説明

画像処理装置及び画像形成装置

【課題】 文字領域と非文字領域との分離を高い精度で行う。
【解決手段】 複写機1は、原稿読取部5のCCDイメージセンサ59及び原稿給送部6の密着型イメージセンサ67によって読取られた原稿の画像データをそれぞれ画素毎に格納する第1画像データ記憶部71及び第2画像データ記憶部72と、第1画像データ及び第2画像データの各画素について文字画素であるか否かを判定するエッジ判定部102と、エッジ判定部102による判定結果に基づいて第1画像データを文字領域と非文字領域とに分離する領域分離部103と、第1画像データの文字領域及び非文字領域毎にそれぞれ異なる画像処理を施して補正する画像補正部104とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一方面にのみ画像が形成された原稿の前記一方面のイメージセンサによる読取り画像データを補正する画像処理装置及び一方面にのみ画像が形成された原稿の前記一方面を読取る第1イメージセンサと、前記一方面の読取りと同時に前記原稿の他方面を読取る第2イメージセンサとを有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ファクシミリ、複写機等の画像形成装置において、イメージセンサによって読込まれた画像データを、文字領域、図形領域、網点領域、写真領域等の各種領域に分離し、各領域に含まれる画像データの属性に応じた画像処理を施すことによって、画像データの品位を高めることが提案され、一部実用化されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開平7−123266号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、イメージセンサによって読込まれた1の画像データに、複数種の領域(例えば、文字領域と画像領域)が存在する場合に、各種領域を高い精度で分離することは困難であり、例えば、画像領域を文字領域等の他の種類の領域であると誤認識すると適切な画像処理が施されず、画像データの品位が劣化するという問題があった。
【0004】
そこで、本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、文字領域と非文字領域との分離を高い精度で行う画像処理装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の画像処理装置は、一方面にのみ画像が形成された原稿の前記一方面のイメージセンサによる読取り画像データを補正する画像処理装置であって、前記一方面の読取り画像データである第1画像データを画素毎に格納する第1画像記憶手段と、前記一方面に形成された画像の他方面への裏写りの読取り画像データである第2画像データを画素毎に格納する第2画像記憶手段と、前記第2画像データを用いて、前記第1画像データを文字データが含まれる領域である文字領域と文字以外のデータが含まれる領域である非文字領域とに分離する領域分離手段と、前記第1画像データに対して、前記文字領域及び非文字領域毎にそれぞれ異なる画像処理を施して補正する画像補正手段とを備えることを特徴としている。
【0006】
上記構成によれば、第1画像記憶手段に、一方面の読取り画像データである第1画像データが画素毎に格納され、第2画像記憶手段に、一方面に形成された画像の他方面への裏写りの読取り画像データである第2画像データが画素毎に格納されている。そして、領域分離手段によって、第2画像データを用いて、第1画像データが文字データが含まれる領域である文字領域と文字以外のデータが含まれる領域である非文字領域とに分離される。更に、画像補正手段によって、第1画像データに対して、文字領域及び非文字領域毎にそれぞれ異なる画像処理が施されて補正される。
【0007】
従って、一方面に形成された画像の他方面への裏写りの読取り画像データである第2画像データを用いて、第1画像データが文字データが含まれる領域である文字領域と文字以外のデータが含まれる領域である非文字領域とに分離されるため、文字領域と非文字領域とが高い精度で分離され、それぞれに適正な画像処理が施される。
【0008】
請求項2に記載の画像処理装置は、画素毎に隣接する画素との濃度差に基づいて文字画素であるか否かを判定する文字画素判定手段を備え、前記領域分離手段が、前記第1画像データ及び第2画像データに対する文字画素判定手段による判定結果に基づいて前記第1画像データを文字領域と非文字領域とに分離することを特徴としている。
【0009】
この構成によれば、文字画素判定手段によって、画素毎に隣接する画素との濃度差に基づいて文字画素であるか否かが判定される。また、領域分離手段によって、第1画像データ及び第2画像データに対する文字画素判定手段による判定結果に基づいて第1画像データが文字領域と非文字領域とに分離される。
