説明

画像処理装置及びプログラム

【課題】不注意等による機密情報の出力を禁止しつつ、機密情報の出力を指示するユーザが所望する部分的な機密情報の出力を可能とする。
【解決手段】複合機100は、取得された原稿の種別を検知する種別検知手段260と、取得された原稿の画像データにユーザの指示に基づいた加工を施す加工手段270と、検知された原稿の種別が所定の種別である場合には、加工手段270を起動させる制御手段250とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、個人情報や企業情報などの外部への漏洩を防止すべき機密情報の保護が重要な課題となっており、コピー機能やプリント機能を搭載した複合機などの画像処理装置においては、出力する原稿に機密情報が含まれないように加工して、保護すべき情報の漏洩防止を図るものがある。
【0003】
特許文献1には、機密情報の漏洩防止を目的として、ドットパターン等で構成された複写禁止を意味する所定パターンを、機密情報が含まれる原稿(以下、「機密原稿」と呼ぶ)に付加することにより、機密原稿の複写防止を図り、機密情報の漏洩防止を図る手法が提案されている。
【0004】
ここで、特許文献1で提案された手法では、機密原稿の全面を塗りつぶす、または機密情報を形成した原稿の出力を停止させるため、情報の複写を部分的に防止することができなかった。そこで、特許文献2では、機密原稿の複写を禁止すべき位置にパターンを付加することで、部分的な複写の禁止を実現している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献2で提案されている手法では、複写を禁止すべき位置がドットパターンにより予め設定されている。したがって、機密原稿の作成者の意図が反映された部分的な複写禁止が可能であり、複写を指示するユーザの不注意により機密原稿が複写されることを防止可能である一方、複写を指示するユーザの意図が反映された部分的な複写禁止とはならないという問題があった。例えば、入力された原稿が機密原稿である場合は、内容を特定できない程度の情報を開示するように調整するなど、機密情報を含まないようにユーザが加工を指示することができず、ユーザの意図を反映させることができなかった。
【0006】
そこで、本発明は、上記に鑑みてされたものであって、不注意等による機密情報の出力を禁止しつつ、機密情報の出力を指示するユーザが所望する部分的な機密情報の出力を可能とする画像処理装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、ユーザの指示に応じて原稿の画像データを取得し、取得された前記画像データを加工して出力する画像処理装置であって、前記原稿の種別を検知する種別検知手段と、取得された前記画像データに前記ユーザの指示に基づいた加工を施す加工手段と、検知された前記原稿の種別が所定の種別である場合には、前記加工手段を起動させる制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、ユーザの指示に応じて原稿の画像データを取得し、取得された前記画像データを加工して出力するコンピュータに、前記原稿の種別を検知する種別検知ステップと、検知された前記原稿の種別が所定の種別である場合に、取得された前記画像データに加工を施すためのメニューを表示手段に表示させる表示ステップと、表示された前記メニューに基づいて入力された前記ユーザの指示に応じた加工を、前記画像データに施す加工ステップと、を実行させることを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、不注意等による機密情報の出力を禁止しつつ、機密情報の出力を指示するユーザが所望する部分的な機密情報の出力を可能とする、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、第1の実施形態にかかる複合機のハードウエア構成を示す図である。
【図2】図2は、第1の実施形態にかかる複合機の機能ブロック図である。
【図3】図3は、格納手段が格納している種別検知用データを例示する図である。
【図4】図4は、表示制御手段が表示手段に表示させた画像の一例を示す図である。
【図5】図5は、表示制御手段が表示手段に表示させた画像の一例を示す図である。
【図6】図6は、第1の実施形態にかかる複合機のフローチャートである。
【図7】図7は、原稿の種別検知にかかる処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】図8は、第2の実施形態にかかる複合機の機能ブロック図である。
【図9】図9は、第2の実施形態における種別検知手段の処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】図10は、格納手段が格納している格納画像データを例示する図である。
【図11】図11は、第3の実施形態にかかる複合機の機能ブロック図である。
【図12】図12は、第3の実施形態における加工手段の処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】図13は、表示制御手段が表示手段に表示させた画像の一例を示す図である。
【図14】図14は、第4の実施形態にかかる複合機の機能ブロック図である。
【図15】図15は、第4の実施形態にかかる複合機のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像処理装置及びプログラムの一実施の形態を詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
[第1の実施形態]
第1の実施形態では、パスポートや健康保険証等の機密情報が記載された機密原稿を複写する際に、機密原稿の画像に加工を行うように制御する方法について説明する。尚、本発明の方法を実施する画像処理装置として、第1の実施形態では、複合機を例に挙げて説明する。ここで、複合機とは、プリンタ、コピー、スキャナ、またはファクシミリ等の複数の機能を一台の筐体において実現する画像処理装置をいう。なお、画像処理装置は、画像データを記録媒体上に形成する、上述の複合機や、ファクシミリ装置、プリンタ装置等の画像形成装置に限られず、PC(Personal Computer)、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)等の装置が含まれることは言うまでもない。
【0013】
図1は、第1の実施形態にかかる複合機100のハードウエア構成を示す図である。複合機100のハードウエア構成は、コントローラ110、オペレーションパネル120、通信インターフェース130、スキャナエンジン140、プリンタエンジン150、ファクシミリコントロールユニット160、HDD170(Hard Disk Drive)及び記憶媒体読取装置180を含んで構成される。複合機100において、上述した各ユニットは、バスライン190により接続されている。以下、各ユニットについて説明する。
【0014】
コントローラ110は、CPU111(Central Processing Unit)、RAM112(Random Access Memory)及びROM113(Read Only Memory)を含んで構成される。
