説明

画像処理装置及び画像形成装置

【課題】ポリゴンミラーの回転速度を変更せずとも、画像データの副走査方向の倍率調整と倍率調整に伴う画像劣化の防止を可能とし、生産性を向上させること。
【解決手段】主走査方向に配列された画素列を1ラインとして、主走査方向に直交する方向である副走査方向に複数ラインを配して構成された画像データに対し、設定された変倍率に基づいて、副走査方向の画素列に対して画素の挿入又は間引きによる変倍を行なう変倍部を備え、変倍部は、隣接する記副走査方向の画素列における画素の挿入又は間引き位置が、主走査方向において非連続となる位置で画素の挿入又は間引きを行なう画像処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ポリゴンミラー等の光学系を含む露光装置、現像装置、感光体ドラム等を備えた画像形成装置がある。このような画像形成装置では、画像データに基づいて変調された光が所定の速度で回転するポリゴンミラーにより偏向走査されることにより感光体ドラム上が露光され、静電潜像が形成される。そして、感光体ドラム上に形成された静電潜像にトナーが付着してトナー像が形成され、当該トナー像が用紙に転写され、定着装置により熱定着されることにより、用紙に画像が形成される。
【0003】
色毎にポリゴンミラーを備えて露光する画像形成装置では、副走査方向の色ズレ調整を行うために、ポリゴンミラーの回転速度を調整して各色に副走査方向の倍率調整を行っている。しかし、ポリゴンミラーの回転速度を変更する場合には、当該回転速度が安定するまでその他の動作を待機させる時間が必要となり、生産性が低下するという問題が生じている。
【0004】
特に、用紙の両面に形成される画像の位置を表裏で一致させる表裏見当合わせを行なう場合には、表面に画像を形成した後の用紙は定着装置による熱定着で熱収縮しているため、裏面に形成される画像サイズを用紙の熱収縮率に応じて変更しなくてはならない。このときに、ポリゴンミラーの回転速度を変更して画像サイズを変更する場合には、回転速度が安定するまで画像形成の中断が余儀なくされ、生産性が低下するという問題がある。
【0005】
また、単一のポリゴンミラーで複数色の露光を行なう画像形成装置では、色毎にポリゴンミラーの回転速度を変更することができず、色毎に副走査方向の倍率を調整することが困難である。
【0006】
そこで、画像データがカラーデータかモノクロデータかに基づいてプロセス速度を切り替える画像形成装置であって、プロセス速度に応じて画像データを補正して副走査方向倍率を調整し、プロセス速度の変更に伴う回転多面鏡の回転速度の変更を不要とした技術が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−292518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、引用文献1の画像形成装置では、ポリゴンミラーの回転速度を変更せずに副走査方向の倍率を調整することが可能ではあるが、プロセス速度が変更されるため、プロセス速度が安定するまでの時間が必要となり、生産性の良いものではない。
また、副走査方向の倍率調整をライン単位の挿入または間引きで行う場合には、周期的なパターンが目立ちやすくなったり、挿入または間引き位置での画像の段差が目立ったりといった画像劣化の問題がある。
【0009】
本発明の課題は、上記問題に鑑みて、ポリゴンミラーの回転速度を変更せずとも、画像データの副走査方向の倍率調整と倍率調整に伴う画像劣化の防止を可能とし、生産性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、主走査方向に配列された画素列を1ラインとして、前記主走査方向に直交する方向である副走査方向に複数ラインを配して構成された画像データに対し、設定された変倍率に基づいて、前記副走査方向の画素列に対して画素の挿入又は間引きによる変倍を行なう変倍部を備え、前記変倍部は、隣接する前記副走査方向の画素列における画素の挿入又は間引き位置が、前記主走査方向において非連続となる位置で画素の挿入又は間引きを行なう画像処理装置である。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像処理装置において、前記変倍部は、前記変倍率に基づいて算出された副走査方向の周期で、前記副走査方向の画素列毎に画素の挿入又は間引きを行なう。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の画像処理装置において、前記副走査方向の周期で実施される画素の挿入又は間引きの周期的パターンについて、当該周期的パターンの位相が前記副走査方向の画素列毎に異なる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の画像処理装置において、前記変倍部は、前記副走査方向の画素列毎に、前記周期的パターンの初期位相値を示す初期位相設定情報を記憶する初期位相記憶部を有する。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の画像処理装置において、前記変倍部は、前記副走査方向の画素列毎に対して、前記副走査方向の周期の範囲内で乱数を発生する乱数発生部を有し、前記副走査方向の画素列毎に、前記乱数発生部により発生された乱数を前記周期的パターンの初期位相値とする。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の画像処理装置において、前記画像データを記憶する画像メモリと、前記画像メモリに対する前記画像データの入力又は出力を許可する許可信号を生成し、当該許可信号の出力に基づいて前記画像メモリに対して前記画像データの入力又は出力を制御するメモリ制御部と、を備え、前記変倍部は、前記メモリ制御部内において、前記画像メモリとの前記画像データの入出力部の位置に設けられており、前記許可信号の出力を停止して画素の挿入又は間引きを行なう。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の画像処理装置において、前記画像データをラスタライズするラスタライズ部と、前記画像データに対してスクリーン処理を行うスクリーン処理部と、を備え、前記変倍部は、前記ラスタライズ部の後段であって前記スクリーン処理部の前段に設けられ、前記ラスタライズ部によりラスタライズされた画像データが入力され、スクリーン処理部に画像データを出力する。
【0017】
請求項8に記載の発明は、請求項1から7のいずれか一項に記載の画像処理装置において、前記変倍部は、前記副走査方向の画素列に対して、ニアレストネイバー処理を用いて画素の挿入又は間引きを行う。
【0018】
請求項9に記載の発明は、請求項1から7のいずれか一項に記載の画像処理装置において、前記変倍部は、前記副走査方向の画素列に対して、所定の補間処理を用いて画素の挿入又は間引き箇所の平滑化を行なう。
【0019】
請求項10に記載の発明は、請求項3に記載の画像処理装置において、前記変倍部は、入力された主走査方向の画素列の画像データに対して前記副走査方向において1列前の主走査方向の画素列の画像データを一時的に格納するバッファと、前記主走査方向の画素数をカウントする主走査カウンタと、前記主走査カウンタと同期して前記副走査方向の画素列毎に、前記周期的パターンの初期位相値を出力する初期位相出力部と、前記変倍率に基づく前記副走査方向の周期内の画素数をカウントする副走査カウンタと、前記主走査カウンタによるカウンタ値に対応する画素毎に、前記副走査カウンタによるカウンタ値と前記初期位相値との比較結果に応じて、前記バッファに格納されている画像データを選択するか否かを示す選択信号を生成する選択信号生成部と、前記主走査カウンタによるカウンタ値に対応する画素毎に、前記選択信号生成部により生成された選択信号に応じて、前記入力された主走査方向の画素列の画像データ又は前記バッファに格納されている主走査方向の画素列の画像データのうち、いずれか一方を選択して出力する選択部と、前記副走査方向の周期と前記副走査カウンタによるカウンタ値とを比較し、当該比較結果に応じて前記主走査方向の画像データの入出力を制御する入力制御部と、を備える。
【0020】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の画像処理装置において、前記入出力制御部は、前記比較結果に応じて、前記画素の挿入時には前記主走査方向の画像データの入力を、前記画素の間引き時には前記主走査方向の画像データの出力を停止させる。
【0021】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の画像処理装置において、前記画像データを一時的に格納するための画像メモリと、前記画像メモリを制御するメモリ制御部と、をさらに備え、前記変倍部は、前記メモリ制御部の下流に接続され、前記画素の間引き時における前記主走査方向の画像データの出力停止時には、当該画像データともに、水平同期信号、水平画像有効信号のいずれか、又は両方ともアクティブとしない。
【0022】
請求項13に記載の発明は、請求項11に記載の画像処理装置において、前記画像データを一時的に格納するための画像メモリと、前記画像メモリを制御するメモリ制御部と、をさらに備え、前記変倍部のうち、前記画素の挿入処理を行う拡大部は前記メモリ制御部の下流に、前記画素の間引き処理を行う縮小部は前記メモリ制御部の上流に接続される。
【0023】
請求項14に記載の発明は、画像データに基づいて用紙の両面に画像形成を行う画像形成部と、前記画像データに基づいて画像形成が行われる前記用紙の表面と裏面とに個別に設定された変倍率を記憶する記憶部と、請求項1から13のいずれか一項に記載の画像処理装置と、を備えた画像形成装置である。
