画像処理装置および画像処理方法
【課題】計器を事前に初期設定することなく、カメラで撮影した計器の画像を処理して、計器を分類することを可能とする。
【解決手段】画像処理装置1は、カメラ3によって撮影された計器2の画像から計器2の表示盤の輪郭線を抽出し、抽出された輪郭線の画像から、最も重なりが大きい輪郭線を仮想輪郭線として作成し、抽出された輪郭線の画像と仮想輪郭線の画像との一致度が予め定めた閾値より大きいか否かに基づいて、計器2を分類する。
【解決手段】画像処理装置1は、カメラ3によって撮影された計器2の画像から計器2の表示盤の輪郭線を抽出し、抽出された輪郭線の画像から、最も重なりが大きい輪郭線を仮想輪郭線として作成し、抽出された輪郭線の画像と仮想輪郭線の画像との一致度が予め定めた閾値より大きいか否かに基づいて、計器2を分類する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像処理技術に関し、特に、入力された計器の画像を処理して、計器を分類する画像処理装置および画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アナログメータのような計器は、各種のシステムの計測や監視に広く使用されている。近年、工場の自動化や低コスト化が望まれており、メータによる点検の自動化が図られている。メータによる点検の自動化の方法として、例えば、メータの交換、メータの改造、視認作業の自動化などがある。このうち、メータの交換や改造では、コストがかかることや視認性の劣化、さらには交換期間にシステムを停止しなければならないという重大な問題もある。一方、視認作業の自動化は、カメラや画像入力装置を設置するだけでよく、システムの停止を必要としない。また、メータに接触することがないため、視認性も維持でき、困難な高所や危険区域内の点検も可能であり、一時的な自動監視も容易に行うことができる。このような点で、画像処理によるアナログメータの視認作業の自動化は期待されている。
【0003】
一般的なアナログメータ自動読み取りシステムの処理の流れを図10に示す。設置したカメラで点検対象となるメータを撮影し(ステップS100)、その画像を解析して(ステップS101)、指示値の読み取りを行い、読み取った指示値を出力する(ステップS102)。この点検結果を保存することや、解析することも可能である(ステップS103)。
【0004】
ここで、画像を用いた計器の指示値の読み取りを行う処理の前提の処理として、計器の分類を行うことが必要である。すなわち、計器を、例えば丸型計器、角型計器、指針移動式計器のいずれかに分類することが必要となる。
【0005】
従来のシステムでは、システムの設置時に計器の登録などの初期設定を行ったりするなど、計器の分類に必要な事前情報をシステムに与えている。具体的には、計器の登録による手法では、例えば、計器の型番などの情報を事前に登録して、登録した型番の情報を計器の分類に利用している。また、事前に登録した、計器のテンプレート画像(基準画像)との照合結果に基づいて、計器の分類を行う手法もある。
【0006】
なお、画像認識に関する従来技術の例として、例えば、以下の特許文献1に、2値画像から所定のマークを抽出し、抽出したマークを基準にメータ形状を分類する画像認識方法に関して記載されている。
【特許文献1】特開2001−22433号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、例えば、工場内の膨大な数の計器の分類を行う場合、従来技術のように、システムの設置時に計器の登録などの初期設定を行うのでは、その設定労力が過大となり、コストもかかる。また、登録されていない計器は分類することが出来ない。
【0008】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決し、計器を事前に初期設定することなく、カメラで撮影した計器の画像を処理して、計器を分類する画像処理装置および画像処理方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、画像撮影手段によって撮影された計器の画像を処理して前記計器を分類する画像処理装置であって、前記計器の画像が入力される画像入力手段と、前記画像入力手段に入力された計器の画像からエッジを抽出し、エッジが抽出された画像に対して2値化処理を行い、2値化処理された画像に対して細線化処理を行って、前記計器の表示盤の輪郭線を抽出する輪郭線抽出手段と、前記抽出された輪郭線に基づいて、前記抽出された輪郭線と最も重なりが大きい仮想的な円を仮想輪郭線として作成する仮想輪郭線作成手段と、前記輪郭線抽出手段によって抽出された輪郭線の画像を膨張処理し、膨張処理後の前記輪郭線の画像と、前記仮想輪郭線作成手段によって作成された仮想輪郭線の画像との一致度が、予め定めた閾値より大きい場合に、前記計器を丸型計器に分類する計器分類手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記の画像処理装置において、前記輪郭線抽出手段は、前記計器分類手段によって前記計器が丸型計器に分類されない場合に、前記画像入力手段に入力された計器の画像に対して、前記計器の表示盤領域の外部の画像を黒画素に変更する背景除去処理を行い、背景除去処理後の前記表示盤領域の画像に対して平滑化処理、2値化処理を順次行い、2値化処理された画像中の図形画素(白画素)の各連結成分の中で面積が最大な領域を最大領域として選択し、前記選択された最大領域の輪郭線を、前記計器の表示盤の輪郭線として抽出し、前記仮想輪郭線作成手段は、前記輪郭線抽出手段によって抽出された輪郭線の画像を膨張処理し、膨張処理された前記輪郭線の画像から、前記表示盤の形状である四角形の輪郭線を仮想輪郭線として抽出し、前記計器分類手段は、前記膨張処理後の前記輪郭線の画像と、前記仮想輪郭線作成手段によって作成された、前記表示盤の形状である四角形の輪郭線の画像との一致度が、予め定めた閾値より大きい場合に、前記計器を角型計器に分類することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、前記の画像処理装置において、前記計器分類手段は、前記膨張処理後の前記輪郭線の画像と、前記仮想輪郭線作成手段によって作成された、前記表示盤の形状である四角形の輪郭線の画像との一致度が、予め定めた閾値より大きく、かつ、前記表示盤の形状である四角形の縦の長さの横の長さに対する比が、予め定めた閾値以上の場合に、前記計器を指針移動式計器に分類することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、画像撮影手段によって撮影された計器の画像を処理して前記計器を分類する画像処理方法であって、前記計器の画像を入力する画像入力ステップと、前記入力された計器の画像からエッジを抽出し、エッジが抽出された画像に対して2値化処理を行い、2値化処理された画像に対して細線化処理を行って、前記計器の表示盤の輪郭線を抽出する輪郭線抽出ステップと、前記抽出された輪郭線に基づいて、前記抽出された輪郭線と最も重なりが大きい仮想的な円を仮想輪郭線として作成する仮想輪郭線作成ステップと、前記輪郭線抽