説明

画像判別処理装置、画像形成装置、及び画像判別処理方法

【課題】開発コストを掛けずにマスクをすることが可能な、また、リアルタイムにマスクの切替をすることが可能な装置及び方法を提供する。
【解決手段】画像判別処理装置7は、画像判別処理部10を備えて構成されている。この画像判別処理部10は、表示装置6の画像表示に係るコントローラ5からの出力に基づいて判別を行い、コントローラ5の起動に係る画像表示を判別の結果に応じて複数種の表示パターンのうちの一つに切り替えたり、表示パターンを解除してコントローラ5の出力に応じた画像表示にしたりする機能を有している。画像判別処理部10は、制御部11と、記憶部12と、第二クロック生成部13と、判別処理部14とを備えて構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組み込み機器に係る装置及び方法に関し、詳しくは、コントローラ及び表示装置の間に介在する画像判別処理装置及びその処理方法と、画像判別処理装置を備える画像形成装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
組み込み機器としては、複写機やプリンタ等の画像形成装置を含むことが一般的に知られている。画像形成装置としては、例えば下記特許文献1に開示されたものなどが知られている。下記特許文献1に開示された画像形成装置は、プリント&コピー/スキャンシステムの機能を有しており、コントローラを内蔵する本体部と、この本体部の上部に突出するように支柱を介して設けられるディスプレイ部と、を備えて構成されている。ディスプレイ部は、本体部に対して別体となるように構成されている。ディスプレイ部には、コントローラからの出力がケーブルを介して直接入力される表示装置(ディスプレイ)が設けられている。表示装置は、コントローラの出力に応じて画像を表示するものとして構成されている。
【特許文献1】意匠登録第1277930号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に開示された画像形成装置に限るものではないが、コントローラ側において特別にソフトウェアやドライバを導入してない場合、コントローラに電源を投入して起動を開始すると、表示装置にはコントローラの作動内容が表示されてしまうことになる。表示装置に作動内容が表示されるとユーザーは見苦しさを感じるようになることから、作動内容の表示を隠す(マスクする)ことが好ましいと言える。しかしながら、作動内容の表示を隠すためには、コントローラ側の開発に高額なコストを掛ける必要があることから、これが問題点になっている。
【0004】
ところで、作動内容の表示を単に隠しただけでは、次のような問題点に繋がってしまうという恐れを有している。すなわち、コントローラの起動が終了するまでの間、作動内容の表示を隠すために表示装置への信号がない時と同じ色のみ(例えば黒)となる表示のマスクをする場合、ユーザーは装置自体が起動してないと誤認してしまう恐れを有している。そして、この時に電源スイッチのON・OFFを繰り返してしまうような操作をすると、実際には起動中の状態にあるコントローラに対してダメージを与えてしまう可能性を有している。
【0005】
尚、コントローラ側の開発コストを極力掛けずにマスクをするためには、所定の時間経過後に自動的にマスクを外す処理をすることが考えられる。しかしながらこのような方法では、コントローラが既に起動しているにもかかわらずにマスクが外れない、或いは、起動終了する前にマスクが外れて作動内容が表示されてしまうなどの不具合が十分に起こり得ることから、有効な対策とは言えないことになる。この他、リアルタイムで画像の切替を行うことができないということにもなる。
【0006】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、開発コストを掛けずにマスクをすることが可能な、また、リアルタイムにマスクの切替をすることが可能な装置及び方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の本発明の画像判別処理装置は、組み込み機器のコントローラに対して別体となり、且つ該コントローラ及び前記組み込み機器の表示装置の間に介在してこれらを電気的に接続する装置であり、さらには、前記表示装置の画像表示に係る前記コントローラからの出力に基づいて判別を行い、少なくとも前記コントローラの起動に係る画像表示を前記判別の結果に応じて複数種の表示パターンのうちの一つに切り替える画像判別処理部を備えてなることを特徴としている。
【0008】
請求項2記載の本発明の画像判別処理装置は、請求項1に記載の画像判別処理装置において、前記画像判別処理部は、前記コントローラの通常起動時における起動時間よりも長い時間となる比較時間を予め有し、前記判別を行いつつ前記比較時間と前記コントローラの起動開始後からの経過時間とを比較し、該経過時間が前記比較時間を越えた時に前記複数種の表示パターンのうちの他の一つに切り替えることを特徴としている。