【0024】
請求項15に記載の発明は、請求項14に記載の画像形成装置において、前記変倍率は、用紙の種類、サイズ毎に設定されている。
【発明の効果】
【0025】
請求項1に記載の発明によれば、ポリゴンミラーの回転速度を変更せずとも、画像データの副走査方向の倍率調整をすることができると共に、倍率調整に伴う画像劣化を防止でき、生産性を向上させることができる。
【0026】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1と同様の効果を得られるのは勿論のこと、副走査方向に連続して画素が挿入又は間引きされることを防止でき、画像データの劣化を低減できる。
【0027】
請求項3に記載の発明によれば、請求項2と同様の効果を得られるのは勿論のこと、主走査方向に連続して画素が挿入又は間引きされることを防止でき、画像データの劣化を低減できる。
【0028】
請求項4に記載の発明によれば、請求項3と同様の効果を得られるのは勿論のこと、初期位相記憶部に記憶されている初期位相設定情報を用いて、副走査方向の画素列毎に、周期的パターンの初期位相値を設定することができ、主走査方向に連続して画素が挿入又は間引きされることを防止でき、画像データの劣化を低減できる。
【0029】
請求項5に記載の発明によれば、請求項3と同様の効果を得られるのは勿論のこと、副走査方向の画素列毎に、乱数発生部により発生された乱数を周期的パターンの初期位相値とすることができ、主走査方向に連続して画素が挿入又は間引きされることを防止でき、画像データの劣化を低減できる。
【0030】
請求項6に記載の発明によれば、請求項1から5のいずれか一項と同様の効果を得られるのは勿論のこと、変倍部がメモリ制御部内において、画像メモリとの画像データの入出力部の位置に設けられていることにより、メモリ制御部が生成する許可信号の出力を直接的に停止させることができ、画素の挿入又は間引きを行なうことができる。
【0031】
請求項7に記載の発明によれば、請求項1から6のいずれか一項と同様の効果を得られるのは勿論のこと、変倍部がメモリ制御部内において、画像メモリとの画像データの入出力部の位置に設けられていることにより、メモリ制御部が生成する許可信号の出力を直接的に停止させることができるため画素の挿入又は間引きを行なうことができる。
【0032】
請求項8に記載の発明によれば、請求項1から7のいずれか一項と同様の効果を得られるのは勿論のこと、副走査方向の画素列に対して、ニアレストネイバー処理を用いて画素の挿入又は間引きを行うことができる。
【0033】
請求項9に記載の発明によれば、請求項1から7のいずれか一項と同様の効果を得られるのは勿論のこと、副走査方向の画素列に対して、所定の補間処理を用いて画素の挿入又は間引き箇所の平滑化を行なうことができ、画像データの劣化を低減することができる。
【0034】
請求項10に記載の発明によれば、請求項3と同様の効果を得られる。
【0035】
請求項11に記載の発明によれば、請求項3と同様の効果を得られるのは勿論のこと、比較結果に応じて、画素の挿入時には主走査方向の画像データの入力を、画素の間引き時には主走査方向の画像データの出力を停止させることができる。
【0036】
請求項12に記載の発明によれば、請求項11と同様の効果を得られるのは勿論のこと、変倍部をメモリ制御部の下流に接続し、画素の間引き時における主走査方向の画像データの出力停止時には、画像データともに、水平同期信号、水平画像有効信号のいずれか、又は両方ともアクティブとしないことで、画素の間引きを行うことができる。
【0037】
請求項13に記載の発明によれば、請求項11とは同様の効果を得られるのは勿論のこと、変倍部のうち、画素の挿入処理を行う拡大部をメモリ制御部の下流に、画素の間引き処理を行う縮小部をメモリ制御部の上流に接続することができる。
【0038】
請求項14に記載の発明によれば、用紙の表面と裏面とに個別に設定された変倍率に基づいて、用紙の表面に画像形成される画像データと裏面に画像形成される画像データとに対して、ポリゴンミラーの回転速度を変更せずとも、個別に副走査方向の倍率調整をすることができ、両面画像形成時における生産性を向上させることができる。
【0039】
請求項15に記載の発明によれば、請求項14と同様の効果を得られるのは勿論のこと、用紙の種類、サイズ毎に設定された変倍率を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】画像形成装置の機能的構成図である。
【図2】変倍率テーブルの例を示す図である。
【図3】画像処理装置の概略構成図である。
【図4】副走査方向に画像データを拡大する場合のメモリコントローラ230の概略機能構成図である。
【図5】図4に示す変倍部の概略構成図である。
【図6】選択信号生成部で実行される選択信号生成処理のフローチャートである。
【図7】副走査方向に画像データを拡大する場合の出力画像データの動作イメージ図である。
【図8】(A)は図7に示した副走査方向に画像データを拡大する場合の出力画像データに基づく出力画像全体のイメージ図であり、(B)は(A)に示す出力画像の一部拡大イメージ図を示す。
【図9】多値の画像データの場合の変倍部の概略構成図である。
【図10】選択信号生成部で実行される選択信号生成処理のフローチャートである。
【図11】副走査方向に多値の画像データを拡大する場合の出力画像データに基づく出力画像の一部拡大イメージ図である。
【図12】副走査方向に画像データを拡大する場合のメモリコントローラの概略機能構成図である。
【図13】図12に示す画素間引部の概略構成図である。
【図14】選択信号生成部で実行される選択信号生成処理のフローチャートである。
【図15】副走査方向に画像データを縮小する場合の出力画像データの動作イメージ図である。
【図16】図15に示した副走査方向に画像データを縮小する場合の出力画像データに基づく出力画像の一部拡大イメージ図である。
【図17】副走査方向に画像データを縮小する場合の出力画像メモリコントローラの概略機能構成図である。
【図18】図17に示す変倍部の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、図を参照して本実施の形態を詳細に説明する。
まず、構成を説明する。
図1に、本実施の形態における画像形成装置1の機能的構成図を示す。
図1に示すように、画像形成装置1は、本体制御部10と、画像読取部20と、操作表示部30と、プリント部40と、プリンタコントローラ50等を備えて構成される。
【0042】
本体制御部10は、制御部100、不揮発メモリ111、DB(DataBase)112、メモリ120、画像処理装置200等を備え、各部は制御部100によって統括的に制御されている。
【0043】
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等から構成され、ROM又は不揮発メモリ111、DB112に格納されているシステムプログラム及び各種アプリケーションプログラム、各種データの中から指定されたプログラムやデータを読み出してRAMに展開し、RAMに展開されたプログラムとの協働で、各種処理を実行し、画像形成装置1の各部を集中制御する。例えば、制御部100は、操作表示部30やプリンタコントローラ50を介して接続された外部装置2から入力される指示信号に従って、コピーモード、プリンタモード、スキャナモードを切り替え、複写、プリント、画像データの読取等の制御を行う。
【0044】
また、制御部100は、ROM又は不揮発メモリ111から本実施の形態に係る処理プログラムや必要な各種データを読み出し、当該プログラム及び各種データとの協働により、画像形成処理を制御する。
【0045】
本実施の形態における制御部100は、画像データに基づいて用紙に画像を形成する画像形成処理を実行する場合、不揮発メモリ111内の変倍率テーブルを参照して、当該画像データに基づいて画像が形成される用紙の種類、サイズ、及びプリントモード(両面/片面)に対応する変倍率を選出する。そして、制御部100は、この変倍率に基づいて、副走査方向に画素を挿入又は間引く変倍周期(挿入周期又は間引き周期)を算出し、当該変倍周期を示す変倍周期信号(挿入周期信号又は間引き周期信号)を画像処理装置200に出力する。
【0046】
詳しくは、制御部100は、変倍率と各色ズレ補正倍率とを乗算し、この乗算値に基づいて副走査方向の変倍量(副走査方向に拡大又は縮小する画素数)を算出する。そして、変倍量に応じて画像データの副走査方向の画素数を等分した画素数を変倍周期(挿入周期又は間引き周期)として算出する。
【0047】
例えば、副走査方向の画素数が1000画素であり、乗算値が101%である場合には、乗算値が100%以上であることから、制御部100は、副走査方向に拡大すると判別し、変倍量として10画素、挿入周期として100画素を算出し、挿入周期信号を出力する。また、例えば、副走査方向の画素数が1000画素であり、乗算値が99%である場合には、乗算値が100%未満であることから、制御部100は、副走査方向に縮小すると判別し、変倍量として10画素、間引き周期として100画素を算出し、間引き周期信号を出力する。
【0048】
不揮発メモリ111は、画像形成に係る各種処理プログラム及びデータの他、本実施の形態に係る処理プログラムや、各処理で生成される各種データや処理されたデータ等を記憶する。また、本実施の形態における不揮発メモリ111には、変倍率テーブルを記憶する記憶部として機能する。
【0049】
図2に、変倍率テーブルの例を示す。