【0015】
CPU111は、図1に示す各ユニットの制御を行い、複合機100全体の制御を行う。ここで、CPU111は、ROM113やHDD170から必要なプログラムを読み出し、読み出したプログラムに基づく演算処理を行うことにより各ユニットの制御を行う。
【0016】
RAM112は、CPU111が読み出したプログラムや、通信インターフェース130やスキャナエンジン140等から入力された画像データを一時的に格納及び展開するための記憶媒体である。つまり、RAM112は、CPU111のワークエリアとして機能する。
【0017】
ROM113は、プログラム等の各種データを格納するための読み出し専用メモリである。ここで、ROM113に格納されるデータとしては、例えば、複合機100のブートプログラムや、OS(オペレーティングシステム)、各種アプリケーションプログラムを挙げることができる。
【0018】
オペレーションパネル120は、コントローラ110によって制御され、複合機100の操作者(ユーザ)から各機能の選択、実行指示等の各種設定情報をコントローラ110に入力するとともに、各機能の選択肢、進行状況等、コントローラ110から取得した情報の表示を行う。ここで、オペレーションパネル120は、ディスプレイ(LCTやCRT等)と指示入力ボタンを含めた形態であっても、タッチパネル方式によりディスプレイと指示入力ボタンとを一体化した形態であっても良い。
【0019】
通信インターフェース130は、コントローラ110によって制御され、複合機100の外部装置131との通信を行う。なお、通信インターフェース130は、イーサネット(登録商標)インターフェース、IEEE1284インターフェース、またはその他のインターフェースでも構成可能である。
【0020】
スキャナエンジン140は、コントローラ110によって制御され、画像読取処理を実行する機能を有する。つまり、スキャナエンジン140は、スキャナ141により原稿を読み取り、原稿の画像データを取得するとともに、取得した画像データをRAM112やHDD170に入力する。
【0021】
なお、原稿の画像データの入力は、上述したスキャナエンジン140による読み取り以外に、通信インターフェース130による外部装置131との通信で、外部装置131から行われてもよい。また、原稿の画像データの入力は、後述する記憶媒体181の記録情報の読み出しによって行われてもよい。
【0022】
プリンタエンジン150は、コントローラ110によって制御され、プリンタ151による画像形成処理(印刷処理)を実行する。ここで、プリンタ151における画像形成方式は、電子写真方式、インクジェット方式等、各種の画像形成方式を採用可能である。
【0023】
ファクシミリコントロールユニット160は、コントローラ110によって制御され、ファクシミリ161によるファクシミリ通信処理を実行する。
【0024】
HDD170は、コントローラ110の制御のもと、ハードディスクに対して各種データの書き込み、および読み出しを行う。なお、データの書き込み、読み出し対象となるハードディスクと、ハードディスクの読み取り装置とをまとめてHDD170として説明するが、読み取り装置だけを含む構成としてもよい。
【0025】
記憶媒体読取装置180は、コントローラ110によって制御され、ICカードやフロッピー(登録商標)ディスク等の記憶媒体181に記録された記録情報の読取処理を実行する。記憶媒体読取装置180は、コントローラ110からの指示により記憶媒体181へアクセスし、記憶媒体181から記録情報を読み出して、読み出した情報をコントローラ110へ出力する。
【0026】
バスライン190は、これら各ユニットを電気的に接続している。なお、記憶媒体読取装置180には、アドレスバス、データバス等を利用することができる。
【0027】
以上の構成を複合機100が採用することにより、例えば、スキャナエンジン140を選択することによりスキャンジョブの発行が可能となる。また、プリンタエンジン150を選択することによりプリントジョブの発行が可能となる。さらに、スキャナエンジン140とプリンタエンジン150とを選択することで、コピージョブの発行が可能となる。また、スキャナエンジン140と、プリンタエンジン150と、ファクシミリコントロールユニット160とを選択することで、ファクシミリ受信ジョブ、およびファクシミリ送信ジョブの発行が可能となる。
【0028】
次に、第1の実施形態にかかる複合機100が有する機能について説明する。図2は、第1の実施形態にかかる複合機100の機能ブロック図である。
【0029】
図2に示すように、第1の実施形態にかかる複合機100は、指示受付手段210、表示手段220、画像データ取得手段230、格納手段240、制御手段250、種別検知手段260、加工手段270及び出力手段280を備える。
【0030】
指示受付手段210は、コピー等の各種処理の開始指示や画像データの加工の内容等、各種指示をユーザから受け付ける。そして、受け付けた指示を格納手段240に入力する。ここで、指示受付手段210は、オペレーションパネル120により実現されてもよいし、通信インターフェース130により実現されてもよい。なお、通信インターフェース130により指示受付手段210が実現される場合は、キーボードや、情報処理装置等の外部装置131から、ユーザからの指示を受け付ける。
【0031】
表示手段220は、格納手段240に格納されている画像データや、制御手段250や加工手段270から取得した各種情報を表示する。ここで、表示手段220は、オペレーションパネル120により実現されてもよいし、通信インターフェース130により実現されてもよい。なお、通信インターフェース130により表示手段220が実現される場合は、通信インターフェース130を介して接続された外部装置131に各種情報が表示される。
【0032】
ここで、指示受付手段210と表示手段220とは、同一のハードウエアにより実現されてもよい。つまり、オペレーションパネル120が指示受付手段210と表示手段220とを実現してもよいし、通信インターフェース130を介して接続する外部装置131が指示受付手段210と表示手段220とを実現してもよい。なお、指示受付手段210と表示手段220とが同一のハードウエアにて実現されることにより、操作手段として機能する。
【0033】
画像データ取得手段230は、原稿の画像データを取得し、取得した画像データを格納手段240に入力する。ここで、画像データ取得手段230は、スキャナエンジン140により実現されてもよいし、通信インターフェース130により実現されてもよい。なお、スキャナエンジン140により画像データ取得手段230が実現される場合、複合機100は、記録媒体である用紙等に形成された原稿を読み取ることにより得られた画像データを取得することができる。一方、通信インターフェース130により画像データ取得手段230が実現される場合、複合機100は、情報処理装置等の外部装置131から画像データを取得することができる。
【0034】
格納手段240は、指示受付手段210から取得した各種指示、画像データ取得手段230から取得した画像データ、後述する種別検知手段260が用いる種別検知用データ等の各種情報を格納する。ここで、格納手段240は、コントローラ110内のRAM112やROM113又はHDD170により構成される。