【0009】
請求項3記載の本発明の画像判別処理装置は、請求項2に記載の画像判別処理装置において、前記画像判別処理部は、前記経過時間が前記比較時間を越えるまでの間、進捗度を画像表示中の表示パターンに付加することを特徴としている。
【0010】
請求項4記載の本発明の画像判別処理装置は、請求項1ないし請求項3いずれか記載の画像判別処理装置において、前記画像判別処理部は、前記コントローラの起動終了後も前記コントローラからの出力に基づいて判別を行い前記表示装置の画像表示を所定の表示パターンに切り替えることを特徴としている。
【0011】
請求項5記載の本発明の画像判別処理装置は、請求項1ないし請求項4いずれか記載の画像判別処理装置において、前記画像判別処理部は、前記コントローラから出力される前記表示装置の画像表示に係る赤色階調データ、緑色階調データ、青色階調データ、同期信号の入力先となる制御部と、該制御部において生成される第一クロックのタイミングで前記赤色階調データ、前記緑色階調データ、前記青色階調データ、前記同期信号を表示データとして書き込むための書き込み先となる記憶部と、第二クロックを生成する第二クロック生成部と、前記第二クロックのタイミングに基づいて作動するとともに前記記憶部から前記表示データを読み込み、且つ読み込んだ前記表示データを用いて所定の状態になっているか否かの判別処理を行い、且つ該判別処理を行った結果に基づいて画像表示を対応する表示パターンに切り替えるか、若しくは前記表示データを前記表示装置へスルーするかの機能を有する判別処理部と、を備えて構成されることを特徴としている。
【0012】
請求項6記載の本発明の画像判別処理装置は、請求項1ないし請求項5いずれか記載の画像判別処理装置において、前記組み込み機器は、複写機やプリンタ等の画像形成装置であり、該画像形成装置の本体部に前記コントローラが設けられ、前記本体部の上部に突出するように設けられるディスプレイ部に当該装置が前記表示装置と共に設置されることを特徴としている。
【0013】
上記課題を解決するためになされた請求項7記載の本発明の画像形成装置は、請求項1ないし請求項5いずれか記載の画像判別処理装置、及び該画像判別処理装置が電気的に接続される表示装置を含むディスプレイ部と、該ディスプレイ部を突出するように上部位置に設け、且つ接続回路を介して前記画像判別処理装置が電気的に接続されるコントローラを含む本体部と、を備えてなることを特徴としている。
【0014】
上記課題を解決するためになされた請求項8記載の本発明の画像判別処理方法は、組み込み機器のコントローラに対して別体となり、且つ該コントローラ及び前記組み込み機器の表示装置の間に介在してこれらを電気的に接続する画像判別処理装置の処理に関し、前記表示装置の画像表示に係る前記コントローラからの出力に基づいて判別を行い、少なくとも前記コントローラの起動に係る画像表示を前記判別の結果に応じて複数種の表示パターンのうちの一つに切り替える処理ステップを有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載された本発明によれば、本発明の画像判別処理装置はコントローラに対して別体となる装置であり、本発明の画像判別処理装置によって少なくともコントローラの起動に係る画像表示をマスクすることができる。従って、マスクに関しコントローラ側では開発コストを掛ける必要がないという効果を奏する。また、本発明の画像判別処理装置は、コントローラからの出力に基づく判別結果に応じて表示装置の画像表示を複数種の表示パターンのうちの一つに切り替えることができる。従って、リアルタイムにマスクの切替をすることができるという効果を奏する。
【0016】
請求項2に記載された本発明によれば、コントローラの起動時における作動の不具合を画像表示によって知らせることができる。従って、本発明によれば、上記効果の他に、現在の状態が異常待機の状態にあることを素早くユーザーに知らせることができるという効果も奏する。
【0017】
請求項3に記載された本発明によれば、コントローラの起動に係る進捗度を画像表示によって知らせることができる。従って、本発明によれば、上記効果の他に、ユーザーの誤認及び誤操作をより確実に防止することができるという効果も奏する。また、ユーザーへの不安感を払拭することができるという効果も奏する。
【0018】
請求項4に記載された本発明によれば、コントローラの起動終了後における作動の不具合を画像表示によって知らせることができる。従って、本発明によれば、上記効果の他に、現在の状態が例えばコントローラの電源オフや、スリープモードや、ケーブル外れ等の状態にあることを素早くユーザーに知らせることができるという効果も奏する。
【0019】