図2に示すように、変倍率テーブルには、用紙の種類(紙種)、サイズ、用紙の表面・裏面毎の熱収縮率に基づいて、副走査方向の変倍率が設定されている。
なお、変倍率テーブルは、プリント部40の給紙部41が備える給紙トレイ毎に、給紙トレイに格納されている用紙の熱収縮率に基づいて副走査方向の変倍率が設定されたものであってもよい。更に、変倍率テーブルは、操作表示部30からの指示に応じて書き換え可能であってもよい。
【0050】
DB112は、HDD(Hard Disk Drive)等の書き込み可能な不揮発性の記憶媒体で構成されている。
【0051】
メモリ120は、HDD(Hard Disk Drive)、DRAM(Dynamic RAM)等により構成され、画像データを読み書き可能に記憶する。メモリ120に記憶される画像データは、主走査方向に配列された画素列を1ラインとして、主走査方向と直交する方向である副走査方向に複数ラインを配して構成されている。
【0052】
メモリ120は、制御部100からの指示により、画像読取部20又はプリンタコントローラ50から入力され、画像処理装置200により処理された画像データを記憶して格納したり、メモリ120に記憶されている画像データを読み出して画像処理装置200に出力する。
【0053】
画像処理装置200は、画像読取部20、プリンタコントローラ50又はメモリ120から入力された画像データに対して、各種画像処理を施してメモリ120又はプリント部40に出力する。
【0054】
画像読取部20は、CCD、画像読取制御部、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿送り部や読取部等から構成される。画像読取制御部は、制御部100からの指示に基づいて自動原稿送り部、読取部等を制御して、複数の原稿の画像を読み取る。読み取られたアナログの画像データは画像処理装置200に出力される。ここで、画像とは、図形や写真等のイメージデータに限らず、文字や記号等のテキストデータ等も含む意である。
【0055】
操作表示部30は、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示部と、当該表示部を覆うように設けられたタッチパネル31、スタートボタン、操作表示制御部、その他図示しない操作キー等から構成される入力部とを備えている。操作表示部30は、操作キー群又はタッチパネル31から入力される操作信号を制御部100に出力する。また、操作表示部30は、操作表示制御部により制御部100から入力される表示信号に従って、各種設定条件を入力するための各種設定画面や各種処理結果等を表示部に表示する。
【0056】
プリント部40は、画像処理装置200から入力されたプリントデータに基づいて、電子写真方式の画像形成処理を行うものであり、給紙部41、給紙搬送部、各色の画像形成部42、定着部、搬出部等のプリント出力に係る各部やプリント制御部を備えて構成される。
【0057】
給紙部41は、複数の給紙トレイを備える。各給紙トレイには、用紙の種類(紙種、坪量、サイズ)毎に予め識別された用紙が格納されており、用紙の最上部から一枚ずつ給紙搬送部に向けて搬送される。
【0058】
給紙搬送部は、給紙トレイから搬送された用紙を、複数の中間ローラ、レジストローラ等を経て二次転写ローラへと搬送する。また、給紙搬送部は、搬送路切換板により、片面に画像形成処理済みの用紙を両面搬送路に搬送し、再び中間ローラ、レジストローラを経て二次転写ローラへと搬送する。この二次転写ローラにより、後述する中間転写ベルトに転写されたトナー画像が用紙上に一括転写される。
【0059】
画像形成部42は、感光体ドラム、帯電装置、露光装置、現像装置、一次転写ローラ、クリーニング装置等を備え、画像データに基づき用紙上に画像形成された出力物を生成する。例えば、画像形成装置1がカラー画像を形成するものである場合、画像形成部42が色毎に設けられる。
【0060】
例えば、イエロー(Y)の画像を形成する画像形成部は、感光体ドラムの周囲に配置された帯電装置、露光装置、現像装置、一次転写ローラ、クリーニング装置を備え、イエロー(Y)の画像を形成する。
【0061】
具体的には、帯電装置により帯電された感光体ドラムに、露光装置からイエロー(Y)の画像データに応じた光が照射されて静電潜像が形成される。現像装置には、イエロー(Y)のトナーが充填されており、現像装置は、静電潜像が形成された感光体ドラムの表面にトナーを付着させて静電潜像を現像する。感光体ドラムに付着したトナーは、感光体ドラムが一定速度回転することで一次転写ローラが配置された転写位置へ移動し、当該転写位置で中間転写ベルトに転写される。中間転写ベルトにトナーが転写された後、クリーニング装置が、感光体ドラムの表面の残留電荷や残留トナー等を除去する。
同様に、各色の画像形成部は、感光体ドラムの周囲に配置された帯電装置、露光装置、現像装置、一次転写ローラ、クリーニング装置を備え、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の画像をそれぞれ形成する。
【0062】
各一次転写ローラによる転写位置で中間転写ベルトに転写された各色のトナーは、二次転写ローラよる転写位置で用紙に一括転写される。
用紙に転写されたトナー像は、定着装置により熱定着され、トナー像が熱定着された画像が形成された用紙は、排紙ローラに挟持されて搬出口から排紙トレイへ排出される。
【0063】
用紙の両面に画像形成を行う場合には、一方の面(例えば表面)に画像形成された後、定着装置から排出された用紙が搬送路切換板により両面搬送路に搬送され、再び中間ローラ、レジストローラを経て二次転写ローラへと搬送され、他方の面(裏面)上に画像形成が行われる。従って、画像形成部42は、画像データに基づいて用紙の両面に画像形成を行う機能を実現する。
【0064】
プリンタコントローラ50は、画像形成装置1をネットワークプリンタとして使用する場合に、LAN(Local Area Network)等のネットワーク3に接続されるPC(Personal Computer)等の外部装置2から画像形成装置1に送信されるジョブの管理及び制御を行う。プリンタコントローラ50は、外部装置2からプリント対象のデータを受信し、当該データをジョブデータとして制御部100へ出力する。
【0065】
図3に、画像処理装置200の概略構成図を示す。
図3に示すように、メモリ120は、画像メモリ121と出力画像メモリ122とを備え、画像処理装置200は、入力画像処理部210、ラスタライズ部220、メモリコントローラ230、出力画像処理部240、出力画像メモリコントローラ250等を備える。
【0066】
画像メモリ121は、メモリコントローラ230からの指示により、画像データの書き込み/読み出しが行なわれる。出力画像メモリ122は、出力画像メモリコントローラ250からの指示により、画像データの書き込み/読み出しが行なわれる。
なお、画像メモリ121、出力画像メモリ122は、画像形成部毎、即ち、画像形成部により形成される画像の色毎にそれぞれ設けられている。
【0067】
入力画像処理部210は、画像読取部20から入力されたアナログの画像データに対して、アナログ処理、A/D変換処理、色変換処理、輝度濃度変換処理、フィルタ処理等を行い、各種処理が行われた画像データをメモリコントローラに出力する。
【0068】
ラスタライズ部220は、プリンタコントローラ50から入力されたページ記述言語(PDL;Pate Description Language)形式の画像データをビットマップ形式の画像データに変換(ラスタライズ)する。ラスタライズ部220は、変換済みの画像データをメモリコントローラに出力する。
【0069】
メモリコントローラ230は、入力画像処理部210及びラスタライズ部220の後段であって出力画像処理部240の前段に設けられている。
メモリコントローラ230は、制御部100からの指示に従って、入力画像処理部210又はラスタライズ部220から入力された画像データを画像メモリ121に書き込んで格納させる、又は、画像メモリ121に格納されている画像データを読み出して出力画像処理部240に出力する制御を行なう。
【0070】
また、本実施の形態におけるメモリコントローラ230は、画像データに対し、制御部100から入力される変倍周期(挿入周期又は間引き周期)に基づいて、副走査方向の画素列に対して画素の挿入又は間引きを行い、副走査方向の画像データを変倍(拡大又は縮小)する変倍部を備える。この変倍部は、変倍周期で実施される画素の挿入又は間引きの周期的パターンについて、当該周期的パターンの位相を副走査方向の画素列毎に異ならせ、隣接する副走査方向の画素列における画素の挿入又は間引き位置が、主走査方向において非連続となる位置で画素の挿入又は間引きを行う。
【0071】
出力画像処理部240は、メモリコントローラ230から入力された画像データに対して、スクリーン処理や誤差拡散処理等を行い、各種処理が行われた画像データを出力画像メモリコントローラ250に出力する。即ち、出力画像処理部240は、画像データに対してスクリーン処理を行うスクリーン処理部として機能する。
【0072】
出力画像メモリコントローラ250は、制御部100からの指示に従って、出力画像処理部240から入力された画像データを出力画像メモリ122に書き込んで格納したり、出力画像メモリ122に格納されている画像データをプリント部40の動作タイミングと同期させて出力したりする出力タイミング制御を行う。
出力画像メモリコントローラ250から出力された各色の画像データは、プリントデータとしてプリント部40の各色の画像形成部に出力される。
【0073】