【0035】
制御手段250は、格納手段240が格納する各種データの読み出し(ロード)、削除(デリート)を行う他、指示受付手段210、表示手段220、画像データ取得手段230、種別検知手段260、加工手段270及び出力手段280の制御も行う。ここで制御手段250は、コントローラ110によって実現される。より具体的には、コントローラ110内のCPU111が、RAM112に展開されたプログラムに基づく演算処理を実行することにより、制御手段250が実現される。なお、制御手段250の制御の詳細については後述する。
【0036】
種別検知手段260は、画像データの取得元である原稿の種別を検知する。ここで、種別検知手段260は、コントローラ110によって実現される。より具体的には、コントローラ110内において、RAM112に展開されたプログラムに基づく演算処理をCPU111が実行することにより、種別検知手段260が実現される。
【0037】
種別検知手段260は、照合情報取得手段261、抽出手段262及び照合手段263を含んで構成される。
【0038】
照合情報取得手段261は、原稿の種別検知のために用いる情報(以下、「種別検知用データ」という)を格納手段240から取得する。図3は、格納手段240が格納している種別検知用データを例示する図である。図3に示すように、種別検知用データは、(A)文字コード、(B)文字コードと位置情報との組み合わせ、のいずれかであってよい。
【0039】
まず、格納手段240に文字コードが予め格納されており、照合情報取得手段261が格納手段240から文字コードを取得した場合(図3の(A)の場合)について説明する。ここで、照合情報取得手段261が取得する文字コードは、機密情報を含む機密原稿に記載されている文字のコードとする。つまり、格納手段240は、機密原稿に記載されている文字のコードを予め格納している。
【0040】
機密情報は、個人情報や企業情報などの外部への漏洩を防止すべき情報である。例えば、機密情報には、写真、住所、氏名、年齢、電話番号、戸籍等の個人情報がある。また、機密情報が含まれる機密原稿には、パスポート、健康保険証、運転免許証、社員証、住民票、戸籍謄本、契約書等の各種証明書や、公共料金の請求書等がある。
【0041】
照合情報取得手段261が、種別検知用データとして格納手段240から文字コードを取得した場合、抽出手段262は、画像データ取得手段230により取得された原稿の画像データに対し文字認識を行う。そして、文字認識の結果として、原稿の画像データから文字コードを抽出する。なお、文字認識は公知の技術であるため、詳細な説明は割愛する。
【0042】
照合手段263は、照合情報取得手段261が取得した文字コードと、抽出手段262が画像データから抽出した文字コードとを照合する。照合の結果、一致した文字コードをキーとして格納手段240から原稿の種別を示す情報を取得し、原稿の種別を検知する。そして、照合手段263は、種別検知の結果である原稿識別IDを制御手段250へ出力する。
【0043】
ここで、原稿がパスポートである場合を例にして原稿の種別検知を説明する。パスポートには、『日本国』や『PASSPORT』といった定型の文字が存在する。したがって、パスポートの種別検知用データには、『日本国』や『PASSPORT』といった定型の文字が含まれている。照合手段263は、抽出手段262が画像データから抽出した文字コードと照合した結果、『日本国』や『PASSPORT』に対応する文字コードが含まれていると判断した場合、画像データの取得元となった原稿の種別がパスポートであると検知する。なお、誤検知を防止するために、複数の文字コードを利用して原稿の種別を判別してもよい。上述のパスポートの場合においては、『日本国』に対応する文字コード及び『PASSPORT』に対応する文字コードの両方が画像データに含まれている場合、画像データの取得元となった原稿の種別がパスポートであると検知する。
【0044】
次に、格納手段240に文字コード及び位置情報が予め格納されており、照合情報取得手段261が、種別検知用データとして文字コード及び位置情報を取得した場合(図3の(B)の場合)について説明する。ここで、照合情報取得手段261が取得する文字コードは、機密情報を含む機密原稿に記載されている文字のコードとする。また、位置情報とは、機密原稿における文字の位置を示す情報であり、例えば、文字領域の始点及び終点の座標値とする。つまり、格納手段240は、機密原稿に記載されている文字のコードと位置情報とを関連づけて格納している。
【0045】
照合情報取得手段261が、種別検知用データとして格納手段240から文字コードと位置情報とを取得した場合、抽出手段262は、画像データ取得手段230が取得した画像データに対し文字認識を行う。そして文字認識の結果として、原稿の画像データから文字コードを抽出する。また、文字コードを抽出した文字の位置情報も併せて抽出する。なお、文字認識及び文字の位置情報取得は公知の技術であるため、詳細な説明は割愛する。
【0046】
照合手段263は、照合情報取得手段261が取得した文字コード及び位置情報と、抽出手段262が抽出した文字コード及び位置情報とを照合する。照合の結果、互いの位置情報の相違が所定の範囲内であり且つ文字コードが一致する場合、種別検知手段260は、画像データの取得元である原稿が、機密情報を含む機密原稿であると検知する。そして、照合手段263は、検知の結果である原稿識別IDを制御手段250へ出力する。
【0047】
ここで、原稿がパスポートである場合を例にして原稿の種別検知を説明する。パスポートには、『日本国』や『PASSPORT』といった定型の文字が所定の位置に存在する。したがって、パスポートの種別検知用データには、『日本国』や『PASSPORT』といった定型の文字と、その位置情報が含まれている。照合手段263は、抽出手段262が画像データから抽出した文字コード及び位置情報を、種別検知用データの文字コード及び位置情報と照合した結果、『日本国』や『PASSPORT』に対応する文字コードが所定の位置に含まれていると判断した場合、画像データの取得元となった原稿の種別がパスポートであると検知する。なお、誤検知を防止するために、複数の文字コードを利用して原稿の種別を判別してもよい。上述のパスポートの場合においては、『日本国』に対応する文字コード及び『PASSPORT』に対応する文字コードの両方が画像データの所定の位置に含まれている場合、画像データの取得元となった原稿の種別がパスポートであると検知する。
【0048】
加工手段270は、コントローラ110によって実現される。つまり、コントローラ110内のCPU111が、RAM112に展開されたプログラムに基づく演算処理を実行することにより、加工手段270が実現される。詳細には、CPU111がROM113やHDD170から加工手段270を実現するためのアプリケーションプログラムを読み出し、読みだしたアプリケーションプログラムをRAM112に展開する。そして、RAM112に展開されたアプリケーションプログラムに基づく演算処理をCPU111が実行することにより、種別検知手段260が実現される。
【0049】