出ステップによって抽出された輪郭線の画像を膨張処理し、膨張処理後の前記輪郭線の画像と、前記仮想輪郭線作成ステップによって作成された仮想輪郭線の画像との一致度が、予め定めた閾値より大きい場合に、前記計器を丸型計器に分類する計器分類ステップとを有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、前記の画像処理方法において、前記輪郭線抽出ステップは、前記計器分類ステップによって前記計器が丸型計器に分類されない場合に、前記画像入力ステップにおいて入力された計器の画像に対して、前記計器の表示盤領域の外部の画像を黒画素に変更する背景除去処理を行い、背景除去処理後の前記表示盤領域の画像に対して平滑化処理、2値化処理を順次行い、2値化処理された画像中の図形画素(白画素)の各連結成分の中で面積が最大な領域を最大領域として選択し、前記選択された最大領域の輪郭線を、前記計器の表示盤の輪郭線として抽出し、前記仮想輪郭線作成ステップは、前記輪郭線抽出ステップによって抽出された輪郭線の画像を膨張処理し、膨張処理された前記輪郭線の画像から、前記表示盤の形状である四角形の輪郭線を仮想輪郭線として抽出し、前記計器分類ステップは、前記膨張処理後の前記輪郭線の画像と、前記仮想輪郭線作成ステップによって作成された、前記表示盤の形状である四角形の輪郭線の画像との一致度が、予め定めた閾値より大きい場合に、前記計器を角型計器に分類することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、前記の画像処理方法において、前記計器分類ステップは、前記膨張処理後の前記輪郭線の画像と、前記仮想輪郭線作成ステップによって作成された、前記表示盤の形状である四角形の輪郭線の画像との一致度が、予め定めた閾値より大きく、かつ、前記表示盤の形状である四角形の縦の長さの横の長さに対する比が、予め定めた閾値以上の場合に、前記計器を指針移動式計器に分類することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、計器を事前に初期設定することなく、例えば工場内に設置したカメラで撮影した計器の画像の処理結果に基づいて、計器を自動的に分類することができる。本発明による計器の分類結果は計器の指示値の読み取り処理に利用することができる。
【0016】
従って、本発明によれば、計器による工場内の点検の自動化のためのコストと労力を大幅に下げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、図を用いて、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の構成の一例を示す図である。画像処理装置1は、カメラ3による計器2の撮影画像を処理して、計器2を分類する処理装置である。本発明の画像処理装置1による計器2の分類結果は、図示しない指示値の読み取り装置による、計器2の指示値の読み取りに利用される。
【0018】
画像処理装置1は、画像入力部11、輪郭線抽出部12、仮想輪郭線作成部13、計器分類部14、計器分類結果出力部15を備える。
【0019】
画像入力部11には、カメラ3により撮影された計器2の画像が入力される。輪郭線抽出部12は、入力された画像情報に基づいて、計器2の表示盤の輪郭線を抽出する。なお、輪郭線抽出部12は、例えば、入力された画像(原画像)を保持するバッファーを備える。
【0020】
仮想輪郭線作成部13は、抽出された輪郭線画像に基づいて、抽出された輪郭線画像と最も重なりが大きい仮想的な輪郭線(仮想輪郭線)を作成する。
【0021】
計器分類部14は、輪郭線抽出部12によって抽出された輪郭線画像と仮想輪郭線作成部13によって作成された仮想輪郭線との比較結果に基づいて、計器2を分類する。計器分類結果出力部15は、計器2の分類結果を出力する。
【0022】
(画像処理装置による計器の分類処理の概要)
アナログメータのような計器2には、指針が中心を基準に回転する種類と、指針が平行に移動するものがある。指針が回転するタイプの計器2では、表示盤の形状が円形であるものと四角形であるものとがある。
【0023】
図2に代表的な計器の例を示す。図2(A)は丸型計器の例、図2(B)〜(D)は、角型計器の例、図2(E)は、指針移動式計器の例を示している。画像処理装置1は、カメラ3によって撮影された計器2の画像を処理して、計器2の表示盤の輪郭線を抽出し、抽出された輪郭線の形状に基づいて、計器2を分類する。分類する計器2は丸型計器、角型計器、指針移動式計器とする。
【0024】
図3は、計器の分類処理の一例を示す図である。図3に示す処理において、ステップS2における丸型計器判定処理とステップS5における角型計器判定処理の各々は、輪郭線抽出部12、仮想輪郭線作成部13、計器分類部14の処理により行われる。
【0025】
画像処理装置1は、計器2の画像が入力されると(ステップS1)、輪郭線抽出部12、仮想輪郭線作成部13、計器分類部14によって、例えば、入力された画像に係る計器2が丸型計器であるかの判定処理を行う(ステップS2)。計器2が丸型計器であると判定した場合には(ステップS3)、計器2が丸型計器であるという分類結果を出力する(ステップS4)。
【0026】
計器2が丸形計器であると判定されなかった場合には、画像処理装置1は、計器2が角型計器であるかの判定処理を行う(ステップS5)。そして、計器2が角型計器である場合には(ステップS6)、計器2の表示盤の輪郭線によって構成される長方形の縦横比(縦の長さの横の長さに対する比)が予め決められた閾値未満かを判断して(ステップS7)、長方形の縦横比が閾値未満の場合には、角型計器であると判断する(ステップS8)。
【0027】
輪郭線の縦横比が閾値以上の場合には、計器2が指針移動式計器であるという分類結果を出力する(ステップS9)。ステップS6において角型計器であると判定されなかった場合には、分類不能として棄却する(ステップS10)。
【0028】
(丸型計器判定処理の説明)
図4は、丸型計器判定処理フローの一例を示す図である。画像入力部11に、例えば、図5(A)に示すような計器2の画像が入力されると、輪郭線抽出部12は、後述するステップS21〜ステップS23の処理を行って、計器2の表示盤の輪郭線を抽出する。次に、仮想輪郭線作成部13が、後述するステップS24の処理を行って、抽出された輪郭線の画像(輪郭線画像)から最も重なりが大きい円(仮想輪郭線)を作成する。そして、計器分類部14が、後述するステップS25〜ステップS27による判定処理を行って、仮想輪郭線と輪郭線画像との一致度が予め定めた閾値より高い場合に、その計器を丸型計器に分類する。一致度が閾値以下の場合は、角型計器判定処理に進む。
【0029】
なお、本発明の実施の形態においては、後述するステップS25の処理は、計器分類部14の代わりに仮想輪郭線作成部13が行う構成をとることもできる。
【0030】