【0010】
従って、一方面に形成された画像の他方面への裏写りの読取り画像データである第2画像データに対する文字画素判定手段による文字画素であるか否かの判定結果に基づいて第1画像データが文字領域と非文字領域とに分離されるため、文字領域と非文字領域とが更に高い精度で分離される。
【0011】
請求項3に記載の画像処理装置は、前記領域分離手段が、前記第1画像データの文字画素判定手段による判定結果が文字画素であり、且つ、前記第2画像データの文字画素判定手段による判定結果が文字画素である画素を文字領域とすることを特徴としている。
【0012】
この構成によれば、領域分離手段によって、第1画像データの文字画素判定手段による判定結果が文字画素であり、且つ、第2画像データの文字画素判定手段による判定結果が文字画素である画素が文字領域とされるため、文字領域と非文字領域とが簡単に且つ高い精度で分離される。
【0013】
請求項4に記載の画像形成装置は、一方面にのみ画像が形成された原稿の前記一方面を読取る第1イメージセンサと、前記一方面の読取りと同時に前記原稿の他方面を読取る第2イメージセンサとを有する画像形成装置であって、前記第1イメージセンサ及び第2イメージセンサを用いて、それぞれ、前記一方面の読取り画像データである第1画像データ及び前記一方面に形成された画像の他方面への裏写りの読取り画像データである第2画像データを生成する読取手段と、前記第1画像データを画素毎に格納する第1画像記憶手段と、前記第2画像データを画素毎に格納する第2画像記憶手段と、前記第2画像データを用いて、前記第1画像データを文字データが含まれる領域である文字領域と文字以外のデータが含まれる領域である非文字領域とに分離する領域分離手段と、前記第1画像データに対して、前記文字領域及び非文字領域毎にそれぞれ異なる画像処理を施して補正する画像補正手段とを備えることを特徴とする画像形成装置としている。
【0014】
この構成によれば、読取手段によって、第1イメージセンサ及び第2イメージセンサを用いて、それぞれ、一方面の読取り画像データである第1画像データ及び一方面に形成された画像の他方面への裏写りの読取り画像データである第2画像データが生成され、第1画像記憶手段及び第2画像記憶手段に、それぞれ、第1画像データ及び第2画像データが画素毎に格納される。そして、領域分離手段によって、第2画像データを用いて、第1画像データが、文字データが含まれる領域である文字領域と文字以外のデータが含まれる領域である非文字領域とに分離される。更に、画像補正手段によって、第1画像データに対して、文字領域及び非文字領域毎にそれぞれ異なる画像処理が施されて補正される。
【0015】
従って、一方面に形成された画像の他方面への裏写りの読取り画像データである第2画像データを用いて、第1画像データが文字データが含まれる領域である文字領域と文字以外のデータが含まれる領域である非文字領域とに分離されるため、文字領域と非文字領域とが高い精度で分離され、それぞれに適正な画像処理が施される。
【0016】
また、第1イメージセンサによって、原稿の一方面が読取られ、第2イメージセンサによって、一方面の読取りと同時に原稿の他方面が読取られるため、効率的に画像データが生成されると共に、画素位置の対応付けを高い精度で行い得る第1画像データと第2画像データとが得られる。
【0017】
請求項5に記載の画像形成装置は、画素毎に隣接する画素との濃度差に基づいて文字画素であるか否かを判定する文字画素判定手段を備え、前記領域分離手段が、前記第1画像データ及び第2画像データに対する文字画素判定手段による判定結果に基づいて前記第1画像データを文字領域と非文字領域とに分離することを特徴としている。
【0018】
この構成によれば、文字画素判定手段によって、画素毎に隣接する画素との濃度差に基づいて文字画素であるか否かが判定される。また、領域分離手段によって、第1画像データ及び第2画像データに対する文字画素判定手段による判定結果に基づいて第1画像データが文字領域と非文字領域とに分離される。
【0019】
従って、一方面に形成された画像の他方面への裏写りの読取り画像データである第2画像データに対する文字画素判定手段による文字画素であるか否かの判定結果に基づいて第1画像データが文字領域と非文字領域とに分離されるため、文字領域と非文字領域とが更に高い精度で分離される。
【0020】
請求項6記載の画像形成装置は、前記領域分離手段が、前記第1画像データの文字画素判定手段による判定結果が文字画素であり、且つ、前記第2画像データの文字画素判定手段による判定結果が文字画素である画素を文字領域とすることを特徴としている。
【0021】
