説明

画像処理装置及びプログラム

【課題】心筋の灌流動態の検査を精度よく、かつ、効率的に行なうこと。
【解決手段】実施形態の画像処理装置30は、取得部33、補正部34及び灌流画像生成部35を備える。取得部33は、造影剤が投与された被検体の心臓を含む第1の医用画像群を撮影する第1の造影検査の後に、造影剤が再度投与された被検体の心臓を含む第2の医用画像群を撮影する第2の造影検査を行なって心筋灌流データを生成する際に、当該第2の造影検査時に投与された造影剤が被検体の心臓に到達する前の心筋組織及び動脈血の画素値を取得する。補正部34は、取得部33により取得された各画素値を用いて、第2の医用画像群における動脈血及び心筋組織の造影剤濃度を補正する。灌流画像生成部35は、補正された第2の医用画像群における動脈血及び心筋組織の造影剤濃度を用いて、第2の造影検査における被検体の心筋灌流データを算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、心筋の毛細血管における血液の灌流(Perfusion)を評価するために、X線CT(Computed Tomography)装置やX線診断装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置などにより造影撮影された医用画像を用いて、心筋の灌流動態を定量的に表すデータ(心筋灌流データ)を算出することが行なわれている。また、かかる心筋灌流データを心臓組織上にマッピングしたマップ画像を心筋灌流画像として生成することも行なわれている。
【0003】
一般的には、心筋の灌流動態を評価する際、安静時検査と負荷時検査との検査を2回行なう検査法が行なわれている。まず、安静時検査においては、安静状態にある被検体に造影剤が注入された後、例えば、X線CT画像の撮影が行なわれる。ここで、X線CT画像の撮影では、予備撮影及び本撮影が行なわれる。予備撮影は、一定量の造影剤が心臓に到達したか否かを判定するために行なわれる撮影であり、本撮影よりも低線量のX線が照射されることで、関心領域(ROI:Region Of Interest)を含むX線CT画像がX線CT装置により時系列に沿って順次再構成される。そして、X線CT装置は、予備撮影により再構成されたX線CT画像の関心領域における画素値(CT値、単位[HU])が所定の閾値以上となった場合、一定量の造影剤が心臓に到達したと判定する。そして、X線CT装置は、X線量を上げて、例えば、ヘリカルスキャンにより心臓全体をスキャンすることで、心臓全体が含まれるボリュームデータを再構成するための本撮影を実行する。そして、予備撮影時に撮影された安静時における時系列に沿った複数のX線CT画像から、安静時の心筋灌流データが算出される。
【0004】
その後、負荷時検査においては、例えば、運動負荷や薬剤負荷が施された被検体に再度造影剤が注入された後、X線CT画像の撮影が行なわれる。そして、予備撮影時に撮影された負荷時における時系列に沿った複数のX線CT画像から、負荷時の心筋灌流データが算出される。そして、医師は、安静時の心筋灌流データと負荷時の心筋灌流データとを比較することで、被検体の心筋における疾患の有無や、疾患の程度の診断を行なう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−125127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記した従来の検査法では、造影剤が2回投与されることとなる。ここで、例えば、安静時検査と負荷時検査とを1時間程度の間隔をあけて実施すれば、安静時検査で注入した造影剤は排泄され、負荷時検査もほぼ安静時検査と同じ状態で検査することができる。しかし、現実には、安静時検査で注入した造影剤が排泄されるまで注射針を挿入した状態で待機させることは、被検体に対する負担がかかり、かつ、検査効率が悪くなってしまう。
【0007】
このため、医療現場では、安静時検査が終了したら、なるべく早く負荷時検査を行うことが要求される。しかし、X線CT画像などから心筋灌流データを算出する方法は、検査前に被検体の心臓に造影剤が入っていないことを前提としている。したがって、安静時検査終了後、ただちに負荷時検査を行なうと、安静時検査で注入した造影剤が排泄されずに心筋や血液に残存することとなり、負荷時の心筋灌流データに誤差が含まれることとなる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の画像処理装置は、取得部と、補正部と、算出部とを備える。取得部は、造影剤が投与された被検体の心臓を含む第1の医用画像群を撮影する第1の造影検査の後に、造影剤が再度投与された被検体の心臓を含む第2の医用画像群を撮影する第2の造影検査を行なって前記被検体の心筋組織における血流の灌流動態を示す心筋灌流データを生成する際に、当該第2の造影検査時に投与された造影剤が前記被検体の心臓に到達する前の心筋組織及び動脈血の画素値を取得する。補正部は、前記取得部により取得された各画素値を用いて、前記第2の医用画像群における動脈血及び心筋組織の造影剤濃度を補正する。算出部は、前記補正部により補正された前記第2の医用画像群における動脈血及び心筋組織の造影剤濃度を用いて、前記第2の造影検査における前記被検体の心筋灌流データを算出する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る画像処理装置の構成を説明するための図である。