なお、メモリコントローラ230、出力画像処理部240、出力画像メモリコントローラ250は、画像形成部毎、即ち、画像形成部により形成される画像の色毎にそれぞれ設けられており、各色の画像データを扱うものである。
【0074】
まず、副走査方向に画像データを拡大する場合について説明する。
図4に、副走査方向に画像データを拡大する場合のメモリコントローラ230の概略機能構成図を示す。図4に示すように、メモリコントローラ230は、メモリ制御部231と、変倍部300と備えている。
【0075】
メモリ制御部231は、制御部100から入力される書込ライン同期信号に従ってライトイネーブル信号を生成する。ライトイネーブル信号は、画像メモリ121に対する画像データの入力を許可する許可信号である。メモリ制御部231は、ライトイネーブル信号を画像メモリ121に出力すると共に、ライトイネーブル信号の出力に基づいて、入力画像データを画像メモリ121に書き込んで格納させる。
また、メモリ制御部231は、制御部100から入力される読出ライン同期信号に従ってリードイネーブル信号を生成する。リードイネーブル信号は、画像メモリ121に対する画像データの出力を許可する許可信号である。メモリ制御部231は、リードイネーブル信号を画像メモリ121に出力すると共に、リードイネーブル信号の出力に基づいて、画像メモリ121に格納されている画像データを読み出して出力する。
【0076】
変倍部300は、メモリコントローラ230内において、画像メモリ121との画像データの入出力部の位置に設けられており、画素挿入部310とリセット信号生成部320とを備え、リードイネーブル信号の出力を停止し、副走査の各画素列に対して画素の挿入を行う。
【0077】
図5に、図4に示す変倍部300の概略構成図を示す。
図5に示す変倍部300は、画像データが2値の場合の例とする。図5に示すように、変倍部300は、画素挿入部310とリセット信号生成部320とを備える。
【0078】
画素挿入部310は、主走査カウンタ311、HV&VV部312、タイミング調整部313、ラインバッファ314、乱数発生部315、副走査カウンタ316、選択信号生成部317、選択部318を備える。
【0079】
主走査カウンタ311は、クロック信号を発生し、主走査方向の画素数をカウントするカウンタであり、主走査カウンタ311によるカウンタ値(画素カウンタ値;ADRS)をタイミング調整部313、ラインバッファ314、選択信号生成部317に出力する。
【0080】
HV&VV部312には、制御部100からの信号に基づいてプリント制御部が生成したVV(Vertical Valid:垂直画像有効領域)信号、HV(Horizontal Valid:水平画像有効領域)信号が入力される。HV&VV部312は、HV信号及びVV信号を合成し、当該信号をタイミング調整部313へ出力する。
【0081】
タイミング調整部313では、画像メモリ121から読み出された画像データ(入力画像データ)と、HV信号、VV信号、画素カウンタ値とのタイミング調整が行われる。タイミング調整部313は、主走査カウンタ311から画素カウンタ値、HV&VV部からHV信号とVV信号の合成信号、画像メモリ121から読み出された画像データがそれぞれ入力され、タイミング調整後の各信号をラインバッファ314に出力する。
【0082】
ラインバッファ314は、主走査方向の画素列(1ライン分)の画像データを格納するバッファである。ラインバッファ314は、タイミング調整部313に入力された1ライン分の入力画像データに対して、副走査方向において1ライン前の1ライン分の入力画像データを一時的に格納する。
【0083】
乱数発生部315は、VV信号と挿入周期信号とが入力され、副走査方向の画素列毎に、挿入周期信号が示す挿入周期の範囲内で乱数を発生し、当該乱数を副走査方向の画素列毎の周期的パターンの初期位相値(RND)として選択信号生成部317に出力する初期位相出力部として機能する。
【0084】
なお、本実施の形態では、乱数発生部315を用いているがこれに限らない。乱数発生部315に替えて、副走査方向の画素列毎の周期的パターンの初期位相値を示す初期位相設定情報を挿入周期毎に記憶する初期位相記憶部を備え、入力される挿入周期に対する初期位相設定情報を選択し、選択した初期位相設定情報に基づいて副走査方向の画素列毎の周期的パターンの初期位相値を選択信号生成部317に出力する構成であってもよい。
【0085】
また、乱数発生部315は、比較器321からリセット信号が入力された場合、当該リセット信号が入力される度に、副走査方向の画素列毎に、挿入周期信号が示す挿入周期の範囲内で乱数を発生させ、挿入周期毎に副走査方向の画素列の周期的パターンの初期位相値を異ならせる構成であってもよい。
【0086】
副走査カウンタ316は、クロック信号を発生し、変倍率に基づく副走査方向の挿入周期内の画素数を0からカウントするカウンタである。
副走査カウンタ316は、制御部100から挿入周期信号、比較器321からリセット信号が入力され、挿入周期内の画素数のカウンタ値(ラインカウンタ値;CNT)を選択信号生成部317、比較器321に出力し、また、リセット信号が入力されるとラインカウンタ値をリセットする。
【0087】
選択信号生成部317は、主走査カウンタ311から画素カウンタ値、乱数発生部315から初期位相値、副走査カウンタ316からラインカウンタ値、制御部100から挿入周期信号が入力される。選択信号生成部317は、入力された画素カウンタ値、初期位相値、ラインカウンタ値、挿入周期信号に基づいて、画素カウンタ値が示す画素毎に、ラインカウンタ値(CNT)と初期位相値とを比較する。そして選択信号生成部317は、当該比較結果に応じて、画素カウンタ値が示す画素毎に、ラインバッファに格納されている画像データを選択するか否かを示す選択信号FLGを生成し、当該選択信号を選択部318に出力する。
【0088】
図6に、選択信号生成部317で実行される選択信号生成処理のフローチャートを示す。なお、図6に示す選択信号生成処理は、画素カウンタ値ADRSが入力される度に実行される。
【0089】
まず、初期位相値RNDがラインカウンタ値CNT以上か否かが判別される(ステップS1)。初期位相値RNDがラインカウンタ値CNT以上である場合(ステップS1;YES)、初期位相値RNDからラインカウンタ値CNTを減算した値が変数Qとして算出される(ステップS2)。
【0090】
初期位相値RNDがラインカウンタ値CNT未満である場合(ステップS1;NO)、挿入周期INITと初期位相値RNDとの和からラインカウンタ値CNTを減算した値が変数Qとして算出される(ステップS3)。
【0091】
次に、VV信号が0か否かが判別される(ステップS4)。VV信号が0である場合、即ち、画像領域外である場合(ステップS4;YES)、入力された画素カウンタ値ADRSに対する選択信号FLG[ADRS]は0に設定され(ステップS5)、選択信号生成処理が終了される。
【0092】
VV信号が0でない場合、即ち、VV信号が1の場合(ステップS4;NO)、画像領域内であると判別され、ラインカウンタ値CNTが0か否かが判別される(ステップS6)。ラインカウンタ値CNTが0である場合(ステップS6;YES)、ステップS5の処理が実行される。
【0093】
ラインカウンタ値CNTが0でない場合(ステップS6;NO)、変数Qが0か否かが判別される(ステップS7)。変数Qが0である場合(ステップS7;YES)、入力された画素カウンタ値ADRSに対する選択信号FLG[ADRS]は1に設定され(ステップS8)、選択信号生成処理が終了される。
【0094】
変数Qが0でない場合(ステップS7;NO)、入力された画素カウンタ値ADRSに対する選択信号FLG[ADRS]は設定されている選択信号に維持され(ステップS9)、選択信号生成処理が終了される。
【0095】
選択部318は、画像メモリから読み出された画像データ(入力画像データ)と、ラインバッファ314から出力された画像データ(遅延画像データ)と、選択信号生成部317により生成された選択信号とが入力される。選択部318は、画素カウンタ値に対応する画素毎に、入力される選択信号に応じて、画像メモリから入力された入力画像データ又はラインバッファ314から入力された遅延画像データのうち、いずれか一方を選択して出力する。
本実施の形態における選択部318では、選択信号が0の場合には画像メモリから入力された入力画像データ、選択信号が1の場合にはラインバッファから入力された遅延画像データが選択されるものとする。
【0096】
リセット信号生成部320は、比較器321を備える。
比較器321は、制御部100から挿入周期信号と、副走査カウンタ316からラインカウンタ値とが入力される。比較器321は、挿入周期とラインカウンタ値とを比較し、当該比較結果に応じてリセット信号を生成し、当該リセット信号を画像メモリ121、副走査カウンタ316に出力して、主走査方向の画像データの入出力を制御する入力制御部として機能する。
【0097】
リセット信号は、画像メモリ121に入力されると、画像メモリから1ライン毎に画像データを読み出すリードイネーブル信号の出力を1ライン分停止させる信号として機能し、1ライン分の主走査方向の画像データが画像メモリ121から読み出されること停止させるものである。本実施の形態では、リセット信号は、挿入周期とラインカウンタ値とが等しい場合に生成される。
【0098】
図7に、副走査方向に画像データを拡大する場合の出力画像データの動作イメージ図を示す。
図7には、ラインバッファから選択部318へ出力される1ライン分の遅延画像データと、画像メモリから選択部318へ出力される1ライン分の入力画像データとを示す。図7に示すA、B、C、…は、主走査方向の画素の識別符号を示し、1、2、3、…は、副走査方向の画素の識別符号(ライン番号)を示す。○で囲まれた画素は、選択部318により選択され出力画像データとして出力される画素を示す。