この構成によれば、領域分離手段によって、第1画像データの文字画素判定手段による判定結果が文字画素であり、且つ、第2画像データの文字画素判定手段による判定結果が文字画素である画素が文字領域とされるため、文字領域と非文字領域とが簡単に且つ高い精度で分離される。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に記載の発明によれば、一方面に形成された画像の他方面への裏写りの読取り画像データである第2画像データを用いて、第1画像データが文字データが含まれる領域である文字領域と文字以外のデータが含まれる領域である非文字領域とに分離されるため、文字領域と非文字領域とを高い精度で分離でき、それぞれに適正な画像処理を施すことができる。
【0023】
請求項2、5に記載の発明によれば、一方面に形成された画像の他方面への裏写りの読取り画像データである第2画像データに対する文字画素判定手段による文字画素であるか否かの判定結果に基づいて第1画像データが文字領域と非文字領域とに分離されるため、文字領域と非文字領域とを更に高い精度で分離できる。
【0024】
請求項3、6に記載の発明によれば、第1画像データの文字画素判定手段による判定結果が文字画素であり、且つ、第2画像データの文字画素判定手段による判定結果が文字画素である画素が文字領域とされるため、簡単に且つ高い精度で文字領域と非文字領域とを分離できる。
【0025】
請求項4記載の発明によれば、一方面に形成された画像の他方面への裏写りの読取り画像データである第2画像データを用いて、第1画像データが文字データが含まれる領域である文字領域と文字以外のデータが含まれる領域である非文字領域とに分離されるため、文字領域と非文字領域とを高い精度で分離でき、それぞれに適正な画像処理を施すことができる。
【0026】
また、一方面の読取りと同時に原稿の他方面が読取られるため、効率的に画像データを生成できると共に、画素位置の対応付けを高い精度で行い得る第1画像データと第2画像データとを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る画像形成装置の一例である複写機の断面図である。複写機1は、本体部2と、本体部2の左方に配設されたスタックトレイ3と、本体部2の上部に配設された原稿読取部5と、原稿読取部5の上方に配設された原稿給送部6とを有している。また、複写機1の前面(図の手前側)には、ユーザからの印刷実行指示の入力を受付けるスタートキー471と、印刷部数等の入力を受付けるテンキー472と、各種複写動作の設定等を入力するための操作ガイド情報等を表示すると共に、種々の操作指令の入力を受付ける種々の操作ボタン等を表示する液晶表示器(LCD;Liquid Crystal Display)等からなる表示器473(タッチパネル)とを備えた操作部47が設けられている。
【0028】
原稿読取部5は、原稿の画像を読取って画像データを得るための所謂スキャナ部であり、原稿が載置されるガラス等の透明部材により構成されたコンタクトガラス51(プラテンガラス)、原稿読取スリット52、原稿に光照射する光源である露光ランプ53と原稿からの反射光を反射させるミラー54〜ミラー56とを一体化してなるミラーユニット57、ミラーユニット57からの反射光を絞るレンズ群58、及び、レンズ群58によって反射光が絞られ結像された光像を光電変換して画像データを得る撮像素子(CCD;Charge Coupled Device)からなるCCDイメージセンサ59(第1イメージセンサに相当する)を備えている。
【0029】
ミラーユニット57は、図略の駆動部により所定の間隔を有してコンタクトガラス51に沿ってそれぞれ往復移動可能に構成され、後述の制御部10からの制御信号に応じて露光ランプ53で光を照射しつつ、コンタクトガラス51上に載置された原稿の一方面(ここでは、表面という)を走査し、レンズ群58を介してCCDイメージセンサ59に原稿の走査画像を結像する。また、ミラーユニット57は、原稿給送部6により給送された原稿を読取るときには原稿読取スリット52と対向する位置に移動され、当該原稿読取スリット52を介して原稿給送部6による原稿の搬送動作と同期して原稿の画像を読取り、この読取った画像データ(第1画像データ)を制御部10へ出力する。
【0030】
原稿給送部6は、原稿を載置するための原稿載置部61と、画像読取り後の原稿を排出するための原稿排出部62と、原稿載置部61に載置された原稿を1枚ずつ順に繰り出して原稿読取スリット52に対向する位置へ搬送し、原稿排出部62へ排出するための給紙ローラ63、レジストローラ64及び排紙ローラ65等を備えている。また、原稿給送部6は、当該原稿給送部6下部の原稿読取部5の上面に対向する位置に、密着型イメージセンサ(CIS;Contact Image Sensor)67(第2イメージセンサに相当する)を備えている。