【図2】図2は、第1の実施形態に係る取得部を説明するための図である。
【図3】図3は、取得部の処理に用いられるROIの一例を説明するための図である。
【図4】図4は、第1の実施形態に係る画像処理装置の処理を説明するためのフローチャートである。
【図5】図5は、第2の実施形態に係る取得部を説明するための図である。
【図6】図6は、第2の実施形態に係る画像処理装置の処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】図7は、第3の実施形態に係る取得部を説明するための図である。
【図8】図8は、第3の実施形態に係る画像処理装置の処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、画像処理装置の実施形態を詳細に説明する。なお、本実施形態に係る画像処理装置は、X線CT(Computed Tomography)装置やX線診断装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置などの医用画像診断装置により造影撮影された医用画像を用いて、心筋組織の灌流動態を定量的に表すデータ(心筋灌流データ)を算出する装置である。心筋灌流データとしては、「CBP」、「CBV」、「MTT」などが挙げられる。なお、「CBP」とは、毛細血管内の単位体積および単位時間当たりの血流量のことであり、「CBV」とは、毛細血管内の単位体積当たりの血流量のことであり、「MTT」とは、毛細血管の血液平均通過時間のことである。
【0011】
例えば、本実施形態に係る画像処理装置は、造影剤(非イオン性ヨード造影剤など)を投与した被検体の心臓を予備撮影において時系列に沿って撮影されたX線CT画像におけるCT値(画素値)の経時的濃度変化に基づいて、心筋灌流データを算出する。また、本実施形態に係る画像処理装置は、心筋灌流データを心臓組織上にマッピングしたマップ画像を心筋灌流画像として生成する。
【0012】
ここで、一般的には、心筋の灌流動態を評価する際、第1の造影検査である安静時検査と第2の造影検査である負荷時検査との検査を2回行なう検査法が行なわれる。まず、安静時検査においては、安静状態にある被検体に造影剤が注入された後、医用画像の撮影が行なわれる。そして、安静時における時系列に沿った複数の医用画像(第1の医用画像群)から、安静時の心筋灌流データが算出される。例えば、第1の医用画像群である第1のX線CT画像群の中で予備撮影時に撮影された時系列に沿った複数のX線CT画像から、安静時の心筋灌流データが算出される。
【0013】
その後、負荷時検査においては、例えば、運動負荷や薬剤負荷が施された被検体に再度造影剤が注入された後、医用画像の撮影が行なわれる。そして、負荷時における時系列に沿った複数の医用画像(第2の医用画像群)から、負荷時の心筋灌流データが算出される。例えば、第2の医用画像群である第2のX線CT画像群の中で予備撮影時に撮影された負荷時における時系列に沿った複数のX線CT画像から、安静時の心筋灌流データが算出される。
【0014】
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係る画像処理装置の構成について、図1を用いて説明する。図1は、第1の実施形態に係る画像処理装置の構成を説明するための図である。
【0015】
図1に示すように、第1の実施形態に係る画像処理装置30は、医用画像データベース20に接続され、また、医用画像データベース20は、医用画像診断装置10と接続される。
【0016】
医用画像診断装置10は、X線CT装置や、X線診断装置、MRI装置などの医用画像診断装置である。医用画像データベース20は、各種の医用画像のデータを管理するシステムであるPACS(Picture Archiving and Communication System)のデータベースや、医用画像が添付された電子カルテを管理する電子カルテシステムのデータベースなどである。
【0017】
なお、以下では、医用画像診断装置10であるX線CT装置が安静時検査と負荷時検査との2回にわたりX線CT画像の予備撮影及び本撮影を行なう場合について説明する。そして、以下では、医用画像診断装置10であるX線CT装置により撮影されたX線CT画像群が医用画像データベース20に格納され、第1の実施形態に係る画像処理装置30が医用画像データベース20から医用画像診断装置10であるX線CT装置により撮影されたX線CT画像群を読み出して、安静時の心筋灌流データ及び負荷時の心筋灌流データを算出する場合について説明する。
【0018】
図1に示すように、第1の実施形態に係る画像処理装置30は、入力部31と、表示部32と、取得部33と、補正部34と、灌流画像生成部35と、表示制御部36とを有する。
【0019】
入力部31は、マウス、キーボードなどを有し、画像処理装置30の操作者からの各種設定要求を受け付ける。例えば、入力部31は、画像処理対象となるX線CT画像群の指定を操作者から受け付ける。これにより、画像処理装置30は、操作者が指定したX線CT画像群を医用画像データベース20から取得する。ここで、画像処理対象となるX線CT画像は、安静時の心筋灌流データ及び負荷時の心筋灌流データを算出するために医用画像診断装置10であるX線CT装置により撮影された画像群である。
【0020】
