。指示されたスキャナ2のスキャン処理部21は、解像度の設定を変更せずに原稿のスキャン処理を行う(S103)。スキャンして得られた画像データ(スキャン画像データ)は、スキャナ制御部12を介して、処理部11へ入力される。処理部11は、入力されたスキャン画像データを記憶部13へ格納したり、図示しない表示部に表示したりした後、処理を終了する。
【0010】
ステップS102の結果、傾きが検出された場合(S102→Yes)、解像度変更部112が、スキャナ制御部12を介してスキャナ2の解像度設定部22に設定されている解像度を高める(例えば、200dpiを400dpiに高める)解像度変更を行った(S104)後、画像処理装置1の処理部11は、スキャナ2に画像のスキャン処理を行わせるようスキャナ制御部12に指示し、指示を受けたスキャナ制御部12は、スキャナ2にスキャン処理を行うよう指示する。スキャン処理部21は、解像度設定部22の解像度に従って原稿のスキャン処理を行う(S105)。スキャン画像データは、スキャナ制御部12を介して処理部11へ入力される。なお、ステップS104の解像度を高める処理は、解像度変更部112によって、自動的に行われてもよいし、ユーザが、図示しない入力部を介して、所定の解像度の値を解像度変更部112に入力し、解像度変更部112が、スキャナ制御部12を介して、スキャナ2の解像度を、入力された値に変更してもよい。また、ユーザが、スキャナ2の解像度を直接手動で高めるようにしてもよい。
そして、スキュー補正部113が、入力されたスキャン画像データに対してスキュー補正処理を行う(S106)。スキュー補正処理は、具体的には特許文献1に記載の技術などを用いて行われる。
【0011】
次に、解像度変換部114が、ステップS106でスキュー補正されたスキャン画像データを、変更前の解像度のスキャン画像データへ変換する(例えば、400dpiを200dpiに変換する)解像度の変換を行った(S107)後、処理部11が、当該スキャン画像データを記憶部13へ記憶させたり、図示しない表示部に表示したりした後、処理を終了する。
なお、ステップS107における解像度の変換処理は、解像度変換部114によって、自動的に行われてもよいし、ユーザが、図示しない入力部を介して、所定の解像度の値を解像度変換部114に入力し、解像度変換部114が、入力された値の解像度にスキャン画像データを変換してもよい。
また、ステップS107の処理は省略してもよい。ステップS107の処理により、本来ユーザが希望していた解像度の画像データを得ることができるが、解像度は高いままでもよいとユーザが判断した場合は、予めステップS107の処理を省略するよう画像処理装置1を設定してもよい。
さらに、ステップS107の処理の前あるいは後に、解像度変更部112が、スキャナ制御部12を介して、スキャナ2の解像度設定部22に設定されている解像度(ステップS104で高められた解像度)を、変更前の解像度にする(例えば、400dpiを200dpiに戻す)処理を行ってもよい。この処理は、解像度変更部112によって、自動的に行われてもよいし、ユーザが、スキャナ2の解像度を直接手動で変更してもよい。
【0012】
なお、ステップS107における解像度の変換は、変換後の画像のある画素を対応する基画像の領域内の1点で代表させる単純サンプリング、単純サンプリングによる方式で代表させた画素とその8近傍の加重平均を用いる加重平均、変換後の画像のある画素が対応する基画像の領域の画素を含む面積日を用いる面積比、面積比による方法で求めた面積比が最大の画素で代表させる際近隣サンプリング、最近隣サンプリングによる方法で代表させた画素とその8近傍の加重平均を用いる最近隣加重平均による方法などを用いてもよい(竹内 功明、「階層的符号化された文書画像のリアルタイム解像度変換方式」(URL: http://www.jaist.ac.jp/library/thesis/is-master-1997/abstract/noriaki/jabstract.pdf)参照)
【0013】
図4は、本実施形態に係る画像処理装置のハードウェア構成の例を示す図である。
画像処理装置1は、CPU(Central Processing Unit)201、RAM(Random Access Memory)202、ROM(Read Only Memory)203、通信インタフェース204、HD(Hard Disk)205などを有してなる。CPU201、RAM202、ROM203、通信インタフェース204およびHD205は、バス206を介して互いに接続している。
スキャナ制御部12、処理部11、傾き検出部111、解像度変更部112、スキュー補正部113および解像度変換部114は、ROM203や、HD205に格納された画像処理プログラムが、RAM202に展開され、CPU201によって実行されることによって具現化する。
また、通信インタフェース204は、例えばUSB(Universal Serial Bus)コントローラなどであり、スキャナ2との通信を行うなどの機能を有する。
【0014】
