説明

画像処理装置及びプログラム

【課題】画像処理機能部に供給される電力を使用せずに所定の情報をユーザに通知することが可能な画像処理装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】画像処理装置4は、装置内の電源である主電源41と、電力の供給及び中止を切り替える電源スイッチ42と、スキャナ等で構成される画像読取部43と、プリンタ等で構成される画像形成部44と、各種情報の表示やユーザ(指示者)からの指示入力の受付を行う操作パネル45と、予め定められた処理プログラムに従って画像処理を行う画像処理部46と、予め定められた処理プログラムに従ってUIを制御するUI制御部47と、を備えている。画像読取部43、画像形成部44及び画像処理部46は、主電源41から給電され、操作パネル45及びUI制御部47は、ハブ3から電力線を通じて給電される。電源スイッチ42は、UI制御部47により入り切りされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、プリンタや複写機等の画像処理装置は、短時間に画像処理を行うための高速データ処理可能なCPUや、入出力画像を高画質化するための大規模な画像処理回路を持っている。しかしながら、このようなCPUや画像処理回路は消費電力が大きいため、消費電力を抑えるための省電力モード中は、CPUや画像処理回路への電源をオフにしている。また、省電力モード中は、スキャナ等の画像読取部、プリンタ等の画像形成部、操作パネルの表示もオフにし、省電力モードからの復帰を促す事象である復帰トリガの検出に必要な部分だけに通電することで、電力を低減している。ここで、復帰トリガとしては、ネットワークやUSB(Universal Serial Bus)からのパケット受信、指定した時刻の到来、操作パネル上でのスイッチの押下等がある。
【0003】
通常、省電力モード中の装置は、例えばネットワークからパケットの受信があると、それを復帰トリガとして、CPUへの通電を開始し、CPUを復帰させた後、受信パケットを解析する。そして、印刷を要求するような内容でなければ受信パケットに対する応答パケットの返送等を行う。その後、一定時間復帰トリガを監視し、復帰トリガが検出されなければ省電力モードへ移行する。
また、復帰トリガとして、印刷を要求するような情報、例えば操作パネル上でのコピー指示を受け取った場合は、CPUへの通電を開始し、CPUを復帰させた後、出力画像処理回路や画像形成部等の印字に必要な部分に通電を開始する。そして同時に操作パネルに画面を表示し、印字可能となったタイミングでコピー出力する。
【0004】
従来から、省電力モードでの表示に関する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、利用者に対する情報表示用のフラットパネルディスプレイを備えた操作部を有する画像形成装置が開示されている。すなわち、特許文献1に開示されている画像形成装置は、フラットパネルディスプレイとして、表示データを転送した後、駆動電源を遮断しても表示内容を保持する表示メモリ効果を有するデバイスを適用したことを特徴とするものである。
【0005】
【特許文献1】特開2006−256182号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、画像処理装置は、所定の情報をユーザに通知するために画像表示部や音出力部を備えている。これらの画像表示部や音出力部は、画像処理機能部に供給される電力を使用して動作する。したがって、画像処理機能部に電力が供給されていない状態では、画像表示部や音出力部を動作させることができない。
【0007】
本発明は、画像処理機能部に供給される電力を使用せずに所定の情報をユーザに通知することが可能な画像処理装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、商用電源から電力の供給を受けて所定の電圧の電力を出力する電力出力手段と、前記電力出力手段により出力される電力を使用して所定の画像情報に基づき画像処理を行う画像処理手段と、前記電力出力手段から出力される電力の供給を受けない場合であっても装置外部から電力の供給を受けて動作し、所定の情報をユーザに通知する通知手段と、を含む画像処理装置である。
請求項2に記載の発明は、装置外部から電力の供給を受けて前記電力出力手段を入り切りする入り切り手段を更に含み、前記通知手段は、ユーザへの通知を画像の表示により行うものであり、かつ、前記入り切り手段により前記電力出力手段が切られた際と当該入り切り手段により当該電力出力手段が入れられた際とで互いに異なる画像を表示することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置である。
請求項3に記載の発明は、前記入り切り手段により前記電力出力手段が切られた際に前記通知手段により表示される画像を外部から取得する取得手段を更に含むことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置である。