【0099】
図7(A)に、ラインカウンタ値が0の場合の出力画像データの動作イメージ図を示す。図7(A)に示すように、ラインバッファには遅延画像データが無い状態であるため、ラインバッファからは遅延画像データが出力されない(図7(A)では「−」)。画像メモリからは、入力画像データの1ライン目が出力される。
【0100】
ラインカウンタ値が0であるため、全ての主走査方向の画素に対する選択信号FLGが0に設定される。従って、出力画像データの1ライン目の画素としては、画像メモリから出力された入力画像データの1ライン目の画素が選択されることとなる。
【0101】
図7(B)に、ラインカウンタ値が1の場合の出力画像データの動作イメージ図を示す。図7(B)に示すように、ラインバッファからは入力画像データの1ライン目が出力され、画像メモリからは、入力画像データ2ライン目が出力される。
【0102】
例えば、画素カウンタ値;E、初期位相値;2、ラインカウンタ値;2である場合には、画素カウンタ値Eに対して選択信号FLGが1に設定され、出力画像データの2ライン目の画素Eとしては、遅延画像データ(入力画像データの1ライン目)の画素E1が選択されることとなる。ここで、出力画像データの2ライン目の画素Eとして、入力画像データの1ライン目の画素E1が選択されることにより、同一の画素(E1)が副走査方向に2回連続して出力されることとなり、画素E列は副走査方向に1画素挿入されたこととなる。
【0103】
また、他の画素カウンタ値に対する選択信号FLGは、維持されるため、出力画像データの2ライン目のEを除く他の画素としては、画像メモリから出力された入力画像データ(入力画像データの2ライン目)の画素が選択されることとなる。
【0104】
図7(C)に、ラインカウンタ値が2の場合の出力画像データの動作イメージ図を示す。図7(C)に示すように、ラインバッファからは入力画像データの2ライン目が出力され、画像メモリからは、入力画像データの3ライン目が出力される。
【0105】
例えば、画素カウンタ値;G、初期位相値;3、ラインカウンタ値;3である場合には、画素カウンタ値Gに対して選択信号FLGが1に設定され、出力画像データの3ライン目の画素Gとしては、遅延画像データ(入力画像データの2ライン目)の画素G2が選択されることとなる。ここで、出力画像データの3ライン目の画素Gとして、入力画像データの2ライン目の画素G2が選択されることにより、同一の画素(G2)が副走査方向に2回連続して出力されることとなり、画素G列は副走査方向に1画素挿入されたこととなる。
【0106】
なお、画素カウンタ値Eに対する選択信号FLGは維持されるため、出力画像データの3ライン目の画素Eとしては、遅延画像データ(入力画像データの2ライン目)の画素E2が選択されることとなる。
また、画素E、Gを除く画素の画素カウンタ値に対する選択信号FLGは、維持されるため、出力画像データの3ライン目のE、Gを除く画素としては、画像メモリから出力された入力画像データ(入力画像データの3ライン目)の画素が選択されることとなる。
以降、1ライン毎にラインバッファから出力される遅延画像データを選択する画素が増加する。
【0107】
図7(D)に、ラインカウンタ値が挿入周期(例えば、100)と等しい場合の出力画像データの動作イメージ図を示す。
【0108】
ラインカウンタ値が挿入周期(例えば100)と等しくなると、リセット信号が画像メモリに入力される。そのため、挿入周期の次のライン(例えば、101)の画像データは、画像メモリからは読み出されず、選択部318には画像メモリから入力画像データが入力されない状態となる。そのため、図7(D)に示すように、ラインバッファからは、入力画像データの100ライン目が出力されるが、画像メモリからは入力画像データが出力されない(図7(D)では「−」)。
この場合、出力画像データの101ライン目の全画素としては、ラインバッファから出力された遅延画像データ(入力画像データの100ライン目)の全画素が選択されることとなる。従って、画像メモリから入力画像データが出力されない状態であっても出力画像データが欠けることはない。
【0109】
また、ラインカウンタ値が挿入周期(例えば100)と等しくなると、リセット信号が副走査カウンタに入力されラインカウンタ値がリセットされる。
【0110】
図7(E)に、図7(D)後のラインカウンタ値がリセットされた場合(ラインカウンタ値が0の場合)の出力画像データの動作イメージ図を示す。図7(E)に示すように、ラインバッファには遅延画像データがない状態であるため、ラインバッファからは遅延画像データが出力されない(図7(E)では「−」)。画像メモリからは、入力画像データの101ライン目が出力される。
【0111】
ラインカウンタ値が0であるため、全ての主走査方向の画素に対する選択信号FLGが0に設定される。従って、出力画像データの102ライン目の画素としては、画像メモリから出力された入力画像データの101ライン目の画素が選択されることとなる。
以後、図7(B)〜(D)のような動作が繰り返される。
【0112】
図8(A)に、図7に示した副走査方向に画像データを拡大する場合の出力画像データに基づく出力画像全体のイメージ図を示し、図8(B)に、図8(A)に示す出力画像の一部拡大イメージ図を示す。
図8(B)に示す符号は、図7に示す各画素を識別するための符号であり、副走査方向Yには出力画像のライン番号を示す。網掛けされた画素は、副走査方向Yにおいて1つ前の画素が連続して出力された画素、即ち、挿入された画素を示している。
【0113】
図8(A)、図8(B)に示すように、変倍部の動作により、隣接する副走査方向の画素列における画素の挿入位置が、主走査方向Xにおいて非連続となる位置で、かつ、挿入周期毎に画素の挿入が行なわれる。これは、乱数発生部315により生成された初期位相値が画素カウンタ値毎に異なるため、副走査方向の画素列の挿入周期の初期位相が他の副走査方向Yの画素列の挿入周期の初期位相と異なるためである。
【0114】
図5に示す変倍部300は、挿入する画素の画像データを副走査方向において1つ前の画素の画像データとしているが、これにかぎらず、副走査方向の画素列に対してニアレストネイバー法等の画像補間法を用いて挿入する画素の画像データを生成してもよい。
【0115】
図9に、多値の画像データの場合の変倍部300の概略構成図を示す。
なお、図5と同一の部分については同一符号を付し、説明は省略する。
【0116】
図9に示すように、変倍部300は、画素挿入部310とリセット信号生成部320とを備える。
【0117】
画素挿入部310は、主走査カウンタ311と、HV&VV部312、タイミング調整部313、ラインバッファ314、乱数発生部315、副走査カウンタ316、選択信号生成部317a、選択部318a、線形補間部319を備える。
【0118】
選択信号生成部317aは、主走査カウンタ311から画素カウンタ値、乱数発生部315から初期位相値、副走査カウンタ316からラインカウンタ値、制御部100から挿入周期信号が入力される。選択信号生成部317は、入力された画素カウンタ値、初期位相値、ラインカウンタ値、挿入周期信号に基づいて、ラインカウンタ値(CNT)と初期位相値とを比較し、当該結果に応じてラインバッファに格納されている画素の画像データを選択するか否かを示す選択信号FLGを生成し、当該選択信号を選択部318aに出力する。
【0119】
図10に、選択信号生成部317aで実行される選択信号生成処理のフローチャートを示す。なお、図10に示す選択信号生成処理は、画素カウンタ値ADRSが入力される度に実行される。
【0120】
図10にステップS11〜18は、図6に示すステップS1〜8と同様であるため、説明は省略する。
【0121】
変数Qが0でない場合(ステップS17;NO)、入力された画素カウンタ値ADRSに対する選択信号FLG[ADRS]が1か否かが判別される(ステップS19)。
【0122】
入力された画素カウンタ値ADRSに対する選択信号FLG[ADRS]が1である場合(ステップS19;YES)、選択信号FLG[ADRS]は2に設定され(ステップS20)、選択信号生成処理が終了される。
【0123】
入力された画素カウンタ値ADRSに対する選択信号FLG[ADRS]が1でない場合(ステップS19;NO)、選択信号FLG[ADRS]は設定されている選択信号に維持され(ステップS21)、選択信号生成処理が終了される。
【0124】
線形補間部319は、画像メモリから読み出された画像データと、ラインバッファ314から出力された画像データ(遅延画像データ)とが入力される。線形補間部319は、画素カウンタ値に対応する画素毎に、画像データと遅延画像データとの平均画像データを生成し、当該平均画像データを選択部318aに出力する。
【0125】
なお、本実施の形態ではラインバッファを1つ備えた構成としているが、複数のラインバッファを備えることにより、線形補間部をバイキュービック法等の所定の補間処理を用いて挿入箇所の平滑化を行う構成とすることも可能である。
【0126】
選択部318aは、画像メモリから読み出された画像データ(入力画像データ)と、ラインバッファ314から出力された画像データ(遅延画像データ)と、線形補間部319により生成された平均画像データと、選択信号生成部317aにより生成された選択信号とが入力される。
選択部318aは、画素カウンタ値に対応する画素毎に、入力された選択信号に応じて、画像メモリから入力された入力画像データ、ラインバッファ314から入力された遅延画像データ、線形補間部319から入力された平均画像データのうち、いずれか一つを選択して出力する。