制御手段250は、種別検知手段260による種別検知の結果、機密原稿であるとの検知結果を取得した場合に上述した加工手段270を起動させる。加工手段270は、画像データの加工の内容をユーザが指示するためのメニュー又は原稿の画像データを格納手段240から取得し、表示手段220に表示させる。なお、加工手段270は、原稿の画像データとともにメニューを表示手段220に表示させてもよい。したがって、制御手段250は、加工手段270を起動させることにより、加工の内容を指示するためのメニュー又は原稿の画像データを表示させる機能を果たすことになる。また、制御手段250は、加工手段270を起動させることにより、加工の内容をユーザが指示するためのメニューとともに、入力された原稿の画像データを表示させる機能も果たしうる。
【0050】
加工手段270は、表示制御手段271及びデータ加工手段272を含んで構成される。
【0051】
加工手段270が制御手段250により起動されると、加工手段270の表示制御手段271は、ユーザから加工の内容の指示を受け付けるためのメニューを表示手段220に表示させる。また、表示制御手段271は、原稿の画像データも表示手段220に表示させてもよい。
【0052】
データ加工手段272は、指示受付手段210を介してユーザから入力され、格納手段240に格納されている加工の内容に関する指示を取得し、取得されたユーザの指示に基づいた加工を画像データに施す。そして、表示制御手段271は、加工が施された画像データを表示手段220に表示させる。また、データ加工手段272は、ユーザの指示に基づいた加工の履歴をRAM112などにスタックしている。データ加工手段272は、スタックした加工の履歴により、繰り返しの加工や、加工を取り消して加工前の状態へ戻すことが可能となっている。
【0053】
なお、加工の対象となる画像データは、原稿の画像データであるが、既にデータ加工手段272により加工が施されている場合には、加工後の画像データに対してさらに加工を施す。かかる処理を行うことより、ユーザの指示に基づいた加工を逐次画像データに反映させることが可能となり、ユーザの使い勝手が向上する。
【0054】
図4は、表示制御手段271が表示手段220に表示させた画像の一例であり、より具体的には、メニューとともに画像データを表示させた場合の一例である。
【0055】
図4に示すとおり、表示手段220には、向かって左側に原稿の画像データが、向かって右側には、データ加工手段272が画像データの加工に用いるメニューであり、ユーザに指示させるためのアイコン300が表示されている。図4の例では、上から順に9つのアイコンが並んでいるが、表示されているアイコンを大きく3種類に分類することができる。ここで、上から4つのアイコンを加工位置アイコン310、上から5番目から7番目のアイコンを加工種別アイコン320、下の2つのアイコンをサブアイコン330とする。
【0056】
加工位置アイコン310は、出力を希望しない情報の位置をユーザが指示するためのアイコンとして機能する。つまり、情報を出力しないように加工を施す位置を指示するためのアイコンとも換言できる。ここで、加工位置アイコン310は、描画アイコン311、消去アイコン312、サイズ調整アイコン313、図形描画アイコン314を含んで構成される。
【0057】
描画アイコン311は、画像データを加工するためのメインとなるアイコンである。描画アイコン311が選択されることにより、加工すべき領域(以下、加工領域という)をマーカーのように指定することが可能なモードへ加工手段270が移行する。
【0058】
消去アイコン312は、描画アイコン311と機能が相対するモードへ加工手段270が移行するためのアイコンとして機能する。つまり、消去アイコン312が選択されることにより、加工領域の指定をキャンセルすることが可能なモードへ種別検知手段260が移行する。
【0059】
サイズ調整アイコン313は、加工領域のサイズ調整を行うためのモードへ加工手段270が移行するためのアイコンとして機能する。ここで、サイズ調整アイコン313が指定されることにより、描画アイコン311や、サイズ調整アイコン313に基づいて指定された加工領域のサイズを変更することが可能となる。
【0060】
図形描画アイコン314は、デフォルトとして予め設定された図形(例えば矩形、丸型など)に基づいて加工領域を指定するためのアイコンとして機能する。つまり、図形描画アイコン314が選択されることにより、予め設定された図形により加工領域を指定することが可能なモードへ加工手段270が移行する。
【0061】
ここで、オペレーションパネル120等の指示受付手段210を介してユーザが画像データの一点を指定した場合、表示制御手段271は、予め設定された図形、例えば所定の大きさを有する矩形を、指定された一点を中心として表示手段220に表示させる。そして、表示された図形をユーザの指示に従って移動させることにより、加工領域の指定を可能とする。なお、移動に際しては、図形の各座標をユーザの指示に応じて変化させればよい。
【0062】
加工種別アイコン320は、加工位置アイコン310により指定された加工領域の加工方法をユーザに選択させるためのアイコンとして機能する。加工種別アイコン320は、色指定アイコン321、322、モザイク指定アイコン323を含んで構成される。なお、図4の例では、色指定アイコン321、322として、黒、白を夫々指定可能な色としている。
【0063】
色指定アイコン321、322は、加工位置アイコン310により指定された加工領域の色を指定するためのアイコンとして機能する。ユーザにより加工領域が指定された状態で、色指定アイコン321又は色指定アイコン322が指定されることにより、加工領域の色調整を行うためのモードへ種別検知手段260が移行する。なお、本実施形態においては色指定アイコン毎に色が設定されているが、色の指定については、色指定アイコンが指定された後に、ユーザに色を指定させてもよい。
【0064】
モザイク指定アイコン323は、加工位置アイコン310により指定された加工領域をモザイク処理するためのアイコンとして機能する。ユーザにより加工領域が指定された状態で、モザイク指定アイコン323が指定されることにより、加工領域がモザイク表示される。
【0065】
サブアイコン330は、加工手段270の全体の制御を行うためのアイコンである。サブアイコン330は、取消アイコン318、プリントアイコン319を含んで構成される。取消アイコン318は、加工位置アイコン310、加工種別アイコン320により指定された加工を取り消すためのアイコンとして機能する。ユーザにより加工が指示された状態で、取消アイコン318が指定されることにより、その指示された加工が取り消される。具体的には、データ加工手段272がスタックした加工の履歴を参照して加工前の状態に戻される。プリントアイコン319は、画像を出力するためのアイコンとして機能する。プリントアイコン319が指定されることにより、画像の出力が行われる。例えば加工位置アイコン310、加工種別アイコン320により加工が指示されている場合には、プリントアイコン319が指定されることで、指示された加工が施された画像が出力されることとなる。
【0066】
なお、図4の例では、画像データ取得手段230が取得した画像データと、加工の内容を指示するためのメニューとを表示手段220に表示させた画像を示した。さらに、表示手段220に表示する画像には、指示受付手段210が受け付けた加工の内容が反映された画像データを併せて表示してもよい。