輪郭線抽出については、まず、例えばSobelフィルタによりエッジを抽出する(ステップS21)。例えば、図5(B)に示すようなエッジ抽出結果が得られる。次に、エッジが抽出された画像に対して2値化処理を行って、エッジの強い部分を切り出す(ステップS22)。例えば、図5(C)に示すような2値化結果が得られる。そして、2値化された画像に対して細線化処理を行って、輪郭線の線幅を1画素にする(ステップS23)。細線化処理を行うのは、線幅が広いと、後述する仮想輪郭線を抽出するときの計算コストが大きくなるからであり、また、位置ずれの原因となるからである。
【0031】
ステップS23の処理の結果、例えば、図5(D)に示すような輪郭線画像が得られる。図中の100は、計器2の表示盤の輪郭線である。
【0032】
次に、輪郭線画像に対して、例えばHough変換により、最も円らしい部分を仮想輪郭線として抽出する(ステップS24)。Hough変換は、直線や円などのパラメータで表現できる図形を検出するのに用いられる一般的な方法である。ここでは、輪郭線画像の線上の各画素から、円の半径と中心の位置からなる3次元パラメータ空間への投票を行い、最も投票数の高かったパラメータの組(半径と中心位置)により円を仮想輪郭線として抽出する。ステップS24の処理の結果、例えば、図5(E)に示すような仮想輪郭線101が得られる。
【0033】
次に、ステップS23により得られた輪郭線画像に対して膨張処理を施す(ステップS25)。膨張処理の結果、例えば、図5(F)に示すような膨張処理結果が得られる。後述するステップS26における一致度の計算の前に、ステップS25において膨張処理を施すのは、輪郭線画像は線幅が一画素のため、円形状の仮想輪郭線101との重なりが小さいことから、輪郭線画像をそのまま用いて仮想輪郭線101との一致度を計算すると、算出された一致度が小さくなってしまうからである。
【0034】
膨張処理をすることにより、撮影角度による微小な歪みやノイズや線の途切れに対してもロバストであるという効果がある。このため、強い照明などにより輪郭線が部分的に欠乏していても、正確に丸型計器と判定できるという利点がある。
【0035】
次に、輪郭線画像に対して膨張処理を施した画像と仮想輪郭線101の画像との一致度(V)を次式により計算する(ステップS26)。
【0036】
V=(SB ∩SC )/SC (1)
ここで、SB は輪郭線画像に対して膨張処理を施した画像の線の領域、SC は仮想輪郭線101としての円を構成する画素の領域を表す。Vの値が予め定めた閾値よりも大であるならば(ステップS27)、丸型計器に分類する。Vの値が閾値以下である場合は、角型計器判定処理に進む。
【0037】
(角型計器判定処理の説明)
図6は、角型計器判定処理フローの一例を示す図である。本発明の実施の形態においては、入力された計器2の画像(原画像)から抽出した表示盤の輪郭線と仮想輪郭線(長方形)との一致度により判定を行う。輪郭線の抽出には直線抽出のHough変換を用いる。
【0038】
例えば、前述した図4に示す丸型計器判定処理の結果、計器2が丸型計器であると判定されない場合には、計器分類部14から輪郭線抽出部12に対して制御信号が送信される。制御信号を受信した輪郭線抽出部12は、計器2の原画像について、図6に示すステップS51〜ステップS55に示す処理を行う。
【0039】
ここで、角型計器固有の問題として、表示盤の輪郭線が細いため、照明などの影響が強い場合には輪郭線を切り出せない場合がある。また、表示盤には、指針などの輪郭線以外の部分も直線を構成しているため、後述する直線抽出の際に輪郭線以外の直線も切り出される可能性がある。そこで、以下に示すように、前処理で背景除去と指針などの輪郭線以外の直線成分を前もって除去しておくようにする。
【0040】
まず輪郭線抽出部12は、原画像に対して、表示盤外部を黒画素で埋める背景除去処理を行う(ステップS51)。例えば、図7(A)または図8(A)に示すような原画像に対して閾値処理(2値化)を行い、計器2の形状を大まかに切り出す。
【0041】
閾値処理によって、例えば図9に示すような画像が得られる。図9に示すように、背景102や表示盤103は白画素、計器2の外枠は黒画素となる。この2値化画像に対して、画像の各行さらに各列で端から内側に向けてラスタスキャンしていき、初めに黒画素が現れるまで白画素を黒画素に変更していく。このような処理を行うことで計器2の画像の外側の背景102を黒画素に変更する。これにより強い照明を受けた場合にも閾値処理により、表示盤103の輪郭線を抽出できる。ステップS51の処理結果の例を図7(B)または図8(B)に示す。以後の処理は、このステップS51の処理で白画素として残った領域である表示盤領域に対して行う。
【0042】
次に、輪郭線抽出部12は、表示盤103の数字や指針など、輪郭線抽出のための直線抽出で取り出されそうなものを除去するために、最大値フィルタにより平滑化処理を行う(ステップS52)。平滑化処理によって、例えば、指針の画像など、表示盤領域内の輝度値の低い画像が取り除かれる。平滑化処理結果の例を図7(C)または図8(C)に示す。
【0043】
次に、原画像の表示盤領域を、例えば図7(D)または図8(D)に示すように2値化する(ステップS53)。そして、図形画素(白画素)の各連結成分の中で面積が最大な領域(最大領域)を選択する(ステップS54)。例えば、図8(D)に示す画像の例では、輝度値の高い白色の領域が数個存在するが、この数個の白色の領域のうち、最大の面積を持つ領域を最大領域として選択する。最大領域選択結果の例を図7(E)または図8(E)に示す。次に、この最大領域の輪郭線を抽出する(ステップS55)。図7(F)または図8(F)に抽出された輪郭線の例を示す。
【0044】
次に、仮想輪郭線作成部13が、ステップS56、ステップS57の処理を通じて、仮想輪郭線の作成処理を行う。すなわち、仮想輪郭線作成部13は、抽出された輪郭線の画像(輪郭線抽出画像)に対して、線幅を広げるために膨張処理を行う(ステップS56)。角型計器の判定処理では、閾値処理により表示盤103を切り出している。そのため、強い照明を受けた場合には、抽出される輪郭線にずれが見られやすく、この位置ずれの影響を抑えるために膨張処理を行った上で、仮想輪郭線を抽出する。
【0045】
膨張処理結果の例を図7(G)または図8(G)に示す。そして、仮想輪郭線作成部13は、膨張処理結果に対して例えばHough変換を施して、表示盤103の形状である四角形を構成する4本の直線を抽出する(ステップS57)。四角形の抽出では、まず、Hough変換により最も投票数の多かった直線を1本抽出し、Hough変換の結果をもとに、この直線に対して平行な直線を1本と垂直な直線を2本抽出する。これらを組み合わせて表示盤103の四角形を構成する輪郭線を仮想輪郭線として抽出する。図7(H)または図8(H)に、抽出された仮想輪郭線の画像の例を示す。
【0046】
そして、計器分類部14が、以下の判定処理を行う。すなわち、ステップS57の処理によって抽出された仮想輪郭線の画像と、膨張処理後の輪郭線抽出画像との一致度を計算し(ステップS58)、算出した一致度が予め定めた閾値より大きい場合は(ステップS59)、ステップS60、ステップS61による分類処理を行う。算出した一致度が閾値以下の場合には、分類不能とする。
【0047】
計器分類部14は、仮想輪郭線によって構成される長方形の縦横比を計算し(ステップ S60)、算出した縦横比が閾値以上の場合は(ステップS61)、指針移動式計器に分類する。縦横比が閾値未満の場合は、角型計器に分類する。