請求項4に記載の発明は、前記取得手段は、前記入り切り手段により前記電力出力手段が切られたときに前記画像を外部から取得することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置である。
請求項5に記載の発明は、前記通知手段は、装置本体と離間して設置可能であり、かつ、当該装置本体と通信線によって接続されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の画像処理装置である。
請求項6に記載の発明は、前記装置外部からの電力は、通信線及び電力線によって接続される装置から当該電力線を介して送られる電力であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の画像処理装置である。
【0009】
請求項7に記載の発明は、商用電源から電力の供給を受けて所定の電圧の電力を出力する電力出力手段を含む画像処理装置が備えるコンピュータに、前記電力出力手段により出力される電力を使用して所定の画像情報に基づき画像処理を行う画像処理機能と、前記電力出力手段から出力される電力の供給を受けない場合であっても装置外部から電力の供給を受けて動作し、所定の情報をユーザに通知する通知機能と、を実現させるプログラムである。
請求項8に記載の発明は、装置外部から電力の供給を受けて前記電力出力手段を入り切りする入り切り機能を更に実現させ、前記通知機能は、ユーザへの通知を画像の表示により行うものであり、かつ、前記入り切り機能により前記電力出力手段が切られた際と当該入り切り機能により当該電力出力手段が入れられた際とで互いに異なる画像を表示することを特徴とする請求項7に記載のプログラムである。
請求項9に記載の発明は、前記入り切り機能により前記電力出力手段が切られた際に前記通知機能により表示される画像を外部から取得する取得機能を更に実現させることを特徴とする請求項8に記載のプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1によれば、電力出力手段から出力される電力を使用せずに所定の情報をユーザに通知することが可能になる。
請求項2によれば、画像処理手段が電力出力手段により出力される電力を使用しない状態では、電力を使用する状態の表示画像と異なる表示画像を表示することが可能になる。
請求項3によれば、表示する画像のデータを予め記憶しておかなくても済み、本発明を適用しない場合に比べて構成を簡略化することが可能になる。
請求項4によれば、表示する画像のデータを予め記憶しておかなくても済み、本発明を適用しない場合に比べて構成を簡略化することが可能になる。
請求項5によれば、本発明を適用しない場合に比べ、通知手段の設置場所を設定する自由度を高めることが可能になる。
請求項6によれば、所定の電力線から送られる電力の供給を受けて所定の情報をユーザに通知することが可能になる。
請求項7によれば、電力出力手段から出力される電力を使用せずに所定の情報をユーザに通知することが可能になる。
請求項8によれば、画像処理手段が電力出力手段により出力される電力を使用しない状態では、電力を使用する状態の表示画像と異なる表示画像を表示することが可能になる。
請求項9によれば、表示する画像のデータを予め記憶しておかなくても済み、本発明を適用しない場合に比べて構成を簡略化することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
まず、本実施の形態が適用される通信システムについて説明する。
図1は、そのような通信システム1の構成例を示す図である。同図に示すように、通信システム1は、例えばユーザの作業スペース(例えば、デスク)等に設置された端末装置2と、端末装置2にて生成等された画像データに基づいて画像処理を行う画像処理装置4A〜4C(以下、代表して「画像処理装置4」ともいう)とが、ハブ3を中継して、通信回線やケーブルを利用したLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット等のネットワーク5を介して双方向に通信可能に接続されて構成されている。
なお、通信回線としては、電話回線や衛星通信回線(例えば、デジタル衛星放送における空間伝送路)を含んでもよい。ここで、本実施の形態が適用される通信システム1では、ネットワーク5上に複数の端末装置2と複数の画像処理装置4とが接続可能であるが、図1に示した構成では、一例として、それぞれ1台の端末装置2と3台の画像処理装置4A〜4Cとが接続されている場合を示している。
【0012】
端末装置2は、文書や図形、写真等からなる画像データを作成したり保存したりする機能等を有している。そして、端末装置2は、作成された画像データや保存された画像データ等を印刷する際には、画像データ等を画像処理装置4に対する印刷命令に変換して、印刷ジョブとしての印刷データを生成する。この印刷データは、画像データに加えて、各種印刷機能の設定や印刷を行う画像処理装置4の指定等を行うための属性データを含んで構成される。ここで、端末装置2としては例えばパーソナルコンピュータ(PC)が用いられる。