本実施の形態における選択部318aでは、選択信号が0の場合には入力画像データ、選択信号が1の場合には平均画像データ、選択信号が2の場合には遅延画像データが選択されるものとする。
【0127】
図11に、副走査方向に多値の画像データを拡大する場合の出力画像データに基づく出力画像の一部拡大イメージ図を示す。
図11に示す符号は、図7に示す各画素を識別するための符号であり、副走査方向Yには出力画像のライン番号を示す。網掛けされた画素は、副走査方向において前後の画素の画素値の平均値が出力された画素を示している。
図11に示すように、隣接する副走査方向の画素列における画素の挿入位置が、主走査方向において非連続となる位置で、かつ、挿入周期毎に画素の挿入が行なわれる。これは、乱数発生部315により生成された初期位相値が画素カウンタ値毎に異なるため、副走査方向の画素列の挿入周期の初期位相が他の副走査方向の画素列の挿入周期の初期位相と異なるためである。
【0128】
次に、副走査方向に画像データを縮小する場合を説明する。
図12に、副走査方向に画像データを縮小する場合のメモリコントローラ230の概略機能構成図を示す。図12に示すように、メモリコントローラ230は、メモリ制御部231と、変倍部400と備えている。
なお、図4と同様の部分には、図4と同一の符号を付し、説明は省略する。
【0129】
変倍部400は、メモリコントローラ230内において、画像メモリ121との画像データの入出力部の位置に設けられており、画素間引部410とを備え、リードイネーブル信号の出力を停止し、副走査の各画素列に対して画素の間引きを行う。
【0130】
図13に、図12に示す画素間引部410の概略構成図を示す。
図13に示すように、画素間引部410は、主走査カウンタ311、HV&VV部312、タイミング調整部313、ラインバッファ314、乱数発生部315、副走査カウンタ316a、比較器321a、選択信号生成部411、第1選択部412、HV間引部413、第2選択部414を備える。
なお、図5と同一の部分については同一符号を付し、説明は省略する。
【0131】
副走査カウンタ316aは、クロック信号を発生し、変倍率に基づく副走査方向の間引き周期内の画素数を1からカウントするカウンタである。
副走査カウンタ316は、制御部100から間引き周期信号、比較器321からリセット信号が入力され、間引き周期内の画素数のカウンタ値(ラインカウンタ値;CNT)を選択信号生成部411、比較器321aに出力し、また、リセット信号が入力されるとラインカウンタ値をリセットする。
【0132】
比較器321aは、制御部100から間引き周期信号と、副走査カウンタ316からラインカウンタ値とが入力される。比較器321は、間引き周期とラインカウンタ値とを比較し、当該比較結果に応じてリセット信号を生成し、当該リセット信号を副走査カウンタ316a、HV間引部413に出力して、主走査方向の画像データの入出力を制御する入力制御部として機能する。
【0133】
選択信号生成部411は、主走査カウンタ311から画素カウンタ値、乱数発生部315から初期位相値、副走査カウンタ316からラインカウンタ値、制御部100から間引き周期信号が入力される。選択信号生成部411は、入力された画素カウンタ値、初期位相値、ラインカウンタ値、間引き周期信号に基づいて、ラインカウンタ値(CNT)と初期位相値とを比較し、当該結果に応じてラインバッファに格納されている画像データを選択するか否かを示す選択信号FLGを生成し、当該選択信号を第1選択部412に出力する。
【0134】
図14に、選択信号生成部411で実行される選択信号生成処理のフローチャートを示す。なお、図14に示す選択信号生成処理は、画素カウンタ値ADRSが入力される度に実行される。
【0135】
ステップS31〜34は、図6に示すステップS1〜4と同様であるため、説明は省略する。
【0136】
VV信号が0である場合、即ち、画像領域外である場合(ステップS34;YES)、入力された画素カウンタ値ADRSに対する選択信号FLG[ADRS]は1に設定され(ステップS35)、選択信号生成処理が終了される。
【0137】
VV信号が0でない場合、即ち、VV信号が1の場合(ステップS34;NO)、画像領域内であると判別され、ラインカウンタ値CNTが間引き周期INITと等しいか否かが判別される(ステップS36)。ラインカウンタ値CNTが間引き周期INITと等しい場合(ステップS36;YES)、ステップS35の処理が実行される。
【0138】
ラインカウンタ値CNTが間引き周期INITと等しくない場合(ステップS36;NO)、変数Qは0か否かが判別される(ステップS37)。変数Qが0である場合(ステップS37;YES)、入力された画素カウンタ値ADRSに対する選択信号FLG[ADRS]は0に設定され(ステップS38)、選択信号生成処理が終了される。
変数Qが0でない場合(ステップS37;NO)、入力された画素カウンタ値ADRSに対する選択信号FLG[ADRS]は設定されている選択信号に維持され(ステップS39)、選択信号生成処理が終了される。
【0139】
第1選択部412は、画像メモリから読み出された画像データと、ラインバッファ314から出力された画像データ(遅延画像データ)と、選択信号生成部411により生成された選択信号とが入力される。第1選択部412は、画素カウンタ値に対応する画素毎に、入力された選択信号に応じて、画像メモリから入力された画像データ又はラインバッファ314から入力された遅延画像データのうち、いずれか一方を選択して出力する。
本実施の形態においては、選択信号が0の場合には画像データ、選択信号が1の場合には遅延画像データが選択されるものとする。
【0140】
HV間引部413は、HV信号と、比較器321からリセット信号とが入力される。
HV間引部413は、リセット信号に応じてHV信号の出力タイミングを1ライン分間引く、即ち、HV信号を1ライン分「0」にする信号(HV0信号)を生成し、当該HV0信号を第2選択部414と出力画像処理部240とに出力する。
【0141】
第2選択部414は、第1選択部412により選択された画像データ(入力画像データ/遅延画像データ)と、HV間引部413により生成されたHV0信号とが入力される。第2選択部414は、HV0信号に応じて、入力された画像データを出力画像データとして出力画像処理部240に出力する。
また、VV信号は、VV0信号として出力画像処理部240に出力される。
【0142】
なお、間引き対象となる信号を水平画像有効信号(HV信号)としたが、水平同期信号とともに間引く構成としたり、間引き対象ラインであることを示す信号を設けてこれを下流の画像処理部に伝える構成としてもよい。
【0143】
図15に、副走査方向に画像データを縮小する場合の出力画像データの動作イメージ図を示す。
図15には、ラインバッファから第1選択部412へ出力される1ライン分の遅延画像データと、画像メモリから第1選択部412へ出力される1ライン分の入力画像データとを示す。図15に示すA、B、C、…は、主走査方向の画素の識別符号を示し、1、2、3、…は、副走査方向の画素の識別符号(ライン番号)を示す。○で囲まれた画素は、第1選択部412により選択され、且つ、第2選択部414から出力画像データとして出力される画素を示す。
【0144】
図15(A)には、ラインカウンタ値が1の場合の出力画像データの動作イメージ図を示している。図15(A)に示すように、ラインバッファには遅延画像データが無い状態であるため、ラインバッファからは遅延画像データが出力されない(図15(A)では「−」)。画像メモリからは、入力画像データの1ライン目が出力される。
【0145】
例えば、画素カウンタ値;J、初期位相値;1、ラインカウンタ値;1である場合には、画素カウンタ値Jに対して選択信号FLGが0に設定され、出力画像データの1ライン目の画素Jとしては、画像メモリから出力された入力画像データの1ライン目の画素J1が選択されることとなる。
【0146】
図15(B)には、ラインカウンタ値が2の場合の出力画像データの動作イメージ図を示している。図15(B)に示すように、ラインバッファからは入力画像データの1ライン目が出力され、画像メモリからは、入力画像データの2ライン目が出力される。
【0147】
例えば、画素カウンタ値;E、初期位相値;2、ラインカウンタ値;2である場合には、画素カウンタ値Eに対して選択信号FLGが0に設定され、出力画像データの2ライン目の画素Eとしては、入力画像データ(入力画像データの2ライン目)の画素E2が選択されることとなる。ここで、出力画像データの2ライン目の画素Eとして、2ライン目の画像データ(E2)が選択されることにより、入力画像データの1ライン目の画素E1が間引かれて出力されないこととなり、画素E列は副走査方向に1画素間引かれたこととなる。
【0148】
なお、画素カウンタ値Jに対する選択信号FLGは、維持されるため、出力画像データの2ライン目の画素Jとしては、入力画像データ(入力画像データの2ライン目)の画素J2が選択されることとなる。
また、画素E、Jを除く画素の画素カウンタ値に対する選択信号FLGは、維持されるため、出力画像データの2ライン目のE、Jを除く画素としては、ラインバッファから出力された遅延画像データ(入力画像データの1ライン目)の画素が選択されることとなる。
【0149】
図15(C)には、ラインカウンタ値が3の場合の出力画像データの動作イメージ図を示している。図15(C)に示すように、ラインバッファからは入力画像データの2ライン目が出力され、画像メモリからは、入力画像データの3ライン目が出力される。