請求項5に記載された本発明によれば、開発コストを掛けずにマスクをすることができ、また、リアルタイムにマスクの切替をすることができる画像判別処理装置における画像判別処理部のより良い構成を提供することができるという効果を奏する。本発明によれば、制御部は所謂VGA制御に係る回路の機能を有しており、この制御部を介してコントローラから出力された表示装置の画像表示に係る各種データを表示データとして記憶部に書き込む。本発明では、制御部において生成された第一クロックのタイミングでない、独立した第二クロックのタイミングで記憶部からの読み込み行うようにしており、コントローラ側での不具合等に影響されない処理を行えるようにしている。尚、この点に関しては、発明を実施するための最良の形態の欄で説明するものとする。
【0020】
請求項6に記載された本発明によれば、本発明の画像判別処理装置は複写機やプリンタ等の画像形成装置に好適な装置として提供することができるという効果を奏する。
【0021】
請求項7に記載された本発明によれば、上記効果の画像判別処理装置を含むことから、より良い画像形成装置を提供することができるという効果を奏する。
【0022】
請求項8に記載された本発明によれば、本発明の処理方法を採用することにより、マスクに関しコントローラ側で開発コストを掛ける必要がないという効果を奏する。また、本発明の処理方法を採用することにより、リアルタイムにマスクの切替をすることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら説明する。図1は本発明の一実施の形態を示す画像形成装置の図であり、(a)は斜視図、(b)は正面図である。また、図2は画像形成装置の要部構成図、図3は画像判別処理装置の基本構成図、図4は画像判別処理方法に係るフローチャート、図5は図4のスタンバイ判別処理に係るフローチャート、図6〜図7は表示パターンに係る表示条件と表示内容の説明図、図8は表示パターン解除に係る表示条件と表示内容の説明図である。
【0024】
図1において、引用符号1は画像形成装置を示しており、ここではプリント&コピー/スキャンシステムの機能を有する複写機を一例に挙げて説明するものとする(複写機は組み込み機器として広く知られている)。画像形成装置1は、本体部2と、支柱3を介して設けられるディスプレイ部4とを備えて構成されている。ディスプレイ部4は、本体部2の上部に突出するように設けられている。本体部2とディスプレイ部4は、図示の如く、別体の構成になっている。
【0025】
図1及び図2において、本体部2は、PLCの機能を有して内蔵されるコントローラ5と、複写機として公知となる各種機能部及び筐体等とを備えて構成されている。一方、ディスプレイ部4は、画像表示を行うための表示装置6(例えばタッチパネル式のLCD)と、本発明の要部となる画像判別処理装置7と、これらを収容する筐体等とを備えて構成されている。本形態において、コントローラ5及び表示装置6は、基本的に公知の構成ものが用いられている。表示装置6及び画像判別処理装置7は、上記の如く、ディスプレイ部4が本体部2に対して別体となることから、コントローラ5に対して別体の構成になっている。本発明は、コントローラ5及び表示装置6の間に画像判別処理装置7を介在させることによって、所望の効果が得られるようになっている。画像判別処理装置7は、コントローラ5の出力に応じて所定の判別を行い、この判別結果に基づいて表示装置6の画像表示を切り替えるような構成になっている(このことについては後述する)。
【0026】
図2において、コントローラ5からの出力は、VGAケーブル8(特許請求の範囲に記載した接続回路に相当)を介して画像判別処理装置7に入力されるようになっている。また、表示装置6へは、画像判別処理装置7からの出力がケーブル又はフレキシブルプリント回路等の接続回路9を介して入力されるようになっている。コントローラ5と画像判別処理装置7とを電気的に接続するVGAケーブル8は、支柱3の内部を通るように配索されている。
【0027】
図3において、画像判別処理装置7は、画像判別処理部10を備えて構成されている。この画像判別処理部10は、後述するが、表示装置6の画像表示に係るコントローラ5からの出力に基づいて判別を行い、コントローラ5の起動に係る画像表示を判別の結果に応じて複数種の表示パターンのうちの一つに切り替えたり、表示パターンを解除してコントローラ5の出力に応じた画像表示に表示パターン解除(コントローラ出力)する機能を有している。画像判別処理部10は、制御部11と、記憶部12と、第二クロック生成部13と、判別処理部14とを備えて構成されている(インターフェース等の図示及び説明は省略するものとする)。
【0028】