本実施形態に係る画像処理装置1と、スキャナ2とは、異なる装置としたが、スキャナ2に本実施形態に係る画像処理装置1の各部11〜13,111〜114を搭載した構成としてもよい。また、レセプトなどを読み込むOCR(Optical Character)に本実施形態に係る画像処理装置1と、スキャナ2との機能を搭載させてもよい。
【0015】
本実施形態によれば、傾きが生じている原稿に関しては、一度解像度を高めてから、画像を読み込み、スキュー補正を行った後、画像データの解像度を元に戻すことにより、罫線や、文字に生じるジャギーを低減することが可能となる。
これにより、例えばスキャナ2から読み込んだ文字などが見やすくなり、OCRなどに適用した場合には、文字の識別率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態に係る画像処理システムの構成例を示す図である。
【図2】本実施形態に係る画像処理システムの詳細な構成例を示す図である。
【図3】本実施形態に係るスキュー補正方法の流れを示すフローチャートである。
【図4】本実施形態に係る画像処理装置のハードウェア構成の例を示す図である。
【符号の説明】
【0017】
1 画像処理装置
2 スキャナ(画像読取装置)
3 画像処理システム
11 処理部
12 スキャナ制御部
13 記憶部
21 スキャン処理部
22 解像度設定部
111 検出部
112 解像度変更部
113 スキュー補正部
114 解像度変換部
201 CPU
202 RAM
203 ROM
204 通信インタフェース
205 HD
206 バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像または文字が記載されている媒体より前記画像または文字を読み取る画像読取装置から画像データを取得して、処理する画像処理装置であって、
前記画像読取装置から取得した画像データの傾きを検出する傾き検出部と、
前記傾き検出部によって、前記取得した画像データの傾きが検出されると、前記画像読取装置の解像度を高める解像度変更部と、
前記解像度を高められた前記画像読取装置から取得した画像データに対し、スキュー補正を行うスキュー補正部と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記スキュー補正が行われた画像データを前記解像度変更部による変更前の解像度の画像データへ変換する解像度変換部をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記傾き検出部によって、前記取得した画像データの傾きが検出されなかった場合、前記画像読取装置の解像度を変更させることなく、前記画像読取装置から画像データを取得する処理部をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
画像または文字が記載されている媒体の画像データを取得して、処理する画像処理装置における画像処理プログラムであって、
コンピュータに、
スキャナ制御部が取得した画像データの傾きを検出するステップと、
前記取得した画像データの傾きが検出されると、前記取得する画像データの解像度を高めるステップと、
前記解像度を高められた画像データに対し、スキュー補正を行うステップと、
前記スキュー補正が行われた画像データを記憶部へ記憶するステップと、
を実行させることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項5】
前記スキュー補正が行われた画像データを、高められる前の解像度の画像データへ変換するステップと、
当該解像度の変換が行われた画像データを前記記憶部へ記憶するステップと、
をコンピュータにさらに実行させることを特徴とする請求項4に記載の画像処理プログラム。
【請求項6】
前記取得した画像データの傾きが検出されなかった場合、前記解像度を変更することなく、前記画像データを取得するステップをコンピュータにさらに実行させることを特徴とする請求項4に記載の画像処理プログラム。
【請求項7】
前記媒体は、罫線に沿って文字が複数行にわたって記載され、
前記複数行の文字のうち、一部の行をスキャンするプレスキャンをコンピュータに実行させるステップが行われ、
前記傾きを検出するステップは、前記罫線または前記文字の外接矩形の傾きを検出することを特徴とする請求項4に記載の画像処理プログラム。
【請求項8】
前記取得する画像データは、画像または文字が記載されている媒体より前記画像または文字を読み取る画像読取装置から受信され、
前記取得する画像データの解像度を高めるステップは、前記画像読取装置の解像度を高めるステップであることを特徴とする請求項4に記載の画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−147641(P2009−147641A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−322390(P2007−322390)
【出願日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(591051645)沖ソフトウェア株式会社 (173)
【Fターム(参考)】