【0013】
ハブ3は、端末装置2にて生成等された画像データを端末装置2で指定された画像処理装置4に分配する機能を有している。また、本実施の形態では、画像処理装置4に対し、ネットワーク5を介して電力の供給も行う。なお、ハブ3の詳細な機能構成については後述する。
画像処理装置4は、例えば、プリント機能、ファクシミリ機能、複写機能、スキャナ機能等を複合的に備えた多機能機である。例えば端末装置2にて生成等された画像データの印刷やファクシミリ送信、ファクシミリ受信した画像データの印刷、スキャナ入力された画像の印刷や保存等を行う。また、本実施の形態では、ハブ3から、ネットワーク5から電力線を介して電力の供給を受ける。なお、画像処理装置4の詳細な機能構成についても後述する。
【0014】
次に、ハブ3の機能構成について詳細に説明する。
図2は、ハブ3の機能構成例を示したブロック図である。同図に示すように、ハブ3は、複数の入力ポート31A,31B(以下、代表して「入力ポート31」ともいう)、スイッチング部32、ハブ制御部33、複数の出力ポート34A,34B,34C,34D,34E(以下、代表して「出力ポート34」ともいう)、アドレス管理テーブル記憶部35、バッファメモリ36、内部電源37を備えている。なお、図2では、データ信号や制御信号等といった信号を伝送する信号線を破線で示し、各機能部に電力を供給するための電力線を実線で示している。
入力ポート31A,31Bは、例えばLANケーブル等の信号ケーブル(通信線)を通してネットワーク5と接続される。そして、端末装置2からの印刷データを受け付け、受け付けた印刷データをスイッチング部32を介してハブ制御部33に送信する。
スイッチング部32は、入力ポート31にて受け付けた印刷データをハブ制御部33に送信する。また、ハブ制御部33による制御の下で、印刷データにおいて指示された画像処理装置4が接続されている出力ポート34に印刷データを送信する。
また、内部電源37は、商用電源から供給される100Vを例えば5Vに変換して、出力ポート34A〜34Eに供給する。また、不図示の電力線により、ハブ3内の各機能部に駆動電力を供給する。
【0015】
ハブ制御部33は、入力ポート31にて受け付けた印刷データをスイッチング部32を介して取得する。そして、印刷データをバッファメモリ36に記憶する。また、ハブ制御部33は、取得した印刷データを解析して、印刷データの振り分け先である出力ポート34を決定する。そして、スイッチング部32に対して、出力ポート34の設定指示を行い、スイッチング部32は、振り分け先の出力ポート34を設定する。そして、ハブ制御部33は、スイッチング部32を介して、設定された出力ポート34に対してバッファメモリ36に記憶された印刷データを送信する。
【0016】
ここで、ハブ制御部33は、出力ポート34の振り分けを、例えばイーサネット(登録商標)のMACアドレスに基づいて行う。すなわち、アドレス管理テーブル記憶部35には、MACアドレスと出力ポート34との対応関係を示すアドレス管理テーブルが記憶され、どのMACアドレスの画像処理装置4がどの出力ポート34上に接続されているかが管理されている。そして、ハブ制御部33は、アドレス管理テーブル記憶部35のアドレス管理テーブルを参照して、受信した印刷データの先頭にあるMACアドレスに基づいて振り分け先である出力ポート34を決定する。アドレス管理テーブルは、印刷データを受信した際に、その印刷データを受け付けた入力ポート31とその印刷データに含まれている送信元である端末装置2のMACアドレスとを元にして、自動的に作成される。また、通信システム1の管理者が特定の出力ポート34と特定のMACアドレスとの対応関係をアドレス管理テーブルに追加するようにしてもよい。まだアドレス管理テーブル上に正しいエントリが登録されていなければ、受信した印刷データは全ての出力ポート34(34A〜34E)へ送信されるが、一度でも印刷データを受信すると、自動的にMACアドレスを学習し、アドレス管理テーブルを更新する。
【0017】
また、ハブ制御部33は、出力ポート34A〜34Eのそれぞれが、特定の規格(例えば、IEEE802.3af)に準拠した受電機能を備えた画像処理装置4に接続されているか否かを判定する。すなわち、出力ポート34A〜34Eに接続された画像処理装置4に備えられたデータ信号及び電力を同時に受信するネットワークインターフェイス(以下、「ネットワークI/F」という)が、特定の規格(例えば、IEEE802.3af)に準拠したものであるか否かを判定する。そして、後述するように、特定の規格に準拠したネットワークI/Fを備えた画像処理装置4に接続されていると判定した場合に、内部電源37からの電力を出力ポート34を介して画像処理装置4に供給するように制御する。