【0067】
図5は、表示制御手段271が表示手段220に表示させた画像の一例であり、より具体的には、画像データ取得手段230が取得した画像データと、加工の内容を指示するためのメニューと、指示受付手段210が受け付けた加工の内容が反映された画像データとを併せて表示手段220に表示させた画像の一例である。図5に示すように、画像データ取得手段230が取得した画像データと、指示受付手段210が受け付けた加工の内容が反映された画像データとを併せて表示手段220に表示させることで、機密原稿の画像データと、機密原稿を加工した後の画像データとの差を、ユーザに把握させることが容易となる。
【0068】
出力手段280は、制御手段250により加工手段270が起動された場合には、画像データ取得手段230から取得した画像データを、加工手段270から取得した情報に基づいて加工した画像データを出力する。一方、制御手段250により加工手段270が起動されなかった場合には、画像データ取得手段230から取得した画像データをそのまま出力する。ここで、出力手段280は、通信インターフェース130、プリンタエンジン150、ファクシミリコントロールユニット160のいずれによって実現されてもよい。
【0069】
次に、複合機100における処理の流れについて説明する。図6は、第1の実施形態にかかる複合機100のフローチャートであり、複合機100における処理の流れを示す。
【0070】
図6に示すように、処理が開始されると、複合機100は、原稿の画像データを画像データ取得手段230により取得する(S101)。なお、S101において、取得された画像データは、RAM112又はHDD170により実現される格納手段240に格納される。
【0071】
次いで、複合機100は、格納手段240に格納された画像データの取得元である原稿の種別を種別検知手段260により検知する(S102)。S102において、種別検知手段260により検知された検知結果は、制御手段250に出力される。
【0072】
図7は、原稿の種別検知にかかる処理の流れを示すフローチャートである。図7に示すように、種別検知手段260では、種別検知用データを照合情報取得手段261が格納手段240から取得する(S1021)。次いで、抽出手段262は、画像データ取得手段230が取得した画像データの認識を行って(S1022)、文字コードやその位置情報の抽出を行う(S1023)。次いで、照合手段263が抽出した情報と取得した種別検知用データとを照合する(S1024)。照合手段263は、抽出した文字コードやその位置情報と、種別検知用データに含まれる文字コードやその位置情報とが一致した原稿識別IDを検知結果として出力する(S1025)。
【0073】
図6に示すように、S102に次いで、制御手段250は、入力された検知結果に基づいて、加工手段270を起動すべきか否かを判定する(S103)。具体的には、種別検知手段260による検知の結果が加工手段270による加工対象となる所定の種別の原稿である、すなわち、原稿の種別が機密原稿であるか否かを判定する。
【0074】
S103において、原稿の種別が機密原稿であり、加工手段270を起動すべきであると制御手段250が判定した場合(YES)、処理はS104へと移行する。一方、原稿の種別が機密原稿以外であり、起動する必要がないと判定した場合(NO)、処理はS108へと移行する。
【0075】
S104では、制御手段250は、格納手段240から加工手段270を実現させるためのアプリケーションプログラムを読み出し、加工手段270を起動させる。この起動により、加工手段270は、表示手段220に加工の内容を指示するための加工メニューを表示させる(S105)。
【0076】
次いで、指示受付手段210は、加工メニューに基づいて入力された、加工の内容に関するユーザの指示を格納手段240に入力する(S106)。次いで、加工手段270は、格納手段240に格納された指示に応じた加工を、画像データ取得手段230が取得した画像データに対して施すことにより加工後の画像データ(出力画像データ)を生成し(S107)、生成した出力画像データを格納手段240に格納する。
【0077】
S108では、制御手段250は、画像データ取得手段230が画像データを取得する際などに、前もって指示受付手段210を介して入力されたユーザの指示に応じた処理を行うことにより出力画像データを生成し(S108)、生成した出力画像データを格納手段240に格納する。なお、S108におけるユーザの指示に応じた処理とは、階調補正や編倍処理等の一般的な画像処理であってよい。
【0078】
次いで、出力手段280は、指示受付手段210を介して入力されたユーザの指示に応じた出力形式により、格納手段240に格納された出力画像データを出力する(S109)。なお、ユーザの指示に応じた出力形式には、プリンタエンジン150、ファクシミリコントロールユニット160を制御することによる出力のほか、HDD170への出力も含まれる。
【0079】
以上説明したように、第1の実施形態では、原稿に記載されている文字に応じて制御手段250が加工手段270を起動させるため、機密情報を含む機密原稿などの所定の原稿にかかる画像データを出力する際に、ユーザが意図した加工を行うことが可能となる。また、機密情報を含む機密原稿の場合、ユーザが意図した加工を行うためのアプリケーションプログラムが制御手段250によって起動されるため、ユーザがそのアプリケーションプログラムを起動する手間を不要とすることができる。
【0080】
なお、記憶媒体読取装置180が読み取り対象とする記憶媒体181は特に限定されるものではなく、SDカードの他、コンパクトフラッシュ(登録商標)メモリーカード、スマートメディア(登録商標)、メモリースティック(登録商標)、ピクチャーカードなどのメモリ系の記憶媒体、その他如何なる着脱可能な記憶媒体を、単独あるいは組み合わせて採用することができる。
【0081】
また、上記各機能は、アセンブラ、C、C++、C#、Java(登録商標)、などのレガシープログラミング言語やオブジェクト指向プログラミング言語などで記述されたコンピュータ実行可能なプログラムにより実現でき、ROM、EEPROM、EPROM、フラッシュメモリ、フレキシブルディスク、CD−ROM、CD−RW、DVD、SDカード、MOなど、装置が読み取り可能な記録媒体に格納して頒布することができる。また、上述したプログラムは、通信インターフェース130を介して接続する外部装置131やインターネットなどから頒布されるものであってもよい。
【0082】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、原稿の種別検知に用いる情報として原稿のレイアウト情報を用いる点で、前述した第1の実施形態における種別検知に用いる情報と相違する。
【0083】
図8は、第2の実施形態にかかる複合機100aの機能ブロック図である。なお、本実施形態にかかる複合機100aと、第1の実施形態にかかる複合機100とは同一のハードウエア構成を採用するため、その説明は割愛する。
【0084】