表示部32は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode-Ray Tube)ディスプレイなどのモニタを有する。表示部32は、入力部31を介して操作者からコマンドを受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、画像処理対象となるX線CT画像や後述する灌流画像生成部35により生成された心筋灌流画像を表示したりする。
【0021】
灌流画像生成部35は、心筋灌流データを算出し、算出した心筋灌流データをマッピングした心筋灌流画像を生成する。表示制御部36は、表示部32におけるGUI表示や画像表示を制御する。
【0022】
ここで、安静時検査と、負荷時検査とを行なう場合、造影剤が2回投与されることとなる。例えば、安静時検査と負荷時検査とを1時間程度の間隔をあけて実施すれば、安静時検査で注入した造影剤は排泄され、負荷時検査もほぼ安静時検査と同じ状態で検査することができる。しかし、現実には、安静時検査で注入した造影剤が排泄されるまで注射針を挿入した状態で待機させることは、被検体に対する負担がかかり、かつ、検査効率が悪くなってしまう。このため、医療現場では、安静時検査が終了したら、なるべく早く負荷時検査を行うことが要求される。しかし、心筋灌流データを算出する方法は、検査前に被検体の心臓に造影剤が入っていないことを前提としている。したがって、安静時検査終了後、ただちに負荷時検査を行なうと、安静時検査で注入した造影剤が排泄されずに心筋や血液に残存することとなり、負荷時の心筋灌流データに誤差が含まれることとなる。
【0023】
そこで、第1の実施形態に係る画像処理装置30は、心筋の灌流動態の検査を精度よく、かつ、効率的に行なうために、図1に示す取得部33及び補正部34を有する。
【0024】
取得部33は、造影剤が投与された被検体の心臓を含む第1の医用画像群を撮影する安静時検査の後に、造影剤が再度投与された被検体の心臓を含む第2の医用画像群を撮影する負荷時検査を行なって心筋灌流データを生成する際に、当該負荷時検査時に投与された造影剤が被検体の心臓に到達する前の心筋組織及び動脈血の画素値を取得する。
【0025】
例えば、取得部33は、第1のX線CT画像群を撮影する安静時検査の後に、第2のX線CT画像群を撮影する負荷時検査を行なって心筋灌流データを生成する際に、負荷時検査に投与された造影剤が被検体の心臓に到達する前に撮影されたX線CT画像に描出された心筋組織及び動脈血の画素値を取得する。
【0026】
以下、取得部33が実行する処理について、図2を用いて説明する。図2は、第1の実施形態に係る取得部を説明するための図である。図2に示す一例では、X線CT装置により安静時検査及び負荷時検査におけるX線CT画像の撮影が行なわれた場合の動脈血(Arterial blood)及び心筋組織(Myocardium)の経時的濃度変化を安静時検査及び負荷時検査のワークフローとともに示している。
【0027】
例えば、医用画像診断装置10であるX線CT装置は、安静時検査にて、造影剤がボーラス投与された被検体の心臓を含む「第1のX線CT画像群」を時系列に沿って撮影する。ここで、X線CT装置による撮影では、図2に示すように、予備撮影及び本撮影が行なわれる。予備撮影は、一定量の造影剤が心臓に到達したか否かを判定するために行なわれる撮影であり、本撮影よりも低線量のX線が照射されることで、関心領域(ROI:Region Of Interest)を含むX線CT画像がX線CT装置により時系列に沿って順次再構成される。そして、X線CT装置は、予備撮影により再構成されたX線CT画像の関心領域における画素値(CT値、単位[HU])が所定の閾値以上となった場合、一定量の造影剤が心臓に到達したと判定する。そして、X線CT装置は、X線量を上げて、例えば、ヘリカルスキャンにより心臓全体をスキャンすることで、心臓全体が含まれるボリュームデータを再構成するための本撮影を実行する。
【0028】
その後、被検体は、薬剤負荷により心臓に負荷が与えられる。例えば、被検体は、アデノシンが投与されることで、心臓に負荷が与えられる。ここで、負荷薬剤の効力が発揮するためには、例えば、10分程度の時間が必要とされる。
【0029】
そして、検査時間を短縮するために、図2に示すように、安静時検査の約10分後、負荷時検査が開始され、医用画像診断装置10であるX線CT装置は、「第2のX線CT画像群」を時系列に添って撮影する。なお、医用画像診断装置10であるX線CT装置は、負荷時検査においても、安静時検査と同様に、図2に示すように、予備撮影及び本撮影を行なう。
【0030】
ここで、図2に示すように、「Ca(t)」を動脈血の造影剤濃度を示すCT値とし、「Cmyo(t)」を心筋組織の造影剤濃度を示すCT値とする。すなわち、安静時検査の「Ca(t)」は、図2に示すように、X線CT画像上の動脈血のCT値から、動脈血そのもののCT値(BL1)を除いたものである。また、安静時検査の「Cmyo(t)」は、図2に示すように、X線CT画像上の心筋組織のCT値から、心筋組織そのもののCT値(BL2)を除いたものである。なお、心筋組織は、血液に富み、X線吸収から見ると動脈血と等価と見なすことができる。すなわち、図2に示すように、「BL1=BL2」となる。
【0031】