【0018】
ここで、ハブ制御部33は、特定の規格に準拠したネットワークI/Fを備えた画像処理装置4に接続されているか否かの判定を、次のように行う。すなわち、例えば画像処理装置4が接続された出力ポート34から画像処理装置4に対して所定値の電圧を供給し、その際に流れる電流値を検出する。そして、供給した電圧値と検出された電流値とに基づいて、画像処理装置4のネットワークI/Fが所定の大きさの抵抗値(例えば、25kΩ)を有しているか否かを調べる。その結果、画像処理装置4のネットワークI/Fが所定の大きさの抵抗値を有している場合には、ハブ制御部33は、その出力ポート34が特定の規格に準拠したネットワークI/Fを備えた画像処理装置4に接続されていると判定する。
そして、ハブ制御部33は、特定の規格に準拠したネットワークI/Fを備えた画像処理装置4に接続されている出力ポート34から、かかる画像処理装置4に対して内部電源37からの電力を供給するように制御する。
【0019】
出力ポート34A〜34Eは、例えばLANケーブル等の信号ケーブル(通信線)を介して画像処理装置4と接続される。そして、上記したハブ制御部33による制御の下で、入力ポート31にて受け付けた印刷データを画像処理装置4に送信する。
また、出力ポート34A〜34Eは、ハブ制御部33により特定の規格に準拠したネットワークI/Fを備えた画像処理装置4に接続されていると判定された場合に、内部電源37からの例えば5Vの電力を出力ポート34を介して画像処理装置4に供給する。
なお、本実施の形態の通信システム1では、出力ポート34Aに画像処理装置4A、出力ポート34Bに画像処理装置4B、出力ポート34Cに画像処理装置4Cがそれぞれ接続され、画像処理装置4A〜4Cのすべては、ここでの特定の規格(例えば、IEEE802.3af)に準拠したネットワークI/Fを備えているものとする。
【0020】
〔第1の実施の形態〕
次に、第1の実施の形態における画像処理装置4について、詳細に説明する。
画像処理装置4は、消費電力を抑えるために省電力モード(省電力状態)に移行することがあるが、従来の場合には、次のような問題点があった。
すなわち、従来では、省電力モード中に画像読取部と画像形成部の電源及び操作パネルの表示をオフにし、画像処理装置で消費される電力を低減している。また、機器制御部も省電力モードからの復帰信号の検出に必要な最低限の部分だけを通電して電力を低減している。
一方で、最近の画像処理装置の操作パネルの画面は大型化やカラー化が進み、高精細な画像を表示することが可能となっており、装置非稼動時、例えば省電力モード時の操作パネルの画面に静止画又は動画の広告を表示したいという顧客の要望がある。
このような顧客の要望に対応するためには、UI制御部等に通電する必要がある。すなわち、装置非稼動時の操作パネルの画面に広告表示をするために、操作パネル及び描画コントローラを通電しておく必要があり、また、表示内容を変えるためには、CPUやメモリを通電しておく必要がある。また、動画などデータ量の大きな画像を表示するためには、図示しない記憶媒体にデータを格納しておく必要がある。この結果、省電力モード中に通電する個所が増えてしまい、装置で消費される電力が増加することが問題となる。
【0021】
そこで、本実施の形態では、以下のような構成を採用してこの問題点を解決する。すなわち、表示系(操作パネル、描画コントローラ)の電力を装置外部から供給し、また、省電力モードからの復帰信号検出に必要な検出系(USBコントローラ、ネットワークI/F、タイマ、検出回路等)の電力も装置外部から供給する。その一方で、大電力を要する画像処理系や、後述する画像読取部43及び画像形成部44は、装置内の電源を使用する。装置外部の電源を利用する表示系や検出系は大電力を必要としないので、例えば装置内の電源状態とは無関係に電力供給されるネットワークからの電力を利用する。この電力としては、例えば、IEEE802.3afに準拠したPoE(Power over Ethernet(登録商標))がある。
このような構成を採用することにより、省電力モード時に、表示系と検出系は装置外部から電力の供給を受け、装置側の電源はオフにすることができるので、装置本体の電力は消費しない。したがって、省電力モード時は、表示系及び検出系にはネットワークから電力供給し装置側の電源はオフにするので、装置本体の電力消費はゼロのまま操作パネルの画面に表示をすることが可能になる。また、省電力モード時にUSBコントローラ及びネットワークI/Fを通電しておくことで、機器本体の電源がオフになっていても、図示しないUSBメモリやネットワーク経由で表示データを取得することが可能になる。
【0022】
次に、このような構成を採用した画像処理装置4のハードウェア構成について説明する。