【0048】
例えば、閾値が1である場合、図7(H)に示す仮想輪郭線によって構成される長方形の縦横比は1以下であるため、角型計器に分類される。また、例えば図8(H)に示す仮想輪郭線によって構成される長方形の縦横比は1より大きいため、指針移動式計器に分類される。
【0049】
なお、本発明は、コンピュータにより読み取られ実行されるプログラムとして実施することもできる。本発明を実現するプログラムは、コンピュータが読み取り可能な、可搬媒体メモリ、半導体メモリ、ハードディスクなどの適当な記録媒体に格納することができ、これらの記録媒体に記録して提供され、または、通信インタフェースを介してネットワークを利用した送受信により提供されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の構成の一例を示す図である。
【図2】代表的な計器の例を示す図である。
【図3】計器の分類処理の一例を示す図である。
【図4】丸型計器判定処理フローの一例を示す図である。
【図5】丸型計器判定処理における画像を示す図である。
【図6】角型計器判定処理フローの一例を示す図である。
【図7】角型計器判定処理における画像を示す図である。
【図8】角型計器判定処理における画像を示す図である。
【図9】角型計器判定処理における画像を示す図である。
【図10】一般的なアナログメータ自動読み取りシステムの処理の流れを示す図である。
【符号の説明】
【0051】
1 画像処理装置
2 計器
3 カメラ
11 画像入力部
12 輪郭線抽出部
13 仮想輪郭線作成部
14 計器分類部
15 計器分類結果出力部
100 計器の表示盤の輪郭線
101 仮想輪郭線
102 背景
103 表示盤
【技術分野】
【0001】
本発明は画像処理技術に関し、特に、入力された計器の画像を処理して、計器を分類する画像処理装置および画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アナログメータのような計器は、各種のシステムの計測や監視に広く使用されている。近年、工場の自動化や低コスト化が望まれており、メータによる点検の自動化が図られている。メータによる点検の自動化の方法として、例えば、メータの交換、メータの改造、視認作業の自動化などがある。このうち、メータの交換や改造では、コストがかかることや視認性の劣化、さらには交換期間にシステムを停止しなければならないという重大な問題もある。一方、視認作業の自動化は、カメラや画像入力装置を設置するだけでよく、システムの停止を必要としない。また、メータに接触することがないため、視認性も維持でき、困難な高所や危険区域内の点検も可能であり、一時的な自動監視も容易に行うことができる。このような点で、画像処理によるアナログメータの視認作業の自動化は期待されている。
【0003】
一般的なアナログメータ自動読み取りシステムの処理の流れを図10に示す。設置したカメラで点検対象となるメータを撮影し(ステップS100)、その画像を解析して(ステップS101)、指示値の読み取りを行い、読み取った指示値を出力する(ステップS102)。この点検結果を保存することや、解析することも可能である(ステップS103)。
【0004】
ここで、画像を用いた計器の指示値の読み取りを行う処理の前提の処理として、計器の分類を行うことが必要である。すなわち、計器を、例えば丸型計器、角型計器、指針移動式計器のいずれかに分類することが必要となる。
【0005】
従来のシステムでは、システムの設置時に計器の登録などの初期設定を行ったりするなど、計器の分類に必要な事前情報をシステムに与えている。具体的には、計器の登録による手法では、例えば、計器の型番などの情報を事前に登録して、登録した型番の情報を計器の分類に利用している。また、事前に登録した、計器のテンプレート画像(基準画像)との照合結果に基づいて、計器の分類を行う手法もある。
【0006】
なお、画像認識に関する従来技術の例として、例えば、以下の特許文献1に、2値画像から所定のマークを抽出し、抽出したマークを基準にメータ形状を分類する画像認識方法に関して記載されている。
【特許文献1】特開2001−22433号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、例えば、工場内の膨大な数の計器の分類を行う場合、従来技術のように、システムの設置時に計器の登録などの初期設定を行うのでは、その設定労力が過大となり、コストもかかる。また、登録されていない計器は分類することが出来ない。
【0008】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決し、計器を事前に初期設定することなく、カメラで撮影した計器の画像を処理して、計器を分類する画像処理装置および画像処理方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、画像撮影手段によって撮影された計器の画像を処理して前記計器を分類する画像処理装置であって、前記計器の画像が入力される画像入力手段と、前記画像入力手段に入力された計器の画像からエッジを抽出し、エッジが抽出された画像に対して2値化処理を行い、2値化処理された画像に対して細線化処理を行って、前記計器の表示盤の輪郭線を抽出する輪郭線抽出手段と、前記抽出された輪郭線に基づいて、前記抽出された輪郭線と最も重なりが大きい仮想的な円を仮想輪郭線として作成する仮想輪郭線作成手段と、前記輪郭線抽出手段によって抽出された輪郭線の画像を膨張処理し、膨張処理後の前記輪郭線の画像と、前記仮想輪郭線作成手段によって作成された仮想輪郭線の画像との一致度が、予め定めた閾値より大きい場合に、前記計器を丸型計器に分類する計器分類手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記の画像処理装置において、前記輪郭線抽出手段は、前記計器分類手段によって前記計器が丸型計器に分類されない場合に、前記画像入力手段に入力された計器の画像に対して、前記計器の表示盤領域の外部の画像を黒画素に変更する背景除去処理を行い、背景除去処理後の前記表示盤領域の画像に対して平滑化処理、2値化処理を順次行い、2値化処理された画像中の図形画素(白画素)の各連結成分の中で面積が最大な領域を最大領域として選択し、前記選択された最大領域の輪郭線を、前記計器の表示盤の輪郭線として抽出し、前記仮想輪郭線作成手段は、前記輪郭線抽出手段によって抽出された輪郭線の画像を膨張処理し、膨張処理された前記輪郭線の画像から、前記表示盤の形状である四角形の輪郭線を仮想輪郭線として抽出し、前記計器分類手段は、前記膨張処理後の前記輪郭線の画像と、前記仮想輪郭線作成手段によって作成された、前記表示盤の形状である四角形の輪郭線の画像との一致度が、予め定めた閾値より大きい場合に、前記計器を角型計器に分類することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、前記の画像処理装置において、前記計器分類手段は、前記膨張処理後の前記輪郭線の画像と、前記仮想輪郭線作成手段によって作成された、前記表示盤の形状である四角