安静時検査の「Ca(t)」は、図2に示すように、時系列に沿って上昇した後、プラトーに達して減少し、その後、略一定の値となる。また、安静時検査の「Cmyo(t)」は、図2に示すように、「Ca(t)」より緩やかに上昇した後、プラトーに達して減少し、その後、略一定の値となる。ここで、安静時検査と負荷時検査との間が約10分である場合、負荷時検査の開始時には、安静時検査で注入した造影剤が排泄されずに心筋組織や動脈血に残存することとなる。ただし、「Ca(t)」及び「Cmyo(t)」の値は、上述したように、略定常状態となっている。
【0032】
すなわち、負荷時検査の「Ca(t)」は、図2に示すように、X線CT画像上の動脈血のCT値から、「動脈血そのもののCT値(BL1)と動脈血に残存した造影剤に由来するCT値との和」である「BL3」を除いたものとなる。また、負荷時検査の「Cmyo(t)」は、図2に示すように、X線CT画像上の心筋組織のCT値から、「心筋組織そのもののCT値(BL1)と心筋組織に残存した造影剤に由来するCT値との和」である「BL4」を除いたものとなる。
【0033】
換言すれば、「BL3」及び「BL4」それぞれは、負荷時検査に投与された造影剤が被検体の心臓に到達する前に撮影されたX線CT画像に描出された心筋組織及び動脈血のCT値である。このため、第1の実施形態では、医用画像診断装置10であるX線CT装置により、第2の造影検査(負荷時検査)の撮影前にX線CT画像が追加撮影される。すなわち、図2に示すように、負荷時検査の撮影前の「時点A」にて、X線CT画像の追加撮影が行なわれる。
【0034】
「時点A」の追加撮影により撮影されたX線CT画像は、安静時検査の予備撮影及び本撮影にて撮影された第1のX線CT画像群と、負荷時検査の予備撮影及び本撮影にて撮影された第2のX線CT画像群とともに、医用画像データベース20に格納される。そして、第1の実施形態に係る取得部33は、負荷時検査の撮影前に撮影されたX線CT画像に描出された心筋組織及び動脈血の画素値を取得する。
【0035】
まず、表示制御部36は、「時点A」の追加撮影により撮影されたX線CT画像を読み出し、表示部32に表示させる。そして、操作者は、入力部31を介して、BL3取得用ROIと、BL4取得用ROIとをX線CT画像上に設定する。そして、取得部33は、「時点A」の追加撮影により撮影されたX線CT画像に設定されたBL3取得用ROIからBL3を取得する。また、取得部33は、「時点A」の追加撮影により撮影されたX線CT画像に設定されたBL4取得用ROIからBL4を取得する。図3は、取得部の処理に用いられるROIの一例を説明するための図である。
【0036】
例えば、取得部33は、図3に示すように、左心室内腔に設定されたBL3取得用ROIからBL3を取得する。また、取得部33は、図3に示すように、左心室心筋に設定されたBL4取得用ROIからBL4を取得する。なお、第1の実施形態で追加撮影されるX線CT画像は、本撮影と同程度の線量のX線を照射することで撮影された画像であっても、予備撮影と同様に低線量のX線を照射することで撮影された画像であってもよい。ただし、BL3及びBL4の取得対象となるX線CT画像が低線量のX線を照射して撮影された画像である場合、BL3及びBL4それぞれを取得するためのROIを複数設定し、当該設定した複数のROIから取得されたCT値の平均値を算出することで、より正確なBL3及びBL4を取得することが望ましい。
【0037】
図1に戻って、補正部34は、取得部33により取得された各画素値を用いて、第2の医用画像群における動脈血及び心筋組織の造影剤濃度を補正する。すなわち、第1の実施形態に係る補正部34は、取得部33により取得されたBL3及びBL4を用いて、第2のX線CT画像群の中で予備撮影にて撮影されたX線CT画像群における動脈血及び心筋組織の造影剤濃度を補正する。例えば、補正部34は、図2に示す第2のX線CT画像群の中で予備撮影にて撮影されたX線CT画像群における動脈血のCT値からBL3を差し引くことで、負荷時検査の「Ca(t)」を算出する。また、補正部34は、図2に示す第2のX線CT画像群の中で予備撮影にて撮影されたX線CT画像群における心筋組織のCT値からBL4を差し引くことで、負荷時検査の「Cmyo(t)」を算出する。
【0038】
そして、灌流画像生成部35は、補正部34により補正された第2の医用画像群における動脈血及び心筋組織の造影剤濃度を用いて、第2の造影検査における被検体の心筋灌流データを算出する。そして、灌流画像生成部35は、第2の造影検査における被検体の心筋灌流画像を生成する。
【0039】
例えば、灌流画像生成部35は、補正部34により算出された第2のX線CT画像群における「Ca(t)」及び「Cmyo(t)」を用いて、負荷時検査における被検体の心筋灌流データを算出する。そして、灌流画像生成部35は、負荷時検査における被検体の心筋灌流データから負荷時検査における心筋灌流画像を生成する。
【0040】
なお、灌流画像生成部35は、安静時検査前に撮影されたX線CT画像や、安静時検査時の予備撮影直後に撮影されたX線CT画像から取得されるBL1及びBL2を用いて、安静時検査における被検体の心筋灌流データを算出し、負荷時検査における被検体の心筋灌流画像を生成する。また、灌流画像生成部35は、「Cmyo(t)」を「Ca(t)」で除した値(Cmyo(t)/Ca(t))であるAD(Attenuation density ratio)の推定曲線(ADC)を用いて心筋灌流データを算出するが、ADCに対して平滑化フィルター処理を施した後に、心筋灌流データを算出してもよい。