図3は、本実施の形態における画像処理装置4のハードウェア構成例を示す図である。同図に示すように、画像処理装置4は、装置内の電源である電力出力手段の一例としての主電源41、電力の供給及び中止を切り替える入り切り手段の一例としての電源スイッチ42、スキャナ等で構成される画像読取部43、プリンタ等で構成される画像形成部44を備えている。また、各種情報の表示やユーザ(指示者)からの指示入力の受付を行う操作パネル45、予め定められた処理プログラムに従って画像処理を行う画像処理手段の一例としての画像処理部46、予め定められた処理プログラムに従ってUIを制御するUI制御部47を備えている。本実施の形態では、操作パネル45及びUI制御部47によって、所定の情報をユーザに通知する通知手段が構成されている。また、UI制御部47によって、通知手段により表示される画像を外部から取得する取得手段が構成されている。なお、図3においても、図2と同様に、データ信号や制御信号等といった信号を伝送する信号線を破線で示し、各機能部に電力を供給するための電力線を実線で示している。
【0023】
主電源41は、例えば商用電源からの100Vの電力を、図示する電力線により画像処理部46に供給する。また、画像読取部43及び画像形成部44にも図示しない電力線により電力を供給する。その際、100Vの電力は、各構成部に対応する例えば24V,12V,5V等にそれぞれ変換して、各構成部に供給される。本実施の形態では、電力出力手段の一例として、主電源41を設けている。
電源スイッチ42は、UI制御部47からの制御に基づいて主電源41と画像処理部46の間を接続状態と遮断状態とに選択的に設定する。なお、以下では、電源スイッチ42をオンにして主電源41と画像処理部46の間を接続状態にすることを「主電源41をオンにする」ともいい、電源スイッチ42をオフにして主電源41と画像処理部46の間を遮断状態にすることを「主電源41をオフにする」ともいう。
画像読取部43は、用紙に印刷された画像を例えばCCD(Charge Coupled Devices)方式やCIS(Contact Image Sensor)方式にて読み取る。
画像形成部44は、例えば電子写真方式にて画像を用紙に印刷する。
操作パネル45は、例えばバックライト付きの液晶画面を有し、この液晶画面に情報を表示する。また、操作スイッチを有し、この操作スイッチを操作することでユーザは情報を入力する。或いは、操作スイッチの代わりに、液晶画面にタッチすることで情報入力を可能とするタッチパネル機能を設けてもよい。
【0024】
画像処理部46は、CPU61、メモリ62、入力画像処理回路63、出力画像処理回路64を含む。
CPU61は、画像形成部44の制御(ウォームアップ処理も含む)や、入力画像処理回路63及び出力画像処理回路64の制御を行う。また、プリンタ言語を解釈し画像に変換する処理も行う。
メモリ62は、CPU61が実行するプログラムを格納したり、画像処理時のデータバッファとして機能したりする。また、画像処理装置4が保存する電子文書を記憶することもある。
入力画像処理回路63は、画像読取部43から入力された画像を処理する回路である。出力画像処理回路64は、画像形成部44に出力する画像を処理する回路である。
本実施の形態では、画像処理手段の一例として、画像処理部46を設けている。ここで、画像処理部46は、通常、主電源41から電源の供給を受けるが、UI制御部47の制御により主電源41からの電力供給はオン/オフされる。省電力モード中はUI制御部47によって主電源41をオフされるので、画像処理部46の電力消費はゼロとなる。
【0025】
UI制御部47は、CPU71、メモリ72、USBコントローラ73、ネットワークI/F74、タイマ75、検出回路76、描画コントローラ77を含む。
CPU71は、USBコントローラ73、ネットワークI/F74、タイマ75、検出回路76、描画コントローラ77の制御を行い、画像処理部46のCPU61のように高処理性能ではないが低電力である。また、スリープ機能を装備している。
メモリ72は、CPU71が実行するプログラムを格納する。USBコントローラ73は、USBによる外部機器との情報交換を制御する。
【0026】
ネットワークI/F74は、特定の規格(例えば、IEEE802.3af)に準拠して構成されており、ハブ3からデータ信号(印刷データ)及び電力を受信する。そして、受信した印刷データをCPU71が実行するプログラムに受け渡す。また、ハブ3から供給される電力を、UI制御部47内のCPU71、メモリ72、USBコントローラ73、タイマ75、検出回路76、描画コントローラ77に対して常時給電する。
タイマ75は、時刻をカウントし、指定時刻になるとCPU71に信号を出力する。
検出回路76は、操作パネル45のどの操作スイッチが押下されたかを検出する。或いは、操作パネル45がタッチパネル機能を備える場合は、操作パネル45上のどの位置がタッチされたかを検出する。
描画コントローラ77は、液晶画面に対する描画、すなわち、情報の表示を制御する。
【0027】