制御部11は、所謂VGA制御に係る回路(例えば公知のVGA制御IC)の機能を有しており、コントローラ5から出力される表示装置6の画像表示に係る各種データを表示データとして記憶部12に書き込むことができるように構成されている。表示データは、赤色階調データ(8bit)、緑色階調データ(8bit)、青色階調データ(8bit)、垂直同期信号(Vsync)、水平同期信号(Hsync)等が含まれるものとする。このような表示データの記憶部12への書き込みは(蓄積は)、制御部11において生成される第一クロックにより決定されるようになっている。第一クロックのタイミングは、コントローラ5から出力されるデータクロックと同じになっている。
【0029】
記憶部12は、読み書き自在なRAMが用いられている。第二クロック生成部13は、制御部11において生成された第一クロックのタイミングでない、独立した第二クロックを生成することができるように構成されている。判別処理部14は、第二クロック生成部13で生成された第二クロックのタイミングに基づいて作動するように構成されている。また、判別処理部14は、記憶部12に蓄積された表示データを読み込み、そして読み込んだ表示データを用いて所定の状態になっているか否かの判別処理を行うように構成されている。さらに、判別処理部14は、判別処理を行った結果に基づいて表示装置6での画像表示を、対応する表示パターンに切り替えるか、若しくは表示データを表示装置6へスルーするかの機能を有するように構成されている。
【0030】
判別処理部14は、マスクとして用いる各種の表示パターンを出力可能に記憶するための表示パターン記憶部(図示省略)を備えている。また、判別処理部14は、タイマの機能やカウンタの機能等(図示省略)も備えている。判別処理部14は、上記の如く、独立したクロック(第二クロック)により作動することから、仮にコントローラ5側で不具合(これに限らないものとする)が生じたとしても表示装置6の画像表示を制御することができるように構成されている(コントローラ5側で仮に不具合が生じたと判別できれば、コントローラ5からの出力に頼らずに不具合に対応する表示パターンを出力することができる。画像判別処理装置7側で表示装置6に画像表示をさせるようにすれば、ユーザーに対して現在の状態を知らせることができ、また、ユーザー側では迅速な対応をすることもできる)。
【0031】
判別処理部14は、コントローラ5の起動が終了した状態において、表示パターンの出力を解除して(作動内容を隠すためのマスクをする必要がないため)コントローラ5の出力で画像表示させることができるように構成されている。すなわち、判別処理部14は、上記の如く、表示データを表示装置6へスルーする機能を有している。
【0032】
ここで、本発明に関して補足説明をすると、ユーザーインターフェース出力手段の一つであるVGA信号が用いられているものとする。コントローラ5の表示制御としては、VGA(480×640dot)を4分の1分割したQVGA(240×320dot)制御を行うようになっている。従って、複写機に関する制御及び状態は、常に第一象限(左上)に表示されるようになっている。本発明では、第一象限の表示状態に基づき画像判別処理装置7で保有する各種表示パターンを出力するような構成になっている。
【0033】
次に、上記構成に基づきながら画像判別処理部10の判別処理部14で行う処理に関して説明する。尚、処理に係る回路又はプログラムや後述する表示パターン1〜4(表示パターン1データ〜表示パターン4データ)は、予め判別処理部14に記憶されているものとする。
【0034】
図4において、処理を開始させると、ステップS1から順に各処理を実行する。ステップS1では初期設定を行う。初期設定完了後、ステップS2へ処理を移行する。ステップS2では、表示データを読み込んでQVGA画面における所定位置の状態をチェックするRGB判別を実行する。尚、上記所定位置は、本形態において、QVGA画面の四隅位置となっている(一例であるものとする)。QVGAは1画面240×320dotにて構成されている。表示データの読み込みにあたっては4bit単位で行うようになっており、240×80のデータで判別をするようになっている。
【0035】
ステップS3では、RGB判別の結果が「四隅位置、全て黒」又は「四隅位置のうち三つが黒で残り一つが×印」であるか否かを判断する。ここで、「四隅位置、全て黒」は、図6(a)の表示条件に示す如く、QVGA画面の1行目1列、1行目80列、240行目1列、240行目80列の四隅位置全てが黒、すなわちRGB最上位bitが「1」となるような時であるものとする。「四隅位置、全て黒」は、コントローラ5の起動時に出力されるようになっている。また、「四隅位置のうち三つが黒で残り一つが×印」は、図6(b)の表示条件に示す如く、QVGA画面の1行目1列、1行目80列、240行目1列の4bitが黒(「1111」)となるような時であるとともに、残り一つが×印(dotで「×」になるようにする。印は一例であり、コントローラ5で決めるものとする。本形態においては、239行目80列、240行目80列などを使って印を出している)となるような時であるものとする。×印は、コントローラ5の起動が終了する直前を示すものとする。