【0041】
そして、表示制御部36は、灌流画像生成部35により生成された安静時検査及び負荷時検査における心筋灌流画像を表示部32に表示させる。
【0042】
次に、図4を用いて、第1の実施形態に係る画像処理装置30の処理について説明する。図4は、第1の実施形態に係る画像処理装置の処理を説明するためのフローチャートである。なお、図4では、画像処理装置30が、画像処理対象となる画像群を医用画像データベース20から読み込んだ後の処理について説明する。ここで、本実施形態における画像処理対象となる画像群は、安静時検査の予備撮影及び本撮影にて撮影された第1のX線CT画像群、負荷時検査の予備撮影及び本撮影にて撮影された第2のX線CT画像群、及び負荷時検査の直前に追加撮影されたX線CT画像である。
【0043】
図4に示すように、第1の実施形態に係る画像処理装置30は、操作者から画像処理要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS101)。ここで、画像処理要求を受け付けない場合(ステップS101否定)、画像処理装置30は、待機状態となる。
【0044】
一方、画像処理要求を受け付けた場合(ステップS101肯定)、取得部33は、負荷時検査の直前に撮影されたX線CT画像からBL3及びBL4を取得する(ステップS102)。
【0045】
そして、補正部34は、取得部33により取得されたBL3及びBL4を用いて、第2のX線CT画像群における動脈血及び心筋組織の造影剤濃度を補正する(ステップS103)。すなわち、補正部34は、BL3及びBL4を用いて、第2のX線CT画像群の中で予備撮影にて撮影されたX線CT画像群における動脈血及び心筋組織の造影剤濃度を補正する。
【0046】
その後、灌流画像生成部35は、補正部34により補正された第2の医用画像群における動脈血及び心筋組織の造影剤濃度を用いて心筋灌流データを算出することで、負荷時検査における心筋灌流画像を生成し(ステップS104)、処理を終了する。なお、灌流画像生成部35は、ステップS104の処理とともに、安静時検査における心筋灌流データを算出することで、安静時検査における心筋灌流画像を生成する。
【0047】
上述してきたように、第1の実施形態では、取得部33は、造影剤が投与された被検体の心臓を含む第1の医用画像群を撮影する第1の造影検査(安静時検査)の後に、造影剤が再度投与された被検体の心臓を含む第2の医用画像群を撮影する第2の造影検査(負荷時検査)を行なって心筋灌流データを生成する際に、当該第2の造影検査時に投与された造影剤が被検体の心臓に到達する前の心筋組織及び動脈血の画素値を取得する。具体的には、取得部33は、第2の造影検査の撮影前に撮影されたX線CT画像に描出された心筋組織及び動脈血の画素値を取得する。
【0048】
そして、補正部34は、取得部33により取得された各画素値を用いて、第2の医用画像群における動脈血及び心筋組織の造影剤濃度を補正する。そして、灌流画像生成部35は、補正された第2の医用画像群における動脈血及び心筋組織の造影剤濃度を用いて、第2の造影検査における被検体の心筋灌流データを算出する。
【0049】
すなわち、第1の実施形態によれば、第1の造影検査にて投与された造影剤が完全に排泄される前に再度造影剤を投与して第2の造影検査を行なっても、動脈血及び心筋組織に残存している造影剤の濃度を取得することで、第2の造影検査における心筋灌流データに誤差が含まれてしまうことを回避することができる。従って、第1の実施形態によれば、心筋の灌流動態の検査を精度よく、かつ、効率的に行なうことが可能となる。
【0050】
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る画像処理装置30は、図1を用いて説明した第1の実施形態に係る画像処理装置30と同様に構成されるが、取得部33の処理対象となる医用画像が第1の実施形態と異なる。図5は、第2の実施形態に係る取得部を説明するための図である。
【0051】
第2の実施形態に係る取得部33は、第2の造影検査である負荷時検査の開始直後に撮影された医用画像に描出された心筋組織及び動脈血の画素値を取得する。例えば、第2の実施形態に係る取得部33は、図5に示すように、負荷時検査直後の時点「B」で予備撮影されたX線CT画像からBL3及びBL4を取得する。すなわち、図5に示す時点「B」で撮影されたX線CT画像は、負荷時検査に投与された造影剤が被検体の心臓に到達する前に撮影されたX線CT画像である。従って、第2の実施形態に係る取得部33は、図5に示す時点「B」で撮影されたX線CT画像からBL3及びBL4を取得することが可能である。
【0052】
第2の実施形態では、BL3及びBL4の取得対象となるX線CT画像が、低線量のX線を照射して撮影された画像であることから、BL3及びBL4それぞれを取得するためのROIを複数設定し、当該設定した複数のROIから取得されたCT値の平均値を算出することで、より正確なBL3及びBL4を取得することが望ましい。
【0053】
なお、第2の実施形態に係る補正部34、灌流画像生成部35及び表示制御部36の処理は、第1の実施形態で説明した処理と同じであるので説明を省略する。
【0054】