形の輪郭線の画像との一致度が、予め定めた閾値より大きく、かつ、前記表示盤の形状である四角形の縦の長さの横の長さに対する比が、予め定めた閾値以上の場合に、前記計器を指針移動式計器に分類することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、画像撮影手段によって撮影された計器の画像を処理して前記計器を分類する画像処理方法であって、前記計器の画像を入力する画像入力ステップと、前記入力された計器の画像からエッジを抽出し、エッジが抽出された画像に対して2値化処理を行い、2値化処理された画像に対して細線化処理を行って、前記計器の表示盤の輪郭線を抽出する輪郭線抽出ステップと、前記抽出された輪郭線に基づいて、前記抽出された輪郭線と最も重なりが大きい仮想的な円を仮想輪郭線として作成する仮想輪郭線作成ステップと、前記輪郭線抽出ステップによって抽出された輪郭線の画像を膨張処理し、膨張処理後の前記輪郭線の画像と、前記仮想輪郭線作成ステップによって作成された仮想輪郭線の画像との一致度が、予め定めた閾値より大きい場合に、前記計器を丸型計器に分類する計器分類ステップとを有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、前記の画像処理方法において、前記輪郭線抽出ステップは、前記計器分類ステップによって前記計器が丸型計器に分類されない場合に、前記画像入力ステップにおいて入力された計器の画像に対して、前記計器の表示盤領域の外部の画像を黒画素に変更する背景除去処理を行い、背景除去処理後の前記表示盤領域の画像に対して平滑化処理、2値化処理を順次行い、2値化処理された画像中の図形画素(白画素)の各連結成分の中で面積が最大な領域を最大領域として選択し、前記選択された最大領域の輪郭線を、前記計器の表示盤の輪郭線として抽出し、前記仮想輪郭線作成ステップは、前記輪郭線抽出ステップによって抽出された輪郭線の画像を膨張処理し、膨張処理された前記輪郭線の画像から、前記表示盤の形状である四角形の輪郭線を仮想輪郭線として抽出し、前記計器分類ステップは、前記膨張処理後の前記輪郭線の画像と、前記仮想輪郭線作成ステップによって作成された、前記表示盤の形状である四角形の輪郭線の画像との一致度が、予め定めた閾値より大きい場合に、前記計器を角型計器に分類することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、前記の画像処理方法において、前記計器分類ステップは、前記膨張処理後の前記輪郭線の画像と、前記仮想輪郭線作成ステップによって作成された、前記表示盤の形状である四角形の輪郭線の画像との一致度が、予め定めた閾値より大きく、かつ、前記表示盤の形状である四角形の縦の長さの横の長さに対する比が、予め定めた閾値以上の場合に、前記計器を指針移動式計器に分類することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、計器を事前に初期設定することなく、例えば工場内に設置したカメラで撮影した計器の画像の処理結果に基づいて、計器を自動的に分類することができる。本発明による計器の分類結果は計器の指示値の読み取り処理に利用することができる。
【0016】
従って、本発明によれば、計器による工場内の点検の自動化のためのコストと労力を大幅に下げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、図を用いて、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の構成の一例を示す図である。画像処理装置1は、カメラ3による計器2の撮影画像を処理して、計器2を分類する処理装置である。本発明の画像処理装置1による計器2の分類結果は、図示しない指示値の読み取り装置による、計器2の指示値の読み取りに利用される。
【0018】
画像処理装置1は、画像入力部11、輪郭線抽出部12、仮想輪郭線作成部13、計器分類部14、計器分類結果出力部15を備える。
【0019】
画像入力部11には、カメラ3により撮影された計器2の画像が入力される。輪郭線抽出部12は、入力された画像情報に基づいて、計器2の表示盤の輪郭線を抽出する。なお、輪郭線抽出部12は、例えば、入力された画像(原画像)を保持するバッファーを備える。
【0020】
仮想輪郭線作成部13は、抽出された輪郭線画像に基づいて、抽出された輪郭線画像と最も重なりが大きい仮想的な輪郭線(仮想輪郭線)を作成する。
【0021】
計器分類部14は、輪郭線抽出部12によって抽出された輪郭線画像と仮想輪郭線作成部13によって作成された仮想輪郭線との比較結果に基づいて、計器2を分類する。計器分類結果出力部15は、計器2の分類結果を出力する。
【0022】
(画像処理装置による計器の分類処理の概要)
アナログメータのような計器2には、指針が中心を基準に回転する種類と、指針が平行に移動するものがある。指針が回転するタイプの計器2では、表示盤の形状が円形であるものと四角形であるものとがある。
【0023】
図2に代表的な計器の例を示す。図2(A)は丸型計器の例、図2(B)〜(D)は、角型計器の例、図2(E)は、指針移動式計器の例を示している。画像処理装置1は、カメラ3によって撮影された計器2の画像を処理して、計器2の表示盤の輪郭線を抽出し、抽出された輪郭線の形状に基づいて、計器2を分類する。分類する計器2は丸型計器、角型計器、指針移動式計器とする。
【0024】
図3は、計器の分類処理の一例を示す図である。図3に示す処理において、ステップS2における丸型計器判定処理とステップS5における角型計器判定処理の各々は、輪郭線抽出部12、仮想輪郭線作成部13、計器分類部14の処理により行われる。
【0025】
画像処理装置1は、計器2の画像が入力されると(ステップS1)、輪郭線抽出部12、仮想輪郭線作成部13、計器分類部14によって、例えば、入力された画像に係る計器2が丸型計器であるかの判定処理を行う(ステップS2)。計器2が丸型計器であると判定した場合には(ステップS3)、計器2が丸型計器であるという分類結果を出力する(ステップS4)。
【0026】
計器2が丸形計器であると判定されなかった場合には、画像処理装置1は、計器2が角型計器であるかの判定処理を行う(ステップS5)。そして、計器2が角型計器である場合には(ステップS6)、計器2の表示盤の輪郭線によって構成される長方形の縦横比(縦の長さの横の長さに対する比)が予め決められた閾値未満かを判断して(ステップS7)、長方形の縦横比が閾値未満の場合には、角型計器であると判断する(ステップS8)。
【0027】
輪郭線の縦横比が閾値以上の場合には、計器2が指針移動式計器であるという分類結果を出力する(ステップS9)。ステップS6において角型計器であると判定されなかった場合には、分類不能として棄却する(ステップS10)。
【0028】
(丸型計器判定処理の説明)