図8に示すように、第2の実施形態にかかる複合機100aは、指示受付手段210、表示手段220、画像データ取得手段230、格納手段240、制御手段250、種別検知手段360、加工手段270及び出力手段280を備える。ここで、種別検知手段360を除く構成要素は、第1の実施形態と実施的に同一の機能構成であるため、夫々についての詳細な説明は省略する。
【0085】
種別検知手段360は、画像データの取得元である原稿の種別を検知する。種別検知手段360は、コントローラ110によって実現される。より具体的には、コントローラ110内において、RAM112に展開されたプログラムに基づく演算処理をCPU111が実行することにより、種別検知手段360が実現される。
【0086】
図9は、第2の実施形態における種別検知手段360の処理の流れを示すフローチャートである。以下、図8の説明と合わせて、図9を参照しながら種別検知手段360の処理動作を説明する。
【0087】
図8に示すとおり、種別検知手段360は、照合情報取得手段361、対応点検出手段362、変換係数算出手段363、相違度算出手段364、検知手段365を含んで構成される。
【0088】
照合情報取得手段361は、原稿の種別検知に用いる情報として、格納手段240から格納画像データを取得する(図9のS301)。ここで格納画像データとは、機密情報を含む機密原稿の画像データであり、予め格納手段240に格納されている。機密情報及び機密原稿については、第1の実施形態と同様であるため、その説明は省略する。
【0089】
図10は、格納手段240が格納している格納画像データD1を例示する図である。図10に示すように、格納手段240には、機密原稿の一つである社員文書の画像が格納画像データD1として格納されている。
【0090】
対応点検出手段362は、照合情報取得手段361により取得された格納画像データと、画像データ取得手段230により取得された画像データとの一致点を検出する(図9のS302)。なお、照合情報取得手段361により取得された格納画像データに複数の画像が含まれる場合は、格納画像データに含まれる各画像と、画像データ取得手段230により取得された画像データの画像との一致点を順次検出する。
【0091】
対応点の検出方法としては、例えば、画像データに含まれる罫線の位置、原稿固有の文字の印刷位置などの座標値を比較することにより対応する点を求めればよい。ここで比較する画像データが異なる原稿から取得された画像データである場合、互いの画像データが持つべき印刷文字などが検出できないか、誤って検出されることになる。
【0092】
変換係数算出手段363は、変換係数の算出を行う(図9のS303)。ここで変換係数とは、一方の画像データ上の座標値を変換することにより他方の画像データの座標値として求められる変換式を構成する係数のことであり、例えば、アフィン変換の係数がある。
【0093】
アフィン変換を例として変換係数の算出を説明する。一方の画像データ上の点を(x,y)、他方の画像データ上で対応する点を(X、Y)とおけば、アフィン変換の変換式により、
【数1】


と書ける。ここで、対応する点の組(x,y)と(X,Y)の組を6組求めれば、6次1次連立方程式となり、変換係数a〜fを求めることができる。
【0094】
相違度算出手段364は、格納画像データと、画像データ取得手段230により取得された画像データとの相違度を算出する(図9のS304)。相違度は変換係数算出手段363にて算出された変換係数から求めるが、ここではアフィン変換の係数から相違度を求める例について説明する。
【0095】
画像データ間の相違度は、画像データ間の『ずれ』、『伸縮』、『回転』を定量化し、これらの和として求めることができる。それぞれの特徴量を
ずれ:e2+f2
伸縮:|ad−bc|
回転:b2+c2
と定義し、これらに適当な重みをつけて和をとることにより、相違度を算出する。
【0096】
検知手段365は、上述した処理を格納画像データに含まれる各画像と画像データ取得手段230により取得された画像との間で行い、格納画像データに含まれる画像の中で、最も相違度が小さい画像と対応する原稿の種別を、原稿の種別として検知する(図9のS305)。
【0097】
なお、格納画像データに含まれる各画像と画像データ取得手段230により取得された画像とのレイアウトが一致しない場合は、対応する点が発見できないか、誤って発見される。対応する点が発見できない場合は、相違度を算出することが出来ず、一方、誤って発見された場合には、変換係数が通常から大きく離れた値を示す傾向がある。したがって、所定の閾値より小さい相違度が算出されない場合、画像データ取得手段230により取得された画像データは、格納画像データ、つまり機密原稿の画像データではないと検知する。
【0098】
以上説明したように、第2の実施形態では、種別検知手段360が画像データのレイアウトに基づいて画像データの取得元である原稿の種別を検知することができるため、原稿の画像データを予め格納手段240に格納しておくことで、原稿の種別を検知することができる。また、種別検知の結果に応じて制御手段250が加工手段270を起動させるため、機密情報を含む機密原稿などの所定の原稿にかかる画像データを出力する際に、ユーザが意図した加工を行うことが可能となる。また、機密情報を含む機密原稿の場合、ユーザが意図した加工を行うためのアプリケーションプログラムが制御手段250によって起動されるため、ユーザがそのアプリケーションプログラムを起動する手間を不要とすることができる。
【0099】
なお、第1の実施形態における種別検知手段260と、本実施形態における種別検知手段360との処理を同時に実現させてもよい。つまり、文字コードと、画像データのレイアウト情報とに基づいて原稿の種別を検知する構成を採用してもよい。この場合、文字コードと画像データのレイアウト情報との両面から原稿の種別を検知するため、より高精度に原稿の種別を検知することができるとともに、取得された画像データが縮小、または拡大された画像データであっても、より確実に原稿の種別を検知することが可能となる。
【0100】
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態は、加工手段が表示手段に表示させるメニューが他の実施形態と相違する。すなわち、第3の実施形態は、他の実施形態と異なるメニューに基づいた加工を実現するため、加工手段の構成が他の実施形態と相違する。
【0101】
図11は、第3の実施形態にかかる複合機100bの機能ブロック図である。なお、本実施形態にかかる複合機100bと、第1、2の実施形態にかかる複合機100、100aとは同一のハードウエア構成を採用するため、その説明は割愛する。
【0102】
図11に示すように、第3の実施形態にかかる複合機100bは、指示受付手段210、表示手段220、画像データ取得手段230、格納手段240、制御手段250、種別検知手段260、加工手段470及び出力手段280を備える。ここで、加工手段470を除く構成要素は、第1の実施形態と実施的に同一の機能構成であるため、夫々についての詳細な説明は省略する。
【0103】
加工手段470は、コントローラ110によって実現される。具体的には、コントローラ110内のCPU111が、RAM112に展開されたプログラムに基づく演算処理を実行することにより、加工手段470が実現される。より詳細には、CPU111がROM113やHDD170から加工手段470を実現するためのアプリケーションプログラムを読み出し、読みだしたアプリケーションプログラムをRAM112に展開する。そして、RAM112に展開されたアプリケーションプログラムに基づく演算処理をCPU111が実行することにより、加工手段470が実現される。