次に、図6を用いて、第2の実施形態に係る画像処理装置30の処理について説明する。図6は、第2の実施形態に係る画像処理装置の処理を説明するためのフローチャートである。なお、図6では、画像処理装置30が、画像処理対象となる画像群を医用画像データベース20から読み込んだ後の処理について説明する。ここで、本実施形態における画像処理対象となる画像群は、安静時検査の予備撮影及び本撮影にて撮影された第1のX線CT画像群、負荷時検査の予備撮影及び本撮影にて撮影された第2のX線CT画像群である。
【0055】
図6に示すように、第2の実施形態に係る画像処理装置30は、操作者から画像処理要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS201)。ここで、画像処理要求を受け付けない場合(ステップS201否定)、画像処理装置30は、待機状態となる。
【0056】
一方、画像処理要求を受け付けた場合(ステップS201肯定)、取得部33は、負荷時検査の直後に予備撮影されたX線CT画像からBL3及びBL4を取得する(ステップS202)。
【0057】
そして、補正部34は、取得部33により取得されたBL3及びBL4を用いて、第2のX線CT画像群における動脈血及び心筋組織の造影剤濃度を補正する(ステップS203)。すなわち、補正部34は、BL3及びBL4を用いて、第2のX線CT画像群の中で予備撮影にて撮影されたX線CT画像群における動脈血及び心筋組織の造影剤濃度を補正する。
【0058】
その後、灌流画像生成部35は、補正部34により補正された第2の医用画像群における動脈血及び心筋組織の造影剤濃度を用いて心筋灌流データを算出することで、負荷時検査における心筋灌流画像を生成し(ステップS204)、処理を終了する。なお、灌流画像生成部35は、ステップS204の処理とともに、安静時検査における心筋灌流データを算出することで、安静時検査における心筋灌流画像を生成する。
【0059】
上述してきたように、第2の実施形態では、取得部33は、第2の造影検査である負荷時検査の開始直後に撮影された医用画像に描出された心筋組織及び動脈血の画素値を取得する。すなわち、第1の実施形態では、BL3及びBL4を取得するために追加撮影が行なわれることが必要となる。追加撮影を行なうことは、被検体に対するX線被曝量の増大に繋がる。しかし、第2の実施形態では、検査時に撮影された画像からBL3及びBL4を取得することができる。従って、第2の実施形態によれば、X線被曝量を増大させることなく、心筋の灌流動態の検査を精度よく、かつ、効率的に行なうことが可能となる。
【0060】
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係る画像処理装置30は、図1を用いて説明した第1及び第2の実施形態に係る画像処理装置30と同様に構成されるが、取得部33の処理が第1及び第2の実施形態と異なる。
【0061】
すなわち、第3の実施形態に係る取得部33は、造影剤で染影されていない動脈血の画素値及び第2の造影検査(負荷時検査)時に投与された造影剤が被検体の心臓に到達する前の動脈血の画素値を取得する。そして、第3の実施形態に係る取得部33は、取得した2つの画素値に基づいて、第2の造影検査(負荷時検査)時に投与された造影剤が被検体の心臓に到達する前の心筋組織の画素値を推定する。
【0062】
例えば、取得部33は、安静時検査の開始前に撮影されたX線CT画像、又は、安静時検査時の予備撮影直後に撮影されたX線CT画像からBL1を取得する。また、取得部33は、第1の実施形態で説明したX線CT画像、又は、第2の実施形態で説明したX線CT画像からBL3を取得する。そして、取得部33は、BL1及びBL3に基づいて、BL4を推定する。図7は、第3の実施形態に係る取得部を説明するための図である。
【0063】
具体的には、第3の実施形態に係る取得部33は、図7に示すように、動脈血から心筋組織に流入する造影剤の割合(K1)と、心筋組織から動脈血に流入する造影剤の割合(k2)との比率及び上記の2つのCT値(BL1及びBL3)に基づいて、BL4を推定する。
【0064】
以下、BL4の推定法について数式を用いて説明する。心筋組織におけるCT値の時間変化率「dCmyo(t)/dt」は、「K1」、「k2」、「Ca(t)」及び「Cmyo(t)」により、以下の式(1)により示される。
【0065】
【数1】

【0066】
式(1)は、心筋組織のCT値の時間変化率が、動脈血から心筋組織への造影剤の流入「K1×Ca(t)」から、心筋組織から動脈血への造影剤の流出「k2×Cmyo(t)」を差し引いた値となることを示している。すなわち、式(1)によれば、一定量の造影剤が注入されると「Cmyo(t)」が増加することで「dCmyo(t)/dt」がプラスとなり、造影剤注入が終わると「dCmyo(t)/dt」が「0」となり、その後、「Cmyo(t)」が減少することで「dCmyo(t)/dt」がマイナスとなることを示している。また、式(1)は、「dCmyo(t)/dt」がマイナスとなった後、時間経過とともに「0」に近づくことを示している。
【0067】
ここで、第2の造影検査(負荷時検査)の開始直前(図2に示す時点「A」)や、第2の造影検査(負荷時検査)の開始直後(図5に示す時点「B」)では、「dCmyo(t)/dt」は、マイナスであるが、略「0」となる。すなわち、以下に示す式(2)が成り立つ。
【0068】
【数2】

【0069】
すなわち、時点「A」や時点「B」では、「K1×Ca(t)」と「k2×Cmyo(t)」とが略等しいと見なすことができる。
【0070】