【0036】
ステップS3において、RGB判別の結果が「四隅位置、全て黒」又は「四隅位置のうち三つが黒で残り一つが×印」である場合(ステップS3でYes)、ステップS4の処理へ移行する。一方、上記以外の場合は、ステップS11(後述する)の処理へ移行する。
【0037】
ステップS4では、図6(a)の表示内容に示す如くの画像表示になるように表示パターン1(表示パターン1データ)を表示装置6へ出力する。図6(a)の表示内容では、ステップS5の処理によって、画面中央にプログレスバーが表示されるようになっている。図中のプログレスバーにおいては、左端部分が黒塗り状態になっている。これは、コントローラ5が起動し始めて間もないことを示している。このようにプログレスバーを用いて進捗度を表示することにより、コントローラ5の起動状態をユーザーに知らせることができる(ユーザーの誤認及び誤操作を防止することができる。また、ユーザーへの不安感を払拭することができる)。尚、進捗度に関しては、コントローラ5の通常起動時における起動時間よりも長い時間となる比較時間を予め画像判別処理部10に記憶させておき、比較時間とコントローラ5の起動開始後からの経過時間とを比較して進捗度を表示パターン1に付加するようにすればよい(進捗度は黒塗り状態を右側に増やすことにより示す)。ステップS5の処理が終了すると、ステップS6の処理へ順に移行する。
【0038】
ステップS6では、RGB判別の結果が「四隅位置のうち三つが黒で残り一つが×印」でないか否か(言い換えれば「四隅位置、全て黒」であるか否か、或いは×印無しか否か)を判断するとともに、所定時間(上記比較時間)に達していないか否かを判断する。「四隅位置のうち三つが黒で残り一つが×印」でない場合又は所定時間(上記比較時間)に達していない場合(ステップS6でYes)には、ステップS7の処理へ移行する。一方、「四隅位置のうち三つが黒で残り一つが×印」の場合又は所定時間(上記比較時間)に達している場合は、ステップS8の処理へ移行する。
【0039】
ステップS7では、スタンバイ判別処理を実行する。スタンバイ判別処理は、ここではサブルーチン化しており、詳しくは図5を参照しながら後述する。ステップS7のスタンバイ判別処理へは、ステップS6から移行する場合と、ステップS8から移行する場合とがある。ステップS7の処理が終了すると、ステップS9の処理へ順に移行する。
【0040】
ステップS8は、RGB判別の結果が「四隅位置のうち三つが黒で残り一つが×印」の場合又は所定時間(上記比較時間)に達している場合の処理であり、図6(b)の表示内容に示す如くの画像表示になるように表示パターン2(表示パターン2データ)を表示装置6へ出力する。図6(b)の表示内容では、画面中央のプログレスバーが全て黒塗り状態になっている。これは、コントローラ5の起動が終了直前になる状態を示している。
【0041】
ステップS9では、上記経過時間が上記比較時間を越えているか否かを判断する。経過時間が比較時間を越えていない場合には(ステップS9でNo)、ステップS2の処理に戻って再度処理を繰り返す。一方、経過時間が比較時間を越えている場合には(ステップS9でYes)、ステップS10の処理へ移行する。
【0042】
ステップS10では、時間オーバーであり図7(b)に示す如くの表示条件になる。この時、表示パターン4(表示パターン4データ)を表示装置6へ出力する。本形態においては、画像表示がスタンバイマークの点滅表示になり(スタンバイマークに関しては図7(a)参照)、ユーザーに異常待機状態を知らせるようになっている。
【0043】
ステップS3の処理から移行するステップS11では、RGB判別の結果が「四隅位置、全て白」であるか否かを判断する。「四隅位置、全て白」である場合(ステップS11でYes)には、ステップS12の処理へ移行する。一方、「四隅位置、全て黒」、「四隅位置のうち三つが黒で残り一つが×印」、及び「四隅位置、全て白」でない場合は、ステップS13の処理へ移行する。ここで、「四隅位置、全て白」は、図8の表示条件に示す如く、QVGA画面の1行目1列、1行目80列、240行目1列、240行目80列の四隅位置全てが白、すなわちRGB最上位bitが「0」となるような時であるものとする(尚、上記のような判断の他に、四隅位置のいずれかが白の場合で判断することも可能である。いずれかが白である場合は、ステップS11の処理が不要になる)。
【0044】
ステップS12では、画像表示中の表示パターン1、表示パターン2等の出力解除を実行する。これにより、コントローラ5の画面が表示装置6に画像表示されることになる。コントローラ5の画面としては、図8の表示内容に示す如く、操作画面が表示される。ここでの操作画面は、幾つかのエリアに分かれており、操作ボタン(図示省略)又は表示にタッチしながら設定を変えることができるようになっている。