UI制御部47は、ハブ3から常時電力を供給されている。そして、省電力モード中は主電源41をオフする。このため、省電力モード中には、画像読取部43、画像形成部44及び画像処理部46での電力消費は行われない。このように、本実施の形態では、電力出力手段から画像処理手段に電力が供給されないように、又は、供給されるように制御する制御手段の一例として、UI制御部47を設けている。
【0028】
更に説明すると、UI制御部47のCPU71は、省電力モードになると、描画コントローラ77を制御して操作パネル45の画面に、例えば企業広告等の静止画や動画の画像情報を表示する。表示する画像は、一定時間間隔で表示内容を書き換える。
そのような表示データは、USB又はネットワーク経由で取得する。USBで取得する場合は、画像データが格納された図示しないUSBメモリを画像処理装置4に装着すると、UI制御部47のUSBコントローラ73がそれを検知し、所定の操作手順によりUSBメモリから画像データを取り込む。また、ネットワーク経由で取得する場合は、UI制御部47のネットワークI/F74は、ネットワーク5上に設置された端末装置2に、例えばFTP(File Transfer Protocol)又はHTTP(Hypertext Transfer Protocol)等の通信手順にて画像データを所定時間間隔で取得しに行く。また、図示しない外部端末からメモリ72に画像データを書き込むように構成することも考えられる。このようにして取り込まれた画像データは、表示更新のタイミングで更新表示される。
【0029】
このように、本実施の形態では、操作パネル45の電源は、主電源41とは別電源から供給することで画像処理装置4本体の電源がオフになっていてもUI表示をすることが可能になる。表示する画像は、画像処理装置4が通常動作時すなわち画像処理装置4本体の電源がオンになっている際に表示する画像とは異なる。さらに、画像処理装置4本体の電源がオフになっていても操作パネル45の画面表示の切替えが可能である。また、画像処理装置4本体の電源がオフになっているときに表示データを装置外部から取得することが可能である。このような表示データは、記録メディア又は通信媒体を介した外部装置から取得するものである。
【0030】
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態における画像処理装置4について説明する。
最近の画像処理装置には、例えば聴覚障害者用の音声案内機能を備えるものがあるが、省エネモード時には使用することができず、省電力モードに移行しないように設定すると消費電力が増加してしまうという問題がある。このような問題点について、本実施の形態の構成により解決される。
【0031】
図4は、本実施の形態における画像処理装置4のハードウェア構成例を示す図である。同図に示すように、画像処理装置4は、処理部81とUI部82とで構成されている。処理部81は、主電源41、電源スイッチ42、画像読取部43、画像形成部44及び画像処理部46を備えている。これらは、図3に示す画像処理装置4の構成と同じであり、その詳細な説明を省略する。
【0032】
UI部82は、操作パネル45及びUI制御部47を備えている。これらは、図3に示す画像処理装置4の構成と基本的に同じであり、同じ符号を用い、その詳細な説明を省略する。操作パネル45は、画像等を表示する表示画面45aと、スピーカ等で構成される音声出力部45bと、表示画面45aに配設されたタッチパネル45cと、を備えている。また、UI制御部47は、図3に示すUI制御部47の構成に、音声出力部45bから出力する音声を制御する音声コントローラ78を備えている。
【0033】
UI部82は処理部81と一体構造ではなく、別体で構成されている。そして、処理部81とUI部82とは、互いにUSBケーブルで接続されている。UI部82のCPU71は、USBケーブルを介して処理部81の電源スイッチ42を制御する。
本実施の形態では、処理部81とUI部82とを互いに接続するUSBケーブル長を調整することにより、UI部82の操作がユーザの手元で行うことが可能になり、また、音声を聞きやすくなり、操作性が向上する。
【0034】
また、UI部82では、操作パネル45の表示画面45aで表示される画像データや音声出力部45bで出力される音声データは、メモリ72に格納される。また、これらの画像データや音声データ等の各種のデータは、多言語などの対応を行うために、外部の端末装置2(図1参照)に記憶させておき、必要に応じて、ネットワーク5及びハブ3を介してメモリ72に格納されるように構成することが考えられる。
【0035】
〔第3の実施の形態〕
図5は、第3の実施の形態における画像処理装置4のハードウェア構成例を示す図である。同図に示すように、画像処理装置4は、処理部91とUI部92とで構成されている。処理部91及びUI部92は、第2の実施の形態での処理部81及びUI部82と基本的な構成が共通するため、同じ符号を用い、その説明を省略する。
処理部91はハブ3に接続され、また、UI部92はハブ3に接続されている。すなわち、処理部91及びUI部92は、ハブ3を介して互いに通信可能に構成されている。このため、UI部92のCPU71は、UI部92のネットワークI/F74、ハブ3及び処理部91のネットワークI/F65を介して処理部91の電源スイッチ42を制御することができる。