【0150】
例えば、画素カウンタ値;G、初期位相値;3、ラインカウンタ値;3である場合には、画素カウンタ値Gに対して選択信号FLGが0に設定され、出力画像データの3ライン目の画素Gとしては、画像メモリから出力された入力画像データ(入力画像データの3ライン目)の画素G3が選択されることとなる。ここで、出力画像データの3ライン目の画素Gとして、入力画像データの3ライン目の画素G3が選択されることにより、入力画像データの2ライン目の画素G2が間引かれて出力されないこととなり、画素G列は副走査方向に1画素間引かれたこととなる。
【0151】
なお、画素カウンタ値E、Jに対する選択信号FLGは維持されるため、出力画像データの3ライン目の画素E、Jとしては、入力画像データ(入力画像データの3ライン目)の画素E3、J3が選択されることとなる。
また、画素E、G、Jを除く画素の画素カウンタ値に対する選択信号FLGは、維持されるため、出力画像データの3ライン目のE、G、Jを除く画素としては、ラインバッファから出力された遅延画像データ(入力画像データの2ライン目)の画素が選択されることとなる。
以降、1ライン毎に画像メモリから出力される入力画像データを選択する画素が増加する。
【0152】
図15(D)には、ラインカウンタ値が99の場合の出力画像データの動作イメージ図を示している。図15(D)に示すように、ラインバッファからは入力画像データの98ライン目が出力され、画像メモリからは、入力画像データの99ライン目が出力される。
【0153】
ここでは、出力画像データの99ライン目の画素として、画像メモリから出力された入力画像データ(入力画像データの99ライン目)の画素が選択されることとなる。従って、J列を除く全ての副走査方向の画素列が、副走査方向に1画素間引かれたこととなる。
【0154】
図15(E)に、ラインカウンタ値が間引き周期(例えば、100)と等しい場合の出力画像データの動作イメージ図を示す。図15(E)に示すように、ラインバッファからは入力画像データの99ライン目が出力され、画像メモリからは、入力画像データの100ライン目が出力される。
【0155】
ラインカウンタ値が間引き周期と等しいことから、全ての画素カウンタ値に対する選択信号が「1」に設定され、第1選択部では、全画素は入力画像データの99ライン目の画素が選択される。その一方で、ラインカウンタ値が間引き周期(例えば100)と等しくなると、リセット信号が比較器321からHV間引部413に入力され、HV0信号がHV間引部413から第2選択部414に入力される。従って、第2選択部414にHV0信号が入力されるため、ラインバッファ、画像メモリのいずれかの画像データも選択されず、1ライン分の画像データの出力が停止される。
【0156】
また、ラインカウンタ値が間引き周期(例えば100)と等しくなると、リセット信号が副走査カウンタに入力されラインカウンタ値がリセットされる。
【0157】
図15(F)には、図15(E)後のラインカウンタ値がリセットされた場合(ラインカウンタ値が1の場合)の出力画像データの動作イメージ図を示している。図15(F)に示すように、ラインバッファからは入力画像データの100ライン目が出力され、画像メモリからは、入力画像データの101ライン目が出力される。
【0158】
例えば、画素カウンタ値;J、初期位相値;1、ラインカウンタ値;1である場合には、画素カウンタ値Jに対して選択信号FLGが1に設定され、出力画像データの100ライン目の画素Jとしては、画像メモリから出力された入力画像データの101ライン目の画素J101が選択されることとなる。出力画像データの100ライン目の画素Jとして、入力画像データの101ライン目の画素J101が選択されることにより、100ライン目の入力画像データの100ライン目の画素J100が間引かれて出力されないこととなり、この段階で、画素J列は副走査方向に1画素間引かれたこととなる。
【0159】
なお、他の画素カウンタ値に対する選択信号FLGは、維持されるため、出力画像データの100ライン目のJを除く画素としては、ラインバッファから出力された遅延画像データ(入力画像データの100ライン目)が選択されることとなる。
以後、図15(B)〜(E)のような動作が繰り返される。
【0160】
図16に、図15に示した副走査方向に画像データを縮小する場合の出力画像データに基づく出力画像の一部拡大イメージ図を示す。
図16に示す符号は、図15に示す各画素を識別するための符号であり、副走査方向Yには出力画像のライン番号を示す。網掛けされた画素は、副走査方向において1つ前の画素が間引かれた状態を示している。
図16に示すように、隣接する副走査方向の画素列における画素の間引き位置が、主走査方向において非連続となる位置で、かつ、間引き周期毎に画素が間引かれる。これは、乱数発生部315により生成された初期位相値が画素カウンタ値毎に異なるため、副走査方向の画素列の間引き周期の初期位相が他の副走査方向の画素列の間引き周期の初期位相と異なるためである。
【0161】
副走査方向に画像データを縮小する場合に用いる変倍部400は、メモリコントローラ230に設けられた場合を説明したが、これに限らず、出力画像メモリコントローラ250に変倍部を設けてもよい。
【0162】
図17に、副走査方向に画像データを縮小する場合の出力画像メモリコントローラ250の概略機能構成図を示す。
図17に示すように、出力画像メモリコントローラ250は、メモリ制御部251と、変倍部500と備えている。
なお、図12と同様の部分には、図4と同一の符号を付し、説明は省略する。
【0163】
変倍部500は、出力画像メモリコントローラ250内において、出力画像メモリ122との画像データの入出力部の位置に設けられており、画素間引部510とリセット信号生成部520とを備え、ライトイネーブル信号の出力を停止し、副走査の各画素列に対して画素の間引きを行う。
【0164】
図18に、図17に示す変倍部500の概略構成図を示す。
図18に示すように、変倍部500は、画素間引部510とリセット信号生成部520とを備える。
【0165】
画素間引部510は、主走査カウンタ311、HV&VV部312、タイミング調整部313、ラインバッファ314、乱数発生部315、副走査カウンタ316a、選択信号生成部411、選択部318を備える。
リセット信号生成部520は、比較器321bを備える。
なお、図5、図12と同一の部分については同一符号を付し、説明は省略する。
【0166】
比較器321bは、制御部100から間引き周期信号と、副走査カウンタ316aからラインカウンタ値とが入力される。比較器321bは、間引き周期とラインカウンタ値とを比較し、当該比較結果に応じてリセット信号を生成し、当該リセット信号を出力画像メモリ122、副走査カウンタ316aに出力して、主走査方向の画像データの入出力を制御する入力制御部として機能する。
【0167】
リセット信号は、出力画像メモリ122に入力されると、出力画像メモリへ1ライン毎に画像データを書き込むライトイネーブル信号の出力を1ライン分停止させる信号として機能し、1ライン分の主走査方向の画像データが出力画像メモリ122に書き込まれること停止させるものである。本実施の形態では、リセット信号は、間引き周期とラインカウンタ値とが等しい場合に生成される。
【0168】
以上のように、本実施の形態によれば、変倍率に基づいて、副走査方向の画素列毎に対して画素の挿入又は間引きによる変倍を行なう際、隣接する副走査方向の画素列における画素の挿入又は間引き位置が、主走査方向において非連続となる位置で、副走査方向の画素列における画素の挿入又は間引きを行なうことにより、ポリゴンミラーの回転速度を変更せずとも、画像データの副走査方向の倍率調整(拡大又は縮小)をすることができると共に、倍率調整に伴う画像劣化を防止でき、生産性を向上させることができる。
【0169】
更に、変倍率に基づいて算出された副走査方向の周期(変倍周期)で、副走査方向の画素列毎に画素の挿入又は間引きを行なうことができるため、副走査方向に連続して画素が挿入又は間引きされることを防止でき、画像データの変倍調整に伴う画質劣化を低減できる。また、副走査方向の周期で実施される画素の挿入又は間引きの周期的パターンの位相が、副走査方向の画素列毎に異なるため、主走査方向に連続して画素が挿入又は間引きされることを防止でき、画像データの変倍調整に伴う画質劣化を低減できる。
【0170】
更に、副走査方向の画素列毎に、乱数発生部315により発生された乱数を周期的パターンの周期の初期位相値とすることができ、主走査方向に連続して画素が挿入又は間引きされることを防止でき、画像データの変倍調整に伴う画質劣化を低減できる。
また、乱数発生部315に替えて初期位相記憶部を備えたとしても、初期位相記憶部に記憶されている初期位相設定情報を用いて、副走査方向の画素列毎に、副走査方向の周期の初期位相値を設定することができ、主走査方向に連続して画素が挿入又は間引きされることを防止でき、画像データの変倍調整に伴う画質劣化を低減できる。
【0171】
更に、変倍部がメモリ制御部内において、画像メモリ121又は出力画像メモリ122との画像データの入出力部の位置に設けられていることにより、メモリ制御部が生成する許可信号(ライトイネーブル信号、リードイネーブル信号)の出力を直接的に停止させることができ、画素の挿入又は間引きを行なうことができる。
【0172】
更に、ラスタライズ後の画像データに対して、画素の挿入又は間引きを行なって画像データの副走査方向の倍率調整(拡大又は縮小)をした後、スクリーン処理を行なうことができるため、倍率調整に伴う画像データの劣化を低減することができる。
【0173】