【0045】
ステップS13では、スタンバイ判別処理を実行する。スタンバイ判別処理に関してはステップS7と同じであって後述する。ステップS13の処理が終了すると、ステップS2の処理に戻って再度処理を繰り返す。本形態において、ステップS13は、コントローラ5の起動終了後も監視を行うために設けられている。
【0046】
続いて、ステップS7及びS13で実行するスタンバイ判別処理について説明する。
【0047】
図5において、ステップS21では、制御部11において生成された第一クロックが所定時間同じ状態(例えば、第一クロックが0.5秒間同じ状態)であるか否かの判断をする。第一クロックが所定時間同じ状態でない場合には(ステップS21でNo)、ステップS22の処理へ移行する。一方、第一クロックが所定時間同じ状態である場合には(ステップS21でYes)、ステップS23の処理へ移行する。
【0048】
ステップS22では、図7(a)の表示条件に示す如く、6フレーム(QVGA画面が6画面)中に垂直同期信号(Vsync)が一度も検出されてないか否かを判断する。垂直同期信号(Vsync)が検出されている場合には(ステップS22でNo)、スタンバイ判別処理を終了して図4の判別処理へ戻る。一方、垂直同期信号(Vsync))が一度も検出されてない場合には(ステップS22でYes)、ステップS23の処理へ移行する。
【0049】
ステップS23では、、図7(a)の表示内容に示す如くの画像表示になるように表示パターン3(表示パターン3データ)を表示装置6へ出力する。本形態においては、画像表示がスタンバイマークの表示になり、ユーザーに待機中の状態(例えばコントローラ5の電源が何らかの要因でオフになってしまった状態や、スリープモードになった状態や、VGAケーブル8が何らかの要因で外れてしまった状態など)であることを知らせるようになっている。
【0050】
尚、ユーザーに待機中の状態を知らせるにあたり、本形態においては、二通りを併用して判別するようになっているが、これに限らず、ステップS21及びステップS22のいずれかの処理のみを実行するのであってもよいものとする。
【0051】
以上、図1ないし図8を参照しながら説明してきたように、本発明によれば、本発明の画像判別処理装置7はコントローラ5に対して別体となる装置であり、本発明の画像判別処理装置7によって少なくともコントローラ5の起動に係る画像表示をマスクすることができる。従って、マスクに関しコントローラ5側では開発コストを掛ける必要がないという効果を奏する。
【0052】
また、本発明の画像判別処理装置7は、コントローラ5からの出力に基づく判別結果に応じて表示装置6の画像表示を複数種の表示パターンのうちの一つに切り替えることができる(図6〜図7参照)。従って、リアルタイムにマスクの切替をすることができるという効果を奏する。
【0053】
また、本発明によれば、コントローラ5の起動時における作動の不具合を画像表示によって知らせることができる。従って、現在の状態が異常待機の状態にあることを素早くユーザーに知らせることができるという効果を奏する。
【0054】
また、本発明によれば、コントローラ5の起動に係る進捗度をプログレスバー(図6参照)によって知らせることができる。従って、コントローラ5の起動中であることが分かり、ユーザーの誤認及び誤操作をより確実に防止することができるという効果と、ユーザーへの不安感を払拭することができるという効果を奏する。
【0055】
また、本発明によれば、コントローラ5の起動終了後における作動の不具合を画像表示(図7(a)参照)によって知らせることができる。従って、現在の状態が例えばコントローラ5の電源オフや、スリープモードや、VGAケーブル8の外れ等の状態にあることを素早くユーザーに知らせることができるという効果を奏する。
【0056】
本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の一実施の形態を示す画像形成装置の図であり、(a)は斜視図、(b)は正面図である。
【図2】画像形成装置の要部構成図である。
【図3】画像判別処理装置の基本構成図である。
【図4】画像判別処理方法に係るフローチャートである。
【図5】図4のスタンバイ判別処理に係るフローチャートである。
【図6】(a)は表示パターン1に係る表示条件と表示内容の説明図、(b)は表示パターン2に係る表示条件と表示内容の説明図である。
【図7】(a)は表示パターン3に係る表示条件と表示内容の説明図、(b)は表示パターン4に係る表示条件の説明図である。
【図8】表示パターン解除に係る表示条件と表示内容の説明図である。
【符号の説明】
【0058】
1 画像形成装置(組み込み機器)
2 本体部
3 支柱
4 ディスプレイ部
5 コントローラ
6 表示装置
7 画像判別処理装置
8 VGAケーブル(接続回路)
9 接続回路
10 画像判別処理部