【0031】
密着型イメージセンサ67は、コンタクトガラス51上に搬送された原稿の他方面(ここでは、裏面という)の画像を読取り、この読取った画像データ(第2画像データ)を制御部10へ出力するものである。また、密着型イメージセンサ67は、CCDイメージセンサ59と同様に、図略の光源、CCD等の撮像素子及び光学系から構成されている。ただし、密着型イメージセンサ67は、CCDイメージセンサ59とは異なり、走査されることなく位置が固定された状態で使用されるものである。
【0032】
CCDイメージセンサ59と密着型イメージセンサ67とにより、原稿給送部6によって搬送される原稿の画像の両面同時読取りが可能となっている。なお、原稿が片面(ここでは、表面)にのみ画像が形成されている場合には、CCDイメージセンサ59によって表面の画像データ(第1画像データ)が読取られ、密着型イメージセンサ67によって、表面に形成された画像の他方面(裏面)への裏写りの画像データ(第2画像データ)が読取られる。
【0033】
本体部2は、それぞれサイズが異なる記録紙を収納する複数の給紙カセット461と、給紙カセット461から記録紙を1枚ずつ繰り出して記録部40へ搬送する給紙ローラ462と、給紙カセット461から搬送されてきた記録紙に画像を形成する記録部40とを備える。
【0034】
記録部40は、CCDイメージセンサ59及び密着型イメージセンサ67によって読取られた画像データに基づいてレーザー光を出力して感光体ドラム43を露光する光学ユニット42と、感光体ドラム43上にトナー像を形成する画像形成部44と、感光体ドラム43上のトナー像を記録紙に転写する転写部41と、トナー像が転写された記録紙を加熱してトナー像を記録紙に定着させる定着部45と、記録部40内の用紙搬送路中に設けられた搬送ローラ等によって記録紙を搬送し、この記録紙をスタックトレイ3又は排出トレイ48へ排出する用紙搬送装置46とを備える。
【0035】
図2は、図1に示す複写機1の機能構成の一例を示すブロック図である。複写機1は、上述における原稿読取部5、原稿給送部6、記録部40、操作部47、画像メモリ7、画像処理部8(画像補正手段の一部に相当する)、HDD(Hard Disk Drive)9、及び、制御部10を備えている。
【0036】
画像メモリ7は、原稿読取部5のCCDイメージセンサ59及び原稿給送部6の密着型イメージセンサ67によって読取られた原稿の画像データをそれぞれ画素毎に格納する第1画像データ記憶部71(第1画像データ記憶手段に相当する)及び第2画像データ記憶部72(第2画像データ記憶手段に相当する)と、第1画像データに対して所定の画像処理が施された補正画像データを画素毎に格納する補正画像データ記憶部73とを備えている。
【0037】
画像処理部8は、文字からなる画像データの補正に使用されるエッジ強調処理部81及び2値化処理部82と、文字以外の画像データ(例えば、網点データ、写真データ)の補正に使用される平滑化処理部83及びディザ処理部84とを備えている。
【0038】
HDD9は、CCDイメージセンサ59又は密着型イメージセンサ67によって読取られた画像データ、及び、画像データに設定されている出力形式等を格納する記憶装置である。なお、HDD9に記憶されている画像データ等は複写機1で使用されるだけでなく、必要に応じて図略のネットワークI/F部等を介してパーソナルコンピュータ等へ出力される。
【0039】
制御部10は、複写機1の制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、一時的にデータを格納するRAM(Random Access Memory)、及び制御プログラム等をROMから読み出して実行するCPU(Central Processing Unit)等からなり(すなわち、いわゆるコンピュータを有しており)、操作部47等で受付けられた指示情報や、本装置の各所に設けられているセンサからの検出信号に応じて装置全体の制御を行う処理を実行するものである。制御部10は、読取指示部101、エッジ判定部102(文字画素判定手段に相当する)、領域分離部103(領域分離手段に相当する)、画像補正部104(画像補正手段の一部に相当する)、及び、画像形成指示部105を備えている。
【0040】
読取指示部101は、CCDイメージセンサ59に対して、原稿の表面を読取らせて、第1画像画像データを生成させ、生成された第1画像データを第1画像データ記憶部71に格納すると共に、密着型イメージセンサ67に対して、原稿の裏面を読取らせて、第2画像画像データを生成させ、生成された第2画像データを第2画像データ記憶部72に格納するものである。ただし、ここでは、原稿は片面のみに文字及び写真等の画像が形成されているものとする。すなわち、第2画像画像データは、表面に形成された画像の裏面への裏写りの画像データである。