更に、副走査方向の画素列毎に対して、ニアレストネイバー処理や所定の補間処理を用いて画素の挿入又は間引きを行うことができ、画質の低下を低減することができる。
【0174】
また、副走査方向の周期とラインカウンタ値との比較結果に応じて出力されるリセット信号により、画素の挿入時には主走査方向の画像データの入力を、画素の間引き時には主走査方向の画像データの出力を停止させることができる。
【0175】
更に、変倍部がメモリ制御部の下流に接続された場合、画素の間引き時における主走査方向の画像データの出力停止時に出力されるHV0信号により、画像データともに、水平同期信号、水平画像有効信号(HV信号)のいずれか、又は両方とも非アクティブとすることができるため、画素の間引きを行うことができる。
【0176】
更に、画素の挿入処理を行う拡大部として機能する変倍部をメモリ制御部の下流に、画素の間引き処理を行う縮小部として機能する変倍部をメモリ制御部の上流に接続することができる。
【0177】
また、用紙の表面と裏面とに個別に設定された変倍率に基づいて、用紙の表面に画像形成される画像データと裏面に画像形成される画像データとに対して、ポリゴンミラーの回転速度を変更せずとも、個別に副走査方向の倍率調整(拡大又は縮小)をすることができる。特に、用紙の両面に形成される画像の位置を表裏で一致させる表裏見当合わせを行なう場合において、表裏見当合わせの精度を高めることができると共に、生産性を向上させることができる。
【0178】
更に、用紙の種類、サイズ毎に設定された変倍率を用いることができるため、用紙の種類、サイズ毎に異なる熱収縮率に対応した副走査方向の倍率調整を行うことができる。
【0179】
また、本発明は、上記実施の形態の内容に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0180】
1 画像形成装置
2 外部装置
3 ネットワーク
10 本体制御部
20 画像読取部
30 操作表示部
31 タッチパネル
40 プリント部
41 給紙部
42 画像形成部
50 プリンタコントローラ
100 制御部
111 不揮発メモリ
112 DB
120 メモリ
121 画像メモリ
122 出力画像メモリ
200 画像処理装置
210 入力画像処理部
220 ラスタライズ部
230 メモリコントローラ
231 メモリ制御部
240 出力画像処理部
250 出力画像メモリコントローラ
251 メモリ制御部
300、400、500 変倍部
310 画素挿入部
311 主走査カウンタ
312 HV&VV部
313 タイミング調整部
314 ラインバッファ
315 乱数発生部
316、316a 副走査カウンタ
317、317a、411 選択信号生成部
318、318a 選択部
319 線形補間部
320、520 リセット信号生成部
321、321a、321b 比較器
410、510 画素間引部
412 第1選択部
413 HV間引部
414 第2選択部
X 主走査方向
Y 副走査方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主走査方向に配列された画素列を1ラインとして、前記主走査方向に直交する方向である副走査方向に複数ラインを配して構成された画像データに対し、設定された変倍率に基づいて、前記副走査方向の画素列に対して画素の挿入又は間引きによる変倍を行なう変倍部を備え、
前記変倍部は、隣接する前記副走査方向の画素列における画素の挿入又は間引き位置が、前記主走査方向において非連続となる位置で画素の挿入又は間引きを行なう、
画像処理装置。
【請求項2】
前記変倍部は、
前記変倍率に基づいて算出された副走査方向の周期で、前記副走査方向の画素列毎に画素の挿入又は間引きを行なう、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記副走査方向の周期で実施される画素の挿入又は間引きの周期的パターンについて、当該周期的パターンの位相が前記副走査方向の画素列毎に異なる、
請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記変倍部は、
前記副走査方向の画素列毎に、前記前記周期的パターンの初期位相値を示す初期位相設定情報を記憶する初期位相記憶部を有する、
請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記変倍部は、
前記副走査方向の画素列毎に対して、前記副走査方向の周期の範囲内で乱数を発生する乱数発生部を有し、
前記副走査方向の画素列毎に、前記乱数発生部により発生された乱数を前記周期的パターンの初期位相値とする、
請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記画像データを記憶する画像メモリと、
前記画像メモリに対する前記画像データの入力又は出力を許可する許可信号を生成し、当該許可信号の出力に基づいて前記画像メモリに対して前記画像データの入力又は出力を制御するメモリ制御部と、
を備え、
前記変倍部は、
前記メモリ制御部内において、前記画像メモリとの前記画像データの入出力部の位置に設けられており、前記許可信号の出力を停止して画素の挿入又は間引きを行なう、
請求項1から5のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記画像データをラスタライズするラスタライズ部と、
前記画像データに対してスクリーン処理を行うスクリーン処理部と、を備え、
前記変倍部は、前記ラスタライズ部の後段であって前記スクリーン処理部の前段に設けられ、前記ラスタライズ部によりラスタライズされた画像データが入力され、スクリーン処理部に画像データを出力する、
請求項1から6のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記変倍部は、
前記副走査方向の画素列に対して、ニアレストネイバー処理を用いて画素の挿入又は間引きを行う、
請求項1から7のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記変倍部は、
前記副走査方向の画素列に対して、所定の補間処理を用いて画素の挿入又は間引き箇所の平滑化を行なう、
請求項1から7のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記変倍部は、
入力された主走査方向の画素列の画像データに対して前記副走査方向において1列前の主走査方向の画素列の画像データを一時的に格納するバッファと、
前記主走査方向の画素数をカウントする主走査カウンタと、
前記主走査カウンタと同期して前記副走査方向の画素列毎に、前記周期的パターンの初期位相値を出力する初期位相出力部と、
前記変倍率に基づく前記副走査方向の周期内の画素数をカウントする副走査カウンタと、
前記主走査カウンタによるカウンタ値に対応する画素毎に、前記副走査カウンタによるカウンタ値と前記初期位相値との比較結果に応じて、前記バッファに格納されている画像データを選択するか否かを示す選択信号を生成する選択信号生成部と、
前記主走査カウンタによるカウンタ値に対応する画素毎に、前記選択信号生成部により生成された選択信号に応じて、前記入力された主走査方向の画素列の画像データ又は前記バッファに格納されている主走査方向の画素列の画像データのうち、いずれか一方を選択して出力する選択部と、
前記副走査方向の周期と前記副走査カウンタによるカウンタ値とを比較し、当該比較結果に応じて前記主走査方向の画像データの入出力を制御する入力制御部と、
を備える、
請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記入出力制御部は、
前記比較結果に応じて、前記画素の挿入時には前記主走査方向の画像データの入力を、前記画素の間引き時には前記主走査方向の画像データの出力を停止させる、
請求項10に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記画像データを一時的に格納するための画像メモリと、
前記画像メモリを制御するメモリ制御部と、をさらに備え、
前記変倍部は、
前記メモリ制御部の下流に接続され、前記画素の間引き時における前記主走査方向の画像データの出力停止時には、当該画像データともに、水平同期信号、水平画像有効信号のいずれか、又は両方ともアクティブとしない、
請求項11に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記画像データを一時的に格納するための画像メモリと、
前記画像メモリを制御するメモリ制御部と、をさらに備え、
前記変倍部のうち、前記画素の挿入処理を行う拡大部は前記メモリ制御部の下流に、前記画素の間引き処理を行う縮小部は前記メモリ制御部の上流に接続される、
請求項11に記載の画像処理装置。
【請求項14】
画像データに基づいて用紙の両面に画像形成を行う画像形成部と、
前記画像データに基づいて画像形成が行われる前記用紙の表面と裏面とに個別に設定された変倍率を記憶する記憶部と、
請求項1から13のいずれか一項に記載の画像処理装置と、
を備えた画像形成装置。
【請求項15】
前記変倍率は、用紙の種類、サイズ毎に設定されている、
請求項14に記載の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−135387(P2011−135387A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−293584(P2009−293584)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】