また、「Ca(t)」と「Cmyo(t)」との比率は、「K1」と「k2」との比率となり、「K1」を「k2」で除した値は、実測データから、略一定値(例えば、「0.323」となることが知られている。すなわち、以下に示す式(3)が成り立つ。
【0071】
【数3】

【0072】
ここで、上述したように「BL1=BL2」が成り立つ。また、負荷時検査開始の直前、又は、直後における「Ca(t)」は、「BL3」から「BL1」を差し引いた値である。また、負荷時検査開始の直前、又は、直後における「Cmyo(t)」は、「BL4」から「BL2」を差し引いた値である。これらの条件及び式(3)の条件を式(2)に代入すると、以下の式(4)が求められる。
【0073】
【数4】

【0074】
すなわち、BL1及びBL3を取得することで、式(4)からBL4を推定することができる。従って、第3の実施形態に係る取得部33は、BL1及びBL3を取得し、取得したBL1及びBL3を式(4)に代入することで、BL4を推定する。
【0075】
なお、式(4)にて用いられる「K1」と「k2」との比率は、実測データにより随時修正することが可能である。
【0076】
そして、補正部34は、取得部33により取得されたBL3及び取得部33により取得されたBL4を用いて補正処理を行なう。
【0077】
なお、第3の実施形態に係る灌流画像生成部35及び表示制御部36の処理は、第1の実施形態で説明した処理と同じであるので説明を省略する。
【0078】
次に、図8を用いて、第3の実施形態に係る画像処理装置30の処理について説明する。図8は、第3の実施形態に係る画像処理装置の処理を説明するためのフローチャートである。なお、図8では、画像処理装置30が、画像処理対象となる画像群を医用画像データベース20から読み込んだ後の処理について説明する。ここで、本実施形態における画像処理対象となる画像群は、例えば、安静時検査の予備撮影及び本撮影にて撮影された第1のX線CT画像群、負荷時検査の予備撮影及び本撮影にて撮影された第2のX線CT画像群である。
【0079】
図8に示すように、第3の実施形態に係る画像処理装置30は、操作者から画像処理要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS301)。ここで、画像処理要求を受け付けない場合(ステップS301否定)、画像処理装置30は、待機状態となる。
【0080】
一方、画像処理要求を受け付けた場合(ステップS301肯定)、取得部33は、安静時検査の直後に予備撮影されたX線CT画像及び負荷時検査の直後に予備撮影されたX線CT画像からBL1及びBL3を取得する(ステップS302)。
【0081】
そして、取得部33は、BL1及びBL3から式(4)を用いて、BL4を推定する(ステップS303)。
【0082】
その後、補正部34は、BL3及びBL4を用いて、第2のX線CT画像群における動脈血及び心筋組織の造影剤濃度を補正する(ステップS304)。すなわち、補正部34は、BL3及びBL4を用いて、第2のX線CT画像群の中で予備撮影にて撮影されたX線CT画像群における動脈血及び心筋組織の造影剤濃度を補正する。
【0083】
そして、灌流画像生成部35は、補正部34により補正された第2の医用画像群における動脈血及び心筋組織の造影剤濃度を用いて心筋灌流データを算出し、負荷時検査における心筋灌流画像を生成し(ステップS305)、処理を終了する。なお、灌流画像生成部35は、ステップS305の処理とともに、安静時検査における心筋灌流データを算出し、安静時検査における心筋灌流画像を生成する。
【0084】
上述してきたように、第3の実施形態では、取得部33は、造影剤で染影されていない動脈血の画素値及び第2の造影検査(負荷時検査)時に投与された造影剤が被検体の心臓に到達する前の動脈血の画素値を取得する。そして、取得部33は、取得した2つの画素値に基づいて、第2の造影検査(負荷時検査)時に投与された造影剤が被検体の心臓に到達する前の心筋組織の画素値(BL4)を推定する。具体的には、取得部33は、動脈血から心筋組織に流入する造影剤の割合(K1)と、心筋組織から動脈血に流入する造影剤の割合(k2)との比率及び上記の2つの画素値(CT値:BL1及びBL3)に基づいて、BL4を推定する。
【0085】
すなわち、造影剤による染影度は、心筋組織に比べ動脈血の方が高いことからノイズ、アーチファクトの影響を受けやすいので、医用画像から取得された心筋組織の画素値は、精度が悪い場合がある。しかし、第3の実施形態では、第2の造影検査(負荷時検査)時に投与された造影剤が被検体の心臓に到達する前の心筋組織の画素値を、測定精度の高い動脈血の画素値のみから正確に推定することができる。従って、第3の実施形態によれば、心筋の灌流動態の検査をさらに精度よく行なうことが可能となる。
【0086】
なお、上記した第1〜第3の実施形態では、X線CT画像の撮影が予備撮影及び本撮影によって行なわれ、予備撮影にて撮影されたX線画像群から心筋灌流データが算出される場合について説明した。しかし、上記した第1〜第3の実施形態は、X線検出素子が体軸方向に沿って多列(例えば、320列)に配列されたX線検出器を用いたコンベンショナルスキャンにより心臓全体を含むX線CT画像(ボリュームデータ)が時系列に沿って複数再構成されるダイナミック撮影においても適用可能である。すなわち、上記した第1〜第3の実施形態は、一定量の造影剤が心臓に到達されるまでに撮影されたボリュームデータ群から心筋灌流データが算出される場合においても適用可能である。