【0041】
エッジ判定部102は、第1画像データ及び第2画像データについて、それぞれ画素毎に周辺画素(後述する周辺の8つの画素)との濃度差を求め、濃度差を予め設定された閾値と比較して、少なくとも1の周辺画素が閾値以上である場合に文字画素(エッジともいう)であると判定するものである。
【0042】
図3は、文字画素であるか否かの判定方法の一例を説明する図である。(a)は、全体図であり、(b)は拡大図である。(a)に示すように、第1画像データ及び第2画像データは、それぞれ格子状に配置された画素からなり、画素Pi,jは、第i行第j列(i=1〜M、j=1〜N;M=1024、N=2048)の画素である。画素Pi,jを注目画素として選定した場合には、(b)に示すように、周辺画素は、画素Pi,jの周囲の8画素となる。そして、8つの周辺画素について、それぞれ注目画素Pi,jとの濃度差ΔDk(k=1〜8)を算出する。そして、8つの濃度差ΔDkの内、少なくとも1の濃度差ΔDkが閾値以上である場合に文字画素であると判定する。
【0043】
再び、図2に戻って、複写機1の機能構成を説明する。領域分離部103は、第1画像データ及び第2画像データに対するエッジ判定部102による判定結果に基づいて第1画像データを文字領域と非文字領域とに分離するものである。具体的には、領域分離部103は、第1画像データの領域分離部103による判定結果が文字画素であり、且つ、第2画像データの領域分離部103による判定結果が文字画素である画素を文字領域とし、文字領域以外の領域を非文字領域とするものである。
【0044】
画像補正部104は、画像処理部8を用いて、第1画像データの文字領域に対して、エッジ強調処理と2値化処理とを施すと共に、第1画像データの非文字領域に対して、平滑化処理とディザ処理とを施し、各処理が施された補正後の画像データを補正画像データ記憶部73に格納するものである。
【0045】
画像形成指示部105は、補正画像データ記憶部73から補正画像データを読出して、記録部40を用いて記録紙上に補正画像データに対応する画像を形成するものである。
【0046】
図4は、複写機1の動作の一例を示すフローチャートである。まず、読取指示部101によって、CCDイメージセンサ59を用いて、原稿の表面が読取られて第1画像データが生成され、第1画像データ記憶部71に格納される(ステップS101)。また、読取指示部101によって、密着型イメージセンサ67を用いて、原稿の裏面が読取られて第2画像データが生成され、第2画像データ記憶部72に格納される(ステップS103)。そして、エッジ判定部102によって、第1画像データの各画素について文字画素であるか否かの判定が行われる(ステップS105)。そして、領域分離部103によって、第1画像データの各画素が文字画素であるか否かに基づいて、第1画像データが文字領域CAと非文字領域NCAとに分離される(ステップS107)。
【0047】
つぎに、エッジ判定部102によって、第2画像データの各画素について文字画素であるか否かの判定が行われる(ステップS109)。そして、領域分離部103によって、ステップS107において文字領域CAにあると判定された各画素について、ステップS109の判定結果が第2画像データについても文字画素(エッジ)であるか否かの判定が行われる(ステップS111)。文字画素ではないと判定された場合(ステップS111でNO)には、領域分離部103によって、その画素については、文字領域CAから非文字領域NCAに変更される(ステップS113)。
【0048】
ステップS107において文字領域CAにあると判定された全ての画素が文字画素であると判定された場合(ステップS111でYES)、または、ステップS113の処理が終了した場合には、画像補正部104によって、第1画像データに画像処理が施されて補正画像データが生成され、補正画像データ記憶部73に格納される(ステップS115)。つぎに、画像形成指示部105によって、補正画像データに応じた画像が記録紙上に形成され(ステップS117)、処理が終了される。
【0049】
図5は、図4に示すフローチャートのステップS115で行われる画像補正処理の一例を示す詳細フローチャートである。なお、以下の処理は全て画像補正部104によって行われる。まず、文字領域CA内のデータであるか否かが判定される(ステップS201)。そして、文字領域CA内のデータであると判定された場合(ステップS201でYES)には、エッジ強調処理部81を用いてエッジ強調処理が施される(ステップS203)。そして、2値化処理部82を用いて2値化処理が施され(ステップS205)、処理がリターンされる。