11 制御部
12 記憶部
13 第二クロック生成部
14 判別処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組み込み機器のコントローラに対して別体となり、且つ該コントローラ及び前記組み込み機器の表示装置の間に介在してこれらを電気的に接続する装置であり、さらには、前記表示装置の画像表示に係る前記コントローラからの出力に基づいて判別を行い、少なくとも前記コントローラの起動に係る画像表示を前記判別の結果に応じて複数種の表示パターンのうちの一つに切り替える画像判別処理部を備えてなる
ことを特徴とする画像判別処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像判別処理装置において、
前記画像判別処理部は、前記コントローラの通常起動時における起動時間よりも長い時間となる比較時間を予め有し、前記判別を行いつつ前記比較時間と前記コントローラの起動開始後からの経過時間とを比較し、該経過時間が前記比較時間を越えた時に前記複数種の表示パターンのうちの他の一つに切り替える
ことを特徴とする画像判別処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像判別処理装置において、
前記画像判別処理部は、前記経過時間が前記比較時間を越えるまでの間、進捗度を画像表示中の表示パターンに付加する
ことを特徴とする画像判別処理装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3いずれか記載の画像判別処理装置において、
前記画像判別処理部は、前記コントローラの起動終了後も前記コントローラからの出力に基づいて判別を行い前記表示装置の画像表示を所定の表示パターンに切り替える
ことを特徴とする画像判別処理装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4いずれか記載の画像判別処理装置において、
前記画像判別処理部は、
前記コントローラから出力される前記表示装置の画像表示に係る赤色階調データ、緑色階調データ、青色階調データ、同期信号の入力先となる制御部と、
該制御部において生成される第一クロックのタイミングで前記赤色階調データ、前記緑色階調データ、前記青色階調データ、前記同期信号を表示データとして書き込むための書き込み先となる記憶部と、
第二クロックを生成する第二クロック生成部と、
前記第二クロックのタイミングに基づいて作動するとともに前記記憶部から前記表示データを読み込み、且つ読み込んだ前記表示データを用いて所定の状態になっているか否かの判別処理を行い、且つ該判別処理を行った結果に基づいて画像表示を対応する表示パターンに切り替えるか、若しくは前記表示データを前記表示装置へスルーするかの機能を有する判別処理部と、
を備えて構成される
ことを特徴とする画像判別処理装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5いずれか記載の画像判別処理装置において、
前記組み込み機器は、複写機やプリンタ等の画像形成装置であり、該画像形成装置の本体部に前記コントローラが設けられ、前記本体部の上部に突出するように設けられるディスプレイ部に当該装置が前記表示装置と共に設置される
ことを特徴とする画像判別処理装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項5いずれか記載の画像判別処理装置、及び該画像判別処理装置が電気的に接続される表示装置を含むディスプレイ部と、
該ディスプレイ部を突出するように上部位置に設け、且つ接続回路を介して前記画像判別処理装置が電気的に接続されるコントローラを含む本体部と、
を備えてなる
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
組み込み機器のコントローラに対して別体となり、且つ該コントローラ及び前記組み込み機器の表示装置の間に介在してこれらを電気的に接続する画像判別処理装置の処理に関し、前記表示装置の画像表示に係る前記コントローラからの出力に基づいて判別を行い、少なくとも前記コントローラの起動に係る画像表示を前記判別の結果に応じて複数種の表示パターンのうちの一つに切り替える処理ステップを有する
ことを特徴とする画像判別処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−109781(P2010−109781A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−280634(P2008−280634)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(000165136)桂川電機株式会社 (66)
【Fターム(参考)】