図4は、丸型計器判定処理フローの一例を示す図である。画像入力部11に、例えば、図5(A)に示すような計器2の画像が入力されると、輪郭線抽出部12は、後述するステップS21〜ステップS23の処理を行って、計器2の表示盤の輪郭線を抽出する。次に、仮想輪郭線作成部13が、後述するステップS24の処理を行って、抽出された輪郭線の画像(輪郭線画像)から最も重なりが大きい円(仮想輪郭線)を作成する。そして、計器分類部14が、後述するステップS25〜ステップS27による判定処理を行って、仮想輪郭線と輪郭線画像との一致度が予め定めた閾値より高い場合に、その計器を丸型計器に分類する。一致度が閾値以下の場合は、角型計器判定処理に進む。
【0029】
なお、本発明の実施の形態においては、後述するステップS25の処理は、計器分類部14の代わりに仮想輪郭線作成部13が行う構成をとることもできる。
【0030】
輪郭線抽出については、まず、例えばSobelフィルタによりエッジを抽出する(ステップS21)。例えば、図5(B)に示すようなエッジ抽出結果が得られる。次に、エッジが抽出された画像に対して2値化処理を行って、エッジの強い部分を切り出す(ステップS22)。例えば、図5(C)に示すような2値化結果が得られる。そして、2値化された画像に対して細線化処理を行って、輪郭線の線幅を1画素にする(ステップS23)。細線化処理を行うのは、線幅が広いと、後述する仮想輪郭線を抽出するときの計算コストが大きくなるからであり、また、位置ずれの原因となるからである。
【0031】
ステップS23の処理の結果、例えば、図5(D)に示すような輪郭線画像が得られる。図中の100は、計器2の表示盤の輪郭線である。
【0032】
次に、輪郭線画像に対して、例えばHough変換により、最も円らしい部分を仮想輪郭線として抽出する(ステップS24)。Hough変換は、直線や円などのパラメータで表現できる図形を検出するのに用いられる一般的な方法である。ここでは、輪郭線画像の線上の各画素から、円の半径と中心の位置からなる3次元パラメータ空間への投票を行い、最も投票数の高かったパラメータの組(半径と中心位置)により円を仮想輪郭線として抽出する。ステップS24の処理の結果、例えば、図5(E)に示すような仮想輪郭線101が得られる。
【0033】
次に、ステップS23により得られた輪郭線画像に対して膨張処理を施す(ステップS25)。膨張処理の結果、例えば、図5(F)に示すような膨張処理結果が得られる。後述するステップS26における一致度の計算の前に、ステップS25において膨張処理を施すのは、輪郭線画像は線幅が一画素のため、円形状の仮想輪郭線101との重なりが小さいことから、輪郭線画像をそのまま用いて仮想輪郭線101との一致度を計算すると、算出された一致度が小さくなってしまうからである。
【0034】
膨張処理をすることにより、撮影角度による微小な歪みやノイズや線の途切れに対してもロバストであるという効果がある。このため、強い照明などにより輪郭線が部分的に欠乏していても、正確に丸型計器と判定できるという利点がある。
【0035】
次に、輪郭線画像に対して膨張処理を施した画像と仮想輪郭線101の画像との一致度(V)を次式により計算する(ステップS26)。
【0036】
V=(SB ∩SC )/SC (1)
ここで、SB は輪郭線画像に対して膨張処理を施した画像の線の領域、SC は仮想輪郭線101としての円を構成する画素の領域を表す。Vの値が予め定めた閾値よりも大であるならば(ステップS27)、丸型計器に分類する。Vの値が閾値以下である場合は、角型計器判定処理に進む。
【0037】
(角型計器判定処理の説明)
図6は、角型計器判定処理フローの一例を示す図である。本発明の実施の形態においては、入力された計器2の画像(原画像)から抽出した表示盤の輪郭線と仮想輪郭線(長方形)との一致度により判定を行う。輪郭線の抽出には直線抽出のHough変換を用いる。
【0038】
例えば、前述した図4に示す丸型計器判定処理の結果、計器2が丸型計器であると判定されない場合には、計器分類部14から輪郭線抽出部12に対して制御信号が送信される。制御信号を受信した輪郭線抽出部12は、計器2の原画像について、図6に示すステップS51〜ステップS55に示す処理を行う。
【0039】
ここで、角型計器固有の問題として、表示盤の輪郭線が細いため、照明などの影響が強い場合には輪郭線を切り出せない場合がある。また、表示盤には、指針などの輪郭線以外の部分も直線を構成しているため、後述する直線抽出の際に輪郭線以外の直線も切り出される可能性がある。そこで、以下に示すように、前処理で背景除去と指針などの輪郭線以外の直線成分を前もって除去しておくようにする。
【0040】
まず輪郭線抽出部12は、原画像に対して、表示盤外部を黒画素で埋める背景除去処理を行う(ステップS51)。例えば、図7(A)または図8(A)に示すような原画像に対して閾値処理(2値化)を行い、計器2の形状を大まかに切り出す。
【0041】
閾値処理によって、例えば図9に示すような画像が得られる。図9に示すように、背景102や表示盤103は白画素、計器2の外枠は黒画素となる。この2値化画像に対して、画像の各行さらに各列で端から内側に向けてラスタスキャンしていき、初めに黒画素が現れるまで白画素を黒画素に変更していく。このような処理を行うことで計器2の画像の外側の背景102を黒画素に変更する。これにより強い照明を受けた場合にも閾値処理により、表示盤103の輪郭線を抽出できる。ステップS51の処理結果の例を図7(B)または図8(B)に示す。以後の処理は、このステップS51の処理で白画素として残った領域である表示盤領域に対して行う。
【0042】
次に、輪郭線抽出部12は、表示盤103の数字や指針など、輪郭線抽出のための直線抽出で取り出されそうなものを除去するために、最大値フィルタにより平滑化処理を行う(ステップS52)。平滑化処理によって、例えば、指針の画像など、表示盤領域内の輝度値の低い画像が取り除かれる。平滑化処理結果の例を図7(C)または図8(C)に示す。
【0043】
次に、原画像の表示盤領域を、例えば図7(D)または図8(D)に示すように2値化する(ステップS53)。そして、図形画素(白画素)の各連結成分の中で面積が最大な領域(最大領域)を選択する(ステップS54)。例えば、図8(D)に示す画像の例では、輝度値の高い白色の領域が数個存在するが、この数個の白色の領域のうち、最大の面積を持つ領域を最大領域として選択する。最大領域選択結果の例を図7(E)または図8(E)に示す。次に、この最大領域の輪郭線を抽出する(ステップS55)。図7(F)または図8(F)に抽出された輪郭線の例を示す。
【0044】
次に、仮想輪郭線作成部13が、ステップS56、ステップS57の処理を通じて、仮想輪郭線の作成処理を行う。すなわち、仮想輪郭線作成部13は、抽出された輪郭線の画像(輪郭線抽出画像)に対して、線幅を広げるために膨張処理を行う(ステップS56)。角型計器の判定処理では、閾値処理により表示盤103を切り出している。そのため、強い照明を受けた場合には、抽出される輪郭線にずれが見られやすく、この位置ずれの影響を抑えるために膨張処理を行った上で、仮想輪郭線を抽出する。
【0045】
膨張処理結果の例を図7(G)または図8(G)に示す。そして、仮想輪郭線作成部13は、膨張処理結果に対して例えばHough変換を施して、表示盤103の形状である四角形を構成する4本の直線を抽出する(ステップS57)。四角形の抽出では、まず、Hough変換により最も投票数の多かった直線を1本抽出し、Hough変換の結果をもとに、この直線に対して平行な直線を1本と垂直な直線を2本抽出する。これらを組み合わせて表示盤103の四角形を構成する輪郭線を仮想輪郭線として抽出する。図7(H)または図8(H)に、抽出された仮想輪郭線の画像の例を示す。