【0050】
ステップS201において文字領域CA内のデータではない(非文字領域NCAのデータである)と判定された場合(ステップS201でNO)には、平滑化処理部83を用いて平滑化処理が施される(ステップS207)。そして、ディザ処理部84を用いてディザ処理が施され(ステップS209)、処理がリターンされる。
【0051】
図6は、第1画像データ及び第2画像データの一例を示す図である。(a)が第1画像データを示す第1画像P1であり、(b)が第2画像データを示す第2画像P2である。(a)に示すように、第1画像P1は、図の左側に文字が形成された文字領域A1と、写真が形成された写真領域A2とを有している。(b)に示すように、第2画像P2は、第1画像P1が裏写りした画像であって、図の右側に文字領域A1が裏写りした文字領域A3と、写真領域A2が裏写りした写真領域A4とを有している。
【0052】
ここで、第1画像P1の写真領域A2に含まれる画素には、濃度差ΔDkが閾値以上となって文字画素であると判定される画素があるが、第2画像P2の写真領域A4に含まれる画素は、全て濃度差ΔDkが閾値未満となっており、文字画素であると判定される画素はない。そこで、第2画像P2の各画素が文字画素であるか否かを用いて、写真領域A2を非文字領域であると高い精度で判定されるのである。
【0053】
このようにして、表面に形成された画像の裏面への裏写りの読取り画像データである第2画像データを用いて、第1画像データが文字データが含まれる領域である文字領域と文字以外のデータが含まれる領域である非文字領域とに分離されるため、文字領域と非文字領域とを高い精度で分離でき、それぞれに適正な画像処理が施される。
【0054】
また、CCDイメージセンサ59によって、原稿の表面が読取られ、密着型イメージセンサ67によって、表面の読取りと同時に原稿の裏面が読取られるため、効率的に画像データが生成されると共に、画素位置の対応付けを高い精度で行い得る第1画像データと第2画像データとが得られる。
【0055】
更に、表面に形成された画像の裏面への裏写りの読取り画像データである第2画像データに対するエッジ判定部102による文字画素であるか否かの判定結果に基づいて第1画像データが文字領域と非文字領域とに分離されるため、文字領域と非文字領域とが更に高い精度で分離される。
【0056】
加えて、領域分離部103によって、第1画像データのエッジ判定部102による判定結果が文字画素であり、且つ、第2画像データのエッジ判定部102による判定結果が文字画素である画素が文字領域とされるため、文字領域と非文字領域とが簡単に且つ高い精度で分離される。
【0057】
なお、本発明は以下の態様をとることができる。
【0058】
(A)本実施形態においては、画像形成装置が複写機1である場合について説明したが、他の種類の画像形成装置(例えば、ファクシミリ)である形態でもよい。例えば、画像形成装置がファクシミリである場合には、原稿の文字領域であるか否かを高い精度で判定できるため、文字領域にOCR(Optical Character Recognition)を適用してテキストデータとすることの効果が増大される。
【0059】
(B)本実施形態においては、複写機1が2台のイメージセンサを備える場合について説明したが、1のイメージセンサを備え、第1画像データ及び第2画像データを別々に形成する形態でもよい。この場合には、1のイメージセンサを備える複写機を用いて本発明の画像処理を行うことが可能となる。
【0060】
(C)本実施形態においては、領域分離部103が第1画像データを文字領域と非文字領域とに分離する場合について説明したが、非文字領域を更に複数の領域(網点領域、写真領域等)に分離する形態でもよい。
【0061】
(D)本実施形態においては、画像補正部104が文字領域に対してエッジ強調処理と2値化処理とを施す場合について説明したが、エッジ強調処理及び2値化処理の少なくとも一方を施す形態でもよいし、更に他の処理を施す形態でもよい。
【0062】
(E)本実施形態においては、画像補正部104が非文字領域に対して平滑化処理とディザ処理とを施す場合について説明したが、平滑化処理及びディザ処理の少なくとも一方を施す形態でもよいし、更に他の処理を施す形態でもよい。
【0063】
(F)本実施形態においては、エッジ判定部102が周辺の注目画素と8画素との濃度差ΔDkを用いて文字画素であるか否かを判定する場合について説明したが、更に多くの周辺画素との濃度差を用いて文字画素であるか否かを判定する形態でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一例である複写機の断面図である。
【図2】図1に示す複写機の機能構成の一例を示すブロック図である。