【0087】
また、上記した第1〜第3の実施形態では、画像処理の対象となる医用画像がX線CT画像である場合について説明した。しかし、上記した第1〜第3の実施形態にて画像処理の対象となる医用画像は、X線画像やMRI画像である場合であってもよい。
【0088】
また、上記した第1〜第3の実施形態で説明した画像処理は、画像処理対象となる医用画像を撮影した医用画像診断装置内で実行される場合であってもよい。すなわち、上記した第1〜第3の実施形態は、医用画像診断装置10内に画像処理装置30が組み込まれる場合であってもよい。
【0089】
なお、本実施形態で説明した画像処理方法は、あらかじめ用意された画像処理プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することによって実現することができる。この画像処理プログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。また、この画像処理プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【0090】
上述したように、第1の実施形態、第2の実施形態及び第3の実施形態によれば、心筋の灌流動態の検査を精度よく、かつ、効率的に行なうことが可能となる。
【0091】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0092】
10 医用画像診断装置
20 医用画像データベース
30 画像処理装置
31 入力部
32 表示部
33 取得部
34 補正部
35 灌流画像生成部
36 表示制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
造影剤が投与された被検体の心臓を含む第1の医用画像群を撮影する第1の造影検査の後に、造影剤が再度投与された被検体の心臓を含む第2の医用画像群を撮影する第2の造影検査を行なって前記被検体の心筋組織における血流の灌流動態を示す心筋灌流データを生成する際に、当該第2の造影検査時に投与された造影剤が前記被検体の心臓に到達する前の心筋組織及び動脈血の画素値を取得する取得部と、
前記取得部により取得された各画素値を用いて、前記第2の医用画像群における動脈血及び心筋組織の造影剤濃度を補正する補正部と、
前記補正部により補正された前記第2の医用画像群における動脈血及び心筋組織の造影剤濃度を用いて、前記第2の造影検査における前記被検体の心筋灌流データを算出する算出部と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記第2の造影検査の撮影前に撮影された医用画像に描出された心筋組織及び動脈血の画素値を取得することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記取得部は、前記第2の造影検査の開始直後に撮影された医用画像に描出された心筋組織及び動脈血の画素値を取得することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記取得部は、造影剤で染影されていない動脈血の画素値及び前記第2の造影検査時に投与された造影剤が前記被検体の心臓に到達する前の動脈血の画素値を取得し、当該取得した2つの画素値に基づいて、前記第2の造影検査時に投与された造影剤が前記被検体の心臓に到達する前の心筋組織の画素値を推定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記取得部は、動脈血から心筋組織に流入する造影剤の割合と心筋組織から動脈血に流入する造影剤の割合との比率及び前記2つの画素値に基づいて、前記第2の造影検査時に投与された造影剤が前記被検体の心臓に到達する前の心筋組織の画素値を推定することを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
造影剤が投与された被検体の心臓を含む第1の医用画像群を撮影する第1の造影検査の後に、造影剤が再度投与された被検体の心臓を含む第2の医用画像群を撮影する第2の造影検査を行なって前記被検体の心筋組織における血流の灌流動態を示す心筋灌流データを生成する際に、当該第2の造影検査時に投与された造影剤が前記被検体の心臓に到達する前の心筋組織及び動脈血の画素値を取得する取得手順と、
前記取得手順により取得された各画素値を用いて、前記第2の医用画像群における動脈血及び心筋組織の造影剤濃度を補正する補正手順と、
前記補正手順により補正された前記第2の医用画像群における動脈血及び心筋組織の造影剤濃度を用いて、前記第2の造影検査における前記被検体の心筋灌流データを算出する算出手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−90883(P2012−90883A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−242468(P2010−242468)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(000125381)学校法人藤田学園 (19)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】