【0104】
加工手段470は、制御手段250により起動され、そして、各種処理を実行する。制御手段250は、種別検知手段260から画像データの取得元である原稿が機密原稿であるとの検知結果を取得した場合に、加工手段470を起動させる。
【0105】
加工手段470は、画像データの加工の内容をユーザが指示するためのメニューを表示手段220に表示させる。したがって、制御手段250は、加工手段470を起動させることにより加工の内容をユーザが指示するためのメニューを表示させるための機能を果たすことになる。
【0106】
また、加工手段470は、メニューとともに、画像データ取得手段230が取得した原稿の画像データを表示手段220に表示させてもよい。かかる場合、制御手段250は、加工手段470を起動させることにより、メニューとともに、原稿の画像データを表示させるための機能を果たすことになる。なお、メニューとともに画像データを表示させることにより、ユーザの指示に基づいた加工が施された画像データを逐次確認することが可能となり、ユーザビリティを向上させることができる。
【0107】
図12は、第3の実施形態における加工手段470の処理の流れを示すフローチャートである。以下、図11の説明と合わせて、図12を参照しながら加工手段470の処理動作を説明する。
【0108】
図11に示すとおり、加工手段470は、領域識別手段471と、表示制御手段472と、データ加工手段473とを含んで構成される。
【0109】
領域識別手段471は、原稿の画像データを格納手段240から取得し(図12のS401)、取得された画像データに含まれる、文字領域、写真領域、表領域といった各領域を識別する(図12のS402)。ここで領域識別手段471は、画像データから同色、または同系色の画素連結成分を取得し、取得された連結成分の外接矩形の並びや大きさ等の情報を利用することにより、文字領域や写真領域等の領域を識別する。そして、領域識別手段471は、領域の位置と、種別を含む領域識別結果を格納手段240に格納する。なお、領域識別の手法は従来提案されている種々の手法を用いることが可能であり、例えば、特開平3−009489号公報や、特開平7−322061号公報にて提案されている手法を用いることができる。
【0110】
表示制御手段472は、画像データの加工の内容をユーザに指示させるために、表示手段220に原稿の画像データを表示させる(図12のS403)。なお、画像データとともに加工の内容を指示するためのメニューを表示手段220に表示させてもよい。
【0111】
図13は、表示制御手段472が表示手段220に表示させた画像の一例であり、より具体的には、メニューとともに画像データを表示させた場合の一例である。
【0112】
図13に示すとおり、表示手段220には、向かって左側に原稿の画像データが、右側にはメニューとして、画像データの加工に用いる情報を入力させるためのアイコン300aが表示されている。図13の例では、第1の実施形態のアイコン300に含まれていない領域指定アイコン315を含む、10個のアイコンがアイコン300aとして表示されている。
【0113】
領域指定アイコン315は、領域識別手段471により識別された領域を、加工領域として指定することが可能なモードへ移行するためのアイコンとして機能する。つまり、領域指定アイコン315が指定されることにより、領域識別手段471が格納手段240に格納した領域識別結果を読み出すことで、予め識別された文字領域、写真領域、表領域などの各領域を加工領域として指定することが可能となる。識別された領域の中から加工領域を指定する際の操作については、識別された領域をマスキングするなどして選択可能に表示し、ユーザからの選択操作を受け付ければよい。これにより、ユーザが加工領域を指定する際の操作を容易にすることができる。
【0114】
データ加工手段473は、上述したメニューによるユーザ指示に基づいた加工を画像データに施すことにより、加工後の画像データ(出力画像データ)を生成する(図12のS404)。
【0115】
[第4の実施形態]
次に、第4の実施形態について説明する。第4の実施形態は、情報漏洩を防止するための動作モード(第1のモード)と、その動作モードとは異なる動作モード(第2のモード)とが切替可能であり、第1のモードである場合にのみ、加工手段が起動可能であることが他の実施形態と相違する。
【0116】
図14は、第4の実施形態にかかる複合機100cの機能ブロック図である。なお、本実施形態にかかる複合機100cと、第1の実施形態にかかる複合機100とは同一のハードウエア構成を採用するため、その説明は割愛する。
【0117】
図14に示すように、第4の実施形態にかかる複合機100cは、指示受付手段210、表示手段220、画像データ取得手段230、格納手段240、種別検知手段260、加工手段270、出力手段280、制御手段550及びモード切替手段590を備える。ここで、制御手段550及びモード切替手段590を除く構成要素は、第1の実施形態と実施的に同一の機能構成であるため、夫々についての詳細な説明は省略する。
【0118】
制御手段550は、格納手段240が格納する各種データの読み出し(ロード)、削除(デリート)を行う他、指示受付手段210、表示手段220、画像データ取得手段230、種別検知手段260、加工手段270、出力手段280及びモード切替手段590の制御も行う。ここで制御手段550は、コントローラ110によって実現される。より具体的には、コントローラ110内のCPU111が、RAM112に展開されたプログラムに基づく演算処理を実行することにより、制御手段550が実現される。なお、制御手段550の制御は、モード切替手段590により切り替えられた動作モードに応じて制御を行うこと以外については、他の実施形態における制御手段250と同様の制御を行う。
【0119】
モード切替手段590は、複合機100cの動作モードを、前述した第1のモード又は第2のモードのいずれかのモードに切り替える。具体的には、モード切替手段590は、ユーザからモードの切り替え指示を受け付けるためのメニューを表示手段220に表示させ、指示受付手段210を介して入力される指示に基づいた動作モードへ切り替える。例えば、第1のモードと第2のモードを選択するためのアイコンを表示手段220に表示させ、指示受付手段210を介した選択指示をユーザから受け付けることで、動作モードの切り替えを行う。なお、選択指示をユーザから受け付ける際には、管理パスワードを要求し、その管理パスワードとマッチする入力があった場合にのみ、モードの切り替えを有効としてもよい。この場合は、管理者などの特定の人のみがモードの切り替えを行うことが可能となる。
【0120】
モード切替手段590は、コントローラ110によって実現される。より具体的には、コントローラ110内において、RAM112に展開されたプログラムに基づく演算処理をCPU111が実行することにより、モード切替手段590が実現される。
【0121】