【図3】文字画素であるか否かの判定方法の一例を説明する図である。
【図4】複写機の動作の一例を示すフローチャートである。
【図5】図4に示すフローチャートのステップS115で行われる画像補正処理の一例を示す詳細フローチャートである。
【図6】第1画像データ及び第2画像データの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0065】
1 複写機(画像形成装置)
5 原稿読取部
59 CCDイメージセンサ(第1イメージセンサ)
6 原稿給送部
67 密着型イメージセンサ(第2イメージセンサ)
7 画像メモリ
71 第1画像記憶部(第1画像記憶手段)
72 第2画像記憶部(第2画像記憶手段)
8 画像処理部(画像補正手段の一部)
40 記録部
47 操作部(操作手段)
10 制御部
101 読取指示部
102 エッジ判定部(文字画素判定手段)
103 領域分離部(領域分離手段)
104 画像補正部(画像補正手段の一部)
105 画像形成指示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方面にのみ画像が形成された原稿の前記一方面のイメージセンサによる読取り画像データを補正する画像処理装置であって、
前記一方面の読取り画像データである第1画像データを画素毎に格納する第1画像記憶手段と、
前記一方面に形成された画像の他方面への裏写りの読取り画像データである第2画像データを画素毎に格納する第2画像記憶手段と、
前記第2画像データを用いて、前記第1画像データを文字データが含まれる領域である文字領域と文字以外のデータが含まれる領域である非文字領域とに分離する領域分離手段と、
前記第1画像データに対して、前記文字領域及び非文字領域毎にそれぞれ異なる画像処理を施して補正する画像補正手段とを備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
画素毎に隣接する画素との濃度差に基づいて文字画素であるか否かを判定する文字画素判定手段を備え、
前記領域分離手段は、前記第1画像データ及び第2画像データに対する文字画素判定手段による判定結果に基づいて前記第1画像データを文字領域と非文字領域とに分離することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記領域分離手段は、前記第1画像データの文字画素判定手段による判定結果が文字画素であり、且つ、前記第2画像データの文字画素判定手段による判定結果が文字画素である画素を文字領域とすることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
一方面にのみ画像が形成された原稿の前記一方面を読取る第1イメージセンサと、前記一方面の読取りと同時に前記原稿の他方面を読取る第2イメージセンサとを有する画像形成装置であって、
前記第1イメージセンサ及び第2イメージセンサを用いて、それぞれ、前記一方面の読取り画像データである第1画像データ及び前記一方面に形成された画像の他方面への裏写りの読取り画像データである第2画像データを生成する読取手段と、
前記第1画像データを画素毎に格納する第1画像記憶手段と、
前記第2画像データを画素毎に格納する第2画像記憶手段と、
前記第2画像データを用いて、前記第1画像データを文字データが含まれる領域である文字領域と文字以外のデータが含まれる領域である非文字領域とに分離する領域分離手段と、
前記第1画像データに対して、前記文字領域及び非文字領域毎にそれぞれ異なる画像処理を施して補正する画像補正手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
画素毎に隣接する画素との濃度差に基づいて文字画素であるか否かを判定する文字画素判定手段を備え、
前記領域分離手段は、前記第1画像データ及び第2画像データに対する文字画素判定手段による判定結果に基づいて前記第1画像データを文字領域と非文字領域とに分離することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記領域分離手段は、前記第1画像データの文字画素判定手段による判定結果が文字画素であり、且つ、前記第2画像データの文字画素判定手段による判定結果が文字画素である画素を文字領域とすることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−129203(P2006−129203A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−316207(P2004−316207)
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】