【0046】
そして、計器分類部14が、以下の判定処理を行う。すなわち、ステップS57の処理によって抽出された仮想輪郭線の画像と、膨張処理後の輪郭線抽出画像との一致度を計算し(ステップS58)、算出した一致度が予め定めた閾値より大きい場合は(ステップS59)、ステップS60、ステップS61による分類処理を行う。算出した一致度が閾値以下の場合には、分類不能とする。
【0047】
計器分類部14は、仮想輪郭線によって構成される長方形の縦横比を計算し(ステップ S60)、算出した縦横比が閾値以上の場合は(ステップS61)、指針移動式計器に分類する。縦横比が閾値未満の場合は、角型計器に分類する。
【0048】
例えば、閾値が1である場合、図7(H)に示す仮想輪郭線によって構成される長方形の縦横比は1以下であるため、角型計器に分類される。また、例えば図8(H)に示す仮想輪郭線によって構成される長方形の縦横比は1より大きいため、指針移動式計器に分類される。
【0049】
なお、本発明は、コンピュータにより読み取られ実行されるプログラムとして実施することもできる。本発明を実現するプログラムは、コンピュータが読み取り可能な、可搬媒体メモリ、半導体メモリ、ハードディスクなどの適当な記録媒体に格納することができ、これらの記録媒体に記録して提供され、または、通信インタフェースを介してネットワークを利用した送受信により提供されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の構成の一例を示す図である。
【図2】代表的な計器の例を示す図である。
【図3】計器の分類処理の一例を示す図である。
【図4】丸型計器判定処理フローの一例を示す図である。
【図5】丸型計器判定処理における画像を示す図である。
【図6】角型計器判定処理フローの一例を示す図である。
【図7】角型計器判定処理における画像を示す図である。
【図8】角型計器判定処理における画像を示す図である。
【図9】角型計器判定処理における画像を示す図である。
【図10】一般的なアナログメータ自動読み取りシステムの処理の流れを示す図である。
【符号の説明】
【0051】
1 画像処理装置
2 計器
3 カメラ
11 画像入力部
12 輪郭線抽出部
13 仮想輪郭線作成部
14 計器分類部
15 計器分類結果出力部
100 計器の表示盤の輪郭線
101 仮想輪郭線
102 背景
103 表示盤
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像撮影手段によって撮影された計器の画像を処理して前記計器を分類する画像処理装置であって、
前記計器の画像が入力される画像入力手段と、
前記画像入力手段に入力された計器の画像からエッジを抽出し、エッジが抽出された画像に対して2値化処理を行い、2値化処理された画像に対して細線化処理を行って、前記計器の表示盤の輪郭線を抽出する輪郭線抽出手段と、
前記抽出された輪郭線に基づいて、前記抽出された輪郭線と最も重なりが大きい仮想的な円を仮想輪郭線として作成する仮想輪郭線作成手段と、
前記輪郭線抽出手段によって抽出された輪郭線の画像を膨張処理し、膨張処理後の前記輪郭線の画像と、前記仮想輪郭線作成手段によって作成された仮想輪郭線の画像との一致度が、予め定めた閾値より大きい場合に、前記計器を丸型計器に分類する計器分類手段とを備える
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記輪郭線抽出手段は、前記計器分類手段によって前記計器が丸型計器に分類されない場合に、前記画像入力手段に入力された計器の画像に対して、前記計器の表示盤領域の外部の画像を黒画素に変更する背景除去処理を行い、背景除去処理後の前記表示盤領域の画像に対して平滑化処理、2値化処理を順次行い、2値化処理された画像中の図形画素(白画素)の各連結成分の中で面積が最大な領域を最大領域として選択し、前記選択された最大領域の輪郭線を、前記計器の表示盤の輪郭線として抽出し、
前記仮想輪郭線作成手段は、前記輪郭線抽出手段によって抽出された輪郭線の画像を膨張処理し、膨張処理された前記輪郭線の画像から、前記表示盤の形状である四角形の輪郭線を仮想輪郭線として抽出し、
前記計器分類手段は、前記膨張処理後の前記輪郭線の画像と、前記仮想輪郭線作成手段によって作成された、前記表示盤の形状である四角形の輪郭線の画像との一致度が、予め定めた閾値より大きい場合に、前記計器を角型計器に分類する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像処理装置において、
前記計器分類手段は、前記膨張処理後の前記輪郭線の画像と、前記仮想輪郭線作成手段によって作成された、前記表示盤の形状である四角形の輪郭線の画像との一致度が、予め定めた閾値より大きく、かつ、前記表示盤の形状である四角形の縦の長さの横の長さに対する比が、予め定めた閾値以上の場合に、前記計器を指針移動式計器に分類する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
画像撮影手段によって撮影された計器の画像を処理して前記計器を分類する画像処理方法であって、
前記計器の画像を入力する画像入力ステップと、
前記入力された計器の画像からエッジを抽出し、エッジが抽出された画像に対して2値化処理を行い、2値化処理された画像に対して細線化処理を行って、前記計器の表示盤の輪郭線を抽出する輪郭線抽出ステップと、
前記抽出された輪郭線に基づいて、前記抽出された輪郭線と最も重なりが大きい仮想的な円を仮想輪郭線として作成する仮想輪郭線作成ステップと、
前記輪郭線抽出ステップによって抽出された輪郭線の画像を膨張処理し、膨張処理後の前記輪郭線の画像と、前記仮想輪郭線作成ステップによって作成された仮想輪郭線の画像との一致度が、予め定めた閾値より大きい場合に、前記計器を丸型計器に分類する計器分類ステップとを有する
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項5】
請求項4に記載の画像処理方法において、
前記輪郭線抽出ステップは、前記計器分類ステップによって前記計器が丸型計器に分類されない場合に、前記画像入力ステップにおいて入力された計器の画像に対して、前記計器の表示盤領域の外部の画像を黒画素に変更する背景除去処理を行い、背景除去処理後の前記表示盤領域の画像に対して平滑化処理、2値化処理を順次行い、2値化処理された画像中の図形画素(白画素)の各連結成分の中で面積が最大な領域を最大領域として選択し、前記選択された最大領域の輪郭線を、前記計器の表示盤の輪郭線として抽出し、
前記仮想輪郭線作成ステップは、前記輪郭線抽出ステップによって抽出された輪郭線の画像を膨張処理し、膨張処理された前記輪郭線の画像から、前記表示盤の形状である四角形の輪郭線を仮想輪郭線として抽出し、