【0036】
また、UI部92と処理部91とを一対一対応で接続するだけでなく、1つのUI部92に対して複数の処理部91を関連付けることが可能になる。したがって、処理部91として例えばモノクロ複合機、カラー複合機など、機能別に複数台設置された環境で、各複合機の前に移動することなく、各機械の状態やメンテナンス情報などを参照することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本実施の形態が適用される通信システムの構成例を示す図である。
【図2】ハブの機能構成例を示したブロック図である。
【図3】第1の実施の形態における画像処理装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図4】第2の実施の形態における画像処理装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図5】第3の実施の形態における画像処理装置のハードウェア構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0038】
1…通信システム、2…端末装置、3…ハブ、4,4A,4B,4C…画像処理装置、42…電源スイッチ、45…操作パネル、46…画像処理部、47…UI制御部、5…ネットワーク、72…メモリ、81,91…処理部、82,92…UI部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電源から電力の供給を受けて所定の電圧の電力を出力する電力出力手段と、
前記電力出力手段により出力される電力を使用して所定の画像情報に基づき画像処理を行う画像処理手段と、
前記電力出力手段から出力される電力の供給を受けない場合であっても装置外部から電力の供給を受けて動作し、所定の情報をユーザに通知する通知手段と、
を含む画像処理装置。
【請求項2】
装置外部から電力の供給を受けて前記電力出力手段を入り切りする入り切り手段を更に含み、
前記通知手段は、ユーザへの通知を画像の表示により行うものであり、かつ、前記入り切り手段により前記電力出力手段が切られた際と当該入り切り手段により当該電力出力手段が入れられた際とで互いに異なる画像を表示することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記入り切り手段により前記電力出力手段が切られた際に前記通知手段により表示される画像を外部から取得する取得手段を更に含むことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記取得手段は、前記入り切り手段により前記電力出力手段が切られたときに前記画像を外部から取得することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記通知手段は、装置本体と離間して設置可能であり、かつ、当該装置本体と通信線によって接続されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記装置外部からの電力は、通信線及び電力線によって接続される装置から当該電力線を介して送られる電力であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
商用電源から電力の供給を受けて所定の電圧の電力を出力する電力出力手段を含む画像処理装置が備えるコンピュータに、
前記電力出力手段により出力される電力を使用して所定の画像情報に基づき画像処理を行う画像処理機能と、
前記電力出力手段から出力される電力の供給を受けない場合であっても装置外部から電力の供給を受けて動作し、所定の情報をユーザに通知する通知機能と、
を実現させるプログラム。
【請求項8】
装置外部から電力の供給を受けて前記電力出力手段を入り切りする入り切り機能を更に実現させ、
前記通知機能は、ユーザへの通知を画像の表示により行うものであり、かつ、前記入り切り機能により前記電力出力手段が切られた際と当該入り切り機能により当該電力出力手段が入れられた際とで互いに異なる画像を表示することを特徴とする請求項7に記載のプログラム。
【請求項9】
前記入り切り機能により前記電力出力手段が切られた際に前記通知機能により表示される画像を外部から取得する取得機能を更に実現させることを特徴とする請求項8に記載のプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−232209(P2009−232209A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−75808(P2008−75808)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】