図15は、第4の実施形態にかかる複合機100cのフローチャートであり、複合機100cにおける処理の流れを示す。図15に示すように、複合機100cにおける制御手段550は、S101に次ぐS101aにおいて、モード切替手段590により切り替えが行われた動作モードが第1のモードであるか否かを判定する。
【0122】
動作モードが第1のモードである場合(S101a:YES)、制御手段550は、S102へ処理を進める。動作モードが第1のモードでない場合、すなわち第2のモードである場合(S101a:NO)、制御手段550は、S108へ処理を進める。なお、第2のモードが紙幣等の不正コピーを防止するための禁止処理を行うモードである場合には、S108において、禁止処理を行う原稿であるかをチェック(例えば紙幣検知)し、禁止処理を行う原稿である場合には禁止処理(例えば、出力しない又は真っ黒にする等)を行ってもよい。
【0123】
したがって、複合機100cでは、情報漏洩を防止するための第1のモードである場合にのみ、機密原稿などの所定の原稿に対してユーザが意図した加工を行うための加工手段270を起動させることが可能となる。このため、機密原稿であっても加工が不要な場合には第2のモードにすることで、意図せずに加工手段270が起動することを防止できる。
【0124】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0125】
例えば、上記実施の形態では、本発明の画像処理装置を、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機に適用した例を挙げて説明した。しかしながら、本発明の画像処理装置は、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像処理を行って出力(画像形成を含む)する装置であれば、いずれにも適用することができる。
【符号の説明】
【0126】
100、100a、100b、100c 複合機
110 コントローラ
111 CPU
112 RAM
113 ROM
120 オペレーションパネル
130 通信インターフェース
131 外部装置
140 スキャナエンジン
141 スキャナ
150 プリンタエンジン
151 プリンタ
160 ファクシミリコントロールユニット
161 ファクシミリ
170 HDD
180 記憶媒体読取装置
181 記憶媒体
190 バスライン
210 指示受付手段
220 表示手段
230 画像データ取得手段
240 格納手段
250、550 制御手段
260、360 種別検知手段
270、470 加工手段
280 出力手段
590 モード切替手段
【先行技術文献】
【特許文献】
【0127】
【特許文献1】特開2004−274092号公報
【特許文献2】特開2007−124169号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの指示に応じて原稿の画像データを取得し、取得された前記画像データを加工して出力する画像処理装置であって、
前記原稿の種別を検知する種別検知手段と、
取得された前記画像データに前記ユーザの指示に基づいた加工を施す加工手段と、
検知された前記原稿の種別が所定の種別である場合には、前記加工手段を起動させる制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記加工手段を起動させることにより前記加工の内容を指示するためのメニューを表示手段に表示させることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記メニューと共に、取得された前記画像データを前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記メニューと共に、取得された前記画像データと前記加工の内容が反映された画像データとを前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項2又は3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
情報漏洩を防止するための第1のモードと、該第1のモードとは異なる第2のモードとを切り替えるモード切替手段を備え、
前記制御手段は、前記第1のモードである場合に、前記加工手段を起動させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記種別検知手段は、前記第1のモードの場合にのみ、原稿の種別を検知することを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
取得された前記画像データに含まれる所定のキーを認識するキー認識手段を備え、
前記種別検知手段は、キーと原稿の種別とを関連づけて格納する格納部から、前記キー認識手段で認識されたキーに関連づけられている原稿の種別を検知結果とすることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
ユーザの指示に応じて原稿の画像データを取得し、取得された前記画像データを加工して出力するコンピュータに、
前記原稿の種別を検知する種別検知ステップと、
検知された前記原稿の種別が所定の種別である場合に、取得された前記画像データに加工を施すためのメニューを表示手段に表示させる表示ステップと、
表示された前記メニューに基づいて入力された前記ユーザの指示に応じた加工を、前記画像データに施す加工ステップと、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項9】
前記表示ステップは、前記メニューとともに、前記原稿の画像データを表示させるステップであることを特徴とする請求項8に記載のプログラム。
【請求項10】
前記表示ステップは、前記メニューとともに、取得された前記画像データと加工が施された画像データとを表示させるステップであることを特徴とする請求項9に記載のプログラム。
【請求項11】
情報漏洩を防止するための第1のモードと、該第1のモードとは異なる第2のモードとを切り替えるモード切替ステップを実行させ、
前記表示ステップは、前記第1のモードである場合に、前記メニューを表示させるステップであることを特徴とする請求項8乃至10のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項12】
前記種別検知ステップは、前記第1のモードの場合にのみ、原稿の種別を検知するステップであることを特徴とする請求項11に記載のプログラム。
【請求項13】
取得された前記画像データに含まれる所定のキーを認識するキー認識ステップを実行させ、
前記種別検知ステップは、キーと原稿の種別とを関連づけて格納する格納部から、前記キー認識ステップで認識されたキーに関連づけられている原稿の種別を検知結果とするステップであることを特徴とする請求項8乃至12のいずれか一項に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−61744(P2011−61744A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−212470(P2009−212470)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】