前記計器分類ステップは、前記膨張処理後の前記輪郭線の画像と、前記仮想輪郭線作成ステップによって作成された、前記表示盤の形状である四角形の輪郭線の画像との一致度が、予め定めた閾値より大きい場合に、前記計器を角型計器に分類する
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項6】
請求項5に記載の画像処理方法において、
前記計器分類ステップは、前記膨張処理後の前記輪郭線の画像と、前記仮想輪郭線作成ステップによって作成された、前記表示盤の形状である四角形の輪郭線の画像との一致度が、予め定めた閾値より大きく、かつ、前記表示盤の形状である四角形の縦の長さの横の長さに対する比が、予め定めた閾値以上の場合に、前記計器を指針移動式計器に分類する
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項1】
画像撮影手段によって撮影された計器の画像を処理して前記計器を分類する画像処理装置であって、
前記計器の画像が入力される画像入力手段と、
前記画像入力手段に入力された計器の画像からエッジを抽出し、エッジが抽出された画像に対して2値化処理を行い、2値化処理された画像に対して細線化処理を行って、前記計器の表示盤の輪郭線を抽出する輪郭線抽出手段と、
前記抽出された輪郭線に基づいて、前記抽出された輪郭線と最も重なりが大きい仮想的な円を仮想輪郭線として作成する仮想輪郭線作成手段と、
前記輪郭線抽出手段によって抽出された輪郭線の画像を膨張処理し、膨張処理後の前記輪郭線の画像と、前記仮想輪郭線作成手段によって作成された仮想輪郭線の画像との一致度が、予め定めた閾値より大きい場合に、前記計器を丸型計器に分類する計器分類手段とを備える
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記輪郭線抽出手段は、前記計器分類手段によって前記計器が丸型計器に分類されない場合に、前記画像入力手段に入力された計器の画像に対して、前記計器の表示盤領域の外部の画像を黒画素に変更する背景除去処理を行い、背景除去処理後の前記表示盤領域の画像に対して平滑化処理、2値化処理を順次行い、2値化処理された画像中の図形画素(白画素)の各連結成分の中で面積が最大な領域を最大領域として選択し、前記選択された最大領域の輪郭線を、前記計器の表示盤の輪郭線として抽出し、
前記仮想輪郭線作成手段は、前記輪郭線抽出手段によって抽出された輪郭線の画像を膨張処理し、膨張処理された前記輪郭線の画像から、前記表示盤の形状である四角形の輪郭線を仮想輪郭線として抽出し、
前記計器分類手段は、前記膨張処理後の前記輪郭線の画像と、前記仮想輪郭線作成手段によって作成された、前記表示盤の形状である四角形の輪郭線の画像との一致度が、予め定めた閾値より大きい場合に、前記計器を角型計器に分類する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像処理装置において、
前記計器分類手段は、前記膨張処理後の前記輪郭線の画像と、前記仮想輪郭線作成手段によって作成された、前記表示盤の形状である四角形の輪郭線の画像との一致度が、予め定めた閾値より大きく、かつ、前記表示盤の形状である四角形の縦の長さの横の長さに対する比が、予め定めた閾値以上の場合に、前記計器を指針移動式計器に分類する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
画像撮影手段によって撮影された計器の画像を処理して前記計器を分類する画像処理方法であって、
前記計器の画像を入力する画像入力ステップと、
前記入力された計器の画像からエッジを抽出し、エッジが抽出された画像に対して2値化処理を行い、2値化処理された画像に対して細線化処理を行って、前記計器の表示盤の輪郭線を抽出する輪郭線抽出ステップと、
前記抽出された輪郭線に基づいて、前記抽出された輪郭線と最も重なりが大きい仮想的な円を仮想輪郭線として作成する仮想輪郭線作成ステップと、
前記輪郭線抽出ステップによって抽出された輪郭線の画像を膨張処理し、膨張処理後の前記輪郭線の画像と、前記仮想輪郭線作成ステップによって作成された仮想輪郭線の画像との一致度が、予め定めた閾値より大きい場合に、前記計器を丸型計器に分類する計器分類ステップとを有する
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項5】
請求項4に記載の画像処理方法において、
前記輪郭線抽出ステップは、前記計器分類ステップによって前記計器が丸型計器に分類されない場合に、前記画像入力ステップにおいて入力された計器の画像に対して、前記計器の表示盤領域の外部の画像を黒画素に変更する背景除去処理を行い、背景除去処理後の前記表示盤領域の画像に対して平滑化処理、2値化処理を順次行い、2値化処理された画像中の図形画素(白画素)の各連結成分の中で面積が最大な領域を最大領域として選択し、前記選択された最大領域の輪郭線を、前記計器の表示盤の輪郭線として抽出し、
前記仮想輪郭線作成ステップは、前記輪郭線抽出ステップによって抽出された輪郭線の画像を膨張処理し、膨張処理された前記輪郭線の画像から、前記表示盤の形状である四角形の輪郭線を仮想輪郭線として抽出し、
前記計器分類ステップは、前記膨張処理後の前記輪郭線の画像と、前記仮想輪郭線作成ステップによって作成された、前記表示盤の形状である四角形の輪郭線の画像との一致度が、予め定めた閾値より大きい場合に、前記計器を角型計器に分類する
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項6】
請求項5に記載の画像処理方法において、
前記計器分類ステップは、前記膨張処理後の前記輪郭線の画像と、前記仮想輪郭線作成ステップによって作成された、前記表示盤の形状である四角形の輪郭線の画像との一致度が、予め定めた閾値より大きく、かつ、前記表示盤の形状である四角形の縦の長さの横の長さに対する比が、予め定めた閾値以上の場合に、前記計器を指針移動式計器に分類する
ことを特徴とする画像処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2007−114827(P2007−114827A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−302616(P2005−302616)
【出願日】平成17年10月18日(2005.10.18)
【特許番号】特許第3799407号(P3799407)
【特許公報発行日】平成18年7月19日(2006.7.19)
【出願人】(304020177)国立大学法人山口大学 (579)
【出願人】(000211293)中国電機製造株式会社 (69)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月18日(2005.10.18)
【特許番号】特許第3799407号(P3799407)
【特許公報発行日】平成18年7月19日(2006.7.19)
【出願人】(304020177)国立大学法人山口大学 (579)
【出願人】(000211293)中国電機製造株式会社 (69)
【Fターム(参考)】
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